JP4766582B2 - 粘着型光学フィルムおよび液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学フィルムの一方の面に光学フィルムを液晶パネルのガラス基板に貼着するための粘着層が積層されている粘着型光学フィルムに関する。さらには前記粘着型光学フィルムを用いた液晶表示装置に関する。前記光学フィルムとしては、偏光フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、防眩シートまたはこれらが複数積層されているものがあげられる。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイは、その画像形成方式から液晶パネルの最表面を形成するガラス基板の両側に偏光素子を配置することが必要不可欠であり、一般的には偏光フィルムが液晶パネルの最表面に貼着されている。また液晶パネルの最表面には偏光フィルムの他に、ディスプレイの表示品位を向上させるために様々な光学素子が用いられるようになってきている。例えば、着色防止としての位相差フィルム、液晶ディスプレイの視野角を改善するための視野角拡大フィルム、さらにはディスプレイのコントラストを高めるための輝度向上フィルム等が用いられる。これらのフィルムは総称して光学フィルムと呼ばれる。
【0003】
前記光学フィルムを液晶パネルの最表面に貼着する際には、通常、粘着剤が使用される。また、光学フィルムを液晶パネルの最表面に瞬時に固定できること、光学フィルムを固着させるのに乾燥工程を必要としないこと等のメリットを有することから、粘着剤は、光学フィルムの片面に予め粘着層として設けられている。すなわち、液晶パネルの最表面への光学フィルムの貼着には粘着型光学フィルムが一般的に用いられる。
【0004】
前記粘着剤に要求される必要特性としては、(1)光学フィルムを液晶パネルの最表面に貼り合わせる際、貼り合わせ位置を誤ったり、貼合せ面に異物が噛み込んだような場合にも光学フィルムを液晶パネル最表面から剥離し、再度貼り合わせ(リワーク)が可能であることがあげられる。この場合に液晶パネルは高価であるため、再利用し、比較的安価である光学フィルムは廃棄する。また、前記粘着剤に要求される必要特性としては、(2)光学フィルムの寸法変化により生じる光学むらを防止するため応力緩和性を有すること、(3)環境促進試験として通常行われる加熱および加湿等による耐久性試験に対して粘着剤に起因する不具合が発生しないこと、等が挙げられる。
【0005】
特に、(3)環境促進試験において、光学フィルムを形成する基材の寸法変化により、光学フィルムに積層された粘着層とガラスとの界面の端部で剥がれ等の粘着剤に起因する不具合が生じると、これが液晶パネル最表面のガラスに貼り合わわれて使用される場合には視認性を低下させるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、光学フィルムを液晶パネルのガラス基板に貼着するための粘着層が設けられた粘着型光学フィルムであって、加熱および加湿等の条件下における耐久性に優れたものを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意研究したところ、以下に示す粘着型光学フィルムにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、光学フィルムの一方の面に光学フィルムを液晶パネルのガラス基板に貼着するための粘着層が積層されている粘着型光学フィルムにおいて、前記粘着層がカルボキシル基を有するアクリル系ポリマーの多官能性金属キレートによる架橋物により形成されており(但し、前記粘着層は2級または3級アミン化合物を含まず、前記カルボキシル基を有するアクリル系ポリマー100重量部(固形分)に対して、3官能以上のイソシアネート化合物1重量部以上を配合する場合を除く)、かつ飽和吸水率が0.35重量%以上2.5重量%以下であることを特徴とする粘着型光学フィルム、に関する。
【0009】
本発明の粘着層において、カルボキシル基を有するアクリル系ポリマーを架橋している多官能性金属キレートは、多官能性化合物として架橋機能を有するとともに、ガラスとの化学結合を生じることができ、ガラスとある程度の接着性が得られるため加湿耐久性試験での耐久性がよく、粘着層と液晶パネル最表面のガラスとの界面の端部での剥がれを抑えられる。
【0010】
しかも本発明の粘着層は、飽和吸水率が0.35重量%以上2.5重量%以下の範囲に調整されているため、加熱および加湿等のいずれの条件下における耐久性試験においても粘着層/パネルガラス界面の端部の剥がれを抑制することができ、特に耐久性が良好なものである。
【0011】
粘着層の飽和吸水率が0.35重量%未満では、粘着型光学フィルムをパネルに貼り合わせた状態における加湿条件下において水が粘着層とガラスの界面に浸入し易くなり、パネルに対する光学フィルムの接着力が低下して、光学フィルムの粘着層とガラスの界面で端部に剥れ等の不具合が生じ易くなる。かかる加湿耐久性の観点から飽和吸水率は0.5重量%以上であるのが好ましい。
【0012】
また粘着層の飽和吸水率が2.5重量%を超えると、粘着層中に存在する水分量が多くなり、加熱条件下においてその水分が蒸発し発泡が生じ易くなり、粘着型光学フィルムをパネルに貼り合わせた状態で、光学フィルムの粘着層とガラスの界面で端部に剥れ等の不具合が生じ易くなる。かかる加熱耐久性の点から飽和吸水率は2重量%以下であるのが好ましい。
【0013】
前記粘着型光学フィルムにおいて、多官能性金属キレートが、多官能性アルミニウムキレートであることが好ましい。特に、多官能性金属キレートが、アルミニウムトリスアセチルアセトネートであることが好ましい。かかる多官能性金属キレートは高い架橋構造を形成し、また耐久性のうえでも好ましい。
【0014】
さらに本発明は、前記粘着型光学フィルムを用いた液晶表示装置、に関する。本発明の粘着型光学フィルムは、液晶パネル最表面のガラス基板に貼り合わせて用いられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の粘着型光学フィルムの粘着層を形成する粘着剤は、カルボキシル基を有するアクリル系ポリマーをベースポリマーとする。カルボキシル基を有するアクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとし、これにカルボキシル基含有のモノマーを共重合させることにより得られる。また、アクリル系ポリマー中の官能基を利用した高分子反応によって、アクリル系ポリマー中にカルボキシル基を導入することもできる。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
【0016】
アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の平均炭素数は1〜12程度のものであり、アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を例示でき、これらは単独または組合せて使用できる。
【0017】
カルボキシル基を有するモノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等があげられる。
【0018】
その他、アクリル系ポリマーには、粘着剤の性能を損なわない範囲で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を含有モノマー等の官能基を有するモノマー、さらには酢酸ビニル、スチレン等を用いることもできる。
【0019】
アクリル系ポリマー中の前記カルボキシル基を有するモノマーユニット(a)の割合は特に制限されないが、アクリル系ポリマーを構成するモノマーユニット(A)(但し、前記モノマーユニット(a)を除く)との重量比(a/A)で、1. 0×10-4〜0.12程度となるように調整するのが、耐久性の点で好ましい。特に、0.001〜0.1とするのが好ましい。
【0020】
アクリル系ポリマーの平均分子量は特に制限されないが、重量平均分子量は、30万〜250万程度であるのが好ましい。
【0021】
前記アクリル系ポリマーの製造は、各種公知の方法により製造でき、たとえば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等のラジカル重合法を適宜選択できる。ラジカル重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系の各種公知のものを使用でき、反応温度は通常50〜85℃程度、反応時間は1〜8時間程度とされる。また、前記製造法のなかでも溶液重合法が好ましく、アクリル系ポリマーの溶媒としては一般に酢酸エチル、トルエン等の極性溶剤が用いられる。溶液濃度は通常20〜80重量%程度とされる。
【0022】
多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等があげられる。これらのなかでも、Al、Zr、Tiが好ましい。特にAlが着色がなく透明性がよい点で好ましい。また、共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等があげられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等があげられる。特に、安定で取り扱いが容易なアルミニウムトリスアセチルアセトネートなどが好適に用いられる。これら多官能性金属キレートは、粘着層において、アクリル系ポリマーと架橋している。
【0023】
アクリル系ポリマーと多官能性金属キレートの配合割合は特に制限されないが、多官能性金属キレートの使用が多くなると、過剰に含まれる多官能性金属キレートにより、耐久性で不具合が生じるおそれがあるため、アクリル系ポリマー (固形分)100重量部に対して、多官能性金属キレート(固形分)は2重量部程度以下、さらには1.5重量部程度以下とするのが好適である。一方、粘着層の前記不溶解を前記範囲になるような架橋度とし接着性が重くならないようにするには、多官能性金属キレート(固形分)の前記配合割合は0.005重量部程度以上、さらには0.1重量部程度以上とするのが好適である。
【0024】
さらには、前記粘着剤組成物には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を、また本発明の目的を逸脱しない範囲で各種の添加剤、架橋剤を適宜に使用することもできる。
【0025】
本発明の粘着型光学フィルムは、図1に示すように、光学フィルム1に前記粘着剤組成物による粘着層2が設けられている。また、前記粘着層2には離型シート3を設けることができる。
【0026】
光学フィルム1としては液晶表示装置等の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。たとえば、光学フィルムとしては偏光フィルム、の他に楕円偏光フィルム、光学補償機能を有する偏光フィルム、視角拡大機能を有する偏光フィルム、輝度向上機能を有する偏光フィルムなどが挙げられる。これらは偏光フィルムに位相差フィルム、光学補償フィルム、輝度向上フィルムまたは防眩シート等が積層されている。
【0027】
偏光フィルムを構成する偏光子としては、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン系配向フィルム等があげられる。偏光子の厚さも特に制限されないが、5〜80μm程度が一般的である。
【0028】
前記偏光子の片面または両面には、透明保護層を耐水性等の目的で、ポリマーによる塗布層として、またはフィルムのラミネート層等として設ることができる。透明保護層を形成する、透明ポリマーまたはフィルム材料としては、適宜な透明材料を用いうるが、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮断性などに優れるものが好ましく用いられる。透明保護層の厚さは特に制限されないが、10〜300μm程度が一般的である。
【0029】
前記透明保護層を形成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、二酢酸セルロースや三酢酸セルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護層を形成するポリマーの例としてあげられる。
【0030】
位相差フィルムとしては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーフィルムなどがあげられる。位相差フィルムの厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。位相差板は、二層以上の延伸フィルムの重畳体などとして形成して位相差等の光学特性を制御したものとして形成することもでき、着色防止や視角範囲の拡大等を目的に液晶セルの位相差を補償するためなどに偏光フィルムと積層してなる楕円偏光フィルムとして用いることもできる。
【0031】
高分子素材としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
【0032】
液晶性ポリマーとしては、たとえば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどがあげられる。主鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これら液晶性ポリマーは、たとえば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化珪素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
【0033】
前記偏光フィルム、位相差フィルムは積層して用いることもでき反射型偏光フィルム、半透過層型偏光フィルム、偏光分離偏光フィルム等とすることができる。また、前記例示の光学フィルムは、光学補償フィルム、その他の各種視野角拡大フィルムとして使用することもでき、さらには光学フィルムとしては、輝度向上フィルム等があげられる。また偏光フィルムは、表面上に微細凹凸構造の反射層を設けて防眩シートとすることもできる。
【0034】
粘着層2の形成は、液晶パネルのガラス基板に貼着する光学フィルム1の片面に行う。形成方法としては、特に制限されず、光学フィルム1に粘着剤組成物(溶液)を塗布し乾燥する方法、粘着層2を設けた離型シート3により転写する方法等があげられる。粘着層2(乾燥膜厚)の厚さは、特に限定されないが、10〜40μm程度とするのが好ましい。
【0035】
離型シート3の構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム等があげられる。離型シート3の表面には、粘着剤層2からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理な剥離処理が施されていても良い。
【0036】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中、部および%は重量基準である。
【0037】
実施例1
(粘着剤の調製)
ブチルアクリレート100部、アクリル酸0.7部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部および酢酸エチル250部を攪拌しながら60℃近傍で6時間反応を行い、重量平均分子量120万のアクリル系ポリマー溶液を得た。上記アクリル系ポリマー溶液に6官能性金属キレートである川研ファインケミカル製アルミキレートAをポリマー固形分100部に対して1.2部加え、粘着剤溶液を調製した。
