JP2006176725A - レーザー加工用粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 レーザー光の多光子吸収アブレーションにより被加工物を加工する場合に、高精細・高精度に加工でき、かつ分解物による被加工物表面の汚染を効果的に抑制することのできるレーザー加工用粘着シートを提供すること。また、前記レーザー加工用粘着シートを用いて生産効率よくかつ容易にレーザー加工品を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 レーザー光の多光子吸収アブレーションにより被加工物を加工する際に使用するレーザー加工用粘着シートにおいて、前記粘着シートは、基材上に少なくとも粘着剤層が設けられているものであり、前記基材は、パルス幅が10−12秒以下の超短パルスレーザー光を照射した際のエッチング率(エッチング速度/エネルギーフルエンス)が0.4〔(μm/pulse)/(J/cm)〕未満であることを特徴とするレーザー加工用粘着シート。
【選択図】 図1

Description

本発明は、レーザー光の多光子吸収アブレーションにより被加工物を加工する際に使用するレーザー加工用粘着シートに関する。また本発明は、シート材料、回路基板、半導体ウエハ、ガラス基板、セラミック基板、金属基板、半導体レーザー等の発光あるいは受光素子基板、MEMS基板、半導体パッケージ、布、皮、又は紙などの各種被加工物に、レーザー光の紫外吸収アブレーションにより切断、孔あけ、マーキング、溝加工、スクライビング加工、又はトリミング加工などの形状加工を施すことによって得られるレーザー加工品の製造方法に関する。
最近の電気・電子機器の小型化等に伴って部品の小型化・高精細化が進んでいる。そのため、各種材料の外形加工についても、加工精度が±50μmあるいはそれ以下の高精細・高精度化が求められてきている。しかしながら、従来のプレス加工等の打ち抜き加工では精度がせいぜい±100μm程度であり、近年の高精度化の要求には対応できなくなってきている。また、各種材料の孔あけについても、高精細・高精度化が求められており、従来のドリルや金型による孔あけでは対応が不可能となってきている。
近年、その解決方法としてレーザー光を用いた各種材料の加工方法が注目されている。上記技術としては、例えば、被加工物をダイシングシートに支持固定して、レーザー光線により被加工物をダイシングする方法が提案されている(特許文献1)。そして、前記ダイシングシートとしては、支持シートを含む基材と、前記基材の片面表面に配置される粘着剤層とからなり、前記粘着剤層はレーザー光線により切断可能であり、前記支持シートはレーザー光線により切断不可能であるものが開示されている。
また、ウォーターマイクロジェットとレーザーを組み合わせて半導体ウエハをダイシングする方法も提案されている(特許文献2)。そして、基材の片面上に、非放射線硬化型粘着剤層及び放射線硬化型粘着剤層を有してなり、基材がウォータージェットのジェット水流を透過しうるものであり、かつ、非放射線硬化型粘着剤層が基材と放射線硬化型粘着剤層の間に設けられているレーザーダイシング用粘着テープが開示されている。
ところで、レーザー光を用いた場合には、レーザー加工時に被加工物、粘着テープ、又は吸着板から発生するカーボン等の分解物が被加工物の表面に付着するため、それを除去するデスミアといわれる後処理が必要となる。分解物の付着強度は、レーザー光のパワーに比例して強固となるため、レーザー光のパワーを高くすると後処理での分解物の除去が困難となる傾向にある。
特許文献1に記載のダイシングシートを使用した場合、粘着剤層は使用されるYAGレーザーの基本波(波長1064nm)やルビーレーザー(波長694nm)のレーザー光線により熱加工的に切断されるため、ダイシングシートと被加工物との界面に粘着剤層の分解物が侵入してその界面部分で強固に付着する恐れがある。そのため、レーザー加工後に被加工物からダイシングシートを剥離することが困難になったり、後処理をしても付着物を完全に除去することが困難となったり、レーザー加工精度が低下するなどの問題がある。また、レーザー光を50μm程度にしか集光できないため切断幅が大きくなり、今後要求される高精細・高精度化に対応できないという問題がある。
また、特許文献2に記載の粘着テープは、ウォーターマイクロジェットとレーザーを組み合わせて半導体ウエハをダイシングする方法に使用した場合には、粘着テープの熱的ダメージはウォータージェットの冷却効果により低減されるため、レーザー照射による熱によって粘着剤層や基材が溶融や分解することを抑制できると考えられる。しかし、該粘着テープをレーザーのみを用いて半導体ウエハをダイシングする方法に使用した場合には、レーザー照射による熱によって粘着剤層や基材が溶融したり、粘着シートと半導体ウエハの界面に粘着剤層や基材の分解物が侵入してその界面部分で強固に付着し、前記と同様の問題が起こる恐れがある。また、ウォーターマイクロジェットを使用した場合には、ダイシング時の切断幅がウォータージェットの径により規定されるため、切断幅を小さくするには限界があり、半導体チップの製造効率の面で劣る。
特開2002−343747号公報 特開2003−34780号公報
