JP4812205B2 - 安定化された微生物増殖抑制組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定化された微生物増殖抑制組成物、詳しくは、工業的に用いられる安定化された微生物増殖抑制組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、製紙パルプ工場、冷却水循環工程などの種々の産業用水や、切削油などの金属加工用油剤、カゼイン、澱粉糊、にかわ、塗工紙、紙用塗工液、表面サイズ剤、塗料、接着剤、合成ゴムラテックス、インキ、ポリビニルアルコールフィルム、塩化ビニルフィルム、樹脂製品、セメント混和剤、シーリング剤、目地剤などの各種工業製品には、かび、藻、細菌などの有害な微生物が繁殖しやすく、生産性や品質の低下、悪臭の発生などの原因となっている。そのため、このような微生物の繁殖を防除するために、防かび効果、防藻効果および抗菌効果を発現する微生物増殖抑制剤が広く使用されている。
【0003】
このような微生物増殖抑制剤としては、例えば、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートなどのハロアセチレン系化合物や、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどのイソチアゾリン系化合物が、優れた効果を発現することから広く使用されており、特公平5−42405号公報には、実施例7において、これら3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートおよび2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含有する水和剤が、優れた防かび効果を発現することが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートなどのハロアセチレン系化合物、および、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどのイソチアゾリン系化合物は、分解しやすく、実用上、長期にわたって優れた効力を維持することができないという不具合がある。
【0005】
そこで、本発明はこのような不具合に鑑みなされたもので、その目的とするところは、分解が少なく、長期にわたって安定した効力を発現することのできる、安定化された微生物増殖抑制組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者は、ハロアセチレン系化合物およびイソチアゾリン系化合物の安定化について鋭意検討したところ、ハロアセチレン系化合物およびイソチアゾリン系化合物とともに、エポキシ化合物を含有させることにより、それらの分解を防止できる知見を見い出し、また、ハロアセチレン系化合物およびイソチアゾリン系化合物とともに、ミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒を含有させることにより、それらの分解を防止できる知見を見い出し、さらに、ハロアセチレン系化合物およびイソチアゾリン系化合物とともに、エポキシ化合物およびミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒を含有させることにより、それらの分解をより一層防止できる知見を見い出し、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1) ハロアセチレン系化合物、イソチアゾリン系化合物、エポキシ化合物およびミネラルスピリットに任意に25℃で溶解する有機溶媒を含有する微生物増殖抑制組成物であって、ハロアセチレン系化合物が、一般式(1)
【化6】
(式中、X1はハロゲン原子を、R1およびR2は同一または相異なって水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を、zは0または1の整数を示す。)
で表わされる化合物であり、前記イソチアゾリン系化合物が、一般式(2)
【化7】
(式中、R3は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を、X2およびX3は同一または相異なって水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)、
または、一般式(3)
【化8】
(式中、R4は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を、A環は置換基を有していてもよいベンゼン環を示す。)
で表わされる化合物であり、前記ミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒が、2つのベンゼン環を有し、少なくともいずれか一方のベンゼン環には少なくとも1つの置換基があり、各置換基の炭素数の総和が2以上である、
または、一般式(5)
【化9】
(式中、R6はアルキル基を、R7は水素またはアルキル基を、R8は水素またはアシル基を示す。)
で表わされる化合物であることを特徴とする、安定化された微生物増殖抑制組成物、
(2) エポキシ化合物が、一般式(4)
【化10】
(式中、R5は1〜4価の炭化水素基を、aは1〜4の整数を示す。)
で表わされる化合物であることを特徴とする、前記(1)に記載の安定化された微生物増殖抑制組成物、
(3) ミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒が、ジイソプロピルナフタレン、イソプロピルナフタレン、エチルビフェニル、ジエチルビフェニル、フェニルキシリルエタンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の安定化された微生物増殖抑制組成物、
(4) 一般式(5)の式中、R6およびR7がともに炭素数1〜4のアルキル基でR8が炭素数1〜4のアシル基であるか、R6およびR7が炭素数1〜4のアルキル基でR8が水素原子であるか、または、R6が炭素数1〜4のアルキル基でR7およびR8がともに水素原子であることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の安定化された微生物増殖抑制組成物、
