JP2008064479A - 振動体及びそれを用いた振動ジャイロ - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化に適し、高感度、高精度かつ安定性に優れた振動体及びそれを用いた振動ジャイロを提供することである。
【解決手段】本発明の振動体は、基部と、この基部から延出し、圧電体で構成された少なくとも2本の腕部と、これらの腕部に設けられ腕部を屈曲振動させるための駆動用電極を備えた駆動部と、腕部に設けられ駆動用電極によって励振される屈曲振動と直交した振動を検出する検出用電極を備えた検出部と、を有する振動体において、検出部は、駆動部における圧電体と材質が異なると共に、検出用電極に挟持される圧電振動素子を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は車載用カーナビゲーションやロボット、航空機、自動車などの姿勢制御あるいはカメラの手ぶれ補正などのための回転角速度を検出するための振動体からなる振動ジャイロに関する。
振動ジャイロは、感度や分解能は光の干渉を利用したリングレートジャイロや光ファイバジャイロに比べて劣るものの、中精度の性能を持ち、構造が簡素で、部品点数を少なく、安価である。振動ジャイロは、自動車のナビゲーション用の回転角速度センサやハンディカメラ、スチルカメラ、デジタルカメラの手振れ検出などの民生用として市場を拡大している。
近年の小型のHDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、携帯電話、さらに移動体通信機器等の普及によって、それらに用いられる振動ジャイロにも更なる小型化、高精度化の要求が高まっている。
一般的に、単一振動をしている質点が回転するときに発生するコリオリ力Fcは、次のような式で示される。
Fc=2mvΩ
なお、mは振動ジャイロの質量、vは振動ジャイロの振動速度、Ωは振動ジャイロのZ軸回りの角速度である。
そして、前記質量m、振動速度vが既知であれば、角速度Ωを導出することが可能となる。振動ジャイロでは、コリオリ力による振動体の変位を、検出用圧電振動素子に発生する電荷で検出している。
図6は、従来の2脚音叉型の振動体を示し、振動ジャイロの構造を以下に説明する(例えば、特許文献1参照。)。振動ジャイロは、振動体101を含む。振動体101は、直方体状に基部102、基部102から同じ方向に延びる2本の腕部103a、103bとで、音叉型に形成されている。振動体101を水晶、ランガサイト系圧電体などの圧電単結晶材料で形成する。振動体101は機械加工やウェットエッチングプロセスによって音叉型に形成される。
このような振動ジャイロでは、電極104a、104bは、腕部103a、103bの主面、側面の一部に形成、または腕部103a、103bの主面、側面の全体に形成される。振動体101の腕部103a、103bの主面および側面に電極が形成する場合、振動体側面に電極を形成するとともに電極に対向する電極が形成されている。電極はCr、Auなどの金属膜をスパッタリング法や真空蒸着やCVD法などに形成する。
この振動ジャイロでは、腕部103a、103bに形成された電極104a、104bに駆動信号を入力することにより、腕部103a、103bが開閉するようにY軸方向へ屈曲振動する。この状態で、腕部103a、103bと平行なZ軸を中心として角速度Ωが加わると、コリオリ力Fcによって腕部103a、103bの振動方向が変化しX軸方向へ屈曲振動する。
この腕部103a、103bの振動方向の変化に対応した信号が、検出用電極から出力される。したがって、コリオリ力Fcに対応した腕部103a、103bの振動の変化に
ともない、腕部103a、103bに形成された電極から出力される信号を測定することにより、角速度Ωに対応した信号を得ることができる。
特開平11−177364号(第7頁、図2)
