《第1の実施の形態》
本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の構成を示すシステム図である。
まず、車両用運転操作補助装置1の構成を説明する。車両用運転操作補助装置1は、レーダ装置10,車速センサ20,舵角センサ30,障害物検知装置40,コントローラ50,アクセルペダル反力発生装置60、駆動力制御装置70,および制動力制御装置90等を備えている。
レーダ装置10は、例えば車両の前方グリル部もしくはバンパ部等に取り付けられたレーザレーダであり、水平方向に赤外線レーザ光を照射して車両前方領域を走査し、自車両前方の障害物を検出する。図2に、レーダ装置10による障害物検出の原理を説明する図を示す。図2に示すように、レーダ装置10はレーザ光を出力する発光部10aと、自車両の前方にある反射物(通常、前方車の後端)で反射された反射光を検出する受光部10bとを備えている。発光部10aはスキャニング機構が組み合わされており、図2に矢印で示すように振れるように構成されている。発光部10aは角度を変化させながら所定角度範囲内で順次発光する。レーダ装置10は、発光部10aによるレーザ光の出射から受光部10bにおける反射波の受光までの時間差に基づいて自車両から障害物までの距離を計測する。
レーダ装置10は、スキャニング機構により自車両の前方領域をスキャニングしながら、各スキャニング位置またはスキャニング角度について反射光を受光した場合に障害物までの距離を算出する。さらに、レーダ装置10は、障害物を検出したときのスキャニング角とその障害物までの距離とに基づいて、自車両に対する障害物の左右方向の位置も算出する。すなわち、レーダ装置10は、障害物の有無とともに自車両に対する障害物の相対的な位置を検出する。
図3に、レーダ装置10による障害物の検出結果の一例を示す。各スキャニング角で自車両に対して障害物の相対的な位置を特定することにより、図3に示すようにスキャニング範囲内で検出できる複数の物体についての平面的な存在状態図を得ることができる。
障害物検知装置40は、レーダ装置10および車速センサ20の検出結果に基づいて前方障害物に関する情報を取得する。具体的には、障害物検知装置40は、レーダ装置10からスキャニング周期毎またはスキャニング角ごとに出力される検出結果に基づいて、検出した物体の動きを判別するとともに、物体間の近接状態や動きの類似性等に基づいて、検出した物体が同一物体であるか異なる物体であるかを判別する。
そして、障害物検知装置40は、レーダ装置10と車速センサ20からの信号に基づいて、自車両と前方障害物との車間距離と相対速度、および自車両に対する前方障害物の左右方向距離を認識する。なお、障害物検知装置40は、複数の前方障害物を検知した場合は各障害物についての情報を取得する。障害物検知装置40は、取得した障害物情報をコントローラ50へ出力する。
舵角センサ30は、ステアリングコラムもしくはステアリングホイール(不図示)付近に取り付けられた角度センサ等であり、ステアリングシャフトの回転を操舵角として検出し、コントローラ50へ出力する。
アクセルペダル61には、アクセルペダル61の踏み込み量(操作量)を検出するアクセルペダルストロークセンサ62が設けられている。アクセルペダルストロークセンサ62によって検出されたアクセルペダル操作量はコントローラ50および駆動力制御装置70に出力される。ブレーキペダル91には、その踏み込み量(操作量)を検出するブレーキペダルストロークセンサ92が設けられている。ブレーキペダルストロークセンサ92によって検出されたブレーキペダル操作量は、制動力制御装置90に出力される。
コントローラ50は、CPUと、ROMおよびRAM等のCPU周辺部品とから構成され、車両用運転操作補助装置1全体の制御を行う。コントローラ50は、障害物検知装置40で検出される障害物情報に基づいて自車両と前方障害物とが接触する可能性を算出し、算出した接触可能性に基づいて自車両に発生する制駆動力を制御するとともに、アクセルペダル61に発生する操作反力を制御する。
アクセルペダル反力発生装置60は、アクセルペダル61のリンク機構に組み込まれたサーボモータ(不図示)を備えている。アクセルペダル反力発生装置60は、コントローラ50からの指令に応じてサーボモータで発生させるトルクを制御し、運転者がアクセルペダル61を操作する際に発生する操作反力を任意に制御することができる。なお、反力制御を行わない場合のアクセルペダル反力は、アクセルペダル61の操作量に対して比例するように設定されている。
駆動力制御装置70は、アクセルペダル61の操作状態に応じた駆動力を発生するようにエンジン(不図示)を制御するとともに、外部からの指令に応じて、発生させる駆動力を変化させる。図4に、駆動力制御装置70の構成を表すブロック図を示す。図5に、アクセルペダル操作量SAとドライバ要求駆動力Fdaとの関係を定めた特性マップを示す。駆動力制御装置70は、図4に示すようにドライバ要求駆動力算出部70aと、加算器70bと、エンジンコントローラ70cとを備えている。
ドライバ要求駆動力算出部70aは、図5に示すようなマップを用いて、アクセルペダル61が踏み込まれたときの操作量(アクセルペダル操作量)SAに応じてドライバが要求する駆動力(ドライバ要求駆動力)Fdaを算出する。加算器70bは、算出されたドライバ要求駆動力Fdaに、後述する駆動力補正量ΔDaを加えて目標駆動力を算出し、エンジンコントローラ70cへ出力する。エンジンコントローラ70cは、目標駆動力に従ってエンジン制御指令値を算出する。ここで、エンジン制御指令値は例えばスロットルバルブ開度の制御指令値であり、エンジンコントローラ70cは目標駆動力を実現するようにスロットルバルブ開度を制御する。
制動力制御装置90は、ブレーキペダル91の操作状態に応じた制動力を発生するようにブレーキ液圧を制御するとともに、外部からの指令に応じて、発生させるブレーキ液圧を変化させる。図6に、制動力制御装置90の構成を表すブロック図を示す。図7に、ブレーキペダル操作量SBとドライバ要求制動力Fdbとの関係を定めた特性マップを示す。図6に示すように、制動力制御装置90は、ドライバ要求制動力算出部90aと、加算器90bと、ブレーキ液圧コントローラ90cとを備えている。
ドライバ要求制動力算出部90aは、図7に示すようなマップを用いて、ブレーキペダル91の踏み込み量(ブレーキペダル操作量)SBに応じてドライバが要求する制動力(ドライバ要求制動力)Fdbを算出する。加算器90bは、算出されたドライバ要求制動力Fdbに、後述する制動力補正値ΔDbを加えて目標制動力を算出し、ブレーキ液圧コントローラ90cに出力する。ブレーキ液圧コントローラ90cは、目標制動力に従ってブレーキ液圧指令値を算出する。ブレーキ液圧コントローラ90cからの指令に応じて各車輪に設けられたブレーキ装置95が作動する。
以下に、本発明の第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の動作を説明する。まず、動作の概要を説明する。コントローラ50において、車速センサ20から入力される自車速、および障害物検知装置40から入力される障害物情報を用いて自車両の走行状況を認識する。そして、コントローラ50は、走行状況に基づいて自車両と前方障害物との接触の可能性を表すリスクポテンシャルを算出し、障害物に対するリスクポテンシャルに基づいて自車両の制駆動力制御およびアクセルペダル反力制御を行う。これにより、接触の可能性を低減するとともに、減速感とアクセルペダル反力を与えて運転者の注意を喚起する。