(5) ミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒が、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブ3−メトキシブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、前記(4)に記載の安定化された微生物増殖抑制組成物を提供するものある。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の安定化された微生物増殖抑制組成物としては、まず、ハロアセチレン系化合物、イソチアゾリン系化合物およびエポキシ化合物を含有するものが挙げられる。
【0009】
本発明において、ハロアセチレン系化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表わされる化合物が挙げられる。
【0010】
【化11】
(式中、X1はハロゲン原子を、R1およびR2は同一または相異なって水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を、zは0または1の整数を示す。)
一般式(1)の式中、X1で示されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、好ましくは、ヨウ素が挙げられる。
【0011】
R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、炭素数1〜20、好ましくは、炭素数1〜14の炭化水素基が好ましく、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基およびアリール基などが挙げられる。
【0012】
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル(ネオペンチル)、n−ヘキシル、イソヘキシル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシルなどの炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
【0013】
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニルなどの炭素数2〜4のアルケニル基が挙げられる。
【0014】
アルキニル基としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、ブチニル、ペンチニルなどの炭素数2〜5のアルキニル基が挙げられる。
【0015】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどの炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。
【0016】
アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどの炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
【0017】
R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(例えば、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素など)、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどの炭素数1〜4のアルコキシ基など)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、炭素数1〜4のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなどの炭素数1〜4のアルキルチオ基など)および炭素数6〜20のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基など)などが挙げられる。これらの置換基は同一または相異なって1〜5個、好ましくは1〜3個置換基を有していてもよい。
【0018】
上記した、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、置換基を有していない炭化水素基が好ましく、その中でも、アルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数が1〜10のアルキル基、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基、より好ましくは、n−ブチルが挙げられる。
【0019】
R1およびR2の好ましい態様としては、例えば、R1およびR2がともに水素原子、R1およびR2のいずれか一方が水素原子であり、他方が炭素数1〜10のアルキル基、R1およびR2がともに炭素数1〜10のアルキル基である態様が挙げられる。さらに好ましくは、R1およびR2のいずれか一方が水素原子であり、他方が炭素数1〜10のアルキル基である態様が挙げられ、とりわけ、R1およびR2のいずれか一方が水素原子であり、他方がn−ブチルである態様が挙げられる。
【0020】
また、zは0または1の整数を示し、zが0のときは、ハロアセチレン系化合物は酸アミド誘導体となり、zが1のときは、ハロアセチレン系化合物はカーバメート誘導体となる。これらのうち、zが1であるハロアセチレン系化合物のカーバメート誘導体が好ましい。
【0021】
ハロアセチレン系化合物の具体例としては、zが0のときのハロアセチレン系化合物の酸アミド誘導体として、例えば、3−クロロプロピオール酸アミド、N−メチル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−エチル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−プロピル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−ブチル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−ヘキシル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−オクチル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−シクロヘキシル−3−クロロプロピオール酸アミドなどの(N−置換−)3−クロロプロピオール酸アミド、例えば、3−ブロモプロピオール酸アミド、N−メチル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−エチル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−プロピル