本発明は、レーザー光の多光子吸収アブレーションにより被加工物を加工する場合に、高精細・高精度に加工でき、かつ分解物による被加工物表面の汚染を効果的に抑制することのできるレーザー加工用粘着シートを提供することを目的とする。また本発明は、前記レーザー加工用粘着シートを用いて生産効率よくかつ容易にレーザー加工品を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記レーザー加工用粘着シートにより上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、レーザー光の多光子吸収アブレーションにより被加工物を加工する際に使用するレーザー加工用粘着シートにおいて、前記粘着シートは、基材上に少なくとも粘着剤層が設けられているものであり、前記基材は、パルス幅が10−12秒以下の超短パルスレーザー光を照射した際のエッチング率(エッチング速度/エネルギーフルエンス)が0.4〔(μm/pulse)/(J/cm)〕未満であることを特徴とするレーザー加工用粘着シート、に関する。
前記レーザー加工用粘着シートは、レーザー光の多光子吸収アブレーションにより被加工物をレーザー加工する前に、被加工物の吸着ステージ面側(レーザー光出射面側)に積層され、加工時及びその後の各工程で被加工物(レーザー加工品)を支持固定するために用いられる。
基材のエッチング速度(μm/pulse)を、使用するレーザーのエネルギーフルエンス(J/cm)で割った値であるエッチング率は、基材のレーザー加工性の程度を示すものであり、該エッチング率が小さいほどエッチングされ難い(加工され難い)ことを示す。前記エッチング率の算出方法は詳しくは実施例の記載による。
本発明においては、パルス幅が10−12秒以下の超短パルスレーザー光を照射した際のエッチング率が0.4未満の基材を用いることにより、基材のエッチングを効果的に抑制することができ、基材や吸着板の分解物による被加工物表面の汚染を防止することができる。また、本発明のレーザー加工用粘着シートを用いた場合には、パルス幅が10−12秒以下の超短パルスレーザーを使用することができるため、高精細・高精度に加工することができる。
前記基材のエッチング率は、0.3以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2以下である。エッチング率が0.4以上の場合には、基材のレーザーエネルギー利用効率が大きくなるため、基材のエッチングが進行しやすくなる傾向にある。そのため、基材のエッチングにより生じた分解物や吸着ステージ上に設けられた吸着板の分解物などが、粘着シートと被加工物との界面部分に入り込んで被加工物表面を汚染する恐れがある。被加工物表面が分解物によって汚染されると、被加工物をレーザー加工した後に、粘着シートを被加工物から剥離することが困難になったり、後処理での分解物除去が困難になったり、被加工物の加工精度が低下する傾向にある。
前記レーザー加工用粘着シートは、基材上に少なくとも粘着剤層が設けられているものである。粘着性を付与することにより、被加工物を十分に支持固定することができるだけでなく、粘着シートと被加工物との界面の密着性を向上させることができるため、分解物の界面への侵入を抑制することができ、その結果分解物による被加工物表面の汚染を抑制することが可能となる。
また、本発明においては、前記基材が、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリアミド系樹脂を含有してなるものであることが好ましい。前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレンであることが好ましい。また、前記ポリオレフィン系樹脂の側鎖の官能基は、エーテル結合により主鎖に連結していることが好ましい。基材の形成材料として前記材料を用いることにより、基材のエッチング率を0.4未満に調整しやすくなる。
本発明は、被加工物のレーザー光出射面側に前記レーザー加工用粘着シートを設置する工程(1)、パルス幅が10−12秒以下の超短パルスレーザー光を照射して被加工物を加工する工程(2)、レーザー加工用粘着シートを加工後の被加工物から剥離する工程(3)を含むレーザー加工品の製造方法、に関する。
前記被加工物は、シート材料、回路基板、半導体ウエハ、ガラス基板、セラミック基板、金属基板、半導体レーザーの発光あるいは受光素子基板、MEMS基板、又は半導体パッケージであることが好ましい。また、前記加工は、被加工物を切断又は孔あけする加工であることが好ましい。
本発明のレーザー加工用粘着シートは、特に半導体ウエハをダイシングして半導体チップを製造する場合に好適に用いられる。
本発明で用いられるレーザーとしては、レーザー加工時の熱的なダメージにより被加工物の孔のエッジや切断壁面の精度及び外見を悪化させないために、熱加工プロセスを経由しない非熱的加工である多光子吸収によるアブレーション加工が可能で、かつ20μm以下の細い幅に集光できる超短パルスレーザーを用いる。
超短パルスレーザーとしては、チタン・サファイア結晶を媒質とするレーザー、色素レーザーを再生・増幅して得られたフェムト秒パルスレーザーなどが挙げられる。使用する超短パルスレーザーのパルス幅は、10−12秒以下であり、好ましくは10−12〜10−15秒であり、より好ましくは10−13〜10−14秒である。使用波長は100〜800nm程度であり、繰り返し周波数は1Hz〜80MHz程度、好ましくは10Hz〜500kHzである。レーザーパルスの出力は、数mW〜数百mW程度である。超短パルスレーザーの照射エネルギーは、材料に照射する際に用いられる対物レンズの開口数(光源の絞り込み)、レーザーの焦点の移動速度などに応じて決められる。
