以下、本発明を画像形成装置である電子写真方式のタンデム型のカラーレーザプリンタ(以下「レーザープリンタ」という)に適用した実施形態について説明する。
タンデム型のレーザープリンタは、複数の感光体を並列して配置し、各感光体上に各トナー像を形成するトナー像形成部を備え、各感光体上に形成された各色トナー像を重ね合わせてカラー画像を得るものである。タンデム型のレーザープリンタでは、転写紙に直接転写する方式(直接転写方式)と、中間転写体を介して最終転写する方式(中間転写方式)がある。直接転写方式は、転写搬送ベルトによって搬送される転写用紙上に、直接各色トナー像形成部によって画像を形成する方式である。一方、中間転写方式は、一旦、中間転写ベルト上に、各色トナー像形成部による画像を形成した後、さらに中間転写ベルトから転写用紙に転写する方式である。
タンデム型のレーザープリンタでは、複数の感光体を使用するため、各色のトナー像形成を平行して行える。このため、一つの感光体ドラムを繰り返し使用して各色トナー像を形成するいわゆるリボルバ型のレーザープリンタに較べ、単位時間あたりの出力枚数が多いというメリットがある。その一方でこのように転写搬送ベルトまたは中間転写ベルトが各トナー像形成部を次々に通過してカラー画像を得るため、各色毎の位置合わせが難しいという問題がある。
図1は、本実施形態に係るレーザープリンタの概略構成図である。本実施形態に係るレーザープリンタでは、直接転写方式のものを用いて説明する。このレーザープリンタは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のトナー像形成部1Y、1M、1C、1Kが、転写紙100の移動方向(図中の矢印Aに沿ってベルト60が走行する方向)における上流側から順に配置されている。なお、各符号の添字Y、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示す。このトナー像形成部1Y、1M、1C、1Kはそれぞれ、像担持体としての感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kと、現像ユニットとを備えている。また、各トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kの配置は、各感光体ドラムの回転軸が平行になるように且つ転写紙移動方向に所定のピッチで配列するように、設定されている。
このレーザープリンタは、上記トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kのほか、光書込ユニット2、給紙カセット3、4、レジストローラ対5、転写紙100を担持して各トナー像形成部の転写位置を通過するように搬送する転写搬送部材としての転写搬送ベルト60を有するベルト駆動装置としての転写ユニット6、ベルト定着方式の定着ユニット7、排紙トレイ8等を備えている。また、手差しトレイMF、トナー補給容器TCを備え、図示していない廃トナーボトル、両面・反転ユニット、電源ユニットなどをも二点鎖線で示したスペースSの中に備えている。
光書込ユニット2は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面にレーザ光を走査しながら照射する。
図2は、転写ユニット6の概略構成を示す拡大図である。この転写ユニット6で使用した転写搬送ベルト60は、体積抵抗率が109〜1011Ωcmである高抵抗の無端状単層ベルトであり、その材質はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)である。この転写搬送ベルト60は、各トナー像形成部の感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに接触対向する各転写位置を通過するように、ローラ61〜68に掛け回されている。これらのローラのうち、転写紙移動方向上流側の入り口ローラ61には、電源65aから所定電圧が印加された静電吸着ローラ80が対向するように転写搬送ベルト60の外周面に配置されている。この2つのローラ61,65の間を通過した転写紙100は転写搬送ベルト60上に静電吸着される。
ローラ63は転写搬送ベルト60を摩擦駆動する駆動ローラであり、図示しない駆動源に接続されていて矢印方向に回転する。各転写位置において転写電界を形成する転写電界形成手段として、感光体ドラムに対向する位置には、転写搬送ベルト60の裏面に接触するように、転写バイアス印加部材67Y、67M、67C、67Kを設けている。これらはスポンジ等を外周に設けたバイアスローラであり、各転写バイアス電源9Y、9M、9C、9Kからローラ芯金に転写バイアスが印加される。この印加された転写バイアスの作用により、転写搬送ベルト60に転写電荷が付与され、各転写位置において該転写搬送ベルト60と感光体ドラム表面との間に所定強度の転写電界が形成される。また上記転写が行なわれる領域での転写紙と感光体の接触を適切に保ち、最良の転写ニップを得るために、バックアップローラ68を備えている。
上記転写バイアス印加部材67Y、67M、67Cとその近傍に配置されるバックアップローラ68は、回転可能に揺動ブラケット93に一体的に保持され、回動軸94を中心として回動が可能である。この回動は、カム軸97に固定されたカム96が矢印の方向に回動することで時計方向に回動する。
上記入り口ローラ61と吸着ローラ80は一体的に、入り口ローラブラケット90に支持され、軸91を回動中心として、図2の状態から時計方向に回動可能である。揺動ブラケット93に設けた穴95と、入り口ローラブラケット90に固植されたピン92が係合しており、前記揺動ブラケット93の回動と連動して回動する。これらのブラケット90、93の時計方向の回動により、バイアス印加部材67Y、67M、67Cとその近傍に配置されるバックアップローラ68は感光体11Y,11M,11Cから離され、入り口ローラ61と吸着ローラ80も下方に移動する。ブラックのみの画像の形成時に、感光体11Y,11M,11Cと転写搬送ベルト60の接触を避けることが可能となっている。
一方転写バイアス印加部材67Kとその隣のバックアップローラ68は出口ブラケット98に回転可能に支持され、出口ローラ62と同軸の軸99を中心として回動可能にしてある。転写ユニット6を本体に対し着脱する際に、図示していないハンドルの操作により時計方向に回動させ、ブラック画像形成用の感光体11Kから、転写バイアス印加部材67Kとその隣のバックアップローラ68を離間させるようにしてある。
駆動ローラ63に巻きつけられた転写搬送ベルト60の外周面には、ブラシローラとクリーニングブレードから構成されたクリーニング装置85が接触するように配置されている。このクリーニング装置85により転写搬送ベルト60上に付着したトナー等の異物が除去される。
