JP4810661B2 - 機械電気変換素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気音響変換素子等の、機械的振動を電気信号に変換する機械電気変換素子及びその製造方法に関する。
ポリカーボネートなどのある種の高分子化合物は、外部から高い電界を加えると、表面に誘導された電荷が、半永久的に保持されるという性質がある。ヘヴィサイトは、このような半永久的に電荷が保持された状態になっている材料を、「エレクトレット」と名付けた。振動板と一体のコイル(ボイスコイル)が磁界の中で動く構造のダイナミックマイクロフォンに対し、エレクトレットコンデンサマイクロフォン(ECM)は、振動板に近接して平行に、エレクトレットが配置されている。そして、振動板が音で振動するとエレクトレットとの距離が変動するので、エレクトレットの帯電状況が変化して音信号を電気の変動として取り出すことができる。しかしこの信号は非常に小さいので、マイクロフォンユニットに内蔵された電界効果トランジスタで増幅するようになっている。
ECMの性能を向上させるためには、高分子フィルムのエレクトレット量(分極量)を増加させることが必要であるが、コロナ放電を使用して高分子をエレクトレット化する手法では,残留分極量は30μC/m2程度が限界となっている。又、ECMの電極間の空間は極めて清浄であることが求められるため、ECMの製造はクリーンルームのような清浄な環境で行われる必要がある。
一方,強誘電材料は,上記のエレクトレットフィルムより1万倍以上もの残留分極を有する材料が存在する。しかし,エレクトレットとして使用するためには、表面に吸着した荷電粒子の影響を取り除く必要がある等の問題がある。
上記のように、従来のECMの製造はクリーンルームのような清浄な環境で行われる必要があり、製造コストが割高になる難点を有していた。更に、コロナ放電により空間電荷を保持させて製造したエレクトレットフィルムは,長期間使用すると空間電荷の移動が無視できなくなり分極量が劣化するため,動作の安定性や、エレクトレットとして使用する高分子フィルムの耐熱性に問題があった。更に、高分子フィルムのエレクトレット量(分極量)が小さいため、増幅器等を内蔵することが必須であり、小型化にも問題があった。
一方,非常に高い残留分極量を有する強誘電材料をエレクトレットとして使用するためには、表面に吸着した荷電粒子の影響がを除去しなければならない問題があった。
上記問題を鑑み、本発明は、製造コストが低く、耐熱性が高く、小型化が容易で、且つ動作の安定性の高い機械電気変換素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の態様は、(イ)平坦な振動面を有する導電体からなる振動子と、(ロ)振動面に対向した平坦な第1主面及びこの第1主面に平行に対向する第2主面で定義される強誘電体からなる誘電分極板と、(ハ)第2主面に接合された背面電極と、(ニ)振動面の変位に伴い、誘電分極板に誘導される電荷を測定する誘導電荷測定手段とを備える機械電気変換素子であることを特徴とする。ここで、「強誘電体」について少し説明する。「誘電体」とは、物質に電界を加えると正電荷はマイナス方向に、負電荷はプラス方向に引かれて分極を生じる電気的絶縁体のことである。この誘電体において、結晶構造が対称中心を持たず(=非対称な構造を有する)、イオンが変位して分極を生じた物質が「圧電体」と呼ばれる。これらの圧電体の中で、永久双極子を有し、配向分極を生じるものが焦電体と呼ばれる。更に、これらの焦電体において永久双極子が外部電界によって人工的に反転させることが出来る物質が「強誘電体」と呼ばれる。したがって、強誘電体は、焦電性、圧電性、誘電性を示す。したがって、「強誘電体」の上位概念を階層的に示せば:
誘電体>圧電体>焦電体>強誘電体
のようになる。
従来エレクトレットとして使用されている高分子フィルムは、コロナ放電により空間電荷を注入するタイプで,圧電体に含まれ一部は焦電体でもある。しかし、強誘電体ではない。「強誘電体」の定義は以下の通りである:
(a)外から電界を与えなくても、自発的に分極(自発分極)している誘電体である。
(b)外から強い電界を与えると自発分極が反転するヒステリシス特性を有する。
(c)非極性相となるキュリー温度(キュリー点)が存在する。
本発明の態様に係る機械電気変換素子に用いる強誘電体は、主として強誘電体セラミックスの単結晶若しくは多結晶であり、キュリー温度を有する一部の結晶性高分子も含まれる。
強誘電体セラミックスとしては、以下のようなペロブスカイト型化合物、タングステンブロンズ構造化合物、ビスマス系層状構造化合物、ウルツ鉱(ウルツァイト型)構造結晶、酸化亜鉛、水晶、ロッシェル塩(NaK(C)・4HO)が、採用可能である:
I.ペロブスカイト型化合物
I−1.チタン酸鉛(PbTiO3
残留分極0.2C/m2
PbTiO3薄膜(水熱合成):残留分極1C/m2
キュリー温度は490℃付近
I−2.チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)
残留分極0.15〜0.7C/m2(組成により複雑に変化する)
キュリー温度は組成により複雑に変化するが、概ね130〜400℃であ
る。例えば、Pb0.3(TiO30.7−Pb0.7(ZrO30.3では、残留分
極0.4C/m2,キュリー温度300℃であり、Pb0.5(TiO3)−
0.5Pb0.5(ZrO3)では、残留分極0.5C/m2,キュリー温度3
50℃である。
I−3.ランタンドープジルコン酸チタン酸鉛(PLZT)
I−4.チタン酸バリウム(BaTiO3
キュリー温度は130℃付近
I−5.ニオブ酸リチウム(LINbO3
キュリー温度は1210℃
II.タングステンブロンズ構造化合物
II−1.メタニオブ酸鉛(PbNb26
キュリー温度は570℃付近
II−2.タングステン酸ビスマス(Bi2WO6
キュリー温度940℃,残留分極0.02C/m2
III.ビスマス系層状構造化合物
ビスマス・ランタン・チタン酸化物(BLT)(残留分極0.15C/m2),
Bi4Ti312(残留分極0.4C/m2),CaBi4Ti415(残留分極
0.25C/m2
IV.ウルツ鉱(ウルツァイト型)構造結晶
V.酸化亜鉛(ZnO)
VI.水晶(SiO2
キュリー温度は573℃付近
VII.ロッシェル塩(NaK(C446)・4H2O)
一方、「キュリー温度を有する一部の結晶性高分子」としては、以下のようなフッ素系高分子強誘電体等が採用可能である:
I.ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
II.フッ化ビニリデン・三フッ化ビニリデン共重合体単結晶
残留分極0.11C/m2,キュリー温度は120℃付近
III.VDFオリゴマー
残留分極.13C/m2
IV.ジヒドロキシ−p−ベンゾキノン類(クロラニル酸)
残留分極8mC/m2
本発明の他の態様は、(イ)平坦な第1主面及びこの第1主面に平行に対向する第2主面で定義される強誘電体からなる誘電分極板の第2主面に背面電極を接合する工程と、(ロ)誘電分極板を、脱分極温度からキュリー温度の間の除電温度まで加熱し、誘電分極板の表面に帯電していた電荷を除去する工程と、(ハ)平坦な振動面を有する導電体からなる振動子を用意し、振動面に第1主面が対向するようにして、誘電分極板及び背面電極を、除電温度において、振動子と共に導電性のケースに収納し、振動子と誘電分極板間の空間を密閉する工程と、(ニ)振動子と誘電分極板間の空間を密閉後、誘電分極板を室温に戻す工程とを含む機械電気変換素子の製造方法であることを特徴とする。ここで、「脱分極温度(depolarization temperature)」とは、強誘電体(より一般的には圧電体)の分極が急激に減少し始める温度の事をいう。強誘電体(圧電体)の分極完全に消滅する温度は「キュリー温度」であるが、現実の工業的応用においては、「何℃で分極が大幅に消滅するか」という点で、キュリー温度よりも重要視されている。脱分極温度の多くは、摂氏でキュリー温度の40〜80%の範囲にある。脱分極温度はふつう、分極した試料をゆっくりと加熱しながら、焦電電流を測定していくと、残留分極が消滅する際に急激に大量の電流が流れる温度が観察される事から、この温度をもって脱分極温度とする事が多い。例えば、以下の表1に例示するように、チタン酸バリウム(BaTiO3)のキュリー温度は130℃付近であるが、脱分極温度80℃である。又、チタン酸鉛(PbTiO3)のキュリー温度は490℃付近であるが、脱分極温度300℃である。チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb0.5(TiO30.5−Pb0.5(ZrO30.5)のキュリー温度350℃であるが、脱分極温度は、190℃である。
Figure 0004810661
したがって、より多くの脱分極温度は、摂氏でキュリー温度の50〜70%の範囲にあり、更により多くは、摂氏でキュリー温度の55〜65%の範囲にあると言える。「脱分極温度からキュリー温度の間の除電温度」であるので、除電温度の上限は、キュリー温度である。キュリー温度に近づくほど残留分極の減少が大きくなるため、材料によっては、除電温度をキュリー温度ギリギリまで設定することもありうる。しかし、実用上の観点からは、キュリー温度より10℃〜20℃程度低い温度に除電温度を設定しても、脱分極温度以上であれば、十分に効果が期待できる。プロセスの低温下という意味では、キュリー温度より20℃程度低い温度の範囲内に除電温度を設定しても、脱分極温度以上である限り、十分に本発明の効果が期待できる。