上記従来の振動体101は水晶、ランガサイト系の圧電単結晶材料などで形成され、電極104a、104bは腕部103a、103bの主面、側面の一部に形成、または腕部103a、103bの主面、側面の全体に形成される。しかしこのような構造では駆動振動と角速度の検出を同一の圧電単結晶材料で行っているため振動体およびそれを用いた振動ジャイロの特性を考慮した材料設計を行うことが困難である。
上記従来の振動体101を形成している水晶以外のランガサイト系圧電体などの圧電単結晶材料はウェットエッチングなどによる化学的加工が困難であり、機械加工が行われている。しかし機械加工は化学的加工に比べると加工精度が悪く、振動体に与えるストレスの影響が大きいなどから適していない。
上記従来の振動体101を水晶で形成する場合、振動体にZ軸方向の角速度が与えられたときに腕部に配置されるそれぞれの検出用電極から発生する電荷量が圧電単結晶材料の例えば、LiTaO3やLiNbO3や圧電セラミックスの例えばPbTiO3、PbZrOの2成分やPbTiO3、PbZrO、Pb(Mg0.5Nb0.5)TiOの3成分で構成されるPZT系の材料などに比べると小さい。
検出電極から発生する電荷量が小さいとノイズが大きくなりセンサの検出精度が悪くなる。検出精度を向上するために大規模なフィルタ、増幅器などの回路構成が必要になる。よって回路構成部が大きくなり小型化に適していない。
本発明の目的は、小型化に適し、高感度、高精度かつ安定性に優れた振動体及びそれを用いた振動ジャイロを提供することである。
上記課題を解決するために本発明の振動体は、基部と、この基部から延出し、圧電体で構成された少なくとも2本の腕部と、これらの腕部に設けられ腕部を屈曲振動させるための駆動用電極を備えた駆動部と、腕部に設けられ駆動用電極によって励振される屈曲振動と直交した振動を検出する検出用電極を備えた検出部と、を有する振動体において、検出部は駆動部における圧電体と材質が異なると共に、検出用電極に挟持される圧電振動素子を有することを特徴とするものである。
この構成により、駆動部における圧電体と検出部の圧電振動素子とを異なる材料に選定することができる。駆動部における圧電体として適した振動安定性、温度安定性を持つ材料が選定することができ、検出部の圧電振動素子として適した高い電気機械結合係数kを持つ材料を任意に選定でき、高感度、高精度でかつ安定性に優れた振動体を提供できる。
また、腕部のそれぞれに配置される圧電振動素子は同形状、同組成であることを特徴とするものである。
この構成により、振動体にZ軸方向の角速度が与えられたときに腕部に配置されるそれぞれの検出部の圧電振動素子から発生する電荷量の絶対値をほぼ等しく検出することができる。その結果、高精度でかつ安定性の優れた振動体を提供することができる。
また、腕部のそれぞれに配置される圧電振動素子は配向度の差が10%以内であることを特徴とするものである。
この構成により、振動体にZ軸方向の角速度が与えられたときに腕部に配置されるそれぞれの検出部の圧電振動素子から発生する電荷量の絶対値の差が小さくなる。その結果、高精度でかつ安定性の優れた振動体を提供することができる。
また、基部および腕部は、水晶片を用いて構成し腕部の主面上および側面上に設けられた駆動用電極によって屈曲振動されることを特徴とするものである。
この構成により、高い機械的品質係数Q、良好な共振周波数の温度特性TC−frが得られ、高精度で温度安定性が優れた振動体を提供することができる。
また、圧電振動素子は圧電セラミックスまたは圧電単結晶で構成されることを特徴とするものである。
この構成により、電気機械結合係数kの大きな材料を用いることができ、振動体にZ軸方向の角速度が与えられたときに腕部に配置されるそれぞれの検出用圧電振動素子から発生する電荷量が水晶より大きくなり、小型化に適した振動体を提供することができる。
上記課題を解決するために本発明の振動ジャイロは、上記した振動体を用いて外部から印加された角速度を検出することを特徴とするものである。
