JP4772555B2 - 廃棄物の脱塩処理方法 - Google Patents

廃棄物の脱塩処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4772555B2
JP4772555B2 JP2006090608A JP2006090608A JP4772555B2 JP 4772555 B2 JP4772555 B2 JP 4772555B2 JP 2006090608 A JP2006090608 A JP 2006090608A JP 2006090608 A JP2006090608 A JP 2006090608A JP 4772555 B2 JP4772555 B2 JP 4772555B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
waste
chlorine
incineration
water
mpa
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006090608A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007260590A (ja
Inventor
貴夫 小出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Osaka Cement Co Ltd filed Critical Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority to JP2006090608A priority Critical patent/JP4772555B2/ja
Publication of JP2007260590A publication Critical patent/JP2007260590A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4772555B2 publication Critical patent/JP4772555B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Description

本発明は、一般廃棄物または産業廃棄物の焼却によって発生し、処理の難しい高濃度の塩素および/またはアルカリ金属を含有する焼却灰や、セメント焼成キルンなどから発生する塩素高含有ダストなどの廃棄物の脱塩処理方法に関する。
都市ごみなどの一般廃棄物や産業廃棄物の焼却によって発生する焼却灰は、一般的なストーカ炉(火格子炉)を用いた焼却による場合に、焼却炉底に残る焼却残渣(焼却主灰)と、集塵装置に捕集されるばいじん(焼却飛灰)に大別される。
また、塩素高含有ダストとしては、各種廃棄物の溶融設備から発生する溶融飛灰や、セメント焼成キルンから発生するセメントキルンパイパスダストなどが挙げられる。
これまで、これらの廃棄物はいずれも、主に埋立処分が施されてきた。
しかしながら、近年、既存の埋立処分場の残余年数が逼迫してきており、また新規の埋立処分場立地も環境問題などの面から非常に難しい状況にある。そのため、焼却灰は、有効利用を図るために、粘土などの副原料と共に混合焼成されて煉瓦に加工されるか、あるいは、1000℃前後の高温にて溶融されてスラグ化することにより減量化した後に、埋立処分が施されるか、または路盤材やコンクリート用骨材として再利用する試みがなされている。
さらに、セメント産業においては、セメント製造用天然原料の代替として焼却灰が利用されつつある。
しかしながら、焼却灰を用いた煉瓦や溶融スラグは、品質に劣るため需要が少なく、また鉛などの重金属類が溶出するという問題がある。これに加えて、煉瓦の焼成や、焼却灰の溶融スラグ化には多量のエネルギーが必要であり、その処理費用は非常に高価となる。
ところで、セメントは、酸化カルシウム(CaO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化鉄(III)(Fe)を主成分としている。そのため、セメントには、これらの成分を含む廃棄物を原料として使用できるため、これまでに様々な廃棄物が利用されている。
しかしながら、一般廃棄物や産業廃棄物の焼却灰、溶融飛灰、セメントキルンパイパスダストなどには、かなり高濃度の塩素またはアルカリ金属のいずれか一方、あるいは、塩素およびアルカリ金属の両方が含まれている。セメント中に塩素が多量に含まれると、鉄筋コンクリートでは、鉄筋が腐食し、その耐久性が低下する。そのため、JIS規格には、セメント中の塩素含有量を350ppm以下と規定されている。同様に、セメント中にナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属が多量に含まれると、このアルカリ金属がコンクリートを劣化させるアルカリ骨材反応の原因となる。そのため、JIS規格には、セメント中の全アルカリ含有量をRO(NaO+0.658KO)=0.75%以下と規定されている。