被加工物としては、上記レーザーにより出力されたレーザー光の多光子吸収アブレーションにより加工できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、各種シート材料、回路基板、半導体ウエハ、ガラス基板、セラミック基板、金属基板、半導体レーザー等の発光あるいは受光素子基板、MEMS(Micro Electro Mechanical System)基板、半導体パッケージ、布、皮、及び紙などが挙げられる。
本発明のレーザー加工用粘着シートは、特にシート材料、回路基板、半導体ウエハ、ガラス基板、セラミック基板、金属基板、半導体レーザーの発光あるいは受光素子基板、MEMS基板、又は半導体パッケージの加工に好適に用いることができる。
前記各種シ−ト材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等からなる高分子フィルムや不織布、それらの樹脂を延伸加工、含浸加工等により物理的あるいは光学的な機能を付与したシート、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属シート、又は上記高分子フィルム及び/又は金属シートを直接あるいは接着剤等を介して積層したものなどが挙げられる。
前記回路基板としては、片面、両面あるいは多層フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ、セラミック、又は金属コア基板等からなるリジッド基板、ガラスまたはポリマー上に形成された光回路あるいは光−電気混成回路基板などが挙げられる。
本発明のレーザー加工用粘着シートは、基材上に少なくとも粘着剤層が設けられているものであり、かつ前記基材は、パルス幅が10−12秒以下の超短パルスレーザー光を照射した際のエッチング率が0.4未満のものである。
基材の形成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、(メタ)アクリル系ポリマー、セルロース系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール系樹脂、シリコン系ゴム、及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリビニルアルコール、ポリメチルペンテン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。超短パルスレーザーは非常に高いピーク強度を有し、多光子吸収が生じて加工されるため、基材の材料選択は困難である。多くの材料をスクリーニングした結果、特にポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、又はポリアミド系樹脂を含有してなるものであることが好ましい。なお、これら樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上をブレンドして用いてもよい。
基材は単層であってもよく複層であってもよい。また、膜状やメッシュ状など種々の形状を取り得る。
基材の厚さは、被加工物への貼り合わせ、被加工物の切断や孔あけ、及びレーザー加工品の剥離や回収などの各工程における操作性や作業性を損なわない範囲で適宜調整することができるが、通常500μm以下であり、好ましくは3〜300μm程度であり、さらに好ましくは5〜250μmである。基材の表面は、吸着板などの隣接する材料との密着性、保持性などを高めるために慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン曝露、火炎曝露、高圧電撃曝露、及びイオン化放射線処理などの化学的又は物理的処理、あるいは下塗り剤(例えば、後述の粘着物質)によるコーティング処理が施されていてもよい。
粘着剤層の形成材料としては、(メタ)アクリル系ポリマーやゴム系ポリマーなどを含む公知の粘着剤を用いることができる。
(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プルピル基、イソプルピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、及びドデシル基などの炭素数30以下、好ましくは炭素数4〜18の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらアルキル(メタ)アクリレートは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記以外のモノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、及びクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸や無水イタコン酸などの酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、及び(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマーなどが挙げられる。これらモノマー成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(メタ)アクリル系ポリマーの架橋処理等を目的に多官能モノマーなども必要に応じて共重合モノマー成分として用いることができる。
