JP4787062B2 - 靭性および耐sr割れ性に優れた溶接金属 - Google Patents

靭性および耐sr割れ性に優れた溶接金属 Download PDF

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Description

本発明は、靭性および耐SR割れ性に優れた溶接金属に関し、詳細には、2.0〜3.25%Cr−0.8〜1.2%Mo鋼(以下、「Cr−Mo系鋼」と呼ぶ場合がある。)の溶接金属に関するものである。上記の溶接金属は、例えば、発電プラントや化学プラントなどの溶接構造体材料に好適に用いられる。
溶接構造体の材料として、高温特性に優れたCr−Mo系鋼などのフェライト系耐熱鋼が汎用されている。Cr−Mo系鋼は、強度の向上などを目的として、Ti、Vなどの合金元素が更に添加されることが多いが、本願明細書では、これらをまとめて「Cr−Mo系鋼」と呼ぶ。
溶接構造体は、通常、溶接金属の内部に残留した応力を除去するため、溶接後に熱処理(Post−Weld heat−treatment、PWHT)が施される。
しかしながら、Cr−Mo系鋼にPWHTを行うと、図1(a)に示すように、ビード[1回の溶接操作(パス)によって得られる溶接金属]とビードとの境界部にフェライト組織の一部が著しく粗大化した帯状の組織(フェライトバンドと呼ばれる。図中、●)が発生し、靭性や引張強度などの機械的特性が低下するようになる。フェライトバンドは、主に、溶接金属の凝固過程における成分偏析や、PWHT中における溶接金属中の炭素移動に起因して生じると考えられている。また、図1(b)に示すように、溶接金属中に粒界割れ[再熱割れ、SR(Stress Releif、応力除去焼鈍)割れなどと呼ばれる。以下では、「SR割れ」で代表させる。]が生じるなどの問題もある。
そこで、これらの問題を防止するため、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1および特許文献2には、析出物によるピニング効果を利用して粒界の移動を固定し、フェライトバンドの形成を抑制する方法が記載されている。なお、特許文献2では、主に、約1.3%程度のCrを含むCr−Mo系鋼を対象としている点で、本発明で対象とするCr−Mo系鋼とは、厳密には、Crの範囲が相違している。
このうち特許文献1は、ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの技術に関し、Nb、V、Tiを含有する種々の析出物を溶接金属の粒内と粒界とに生成させるため、チタニア系フラックス入りワイヤを使用している。また、特許文献2は、低合金耐熱鋼用溶接金属の技術に関し、PWHT後に析出する析出物を、NaCl型の炭窒化物(MX型化合物、M=金属)ではなくCr、Moを主体とする炭窒化物にするとフェライトバンドの生成抑制と靭性改善を両立できることが記載されている。しかしながら、これらの特許文献では、SR割れの防止について何も考慮されていない。
特許文献3には、PWHT後の靭性や、耐SR割れ性を含む様々な耐割れ性に優れた溶接金属を得るための高硬度Cr−Mo鋼用溶接ワイヤについて記載されている。ここでは、析出硬化元素であるV、Nbを適量添加して溶接金属の強度を母材と同程度にすると共に、溶接金属の過度な強度上昇と靭性の低下を防止するためにNi、AlおよびNの量を制御している。更に、耐SR割れ性などの観点からP,Sn,SbおよびAsの量を制御し、且つ、Oを適量添加し、更に、靭性改善のためにTiおよびBを適量添加している。
特許文献4には、靭性および耐SR割れ性が良好な高強度Cr−Mo鋼の溶接金属およびサブマージアーク溶接方法について記載されている。ここでは、溶接金属中の旧オーステナイト粒界に析出されるセメンタイトを、セメンタイト以外の炭化物(M、M23、M=金属)とすることによってSR割れの防止を図っており、そのために、溶接金属の組成およびSR条件を適切に制御している。
特開2004−58086号公報 特開2004−91860号公報 特許第3251424号明細書 特許第3283763号明細書
前述したように、フェライトバンドの生成による靭性などの低下やSR割れの発生防止を目的として、ワイヤなどの溶接材料(溶化材)や溶接金属の改良技術が種々提案されているが、更なる向上が求められている。
