JP4769348B2 - 透明性耐熱樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性と耐熱性とを兼ね備えた樹脂の製造方法とその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、透明性を有する樹脂として、メタクリル系樹脂が知られている。そして、該メタクリル系樹脂は、透明性のみならず、表面光沢、耐候性に優れ、また、機械的強度、成形加工性、表面硬度のバランスがとれているため、自動車や家電製品等における光学関連用途に幅広く使用されている。しかしながら、メタクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は110℃前後であることから、耐熱性が要求される分野での使用は困難である一方で、デザインの自由度、コンパクト化、高性能化などの要請から、光源を樹脂に近接して配置する設計が行われることが多い。このため、優れた耐熱性を有し、かつ透明性をも備えた樹脂が要望されている。
【0003】
透明性を有する耐熱樹脂を得る方法としては、透明性に優れるメタクリル系樹脂の分子内にラクトン環構造を形成することにより、耐熱性を向上させる技術が提案されている。例えば、Polym.Prepr.,8,1,576(1967)には、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸メチル共重合体またはα−ヒドロキシメチルスチレン/メタクリル酸メチル共重合体を押出機で減圧下で加熱して脱アルコール反応させることにより、重合体のもつ水酸基とエステル基の縮合によってラクトン環を生じさせる方法が開示されている。また、特開平9−241323号公報には、ポリ[2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル]や、あるいは、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキルエステルの含有率が高い重合体の脱アルコール反応の際に、重合体を固体状態で用いると、反応時に重合体の架橋が起こり、溶融賦形が困難になるという問題が生じるため、一旦再沈殿により得られた固体状態の重合体をジメチルスルホキシド(DMSO)に再溶解して溶液状態で脱アルコール反応を行うようにして、前記問題を回避する方法が開示されている。
【0004】
これら従来の方法においては、脱アルコール反応の際に、硫酸あるいはp−トルエンスルホン酸等のエステル化触媒やエステル交換触媒を使用しているのであるが、脱アルコール反応率、すなわちラクトン環化率を上げるのに十分なだけの触媒量を用いると、得られる樹脂が着色するという問題を生じることがあった。一方、脱アルコール反応率が低い場合には、得られた重合体を再び加熱賦形する際に脱アルコール反応が進行し、成形品中に泡が発生する等の問題があった。
【0005】
ところで、従来、有機リン化合物は、プラスチックや木材の難燃剤、高分子重合あるいは重合体の安定剤、可塑剤、潤滑剤、塗料・ガソリン等への添加剤として、一般に知られているものである。具体的には、特開平7−41553号公報には、ホスホン酸またはその誘導体をあらかじめ塩基性有機化合物と反応させてポリエステル製造系に添加することにより耐炎性ポリエステルを製造する方法が、特開平4−300968号公報には、ハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ基を活性水素含有リン酸エステルで封鎖した化合物を難燃剤として用いる技術が、さらに、特開平5−246171号公報には、感光性平版印刷版を構成する親水性層の一部にリン系化合物を含有させる技術が、それぞれ報告されている。しかし、これまでに、水酸基とエステル基との縮合によるラクトン環化を促進させるような目的で有機リン化合物が使用された例はなく、前述のような脱アルコール反応の際のエステル化触媒として有機リン化合物を用いることは、通常、全く考えられていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、耐熱性に優れるとともに、成形品中に泡やシルバーが入ることを抑制することができ、しかも、着色が少なく、良好な透明性を保持させることができる、透明性耐熱樹脂を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を脱アルコール反応させて該重合体中にラクトン環構造を導入させることにより透明性耐熱樹脂を得る方法において、該脱アルコール反応の際に触媒として特定の有機リン化合物を用いることにより、本発明の上記課題を全て解決できることを見いだした。
【0008】
すなわち、本発明に係る透明性耐熱樹脂の製造方法は、分子内に水酸基を有するか水酸基とエステル基の双方を有するビニル単量体と分子内に水酸基とエステル基のうちのエステル基のみを有するビニル単量体との混合物を重合してなり、前記分子内に水酸基とエステル基のうちのエステル基のみを有するビニル単量体がアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルである、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を脱アルコール反応させて該重合体中にラクトン環構造を導入させることにより透明性耐熱樹脂を得る方法において、前記脱アルコール反応の際に、アリール亜ホスホン酸(但し、該アリール亜ホスホン酸は、互変異性体であるアリールホスフィン酸になっていてもよい)、亜リン酸ジエステルあるいはモノエステル、リン酸ジエステルあるいはモノエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機リン化合物を触媒として用いる、ことを特徴とする。
上記本発明の方法で得られる透明性耐熱樹脂(以下、「本発明の透明性耐熱樹脂」と言うことがある。)は、ダイナミックTG測定における150〜300℃の間での重量減少率から求めた脱アルコール反応率が90%以上であり、かつ、15重量%のクロロホルム溶液として測定したときの着色度(YI)が5以下であることができる。
【0009】
さらに、本発明に係る透明性耐熱樹脂組成物は、本発明の透明性耐熱樹脂と、該透明性耐熱樹脂以外の熱可塑性樹脂とを含む。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る透明性耐熱樹脂の製造方法は、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を脱アルコール反応させて該重合体中にラクトン環構造を導入させるものである。
(重合体の製造)
分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体とは、直接あるいはいくつかの原子を介して主鎖に結合した水酸基とエステル基を有する重合体であり、本発明の脱アルコール反応によって前記水酸基とエステル基の少なくとも一部が縮合環化してラクトン環を生じることができるものである。特に、前記水酸基とエステル基が近接して存在する場合には、ラクトン環が生成し易くなるので好ましく、水酸基とエステル基の間に介在する原子が6以下がさらに好ましく、4以下が最も好ましい。水酸基とエステル基の間に介在する原子が6を越えるものについては、分子間反応による架橋が起こり、ゲル化しやすくなるため、好ましくない。この重合体の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量が1000〜1000000であることが好ましく、さらに好ましくは5000〜500000、最も好ましくは40000〜300000であるのがよい。分子量が上記範囲より低いと、機械的強度が低下して脆くなるという問題があり、上記範囲より高いと、流動性が低下して成形しにくくなるという問題があるからである。
【0011】
前記重合体における分子鎖中の水酸基およびエステル基の割合は、例えば、2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステルが原料単量体である場合、重合体中の2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル単量体の比が、5〜60重量%であることが好ましい。より好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは20〜50重量%、最も好ましくは20〜40重量%であるのがよい。水酸基、エステル基を別々に持つ単量体、あるいは、繰り返し単位からなる場合には、水酸基とエステル基において等量的に少ない方の単量体、あるいは、繰り返し単位で表される。水酸基およびエステル基の割合が少ないと、脱アルコール後の重合体の耐熱性や耐溶剤性があまり向上しない。また、上記割合が60重量%を超える場合など、水酸基およびエステル基の割合が高すぎる場合は、重合体の架橋により、溶融賦形しにくくなったり、脱アルコール反応率が低下し、それゆえ、成形品に泡が入りやすくなるおそれがある。
【0012】
前記重合体は、例えば後述するように、あらかじめ水酸基とエステル基を有する単量体や、水酸基を有する単量体とエステル基を有する単量体との混合物を、原料単量体の少なくとも一部として重合することにより得ることができるし、また、ブタジエン等のジエン化合物の共重合体の二重結合部分への水酸基の付加反応や、酢酸ビニル共重合体などのエステル基を有する重合体の加水分解、カルボキシル基や酸無水物基を有する重合体のエステル化等の反応によって、水酸基またはエステル基を重合体に後から導入して得ることもできる。
【0013】
前記重合体を得る際の原料となる単量体は特に限定されないが、該原料単量体の少なくとも一部が、分子内に水酸基とエステル基とを有するビニル単量体、または、分子内に水酸基を有するビニル単量体と分子内にエステル基を有するビニル単量体との混合物であることが特に好ましく、これら以外に他のビニル単量体を共存させてもよい。
【0014】
前記の分子内に水酸基とエステル基とを有するビニル単量体としては特に限定されないが、特に、一般式(1)で示される単量体が好ましく、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ターシャリーブチルなどが挙げられる。これらの中でも特に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルと2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが耐熱性向上効果が高いことから、最も好ましい。また、これらの単量体は1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0015】
