JP4800462B2 - ろ過処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凝集剤を添加した凝集処理を行った後、凝集処理水をろ材層に通水してろ過処理を行うろ過処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
河川水などを原水として浄水や工業用水を製造する場合や、排水処理等において、懸濁物質の分離のために凝集沈殿処理およびろ過処理が広く採用されている。すなわち、凝集沈殿処理では、まず原水に対しアルミ系の凝集剤等を添加混合して、原水中の懸濁物質を粗大フロック化する。そして、この粗大フロックを沈殿池に導入して沈殿処理することで、懸濁質の大部分を除去する。次に、この沈殿池で得られた上澄み水(凝集沈殿処理水)をろ過装置でさらに処理し、残留する微細懸濁物をさらに除去する。このようにして、清澄な処理水を得ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、ろ過装置において、懸濁物の除去がうまくゆかず、処理水中の懸濁物含有量が多くなってしまう場合がよく生じる。例えば、凝集沈殿処理における凝集剤の注入量が不足すると、微細な懸濁物がろ過装置において十分に除去されず、処理水中における濁度が上昇してしまう。
【0004】
この現象について検討したところ、このような懸濁物除去率の低下は単に懸濁物の径が小さくなったために、ろ材層を通過したのではなく、ろ材層におけるこれら懸濁物の吸着能力が減少しているためと考えられる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、ろ材の懸濁物吸着力を上昇し、清澄な処理水を確実に得ることができるろ過処理方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、凝集剤を添加した凝集処理を行った後、凝集処理水をろ材層に通水してろ過処理を行うろ過処理方法において、前記凝集処理水のろ材層への通水時において、ろ材層へ供給する前記凝集処理水に対し前記凝集剤としてポリ塩化アルミニウムを所定量添加するとともに、pHを5.0±0.5の範囲に制御したコーティング水をろ材表面に凝集剤を付着させる必要な予め定められた量だけ流通させ、ろ材層のろ材の表面に凝集剤を付着させる凝集剤付着工程を所定の頻度で間欠的に実施することを特徴とする。
【0007】
このように、本発明によれば、通水時において、所定の頻度で凝集剤をろ材表面に付着させる処理を行う。これによって、ろ材表面に凝集剤の被膜が形成され、被ろ過処理水中の懸濁物を吸着ろ過する能力が回復される。そこで、長期間に渡り、良好なろ過処理が行える。特に、ろ材表面に凝集剤の被膜を形成するためにろ材層に流通するコーティング水は、凝集剤の濃度およびpHが所定の範囲にあり、その流通量を所定以上としなければならない。本発明では、これらを考慮してコーティング水をろ材層へ流通するため、効果的なろ材表面への凝集剤被膜の形成が行える。特に、このような凝集剤の被膜がろ材表面上に形成することにより、ろ材表面のゼータ電位を0〜−10mV程度にすることができる。これによって、水中の懸濁物を効果的に吸着することができる。
【0008】
また、ろ材層に逆方向に逆洗水を流通しろ材を洗浄する逆洗工程を有し、この逆洗工程において、ろ材層へ供給する逆洗水に対し凝集剤を所定量添加するとともに、pHを所定範囲に制御したコーティング水を予め定められた量だけ流通させ、ろ材層のろ材表面に凝集剤を付着させる凝集剤付着工程を実施することが好適である。
【0009】
ろ材に捕捉される懸濁物量が所定量以上になった場合には、逆洗を行い、ろ材を再生する。この逆洗によって捕捉した懸濁物を除去できるが、この際ろ材に付着していた凝集剤も除去される。従って、この逆洗工程中において、ろ材の表面への凝集剤付着を行うことで、逆洗直後からろ材表面の好適なろ過が行える。
【0010】