そこで、現在、セメント工場において、焼却灰をセメントの代替材料として使用する場合、主に水洗処理によって脱塩(塩素およびアルカリ金属の除去)が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、一般廃棄物の焼却残渣(焼却主灰)については、単に水で洗浄しただけでは、含有している塩素の一部しか水に溶解しないため、塩素の除去率は50%程度であった。詳細は不明であるが、この理由は、焼却残渣に含まれる塩素が、焼却残渣の粒子表面に塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl)などの水に溶け易い形態、水に溶け難いフリーデル氏塩(3CaO・Al・CaCl・10HO)などの化合物、あるいは、焼却灰の粒子内部に強固に取り込まれた水に溶けにくい形態として存在しているからであると推定される。
上記課題に対して既に本発明者は、焼却残渣(焼却主灰)を洗浄する際に、洗浄水に酸を添加し、洗浄水のpHを8〜10の範囲に調整することにより、焼却残渣からの重金属の溶出を抑制しながら、効果的に焼却残渣から塩素を除去する処理方法を提案している(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、特許文献2に開示されている処理方法は、硫酸などの腐食性の酸を使用するため、高価な耐酸設備や廃水処理設備が必要となり、イニシャルおよびランニングコストが非常に高く、実用上大きな問題があった。
特開平9−187748号公報 特許第3368372号公報
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、金属を腐食させる危険な酸を使用することなく、一般廃棄物または産業廃棄物の焼却によって発生し、処理の難しい高濃度の塩素および/またはアルカリ金属を含有する焼却灰や、セメント焼成キルンなどから発生する塩素高含有ダストなどの廃棄物から塩素および/またはアルカリ金属を効率よく除去する廃棄物の脱塩処理方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、廃棄物に超高圧の水を噴射することにより、廃棄物に含まれる塩素および/またはアルカリ金属を効率的に除去することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の廃棄物の脱塩処理方法は、塩素および/またはアルカリ金属を含有する廃棄物に、吐出圧力が100MPa以上かつ250MPa以下の高圧の水を噴射し、前記塩素および/またはアルカリ金属を除去することを特徴とする。
本発明の廃棄物の脱塩処理方法は、前記廃棄物が、一般廃棄物または産業廃棄物の焼却によって発生する焼却残渣、ばいじん、溶融飛灰、セメント焼成キルンから発生するセメントキルンパイパスダストの群から選択された1種または2種以上であることが好ましい。
本発明の廃棄物の脱塩処理方法は、上記の高圧の水の噴射による処理を2回以上繰り返すことが好ましい。
本発明の廃棄物の脱塩処理方法は、前記高圧の水を噴射する前に、前記廃棄物を粉砕することが好ましい。
本発明の廃棄物の脱塩処理方法は、前記廃棄物に粗大な粒子、金属類が混在する場合に、前記廃棄物の乾燥および磁力選別を行った後、分級によって粗大粒子部分と微粉部分とに分離し、前記微粉部分のみに高圧の水を噴射することが好ましい。
本発明の廃棄物の脱塩処理方法によれば、塩素および/またはアルカリ金属を含有する廃棄物に、吐出圧力が100MPa以上かつ250MPa以下の高圧の水を噴射し、前記塩素および/またはアルカリ金属を除去するので、従来技術よりも低コスト、かつ、非常に高い効率にて、廃棄物に含まれる塩素および/またはアルカリ金属を除去することができる。また、本発明の廃棄物の脱塩処理方法によれば、腐食性かつ取扱いの難しい硫酸などの酸や、高価な耐酸設備や廃水処理設備が不要となる。したがって、これまでに廃棄物として大半が埋立て処分されていた焼却灰などをセメント原料として多量に使用する事が可能となる。
本発明の廃棄物の脱塩処理方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本発明の廃棄物の脱塩処理方法は、塩素およびアルカリ金属の両方、あるいは、塩素またはアルカリ金属のいずれか一方を含有する廃棄物に高圧の水を噴射し、塩素およびアルカリ金属の両方、あるいは、塩素またはアルカリ金属のいずれか一方を、廃棄物から除去するものである。