多官能モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これら多官能モノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多官能モノマーの使用量は、粘着特性等の観点より全モノマー成分の30重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは20重量%以下である。
(メタ)アクリル系ポリマーの調製は、例えば1種又は2種以上のモノマー成分を含む混合物を溶液重合方式、乳化重合方式、塊状重合方式、又は懸濁重合方式等の適宜な方式を適用して行うことができる。
重合開始剤としては、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキサイドなどの過酸化物系が挙げられる。これらは単独で用いるのが望ましいが、還元剤と組み合わせてレドックス系重合開始剤として使用することもできる。還元剤としては、例えば、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、鉄、銅、コバルト塩などのイオン化の塩、トリエタノールアミン等のアミン類、アルドース、ケトース等の還元糖などを挙げることができる。また、アゾ化合物も好ましい重合開始剤であり、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオアミジン酸塩、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド等を使用することができる。また、上記重合開始剤を2種以上併用して使用することも可能である。
反応温度は通常50〜85℃程度、反応時間は1〜8時間程度とされる。また、前記製造法のなかでも溶液重合法が好ましく、(メタ)アクリル系ポリマーの溶媒としては一般に酢酸エチル、トルエン等の極性溶剤が用いられる。溶液濃度は通常20〜80重量%程度とされる。
前記粘着剤には、ベースポリマーである(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量を高めるため、架橋剤を適宜に加えることもできる。架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、無水化合物、ポリアミン、カルボキシル基含有ポリマーなどがあげられる。架橋剤を使用する場合、その使用量は引き剥がし粘着力が下がり過ぎないことを考慮し、一般的には、上記ベースポリマー100重量部に対して、0.01〜5重量部程度配合するのが好ましい。また粘着剤層を形成する粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤、充填剤、老化防止剤、着色剤等の慣用の添加剤を含有させることができる。
被加工物からの剥離性を向上させるため、粘着剤は、紫外線、電子線等の放射線により硬化する放射線硬化型粘着剤とすることが好ましい。なお、粘着剤として放射線硬化型粘着剤を用いる場合には、レーザー加工後に粘着剤層に放射線が照射されるため、前記基材は十分な放射線透過性を有するものが好ましい。
放射線硬化型粘着剤としては、炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、例えば、前述の(メタ)アクリル系ポリマーに放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した放射線硬化性粘着剤が挙げられる。
配合する放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及び1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、特に制限されるものではないが、粘着性を考慮すると、粘着剤を構成する (メタ)アクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、5〜500重量部程度であることが好ましく、さらに好ましくは70〜150重量部程度である。
また、放射線硬化型粘着剤としては、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いることもできる。このようなベースポリマーとしては、(メタ)アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。この場合においては、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を特に加えなくてもよく、その使用は任意である。
前記放射線硬化型粘着剤には、紫外線線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシーα,α−メチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系化合物、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニゾインメチルエーテルの如きベンゾインエーテル系化合物、2−メチル−2−ヒドロキシプロピルフェノンなどのα−ケトール系化合物、ベンジルジメチルケタールなどのケタール系化合物、2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物、1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソンなどのチオキサンソン系化合物、カンファーキノン、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナートなどが挙げられる。
