JP4780695B2 - レーザー加工品の製造方法及びレーザー加工用保護シート - Google Patents

レーザー加工品の製造方法及びレーザー加工用保護シート Download PDF

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本発明は、シート材料、回路基板、半導体ウエハ、ガラス基板、セラミック基板、金属基板、半導体レーザー等の発光あるいは受光素子基板、MEMS基板、半導体パッケージ、布、皮、又は紙などの各種被加工物に、レーザー光の紫外吸収アブレーションにより切断、孔あけ、マーキング、溝加工、スクライビング加工、又はトリミング加工などの形状加工を施すことによって得られるレーザー加工品の製造方法に関する。また、本発明は、前記製造方法に用いられるレーザー加工用保護シートに関する。
最近の電気・電子機器の小型化等に伴って部品の小型化・高精細化が進んでいる。そのため、各種材料の外形加工についても、加工精度が±50μmあるいはそれ以下の高精細・高精度化が求められてきている。しかしながら、従来のプレス加工等の打ち抜き加工では精度がせいぜい±100μm程度であり、近年の高精度化の要求には対応できなくなってきている。また、各種材料の孔あけについても、高精細・高精度化が求められており、従来のドリルや金型による孔あけでは対応が不可能となってきている。
近年、その解決方法としてレーザー光を用いた各種材料の加工方法が注目されている。特に、熱ダメージが少なく、高精細の加工が可能であるレーザー光の紫外吸収アブレーションによる加工方法は、精密な外形加工方法や微細孔あけ方法として注目されている。
上記技術としては、例えば、被加工物のダイシング方法として、被加工物をダイシングシートに支持固定して、レーザー光線により被加工物をダイシングする方法が提案されている(特許文献1)。また、ウォーターマイクロジェットとレーザーを組み合わせて半導体ウエハをダイシングする方法も提案されている(特許文献2)。前記特許文献に記載のダイシングシートは、被加工物のレーザー光出射面側に設けられ、ダイシング時及びその後の各工程で被加工物(レーザー加工品)を支持固定するために用いられるものである。
ところで、レーザー光を用いた場合には、レーザー加工時に発生するカーボン等の分解物が被加工物の表面に付着するため、それを除去するデスミアといわれる後処理が必要となる。分解物の付着強度は、レーザー光のパワーに比例して強固となるため、レーザー光のパワーを高くすると後処理での分解物の除去が困難になるという問題があった。また、強固な分解物の場合には、過マンガン酸カリウム水溶液等によるウエットデスミアが一般的に行われるが、ウエットデスミアは廃液処理などによる環境負荷が大きいという問題もあった。特に、被加工物の加工テーブル又は粘着シートに接する面側(レーザー光出射面側)は、被加工物の分解物のみならず、レーザー光照射による加工テーブル又は粘着シートの分解物が被加工物の表面に強固に付着する傾向にある。そのため、加工のスループット向上を妨げたり、切断や孔あけの信頼性を低下させてしまうという問題があった。
特開2002−343747号公報 特開2003−34780号公報
本発明は、レーザー光の紫外吸収アブレーションにより被加工物を加工する際に、分解物による被加工物表面の汚染を効果的に抑制でき、かつ加工精度を高くすることのできるレーザー加工用保護シートを用いたレーザー加工品の製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、前記レーザー加工品の製造方法に用いられるレーザー加工用保護シートを提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記レーザー加工用保護シート(以下、保護シートともいう)を用いたレーザー加工品の製造方法により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、基材上に少なくとも粘着剤層を有しており、かつ総結合エネルギー比(総結合エネルギー比=基材を構成する樹脂成分中のある1つの炭素原子と、該炭素原子に結合する他の原子との結合エネルギーの合計値のうちで最小値である総結合エネルギーA/使用する有機系被加工物を構成する原料成分中のある1つの炭素原子と、該炭素原子に結合する他の原子との結合エネルギーの合計値のうちで最小値である総結合エネルギーB)が1未満であるレーザー加工用保護シートを使用し、前記有機系被加工物のレーザー光入射面側に該レーザー加工用保護シートの粘着剤層を貼付する工程、レーザー光を照射してレーザー加工用保護シート及び有機系被加工物を加工する工程、レーザー加工用保護シートを加工後の有機系被加工物から剥離する工程を含むレーザー加工品の製造方法、に関する。
前記保護シートは、レーザー光の紫外吸収アブレーションにより有機系被加工物をレーザー加工する前に、有機系被加工物のレーザー光照射面側(レーザー光入射面側)に積層され、アブレーションによって発生する分解物や飛散物から有機系被加工物表面を保護するために用いられるものである。