また、前記凝集剤付着工程においては、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムを40〜80mg/lとなるように添加し、pHが5.0±0.5の範囲内に制御したコーティング水を用いて凝集剤の付着を行うことが好適である。このようなコーティング水により、ろ材表面への水酸化アルミニウムの被膜の形成が効果的に行える。なおPACは、通常Alとして10%を含むものが市販されているが、本発明における40〜80mg/lというのは、上述した濃度のPACを逆洗水1リットルあたり40〜80mgの割合で添加する意味であり、この場合Alとしては2.12〜4.24mg/lの添加量となる。
【0011】
また、前記凝集剤付着工程においてコーティング水を流通させる量は、ろ材の空隙体積の1.5〜2.5倍量とすることが好適である。この程度の量のコーティング水により、適切な凝集剤のろ材表面との接触が行われる。これ以上の量のコーティング水の使用は、凝集剤の無駄になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る凝集分離装置の全体構成を示す図である。河川水、湖沼水などの原水は、まず混和槽10に流入される。この混和槽10には、凝集剤貯槽12からの凝集剤が凝集剤ポンプ14によって供給される。凝集剤は、無機アルミニウム系の凝集剤が好ましく、特にPAC(ポリ塩化アルミニウム)が好ましい。そして、混和槽10には、攪拌機16が設けられており、原水と凝集剤が急速攪拌される。この混和槽10において、凝集剤が混和された凝集剤混和水は、凝集槽18に流入する。この凝集槽18には、緩速攪拌機20が配置されており、凝集剤混和水が緩速攪拌され、凝集フロックの合体、粗大化が図られる。
【0014】
次に、凝集槽18からの緩速攪拌後の凝集剤混和水は、傾斜板沈殿槽22に流入する。この傾斜板沈殿槽22は、仕切板22aにより入口側と出口側に仕切られており、入口側に槽深の深い沈殿部22bが形成されている。そして、この沈殿部22bの下部は、沈殿汚泥を貯留する汚泥貯留部22cになっている。また、出口側には多数の傾斜板22dが配置されて傾斜板沈殿部22eが形成されている。凝集剤混和水は沈殿部22bに流入され、ここで沈殿処理された後、仕切板22aの下を通過して、傾斜板沈殿部22eを上向流で通過する。そして、この傾斜板沈殿部22eの傾斜板22dを通過する際にさらに沈殿処理がなされ、スラッジが槽底へ向けて沈殿する。傾斜板沈殿部22eの槽底は、汚泥貯留部22cに向けて深くなるように傾斜しているため、沈殿スラッジは重力により汚泥貯留部22cに移動する。そして、傾斜板沈殿部22eを通過した上澄みが傾斜板沈殿槽22から排出される。なお、傾斜板沈殿槽22の汚泥貯留部22cに沈殿した汚泥は、適宜引き抜かれ別途処分される。
【0015】
このような凝集沈殿処理により、傾斜板沈殿槽22からの沈殿処理水は、懸濁固形物のかなりの部分は除去されたものになっている。この沈殿処理水は、ろ過器24に流入される。このろ過器24は、アンスラサイトのろ過層24bと、砂のろ過層24aの二層のろ過層を有する重力式の急速ろ過器である。なお、場合によっては、沈殿処理水に追加の凝集剤注入あるいは凝集助剤注入を行いラインミキサーにて撹拌し、ろ過器24に供給してもよく、またろ過器は圧力式ろ過器であってもよい。
【0016】
ろ過層24bのろ材としてアンスラサイト以外のろ材を使用してもよいし、またこのろ過層24b自体を省略してもよい。また、ろ過層24aについて、砂に代えガーネットなどを利用したり、砂及びガーネットを多層とすることも好適である。
【0017】
そして、このろ過器24のろ過処理水は、処理水タンク26に貯留された後、配水される。
【0018】
また、この処理水タンク26内の処理水は、逆洗ポンプ28によりろ過器24の底部に供給できるようになっている。そこで、ろ過器24に処理水を上向流で供給し、ろ過器24内のろ過層を逆洗できるようになっている。
【0019】