転写搬送ベルト60の走行方向で駆動ローラ63より下流に、転写搬送ベルトの外周面を押し込む方向にローラ64を設け、駆動ローラ83への巻きつけ角を確保している。ローラ64より更に下流の転写搬送ベルト60のループ内に、押圧部材(ばね)69でベルトにテンションを与えるテンションローラ65を備えている。
先に示した図1中の一点鎖線は、転写紙100の搬送経路を示している。給紙カセット3、4あるいは手差しトレイMFから給送された転写紙100は、図示しない搬送ガイドにガイドされながら搬送ローラで搬送され、レジストローラ対5が設けられている一時停止位置に送られる。このレジストローラ対5により所定のタイミングで送出された転写紙100は、転写搬送ベルト60に担持され、各トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kに向けて搬送され、各転写ニップを通過する。
各トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kの感光体ドラム11Y、11M、11C、11K上で現像された各トナー像は、それぞれ各転写ニップで転写紙100に重ね合わされ、上記転写電界やニップ圧の作用を受けて転写紙100上に転写される。この重ね合わせの転写により、転写紙100上にはフルカラートナー像が形成される。トナー像転写後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面がクリーニング装置によりクリーニングされ、更に除電されて次の静電潜像の形成に備えられる。
一方、フルカラートナー像が形成された転写紙100は、定着ユニット7でこのフルカラートナー像が定着された後、切換ガイドGの回動姿勢に対応して、第1の排紙方向Bまたは第2の排紙方向Cに向かう。第1の排紙方向Bから排紙トレイ8上に排出される場合、画像面が下となった、いわゆるフェースダウンの状態でスタックされる。一方第2の排紙方向Cに排出される場合には、図示していない別の後処理装置(ソータ、綴じ装置など)に向け搬送させるとか、スイッチバック部を経て両面プリントのために再度レジストローラ対5に搬送される。
このようなレーザープリンタは、転写搬送ベルト60が一定の移動速度を維持して無端移動することが必須である。もし、画像形成途中で転写ベルトの速度変動が生じると、色ずれが発生し、カラー画像の画像品質を著しく低下させることになる。
転写搬送ベルト60の速度変動の一つとして、転写搬送ベルト60の速度を規制する駆動ローラ63の直径の偏芯に起因するものがある。これに関しては、各トナー像形成部間1Y、1M、1C、1Kの距離を転写搬送ベルト60の駆動ローラの周長の整数倍に設定することによって駆動ローラ63の偏芯が色ずれに寄与しないようにすることができる。
また、転写ベルトの速度変動を抑えるために、特開昭63−81370号公報で開示されるように、転写ベルトの裏面に当接し、転写ベルトと等速で回転する従動ローラを速度検出用とし、この従動ローラの回転数を速度検出用の回転をエンコーダで検出し、この検出速度をサーボ制御回路にフィードバックして駆動速度を常に所定の速度と等しくなるように制御する方法もある。しかし、この従動ローラの回転をエンコーダによって検出しフィードバック制御で補正する方法では、転写ベルトの厚みが変動すると回転駆動される駆動ローラが転写ベルトを掛け回している箇所において、転写ベルトの厚みの変動によって駆動ローラ中心からベルト表面までの距離が変化してしまうのでベルト速度が変動する。特に一体成形されたシームレスベルトの場合、ベルト一周にわたる厚み偏差が発生しやすい。
そこで、本実施形態のレーザープリンタでは、転写搬送ベルト60の速度を一定に維持するために、転写搬送ベルトの厚さの変化に起因する速度変動を補正するベルト駆動制御装置を設けている。
図3は、ベルト駆動制御装置のブロック図である。図3に示すベルト駆動制御装置は、モータ駆動部615と、コントローラ部614とを備えている。モータ駆動部615には、モータ17、サーボアンプ603、ループフィルタとチャージポンプとからなる公知のPLL制御系604が設けられている。サーボアンプ603はモータ17の電流を検出するとによって構成できる公知の電流源型の構成を取っている。コントローラ部614には、比較器605、目標基準信号生成部606、目標関数演算部607、ベルト周期変動検出部608が設けられている。
また、転写搬送ベルト60にホームポジションマーク613を設け、このホームポジションマーク613を検知するベルトマーク検知センサ612が画像形成装置内の固定部材に取り付けられている。ホームポジションマーク613は、金属膜などの反射部材で構成されており、画像形成に影響を与えないようにベルト端部や内周面の任意の位置に貼り付けられている。ホームポジション検知センサ612は、反射型フォトセンサであり、ホームポジションマーク613の通過を検出してパルスが出力される。ホームポジション検知センサ612から出力されたパルスは、ホーム検出部609を介してコントローラ部614に送られる。
従動ローラ62の同軸上に設けられたロータリエンコーダは、従動ローラ62の回転角に応じた波形を出力する。出力された波形は、エンコーダ回転検出部610を介してコントローラ部614に送られる。
このように、エンコーダ回転検出部610からコントローラ部614へ送られた信号は、ベルト周期変動検出部608または比較器605に送られる。後述する事前動作で検出された信号である場合は、ベルト周期変動検出部608に送られる。また、後述するフィードバック制御を行うために検出された信号である場合は、比較器605に送られる。
一方、ホーム検出部609からコントローラ部614へ送られた信号は、ベルト周期変動検出部608または目標関数演算部607に送られる。
エンコーダ回転検出部610からベルト周期変動検出部608へ送られた信号は、ホーム検出部609からの信号を基準にして、ベルトの厚さの変化に起因する速度変動を検出し、目標関数演算部607へ出力する。ベルト周期変動検出部608からの出力値は、ベルト厚み変化に起因する速度変動の基本(一次成分)波および高調波成分の振幅および位相数値である。
目標関数演算部607は、ベルト周期変動検出部608で得られたベルト厚み変動の基本波及び高調波成分の振幅および位相数値と、予めローラ径などから求められ図示しない画像形成装置の記録手段に記憶されている振幅補正係数η、位相補正値Tとを用いて、ベルト搬送速度を一定にするための従動ローラの目標回転変動を演算する部分である。ここで演算された目標回転変動と同じように従動ローラの回転角速度を変動させることで、ベルト搬送速度を一定にすることができる。