更に、溶接効率などを考慮すると、溶接方法の中でも、ガスシールドアーク溶接法を用いて形成される溶接金属の上記特性を改善する技術の提供が切望されている。特に、溶接作業性などを考慮すると、フラックス(鉱物の粉体)入りワイヤを用いたガスシールドアーク溶接法で形成された溶接金属の上記特性を改善する技術の提供が切望されている。ガスシールドアーク溶接用ワイヤは、フラックス入りワイヤとソリッドワイヤとに大別されるが、フラックス入りワイヤは、ソリッドワイヤに比べてスパッタが少ないこと、下向姿勢のみならず立向姿勢及び上向姿勢においても溶接作業性が良好である、など種々の長所を有しているからである。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フェライトバンドの生成を抑制して靭性および引張強度が高められ、且つ、耐SR割れ性も良好なCr−Mo系鋼の溶接金属を提供することにある。
本発明の他の目的は、ガスシールドアーク溶接法を用いて形成される溶接金属であって、上記特性が改善された溶接金属を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを用いて形成される溶接金属であって、上記特性が改善された溶接金属を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る靭性および耐SR割れ性に優れた溶接金属は、C:0.02〜0.06%(質量%の意味。以下、同じ)、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.3〜1.5%、Cr:2.0〜3.25%、Mo:0.8〜1.2%、Ti:0.010〜0.05%、B:0.0005%以下(0%を含む)、N:0.002〜0.0120%、O:0.03〜0.07%、残部:Feおよび不可避不純物であり、更に、Nの含有量[N]とTiの含有量[Ti]との比が、2.00<[Ti]/[N]<6.25の範囲を満足することに要旨を有している。
好ましい実施形態において、上記の溶接金属は、更に、Nb:0.01%以下(0%を含まない)、及び/又はV:0.03%以下(0%を含まない)を含有する。
好ましい実施形態において、上記の溶接金属は、更に、P:0.012%以下(0%を含まない)、S:0.012%以下(0%を含まない)に抑制されている。
本発明には、上記のいずれかの溶接金属を含む溶接構造体も包含される。
本発明によれば、旧オーステナイト粒内に析出する炭化物のうち、TiCなどのMC型炭化物の量が減少し、Tiを含む微細なMC型炭化物の量が増加しており、結果的に、旧オーステナイト粒内と旧オーステナイト粒界との強度がほぼ同程度になるように制御されているため、フェライトバンドの生成が抑制されて靭性および引張強度が高められ、且つ、耐SR割れ性も優れたCr−Mo系鋼の溶接金属が得られた。
本発明者は、フェライトバンドの生成による靭性などの低下防止と、SR割れの発生防止とを両立し得るCr−Mo系鋼の溶接金属を提供するため、PWHT時にマトリックス(旧オーステナイト)粒内に析出する種々の炭化物(金属Mと炭素Cとの炭化物)のうち、特に、微細な炭化物(MC型炭化物およびMC型炭化物)に着目して検討を重ねてきた。その結果、Nb、Vなどを主成分とする微細なMC型炭化物の量を低減し、Mo、Crなどを主成分とし、Tiを更に含む微細なMC型炭化物の量を高めると所望の特性を兼ね備えた溶接金属が得られることを突き止めた。そして、このようなMC型炭化物を溶接金属に生成させるためには、溶接金属中のTi量およびN量、Ti量とN量との比([Ti]/[N]、以下、P値で代表させる場合がある。)、並びにB量のすべてを適切に制御する必要があり、これらのいずれか一つでも所定範囲を外れると上記の炭化物は得られず、結果的に、所望とする溶接金属も得られないことを見出し、本発明を完成した。
本発明におけるMC型炭化物は、Cr、MoだけでなくTiを更に含んでいる点で、従来のCr−Mo系鋼の溶接金属におけるMC型炭化物と相違している。以下では、両者を区別するため、本発明におけるMC型炭化物を「Ti含有MC型炭化物」と呼び、従来のMC型炭化物を「Ti非含有MC型炭化物」と呼ぶ場合がある。
この点について、もう少し詳しく説明する。
本発明者は、SR割れの発生は、主に、PWHT時における旧オーステナイト粒内の強度と旧オーステナイト粒界の強度との間の差に起因して生じるという観点に基づき、特に、旧オーステナイト粒内に析出する炭化物に着目して実験を行なった。