本発明において、廃棄物は、一般廃棄物または産業廃棄物の焼却によって発生する焼却残渣、ばいじん、各種溶融設備から発生する溶融飛灰、セメント焼成キルンから発生するセメントキルンパイパスダストの群から選択された1種または2種以上である。
なお、一般廃棄物は、一般家庭の日常生活に伴って生じた廃棄物(生ごみ、不燃性ごみ、粗大ごみなど)の「家庭系一般廃棄物」と、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち産業廃棄物以外の廃棄物の「事業系一般廃棄物」とに分類される、いわゆる都市ごみのことである。
また、産業廃棄物は、事業活動に伴って生じた廃棄物であって、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類の6種類と、その他「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」で定めるゴムくず、金属くず、ガラスくずなどの13種類の計19種類の廃棄物のことである。
また、本発明において、廃棄物の形状は、粉粒体、砂礫、クリンカ状など如何なる形状であってもよく、特に限定されない。粒子の大きさは、最大長軸径が20mm程度のものであれば処理可能であるが、粒子径が小さければ小さいほど脱塩効果は高くなる。
高圧の水は、ウォータージェットと呼ばれ、超高圧ポンプにより加圧加速された水であり、その猛烈な衝突力を利用してコンクリート構造物のはつり、鋼構造物の塗膜や錆びの除去、あるいは、切断などに利用されているものである。高圧の水を発生する装置は比較的安価で、かつ、ランニングコストも安価である。
塩素および/またはアルカリ金属を含有する廃棄物に噴射する高圧の水の吐出圧力は、100MPa以上かつ250MPa以下であることが好ましく、150MPa以上かつ200MPa以下であることがより好ましい。
高圧の水の吐出圧力が100MPa未満では、廃棄物に含まれる塩素および/またはアルカリ金属を十分に除去することが出来ない。一方、高圧の水の吐出圧力が250MPaを超えると、水の廃棄物に対する衝突エネルギーが大きいため、廃棄物に含まれる塩素および/またはアルカリ金属の除去効率が高くなるものの、従来技術よりも高コストになる。なお、高圧の水の吐出圧力とそれを発生させる超高圧ポンプの価格は比例するため、廃棄物の性状に合せて適切な処理コストとなるように、高圧の水の吐出圧力、および、それを発生させる装置を選択することが好ましい。
さらに、高圧の水の吐出量は、廃棄物の量に応じて適宜調整されるが、通常、廃棄物の3〜10倍程度に調整される。このように高圧の水の吐出量を廃棄物の3〜10倍程度に調整することにより、廃棄物が一般廃棄物または産業廃棄物の焼却によって発生する焼却残渣(焼却主灰)の場合、塩素の除去率はおよそ90%に達する。
また、本発明では、上述の高圧の水の噴射による廃棄物の処理(塩素の除去)を2回以上繰り返すことが好ましい。このように高圧の水の噴射による処理を2回以上繰り返すことにより、1回の処理よりも、廃棄物に含まれる塩素および/またはアルカリ金属の除去率をより高めることができる。
ところで、廃棄物の中でも、一般廃棄物または産業廃棄物の焼却によって発生する焼却残渣(焼却主灰)は、焼却炉内で局所的に高温に曝されると溶融して粗大化する。したがって、焼却炉から排出される焼却残渣(焼却主灰)は、粗大粒子と微粉とが混在した塊状をなす。このような塊状の焼却残渣に高圧の水を噴射しても、粗大粒子内部に含まれる塩素および/またはアルカリ金属を効果的に除去することは困難である。
そこで、焼却残渣を粉砕し、粒径を小さくしたものに高圧の水を噴射することにより、塩素および/またはアルカリ金属の除去をさらに効果的に行うことができる。なお、粉砕後の焼却残渣の粒径は特に規定されないが、粒径は1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
また、一般廃棄物の焼却炉から排出される焼却残渣は、通常、水をかけて冷却するため湿潤状態であるばかりでなく、空き缶などの金属類、陶磁器やガラス類などの粗大不燃物も混入している。したがって、焼却残渣を乾燥させ、磁力選別による鉄などの金属除去を行った後、風力やふるいによる分級により、陶磁器やガラス類などの粗大粒子部分と、焼却残渣である微粉部分に分離することによって、セメント原料としてより適当なものとすることができる。
