JP6515324B2 - 耐sr特性に優れた高強度uoe鋼管のサブマージアーク溶接金属 - Google Patents

耐sr特性に優れた高強度uoe鋼管のサブマージアーク溶接金属 Download PDF

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Description

本発明は、主として、サブマージアーク溶接で製管されるX100グレード以上の高強度UOE鋼管の溶接金属に係り、特に応力除去焼鈍(SR)後における強度、靭性に優れた溶接金属に関する。
原油や天然ガスを長距離輸送するパイプラインには、UOE鋼管がよく使用される。パイプラインに接続されて使用される立ち上がり管に、ライザー管とよばれる溶接鋼管があり、UOE鋼管が使用される。パイプライン敷設において、現地円周溶接によりライザー管などの溶接鋼管に、合金元素の非常に多い鍛造品(例えばコネクタ等)を接続する場合、鍛造品の溶接による残留応力の除去を目的として、しばしば応力除去焼鈍(SR)が行なわれる。このSRにより、ライザー管の本体の溶接金属部(通称、シーム溶接金属)の靭性が特に劣化し、問題視されている。また近年、圧力上昇による操業効率向上や素材コスト削減の観点から、API X100グレード以上の高強度溶接鋼管に対する要求も高まっている。
このSRによる溶接金属部の靭性低下を抑制する技術が、例えば、特許文献1〜4に開示されている。これらの技術では、主に、製品強度上昇に直結する合金元素量(例えばNb、Si等)を低減し、SR後の強度上昇をできるだけ抑制し、シーム溶接金属の靭性を向上させている点に特徴がある。
特開平08−269566号公報 特開2001−121289号公報 特開2001−158939号公報 特許第4380037号公報
前記従来の技術では、SR後の靭性が優れ、かつ引張強さ760MPa以上を満たす溶接金属の成分組成の範囲が狭いという問題があったため、将来におけるUOE鋼管の高強度化ニーズの増大を鑑みると、製品製造裕度が低く、非常に大きな問題である。
以上の状況より、本発明は、製品製造裕度をできるだけ損なうことなく、高強度(引張強さ760MPa以上)かつSR後靭性に優れる溶接金属を提供することを課題とする。
本発明者らは、高強度(引張強さ760MPa以上)かつSR後靭性に優れる溶接金属を得るべく、鋭意検討を行った結果、溶接金属の化学成分の内、Mn、Mo、V、O量の適正化およびREMの添加により上記課題を満足させる方法を知見した。その知見をもとに完成させた本発明は次の通りである。
(1)UOE鋼管の溶接金属において、その化学成分が質量%で、C:0.03〜0.10%、Si:0.05〜0.30%、Mn:1.00〜2.00%、P:0.020%以下、S:0.005%以下、Ni:1.00〜2.00%、Cr:0.50〜1.00%、Mo:0.10〜1.00%、Ti:0.005〜0.020%、Al:0.005〜0.020%、O:0.010〜0.030%、V:0.005〜0.060%、REM:0.005〜0.100%、N:0.010%以下、および、B:0.0007%以下を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、昇温速度:158℃/hr、保持温度・時間:620℃×4hr、冷却速度:190℃/hrでのSR後の、衝撃試験温度:−30℃でのシャルピー衝撃試験による吸収エネルギーが80J以上であることを特徴とするSR後の靭性に優れた溶接金属。
(2)さらに、質量%で、Cu:0.40%以下、および、Nb:0.06%以下の少なくとも1種を含有することを特徴とする前記(1)に記載のSR後の靭性に優れた溶接金属。
(3)さらに、REM、O、Mo、Mn、および、Vの含有量が、下記(1)式を満たすことを特徴とする前記(1)または(2)に記載のSR後の靭性に優れた溶接金属。
0.50<([REM]/[O])×([REM]−0.49×[O])
+1.75×[Mo]/[Mn]+4.24[V]<0.65 ・・・(1)
(式中の[REM]、[O]、[Mo]、[Mn]、[V]は溶接金属中の該元素の含有量(質量%)を意味する。)
本発明により、SR過程における溶接金属のPの粒界偏析および粒界への炭化物(VC、M236等)析出による粒界脆化を抑制でき、これにより引張強さ760MPa以上で、かつSR後の靭性に優れた溶接金属を得ることができる。
溶接金属のSRの時間と温度の関係を示す図である。
次に、本発明のSR後の靭性に優れた溶接金属(以下、「本発明の溶接金属」という)において、成分組成の限定理由について説明する。以後の説明で化学成分についての「%」は「質量%」を表す。
(C:0.03〜0.10%)