Cr−Mo系鋼の溶接金属中の旧オーステナイト粒内には、通常、Ti、Nb、Vを主成分とするMC炭化物が微細に析出しており、これにより粒内が強化されている。そこで、本発明者は、まず、旧オーステナイト粒内のMC型炭化物の量を低減し、旧オーステナイト粒内の強度上昇を抑制する(結果的に、旧オーステナイト粒界の強度との差を少なくすることができる。)ことを試みた。しかしながら、MC型炭化物の量を低減するとフェライトバンドが発生しやすくなり、靭性の低下を招くことが判明した。
上記の実験結果を踏まえ、本発明者は更に検討を重ねた。その結果、MC型炭化物の低減による靭性などの低下を補うには、Tiを含む微細なMC型炭化物(Ti含有MC型炭化物)の量を増加すれば良く、これにより、SR割れの防止とフェライトバンドの抑制とを両立できることを突き止めた。
上記の知見に基づき、本発明者は、Ti含有MC型炭化物の生成を促進する方法について追及した。なお、本発明では、後に詳しく説明するように、溶接金属中のVおよびNbの量は不純物レベルか若しくは極力低減しているため、MC型炭化物は、実質的にTiCであると考えられる。
その結果、Ti含有MC型炭化物の生成は、TiCに代表されるMC型炭化物の生成と競合関係にあり、MC型炭化物の生成が多くなるとTi含有MC型炭化物は生成され難くなることが判明した。更に、Ti含有MC型炭化物の量は、主に、溶接金属中のTi量、N量、およびTi量とN量との比率(P値)に大きく依存しており、これらをすべて、うまく制御しないと、所望とするMC型炭化物は生成されないことも判明した。後記する実施例に示すように、これらが本発明で規定する範囲を外れると、例えば、Tiを含まないCr,Moを主体とするMC型炭化物が生成したり、粗大なMC型炭化物が生成するなどして、所望とする特性が有効に発揮されない。例えば、特許文献1および2のようにTi量が多いと、TiCのMC型炭化物が多く生成し、所望とするTi含有MC型炭化物は生成しない。
また、Bは、MC型炭化物の生成に影響を及ぼすため、溶接金属中のB量もできるだけ低減する方が良いことも判明した。従来、Bは、前述した特許文献1〜4に示すように、フリーBによる靭性向上作用を活用する目的で積極的に添加されている。しかし、過剰なBは、固溶Nと結合してBNを生成し、固溶Nの低減に伴って固溶Tiの量が増加するため、有害なMC型炭化物の量が多くなる。そのため、本発明ではBの上限を制限している。
上記の観点に基づき、多くの基礎実験を行なった結果、本発明では、Tiを0.010〜0.05%、Nを0.002〜0.0120%、Bを0.0005%以下にそれぞれ制御すると共に、P値を2.00〜6.25の範囲内に定めた。
なお、前述した特許文献2および4では、本発明と同様、溶接金属中の炭化物に着目してフェライトバンドの発生防止(特許文献2)またはSR割れの防止(特許文献4)を図っているが、本発明とは、以下のように技術的思想および構成が相違している。なお、特許文献2は、前述したように、主に、約1.3%程度のCrを含むCr−Mo系鋼を対象としている点で、本発明で対象とするCr−Mo系鋼とは、厳密には、Crの範囲が相違しているが、念のため、対比を行なっておく。
まず、特許文献2では、靭性を劣化させるTiCなどのMX型化合物に代わって、CrおよびMoを主体とする化合物(注:MX型化合物に相当する。)を析出させることによってフェライトバンドの生成抑制と靭性改善とを両立させる技術であり、本発明のように、Tiを含む微細なMX型炭化物を析出させるという技術的思想はない。
また、特許文献2では、上記の化合物を析出させるために、本発明と同様、NbやVを制限したうえで、Ti、N、およびBのバランスを制御しているが、Tiを0.035%超〜0.020%、Nを0.006〜0.030%、Bを0.0005〜0.020%と、いずれも、本発明の範囲よりも高く設定している点で、本発明とは構成が相違する。
一方、特許文献4では、旧オーステナイト粒界の粗大な炭化物に着目し、セメンタイトを少なくして(M、M23)などの粗大な炭化物に変える技術であり、本発明のように、旧オーステナイト粒内の微細な炭化物に着目し、MC型炭化物を少なくしてTiを含む微細なMC型炭化物の生成を促進するという技術的思想はない。
また、特許文献4では、溶接金属中のTiは靭性の低下を招くという観点から、Tiの量を極力抑えており、実施例ではTiを0.007%以下に低減している点で、Tiを0.010%以上添加する本発明とは構成が相違している。特許文献4のようにTi量が少ないと、MC型炭化物は生成しても、粒径が大きくなって粗大化するため、フェライトバンドの粗大化を招き、靭性の低下をもたらす。また、溶接金属のTi量が少ないと、MC型炭化物中にTiが導入されないため、SRの発生防止およびフェライトバンドの生成防止に寄与する有用な炭化物が得られない。