この構成により、駆動部における圧電体と検出部の圧電振動素子とを異なる材料に選定することができ、高感度、高精度でかつ安定性に優れた振動体及びそれを用いた振動ジャイロを提供することができる。また、検出部の圧電振動素子に電気機械結合係数kの大きな材料を用いることから、振動体にZ軸方向の角速度が与えられたときに腕部に配置されるそれぞれの検出部の圧電振動素子から発生する電荷量が駆動部における圧電体より大きくなり、回路への負担を低減し小型化された振動ジャイロを提供することができる。
本発明によれば、駆動部における圧電体と検出部の圧電振動素子とを異なる材料に選定することができ、駆動部の圧電体として適した振動安定性、温度安定性を持つ材料、検出部の圧電振動素子として適した高い電気機械結合係数kを持つ材料を任意に選定できる。その結果、高感度、高精度でかつ安定性に優れた振動体及びそれを用いた振動ジャイロを提供することができる。
また、検出部の圧電振動素子に電気機械結合係数kの大きな材料を用いることから、振動体にZ軸方向の角速度が与えられたときに腕部に配置されるそれぞれの検出部の圧電振動素子から発生する電荷量が駆動部の圧電体より大きくなる。その結果、出力が大きくノイズが小さくなること等で回路への負担を低減し小型化された振動ジャイロを提供することができる。
図1は本発明の振動体の一例を示す斜視図である。振動体1は、直方体状の基部2を含む。基部2から延出し、互いに間隔を隔てて2本の腕部3a,3bが構成され、音叉型の形状をなしている。基部2と腕部3a,3bは圧電体である水晶片により形成されている。図2は図1に示す本発明の振動体1の断面図である。図2(a)は腕部3aの断面図を示し、図2(b)は腕部3bの断面図を示す。
腕部3a,3bの主面上及び側面上の駆動部17a、17bに、それぞれ駆動用電極4a、4bを配置する。駆動用電極4a、4bは電気的に分離されており、互いに異なる電圧を与えることによって、水晶片の内部に電界を生じさせることができる。なお水晶片は圧電単結晶材料であるので、内部に生じる電界の方向に応じて伸縮し、この伸縮運動によって腕部3a,3bを屈曲振動させることが可能である。このときに励振される腕部3a,3bを開閉させる屈曲振動の方向がY軸方向である。
腕部3a,3bの主面上の検出部18a、18bに、それぞれ検出用下部電極5a、5bと検出用下部電極5a、5bと圧電振動素子で構成された検出用圧電振動素子6a、6bと検出用上部電極7a、7bを配置する。検出用下部電極5a、5b上にそれぞれ腕部を構成する圧電体である水晶以外の圧電セラミックスまたは圧電単結晶で構成された検出用圧電振動素子6a、6bを配置する。
検出用圧電振動素子6a、6b上にそれぞれ検出用上部電極7a、7bを配置する。したがって、検出用圧電振動素子6a、6bは、検出用下部電極5a、5bと検出用上部電極7a、7bとで挟持された構成となる。
腕部3a,3bと平行なZ軸を中心として角速度Ωが加わると、コリオリ力Fcによって腕部3a,3bの振動方向が変化しX軸方向へ屈曲振動する。この腕部3a,3bの振動方向の変化に対応した信号が、検出用下部電極5a、5bと検出用上部電極7a、7bから出力される。
したがって、コリオリ力Fcに対応した腕部3a,3bの振動の変化にともない、腕部3a,3bに配置された検出用下部電極5a、5bと検出用上部電極7a、7bから出力される信号を測定することにより、角速度Ωに対応した信号を得ることができる。
本発明の振動体1の構成により、腕部3a,3bを構成し駆動部17a、17bにおける圧電体(以下、駆動用圧電体と称する)と検出部18a、18bの検出用圧電振動素子6a、6bとを異なる材料に選定することができる。その結果、駆動用圧電体として適した振動安定性、温度安定性を持つ材料(例えば水晶片)を任意に選定できる。そして、検出用圧電振動素子6a、6bとして適した高い電気機械結合係数kを持つ材料(水晶片とは異なる材料)を任意に選定できる。
本発明のそれぞれの検出用圧電振動素子6a、6bは形状、組成が異なると腕部3a,3bと平行なZ軸を中心として角速度Ωが加わったときの検出用圧電振動素子6a、6bから発生する電荷量の絶対値が異なる。その結果、精度かつ安定性に悪影響を及ぼす。よって同形状、同組成の圧電セラミックス、圧電単結晶で構成することが望ましい。