上述したように接触の可能性に基づいて制駆動力を制御すると、自車両が先行車に接近してから追い越しをするような状況において、期待するほどの加速が得られずに運転者に違和感を与える可能性がある。すなわち、接触可能性に応じて駆動力が抑制されている状態では、加速しながら車線変更を行おうとしてもアクセルペダル操作に対して自車の加速が遅れてしまう。
そこで、第1の実施の形態においては、システムによる制御が行われている状態で運転者がアクセルペダル61の踏増し等の介入操作を行った場合に、運転者の加速意図を考慮してアクセルペダル操作量に対するエンジン出力特性を補正する。
第1の実施の形態による車両用運転操作補助装置1の動作を、図8を用いて詳細に説明する。図8は、第1の実施の形態のコントローラ50における運転操作補助制御処理の処理手順のフローチャートである。本処理内容は、一定間隔、例えば50msec毎に連続的に行われる。
まず、ステップS110で、車速センサ20によって検出される自車速V1と、舵角センサ30によって検出される自車両の操舵角δのデータを読み込む。ステップS120では、アクセルペダルストロークセンサ62によって検出されるアクセルペダル操作量SAを読み込む。つづくステップS130で、レーダ装置10および車速センサ20の検出結果に従って障害物検知装置40で算出した前方障害物に関する情報を読み込む。なお、障害物が複数検出されている場合は各障害物の情報を読み込む。障害物に関する情報は、例えば各障害物までの前後方向の距離(車間距離)Dと、自車両に対する障害物の左右方向位置xおよび前後方向位置yである。
ステップS140では、ステップS110で読み込んだ自車速V1および操舵角δに基づいて、自車両の進路を推定する。以下に、予測進路の推定方法を図9および図10を用いて説明する。予測進路を推定するために、図9に示すように自車両が矢印方向に進行している場合の旋回半径Rを算出する。まず、自車両の旋回曲率ρ(1/m)を算出する。旋回曲率ρは、自車速V1および操舵角δに基づいて、以下の(式1)で算出できる。
ρ=1/{L(1+A・V12)}×δ/N ・・・(式1)
ここで、L:自車両のホイールベース、A:車両に応じて定められたスタビリティファクタ(正の定数)、N:ステアリングギア比である。
旋回半径Rは、旋回曲率ρを用いて以下の(式2)で表される。
R=1/ρ ・・・(式2)
(式2)を用いて算出した旋回半径Rを用いることで、図9に示すように自車両の走行軌道を半径Rの円弧として予測することができる。そして、図10に示すように、旋回半径Rの円弧を中心線とした幅Twの領域を、自車両が走行するであろう予測進路として設定する。幅Twは、自車両の幅に基づいて予め適切に設定しておく。
ステップS150では、障害物検知装置40によって検出される複数の障害物のうち、ステップS140で設定した自車両の予測進路内にあるものから、自車両に最も近い物体を前方障害物として選択する。
つづくステップS160では、ステップS150で選択した前方障害物と自車両との接触の可能性を表すリスクポテンシャルを算出する。前方障害物、例えば先行車に対するリスクポテンシャルは以下のようにして算出する。
まず、先行車に対する余裕時間TTC(Time To Contact)を算出する。余裕時間TTCは、先行車に対する現在の自車両の接近度合を示す物理量であり、現在の走行状況が継続した場合、つまり自車速V1および相対車速Vr(=自車速−先行車速)が一定の場合に、何秒後に車間距離Dがゼロとなり自車両と先行車両とが接触するかを示す値である。障害物に対する余裕時間TTCは、以下の(式3)で求められる。
TTC=D/Vr ・・・(式3)
余裕時間TTCの値が小さいほど、先行車への接触が緊迫し、先行車への接近度合が大きいことを意味している。例えば先行車への接近時には、余裕時間TTCが4秒以下となる前に、ほとんどのドライバが減速行動を開始することが知られている。
つぎに、自車両と先行車との車間時間THWを算出する。車間時間THWは、自車両が先行車に追従走行している場合に、想定される将来の先行車の車速変化による余裕時間TTCへの影響度合、つまり相対車速Vrが変化すると仮定したときの影響度合を示す物理量である。車間時間THWは、以下の(式4)で表される。
THW=D/V1 ・・・(式4)
車間時間THWは、車間距離Dを自車速V1で除したものであり、先行車の現在位置に自車両が到達するまでの時間を表す。この車間時間THWが大きいほど、周囲の環境変化に対する予測影響度合が小さくなる。つまり、車間時間THWが大きい場合には、もしも将来に先行車の車速が変化しても、先行車までの接近度合には大きな影響を与えず、余裕時間TTCはあまり大きく変化しないことを示す。なお、自車両が先行車に追従し、自車速=先行車速である場合は、(式4)において自車速V1の代わりに先行車速を用いて車間時間THWを算出することもできる。
このように、余裕時間TTCが小さいほど、また車間時間THWが小さいほど自車両と前方障害物との接触の可能性が高くなるため、余裕時間TTCと車間時間THWを、それぞれ自車両と前方障害物との接触の可能性を表すリスクポテンシャルということができる。
ステップS170では、ステップS160で算出した前方障害物との余裕時間TTCと車間時間THWに基づいて、制御を行う際に用いる反発力Fcを算出する。反発力Fcは以下のようにして算出する。
制御反発力Fcの算出について、図11(a)に示すように、自車両前方に長さLの仮想的な弾性体を設けたと仮定し、この仮想的な弾性体が前方車両に当たって圧縮され、自車両に対する擬似的な走行抵抗を発生するというモデルを考える。制御反発力Fcは、図11(b)に示すように仮想弾性体が前方車両に当たって圧縮された場合の反発力と定義する。
ここでは、車間時間THWに関連づけた第1の仮想弾性体、および余裕時間TTCに関連づけた第2の仮想弾性体を自車両と前方障害物との間に設定したモデルを想定し、第1の仮想弾性体および第2の仮想弾性体による反発力を、車間時間THWに基づく制御反発力Fc1および余裕時間TTCに基づく制御反発力Fc2として算出する。ここでの処理を図12のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1701では、車間時間THWをしきい値Th1と比較する。車間時間THWがしきい値Th1(例えば1sec)より小さい場合(THW<Th1)は、ステップS1702へ進む。ステップS1702では、以下の(式5)から車間時間THWに基づく制御反発力Fc1を算出する。
Fc1=k1×(Th1−D) ・・・(式5)
(式5)においてk1は車間時間THWに関連付けた仮想弾性体のばね定数である。バネ定数k1は制御反発力Fc1の特性を決定するゲインであり、予め適切な値を設定しておく。一方、ステップS1701でTHW≧Th1と判定された場合、すなわち、車間時間THWによる第1の仮想弾性体が先行車に圧縮されていない場合は、ステップS1703へ進んで制御反発力Fc1=0にする。
つづくステップS1704では、余裕時間TTCをしきい値Th2と比較する。余裕時間TTCがしきい値Th2(例えば10sec)より小さい場合(TTC<Th2)は、ステップS1705へ進む。ステップS1705では、以下の(式6)から余裕時間TTCに基づく制御反発力Fc2を算出する。
Fc2=k2×(Th2−D) ・・・(式6)