(本発明の溶接金属)
以下、本発明の溶接金属を特徴付ける成分について、詳しく説明する。
前述したように、本発明では、Tiを0.010〜0.05%、Nを0.002〜0.0120%、Bを0.0005%以下にそれぞれ制御すると共に、[Ti]/[N]で表されるP値を2.00〜6.25の範囲内に制御している。後記する実施例に示すように、Ti、Nの量が多過ぎても少な過ぎても、Bの量が多過ぎても、P値が上記範囲を下回っても超えても、いずれにしても、SR割れの発生防止と靭性の低下防止とを両立させることは困難である。
Ti:0.01〜0.05%
Tiは、炭素および窒素と結合してMC型の炭窒化物を形成する元素である。本発明では、前述したように、Tiの量を適切に制御することにより、TiCなどのMC型炭化物の量を低減してTiを含む微細なMC型炭化物の量を高めており、これにより、SR割れの発生を防止すると共にフェライトバンドの発生による靭性などの低下を防止している。後記する実施例に示すように、Tiの含有量が少ないと、P値を所定範囲に制御したとしても、SR割れが発生してしまう。一方、Tiの含有量が多いとP値も大きくなり、MC型炭化物の量が多くなるため、SR割れが発生するほか、靭性が低下する場合がある。Tiの好ましい範囲は、N量とのバランスなどによって決定され得るが、おおむね、0.020%以上0.045%以下である。
N:0.002〜0.0120%
Nは、Ti、Nb、Bなどと結合して窒化物を形成する元素である。本発明では、Nの含有量を適切に制御することにより、MC型炭化物の量を低減し、所望とするTi含有MC型炭化物の量を高めている。Nの含有量が少ないと、P値を所定範囲に制御したとしても、SR割れが発生してしまう。一方、Nの含有量が多いと、粗大なMC型炭化物が生成してしまい、SR割れが発生するほか、靭性が低下する場合がある。Nの好ましい範囲は、Ti量とのバランスなどによって決定され得るが、おおむね、0.004%以上0.011%以下である。
2.00<[Ti]/[N](=P値)<6.25
P値は、MC型炭化物とMC型炭化物とのバランスを決定する指標となるパラメータである。[N]に対する[Ti]の比率が小さくなってP値が2.00を下回ると、TiおよびNの量がそれぞれ、本発明の範囲を満足していたとしても、所望のTi含有MC型炭化物が形成されないため、SR割れが発生する。一方、[N]に対する[Ti]の比率が大きくなってP値が6.25を超えると、TiおよびNの量がそれぞれ、本発明の範囲を満足していたとしても、所望のTi含有MC型炭化物が形成されないため、SR割れが発生するほか、靭性が低下する場合がある。P値の好ましい範囲は、Ti量やN量とのバランスなどによって決定され得るが、おおむね、3.00以上6.00以下である。
B:0.0005%以下(0%を含む)
Bは、MC型炭化物の生成に影響を及ぼす元素であり、Bが多いとMC型炭化物の量が増大し、SR割れが発生するため、本発明では、0.0005%以下に定めた。すなわち、溶接金属中の過剰なBは、固溶Nと結合してBNを生成し、固溶Nの低減に伴って固溶Tiの量が増加するため、MC型炭化物の量が多くなる。Bの上限を上記のように制限することにより、所望とするTi含有MC型炭化物の生成が促進され、SR割れを防止することができる。Bは、できるだけ少ない方がよく、例えば、0.0003%以下であることが好ましい。
本発明の溶接金属は、Ti、N,B、P値を上記の範囲に制御したところに特徴があり、上記以外の成分については、Cr−Mo系鋼に規定される範囲内であれば、特に限定されない。具体的には、以下に記載のとおりである。
C:0.02〜0.06%
Cは、溶接金属の強度を確保するために不可欠な元素であり、0.02%以上添加する。ただし、Cを過剰に添加すると、マルテンサイトなどの硬質組織が増加し、靭性が劣化するため、Cの上限を0.06%とする。Cは、0.03%以上0.05%以下であることが好ましい。
Si:0.1〜1.0%
Siは、溶接金属の脱酸剤として作用する元素である。Siが少ないと、強度が低下する。一方、Siの過剰な添加は、強度の著しい上昇や、マルテンサイトなどの硬質組織の増加を招き、靭性が劣化する。これらの点を勘案して、本発明では、Siを0.1〜1.0%に定めた。Siは、0.2%以上0.8%以下であることが好ましい。