例えば、ふるいを使用して粗大粒子部分と微粉部分とに分離する場合、使用するふるいの目開きを2mm〜20mmとすることによって微粉部分を分離することができる。焼却残渣に含まれる塩素および/またはアルカリ金属は微粉部分に偏るため、微粉部分だけを選択的にウォータージェットで洗浄することで、一層効率的に、塩素および/またはアルカリ金属の除去を行うことができる。そして、粗大粒子部分はそのままセメント原料として使用することもできる。
なお、磁力などにより分離した鉄くずなどは、セメントの原料調合上、使用量が制約され、また、製造原料粉砕機のトラブルの原因となるため、セメント工場で全量を処理することはできない。
この実施形態の廃棄物の脱塩処理方法によれば、塩素および/またはアルカリ金属を含有する廃棄物に高圧の水を噴射し、塩素および/またはアルカリ金属を除去するので、従来技術よりも低コスト、かつ、非常に高い効率にて、廃棄物に含まれる塩素および/またはアルカリ金属を除去することができる。また、この実施形態の廃棄物の脱塩処理方法によれば、腐食性かつ取扱いの難しい硫酸などの酸や、高価な耐酸設備や廃水処理設備が不要となる。さらに、硫酸などの酸を使用する必要がないため、廃棄物の脱塩処理工程において発生する水素ガスや悪臭による危険を避けることができる。したがって、これまでに廃棄物として大半が埋立て処分されていた焼却灰などをセメント原料として多量に使用する事が可能となり、社会的、経済的なメリットは大きい。
以下、実施例1〜4および比較例1〜6により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
「使用材料」
廃棄物として、24時間連続運転、焼却能力150t/日のストーカ式都市ごみ焼却炉より回収された実機焼却残渣(焼却主灰)を用いた。
また、水は水道水を用いた。
「使用装置」
高圧の水を廃棄物に噴射する装置として、ウォータージェット(コンクリート構造物などのはつり用、最高吐出圧力252MPa、定格吐出量1リットル/分)を用いた。
「焼却残渣の前処理」
上記の実機焼却残渣は、冷却のため水を貯えた灰ピットに落とされた湿潤灰であったため、この湿潤灰5kgをステンレス製バットに入れ、乾燥機で105℃にて、24時間乾燥させた。さらに、焼却残渣の磁力選別を行って鉄などの金属を除去した後、目開き5mmのふるいで分級して、粗大粒子部分と微粉部分とに分離した。磁力選別部分、粗大粒子部分、微粉部分の乾燥焼却残渣中に占める割合と、CAJS(セメント協会法)に準拠し、試料(焼却残渣)を蒸留水と硝酸と共に加熱し、H(過酸化水素水)を加えて妨害物質(硫黄など)を酸化させた後、放冷し、硝酸銀水溶液を用いた電位差滴定装置によって塩化物イオンとして測定した。その測定した塩素含有量を表1に示す。
以下に示す実施例および比較例では、高濃度の塩素を含む粒径5mm未満の微粉部分を使用した。
Figure 0004772555
「実施例1」
20℃の恒温室内にて、内径150mm、内部高さ300mm、厚み約10mmの鋳鉄製円筒型容器に、上記処理済みの焼却残渣の微粉部分500gを加え、中心部に内径40mmの孔を開けた外径180mm、厚み5mmの鋼鉄製の蓋をかぶせ、この蓋を、直径5mmの鋼鉄製ボルト4本で円筒型容器に固定した。
次いで、鋼鉄製の蓋の孔に、ウォータージェットのノズル先端を隙間なく挿入した。
次いで、水道水を吐出圧力250MPa、吐出量1リットル/分のウォータージェットとして、円筒型容器内に2分間噴射した。
水道水の噴射終了後、直ちに直径150mmの濾紙を敷いたブフナー漏斗に、円筒型容器の中身を移し、吸引瓶と真空ポンプを用いて吸引ろ過を2分間行って、塩素を除去した脱塩焼却残渣Aを得た。
「実施例2」
実施例1で得られた脱塩焼却残渣Aを鋳鉄製円筒型容器に戻し、再度、水道水を吐出圧力250MPa、吐出量1リットル/分のウォータージェットとして、円筒型容器内に2分間噴射した後、実施例1と同様の手順により吸引ろ過を行って脱塩焼却残渣Bを得た。
「実施例3」
実施例1と同様の手順により、水道水を吐出圧力100MPa、吐出量1リットル/分のウォータージェットとして、円筒型容器内に2分間噴射した後、実施例1と同様の手順により吸引ろ過を行って脱塩焼却残渣Cを得た。
「実施例4」
実施例3で得られた脱塩焼却残渣Cを鋳鉄製円筒型容器に戻し、再度、水道水を吐出圧力100MPa、吐出量1リットル/分のウォータージェットとして、円筒型容器内に2分間噴射した後、実施例1と同様の手順により吸引ろ過を行って脱塩焼却残渣Dを得た。
「比較例1」
実施例1と同様の手順により、水道水を吐出圧力50MPa、吐出量1リットル/分のウォータージェットとして、円筒型容器内に2分間噴射した後、実施例1と同様の手順により吸引ろ過を行って脱塩焼却残渣Eを得た。
「比較例2」
