JP4755248B2 - 新規な抗生物質、ビスポライドA1、A2およびA3ならびにビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3と、それら抗生物質の製造方法 - Google Patents

新規な抗生物質、ビスポライドA1、A2およびA3ならびにビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3と、それら抗生物質の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はすぐれた抗菌活性を有する新規な抗生物質であるビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3、ならびにビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3に関する。
本明細書では、ビスポライドA1、A2およびA3は、一括してビスポライドA類(a bispolide A)と称することもあり、またビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3は、一括してビスポライドB類(a bispolide B)と称することもある。
また本発明はそのビスポライドA類の製造法ならびにビスポライドB類の製造法に関する。
さらに、本発明は、前記のビスポライドA類を有効成分として含む医薬組成物、特に抗菌性組成物に関し、また本発明は、前記のビスポライドB類を有効成分として含む医薬組成物、特に抗菌性組成物に関する。
そしてまた、本発明は、ビスポライドA類とビスポライドB類を生産できる特性をもつ新規な微生物としての、ミクロビスポラ(Microbispora)sp.A34030と命名された菌株の生物学的に純粋な培養物(biologically pure culture)にも関する。
微生物の生産する種々多数の抗菌物質が知られているが、臨床の場で使用される既知の抗菌物質はわずかな種類に限られている。細菌感染症の化学療法において、ペニシリンやセファロスポリンなどのβ−ラクタム系抗生物質、カナマイシン類などのアミノグリコシド系抗生物質、エリスロマイシン類などのマクロライド系抗生物質などが使用されている。
しかし、細菌感染症の化学療法において、感染症の原因となる細菌が薬剤耐性になった耐性菌の出現と増加は、重大な保健問題を起している。特に加齢に伴い免疫低下した高齢者や慢性病をもつ人々の細菌感染症は重篤であるので、入院患者の院内感染は社会問題となっている。また、感染症の化学療法においてメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下、MRSAと略す)、バンコマイシン耐性腸球菌(以下、VREと略す)、ペニシリン耐性肺炎球菌(以下、PRSPと略す)、β−ラクタマーゼ非生産アンピシリン耐性インフルエンザ菌(以下、BLNARと略す)などの耐性グラム陽性菌に対しては、従来の抗生物質剤は必ずしも十分な抗菌力を示さない。前記の抗生物質耐性菌は院内感染の起因菌ともなり、病院管理上の大きな問題となっている。MRSAの感染症の化学療法には、カナマイシン類の誘導体であるアルベカシン、あるいはバンコマイシンが用いられているが、さらなる新しい且つ効果の高い抗生物質を発見して提供することが望まれているという課題が残っている。
上記の事情から明らかであるように、従来使用されている既知の抗生物質とは異なる、新規で特異な化学構造を有し且つ優れた抗菌効力、高い特異性、低い副作用を示す新規な抗生物質治療剤の発見または創製が強く望まれている。
本発明の一つの目的は、上記の要求条件に答え得て且つ優れた抗菌活性をもつ新規な抗生物質を提供することである。
他方、ちなみに、共役ジエン構造をヘミアセタール部分と共に有する16員環マクロラクトン(マクロビオライド類、a macrobiolideと称されることがある)は、ある種の微生物により生産されることが従来知られている。そのような既知の16員環マクロビオライドには、エライオフィリン(elaiophylin)[「マイクロビオロジー」7巻207頁、1959年、アルカモーネ;F.M.;ベルタリーツC.;ギオンM.;スコティT.G.らの論文と、欧州特許出願公開6,297,523A3号および0315,003A3号、参照]と、アザロマイシンB(azalomycin B)[「ジャーナル・オブ・アンティビオティクス」シリーズA;13巻、46頁および51頁、1960年、新井守の論文、参照]と、抗生物質225E(Antibiotic 225E)[「Farmatsiya(Sofia)」、22巻、3頁、1972年、Khlebarova,E.I.;Georgieva−Borisova,I.K.;Sheikova,G.N.;Blinov,N.O.の論文、参照]とがある。しかも他方で既知の16員環マクロラクトン類には、サルボマイシン(salbomycin)[ドイツ特許出願DE3248−280−A,1972年公開]が知られているけれども、サルボマイシンの化学構造はエライオフィリンのそれと全く同じものである。
優れた抗菌活性をもち且つその他の有用な性質をもつ新しい抗生物質を提供することが本発明の課題である。
本発明者らは上記のような有用な新規抗生物質を発見する目的で研究を行った。その結果、本発明者らによって土壌サンプルから分離されたところのミクロビスポラ属に属する新しい菌株は、一つの共通の但し新しい骨格構造を有する3個の抗生物質を生産することを先づ本発明者らが見出した。また、これら抗生物質を各々、採取することに成功した。それらの一群の抗生物質をそれぞれにビスポライドA1、ビスポライドA2、ビスポライドA3と命名し、そしてそれらを総括してビスポライドA類と称することとした。そして本発明者らはビスポライドA類が各種のグラム陽性細菌およびそれらの薬剤耐性菌に優れた抗菌活性を示すことを見出した。
すなわち、本発明者らにより前記のように土壌サンプルから分離された菌株であって、ミクロビスポラsp.A34030株と命名された菌株を培養することによると、ビスポライドA1、ビスポライドA2、ビスポライドA3とそれぞれ命名された化学構造的に新しくて抗菌活性をもつ3個の抗生物質が生産されることを、今回、本発明者らは見出したのである。しかも、ビスポライドA1、A2およびA3は各々がグラム陽性細菌とそれらの抗生物質耐性菌株とに対して優れた抗菌活性を示し得ることを本発明者らは確認した。
さらに本発明者らは研究を続けて、それぞれにビスポライドA1(bispolide A1)、ビスポライドA2(bispolide A2)およびビスポライドA3(bispolide A3)と命名された3種の抗菌物質化合物の化学構造を決定した。そして、ビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3の3種の抗生物質が新規化合物であることを確認し、それらが総括的に下記の一般式(I)により表せる1つの化学構造をもつことを知見した。
Figure 0004755248
[式中、RとRとは各々が水素原子またはメチル基(−CH)を示し、ビスポライドA1についてはRとRとが各々、水素原子であり;ビスポライドA2についてはRが水素原子でRがメチル基であり;ビスポライドA3についてはRとRとが各々、メチル基である]。
上記の一般式(I)の化学構造式から明らかなように、ビスポライドA1、A2、A3の各々は対称な二つのヒドロキシカルボン酸部分で構成される20員環マクロラクトン環をその分子中に含むものであり、それのマクロラクトン環の構成ヒドロキシカルボン酸はそのカルボニル基の所から見てα、β−位、γ、δ−位、ε、ζ−位に共役トリエン構造を有するものである。
本発明のビスポライドA類の化学構造のまた別の特色は、前記の20員環マクロラクトン環を作る2つのヒドロキシカルボン酸骨格の各々に結合している分岐部分すなわち側鎖の中に、環状ヘミアセタール構造すなわち環状ヘミアセタール領域が在ることである。
前記した既知の16員環マクロビオライド類に比べると、本発明者らにより今回見出されたビスポライドA1、ビスポライドA2、ビスポライドA3の各化合物、すなわちビスポライドA類は、そのビスポライドAの化学構造の中に、共役したトリエン構造部分をもつ今回初めて発見された20員環マクロラクトン構造または領域が含有されることを特徴とすることである。従って、前記のビスポライドA類は、従来知られた微生物代謝生成物の抗生物質と違って、全く新しい化学構造をもつものである。
さらに、本発明者らは、別段の研究を行うことを続けて、そして前記のミクロビスポラsp.A34030菌株の培養によって、ビスポライドA類とは別個の新しい4つの抗生物質が産生されることを今回、見出した。
また、本発明者らは、前記のミクロビスポラsp.A34030菌株の培養物から上記した新しい別個の4つの抗生物質を採取する研究と共に、それら新しい別個4つの抗生物質をそれらと同時産生される前記一般式(I)のビスポライドA類から別に分離し、しかもそれら新しい別個4つの抗生物質の各々を互いに単離するための研究を行った。その結果、本発明者らは、前記のビスポライドA類に追加して、新しい別個の4つの抗生物質を収得することに成功した。
こうして収得された新しい別個の4つの抗生物質をビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2b、ビスポライドB3とそれぞれ本発明者らは命名した。そして、ビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2b、ビスポライドB3は各々が優れた抗菌活性を種々なグラム陽性細菌とそれらの抗生物質耐性菌株に対してもち得ることを本発明者らは見出した。