光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成する (メタ)アクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、0.1〜10重量部程度であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5重量部程度である。
本発明のレーザー加工用粘着シートは、例えば、前記基材の表面に粘着剤溶液を塗布し、乾燥させて(必要に応じて加熱架橋させて)粘着剤層を形成することにより製造することができる。また、別途、剥離ライナーに粘着剤層を形成した後、それを基材に貼り合せる方法等を採用することができる。必要に応じて粘着剤層の表面にセパレータを設けてもよい。
粘着剤層は、被加工物への汚染防止等の点より低分子量物質の含有量が少ないことが好ましい。かかる点より(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は30万以上であることが好ましく、さらに好ましくは40万〜300万である。
粘着剤層の厚さは、被加工物から剥離しない範囲で適宜選択できるが、通常5〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度、さらに好ましくは20〜50μm程度である。
また粘着剤層の接着力は、SUS304に対する常温(レーザー照射前)での接着力(90度ピール値、剥離速度300mm/分)に基づいて、20N/20mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.001〜10N/20mm、特に好ましくは0.01〜8N/20mmである。
前記セパレータは、ラベル加工または粘着剤層を保護するために必要に応じて設けられる。セパレータの構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム等が挙げられる。セパレータの表面には粘着剤層からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理が施されていてもよい。また、必要に応じて、レーザー加工用粘着シートが環境紫外線によって反応してしまわないように、紫外線透過防止処理等が施されていてもよい。セパレータの厚みは、通常10〜200μm、好ましくは25〜100μm程度である。
以下、前記レーザー加工用粘着シートを用いたレーザー光の多光子吸収アブレーションによるレーザー加工品の製造方法を説明する。例えば、切断加工の場合、図1及び図3に示した如くレーザー加工用粘着シート2と被加工物1とをロールラミネーターやプレスといった公知の手段で貼り合わせて得られた被加工物−粘着シート積層体3を吸着ステージ4の吸着板5上に配置し、所定のレーザー発振器より出力されるレーザー光6をレンズにて被加工物1上に集光・照射するとともに、そのレーザー照射位置を所定の加工ライン上に沿って移動させることにより被加工物1の切断加工を行う。被加工物1のレーザー光出射面側に設けられる粘着シート2は、レーザー加工前は被加工物1を支持固定する役割を果たし、レーザー加工後は、切断物の落下を防止する役割を果たす。なお、前記被加工物1のレーザー光入射面側には保護シートが設けられていてもよい。保護シートは、被加工物1のレーザー加工により発生する分解物や飛散物が被加工物1の表面に付着するのを防止するために用いられる。
レーザー光の移動手段としては、ガルバノスキャンあるいはX−Yステージスキャン、マスクイメージング加工といった公知のレーザー加工方法が用いられる。
レーザーの加工条件は、被加工物1が完全に切断される条件であれば特に限定はされないが、粘着シート2まで切断されることを回避するため、被加工物1が切断されるエネルギー条件の2倍以内とすることが好ましい。
また、切りしろ(切断溝)はレーザー光の集光部のビーム径を絞ることにより細くできるが、切断端面の精度を出すために、
ビーム径(μm)>2×(レーザー光移動速度(μm/sec)/レーザー光の繰り返し周波数(Hz))を満たしていることが好ましい。
また、孔あけ加工の場合、図2に示した如く被加工物1とレーザー加工用粘着シート2とをロールラミネーターやプレスといった公知の手段で貼り合わせて得られた被加工物−粘着シート積層体3を吸着ステージ4の吸着板5上に配置し、所定のレーザー発振器より出力されるレーザー光6をレンズにて被加工物1上に集光・照射して孔を形成する。
孔は、ガルバノスキャンあるいはX−Yステージスキャン、マスクイメージングによるパンチング加工といった公知のレーザー加工方法により形成する。レーザー加工条件は、被加工物のアブレーション閾値を元に最適値を決定すればよい。
また、ヘリウム、窒素、酸素等のガスをレーザー加工部に吹き付けることにより、分解物の飛散除去を効率化することもできる。なお、被加工物1のレーザー光入射面側には保護シートが設けられていてもよい。