実施例2と同様の手順により、水道水を吐出圧力50MPa、吐出量1リットル/分のウォータージェットとして、円筒型容器内に2分間噴射する処理を2回繰り返した後、実施例1と同様の手順により吸引ろ過を行って脱塩焼却残渣Fを得た。
「比較例3」
20℃の恒温室内にて、実施例1と同じ鋳鉄製円筒型容器に、上記処理済みの焼却残渣の微粉部分500gと水道水2リットルを加えて、この焼却残渣と水の混合物を小型ハンドミキサーにより2分間高速撹拌した後、実施例1と同様の手順により吸引ろ過を行って脱塩焼却残渣Gを得た。
「比較例4」
比較例1で得られた脱塩焼却残渣Gを鋳鉄製円筒型容器に戻し、再度、円筒型容器に水道水2リットルを加えて、この脱塩焼却残渣Gと水の混合物を小型ハンドミキサーにより2分間高速撹拌した後、実施例1と同様の手順により吸引ろ過を行って脱塩焼却残渣Hを得た。
「比較例5」
20℃恒温室内にて、容量10リットルのポリエチレン製円筒型容器に、上記処理済み焼却残渣の微粉部分500gと水道水4リットルを加えて、この焼却残渣と水の混合物を小型ハンドミキサーにより1分間高速撹拌した後、特級96%硫酸(和光純薬社製)を35ml加えて、さらに小型ハンドミキサーにより1分間高速撹拌した。すると、水素ガスと思われる気泡が発生し、また若干の悪臭も発生した。5分間放置して気泡の発生が止まった後、実施例1と同様の手順により吸引ろ過を行って脱塩焼却残渣Iを得た。
実施例1〜4および比較例1〜5で得られた脱塩焼却残渣A〜Iに含まれる塩素、ナトリウム、カリウムの含有量をそれぞれ、CAJS(セメント協会法)に準拠し、塩素は前記した硝酸銀水溶液を用いた電位差滴定法で測定し、ナトリウムとカリウムは、試料(焼却残渣)を微粉砕した後、テフロンビーカー内でフッ酸、硝酸、過塩素酸で処理し、処理後のろ液を、原子吸光光度計を用いて測定した。その結果を表2に示す。
「比較例6」
比較として、脱塩処理前の焼却残渣(粒径5mm未満の微粉部分)に含まれる塩素、ナトリウム、カリウムの含有量を、前記同様CAJS(セメント協会法)に準拠して測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0004772555
実施例1では、水道水の吐出圧力を250MPa、吐出量を1リットル/分、吐出時間を2分間としたので、塩素の除去率は86%、ナトリウムの除去率は85%、カリウムの除去率は76%と高かった。
実施例2では、実施例1で処理した脱塩焼却残渣に、さらにもう1回、水道水の吐出圧力を250MPa、吐出量を1リットル/分、吐出時間を2分間として、高圧の水を噴射したので、塩素の除去率は90%、ナトリウムの除去率は91%、カリウムの除去率は80%とさらに高くなった。
実施例3では、水道水の吐出圧力を100MPa、吐出量を1リットル/分、吐出時間を2分間としたので、塩素の除去率は80%、ナトリウムの除去率は81%、カリウムの除去率は70%と高かった。
実施例4では、実施例3で処理した脱塩焼却残渣に、さらにもう1回、水道水の吐出圧力を100MPa、吐出量を1リットル/分、吐出時間を2分間として、高圧の水を噴射したので、塩素の除去率は86%、ナトリウムの除去率は86%、カリウムの除去率は72%とさらに高くなった。
比較例1では、水道水の吐出圧力を50MPa、吐出量を1リットル/分、吐出時間を2分間としたので、塩素の除去率は59%、ナトリウムの除去率は66%、カリウムの除去率は48%と低かった。
比較例2では、比較例1で処理した脱塩焼却残渣に、さらにもう1回、水道水の吐出圧力を50MPa、吐出量を1リットル/分、吐出時間を2分間として、水を噴射したものの、塩素の除去率は67%、ナトリウムの除去率は71%、カリウムの除去率は54%と低かった。
比較例3では、小型ハンドミキサーにより高速攪拌2分間による洗浄を行ったものの、塩素の除去率は49%、ナトリウムの除去率は56%、カリウムの除去率は47%と低かった。
比較例4では、比較例3で処理した脱塩焼却残渣に、さらにもう1回、小型ハンドミキサーにより高速攪拌2分間による洗浄を行ったものの、塩素の除去率は55%、ナトリウムの除去率は62%、カリウムの除去率は50%と低かった。
比較例5では、硫酸を加えて、小型ハンドミキサーにより高速撹拌2分間による洗浄を行ったので、塩素の除去率は85%、ナトリウムの除去率は88%、カリウムの除去率は75%と高かったものの、鋳鉄製容器は使用できなかった。また、洗浄中、焼却残渣から水素ガスと思われる気泡が発生した上に、若干の悪臭も発生した。
以上の結果によれば、吐出圧力が100MPa以上かつ250MPaの高圧の水を用いることにより、硫酸などの腐食性の酸を使用しなくても、焼却残渣に含まれる塩素やアルカリ金属を非常に効率よく除去することができることが確認された。