保護シートとしては、基材上に少なくとも粘着剤層を有するものを用いる。保護シートに粘着性を付与することにより、保護シートと有機系被加工物との界面の密着性を向上させることができるため、分解物の界面への侵入を抑制することができ、その結果分解物による有機系被加工物表面の汚染を抑制することが可能となる。
また、本発明の製造方法においては、前記総結合エネルギー比が1未満である保護シートを選択して使用することが必要である。
ここで、総結合エネルギーAは、基材を構成する樹脂成分中のある1つの炭素原子と、該炭素原子に結合する他の原子との結合エネルギーの合計値(総結合エネルギー)のなかで最も小さい値である。ポリマー中のある1つの炭素原子は、2以上の他の原子と結合しているが、結合する他の原子の種類によって結合エネルギーはそれぞれ異なるため、その結合エネルギーの和(総結合エネルギー)も各炭素原子の結合状態によって異なる。本発明においては、ポリマー中で種々の結合状態にある炭素原子のうちで最も総結合エネルギーの低い炭素原子に注目し、該炭素原子の総結合エネルギーAはレーザー加工性との間に相関関係があることを見出した。
また、総結合エネルギーBは、使用する有機系被加工物を構成する原料成分中のある1つの炭素原子と、該炭素原子に結合する他の原子との結合エネルギーの合計値(総結合エネルギー)のなかで最も小さい値である。本発明においては、原料成分中で種々の結合状態にある炭素原子のうちで最も総結合エネルギーの低い炭素原子に注目し、該炭素原子の総結合エネルギーBはレーザー加工性との間に相関関係があることを見出した。
そして、本発明者らは、前記総結合エネルギー比が1未満である保護シートを選択して用いることにより、分解物による有機系被加工物表面の汚染を効果的に抑制することができることを見出した。前記のように総結合エネルギーとレーザー加工性との間に相関関係が生じる理由は明らかではないが、結合エネルギーが小さい原子間の結合は、レーザーが照射された際に切断されやすく、加工の閾値も低下する。そのため、使用する材料中の特定原子間の総結合エネルギーが小さいほどレーザー加工性が大きくなると考えられる。
そして、前記総結合エネルギー比が1未満の保護シートを選択して使用することにより、分解物による有機系被加工物表面の汚染を効果的に抑制することができる理由としては、以下のように考えられる。総結合エネルギー比が1未満である保護シートは、有機系被加工物と同等又はそれ以上のレーザー加工性を有するため、有機系被加工物と同時又は有機系被加工物よりも先にレーザー光によりエッチングされる。そのため、有機系被加工物の分解物は保護シートのエッチング部分から外部に効率的に飛散し、保護シートと有機系被加工物との界面部分に進入しにくくなる。その結果、有機系被加工物表面の汚染を効果的に抑制できると考えられる。
前記総結合エネルギー比は、0.9以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.8以下である。総結合エネルギー比が1以上の場合には、保護シートが切断されたり穿孔される前に有機系被加工物のエッチングが進行する。その場合には、有機系被加工物のエッチングにより生じた分解物の飛散経路がないため、保護シートと有機系被加工物との界面部分に分解物が入り込んで有機系被加工物表面を汚染する恐れがある。前記のように有機系被加工物表面が分解物によって汚染されると、有機系被加工物をレーザー加工した後に、保護シートを有機系被加工物から剥離することが困難になったり、後処理での分解物除去が困難になったり、有機系被加工物の加工精度が低下する傾向にある。
また、別の本発明は、基材上に少なくとも粘着剤層を有しており、かつ前記基材を構成する樹脂成分中のある1つの炭素原子と、該炭素原子に結合する他の原子との結合エネルギーの合計値のうちで最小値である総結合エネルギーAが800kJ/mol未満であるレーザー加工用保護シートを使用し、無機系被加工物のレーザー光入射面側に該レーザー加工用保護シートの粘着剤層を貼付する工程、レーザー光を照射してレーザー加工用保護シート及び無機系被加工物を加工する工程、レーザー加工用保護シートを加工後の無機系被加工物から剥離する工程を含むレーザー加工品の製造方法、に関する。
本発明のレーザー加工品の製造方法においては、前記無機系被加工物が、回路基板、半導体ウエハ、ガラス基板、セラミック基板、金属基板、半導体レーザーの発光あるいは受光素子基板、MEMS基板、又は半導体パッケージであることが好ましい。
無機系被加工物の場合には、光エネルギーを注入することにより発生した熱に起因する熱化学反応的プロセスを経由する。つまり、無機系被加工物と有機系被加工物とのアブレーションプロセスは大きく異なる。そのため、有機系材料の加工効率と無機系材料の加工効率とを単純に比較することはできない。