Cは、溶接金属のSR後強度を確保するための必須元素であり、0.03%より低いとX100以上の所定の強度を確保することが困難となる。一方0.10%を超える添加は、溶接金属の靭性ならびに耐SR特性の低下を招く。したがって、溶接金属のC量は0.03〜0.10%の範囲内とする。より望ましいC量は、0.04〜0.09%である。
(Si:0.05〜0.30%)
Siは、溶接金属の脱酸および良好な作業性を確保するために必要であり、0.05%未満では十分な脱酸効果が得られない。一方、0.30%超の添加は強度の過大な上昇あるいは島状マルテンサイト等の硬質組織の増加をもたらすほか、酸化物組成がSi酸化物主体となるため、粒内変態組織が生成し難くなり、靭性の低下を招く。したがって、溶接金属のSi量は0.05〜0.30%の範囲内とする。
(Mn:1.00〜2.00%)
Mnは、溶接金属のSR後強度および靭性の向上に有効な元素である。1.00%未満では、X100以上の所定の強度を確保することが困難となる。一方、2.00%超の添加は強度の過大な上昇をもたらすほか、粒界炭化物サイズの粗大化を招き、強度、靭性低下の原因となる。したがって、溶接金属のMn量は1.00〜2.00%の範囲内とする。なお、MnはPとの相互作用により、SR後の溶接金属靭性に影響をおよぼす。その効果については、後述する。
(P:0.020%以下)
Pは、溶接金属のSR後靭性を低下させるため、0.020%以下に制限することが望ましい。より望ましくは、0.010%以下である。なお、PはMn、MoおよびREMとの相互作用により、SR後の溶接金属靭性に影響をおよぼす。その効果については、後述する。
(S:0.005%以下)
Sは、溶接金属のSR後靭性を低下させるため、0.005%以下に制限する。より望ましくは、0.003%以下である。
(Ni:1.00〜2.00%)
Niは、溶接金属のSR後強度および靭性の向上に有効な元素である。1.00%未満ではその効果が十分ではなく、一方、2.00%超の添加は強度の過大な上昇、あるいはマルテンサイト等の硬質組織の増加や靭性低下を招く。したがって、溶接金属のNi量は1.00〜2.00%の範囲内とする。より望ましいNi量は、1.20〜1.80%である。
(Cr:0.50〜1.00%)
Crは、溶接金属のSR後強度および靭性の向上に有効な元素である。0.50%未満ではその効果が十分ではなく、一方、1.00%超の添加は強度の過大な上昇、あるいはマルテンサイト等の硬質組織の増加をもたらすことに加え、粒界炭化物サイズの粗大化を招き、強度、靭性低下の原因となる。したがって、溶接金属のCr量は0.50〜1.00%の範囲内とする。より望ましいCr量は0.60〜0.90%である。
(Mo:0.10〜1.00%)
Moは、焼戻し軟化抵抗が高く、SR後の強度の確保に有効な元素である。0.10%未満ではSR後の強度が得られない。一方、1.00%超の添加は強度の過大な上昇をもたらすほか、粒界炭化物サイズの粗大化を招き、強度、靭性低下の原因となる。したがって、溶接金属のMo量は0.10〜1.00%の範囲内とする。なお、MoはPとの相互作用により、SR後の溶接金属靭性に影響をおよぼす。その効果については、後述する。
(Ti:0.005〜0.020%)
Tiは、溶接金属組織の微細化により靭性の改善をもたらす。0.005%未満ではその効果が十分ではなく、一方、0.020%超の添加は靭性低下を招く。したがって、溶接金属のTi量は0.005〜0.020%の範囲内とする。より望ましいTi量は0.007〜0.015%である。
(Al:0.005〜0.020%)
Alは、溶接金属のSR後靭性向上に有効なアシキュラーフェライトの生成核となる酸化物を形成させるための必須元素であり、少なくとも0.005%が必要である。一方、0.020%超の添加は靭性低下の原因となる。したがって、溶接金属のAl量は0.005〜0.020%の範囲内とする。
(O:0.010〜0.030%)
Oは、溶接金属のSR後靭性の向上に有効なアシキュラーフェライトの生成核となる酸化物を形成させるための必須元素であり、少なくとも0.010%が必要である。一方、0.030%超の添加は靭性低下の原因となる。したがって、溶接金属のO量は0.010〜0.030%の範囲内とする。より望ましいO量は0.015〜0.025%である。
(N:0.010%以下)
Nは、ブローホールのような溶接施工欠陥発生の原因になるとともに、靭性にも悪影響をおよぼすため、できるだけ低減することが望ましい。したがって、溶接金属のN量は0.010%以下に制限する。
(V:0.005〜0.060%)
Vは、SR後の溶接金属中で、微細な炭窒化物を形成し、強度を上昇させる効果を有する。0.005%未満ではその効果が十分ではなく、一方、0.060%超の添加は、炭窒化物サイズの粗大化を招き靭性低下の原因となる。したがって、溶接金属のV量は0.005〜0.060%とする。
(REM:0.005〜0.100%)