(式6)においてk2は余裕時間TTCに関連付けた仮想弾性体のばね定数である。バネ定数k2は制御反発力Fc2の特性を決定するゲインであり、k2>k1となるように予め適切に設定しておく。一方、ステップS1704でTTC≧Th2と判定された場合、すなわち、余裕時間TTCによる第2の仮想弾性体が先行車に圧縮されていない場合は、ステップS1706へ進んで制御反発力Fc2=0にする。
つづくステップS1707では、ステップS1702またはS1703で算出した車間時間THWに基づく制御反発力Fc1と、ステップS1705またはS1706で算出した余裕時間TTCに基づく制御反発力Fc2のうち、大きい方の値を最終的な制御反発力Fcとして選択する。
このようにステップS170で制御反発力Fcを算出した後、ステップS180へ進む。ステップS180では、アクセルペダル操作に応じた駆動力の特性を算出する。具体的には、接触可能性のリスクポテンシャルに応じて制駆動力を制御している状態で、車線変更等を行う場合に運転者に違和感を与えないような加速が得られるように、アクセルペダル操作量SAに対する運転者の要求駆動力Fdaを調整する。ここでの処理を図13のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1801ではシステムのオーバーライド、すなわちシステム作動中に運転者による介入操作があるかを判断する。ここで行うオーバーライド判断処理を図14のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS1851では接触可能性のリスクポテンシャルに応じた制御がすでに行われているか否かを判定する。システムが非作動で制御が行われていない場合は、ステップS1852へ進む。
ステップS1852では、前回周期までは制御が行われていなかったが、今回周期から制御が開始されるか否かを判定する。制御開始と判定されるとステップS1853へ進み、この時点でのアクセルペダル操作量SAを初期値SA0としてコントローラ50のメモリに記憶する。一方、ステップS1852が否定判定されると、初期値の記憶は行わない。つづくステップS1854では、システム作動中ではないのでオーバーライドなしと判断する。
ステップS1851でリスクポテンシャルに応じた制御がすでに行われていると判定されると、ステップS1855へ進む。ステップS1855では、アクセルペダルストロークセンサ62で検出される現在のアクセルペダル操作量SAを、アクセルペダル操作量初期値SA0と比較する。SA≧SA0でアクセルペダル61が初期値SA0よりも踏み込まれている場合は、ステップS1856へ進む。
ステップS1856では、アクセルペダル61の現在の操作量SAと初期値SA0との差(SA−SA0)が所定のしきい値SA_ovrよりも大きいか否かを判定する。ここで、しきい値SA_ovrはオーバーライドありか否かを判定するためのしきい値であり、例えば加速しながら車線変更を行う際に、一般的に運転者がどれほどアクセルペダル61を踏増しするかを考慮して適切な値に設定しておく。SA−SA0>SA_ovrであると判定されると、ステップS1857へ進んでオーバーライドありと判断する。
ステップS1855でSA<SA0と判定されると、ステップS1858へ進み、アクセルペダル操作量初期値SA0を現在のアクセルペダル操作量SAに置き換える。すなわち、制御作動中にアクセルペダル61が戻し方向に操作された場合は、そのときのアクセルペダル操作量SAを初期値SA0として再度設定する。その後、ステップS1859へ進んでオーバーライドなしと判断する。
このようにステップS1801でオーバーライド判断を行った後、ステップS1802へ進む。ステップS1802では、システムによる制御がすでに行われているか否かを判定する。制御作動中でない場合は、ステップS1803へ進み、ドライバ要求駆動力Fdaを調整するための駆動トルク係数K_tqを1にする。制御がすでに行われている場合は、ステップS1804へ進む。ステップS1804では、ステップS1801の判断結果からオーバーライドありか否かを判定する。
ステップS1804でオーバーライドなし、すなわち運転者によって、例えば追い越しのための運転操作が加えられていないと判定されると、ステップS1805へ進む。ステップS1805では、駆動トルク係数K_tqを、接触可能性のリスクポテンシャルに応じた制御を行う際の基準値K_tq1に設定する。K_tq1は、例えば0.6とする。ステップS1804でオーバーライドあり、すなわち運転者によって追い越し等のための運転操作が加えられたと判定されると、ステップS1806へ進み、駆動トルク係数K_tqを所定値K_tq2に設定する。K_tq2は、追い越し時の運転者の加速要求を満たすように制御作動中の基準値K_tq1よりも大きい値、例えばK_tq2=0.8に設定する。
つづくステップS1807では、前回周期からのアクセルペダル操作量SAの変化量ΔSA(=今回値−前回値)を算出する。ステップS1808では、ステップS1807で算出したアクセルペダル操作量変化量ΔSAに応じたドライバ要求駆動力Fdaの変化量ΔTQを算出する。コントローラ50には、図5と同様のマップが記憶されており、図15に示すようにアクセルペダル操作量変化量ΔSAに対応するドライバ要求駆動力変化量ΔTQを算出する。
ステップS1809では、ステップS1803,S1805,またはS1806で算出した駆動トルク係数K_tqと、ステップS1808で算出したドライバ要求駆動力変化量ΔTQを用いて、ドライバ要求駆動力Fdaを更新する。ここでは、ドライバ要求駆動力Fdaの更新値をTQ_newと表し、前回周期で設定された値をTQ_oldと表す。ドライバ要求駆動力更新値TQ_newは、以下の(式7)から算出される。
TQ_new=TQ_old+K_tq・ΔTQ ・・・(式7)
これにより、制御作動中は駆動トルク係数K_tqが1よりも小さくなるためドライバ要求駆動力の増加量が小さくなるが、オーバーライドありと判断されるとオーバーライドなしの場合に比べてドライバ要求駆動力の増加量が大きくなる。
このようにステップS180で駆動力特性を算出した後、ステップS190へ進む。
ステップS190では、ステップS170で算出した制御用反発力Fcと、ステップS180で算出したドライバ要求駆動力更新値TQ_newを用いて、制駆動力補正を行う際の駆動力補正量ΔDaおよび制動力補正量ΔDbを算出する。ステップS190における制駆動力補正量の算出処理を、図16を用いて説明する。
まずステップS1901で、ステップS120で読み込んだアクセルペダル操作量SAに基づいて、アクセルペダル61が踏みこまれているか否かを判定する。アクセルペダル61が踏み込まれていない場合には、ステップS1902へ進み、アクセルペダル61が急に解放されたか否かを判定する。例えば、アクセルペダル操作量SAから算出するアクセルペダル61の操作速度が所定値未満であった場合は、アクセルペダル61がゆっくりと戻されたと判断し、ステップS1903へ進む。ステップS1903では、駆動力補正量ΔDaとして0をセットし、つづくステップS1904で制動力補正量ΔDbとして制御用反発力Fcをセットする。