本発明者らは、無機系被加工物の加工レートと保護シートの基材の加工レートとを比較検討した結果、総結合エネルギーAが800kJ/mol未満である基材を有する保護シートを使用した場合には、無機系被加工物と同等又はそれ以上のレーザー加工性を有するため、分解物による無機系被加工物表面の汚染を効果的に抑制することができることを見出した。前記総結合エネルギーAは、780kJ/mol以下であることが好ましく、より好ましくは760kJ/mol以下である。
本発明のレーザー加工品の製造方法においては、前記加工が、切断又は孔あけであることが好ましい。
また本発明は、前記レーザー加工品の製造方法に用いられるレーザー加工用保護シートに関する。前記保護シートは、特に半導体ウエハをダイシングして半導体チップを製造する場合に好適に用いられる。
本発明で用いられるレーザーとしては、レーザー加工時の熱的なダメージにより被加工物の孔のエッジや切断壁面の精度及び外見を悪化させないために、紫外光吸収によるアブレーション加工が可能なレーザーを用いる。特に、レーザー光を20μm以下の細い幅に集光でき、400nm以下の紫外線を放射するレーザーを用いることが好ましい。
具体的には、400nm以下に発振波長を持つレーザー、例えば、発振波長248nmのKrFエキシマレーザー、308nmのXeCIエキシマレーザー、YAGレーザーの第三高調波(355nm)や第四高調波(266nm)、又は400nm以上の波長を持つレーザーの場合には、多光子吸収過程を経由した紫外線領域の光吸収が可能で、かつ多光子吸収アブレーションにより20μm以下の幅の切断加工などが可能である波長750〜800nm付近のチタンサファイヤレーザー等でパルス幅が1e−9秒(0.000000001秒)以下のレーザーなどが挙げられる。
有機系被加工物としては、上記レーザーにより出力されたレーザー光の紫外吸収アブレーションにより加工できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、各種シート材料、布、皮、及び紙などが挙げられる。
前記各種シ−ト材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂等からなる高分子フィルムや不織布、それらの樹脂を延伸加工、含浸加工等により物理的あるいは光学的な機能を付与したシートなどが挙げられる。
無機系被加工物としては、上記レーザーにより出力されたレーザー光の紫外吸収アブレーションにより加工できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、回路基板、半導体ウエハ、ガラス基板、セラミック基板、金属材料、金属基板、半導体レーザーの発光あるいは受光素子基板、MEMS基板、又は半導体パッケージなどが挙げられる。
前記回路基板としては、片面、両面あるいは多層フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ、セラミック、又は金属コア基板等からなるリジッド基板、ガラスまたはポリマー上に形成された光回路あるいは光−電気混成回路基板などが挙げられる。
前記金属材料としては、半金属や合金も含み、例えば金、SUS、銅、鉄、アルミニウム、ステンレス、シリコン、チタン、ニッケル、及びタングステンなど、並びにこれらを用いた加工物が挙げられる。
本発明のレーザー加工品の製造方法においては、基材上に少なくとも粘着剤層を有する
保護シートを用いる。そして、有機系被加工物をレーザー加工する場合には、総結合エネルギー比が1未満となる保護シートを選択して使用することが必要である。一方、無機系被加工物をレーザー加工する場合には、総結合エネルギーAが800kJ/mol未満である基材を有する保護シートを選択して使用することが必要である。
前記基材を構成する樹脂成分としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリウレタン、及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキサイドなどのポリオレフィン系ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記樹脂成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、総結合エネルギーAの値を小さくするためには、芳香族系ポリマーを用いることが好ましく、特にポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、又はポリカーボネートを用いることが好ましい。
前記総結合エネルギーA、Bの値は、例えば、化学便覧、技術文献(Cox, J. D. and PILCHER, G., Thermochemistryof organic and organometallic compounds, Academic Press, New York, 1970)等に記載されている各結合エネルギー値から求めることができる。