REMは、溶接金属の粒界脆化を助長するPを粒内に固定する作用を有する。この効果は0.005%未満では得られない。一方、0.100%超の添加は溶接ままの溶接金属の靭性低下を招き、それに伴いSR後靭性も低下する。したがって、溶接金属のREM量は0.005〜0.100%とする。なお、REMはPとの相互作用により、SR後の溶接金属靭性に影響をおよぼす。その効果については、後述する。
REMはSc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量はこれらの元素の合計量を意味する。
(B:0.0007%以下)
Bは、SR後の溶接金属中で、粒界炭化物等の析出を助長する効果があり、できるだけ低減した方がよい。溶接金属に0.0007%を超えて添加するとSR後靭性が低下する。したがって、溶接金属のB量は0.0007%以下に制限する。
本発明の溶接金属は、上述された基本成分(必須元素)に加え、更に、SR後の溶接金属強度を高めるために、必要に応じて、以下の元素を任意で含有させることができる。
(Cu:0.40%以下)
Cuは、溶接金属のSR後強度の向上に有効な元素であり、本発明において、添加してもよい。添加する場合、有効な効果を得るには0.05%以上が好ましい。ただし、0.40%超の添加は強度の過大な上昇、あるいはマルテンサイト等の硬質組織の増加による靭性低下を招く。したがって、溶接金属にCuを添加する場合は、Cu量を0.40%以下とする。
(Nb:0.06%以下)
Nbは、SR後の溶接金属中で、微細な炭窒化物を形成し、強度を上昇させる効果を有するので添加してもよい。添加する場合、有効な効果を得るには、0.01%以上が好ましい。一方、0.06%超の添加は、炭窒化物サイズの粗大化を招き、靭性低下の原因となる。したがって、溶接金属に添加する場合、Nb量は0.06%以下とする。
本発明の溶接金属では、溶接金属中の成分のうち、REM、O、Mo、MnおよびVの含有量が(1)式を満たすと、さらにSR後の靭性が向上するので好ましい。
0.50<([REM]/[O])×([REM]−0.49×[O])
+1.75×[Mo]/[Mn]+4.24[V]<0.65 ・・・(1)
(式中の[REM]、[O]、[Mo]、[Mn]、[V]は溶接金属中の該元素の含有量(質量%)を意味する。)
SR後の溶接金属の靭性低下の主要因は、SR過程におけるPの粒界偏析および粒界への炭化物(VC、M23等)析出による粒界脆化である。MnはPの活量を上昇させるため、Pの粒界偏析を助長する。一方、MoはSR過程でのPの拡散速度を遅くするため、Pの粒界偏析を抑制する。また、REMはPをリン化物として粒内に固定する作用を有するため、Pの粒界偏析を抑制する。しかし、REMは優先してOと結合して酸化物を形成してしまうため、溶接金属中のO量が過剰もしくはREM添加量が過少な場合、P固定作用が機能しない。また、Vは粒界への炭化物析出を助長する。
本発明者らは、上記成分組成を満たす種々の溶接金属を作成し、試験した結果、粒界脆化抑制度合いを表すパラメーターα(=([REM]/[O])×([REM]−0.49×[O])+1.75×[Mo]/[Mn]+4.24[V])を考案した。そして、αが0.50以下の場合、SR過程でPの粒界偏析が助長され、Pによる粒界脆化が進行し、SR後靭性が大きく劣化すること、及び、αが0.65以上の場合、粒界脆化は抑制できるものの、溶接金属マトリクスへの合金元素の過剰な固溶によりSR後靭性が低下することが分かった。
次に、本発明の溶接金属の形成方法について説明する。
本発明のUOE鋼管における溶接金属は、板厚15mmから40mm程度の厚鋼板をサブマージアーク溶接することにより得られる。厚鋼板を管状とする際は、厚鋼板の端部を突き合わせて内面からサブマージアーク溶接を行った後、外面からサブマージアーク溶接を行うことで形成できる。
厚鋼板の成分組成は、本発明の溶接金属が得られる範囲において、特に限定されるものでないが、好ましい成分は、質量%で、C:0.03〜0.12%、Si:0.01〜0.30%、Mn:1.00〜2.00%、P:0.010%以下、S:0.005%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.05〜1.00%、Cr:0.05〜1.50%、Mo:1.00%以下、V:0.100%以下、Nb:0.10%以下、Ti:0.005〜0.020%、Al:0.001〜0.040%、B:0.0007%以下、O:0.005%以下、N:0.005%以下である。
UOE鋼管のサブマージアーク溶接では、溶接条件は、特に限定されるものでなく、溶接トーチを2〜5電極程度の多電極とし、開先上にフラックスを散布し、サブマージアーク溶接用のワイヤを使用し、入熱15〜120kJ/cmの大入熱サブマージアーク溶接とすることができる。