Mn:0.3〜1.5%
Mnは、溶接金属の強度および靭性を確保するのに有用な元素であり、そのため、0.3%以上添加する。ただし、過剰の添加は、焼入性の著しい上昇や、Mnの偏析によるマルテンサイトなどの硬質組織の増加を招き、靭性が低下するため、上限を1.5%に定めた。Mnは、0.5%以上1.2%以下であることが好ましい。
Cr:2.0〜3.25%
Crは、Cr−Mo系耐熱鋼の基本成分の一つであり、強度および靭性の確保に寄与する元素である。ただし、過剰の添加は、焼入性の上昇による靭性の劣化を招くほか、旧オーステナイト粒界に粗大なM23型炭化物が多く生成するため、SR割れが促進する。これらの点を勘案して、Crの量を2.0〜3.25%の範囲に定めた。Crは、2.1%以上3.0%以下であることが好ましい。
Mo:0.8〜1.2%
Moは、Crと同様、Cr−Mo系耐熱鋼の基本成分の一つであり、強度の確保に寄与する元素である。ただし、過剰の添加は、焼入性の上昇による靭性の劣化を招くほか、SR割れが発生する。これらの点を勘案して、Mnの量を0.8〜1.2%の範囲に定めた。Moは、0.9%以上1.1%以下であることが好ましい。
O:0.03〜0.07%
Oは、旧オーステナイト粒内に変態組織(アシキュラーフェライト生成核)となる酸化物を形成し、組織の微細化による靭性の向上に寄与する元素である。ただし、Oを過剰に添加すると、合金元素が多量に酸化物として消費されるため、強度が低下するようになる。また、靭性も低下する。これらの点を勘案して、Oの量を0.03〜0.07%の範囲に定めた。Oは、0.04%以上0.06%以下であることが好ましい。
本発明の溶接金属は、上記の成分を基本的に含有し、残部:Feおよび不可避不純物である。
本発明では、SR割れや靭性の低下を一層有効に防止するため、下記の成分を更に制御することが好ましい。
Nb:0.01%以下(0%を含まない)及び/又はV:0.03%以下(0%を含まない)
NbおよびVは、いずれも、強度の向上に寄与する元素であり、そのためには、例えば、Vを0.01%以上添加することが好ましい。これらの元素は、単独で添加しても良いし、併用しても良い。ただし、これらを過剰に添加するとMC型炭化物の生成が促進され、SR割れが発生するほか、靭性が低下する。そのため、これらの上限を、Nb:0.01%、V:0.03%とすることが好ましい。Nbは0.005%以下であることがより好ましく、Vは0.02%以下であることがより好ましい。
P:0.012%以下(0%を含まない)
Pは、不純物として旧オーステナイト粒界に偏析し、靭性の低下やSR割れを招くため、0.012%以下にすることが好ましい。Pは少なければ少ない程良く、例えば、0.010%以下とすることがより好ましく、0.008%以下とすることが更に好ましい。
S:0.012%以下(0%を含まない)
Sは、不純物として旧オーステナイト粒界に偏析し、靭性の低下やSR割れを招くため、0.012%以下にすることが好ましい。Sは少なければ少ない程良く、例えば、0.010%以下とすることがより好ましく、0.008%以下とすることが更に好ましい。
以上、本発明の溶接金属について説明した。
(溶接金属の製造方法)
次に、上記の溶接金属を得る方法について説明する。
本発明の溶接金属は、例えば、母材(鋼材)の組成や開先形状、溶接材料(ワイヤ)の組成、溶接電流、溶接電圧、ワイヤ突き出し長さ、溶接方法などの溶接条件を適切に制御することによって得られる。
溶接方法に関しては、溶接作業性や実用性などを考慮すると、フラックス入りを用い、母材(鋼材)をガスシールドアーク溶接によって溶接することが好ましい。本発明では、特に、フラックス入りワイヤ中に含まれるTi、N、Bを適切に制御することによって所望の溶接金属が得られる。なお、溶接金属の化学組成は、一般に、ワイヤなどの溶接材料のほか、母材の希釈による影響なども受けるが、ガスシールドアーク溶接を行なう場合には、その影響は殆どない。
以下では、フラックス入りワイヤを用いてガスシールドアーク溶接(FCAW)を行なうときの好ましい方法を記載するが、本発明は、これに限定する趣旨ではない。例えば、被覆アーク溶接法(SMAW)、ティグ(TIG)溶接、サブマージアーク溶接法(SAW)、ガスシールドアーク溶接法(MAG,MIG)等のいずれの溶接法も適用することができる。