基材には充填剤を添加してもよい。充填剤としては、例えば、Au、Cu、Pt、Ag等の金属微粒子、金属コロイド、カーボン等の無機微粒子などが挙げられる。
基材は単層であってもよく複層であてもよい。また、膜状やメッシュ状など種々の形状を取り得る。
基材の厚さは、被加工物上への貼り合わせ、被加工物の切断や孔あけ、及び切断片の剥離や回収などの各工程における操作性や作業性を損なわない範囲で適宜調整することができるが、通常500μm以下であり、好ましくは3〜300μm程度であり、さらに好ましくは5〜250μmである。基材の表面は、粘着剤層との密着性、保持性などを高めるために慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン曝露、火炎曝露、高圧電撃曝露、及びイオン化放射線処理などの化学的又は物理的処理が施されていてもよい。
粘着剤層の形成材料としては、(メタ)アクリル系ポリマーやゴム系ポリマーなどを含む公知の粘着剤を用いることができる。
(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、及びドデシル基などの炭素数30以下、好ましくは炭素数4〜18の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらアルキル(メタ)アクリレートは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系ポリマーの粘着性や凝集力や耐熱性などを改質することを目的として、上記以外のモノマー成分を共重合させてもよい。そのようなモノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、及びクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸や無水イタコン酸などの酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、及び(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレートなど)、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、酢酸ビニル、スチレン、及びアクリロニトリルなどが挙げられる。これらモノマー成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(メタ)アクリル系ポリマーの架橋処理等を目的に多官能モノマーなども必要に応じて共重合モノマー成分として用いることができる。
多官能モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これら多官能モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多官能モノマーの使用量は、粘着特性等の観点より全モノマー成分の30重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは20重量%以下である。
(メタ)アクリル系ポリマーの調製は、例えば1種又は2種以上のモノマー成分を含む混合物を溶液重合方式、乳化重合方式、塊状重合方式、又は懸濁重合方式等の適宜な方式を適用して行うことができる。
重合開始剤としては、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキサイドなどの過酸化物系が挙げられる。単独で用いるのが望ましいが、還元剤と組み合わせてレドックス系重合開始剤として使用することもできる。還元剤としては、例えば、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、鉄、銅、コバルト塩などのイオン化の塩、トリエタノールアミン等のアミン類、アルドース、ケトース等の還元糖などを挙げることができる。また、アゾ化合物も好ましい重合開始剤であり、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオアミジン酸塩、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド等を使用することができる。また、上記重合開始剤を2種以上併用して使用することも可能である。
反応温度は通常50〜85℃程度、反応時間は1〜8時間程度とされる。また、前記製造法のなかでも溶液重合法が好ましく、(メタ)アクリル系ポリマーの溶媒としては一般に酢酸エチル、トルエン等の極性溶剤が用いられる。溶液濃度は通常20〜80重量%程度とされる。