すなわち、通水を継続していくと、次第にろ過層に捕捉される懸濁物質が増加しろ材が飽和して、ろ過器24はそれ以上懸濁物質を捕捉できなくなる。これは、ろ過抵抗の上昇や、処理水濁度の上昇等によって検出できる。そこで、ろ材が完全に飽和する前に、洗浄によりろ材の再生を行う。
【0020】
この洗浄のタイミングは、経験的に得られる時間に基づくタイマー設定や、差圧計によるろ過抵抗の設定により行われる。さらに、逆洗は、ろ過水を用いた逆流水洗浄や、逆流水洗浄に表面洗浄あるいは空気洗浄を組み合わせて行われる。
【0021】
ここで、本実施形態においては、この逆洗ポンプ28からろ過器24に至る逆洗水のラインに、凝集剤貯槽30からの凝集剤が凝集剤ポンプ32により添加される。この凝集剤としては、上述の凝集剤貯槽12と同様に通常PACが利用され、凝集剤貯槽12からの凝集剤を添加するように構成してもよい。さらに、酸貯槽34からの酸(酸性溶液、例えば硫酸)が酸ポンプ36によって添加されるように構成されている。
【0022】
このようにして、本実施形態においては、通常の逆洗に加え、凝集剤を含む逆洗水(コーティング水)による逆洗が行われ、これによってろ材表面に凝集剤の被膜が構成される。すなわち、所定pHに調整され、所定量の凝集剤が添加された逆洗水を所定量だけろ過器24に通水し、これによってろ材表面に凝集剤の被膜が形成される。
【0023】
特に、本実施形態においては、逆洗ラインにpHメータ38および流量計40が設けられており、その検出結果がコントローラ42に供給されるようになっている。そして、コントローラ42は、これら検出結果に基づいて、凝集剤ポンプ32および酸ポンプ36の駆動を制御し、逆洗水のpH、凝集剤の添加量が所定量となるように制御するとともに、凝集剤および酸を添加する逆洗水(コーティング水)の水量を制御する。
【0024】
このような所定pHに調整され、所定量の凝集剤が添加された逆洗水を所定量だけろ過器24に通水することによってろ材表面に適切な凝集剤の被膜が形成され、ろ過器24におけるろ過層24aのろ材のゼータ電位が0〜−10mVになるように制御される。すなわち、PACであれば、水酸化アルミニウムがろ材表面上に付着することで、ろ材のゼータ電位が上昇する。また、酸の添加によってもゼータ電位が変化するため酸の添加量も調整する。これによって、ろ材表面のゼータ電位が0〜−10mVに制御される。
【0025】
ここで、ろ材のゼータ電位は、ろ材表面への凝集剤(例えば、水酸化アルミニウム)の付着状態を示している。そこで、このろ材のゼータ電位を所定値(0〜−10mV)とすることによって、ろ材の表面状態を微細フロックを捕捉しやすい状態に調整することができる。そして、上述のようにして調整した逆洗水によりろ材の表面に水酸化アルミニウムを確実に付着させることで、逆洗後のろ過において、当初より微細フロックの流出を防止して、良好な水質の処理水を得ることができる。
【0026】
さらに、本実施形態においては、ろ過器24に被ろ過処理水を供給するラインに、凝集剤貯槽44からの凝集剤が凝集剤ポンプ46により添加される。この凝集剤としては、上述の凝集剤貯槽12、30と同様に通常PACが利用される。さらに、酸貯槽48からの酸(酸性溶液、例えば硫酸)が酸ポンプ50によって添加されるように構成されている。なお、凝集剤および酸は、凝集剤貯槽12または30、酸貯槽34から供給するように構成してもよい。
【0027】
また、ろ過器24への被ろ過処理水の供給ラインにはpHメータ52および流量計54が設けられており、その検出結果がコントローラ56に供給されるようになっている。そして、コントローラ56は、これら検出結果に基づいて、凝集剤ポンプ46および酸ポンプ50の駆動を制御し、ろ過器24に供給する被ろ過処理水のpH、凝集剤の添加量が所定量となるように制御するとともに、その水量を制御する。これによって、所定の凝集剤および酸を添加したろ材表面に凝集剤を付着させるための被ろ過処理水(コーティング水)が所定量ろ過器24に供給される。
【0028】