本発明に用いられるフラックス入りワイヤの好ましい組成は、溶接条件などによっても相違するが、特に、Ti、N、Bを以下のように制御することが好ましく、これにより、所望の溶接金属が得られる。
Ti:0.010〜0.10%(より好ましくは0.03〜0.08%)
N:0.002〜0.013%(より好ましくは0.005〜0.012%)
[Ti]/[N](=P値):3.00超10.00未満(より好ましくは4.00〜8.00)
B:0.0005%以下(0%を含まない)(より好ましくは0.0004%以下)
上記以外の成分としては、C:0.02〜0.08%(より好ましくは0.03〜0.07%)、Si:0.10〜1.5%(より好ましくは0.3〜1.3%)、Mn:0.3〜1.5%(より好ましくは0.5〜1.25%)、Cr:2.0〜3.60%(より好ましくは2.1〜3.50%)、Mo:0.8〜1.2%(より好ましくは0.9〜1.1%)、残部:Feおよび不可避不純物とすることが好ましい。
また、SR割れの発生防止や靭性低下の防止を更に高めることを目的として、Nb:0.01%以下(更に好ましくは0.005%以下)及び/又はV:0.03%以下(更に好ましくは0.02%以下)に制御することがより好ましい。
また、上記と同様の観点から、P:0.012%以下(更に好ましくは0.010%以下)、S:0.012%以下(更に好ましくは0.010%以下)に制御することがより好ましい。
更に、溶接金属中のO量を適切に制御するため、強脱酸元素(Mg、Alなど)を、約0.50〜0.85%(より好ましくは0.6〜0.7%)の範囲内に制御することが好ましい。
本発明に用いられるフラックス入りワイヤは、被溶接物(母材)の要求性能に応じて、上記以外の成分として、例えばCu、Ni、Co、Wなどを、本発明の作用を損なわない範囲で適宜含んでいてもよい。
フラックスの組成は、通常用いられるものであれば特に限定されず、例えば、ルチルなどを主成分とすることが好ましい。
フラックス入りワイヤのフラックス充填率は、特に規定されず、ワイヤの生産性、例えば成型及び伸線時の断線などを考慮して適宜設定することができる。フラックス充填率は、おおむね、11.0〜18.0%の範囲内であることが好ましい。
ワイヤの断面形状は特に限定されず、例えば、合わせ目はあってもなくても良い。なお、ワイヤの断面形状に合わせ目がない場合には、ワイヤ送給性改善を目的として、ワイヤの表面にCuメッキ、Niメッキ、またはこれらの複合メッキを施しても良い。
本発明に用いられる鋼材の好ましい組成は、Cr−Mo系鋼に規定される範囲内であれば特に限定されず、例えば、ASTM A387−Gr.22 Cl.2(2.25Cr−0.5Mo系)等が挙げられる。本発明では、前述した溶接金属の組成と実質的に同じ組成の母材を用いることが好ましい。
ガスシールドアーク溶接の方法は、特に限定されず、通常用いられる方法を採用することができる。
シールドガスとしては、100%COガスの他、ArガスとCOガスとの混合ガス、ArガスとOガスとの混合ガス、ArガスとCOガスとOガスとの3種混合ガスなどが用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下の実施例における「%」および「部」は、特に断らない限り、「質量%」および「質量部」を意味する。
実施例1
(フラックス入りワイヤおよび母材)
本実施例では、表1に示すフラックス入りワイヤW1〜W37、および図2に示す開先形状(θ=45°のV字開先)を有するCr−Mo系低合金耐熱鋼の鋼板(溶接母材)1を用意した。
ここで、フラックス入りワイヤW1〜W37のワイヤ径は、すべて1.2mmであり、フラックス入りワイヤ中のフラックスの充填率は、約13〜15%である。
また、図2に示す鋼板1の板厚は19mmであり、組成は表2に示すとおりである(残部:Feおよび不可避不純物)。V形状の開先部の下部には、溶接母材1と同一の化学組成を有する裏当金2が配置されており、裏当金が配置されている部分のギャップ幅(ルートギャップ)L1を13mmとした。
(溶接条件)
上記のフラックス入りワイヤを用い、ガスシールドアーク溶接によって図2の鋼板を突合せ溶接した。詳細な溶接条件は、以下に示すとおりである。
溶接電流 :270A
アーク電圧:30〜32V
溶接速度 :30cm/min
溶接姿勢 :下向き
シールドガスの組成および流量:CO2100%、25L/min
予熱・パス間温度:17.5±15℃
溶接後、PWHT処理(690℃で1時間の加熱、その後炉冷)を行なった。図2には、溶接後の溶接金属3の状態を模式的に示している。