この目標回転変動は、画像形成が開始されベルトが駆動し、ベルト上のホームポジションマーク613をホームポジション検知センサ612が検知する度に設定される。目標回転変動の算出は、まず、ベルト上のホームポジションマーク613をホームポジション検知センサ612が検知したら、ホーム検出部609で時間計測を開始する。そして、もう一度ベルト上のホームポジションマーク613をホームポジション検知センサ612が検知したら、時間計測を停止する。このホーム検出部609で計測された時間が目標関数演算部607に送られる。目標関数演算部607では、ホーム検出部609で計測された時間を一周期(基本波の場合)とするSin波を基準とし、ベルト周期変動検出部608で得られた振幅に振幅補正係数ηを乗算して、目標回転変動(目標関数)の振幅値を決定する。また、ホーム検出部609で計測された時間を一周期(基本波の場合)とするSin波を基準とし、ベルト周期変動検出部608で得られた位相に位相補正値Tを加算して目標回転変動(目標関数)の位相値を決定する。これにより、基本波の目標回転変動(目標関数)が生成される。高調波成分においても同様に、ホーム検出部609で計測された時間をn周期とするSin波をそれぞれ基準とし、ベルト周期変動検出部608で得られた振幅に振幅補正係数ηを乗算し、ベルト周期変動検出部608で得られた位相に位相補正値Tを加算して高調波成分の目標回転変動(目標関数)が生成される。そして、基本波の目標関数と、高調波成分の目標関数とを加算して目標回転変動(目標関数)が生成される。
上記においては、画像形成毎に目標回転変動(目標関数)を演算しているが、装置にあるCPU、またはDSPの処理能力、メモリ容量に応じて、予め目標回転変動(目標関数)を演算して、数値をテーブル化して保存しておき、画像形成毎に読み出すようにしてもよい。
目標基準信号生成部606は、後述する比較器605でフィードバックされるエンコーダ出力信号と比較するための基準信号を目標回転変動(目標関数)に基づき生成する部分である。目標基準信号生成部606で生成される基準信号は、エンコーダ回転検出部610からフィードバックされる出力信号によって異なる。
目標基準信号生成部606で生成された目標基準信号とフィードバックされたエンコーダ回転検出信号との差分が比較器605で算出され、そのデータがモータ駆動部615のループフィルタとチャージポンプとからなる公知のPLL制御系604に送られる。そして、PLL制御によって出力が調整され、モータの駆動トルクが調節される。こうして、ベルトを所望の速度で搬送することが可能となる。
次に、ベルトの厚さの変化に起因する速度変動を検出して、目標回転変動(目標関数)を求めるために行われる事前動作について説明する。図4は、事前動作のフローチャートである。図4に示すように、まず、モータ17を一定速度で駆動させる(S1)。次にモータ17が一定角速度で回転しているかを確認する(S2)。ステッピングモータであれば、駆動パルスが目標周波数に到達したかを確認し、DCモータでれば、モータ軸にあるMRセンサの出力から速度を確認する。また、モータ17の回転速度から確認する以外に、直接駆動ローラの回転角速度をロータリエンコーダから確認してもよい。モータが定速駆動されていることを確認した後(2のYES)、ベルトのホームポジション信号とエンコーダ回転角情報(回転角変位又は回転角速度)とをサンプリングを開始する(S3)。サンプリングを開始したら、ベルトがn周回転したかどうかを検知する(S4)。具体的には、ベルトのホームポジションマーク613の検知回数が規定回数カウントしたかどうかを検知する。ベルトがn周回転したら(4のYES)、ベルトn周にわたりサンプリングされたデータD1を用いて、従動ローラの回転変動データD2を算出する(S5)。ここでは、モータ17を定速駆動した時の従動ローラ14の平均角変位又は平均角速度を求めて、こられ平均データとサンプリングデータD1との差分を回転変動データとしている。この回転変動データD2より、上述のベルト周期変動検出部608でベルトの厚さの変化に起因する速度変動成分の振幅とベルトホームポジションマーク613を基準とした位相を算出する(S6)。同様に高次成分が存在する場合には、高次成分の振幅、位相も直交検波を用いて算出する(S7)。
上記示した事前動作によって求められた、ベルトの厚さの変化に起因する速度変動成分の振幅とベルトホームポジションマーク613を基準とした位相とに基づいて、目標関数を求める。そして、この目標関数に基づいてモータの駆動を制御することで、転写搬送ベルト60の速度を一定にすることができる。このように、転写搬送ベルト60を一定速度で回転させることができるので、転写搬送ベルト60に担持された転写紙に色ずれなどが発生することがなく良好な画像を得ることができる。
また、本実施形態の転写搬送ベルト60は、ベルトテンションの偏りや各ローラの組付け精度等の影響により、回転移動方向と直行する方向(以下、「幅方向」という)に片寄りしてローラから脱落しないように寄り止めガイド620を設けている。図5は、転写搬送ベルト60の寄り止めガイド620を示す。図5に示すように、寄り止めガイド620は、転写搬送ベル60の内周面一端部に接着または両面テープによる貼り付け等で取り付けられている。寄り止めガイド620は、例えば、ウレタンなどの伸縮可能なゴム材料にて製作され、高精度にカッティングされた角帯状材料で構成されている。各ローラの一端部には、この寄り止めガイド620と係合するガイド溝62aが形成されている。これら各ローラのガイド溝の側面が寄り止めガイド620の片寄りを受け止めることで、転写搬送ベルト60がローラから脱落してしまうのを防止することができる。また、上述のホームポジションマーク613が蒸着などにより寄り止めガイド620の表面に取り付けられている。
図6は、転写ユニット(以下、ベルト装置)の要部説明図である。図6に示すように、ホームポジション検知センサ612は、転写搬送ベルト60内側の寄り止めガイド620と対向する位置に設けている。
各ローラにベルト60を組付けたときは、寄り止めガイド620は、ローラのガイド溝62aのほぼ中央に位置しているが、ベルトテンションの偏りや張架ローラの組付け精度等の影響により、寄り止めガイド620は、ローラのガイド溝62aの側面のどちらか一方に移動する。すると、より止めガイド620の表面に接着されたホームポジションマーク613がホームポジション検知センサ612と対向しなくなり、ホームポジション検知センサ612がホームポジションマーク613を検知できなくなってしまう場合がある。このため、本実施形態においては、ベルトの寄り方向に基づいてホームポジション検知センサ612を移動させて、ホームポジション検知センサ612を常にホームポジションマーク613と対向させるように構成している。以下に、各実施例に基づき説明する。
[実施例1]