そして、このコーティング水の供給は、間欠的に行われる。すなわち、本実施形態では、凝集沈殿処理において添加される凝集剤の量は最小限に抑えられている。そして、このような凝集剤添加量による凝集フロックをろ過していると、ろ材の表面のゼータ電位は徐々に低下していき、流入してくる凝集フロックを十分捕捉できなくなる。
【0029】
本実施形態では、この段階でコントローラ56が凝集剤ポンプ46および酸ポンプ50を駆動し、凝集剤(PAC)および硫酸を被ろ過処理水に添加する。このコーティング水のPAC添加量は40〜80mg/L、pHは5.0±0.5となるように制御され、またこのようなコーティング水のろ過器24への供給量はろ過器24におけるろ材の空隙体積の1.5倍〜2.5倍に制御される。これによって、ろ材表面への凝集剤の付着が促進される。
【0030】
凝集処理における凝集剤添加量を増やすことによってもある程度ろ過処理水における濁度を改善できるが、この場合にはかなり大量の凝集剤を添加することが必要になる。一方、本実施形態のように間欠的に所定量の凝集剤をろ材への付着に最適な条件でろ過器24に供給することで、その際にろ材表面に十分な凝集剤の被膜を形成することができる。そこで、その後所定期間において懸濁物を効果的に吸着してろ過処理を行うことができる。そこで、トータルとしての凝集剤の添加量を少なくして、十分なろ過処理が行える。
【0031】
ここで、本実施形態の場合には、逆洗時に同様の凝集剤の被膜形成を行う。従って、逆洗直後からろ材表面に凝集剤が付着し、ろ材表面のゼータ電位が所望の値に設定されている。そこで、この段階から十分なろ過処理を行える。次に、ろ過の継続により、ろ材表面の凝集剤の被膜に懸濁物が吸着され、ゼータ電位が下降してきたときに、被ろ過処理水に凝集剤などを添加して、ろ材表面への凝集剤付着が行われる。従って、この処理によって、ろ材表面への凝集剤の付着が行われる。このようにして、逆洗と逆洗の間の通水期間において、所定回数のろ材表面への凝集剤付着が行われるため、ろ過の継続により吸着力を失ったろ材表面を再生することができる。従って、効果的なろ過処理を継続して、良好な処理水を長期間に渡って維持することができる。
【0032】
なお、凝集剤添加を行っている場合、凝集剤が処理水中に混入するおそれがある。そこで、この期間においては、処理水をろ過器24の上流側に返送することが好ましい。
【0033】
本実施形態では、次のような手順で逆洗を行う。(i)まずろ過処理水をそのままで逆流させる逆洗を行う。例えば、LV(空塔線速度)=40m/h×8分。なお、上述したように、空気逆洗を組み合わせてもよい。(ii)次に凝集剤(PAC)および酸を添加した逆洗水による逆洗を行う。LV=40m/h×1分。(iii)次に、30秒静置状態で休止する。
【0034】
このようにして、ゼータ電位調整剤としての凝集剤および酸を添加した逆洗水による逆洗を短時間行い、これによって、凝集剤とろ材が十分混合するとともに、接触のための時間が得られ、ろ材表面に水酸化アルミニウムが十分に付着される。
【0035】
そして、2日間に1回程度行われる逆洗と逆洗の間の通水期間においても、6時間に1回程度ろ材への凝集剤付着のための処理が行われる。例えば、ろ材空隙容積を6.75mとして、その2倍量のコーティング水の通水を行うのであれば、13.5mの被ろ過処理水に上述した凝集剤などが添加される。また、通水速度などは、通常時と変更しない。このようにして、逆洗と逆洗の間に6時間毎、8回のろ材表面への凝集剤付着の処理が行われる。
【0036】
特に、本実施形態の凝集剤および酸を添加したコーティング水は、凝集剤としてPAC(有効成分Alを10%含む液体)を利用し、その添加量を40〜80mg/Lとする。そして、その水のpHは5.0±0.5とし、これをトータルの水量として、ろ過器24におけるろ材の空隙体積の1.5〜2.5倍量とする。このようなコーティング水のろ材への流通によって、上述したようなろ材のゼータ電位を0〜−10mVに調整する処理を行うことができる。
【0037】