Claims (5)

  1. 塩素および/またはアルカリ金属を含有する廃棄物に、吐出圧力が100MPa以上かつ250MPa以下の高圧の水を噴射し、前記塩素および/またはアルカリ金属を除去することを特徴とする廃棄物の脱塩処理方法。
  2. 前記廃棄物は、一般廃棄物または産業廃棄物の焼却によって発生する焼却残渣、煤塵、溶融飛灰、セメント焼成キルンから発生するセメントキルンパイパスダストの群から選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項1記載の廃棄物の脱塩処理方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の高圧の水の噴射による処理を2回以上繰り返すことを特徴とする廃棄物の脱塩処理方法。
  4. 前記高圧の水を噴射する前に、前記廃棄物を粉砕することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の廃棄物の脱塩処理方法。
  5. 前記廃棄物に粗大な粒子、金属類が混在する場合に、前記廃棄物の乾燥および磁力選別を行った後、分級によって粗大粒子部分と微粉部分とに分離し、前記微粉部分のみに前記高圧の水を噴射することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の廃棄物の脱塩処理方法。
JP2006090608A 2006-03-29 2006-03-29 廃棄物の脱塩処理方法 Expired - Fee Related JP4772555B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006090608A JP4772555B2 (ja) 2006-03-29 2006-03-29 廃棄物の脱塩処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006090608A JP4772555B2 (ja) 2006-03-29 2006-03-29 廃棄物の脱塩処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007260590A JP2007260590A (ja) 2007-10-11
JP4772555B2 true JP4772555B2 (ja) 2011-09-14