一方、ステップS1902でアクセルペダル61が急に戻されたと判定されると、ステップS1905へ進む。ステップS1905では駆動力補正量ΔDaを漸減させ、ステップS1906で制動力補正量ΔDbを制御用反発力Fcまで漸増させる。具体的には、アクセルペダル61が急に戻された場合は、アクセルペダル操作中には駆動力を制御用反発力Fc分だけ減少させるように設定していた駆動力補正量ΔDa(=−Fc)を、0まで徐々に変化させる。また、アクセルペダル61が急に戻されてから制動力補正量ΔDbを制御用反発力Fcまで徐々に増加させる。このように、アクセルペダル61が急に戻された場合は、最終的に駆動力補正量ΔDaが0に、制動力補正量ΔDbがFcになるように変化させる。
一方、ステップS1901が肯定判定され、アクセルペダル61が踏み込まれている場合は、ステップS1907へ進んでステップS180で算出したドライバ要求駆動力更新値TQ_newを読み込む。つづくステップS1908で、ステップS1907で読み込んだドライバ要求駆動力更新値TQ_newと制御用反発力Fcとの大小関係を比較する。ドライバ要求駆動力更新値TQ_newFdaが制御用反発力Fc以上(TQ_new≧Fc)の場合は、ステップS1909へ進む。
ステップS1909では、駆動力補正量ΔDaとして−Fcをセットし、ステップS1910で制動力補正量ΔDbに0をセットする。すなわち、TQ_new−Fc≧0であることから、駆動力(TQ_new)を制御用反発力Fcにより補正した後も正の駆動力が残る。従って、補正量の出力は駆動力制御装置60のみで行うことができる。この場合、車両の状態としては、ドライバがアクセルペダル61を踏んでいるにも関わらず期待した程の駆動力が得られない状態となる。補正後の駆動力が走行抵抗より大きい場合には、加速が鈍くなる挙動としてドライバに感じられ、補正後の駆動力が走行抵抗より小さい場合には、減速する挙動としてドライバに感じられる。
一方、ステップS1908が否定判定され、ドライバ要求駆動力更新値TQ_newが制御用反発力Fcより小さい場合(TQ_new<Fc)は、駆動力制御装置60のみでは目標とする補正量を出力できない。そこで、ステップS1911において駆動力補正量ΔDaに−TQ_newをセットし、ステップS1912で制動力補正量ΔDbとして、補正量の不足分(Fc−TQ_new)をセットする。この場合、車両の減速挙動としてドライバには察知される。
このようにステップS190で制駆動力補正量を算出した後、ステップS200へ進む。 ステップS200では、ステップS170で算出した制御用反発力Fcに基づいて、アクセルペダル61に発生する操作反力の制御量、すなわちアクセルペダル反力制御指令値FAを算出する。
図17に、制御用反発力Fcとアクセルペダル反力制御指令値FAとの関係を示す。図17において、アクセルペダル反力制御を行わない場合の、通常のアクセルペダル反力を破線で示す。ここではアクセルペダル操作量SAが一定の場合のアクセルペダル反力を示している。図17に示すように、制御用反発力Fcが大きくなるほど、通常値に対してアクセルペダル反力制御指令値FAが増加する。制御用反発力Fcが所定値Fcaを超えると、アクセルペダル反力制御指令値FAの増加率が大きくなる。このように、制駆動力の補正量が大きくなるほど、アクセルペダル61に発生する操作反力が大きくなる。
ステップS210では、ステップS190で算出した駆動力補正量ΔDa、及び制動力補正量ΔDbをそれぞれ駆動力制御装置70、及び制動力制御装置90に出力する。駆動力制御装置70は、駆動力補正量ΔDaと要求駆動力Fdaとから目標駆動力を算出し、算出した目標駆動力を発生するようにエンジンコントローラ70cに指令を出力する。また、制動力制御装置90は、制動力補正量ΔDbと要求制動力Fdbとから目標制動力を算出し、目標制動力を発生するようにブレーキ液圧コントローラ90cに指令を出力する。
つづくステップS220では、ステップS200で算出したアクセルペダル反力制御指令値FAをアクセルペダル反力発生装置60に出力する。アクセルペダル反力発生装置60は、コントローラ50から入力される指令値に応じてアクセルペダル反力を制御する。これにより、今回の処理を終了する。
つぎに、上述した第1の実施の形態による作用を図18を用いて説明する。図18はアクセルペダル操作量SAに対して自車両に発生する駆動トルクを概略的に示している。システム制御作動中でない場合、すなわち通常時には、点線で示すようにアクセルペダル操作量SAが大きくなるほど駆動トルクが上昇する。これに対し、接触可能性のリスクポテンシャルに応じた制御が行われている場合は、図18に実線で示すようにアクセルペダル操作量SAの変化に対する駆動トルクの変化が緩やかになる。これにより、接触の可能性がある場合に運転者に減速感を与えて注意を促すことができる。
ただし、加速してから先行車を追い越そうとするような状況では、システムの制御により駆動力の増加が抑制されているので、アクセルペダル61を踏み込んでも期待するほどの加速が得られずに運転者に違和感を与えてしまう。先行車を追い越す場合には将来的に先行車との接触の可能性が低下すると予測できるので、図18に矢印で示すように駆動力を増加方向に調整する。具体的には、実線で示す制御作動中の状態に比べてアクセルペダル操作量SAに対する駆動力の傾きが増加する。これにより、接触の可能性によるリスク情報を伝えながら、オーバーライドありと判断されると運転者に違和感を与えないような加速を実現することが可能となる。
このように、以上説明した第1の実施の形態においては、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両用運転操作補助装置1は、自車両前方の障害物検出結果と自車両の走行状態の検出結果とに基づいて、自車両と障害物との接触の可能性に関するリスクポテンシャルを算出する。車両用運転操作補助装置1は、自車両に発生させる制駆動力を制御する駆動力制御装置70および制動力制御装置90、運転者による車両操作機器の操作量、具体的にはアクセルペダル61の操作量SAを検出するアクセルペダルストロークセンサ62、および車両用運転操作補助装置1の全体を制御するコントローラ50を備えている。コントローラ50は、駆動力制御装置70および制動力制御装置90を制御し、リスクポテンシャルに基づいて制駆動力を増減する増減機能と、駆動力がリスクポテンシャルに基づいて低下されているときに車両操作機器を操作した追加操作量に基づいて、駆動力を増加方向に調整する調整機能とを有している。これにより、制駆動力を変化して減速感を与えることにより、運転者にリスクポテンシャルを伝達するとともに、駆動力が低下されているときに運転者が車両操作機器の操作を追加してシステムの制御に介入した場合には、運転者の加速意図を尊重した制御を行うことができる。
(2)車両用運転操作補助装置1は、リスクポテンシャルに応じてアクセルペダル61に発生させる操作反力を制御するアクセルペダル反力発生装置60を備えている。これにより、運転者がアクセルペダル61を操作する際に、リスクポテンシャルをアクセルペダル61からの反力として運転者に直感的に伝えることができる。
(3)コントローラ50は、調整機能において、リスクポテンシャルに基づいて低下された後の駆動力と、低下されない場合の駆動力との間の領域で、車両操作機器の追加操作量に応じて駆動力を調整する。具体的には、アクセルペダル61の現在の操作量と初期値SA0との差(SA−SA0)がしきい値SA_ovrを超える場合に、図18に示すように実線で示す制御中と点線で示す通常値との間の領域に収まるように駆動トルクを調整する。これにより、駆動力を低下してリスクポテンシャルを伝えながら、運転者の感覚に応じた制御を行うことが可能となる。