以下、図6〜図9に基づき、実施例1のベルト装置ついて説明する。実施例1のベルト装置では、ベルトの寄り方向を検知する検知手段を設けその検知結果に基づきホームポジション検知センサ612をベルトの寄り方向に移動させるものである。
図6に示すように、転写搬送ベルト60外周面の一端部には、ベルトの幅方向の移動(寄り方向)を検知するための検知マーク630が貼り付けられている。また、この検知マーク630を検知するベルト寄り方向検知センサ631が設けられている。
検知マーク630は、図7に示すように、ベルト幅方向に対して平行な基準線630aと、ベルト幅方向に対して傾斜した検知線630bとからなっている。検知線630bは、装置奥側に行くに従って基準線630aと近づくような傾斜線となっている。上記基準線630aと検知線630bとは、金属等の反射率の高い部材で構成する。ベルト寄り方向検知センサ631は、反射型フォトセンサであり、上記基準線630a及び検知線630bの通過を検出してパルスが出力される。
図8は、ホームポジション検知センサ取り付け装置640を説明した図である。図8に示すようにホームポジション検知センサ取り付け装置640は、枠体643と、スライドガイド641と、スクリュウーネジ644と、バネ642とを備えている。スライドガイド641は、ホームポジション検知センサ612と遊貫しており、ホームポジション検知センサ612を枠体643内で支持している。枠体643の装置手前側側面643aには、貫通孔が設けられており、この貫通孔内周面には、ネジ溝が設けられている。スクリューネジ644は、上記貫通孔のネジ溝に螺合している。また、スクリューネジ644の先端は、ホームポジション検知センサ612の装置手前側側面612aと突き当たる突き当て部644aを備えている。バネ642は、枠体643の装置奥側側面643bに取り付けられており、ホームポジション検知センサ612を装置手前側へ付勢している。枠体643のベルト幅方向長さは、ローラのガイド溝62aのベルト幅方向長さと同一に設定されている。
後述するベルト寄り検知により、転写搬送ベルト60が装置奥側に寄っていることが検知されたら、スクリュウーネジ644を回転させ、バネ642の付勢力に抗ってホームポジション検知センサ612を枠体643の装置奥側側面643bに突き当てる。これにより、ベルト60が装置奥側によっても、ホームポジションマーク613とホームポジション検知センサ612とを対向させることができる。一方、後述するベルト寄り検知により、転写搬送ベルト60が装置手前側に寄っていることが検知されたら、スクリュウーネジ644を逆回転させる。すると、ホームポジション検知センサ612がバネ642の付勢力により枠体643の装置手前側側面643aに当接する。これにより、ベルトが装置手前側によっても、ホームポジションマーク613とホームポジション検知センサ612とを対向させることができる。このようにして、ホームポジション検知センサ612をホームポジションマーク613と対向する位置に移動させたら、このホームポジション検知センサ612と枠体643との間をネジで締結するなどして固定する。
上記スクリューネジ644の回転は、手動で行っても良いし、スクリューネジ644にモータを取り付けて、自動的に行うようにしてもよい。
次に、ベルト寄り方向の検知について説明する。図9は、ベルト寄り方向検知のフローチャートである。図9に示すように、まず、ローラに転写搬送ベルト60が組みつけられた後、モータ17を駆動させ、転写搬送ベルト60を所定回数回転させる(S1)。このように、転写搬送ベルト60を所定回数回転させることで、転写搬送ベルト60がベルト幅方向のどちらか一方(装置手前側または装置奥側)に寄り、寄り止めガイド620がローラガイド溝の側面のどちらか一方と当接する。所定回数回転したら、ベルト寄り方向検知センサ631をプリンタの所定箇所に設けられたセンサ取り付けホルダに取り付ける。このベルト寄り方向検知センサ631は、図示しない外部の計測装置に接続されている。ベルト寄り方向検知センサ631を取り付けたら、モータ17を所定の角速度で駆動させて、転写搬送ベルト60を回転させる(S2)。次に、ベルト寄り方向検知センサ631が基準線630aを検出したか否かをチェックする(S3)。ベルト寄り方向検知センサ631が基準線630aを検出したら(S3のYES)、計測装置は、時間の計測を開始する(S4)。次に、ベルト寄り方向検知センサ631が、検知線630bを検出したか否かをチェックする(S5)。検知線630bを検出したら(S5のYES)、計測装置は時間の計測を停止(S6)して、ベルト寄り方向検知センサ631が基準線630aを検出してから検知線630bを検出するまでの計測時間t1を求める(S7)。計測装置のメモリには、モータを所定の角速度で駆動させたときのベルト寄り方向検知センサ631が基準線630aの中央を検出してから検知線630bの中央を検知するまでの基準時間t2が記憶されている。そして、上記計測時間t1と基準時間t2とを比較する(S8)。比較の結果、計測した時間t1が基準時間t2よりも短い場合(S8のNO)は、ベルトが装置奥側に寄っていると判定し、このことを計測装置の表示部に表示する(S10)。一方、比較の結果、計測した時間t1が基準時間t2よりも短い場合(S8のYES)は、ベルトが装置手前側に寄っていると判定し、このことを計測装置の表示部に表示する(S9)。
作業者は、この検知結果に基づき、前述したようにスクリュウーネジ644を回転させて、ホームポジションマーク検知センサ612を装置手前側または装置奥側へ移動させてホームポジションマーク検知センサ612を枠体643に固定する。固定が終わったら、ベルト寄り方向検知センサ631を画像形成装置から取り外す。
寄り止めガイド620がローラガイド溝62aの側面のどちらか一方と当接してしまった後は、ベルト60がこれ以上幅方向に寄ることがない。このため、転写搬送ベルト60を所定回数回転させて寄り止めガイド620がローラガイド溝62aの側面のどちらか一方と当接してしまった状態のときのベルト寄り方向をベルト寄り検知センサ631で検知して、この検知結果に基づいてホームポジション検知センサ612を移動させれば、一度のだけの検知で常にホームポジション検知センサ612をホームポジションマークと対向する位置に配置することができる。
また、寄り止めガイド620がローラガイド溝62aの側面のどちらか一方と当接してしまった状態のときのベルト寄り方向を検知した後は、ベルト寄り方向検知センサ631は不要となる。よって、寄り止めガイド620がローラガイド溝62aの側面のどちらか一方と当接した状態のときのベルト寄り方向をベルト寄り方向検知センサ631で検知した後、ベルト寄り方向検知センサ631を取り外すようにすれば、画像形成装置毎にベルト寄り方向検知センサ631を設ける必要がなくなり、画像形成装置のコストを下げることができる。