溶接ワイヤの成分組成は、本発明の溶接金属が得られる範囲において、特に限定されるものでないが、好ましい成分は、質量%で、C:0.03〜0.30%、Si:0.01〜1.00%、Mn:0.50〜3.00%、Cu:0.50%以下、Ni:0.01〜7.00%、Cr:0.01〜2.50%、Mo:0.01〜3.50%、V:0.01〜0.10%、Ti:0.001〜0.160%である。
また、フラックスの成分組成も、本発明の溶接金属が得られる範囲において、特に限定されるものでないが、好ましい成分は、質量%で、SiO:5〜25%、MnO:6%以下、CaO:10〜20%、CaF:10〜55%、MgO:2〜7%、Al:5〜35%、TiO:23%以下、BaO:13%以下、B:0.5%以下である。
なお、フラックスは、公知の焼成型フラックス、溶融型フラックなどを使用することができる。また、本発明の溶接金属の必須成分の一つであるREMは、厚鋼板、溶接ワイヤ、フラックスのいずれに添加してもよい。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
以下、実施例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。
表1に化学成分を示す板厚25mmの母材(Cu量orMo量orV量orNb量orAl量を変量)を、表2に化学成分を示す4mm径の溶接ワイヤ、および表3に化学成分を示す溶融型フラックスを用いて、表5に示す母材と溶接材料の組合せにより、表4に示す溶接条件で4電極サブマージアーク溶接により溶接金属を作製した。溶接金属へのREM添加は、表3に示すフラックスにREM化合物粉末を適宜混合して溶接することにより行なった。表6に溶接金属の成分組成を示す。
また、溶接金属のSRは、図1に示すように昇温速度:158℃/hr、保持温度・時間:620℃×4hr、冷却速度:190℃/hrとして行なった。得られた溶接金属の中央部から引張試験片およびJIS4号Vノッチシャルピー試験片を採取し、JIS Z 2242(2005年)に準拠した引張試験およびシャルピー衝撃試験を実施した。衝撃試験温度は−30℃とした。シャルピー吸収エネルギーは80J以上を良好と評価した。表7に、溶接金属の引張強度、パラメーターα、SR前後のシャルピー吸収エネルギー(靭性)を示す。
Figure 0006515324
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比較例1、4、6、7、8、および、9では、REMが本発明範囲の下限から逸脱しているため、SR過程で粒界脆化が進行し、SR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例5では、Bが本発明範囲から逸脱しているため、溶接ままの溶接金属の靭性が低下し、それに伴いSR後の靭性も低値となった。
比較例10では、Vが本発明範囲の上限から逸脱しているため、SR過程での粒界炭窒化物サイズ粗大化による粒界脆化が進行し、SR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例11では、V、REMが本発明範囲の下限から逸脱しているため、SR過程での粒界脆化が進行し、SR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例12では、本発明範囲にパラメーターαを制御できたため、SR過程での粒界脆化は抑制できたものの、Si、Ni、Cr、Mo、V、REMが本発明範囲から逸脱しているため、溶接ままの溶接金属の靭性が低下し、それに伴いSR後の靭性も低値となった。
比較例13では、Cが本発明範囲の上限から逸脱しているため、溶接まま、およびSR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例14では、Siが本発明範囲の上限から逸脱しているため、硬質組織が増加してSR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例3、15では、Mnが本発明範囲の上限から逸脱しているため、SR過程での粒界炭窒化物サイズ粗大化による粒界脆化が進行し、SR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例16では、Pが本発明範囲から逸脱しているため、溶接まま、およびSR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例17では、Sが本発明範囲から逸脱しているため、溶接まま、およびSR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例18では、Cuが本発明範囲から逸脱しているため、硬質組織が増