検出用圧電振動素子6a、6bで用いられる圧電セラミックス、圧電単結晶の組成は例えば、ペロブスカイト構造のPbTiO3、PbZrOで構成されるPZTやBaTiO、ビスマス層状構造のBiTi12、CaBiTi15、SrBiTi18、などが適している。
ビスマス層状構造は化学式(Bi2+(Am−13m+12−で表される。ただし、化学式中のAはAサイトに入る1、2、3価のイオンを示し、Bi、Ba、Sr、Ca、などの希土類元素およびこれらのイオンの組み合わせを示し、化学式中のBはBサイトに入る4、5、6価のイオンを示し、Ti、Nb、Ta、W、Fe、Co等の金属元素およびこれらのイオンの組み合わせを示しm=1から8の整数である。
これらの化合物は、大部分が強誘電体であり、種々の特徴を有するため、圧電応用上幅広く利用されている化合物である。
ビスマス層状構造は、比較的粗な充填をした(Bi2+層と、密な充填をした(m−1)個の仮想ペロブスカイト格子(ABO)からなる擬ペロブスカイト層[(Am−13m+12−]が交互に積み重なった結晶構造をもち、mは酸素八面体の積み重なり数を表わし、全体でビスマス層状構造強誘電体の単位格子を表す。
これらの結晶構造の大きな特長は、a軸の格子定数とb軸の格子定数はほぼ同じであるがc軸の格子定数とa軸、b軸の格子定数の比は非常に大きく結晶異方性を有している。
ビスマス層状構造強誘電体は結晶異方性が大きく斜方晶でa軸方向に大きな自発分極をもち大きな圧電特性を示す。一方、c軸方向の自発分極は極めて小さいという性質を有するため、結晶がc軸方向に多く整列した場合、自発分極量が小さく圧電特性は小さい。
検出用圧電振動素子6a、6bに用いられるペロブスカイト構造、ビスマス層状構造などの圧電セラミックスは、結晶異方性から配向度Fによって圧電特性が異なる。配向度が大きく異なると、腕部3a,3bと平行なZ軸を中心として角速度Ωが加わったときの検出用圧電振動素子6a、6bから発生する電荷量の絶対値が大きく異なる。その結果、精度かつ安定性に悪影響を及ぼす。よって検出用圧電振動素子6a、6bは配向度Fの差が±10%であることが望ましい。
配向度FとはLotgering法で算出さている結晶粒子配向の度合いを示す指標である。配向度はF=(P−P)/(1−P)×100[%]で示され、Pは配向したときの、全てのX線回折パターンのピーク強度(hkl)とc軸のピーク強度(00l)の比を示し、無配向のときの、全てのX線回折パターンのピーク強度(hkl)とc軸のピーク強度(00l)の比を示す。
駆動用電極4aはVDD電極パッド8と配線され、駆動用電極4bはVSS電極パッド9と配線される。VDD電極パッド8とVSS電極パッド9からそれぞれ、ワイヤーボンディングで駆動用IC部と接続される。検出用下部電極5a、5bはそれぞれGND電極パッド10a、10bと配線される。GND電極パッド10a、10bからそれぞれ、ワイヤーボンディングでIC部などと接続される。
検出用上部電極7a、7bはそれぞれ検出用電極パッド11a、11bと配線される。検出用電極パッド11a、11bからそれぞれ、ワイヤーボンディングで検出用IC部などと接続される。
ワイヤーボンディングの材質は電極パッドの共通の材質が望ましい。本発明の振動体ではアルミ(Al)または金(Au)が適している。以上に示した本発明の振動体1は、下記のような方法によって作製することが可能である。図3は振動体1の作製方法の前半の工程を示した図である。
図3(a)は、本発明の振動体を構成する水晶基板12を示す。水晶基板12は水晶の結晶方向のZ軸に対してほぼ垂直な面すなわちZ軸に対して85度〜95度の角度をなす面を平面とした基板であり、一般的にZ板と呼ばれる水晶基板である。
図3(b)は、表裏の平面に、電極膜13と感光性材料からなるレジスト層14を積層して形成した水晶基板12を示す。電極膜13は水晶のエッチングに対して耐食性を有する。なお本発明の振動体では電極膜13として水晶基板12上に0.05μmの厚みで密