また、ベルト寄り方向検知結果に基づいて、ホームポジションマーク検知センサ612を移動させた後、ホームポジション検知センサ612を枠体643に固定することで、ホームポジション検知センサ612が何らかの影響でベルト幅方向に移動してホームポジションマーク613と対向しなくなることを抑制できる。
上記においては、ベルト寄り検知のときに外部の計測装置に接続されたベルト寄り方向検知センサ631を取り付け、検知終了後ベルト寄り方向検知センサ631を画像形成装置から取り外しているが、これに限られない。ベルト寄り方向検知センサ631を画像形成装置内部の制御部に接続して初めから画像形成装置に取り付けた構成としてもよい。この場合、画像形成装置の制御部で計測時間t1を求める。また、画像形成装置の記憶手段に基準時間t2を記憶しておき、制御部で計測時間t1とt2とを比較する。この比較の結果を画像形成装置の表示部に表示する。
このように、初めから画像形成装置にベルト寄り方向検知センサ631を備えることで、ベルトの寄りを検知するために計測装置に接続されたベルト寄り方向検知センサ631を準備したり、ベルト寄り方向検知センサ631を画像形成内部に取り付けたりする手間がなくなる。その結果、ベルト寄り方向の検知を容易に行うことができる。
[実施例2]
次に、実施例2のベルト装置について説明する。実施例2のベルト装置は、ホームポジション検知センサ612をベルトの幅方向の移動に連動して移動するように構成したものである。以下、図10、図11に基づき、実施例2について説明する。
図10は、実施例2のベルト装置におけるホームポジション検知センサ取り付け装置650を示す図である。図10に示すように、このホームポジション検知センサ取り付け装置650は、バネ651と、摺接部材652と、支持部材653とからなっている。摺接部材652は、転写搬送ベルト60の端面と摺接している。バネ651は、その一端が摺接部材652のベルト端面と当接している面と反対側の面に取り付けられており、他端が画像形成装置の側壁面に取り付けられている。バネ651は、摺接部材652をベルト側に付勢させている。支持部材653は、その一端が摺接部材652に取り付けられている。支持部材653は、転写搬送ベルト60と平行にベルト側に延びるアーム部653aを有しており、このアーム部653aにホームポジション検知センサ612が寄り止めガイド620と対向するように取り付けられている。
ベルトテンションの偏りや張架ローラの組付け精度等の影響により、ベルト60が図中右側に移動すると、バネ651の付勢力により、摺動部材652がベルト60の幅方向の移動に連動して図中右側に移動する。すると、摺接部材652に取り付けられている支持部材653も図中右側に移動する。その結果、支持部材653に取り付けられたホームポジション検知センサ612もベルト60の幅方向の移動に連動して図中右側に移動する。一方、ベルト60が図中左側に移動すると、ベルト端面が摺接部材652を図中左側に押し込み、ホームポジション検知センサ612もベルト60の幅方向の移動に連動して図中左側に移動する。
これにより、ホームポジション検知センサ612は寄り止めガイド表面に接着されているホームポジションマーク613と常に対向することができる。
また、ホームポジション検知センサ取り付け装置650を図11に示すように構成しても良い。図11に示すホームポジション検知センサ取り付け装置660は、寄り止めガイドの一方の側面と摺接する第1コロ部材661と、寄り止めガイド620の他方の側面と摺接する第2コロ部材662とを有している。寄り止めガイド620は、この第1コロ部材661と第2コロ部材662と挟み込まれるようにして、第1コロ部材661と第2コロ部材662との間を移動する。第1コロ部材661の中心からは、ホームポジション検知センサ612を支持する第1支持部材663が延びている。また、第2コロ部材662の中心からは、ホームポジション検知センサ612を支持する第2支持部材664が延びている。第1支持部材663、第2支持部材664は、それぞれアーム部663a、664aを有しており、この2つのアーム部部663a、664aが寄り止めガイド620と対向するようにホームポジション検知センサ612を支持している。図11に示すホームポジション検知センサ取り付け装置660は、ホームポジション検知センサ612がベルト進行方向に移動しないようにガイド部材665を設けている。このガイド部材665は、一端が画像形成装置に取り付けられている。
転写搬送ベルト60が図11中の右側に移動すると、寄り止めガイド620が第2コロ部材662を図中右側に移動させる。これにより、第2コロ部材662に第2支持部材664を介して連結されているホームポジション検知センサ612がベルトの幅方向の移動に連動して図中右側に移動する。また、転写搬送ベルト60が図11中の左側に移動すると、寄り止めガイド620が第1コロ部材661を図中左側に移動させる。これにより、第1コロ部材661に第1支持部材663を介して連結されているホームポジション検知センサ612がベルトの幅方向の移動に連動して図中左側に移動する。このようにして、図11に示すホームポジション検知センサ取り付け装置660においても、ホームポジション検知センサ612がベルト60の幅方向の移動に連動して移動する。これにより、ベルト寄り止めガイド表面に設けられたホームポジションマーク613と常に対向することができ、確実にベルトのホームポジションを検知することができる。
なお、本実施形態においては、ホームポジションマーク613を寄り止めガイド620の表面に貼り付けているが、これに限られない。例えば、寄り止めガイド620よりも内側にホームポジションマーク613を設けても良いし、寄り止めガイド620よりも端面側にホームポジションマーク613を設けても良い。また、ホームポジションマーク613は、ベルト内周面に限らず、ベルト外周面に設けても良い。
また、ホームポジションマーク613を転写搬送ベルト60の寄り止めガイド620が設けられている側の端面と反対側に設けても良い。しかしながら、寄り止めガイド620が設けられている側の端面にホームポジションマーク613を設けるのが好ましい。寄り止めガイド620が設けられている側の端面は、経時の使用等による転写搬送ベルト60のベルト幅方向に伸びの影響が、寄り止めガイド620が設けられていない側の端面に比べて少ない。これは、寄り止めガイド620がベルト60の補強部材の役割を果たすためである。よって、、寄り止めガイド620が設けられている側の端面にホームポジションマーク613を設けた方が、ホームポジションマーク613がベルト60の幅方向の伸びなどにより移動せず、経時において安定的にホームポジションマーク613を検知することができる。