加して溶接まま、およびSR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例19では、Niが本発明範囲の上限から逸脱しているため、硬質組織が増加して溶接まま、およびSR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例20では、Crが本発明範囲の上限から逸脱しているため、SR過程での粒界炭窒化物サイズ粗大化による粒界脆化が進行し、SR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例21では、Moが本発明範囲の上限から逸脱しているため、SR過程での粒界炭窒化物サイズ粗大化による粒界脆化が進行し、SR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例2、22では、REMが本発明範囲の上限から逸脱しているため、溶接ままの溶接金属の靭性が低下し、それに伴いSR後の靭性も低値となった。
比較例23では、Nbが本発明範囲から逸脱しているため、SR過程での粒界炭窒化物サイズ粗大化による粒界脆化が進行し、SR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例24では、Tiが本発明範囲の上限から逸脱しているため、溶接まま、およびSR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例25では、Alが本発明範囲の上限から逸脱しているため、溶接まま、およびSR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
比較例26では、Oが本発明範囲の上限から逸脱しているため、溶接ままの溶接金属の靭性が低下し、それに伴いSR後の靭性も低値となった。
比較例27では、Nが本発明範囲から逸脱しているため、溶接まま、およびSR後の溶接金属の靭性低下を生じた。
上記比較例に対して、本発明例1から13に示したように、本発明範囲に溶接金属成分を制御した溶接金属では、SR後の靭性に優れた溶接金属を得ることができた。また、溶接金属の成分に加えて、パラメーターαも本発明範囲に制御した溶接金属(本発明例10から13)では、SR後の靭性が更に向上した溶接金属を得ることができた。
本発明によれば、SR過程における溶接金属のPの粒界偏析および粒界への炭化物(VC、M236等)析出による粒界脆化を抑制でき、これにより引張強さ760MPa以上で、かつSR後の溶接金属靭性に優れた溶接金属を得ることができる。よって、本発明は、産業上の利用可能性が大きいものである。

Claims (3)

  1. UOE鋼管の溶接金属において、その化学成分が質量%で、
    C :0.03〜0.10%、
    Si:0.05〜0.30%、
    Mn:1.00〜2.00%、
    P :0.020%以下、
    S :0.005%以下、
    Ni:1.00〜2.00%、
    Cr:0.50〜1.00%、
    Mo:0.10〜1.00%、
    Ti:0.005〜0.020%、
    Al:0.005〜0.020%、
    O :0.010〜0.030%、
    V :0.005〜0.060%、
    REM:0.005〜0.100%、
    N :0.010%以下、および、
    B :0.0007%以下
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    昇温速度:158℃/hr、保持温度・時間:620℃×4hr、冷却速度:190℃/hrでのSR後の、衝撃試験温度:−30℃でのシャルピー衝撃試験による吸収エネルギーが80J以上であることを特徴とするSR後の靭性に優れた溶接金属。
  2. 前記溶接金属が、さらに、質量%で、
    Cu:0.40%以下、および、
    Nb:0.06%以下
    の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載のSR後の靭性に優れた溶接金属。
  3. さらに、REM、O、Mo、Mn、および、Vの含有量が、下記(1)式を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のSR後の靭性に優れた溶接金属。
    0.50<([REM]/[O])×([REM]−0.49×[O])
    +1.75×[Mo]/[Mn]+4.24[V]<0.65 ・・・(1)
    (式中の[REM]、[O]、[Mo]、[Mn]、[V]は溶接金属中の該元素の含有量(質量%)を意味する。)
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