本発明によれば、製造コストが低く、耐熱性が高く、小型化が容易で、且つ動作の安定性の高い機械電気変換素子及びその製造方法を提供できる。
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第6の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。又、第1〜第6の実施の形態で例示的に記述した各層の厚さや寸法等も限定的に解釈すべきではなく、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものであり、特に、以下において式(1)〜(3)等で示される設計指針と要求される特性や仕様に応じて、種々の値に決定されることが可能であることに留意すべきである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
又、以下に示す第1及び第2の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る機械電気変換素子は、平坦な振動面を有する導電体からなる振動子(振動板)14と、振動板14の振動面に対向した平坦な第1主面及びこの第1主面に平行に対向する第2主面で定義され、分極方向を揃えた誘電分極板13と、誘電分極板13の第2主面に接合された背面電極12と、振動板14と背面電極12間に、振動面の変位に伴い誘導される電荷を測定する誘導電荷測定手段(21,9)とを備えるマイクロフォンカプセルである。無負荷時には、誘電分極板13の第1主面は、振動板14の振動面に平行に対向している。ここで、誘導電荷測定手段(21,9)は、背面電極12に接続された増幅器(FET)21と、増幅器(FET)21に接続された出力回路9を備える。出力回路9は、一方の端子を接地した直流電源Eと、この直流電源Eと増幅器(FET)21との間に接続された出力抵抗Rと、出力抵抗Rと増幅器(FET)21との接続ノードに一方の電極を接続し、他方の電極を出力端子とする結合容量Cを備える。誘導電荷測定手段(21,9)の出力端子となる結合容量Cの出力端子には、外部回路(図示省略)が接続され、外部回路によりマイクロフォンに接続される通信装置や記録装置に必要な信号処理がなされる。本発明の第1の実施の形態に係る機械電気変換素子の誘導電荷測定手段(21,9)は、背面電極12と振動板14間の電位を増幅器(FET)21で増幅することにより、振動板14の振動面の変位に伴い、誘電分極板13に誘導される電荷を測定している。
平面図や鳥瞰図の図示を省略しているが、図1に示すマイクロフォンカプセルの振動板14、誘電分極板13及び背面電極12はそれぞれ半径3〜40mmの円板形状である。図1に示すように、円板状の誘電分極板13及び背面電極12は、絶縁体のスペーサリング17と円筒状の絶縁体からなるホルダ16との間に挟み込まれている。スペーサリング17の上端面には、円板状の振動板14の周辺部が接続されている。即ち、スペーサリング17は、互いに平行に対向する振動板14と誘電分極板13との間隔を規定している。誘電分極板13の厚さは例えば20〜400μm程度、背面電極12の厚さは例えば10〜100μm程度、振動板14の厚さは例えば10〜100μm程度に選定することができるが、振動板14、誘電分極板13及び背面電極12の具体的な厚さや半径は、後述する式(1)〜(3)に示される設計指針と要求される性能や仕様に応じて決定されるものである。
ホルダ16の下端面には、配線用開口を有する金属製円板からなる底板15が接続され、底板15、ホルダ16、スペーサリング17及び振動板14が、導電性(金属製)のケース11に収納されてマイクロフォンカプセルを構成している。導電性(金属製)のケース11と底板15とは、ハンダ151,152で接続され、底板15とFET21からの接地配線も底板15の配線用開口において、ハンダ153で接続されている。FET21は、背面電極12の中央部近傍に融着されたハンダ122を介して、背面電極12に電気的に接続されている。背面電極12及び誘電分極板13には、背面電極12及び誘電分極板13を貫通する貫通孔131,132が設けられているが、貫通孔131,132は、誘電分極板13と振動板14とのギャップ空間に、(必要に応じて)絶縁性の高い気体(絶縁ガス)を封入できるように、ハンダ121,123を用いて封じられている。絶縁ガスとしては、窒素,六フッ化硫黄などが採用可能である。絶縁ガスの他、シリコーンオイルなど絶縁流体を誘電分極板13と振動板14とのギャップ空間を満たしても、絶縁破壊強度が増し、放電が生じにくくなる。その結果、放電により付着する誘電分極板13の表面の電荷量を低減でき、感度が向上する。絶縁ガスや絶縁流体を満たす代わりに、誘電分極板13と振動板14とのギャップ空間を真空状態としても、感度を向上させることができる。
なお、振動板14、誘電分極板13及び背面電極12はそれぞれ円板形状である必要はなく、楕円形、矩形等他の幾何学的形状でも構わないし、この場合、導電性(金属製)のケース11等他の部材も、振動板14、誘電分極板13及び背面電極12の幾何学的形状に適合するように設計されることは勿論である。
本発明の第1の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)においては、残留分極量の大きい強誘電体を誘電分極板13として使用している点が、従来の高分子フィルムをエレクトレットとして用いたマイクロフォンカプセルとは、異なる点である。強誘電体の残留分極量は、従来エレクトレットとして使用されている高分子フィルム(最大50μC/m程度)より大幅に大きい。従来エレクトレットとして使用されている高分子フィルムは、コロナ放電により空間電荷を注入するタイプで、強誘電体の上位概念に位置する圧電体に含まれ、一部は焦電体でもある。
第1の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の誘電分極板13に用いる強誘電体としては、既に「課題を解決するための手段」の欄で述べたような、強誘電体セラミックスの単結晶若しくは多結晶、又は、キュリー温度を有する一部の結晶性高分子等が採用可能である。
<機械電気変換素子の設計>
従来のECMカプセルに用いられるエレクトレットは、コロナ放電により空間電荷を注入するタイプで,圧電体に含まれ一部は焦電体でもある。しかし、第1の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の誘電分極板13では、圧電特性ではなく強誘電体としての、残留分極が高いことが求められる。そのため、従来のECMカプセルとは設計指針が異なる。
図2に示すように、振動板14の厚さをtv,振動板14と誘電分極板13とのギャップの間隔をtg,誘電分極板13の厚さをte,振動板14及び誘電分極板13の半径をrとした場合、コンデンサ回路の式と梁の撓みの式を用いることにより、単位音圧あたりの出力ν(V/Pa)は、以下の式で与えられる:
ν=(Emax/4σmax)・(εegge)/εe ・・・・・(1)
ここで、εeは誘電分極板13の誘電率、εgはギャップを満たす媒体の誘電率、Emaxは絶縁破壊強度(V/m)、σmaxは最大許容音圧である。このとき、ギャップの間隔tgは、以下の値となるように設計される。
g=(2aσmax/S)・(r4/tv 3)−(εge)te ・・・・・(2)
ここで、Sは振動板の弾性率、aは形状係数である。又、このとき必要な残留分極Pr(C/m2)は、以下の値となる。
r=(Emax/2)・(εegge )/te ・・・・・(3)
厚さ1mm以内の超小型マイクロフォンカプセルの設計例を表2に示す。
Figure 0004810661
表2に示すように、誘電分極板13の厚さte=200μm,ギャップの間隔tg=267μm,振動板14の厚さtv=20μm(te+tg+tvの合計が500μm以下)で,ν=16.7V/Paと飛躍的に大きな単位音圧あたりの出力を得ることが可能である。このとき必要とされる残留分極量Prは0.059C/m2であり、強誘電セラミックスの大半がこれを大幅に超える残留分極量Prを有する。
<マイクロフォンカプセルの製造方法>
図3を用いて、本発明の第1の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の製造方法を説明する。なお、以下に述べる機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の製造方法は、一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により、実現可能であることは勿論である。
(イ)前駆体としての円板状の誘電分極板13のグリーン体(粉末成形体)を用意し、誘電分極板13を貫通する貫通孔131,132を開口する。このグリーン体を焼結して強誘電セラミックス焼結体を得るとともに,焼結時にこの誘電分極板13の両面に円板状の金属板を焼き付ける。その後、分極処理を施す。金属板(焼き付け電極)は片側だけを背面電極12として残す。又は、最初から背面電極12となる片側のみに金属板(焼き付け電極)を取り付けて分極処理を施す。なお、背面電極12となる片側の金属板(焼き付け電極)には、誘電分極板13に設けられた貫通孔131,132に連続する開口部を焼き付け前、若しくは焼き付け後に設けておく。そして、片側に背面電極(焼き付け電極)12が付いた円形の誘電分極板13を、図3(a)に示すように、金属基板31の上に乗せる。