【化1】
【0016】
前記の分子内に水酸基を有するビニル単量体としては特に限定されないが、上記の一般式(1)で示される単量体や、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸などが挙げられ、これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、上記の一般式(1)で示される単量体を用いた場合、脱アルコール反応率、つまりラクトン環化率を高くしても、架橋反応によるゲル化が起こりにくいため、好ましい。
【0017】
前記の分子内にエステル基を有するビニル単量体としては特に限定されないが、上記の一般式(1)で示される単量体や、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステルなどが挙げられ、これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、耐熱性、透明性の点からはメタクリル酸メチルが好ましい。
【0018】
前記の分子内に水酸基とエステル基を有するビニル単量体、あるいは、分子内に水酸基を有するビニル単量体と分子内にエステル基を有するビニル単量体との混合物と併用してもよい他のビニル単量体としては特に限定されないが、特に、一般式(2)で示される単量体や、N−置換マレイミド等の単量体が好ましく、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどが挙げられ、この中でも、スチレン、α−メチルスチレンが特に好ましい。また、これらの単量体は1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。また、併用するこれらの単量体の含有量は30重量%以下が好ましく、より好ましくは20重量%以下、そしてさらに好ましくは10重量%以下が好ましい。
【0019】
【化2】
【0020】
前記重合体を前記単量体から得るための重合反応の方法としては、特に限定されないが、溶液重合または塊状重合が好ましい。さらに本発明では、後述のように、溶剤の存在下で脱アルコール反応を行うことが好ましいので、溶液重合が特に好適である。塊状重合においては、必要に応じて重合後に溶剤を添加してもよいし、重合方法によらず、必要であれば、一度固体として取り出した後、溶剤を添加してもよい。また、塊状重合においては、未反応単量体により溶液状態になっていてもよい。重合温度、重合時間は、使用する重合性単量体の種類、使用比率等によって異なるが、好ましくは、重合温度0〜150℃、重合時間0.5〜20時間であり、さらに好ましくは、重合温度80〜140℃、重合時間1〜10時間である。
【0021】
前記重合反応を溶液重合で行う場合は、用いる溶剤は特に限定されないが、例えば、通常のラジカル重合反応で使用されるものが選ばれ、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;クロロホルム、DMSO、テトラヒドロフランなどが挙げられる。また、使用する溶媒の沸点が高すぎると、脱揮後の樹脂中の残存揮発分が多くなることから、処理温度で重合体を溶解し、沸点が50〜200℃のものが好ましく、例えば、トルエン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン等のケトン類などがさらに好ましく挙げられる。
【0022】
前記重合反応時には、必要に応じて、開始剤を添加してもよい。開始剤としては特に限定されないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物、2,2´−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられ、これらは1種類のみを用いても、2種類以上を併用してもよい。なお、開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
【0023】
前記重合反応により得られる重合反応混合物には、得られた重合体以外に、溶剤が含まれているが、本発明に係る製造方法ではこの溶剤を完全に除去して重合体を固体状態で取り出す必要はなく、該溶剤を含んだ状態で続く工程に導入することが好ましい。また、必要な場合は、固体状態で取り出した後に、続く工程に好適な溶剤を再添加してもよい。重合反応混合物に含まれる溶剤の量は、重合反応混合物全量の5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは30〜75重量%とするのがよい。重合反応混合物に含まれる溶剤の量が5%より少ないと、重合体の粘度が高くなって取り扱いにくくなり、一方、90%を超えると、揮発すべき溶剤が多すぎて、生産性が低下してしまう。
【0024】
(脱アルコール反応)
本発明における脱アルコール反応とは、加熱により、前記重合体の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基の少なくとも一部が縮合環化してラクトン環を生じる反応であり、該縮合環化によってアルコールが副生する。このラクトン環構造が分子鎖中に形成されることにより、高い耐熱性が付与される。この脱アルコール反応の反応率が不十分であると、耐熱性が十分に向上しなかったり、成形時の加熱処理によって成形中に脱アルコールが起こり、生じたアルコールが成形品中に泡やシルバーとなって存在してしまうので好ましくない。
【0025】
本発明の製造方法においては、前記脱アルコール反応の際に、有機リン化合物を触媒として用いることが重要である。触媒として有機リン化合物を用いることにより、脱アルコール反応率を向上させると同時に、得られる樹脂の着色を大幅に低減することができるのである。さらに、該触媒を用いることにより、後述する脱揮工程において得られる樹脂の分子量低下を抑制することができ、ひいては優れた機械的強度を付与することができる。
【0026】
有機リン化合物としては、例えば、
1)メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、プロピル亜ホスホン酸、イソプロピル亜ホスホン酸、ブチル亜ホスホン酸、t−ブチル亜ホスホン酸、アミル亜ホスホン酸、ヘキシル亜ホスホン酸、ヘプチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸、p−トルイル亜ホスホン酸、m−トルイル亜ホスホン酸、o−トルイル亜ホスホン酸、1−ナフチル亜ホスホン酸、2−ナフチル亜ホスホン酸等のアルキル亜ホスホン酸またはアリール亜ホスホン酸(但し、これらは、互変異性体であるアルキルホスフィン酸またはアリールホスフィン酸になっていてもよい)およびこれらのジエステルあるいはモノエステル;
2)ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジプロピルホスフィン酸、ジイソプロピルホスフィン酸、ジブチルホスフィン酸、ジ−t−ブチルホスフィン酸、ジアミルホスフィン酸、ジヘキシルホスフィン酸、ジヘプチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジトルイルホスフィン酸、ジナフチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、フェニルエチルホスフィン酸等のジアルキルホスフィン酸、ジアリールホスフィン酸またはアルキルアリールホスフィン酸およびこれらのエステル;
3)メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、アミルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、ヘプチルホスホン酸、オキシメチルホスホン酸、トリフルオルメチルホスホン酸等のアルキルホスホン酸およびこれらのジエステルあるいはモノエステル;
4)メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、プロピル亜ホスフィン酸、イソプロピル亜ホスフィン酸、ブチル亜ホスフィン酸、t−ブチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸、トルイル亜ホスフィン酸、ナフチル亜ホスフィン酸等のアルキル亜ホスフィン酸またはアリール亜ホスフィン酸およびこれらのエステル;
5)亜リン酸ジメチル、亜リン酸モノメチル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸モノエチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸ジプロピル、亜リン酸モノプロピル、亜リン酸トリプロピル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸モノイソプロピル、亜リン酸トリイソプロピル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸モノブチル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸ジt−ブチル、亜リン酸モノt−ブチル、亜リン酸トリt−ブチル、亜リン酸ジアミル、亜リン酸モノアミル、亜リン酸トリアミル、亜リン酸ジヘキシル、亜リン酸モノヘキシル、亜リン酸トリヘキシル、亜リン酸ジヘプチル、亜リン酸モノヘプチル、亜リン酸トリヘプチル、亜リン酸ジ2−エチルヘキシル、亜リン酸モノ2−エチルヘキシル、亜リン酸トリ2−エチルヘキシル、亜リン酸ジラウリル、亜リン酸モノラウリル、亜リン酸トリラウリル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸モノフェニル、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジトルイル、亜リン酸モノトルイル、亜リン酸トリトルイル、亜リン酸ジナフチル、亜リン酸モノナフチル、亜リン酸トリナフチル等の亜リン酸ジエステルあるいはモノエステルあるいはトリエステル;