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−ブチル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−ヘキシル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−オクチル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−シクロヘキシル−3−ブロモプロピオール酸アミドなどの(N−置換−)3−ブロモプロピオール酸アミド、例えば、3−ヨードプロピオール酸アミド、N−メチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−エチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−プロピル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−ブチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−ヘキシル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−オクチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−シクロヘキシル−3−ヨードプロピオール酸アミドなどの(N−置換−)3−ヨードプロピオール酸アミドなどが挙げられる。好ましくは、(N−置換−)3−ヨードプロピオール酸アミドが挙げられ、より好ましくは、N−ブチル−3−ヨードプロピオール酸アミドが挙げられる。
【0022】
また、zが1のときのハロアセチレン系化合物のカーバメート誘導体として、例えば、3−ヨード−2−プロピニルメチルカーバメート、3−ヨード−2−プロピニルエチルカーバメート、3−ヨード−2−プロピニルプロピルカーバメート、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、3−ヨード−2−プロピニルヘキシルカーバメート、3−ヨード−2−プロピニルオクチルカーバメート、3−ヨード−2−プロピニルシクロヘキシルカーバメートなどの3−ヨード−2−プロピニルアルキルカーバメートなどが挙げられる。好ましくは、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートが挙げられる。これらハロアセチレン系化合物は、単独または2種以上併用してもよい。
【0023】
本発明において、イソチアゾリン系化合物としては、例えば、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表わされる化合物が挙げられる。
【0024】
【化12】
(式中、R3は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を、X2およびX3は同一または相異なって水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)、
または一般式(3)
【化13】
(式中、R4は水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を、A環は置換基を有していてもよいベンゼン環を示す。)
一般式(2)および一般式(3)の式中、R3およびR4で示される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、上記したR1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、なかでも、置換基を有していない炭化水素基が好ましく、その中でも、アルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数が1〜8のアルキル基、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基およびn−オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシルなどの炭素数8のアルキル基、より好ましくは、メチル、n−ブチル、n−オクチルが挙げられる。
【0025】
したがって、R3およびR4の好ましい例としては、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基(より好ましくは、メチル、n−ブチルおよびn−オクチル)が挙げられる。
【0026】
一般式(2)で表わされるイソチアゾリン系化合物において、X2およびX3で示されるハロゲン原子としては、例えば、上記したX1で示されるハロゲン原子と同様のものが挙げられ、好ましくは、塩素が挙げられる。
【0027】
X2およびX3で示される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、上記したR1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、なかでも、置換基を有していない炭化水素基が好ましく、その中でも、アルキル基が好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0028】
また、X2およびX3は、2価の炭化水素基とともに環形成されていてもよく、このような2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレンなどの炭素数1〜4の2価のアルキレン基が挙げられる。好ましくは、トリメチレンが挙げられる。
【0029】
X2およびX3の好ましい例としては、例えば、ハロゲン原子、水素原子が挙げられ、好ましい態様としては、例えば、X2およびX3がともに水素原子、X2およびX3のうち、いずれか一方が水素原子であって他方がハロゲン原子、X2およびX3がともにハロゲン原子である態様が挙げられる。また、トリメチレンで環形成されているものも、好ましい態様の1つである。
【0030】
一般式(3)で表わされるイソチアゾリン系化合物において、A環で示されるベンゼン環の置換基としては、上記したR1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基と同様のものを挙げることができ、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基など)が挙げられる。これらの置換基は、同一または相異なって1〜4個、好ましくは、1または2個置換していてもよい。A環で示される置換基を有していてもよいベンゼン環の好ましい態様としては、置換されていないベンゼン環が挙げられる。