また、本発明のさらなる研究の結果、ビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3という上記の新しい4つの抗生物質化合物は、前記ビスポライドA類と同じである一つの共通の骨格構造を含み、そして下記の一般式(II)で表される化学構造をもつことを今回、知見した。
Figure 0004755248
[式中、RとRとは各々が水素原子またはメチル基(−CH)を示し、ビスポライドB1についてはRとRとが各々、水素原子であり;ビスポライドB2aについてはRが水素原子でRがメチル基であり;ビスポライドB2bについてはRがメチル基でRが水素原子であり;ビスポライドB3についてはRとRとが各々、メチル基である]。
上記の一般式(II)の化学構造式から明らかなように、ビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3の各々は、対称な二つのヒドロキシルカルボン酸部分で構成される20員環マクロラクトン環をその分子中に含むものであり、そして該マクロラクトン環の構成ヒドロキシカルボン酸はそれのカルボニル基の所から見て、ビスポライドA類と同じ位置に同じ様式で、共役トリエン構造を有し、しかも該ヒドロキシカルボン酸骨格の各々に結合している分岐部分すなわち側鎖の中に、環状ヘミアセタール構造が在る点で、前記のビスポライドA類と同じく、全く新しい化学構造を有するものである。前記したような全く新しい特徴的な化学構造をもつ点でビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3(以下、ビスポライドB類と総称することもある)は、ビスポライドA類と同じく、従来知られた前記の16員環マクロビオライド類と明らかに相違する。
本発明者らが今回、新しく収得できたビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3(これらはビスポライドA類と総称できる)、ならびにビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3(これらはビスポライドB類と総称できる)は、後記される一つの一般式(III)により一括して表わすことのできる新規な抗生物質化合物である。
従って、本発明の第一の要旨(aspect)においては、新規で有用な抗生物質として、下記の一般式(III):
Figure 0004755248
[式中、RとRとは各々が水素原子またはメチル基を示し、Rは水素原子または水酸基を示して、ビスポライドA1についてはRとRとが各々、水素原子であって、Rが水素原子であり;ビスポライドA2についてはRが水素原子でRがメチル基であってRが水素原子であり;ビスポライドA3についてはRとRとが各々メチル基であってRが水素原子であり;ビスポライドB1についてはRとRとが各々、水素原子であってRが水酸基であり;ビスポライドB2aについてはRが水素原子でRがメチル基であってRが水酸基であり;ビスポライドB2bについてはRがメチル基でRが水素原子であってRが水酸基であり;ビスポライドB3についてはRとRとが各々、メチル基であってRが水酸基である]
で表される化合物である、ビスポライドA1、ビスポライドA2、ビスポライドA3、ビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bまたはビスポライドB3の少くとも一つである抗生物質が提供される。
第一の要旨の本発明における第一の実施態様では、前記の一般式(I)で表されるビスポライドA1、ビスポライドA2またはビスポライドA3が提供される。
ビスポライドA1は、一般式(I)でRとRとが各々、水素原子である場合の化合物であり;ビスポライドA2は、一般式(I)でRが水素原子でRがメチル基である場合の化合物であり;またビスポライドA3は、一般式(I)でRとRとが各々、メチル基である場合の化合物である。
第一の要旨の本発明における第二の実施態様では、前記の一般式(II)で表されるビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bまたはビスポライドB3が提供される。
ビスポライドB1は、一般式(II)でRとRとが各々、水素原子である場合の化合物であり;ビスポライドB2aは、一般式(II)でRが水素原子でRがメチル基である場合の化合物であり;ビスポライドB2bは、一般式(II)でRがメチル基で、Rが水素原子である場合の化合物であり;またビスポライドB3は、一般式(II)でRとRとが各々、メチル基である場合の化合物である。
前記のビスポライドA1は次式(Ia)
Figure 0004755248
で表される化合物であり、ビスポライドA1の理化学的性状は、下記の通りである。
(1)外観
無色〜白色粉末
(2)分子式
6210018
(3)質量分析(m/zFABMS:陰イオンモード)
実験値:1132.1(M)
計算値:1132.69
(4)融点
137−141℃
(5)比旋光度
[α] 23 80.0°(c0.84 メタノール中)
(6)紫外線吸収スペクトル(メタノール中)
λmax nm(ε):298(71,300)
(7)赤外線吸収スペクトル
添付図面の図1に示す。
(8)プロトン核磁気共鳴スペクトル
500MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したビスポライドA1のプロトンNMRスペクトルは、添付図面の図2に示す。
(9)炭素13核磁気共鳴スペクトル
125MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したビスポライドA1の炭素13NMRスペクトルは、添付図面の図3に示す。
(10)溶解性
メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、酢酸エチルに可溶で、50%含水エタノール(容量比1:1のエタノール−水の混合物)に僅溶であり、水、ヘキサンに不溶である。
(11)TLC
シリカゲルの薄層板上(メルク社製Art.1.07734.1000)でクロロホルム−メタノール(容量比10:1)の溶媒でビスポライドA1を展開したときのRf値は0.15である。
前記のビスポライドA2は次式(Ib)
Figure 0004755248
で表される化合物であり、ビスポライドA2の理化学的性状は、下記の通りである。
(1)外観
無色〜白色粉末
(2)分子式
6310218
(3)質量分析(m/zFABMS:陰イオンモード)
実験値:1146.1(M)
計算値:1156.71
(4)融点
140−142℃
(5)比旋光度
[α] 23 176.1°(c0.72 メタノール中)
(6)紫外線吸収スペクトル(メタノール中)
λmax nm(ε):298(90,900)
(7)赤外線吸収スペクトル
添付図面の図4に示す。
(8)プロトン核磁気共鳴スペクトル
500MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したビスポライドA2のプロトンNMRスペクトルは、添付図面の図5に示す。
(9)炭素13核磁気共鳴スペクトル
125MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したビスポライドA2の炭素13NMRスペクトルは、添付図面の図6に示す。
(10)溶解性
メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、酢酸エチルに可溶で、50%含水エタノールに僅溶であり、水、ヘキサンに不溶である。
(11)TLC
シリカゲルの薄層板上(メルク社製Art.1.07734.1000)でクロロホルムーメタノール(10:1)の溶媒でビスポライドA2を展開したときのRf値は0.23である。
前記のビスポライドA3は次式(Ic)
Figure 0004755248
で表される化合物であり、ビスポライドA3の理化学的性状は、下記の通りである。
(1)外観
無色〜白色粉末
(2)分子式
6410418
(3)質量分析(m/zFABMS:陰イオンモード)
実験値:1160.0(M)
計算値:1160.72
(4)融点
144−147℃
(5)比旋光度
[α] 25 +418.7°(c0.74 メタノール中)
(6)紫外線吸収スペクトル(メタノール中)
λmax nm(ε):298(88,300)
(7)赤外線吸収スペクトル
添付図面の図7に示す。
(8)プロトン核磁気共鳴スペクトル
500MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したビスポライドA3のプロトンNMRスペクトルは、添付図面の図8に示す。
(9)炭素13核磁気共鳴スペクトル
125MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したビスポライドA1の炭素13NMRスペクトルは、添付図面の図9に示す。
(10)溶解性
メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、酢酸エチルに可溶で、50%含水エタノールに僅溶であり、水、ヘキサンに不溶である。
(11)TLC
シリカゲルの薄層板上(メルク社製Art.1.07734.1000)でクロロホルムーメタノール(10:1)の溶媒でビスポライドA3を展開したときのRf値は0.31である。
なお、本明細書では、ビスポライドA1、ビスポライドA2またはビスポライドA3か、あるいはそれら二つまたはそれ以上の混合物、もしくは、すべての混合物を、単にビスポライドA類またはビスポライドA化合物と称することがある。
また、前記のビスポライドB1は次式(IIa)
Figure 0004755248
で表される化合物であり、ビスポライドB1の理化学的性状は、下記の通りである。
(1)外観
無色〜白色粉末
(2)分子式
6210019
(3)質量分析(m/zFABMS:陰イオンモード)
実験値:1148.9(M)
計算値:1148.69
(4)融点
119.9−121.2℃
(5)比旋光度
[α] 23 +115.0°(c0.13 メタノール中)
(6)紫外線吸収スペクトル(メタノール中)
λmax nm(ε):298(98,600)
(7)赤外線吸収スペクトル
添付図面の図10に示す。
(8)プロトン核磁気共鳴スペクトル
400MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したビスポライドB1のプロトンNMRスペクトルは、添付図面の図11に示す。
(9)炭素13核磁気共鳴スペクトル
100MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したビスポライドB1の炭素13NMRスペクトルは、添付図面の図12に示す。
(10)溶解性
メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、酢酸エチルに可溶で、50%含水エタノール(容量比1:1のエタノールー水の混合物)に僅溶であり、水、ヘキサンに不溶である。
(11)TLC
シリカゲルの薄層板上(メルク社製Art.1.07734.1000)でクロロホルムーメタノール(容量比10:1)の溶媒でビスポライドB1を展開したときのRf値は0.12である。
前記のビスポライドB2aは次式(IIb)
Figure 0004755248
で表される化合物であり、ビスポライドB2aの理化学的性状は、下記の通りである。
(1)外観
無色〜白色粉末
(2)分子式
6310219
(3)質量分析(m/zFABMS:陰イオンモード)
実験値:1162.1(M)
計算値:1162.70
(4)融点
151.5−152.5℃
(5)比旋光度
[α] 23 +103.7°(c0.15 メタノール中)
(6)紫外線吸収スペクトル(メタノール中)
λmax nm(ε):298(80,500)
(7)赤外線吸収スペクトル
添付図面の図13に示す。
(8)プロトン核磁気共鳴スペクトル
400MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したビスポライドB2aのプロトンNMRスペクトルは、添付図面の図14に示す。
(9)炭素13核磁気共鳴スペクトル
100MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したビスポライドB2aの炭素13NMRスペクトルは、添付図面の図15に示す。
(10)溶解性
メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、酢酸エチルに可溶で、50%含水エタノール(容量比1:1のエタノールー水の混合物)、水、ヘキサンに不溶である。
(11)TLC
シリカゲルの薄層板上(メルク社製Art.1.07734.1000)でクロロホルムーメタノール(容量比10:1)の溶媒でビスポライドB2aを展開したときのRf値は0.16である。
前記のビスポライドB2bは次式(IIc)
Figure 0004755248
で表される化合物であり、ビスポライドB2bの理化学的性状は、下記の通りである。
(1)外観
無色〜白色粉末
(2)分子式
6310219
(3)質量分析(m/zFABMS:陰イオンモード)
実験値:1162.1(M)
計算値:1162.70
(4)融点
156.2−160.0℃
(5)比旋光度
[α] 26 +126.3°(c0.12 メタノール中)
(6)紫外線吸収スペクトル(メタノール中)
λmax nm(ε):298(121,000)
(7)赤外線吸収スペクトル
添付図面の図16に示す。
(8)プロトン核磁気共鳴スペクトル
400MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したビスポライドB2bのプロトンNMRスペクトルは、添付図面の図17に示す。
(9)炭素13核磁気共鳴スペクトル
100MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したビスポライドB2bの炭素13NMRスペクトルは、添付図面の図18に示す。
(10)溶解性
メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、酢酸エチルに可溶で、50%含水エタノール(容量比1:1のエタノールー水の混合物)、水、ヘキサンに不溶である。
(11)TLC
シリカゲルの薄層板上(メルク社製Art.1.07734.1000)でクロロホルムーメタノール(容量比10:1)の溶媒でビスポライドB2bを展開したときのRf値は0.19である。
前記のビスポライドB3は次式(IId)
Figure 0004755248
で表される化合物であり、ビスポライドB3の理化学的性状は、下記の通りである。
(1)外観
無色〜白色粉末
(2)分子式
6410419
(3)質量分析(m/zFABMS:陰イオンモード)
実験値:1176.1(M)
計算値:1176.72
(4)融点
131.5−134.0℃
(5)比旋光度
[α] 23 +91.7°(c0.13 メタノール中)
(6)紫外線吸収スペクトル(メタノール中)
λmax nm(ε):298(89,400)
(7)赤外線吸収スペクトル
添付図面の図19に示す。
(8)プロトン核磁気共鳴スペクトル
400MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したビスポライドB3のプロトンNMRスペクトルは、添付図面の図20に示す。
(9)炭素13核磁気共鳴スペクトル
100MHzにおいて重アセトン中で室温にて測定したビスポライドB3の炭素13NMRスペクトルは、添付図面の図21に示す。
(10)溶解性
メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、酢酸エチルに可溶で、50%含水エタノール(容量比1:1のエタノールー水の混合物)、水、ヘキサンに不溶である。
(11)TLC
シリカゲルの薄層板上(メルク社製Art.1.07734.1000)でクロロホルムーメタノール(容量比10:1)の溶媒でビスポライドB3を展開したときのRf値は0.19である。
なお、本明細書では、ビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bまたはビスポライドB3か、あるいはそれら二つまたはそれ以上の混合物、もしくは、すべての混合物を、単にビスポライドB類またはビスポライドB化合物と称することがある。また、ビスポライドA類とビスポライドB類とを総合的にビスポライド類と単に称することもある。
本発明による前記の一般式(I)で表せるビスポライドA化合物と一般式(II)で表せるビスポライドB化合物とは後記の生物学的性質を有する。
すなわち、ビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3ならびにビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3は、薬剤耐性菌(メチシリン耐性菌等)を含む各種のグラム陽性の細菌に対して抗菌活性を示す。これらの細菌に対するビスポライドA化合物とビスポライドB化合物との抗菌活性を次のとおり試験した。
各種の微生物に対するビスポライドA類およびビスポライドB類の抗菌スペクトルは、Bacto Yeast Nitrogen Base(Difco社製)−Glucose−NZ Amineから成る液体培地中で倍数希釈法により測定した。その試験結果を下記の表1と表2に示す。
Figure 0004755248
Figure 0004755248
Figure 0004755248
Figure 0004755248
さらに、本発明の第二の要旨によると、ミクロビスポラ属に属して、前記の一般式(III)で表されるビスポライドA1、ビスポライドA2、ビスポライドA3、ビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3の少なくとも一つを生産する生産菌を培養し、その培養物から、ビスポライドA1、ビスポライドA2、ビスポライドA3、ビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3の少なくとも一つを採取することを特徴とする、一般式(III)で表される抗生物質であるビスポライドA1、ビスボライドA2、ビスポライドA3、ビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよび(または)ビスポライドB3の製造方法が提供される。
第2の本発明の方法で使用する抗生物質ビスポライドAまたはB類の生産菌は、前述した理化学的性質および生物学的性質を有する抗生物質を生産する能力を有するものであれば、その種を問わず使用でき、広範な微生物から選ぶことができる。かかる使用できる微生物のうち、抗生物質ビスポライドAまたはB類の生産菌の好適な一具体例としてあげうるものは、2000年11月に本発明者らによってマレーシヤ森林研究所(略称:FRIM)のSallen Keruing Trailで採取された土壌サンプルより分離したミクロビスポラ(Microbispora)属の菌株でミクロビスポラsp.A34030と命名された菌株がある。
なお、前記したミクロビスポラ属のA34030株を日本国際寄託機関である独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(略称:IPOD)に寄託申請し、2006年2月14日、FERM BP−10505の受託番号でブタペスト条約の規約下に寄託された。
このミクロビスポラsp.A34030株の微生物学的性質を次に記載する。
1.形態
スターチ・無機塩寒天培地(ISP−4培地)において、28℃、2週間培養したミクロビスポラsp.A34030株は、分岐した基底菌糸をもち、これから比較的長い直状の気菌糸を形成し、気菌糸の先端上に特徴的な2連のらせん状胞子を着生する。胞子の運動性は認められない。その他の特別な構造は認められない。
2.各種培地における生育状態
(1)27℃、2週間の培養の場合に、イースト・麦芽寒天培地(ISP−2培地)では、生育をほとんど認められない。
(2)27℃、2週間の培養の場合に、オートミール寒天培地(ISP−3培地)、スターチ・無機塩寒天培地(ISP−4培地)およびグリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP−5培地)では、白色〜かすかに乳白色の扁平な生育を示し、可溶性色素の生成は認められない。
(3)改変ベネット寒天培地(可溶性でんぷん0.5%、グリコース0.5%、牛肉エキス0.1%、NZ−アミン0.2%、食塩0.2%、炭酸カルシウム0.1%;pH7.0−7.2)では、上記の培地での生育に比べて旺盛な生育を示すが、気菌糸の形成は生育の外周縁に沿ってのみに限定される。
3.生理的性質
(1)生育温度範囲
改変ベネット寒天培地上で、10℃、20℃、28℃、30℃、37℃、40℃および45℃の各温度で2週間培養試験した場合、このミクロビスポラsp.A34030株は20℃−40℃の範囲で生育する。生育至適温度は28℃〜30℃付近である。
(2)スターチの加水分解(無機塩−スターチ−寒天培地、ISP−4培地、27℃培養)
2週間の培養でスターチの加水分解は認められない。
(3)メラニン様色素の生成(ペプトン−イーストエキス−鉄−寒天培地、ISP−6培地;チロシン寒天培地、ISP−7培地、各培地とも28℃で培養)
いずれの培地においても28℃、2週間の培養で陰性である。
(4)炭素源の利用性(プリドハム−ゴットリーブ培地、ISP−9培地、27℃培養)
陽性対照としてD−グルコースの添加培地での生育に比べて、A34030株はL−アラビノース、シュクロース、D−キシロース、D−フルクトース、またはD−マンニトールの添加培地では同様の発育を示したが、myo−イノシトールの添加培地ではA34030株の生育が弱く、ラムノースの添加培地では生育が認められない。ラフィノースの添加培地では、D−グルコースの添加培地よりもA34030株は良好な生育を示す。
(5)硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリウム含有ペプトン水溶液、ISP−8培地、28℃培養)
硝酸塩の還元の結果は判然としないが、おそらく陰性である。
4.菌体成分
(1)細胞壁組成
本菌株の細胞壁の主要成分としてメソ型2,6−ジアミノピメリン酸が同定された。
(2)メナキノン
本菌株の細菌細胞中にある主要なメナキノンとして、MK9とMK(H)を約70%ないし約30%の比率で含む。
(3)菌体脂肪酸
主要脂肪酸として、C16:0 ISO(42%)、C17:1 w8c(9.8%)、C17:0 10−メチル(9.7%)が測定された。
5.16S rDNA解析
A34030菌株から単離された16S rDNAの部分塩基配列(1239塩基を含む)を決定し、DNAデータベースに登録されたストレプトミセス属の既知の16S rDNAと比較した。その比較からみると、A34030株から単離された16S rDNAは、ストレプトミセス属に属するミクロビスポラ(Microbispora)属の菌の16S rDNAと高い相同性を示すことが判った。
ミクロビスポラsp.A34030株の前記した性状を要約すると、A34030株は、分岐した基底菌糸と直状の気菌糸を形成し、白色〜仄かな乳白色を有する2個連なったらせん状の胞子を気菌糸上に着生すること、基底菌糸上には胞子を着生しないこと、その他の特別な構造が認められないこと、種々の供試培地での生育に伴う可溶性色素の生成を認められないこと、メラニン様色素を生成しないこと、硝酸塩の還元反応を決定できないがおそらく陰性で、スターチの水解性を認められないことを特徴としている。
A34030株の菌体の化学組成を研究すると、A34030株の細胞壁成分がメソ型2,6−ジアミノピメリン酸を含有し、主要なメナキノンはMK−9とMK−9(H)であり、そして主要な脂肪酸はC16:0 ISO(42%)、C17:1 w8c(9.8%)およびC17:0 10−メチル(9.7%)であると認められた。
前記されたA34030株の諸性質を考えると、A34030株はミクロビスポラ(Microbispora)属、[文献:”放線菌の分類と同定”、日本放線菌学会編、2001年、日本学会事務センター刊行、参照]に属すると判断される。そこで、A34030株をミクロビスポラ(Microbispora)sp.A34030と命名した。
なお、本明細書で前記したとおり、本菌株、A34030株は、前記した日本の国際寄託機関、すなわち茨城県つくば市東1−1−1のつくばセンター中央第6の独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(略称:IPOD)にブタペスト条約の規約下にFERM BP−10505の受託番号で寄託された。
さらに、本発明の第二の要旨に係る本発明方法によれば、新規抗生物質ビスポライドA1、A2およびA3ならびにビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3の製造は下記に説明される要領で実施できる。
すなわち、上記の抗生物質、ビスポライドA類とビスポライドB類との製造は、まず、ミクロビスポラ属に属するビスポライドA類またはB類あるいはこれら両方の生産菌株を、公知の炭素源、窒素源、無機塩を含む栄養培地に接種し、その接種された菌株を次いでこの培地中で培養する。その炭素源としては、例えば、ぶどう糖、麦芽糖、糖蜜、デキストリン、グリセリン、澱粉などの炭水化物や、大豆油、落花生油などの油脂のごとき炭素源が利用できる。また、栄養源としては、ペプトン、肉エキス、綿実粉、大豆粉、酵母エキス、カゼイン、コーン・スチープ・リカー、NZ−アミン、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどの窒素源が使用できる。
また、上記の培地には、さらに燐酸二カリウム、燐酸ナトリウム、食塩、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マンガンなどの無機塩が配合できる。必要により、微量で金属例えばコバルト、鉄などを添加することができる。培地中に含まれる栄養源としては、その他、抗生物質ビスポライドA類および(または)ビスポライドB類を生産する生産菌(以下、ビスポライド生産菌という)により利用し得るものであって、放線菌科の菌の培養に慣用される培地中で利用できると知られる栄養源物質のいずれでも良い。
上記のビスポライド生産菌の培養に用いられる培地における上記のごとき栄養源の配合割合は特に制約されるものではなく、広範囲に亘って変えることができ、そして使用するビスポライド生産菌によって、最適の栄養源の組成および配合割合は、当事者であれば簡単な小規模実験により容易に決定することができる。また、上記の栄養源から成る栄養培地は、菌の接種と培養に先立ち殺菌することができ、この培地の殺菌の前又は後で、培地のpHをpH6−8の範囲、特にpH6.5−7.5の範囲に適当に調節するのがよい。
本発明による新規抗生物質、すなわちビスポライドA類またはビスポライドB類の製造のためには、放線菌による抗生物質の製造において通常使用されている一般の方法の何れをも使用できる。通常は好気条件下にビスポライド生産菌を培養するのが好適であり、また撹拌しながら且つ通気しながらもしくは通気をしないで行うことができる。また、培養方法としては静置培養、振盪培養、通気撹拌を伴う液体培地中での深部培養の何れも使用可能である。液体培地中の深部培養がビスポライドA類またはビスポライドB類の大量生産に適している。
ビスポライド生産菌の培養に使用し得る培養温度は、使用、接種されたビスポライド生産菌の発育が実質的に阻害されず、所望とされる抗生物質を生産し得る温度の範囲であれば、特に制限されるものではない。その培養温度は用いるビスポライド生産菌の種類に応じて適宜選択できるが、特に好ましい培養温度は25℃−30℃の範囲内の温度を挙げることができる。
使用された菌株の培養はビスポライド類が得られた培養物中に十分に蓄積するまで継続することができる。その培養時間は培地の組成や培養温度や、使用生産菌株などにより異なる。通常は72−120時間の培養により、目的の抗生物質としてビスポライド類、すなわちビスポライドA1ないしA3ならびにビスポライドB1ないしB3が十分量で生成、蓄積できる。
用いたビスポライド生産菌の培養で得られる培養物または培養液に含まれたビスポライド類の蓄積量は黄色ブドウ球菌(スタヒロコッカス・アウレウス)FDA209Pを検定菌として使用して、通常の抗生物質の定量に用いられるシリンダー定量法により定量することができる。
ビスポライド生産菌の培養後に、得られた培養物または培養液中に生産、蓄積されたビスポライドA類とビスポライドB類、すなわち一般的にはビスポライド類は、これを培養物から常法で採取することができる。すなわち培養後、培養物または培養液より、濾過、遠心分離などのそれ自体公知の分離方法によって、まず菌体を分離するのがよい。
ビスポライド生産菌の培養で生成された培養菌体を、濾過または遠心分離により上記の得られた培養液から分離した後には、水性相であり得る培養濾液または上清液が得られる。ビスポライドA1ないしA3ならびにビスポライドB1ないしB3を含めて、ビスポライド類は各々が水に実質上不溶性であるから、生成されたビスポライド類の大部分は分離後の菌体中に蓄積されて含有されている。
上記の分離した培養菌体からビスポライド類を採取するためには、上記のように分離された菌体をメタノール、酢酸エチルのような適当な有機溶媒で1回または2回抽出して、ビスポライド類を溶解、含有する1つまたは複数の抽出液を得るようにするのが都合よい。また、上記のように分離した培養菌体をまず、機械的に、例えば超音波照射で破砕し、これにより破砕された菌体細胞の全成分よりなる均一な混合物を収得し、次いで該混合物をメタノールのような適当な有機溶媒で抽出し、ビスポライド類を溶解、含有する有機抽出液を得るようにすることもできる。必要ならば、前記の培養濾液または上清液を水非混和性の有機溶媒、例えば酢酸エチルで抽出して、前記の培養濾液または上清液に含まれていたビスポライド類を第2収穫物(second crop)として含む有機抽出液を得ることもできる。
上記のようにして得られてビスポライド類を含む複数の有機抽出液を次に合併させ、このようにして合併された有機抽出液溶液を次に減圧下で有機溶媒の蒸発により濃縮してビスポライド類を溶解、含有する小容量の濃縮液を得るようにすることができる。この濃縮液を次に酢酸エチル、酢酸ブチルのような適当な有機溶媒で抽出し、そして得られた有機溶媒抽出液を次に無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、その得られた乾燥抽出液を減圧下に濃縮乾固することができる。こうして生成された固体残渣は、ビスポライド類よりなる粗製物であって、これは同時に産生されたビスポライドA1ないしA3ならびにビスポライドB1ないしB3の粗製物の混合物からなり、この中には時には何らかの不純物を含むこともある。
ビスポライドA1、A2およびA3ならびにビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3を精製および単離するのには、前記の同時に産生されたビスポライドA類とビスポライドB類との粗製生成物から成る前記の固体残渣を、クロマトグラフィー法、ゲル濾過法、向流分配法を単独でまたは、組み合わせて慣用の手段で処理することができる。常法的なクロマトグラフィー法を行う場合の固定相としては、活性炭、シリカゲル、多孔性ポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂(例えば、商標名”Diaion HP−20”で市販される樹脂、日本、三菱化学(株)社製の製品)、もしくはクロマトグラフィー用の市販の各種のイオン交換樹脂を用いることができる。
なお、ビスポライドAまたはビスポライドBの生産菌、すなわちビスポライド生産菌として前記のミクロビスポラ sp.A34030株を用いた場合には、このミクロビスポラ sp.A34030株はこれの培養時にビスポライドA1、A2およびA3ならびにビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3を同時に並行的に産生できるものである。従って、この場合、そのように同時に産生されたビスポライドA1、A2およびA3ならびにビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3が、得られた培養物または培養液に含まれることになる。
なお、ビスポライドA類を製造しようとする主な目的でミクロビスポラ sp.A34030株を培養する時にも、またビスポライドB類を製造しようとする主な目的で前記A34030株を培養する時にも、このA34030株は前記と同じ要領で培養でき、しかも得られた培養物または培養液からのビスポライドA類の採取も、ビスポライドB類の採取も、前記と同じ要領で実施できる。ビスポライドA類とビスポライドB類とは互いに良く似ている物理化学的性質を有するからである。同時に産生されたビスポライドA類の主要量もビスポライドB類の主要量も、ミクロビスポラ sp.A34030株の培養で得た培養物または培養液から前記のとおり分離された該A34030株の培養菌体中に主として蓄積することができ、存在しているのである。
ミクロビスポラ sp.A34030株の培養された菌体をメタノール、エタノール、酢酸エチルのような適当な有機溶剤で抽出することにより該菌体からビスポライドA類を、もしくはビスポライドB類を採取しようとする時には、該A34030株の培養された菌体からはビスポライドA1、A2およびA3ならびにビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3も回収できるので、ビスポライドA類とビスポライドB類とを共に溶解、含有する有機抽出液の1つまたは複数が得られることになる。次いで、このような1つまたは複数の有機抽出液を前記したことと同じ要領で処理して、ビスポライドA1、A2およびA3ならびにビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3から成り、且つ何らかの不純物を時には含むこともある粗製のビスポライド類混合物を収得できる。この粗製のビスポライド類混合物を次に前記と同じクロマトグラフィー法にかけて、ビスポライドA類、すなわちビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3ならびにビスポライドB類、すなわちビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3の各個の化合物を精製しながら単離して収得する目的を達成することができる。
ビスポライドA1、A2およびA3を相互に別々に単離すると共に、これらをビスポライドB類から分離するためには、もしくはビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3を相互に別々に単離すると共にこれらをビスポライドA類から分離するためには、ビスポライドA1、A2およびA3ならびにビスポライドB1、B2a、B2bおよびB3から成る粗製の、もしくは部分精製した混合物を、適当な固定相剤を用い且つ移動相として適当な展開溶媒を用いる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかける。このようにして、前記した物理化学的性質をそれぞれ有するところの、ビスポライドA1の単離された純品、ビスポライドA2の単離された純品、ビスポライドA3の単離された純品、ビスポライドB1の単離された純品、ビスポライドB2aの単離された純品、ビスポライドB2bの単離された純品、ビスポライドB3の単離された純品が別々に収得できる。
従って、本発明の第二の要旨による本発明方法の1つの特別な実施態様では、培地中でミクロビスポラ sp.A34030株(受託番号FERM BP−10505として寄託)を好気的条件下で培養して、得られる培養物中に前記の一般式(I)で表されるビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3、ならびに前記の一般式(II)で表されるビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3を生成、蓄積させ、次に該培養物からビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3の少なくとも一つ、ならびにビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3の少なくとも一つを採取し、これによって、ビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3の少なくとも一つとビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3の少なくとも一つを収得することから成るビスポライドA類および(または)ビスポライドB類の製造方法が提供される。
さらにまた、本発明の第三の要旨によると、前記の一般式(III)のビスポライド類、すなわち一般式(I)で表されるビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3、ならびに前記の一般式(II)で表されるビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3のうちの少なくとも一つを有効成分として含有し、しかも製薬学的に許容できる一つまたは複数の担体を有効成分と混合して成る医薬(pharmaceutical)組成物が提供される。
第三の本発明による医薬組成物は、特定的には、抗菌性組成物であり得るが、この医薬組成物は一般的には、常用される製薬学的に許容できる固体状または液状の担体、例えばエタノール、水、生理食塩水、澱粉、その他の同類物と混和された状態で、有効成分として一般式(I)のビスポライドA化合物、もしくは一般式(II)のビスポライドB化合物を含む製剤または調合剤の形である。
第三の本発明による医薬組成物に用いられる一般式(I)のビスポライドA化合物、または一般式(II)のビスポライドB化合物は、静脈内、筋肉内または腸管内投与などにより、経口的または非経口的に投与できる。経口投与用のためには、第三の本発明による医薬組成物は、有効成分である一般式(III)のビスポライドA化合物またはビスポライドB化合物を、常用される製薬学的に許容できる固体または液体の担体と配合することにより、散剤、錠剤、カプセル、懸濁液、シロップなどのごとき製剤の形に調合できる。
第三の本発明による医薬組成物に有効成分として配合される一般式(III)のビスポライドA化合物またはビスポライドB化合物の配合量は、該組成物の製剤の型態に応じて変え得るが、有効成分としてのビスポライド類の好適な配合量は、該組成物の投与単位体(dosageunit)の重量について約2%ないし90%の範囲である。
第三の本発明による医薬組成物を注射剤に製剤する場合には、その注射製剤の好ましい剤型は、有効成分として一般式(I)のビスポライドA化合物または一般式(II)のビスポライドB化合物を含み、しかも適当な可溶化剤を含有してあるか、または配合してないような無菌の水溶液や、無菌の凍結乾燥製剤であることができる。このような注射剤を作る目的に用い得る液体担体の例としては、水、エタノール、含水エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、植物油などが好ましい。
本発明による医薬組成物に有効成分として用い得る一般式(I)のビスポライドA化合物または一般式(II)のビスポライドB化合物の投与量は、処置すべき細菌感染症の種類や、治療処置の目的や、患者の病状の程度、などに応じて決定できる。しかし、ビスポライドA化合物またはビスポライドB化合物の最適投与量は、適当な予備試験で専門家により適宜、決定できる。そして、ビスポライドA類を75mg/kgの投与量でマイス(ICR系、4週令、雄)に静脈内投与した時にはビスポライドA類は毒性の兆候を示さないと認められた。また、同様なマイス(ICR系、4週令、雄)にビスポライドB類を10mg/kgの投与量で腹腔内投与した時には、ビスポライドB類は毒性の兆候を示さないと認められた。
さらに、本発明の第四の要旨によると、前記の一般式(I)のビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3の少なくとも一つを生産し且つ前記の一般式(II)のビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3の少なくとも一つを生産する特性をもち、しかもブタペスト条約の規約下に、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(略称:IPOD)にFERM BP−10505の受託番号で寄託されたところの、ミクロビスポラ sp.A34030株の名称の菌株の単離されて且つ生物学的に純粋な培養物が新規な微生物として提供される。
図1はビスポライドA1のKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルである。
図2はビスポライドA1の重アセトン溶液中にて室温で測定した500MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
図3はビスポライドA1の重アセトン溶液中にて室温で測定した125MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルである。
図4はビスポライドA2のKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルである。
図5はビスポライドA2の重アセトン溶液中にて室温で測定した500MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
図6はビスポライドA2の重アセトン溶液中にて室温で測定した125MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルである。
図7はビスポライドA3のKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルである。
図8はビスポライドA3の重アセトン溶液中にて室温で測定した500MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
図9はビスポライドA3の重アセトン溶液中にて室温で測定した125MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルである。
図10はビスポライドB1のKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルである。
図11はビスポライドB1の重アセトン溶液中にて室温で測定した400MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
図12はビスポライドB1の重アセトン溶液中にて室温で測定した100MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルである。
図13はビスポライドB2aのKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルである。
図14はビスポライドB2aの重アセトン溶液中にて室温で測定した400MHzにおけるプロトン核磁気共嗚スペクトルである。
図15はビスポライドB2aの重アセトン溶液中にて室温で測定した100MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルである。
図16はビスポライドB2bのKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルである。
図17はビスポライドB2bの重アセトン溶液中にて室温で測定した400MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
図18はビスポライドB2bの重アセトン溶液中にて室温で測定した100MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルである。
図19はビスポライドB3のKBr錠剤法で測定した赤外線吸収スペクトルである。
図20はビスポライドB3の重アセトン溶液中にて室温で測定した400MHzにおけるプロトン核磁気共嗚スペクトルである。
図21はビスポライドB3の重アセトン溶液中にて室温で測定した100MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルである。
以下に、本発明を下記の実施例につて詳しく具体的に説明する。これら実施例は、単に本発明を具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲を何らかに限定するものと解すべきでない。
抗生物質ビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3の製造
寒天斜面培地に培養したミクロビスポラ sp.A34030株(受託番号FERM BP−10505で寄託)の培養物を、培地に接種した。ここで用いた培地は、可溶性澱粉(米国、メルク社製品)2%、ブドウ糖1%、NZ−アミン(日本、和光純薬社製品)0.5%、粉末状酵母エキス(ディフコ社製品)0.5%、塩化カルシウム0.05%、総合ビタミンB粉末(日本、ファンケルフーズ社製品)0.005%を含む液体培地(pH7.0に調整)の100mlづつをエレンマイヤーフラスコ(各々500ml容)の各々に分注し、前記A34030株の接種に先立ち、常法により120℃で20分間滅菌することにより調製されたものである。該菌株を接種した液体培地を、次に、28℃で9日間、225r.p.m.の回転数で回転振盪培養して種毋培養液を得た。
とうもろこし澱粉2%、大豆粉3%、炭酸カルシウム1%、硫酸マグネシウム0.2%、パームヤシ油粕0.1%を含む液体培地(pH7.0に調整)の合計4リットルを40本のエレンマイヤーフラスコ(各々500ml容)に各100mlづつ分注し、常法により120℃で20分間滅菌して生産培地を得た。各フラスコ中の該生産培地へ上記の種毋培養液の1mlづつを接種した。次いでA34030株の培養は、28℃の温度で12日間、225r.p.m.の回転数で回転振盪培養を行う条件で実施した。得られた培養液を遠心分離し、菌体と培養液上清液とに分離した。分離した菌体に次いでメタノール(100ml)を加え、得られた混合物をよく撹拌して菌体からメタノール中にビスポライドA類を抽出した。このメタノール抽出を2回行い、得られたメタノール抽出液を合併し、さらに減圧下に50ml容に濃縮した。こうして得た濃縮液(50ml)を酢酸エチル(150ml)で抽出し、得られた酢酸エチル抽出液を、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した後、減圧下で濃縮乾固した。
上記のようにして得た固体残渣は、ビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3を含む粗製混合物より成るものである。得られた固体残渣をクロマトグラフィー処理した。すなわち、該固体残渣(約450mg)を酢酸エチルの2mlに溶かした溶液を、シリカゲル(Art.1.07734.1000、米国、メルク社製)のカラムにかけ、吸着させ、カラムをクロロホルム280mlで洗浄した。その後にカラムを、次々にクロロホルム−メタノール(容量比100:1)、クロロホルム−メタノール(容量比50:1)、クロロホルム−メタノール(容量比25:1)、クロロホルム−メタノール(容量比25:2)、クロロホルム−メタノール(容量比25:4)およびクロロホルム−メタノール(容量比25:8)の各24mlづつの展開溶媒により順次溶出した。得られた溶出液は、5mlづつの分画で集めた。前記シリカゲルカラムをクロロホルム−メタノール(容量比25:4)の展開溶媒で溶出する時とクロロホルム−メタノール(容量比25:8)の展開溶媒で溶出する時とに、その溶出によって、ビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3を含む抗菌活性のある分画を収得できた。
それら抗菌活性のある分画を合併し、合併した溶液を減圧下に濃縮すると、ビスポライドA類の粗製物より成る淡茶色シロップ状残渣の92.4mgを得た。このシロップ状残渣を次のようにしてクロマトグラフィー法により精製した。すなわち、Microsorb C18 Prep.(Varian Palo Alto社の市販品、米国カリフォルニア州)の3ミクロン粒子より成るカラム固定相をもち且つ商品名”Varian Microsorb”で市販されるカラム(直径21.4mm×高さ100mm)を用いる分取用液体クロマトグラフィー法で該シロップ状残渣を精製した。このクロマトグラフィー法では、70:30から80:20(容量比)への濃度勾配をもつクロロホルム−水の各種混液より成る移動相(0.2ml)を用い、溶出流速を5ml/分であるとした。
ビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3はそれぞれ25分、48分および81分の各溶出時間で溶出された。ビスポライドA1を含む活性溶出液と、ビスポライドA2を含む活性溶出液と、ビスポライドA3を含む活性溶出液とを別々に集め、それぞれを減圧下に濃縮乾固した。これによって、ビスポライドA1の白色〜無色の粉末状純品の12.2mgと、ビスポライドA2の白色〜無色の粉末状純品の7.5mgと、ビスポライドA3の白色〜無色の粉末状純品の14.7mgとが得られた。これらのビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3の各物質は、実験するとそれぞれが前記した物理化学的性質と生物学的性質を有することが確認された。
(a)抗生物質、ビスポライドA類の製造とビスポライドB類の製造、およびその後のビスポライドA類とビスポライドB類の採取
寒天斜面培地に培養したミクロビスポラ sp.A34030株(受託番号FERM BP−10505で寄託)の培養物を、培地に接種した。ここで用いた培地は、可溶性澱粉(米国、メルク社製品)2%、ブドウ糖1%、NZ−アミン(日本、和光純薬社製品)0.5%、粉末状酵母エキス(ディフコ社製品)0.5%、塩化カルシウム0.05%、総合ビタミンB粉末(日本、ファンケルフーズ社製品)0.005%を含む液体培地(pH7.0に調整)の100mlづつをエレンマイヤーフラスコ(各々500ml容)の各々に分注し、前記A34030株の接種に先立ち、常法により120℃で20分間滅菌することにより調製されたものである。該菌株を接種した液体培地を、次に、28℃で9日間に亘り、225r.p.m.の回転数で回転振盪培養して種毋培養液を得た。
とうもろこし澱粉2%、大豆粉3%、炭酸カルシウム1%、硫酸マグネシウム0.2%、パームヤシ油粕0.1%を含む液体培地(pH7.0に調整)の合計4リットルを40本のエレンマイヤーフラスコ(各々500ml容)に各100mlづつ分注し、常法により120℃で20分間滅菌して生産培地を得た。各フラスコ中の該生産培地へ上記の種毋培養液の1mlづつを接種した。次いでA34030株の培養は、28℃の温度で12日間、225r.p.m.の回転数で回転振盪培養を行う条件で実施した。得られた培養液を遠心分離し、菌体と培養液上清液とに分離した。分離した菌体に次いでメタノール(100ml)を加え、得られた混合物をよく撹拌して菌体からメタノール中にビスポライドA類とビスポライドB類とを抽出した。このメタノール抽出を2回行い、得られたメタノール抽出液を合併し、さらに減圧下に50ml容に濃縮した。こうして得た濃縮液(50ml)を酢酸エチル(150ml)で抽出し、得られた酢酸エチル抽出液を、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した後、減圧下で濃縮乾固した。
上記のようにして得た固体残渣は、ビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3ならびにビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3とを含む粗製混合物より成るものである。得られた固体残渣をクロマトグラフィー処理した。すなわち、該固体残渣(約450mg)を酢酸エチルの20mlに溶かした溶液を、シリカゲル(Art.1.07734.1000、米国、メルク社製)のカラムにかけ、吸着させ、カラムをクロロホルム200mlで洗浄後、次々にクロロホルム−メタノール(容量比50:1)の200ml、クロロホルム−メタノール(容量比25:1)の156mlおよび、クロロホルム−メタノール(容量比25:4)の120mlの各種展開溶媒より順次溶出した。得られた溶出液は、5mlづつの分画で集めた。前記シリカゲルカラムをクロロホルム−メタノール(容量比25:4)の展開溶媒で溶出する時に、その溶出によって、ビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3ならびにビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3を含む抗菌活性のある分画を収得できた。
それら抗菌活性のある分画を合併し、合併した溶液を減圧下に濃縮すると、ビスポライドA類とビスポライドB類との粗製混合物より成る淡茶色シロップ状残渣の243mgを得た。
(b)抗生物質、ビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3の各々の単離と、ビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3の各々の単離
上記の(a)項で得られたシロップ状残渣を次の様にしてクロマトグラフィー法により精製した。すなわち、商品名”Agilent,ZORBAX XDB−C18 C18 Prep,PrepHT,5μm”で市販されるクロマトグラフィーカラム(直径21.2mm×高さ150mm)を用いる分取用液体クロマトグラフィー法で該シロップ状残渣を精製した。このクロマトグラフィー法では、70:30から80:20(容量比)への濃度勾配をもつクロロホルム−水の各種混液より成る移動相を用い、溶出流速を5ml/分であるとした。
ビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3は別々に溶出され、またビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3も別々に溶出された。ビスポライドB1を含む活性溶出液は4.8分の溶出時間で、ビスポライドB2aを含む活性溶出液は9.7分の溶出時間で、ビスポライドB2bを含む活性溶出液は11.2分の溶出時間で、ビスポライドB3を含む活性溶出液は23.6分の溶出時間で、それぞれ溶出された。これら活性溶出液の各々をそれぞれ減圧下に濃縮乾固した。こうして、ビスポライドB1の白色〜無色の粉末状純品(mp.119.9−121.2℃)の15.6mgと、ビスポライドB2aの白色〜無色の粉末状純品(mp.151.5−152.5℃)の19.8mgと、ビスポライドB2bの白色〜無色の粉末状純品(mp.156.2−160.0℃)の10.8mgと、ビスポライドB3の白色〜無色の粉末状純品(mp.131.5−134.0℃)の20.6mgとが得られた。これらビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3の各物質は、実験すると、それぞれが前記した物理化学的性質と生物学的性質を有することが確認された。
上記したクロマトグラフィー工程では、ビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3はそれぞれ6.9分、15.5分および32.7分の各溶出時間で溶出された。ビスポライドA1を含む活性溶出液と、ビスポライドA2を含む活性溶出液と、ビスポライドA3を含む活性溶出液とを別々にあつめ、それぞれを減圧下に濃縮乾固した。これによって、ビスポライドA1の白色〜無色の粉末状純品の28.8mgと、ビスポライドA2の白色〜無色の粉末状純品の45.8mgと、ビスポライドA3の白色〜無色の粉末状純品の50.0mgとが得られた。
本例では、本発明のビスポライド類を有効成分として含むエマルジョン型の注射剤の調合を説明する。
(a)腹腔内注射できるエマルジョン型液剤の調製
ビスポライドA1の結晶性粉末の800mgを第3級ブタノールの10mlに溶解して得られたビスポライドA1溶液を、無菌のバイエル瓶10本に1mlづつ分注し、無菌条件下で減圧下に濃縮乾固し、その後に、バイエル瓶の開口部を密封した。これにより、ビスポライドA1の微粉末の80mgを各々、収容する密封された無菌のバイエル瓶10本を準備した。