前記粘着剤には、ベースポリマーである(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量を高めるため、架橋剤を適宜に加えることもできる。架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、無水化合物、ポリアミン、カルボキシル基含有ポリマーなどがあげられる。架橋剤を使用する場合、その使用量は引き剥がし粘着力が下がり過ぎないことを考慮し、一般的には、上記ベースポリマー100重量部に対して、0.01〜5重量部程度配合するのが好ましい。また粘着剤層を形成する粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤、充填剤、老化防止剤、着色剤等の慣用の添加剤を含有させることができる。
被加工物からの剥離性を向上させるため、粘着剤は、紫外線、電子線等の放射線により硬化する放射線硬化型粘着剤とすることが好ましい。なお、粘着剤として放射線硬化型粘着剤を用いる場合には、レーザー加工後に粘着剤層に放射線が照射されるため、前記基材は十分な放射線透過性を有するものが好ましい。
放射線硬化型粘着剤としては、例えば、前述の(メタ)アクリル系ポリマーに放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した放射線硬化性粘着剤が挙げられる。
配合する放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリ酸と多価アルコールとからなるエステル化合物、2−プロペニル−3−ブテニルイソシアヌレート、及びトリス(2−メタクリロキシエチル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート化合物などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、特に制限されるものではないが、粘着性を考慮すると、粘着剤を構成する (メタ)アクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、5〜500重量部程度であることが好ましく、さらに好ましくは70〜150重量部程度である。
また、放射線硬化型粘着剤としては、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いることもできる。このようなベースポリマーとしては、(メタ)アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。この場合においては、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を特に加えなくてもよく、その使用は任意である。
前記放射線硬化型粘着剤には、紫外線線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシーα,α−メチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系化合物、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニゾインメチルエーテルの如きベンゾインエーテル系化合物、2−メチル−2−ヒドロキシプロピルフェノンなどのα−ケトール系化合物、ベンジルジメチルケタールなどのケタール系化合物、2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物、1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソンなどのチオキサンソン系化合物、カンファーキノン、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナートなどが挙げられる。
光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成する (メタ)アクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、0.1〜10重量部程度であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5重量部程度である。
前記保護シートは、例えば、基材の表面に粘着剤溶液を塗布し、乾燥させて(必要に応じて加熱架橋させて)粘着剤層を形成することにより製造することができる。また、別途、剥離ライナーに粘着剤層を形成した後、それを基材に貼り合せる方法等を採用することができる。粘着剤層は1層であってもよく、2層以上であってもよい。必要に応じて粘着剤層の表面にセパレータを設けてもよい。
粘着剤層は、被加工物への汚染防止等の点より低分子量物質の含有量が少ないことが好ましい。かかる点より(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は50万以上であることが好ましく、さらに好ましくは80万〜300万である。
粘着剤層の厚さは、被加工物から剥離しない範囲で適宜選択できるが、5〜300μm程度であることが好ましく、さらに好ましくは10〜100μm程度、特に好ましくは10〜50μm程度である。