上述のように、本実施形態では、ろ材のゼータ電位が0〜−10mVになるように逆洗水への凝集剤添加量を調整する。このゼータ電位は、固体と液体の界面を横切って存在する電気的ポテンシャルを示すものであり、水中の懸濁物質についての表面荷電を示す。通常、河川水等に含まれる懸濁物質(粘度成分や藻類等)は負に帯電しており、懸濁物質が各々負に帯電していることから電気的に反発し、凝集しにくい状態になっている。凝集剤は、この電位の中和をまず行い反発力を弱め、その後に集塊化つまり凝集を行う。従って、凝集フロックのゼータ電位は中和点つまりゼロに近い方が望ましい。通常、原水中の懸濁物質のゼータ電位は−20mV以下で、凝集フロックのゼータ電位は−10mV以上となっている。
【0038】
ここで、浄水処理で一般に用いられる凝集沈殿・急速ろ過法において、急速ろ過器より、特にろ過開始直後に微小なフロックが流出することが知られている。この微小なフロックのゼータ電位は、−15mV以下と低く、凝集が十分に行われていないことが知られている。
【0039】
ろ材も水中の懸濁物質と同様にそのままでは負に帯電しており、ろ材のゼータ電位を−10mV以上にすることによって、ろ材表面への凝集剤水酸化物の付着を十分なものにできる。そして、この付着物を形成することで、フロックの捕捉能力を改善し、処理水中の懸濁物質濃度の上昇を防止することができる。なお、ゼータ電位を0mV以上にするのは、経済的ではなく、また洗浄排水中のアルミニウム濃度が高くなるので、好ましくない。
【0040】
本実施形態においては、凝集剤としてPAC(有効成分Alを10%含む液体)を利用し、その添加量を40〜80mg/Lとする。そして、そのコーティング水のpHは5.0±0.5とし、これをトータルの水量として、ろ過器24におけるろ材の空隙体積の1.5〜2.5倍量とする。このような逆洗水のろ材への流通によって、ろ材のゼータ電位を0〜−10mVに調整する処理を行っている。
【0041】
【実施例】
図1の装置を用いて実験を行った。
【0042】
「実験条件」
・原水流量:3000m/D
・混和槽:滞留時間4分、G値250〜400s−1
・沈殿池:上向流式傾斜板付き沈殿池、滞留時間40分、上昇速度5cm/min
・ろ過池仕様:φ5000mm×5000mm×H4000mm(ろ過面積25m
・ろ過速度(LV):5m/h(120m/d)
・ろ材:ケイ砂 比重2.5m、空隙率45%、有効径0.6mm、均等係数1.4、ろ層高600mm
・通水時間:48時間(タイマーにより洗浄開始)
・原水濁度:8〜30度
・原水pH:7.2〜7.5
・ろ過処理水pH:6.9〜7.3
・凝集剤:PAC10〜30mg/l
・目標処理水濁度:0.1度未満
・コーティング水によるろ材の被膜形成
6時間に1回
ろ材空隙容積=25m×0.6m×0.45=6.75m
水量=6.75m×2.5=16.9m/回(2.5倍量通水の時)
(水量=6.75m×1.5=10.1m/回(1.5倍量通水のとき))
コーティング水通水時間=16.9m÷(5m/h×25m÷60分)=8分
・逆洗条件:水逆洗 LV=40m/h×8分
水量=25m×40m/h×(8÷60)=133.3m/回
PAC+硫酸水逆洗 LV=40m/h×1分
水量=25m×40m/h×(1÷60)=16.9m/回
ろ材空隙容量=25m×0.6m×0.45=6.75m
2.5倍量通水として、6.75m×2.5=16.9m/回
逆洗水:ろ過水を用いる。pHは、5.0±0.5に調整。
PAC:40〜80mg/Lとなるように調整。
【0043】
「実験結果」
濁度8度の原水に凝集剤としてPACを10mg/L添加し、pHを7.0に調整するために酸として硫酸を加え、混和槽10にて攪拌機16を用いて混和を行い、凝集槽18にて緩速撹拌を行い、傾斜板沈殿槽(傾斜板無しでもよい)22にて沈殿処理を行った後、ろ過器24に供給して処理水を得た。
【0044】
ところで、ろ過器24は、ある程度通水を行っていくと、濁質によりろ材の間隙が飽和し、通水を継続できなくなる。このろ過が継続できなくなるまでの時間は、ろ過器流入水中の濁質濃度や通水速度などによって異なり、通常は24〜72時間程度であるが、本実験では48時間毎に逆洗を行った。