他方、13%含水エタノール(水の13容量部と無水エタノールの87容量部との混液)の6mlを各々、収容する密封された無菌のバイエル瓶の10本を準備した。また、非イオン型界面活性剤の形の水溶性乳化剤または可溶化剤として知られるポリソルベート80(polysorbate 80)〔この物質は、無水ソルビトールの水酸基の一部を、オレイン酸でエステル化して得られるエステルを、ポリオキシエチレン(20)とエーテル化反応させることにより生成された液状ポリオキシエチレンエーテル化合物であり、市販品である。日本薬局方、参照〕の10mgを各々、収容する密封された無菌のバイエル瓶10本を準備した。
上記のように準備したビスポライドA1微粉末を収容するバイエル瓶1本からビスポライドA1の80mgを取り出し、また16%含水エタノールを収容するバイエル瓶1本から16%含水エタノールの6mlを取出し、またポリソルベート80を収容するバイエル瓶1本からポリソルベート80の10mlを取出した。そして、取出されたビスポライドA1微粉末と、取出された16%含水エタノールと、取出されたポリソルベート80とを無菌条件下で撹拌しながら混和した。これによって、ビスポライドA1を含む無色のエマルジョン液が調製できた。このエマルジョン液は1回分の投与単位体として、腹腔内に投与できる注射剤として適した。
(b)静脈内投与用の注射剤の調製
前項(a)で調製されたビスポライドA1含有の無色エマルジョン液の約6mlを、無菌条件下で生理食塩水の500mlと撹拌しながら混合した。これによって、ビスポライドA1を含む水性懸濁液を調製できた。このように調製された水性懸濁液は点滴静脈内投与用の注射剤として適した。
また、上記したと同じ要領でビスポライドA2、A3、B1、B2a、B2bまたはB3を注射剤の形に調合することができた。
以上に説明したとおり、本発明により提供された新規な抗生物質として一般式(I)で表されるビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3すなわちビスポライドA類ならびに一般式(II)で表されるビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3すなわちビスポライドB類は、総括的には前記の一般式(III)で表しうる抗生物質である。本発明により得られたビスポライドA類も、ビスポライドB類も、それぞれに、各種の細菌、特にグラム陽性菌およびそれらの薬剤耐性菌株に対して優れた抗菌活性を有する。従って、本発明のビスポライドA類と、ビスポライドB類はヒトあるいは動物のグラム陽性菌の感染症を治療するのに有効であって有用である。

Claims (15)

  1. 次の一般式(III)
    Figure 0004755248
    [式中、RとRとは各々が水素原子またはメチル基を示し、Rは水素原子または水酸基を示して、ビスポライドA1についてはRとRとが各々、水素原子であってRが水素原子であり;ビスポライドA2についてはRが水素原子でRがメチル基であってRが水素原子であり;ビスポライドA3についてはRとRとが各々、メチル基であってRが水素原子であり;ビスポライドB1についてはRとRとが各々、水素原子であってRが水酸基であり;ビスポライドB2aについてはRが水素原子でRがメチル基であってRが水酸基であり;ビスポライドB2bについてはRがメチル基でRが水素原子であってRが水酸基であり;ビスポライドB3についてはRとRとが各々、メチル基であってRが水酸基である]で表される化合物である、ビスポライドA1、ビスポライドA2、ビスポライドA3、ビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bまたはビスポライドB3の少くとも一つである抗生物質。
  2. 請求の範囲1に定義された一般式(III)の抗生物質のうちに包含されて、次の一般式(I)
    Figure 0004755248
    [式中、RとRとは各々が水素原子またはメチル基(−CH)を示し、ビスポライドA1についてはRとRとが各々、水素原子であり;ビスポライドA2についてはRが水素原子でRがメチル基であり;ビスポライドA3についてはRとRとが各々、メチル基である]で表される化合物であるビスポライドA1、ビスポライドA2またはビスポライドA3である、請求の範囲1に記載の抗生物質。
  3. 次の式(Ia)
    Figure 0004755248
    で表されるビスポライドA1である、請求の範囲1に記載の抗生物質。
  4. 次の式(Ib)
    Figure 0004755248
    で表されるビスポライドA2である、請求の範囲1に記載の抗生物質。
  5. 次の式(Ic)
    Figure 0004755248
    で表されるビスポライドA3である、請求の範囲1に記載の抗生物質。
  6. 請求の範囲1に定義された一般式(III)の抗生物質のうちに包含されて、次の一般式(II)
    Figure 0004755248
    [式中、RとRとは各々が水素原子またはメチル基(−CH)を示し、ビスポライドB1についてはRとRとが各々、水素原子であり;ビスポライドB2aについてはRが水素原子でRがメチル基であり;ビスポライドB2bについてはRがメチル基でRが水素原子であり;ビスポライドB3についてはRとRとが各々、メチル基である]で表される化合物であるビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bまたはビスポライドB3である、請求の範囲1に記載の抗生物質。
  7. 次の式(IIa)
    Figure 0004755248
    で表されるビスポライドB1である、請求の範囲1に記載の抗生物質。
  8. 次の式(IIb)
    Figure 0004755248
    で表されるビスポライドB2aである、請求の範囲1に記載の抗生物質。
  9. 次の式(IIc)
    Figure 0004755248
    で表されるビスポライドB2bである、請求の範囲1に記載の抗生物質。
  10. 次の式(IId)
    Figure 0004755248
    で表されるビスポライドB3である、請求の範囲1に記載の抗生物質。
  11. ミクロビスポラ属に属して、請求の範囲1に定義された一般式(III)で表されるビスポライドA1、ビスポライドA2、ビスポライドA3、ビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3の少なくとも一つを生産する生産菌を培養し、その培養物から、ビスポライドA1、ビスポライドA2、ビスポライドA3、ビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3の少なくとも一つを採取することを特徴とする、一般式(III)で表される抗生物質であるビスポライドA1、ビスポライドA2、ビスポライドA3、ビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよび(または)ビスポライドB3の製造方法。
  12. 培地中でミクロビスポラ sp.A34030株(受託番号FERM BP−10505として寄託)を好気的条件下で培養して、得られる培養物中に請求の範囲2に記載の一般式(I)で表されるビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3、ならびに請求の範囲6に記載の一般式(II)で表されるビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3を生成、蓄積させ、次に該培養物からビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3の少なくとも一つ、ならびにビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3の少なくとも一つを採取し、これによって、ビスポライドA1ないしA3の少なくとも一つとビスポライドB1ないしB3の少なくとも一つを収得することから成るビスポライドA類および(または)ビスポライドB類の製造方法。
  13. 請求の範囲2に定義された一般式(I)で表されるビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3、ならびに請求の範囲6に定義された一般式(II)で表されるビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3のうちの少なくとも一つを有効成分として含有し、しかも製薬学的に許容できる一つまたは複数の担体を有効成分と混合して含んで成る医薬組成物。
  14. 抗菌性組成物である、請求の範囲13に記載の組成物。
  15. 請求の範囲2に定義された一般式(I)のビスポライドA1、ビスポライドA2およびビスポライドA3の少なくとも一つを生産し且つ請求の範囲6に定義された一般式(II)のビスポライドB1、ビスポライドB2a、ビスポライドB2bおよびビスポライドB3の少なくとも一つを生産する特性をもち、しかもブタペスト条約の規約下に独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにFERM BP−10505の受託番号で寄託されたところのミクロビスポラ sp.A34030株と命名された菌株の単離されて且つ生物学的に純粋な培養物。
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