【0031】
イソチアゾリン系化合物の具体例としては、例えば、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−シクロヘキシル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。これらのうち、好ましくは、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが挙げられ、より好ましくは、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが挙げられる。これらイソチアゾリン系化合物は、単独または2種以上併用してもよい。
【0032】
本発明において、エポキシ化合物は、分子内にエポキシ基を有する化合物であれば特に制限されないが、例えば、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0033】
【化14】
(式中、R5は1〜4価の炭化水素基を、aは1〜4の整数を示す。)
一般式(4)の式中、R5は1〜4価の炭化水素基としては、aに対応する1価、2価、3価または4価の炭素数4〜14の炭化水素基が挙げられる。
【0034】
1価の炭化水素基としては、例えば、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル(ネオペンチル)、n−ヘキシル、イソヘキシル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシルなどの炭素数4〜14のアルキル基、例えば、1−ブテニル、3−ブテニルなどの炭素数4〜10のアルケニル基が挙げられる。
【0035】
2価の炭化水素基としては、例えば、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、デカメチレンなどの炭素数4〜10のアルキレン基、例えば、4−プロピル−2−ペンテニレンなどの炭素数4〜10のアルケニレン基、および、下記一般式(6)で表わされる2価の炭化水素基が挙げられる。
【0036】
【化15】
(式中、R9は水素原子またはアルキル基、bは1〜6の整数(但し、R9がメチル基の場合は1〜3の整数)を示す。)
3価の炭化水素基としては、例えば、下記一般式(7)で表わされる3価の炭化水素基が挙げられる。
【0037】
【化16】
(式中、R10は水素原子またはアルキル基、cは0または1(但し、R10が水素原子の場合は1の整数)を示す。)
上記一般式(6)および(7)の式中、R9、R10のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
【0038】
4価の炭化水素基としては、例えば、下記一般式(8)で表わされる4価の炭化水素基が挙げられる。
【0039】
【化17】
上記した1価、2価、3価または4価の炭素数4〜14の炭化水素基のうち、好ましくは、炭素数5〜10の1価または2価の炭化水素基、より好ましくは、2−エチルヘキシル、2,2−ジメチルトリメチレンなどの炭素数5〜8のアルキル基および炭素数5〜8のアルキレン基が挙げられる。
【0040】
したがって、一般式(4)において、aは、好ましくは、1および2である。
【0041】
このようなエポキシ化合物の具体例としては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテルなどのモノグリシジルエーテル類、例えば、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどのジグリシジルエーテル類、例えば、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなどのトリグリシジルエーテル類、例えば、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルなどのテトラグリシジルエーテル類などが挙げられる。これらエポキシ化合物は、単独または2種以上併用してもよい。
【0042】
また、これらのエポキシ化合物のうち、好ましくは、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0043】
そして、これらハロアセチレン系化合物、イソチアゾリン系化合物およびエポキシ化合物の配合割合は、例えば、ハロアセチレン系化合物1重量部に対し、イソチアゾリン系化合物が、0.3〜10重量部、さらには、0.5〜5重量部、エポキシ化合物が、0.01〜3重量部、さらには、0.05〜1重量部であることが好ましい。
【0044】
さらに、本発明の安定化された微生物増殖抑制組成物は、ハロアセチレン系化合物、イソチアゾリン系化合物およびミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒を含有するものが挙げられる。
【0045】
ハロアセチレン系化合物およびイソチアゾリン系化合物は、上記と同様のものが挙げられる。
【0046】
また、ミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒は、ミネラルスピリットに対する溶解度(25℃)が無限大である(すなわち、ミネラルスピリットに対して配合量に関係なく常に溶解する)有機溶媒であれば、特に制限されないが、例えば、2つのベンゼン環を有し、少なくともいずれか一方のベンゼン環には少なくとも1つの置換基があり、各置換基の炭素数の総和が2以上である芳香族化合物や、例えば、一般式(5)
【化18】
(式中、R6はアルキル基を、R7は水素またはアルキル基を、R8は水素またはアシル基を示す。)
で表わされる脂肪族化合物などが好ましい。
【0047】
なお、ミネラルスピリットは、ホワイトスピリットとも呼ばれ、石油系溶剤を分留して得られる、沸点範囲140〜180℃の工業用ガソリン4号に相当するものであって、工業的には、「ミネラルターペン」(三菱石油社製)や「ペガソールAN45」(エクソンモービル社製)などとして市販されている。
【0048】
上記した芳香族化合物において、2つのベンゼン環は、例えば、2つのベンゼン環が炭素−炭素結合を介して直接結合されている下記一般式(9)の骨格(ビフェニル骨格)を有するもの、
【化19】
例えば、2つのベンゼン環が2価の炭化水素を介して結合されている下記一般式(10)の骨格(ジフェニルアルカン骨格)を有するもの、
【化20】
(式中、R11は2価の炭化水素基を示す。)
例えば、2つのベンゼン環が縮合している下記一般式(11)の骨格(ナフタレン骨格)を有するものなどが挙げられる。