6)リン酸ジメチル、リン酸モノメチル、リン酸トリメチル、リン酸ジエチル、リン酸モノエチル、リン酸トリエチル、リン酸ジプロピル、リン酸モノプロピル、リン酸トリプロピル、リン酸ジイソプロピル、リン酸モノイソプロピル、リン酸トリイソプロピル、リン酸ジブチル、リン酸モノブチル、リン酸トリブチル、リン酸ジt−ブチル、リン酸モノt−ブチル、リン酸トリt−ブチル、リン酸ジアミル、リン酸モノアミル、リン酸トリアミル、リン酸ジヘキシル、リン酸モノヘキシル、リン酸トリヘキシル、リン酸ジヘプチル、リン酸モノヘプチル、リン酸トリヘプチル、リン酸ジ2−エチルヘキシル、リン酸モノ2−エチルヘキシル、リン酸トリ2−エチルヘキシル、リン酸ジラウリル、リン酸モノラウリル、リン酸トリラウリル、リン酸ジフェニル、リン酸モノフェニル、リン酸トリフェニル、リン酸ジトルイル、リン酸モノトルイル、リン酸トリトルイル、リン酸ジナフチル、リン酸モノナフチル、リン酸トリナフチル等のリン酸ジエステルあるいはモノエステルあるいはトリエステル;
7)メチルホスフィン、ジメチルホスフィン、トリメチルホスフィン、エチルホスフィン、ジエチルホスフィン、トリエチルホスフィン、プロピルホスフィン、ジプロピルホスフィン、トリプロピルホスフィン、イソプロピルホスフィン、ジイソプロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、ブチルホスフィン、ジブチルホスフィン、トリブチルホスフィン、t−ブチルホスフィン、ジ−t−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリス(トリフルオルメチル)ホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トルイルホスフィン、ジトルイルホスフィン、トリトルイルホスフィン等のモノあるいはジあるいはトリアルキルホスフィンまたはモノあるいはジあるいはトリアリールホスフィン;
8)メチルジクロロホスフィン、メチルジブロモホスフィン、エチルジクロロホスフィン、エチルジブロモホスフィン、プロピルジクロロホスフィン、プロピルジブロモホスフィン、イソプロピルジクロロホスフィン、イソプロピルジブロモホスフィン、ブチルジクロロホスフィン、ブチルジブロモホスフィン、t−ブチルジクロロホスフィン、t−ブチルジブロモホスフィン、フェニルジクロロホスフィン、フェニルジブロモホスフィン、トルイルジクロロホスフィン、トルイルジブロモホスフィン、ジメチルクロロホスフィン、ジメチルブロモホスフィン、ジエチルクロロホスフィン、ジエチルブロモホスフィン、ジプロピルクロロホスフィン、ジプロピルブロモホスフィン、ジイソプロピルクロロホスフィン、ジイソプロピルブロモホスフィン、ジブチルクロロホスフィン、ジブチルブロモホスフィン、ジ−t−ブチルクロロホスフィン、ジ−t−ブチルブロモホスフィン、ジフェニルクロロホスフィン、ジフェニルブロモホスフィン、ジトルイルクロロホスフィン、ジトルイルブロモホスフィン等のアルキルハロゲンホスフィンまたはアリールハロゲンホスフィン;
9)酸化メチルホスフィン、酸化ジメチルホスフィン、酸化トリメチルホスフィン、酸化エチルホスフィン、酸化ジエチルホスフィン、酸化トリエチルホスフィン、酸化プロピルホスフィン、酸化ジプロピルホスフィン、酸化トリプロピルホスフィン、酸化イソプロピルホスフィン、酸化ジイソプロピルホスフィン、酸化トリイソプロピルホスフィン、酸化ブチルホスフィン、酸化ジブチルホスフィン、酸化トリブチルホスフィン、酸化t−ブチルホスフィン、酸化ジt−ブチルホスフィン、酸化トリt−ブチルホスフィン、酸化アミルホスフィン、酸化ジアミルホスフィン、酸化トリアミルホスフィン、酸化ヘキシルホスフィン、酸化ジヘキシルホスフィン、酸化トリヘキシルホスフィン、酸化トリス(クロロメチル)ホスフィン、酸化トリス(トリフルオロメチル)ホスフィン、酸化フェニルホスフィン、酸化ジフェニルホスフィン、酸化トリフェニルホスフィン、酸化トルイルホスフィン、酸化ジトルイルホスフィン、酸化トリトルイルホスフィン等の酸化モノあるいはジあるいはトリアルキルホスフィンまたは酸化モノあるいはジあるいはトリアリールホスフィン;
10)塩化テトラメチルホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラプロピルホスホニウム、塩化テトラブチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム、塩化テトラトルイルホスホニウム、臭化テトラメチルホスホニウム、臭化テトラエチルホスホニウム、臭化テトラプロピルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、臭化テトラトルイルホスホニウム、ヨウ化テトラメチルホスホニウム、ヨウ化テトラエチルホスホニウム、ヨウ化テトラプロピルホスホニウム、ヨウ化テトラブチルホスホニウム、ヨウ化テトラフェニルホスホニウム、ヨウ化テトラトルイルホスホニウム等のハロゲン化テトラアルキルホスホニウムまたはハロゲン化テトラアリールホスホニウム;
などが知られているが、本発明の製造方法においては、有機リン化合物中のアリール亜ホスホン酸、亜リン酸ジエステルあるいはモノエステル、リン酸ジエステルあるいはモノエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を特に選んで用いるようにしている。これらの有機リン化合物は、特に優れた着色低減効果を発揮しうるからである。
【0028】
脱アルコール反応の際に触媒として用いる前記有機リン化合物の量は、特に限定されないが、好ましくは、原料重合体に対して0.001〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.01〜2.5重量%、最も好ましくは0.05〜1重量%である。有機リン化合物の使用量が0.001重量%未満であると、脱アルコール反応率の向上が充分に図れないこととなり、一方、10重量%を越えると、着色の原因となったり、重合体の架橋により溶融賦形しにくくなるので、好ましくない。なお、触媒の添加時期は、特に制限されるものではなく、例えば、反応の始め、および/または、途中から添加すればよい。
【0029】
脱アルコール反応の際の反応条件は、特に限定されるものではないが、例えば、加熱温度としては、好ましくは室温以上、より好ましくは50℃以上であり、加熱時間としては、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。加熱温度が低いと、あるいは、加熱時間が短いと、脱アルコール反応率が低下するので好ましくない。また、加熱時間が長すぎると、樹脂の分解により着色が起こる場合があるので好ましくない。なお、該脱アルコール反応は、条件によっては加圧下で行われてもよい。
【0030】
前記脱アルコール反応の反応率は、後述するように、最終的に、90%以上、より好ましくは95%以上、さらにより好ましくは97%以上とするのがよい。脱アルコール反応率が90%未満であると、得られる樹脂の耐熱性が十分に向上しなかったり、成形時の加熱処理によって成形中に脱アルコールが起こり、生じたアルコールが成形品中に泡やシルバーとなって存在してしまうので好ましくない。本発明の製造方法においては、脱アルコール反応の際に前記有機リン化合物を触媒として用いることにより、90%以上の高い脱アルコール反応率を実現させることができる。なお、該脱アルコール反応率は、後述するように、ダイナミックTG測定における150〜300℃の間での重量減少率から求められるものである。
【0031】
本発明に係る製造方法においては、前記脱アルコール反応を溶剤の存在下で行い、かつ、該脱アルコール反応の際に、脱揮工程を併用することが好ましい。脱揮工程を併用することにより、脱アルコール反応で副生するアルコールを強制的に脱揮させて除去するので、反応の平衡が生成側に有利となり、従来に比べてかなり短時間で高反応率を達成することができる。さらに、脱アルコール反応と脱揮工程を併用しているので、プロセス的コストダウンも図れる。
【0032】
前記脱アルコール反応を溶剤の存在下で行う場合、用いられる溶剤としては、特に限定されないが、例えば、通常のラジカル重合反応で使用されるものが選ばれ、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;クロロホルム、DMSO、テトラヒドロフランなどが挙げられる。また、使用する溶媒の沸点が高すぎると、脱揮後の樹脂中の残存揮発分が多くなることから、処理温度で重合体を溶解し、沸点が50〜200℃のものが好ましく、例えば、トルエン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン等のケトン類などがさらに好ましく挙げられる。脱アルコール反応の原料である前記重合体が溶剤共存下で得られたものである場合は、該重合体を得るための前記重合反応で用いた溶媒を完全除去せずにそのまま使用することがコスト的に好ましい。もちろん、一旦溶剤を除去したのちに脱アルコール反応に適した前記溶剤を再添加してもよい。
【0033】
前記脱アルコール反応を溶剤の存在下で行う場合、用いる溶剤の量は、特に限定されないが、好ましくは、重合体反応混合物全量の5〜90重量%、さらに好ましくは10〜80重量%、最も好ましくは30〜75重量%とするのがよい。なお、脱アルコール反応の際中に、溶剤の一部が自然に揮発しても何ら問題ではない。
【0034】
前記脱揮工程とは、溶剤、残存単量体等の揮発分と、前記脱アルコール反応により副生したアルコールを、必要により減圧加熱条件下で、除去する処理工程をいう。この処理工程が不十分であると、生成した樹脂中の残存揮発分が多くなり、成形時の変質等によって着色したり、泡やシルバーなどの成形不良の問題等が生じる。
【0035】
脱アルコール反応の際に脱揮工程を併用する場合、脱アルコール反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態、および、脱揮工程を脱アルコール反応の過程全体にわたっては併用せずに過程の一部においてのみ併用する形態が挙げられる。なお、該脱揮工程は、脱アルコール反応と同時に終了することには限らず、脱アルコール反応の終了から時間をおいて終了しても構わない。
【0036】
脱アルコール反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、使用する装置については特に限定されないが、本発明をより効果的に行うために、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置やベント付き押出機、また、前記脱揮装置と前記押出機を直列に配置したものを用いることが好ましく、さらに、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置またはベント付き押出機を用いることが好ましい。なお、前記原料重合体は、溶剤とともにこれら反応装置系に導入されるが、必要に応じて、もう一度ベント付き押出機等の反応装置系を通してもよい。