《第2の実施の形態》
以下に、本発明の第2の実施の形態による車両用運転操作補助装置について説明する。第2の実施の形態による車両用運転操作補助装置の基本構成は、上述した第1の実施の形態と同様である。ここでは第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第2の実施の形態においては、オーバーライド時の駆動力特性を可変で設定する。具体的には、オーバーライドありと判断されたときに、ドライバ要求駆動力更新値TQ_newを算出する際の駆動トルク係数K_tqをオーバーライド量に応じて可変で設定する。この処理を、図19のフローチャートを用いて説明する。図19において、図13に示したフローチャートと同様の処理を実行するステップには同一のステップ番号を付しており、その説明を省略する。
ステップS1804でオーバーライドありと判定されると、ステップS1806Aに進み、駆動トルク係数K_tqを算出する。図20に、オーバーライド量を表すアクセルペダル操作量の現在値SAと初期値SA0との差(SA−SA0)と、駆動トルク係数K_tqとの関係を示す。図20に示すように、(SA−SA0)がしきい値SA_ovrよりも小さい場合は、駆動トルク係数K_tqを制御作動時の基準値K_tq1(例えばK_tq1=0.6)に設定する。(SA−SA0)がしきい値SA_ovrよりも大きくなると駆動トルク係数K_tqも徐々に大きくなり、所定値SA1以上の領域でK_tq=1となる。
ステップS1807以降の処理では、ステップS1803、S1805,またはS1806Aで算出した駆動トルク係数K_tqを用いてドライバ要求駆動力更新値TQ_newを算出する。
アクセルペダル操作量の現在値SAと初期値SA0との差(SA−SA0)が大きい、すなわち制御作動開始してからのアクセルペダル61の踏増し量が大きいほど、オーバーライド時に運転者は大きな加速を要求していると判断することができる。そこで、図20に示したように差(SA−SA0)が大きくなるほど駆動トルク係数K_tqを大きくすることにより、一層、運転者の期待に応じた駆動力を実現することが可能となる。
このように、以上説明した第2の実施の形態においては、つぎのような作用効果を奏することができる。コントローラ50は、調整機能において、追加操作量に応じて駆動力の増加量を決定する。具体的には、図20に示すように、ドライバ要求駆動力更新値TQ_newを算出する際の駆動トルク係数K_tqをアクセルペダル61の操作量の差(SA−SA0)に応じて設定する。これにより、運転者の感覚に合った制御を行うことが可能となる。
−第2の実施の形態の変形例1−
駆動トルク係数K_tqを、アクセルペダル操作量SAの差(SA−SA0)に代えてオーバーライドありと判断されたときのアクセルペダル反力に基づいて設定することもできる。図21に、オーバーライドありと判断された時点での制御反発力Fcに基づいて算出されるアクセルペダル反力指令値FAと、駆動トルク係数K_tqとの関係を示す。図21に示すように、アクセルペダル反力指令値FAが大きくなるほど、駆動トルク係数K_tqを基準値K_tq1から徐々に大きくする。アクセルペダル反力指令値FAが所定の最大値FAmaxに達すると、駆動トルク係数K_tq=1とする。
アクセルペダル61に大きな反力が発生している状態でアクセルペダル61を踏み増しし、オーバーライドした場合は、運転者の加速したいという要求がより強いと判断できる。そこで、反力指令値FAが大きくアクセルペダル反力が大きくなるほど駆動トルク係数K_tqを大きくし、図22に示すように反力指令値FAが小さい場合(とくにK_tq=K_tq1)に比べて駆動力の傾きを増加させる。これにより、運転者の感覚にあった制御作動を実現することが可能となる。
−第2の実施の形態の変形例2−
ここでは、駆動トルク係数K_tqをオーバーライドありと判断されたときのアクセルペダル61の操作量SAに基づいて設定する。図23に、オーバーライドありと判断された時点でのアクセルペダル操作量SAと、駆動トルク係数K_tqとの関係を示す。図23に示すように、アクセルペダル操作量SAが大きくなるほど、駆動トルク係数K_tqを基準値K_tq1から徐々に大きくする。アクセルペダル61が最大限踏み込まれると、駆動トルク係数K_tq=1とする。
車両操作機器であるアクセルペダル61が大きく踏み込まれている状態で、アクセルペダル61をさらに踏み増ししてオーバーライドした場合は、運転者の加速したいという要求がより強いと判断できる。したがって、アクセルペダル操作量SAが大きいほど駆動トルク係数K_tqを大きくすることにより、運転者の感覚にあった制御作動を実現することが可能となる。
−第2の実施の形態の変形例3−
ここでは、駆動トルク係数K_tqをオーバーライドありと判断されたときの先行車との車間距離Dに基づいて設定する。図24に、オーバーライドありと判断された時点での自車両と先行車との車間距離Dと、駆動トルク係数K_tqとの関係を示す。図24に示すように、車間距離Dが小さくなるほど駆動トルク係数K_tqを基準値K_tq1まで徐々に小さくする。車間距離Dが所定距離D1よりも大きい場合は、駆動トルク係数K_tq=1とする。
追越操作に基づいてオーバーライドありと判断された場合でも、先行車との車間距離Dが小さい状態では駆動トルク係数K_tqを小さくすることにより、運転者がかえって違和感を抱いてしまうことを防止できる。
−第2の実施の形態の変形例4−
ここでは、駆動トルク係数K_tqをオーバーライドありと判断されたときの相対速度Vrに基づいて設定する。図25に、オーバーライドありと判断された時点での自車両と先行車との相対速度Vr(=自車速−先行車速)と、駆動トルク係数K_tqとの関係を示す。図25に示すように、先行車速に対して自車速が大きくなり、相対速度Vrが大きくなるほど、駆動トルク係数K_tqが1から徐々に小さくなる。相対速度Vrが所定値Vr1以上となると、駆動トルク係数K_tq=1とする。
追越操作に基づいてオーバーライドありと判断された場合でも、先行車との相対速度Vrが大きい状態では駆動トルク係数K_tqを小さくすることにより、運転者がかえって違和感を抱いてしまうことを防止できる。
−第2の実施の形態の変形例5−
ここでは、駆動トルク係数K_tqをオーバーライドありと判断されたときの自車速V1に基づいて設定する。図26に、オーバーライドありと判断された時点での自車速V1と駆動トルク係数K_tqとの関係を示す。図26に示すように、自車速V1が大きくなるほど、駆動トルク係数K_tqを基準値K_tq1から徐々に大きくする。自車速V1が所定値V1_1以上となると、駆動トルク係数K_tq=1とする。
自車速V1が速い状態から、さらに加速するにはより大きな出力が必要となるので、自車速V1が大きくなるほど駆動トルク係数K_tqを大きくすることにより、運転者の感覚にあった制御作動を実現することが可能となる。
《第3の実施の形態》
以下に、本発明の第3の実施の形態による車両用運転操作補助装置について説明する。第3の実施の形態による車両用運転操作補助装置の基本構成は、図1に示した第1の実施の形態と同様である。ここでは、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第3の実施の形態においては、システムのオーバーライド、すなわちシステム作動中に追い越し等を行うための運転者による介入操作があるか否かを、運転者の操舵操作に基づいて判断する。第3の実施の形態によるオーバーライド判断処理を図27のフローチャートを用いて説明する。この処理は、図13に示したフローチャートのステップS1801で実行される。