【0045】
この逆洗条件は、水逆洗をLV=40m/h×8分、(i)PAC60mg/Lと75%硫酸を20mL/m注入したpH5±0.5のコーティング水による水逆洗をLV=40m/h×1分(ろ材空隙容量6.75mに対し2.5倍)として行った。なお、この凝集剤を添加した水逆洗の後、30秒程度静止時間をおき、凝集剤のろ材表面への付着を促進することも好ましい。
【0046】
また、6時間に1回、逆洗時と同様のコーティング水を用い、LV=5m/hで約8分間の通水によるろ材表面への凝集剤の付着処理を行った。水量は、ろ材空隙体積の2倍量とした。
【0047】
このような処理により、逆洗直後および通水期間中においても、処理水の悪化はなく、目標濁度を継続して維持できることが確認できた。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、通水時において、所定の頻度で凝集剤をろ材表面に付着させる処理を行うため、ろ材表面に凝集剤の被膜が形成され、被ろ過処理水中の懸濁物を吸着ろ過する能力が回復される。そこで、長期間に渡り、良好なろ過処理が行える。
【0049】
また、逆洗工程中において、ろ材の表面への凝集剤付着を行うことで、逆洗直後からろ材表面の好適なろ過が行える。
【0050】
また、凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PACという)を使用し、このPACを40〜80mg/lとなるように添加し、pHが5.0±0.5の範囲内に制御したコーティング水を用いて凝集剤の付着を行うことで、ろ材表面への水酸化アルミニウムの被膜の形成が効果的に行える。
【0051】
また、凝集剤付着工程においてコーティング水を流通させる量を、ろ材の空隙体積の1.5〜2.5倍量とすることで、適切な凝集剤のろ材表面との接触が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
10 混和槽、18 凝集槽、22 傾斜板沈殿槽、24 ろ過器、30 凝集剤貯槽、32 凝集剤ポンプ、38 pHメータ、40 流量計、42 コントローラ。

Claims (4)

  1. 凝集剤を添加した凝集処理を行った後、凝集処理水をろ材層に通水してろ過処理を行うろ過処理方法において、
    前記凝集処理水のろ材層への通水時において、ろ材層へ供給する前記凝集処理水に対し前記凝集剤としてポリ塩化アルミニウムを所定量添加するとともに、pHを5.0±0.5の範囲に制御したコーティング水をろ材表面に凝集剤を付着させる必要な予め定められた量だけ流通させ、ろ材層のろ材の表面に凝集剤を付着させる凝集剤付着工程を所定の頻度で間欠的に実施することを特徴とするろ過処理方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、
    さらに、
    ろ材層に逆方向に逆洗水を流通しろ材を洗浄する逆洗工程を有し、
    この逆洗工程において、ろ材層へ供給する逆洗水に対し凝集剤を所定量添加するとともに、pHを所定範囲に制御したコーティング水を予め定められた量だけ流通させ、ろ材層のろ材表面に凝集剤を付着させる凝集剤付着工程を実施することを特徴とするろ過処理方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法において、
    前記凝集剤付着工程においては、
    前記凝集剤を40〜80mg/lとなるように添加したコーティング水を用いて凝集剤の付着を行うことを特徴とするろ過処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法において、
    前記凝集剤付着工程においてコーティング水を流通させる量は、ろ材の空隙体積の1.5〜2.5倍量とすることを特徴とするろ過処理方法。
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