【0049】
【化21】
なお、上記一般式(10)の式中、R11で示される2価の炭化水素基としては、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−CH2CH2−などの炭素数1〜3のアルキレン基が挙げられる。
【0050】
また、上記した芳香族化合物においては、少なくともいずれか一方のベンゼン環には、少なくとも1つの置換基があり、各置換基の炭素数の総和が2以上である。
【0051】
置換基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル(ネオペンチル)、n−ヘキシル、イソヘキシル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシルなどの炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基、より好ましくは、メチル、エチルおよびイソプロピルが挙げられる。
【0052】
このような置換基は、2つのベンゼン環の両方にあってもよく、また、いずれか一方のみにあってもよい。また、置換基は、2つのベンゼン環において、それぞれ1〜4個、好ましくは、1〜2個あることが好ましい。より好ましくは、2つのベンゼン環のそれぞれに1個ずつある態様、いずれか一方のベンゼン環のみに1個ある態様、いずれか一方のベンゼン環のみに2個ある態様が挙げられる。
【0053】
また、各置換基の炭素数の総和が2以上、好ましくは、2〜10、より好ましくは、2〜4である。より具体的には、2つのベンゼン環のそれぞれに1個ずつ置換基がある態様では、2つのベンゼン環のそれぞれに、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基などの炭素数1〜3の置換基が1個ずつある化合物が挙げられる。また、いずれか一方のベンゼン環のみに置換基が1個ある態様では、いずれか一方のベンゼン環のみに、例えば、エチル基、イソプロピル基などの炭素数2〜3の置換基が1個ある化合物が挙げられる。また、いずれか一方のベンゼン環のみに2個ある態様では、いずれか一方のベンゼン環のみに、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基などの炭素数1〜3の置換基が2個ある化合物が挙げられる。
【0054】
上記した芳香族化合物の具体例としては、例えば、ジイソプロピルナフタレン、イソプロピルナフタレン、エチルビフェニル、ジエチルビフェニル、フェニルキシリルエタンなどが挙げられる。好ましくは、エチルビフェニルが挙げられる。
【0055】
また、上記した脂肪族化合物において、一般式(5)の式中、R6およびR7で示されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル(ネオペンチル)、n−ヘキシル、イソヘキシル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシルなどの炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素数1〜4のアルキル基、より好ましくは、メチルおよびエチルが挙げられる。
【0056】
また、一般式(5)の式中、R8で示されるアシル基としては、例えば、炭素数1〜8のアルカノイル基が挙げられ、その具体例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイルなどが挙げられ、なかでも、アセチル、プロピオニルなどの炭素数1〜4のアルカノイル基が好ましい。
【0057】
また、R6、R7およびR8の好ましい態様としては、例えば、R6およびR7がともに炭素数1〜4のアルキル基でR8が炭素数1〜4のアルカノイル基である態様、例えば、R6およびR7が炭素数1〜4のアルキル基でR8が水素原子である態様、例えば、R6が炭素数1〜4のアルキル基でR7およびR8がともに水素原子である態様が挙げられる。
【0058】
上記した脂肪族化合物の具体例としては、例えば、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メトキシブタノールなどが挙げられる。好ましくは、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートが挙げられる。
【0059】
そして、これらハロアセチレン系化合物、イソチアゾリン系化合物およびミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒の配合割合は、例えば、ハロアセチレン系化合物1重量部に対し、イソチアゾリン系化合物が、0.3〜10重量部、さらには、0.5〜5重量部、ミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒が、0.1〜200重量部、さらには、0.5〜100重量部であることが好ましい。
【0060】
さらに、本発明の安定化された微生物増殖抑制組成物は、ハロアセチレン系化合物、イソチアゾリン系化合物、エポキシ化合物およびミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒を含有するものが挙げられる。
【0061】
ハロアセチレン系化合物、イソチアゾリン系化合物、エポキシ化合物およびミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒は、上記と同様のものが挙げられる。
【0062】
なお、ミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒は、その目的および用途などによっては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、セロソルブ、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ガソリン、ケロセン、灯油、燃料油、機械油、ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルナフタレン、ピリジン、アルデヒドコリジン、クロロホルム、四塩化炭素、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルエステル、脂肪酸のグリセリンエステル、アセトニトリル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを除く有機溶媒を用いるのが好ましい。
【0063】