着層として成膜したクロム(Cr)膜とそのCr膜上に0.15μmの厚みで成膜した金(Au)膜とからなる積層膜を使用した。
密着層はチタン(Ti)膜でそのTi膜の上にプラチナ(Pt)などを成膜しても構成可能である。またレジスト層14として東京応化(株)製のポジ型レジストOFPR−800を使用した。
図3(c)は水晶基板12の表裏両方の平面をマスク15によって振動体の形状を形成する方法を示す。レジスト層14をそれぞれ所定の波長の紫外線UVで露光し、レジスト層パターンを形成する。図3(d)はマスク15をレジストパターンとして使用してレジスト層14をエッチングする。この時、レジスト層パターンは、マスク15と同じ形状である。
図3(e)はレジストパターン形成後に電極膜13をエッチングした状態を示す。例えば王水によってAu膜をエッチングし、硝酸系のエッチング液によってCr膜をエッチングし、振動体の形状を形成する。図3(f)はレジスト層14を除去した状態を示す。レジスト層14に用いられたOFPR−800はアセトンによって容易に除去することができる。
図3(g)は、水晶基板12をエッチングして振動体の外形を形成した状態を示す。この時、水晶基板12のエッチングされない面はマスク15とほぼ同じ形状で形成される。よってマスク15と同じ形状で形成されることになる。このエッチングされなかった部分が本発明の振動体の外形形状である。なお、70℃のフッ酸水溶液によって、4時間のエッチング処理を行い、振動体の外形形状を形成した。
その後、図3(c)から図3(f)に示すのと同様な手順で駆動用電極4a、4b、下部電極5a、5b、各電極パッド8、9、10a、10b、11a、11bを形成する。
図4は振動体1の作製方法の後半工程を示した図である。図4(a)は駆動用電極4a、4b、下部電極5aを形成した後の腕部3aの断面図を示す。図4(b)は検出用圧電振動素子6aを形成するために検出用圧電振動素子用マスク16を用意した状態を示す。検出用圧電振動素子用マスク16は材質が金属のメタルマスクや有機物によるフィルム状のマスクが適当である。
図4(c)は検出用圧電振動素子6aを形成した状態を示す。検出用圧電振動素子6aはスパッタ法により形成した。成膜条件は電源出力450W、アルゴンと酸素の混合雰囲気中、基板温度200度から800度である。検出用圧電振動素子6aを形成する方法として蒸着法、MOCVD法、エアロゾルデポジション法でも可能である。
図4(d)は上部電極7aを形成した状態を示す。上部電極7aはスパッタ法により形成した。その後、印加電圧20V程度で分極処理を行う。図4(e)は、以上のようにして作製された腕部3aの断面図を示す。腕部3bも同様の手順で作製されている。
また検出用圧電振動素子6a、6bがバルク状の圧電セラミックスの場合は水晶基板12に電極を形成後に常温直接接合法により接合してもよい。接合後にウェットエッチングプロセスやドライエッチングプロセスを用いて任意の形状に加工する。
本発明の振動ジャイロは振動体1を図5に示すように構成する。VDD電極パッド8とVSS電極パッド9間に発振回路20が接続される。発振回路20は、たとえば増幅回路と位相補正回路とを含み、VDD電極パッド8から出力される信号を増幅し、位相補正し
てVSS電極パッド9に与えられる。
これにより、音叉状の2本の腕部3a、3bが開閉するようにしてY軸方向に屈曲振動する。また、GND電極パッド10a、10bは電気的に接地されている。また、検出用電極パッド11a、11bは、差動回路21に接続される。差動回路21は、たとえばオペアンプや抵抗などによって構成される。
さらに、差動回路21の出力端は、同期検波回路22に接続される。同期検波回路22では、たとえば発振回路20の信号に同期して、差動回路21の出力信号が検波される。同期検波回路22の出力信号は、積分回路23で直流信号に変換される。さらに、積分回路23の出力信号は、直流増幅回路24で増幅される。