【0037】
前記熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置を用いる場合の、脱揮処理温度は、150〜350℃の範囲が好ましく、200〜300℃の範囲がより好ましい。上記温度が150℃より低いと、脱アルコール反応が不充分であったり、残存揮発分が多くなるという問題があり、350℃より高いと、着色や分解が起こるという問題があるために好ましくない。処理時の圧力は、931〜1.33hPaの範囲が好ましく、798〜66.5hPaの範囲がより好ましい。処理時の圧力が上記範囲より高いと、アルコールを含めた揮発分が残存し易いという問題があり、一方、上記範囲より低いと、工業的な実施が困難になっていくという問題があるために好ましくない。
【0038】
前記ベント付き押出機を用いる場合、ベントは1個でも複数個でもいずれでもよいが、複数個のベントを有する方が好ましい。ベント付き押出機での処理温度は、150〜350℃の範囲が好ましく、200〜300℃の範囲がより好ましい。上記温度が150℃より低いと、脱アルコール反応が不充分であったり、残存揮発分が多くなるという問題があり、350℃より高いと、着色や分解が起こるという問題があるために好ましくない。処理時の圧力は、931〜1.33hPaの範囲が好ましく、798〜13.3hPaの範囲がより好ましい。処理時の圧力が上記範囲より高いと、アルコールを含めた揮発分が残存し易いという問題があり、一方、上記範囲より低いと、工業的な実施が困難になっていくという問題があるために好ましくない。
【0039】
脱揮工程を脱アルコール反応の過程全体にわたっては併用せずに過程の一部においてのみ併用する形態としては、例えば、分子鎖中に水酸基とエステル基を有する前記重合体を製造した装置において、さらに加熱、必要に応じて脱揮工程を一部併用して、脱アルコール反応をあらかじめある程度進行させておき、その後引き続いて上述したような脱揮工程を同時に併用した脱アルコール反応を行って、反応を完結させる形態等がある。
【0040】
先に述べた脱アルコール反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態では、例えば、前記重合体として2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキルエステル共重合体を選択した場合、該共重合体を2軸押出機を用いて、250℃近い、あるいはそれ以上の高温で熱処理する時に、熱履歴の違いにより脱アルコール反応が起こる前に一部分解等が生じ、得られる樹脂の物性が悪くなることがある。そこで、上記のように、脱揮工程を同時に併用した脱アルコール反応を行う前に、あらかじめ脱アルコール反応をある程度進行させておくと、後半の反応条件を緩和でき、物性の悪化を抑制できるので好ましい形態となる。特に好ましい形態としては、脱揮工程を脱アルコール反応の開始から時間をおいて開始する形態、すなわち、前記重合反応により得られた重合体の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基の少なくとも一部をあらかじめ脱アルコール反応させて脱アルコール反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した脱アルコール反応を行う形態が挙げられる。具体的には、例えば、あらかじめ釜型の反応器を用いて溶剤の存在下で脱アルコール反応をある程度の反応率まで進行させておき、その後、脱揮装置のついた反応器、例えば、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置や、ベント付き押出機等で、脱アルコール反応を完結させる形態等が好ましく挙げられる。
【0041】
前記の、脱揮工程を同時に併用した脱アルコール反応の前にあらかじめ行う脱アルコール反応の終了時、すなわち、前記脱揮工程開始直前における、脱アルコール反応率は、60%以上であることが好ましく、さらに好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上まで進めておくことがよい。該反応率が60%よりも低いと、続けて脱揮工程を同時に併用した脱アルコール反応を行っても、脱アルコール反応率が十分高いレベルまで上がらず、本発明の透明性耐熱樹脂が得られないので好ましくない。なお、ここでの脱アルコール反応率は、ダイナミックTG測定における150〜300℃の間での重量減少率から求められるものである。
【0042】
前記の、脱揮工程を同時に併用した脱アルコール反応の前にあらかじめ行う脱アルコール反応の際に採用できる反応器は特に限定されるものではないが、好ましくは、オートクレーブや、釜型の反応器や、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置等が挙げられ、さらに、後の脱揮工程を同時に併用した脱アルコール反応に好適なベント付き押出機も使用できる。より好ましくは、オートクレーブや釜型の反応器である。しかし、ベント付き押出機等の反応器を使用するときでも、ベント条件を温和にしたり、ベントをさせなかったり、温度条件やバレル条件、スクリュウ形状、スクリュウ運転条件等を調整することで、上述の釜型反応器での反応状態と同じような状態で脱アルコール反応が可能であり、本発明の透明性耐熱樹脂が得られる場合がある。
【0043】
前記の、原料重合体の分子鎖中に存在する水酸基とエステル基の少なくとも一部をあらかじめ脱アルコール反応させて脱アルコール反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した脱アルコール反応を行う形態の場合、あらかじめ行う脱アルコール反応で得られた重合体(分子鎖中に存在する水酸基とエステル基の少なくとも一部が脱アルコール反応した重合体)と溶剤を、そのまま脱揮工程を同時に併用した脱アルコール反応に導入してもよいし、必要に応じて、重合体を単離してから溶剤を再添加する等のその他の処理を経てから脱揮工程を同時に併用した脱アルコール反応に導入しても構わない。
【0044】
(透明性耐熱樹脂)
本発明に係る透明性耐熱樹脂は、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を脱アルコール反応させて該重合体中にラクトン環構造を導入させることにより得られるものである。
本発明の透明性耐熱樹脂は、ダイナミックTG測定における150〜300℃の間での重量減少率から求めた脱アルコール反応率が90%以上となるものである。より好ましくは95%以上であり、さらにより好ましくは97%以上である。脱アルコール反応率が90%未満であると、耐熱性が十分に向上しなかったり、成形時の加熱処理によって成形中に脱アルコールが起こり、生じたアルコールが成形品中に泡やシルバーとなって存在してしまうので好ましくない。90%以上の高い脱アルコール反応率を実現させるには、少なくとも脱アルコール反応の際に触媒を用いることが好ましく、例えば、脱アルコール反応の際に、前記有機リン化合物を触媒として用いた本発明の製造方法によれば、容易に前記脱アルコール反応率を達成することができる。なお、該脱アルコール反応率は、具体的には、実施例で後述する方法で算出することができる。
【0045】
本発明の透明性耐熱樹脂は、15重量%のクロロホルム溶液中での着色度(YI)が5以下となるものである。該着色度(YI)は、好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、最も好ましくは1.7以下であるのがよい。着色度(YI)が5を越えるような透明性耐熱樹脂は、着色により透明性が損なわれ、本来目的とする用途に使用できないこととなる。例えば、前述した本発明の製造方法によれば、容易に着色度(YI)を5以下とすることができる。
【0046】
このように、本発明の透明性耐熱樹脂は、5以下という低い着色度(YI)と、90%以上という高い脱アルコール反応率とを兼ね備えたものであるが、これを得るには、少なくとも触媒を用いて脱アルコール反応をさせることが好ましい。通常、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を脱アルコール反応させてラクトン環を形成する際に触媒を用いなければ、比較的低い着色度(YI)の樹脂とすることができるのであるが、この場合、脱アルコール反応率すなわちラクトン環化率が低くなり、ひいては樹脂に充分な耐熱性を付与することができないからである。本発明の透明性耐熱樹脂を得る際のさらに好ましい実施形態としては、脱アルコール反応の際に前記有機リン化合物を触媒として用い、重合体中にラクトン環構造を導入させるようにするものである。
【0047】
本発明の透明性耐熱樹脂は、重量平均分子量が40,000〜300,000、さらに好ましくは80,000〜200,000、最も好ましくは100,000〜200,000であることが好ましい。本発明の透明性耐熱樹脂は、脱アルコール反応の際の触媒として有機リン化合物を用いて製造されるので、脱揮工程において分子量の低下を効果的に抑制し、上記範囲の重量平均分子量を保持することができるのである。重量平均分子量が40,000未満であると、機械的強度が低下し、脆くなりやすいという問題があり、一方、300,000、を越えると、流動性が低下して成形しにくくなるので、好ましくない。
【0048】
本発明の透明性耐熱樹脂は、ラクトン環構造を有した重合体からなっており、その重合体が有するラクトン環構造の占める割合は、5重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは10重量%以上、最も好ましくは15重量%以上であるのがよい。ラクトン環構造の占める割合は、脱アルコール反応率によって決まるのであるが、本発明においては、前記のように90%以上の脱アルコール反応率を実現しうるので、容易に前記範囲を満足するラクトン環構造を有する樹脂とすることができる。ラクトン環構造の占める割合が5重量%未満であると、得られる透明性耐熱樹脂に十分な耐熱性が付与できない傾向がある。なお、ラクトン環構造の占める割合は、具体的には、実施例で後述する方法で算出することができる。
【0049】
本発明の透明性耐熱樹脂は、熱重量分析(TG)における5%重量減少温度が、330℃以上、さらに好ましくは350℃以上、最も好ましくは360℃以上であることが好ましい。この5%重量減少温度は、耐熱性の指標であり、これが330℃未満であると、十分な熱安定性を発揮できないこととなる。本発明においては、前記のように90%以上の脱アルコール反応率を実現しうるので、容易に前記範囲を満足する樹脂とすることができる。