そして、本発明の安定化された微生物増殖抑制組成物は、ハロアセチレン系化合物、イソチアゾリン系化合物、および、エポキシ化合物およびミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒の少なくともいずれか、を含み得る形態であれば、その目的および用途に応じて、例えば、液剤(水懸濁剤および油剤を含む。)、ペースト剤、粉剤、粒剤、マイクロカプセルなど、特に制限されることなく、公知の方法で公知の剤型に製剤化して使用することができる。
【0064】
また、包接化合物として調製してもよく、さらに、層状ケイ酸塩などのモンモリロナイト(スメクタイト類など)などに担持させ、あるいは、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルクなどに吸着させることにより調製してもよい。
【0065】
例えば、液剤として調製する場合には、ハロアセチレン系化合物、イソチアゾリン系化合物、必要によりエポキシ化合物およびミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒を、上記した割合で配合した後、例えば、5〜80℃、好ましくは、10〜70℃で撹拌すればよい。
【0066】
また、製剤中においては、例えば、ハロアセチレン系化合物、イソチアゾリン系化合物、エポキシ化合物およびミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒は、その合計量に対して、ハロアセチレン系化合物が、1〜40重量%、さらには、2〜10重量%、イソチアゾリン系化合物が、1〜40重量%、さらには、2〜20重量%、必要により配合されるエポキシ化合物が、0.05〜10重量%、さらには、0.1〜5重量%となり、その残りがミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒となるように調製することが好ましい。
【0067】
また、製剤化において、本発明の安定化された微生物増殖抑制組成物の安定化を阻害しない範囲において、公知の添加剤、例えば、他の微生物増殖抑制剤、界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤などを添加してもよい。
【0068】
他の微生物増殖抑制剤としては、例えば、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドなどのチオフェン系化合物、例えば、ジヨードメチル−p−トルイルスルホン、p−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルフォルマールなどの有機ヨウ素系化合物、例えば、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オンなどのジチオール系化合物、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチオカーバメート系化合物、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルなどのニトリル系化合物、例えば、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−N,N’−ジメチル−N−フェニル−スルファミドなどのハロアルキルチオ系化合物、例えば、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジンなどのピジリン系化合物、例えば、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオンなどのピリチオン系化合物、例えば、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール系化合物、例えば、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンなどのトリアジン系化合物、例えば、メチル 2−ベンズイミダゾールカーバメイト、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールなどのイミダゾール系化合物、例えば、テブコナゾール、プロピコナゾール、アザコナゾール、シプロコナゾールなどのトリアゾール系化合物、例えば、3−ベンゾ[b]チエン−2−イル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−オキサチアジン−4−オキサイドなどのオキサチアジン系化合物、例えば、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン1,3−ジオールなどのニトロアルコール系化合物、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアなどの尿素系化合物、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロパンアミドなどのアミド系化合物などが挙げられる。これらの他の微生物増殖抑制剤は、単独または2種以上併用してもよい。また、これらの配合割合は、その剤型および目的ならびに用途によって適宜決定される。
【0069】
また、界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。
【0070】
また、酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−t−ブチルフェノール]などのフェノール系酸化防止剤、例えば、アルキルジフェニルアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0071】
これら、界面活性剤および酸化防止剤は、例えば、液剤の場合には、液剤100重量部に対して0.1〜5重量部添加される。
【0072】
また、光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。このような光安定剤は、例えば、液剤の場合には、液剤100重量部に対して0.1〜10重量部添加される。
【0073】
このようにして得られる本発明の安定化された微生物増殖抑制組成物は、有効成分であるハロアセチレン系化合物およびイソチアゾリン系化合物の分解がともに少なく、長期にわたって安定したこれらの相乗的な防かび効果、防藻効果、殺菌効果、抗菌効果を発現させることができるので、工業的な用途において、防かび剤、防藻剤、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤などとして有効に使用することができる。