本発明の振動ジャイロでは、VDD電極パッド8とVSS電極パッド9間に発振回路20が接続されることにより、腕部3a、3bが開閉するようにY軸方向に振動する。ここで与えられる駆動信号は、振動体1の共振周波数に相当する信号である。この駆動信号によって、腕部3a、3bには、屈曲振動が生じる。
このとき、振動体1の2つの腕部3a,3bは、分極方向に対して同じ状態で振動するため、検出用電極パッド11a、11bから出力される信号は同じである。そのため、差動回路21からは、信号が出力されない。
振動体1の腕部3a,3bが開閉するように屈曲振動している状態で、腕部3a,3bが基部2から延出する向きのz軸を中心として回転角速度Ωが加わると、Y軸方向に直交するX軸方向にコリオリ力Fcが働く。したがって、このコリオリ力Fcによって腕部3a,3bは、開閉する向きに加わる駆動力とコリオリ力Fcとが合成された向きに振動する。
コリオリ力Fcによって、腕部3a,3bは、検出用圧電振動素子6a、6bが並んだ向きに変位する。このような腕部3a,3bの変位により、一方の検出用圧電振動素子6aが厚み方向に伸びたとき、他方の検出用圧電振動素子6bは厚み方向に縮む。逆に、一方の検出用圧電振動素子6aが縮んだとき、他方の検出用圧電素子6bが伸びる。
そのため、無回転時に比べて、一方の検出用圧電振動素子6aの出力が増加したとき、他方の検出用圧電振動素子6bの出力が減少する。また、無回転時に比べて、一方の検出用圧電振動素子6aの出力が減少したとき、他方の検出用圧電振動素子6bの出力が増加する。したがって、差動回路21で検出用電極パッド11a、11bの出力信号の差をとれば、コリオリ力に対応した大きい信号を得ることができる。
差動回路21の出力信号は、同期検波回路22で、発振回路20の信号に同期して検波される。それにより、差動回路21の出力信号の正部分のみまたは負部分のみが検波される。同期検波回路22の出力信号は積分回路23で直流信号に変換され、さらに直流増幅回路24で増幅される。
検出用電極パッド11a、11bからの出力信号のレベルは、振動体1の腕部3a,3bの変位の大きさによって決まるため、大きいコリオリ力Fcが働くと、主力信号のレベルは大きくなる。したがって、直流増幅回路24の出力信号のレベルから、回転角速度Ωの大きさを検出することができる。
また、回転角速度Ωが加わる方向によって、振動体1の2つの腕部3a,3bにかかるコリオリ力Fcの方向が変わる。そのため、2つの検出用電極パッド11a、11bから
出力される信号の位相も変わり、差動回路21からは、回転角速度Ωの方向によって、逆位相の信号が出力される。
したがって、同期検波回路22では、一方向に回転角速度Ωが加わったとき信号の正部分が検波されるとすると、他方向に回転角速度Ωが加わったとき信号の負部分が検波される。そのため、回転角速度Ωの加わる方向によって、直流増幅回路24の出力信号の極性が変わる。つまり、直流増幅回路24の出力信号の極性から、回転角速度の加わった方向を知ることができる。
本発明の振動体の駆動用圧電体と検出用圧電振動素子を異なる材料に選定する構成により、駆動用圧電体として適した振動安定性、温度安定性を持つ材料が選定することができ、検出用圧電振動素子として適した高い電気機械結合係数kを持つ材料を任意に選定できる。その結果、図5の回路により得られた振動ジャイロの出力は高感度、高精度でかつ安定性に優れている。
本発明の腕部にそれぞれ配置される検出用圧電振動素子は同形状、同組成である構成により、振動体にZ軸方向の角速度が与えられたときに腕部に配置されるそれぞれの検出用圧電振動素子から発生する電荷量の絶対値をほぼ等しく検出することができる。その結果、図5の回路により得られた振動ジャイロの出力は高精度でかつ安定性に優れている。
本発明の腕部にそれぞれ配置される検出用圧電振動素子は配向度の差が10%以内である構成により、振動体にZ軸方向の角速度が与えられたときに腕部に配置されるそれぞれの検出用圧電振動素子から発生する電荷量の絶対値の差が小さくなる。その結果、図5の回路により得られた振動ジャイロの出力は高精度でかつ安定性に優れている。