(ロ)そして、誘電分極板13の脱分極温度からキュリー温度の間に予め設定された除電温度(例えばPZTの場合は、150℃程度〜300℃程度)まで、誘電分極板13を加熱し、図3(b)に示すように、誘電分極板13の残留分極を低下させ、表面電荷を除去する。この際、背面電極12の中央部近傍に、融点が加熱温度と同程度、若しくは、加熱温度より少し融点が低いハンダ122を融着する。後述する本発明の第4の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の感度回復方法のように、再加熱により感度回復をする場合は、高融点ハンダ等、融点が誘電分極板13のキュリー温度と同程度、若しくは、キュリー温度より高めの値のものを選ぶのが好ましい(この時点で、FET21に接続する配線を、高融点ハンダを介して、背面電極12に接続しておいても良い。)
(ハ)円板状の金属(導電体)からなる振動板14の周辺に絶縁体のスペーサリング17を接続した構造物を用意し、その上に、誘電分極板13を取り付ける。更に、図3(c)に示すように、誘電分極板13及び背面電極12を挟み込むように、円筒状の絶縁体からなるホルダ16を接続する。この際、必要に応じて絶縁性の高い気体(絶縁ガス)を、誘電分極板13と振動板14のギャップ空間に送り込む。この状態では、貫通孔131,132は、空気又は絶縁ガスの流路になっている。
(ニ)その後、誘電分極板13を常温に冷却し、図3(d)に示すように、ハンダ121,123を用いて、貫通孔131,132を塞ぎ、振動板14と誘電分極板13の間を気密に密閉する(後述する本発明の第4の実施の形態に係る機械電気変換素子の感度回復方法のように、再加熱により感度回復をする場合は、ハンダ121,123には、高融点ハンダ等、融点が誘電分極板13のキュリー温度と同程度、若しくは、キュリー温度より高めの値のものを選び、誘電分極板13を常温に冷却する前に、ハンダ121,123を用いて、貫通孔131,132を塞いだ後、常温に冷却するのが好ましい。)。更に、ハンダ122を介して、FET21などの電子部品を接続し、ホルダ16の上端に、配線用開口を有する金属製円板からなる底板15を接続し、これを図3(d)に示すように、導電性(金属製)のケース11に収納する(後述する本発明の第4の実施の形態に係る機械電気変換素子の感度回復方法のように、再加熱により感度回復をする場合は、FET21などの電子部品には、200℃程度〜300℃程度の温度に耐えられるものを選定するのが、好ましい。)。導電性(金属製)のケース11と底板15とをハンダ151,152で接続し、底板15とFET21からの接地配線も底板15の配線用開口において、ハンダ153で接続すれば、図1に示すようなマイクロフォンカプセルが完成する。
以上のように、誘電分極板13は分極方向が揃っていても、その表面は荷電粒子を吸着しているため、そのままでは、第1の実施の形態に係るマイクロフォンカプセルに使用することはできない。しかし、強誘電体はキュリー温度近傍まで加熱すると、自発分極量が大幅に低下する。そのため、背面電極12とともに強誘電体からなる誘電分極板13を、高々、キュリー温度より10℃程度低い除電温度まで加熱すると、容易に表面電荷を除去することが可能である。このように、誘電分極板13の分極量を大きく低減させ、誘電分極板13の上面を接地して表面に吸着していた荷電粒子の影響を除去する。そして、振動板14とケースに誘電分極板13を組み込み冷却する。すると、誘電分極板13の分極が加熱前の状態に戻るため、電極間に高い電界が生じる。電界の大きさは誘電分極板13の分極特性と厚さ、電極間距離によるが、kV/mm以上の電界を生じさせることが容易に可能である。
キュリー温度に近づくほど自発分極が低下するので,キュリー温度から10〜20℃低い除電温度まで加熱することが望ましいが、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のような残留分極が大きい強誘電体は、自発分極の低下がわずかでも本発明の効果を得ることができるので,脱分極温度以上であれば、もっと低い除電温度までの加熱で構わない。例えば、Pb0.3(TiO30.7−Pb0.7(ZrO30.3の残留分極は、室温では0.4C/m2であるが、100℃では0.25C/m2であり、200℃で0.2C/m2であり、250℃で0.1C/m2である。
PZTを誘電分極板13として用いて製造した第1の実施の形態に係るマイクロフォンカプセルA,Bと従来技術(市販のECMカプセル)との特性の比較を表2に示す。100〜1000Hzにおける従来技術に対する出力比の測定では、従来技術と第1の実施の形態に係るマイクロフォンカプセルA,Bとで、入力音圧、増幅アンプは同一条件としている。
Figure 0004810661
表3において、マイクロフォンカプセルA,Bは、上述した図3(b)に示す段階での製造工程では、空気中で、加熱温度は200℃としている。振動板14の厚さtv=20μmのマイクロフォンカプセルBでは、100〜1000Hzにおいて、従来技術に対する出力比32dBであり、大幅に感度が向上したマイクロフォンカプセルが得られたことが分かる。マイクロフォンカプセルBの残留分極は最大12mC/m2であり、PZTの残留分極はこれより桁違いに大きいため,もっと低い除電温度でも同様な性能を得ることが可能と考えられる。
振動板14の厚さtv=100μmのマイクロフォンカプセルAでも、100〜1000Hzにおいて、従来技術に対する出力比8dBであり、感度が向上していることが分かる。マイクロフォンカプセルAの残留分極は最大4.5mC/m2であり、この場合でも、PZTの残留分極はこれより桁違いに大きいことが分かる。
但し、マイクロフォンカプセルA,Bは、クリーンベンチやクリーンルームを使用せず、清浄空気中で製造していないため、絶縁破壊強度は低い可能性があるので、クリーンベンチやクリーンルーム中で製造した場合は、更に感度の高いマイクロフォンカプセルの製造が可能である。
表3に示したマイクロフォンカプセルBの出力特性から分かるように、振動板14や誘電分極板13の形状・寸法等を含めて、マイクロフォンカプセルを適切に設計すれば、Vオーダーの出力を得ることが可能であり、図4に示す変形例のように、図1に示した構造における増幅器(FET)21及び出力回路9を省略可能である。図4に示すマイクロフォンカプセルの構造では、背面電極12の中央に、ハンダ122で接続された出力用リード(配線)が、「振動面の変位に伴い誘導される電荷を測定する誘導電荷測定手段」に相当する。即ち、図4に示す第1の実施の形態の変形例に係るマイクロフォンカプセルの構造では、背面電極12と振動板14間の電位を直接出力することにより、振動板14の振動面の変位に伴い、誘電分極板13に誘導される電荷を測定している。出力用リード(配線)の出力端子には、外部回路(図示省略)が接続され、外部回路によりマイクロフォンに接続される通信装置や記録装置に必要な信号処理がなされる。図4に示す第1の実施の形態の変形例に係る機械電気変換素子によれば、無電源のマイクロフォンカプセルを製造することもでき、増幅器(FET)21や出力回路9が不要となるので、小型化が容易で、製造コストも低減できる。
<低コスト環境における製造>
電極間の空間に不純物が浮遊していると、それが帯電して、放電を引き起こす。これを防ぐために、クリーンベンチ、クリーンルームや真空中などの清浄雰囲気で製造を行うことが、感度特性の向上には望ましいことは上述した通りである。
しかし、一方で、誘電分極板13は浮遊している荷電粒子を吸着する特性を利用して、低コストでの製造することもできる。例えば、誘電分極板13表面がポーラスな状態であれば、図3(d)の段階で、冷却すると、誘電分極板13の分極の増大により電極間中の荷電粒子は誘電分極板13中に吸着される。これにより電極に影響を及ぼす誘電分極板13の分極量は減少するが、誘電分極板13の分極特性と厚さ、電極間距離を適切に設計すれば、それでもなお電極間に高い電界を保持することが可能である。このため、クリーンルーム設備等の清浄空気中以外の環境でも、製造可能であり、設備投資を考慮すれば、低コストでの製造も可能となる。
<耐熱性が高い>
従来のECMのエレクトレットとして使用されている高分子フィルムは、温度が上昇すると分極量が低下し元に戻ることはなく、感度が低下する。しかし、強誘電体は、キュリー温度まで温度が上昇しない限り温度上昇により自発分極量が一時的に低下しても、温度が室温に下がると自発分極量は元に戻るので、第1の実施の形態に係る機械電気変換素子の耐熱性は高く、感度の低下がない。又、温度上昇時は、強誘電体の自発分極量の低下に伴い感度は一時的に低下しているが、製造時に加熱した温度近傍まで使用可能であるため、第1の実施の形態に係る機械電気変換素子の耐熱性は高い。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態に係る機械電気変換素子で説明した通り、強誘電体は従来のECMカプセルに用いられていたエレクトレットフィルムと比較して残留分極量が大幅に大きいため、振動子(振動板)14と誘電分極板13との間に高い電界が生じる。電界の大きさは誘電分極板13の分極特性と厚さ、電極間距離によるが、kV/mm以上の電界を生じさせることも可能であり、この場合、金属電極である振動子14から放電が生じる場合もある。振動板14と誘電分極板13との間で放電が生じてしまえば、誘電分極板13の表面が再びある程度帯電する。そのため、強誘電体の優れた分極特性が充分に発揮できない。これを防ぐために、第1の実施の形態に係る機械電気変換素子では、振動板14と誘電分極板13との間のギャップ空間に絶縁ガスや絶縁流体を満たして絶縁破壊強度を増し、放電が生じにくくしていた。
