JP4762424B2 - 活性炭、その製造方法及び該活性炭を用いた電気二重層キャパシタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電気二重層キャパシタ(電気二重層コンデンサともいう)として有用な活性炭に関する。更に詳しくは高電気容量で高耐久性のキャパシタ用電極材料として好適に使用できる活性炭、その製造方法及びその活性炭を用いた電気二重層キャパシタ用電極(分極性電極)、その電極を有する電気二重層キャパシタに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気二重層キャパシタは急速充放電が可能、過充放電に強い、化学反応を伴わないために長寿命、広い温度範囲で使用可能、重金属を含まないため環境に優しいなどのバッテリーにはない特性を有しており、従来よりメモリーバックアップ電源等に使用されている。さらに近年では、大容量化開発が急激に進み、高性能エネルギーデバイスへの用途開発が進められ、太陽電池や燃料電池と組み合わせた電力貯蔵システム、ハイブリットカーのエンジンアシスト等への活用も検討されている。
【0003】
電気二重層キャパシタは、活性炭等から作られた1対の正極と負極の分極性電極を、電解質イオンを含む、溶液中でセパレータを介して対向させた構造からなっている。電極に直流電圧を印加すると正(+)側に分極した電極には溶液中の陰イオンが、負(−)側に分極した電極には溶液中の陽イオンが引き寄せられ、これにより電極と溶液との界面に形成された電気二重層を電気エネルギーとして利用するものである。
【0004】
従来の電気二重層キャパシタはパワー密度に優れている反面、エネルギー密度が劣っているという欠点があり、エネルギーデバイス用途への活用に際しては、更なる大容量化開発が必要である。電気二重層キャパシタの容量を大きくするには溶液の間で多くの電気二重層を形成する電極材料の開発が不可欠である。活性炭を用いた電極では活性炭の微細構造がキャパシタの電気容量を大きく左右することが知られている。
【0005】
従来、活性炭の比表面積を増加させることで電極に引き寄せられる電解質イオンの量を増加させ、これにより静電容量を向上させる試みがなされてきた。キャパシタの電気容量は電極の体積当たりの電気容量(容積密度)で評価されるが、活性炭の比表面積(m2/g)が増大すると、それに伴って質量当たりの電気容量(質量密度)は増加するが、活性炭の細孔容積が増大するので嵩密度(g/ml)も低下する。電気容積密度は電気質量密度と活性炭の嵩密度との積で表されるから、比表面積が増加しても必ずしも容積密度は増加しない。比表面積があまり大きいと活性炭の密度低下がそれ以上に大きく影響し、結果として前記の積の減少、即ち容積密度の低下を招く(表面技術Vol.45、 No.6、39〜45頁、 1994)。
【0006】
そこで、電気容量への寄与の大きい10〜30オングストローム(Å)の領域の細孔が占める比表面積を全表面積の5%以上20%以下とすることで、活性炭の嵩密度の低下を抑え、電極体積当たりの電気容量(F/ml)の高い活性炭を製造することが提案されている(特開平11−307406号公報)。
【0007】
また、易黒鉛化有機物を熱処理することで比表面積が小さくても電気容量が高くなるような結晶構造の活性炭を製造することが提案されている(特開平11−317333号公報)。
【0008】
しかしながら、これらの例はまた欠点もあり、満足すべきものではなかった。即ち、特開平11−307406号の方法は細孔分布を前記のようにするために触媒を添加しているが、触媒を均一な状態に分散させることは困難であり、製造された活性炭の細孔分布にバラツキを生じ易いという欠点がある。また特開平11−317333号の方法は易黒鉛化有機物を熱処理する場合、黒鉛化温度以下で熱処理を行えば、好適な結晶構造の活性炭が得られる反面、この活性炭は電圧印加時に膨張するため、該特許公報に記載されているように膨張を抑えるために、寸法制限構造体が必要となり、キャパシタの組立操作に大きな問題点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
電極の体積当たりの電気容量(容積密度)、つまり静電容量は活性炭の比表面積や結晶性等の構造にも大きく左右される。しかしこれらの特性を最良にしても、それだけでは限界がある。
本発明は活性炭の比表面積等のみでなく、活性炭の表面積当たりの電気容量を大きくして電極の体積当たりの電気容量をさらに大きくし、また、耐久性にも優れた活性炭を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するためになされたもので以下の構成からなる。
(1)X線回折法により求められるd002が3.86オングストローム以上、BET法による比表面積が700〜2400m2/g、酸素原子/炭素原子の比が0.01〜0.10の範囲にあることを特徴とする活性炭。
(2) 活性炭が、石炭系コークスを原料として製造されたものである上記(1)に記載の活性炭。
(3) 石炭系コークスが、石炭系ピッチを500〜900℃で熱処理したものである上記(2)に記載の活性炭。
(4) 電気二重層キャパシタ用電極材料である上記(1)〜(3)に記載の活性炭。
(5) 石炭系ピッチを500〜900℃で熱処理した炭素材料を賦活することを特徴とする活性炭の製造方法。
(6) ラマンスペクトルにおけるDバンド(1360cm-1)に2個以上のショルダーピークを有し、Gバンド(1580cm-1)のピーク高さに対するDバンドのピーク高さの比が0.6以下である炭素材料を賦活することを特徴とする活性炭の製造方法。
(7) 炭素材料が、石炭系コークスである上記(6)に記載の活性炭の製造方法。
(8) 石炭系コークスが、石炭系ピッチを500〜900℃で熱処理したものである上記(7)に記載の活性炭の製造方法。
(9) 活性炭が、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の活性炭である上記(5)〜(8)のいずれかに記載の活性炭の製造方法。
(10) 賦活が苛性アルカリによるものである上記(5)〜(9)のいずれかに記載の活性炭の製造方法。
(11) 苛性アルカリが水酸化カリウムと水酸化ナトリウムの混合物である上記(10)に記載の活性炭の製造方法。
(12) 水酸化カリウムと水酸化ナトリウムの混合物は、水酸化カリウム100質量部に対し、水酸化ナトウム10〜50質量部の範囲であることを特徴とする上記(11)に記載の活性炭の製造方法
(13) 賦活温度が600〜900℃である上記(5)〜(12)のいずれかに記載の活性炭の製造方法。
(14) 活性炭、導電剤および結合剤を含む電気二重層キャパシタ用電極において、上記(4)に記載の活性炭を用いた電気二重層キャパシタ用電極。
(15) 電解液中に電極が浸されてなる電気二重層キャパシタにおいて、上記(14)に記載の電極を有する電気二重層キャパシタ。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の活性炭の比表面積は700〜2400m2/gである。比表面積が小さくなると、それを電極に使用したキャパシタの電気容量は低下する。また比表面積は大き過ぎても前記したように電極の体積当たりの電気容量(容積密度)が低下する。容積密度を最も大きくするには活性炭の比表面積はBET法(窒素ガス吸着法)で求めた値で700〜2400m2/gが適する。
【0012】
炭素材は一般に結晶化が進むと比表面積が低下し、また化学的な活性も悪くなる。結晶化の程度は通常粉末X線回折法により求められるd002(炭素の層面間隔)の値で評価される。この値が小さいほど結晶化が進んでいることを示す。キャパシタに使用する活性炭としては電気容量を大きくするためには結晶化は低いものの方がよく、d002の値で表すと3.86Å以上であることが好ましい。
【0013】
本発明の活性炭は酸素原子/炭素原子の比(O/C)が0.01〜0.10である。活性炭の表面にはフェノール性水酸基、カルボキシル基等の含酸素官能基が存在することが知られている(炭素材料学会編、新炭素材料 P.69)。しかし電気二重層キャパシタに使用される活性炭として、この官能基に着目したものは従来見当たらない。
【0014】
活性炭の比表面積や結晶構造だけではキャパシタの電気容量には限界があることから、本発明では活性炭表面の化学的性質について研究した結果、活性炭の酸素含有量を測定し、同じ比表面積同士の活性炭を比較したところ、O/C原子比が上記の範囲にある活性炭が電気容量が高く、かつ耐久性も良好であることが見出された。この酸素は上記の文献に記載のように大部分活性炭の表面に官能基として存在していると考えられる。したがって、活性炭の酸素含有量を測定することによって、活性炭表面の官能基の量を表すことができる。この官能基の存在により活性炭表面に引き寄せられるイオンの量が増加し、比表面積当たりのキャパシタの電気容量が増加すると推測される。官能基の量は活性炭中のO/C原子比で表して、0.01未満では電気容量の増加に寄与する程度が低く、また多すぎるとキャパシタの充放電に伴って活性炭表面の官能基がCO2等のガスとなって離脱して電解液を変質してしまい、キャパシタの耐久性を著しく低下させる。そのためO/C原子比は0.01〜0.10の範囲が適し、好ましくは0.01から0.07,さらに好ましくは0.02〜0.05である。O/C原子比は酸素原子および炭素原子を元素分析し、求めることができる。
【0015】
本発明の活性炭は上記の要件を備えたものであり、これによって電気二重層キャパシタに好適に使用できるが、さらにこの活性炭はやし殻、有機樹脂、石炭系コークスなどを原料として使用できるが、石炭系コークスを原料として製造されたものが好ましく、特に石炭系ピッチを比較的低温で熱処理(焼成、炭化など)した石炭系コークスから製造されたものであることが一層好ましい。その好ましい温度範囲は500〜900℃、さらに好ましくは、600〜800℃である。その理由は明らかではないが、石炭系ピッチは種々の芳香族化合物等の様々な分子構造の化合物が混在しており、これを炭化、賦活した活性炭はこの化合物に由来して、種々の複雑な微結晶構造等を形成し、イオンを引き寄せる作用をする点の多い状態が生じているとも考えられる。そしてこの活性炭は結晶性は低く、d002の値は3.86Å以上である。
【0016】
次に本発明の活性炭の製造方法について説明する。
本発明の活性炭の製造方法において、原料としての炭素材料は上記したように石炭系コークスが好ましく、なかでも石炭系ピッチを比較的低温(500〜900℃)で炭化した石炭系コークスが一層好ましい。この温度で熱処理したものには未だかなり揮発分が含まれ、いわゆる生コークスの状態のものもあるが、本発明ではこれらを含めてコークスと呼ぶ。
石炭系コークスは種々の複雑な微結晶構造等が形成されていると考えられるが、その構造解析のためラマンスペクトルを測定し、その解析を行った。
【0017】
ラマンスペクトルの測定は炭素材料の解析法の一つであることは従来から知られている。一般に炭素材料のラマンスペクトルは1580cm-1近傍のGバンドと1360cm-1近傍のDバンドのピークが現れる。炭素材料が結晶相とアモルファス相とからなる場合、それぞれの相にGバンドとDバンドがある。そして結晶相のGバンド、Dバンドはアモルファス相のGバンド、Dバンドよりラマンスペクトルのピーク幅が狭い。ラマンスペクトルの測定波形はこれらのバンドが合成されたものとして現れる。この測定波形はローレンツ関数またはガウス関数を用いて各波形に分離することができ、それによって、炭素材料の構造解析、例えば結晶相とアモルファス相の割合等を知ることができる。
【0018】
石炭系コークスについて、ラマンスペクトルを測定し、その波形を分離すると1360cm-1近傍のDバンドにショルダーピークと称するピークが2個以上現れることがわかった。さらに測定波形のGバンドのピーク高さに対するDバンドのピーク高さの比(D/Gのピークの高さ比)は0.6以下であることも判明した。石油コークスやフェノール樹脂;リグニンスルホン酸塩の炭化物等はD/Gのピークの高さ比は0.6より大きい。
【0019】
次に図を用いてラマンスペクトルのショルダーピーク等について具体的に説明する。
図1は本発明の実施例1の石炭系コークスのラマンスペクトルとその解析図である。図において波形1はラマンスペクトルの実測波形で1580cm-1近傍にGバンド、1360cm-1近傍にDバンドが現れている。図1の波形2はカーブフィッテング曲線である。波形3〜7は実測波形を左右対称のガウス関数を使用し、実測波形とカーブフィッテング曲線との誤差が極力小さくなるように調整して分離したものである。カーブフィッテング曲線はこのようにして分離した波形を合成したものである。
図1において、波形3がDバンドのピーク曲線で、波形4、波形5、波形6がDバンドのショルダーピーク曲線である。波形7はGバンドとDバンドの両者に係わるショルダーピークと思われる。
Gバンド、Dバンドのピーク高さは実測曲線1におけるベースラインからピーク点までの高さとして求められる。このD /Gピーク高さの比は測定条件等によっては殆ど変わらない。
【0020】
上記の石炭系コークスがDバンドにショルダーピークを2個以上有することから、このコークスは種々の微結晶構造のものが混在し、それが活性炭の原料として好ましいものと考えられる。また種々の実験結果から活性炭の原料としての炭素材料はラマンスペクトルのD /Gピーク高さの比が0.6以下のものが良好であることが判明したが、その理由については明らかでない。
本発明において活性炭の原料としての炭素材料は、一つは石炭系コークスであるが、Dバンドのショルダーピーク数、D /Gピーク高さの比が上記の範囲にあるものならば石炭系コークス以外でも使用可能である。例えば有機物を2種以上混合し、それを炭化してDバンドのショルダーピーク数を2以上、D /Gピーク高さの比が0.6以下の炭素材料を用いることができる。
【0021】
炭素材料の賦活方法は、活性炭が本発明の前記要件を備えているものであれば特に制限なく、水蒸気や炭酸ガスを用いたガス賦活、苛性アルカリ、塩化亜鉛等を用いた薬品賦活などいずれも採用可能であるが、本発明においては苛性アルカリ、なかでも苛性カリ(KOH)と苛性ソーダ(NaOH)の混合物が好ましい。苛性アルカリ混合物を用いることでキャパシタの電気容量をより高めることができ、それは活性炭の細孔分布を良好にしているためと考えられる。また苛性アルカリの混合物は活性炭の細孔の大きさ及びO/C原子比を調節するうえでも望ましい。苛性カリと苛性ソーダの混合比は、活性炭の仕様に応じて適正な値を選ぶことができるが、一般的には苛性カリ100質量部に対し苛性ソーダ10〜50質量部の範囲が適する。この範囲において苛性ソーダを多くするにしたがって活性炭の比較的大きい細孔である直径20〜40Åの細孔の比率を増加させることができる。さらに、50Å以上の大きい細孔の比率は増加させない。比較的大きい細孔を持つ活性炭を使用した電極は低温特性に優れるので、これを重視した場合には苛性ソーダの混合量を多くして賦活するとよい。またO/C原子比については、苛性カリはO/C原子比を高くする作用が苛性ソーダより強いので、本発明の活性炭においてO/C原子比を低い側に移行させ、電極材料として耐久性を重視する場合にも苛性ソーダの混合比を高めるとよい。しかし、苛性カリ100質量部に対し、苛性ソーダが50質量部を越えると賦活された活性炭の比表面積が小さくなり電気容量が低下してしまう。
【0022】
賦活温度は、一般的な電気二重層キャパシタの電極に用いる活性炭としては600℃〜900℃の温度が適し、好ましくは750℃〜800℃である。特に電極として耐久性を重視する場合には800℃〜900℃、初期電気容量を重視する場合には600℃〜700℃とするのがよい。
【0023】
上記した方法によって活性炭の比表面積を700〜2400m2/g、O/C原子比を0.01〜0.10とすることができる。なお、O/C原子比については、賦活して活性炭とした後、不活性ガス(例えば窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス)中で700〜800℃程度に熱処理することによって、O/C原子比を低い側に調整することができる。これによって賦活後にO/C原子比が0.10を越えるものでも熱処理によって0.10以下にすることができる。
本発明の活性炭から電極及び電気二重層キャパシタを公知の方法にしたがって製造することができる。即ち、電極は活性炭に導電剤および結合剤を加えて混練圧延する方法、活性炭に導電剤、結合剤、必要に応じて溶媒を加えてスラリー状にして導電材に塗布する方法、活性炭に未炭化樹脂類を混合して焼結する方法、等の方法で作製される。例えば平均粒径5〜100μm程度の活性炭の粉末に、必要により導電剤としてカーボンブラック等を加え、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン等の結合剤を加え、厚さ0.1〜0.5mm程度のシートに成形し、100〜200℃程度の温度で真空乾燥する。このシートを所定の形状に打ち抜き電極とする。この電極に集電材である金属板を積層し、セパレータを介し、金属板を外側にして2枚重ね、電解液に浸して電気二重層キャパシタとする。
電気二重層キャパシタの電解液としては公知の非水溶媒電解質溶液、水溶性電解質溶液のいずれにも使用可能である。
【0024】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
本実施例における各特性の測定方法は以下の通りである。
(d002の測定)
CuKα線を用い、粉末X線回折スペクトルからd002を求めた。なおd002の算出にあたっては内部標準物質としてSiを使用し、Si(111)面の回折ピークを用いて補正した。
(ラマンスペクトルの測定)
励起光としてArレーザー514.5nm、検出器としてCCD(Charge Coupled Device)を使用し、スリット500μm、露光60秒で活性炭の原料としての炭素材料のラマンスペクトルを測定した。この測定波形を左右対称のガウス関数により波形分離すると共にカーブフィッテングを行った。波形分離に際してはラマンスペクトルの実測曲線とその分離波形を合成したカーブフィテング曲線ができるだけ合うように調整した。それには例えば両者の差を残差二乗和で表して、この値が3.0以下となるようにする。なお、残差二乗和はピーク強度(Int.)の数値の取り方によって変わるので、ここでは縦軸のGバンドのピークの強度(Int.)を100として、残差二乗和を求める。
【0025】
(酸素及び炭素含有量の測定)
炭素材料を200℃で10時間真空乾燥したものを測定に使用し、LECO社製CHNS−932により炭素含有量(質量%)、同社製VT−900により酸素含有量を測定した。一つの炭素材料について5個サンプリングし、それぞれ測定し、その平均値を用いた。その炭素、酸素の質量%より酸素/炭素の原子比(O/C)を算出する。
(電極の作製)
平均粒径30μmの活性炭80質量部にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)10質量部、カーボンブラック10質量部を添加し、混練して厚さ0.5mmのシート状に圧延した。このシートを直径13mmの円板に打抜き、200℃で一昼夜真空乾燥して分極性電極として使用した。
【0026】
(電気二重層キャパシタの組立)
前記の電極を、高純度アルゴンを循環させているグローブボックス内において、図5のようなセルを組立て、評価用に使用した。図5において、8はアルミニウム製の上蓋、9はフッ素ゴム製Oリング、10はアルミニウムからなる集電体、11はテフロンからなる絶縁材、12はアルミニウム製容器、13はアルミニウム製板バネ、14は分極性電極、15はガラス繊維からなる厚さ1mmのセパレータである。電解液にはPC(プロピレンカーボネート)を溶媒とし、(C2H5)4NBF4を電解質とする富山薬品工業(株)製の商品名LIPASTE−P/EAFIN(1モル/リットル)を使用した。
充放電測定は北斗電工(株)製充放電試験装置HJ−101SM6を使用し、1.59mA/cm2の電流密度で0〜2.5Vで充放電を行い、2回目の定電流放電によって得られた放電曲線から、電気二重層キャパシタの両極活性炭の質量あたりの静電容量(F/g)と体積あたりの静電容量(F/ml)を算出した。
また耐久性は20回の充放電サイクル試験による電気容量の容量保持率(サイクル試験後の電気容量/2回目の充放電後の電気容量)により評価した。
【0027】
(実施例1)
川崎製鉄(株)製石炭系ピッチを窒素雰囲気中、500℃で熱処理し、粒径10〜100μmになるように粉砕して活性炭原料の炭素材料として使用した。そのラマンスペクトル曲線を図1に示す。図1の実測曲線とカーブフィテング曲線との誤差を表す残差二乗和は2.82であった。
この炭素材料に対して質量比で2.5倍量のKOHを混合し、ルツボに充填した。これを窒素気流中で750℃まで3℃/分で昇温した後、750℃で30分保持して賦活し、窒素気流中で冷却した。
賦活した炭素材料は1N塩酸で洗浄した後、蒸留水で洗浄し、残留KOH及び金属不純物を除去した。これを200℃で真空乾燥し、電極材料としての活性炭とした。この活性炭の細孔分布(DFT法)を図4に示す。細孔径20〜40Åの範囲においては、径20〜23Åの細孔分布しか見られない。
【0028】
(実施例2)
実施例1のKOHに代えて、炭素材料に対し、質量比で1.25倍量のKOHと0.9倍量のNaOHを使用した以外は実施例1と同様にして活性炭を製造し、電極材料とした。この活性炭の細孔分布(DFT法)を図4に示す。細孔径20〜40Åの範囲においては、それぞれの分布が見られ、それらの細孔容積が0.002〜0.02ml/gであった。
【0029】
(実施例3)
川崎製鉄(株)製石炭系ピッチを窒素気流中で700℃で熱処理した炭素材料を用いた以外は実施例2と同様にして活性炭を製造し、電極材料とした。
【0030】
(実施例4)
この例は参考例として示す。
川崎製鉄(株)製石炭系ピッチを窒素気流中800℃で熱処理した炭素材料を用いた外は実施例2と同様にして活性炭を製造し、電極材料とした。
【0031】
(比較例1)
活性炭の炭素材料として三鉱エンジニアリング(株)製、石油コークス(商品名MC)を用いた以外は実施例2と同様にして活性炭を製造し、電極材料とした。この石油コークスのラマンスペクトル曲線を図2に示す。
【0032】
(比較例2)
実施例1の石炭系ピッチを1200℃位で熱処理した石炭系コークスを炭素材料として用いた以外は実施例2と同様にして活性炭を製造し、電極材料とした。
【0033】
(比較例3)
炭素材料として、リグニンスルホン酸塩を700℃で熱処理したものを使用した以外は実施例2と同様にして、活性炭を製造し電極材料とした。炭素材料のラマンスペクトル曲線を図3に示す。
【0034】
以上の実施例、比較例の活性炭を用いて前記した方法により電極及び電気二重層キャパシタを製造した。活性炭の原料である炭素材料、電極及び電気二重層キャパシタの特性を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明の活性炭は電気二重層キャパシタの電極材料として好適であり、その電極を用いた電気二重層キャパシタは、キャパシタとして重要な特性である電極の体積当りの電気容量が高く、また耐久性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で使用した石炭系コークスのラマンスペクトル曲線である。
【図2】比較例2の石油コークスのラマンスペクトル曲線である。
【図3】比較例3のリグニンスルホン酸塩を700℃で熱処理したもののラマンスペクトル曲線である。
【図4】実施例1及び2の活性炭の細孔分布図である。
【図5】電気二重層キャパシタの断面図である。
【符号の説明】
1 ラマンスペクトルの実測曲線
2 カーブフィテング曲線
3、4、5、6、7 ラマンスペクトルの分離波形曲線
8 上蓋
9 Oリング
10 集電体
11 絶縁体
12 容器
13 板ばね
14 電極
15 セパレーター
Claims (11)
- X線回折法により求められるd002が3.86オングストローム以上、BET法による比表面積が1605〜1905m2/g、酸素原子/炭素原子の比が0.01〜0.10の範囲にあることを特徴とする活性炭。
- 石炭系ピッチを500〜900℃で熱処理したものを原料として用いる請求項1に記載の活性炭。
- 電気二重層キャパシタ用電極材料である請求項1または2に記載の活性炭。
- 石炭系ピッチを500〜900℃で熱処理した石炭系コークスを賦活することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性炭の製造方法。
- 石炭系コークスが、ラマンスペクトルにおけるDバンド(1360cm-1)に2個以上のショルダーピークを有し、Gバンド(1580cm-1)のピーク高さに対するDバンドのピーク高さの比が0.6以下であることを特徴とする請求項4に記載の活性炭の製造方法。
- 賦活が苛性アルカリによるものである請求項4または5に記載の活性炭の製造方法。
- 苛性アルカリが水酸化カリウムと水酸化ナトリウムの混合物である請求項6に記載の活性炭の製造方法。
- 水酸化カリウムと水酸化ナトリウムの混合物は、水酸化カリウム100質量部に対し、水酸化ナトウム10〜50質量部の範囲であることを特徴とする請求項7に記載の活性炭の製造方法。
- 賦活温度が600〜900℃である請求項4〜8のいずれか1項に記載の活性炭の製造方法。
- 活性炭、導電剤および結合剤を含む電気二重層キャパシタ用電極において、請求項3に記載の活性炭を用いた電気二重層キャパシタ用電極。
- 電解液中に電極が浸されてなる電気二重層キャパシタにおいて、請求項10に記載の電極を有する電気二重層キャパシタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001068378A JP4762424B2 (ja) | 2001-03-12 | 2001-03-12 | 活性炭、その製造方法及び該活性炭を用いた電気二重層キャパシタ |
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