(評価)
(溶接金属の組成)
PWHT後の溶接金属の組成は、溶接金属の中央部分について調べた。
(溶接金属中のMC型炭化物およびMC型炭化物の確認)
PWHT後の溶接金属の最終パス部の中央部について、抽出レプリカ法を用いてTEM(透過電子顕微鏡)観察を行い(倍率3万倍)、MC型炭化物およびMC型炭化物を観察した。詳細には、任意の領域(4.67μm×3.67μm)について、TEM観察の電子線回折パターンによって上記の炭化物を区別した後、EDX(エネルギー分散型X線分析)による組成分析を行い、MC型炭化物およびMC型炭化物の有無を確認した。
(引張特性の評価)
溶接金属の中央部分から、溶接線方向に引張試験片(JIS Z3111 A1号)を採取し、引張試験を実施した。引張試験片は3本ずつ採取し、これらの平均値を引張強度(TS)、降伏応力(YS)とした。
本実施例では、YSが550MPa以上のものを「機械的特性に優れる」と評価した。
(靭性の評価)
溶接金属の中央部分から、溶接線に対して垂直方向にシャルピー衝撃試験片(JIS Z3111 4号)を採取し、シャルピー衝撃試験を実施した。シャルピー衝撃試験片は3本ずつ採取し、これらの平均値をシャルピー衝撃値(vE−18)とした。シャルピー衝撃値は、−18℃での吸収エネルギーを測定したときの値である。
本実施例では、vE−18が70J以上のものを「靭性に優れる」と評価した。
(フェライトバンドの発生の有無)
図3に示すように、PWHT後の溶接金属部分から溶接線方向に等間隔で、サイズ(6×12mm)の試験片を6個採取した。この試験片に対し、鏡面研磨及び2%ナイタールによるエッチングを行なった後、光学顕微鏡(倍率50倍)でフェライトバンドの有無を観察した。本実施例では、6個の試験片中、すべての試験片にフェライトバンドが発生していないものを合格(○)とし、いずれか1個でもフェライトバンドの発生が認められたものは不合格(×)と評価した。
(耐SR割れ性の評価)
耐SR割れ性の評価は、溶接ままの鋼板(PWHTなし)から、図4に示す円筒試験片を採取し、リング割れ試験を実施して行なった。
まず、図4(a)に示すように溶接金属3の最終ビード上方から、図4(b)に示す円筒形試験片10を採取した。円筒形試験片10の詳細は図4(c)に示すとおりであり、円筒形試験片10は、Uノッチ5、及び円筒の内部の空洞に至るスリット6を有しており、Uノッチ5は溶接金属3の原質部上方に、スリット6は溶接金属3の原質部下方に、それぞれ、位置している。Uノッチ5は、深さ0.5mm、幅0.4mm、底部の曲率半径0.2mmのU字形の溝となっている。スリット6は、0.5mmの幅で形成されている。
次に、円筒形試験片10を用い、リング割れ試験を行った。
リング割れ試験は、「応力除去焼鈍割れに関する研究(第2報)」(内木ら、溶接学会誌:Vol.33、No.9(1964)P.718)を参考にして実施した。詳細には、図4(d)に示すように、円筒型試験片10に対し、矢印で示す方向に曲げ応力を印加した状態で、試験片10のスリット6を溶加材を使用せずにTIG溶接し、Uノッチ部5に引張残留応力を負荷した状態で、上記と同じPWHT処理を行った。PWHT後、リングの3断面について光学顕微鏡観察(倍率:100倍)を行い、いずれの断面においても、Uノッチ5の底部からクラックが認められなかった場合はSR割れの発生が抑制された(耐SR割れ性に優れている)として○(合格)と評価し、3断面のいずれか1つでもクラックが認められた場合には、SR割れが発生した(耐SR割れ性に劣る)として×(不合格)と評価した。
これらの結果を表3および表4にまとめて示す。
表3のNo.1〜18は、それぞれ、フラックス入りワイヤW1〜W18を用い、溶接金属の組成が本発明の要件を満足する本発明例であり、耐SR割れ性及び機械的特性に優れている。これらの本発明例は、所望とするTiC含有MC型炭化物を含んでいることも確認された。
これに対し、表4のNo.19〜37は、それぞれ、フラックス入りワイヤW19〜W37を用い、溶接金属の組成が本発明の要件のいずれかを満足しない比較例であり、以下の不具合を有している。表4において、本発明の範囲を満足しないものには下線を付している。
No.19は、C量が多いワイヤW19を用いたために溶接金属中のC量が多い例、No.21は、Si量が多いワイヤW21を用いたために溶接金属中のSi量が多い例、No.22は、Mn量が多いワイヤW22を用いたために溶接金属中のMn量が多い例であり、いずれも、靭性が低下した。