まず、ステップS1871では接触可能性のリスクポテンシャルに応じた制御がすでに行われているか否かを判定する。システムが非作動で制御が行われていない場合は、ステップS1872へ進んでオーバーライドなしと判断する。
ステップS1871でリスクポテンシャルに応じた制御がすでに行われていると判定されると、ステップS1873へ進む。ステップS1873では、舵角センサ30で検出される操舵角δに基づいて、操舵角速度δ’を算出する。つづくステップS1874では、操舵角速度δ’を予め設定したしきい値δ0と比較する。操舵角δおよび操舵角速度δ’は操舵方向に応じた正または負の値で表されるので、ここでは操舵角速度の絶対値|δ’|をしきい値δ0と比較する。
|δ’|>δ0の場合はステップS1875へ進み、オーバーライド判断のためのタイマを加算する。つづくステップS1876では、ステップS1875で算出したタイマの値が予め設定したしきい値よりも大きいか否かを判定する。このしきい値は、運転者が操舵操作によって車線変更し、先行車を追い越そうとしているか、すなわち、運転者の介入操作によるオーバーライドありかを判断するためのしきい値であり、運転者の特性等を考慮して予め適切な値を設定しておく。
ステップS1876が肯定判定され、操舵角速度δ’が大きな状態が所定時間以上、継続している場合は、ステップS1877へ進んでオーバーライドありと判断する。一方、ステップS1876が否定判定されるとステップS1872へ進んで、オーバーライドなしと判断する。
ステップS1874が否定判定され、操舵角速度の絶対値|δ’|がしきい値δ0以下の場合、ステップS1878へ進んでオーバーライド判断のためのタイマをリセットする。このようにしてオーバーライド判断を行った後、図13のフローチャートのステップS1802へ進む。
追い越しを行う場合にはステアリングホイールの操舵角速度δ’が大きくなるので、上述したように操舵角速度δ’を用いることによっても運転者の介入操作によるオーバーライドを的確に判断することができる。なお、操舵角速度δ’の代わりに操舵角δを用いてオーバーライド判断を行うことも可能である。
また、以上説明した第3の実施の形態と第2の実施の形態とを組み合わせることも可能である。この場合、アクセルペダル操作量SAの代わりに操舵角δあるいは操舵角速度δ’を用いて駆動トルク係数K_tqを算出する。
−第3の実施の形態の変形例−
オーバーライド判断処理を、運転者によるウィンカ操作に基づいて行うこともできる。この処理を図28のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS1891では接触可能性のリスクポテンシャルに応じた制御がすでに行われているか否かを判定する。システムが非作動で制御が行われていない場合は、ステップS1892へ進んでオーバーライドなしと判断する。
ステップS1891でリスクポテンシャルに応じた制御がすでに行われていると判定されると、ステップS1893へ進む。ステップS1893では、ウィンカの操作状態を検出するセンサ(不図示)からの信号に基づいて、ウィンカがオン操作されているか否かを判定する。ウィンカがオン操作されている場合はステップS1894へ進み、オーバーライド判断のためのタイマを加算する。つづくステップS1895では、ステップS1894で算出したタイマの値が予め設定したしきい値よりも大きいか否かを判定する。このしきい値は、運転者が操舵操作によって車線変更し、先行車を追い越そうとしているか、すなわち、運転者の介入操作によるオーバーライドありかを判断するためのしきい値であり、運転者の特性等を考慮して予め適切な値を設定しておく。
ステップS1895が肯定判定され、ウィンカのオン操作が所定時間以上、継続している場合は、ステップS1896へ進んでオーバーライドありと判断する。一方、ステップS1895が否定判定されるとステップS1892へ進んで、オーバーライドなしと判断する。ステップS1893が否定判定され、ウィンカがオン操作されていない場合は、ステップS1897へ進んでオーバーライド判断のためのタイマをリセットする。このようにしてオーバーライド判断を行った後、図13のフローチャートのステップS1802へ進む。
《第4の実施の形態》
以下に、本発明の第4の実施の形態による車両用運転操作補助装置について説明する。図29に、第4の実施の形態による車両用運転操作補助装置2の構成を示すシステム図を示す。図29において、図1に示した第1の実施の形態と同様の機能を有する箇所には同一の符号を付している。ここでは、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
図29に示すように、車両用運転操作補助装置2は、アクセルペダル61に操作反力を発生させるアクセルペダル反力発生装置60を備えていない。したがって、車両用運転操作補助装置2のコントローラ50Aは、自車両と先行車との接触可能性のリスクポテンシャルに応じた制駆動力制御のみを行う。図30のフローチャートに、第4の実施の形態のコントローラ50Aにおける運転操作補助制御処理の処理手順を示す。
図30のステップS110〜S190の処理は、図8に示した第1の実施の形態と同様である。第4の実施の形態では、ステップS190で制駆動力補正量を算出した後、アクセルペダル反力指令値を算出することなく、ステップS210で制駆動力補正量を出力して処理を終了する。このように、接触可能性のリスクポテンシャルに応じて制駆動力を制御するだけでも、運転者に減速感を与えて注意を喚起することが可能である。ただし、アクセルペダル反力制御と組み合わせることによって、より効果的な情報伝達を行うことができる。
第4の実施の形態と第2の実施の形態を組み合わせて、図20,23〜26のいずれかに示したマップを用いて駆動トルク係数K_tqを可変で設定することももちろん可能である。
上述した第1から第3の実施の形態においては、前方障害物との接触リスクポテンシャルに応じたアクセルペダル反力制御を行った。ただし、これには限定されず、アクセルペダル反力の制御に加えてブレーキペダルに発生する反力を制御することもできる。また、ステアリングホイールに発生する操舵反力を制御することも可能である。
上述した第1から第4の実施の形態においては、接触リスクポテンシャルに応じて、アクセルペダル操作量SAに対する駆動力の特性を減少方向に補正し、ブレーキペダル操作量SBに対する制動力の特性を増加方向に補正した。ただし、これには限定されず、駆動力制御のみを行うシステムにおいても、本発明を適用することが可能である。
上述した第1から第4の実施の形態においては、自車両と障害物との余裕時間TTCと車間時間THWを障害物との接触の可能性に関するリスクポテンシャルとしてそれぞれ算出した。ただしこれには限定されず、車間時間THWのみをリスクポテンシャルとして算出することもできる。
上述した第3の実施の形態と第4の実施の形態を組み合わせることも可能である。具体的には、先行車の減速度afに応じてしきい値T1の減少補正量Trを変更するとともに、しきい値T1の復元量ΔTも変更する。同様に、先行車の減速度afに応じてバネ定数k1の減少補正量krを変更するときに、その復元量Δkを変更することもできる。これにより、先行車が減速している場合には制御用反発力Fcの低下を抑えるとともに、低下した制御用反発力Fcの復帰速度を高めることができる。その結果、車間時間THWが大きくなっている場合でも、前方障害物が減速しているときは運転者に減速感を与えることにより注意を喚起することができる。