本発明の第2の実施の形態に係る機械電気変換素子においては、図5に示すように、振動板14の誘電分極板13に対向する面(振動面)に、絶縁コート膜32を形成し、絶縁コーティングを行っている点が、第1の実施の形態に係る機械電気変換素子と異なる特徴である。図5に示すように、振動板14に、絶縁コート膜32を形成することにより、放電により誘電分極板13の表面に付着する電荷量を低減でき、マイクロフォンカプセルの感度を向上させることができる。
即ち、図5に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る機械電気変換素子は、平坦な振動面を有する導電体からなる振動子(振動板)14と、振動板14の振動面にコーティングした絶縁コート膜32と、絶縁コート膜32に対向した平坦な第1主面及びこの第1主面に平行に対向する第2主面に挟まれ、分極方向を揃えた誘電分極板13と、誘電分極板13の第2主面に接合された背面電極12と、振動面の変位に伴い誘電分極板13に誘導される電荷を測定する誘導電荷測定手段(21,9)とを備えるマイクロフォンカプセルである。無負荷時には、誘電分極板13の第1主面は、絶縁コート膜32に平行に対向している。
ここで、誘導電荷測定手段(21,9)は、第1の実施の形態に係る機械電気変換素子と同様に、背面電極12に接続された増幅器(FET)21と、増幅器(FET)21に接続された出力回路9を備えるが、第1の実施の形態に係る機械電気変換素子で説明したように、増幅器(FET)21や出力回路9は省略可能である。誘導電荷測定手段(21,9)の出力端子となる結合容量Cの出力端子には、外部回路(図示省略)が接続され、外部回路によりマイクロフォンに接続される通信装置や記録装置に必要な信号処理がなされる。本発明の第2の実施の形態に係る機械電気変換素子の誘導電荷測定手段(21,9)は、背面電極12と振動板14間の電位を増幅器(FET)21で増幅することにより、振動板14の振動面の変位に伴い、誘電分極板13に誘導される電荷を測定している。
「絶縁コート膜32」としては、例えば、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)などの高分子膜や石英などのガラス膜等、コーティングすると絶縁破壊強度を増すことができる材料が採用可能である。そして、振動板14、絶縁コート膜32、誘電分極板13、背面電極12及び増幅器(FET)21が導電性(金属製)のケース10に収納されている。
平面図や鳥瞰図の図示を省略しているが、図5に示すマイクロフォンカプセルの振動板14、絶縁コート膜32、誘電分極板13及び背面電極12はそれぞれ円板形状である。又、図5の断面図では図示を省略しているが、図1に示したと同様に、円板状の誘電分極板13及び背面電極12を、絶縁体からなるスペーサリング17と円筒状の絶縁体からなるホルダ16との間に挟み込むようにしても良い。この場合は、図1に示したと同様に、スペーサリング17の上端面には、円板状の振動板14の周辺部が接続されているようにしても良く、ホルダ16の下端面には、配線用開口を有する金属製円板からなる底板15が接続されるような構造でも良い。
勿論、誘電分極板13と絶縁コート膜32とのギャップ空間に、第1の実施の形態に係る機械電気変換素子と同様に絶縁ガスや絶縁流体を満たせば、更に絶縁破壊強度が増し、放電が生じにくくなる。その結果、放電により付着する誘電分極板13の表面の電荷量を低減でき、感度が向上する。絶縁ガスや絶縁流体を満たす代わりに、誘電分極板13と絶縁コート膜32とのギャップ空間を真空状態としても、感度を向上させることができる。
第2の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の誘電分極板13には、主として強誘電体セラミックス単結晶又は強誘電体セラミックス多結晶,一部の結晶性高分子等が採用可能である等、他の構成や特徴等は、第1の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
本発明の第2の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)によれば、振動板14の振動面に絶縁コート膜32をコーティングするとにより、振動板14と誘電分極板13間での放電が生じにくくなり、絶縁破壊強度を増すことができるので、強誘電体の優れた分極特性が充分に発揮できる。このため、放電により誘電分極板13の表面に付着する電荷量を低減でき、マイクロフォンカプセルの感度を向上させることができる。
図6を用いて、本発明の第2の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の製造方法を説明する。なお、以下に述べる機械電気変換素子の製造方法は、一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により、実現可能であることは勿論である。
(イ)第1の実施の形態に係る機械電気変換素子の製造方法と同様に、焼結等により、円形の誘電分極板13を、図6(a)に示すように、円形の背面電極12の上に金属学的に接合する。誘電分極板13の厚さは、上述の式(1)〜(3)を用いて説明した設計指針を考慮して決定されるが、例えば、20〜400μm程度にすれば良い。背面電極12の厚さは例えば10〜100μm程度の範囲で選定すれば良い。このままでは、誘電分極板13は分極方向が揃っていても、その表面は、図6(a)に示すように、荷電粒子を吸着しているため、第2の実施の形態に係るマイクロフォンカプセルに使用することはできない。そこで、第1の実施の形態に係る機械電気変換素子の製造方法と同様に、脱分極温度とキュリー温度の間で予め設定した除電温度(例えばPZTの場合は、200℃程度〜300℃程度)に誘電分極板13を加熱,図6(b)に示すように、誘電分極板13の残留分極を低下させる。図6(b)に示す状態では、未だ、誘電分極板13の表面には表面電荷が残留しているので、更に、図6(c)に示すように、誘電分極板13を加熱した状態で、誘電分極板13の表面の表面電荷を除去(除電)する。
(ロ)一方、厚さ10〜100μmの金属(導電体)の上に、厚さ5〜150μm程度の絶縁膜をコートした構造物を用意する。この構造物を、誘電分極板13と同一半径となるように、ワイヤソーやダイアモンドブレード等で切り出し、振動板14と、この振動板14に接合した絶縁コート膜32からなる円板を用意する(振動板14の厚さは、上述の式(1)〜(3)を用いて説明した設計指針を考慮して決定される。)。例えば、PTFE等のフッ素系樹脂を絶縁コート膜32としてコートするのであれば、エアガン塗装のように金属板に吹きつけても良く、PTFEシート等の高分子フィルムを金属板に貼り付けても良い。その他、エアレスガン塗装、流動浸漬法、静電塗装法、ディピング法、溶射法、プラズマCVD法、スパッタリング法等の種々の方法で、金属板の上に、所望の種々の絶縁膜をコートすることが可能である。そして、背面電極12が接合した誘電分極板13を加熱したまま(PZTの場合では、200℃程度〜300℃程度の高温状態のまま)、図6(d)に示すように、絶縁コート膜32の接合した振動板14と、増幅器(FET)21と共に、導電性(金属製)のケース10の内部に組み込む。
(ハ)その後、常温に冷却すれば、図6(e)に示すように、分極状態が戻る。なお、図6(d)に示す段階で、図3(c)に示すように、絶縁コート膜32の接合した振動板14の側を下にして、絶縁コート膜32の周辺に絶縁体のスペーサリング17を接続し、その上に、第2主面に背面電極12が接合された誘電分極板13を取り付け、誘電分極板13及び背面電極12を、スペーサリング17とホルダ16とで挟み込むようにし、導電性(金属製)のケース10の内部に組み込んでも良い。こうすれば、導電性(金属製)のケース10を常温に冷却した後、熱に弱い増幅器(FET)21を組み込むことが可能となる。但し、後述する本発明の第4の実施の形態に係る機械電気変換素子の感度回復方法のように、再加熱により感度回復をする場合は、FET21などの電子部品には、200℃程度〜300℃程度の温度に耐えられるものを選定するので、図6(d)に示すように、絶縁コート膜32の接合した振動板14と、増幅器(FET)21と共に、高温状態で、導電性(金属製)のケース10の内部に組み込んだ後、常温に冷却すれば良い。
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態に係る機械電気変換素子で説明した通り、振動板14と誘電分極板13との間で放電が生じてしまえば、誘電分極板13の表面が、ある程度、再帯電するので、強誘電体の優れた分極特性が充分に発揮できない。これを防ぐために、第2の実施の形態に係る機械電気変換素子では、図5に示すように、振動板14の誘電分極板13に対向する面(振動面)に、絶縁コート膜32を形成し、絶縁コーティングを行っていたが、図7に示すように、誘電分極板13側に絶縁コート膜33を形成しても良い。即ち、図7に示すように、誘電分極板13側に絶縁コート膜33を形成することにより、放電により誘電分極板13の表面に付着する電荷量を低減でき、マイクロフォンカプセルの感度を向上させることができる。
具体的に説明すれば、図7に示す通り、本発明の第3の実施の形態に係る機械電気変換素子は、平坦な振動面を有する導電体からなる振動子(振動板)14と、振動板14に対向した平坦な主面を有する絶縁コート膜33と、絶縁コート膜33に接合した平坦な第1主面及びこの第1主面に平行に対向する第2主面で挟まれ、分極方向を揃えた誘電分極板13と、誘電分極板13の第2主面に接合された背面電極12と、振動面の変位に伴い誘電分極板13に誘導される電荷を測定する誘導電荷測定手段(21,9)とを備えるマイクロフォンカプセルである。無負荷時には、絶縁コート膜33は、振動板14の振動面に平行に対向している。