また粘着剤層の接着力は、SUS304に対する常温(レーザー照射前)での接着力(90度ピール値、剥離速度300mm/分)に基づいて、20N/20mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.001〜10N/20mm、特に好ましくは0.01〜8N/20mmである。
前記セパレータは、ラベル加工または粘着剤層を保護するために必要に応じて設けられる。セパレータの構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム等が挙げられる。セパレータの表面には粘着剤層からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理が施されていてもよい。また、必要に応じて、保護シートが環境紫外線によって反応してしまわないように、紫外線透過防止処理等が施されていてもよい。セパレータの厚みは、通常10〜200μm、好ましくは25〜100μm程度である。
以下、総結合エネルギー比が1未満である保護シート(又は総結合エネルギーAが800kJ/mol未満である基材を有する保護シート)を使用し、レーザー光の紫外吸収アブレーションによるレーザー加工品の製造方法を説明する。例えば、切断加工の場合、図1及び図3に示した如く保護シート2と被加工物1と粘着シート3とをロールラミネーターやプレスといった公知の手段で貼り合わせて得られた保護シート−被加工物−粘着シート積層体4を吸着ステージ5の吸着板6上に配置し、該積層体4上に、所定のレーザー発振器より出力されるレーザー光7をレンズにて保護シート2上に集光・照射するとともに、そのレーザー照射位置を所定の加工ライン上に沿って移動させることにより切断加工を行う。なお、被加工物のレーザー光出射面側に設けられる粘着シート3は、レーザー加工前は被加工物を支持固定する役割を果たし、レーザー加工後は、切断物の落下を防止する役割を果たすものであり、レーザー加工性の低いシートを用いる。粘着シート3としては、基材上に粘着剤層が積層されている一般的なものを特に制限なく使用することができる。
レーザー光の移動手段としては、ガルバノスキャンあるいはX−Yステージスキャン、マスクイメージング加工といった公知のレーザー加工方法が用いられる。
レーザーの加工条件は、保護シート2及び被加工物1が完全に切断される条件であれば特に限定はされないが、粘着シート3まで切断されることを回避するため、被加工物1が切断されるエネルギー条件の2倍以内とすることが好ましい。
また、切りしろ(切断溝)はレーザー光の集光部のビーム径を絞ることにより細くできるが、切断端面の精度を出すために、
ビーム径(μm)>2×(レーザー光移動速度(μm/sec)/レーザー光の繰り返し周波数(Hz))を満たしていることが好ましい。
また、孔あけ加工の場合、図2に示した如く保護シート2と被加工物1と粘着シート3とをロールラミネーターやプレスといった公知の手段で貼り合わせて得られた保護シート−被加工物−粘着シート積層体4を吸着ステージ5の吸着板6上に配置し、該積層体4上に、所定のレーザー発振器より出力されるレーザー光7をレンズにて保護シート2上に集光・照射して孔を形成する。
孔は、ガルバノスキャンあるいはX−Yステージスキャン、マスクイメージングによるパンチング加工といった公知のレーザー加工方法により形成する。レーザーの加工条件は、被加工材料のアブレーション閾値を元に最適値を決定すればよい。粘着シート3まで穿孔されることを回避するため、被加工物1が穿孔されるエネルギー条件の2倍以内とすることが好ましい。
また、ヘリウム、窒素、酸素等のガスをレーザー加工部に吹き付けることにより、分解物の飛散除去を効率化することもできる。
また、半導体ウエハ(シリコンウエハ)の切断加工は、図4の如く半導体ウエハ8の片面を吸着ステージ5上に設けられた粘着シート3に貼り合わせ、さらに他面側に保護シート2を設置し、所定のレーザー発振器より出力されるレーザー光7をレンズにて保護シート2上に集光・照射するとともに、そのレーザー照射位置を所定の加工ライン上に沿って移動させることにより切断加工を行う。レーザー光の移動手段としては、ガルバノスキャンあるいはX−Yステージスキャン、マスク、イメージング加工といった公知のレーザー加工方法が用いられる。かかる半導体ウエハの切断条件は、保護シート2及び半導体ウエハ8が切断され、かつ粘着シート3が切断されない条件であれば特に限定されない。
このような半導体ウエハの切断加工においては、個々の半導体チップに切断後、従来から知られるダイボンダーなどの装置によりニードルと呼ばれる突き上げピンを用いてピックアップする方法、或いは、特開2001−118862号公報に示される方式など公知の方法で個々の半導体チップをピックアップして回収することができる。
