JP6934746B2 - 圧電膜を有する積層基板、圧電膜を有する素子および圧電膜を有する積層基板の製造方法 - Google Patents
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基板と、前記基板上に製膜された電極膜と、前記電極膜上に製膜された圧電膜と、を備え、
前記圧電膜は、
第1圧電薄膜と、前記第1圧電薄膜とは異なる材料で形成される第2圧電薄膜と、が積層されてなり、
前記第1圧電薄膜の比誘電率と前記第2圧電薄膜の比誘電率との間の比誘電率を有する、圧電膜を有する積層基板およびその関連技術が提供される。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態にかかる積層基板10は、基板1と、基板1上に製膜さ
れた下部電極膜2と、下部電極膜2上に製膜された圧電膜(圧電薄膜)3と、圧電膜3上に製膜された上部電極膜4と、を備えた積層体として構成されている。
化膜(SiO2膜)1bが形成された単結晶シリコン(Si)基板1a、すなわち、表面酸化膜を有するSi基板を好適に用いることができる。また、基板1としては、図2に示すように、その表面にSiO2以外の絶縁性材料により形成された絶縁膜1dを有するSi基板1aを用いることもできる。また、基板1としては、表面にSi(100)面やSi(111)面等が露出したSi基板1a、すなわち、表面酸化膜1bや絶縁膜1dを有さないSi基板を用いることもできる。また、基板1としては、SOI(Silicon On Insulator)基板、石英ガラス(SiO2)基板、ガリウム砒素(GaAs)基板、サファイア(Al2O3)基板、ステンレス(SUS)等の金属材料により形成された金属基板を用いることもできる。単結晶Si基板1aの厚さは例えば300〜1000μm、表面酸化膜1bの厚さは例えば5〜3000nmとすることができる。
AlN膜3aを直接製膜することで、AlN膜3aを構成する結晶を、基板1の表面に対して(001)面方位に優先配向させることが容易となる。AlN膜3aは、スパッタリング法等の手法を用いて製膜することができる。
ゾルゲル法等の手法を用いて製膜することができる。
図3に、本実施形態における圧電膜を有するデバイス30(以下、圧電膜デバイス30とも称する)の概略構成図を示す。圧電膜デバイス30は、上述の積層基板10を所定の形状に成形して得られる圧電膜を有する素子20(以下、圧電膜素子20とも称する)と、圧電膜素子20に接続される電圧検出手段11aまたは電圧印加手段11bと、を少なくとも備えて構成される。
続いて、上述の積層基板10の製造方法について説明する。まず、基板1のいずれかの主面上に下部電極膜2を製膜する。なお、いずれかの主面上に下部電極膜2が予め製膜された基板1を用意してもよい。続いて、下部電極膜2上に、AlN膜3a(下部AlN膜)と、KNN膜3bと、AlN膜3a(上部AlN膜)と、をこの順に例えばスパッタリング法を用いて製膜し、AlN膜3aとKNN膜3bとが積層されてなる圧電膜3を形成する。KNN膜3bの厚さT2に対するAlN膜3aの厚さT1の比率(T1/T2)を調整することで、圧電膜3の比誘電率、さらには圧電膜3の圧電定数の絶対値|d31|を所定の値に設定することができる。なお、本実施形態のように圧電膜3が複数のAlN膜3aを有する場合、AlN膜3aの厚さT1とは、圧電膜3が有する全てのAlN膜3aの合計厚さを意味する。その後、圧電膜3(上部AlN膜)上に上部電極膜4を製膜することで、積層基板10が得られる。そして、この積層基板10を所定の形状に成形する
ことで、圧電膜素子20が得られ、圧電膜素子20に電圧検出手段11aまたは電圧印加手段11bを接続することで、圧電膜デバイス30が得られる。
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
本実施形態は上述の態様に限定されず、例えば以下のように変形することもできる。
第1圧電薄膜としてのAlN膜3aは、KNN膜3bの下面または上面の少なくともいずれかに設けられていればよい。すなわち、圧電膜3は、上部AlN膜および下部AlN膜のうち少なくともいずれかを有していればよい。これによっても、上述の少なくとも(a)(b)等の効果を得ることができる。但し、少なくともKNN膜3bの下面にAlN膜3aを設ける方が上述の(c)の効果を得ることができる点で、好ましい。また、KNN膜3bの上下にそれぞれAlN膜3aを設ける方が、上述の(d)の効果を得ることができる点で、好ましい。