ここで、誘導電荷測定手段(21,9)は、第1及び第2の実施の形態に係る機械電気変換素子と同様に、背面電極12に接続された増幅器(FET)21と、増幅器(FET)21に接続された出力回路9を備えるが、第1及び第2の実施の形態に係る機械電気変換素子で説明したように、増幅器(FET)21や出力回路9は省略可能である。誘導電荷測定手段(21,9)の出力端子となる結合容量Cの出力端子には、外部回路(図示省略)が接続され、外部回路によりマイクロフォンに接続される通信装置や記録装置に必要な信号処理がなされる。本発明の第3の実施の形態に係る機械電気変換素子の誘導電荷測定手段(21,9)は、背面電極12と振動板14間の電位を増幅器(FET)21で増幅することにより、振動板14の振動面の変位に伴い、誘電分極板13に誘導される電荷を測定している。
「絶縁コート膜33」としては、第2の実施の形態に係る機械電気変換素子で例示したようなPTFEなどの高分子膜や石英などのガラス膜等、コーティングすると絶縁破壊強度を増すことができる材料が採用可能である。そして、振動板14、絶縁コート膜33、誘電分極板13、背面電極12及び増幅器(FET)21が導電性(金属製)のケース10に収納されている。
平面図や鳥瞰図の図示を省略しているが、図7に示すマイクロフォンカプセルの振動板14、絶縁コート膜33、誘電分極板13及び背面電極12はそれぞれ円板形状である。又、図7の断面図では図示を省略しているが、図1に示したと同様に、円板状の絶縁コート膜33、誘電分極板13及び背面電極12を、絶縁体からなるスペーサリング17と円筒状の絶縁体からなるホルダ16との間に挟み込むようにしても良い。
勿論、振動板14と絶縁コート膜33とのギャップ空間に、第1及び第2の実施の形態に係る機械電気変換素子と同様に絶縁ガスや絶縁流体を満たせば、更に絶縁破壊強度が増し、放電が生じにくくなる。その結果、放電により付着する誘電分極板13の表面の電荷量を低減でき、感度が向上する。絶縁ガスや絶縁流体を満たす代わりに、振動板14と絶縁コート膜33とのギャップ空間を真空状態としても、感度を向上させることができる。
第3の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の誘電分極板13には、主として強誘電体セラミックス単結晶又は強誘電体セラミックス多結晶,一部の結晶性高分子等が採用可能である等、他の構成や特徴等は、第1及び第2の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
本発明の第3の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)によれば、誘電分極板13の第1主面に絶縁コート膜33をコーティングするとにより、振動板14と誘電分極板13間での放電が生じにくくなり、絶縁破壊強度を増すことができるので、強誘電体の優れた分極特性が充分に発揮できる。このため、放電により誘電分極板13の表面に付着する電荷量を低減でき、マイクロフォンカプセルの感度を向上させることができる。
図8を用いて、本発明の第3の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の製造方法を説明する。なお、以下に述べる機械電気変換素子の製造方法は、一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により、実現可能であることは勿論である。
(イ)第1及び第2の実施の形態に係る機械電気変換素子の製造方法と同様に、焼結等により、円形の誘電分極板13を、図8(a)に示すように、円形の背面電極12の上に金属学的に接合する。更に、第1及び第2の実施の形態に係る機械電気変換素子の製造方法と同様に、脱分極温度とキュリー温度の間で予め設定した誘電分極板13の除電温度まで誘電分極板13を加熱し、図8(b)に示すように、誘電分極板13の残留分極を低下させる。更に、図8(c)に示すように、誘電分極板13を加熱した状態で、誘電分極板13の表面の表面電荷を除去(除電)する。
(ロ)更に、除電温度に誘電分極板13を加熱した状態で、誘電分極板13の表面(第1主面)に、図8(d)に示すように、厚さ1〜20μm程度の絶縁コート膜33をコートする。コーティングは、第2の実施の形態に係る機械電気変換素子の製造方法と同様に、エアガン塗装、エアレスガン塗装、流動浸漬法、静電塗装法、ディピング法、溶射法、プラズマCVD法、スパッタリング法等の種々の方法が採用可能である。第2主面に背面電極12が接合され、第1主面に絶縁コート膜33がコートされた誘電分極板13を、加熱した温度を維持して(PZTの場合では、200℃程度〜300℃程度の高温状態のまま)、図8(e)に示すように、振動板14及び増幅器(FET)21と共に、導電性(金属製)のケース10の内部に組み込む。
(ハ)その後、常温に冷却すれば、図8(f)に示すように、分極状態が戻る。なお、図8(e)に示す段階で、図3(c)に示すように、振動板14の側を下にして、振動板14の周辺に絶縁体のスペーサリング17を接続し、その上に、第2主面に背面電極12が接合され、第1主面に絶縁コート膜33がコートされた誘電分極板13を取り付け、背面電極12、誘電分極板13及び絶縁コート膜33を、スペーサリング17とホルダ16とで挟み込むようにし、導電性(金属製)のケース10の内部に組み込んでも良い。こうすれば、導電性(金属製)のケース10を常温に冷却した後、熱に弱い増幅器(FET)21を組み込むことが可能となる。
<第3の実施の形態の変形例>
振動板14と誘電分極板13との間の放電を防ぐために、第2の実施の形態に係る機械電気変換素子では、図5に示すように、振動板14の誘電分極板13に対向する面(振動面)に、絶縁コート膜32を形成し、第3の実施の形態に係る機械電気変換素子では、図7に示すように、誘電分極板13側に絶縁コート膜33を形成した。しかし、図9に示すように、図5に示す構造と図7に示す構造とを組み合わせ、振動板14側に絶縁コート膜32を、誘電分極板13側に絶縁コート膜33を形成することにより、意図しない放電により誘電分極板13の表面に付着する電荷量を更に低減でき、マイクロフォンカプセルの感度を、より一層向上させることができる。
具体的に説明すれば、図9に示す通り、本発明の第3の実施の形態の変形例に係る機械電気変換素子は、平坦な振動面を有する導電体からなる振動子(振動板)14と、振動板14の振動面にコーティングした絶縁コート膜32と、絶縁コート膜32に対向した平坦な主面を有する絶縁コート膜33と、絶縁コート膜33に接合した平坦な第1主面及びこの第1主面に平行に対向する第2主面で挟まれ、分極方向を揃えた誘電分極板13と、誘電分極板13の第2主面に接合された背面電極12と、振動面の変位に伴い誘電分極板13に誘導される電荷を測定する誘導電荷測定手段(21,9)とを備えるマイクロフォンカプセルである。ここで、誘導電荷測定手段(21,9)は、背面電極12に接続された増幅器(FET)21と、増幅器(FET)21に接続された出力回路9を備えるが、増幅器(FET)21や出力回路9は省略可能である。「絶縁コート膜33」としては、第2及び第3の実施の形態に係る機械電気変換素子で例示したようなPTFEなどの高分子膜や石英などのガラス膜等、コーティングすると絶縁破壊強度を増すことができる材料が採用可能である。そして、振動板14、絶縁コート膜32、絶縁コート膜33、誘電分極板13、背面電極12及び増幅器(FET)21が導電性(金属製)のケース10に収納されている。
平面図や鳥瞰図の図示を省略しているが、図9に示すマイクロフォンカプセルの振動板14、絶縁コート膜32、絶縁コート膜33、誘電分極板13及び背面電極12はそれぞれ円板形状である。又、図9の断面図では図示を省略しているが、図1に示したと同様に、円板状の絶縁コート膜33、誘電分極板13及び背面電極12を、絶縁体からなるスペーサリング17と円筒状の絶縁体からなるホルダ16との間に挟み込むようにしても良い。
勿論、絶縁コート膜32と絶縁コート膜33とのギャップ空間に、第1〜第3の実施の形態に係る機械電気変換素子と同様に絶縁ガスや絶縁流体を満たせば、更に絶縁破壊強度が増し、放電が生じにくくなる。その結果、放電により付着する誘電分極板13の表面の電荷量を低減でき、感度が向上する。
第3の実施の形態の変形例に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の誘電分極板13には、主として強誘電体セラミックス単結晶又は強誘電体セラミックス多結晶,一部の結晶性高分子等が採用可能である等、他の構成や特徴等は、第1〜第3の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
本発明の第3の実施の形態の変形例に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)によれば、振動板14の振動面に絶縁コート膜32を、誘電分極板13の第1主面に絶縁コート膜33を共にーティングするとにより、振動板14と誘電分極板13間での放電が生じにくくなり、絶縁破壊強度を更に、増すことができるので、強誘電体の優れた分極特性が、より一層、充分に発揮できる。このため、放電により誘電分極板13の表面に付着する電荷量をより一層、低減でき、マイクロフォンカプセルの感度をより一層、向上させることができる。