Family

ID=38634109

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006090608A Expired - Fee Related JP4772555B2 (ja) 2006-03-29 2006-03-29 廃棄物の脱塩処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4772555B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7288607B2 (ja) * 2019-09-26 2023-06-08 住友大阪セメント株式会社 精製されたセメント原料の製造方法、及び、精製されたセメント原料の製造装置

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0346489U (ja) * 1989-09-11 1991-04-30
JP3120679B2 (ja) * 1994-12-28 2000-12-25 日本鋼管株式会社 焼結機ダストからの塩化物の除去方法
JPH10296212A (ja) * 1997-04-28 1998-11-10 Nkk Corp 焼結機ダストからの塩化物除去方法
JPH11147085A (ja) * 1997-09-11 1999-06-02 Ebara Corp 流動床焼却炉の焼却灰及び流動床式ガス化炉の炉底残渣の再資源化方法
JP2004137373A (ja) * 2002-10-17 2004-05-13 Basara:Kk 可燃性廃棄物の固形燃料化方法
JP4390551B2 (ja) * 2003-12-25 2009-12-24 ケミカルグラウト株式会社 汚染土壌洗浄装置
JP4421417B2 (ja) * 2004-08-09 2010-02-24 株式会社ワイビーエム 汚染土壌の浄化処理装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007260590A (ja) 2007-10-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3368372B2 (ja) 焼却灰のセメント原料化方法
JP6989844B2 (ja) フリーデル氏塩の除去方法及びフリーデル氏塩の除去システム
CN1947872A (zh) 一种焚烧飞灰无害化水洗预处理方法
CN110180861B (zh) 一种回收废包装铁桶的清洁生产方法
JP6521482B2 (ja) 焼却灰処理装置、廃棄物焼却装置、焼却灰処理方法及び廃棄物焼却方法
WO2005025768A1 (ja) 焼却飛灰の処理方法及び装置
JP2006015190A (ja) 飛灰の処理方法
JP2007130608A (ja) 飛灰中の塩素分の除去方法および装置
US20070000842A1 (en) Improvements in and relating to waste processing
US5795285A (en) Conversion of contaminated sediments into useful products by plasma melting
CA2062637A1 (en) Method and apparatus for recovering useful products from waste streams
JP4772555B2 (ja) 廃棄物の脱塩処理方法
JP5545754B2 (ja) 塩素含有物の処理時に発生した溶液の処理方法
JP5055852B2 (ja) 鉄資源の回収方法
CN108571736A (zh) 一种以粉煤灰为添加剂无害化处理高盐废水的方法
JP7474212B2 (ja) 焼却飛灰の処理方法
JP2004041895A (ja) 焼却灰の処理方法
CN113667827A (zh) 一种垃圾焚烧飞灰和含铜污泥的协同处理方法
TWI418393B (zh) 大型垃圾焚化廠焚化爐飛灰處理方法及其產物
JP3549135B2 (ja) スラグ洗浄装置を備えた廃棄物溶融処理設備及び水砕スラグの製造方法
Wu et al. Thermal treatment of municipal solid waste incineration fly ash and nanofiltration membrane concentrate co-processing: Speciation of chromium and its leachability
KR100613493B1 (ko) 생활폐기물의 소각시 발생되는 바닥재의 전(前)처리 방법 및 장치
JP4834719B2 (ja) 廃棄物の処理方法
JP2004167350A (ja) 焼却灰の処理方法
KR0177560B1 (ko) 오니상태 폐기물의 처리방법, 장치 및 처리산물과 그 사용방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080729

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110329

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110527

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110614

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110622

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140701

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4772555

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees