JP4742207B2 - 負の誘電率異方性を有する2,3−ジフルオロフェニル誘導体、液晶組成物および液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規液晶性化合物および液晶組成物に関し、さらに詳しくは、ジフルオロメチレンオキシ部位を有する液晶性化合物、この化合物を含有する液晶組成物およびこの液晶組成物を用いて構成した液晶表示素子に関する。
【0002】
【背景技術】
液晶性化合物(本願において、液晶性化合物なる用語は、液晶相を示す化合物および液晶相を示さないが液晶組成物の構成成分として有用である化合物の総称として用いられる)を用いた液晶表示素子は、コンピューター、テレビジョン等のディスプレイに広く活用されている。
液晶組成物には低消費電力化、漏洩電磁波の減少を目的に、駆動電圧を低くすることが求められている。駆動電圧(しきい値電圧)は下式に示されるように、誘電率異方性値と弾性定数との関数であることが知られている(M. F. Leslie, Mol. Cryst. Liq. Cryst., 12, 57 (1970))
【0003】
【式1】
【0004】
(上式において、Vthはしきい値電圧、ε0は真空の誘電率、Kは弾性定数、Δεは誘電率異方性をそれぞれ示す)
すなわち、駆動電圧を低くするためには、1)誘電率異方性値を大きくする、2)弾性定数を小さくする、ことが必要である。一般には液晶性化合物の弾性定数の値を調整することは困難とされ、駆動電圧の低電圧化にはもっぱら誘電率異方性値を大きくする方策が採られている。したがって、大きな誘電率異方性値を有する新規液晶性化合物が待望されている。
ところで以前から液晶表示素子の最大の問題点は視野角が狭いという点であり、近年その改善を目的に種々の表示方式が提案されている。1995年に提案されたインプレーン・スイッチング(IPS)表示素子は、従来の表示素子に比較して視野角を格段に広くした(液晶討論会 2A07 (1995)、 ASIA DISPLAY '95、 557 (1995)、 ASIA DISPLAY '95、 707 (1995))。そして本方式の特徴は、誘電率異方性値の正負に関係なく各種の液晶組成物を利用できるという点である。
また、1997年には垂直配向(VA)セルを活用した試みが報告され(SID 97 DIGEST、 845 (1997))、この方式の表示素子も従来の表示素子に比較し視野角が格段に広い。そして本方式の特徴は、誘電率異方性値が負の液晶組成物を利用できる点である。
【0005】
大きな負の誘電率異方性と比較的小さな光学異方性値を有する化合物として、下記の化合物(13)が知られている(V. Reiffenrath ら、Liq. Cryst., 5 (1), 159 (1989))。この化合物の誘電率異方性値は(Δε=−4.1)、光学異方性値は(Δn=0.18)であると報告されている。
【0006】
【化6】
【0007】
化合物(13)は大きな誘電率異方性値を示すが、光学異方性値が大きく、IPSあるいはVAモードの要求値を満たすことが出来なかった。
【0008】
MaierおよびMaeierによれば、誘電率異方性値および光学異方性値はオーダーパラメーターの関数であるとされている(W. Maier and G. Meier、Z. Naturf. (a)、16、262 (1961))。つまりオーダーパラメーターを減少せしめれば光学異方性値を減少させる事が可能である。一般的に液晶単分子において光学異方性値と誘電率異方性値は比例関係にあり、光学異方性値を減少させようとすると、それにつれて誘電率異方性値の減少も引き起こしてしまう。このため、誘電率異方性値の大幅な減少を引き起こさず光学異方性値のみを低下せしめる特異的な性質を持つ新規化合物が待望されていた。
【0009】
また、光学異方性値が小さい化合物として、シアノ基が導入された化合物(14)も知られている(R. Eidenschinkら、Angew. Chem., 96, 151 (1984))。これは大きな誘電率異方性値と小さな光学異方性値を併せ持つ化合物である。しかし比抵抗値が低く、電圧保持率の温度依存性が極めて大きい為、これを用いたIPSおよびVAモードの液晶組成物はコントラストが極めて低かった。ゆえに、IPSおよびVAモードの液晶組成物に用いる液晶性化合物としては不適格である。
【0010】
【化7】
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記の液晶性化合物に要求される諸特性に鑑み、負に極めて大きな誘電率異方性値と小さな光学異方性値とを同時に有する液晶性化合物、これを含有する液晶組成物および該液晶組成物を用いて構成した液晶表示素子を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、2つの環構造を−CF2O−結合基で架橋した部分構造と、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基なる部分構造を同時に有する2環、3環、4環系化合物が、大きな負の誘電率異方性値を示すばかりか、他の化合物との相溶性に優れ、また高い比抵抗値、及び高い電圧保持率を有し、かつ物理的・化学的にも安定であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は[1]〜[22]の構成を有する。
[1] 一般式(1)
【化8】
(RaおよびRbは各々独立して炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を示し、これらの基中の任意のメチレン鎖は−O−、−S−,−CH=CH−,または−C≡C−で置換されてもよいが、−O−が連続することはなく、これらの基中の任意の水素原子はハロゲン原子に置換されてもよく;環A1〜A4は各々独立してトランス−1,4−シクロヘキシレン、シクロヘキセン−1、4−ジイル、ピリジン−1、4−ジイル、ピリミジン−2、5−ジイルまたは1、4−フェニレンを示すが、これらの環上の少なくとも1つの水素原子はハロゲン原子に置換されてもよく、またシクロヘキサン環の相隣接しない任意のメチレン基は−O−で置換されてもよく、;Y1,Y2はそれぞれ独立してF,Clを示し;Z1、Z2、およびZ3は各々独立して単結合、−CH2CH2−,−(CH2)4−、−COO−,−OCO−,−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、または−OCF2−を示し;ただしl,mおよびnはそれぞれ独立して0,1または2を示すが、l+m+nの合計は3以下である)で表される液晶化合物。
[2] 一般式(1)において、Y1,Y2がフッ素原子である[1]に記載の液晶性化合物。
[3] 一般式(1)において、Y1,Y2がフッ素原子であり、環A2がトランス−1,4−シクロヘキシレンである[1]に記載の液晶性化合物。
[4] 一般式(1)において、Y1,Y2がフッ素原子であり、環A2がシクロヘキセン−1,4−ジイルである[1]に記載の液晶性化合物。
[5] 一般式(1)において、Y1,Y2がフッ素原子であり、環A2が環上の水素原子がフッ素原子で置換されてもよい1,4−フェニレンである[1]に記載の液晶性化合物。
[6] 一般式(1)において、l=1,m=n=0であり、環A1、A2がトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、Z1が単結合であり、Y1,Y2がフッ素原子である[1]に記載の液晶性化合物。
[7] 一般式(1)において、l=1,m=n=0であり、環A1がトランス−1,4−シクロヘキシレン、環A2シクロヘキセン−1,4−ジイルがであり、Z1が単結合で、Y1,Y2がフッ素原子である[1]に記載の液晶性化合物。
[8] 一般式(1)において、l=1,m=n=0であり、環A1がトランス−1,4−シクロヘキシレン、環A2が環上の水素原子がフッ素原子で置換されてもよい1,4−フェニレンであり、Z1が単結合、Y1,Y2がフッ素原子である[1]に記載の液晶性化合物。
[9] 一般式(1)において、l=n=0、m=1であり、環A2がトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、環A3が環上の水素原子がフッ素原子で置換されてもよい1,4−フェニレンであり、Z2が単結合、Y1,Y2がフッ素原子である[1]に記載の液晶性化合物。
[10] 一般式(1)において、l=n=0、m=1であり、環A2がシクロヘキセン−1,4−ジイルであり、環A3が環上の水素原子がフッ素原子で置換されてもよい1,4−フェニレンであり、Z2が単結合、Y1,Y2がフッ素原子である[1]に記載の液晶性化合物。