次に、本実施形態で使用されるトナーについて説明する。本実施形態で使用されるトナーは、600dpi以上の微少ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径を3〜8μmとするのが好ましい。また、本実施形態に使用されるトナーの体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。(Dv/Dn)が1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このよう、本実施形態で使用されるトナーを小粒径で粒径分布の狭いトナーとすることで、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができる。また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
[ポリエステル]
ポリエステルについては、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得ることができる。このときに用いる多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)や3価以上の多価アルコール(TO)を例示することができ、DIOを単独で、あるいは少量のTOに混合して用いることが好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)を例示することができ、DICを単独で、あるいは少量のTCとの混合して用いることが好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
ポリエステルには、上述の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルを含有せしめることが好ましい。ウレア変性のポリエステルは、上述の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。また、2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。また、3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。更に、アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり、1/2未満であったりした場合は、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
[着色剤]
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用することができる。
[荷電制御剤]
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
[離型促進剤]
離型促進剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型促進剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型促進剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型促進剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
[外添剤]
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
[トナーの製造方法]
(1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型促進剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
(2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。上述の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
(3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
(4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
(5)上述のようにsいて得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
以上のような製造方法によって製造されたトナーとしては、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、且つ形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるものを用いることが望ましい。形状係数SF−1や形状係数SF−2は、トナーの形状を表すパラメータの一つである。形状係数SF−1は、トナー粒子等の球形物質における丸さの度合いを示す値である。図12に示すように、球形物質を2次元平面上に投影して得られる楕円状図形の最大径箇所の長さMXLNGの二乗を面積AREAで除算し、更に100π/4を乗じた値である。つまり、「SF−1=((MXKING)2/AREA)×(π/4)×100」という式によって表すことができる。なお、πは円周率である。形状係数SF−1の値が100の球形物質は真球であり、SF−1の値が大きくなるほど、球形物質の形状は不定形となる。
形状係数SF−2は、球形物質の表面における凹凸の度合いを示す数値である。図13に示すように、球形物質を2次元平面上に投影して得られる図形の周長PERIの二乗を面積AREAで除算し、更に100/4πを乗じて求められる値である。つまり、形状係数SF−2は、「SF2=((PERI)2/AREA)×(1/4π)×100」という式によって表すことができる。なお、形状係数SF−2の値が100である球形物質は、その表面に凹凸が全く存在しない。形状係数SF−2の値が大きくなるほど、球形物質の表面の凹凸は顕著となる。
トナーの形状が真球に近づく(SF−1、SF−2ともに100に近づく)ほど、転写効率が高くなることが本発明者の検討により明らかになっている。これは、真球に近づくほど、トナー粒子とこれに接触するモノ(トナー粒子同士、像担持体など)との間の接触面積が小さくなって、トナー流動性が高まったり、モノに対する吸着力(鏡映力)が弱まって転写電界の影響を受け易くなったりするためと考えられる。本発明者の研究によれば、形状係数SF−1、形状係数SF−2で180がそれぞれ超えると、転写効率を急激に悪化させ始める。180以下のものであれば、転写チリのない良好な画像を形成することができる。