また、半導体ウエハの切断加工(ダイシング加工)の場合は、図4の如く半導体ウエハ7の片面を吸着ステージ4上に設けられたレーザー加工用粘着シート2に貼り合わせ、所定のレーザー発振器より出力されるレーザー光6をレンズにて半導体ウエハ7上に集光・照射するとともに、そのレーザー照射位置を所定の加工ライン上に沿って移動させることにより切断加工を行う。レーザー光の移動手段としては、ガルバノスキャンあるいはX−Yステージスキャン、マスク、イメーソング加工といった公知のレーザー加工方法が用いられる。かかる半導体ウエハの加工条件は、半導体ウエハ7が切断されかつ粘着シート2が切断されない条件であれば特に限定されない。なお、半導体ウエハ7のレーザー光入射面側には保護シートが設けられていてもよい。
このような半導体ウエハのダイシング加工においては、個々の半導体チップ(レーザー加工品)に切断後、従来より知られるダイボンダーなどの装置によりニードルと呼ばれる突き上げピンを用いてピックアップする方法、或いは、特開2001−118862号公報に示される方式など公知の方法で個々の半導体チップをピックアップして回収することができる。
本発明のレーザー加工品の製造方法においては、レーザー加工終了後に粘着シート2を剥離してレーザー加工品9を回収する。剥離する方法は制限されないが、剥離時にレーザー加工品9が永久変形するような応力がかからないようにすることが肝要である。例えば、粘着シート2の粘着剤層に放射線硬化型粘着剤を用いた場合には、粘着剤の種類に応じて放射線照射により粘着剤層を硬化させ粘着性を低下させる。放射線照射により、粘着剤層の粘着性が硬化により低下して剥離を容易化させることができる。放射線照射の手段は特に制限されないが、例えば、紫外線照射等により行われる。
本発明のレーザー加工品の製造方法においては、エッチング率が0.4未満の基材を有するレーザー加工用粘着シートを用いているため、パルス幅が10−12秒以下の超短パルスレーザー光を使用した場合であっても極めてエッチングされにくい。そのため、レーザー加工用粘着シートと被加工物との界面部分における分解物による汚染を効果的に抑制できる。したがって、前記製造方法によるとレーザー加工用粘着シートと被加工物(レーザー加工品)との界面部分に分解物がほとんど付着することがないため、被加工物をレーザー加工した後には、粘着シートをレーザー加工品から容易に剥離することができ、また被加工物のレーザー加工精度を向上させることができる。また、分解物が付着している場合であっても後処理により容易に除去することができるため、後処理を大幅に簡素化することができる。また、レーザーの高パワー化によるスループットの向上を達成することができる。さらに、超短パルスレーザーを使用することができるため、高精細・高精度に被加工物を加工することができる。
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
〔重量平均分子量の測定〕
合成した(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は以下の方法で測定した。合成した(メタ)アクリル系ポリマーをTHFに0.1wt%で溶解させて、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いてポリスチレン換算により重量平均分子量を測定した。詳しい測定条件は以下の通りである。
GPC装置:東ソー製、HLC−8120GPC
カラム:東ソー製、(GMHHR−H)+(GMHHR−H)+(G2000HHR)
流量:0.8ml/min
濃度:0.1wt%
注入量:100μl
カラム温度:40℃
溶離液:THF

〔エッチング率の測定〕
チタン・サファイアパルスレーザー(波長780nm、パルス幅140フェムト秒、繰り返し周波数1kHz、照射エネルギー7mW)を、対物レンズの倍率10倍でfθレンズにより集光し、パルス数5(pulse)の条件で基材表面に照射した。照射後、基材に形成された孔の深さ(μm)を光学顕微鏡で測定した。エッチング速度は下記式により算出される。
エッチング速度=孔深さ(μm)/パルス数(pulse)
また前記チタン・サファイアパルスレーザーのエネルギーフルエンスは3(J/cm)であった。エッチング率は、上記エッチング速度とエネルギーフルエンスとから下記式により算出される。
エッチング率=エッチング速度(μm/pulse)/エネルギーフルエンス(J/cm

実施例1
ポリビニルアルコールからなる基材(厚さ100μm、エッチング率:0)上に、紫外線により硬化可能なアクリル系粘着剤溶液(1)を塗布、乾燥して粘着剤層(厚さ10μm)を形成してレーザー加工用粘着シートを得た。
なお、アクリル系粘着剤溶液(1)は以下の方法で調製した。ブチルアクリレート/アクリル酸を重量比100/2で共重合させてなる重量平均分子量90万のアクリル系ポリマー100重量部、光重合性化合物としてジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート90重量部、及び光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(イルガキュア651)5重量部をトルエン650重量部に加え、均一に溶解混合してアクリル系粘着剤溶液(1)を調製した。