[11] 一般式(1)において、l=m=1、n=0、Y1,Y2がフッ素原子である[1]に記載の液晶性化合物。
[12] 一般式(1)において、l=2、m=n=0、Y1,Y2がフッ素原子である[1]に記載の液晶性化合物。
[13] [1]〜[12]のいずれか1項に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
[14] 第一成分として、[1]〜[12]のいずれか1項に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成分として、一般式(2)、(3)および(4)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
【化9】
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を示し、この基中の相隣接しない任意の−CH2−基は酸素原子または−CH=CH−で置換されてもよく、また、この基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されてもよく;X1はフッ素原子、塩素原子、−OCF3、−OCF2H、−CF3、−CF2H、−CFH2、−OCF2CF2Hまたは−OCF2CFHCF3を示し;L1およびL2は各々独立して水素原子またはフッ素原子を示し;Z4およびZ5は各々独立して−(CH2)2-、−(CH2)4-、−COO−、−CF2O−、−OCF2-、−CH=CH−または単結合を示し;環Aおよび環Bはそれぞれ独立してトランス−1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または水素原子がフッ素原子で置換されてもよい1,4−フェニレンを示し、環Cはトランス−1,4−シクロヘキシレンまたは水素原子がフッ素原子で置換されてもよい1,4−フェニレンを示す。)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする液晶組成物。
[15] 第一成分として、[1]〜[12]に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成分として、一般式(5)および(6)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物
【化10】
(式中、R2およびR3は各々独立して炭素数1〜10のアルキル基を示し、この基中の相隣接しない任意の−CH2−は酸素原子または−CH=CH−で置換されてもよく、また、この基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されてもよく;X2は−CN基または−C≡C−CNを示し;環Dはトランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたはピリミジン−2,5−ジイルを示し;環Eはトランス−1,4−シクロヘキシレン、水素原子がフッ素原子で置換されてもよい1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルを示し;環Fはトランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示し;Z6は−(CH2)2-、−COO−、-CF2O-、-OCF2−または単結合を示し;L3、L4およびL5は各々独立して水素原子またはフッ素原子を示し;b、cおよびdは各々独立して0または1を示す。)
[16] 第一成分として、[1]〜[12]に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成分として、一般式(7)、(8)および(9)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
【化11】
(式中、R4およびR5は各々独立して炭素数1〜10のアルキル基を示し、この基中の相隣接しない任意のメチレン基は酸素原子または−CH=CH−で置換されてもよく、また、この基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されてもよく;環Gおよび環Iは各々独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示し;L6およびL7は各々独立して水素原子またはフッ素原子を示すが同時に水素原子を示すことはなく;Z7およびZ8は各々独立して−(CH2)2-、−COO−または単結合を示す。)
[17] 第一成分として、[1]〜[12]に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成分として、前記一般式(2)、(3)および(4)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有し、第三成分として、一般式(10)、(11)および(12)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
【化12】
(式中、R6およびR7は各々独立して炭素数1〜10のアルキル基を示し、この基中の相隣接しない任意の−CH2−基は酸素原子または−CH=CH−で置換されてもよく、また、この基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されてもよく;環J、環Kおよび環Mは各々独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または水素原子原子がフッ素原子で置換されてもよい1,4−フェニレンを示し;Z9およびZ10は各々独立して、−C≡C−、−COO−、−(CH2)2-、−CH=CH−または単結合を示す。)
[18] 第一成分として、[1]〜[12]に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成分として、前記一般式(7)(8)および(9)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有し、第三成分として、前記一般式(10)、(11)および(12)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
[19] 第一成分として、[1]〜[12]に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成分として、前記一般式(2)、(3)および(4)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有し、第三成分として、前記一般式(7)、(8)および(9)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
[20] 第一成分として、[1]〜[12]に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成分として、前記一般式(2)、(3)および(4)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有し、第三成分として、前記一般式(5)および(6)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有し、第四成分として、前記一般式(7)、(8)および(9)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
[21] [13]〜[20]のいずれか1項に記載の液晶組成物に、さらに1種類以上の光学活性化合物を含有することを特徴とする液晶組成物。
[22] [13]〜[21]のいずれか1項に記載の液晶組成物を用いて構成した液晶表示素子。
一般式(1)で表される液晶性化合物のうち特に好ましい特性を示す化合物は一般式(1−1)〜(1−6)で表される下記の化合物である。
(式中Ra、Rb、環A1、A2、A3,A4は前記と同じ意味を示す。)
【0013】
【化13】
【0014】
一般式(1)において、Ra及びRbは、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルケニルオキシ基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アルケニル基、ハロゲン置換アルケニルオキシ基、ハロゲン置換アルコキシ基、ハロゲン置換アルキニル基等である。Ra及びRbが、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、ハロゲン置換アルキル基またはハロゲン置換アルコキシ基である化合物は化学的に安定であり、アルケニル基、またはアルキニル基である化合物はやや大きな光学異方性を示す。