圧電膜3の最下層を第2圧電薄膜(すなわちKNN膜3b)としてもよい。すなわち、下部電極膜2上にKNN膜3bを製膜し、このKNN膜3b上に第1圧電薄膜としてのAlN膜3aを製膜してもよい。KNN膜3bを製膜する際の条件を厳しくすることで、下部電極膜2上に(001)面方位に優先配向させたKNN膜3bを製膜することができ、これによっても、上述の少なくとも(a)(b)等の効果を得ることができる。但し、上述の実施形態のように圧電膜3の最下層をAlN膜3aとし、このAlN膜3a上にKNN膜を製膜した方が、上述の(c)の効果を得ることができる点で、好ましい。
第1圧電薄膜を、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)を用いて形成してもよい。これによっても、上述の実施形態とほぼ同様の効果が得られる。但し、水晶、LiNbO3およびLiTaO3からなる膜は、AlN膜3aのようにスパッタリング法による製膜が難しく、貼り合わせ等の方法により製膜が行われることが多い。このため、第1圧電薄膜の厚さが厚くなることで圧電膜の厚さが厚くなる等の課題が生じることがある。また、第1圧電薄膜の製膜と第2圧電薄膜の製膜とを同一の装置内で連続して行うことができず、圧電膜の生産性が低下することもある。したがって、第1圧電薄膜としてAlN膜を製膜する方が、製膜処理の簡便化、圧電膜の薄膜化(圧電膜素子20の小型化)等の点から、好ましい。
第2圧電薄膜を、PZTを用いて製膜してもよい。これによっても、少なくとも上述の(b)以外の効果が得られる。但し、上述のように第2圧電薄膜としてKNN膜を製膜する方が、公害防止の点、製膜処理の簡便化を図る点、圧電膜の生産性を向上させる点等から、好ましい。
上述の積層基板10を圧電膜素子20に成形する際、積層基板10(圧電膜素子20)を用いて作製した圧電膜デバイス30をセンサやアクチュエータ等の所望の用途に適用することができる限り、積層基板10から基板1を除去してもよい。
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。但し、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
本発明の一態様によれば、
基板と、前記基板上に製膜された電極膜と、前記電極膜上に製膜された圧電膜と、を備え、
前記圧電膜は、
第1圧電薄膜と、前記第1圧電薄膜とは異なる材料で形成される第2圧電薄膜と、が積層されてなり、
前記第1圧電薄膜の比誘電率と前記第2圧電薄膜の比誘電率との間の比誘電率を有する、圧電膜を有する積層基板が提供される。
本発明の他の態様によれば、
基板と、前記基板上に製膜された電極膜と、前記電極膜上に製膜された圧電膜と、を備え、
前記圧電膜は、
第1圧電薄膜と、前記第1圧電薄膜とは異なる材料で形成される第2圧電薄膜と、が積層されてなり、
前記第1圧電薄膜の圧電定数の絶対値|d31|と前記第2圧電薄膜の圧電定数の絶対値|d31|との間の圧電定数の絶対値|d31|を有する、圧電膜を有する積層基板が提供される。
付記1または2の基板であって、好ましくは、
前記第1圧電薄膜は、前記第2圧電薄膜よりも耐電圧が高い膜である。
付記1〜3のいずれかの基板であって、好ましくは、
前記第1圧電薄膜は、AlNからなる膜であり、
前記第2圧電薄膜は、組成式(K1−xNax)NbO3(0<x<1)で表されるペロブスカイト構造のアルカリニオブ酸化物からなる膜である。
付記1〜4のいずれかの基板であって、好ましくは、
前記圧電膜は、前記電極膜上に前記第1圧電薄膜が配されてなる。
付記1〜5のいずれかの基板であって、好ましくは、
前記圧電膜は、
前記電極膜(基板)の側から、前記第1圧電薄膜と、前記第2圧電薄膜と、前記第1圧電薄膜と、がこの順に積層されてなる。
付記1〜6のいずれかの基板であって、好ましくは、
前記圧電膜は、周波数1kHzの条件下で±1Vの電圧を印加して測定した際の比誘電率が10以上2000以下の範囲内の所定の値であり、
前記圧電膜の圧電定数の絶対値|d31|が5pm/V以上200pm/V以下の範囲内の所定の値である。
本発明の他の態様によれば、
下部電極膜と、前記下部電極膜上に製膜された圧電膜と、前記圧電膜上に製膜された上部電極膜と、を備え、
前記圧電膜は、
第1圧電薄膜と、前記第1圧電薄膜とは異なる材料で形成される第2圧電薄膜と、が積層されてなり、