【0074】
そのため、例えば、製紙パルプ工場、冷却水循環工程などの種々の産業用水や、切削油などの金属加工用油剤、カゼイン、澱粉糊、にかわ、塗工紙、紙用塗工液、表面サイズ剤、塗料、接着剤、合成ゴムラテックス、印刷インキ、ポリビニルアルコールフィルム、塩化ビニルフィルム、プラスチック製品、セメント混和剤、シーリング剤、目地剤などの各種工業製品などの有害微生物の防除の用途において有効に用いることができる。
【0075】
なお、本発明の安定化された微生物増殖抑制組成物は、その適用対象に応じて添加量を適宜決定すればよいが、1〜20000mg(有効成分)/kg(製品)、好ましくは、50〜10000mg(有効成分)/kg(製品)の濃度として用いることが好ましい。
【0076】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
【0077】
(1) 微生物増殖抑制組成物の調製
実施例1
3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート(商品名:トロイサンポリフェーズP−100、トロイケミカル社製、純度98重量%)5g、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(商品名:ケーソン893T、ロームアンドハース社製、純度98重量%)5g、ネオペンチルグリコールジグリジシルエーテル(商品名:エリシス GE−20、CVCスペシャリティケミカルズ社製)0.5g、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート(商品名:ソルフィットAC、クラレ社製)89.5gを常温で配合して撹拌することにより、微生物増殖抑制組成物を得た。
【0078】
実施例2〜実施例9および比較例1〜8
表1に示す組成および配合割合において、実施例1と同様の操作により、実施例2〜実施例9および比較例1〜8の微生物増殖抑制組成物を調製した。
【0079】
(2) 安定性評価(分解試験)
各実施例および各比較例の微生物増殖抑制組成物をガラス瓶に密閉し、60℃で2週間放置した後の残存率(%)を測定した。その結果を表1に示す。なお、残存率(%)は、2週間放置後の微生物増殖抑制組成物中の各有効成分の含有量を液体クロマトグラフィーにより測定し、放置後の含有量/放置前の含有量×100として算出した。
【0080】
【表1】
なお、表1中の各成分の詳細は下記の通りである。
【0081】
IPBC:3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート(商品名:トロイサンポリフェーズP−100、トロイケミカル社製、純度98重量%)
OIT:2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(商品名:ケーソン893T、ロームアンドハース社製、純度98重量%)
BIT:1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(プロクセルプレスペーストD、アビシア社製、純度80重量%)
ジイソプロピルナフタレン:KMC−113、呉羽化学工業社製
イソプロピルナフタレン:KMC−500、呉羽化学工業社製
エチルビフェニル:アロサイザー202、新日鐵化学社製
ジエチルビフェニル:アロサイザー404、新日鐵化学社製
フェニルキシリルエタン:SUS296、日本石油化学社製
メチルナフタレン:新日鐵化学社製
3−メチル−3−メトキシブチルアセテート:ソルフィットAC、クラレ社製
3−メチル−3−メトキシブタノール:ソルフィット、クラレ社製
メチルカルビトール:和光純薬社製 試薬
メチルセロソルブ:和光純薬社製 試薬
ジエチレングリコール:和光純薬社製 試薬
2−エチルヘキシルグリシジルエーテル:ヘロキシMK−116、ローンプーラン社製
ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル:エリシス GE−20、CVCスペシャリティケミカルズ社製
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の安定化された微生物増殖抑制組成物は、有効成分であるハロアセチレン系化合物およびイソチアゾリン系化合物の分解がともに少なく、長期にわたって安定したこれらの相乗的な防かび効果、防藻効果、殺菌効果、抗菌効果を発現させることができるので、工業的な用途において、防かび剤、防藻剤、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤などとして有効に使用することができる。
Claims (5)
- ハロアセチレン系化合物、イソチアゾリン系化合物、エポキシ化合物およびミネラルスピリットに任意に25℃で溶解する有機溶媒を含有する微生物増殖抑制組成物であって、
ハロアセチレン系化合物が、一般式(1)
前記イソチアゾリン系化合物が、一般式(2)
前記ミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒が、2つのベンゼン環を有し、少なくともいずれか一方のベンゼン環には少なくとも1つの置換基があり、各置換基の炭素数の総和が2以上である、または、一般式(5)
- エポキシ化合物が、一般式(4)
- ミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒が、ジイソプロピルナフタレン、イソプロピルナフタレン、エチルビフェニル、ジエチルビフェニル、フェニルキシリルエタンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1または2に記載の安定化された微生物増殖抑制組成物。
- 一般式(5)の式中、R6およびR7がともに炭素数1〜4のアルキル基でR8が炭素数1〜4のアシル基であるか、R6およびR7が炭素数1〜4のアルキル基でR8が水素原子であるか、または、R6が炭素数1〜4のアルキル基でR7およびR8がともに水素原子であることを特徴とする、請求項1または2に記載の安定化された微生物増殖抑制組成物。
- ミネラルスピリットに任意に溶解する有機溶媒が、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メトキシブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項4に記載の安定化された微生物増殖抑制組成物。
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