また、Ra及びRbがアルキル基、アルコキシ基、またはアルケニル基である化合物は、低い粘性を有するので好ましい。また、IPS方式あるいはVA方式の表示素子に使用する場合は、高い化学的な安定性と大きな誘電率異方性値が要求されるので、Rbがアルキル基、アルコキシ基である化合物が最適である。
一般式(1)においてZ1 、Z2 およびZ3は、好ましくは単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−(CH2)4−、−COO−、−OCO−、−CF2O−、または−OCF2−である。Z1、Z2およびZ3が各々独立に単結合である場合、低い粘性を示すと共に、広い温度範囲でネマチック相を示す。
【0015】
Y1およびY2は、フッ素原子あるいは塩素原子を示すが、特にフッ素原子が好ましく、化合物はより負に大きな誘電率異方性を示す。特にY1およびY2が共にフッ素原子である場合、最も大きな負の誘電率異方性値を示す。
環A1、A2、A3およびA4は、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,4−フェニレンあるいはフッ素置換1,4−フェニレン、ピリダジン−3,6−ジイル、ピリジン−2,5−ジイルまたはピリミジン−2,5−ジイルが最適であるが、粘性の低い化合物を得るにはシクロヘキサン−1,4−ジイルが最適である。環A1、A2またはA3が1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである化合物は、小さな弾性定数値(K)を示し、IPS方式及びVA方式を含むTNモードの液晶表示素子の駆動電圧を低下せしめるので好ましい。又、環A1、A2、A3またはA4がフッ素置換1,4−フェニレン、ピリダジン−3,6−ジイル、ピリジン−2,5−ジイルまたはピリミジン−2,5−ジイルである化合物は誘電率異方性値がより大きな値を示す。
一般式(1)で表される化合物は、公知の有機合成化学的手法を適切に組み合わせることにより製造できる。公知の有機化学的手法は、Organic Synthesis、Organic Reactions、新実験化学講座等の成書を参照することで知ることができる。以下にその代表例を示す。
文献公知の方法で製造できるカルボン酸誘導体(1)に種々のフェノールやアルコール(2)を作用させた後、脱水縮合反応を行うことにより、結合基がエステル基である一般式(1)の化合物(3)を合成することができる。脱水縮合反応は公知の脱水剤(例えばジシクロヘキシルカルボジイミド等)によって好適に実施出来るが、カルボン酸誘導体(1)を酸無水物に誘導し、塩基性条件下フェノールやアルコール(2)を作用させることでも好適に合成できる。
エステル誘導体(3)をローソン試薬などの公知の硫黄化剤により化合物(4)へと誘導できる。化合物(4)のチオカルボニル基をフッ化水素ピリジン(M. Kuroboshi et al., Chem. Lett., 827, 1992)、ジエチルアミノサルファトリフルオリド(William H. Bunnelle et al., J. Org. Chem. 1990, 55, 768)などのフッ素化剤でフッ素化することにより、結合基がOCF2である一般式(1)の化合物(5)を合成できる。
文献公知の方法で製造できるカルボン酸誘導体(1)を酸塩化物(6)に誘導し、塩化水銀(II)存在下トリメチルシリルエノールエーテル(7)を作用させることで(Kenneth J. Shea et al., J. Am. Chem. Soc. 1987, 109, 447) 一般式(1)の環A2が1−シクロヘキセン1,4−ジイルであり、結合基がエステル基である化合物(8)を合成することができる。
エステル誘導体(8)をローソン試薬などの公知の硫黄化剤により化合物(9)へと誘導できる。化合物(9)のチオカルボニル基をフッ素化剤でフッ素化することで一般式(1)の結合基がOCF2である化合物(10)を合成できる。
【0016】
【化14】
【0017】
【化15】
【0018】
環A1、A2、A3またはA4の部位に1,3−ジオキサン−2,5−ジイルを導入するには、H. M. Vorbrodt、 R. Eidenschink らの方法(H. M. Vorbrodt, J. Prakt. Chem., 323, 902 (1981)、 R. Eidenschink, DE-OS3306960(1983))に従えばよい。
【0019】
このようにして得られる本発明の液晶性化合物は、大きな負の誘電率異方性値を示すので、液晶表示素子の低電圧駆動が実現できる。
また、液晶性化合物は、液晶表示素子が通常使用される条件下において物理的および化学的に十分安定であり、種々の液晶材料と容易に混合し、低温下でも非常に優れた相溶性を有するので、ネマチック液晶組成物の構成成分として極めて優れている。
これらの化合物は大きな負の誘電率異方性値と同時に、比較的小さな光学異方性値を有しており、IPS方式およびVA方式用の液晶組成物の構成成分として特に好適に使用することができる。
【0020】
以下、本発明の液晶組成物に関して説明する。液晶組成物は、一般式(1)で示される化合物を少なくとも1種類含む第一成分のみでもよい。これに加え、第二成分として既述参照の一般式(2)、(3)および(4)からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物(以下第二A成分と称する)および/または一般式(5)および(6)からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物(以下第二B成分と称する)を混合したものが好ましい。さらに、しきい値電圧、液晶相温度範囲、屈折率異方性値、誘電率異方性値および粘度等を調整する目的で、一般式(10)、(11)および(12)からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を第三成分として混合することもできる。また、本発明に使用される液晶組成物の各成分は物理特性に大きな差異がないことから、各元素の同位体元素からなる類縁体でも差し支えない。
上記第二A成分のうち、一般式(2)に含まれる化合物の好適例として次の(2−1)〜(2−9)、一般式(3)に含まれる化合物の好適例として(3−1)〜(3−94)、一般式(4)に含まれる化合物の好適例として(4−1)〜(4−33)をそれぞれ挙げることができる。
【0021】
【化16】
【0022】
【化17】
【0023】
【化18】
【0024】
【化19】
【0025】
【化20】
【0026】
【化21】
【0027】
【化22】
【0028】
【化23】
【0029】
【化24】
【0030】
【化25】
【0031】
【化26】
【0032】
【化27】
【0033】
【化28】
【0034】
(式中、R1、X1は前記と同じ意味を表す。)
これらの一般式(2)〜(4)で示される化合物は、誘電率異方性値が正を示し、熱安定性や化学的安定性が非常に優れているので、主としてTFT用の液晶組成物に用いられる。TFT用の液晶組成物を調製する場合、該化合物の使用量は、液晶組成物の全重量に対して1〜99重量%の範囲が適するが、好ましくは10〜97重量%、より好ましくは40〜95重量%である。また一般式(10)〜(12)で表される化合物を粘度調整の目的でさらに添加してもよい。
【0035】
次に、前記第二B成分のうち、一般式(5)および(6)に含まれる化合物の好適例として、それぞれ(5−1)〜(5−40)および(6−1)〜(6−3)を挙げることができる。
【0036】
【化29】
【0037】
【化30】
【0038】
【化31】
【0039】
【化32】
【0040】
【化33】
【0041】
【化34】
【0042】
(式中、R2,R3およびX2は前記と同じ意味を表す。)
一般式(5)および(6)で示される化合物は、誘電率異方性値が正でその値が非常に大きいので主としてSTN、TN用の液晶組成物に用いられる。これらの化合物は組成物成分として特にしきい値電圧を小さくする目的で使用される。粘度の調整、屈折率異方性値の調整および液晶相温度範囲を広げる等の目的や、さらに急峻性を改良する目的にも使用される。STNまたはTN用の液晶組成物を調製する場合には一般式(5)および(6)で表される化合物の使用量は0.1〜99.9重量%の範囲が適用できるが好ましくは10〜97重量%、より好ましくは40〜95重量%である。しきい値電圧、液晶相温度範囲、屈折率異方性値、誘電率異方性値及び粘度等を調整する目的で後述の第三成分を混合することもできる。
【0043】