本発明の検出用圧電振動素子は圧電セラミックス、圧電単結晶を用いて構成することより、電気機械結合係数kの大きな材料を用いることができ、振動体にZ軸方向の角速度が与えられたときに腕部に配置されるそれぞれの検出用圧電振動素子から発生する電荷量が水晶より大きくなり、図5の回路に示した回路を構成する面積が縮小でき小型化に適した振動体を提供することができる。
本発明は上記の形態に限定されず、請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。また上記の形態の構成は一部を省略することが可能である。
上記の構成により、駆動用圧電体と検出用圧電振動素子を異なる材料に選定することができ、駆動用圧電体として適した振動安定性、温度安定性を持つ材料、検出用圧電振動素子として適した高い電気機械結合係数kを持つ材料を任意に選定できる。その結果、高感度、高精度でかつ安定性に優れた振動体及びそれを用いた振動ジャイロを提供することができる。
また、検出用圧電振動素子に電気機械結合係数kの大きな材料を用いることから、振動体にZ軸方向の角速度が与えられたときに腕部に配置されるそれぞれの検出用圧電振動素子から発生する電荷量が水晶で構成される駆動用圧電体より大きくなる。その結果、出力が大きくノイズが小さくなること等で回路への負担を低減し小型化された振動ジャイロを提供することができる。
本発明の振動体の一例を示す斜視図である。 図1に示す振動体の一例における断面図である。 本発明の振動体の作製方法の前半工程を示した図である。 本発明の振動体の作製方法の後半工程を示した図である。 図1に示す振動体を振動ジャイロとして使用するための回路を示すブロック図である。 従来の振動ジャイロの振動体の斜視図である。
符号の説明
1、101 振動体
2、102 基部
3a,3b、103a、103b 腕部
104a、104b…電極
4a、4b 駆動用電極
5a、5b 検出用下部電極
6a、6b 検出用圧電振動素子
7a、7b 検出用上部電極
8 VDD電極パッド
9 VSS電極パッド
10a、10b GND電極パッド
11a、11b 検出用電極パッド
12 水晶基板
13 電極膜
14 レジスト層
15 マスク
16 検出用圧電振動素子形成用マスク
17a、17b 駆動部
18a、18b 検出部
20 発振回路
21 差動回路
22 同期検波回路
23 積分回路
24 直流増幅回路

Claims (6)

  1. 基部と、
    この基部から延出し、圧電体で構成された少なくとも2本の腕部と、
    これらの腕部に設けられ、前記腕部を屈曲振動させるための駆動用電極を備えた駆動部と、
    前記腕部に設けられ、前記駆動用電極によって励振される前記屈曲振動と直交した振動を検出する検出用電極を備えた検出部と、を有する振動体において、
    前記検出部は、前記駆動部における前記圧電体と材質が異なると共に、前記検出用電極に挟持される圧電振動素子を有することを特徴とする振動体。
  2. 前記腕部のそれぞれに配置される前記圧電振動素子は同形状、同組成であることを特徴とする請求項1に記載の振動体。
  3. 前記腕部のそれぞれに配置される前記圧電振動素子は配向度の差が10%以内であることを特徴とする請求項1または2に記載の振動体。
  4. 前記基部および前記腕部は水晶片を用いて構成し、前記腕部の主面上および側面上に設けられた前記駆動用電極によって前記屈曲振動されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の振動体。
  5. 前記圧電振動素子は圧電セラミックスまたは圧電単結晶で構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の振動体。
  6. 請求項1から5のいずれかに一項に記載の振動体を用いて、外部から印加された角速度を検出することを特徴とする振動ジャイロ。
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