本発明の第3の実施の形態の変形例に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の製造方法は、図6及び図8に示した、第2及び第3の実施の形態に係る機械電気変換素子の製造方法を組み合わせれば容易に実現できるので、重複した説明を省略する。
(第4の実施の形態)
既に、第1の実施の形態で説明した通り、本発明に係る機械電気変換素子の耐熱性は高い。更に、第1〜第3の実施の形態に係る機械電気変換素子で説明した通り、誘電分極板13の表面に付着した電荷量が増加すると感度は低下する。しかし、この状態で再びキュリー温度近傍に加熱すると、誘電分極板13を構成する強誘電体内部の分極が大幅に減少するため、表面電荷が発生する電界が支配的となる。すると逆向きの放電を起こして、電界が絶縁破壊強度以下となるまで表面電荷は逆側の電極に吸収されていく。この結果、再加熱することにより強誘電体表面に付着した電荷を減らすことができ、マイクロフォンカプセルの感度が再び向上する。
このとき、機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)を構成する部材の熱膨張係数差を利用して加熱時に、振動板14と誘電分極板13とのギャップが狭くなる、又は振動板14と誘電分極板13とが互いに接触するように設計できれば、より多くの表面電荷を、誘電分極板13の表面から除去することが可能となる。
本発明の第4の実施の形態に係る機械電気変換素子においては、図10に示すように、誘電分極板13の第2主面に接合された背面電極12と導電性(金属製)のケース10の底面との間に、高膨張率の樹脂層18が挟むことにより、再加熱することにより強誘電体表面に付着した電荷を減らすことができ、マイクロフォンカプセルの感度を向上させることができる。
即ち、図10に示すように、本発明の第4の実施の形態に係る機械電気変換素子は、平坦な振動面を有する導電体からなる振動子(振動板)14と、振動板14に対向した平坦な第1主面及びこの第1主面に平行に対向する第2主面に挟まれ、分極方向を揃えた誘電分極板13と、誘電分極板13の第2主面に接合された背面電極12と、背面電極12の下に挿入され、中央に配線用貫通孔を有する円柱状の樹脂層18とを備えるマイクロフォンカプセルである。無負荷時には、誘電分極板13の第1主面は、振動板14の振動面に平行に対向している。ここで、振動板14、誘電分極板13、背面電極12及び樹脂層18は、導電性(金属製)のケース10に収納されている。
例えば、PTFEの25〜250℃における線膨張率は1.7×10-4/℃であるので、厚さ500μmのPTFEを樹脂層18として250℃に加熱すると、約21μm分、振動板14と誘電分極板13とのギャップの間隔が縮まる。樹脂層18に好適な樹脂としては、線膨張率2.0×10-4/℃のシリコーン樹脂、線膨張率1.8×10-4/℃のエポキシ樹脂、1.3×10-4/℃のポリイミド樹脂、1.1×10-4/℃のポリアミド樹脂、等の樹脂が好適である。
また,樹脂層18は,形状記憶合金を使用することも可能である。例えば,NiTi合金は回復温度100℃,回復量8%を示す。また,Ti-Zr-Ni合金, Zr-Ni-Co合金は,回復温度を100℃以上にすることが可能である。これらの形状記憶合金は,動作温度は低いものの大きな変形を得ることが可能である。
第1〜第3の実施の形態に係る機械電気変換素子で説明したように、第1〜第3の実施の形態に係る機械電気変換素子に用いていた増幅器(FET)21や出力回路9は、第4の実施の形態に係る機械電気変換素子では省略している。図10に示す構造では、背面電極12の中央に、高融点ハンダ等で接続された出力用リード(配線)が、「振動面の変位に伴い誘導される電荷を測定する誘導電荷測定手段」に相当する。図10に示す第4の実施の形態に係るマイクロフォンカプセルの構造では、背面電極12と振動板14間の電位を直接出力することにより、振動板14の振動面の変位に伴い、誘電分極板13に誘導される電荷を測定している。出力用リード(配線)の出力端子には、外部回路(図示省略)が接続され、外部回路によりマイクロフォンに接続される通信装置や記録装置に必要な信号処理がなされる。しかしながら、第1〜第3の実施の形態に係る機械電気変換素子と同様に、増幅器(FET)21及び出力回路9を用いて、誘導電荷測定手段を構成しても構わない。
平面図や鳥瞰図の図示を省略しているが、図10に示すマイクロフォンカプセルの振動板14、誘電分極板13及び背面電極12はそれぞれ円板形状である。
勿論、誘電分極板13と振動板14とのギャップ空間に、第1〜第3の実施の形態に係る機械電気変換素子と同様に絶縁ガスや絶縁流体を満たせば、更に絶縁破壊強度が増し、放電が生じにくくなる。その結果、放電により付着する誘電分極板13の表面の電荷量を低減でき、感度が向上する。更に、振動板14と誘電分極板13との間の放電を防ぐために、第2の実施の形態に係る機械電気変換素子のように、振動板14の誘電分極板13に対向する面(振動面)に、絶縁コート膜32を形成しても良く、第3の実施の形態に係る機械電気変換素子のように、誘電分極板13側に絶縁コート膜33を形成しても良い。更に、図9に示したと同様に、第2及び第3の実施の形態に係る機械電気変換素子の構造を互いに組み合わせ、振動板14側に絶縁コート膜32を、誘電分極板13側に絶縁コート膜33を形成すれば、意図しない放電により誘電分極板13の表面に付着する電荷量を更に低減でき、マイクロフォンカプセルの感度を、より一層向上させることができる。
第4の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の誘電分極板13には、主として強誘電体セラミックス単結晶又は強誘電体セラミックス多結晶,一部の結晶性高分子等が採用可能である等、他の構成や特徴等は、第1〜第3の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
図11を用いて、本発明の第4の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の感度回復方法を説明する。
(イ)第1〜第3の実施の形態に係る機械電気変換素子の製造方法と同様に、焼結等により、厚さ20〜400μmの円形の誘電分極板13を厚さ0〜100μmで円形の背面電極12の上に金属学的に接合する。更に、厚さ10〜100μmの金属(導電体)からなる振動板14を、誘電分極板13と同一半径となるように、厚さ0.1〜5mmの樹脂層18を、誘電分極板13の半径よりも少し小さめとなるように切り出す。樹脂層18の中央には、配線用貫通孔を設ける。背面電極12の中央に、高融点ハンダ等で出力用リード(配線)を接続する。高融点ハンダの融点は、誘電分極板13のキュリー温度より高めの値のものを選ぶ。そして、樹脂層18の中央の配線用貫通孔を介して、出力用リード(配線)を、図10のように、導電性(金属製)のケース10の底面中央の穴に導くようにして、振動板14、誘電分極板13、背面電極12及び樹脂層18を導電性(金属製)のケース10に収納する。この際、第1〜第3の実施の形態に係る機械電気変換素子の製造方法と同様に、脱分極温度とキュリー温度の間で予め設定した誘電分極板13の除電温度まで誘電分極板13を加熱し、誘電分極板13の表面の表面電荷を除去(除電)して、誘電分極板13を加熱したまま、導電性(金属製)のケース10の内部に組み込み、図10に示すマイクロフォンカプセルが完成する。
(ロ)さて、完成したマイクロフォンカプセルの使用中、過大な音圧により、振動板14と誘電分極板13とのギャップ中で放電、又は振動板14と誘電分極板13とが接触する等の事態が生じて、誘電分極板13の表面が、図11(a)に示すように、帯電し、感度が低下したとする。第4の実施の形態に係るマイクロフォンカプセルの感度回復方法では、この場合、マイクロフォンカプセルを、予め設定した誘電分極板13の除電温度に再加熱する。マイクロフォンカプセルを再加熱すると、誘電分極板13の残留分極が低下すると同時に、図11(b)に示すように、樹脂層18が膨張し、振動板14と誘電分極板13とのギャップの間隔が減少し、振動板14と誘電分極板13とのギャップ中で放電し、誘電分極板13の表面の電荷が減少する。
(ハ)その後、常温に冷却すれば、図11(c)に示すように、樹脂層18が収縮し、振動板14と誘電分極板13とのギャップの間隔が増大し、分極状態が戻る。
このようにして、第4の実施の形態に係るマイクロフォンカプセルの感度回復方法によれば、一度何らかの原因で低下したマイクロフォンカプセルの感度を復活させることができる。
(第5の実施の形態)
第1〜第4の実施の形態においては、マイクロフォンカプセルについて説明したが、本発明の機械電気変換素子は、マイクロフォンカプセルに限定されるものではなく、機械的振動を検出する種々のセンサとしても適用可能である。本発明の第5の実施の形態においては、そのような種々の機械的振動を検出するセンサの一例として、アコースティック・エミッション(音響の放出)を検出するアコースティック・エミッション(AE)センサについて説明する。AEとは、固体が変形或いは破壊するときに発生する音を弾性波として放出する現象のことであり、AEの測定対象が平面で導電性を有していれば、振動板無しで、この弾性波を本発明の第5の実施の形態に係る機械電気変換素子によって検出し、非破壊的に評価することが可能である。