垂直配向モード(VAモード)等に用いられる、誘電率異方性が負の液晶組成物を調製する場合には一般式(7)〜(9)からなる群から選ばれる少なくとも一種類の化合物(以下第二C成分)を混合した物が好ましい。第二C成分の一般式(7)〜(9)に含まれる化合物の好適例として、それぞれ(7−1)〜(7−3)、(8−1)〜(8−5)および(9−1)〜(9−3)を挙げることができる。
【0044】
【化35】
【0045】
(式中、R4,R5は前記と同じ意味を表す)
一般式(7)〜(9)で表される化合物は、誘電率異方性値が負の化合物である。一般式(7)で表される化合物は2環化合物であるので、主としてしきい値電圧の調整、 粘度調整または屈折率異方性値の調整の目的で使用される。一般式(8)で表される化合物は透明点を高くする等のネマチックレンジを広げる目的の他、しきい値電圧を小さくする目的および屈折率異方性値を大きくする目的で使用される。
一般式(7)〜(9)で表される化合物は主として誘電率異方性の値が負であるVAモード用の液晶組成物に使用される。その使用量を増加させると組成物のしきい値電圧が小さくなるが、粘度が大きくなる。従って、しきい値電圧の要求値を満足している限り、少なく使用することが好ましい。しかしながら、誘電率異方性値の絶対値が5以下であるので、40重量%より少なくなると電圧駆動ができなくなる場合がある。一般式(7)〜(9)で表される化合物の使用量は、VAモード用の組成物を調製する場合には40重量%以上が好ましいが、50〜95重量%が好適である。また弾性定数をコントロールし、組成物の電圧透過率曲線を制御する目的で、一般式(7)〜(9)で表される化合物を誘電率異方性値が正である組成物に混合する場合もある。この場合の一般式(7)〜(9)で表される化合物の使用量は30重量%以下が好ましい。
【0046】
本発明の液晶組成物の第三成分のうち、一般式(10)〜(12)に含まれる化合物の好適例として、それぞれ(10−1)〜(10−11)、(11−1)〜(11−18)および(12−1)〜(12−6)を挙げることができる。
【0047】
【化36】
【0048】
【化37】
【0049】
【化38】
【0050】
【化39】
【0051】
(式中、R6およびR7は前記と同じ意味を表す。)
一般式(10)〜(12)で表される化合物は、誘電率異方性値の絶対値が小さく、中性に近い。一般式(10)で表される化合物は主として粘度調整または屈折率異方性値の調整の目的で使用される。また一般式(11)および(12)で表される化合物は透明点を高くする等のネマチックレンジを広げる目的または屈折率異方性値の調整の目的で使用される。
一般式(10)〜(11)で表される化合物の使用量を増加させると液晶組成物のしきい値電圧が大きくなり、粘度が小さくなる。従って、液晶組成物のしきい値電圧要求値を満足している限り、多量に使用することが望ましい。TFT用の液晶組成物を調製する場合に、一般式(10)〜(12)で表される化合物の使用量は、好ましくは40重量%以下、より好ましくは35重量%以下である。また、STNまたはTN用の液晶組成物を調製する場合には、一般式(10)〜(12)で表される化合物の使用量は、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
本発明に従い提供される液晶組成物は、一般式(1)で示される液晶性化合物の少なくとも1種類を0.1〜99重量%の割合で含有することが、優良な特性を発現せしめるために好ましい。
【0052】
該液晶組成物はそれ自体公知の方法、例えば種々の成分を高温度下で相互に溶解させる方法等により一般に調製される。また、必要により、適当な添加物を加えることによって、意図する用途に応じた改良がなされ、最適化される。 このような添加物は当該業者によく知られており、文献などに詳細に記載されている。通常、液晶のらせん構造を誘起して必要なねじれ角を調整し、逆ねじれを防ぐといった効果を有するキラルドープ剤などが添加される。この場合に使用されるキラルドープ剤の例として以下の光学活性化合物を挙げることができる。
【0053】
【化40】
【0054】
本発明の液晶組成物は、通常、これらの光学活性化合物を添加して、ねじれのピッチを調整する。ねじれのピッチはTFT用およびTN用の液晶組成物であれば40〜200μmの範囲に調整するのが好ましい。STN用の液晶組成物であれば6〜20μmの範囲に調整するのが好ましい。また、双安定TN(Bistable TN)モード用の場合は、1.5〜4μmの範囲に調整するのが好ましい。また、ピッチの温度依存性を調整する目的で2種以上の光学活性化合物を添加してもよい。
また、メロシアニン系、スチリル系、アゾ系、アゾメチン系、アゾキシ系、キノフタロン系、アントラキノン系およびテトラジン系等の二色性色素を添加すれば、GH型用の液晶組成物として使用することもできる。本発明の組成物は、ネマチック液晶をマイクロカプセル化して作製したNCAPや、液晶中に三次元網目状高分子を形成して作製したポリマー分散型液晶表示素子(PDLCD)、例えばポリマーネットワーク液晶表示素子(PNLCD)に使用できる。そのほかに、複屈折制御(ECB)型やDS型用にも使用できる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
実施例1
2,3−ジフルオロ−1−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニルオキシ)ジフルオロメチル−4−エトキシベンゼンの合成。一般式(1)において、Raがn−プロピル基、Rbがエトキシ基、l=1,m=n=0、環A1がトランス−1,4−シクロヘキサン、Z1が単結合、A2が1、4−フェニレン基、Y1とY2が共にフッ素原子である、化合物番号66の化合物。
【0056】
第1段
1l三口フラスコ中、2,3−ジフルオロ−4−エトキシ安息香酸(a) 6.60gと4−(4−プロピル−1−シクロヘキシル)フェノール(b)7.06gを塩化メチレン450mLに溶解させた。そこに4−ジメチルアミノピリジン4.09gを加え、室温で1時間攪拌させた。そこに塩化メチレン195mLにN、N−ジシクロヘキシルカルボジイミド7.60gを溶解させた溶液を加え、一晩攪拌した。ジエチルエーテルを加え析出した尿素を濾別し、飽和食塩水を加え、1時間攪拌した。分液し、有機層を3規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、13.1gの4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニル 4−エトキシ−2,3−ジフルオロベンゾアート(c)を得た。
第2段
第1段で得られたベンゾアート(c)10.0gとローソン試薬20.1gとメシチレン100mlとを窒素置換された300ml三口フラスコに入れ、6時間加熱還流した。室温まで冷却し水を加え、分液し水層をトルエンで抽出し、有機層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、6.11gのO−4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニル 4−エトキシ−2,3−ジフルオロチオベンゾアート(d)を得た。
第3段
300ml三口フラスコにN−ブロモスクシンイミド3.43gと塩化メチレン80mlを加えて窒素雰囲気下−60℃で攪拌した。そこにゆっくりと70%フッ化水素ピリジン8.3gを加え、同じ温度で10分間攪拌した。その後第2段で得られたベンゾアート(d)4.04gを塩化メチレン40mlに溶解させ、ゆっくりと滴下させ、同じ温度で3時間攪拌した。反応液を室温に戻し、飽和炭酸ナトリウム水溶液を滴下し、一晩攪拌した。分液し水層を塩化メチレンで抽出し有機層と合わせ、飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液、3規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下留去し、3.53gの2,3−ジフルオロ−1−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニルオキシ)ジフルオロメチル−4−エトキシベンゼン(66)を得た。この化合物はネマチック相を持つ無色結晶であった。
C 21.5℃ N 118℃ I
1H−NMR(CDCl3)δ:7.38−7.35(q,1H),7.25−7.15(q,4H),6.75−6.71(m,1H),4.16−4.12(q,2H),2.48−2.41(m,1H),1.89−1.84(m,4H),1.48−1.19(m,10H),1.09−1.01(m,2H),0.91−0.88(t,3H).
【0057】
【化41】
【0058】
実施例2
2,3−ジフルオロ−1−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)1−シクロヘキセニルオキシ)ジフルオロメチル−4−メトキシベンゼンの合成。一般式(1)において、Raがn−プロピル基、Rbがメトキシ基、l=1,m=n=0、環A1が1,4−シクロヘキサン、Z1が単結合、A2が1−シクロヘキセン−1,4−ジイル、Y1とY2が共にフッ素原子である、化合物番号51の化合物。
【0059】
第1段
100ml三口フラスコ中、2,3−ジフルオロ−4−メトキシ安息香酸(e)7.20gをトルエン30mLに溶解させ、そこに塩化チオニル6.87gを加え、3時間加熱還流した。トルエン及び塩化チオニルを留去し、4−(4−プロピルシクロヘキシル)−1−トリメチルシリルオキシシクロヘキセン(f)17.0g、及び塩化水銀(II)0.40gを加え、90℃で2時間加熱攪拌した。室温に戻し水を加え分液し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、13.8gの4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキセン−1−イル 4−メトキシ−2,3−ジフルオロベンゾアート(g)を得た。
第2段
第1段で得られたベンゾアート(g)11.7gとローソン試薬24.7gとメシチレン120mlとを窒素置換された300ml三口フラスコに入れ、6時間加熱還流した。室温まで冷却し水を加え、分液し水層をトルエンで抽出し、有機層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、0.53gのO−4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキセン−1−イル 4−メトキシ−2,3−ジフルオロチオベンゾアート(h)を得た。
第3段
300ml三口フラスコにN−ブロモスクシンイミド0.46gと塩化メチレン11mlを加えて窒素雰囲気下−60℃で攪拌した。そこにゆっくりと70%フッ化水素ピリジン1.12gを加え、同じ温度で10分間攪拌した。その後第2段で得られたベンゾアート(h)0.53gを塩化メチレン40mlに溶解させ、ゆっくりと滴下させ、同じ温度で3時間攪拌した。反応液を室温に戻し、飽和炭酸ナトリウム水溶液を滴下し、一晩攪拌した。分液し水層を塩化メチレンで抽出し有機層と合わせ、飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液、3規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下留去し、0.22gの2,3−ジフルオロ−1−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)1−シクロヘキセニルオキシ)ジフルオロメチル−4−メトキシベンゼン(51)を得た。この化合物はネマチック相を持つ無色結晶であった。
C 94℃ N 99℃ I
1H−NMR(CDCl3)δ:7.36−7.32(m,1H),6.76−6.73(t,1H),4.47−4.46(q、1H)、3.93(s,3H),2.48−2.41(m,2H),2.07−0.97(m、19H)、0.88−0.84(t、3H).
【0060】
【化42】
【0061】
実施例3
2,3−ジフルオロ−1−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシルオキシ)ジフルオロメチル−4−メトキシベンゼンの合成。一般式(1)において、Raがn−プロピル基、Rbがメトキシ基、l=1,m=n=0、環A1がトランス−1,4−シクロヘキサン、Z1が単結合、A2がトランス−1,4−シクロヘキサン、Y1とY2が共にフッ素原子である、化合物番号41の化合物。
【0062】
第1段
1l三口フラスコ中、2,3−ジフルオロ−4−メトキシ安息香酸(e)30.6gとトランス4−(4−トランスプロピルシクロヘキシル)シクロヘキサノール(i)37.3gを塩化メチレン1Lに溶解させた。そこに4−ジメチルアミノピリジン16.4gを加え、室温で1時間攪拌させた。そこに塩化メチレン500mLにN、N−ジシクロヘキシルカルボジイミド31.3gを溶解させた溶液を加え、一晩攪拌した。ジエチルエーテルを加え析出した尿素を濾別し、飽和食塩水を加え、1時間攪拌した。分液し、有機層を3規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、41.4gのトランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル 4−メトキシ−2,3−ジフルオロベンゾアート(j)を得た。
第2段
第1段で得られたベンゾアート(j)41.4gとローソン試薬90.2gとメシチレン400mlとを窒素置換された1L三口フラスコに入れ、6時間加熱還流した。室温まで冷却し水を加え、分液し水層をトルエンで抽出し、有機層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、29.8gのO−トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル 4−メトキシ−2,3−ジフルオロチオベンゾアート(k)を得た。
第3段
300ml三口フラスコにN−ブロモスクシンイミド4.43gと塩化メチレン150mlを加えて窒素雰囲気下−60℃で攪拌した。そこにゆっくりと70%フッ化水素ピリジン10.7gを加え、同じ温度で10分間攪拌した。その後第2段で得られたベンゾアート(k)5.00gを塩化メチレン50mlに溶解させ、ゆっくりと滴下させ、同じ温度で3時間攪拌した。反応液を室温に戻し、飽和炭酸ナトリウム水溶液を滴下し、一晩攪拌した。分液し水層を塩化メチレンで抽出し有機層と合わせ、飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液、3規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下留去し、3.34gの2,3−ジフルオロ−1−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシルオキシ)ジフルオロメチル−4−メトキシベンゼン(41)を得た。この化合物は無色結晶であった。
C 133℃ I
1H−NMR(CDCl3)δ:7.33−7.30(m,1H),6.76−6.72(m,1H),4.36−4.30(m、1H)、3.94(s,3H),2.15−2.13(d,2H),1.83−1.08(m、21H)、0.91−0.88(t、3H).
【0063】
【化43】
【0064】
実施例4
2,3−ジフルオロ−1−(4−(トランス4−プロピルシクロヘキシル)−(2,3−ジフルオロフェニルオキシ)ジフルオロメチル)−4−エトキシベンゼンの合成。一般式(1)において、Raがn−プロピル基、Rbがエトキシ基、l=1,m=n=0、環A1がトランス−1,4−シクロヘキサン、Z1が単結合、A2が2,3−ジフルオロ−1、4−フェニレン基、Y1とY2が共にフッ素原子である、化合物番号76の化合物。
【0065】
第1段
500ml三口フラスコ中、2,3−ジフルオロ−4−エトキシ安息香酸(a)3.20gと2,3−ジフルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェノール(l)3.84gを塩化メチレン230mLに溶解させた。そこに4−ジメチルアミノピリジン0.70gを加え、室温で1時間攪拌させた。そこに塩化メチレン90mLにN、N−ジシクロヘキシルカルボジイミド3.54gを溶解させた溶液を加え、一晩攪拌した。ジエチルエーテルを加え析出した尿素を濾別し、飽和食塩水を加え、1時間攪拌した。分液し、有機層を3規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、6.60gの2,3−ジフルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニル 4−エトキシ−2,3−ジフルオロベンゾアート(m)を得た。
第2段
第1段で得られたベンゾアート(m)6.60gとローソン試薬12.2gとメシチレン70mlとを窒素置換された300ml三口フラスコに入れ、6時間加熱還流した。室温まで冷却し水を加え、分液し水層をトルエンで抽出し、有機層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、1.95gのO−2,3−ジフルオロ−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)フェニル 4−エトキシ−2,3−ジフルオロチオベンゾアート(n)を得た。
第3段
300ml三口フラスコにN−ブロモスクシンイミド1.58gと塩化メチレン40mlを加えて窒素雰囲気下−60℃で攪拌した。そこにゆっくりと70%フッ化水素ピリジン3.7gを加え、同じ温度で10分間攪拌した。その後第2段で得られたベンゾアート(n)1.73gを塩化メチレン20mlに溶解させ、ゆっくりと滴下させ、同じ温度で3時間攪拌した。反応液を室温に戻し、飽和炭酸ナトリウム水溶液を滴下し、一晩攪拌した。分液し水層を塩化メチレンで抽出し有機層と合わせ、飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液、3規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下留去し、1.46gの2,3−ジフルオロ−1−(4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−(2,3−ジフルオロフェニルオキシ)ジフルオロメチル)−4−エトキシベンゼン(76)を得た。この化合物はネマチック相を持つ無色結晶であった。
C 59.5℃ N 119℃ I
1H−NMR(CDCl3)δ:7.43−7.40(m,1H),7.11−7.7.09(m,1H),6.97−6.95(m,1H),6.79−6.76(m、1H)、4.19−4.15(q,2H),2.84−2.79(m,1H),1.88−1.86(d、4H)、1.50−1.20(m,11H),1.11−1.05(m,2H),0.92−0.89(t,3H).
【0066】
【化44】
【0067】
以下同様にして、化合物1〜220の化合物を合成できる。
【0068】
【化45】
【0069】
【化46】
【0070】
【化47】
【0071】
【化48】
【0072】
【化49】
【0073】
【化50】
【0074】
【化51】
【0075】
【化52】
【0076】
【化53】
【0077】
【化54】
【0078】
【化55】
【0079】
【化56】
【0080】
【化57】
【0081】
【化58】
【0082】
【化59】
【0083】
【化60】
【0084】
【化61】
【0085】
【化62】
【0086】
【化63】
【0087】
【化64】
【0088】
【化65】
【0089】
【化66】
【0090】
このようにして調製される本発明の液晶組成物の例として、以下の組成物例1〜20を示すことができる。
なお、組成物例中の各化合物は下記表1に示す取り決めに従い、左末端基、結合基、環構造および右末端基の記号により表示した。化合物の含有量は特に規定のない限り重量%を意味する。
また、組成物例の特性データは、TNI(ネマチック−等方性液体転移温度または透明点)、η(粘度:測定温度20.0℃)、Δn(屈折率異方性値:測定温度25.0℃)、Δε(誘電率異方性値:測定温度25.0℃)およびVth(しきい値電圧:測定温度25.0℃)により示した。
【0091】
【表1】
【0092】
使用例1
3−HBOCF2B(2F,3F)−O2 7.0%
5−HBOCF2B(2F,3F)−O2 7.0%
3−HBOCF2B(2F,3F)−O1 7.0%
5−HBOCF2B(2F,3F)−O1 7.0%
4−HEB−O2 20.0%
5−HEB−O1 20.0%
3−HEB−O2 18.0%
5−HEB−O2 14.0%
TNI=91.1(℃)
η=27.3(mPa・s)
Δn=0.10
【0093】
使用例2
3−HB(2F,3F)OCF2B(2F,3F)−O2 5.0%
5−HB(2F,3F)OCF2B(2F,3F)−O2 5.0%
3−HB(2F,3F)OCF2B(2F,3F)−1 5.0%
3−HH−2 5.0%
3−HH−4 6.0%
3−HH−O1 4.0%
3−HH−O3 5.0%
5−HH−O1 4.0%
3−HB(2F,3F)−O2 12.0%
5−HB(2F,3F)−O2 11.0%
3−HHB(2F,3F)−O2 14.0%
3−HHB(2F,3F)−2 24.0%
TNI=76.5(℃)
Δn=0.081
Δε=−3.8
【0094】
使用例3
3−BOCF2B(2F,3F)−O2 5.0%
5−BOCF2B(2F,3F)−O2 5.0%
3−HH−5 5.0%
3−HH−4 5.0%
3−HH−O1 6.0%
3−HH−O3 6.0%
3−HB−O1 5.0%
3−HB−O2 5.0%
3−HB(2F,3F)−O2 10.0%
3−HHB(2F,3F)−O2 12.0%
5−HHB(2F,3F)−O2 13.0%
3−HHB(2F,3F)−2 4.0%
2−HHB(2F,3F)−1 4.0%
3−HHEH−3 5.0%
3−HHEH−5 5.0%
4−HHEH−3 5.0%
【0095】
使用例4
3−HchOCF2B(2F,3F)−O2 7.0%
5−HchOCF2B(2F,3F)−O2 7.0%
3−HchOCF2B(2F,3F)−O1 7.0%
5−HchOCF2B(2F,3F)−O1 7.0%
4−HEB−O2 20.0%
5−HEB−O1 20.0%
3−HEB−O2 18.0%
5−HEB−O2 14.0%
TNI=84.8(℃)
η=27.9(mPa・s)
Δn=0.103
【0096】
使用例5
3−HBOCF2B(2F,3F)−O2 6.0%
5−HBOCF2B(2F,3F)−O2 6.0%
3−HBOCF2B(2F,3F)−1 6.0%
5−HBOCF2B(2F,3F)−1 6.0%
3−HH−2 5.0%
3−HH−4 6.0%
3−HH−O1 4.0%
3−HH−O3 5.0%
5−HH−O1 4.0%
3−HB(2F,3F)−O2 12.0%
5−HB(2F,3F)−O2 11.0%
3−HHB(2F,3F)−O2 14.0%
5−HHB(2F,3F)−O2 15.0%
TNI=86.3(℃)
Δn=0.088
Δε=−4.3
【0097】
使用例6
3−HchOCF2B(2F,3F)−O2 4.0%
3−HchOCF2B(2F,3F)−1 4.0%
5−HchOCF2B(2F,3F)−1 4.0%
3−HH−5 5.0%
3−HH−4 5.0%
3−HH−O1 6.0%
3−HH−O3 6.0%
3−HB−O1 5.0%
3−HB−O2 5.0%
3−HB(2F,3F)−O2 10.0%
5−HB(2F,3F)−O2 10.0%
5−HHB(2F,3F)−O2 13.0%
3−HHB(2F,3F)−2 4.0%
2−HHB(2F,3F)−1 4.0%
3−HHEH−3 5.0%
3−HHEH−5 5.0%
4−HHEH−3 5.0%
TNI=76.0(℃)
Δn=0.077
Δε=−3.0
【0098】
使用例7
3−HBOCF2B(2F,3F)−O1 4.0%
5−HBOCF2B(2F,3F)−O1 4.0%
3−HBOCF2B(2F,3F)−1 5.0%
5−HBOCF2B(2F,3F)−1 5.0%
3−HchOCF2B(2F,3F)−O2 5.0%
5−HchOCF2B(2F,3F)−O2 5.0%
4−HEB−O2 20.0%
5−HEB−O1 20.0%
3−HEB−O2 18.0%
5−HEB−O2 14.0%
TNI=86.2(℃)
η=26.9(mPa・s)
Δn=0.103
【0099】
使用例8
3−HchOCF2B(2F,3F)−O1 6.0%
5−HchOCF2B(2F,3F)−O1 6.0%
3−HHOCF2B(2F,3F)−O1 6.0%
5−HHOCF2B(2F,3F)−1 6.0%
3−HH−2 5.0%
3−HH−4 6.0%
3−HH−O1 4.0%
3−HH−O3 5.0%
5−HH−O1 4.0%
3−HB(2F,3F)−O2 12.0%
5−HB(2F,3F)−O2 11.0%
3−HHB(2F,3F)−O2 14.0%
5−HHB(2F,3F)−O2 15.0%
TNI=84.2(℃)
Δn=0.082
Δε=−3.9
【0100】
使用例9
3−HHOCF2B(2F,3F)−O1 6.0%
5−HHOCF2B(2F,3F)−1 6.0%
3−HH−5 5.0%
3−HH−4 5.0%
3−HH−O1 6.0%
3−HH−O3 6.0%
3−HB−O1 5.0%
3−HB−O2 5.0%
3−HB(2F,3F)−O2 10.0%
5−HB(2F,3F)−O2 10.0%
5−HHB(2F,3F)−O2 13.0%
3−HHB(2F,3F)−2 4.0%
2−HHB(2F,3F)−1 4.0%
3−HHEH−3 5.0%
3−HHEH−5 5.0%
4−HHEH−3 5.0%
TNI=79.5(℃)
Δn=0.075
Δε=−2.8
【0101】
使用例10
3−HBOCF2B(2F,3F)−O1 7.0%
5−HBOCF2B(2F,3F)−O1 7.0%
3−HBOCF2B(2F,3F)−1 7.0%
5−HBOCF2B(2F,3F)−1 7.0%
3−HchOCF2B(2F,3F)−O2 7.0%
5−HchOCF2B(2F,3F)−O2 7.0%
4−HEB−O2 20.0%
5−HEB−O1 20.0%
3−HEB−O2 18.0%
TNI=89.8(℃)
η=31.5(mPa・s)
Δn=0.113
【0102】
使用例11
3−BOCF2B(2F,3F)−O2 4.0%
5−BOCF2B(2F,3F)−O2 4.0%
3−BOCF2B(2F,3F)−1 4.0%
3−HH−2 5.0%
3−HH−4 6.0%
3−HH−O1 4.0%
3−HH−O3 5.0%
5−HH−O1 4.0%
5−HB(2F,3F)−O2 11.0%
3−HHB(2F,3F)−O2 14.0%
5−HHB(2F,3F)−O2 15.0%
3−HHB(2F,3F)−2 24.0%
【0103】
使用例12
3−HBOCF2B(2F,3F)−O2 4.0%
3−HBOCF2B(2F,3F)−O1 4.0%
3−HBOCF2B(2F,3F)−1 4.0%
3−HH−5 5.0%
3−HH−4 5.0%
3−HH−O1 6.0%
3−HH−O3 6.0%
3−HB−O1 5.0%
3−HB−O2 5.0%
3−HB(2F,3F)−O2 10.0%
5−HB(2F,3F)−O2 10.0%
5−HHB(2F,3F)−O2 13.0%
3−HHB(2F,3F)−2 4.0%
2−HHB(2F,3F)−1 4.0%
3−HHEH−3 5.0%
3−HHEH−5 5.0%
4−HHEH−3 5.0%
TNI=79.3(℃)
Δn=0.079
Δε=−3.2
【0104】
使用例13
3−chOCF2B(2F,3F)B(2F,3F)−O2 4.0%
3−BOCF2B(2F,3F)B(2F,3F)−O2 4.0%
3−HchOCF2B(2F,3F)−1 4.0%
5−HchOCF2B(2F,3F)−O1 4.0%
3−BB(2F,3F)−O2 12.0%
3−BB(2F,3F)−O4 10.0%
5−BB(2F,3F)−O4 10.0%
2−BB(2F,3F)B−3 25.0%
3−BB(2F,3F)B−5 13.0%
5−BB(2F,3F)B−5 14.0%
【0105】
使用例14
3−HOCF2B(2F,3F)B(2F,3F)−O2 4.0%
3−HB(2F,3F)OCF2B(2F,3F)−O2 4.0%
3−HB−O2 10.0%
5−HB−3 8.0%
5−BB(2F,3F)−O2 10.0%
3−HB(2F,3F)−O2 10.0%
5−HB(2F,3F)−O2 8.0%
3−HHB(2F,3F)−O2 12.0%
5−HHB(2F,3F)−O2 4.0%
5−HHB(2F,3F)−1O1 4.0%
2−HHB(2F,3F)−1 5.0%
3−HHB(2F,3F)−1 5.0%
3−HBB−2 6.0%
5−B2BB(2F,3F)−O2 10.0%
【0106】
使用例15
3−HchOCF2B(2F,3F)−O1 5.0%
1V2−BEB(F,F)−C 5.0%
3−HB−C 20.0%
V2−HB−C 6.0%
1−BTB−3 5.0%
2−BTB−1 10.0%
1O1−HH−3 3.0%
3−HH−4 11.0%
3−HHB−1 11.0%
3−HHB−3 3.0%
3−H2BTB−2 4.0%
3−H2BTB−3 4.0%
3−H2BTB−4 4.0%
3−HB(F)TB−2 6.0%
3−HHB−C 3.0%
TNI=86.6(℃)
η=16.1(mPa・s)
Δn=0.156
Δε=6.7
Vth=2.36(V)
上記組成物100重量部に、CM33を0.8重量部添加したときのピッチは11.2μmであった。
【0107】
使用例16
3−HBOCF2B(2F,3F)−O2 5.0%
2O1−BEB(F)−C 5.0%
3O1−BEB(F)−C 12.0%
5O1−BEB(F)−C 4.0%
1V2−BEB(F,F)−C 10.0%
3−HEB−O4 4.0%
3−HH−EMe 6.0%
3−HB−O2 18.0%
7−HEB−F 2.0%
3−HHEB−F 2.0%
5−HHEB−F 2.0%
3−HBEB−F 4.0%
2O1−HBEB(F)−C 2.0%
3−HB(F)EB(F)−C 2.0%
3−HB(F)EB(F,F)−C 2.0%
3−HHB−F 4.0%
3−HHB−O1 4.0%
3−HHB−3 4.0%
3−HEBEB−F 2.0%
3−HEBEB−1 2.0%
3−HHB(F)−C 4.0%
TNI=75.3(℃)
η=37.9(mPa・s)
Δn=0.118
Δε=23.9
Vth=1.04(V)
【0108】
使用例17
5−HBOCF2B(2F,3F)−O1 4.0%
5−HBOCF2B(2F,3F)−1 4.0%
1V2−BEB(F,F)−C 6.0%
3−HB−C 18.0%
2−BTB−1 10.0%
5−HH−VFF 30.0%
1−BHH−VFF 8.0%
1−BHH−2VFF 11.0%
3−H2BTB−2 5.0%
3−HHB−1 4.0%
TNI=75.8(℃)
η=13.6(mPa・s)
Δn=0.122
Δε=5.9
Vth=2.29(V)
【0109】
使用例18
3−HBOCF2B(2F,3F)−O2 5.0%
5−HBOCF2B(2F,3F)−O2 5.0%
7−HB(F)−F 5.0%
5−H2B(F)−F 5.0%
3−HB−O2 10.0%
3−HH−4 5.0%
2−HHB(F)−F 10.0%
3−HHB(F)−F 10.0%
3−H2HB(F)−F 5.0%
2−HBB(F)−F 3.0%
3−HBB(F)−F 3.0%