そこで、本プリンタにおいては、後述する指定法により、形状係数SF−1、形状係数SF−2ともに、100〜180の範囲にあるトナーを用いるべき旨をユーザーに指定している。
形状係数SF−1や形状係数SF−2については、次のようにして求めることが可能である。即ち、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、トナー粒子を無作為に100個選んで順次その画像を撮影し、その画像情報をニレコ社製画像解析装置(LUSEX3)に導入してMXLING、AREA、PERIを求める。そして、上述した式によって得た形状係数の100個あたりの平均値として算出するのである。
トナーとしては、ほぼ球形状であり、その形状が長軸長さr1、短軸長さr2、厚さr3で規定され(但し、r1≧r2≧r3とする。)、r1とr2との比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲にあり、且つr3とr2との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲にあるものを用いることが望ましい。
図14(a)〜(c)は、それぞれ、トナーの形状を説明するための模式図である。模式的に示す図である。これらの図において、上述のトナーは、長軸長さr1と短軸長さr2との比(r2/r1)は、)が0.5〜1.0になっている。また、厚さr3と短軸長さr2との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲になっている。長軸長さr1と短軸長さr2との比(r2/r1)が0.5未満であるいと、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さr3と短軸長さr2との比(r3/r2)が0.7未満であると、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸長さr2との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。そこで、本プリンタでは、後述する指定法により、かかる構成のトナーを用いるべき旨をユーザーに指定している。なお、r1、r2、r3は、例えば次のような方法によって測定することができる。即ち、トナーを平滑な測定面上に均一に分散付着させ、該トナーの粒子100個について、カラーレーザー顕微鏡「VK−8500」(キーエンス社製)により500倍に拡大して、該100個のトナー粒子の長軸r1(μm)、短軸r2(μm)、厚さr3(μm)を測定し、それらの算術平均値から求めることができる。
所定の要件を満たす磁性キャリアやトナーの使用をユーザーに指定する方法は次の通りである。即ち、例えば、その要件を満たすトナーをプリンタ内や現像装置内にセットした状態でプリンタを出荷することによって行うことができる。また例えば、その要件を満たすトナーを、プリンタ本体や現像装置とともに梱包して出荷することによって行ってもよい。また例えば、その要件を満たすトナーの製品番号や商品名などを、プリンタ本体、現像装置、これらの取扱説明書などに明記することによって行ってもよい。また例えば、ユーザーに対して書面や電子データ等をもって上記要件、製品番号、商品名などを通知することによって行ってもよい。
以上の実施形態においては、転写搬送ベルト60上に感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kが複数並べて配設されるタンデム式画像形成装置の転写搬送ベルトに本発明を適用した。本発明が適用可能な画像形成装置及びベルト装置はこの構成に限るものではない。タンデム式画像形成装置の、各色トナー像形成部による画像を転写ベルト上に形成した後、さらに転写ベルトから転写用紙に転写する中間転写ベルトに適応可能であることはもちろんである。
図15は、リボルバ式画像形成装置である。図15に示すように、この画像形成装置は、中間転写ベルト501のトナー像の転写領域外の内周面に、ベルトの回転位置を検知するための回転方向位置検知マーク519が設けられている。また、回転方向位置検知用マーク519が通過する所定の通過領域には、マーク519を検知するための光検知型の位置検知センサ803が支持ホルダ(不図示)に取り付けられている。そして、中間転写ベルト501が図中矢印方向に回転し、位置検知用マーク519がマークセンサ803の検知領域を通過すると、位置検知用センサ803の検知信号が変化する。リボルバ式画像形成装置は、このマークセンサ803の検知信号に基づいて、中間転写ベルト501の回転位置を感光体ドラム100の回転に同期させるように制御する位置合わせ制御装置を備えている。
位置合わせ制御装置は、以下のような制御を行う。マークセンサ803が位置検知用マーク519を検知すると、マークセンサ803のセンサ出力信号が、インターフェースを介して、画像形成装置の制御部に入力される。制御部は、この出力信号に基づいて、各作像(まず、感光体ドラム100への静電潜像の書き込み)が開始される。このように、位置検知センサ803が被検知マーク519を検知するタイミングに合わせて各作像が開始されることにより、中間転写ベルト501の回転位置と感光体ドラム100の回転位置とが互いに同期され、中間転写ベルト501に対する各色トナー像の転写位置がそれぞれずれないように制御される。
上記リボルバ式画像形成装置の位置合わせ制御装置においては、中間転写ベルト501に寄りが発生しても、位置検知センサ803が被検知マーク519を検知することができる。これにより、各作像が開始されるタイミングがずれることなく、中間転写ベルト501に対する各色トナー像の転写位置がずれることがない。
さらに、複数のローラに張架された無端状ベルトをそのローラのうちの少なくとも1以上のローラで回転駆動するベルト装置とベルトで端部にガイドを有する画像形成装置のベルト装置であればいずれにも適用可能である。また、上記実施形態では、光学的な検知手段による検出用いて本発明を説明したが、磁気的な検知手段等他の検知手段にも適用可能である。
(1)
以上、本実施形態のベルト装置によれば、ベルトの幅方向の移動に基づいて回転方向位置検知手段としてのホームポジション検知センサをベルト幅方向に移動させる。これにより、ベルトテンションの偏りや各張架ローラの組付け精度等の影響により、ベルトがベルト幅方向に寄っても、ホームポジション検知センサを回転方向位置検知用マークとしてのホームポジションマークと対向させることができる。その結果、ベルトがベルト幅方向に寄っても、ホームポジション検知センでホームポジションマークを検知することができ、良好に適切な作像開始タイミングを決定したり、ベルトの速度変動を良好に検知したりすることができる。
(2)