【0050】
本発明の透明性耐熱樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が、115℃以上、好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、最も好ましくは130℃以上であるのがよい。
本発明の透明性耐熱樹脂中の残存揮発分は、その総量が、好ましくは1500ppm以下、より好ましくは1000ppm以下となる。これよりも多いと、成形時の変質等によって着色したり、発泡したり、シルバーなどの成形不良の原因となる。
【0051】
本発明の透明性耐熱樹脂においては、射出成形により得られる成形品の、ASTM−D−1003に準じた方法で測定された全光線透過率が85%以上、さらに好ましくは88%以上、最も好ましくは90%以上であることが好ましい。全光線透過率は、透明性の目安であり、これが85%未満であると、透明性が低下し、本来目的とする用途に使用できないこととなる。
【0052】
本発明の透明性耐熱樹脂においては、射出成形により得られる成形品の、ASTM−D−1003に準じた方法で測定された曇価が5%以下、好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下であることが好ましい。曇価は、透明性の目安であり、これが5%を越えると、透明性が低下し、本来目的とする用途に使用できないこととなる。なお、この曇価は、後述する透明性耐熱樹脂組成物においても、同様に5%以下であることが好ましい。
【0053】
本発明の透明性耐熱樹脂においては、射出成形により得られる成形品について、ノッチ(notch)のない試験片を用いた以外はASTM−D−256に準じた方法で測定された衝撃強度(アイゾット値)が、49N・cm/cm2 (5kgf・cm/cm2 )以上であることが好ましい。さらに好ましくは98N・cm/cm2 (10kgf・cm/cm2 )以上、さらにより好ましくは147N・cm/cm2 (15kgf・cm/cm2 )以上、最も好ましくは167N・cm/cm2 (17kgf・cm/cm2 )以上である。
【0054】
このように、本発明の透明性耐熱樹脂は、高い耐熱性を有し、着色が少なく良好な透明性を持ち、成形品中の泡やシルバーを抑制できる、従来の透明性耐熱樹脂の持つ欠点を克服した新規な樹脂である。
(透明性耐熱樹脂組成物)
本発明の透明性耐熱樹脂組成物は、前記の透明性耐熱樹脂と、該透明性耐熱樹脂以外の熱可塑性樹脂とを含むものである。透明性耐熱樹脂組成物に含有させる透明性耐熱樹脂以外の熱可塑性樹脂として任意の特性を有する樹脂を用いることによって、透明性、耐熱性に加え、さらに所望の特性を有する透明性耐熱樹脂組成物とすることができる。
【0055】
透明性耐熱樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、分子中にラクトン環構造を有する前記透明性耐熱樹脂と相溶性があり、透明性を阻害しない熱可塑性樹脂であれば、特に限定なく使用することができる。また、相溶性が低くても、前記透明性耐熱樹脂と屈折率が同程度かまたは近い透明性の熱可塑性樹脂であれば、透明性への影響は少なく、同様に好ましく用いることができる。このような観点から、特に、透明性に優れる点では、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、塩化ビニル樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂が好ましく、特に相溶性に優れる点では、塩化ビニル樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂が好ましい。これらは、1種類のみを用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0056】
特に優れた透明性を所望する場合には、例えば、熱可塑性樹脂として、アクリロニトリル−スチレン共重合体や塩化ビニル樹脂を用い、前記透明性耐熱樹脂にメタクリル酸エステル類を50重量%以上含有する重合体を用いるとよい。これらの組み合わせにより、良好な相溶性が得られ、優れた透明性と高耐熱性とを併せ持った樹脂組成物となる。なお、樹脂同志が熱力学的に相溶することは、両樹脂を混合して得られた樹脂組成物のガラス転移点を測定することによって確認することができる。具体的には、示差走査熱量測定器(DSC)により測定されるガラス転移点が1点のみ観測されることによって、熱力学的に相溶していると言える。
【0057】
本発明において、前記透明性耐熱樹脂と前記熱可塑性樹脂との配合比は、透明性耐熱樹脂/熱可塑性樹脂=1/99〜99/1(重量比)の範囲とするのが好ましく、さらに好ましくは10/90〜90/10の範囲がよい。特に、熱可塑性樹脂の特性を最大限に発揮したうえで、耐熱性をも改良したい場合には、透明性耐熱樹脂/熱可塑性樹脂=10/90〜80/20(重量比)の範囲にすることが好ましい。さらに好ましくは、10/90〜70/30(重量比)の範囲がよく、特に好ましくは10/90〜60/40(重量比)の範囲がよい。
【0058】
本発明の透明性耐熱樹脂組成物は、前記透明性耐熱樹脂と前記熱可塑性樹脂とを混合し、必要に応じて各種添加剤をも混合することによって、容易に得ることができる。混合方法としては、特に限定されず、例えば、これらをオムニミキサー等の混合機でプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する方法を採用することができる。この場合、押出混練に用いる混練機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等、従来公知の混練機を用いることができる。なお、透明性耐熱樹脂を得る際の脱アルコール反応において、前記の分子鎖中に水酸基とエステル基を有する重合体に加えて、前記熱可塑性樹脂を混合してもよい。
【0059】
本発明の透明性耐熱樹脂もしくは透明性耐熱樹脂組成物は、必要に応じて、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系の酸化防止剤や安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;フェニルサリチレート、2−(2´−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベントリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;トリス(ジロムプロピル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリアリルホスフェト、四臭化エチレン、酸化アンチモン、ジンクボレート等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;等を含有していてもよい。この場合、透明性耐熱樹脂の含有量が、好ましくは10〜100重量%、さらに好ましくは30〜10%、最も好ましくは50〜100重量%となるようにするのがよい。
【0060】
本発明の透明性耐熱樹脂もしくは透明性耐熱樹脂組成物は、150〜350℃で成形するのが好ましく、より好ましくは200〜300℃であるが、耐熱性などの樹脂の性質に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。成形方法としては特に限定されず、射出成形、ブロー成形、押出成形などが挙げられる。
本発明の透明性耐熱樹脂もしくは透明性耐熱樹脂組成物は、透明性に優れているので、透明光学レンズ、光学素子(例えば、各種計器類の照明あるいは各種ディスプレイや看板照明等に利用可能な導光体、プラスチック光ファイバー、光拡散性面状成形体等)、OA機器や自動車等の透明部品(例えば、レーザービームプリンター用レンズ、車両用のヘッドランプやフォグランプや信号灯等に用いられるランプレンズ等)などに応用でき、種々の形状を容易に成形できる点で好ましい。さらに、本発明の樹脂もしくは樹脂組成物は、フィルム、シート状の成形品、他の樹脂との積層シート、浴槽用表層樹脂等にも応用できる。本発明の透明性耐熱樹脂もしくは透明性耐熱樹脂組成物を用いた成形品は、従来の透明性耐熱樹脂成形品で避けられなかった泡やシルバーを、完全に、あるいはほぼ完全に回避できる点で、非常に有用である。
【0061】
【実施例】
以下、本発明に係る実施例および比較例について説明するが、本発明は該実施例により何ら制限されるものではない。なお、以下の文中「部」は「重量部」を表す。
(重合反応率、重合体組成分析)
重合反応時の反応率および重合体中の特定単量体単位の含有率は、得られた重合反応混合物中の未反応単量体の量をガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、装置名:GC−14A)を用いて測定して求めた。
【0062】
(脱アルコール反応率、ラクトン環構造の占める割合)
脱アルコール反応して得られた重合体(もしくは重合体溶液あるいはペレット)を一旦テトラヒドロフランに溶解もしくは希釈し、過剰のヘキサンもしくはメタノールへ投入して再沈殿を行い、取り出した沈殿物を真空乾燥(1.33hPa、80℃、3時間以上)することにより、揮発成分等を除去し、得られた白色固形状の樹脂の脱アルコール反応率を以下の方法(ダイナミックTG法)で分析した。
【0063】
反応率:以下の参考例1で得られた重合体組成からすべての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる重量減少量を基準にし、この測定において重量減少の始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による重量減少量から求めた。
【0064】
すなわち、ラクトン環構造を有した重合体の熱分析(ダイナミックTG)において150℃から300℃までの間の重量減少率の測定を行い、得られた実測重量減少率を(X)とする。他方、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に関与するためアルコールになり脱アルコールすると仮定した時の理論重量減少率(すなわち、その組成上において100%の脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した重量減少率)を(Y)とする。なお、理論重量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比と、当該重合体組成における前記原料単量体の含有率とから算出することができる。これらの値(X,Y)を脱アルコール計算式:
1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))
に代入してその値を求め、%で表記すると、脱アルコール反応率が得られる。
【0065】
そして、この脱アルコール反応率分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、ラクトン環化に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体の当該重合体組成における含有率(重量比)に、脱アルコール反応率を乗じることで、当該重合体中のラクトン環構造の占める割合を算出することができる。
例として、後述の実施例1で得られる樹脂においてラクトン環構造の占める割合を計算する。この樹脂の理論重量減少率(Y)を求めてみると、メタノールの分子量は32であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの分子量は116であり、この2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの重合体中の含有率(重量比)は組成上20.0%であるから、(32/116)×20.0≒5.52重量%となる。他方、ダイナミックTG測定による実測重量減少率(X)は0.09重量%であった。これらの値を上記の脱アルコール計算式に当てはめると、1−(0.09/5.52)≒0.984となるので、脱アルコール反応率は98.4%である。そして、重合体中ではこの脱アルコール反応率分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの当該樹脂中における含有率(20.0%)に、脱アルコール反応率(98.4%=0.984)を乗じると、当該樹脂中のラクトン環構造の占める割合は19.7(=20.0×0.984)重量%となる。
【0066】
なお、この脱アルコール反応率は、脱揮工程を同時に併用する脱アルコール反応の前にあらかじめ脱アルコール反応をおこなう場合に、重合体の反応状態を規定する上で重要な指標となる。
(重量平均分子量)
重合体の重量平均分子量は、GPC(東ソー社製GPCシステム)のポリスチレン換算により求めた。
【0067】
(着色度(YI))
樹脂の着色度(YI)は、樹脂をクロロホルムに溶かし、15重量%溶液として石英セルに入れ、JIS−K−7103に従い、色差計(日本電色工業社製、装置名:SZ−Σ90)を用いて、透過光で測定した。
(樹脂の熱分析)
樹脂の熱分析は、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50cc/minの条件で、TG(リガク社製、装置名:TG−8110)とDSC(リガク社製、装置名:DSC−8230)を用いて行った。なお、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、中点法で求めた。
【0068】
(樹脂中の揮発分測定)
樹脂中に含まれる残存揮発分量は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、装置名:GC−14A)を用いて測定して求めた。
(全光線透過率、曇価)
透明度の指標として、得られた樹脂を射出成形(厚み3.2mm)し、全光線透過率および曇価を、ASTM−D−1003に従って、濁度計(日本電色工業社製、装置名:NDH−1001DP)を用いて測定した。
【0069】
(成形品の耐衝撃性)
得られた樹脂を射出成形して得たノッチなしの試験片を用いた以外はASTM−D−256に従って、アイゾット衝撃試験器((株)東洋精機社製)を用いて、衝撃強度(アイゾット値)を測定し、耐衝撃性の指標とした。
(樹脂中のラクトン環の確認)
樹脂の骨格中にラクトン環があるかどうかは、赤外線吸収スペクトルおよび13C−NMRにより確認した。なお、赤外線吸収スペクトルは、FTS−45赤外分光光度計(BIO−RAD製)を用い、13C−NMRは、FT−NMR UNITY plus400(Varian製)を用いて測定を行った。
【0070】
(参考例1)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ポンプを付した30Lの反応釜に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル5部、メタクリル酸メチル20部、トルエン25部を仕込み、窒素を通じつつ100℃まで昇温した。そして、開始剤としてターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.075部を加えると同時に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル5部、メタクリル酸メチル20部、トルエン25部、開始剤(ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート)0.075部からなる溶液を3時間半かけて滴下しながら100〜110℃で溶液重合を行い、さらに1時間半かけて熟成を行った。重合の反応率は91.8%で、重合体中の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル含有率(重量比)は20.0%であった。また、この重合体の重量平均分子量は130,000であった。
【0071】
[実施例1]
参考例1で得られた重合体溶液100部に対して37.5部のメチルイソブチルケトン、および、重合体成分1部に対して0.005部のフェニル亜ホスホン酸を加え、窒素を通じつつ、100℃で5時間、脱アルコール反応を行った。得られた反応溶液の一部を取り出し、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、この時点での脱アルコール反応率は88.0%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.66%の重量減少を検知)。
【0072】
次いで、上記の脱アルコール反応で得られた重合体溶液を、バレル温度250℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個とフォアベント数4個のベントタイプスクリュー2軸押出機(Φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出機内で脱アルコール反応を完結させつつ脱揮処理を行い、押し出すことにより、透明なペレットを得た。
【0073】
得られたペレットについて、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、脱アルコール反応率は98.4%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.09%の重量減少を検知し、この方法で求めたラクトン環構造の占める割合は19.7重量%であった)。また、このペレットの着色度YIは1.7であった。
【0074】
また、上記ペレットの重量平均分子量は120,000であり、また、耐熱性の指標である5%重量減少温度は367℃であったことから、このペレットは高温領域での熱安定性に優れていることがわかった。なお、ガラス転移温度は135℃であった。
また、上記ペレット中の残存揮発分は以下に示す値となった。
メタクリル酸メチル:60ppm
2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル:70ppm
メタノール:190ppm
トルエン:160ppm
メチルイソブチルケトン:230ppm
このペレットを250℃で射出成形することにより、安定的に泡やシルバーが入らない、無色透明(全光線透過率:91.0%、曇価:2.5%)の成形品を得た。また、衝撃強度(アイゾット値)を測定したところ、177N・cm/cm2 (18kgf・cm/cm2 )であった。成形品中には泡は見られず、また、射出成形機内で樹脂を250℃で5分間滞留させた後に射出成形しても、成形品には泡は見られなかった。
【0075】
[実施例2]
参考例1で得られた重合体溶液100部に対して37.5部のメチルイソブチルケトン、および、重合体成分1部に対して0.015部の亜リン酸ジメチルを加え、窒素を通じつつ、100℃で5時間、脱アルコール反応を行った。得られた反応溶液の一部を取り出し、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、この時点での脱アルコール反応率は86.8%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.73%の重量減少を検知)。
【0076】
次いで、上記の脱アルコール反応で得られた重合体溶液を、実施例1と同様にして、脱アルコール反応を完結させつつ脱揮処理し、押し出すことにより、透明なペレットを得た。
得られたペレットについて、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、脱アルコール反応率は97.1%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.16%の重量減少を検知し、この方法で求めたラクトン環構造の占める割合は19.4重量%であった)。また、このペレットの着色度YIは1.5であった。
【0077】
また、上記ペレットの重量平均分子量は117,000であり、また、耐熱性の指標である5%重量減少温度は365℃であったことから、このペレットは高温領域での熱安定性に優れていることがわかった。なお、ガラス転移温度は135℃であった。
また、上記ペレット中の残存揮発分は以下に示す値となった。
メタクリル酸メチル:80ppm
2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル:90ppm
メタノール:290ppm
トルエン:170ppm
メチルイソブチルケトン:240ppm
このペレットを250℃で射出成形することにより、安定的に泡やシルバーが入らない、無色透明(全光線透過率:90.9%、曇価:1.5%)の成形品を得た。また、衝撃強度(アイゾット値)を測定したところ、167N・cm/cm2 (17kgf・cm/cm2 )であった。成形品中には泡は見られず、また、射出成形機内で樹脂を250℃で5分間滞留させた後に射出成形しても、成形品には泡は見られなかった。
【0078】
[実施例3]