5−HBB(F)−F 6.0%
2−H2BB(F)−F 5.0%
3−H2BB(F)−F 6.0%
3−HHB−1 8.0%
3−HHB−O1 5.0%
3−HHB−3 4.0%
TNI=89.2(℃)
η=20.2(mPa・s)
Δn=0.099
Δε=2.2
Vth=3.05(V)
上記組成物100重量部に、CNを0.3重量部添加したときのピッチは76.3μmであった。
【0110】
使用例19
3−HHOCF2B(2F,3F)−O1 5.0%
7−HB(F,F)−F 5.0%
3−H2HB(F,F)−F 12.0%
4−H2HB(F,F)−F 6.0%
3−HHB(F,F)−F 10.0%
3−HBB(F,F)−F 10.0%
3−HHEB(F,F)−F 10.0%
4−HHEB(F,F)−F 3.0%
5−HHEB(F,F)−F 3.0%
2−HBEB(F,F)−F 3.0%
3−HBEB(F,F)−F 5.0%
5−HBEB(F,F)−F 3.0%
3−HGB(F,F)−F 15.0%
3−HBCF2OB−OCF3 4.0%
3−HHBB(F,F)−F 6.0%
TNI=78.1(℃)
η=34.6(mPa・s)
Δn=0.086
Δε=12.5
Vth=1.57(V)
【0111】
使用例20
5−HBOCF2B(2F,3F)−O1 5.0%
5−HchOCF2B(2F,3F)−O1 5.0%
2−HHB(F)−F 2.0%
3−HHB(F)−F 2.0%
5−HHB(F)−F 2.0%
2−HBB(F)−F 6.0%
3−HBB(F)−F 6.0%
2−H2BB(F)−F 9.0%
3−H2BB(F)−F 9.0%
3−HBB(F,F)−F 25.0%
5−HBB(F,F)−F 19.0%
1O1−HBBH−4 5.0%
1O1−HBBH−5 5.0%
TNI=96.8(℃)
η=37.0(mPa・s)
Δn=0.134
Δε=6.0
Vth=2.52(V)
上記組成物100重量部に、CM43Lを0.2重量部添加したときのピッチは78.4μmであった。
【0112】
【発明の効果】
本発明の液晶性化合物は極めて大きな負の誘電率異方性値と小さな光学異方性値を同時に有する。また、他の液晶材料との相溶性においても良好な特性を示す。従って 、本発明の液晶性化合物を液晶組成物の成分として用いることにより、低いしきい値電圧と小さな光学異方性値を示す液晶組成物が実現できる。更に、これを用いて優れた液晶表示素子を提供することができる。
本発明の化合物はIPS方式およびVA方式用のみならずECB(複屈折制御)およびGH(ゲスト・ホスト)モード用の液晶組成物の成分としても好適に利用できる。また、TN(ツイステッド・ネマチック)、STN(スーパー・ツイステッド・ネマチック)およびAM(アクティブ・マトリックス)方式用の液晶組成物の成分としても好適に利用できる。
Claims (21)
- 一般式(1)
- 一般式(1)において、環A2がトランス−1,4−シクロヘキシレンである請求項1に記載の液晶性化合物。
- 一般式(1)において、環A2がシクロヘキセン−1,4−ジイルである請求項1に記載の液晶性化合物。
- 一般式(1)において、環A2が環上の水素原子がフッ素原子で置換されてもよい1,4−フェニレンである請求項1に記載の液晶性化合物。
- 一般式(1)において、l=1,m=n=0であり、環A1、A2がトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、Z1が単結合である請求項1に記載の液晶性化合物。
- 一般式(1)において、l=1,m=n=0であり、環A1がトランス−1,4−シクロヘキシレン、環A2がシクロヘキセン−1,4−ジイルである請求項1に記載の液晶性化合物。
- 一般式(1)において、l=1,m=n=0であり、環A1がトランス−1,4−シクロヘキシレン、環A2が環上の水素原子がフッ素原子で置換されてもよい1,4−フェニレンであり、Z1が単結合である請求項1に記載の液晶性化合物。
- 一般式(1)において、l=n=0、m=1であり、環A2がトランス−1,4−シクロヘキシレンであり、環A3が環上の水素原子がフッ素原子で置換されてもよい1,4−フェニレンであり、Z2が単結合である請求項1に記載の液晶性化合物。
- 一般式(1)において、l=n=0、m=1であり、環A2がシクロヘキセン−1,4−ジイルであり、環A3が環上の水素原子がフッ素原子で置換されてもよい1,4−フェニレンであり、Z2が単結合である請求項1に記載の液晶性化合物。
- 一般式(1)において、l=m=1、n=0である請求項1に記載の液晶性化合物。
- 一般式(1)において、l=2、m=n=0である請求項1に記載の液晶性化合物。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
- 第一成分として、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成分として、一般式(2)、(3)および(4)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
- 第一成分として、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成分として、一般式(5)および(6)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
- 第一成分として、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成分として、一般式(7)、(8)および(9)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
- 第一成分として、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成分として、請求項13記載の一般式(2)、(3)および(4)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有し、第三成分として、一般式(10)、(11)および(12)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
- 第一成分として、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成分として、請求項15記載の一般式(7)(8)および(9)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有し、第三成分として、請求項16記載の一般式(10)、(11)および(12)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
- 第一成分として、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成分として、請求項13記載の一般式(2)、(3)および(4)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有し、第三成分として、請求項15記載の一般式(7)、(8)および(9)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
- 第一成分として、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成分として、請求項13記載の一般式(2)、(3)および(4)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有し、第三成分として、請求項14記載の一般式(5)および(6)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有し、第四成分として、請求項15記載の一般式(7)、(8)および(9)からなる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成物。
- 請求項12〜20のいずれか1項に記載の液晶組成物を用いて構成した液晶表示素子。
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