また、実施例1のベルト装置によれば、ベルトの幅方向の移動を検知する幅方向検知手段を設け、この幅方向検知手段の検知結果に基づき上記ホームポジション検知センサを移動させている。具体的には、ベルトの端面に設けられたベルト幅方向に対して平行な基準線630aと、ベルト幅方向に対して傾斜した検知線630bとからなる検知マークと、この検知マークを検知するベルト寄り方向検知センサとで幅方向検知手段を構成する。そして、このベルト寄り方向検知センサの検知結果に基づいて、ホームポジション検知センサを移動させる。これにより、ホームポジション検知センサをベルトの幅方向の移動に基づいて移動することができ、ベルトがベルト幅方向に寄っても、ホームポジション検知センサをホームポジションマークと対向させることができる。
(3)
また、実施例1のベルト装置によれば、ベルトを所定回数回転させて寄り止めガイドをローラのガイド溝に接触させて、ベルトがこれ以上幅方向に移動しなくなってからベルトの幅方向の移動を検知している。これにより、一度だけベルト寄り方向検知センサでベルトの移動方向を検知して、この検知結果に基づきホームポジション検知センサを移動させるだけでよい。
(4)
また、ホームポジション検知センサが移動し終わった後にホームポジション検知センサを固定することで、ホームポジション検知センサが何らかの要因でベルト幅方向に移動してホームポジションマークと対向しなくなることを防止することができる。よって、経時にわたりホームポジションマークの検知を良好に行うことができる。
(5)
また、実施例2のベルト装置によれば、ベルトの幅方向の移動に連動してホームポジション検知センサをベルトの幅方向に移動するように構成する。これにより、常にホームポジションマーク検知センサのベルト幅方向の位置をホームポジションマークのベルト幅方向位置にすることができる。よって、ホームポジションマークをホームポジションマーク検知センサで良好に検知することができる。
(6)
また、実施例2のベルト装置によれば、ベルト端面と当接してベルト端面のベルト幅方向の移動に連動してベルト幅方向移動する摺接部材を備え、ホームポジション検知センサは、この摺接部材に支持されている。この摺動部材が、ベルト端面の移動と連動して移動することで、摺動部材に支持されているホームポジション検知センサがベルトの幅方向の移動に連動して幅方向に移動することができる。
(7)
また、実施例2のベルト装置を、寄り止めガイドと当接して寄り止めガイドのベルト幅方向の移動に連動してベルトの幅方向に移動する摺接部材としての第1コロ部材と第2コロ部材とを備え、ホームポジション検知センサは、上記第1コロ部材と第2コロ部材とに支持されている。ベルトが幅方向に移動すると、これに連動して寄り止めガイドが移動する。すると、寄り止めガイドと摺接している第1コロ部材及び第2コロ部材が寄り止めガイドと連動して移動する。第1コロ部材及び第2コロ部材が移動すると、これらからに支持されているホームポジション検知センサが移動する。このようにして、寄り止めガイドのベルト幅方向の移動に連動してホームポジション検知センサをベルト幅方向に移動させることができる。
(8)
また、本実施形態のベルト装置によれば、ベルトの一方の端部に寄り止めガイドを有しており、この寄り止めガイドを設けた方の端部にホームポジションマークを設ける。寄り止めガイドがベルトの補強部材の役目を果たし、寄り止めガイドを有するベルト端部側は、寄り止めガイドを有しない端部側に比べて、ベルトの幅方向の伸びなどの影響が少ない。このため、寄り止めガイドを有するベルト端部側にホームポジションマークを設けることで、経時の使用等でベルトが幅方向の伸びホームポジションマークがホームポジション検知センサと対向しなくなることを寄り止めガイドを有しない端部側に比べて抑制することができる。
(9)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、上記に示した(1)〜(8)の特徴を有するベルト装置を用いているので、ベルトの速度変動を良好に検知することができ、良好なベルト駆動制御を行うことができる。
(10)
また、本実施形態の位置合わせ制御装置によれば、上記に示した(1)〜(8)の特徴を有するベルト装置を用いているので、確実にベルトまたはベルトに担持搬送された転写紙の所定の位置に画像を形成することができる。
(11)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、上記に示した(10)の位置合わせ制御装置を備えているので、確実にベルトまたはベルトに担持搬送された転写紙の所定の位置に画像を形成することができる。
(12)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、上記に示した(9)のベルト駆動制御装置を備えているので、ベルトの速度変動が生じることがなく、良好な画像を得ることができる。
(13)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、ベルトの速度変動に基づく色ずれや、転写開始タイミングに基づく色ずれの発生が防止でき、カラー画像を高品位な画質のものに維持することができる。
(14)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、重量平均粒径が3.0[μm]以上8.0[μm]以下、重量平均粒径Dvと個数平均粒径Dnとの比(Dv/Dn)が1.0以上1.40以下であるトナーを用いている。このように小粒径且つ粒度分布がシャープなトナーを使用することで、先鋭性、高精細性に優れた画像を得ることが可能となる。また、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌汚れの少ない高品位な画像を得ることができる。さらに、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
(15)
また、本実施形態では、トナーとして、形状係数SF−1が100以上180以下、かつ、形状係数SF−2が100以上180以下であるものを用いた。実験によれば、形状係数SF−1が180以下で、形状係数SF−2が180以下であれば、ともに100に近づくほど転写効率が高くなることが判った。
(16)
また、本実施形態の画像形成装置では、トナーを少なくとも窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を水系溶媒中で架橋および、または伸長反応させて製造している。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。
(17)
長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。