厚み25μmのポリイミドフィルムの片面に上記作製したレーザー加工用粘着シートをロールラミネーターにて貼り合わせて粘着シート付きポリイミドフィルムを作製した。そして、ガラスエポキシ樹脂製の吸着板をのせたXYステージ上に、粘着シート面を下にして粘着シート付きポリイミドフィルムを配置した。チタン・サファイアパルスレーザー(波長780nm、パルス幅140フェムト秒、繰り返し周波数1kHz、照射エネルギー7mW)をfθレンズによりポリイミドフィルム表面に25μm径に集光して、ガルバノスキャナーによりレーザー光を20mm/秒の速度でスキャンして切断加工した。このとき、ポリイミドフィルムは切断していたが、粘着シートは全く切断されていなかった。その後、粘着シートを剥離してポリイミドフィルムの粘着シート貼り合わせ面(レーザー光出射面側)のレーザー加工周辺部を観察したところ、分解物(付着物)は観察されなかった。
比較例1
実施例1において、ポリイミドフィルムの片面にレーザー加工用粘着シートを設けなかった以外は実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムにレーザー加工を施した。その後、ポリイミドフィルムのレーザー光出射面側の加工周辺部を観察したところ、吸着板として使用したガラスエポキシ樹脂の分解物が多量に付着していた。また、ステンレスに由来するニッケルも付着していた。その後、過マンガン酸カリウム水溶液を用いてデスミア処理を行ったが、付着した分解物を完全に除去することはできなかった。
比較例2
実施例1において、レーザー加工用粘着シートの基材としてポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ50μm、エッチング率:0.77)を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムにレーザー加工を施した。その結果、ポリイミドフィルムだけでなく粘着シートも完全に切断されていた。その後、粘着シートを剥離してポリイミドフィルムの粘着シート貼り合わせ面(レーザー光出射面側)のレーザー加工周辺部を観察したところ、粘着シートや吸着板に由来する分解物(付着物)が観察された。
実施例2
ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンからなる積層型基材(厚さ100μm、エッチング率:0)上に、紫外線により硬化可能なアクリル系粘着剤溶液(2)を塗布、乾燥して粘着剤層(厚さ20μm)を形成してレーザー加工用粘着シートを得た。
なお、アクリル系粘着剤溶液(2)は以下の方法で調製した。エチルアクリレート/ブチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレートを重量比50/50/16で共重合させてなる重量平均分子量50万のアクリル系ポリマー100重量部に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート20重量部を付加反応させ、ポリマー分子内側鎖に炭素−炭素二重結合を導入した(この時の側鎖の長さは原子数で13個)。このポリマー100重量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン製、コロネートL)3重量部、及び光重合開始剤としてα−ヒドロキシケトン(イルガキュア184)3重量部をトルエン350重量部に加え、均一に溶解混合してアクリル系粘着剤溶液(2)を調製した。
厚さ25μmのポリイミドフィルム上に厚さ18μmの銅層を形成した2層基板に、露光・現像・エッチング工程により回路を形成し、厚さ13μmのポリイミドフィルム上に厚さ15μmのエポキシ系粘着剤層を形成したカバレイフィルムを回路上に貼り合わせてフレキシブルプリント基板を作製した。作製したフレキシブルプリント基板と上記レーザー加工用粘着シートをロールラミネーターにて貼り合わせて粘着シート付きフレキシブルプリント基板を作製した。
そして、アルミナ製のセラミック吸着板をのせたXYステージ上に、粘着シート面を下にして粘着シート付きフレキシブルプリント基板を配置した。チタン・サファイアパルスレーザー(波長780nm、パルス幅140フェムト秒、繰り返し周波数1kHz、照射エネルギー7mW)をfθレンズによりフレキシブルプリント基板表面に25μm径に集光して、ガルバノスキャナーによりレーザー光を20mm/秒の速度でスキャンして切断加工した。このとき、フレキシブルプリント基板は切断されていたが、粘着シートは全く切断されていなかった。その後、粘着シートを剥離してフレキシブルプリント基板の粘着シート貼り合わせ面(レーザー光出射面側)のレーザー加工周辺部を観察したところ、分解物(付着物)は観察されなかった。
実施例3
ポリビニルアルコールからなる基材の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる基材(厚さ80μm、エッチング率:0)を用いた以外は実施例1と同様の方法でレーザー加工用粘着シートを作製した。
厚さ18μmの銅箔の片面に上記作製したレーザー加工用粘着シートをロールラミネーターにて貼り合わせて粘着シート付き銅箔を作製した。そして、ジルコニアをステンレス板上に溶射してなる吸着板をのせたXYステージ上に、粘着シート面を下にして粘着シート付き銅箔を配置した。チタン・サファイアパルスレーザー(波長780nm、パルス幅140フェムト秒、繰り返し周波数1kHz、照射エネルギー7mW)をfθレンズにより銅箔表面に25μm径に集光して、ガルバノスキャナーによりレーザー光を10mm/秒の速度でスキャンして切断加工した。このとき、銅箔は切断していたが、粘着シートは全く切断されていなかった。その後、粘着シートを剥離して銅箔の粘着シート貼り合わせ面(レーザー光出射面側)のレーザー加工周辺部を観察したところ、分解物(付着物)は観察されなかった。