本発明のレーザー加工品の製造方法においては、レーザー加工終了後に保護シート2をレーザー加工品10から剥離する。剥離する方法は制限されないが、剥離時にレーザー加工品10が永久変形するような応力がかからないようにすることが肝要である。例えば、粘着剤層に放射線硬化型粘着剤を用いた場合には、粘着剤の種類に応じて放射線照射により粘着剤層を硬化させ粘着性を低下させる。放射線照射により、粘着剤層の粘着性が硬化により低下して剥離を容易化させることができる。放射線照射の手段は特に制限されないが、例えば、紫外線照射等により行われる。
本発明のレーザー加工品の製造方法では、総結合エネルギー比が1未満である保護シート(又は総結合エネルギーAが800kJ/mol未満である基材を有する保護シート)を使用しているため、被加工物よりも保護シートのほうがエッチングされやすくなり、保護シートのレーザー光照射部が十分にエッチングされた後に下層の被加工物がエッチングされる。そのため被加工物の分解物は保護シートのエッチング部分から効率的に外部に飛散するため、保護シートと被加工物との界面部分の汚染を抑制できる。したがって、前記製造方法によると、保護シートと被加工物(レーザー加工品)との界面部分に分解物が付着することがないため、被加工物をレーザー加工した後に保護シートをレーザー加工品から容易に剥離することができ、また被加工物のレーザー加工精度を向上させることができる。
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
〔数平均分子量の測定〕
合成した(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量は以下の方法で測定した。合成した(メタ)アクリル系ポリマーをTHFに0.1wt%で溶解させて、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いてポリスチレン換算により数平均分子量を測定した。詳しい測定条件は以下の通りである。
GPC装置:東ソー製、HLC−8120GPC
カラム:東ソー製、(GMHHR−H)+(GMHHR−H)+(G2000HHR)
流量:0.8ml/min
濃度:0.1wt%
注入量:100μl
カラム温度:40℃
溶離液:THF
実施例1
被加工物としてポリカーボネートシート(厚さ100μm、総結合エネルギーB:720kJ/mol)を用いた。
総結合エネルギー比が1未満になるように、ポリエチレンナフタレートからなる基材(厚さ50μm、総結合エネルギーA:692kJ/mol)上に、紫外線により硬化可能なアクリル系粘着剤溶液(1)を塗布、乾燥して粘着剤層(厚さ10μm)を形成して保護シートを作製した。総結合エネルギー比は0.96であった。
なお、前記アクリル系粘着剤溶液(1)は以下の方法で調製した。ブチルアクリレート/エチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート/アクリル酸を重量比65/35/4/1で共重合させてなる数平均分子量70万のアクリル系ポリマー100重量部、光重合性化合物としてジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート90重量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(イルガキュア651)5重量部、及びポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、コロネートL)2重量部をトルエン650重量部に加え、均一に溶解混合してアクリル系粘着剤溶液(1)を調製した。
前記ポリカーボネートシートの片面に上記作製した保護シートをロールラミネーターにて貼り合わせて保護シート付きポリカーボネートシートを作製した。
そして、ガラスエポキシ樹脂製吸着板をのせたXYステージ上に、保護シート面を上にして保護シート付きポリカーボネートシートを配置した。波長355nm、平均出力5W、繰り返し周波数30kHzのYAGレーザーの第三高調波(355nm)をfθレンズにより保護シート付きポリカーボネートシート表面に25μm径に集光して、ガルバノスキャナーによりレーザー光を20mm/秒の速度でスキャンして切断した。このとき、保護シート及びポリカーボネートシートが切断していることを確認した。そして、保護シートに紫外線を照射して粘着剤層を硬化させた。その後、保護シートを剥離してポリカーボネートシートの保護シート貼り合わせ面(レーザー光入射面側)のレーザー加工周辺部を観察したところ、分解物(付着物)は観察されなかった。
比較例1
実施例1において、ポリカーボネートシートの片面に保護シートを設けなかった以外は実施例1と同様の方法でポリカーボネートシートにレーザー加工を施した。その後、ポリカーボネートシートのレーザー光入射面側の加工周辺部を観察したところ、飛散した分解物残渣が多量に付着していた。
比較例2