参考例1で得られた重合体溶液100部に対して37.5部のメチルイソブチルケトン、および、重合体成分1部に対して0.001部のリン酸メチル/リン酸ジメチル混合物(東京化成工業社製「P0262」)を加え、窒素を通じつつ、100℃で5時間、脱アルコール反応を行った。得られた反応溶液の一部を取り出し、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、この時点での脱アルコール反応率は88.8%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.62%の重量減少を検知)。
【0079】
次いで、上記の脱アルコール反応で得られた重合体溶液を、実施例1と同様にして、脱アルコール反応を完結させつつ脱揮処理し、押し出すことにより、透明なペレットを得た。
得られたペレットについて、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、脱アルコール反応率は98.2%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.10%の重量減少を検知し、この方法で求めたラクトン環構造の占める割合は19.6重量%であった)。また、このペレットの着色度YIは0.8であった。
【0080】
また、上記ペレットの重量平均分子量は120,000であり、また、耐熱性の指標である5%重量減少温度は366℃であったことから、このペレットは高温領域での熱安定性に優れていることがわかった。なお、ガラス転移温度は134℃であった。
また、上記ペレット中の残存揮発分は以下に示す値となった。
メタクリル酸メチル:50ppm
2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル:60ppm
メタノール:240ppm
トルエン:170ppm
メチルイソブチルケトン:250ppm
このペレットを250℃で射出成形することにより、安定的に泡やシルバーが入らない、無色透明(全光線透過率:92.5%、曇価:0.7%)の成形品を得た。また、衝撃強度(アイゾット値)を測定したところ、177N・cm/cm2 (18kgf・cm/cm2 )であった。成形品中には泡は見られず、また、射出成形機内で樹脂を250℃で5分間滞留させた後に射出成形しても、成形品には泡は見られなかった。
【0081】
[実施例4]
参考例1で得られた重合体溶液100部に対して37.5部のメチルイソブチルケトン、および、重合体成分1部に対して0.01部のフェニル亜ホスホン酸を加え、窒素を通じつつ、100℃で5時間、脱アルコール反応を行った。得られた反応溶液の一部を取り出し、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、この時点での脱アルコール反応率は88.8%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.62%の重量減少を検知)。
【0082】
次いで、上記の脱アルコール反応で得られた重合体溶液を、真空乾燥(1.33hPa、150℃、6時間)して揮発分を除去し、得られた固形状の樹脂を粉砕した。そして、粉砕した樹脂を真空乾燥(1.33hPa、80℃、3時間)し、白色固形状の樹脂を得た。
得られた樹脂について、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、脱アルコール反応率は90.8%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.51%の重量減少を検知し、この方法で求めたラクトン環構造の占める割合は17.6重量%であった)。また、この樹脂の着色度YIは0.9であった。
【0083】
また、上記樹脂の重量平均分子量は128,000であり、また、耐熱性の指標である5%重量減少温度は331℃であったことから、この樹脂は高温領域での熱安定性に優れていることがわかった。なお、ガラス転移温度は130℃であった。
また、上記樹脂中の残存揮発分は以下に示す値となった。
メタクリル酸メチル:1100ppm
2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル:1500ppm
メタノール:600ppm
トルエン:1600ppm
メチルイソブチルケトン:2200ppm
この樹脂を250℃で射出成形することにより、無色透明(全光線透過率:87.0%、曇価:2.1%)の成形品を得た。また、衝撃強度(アイゾット値)を測定したところ、196N・cm/cm2 (20kgf・cm/cm2 )であった。得られた成形品のうちいくつかは、若干の泡やシルバーが見られたが、問題となる程度ではなかった。
【0084】
(参考例2)
2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルを10部、メタクリル酸メチルを15部に変更した以外は、参考例1と同様にして重合反応を行った。重合の反応率は93.2%で、重合体中の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル含有率(重量比)は40.2%であった。また、この重合体の重量平均分子量は117,000であった。
【0085】
[実施例5]
参考例2で得られた重合体溶液100部に対して37.5部のメチルエチルケトン、および、重合体成分1部に対して0.01部のフェニル亜ホスホン酸を加え、窒素を通じつつ、90℃で5時間、脱アルコール反応を行った。得られた反応溶液の一部を取り出し、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、この時点での脱アルコール反応率は88.0%であった(ダイナミックTG法の測定で、1.33%の重量減少を検知)。
【0086】
次いで、上記の脱アルコール反応で得られた重合体溶液を、実施例1と同様にして、脱アルコール反応を完結させつつ脱揮処理し、押し出すことにより、透明なペレットを得た。
得られたペレットについて、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、脱アルコール反応率は97.6%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.27%の重量減少を検知し、この方法で求めたラクトン環構造の占める割合は39.2重量%であった)。また、このペレットの着色度YIは2.0であった。
【0087】
また、上記ペレットの重量平均分子量は80,000であり、また、耐熱性の指標である5%重量減少温度は355℃であったことから、このペレットは高温領域での熱安定性に優れていることがわかった。なお、ガラス転移温度は155℃であった。
また、上記ペレット中の残存揮発分は以下に示す値となった。
メタクリル酸メチル:70ppm
2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル:80ppm
メタノール:330ppm
トルエン:170ppm
メチルエチルケトン:200ppm
このペレットを250℃で射出成形することにより、安定的に泡やシルバーが入らない、無色透明(全光線透過率:89.8%、曇価:3.0%)の成形品を得た。また、衝撃強度(アイゾット値)を測定したところ、118N・cm/cm2 (12kgf・cm/cm2 )であった。
【0088】
(参考例3)
2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルを2.5部、メタクリル酸メチルを22.5部に変更した以外は、参考例1と同様にして重合反応を行った。重合の反応率は91.6%で、重合体中の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル含有率(重量比)は10.5%であった。また、この重合体の重量平均分子量は138,000であった。
【0089】
[実施例6]
参考例3で得られた重合体溶液100部に対して37.5部のメチルイソブチルケトン、および、重合体成分1部に対して0.001部のフェニル亜ホスホン酸を加え、窒素を通じつつ、100℃で5時間、脱アルコール反応を行った。得られた反応溶液の一部を取り出し、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、この時点での脱アルコール反応率は87.2%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.37%の重量減少を検知)。
【0090】
次いで、上記の脱アルコール反応で得られた重合体溶液を、実施例1と同様にして、脱アルコール反応を完結させつつ脱揮処理し、押し出すことにより、透明なペレットを得た。
得られたペレットについて、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、脱アルコール反応率は97.2%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.08%の重量減少を検知し、この方法で求めたラクトン環構造の占める割合は10.2重量%であった)。また、このペレットの着色度YIは1.5であった。
【0091】
また、上記ペレットの重量平均分子量は125,000であり、また、耐熱性の指標である5%重量減少温度は361℃であったことから、このペレットは高温領域での熱安定性に優れていることがわかった。なお、ガラス転移温度は125℃であった。
また、上記ペレット中の残存揮発分は以下に示す値となった。
メタクリル酸メチル:90ppm
2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル:50ppm
メタノール:210ppm
トルエン:170ppm
メチルイソブチルケトン:220ppm
このペレットを250℃で射出成形することにより、安定的に泡やシルバーが入らない、無色透明(全光線透過率:91.4%、曇価:1.9%)の成形品を得た。また、衝撃強度(アイゾット値)を測定したところ、226N・cm/cm2 (23kgf・cm/cm2 )であった。成形品中には泡は見られず、また、射出成形機内で樹脂を250℃で5分間滞留させた後に射出成形しても、成形品には泡は見られなかった。
【0092】
[比較例1]
参考例1で得られた重合体溶液100部に対して37.5部のメチルイソブチルケトン、および、重合体成分1部に対して0.005部のp−トルエンスルホン酸1水和物を加え、窒素を通じつつ、100℃で5時間、脱アルコール反応を行った。得られた反応溶液の一部を取り出し、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、この時点での脱アルコール反応率は88.8%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.62%の重量減少を検知)。