即ち、図12に示すように、本発明の第5の実施の形態に係る機械電気変換素子は、平坦な振動面を有する導電体からなる振動子(測定対象物)61と、測定対象物61に対向した平坦な第1主面及びこの第1主面に平行に対向する第2主面に挟まれ、分極方向を揃えた誘電分極板13と、誘電分極板13の第2主面に接合された背面電極12と、背面電極12の上に配置入され、中央に配線用貫通孔を有する円柱状の樹脂層46と、測定対象物61に下部端面(開口端部)を接し、且つ誘電分極板13、背面電極12及び樹脂層46とを収納する導電性(金属製)のケース45を備えるAEセンサである。無負荷時には、誘電分極板13の第1主面は、測定対象物61の振動面に平行に対向している。図12に示すAEセンサの構造では、背面電極12の中央に接続された出力用リード(配線)が、測定対象物61の「振動面の変位に伴い誘導される電荷を測定する誘導電荷測定手段」に相当する。出力用リード(配線)の出力端子には、外部回路(図示省略)が接続され、外部回路によりAEセンサに必要な信号処理がなされる。図12に示す第5の実施の形態に係るAEセンサの構造では、背面電極12と測定対象物61間の電位を直接出力することにより、測定対象物61の振動面の変位に伴い、誘電分極板13に誘導される電荷を測定している。
導電性(金属製)のケース45には、AEセンサの組み立て時に開口され、AEセンサとしての使用時(動作時)には封止されている穴451が設けられている。図12に示す第5の実施の形態に係るAEセンサは、組み立て時に穴451を開口した状態で加熱すると、背面電極12の上面の樹脂層46の熱膨張により誘電分極板13が測定対象物61に接触し、表面電荷が除電される。その後冷却した後に穴451を塞ぐ。しかし、高真空中での計測の場合は、真空雰囲気中に設置した後,加熱するだけで穴451を塞ぐ必要はない。
第5の実施の形態に係るAEセンサによれば、感度を落とさずに誘電分極板13と測定対象物61との間を絶縁できるので,腐食の心配もない。特に,真空中での計測では、真空の絶縁破壊強度が高いために優れた感度を得ることが可能である。
第1〜第3の実施の形態に係る機械電気変換素子に用いていた増幅器(FET)21や出力回路9は、第5の実施の形態に係る機械電気変換素子では省略しているが、第1〜第3の実施の形態に係る機械電気変換素子と同様に、増幅器(FET)21及び出力回路9を用いて「誘導電荷測定手段」を構成しても構わない。
平面図や鳥瞰図の図示を省略しているが、図12に示すAEセンサの誘電分極板13及び背面電極12はそれぞれ円板形状である。
AEは破壊に至るはるか以前から、小さな変形や微小クラックの発生・進展に伴って発生するので、図12に示した状態で、測定対象物61に負荷をかけ、それによるAEの発生挙動を捉えることで、測定対象物61の欠陥や破壊を発見・予知を、リアルタイムで観測できる。したがって、第5の実施の形態に係るAEセンサは、種々の製品の検査や試験、構造物の安全監視、新材料開発などに応用できる。
勿論、誘電分極板13と測定対象物61とのギャップ空間に、第1〜第3の実施の形態に係る機械電気変換素子と同様に絶縁ガスや絶縁流体を満たせば、更に絶縁破壊強度が増し、放電が生じにくくなる。その結果、放電により付着する誘電分極板13の表面の電荷量を低減でき、感度が向上する。更に、測定対象物61と誘電分極板13との間の放電を防ぐために、第3の実施の形態に係る機械電気変換素子のように、誘電分極板13側に絶縁コート膜33を形成しても良い。
第5の実施の形態に係る機械電気変換素子(AEセンサ)の誘電分極板13には、主として強誘電体セラミックス単結晶又は強誘電体セラミックス多結晶,一部の結晶性高分子等が採用可能である等、他の構成や特徴等は、第1〜第4の実施の形態に係る機械電気変換素子と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
(第6の実施の形態)
第5の実施の形態においてAEセンサについて説明したように、本発明の機械電気変換素子は、第1〜第4の実施の形態において説明したマイクロフォンカプセルに限定されるものではなく、機械的振動を検出する種々のセンサとしても適用可能である。本発明の第6の実施の形態においては、そのような種々の機械的振動を検出するセンサの一例として、加速度センサについて説明する。
即ち、図13に示すように、本発明の第6の実施の形態に係る機械電気変換素子は、導電性(金属製)のケース45と、ケース45の中央部に重りとして懸架され、両面に平坦な振動面を有する導電体からなる振動子(振動板)14と、重りとしての振動板14の左面に対向し、平坦な第1主面及びこの第1主面に平行に対向する第2主面に挟まれ、分極方向を揃えた第1誘電分極板13aと、第1誘電分極板13aの第2主面に接合された第1背面電極12aと、第1背面電極12aの左に配置入された円柱状の第1樹脂層41と、重りとしての振動板14の右面に対向し、平坦な第1主面及びこの第1主面に平行に対向する第2主面に挟まれ、分極方向を揃えた第2誘電分極板13bと、第2誘電分極板13bの第2主面に接合された第2背面電極12bと、第2背面電極12bの右に配置入された円柱状の第2樹脂層42とを備える加速度センサである。即ち、導電性(金属製)のケース45の内部に、振動板14、第1誘電分極板13a,第2誘電分極板13b、第1背面電極12a,第2背面電極12b、第1樹脂層41,第2樹脂層42とが収納されている。無負荷時には、第1誘電分極板13aの第1主面は、振動板14の左面(振動面)に平行に対向し、第2誘電分極板13bの第1主面は、振動板14の右面(振動面)に平行に対向している。
図13に示すように、第1誘電分極板13aと第2誘電分極板13bとは同じ方向に分極しているが,振動板14から見ると第1誘電分極板13aと第2誘電分極板13bの分極方向は逆向きであるので,振動板14の左右の振動に対して同一の極性を出力する。例えば,振動板14が左方向へ変位すれば振動板14が誘電分極板13aに近づくため背面電極12aから正の出力が得られる。このとき振動板14は,誘電分極板13bから遠ざかるが,振動板14から見ると誘電分極板13bの分極方向は誘電分極板13aと逆方向であるため,背面電極13bからも正の出力が得られることになる。このように第1誘電分極板13aと第2誘電分極板13bは,同一の極性を出力するので、第1誘電分極板13a及び第2誘電分極板13bからの出力は、それぞれ、第1背面電極12a及び第2背面電極12bを介したのち、集合され、同一の増幅器51に入力される。図13に示す第6の実施の形態に係る機械電気変換素子では、増幅器51が、「振動面の変位に伴い誘導される電荷を測定する誘導電荷測定手段」として機能する。増幅器51の出力端子には、外部回路(図示省略)が接続され、外部回路により加速度センサに必要な信号処理がなされる。図13に示す第6の実施の形態に係る加速度センサの構造では、増幅器51で第1背面電極12aと振動板14間及び第2背面電極12bと振動板14間の電位を重畳して増幅することにより、振動板14の振動面の変位に伴い、第1誘電分極板13aと第2誘電分極板13bに誘導される電荷を測定している。
平面図や鳥瞰図の図示を省略しているが、図13に示す加速度センサの振動板14、第1誘電分極板13a,第2誘電分極板13b、第1背面電極12a及び第2背面電極12bはそれぞれ円板形状である。
勿論、第1誘電分極板13aと振動板14とのギャップ空間及び第2誘電分極板13bと振動板14とのギャップ空間に、第1〜第3の実施の形態に係る機械電気変換素子と同様に絶縁ガスや絶縁流体を満たせば、更に絶縁破壊強度が増し、放電が生じにくくなる。その結果、放電により付着する第1誘電分極板13a,第2誘電分極板13bの表面の電荷量を低減でき、感度が向左する。更に、振動板14と第1誘電分極板13a,第2誘電分極板13bとの間の放電を防ぐために、第2の実施の形態に係る機械電気変換素子のように、振動板14の左右の両面に絶縁コート膜32を形成しても良く、或いは、第3の実施の形態に係る機械電気変換素子のように、第1誘電分極板13a,第2誘電分極板13b側に絶縁コート膜33をそれぞれ形成しても良い。
第6の実施の形態に係る機械電気変換素子(加速度センサ)の第1誘電分極板13a,第2誘電分極板13bには、主として強誘電体セラミックス単結晶又は強誘電体セラミックス多結晶,一部の結晶性高分子等が採用可能である等、他の構成や特徴等は、第1〜第5の実施の形態に係る機械電気変換素子と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
従来の加速度センサは圧電素子に負荷を与えるため、素子が損傷する恐れがあるが、第6の実施の形態に係る機械電気変換素子(加速度センサ)によれば、加速度の発生により振動するのは中央部にある振動板14のみであり、第1誘電分極板13a及び第2誘電分極板13bは、負荷をほとんど受けないため耐久性が向上する。
<第6の実施の形態の変形例>
図14に示すように、本発明の第6の実施の形態の変形例に係る機械電気変換素子は、導電性(金属製)のケース45と、ケース45の中央部に重りとして懸架され、両面に平坦な振動面を有する導電体からなる振動子(振動板)14と、重りとしての振動板14の左面に対向し、平坦な第1主面及びこの第1主面に平行に対向する第2主面に挟まれ、分極方向を揃えた第1誘電分極板13aと、第1誘電分極板13aの第2主面に接合された第1背面電極12aと、第1背面電極12aの左に配置入された円柱状の第1樹脂層41と、重りとしての振動板14の右面に対向し、平坦な第1主面及びこの第1主面に平行に対向する第2主面に挟まれ、分極方向を揃えた第2誘電分極板13bと、第2誘電分極板13bの第2主面に接合された第2背面電極12bと、第2背面電極12bの右に配置入された円柱状の第2樹脂層42とを備える加速度センサである点では、図13に示した第5の実施の形態の変形例に係る機械電気変換素子と同様である。