実施例4
ポリビニルアルコールからなる基材の代わりに、ポリアミドからなる基材(厚さ80μm、エッチング率:0)を用い、粘着剤層の厚さを10μmから5μmに変更した以外は実施例1と同様の方法でレーザー加工用粘着シートを作製した。作製した粘着シートを用いて実施例3と同様の方法で切断加工した。このとき、銅箔は切断していたが、粘着シートは全く切断されていなかった。その後、粘着シートを剥離して銅箔の粘着シート貼り合わせ面(レーザー光出射面側)のレーザー加工周辺部を観察したところ、分解物(付着物)は観察されなかった。
実施例5
ポリビニルアルコールからなる基材の代わりに、セロハン(厚さ50μm、エッチング率:0)を用い、粘着剤層の厚さを10μmから5μmに変更した以外は実施例1と同様の方法でレーザー加工用粘着シートを作製した。作製した粘着シートを用いて実施例3と同様の方法で切断加工した。このとき、銅箔は切断していたが、粘着シートは全く切断されていなかった。その後、粘着シートを剥離して銅箔の粘着シート貼り合わせ面(レーザー光出射面側)のレーザー加工周辺部を観察したところ、分解物(付着物)は観察されなかった。
実施例6
ポリビニルアルコールからなる基材の代わりに、ポリノルボルネンからなる基材(厚さ100μm、エッチング率:0.28)を用い、粘着剤層の厚さを10μmから5μmに変更した以外は実施例1と同様の方法でレーザー加工用粘着シートを作製した。作製した粘着シートを用いて実施例3と同様の方法で切断加工した。このとき、銅箔は切断していたが、粘着シートは全く切断されていなかった。その後、粘着シートを剥離して銅箔の粘着シート貼り合わせ面(レーザー光出射面側)のレーザー加工周辺部を観察したところ、分解物(付着物)は観察されなかった。
実施例7
ポリビニルアルコールからなる基材の代わりに、ポリプロピレンからなる基材(厚さ100μm、エッチング率:0.28)を用い、粘着剤層の厚さを10μmから5μmに変更した以外は実施例1と同様の方法でレーザー加工用粘着シートを作製した。作製した粘着シートを用いて実施例3と同様の方法で切断加工した。このとき、銅箔は切断していたが、粘着シートは全く切断されていなかった。その後、粘着シートを剥離して銅箔の粘着シート貼り合わせ面(レーザー光出射面側)のレーザー加工周辺部を観察したところ、分解物(付着物)は観察されなかった。
上記実施例及び比較例から明らかなように、基材のエッチング率が0.4未満であるレーザー加工用粘着シートを用いることにより、分解物による被加工物のレーザー光出射面側表面の汚染を効果的に抑制することができる。
本発明におけるレーザー加工品の製造方法の例を示す概略工程図である。 本発明におけるレーザー加工品の製造方法の他の例を示す概略工程図である。 レーザー光の多光子吸収アブレーションにより加工された積層体の断面を示す概略図である。 半導体ウエハのダイシング方法の例を示す概略図である。
符号の説明
1 被加工物
2 レーザー加工用粘着シート
2a 粘着剤層
2b 基材
3 積層体
4 吸着ステージ
5 吸着板
6 レーザー光
7 半導体ウエハ
8 ダイシングフレーム
9 レーザー加工品

Claims (10)

  1. レーザー光の多光子吸収アブレーションにより被加工物を加工する際に使用するレーザー加工用粘着シートにおいて、前記粘着シートは、基材上に少なくとも粘着剤層が設けられているものであり、前記基材は、パルス幅が10−12秒以下の超短パルスレーザー光を照射した際のエッチング率(エッチング速度/エネルギーフルエンス)が0.4〔(μm/pulse)/(J/cm)〕未満であることを特徴とするレーザー加工用粘着シート。
  2. 前記基材が、ポリオレフィン系樹脂を含有してなるものである請求項1記載のレーザー加工用粘着シート。
  3. 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレンである請求項2記載のレーザー加工用粘着シート。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂の側鎖の官能基が、エーテル結合により主鎖に連結している請求項2記載のレーザー加工用粘着シート。
  5. 前記基材が、セルロース系樹脂を含有してなるものである請求項1記載のレーザー加工用粘着シート。
  6. 前記基材が、ポリノルボルネン系樹脂を含有してなるものである請求項1記載のレーザー加工用粘着シート。
  7. 前記基材が、ポリアミド系樹脂を含有してなるものである請求項1記載のレーザー加工用粘着シート。
  8. 被加工物のレーザー光出射面側に請求項1〜7のいずれかに記載のレーザー加工用粘着シートを設置する工程(1)、パルス幅が10−12秒以下の超短パルスレーザー光を照射して被加工物を加工する工程(2)、レーザー加工用粘着シートを加工後の被加工物から剥離する工程(3)を含むレーザー加工品の製造方法。
  9. 前記被加工物が、シート材料、回路基板、半導体ウエハ、ガラス基板、セラミック基板、金属基板、半導体レーザーの発光あるいは受光素子基板、MEMS基板、又は半導体パッケージである請求項8記載のレーザー加工品の製造方法。
  10. 前記加工が、切断又は孔あけである請求項8又は9記載のレーザー加工品の製造方法。

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