実施例1において、保護シートの基材としてエチレン−酢酸ビニル共重合体シート(厚さ100μm、総結合エネルギーA:962kJ/mol)を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリカーボネートシートにレーザー加工を施した。総結合エネルギー比は1.34であった。その結果、保護シートは切断されておらず、下層のポリカーボネートシートがレーザー加工されており、保護シートとポリカーボネートシートとの間に分解物残渣を含む気泡が発生していた。そして、保護シートに紫外線を照射して粘着剤層を硬化させた。その後、保護シートを剥離し、ポリカーボネートシートのレーザー光入射面側の開口部周辺を観察すると、ポリカーボネートの分解物残渣が多量に付着していた。
実施例2
加工する材料として、シリコンウエハ(厚さ100μm)を用いた以外は実施例1と同様の方法で保護シート付きシリコンウエハを作製した。
また、ポリエチレンからなる基材(厚さ100μm)上に、前記アクリル系粘着剤溶液(1)を塗布、乾燥して粘着剤層(厚さ10μm)を形成して粘着シートを製造した。該粘着シートを前記保護シート付きシリコンウエハの裏面側に貼付けて、保護・粘着シート付きシリコンウエハを作製した。
その後、実施例1と同様の方法で切断加工をしたところ、保護シート及びシリコンウエハは切断されていたが、粘着シートは切断されていなかった。そして、保護シートに紫外線を照射して粘着剤層を硬化させた。その後、保護シートを剥離してシリコンウエハの保護シート貼り合わせ面(レーザー光入射面側)のレーザー加工周辺部を観察したところ、分解物(付着物)は観察されなかった。
実施例3
保護シートの基材としてポリエチレンテレフタレートシート(厚さ25μm、総結合エネルギーA:692kJ/mol)を用いた以外は実施例2と同様の方法により保護・粘着シート付きシリコンウエハを作製した。
その後、実施例1と同様の方法で切断加工をしたところ、保護シート及びシリコンウエハは切断されていたが、粘着シートは切断されていなかった。そして、保護シートに紫外線を照射して粘着剤層を硬化させた。その後、保護シートを剥離してシリコンウエハの保護シート貼り合わせ面(レーザー光入射面側)のレーザー加工周辺部を観察したところ、分解物(付着物)は観察されなかった。
比較例3
保護シートの基材としてエチレン−酢酸ビニル共重合体シート(厚さ100μm、総結合エネルギーA:962kJ/mol)を用いた以外は実施例2と同様の方法により保護・粘着シート付きシリコンウエハを作製した。
その後、実施例1と同様の方法で切断加工をしたところ、保護シートは切断されておらず、下層のシリコンウエハがレーザー加工されており、保護シートとシリコンウエハとの間に分解物残渣を含む気泡が発生していた。そして、保護シートに紫外線を照射して粘着剤層を硬化させた。その後、保護シートを剥離し、シリコンウエハのレーザー光入射面側の開口部周辺を観察すると、分解物残渣が多量に付着していた。
上記実施例及び比較例から明らかなように、総結合エネルギー比が1未満である保護シート、又は総結合エネルギーAが800kJ/mol未満である基材を有する保護シートを選択して使用することにより、分解物による被加工物表面の汚染を効果的に抑制することができる。そして、その後の分解物除去工程を大幅に簡素化できるため、環境負荷低減に寄与できるだけでなく生産性の向上をも図ることができる。
本発明におけるレーザー加工品の製造方法の例を示す概略工程図である。 本発明におけるレーザー加工品の製造方法の他の例を示す概略工程図である。 レーザー光の紫外吸収アブレーションにより加工された積層体の断面を示す概略図である。 半導体ウエハのダイシング方法の例を示す概略図である。
符号の説明
1 被加工物
2 レーザー加工用保護シート
3 粘着シート
4 積層体
5 吸着ステージ
6 吸着板
7 レーザー光
8 半導体ウエハ
9 ダイシングフレーム
10 レーザー加工品

Claims (2)

  1. 基材上に少なくとも粘着剤層を有しており、かつ総結合エネルギー比(総結合エネルギー比=基材を構成する樹脂成分中のある1つの炭素原子と、該炭素原子に結合する他の原子との結合エネルギーの合計値のうちで最小値である総結合エネルギーA/使用する有機系被加工物を構成する原料成分中のある1つの炭素原子と、該炭素原子に結合する他の原子との結合エネルギーの合計値のうちで最小値である総結合エネルギーB)が1未満であるレーザー加工用保護シートを使用し、
    前記有機系被加工物のレーザー光入射面側に該レーザー加工用保護シートの粘着剤層、前記有機系被加工物のレーザー光出射面側に粘着シートを貼付する工程、
    波長355nmのレーザー光を照射してレーザー加工用保護シートのレーザー光照射部をエッチングした後に有機系被加工物をエッチングして有機系被加工物を加工する工程、
    レーザー加工用保護シートを加工後の有機系被加工物から剥離する工程
    を含むレーザー加工品の製造方法。
  2. 前記加工が、切断又は孔あけである請求項1記載のレーザー加工品の製造方法。
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