しかし、図14に示すように、第1誘電分極板13aと第2誘電分極板13bとは反対の極性に分極対しているので、第1誘電分極板13a及び第2誘電分極板13bからの出力は、それぞれ、第1背面電極12a及び第2背面電極12bを介して差動増幅器52の非反転入力端子(+端子)及び反転入力端子(−端子)にそれぞれに入力され、差動増幅される点が、図13に示した第5の実施の形態の変形例に係る機械電気変換素子と異なる特徴である。図14に示す第6の実施の形態に係る機械電気変換素子では、差動増幅器52が、「振動面の変位に伴い誘導される電荷を測定する誘導電荷測定手段」として機能する。差動増幅器52の出力端子には、外部回路(図示省略)が接続され、外部回路により加速度センサに必要な信号処理がなされる。図14に示す第6の実施の形態の変形例に係る加速度センサの構造では、差動増幅器52で第1背面電極12aと振動板14間及び第2背面電極12bと振動板14間の電位を差動増幅することにより、振動板14の振動面の変位に伴い、第1誘電分極板13aと第2誘電分極板13bに誘導される電荷を測定している。
他は、図13に示した第6の実施の形態の変形例に係る機械電気変換素子と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第6の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な態様や代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、第1〜第6の実施の形態においては、室温で分極量が最大となる誘電分極板13を使用した場合で例示的に説明したが、第1の実施の形態において説明したように、ペロブスカイト型化合物のような3元系若しくは4元系以上の化合物からなる混晶の強誘電体は、その組成を制御することにより、分極量が最大となる温度を変化させることが可能である。したがって、第1〜第6の実施の形態で説明した機械電気変換素子とは逆に、加熱・冷却により荷電粒子を吸着させるようにしても良い。例えば、200℃近辺で分極量が最大となるように設計した強誘電体を背面電極12に取り付けてから200℃に加熱して荷電粒子を吸着させ、機械電気変換素子を組み上げて室温まで冷却すれば、誘電分極板13の分極は消失する。したがって、室温で、誘電分極板13の表面の荷電粒子が除電された状態で、振動子の振動による電極間の帯電状態を測定するようにすることも可能である。
特に、キュリー温度の高い強誘電体を用いて、キュリー温度近傍まで加熱して製造すれば、キュリー温度近傍までの高温でも使用可能であるので、耐熱性の高い機械電気変換素子を提供できる。
このように、本発明はここでは記載していない様々な態様や実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
本発明の第1の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の概略構成を説明する模式的な断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る機械電気変換素子の設計パラメータを説明する模式的な断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の製造方法を説明する模式的な工程断面図である。 本発明の第1の実施の形態の変形例に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の概略構成を説明する模式的な断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の概略構成を説明する模式的な断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の製造方法を説明する模式的な工程断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の概略構成を説明する模式的な断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の製造方法を説明する模式的な工程断面図である。 本発明の第3の実施の形態の変形例に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の概略構成を説明する模式的な断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の概略構成を説明する模式的な断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る機械電気変換素子(マイクロフォンカプセル)の感度回復方法を説明する模式的な工程断面図である。 本発明の第5の実施の形態に係る機械電気変換素子(AEセンサ)の概略構成を説明する模式的な断面図である。 本発明の第6の実施の形態に係る機械電気変換素子(加速度センサ)の概略構成を説明する模式的な断面図である。 本発明の第6の実施の形態の変形例に係る機械電気変換素子(加速度センサ)の概略構成を説明する模式的な断面図である。
符号の説明
10,11,45…ケース
12…背面電極
12a…第1背面電極
12b…第2背面電極
13…誘電分極板
13a…第1誘電分極板
13b…第2誘電分極板
14…振動子(振動板)
15…底板
16…ホルダ
17…スペーサリング
18…樹脂層
21…増幅器(FET)
31…金属基板
32…絶縁コート膜
33…絶縁コート膜
41…第1樹脂層
42…第2樹脂層
46…樹脂層
51…増幅器
52…差動増幅器
61…測定対象物
121,122,123,151,152,153…ハンダ
131,132…貫通孔
451…穴

Claims (10)

  1. 平坦な振動面を有する導電体からなる振動子と、
    前記振動面に対向した平坦な第1主面及び該第1主面に平行に対向する第2主面で定義される強誘電体からなる誘電分極板と、
    前記第2主面に接合された背面電極と、
    前記振動子と前記背面電極との間の電位を測定し、該測定された前記電位を換算して、前記振動面の変位に伴い、前記誘電分極板に誘導される電荷を導出する誘導電荷測定手段
    とを備えることを特徴とする機械電気変換素子。
  2. 前記強誘電体は、強誘電体の単結晶若しくは多結晶、又は結晶性高分子のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の機械電気変換素子。
  3. 前記強誘電体セラミックスは、ペロブスカイト型化合物、タングステンブロンズ構造化合物、ビスマス系層状構造化合物、ウルツ鉱構造結晶、酸化亜鉛、水晶、ロッシェル塩、のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の機械電気変換素子。
  4. 前記振動面に絶縁コート膜を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の機械電気変換素子。
  5. 前記第1主面に絶縁コート膜を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の機械電気変換素子。
  6. 前記振動子、前記誘電分極板及び前記背面電極が導電性のケースに収納されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の機械電気変換素子。
  7. 前記誘電分極板及び前記背面電極が導電性のケースに収納され、
    前記振動子は、アコースティック・エミッションを行う測定対象物であり、
    前記ケースの開口端部が前記測定対象物に接していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の機械電気変換素子。
  8. 前記背面電極と前記ケースの間に樹脂層が挿入されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の機械電気変換素子。
  9. 前記振動子の対向する2面の中心面を鏡像面とし、
    該鏡像面に関し、前記誘電分極板と鏡像関係になる第2誘電分極板と、
    該鏡像面に関し、前記背面電極と鏡像関係になる第2背面電極
    とを更に備え、前記誘導電荷測定手段は、前記誘電分極板と前記第2誘電分極板に誘導される電荷を測定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の機械電気変換素子。
  10. 平坦な第1主面及び該第1主面に平行に対向する第2主面で定義される強誘電体からなる誘電分極板の前記第2主面に背面電極を接合する工程と、
    前記誘電分極板を、脱分極温度からキュリー温度の間の除電温度まで加熱し、前記誘電分極板の表面に帯電していた電荷を除去する工程と、
    平坦な振動面を有する導電体からなる振動子を用意し、前記振動面に前記第1主面が対向するようにして、前記誘電分極板及び前記背面電極を、前記除電温度において、前記振動子と共に導電性のケースに収納し、前記振動子と前記誘電分極板間の空間を密閉する工程と、
    前記振動子と前記誘電分極板間の空間を密閉後、前記誘電分極板を室温に戻す工程
    とを含むことを特徴とする機械電気変換素子の製造方法。
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