【0038】
(粘着型光学フィルムの作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で5倍に延伸したのち乾燥させ,両側にトリアセチルセルロースフィルムを接着剤を介して接着し、偏光フィルムを得た。上記により作製された粘着剤溶液を、35μmの厚みを有する離型紙上に乾燥後の厚みが25μmとなるよう塗布、乾燥して粘着剤バルクを得た。これを上記により作製された偏光フィルムにラミネートし粘着型偏光フィルムを得た。
【0039】
比較例1
ブチルアクリレート100部、アクリル酸0.01部、アゾビスイソブチロニトリル0 .3部および酢酸エチル250部を攪拌しながら60℃近傍で6 時間反応を行い、重量平均分子量130万のアクリル系ポリマー溶液を得た。上記アクリル系ポリマー溶液に6官能性金属キレートである川研ファインケミカル製アルミキレートAをポリマー固形分100部に対して0.05部加えて粘着剤溶液を調製した。また、実施例1と同様にして粘着剤溶液を用いて粘着剤バルク、粘着型偏光フィルムを作製した。
【0040】
比較例2
ブチルアクリレート100部、アクリル酸20部、アゾビスイソブチロニトリル0 .3部および酢酸エチル250部を攪拌しながら60℃近傍で6 時間反応を行い、重量平均分子量145万のアクリル系ポリマー溶液を得た。上記アクリル系ポリマー溶液に6官能性金属キレートである川研ファインケミカル製アルミキレートAをポリマー固形分100部に対して5部加えて粘着剤溶液を調製した。また、実施例1と同様にして粘着剤溶液を用いて粘着剤バルク、粘着型偏光フィルムを作製した。
【0041】
比較例3
ブチルアクリレート100部、アクリル酸0.7部、アゾビスイソブチロニトリル0 .3部および酢酸エチル250部を攪拌しながら60℃近傍で6 時間反応を行い、重量平均分子量120万のアクリル系ポリマー溶液を得た。上記アクリル系ポリマー溶液に3官能性イソシアネート架橋剤である日本ポリウレタン社製コロネートLをポリマー固形分100部に対して0.8部加えて粘着剤溶液を調製した。また、実施例1と同様にして粘着剤溶液を用いて粘着剤バルク、粘着型偏光フィルムを作製した。
【0042】
上記実施例および比較例で得られた粘着剤バルク、粘着型偏光フィルムについて以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0043】
(粘着層の飽和吸水率の測定)
実施例および比較例で作製された粘着剤バルクを約1.0g採取し、その重量(x)を精秤した。この粘着剤バルクを75℃/95%RHの雰囲気下に3日放置した後にその重量(y)を精秤した。この両者の重量より下記式、
飽和吸水率(重量%)={(y−x)/x}×100、により粘着層の飽和吸水率を算出した。
【0044】
(加湿耐久性試験、加熱耐久性試験)
実施例および比較例で作製された粘着型偏光フィルムを200mm×150mmの大きさにカットした後、コ−ニング製無アルカリガラス板#1737上に貼り合わせ、50℃×0.5MPaの雰囲気下に15分間放置した。このサンプルを100枚作製し、50枚を60℃/95%RHの雰囲気下に5時間放置した場合(加湿耐久性試験)に剥れ等の不具合が発生していないかどうかを確認した。また残りの50枚を90℃の雰囲気下に16時間放置した場合(加熱耐久性試験)に発泡等の不具合が発生していないかどうかを確認した。それぞれの試験結果を、試験に供した枚数(分母)に対する、不具合が発生していない枚数(分子)で示す。
【0045】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着型光学フィルムの断面図である。
【符号の説明】
1 光学フィルム
2 粘着層
3 離型シート
Claims (4)
- 光学フィルムの一方の面に光学フィルムを液晶パネルのガラス基板に貼着するための粘着層が積層されている粘着型光学フィルムにおいて、前記粘着層がカルボキシル基を有するアクリル系ポリマーの多官能性金属キレートによる架橋物により形成されており(但し、前記粘着層は2級または3級アミン化合物を含まず、前記カルボキシル基を有するアクリル系ポリマー100重量部(固形分)に対して、3官能以上のイソシアネート化合物1重量部以上を配合する場合を除く)、かつ飽和吸水率が0.35重量%以上2.5重量%以下であることを特徴とする粘着型光学フィルム。
- 前記多官能性金属キレートが、多官能性アルミニウムキレートであることを特徴とする請求項1記載の粘着型光学フィルム。
- 前記カルボキシル基を有するアクリル系ポリマー(固形分)100重量部に対する、前記多官能性金属キレート(固形分)の配合割合が、1.2重量部以上2重量部以下であることを特徴とする請求項1または2記載の粘着型光学フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の粘着型光学フィルムを用いた液晶表示装置。
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