上述した第2の実施の形態においては、現在のアクセルペダル操作量SAと初期値SA0との差、オーバーライド判断時のアクセルペダル反力指令値FA,アクセルペダル操作量SA,車間距離D,相対速度Vr,および自車速V1を用いて駆動トルク係数K_tqを算出する例を説明した。ただし、これら以外のファクターを用いて駆動トルク係数K_tqを算出することもできる。あるいは、上述したファクターのうちの複数のファクターを用いて、セレクトハイによって駆動トルク係数K_tqを算出することもできる。
《第5の実施の形態》
以下に、本発明の第5の実施の形態による車両用運転操作補助装置について説明する。第5の実施の形態による車両用運転操作補助装置の基本構成は、上述した第1の実施の形態と同様である。ここでは第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
自車両と先行車との相対速度Vrが大きく自車両が先行車に接近している状態で、システムによる制駆動力の制御が行われると、先行車を追い越そうとアクセルペダル61を踏み込んでも運転者が期待するほどの加速が得られない。とくに自車両と先行車との余裕時間TTCに基づいて制駆動力が制御されている場合は、追い越しの際に自車両が先行車に接近することにより相対速度Vrが増大するので、制御反発力Fcが増加する。その結果、運転者が要求する駆動力に対して自車両に発生する駆動力が低下し、運転者の意図に応じた加速を妨げてしまうことになる。
そこで、第5の実施の形態においては、自車両と先行車との相対速度Vrが大きく自車両が先行車に接近している状態で、システムのオーバーライドありと判定された場合には、自車両に発生する加速度を増大させる。具体的には、オーバーライドありと判定されると、制御反発力Fcを減少する。
第5の実施の形態による車両用運転操作補助装置の動作を、図31を用いて詳細に説明する。図31は、第5の実施の形態のコントローラ50における運転操作補助制御処理の処理手順のフローチャートである。本処理内容は、一定間隔、例えば50msecごとに連続的に行われる。ステップS510〜S570での処理は、図8のフローチャートのステップS110〜S170での処理と同様であるので、説明を省略する。
ステップS580では、車線変更等を行う場合に運転者に違和感を与えないような加速が得られるように、ステップS570で算出した制御反発力Fcを補正する。ここでの処理を図32のフローチャートを用いて説明する。
ステップS5801では、システムのオーバーライド、すなわちシステム作動中に運転者による介入操作があるかを判断する。ここでは図14に示したフローチャートにしたがってオーバーライド判断処理を行う。ステップS5802では、システムによる制御がすでに行われているか否かを判定する。制御作動中でない場合は、ステップS570で算出した制御反発力Fcをそのまま使用する。一方、制御がすでに行われている場合は、ステップS5803へ進む。
ステップS5803では、システムによる制駆動力制御が自車両と先行車との余裕時間TTCに基づいて行われているか否かを判定する。具体的には、ステップS570で算出した制御反発力Fcが余裕時間TTCに基づいて算出した制御反発力Fc2であるか否かを判定する。ステップS5803が肯定判定されると、ステップS5804へ進み、ステップS5801の判断結果からオーバーライドありか否かを判定する。
ステップS5804でオーバーライドあり、すなわち運転者によって追い越し等のための運転操作が加えられたと判定されると、ステップS5805へ進む。ステップS5805では、余裕時間TTCに基づいて算出された制御反発力Fcがしきい値Fc0よりも大きいか否かを判定する。ここで、しきい値Fc0は、オーバーライド時に自車両の加速を増大させるときの制駆動力の変化量に相当し、例えば0.7m/s2の減速度相当の値に設定する。0.7m/s2の減速度は、車重を1700kgとすると約1200Nとなる。
Fc>Fc0の場合は、ステップS5806へ進み、ステップS570で算出した制御反発力Fcからしきい値Fc0を引いた値(Fc−Fc0)を、新たに制御反発力Fcとして設定する。Fc≦Fc0の場合は、ステップS5807へ進み、制御反発力Fc=0に設定する。一方、ステップS5803またはS5804が否定判定され、システムによる制駆動力制御が車間時間THWに基づいて行われている場合、またはオーバーライドなしと判定された場合は、ステップS570で算出した制御反発力Fcをそのまま使用する。
このようにステップS580で制御反発力Fcを補正した後、ステップS590へ進んでステップS580で求めた制御反発力Fcとアクセルペダル操作量SAに応じたドライバ要求駆動力Fdaを用いて、制駆動力補正量ΔDa,ΔDbを算出する。ステップS590〜S620での処理は、図8のフローチャートのステップS190〜S220と同様であるので説明を省略する。
第5の実施の形態による車両用運転操作補助装置の作用を、図33を用いて説明する。図33は、自車両と先行車との相対速度Vrが大きく自車両が先行車に接近している状態における制御反発力Fcの時間変化を示している。自車両が先行車に接近していくにつれて制御反発力Fcは徐々に増加する。この制御反発力Fcが自車両と先行車との余裕時間TTCに基づいて算出されている場合は、時間t1でオーバーライドありと判定されると、制御反発力Fcがしきい値Fc0分、不連続に低下する。
自車両が先行車に接近していく場合、制御反発力Fcの増加に応じて自車両に発生する駆動力が低下、または制動力が増加するため、例えば運転者が先行車を追い越そうとしてアクセルペダル61を踏み込んだときに、自車両に発生する駆動力の増加が抑制される。そこで、上述したように制御反発力Fcを補正することにより、自車両に発生する駆動力の低下量あるいは制動力の増加量が抑制されるので、追い越し等のためにアクセルペダル61を踏み込んだときに運転者にわずらわしさを与えることのない制御を行うことができる。
このように、以上説明した第5の実施の形態においては以下のような作用効果を奏することができる。
(1)コントローラ50は、自車両前方の障害物検出結果と自車両の走行状態の検出結果とに基づいて自車両と障害物との接触の可能性を表すリスクポテンシャルを算出する。コントローラ50は、リスクポテンシャルに基づいて自車両に発生する制駆動力を増減するとともに(増減機能)、算出されたリスクポテンシャルが所定条件を満たしているかを判定し、所定条件を満たすリスクポテンシャルに基づいて駆動力が低下されているときに車両操作機器を操作した追加操作量に基づいて、自車両に発生する加速度を増大させる(加速度増大機能)。これにより、制駆動力を変化して減速感を与えることにより運転者にリスクポテンシャルを伝達するとともに、駆動力が低下されているときに運転者が車両操作機器の操作を追加してシステムの制御に介入した場合には、運転者の加速意図に応じた加速を実現することが可能となる。