【0093】
次いで、上記の脱アルコール反応で得られた重合体溶液を、実施例1と同様にして、脱アルコール反応を完結させつつ脱揮処理し、押し出すことにより、透明なペレットを得た。
得られたペレットについて、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、脱アルコール反応率は98.4%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.09%の重量減少を検知し、この方法で求めたラクトン環構造の占める割合は19.7重量%であった)。また、このペレットの着色度YIは11.8であった。
【0094】
また、上記ペレットの重量平均分子量は120,000であり、また、耐熱性の指標である5%重量減少温度は365℃であったことから、このペレットは高温領域での熱安定性に優れていることがわかった。なお、ガラス転移温度は135℃であった。
また、上記ペレット中の残存揮発分は以下に示す値となった。
メタクリル酸メチル:60ppm
2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル:70ppm
メタノール:280ppm
トルエン:160ppm
メチルイソブチルケトン:230ppm
このペレットを250℃で射出成形することにより、安定的に泡やシルバーが入らない、着色のある透明(全光線透過率:86.5%、曇価:5.5%)の成形品を得た。また、衝撃強度(アイゾット値)を測定したところ、167N・cm/cm2 (17kgf・cm/cm2 )であった。成形品中には泡は見られず、また、射出成形機内で樹脂を250℃で5分間滞留させた後に射出成形しても、成形品には泡は見られなかった。
【0095】
[比較例2]
参考例1で得られた重合体溶液100部に対して37.5部のメチルイソブチルケトン、および、重合体成分1部に対して0.015部のp−トルエンスルホン酸1水和物を加え、窒素を通じつつ、100℃で5時間、脱アルコール反応を行った。得られた反応溶液の一部を取り出し、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、この時点での脱アルコール反応率は89.1%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.60%の重量減少を検知)。
【0096】
次いで、上記の脱アルコール反応で得られた重合体溶液を、真空乾燥(1.33hPa、150℃、6時間)して揮発分を除去し、得られた固形状の樹脂を粉砕した。そして、粉砕した樹脂を真空乾燥(1.33hPa、80℃、3時間)し、少し着色のある固形状の樹脂を得た。
得られた樹脂について、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、脱アルコール反応率は91.1%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.49%の重量減少を検知し、この方法で求めたラクトン環構造の占める割合は18.2重量%であった)。また、この樹脂の着色度YIは6.5であった。
【0097】
また、上記樹脂の重量平均分子量は128,000であり、また、耐熱性の指標である5%重量減少温度は330℃であったことから、この樹脂は高温領域での熱安定性に優れていることがわかった。なお、ガラス転移温度は130℃であった。
また、上記樹脂中の残存揮発分は以下に示す値となった。
メタクリル酸メチル:1200ppm
2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル:1300ppm
メタノール:800ppm
トルエン:1800ppm
メチルイソブチルケトン:2400ppm
この樹脂を250℃で射出成形することにより、着色のある透明(全光線透過率:87.0%、曇価:3.9%)の成形品を得た。また、衝撃強度(アイゾット値)を測定したところ、206N・cm/cm2 (21kgf・cm/cm2 )であった。
【0098】
[比較例3]
参考例1で得られた重合体溶液100部に対して37.5部のメチルイソブチルケトン、および、重合体成分1部に対して0.01部の硫酸を加え、窒素を通じつつ、100℃で5時間、脱アルコール反応を行った。得られた反応溶液の一部を取り出し、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、この時点での脱アルコール反応率は88.9%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.61%の重量減少を検知)。
【0099】
次いで、上記の脱アルコール反応で得られた重合体溶液を、真空乾燥(1.33hPa、150℃、6時間)して揮発分を除去し、得られた固形状の樹脂を粉砕した。そして、粉砕した樹脂を真空乾燥(1.33hPa、80℃、3時間)し、ひどく着色した固形状の樹脂を得た。
得られた樹脂について、先に記載の方法で脱アルコール反応率を求めたところ、脱アルコール反応率は91.1%であった(ダイナミックTG法の測定で、0.49%の重量減少を検知し、この方法で求めたラクトン環構造の占める割合は18.3重量%であった)。また、この樹脂の着色度YIは23.2であった。また、上記樹脂の重量平均分子量は130,000であり、また、耐熱性の指標である5%重量減少温度は330℃であったことから、この樹脂は高温領域での熱安定性に優れていることがわかった。なお、ガラス転移温度は130℃であった。
【0100】
また、上記樹脂中の残存揮発分は以下に示す値となった。
メタクリル酸メチル:1200ppm
2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル:1200ppm
メタノール:700ppm
トルエン:1800ppm
メチルイソブチルケトン:2400ppm
この樹脂を250℃で射出成形することにより、ひどく着色した透明(全光線透過率:81.0%、曇価:6.7%)の成形品を得た。また、衝撃強度(アイゾット値)を測定したところ、196N・cm/cm2 (20kgf・cm/cm2 )であった。得られた成形品のうちいくつかは、泡やシルバーが見られた。
【0101】
以上の実施例において得られた透明性耐熱樹脂は、ダイナミックTGの熱分析、13C−NMR、IR等からも、所定量のラクトン環構造が導入された透明性耐熱樹脂であることが確認できた。また、本発明の製造方法を採用することでの、実施例の脱アルコール反応率は、いずれも高い反応率であった。
[実施例7〜13および比較例4〜6]
実施例1で得られたペレットと、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、塩化ビニル樹脂およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)から選ばれる熱可塑性樹脂とを、表1および表2に示す配合比(重量比)で、オムニミキサーにて混合した後、シリンダー温度240℃にコントロールした30mmφの二軸押出機を用いて溶融混練し、透明性耐熱樹脂組成物とした。 得られた透明性耐熱樹脂組成物の各物性については以下の方法で測定し、評価した。結果を表1および表2に示す。
【0102】
(耐熱性)
得られた透明性耐熱樹脂組成物について、前記樹脂の熱分析におけるDSC測定で求めたガラス転移温度(Tg)により評価した。すなわち、ガラス転移温度が高いほど耐熱性に優れるものである。
(相溶性)
得られた透明性耐熱樹脂組成物について、前記樹脂の熱分析におけるDSC測定によりガラス転移温度(Tg)を測定し、ガラス転移点が1点のみ観測される場合を○とし、2点以上観測される場合を×として、評価した。
【0103】
(曇価)
得られた透明性耐熱樹脂組成物を射出成形(厚み3.2mm)し、ASTM−D−1003に準じて測定した。
(透明性)
得られた透明性耐熱樹脂組成物のテトラヒドロフラン溶液をガラスプレート上に均一な厚みになるように塗布した後、乾燥させて、キャストフィルムを作成し、このキャストフィルムの透明性を目視にて観察し、次のように評価した。すなわち、濁りがなく無色透明な場合を○とし、白く濁った場合を×とした。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
【発明の効果】
本発明によれば、耐熱性に優れるとともに、成形品中に泡やシルバーが入ることを抑制することができ、しかも、着色が少なく、良好な透明性を保持させることができる、透明性耐熱樹脂を提供することができる。
また、本発明によれば、透明性、耐熱性に加えて、さらに、例えば機械的強度、成形加工性等の所望の特性を備えた透明性耐熱樹脂組成物を提供することができる。
Claims (3)
- 分子内に水酸基を有するか水酸基とエステル基の双方を有するビニル単量体と分子内に水酸基とエステル基のうちのエステル基のみを有するビニル単量体との混合物を重合してなり、前記分子内に水酸基とエステル基のうちのエステル基のみを有するビニル単量体がアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルである、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を脱アルコール反応させて該重合体中にラクトン環構造を導入させることにより透明性耐熱樹脂を得る方法において、
前記脱アルコール反応の際に、アリール亜ホスホン酸(但し、該アリール亜ホスホン酸は、互変異性体であるアリールホスフィン酸になっていてもよい)、亜リン酸ジエステルあるいはモノエステル、リン酸ジエステルあるいはモノエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機リン化合物を触媒として用いる、
ことを特徴とする、透明性耐熱樹脂の製造方法。 - 前記脱アルコール反応を溶剤の存在下で行い、かつ、該脱アルコール反応の際に、脱揮工程を併用する、請求項1に記載の透明性耐熱樹脂の製造方法。
- 得られる透明性耐熱樹脂の、ダイナミックTG測定における150〜300℃の間での重量減少率から求めた脱アルコール反応率が90%以上であり、かつ、15重量%のクロロホルム溶液として測定したときの着色度(YI)が5以下である、請求項1または2に記載の透明性耐熱樹脂の製造方法。
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