No.20は、Si量が少ないワイヤW20を用いたために溶接金属中のSi量が少ない例、No.23は、Cr量が少ないワイヤW23を用いたために溶接金属中のCr量が少ない例、No.25は、Mo量が少ないワイヤW25を用いたために溶接金属中のMo量が少ない例であり、いずれも、YSが低下した。
No.24は、Cr量が多いワイヤW24を用いたために溶接金属中のCr量が多い例、No.26は、Mo量が多いワイヤW26を用いたために溶接金属中のMo量が多いであり、いずれも、靭性が低下し、且つ、SR割れが発生した。
No.27は、Ti量が少なく、P値が小さいワイヤW27を用いたために溶接金属中のTi量が少なく、且つ、P値が小さい例であり、SR割れが発生した。また、フェライトバンドが発生したため、靭性も低下した。
No.28は、Ti量が多いワイヤW28を用いたために溶接金属中のTi量が多い例であり、SR割れが発生した。
No.29は、B量が多いワイヤW29を用いたために溶接金属中のB量が多い例であり、SR割れが発生した。
No.30は、N量が多いワイヤW30を用いたために溶接金属中のN量が多い例であり、SR割れが発生した。
No.31は、強脱酸元素であるMgの含有量が少ないワイヤW31を用いたために溶接金属中のO量が多い例であり、YSおよび靭性が低下した。
No.32/No.33は、P値が小さい/大きいワイヤW32/W33を用いたために溶接金属中のP値が小さい/大きい例であり、いずれも、SR割れが発生した。
No.34は、Nb量が多いワイヤW34を用いたために溶接金属中のNb量が本発明の好ましい範囲を超える例であり、SR割れが発生し、靭性も低下した。
No.35は、V量が多いワイヤW35を用いたために溶接金属中のV量が本発明の好ましい範囲を超える例であり、SR割れが発生し、靭性も低下した。
No.36は、C量、Ti量、B量、N量がいずれも多く、P値も大きいワイヤW36を用いたために溶接金属中のC量、Ti量、B量、N量が多く、P値も大きい例であり、SR割れが発生した。
No.37は、Mo量、Ti量、B量、N量がいずれも多く、P値も大きいワイヤW37を用いたために溶接金属中のMo量、Ti量、B量、N量が多く、P値も大きい例であり、SR割れが発生したほか、靭性も低下した。
また、これらの比較例は、いずれも、所望とするTiC含有MC型炭化物を含んでいないことが確認された。
図1(a)は、PWHTによって溶接金属中に生じたフェライトバンドを示す図である。 図1(b)は、PWHTによって溶接金属中に生じたSR割れを示す図である。 実施例に用いた鋼板の開先形状を示す図である。 フェライトバンドの発生の有無を調べた位置を示す図である。 図4(a)は、耐SR割れ性の評価に用いた円筒形試験片の採取位置を示す断面図であり、図4(b)は、耐SR割れ性の評価に用いた円筒形試験片の形状を示す断面図であり、図4(c)は図4(a)および図4(b)の円筒形試験片を説明するための図であり、図4(d)は円筒形試験片を使用したリング割れ試験を示す断面図である。
符号の説明
1 母材
2 裏当金
3 溶接金属
5 Uノッチ
6 スリット
10 円筒形試験片
L1 ルートギャップ
θ 鋼板の開先形状

Claims (4)

  1. C:0.02〜0.06%(質量%の意味。以下、同じ)、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.3〜1.5%、Cr:2.0〜3.25%、Mo:0.8〜1.2%、Ti:0.010〜0.05%、B:0.0005%以下(0%を含む)、N:0.002〜0.0120%、O:0.03〜0.07%、残部:Feおよび不可避不純物であり、更に、Nの含有量[N]とTiの含有量[Ti]との比が、2.00<[Ti]/[N]<6.25の範囲を満足することを特徴とする靭性および耐SR割れ性に優れた溶接金属。
  2. 更に、Nb:0.01%以下(0%を含まない)及び/又はV:0.03%以下(0%を含まない)を含有する請求項1に記載の溶接金属。
  3. 更に、P:0.012%以下(0%を含まない)、S:0.012%以下(0%を含まない)に抑制されたものである請求項1または2に記載の溶接金属。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の溶接金属を含む溶接構造体。
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