(2)コントローラ50は、自車両と前方障害物との余裕時間TTCに基づく第1のリスク度と車間時間に基づく第2のリスク度とをそれぞれ算出し、第1のリスク度および第2のリスク度から自車両の潜在的なリスク度合を表すリスクポテンシャルを算出する。そして、第1のリスク度が第2のリスク度よりも大きい場合に、リスクポテンシャルが所定条件を満たしていると判定して加速度増大機能を実行する。具体的には、余裕時間TTCに基づく制御反発力Fc2と車間時間THWに基づく制御反発力Fc1とがそれぞれ第1のリスク度および第2のリスク度に相当し、制御反発力Fc1,Fc2の大きい方の値がリスクポテンシャルに相当する。これにより、自車両と先行車との相対速度Vrを用いて算出される第1のリスク度が支配的な場合に加速度増大機能を実行するので、オーバーライド時に加速しようとする運転者にわずらわしさを与えることのない制御を行うことが可能となる。
《第6の実施の形態》
以下に、本発明の第6の実施の形態による車両用運転操作補助装置について説明する。第6の実施の形態による車両用運転操作補助装置の基本構成は、上述した第1の実施の形態と同様である。ここでは上述した第5の実施の形態との相違点を主に説明する。
第6の実施の形態においては、自車両と先行車との相対速度Vrが大きく自車両が先行車に接近している状態で、システムのオーバーライドありと判定された場合には、ドライバ要求駆動力Fdaを増加方向に補正する。
第6の実施の形態による車両用運転操作補助装置の動作を、図34を用いて詳細に説明する。図34は、第6の実施の形態のコントローラ50における運転操作補助制御処理の処理手順のフローチャートである。本処理内容は、一定間隔、例えば50msecごとに連続的に行われる。ステップS570で制御反発力Fcを算出した後、ステップS580Aに進んで駆動力特性を補正する。ここでの処理を図35のフローチャートを用いて説明する。
ステップS5811〜S5815までの処理は、図32のフローチャートのステップS5801〜S5805までの処理と同様である。ステップS5815でFc>Fc0と判定されると、ステップS5816へ進む。ステップS5816では、アクセルペダル操作量SAに応じて図5と同様のマップから算出されるドライバ要求駆動力Fdaに、しきい値Fc0相当の値、例えば0.7m/s2の加速度相当の値を加算した値(Fda+Fc0)を、ドライバ要求駆動力Fdaとして設定する。0.7m/s2の加速度は、車重を1700kgとすると約1200Nとなる。
Fc≦Fc0の場合は、ステップS5817へ進み、ドライバ要求駆動力Fdaとして制御反発力Fc相当の値を設定する。このように、ドライバ要求駆動力Fdaの増加量がその時点での制御反発力Fcを超えないように、すなわち制御反発力Fcを上限としてドライバ要求駆動力Fdaを増加補正する。一方、ステップS5812、S5813,またはS5814が否定判定された場合は、ステップS5818へ進み、図5と同様のマップに従い、アクセルペダル操作量SAに基づいてドライバ要求駆動力Fdaを算出する。
このようにステップS580Aでドライバ要求駆動力Fdaを算出した後、ステップS590へ進み、ステップS570で算出した制御反発力FcとステップS580Aで算出したドライバ要求駆動力Fdaを用いて制駆動力補正量ΔDa,ΔDbを算出する。ステップS590〜S620での処理は、図8のフローチャートのステップS190〜S220と同様であるので説明を省略する。
第6の実施の形態による車両用運転操作補助装置の作用を、図36(a)(b)を用いて説明する。図36(a)(b)は、自車両と先行車との相対速度Vrが大きく自車両が先行車に接近している状態における制御反発力Fcの時間変化、およびドライバ要求駆動力Fdaの時間変化をそれぞれ示している。自車両が先行車に接近していくにつれて制御反発力Fcは徐々に増加する。このとき、アクセルペダル操作量SAに応じたドライバ要求駆動力Fdaはほぼ一定であるとする。
時間t1でアクセルペダル61が踏み込まれ、オーバーライドありと判定されると、図36(b)に点線で示したアクセルペダル操作量SAに応じた値に比べて、ドライバ要求駆動力Fdaが実線で示すように増大方向に補正される。図36(a)に示すように、オーバーライドありと判定されてからも制御反発力Fcは増加していくが、ドライバ要求駆動力Fdaが増加方向に補正されているので、自車両に発生する駆動力の低下量あるいは制動力の増加量が抑制される。すなわち、上述した第5の実施の形態と同様に制御反発力Fcを破線で示すように低下した場合と同様の効果を得ることができる。
《第7の実施の形態》
以下に、本発明の第7の実施の形態による車両用運転操作補助装置について説明する。第7の実施の形態による車両用運転操作補助装置の基本構成は、上述した第1の実施の形態と同様である。ここでは上述した第5の実施の形態との相違点を主に説明する。
第7の実施の形態においては、自車両と先行車との相対速度Vrが大きく自車両が先行車に接近している状態で、システムのオーバーライドありと判定された場合には、所定時間が経過するまで制御反発力Fcの補正を行う。
第7の実施の形態における制御反発力Fcの補正処理を、図37のフローチャートを用いて説明する。この処理は、図31に示したフローチャートのステップS580で行われる。ステップS5821〜S5824までの処理は、図32のフローチャートのステップS5801〜S5804までの処理と同様である。
ステップS5824でオーバーライドありと判定されると、ステップS5825へ進み、オーバーライドありと最初に判定されてからの経過時間が、所定時間T0よりも大きいか否かを判定する。ここで、所定時間T0はオーバーライド時に制御反発力Fcを補正する期間を示しており、オーバーライド時に運転者にわずらわしさを与えないような制御反発力Fcの補正を実現できるように予め適切な時間を設定しておく。
ステップS5825が肯定判定され、オーバーライドありと判定されてから所定時間T0が経過している場合は、制御反発力Fcの補正を行わない。一方、オーバーライドありとの判定後、まだ所定時間T0が経過していない場合は、ステップS5826へ進み、制御反発力Fcを所定値Fc0と比較する。ステップS5826以降の処理は、図32のステップS5805以降の処理と同様である。
このように制御反発力Fcの補正をオーバーライド判定時から所定時間T0に限定して行うことにより、運転者の介入操作時のわずらわしさの軽減と、自車両周囲のリスクポテンシャルの伝達とを両立することが可能となる。
なお、第7の実施の形態を、上述した第1〜第6の実施の形態と組み合わせて行うことももちろん可能である。すなわち、オーバーライド判定時から所定時間T0が経過するまで駆動力特性の補正を行うようにする。これによっても、オーバーライド時に運転者の加速意図を尊重した制御を行うとともに、所定時間T0経過後は、速やかにリスクポテンシャルの伝達を行うことができる。
以上説明した第1から第7の実施の形態においては、レーダ装置10および障害物検知装置40が障害物検出手段として機能し、車速センサ20が走行状態検出手段として機能し、コントローラ50,50Aがリスクポテンシャル算出手段および処理手段として機能することができる。また、駆動力制御装置70と制動力制御装置90が制駆動力制御手段として機能し、アクセルペダルストロークセンサ62および操舵角センサ30が操作量検出手段として機能し、アクセルペダル反力発生装置60が操作反力制御手段として機能することができる。なお、上述した第1から第7の実施の形態においては、レーザレーダをレーダ装置10として用いる例を説明したが、レーザレーダの代わりにミリ波レーダ等の別方式のレーダ装置を用いることももちろん可能である。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。