前記第1圧電薄膜の比誘電率(または圧電定数の絶対値|d31|)と前記第2圧電薄膜の比誘電率(または圧電定数の絶対値|d31|)との間の比誘電率(または圧電定数の絶対値|d31|)を有する、圧電膜を有する素子が提供される。
本発明の他の態様によれば、
基板と、前記基板上に製膜された下部電極膜と、前記下部電極膜上に製膜された圧電膜と、前記圧電膜上に製膜された上部電極膜と、を備え、
前記圧電膜は、
第1圧電薄膜と、前記第1圧電薄膜とは異なる材料で形成される第2圧電薄膜と、が積層されてなり、
前記第1圧電薄膜の比誘電率(または圧電定数の絶対値|d31|)と前記第2圧電薄膜の比誘電率(または圧電定数の絶対値|d31|)との間の比誘電率(または圧電定数の絶対値|d31|)を有する、圧電膜を有する素子が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
いずれかの主面上に電極膜が製膜された基板を用意し、前記電極膜上に、第1圧電薄膜と、前記第1圧電薄膜とは異なる材料で形成される第2圧電薄膜と、を積層し、前記第1圧電薄膜の比誘電率(または圧電定数の絶対値|d31|)と前記第2圧電薄膜の比誘電率(または圧電定数の絶対値|d31|)との間の比誘電率(または圧電定数の絶対値|d31|)を備える圧電膜を製膜する工程を有する、圧電膜を有する積層基板の製造方法が提供される。
付記10の方法であって、好ましくは、
前記圧電膜を製膜する工程では、
前記第2圧電薄膜の厚さ(T2)に対する前記第1圧電薄膜の厚さ(T1)の比率(T1/T2)を調整することで、前記圧電膜の比誘電率(または圧電定数の絶対値|d31|)を調整する。
本発明のさらに他の態様によれば、
第1圧電薄膜と、前記第1圧電薄膜とは異なる材料で形成される第2圧電薄膜と、を積層し、前記第1圧電薄膜の比誘電率(または圧電定数の絶対値|d31|)と前記第2圧電薄膜の比誘電率(または圧電定数の絶対値|d31|)との間の比誘電率(または圧電定数の絶対値|d31|)を有する圧電膜を備える積層基板を用意する工程を有する、圧電膜を有する素子の製造方法が提供される。
2 下部電極膜
3 圧電膜
10 積層基板
Claims (7)
- 基板と、前記基板上に製膜された電極膜と、前記電極膜上に製膜された圧電膜と、を備え、
前記圧電膜は、
AlNからなる第1圧電薄膜と、組成式(K 1−x Na x )NbO 3 (0<x<1)で表されるペロブスカイト構造のアルカリニオブ酸化物からなる第2圧電薄膜と、が連続して積層されてなり、
前記第1圧電薄膜の比誘電率と前記第2圧電薄膜の比誘電率との間の比誘電率を有する、圧電膜を有する積層基板。 - 前記第1圧電薄膜の厚さは5〜500nmである請求項1に記載の圧電膜を有する積層基板。
- 前記圧電膜は、前記電極膜上に前記第1圧電薄膜が配されてなる請求項1または2に記載の圧電膜を有する積層基板。
- 前記圧電膜は、前記電極膜の側から、前記第1圧電薄膜と、前記第2圧電薄膜と、前記第1圧電薄膜と、がこの順に積層されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の圧電膜を有する積層基板。
- 下部電極膜と、前記下部電極膜上に製膜された圧電膜と、前記圧電膜上に製膜された上部電極膜と、を備え、
前記圧電膜は、
AlNからなる第1圧電薄膜と、組成式(K 1−x Na x )NbO 3 (0<x<1)で表されるペロブスカイト構造のアルカリニオブ酸化物からなる第2圧電薄膜と、が連続して積層されてなり、
前記第1圧電薄膜の比誘電率と前記第2圧電薄膜の比誘電率との間の比誘電率を有する、圧電膜を有する素子。 - いずれかの主面上に電極膜が製膜された基板を用意し、前記電極膜上に、AlNからなる第1圧電薄膜と、組成式(K 1−x Na x )NbO 3 (0<x<1)で表されるペロブスカイト構造のアルカリニオブ酸化物からなる第2圧電薄膜と、が連続して積層されてなり、前記第1圧電薄膜の比誘電率と前記第2圧電薄膜の比誘電率との間の比誘電率を備える圧電膜を製膜する工程を有する、圧電膜を有する積層基板の製造方法。
- 前記圧電膜を製膜する工程では、
前記第2圧電薄膜の厚さに対する前記第1圧電薄膜の厚さの比率を調整することで、前記圧電膜の比誘電率を調整する請求項6に記載の圧電膜を有する積層基板の製造方法。
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