JP4737811B2 - 紙幣搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は前後の受入口より受け入れた紙幣を遊技機列に沿った方向に伸びる搬送路に沿って搬送する紙幣搬送装置に関し、特に、該受入口の位置を可変とする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
前後の受入口より受け入れた紙幣を遊技機列に沿った方向に伸びる搬送路に沿って搬送する紙幣搬送装置として、従来より、パチンコ機等の遊技機用の台間玉貸機に投入された紙幣を搬送する紙幣搬送装置が知られている。ここで、図6を参照して、従来のパチンコ機、台間玉貸機、および紙幣搬送装置を含むいわゆる「島」の構成例について説明する。
【0003】
島110は、左右方向に列を成す前向きのパチンコ機112aと、同じく後向きのパチンコ機112bとを背中合わせに備え、各列内で隣接するパチンコ機112の間に台間玉貸機114(114s,114k)を備える。これらパチンコ機112および台間玉貸機114は、それぞれ前後に整列され、見栄えの向上が図られている。
【0004】
台間玉貸機114は、投入された紙幣または硬貨に基づいてパチンコ機112用の玉あるいは玉購入用のカードを提供する。台間玉貸機114には、紙幣の投入により動作する紙幣玉貸機114s、および紙幣の投入ができず硬貨の投入により動作する硬貨玉貸機114kの二種類がある。図6の例では、各台間においてこれらが一つずつ同じ順序で配置されている。
【0005】
紙幣玉貸機114sに投入された紙幣は、補助受口116を介して、前向きのパチンコ機112aと後向きのパチンコ機112bとの間(すなわちこれら双方の背後;島の中央部)に設けられた紙幣搬送装置118に投入される。紙幣搬送装置118は、それぞれその左右に隣接する紙幣搬送装置118に接続され、この紙幣搬送装置118の列の内部に遊技機列に沿った方向に伸びる搬送路が形成される。紙幣は、この搬送路を上流側から下流側に向けて搬送され、紙幣回収部(図示せず)に回収される。
【0006】
紙幣搬送装置118において、紙幣玉貸機114sからの紙幣の受入口は、紙幣玉貸機114sの背後となる位置に設けられる。このため、図6の例のように、前後で紙幣玉貸機の位置が互い違いとなる場合にも、予めこの配置に適合した受入口を備える紙幣搬送装置118を製作し、これらが組み合わされて島110が形成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したように、紙幣搬送装置は、島内の紙幣玉貸機の配置に合わせて配置された受入口を固定的に備えるため、島内の遊技機あるいは台間玉貸機のレイアウトを変更しようとする際には改めて紙幣搬送装置を製作しなければならず、レイアウトの変更を柔軟に行うことができなかった。加えて、近年では、貯玉機能や各種情報等を表示する幅広の台間玉貸機も提供されている。また、組み立ての際に、縦列配置される遊技機および台間玉貸機の長さのばらつき、あるいは組み付け位置の誤差の累積等により、紙幣玉貸機の位置と紙幣搬送装置の受入口との位置ずれが生じないよう、各機器の幅あるいは組み立て位置の精度を高く維持しなければならなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、本発明にかかる紙幣搬送装置は、遊技機列に沿って形成される搬送路に沿って紙幣を搬送する紙幣搬送装置であって、前記搬送路の上流側より紙幣を受け入れる上流側受入口と、前記搬送路の下流側へ紙幣を送出する下流側送出口とを有する主搬送部と、前記主搬送部の前側に位置し、前側受入口から受け入れた紙幣を前記主搬送部に導入させる前側受入部と、前記主搬送部の後側に位置し、後側受入口から受け入れた紙幣を前記主搬送部に導入させる後側受入部と、を備え、前記主搬送部は、前記前側受入口、後側受入口または上流側受入口から受け入れた紙幣を、前記下流側送出口に向けて搬送し、前記前側受入部および後側受入部のうち少なくともいずれか一方は、前記主搬送部に対してスライドして相対位置を連続的に変更可能な可動受入部として設けられる。このような構成によれば、紙幣搬送装置側で紙幣玉貸機の設置位置の誤差を吸収することができるとともに、紙幣搬送装置を島内のレイアウトにより柔軟に対応させることができる。
【0009】
また本発明では、前記前側受入部および後側受入部のうちいずれか一方は、前記主搬送部に対する相対位置の固定された固定受入部として設けられるのが好適である。このような構成によれば、受入口の可動化に伴う装置構成の複雑化ならびに大型化を必要最低限度に抑制することができる。
【0010】
また本発明では、前記主搬送部は、前記上流側受入口から紙幣を引き込む搬入機構と、前記下流側送出口へ紙幣を搬出する搬出機構と、前記搬入機構から前記搬出機構へ紙幣を搬送する中間搬送機構と、を備えるのが好適である。このような構成によれば、搬送機能をより適切に分担させることができる。
【0011】
また本発明では、前記可動受入部は、前記受け入れた紙幣を引き込んで前記搬送路へ導入する可動導入機構を備えるのが好適である。また本発明では、前記固定受入部は、前記受け入れた紙幣を引き込んで前記搬送路へ導入する固定導入機構を備えるのが好適である。このような構成によれば、各受入口から受け入れた紙幣をより確実に搬送路に導入することができる。
【0012】
また本発明では、前記紙幣搬送装置に設けられた、前記搬入機構、前記搬出機構、前記中間搬送機構、前記可動導入機構および前記固定導入機構が、一つの駆動モータにより駆動されるのが好適である。このような構成によれば、駆動源としての駆動モータを共用することにより、装置の大型化を抑制し、紙幣の搬送に要するエネルギ消費を低減することができる。
【0013】
また本発明では、前記駆動モータにより回旋駆動される伝動ベルトを備え、前記可動導入機構は、前記可動受入部の相対位置の可変範囲において前記伝動ベルトに当接して該伝動ベルトに回動される受動ローラを備えるのが好適である。このようにすれば、ベルトおよびローラを用いたより簡素な構成により、可動導入機構を駆動することができる。
【0014】
また本発明では、前記中間搬送機構は、前記主搬送部に対して相対位置が固定され、回旋するコンベヤベルトを備える搬送コンベヤと、前記コンベヤベルトに当接し、該コンベヤベルトとの間で紙幣を挟持して搬送するための挟持ローラと、を備え、前記挟持ローラは、前記可動受入部に設けられ、前記可動受入部の相対位置の可変範囲において前記コンベヤベルトに当接する。このような構成によれば、受入口の位置の変化に応じて搬送路内における紙幣の挟持位置を可変とすることができ、紙幣の搬送をより確実に行うことができる。また、固定された搬送路では、通常、掛架ローラと挟持ローラとは一対一に設けられるが、該一対一配置において挟持ローラの位置を可変とした場合には、掛架ローラと挟持ローラとがコンベヤベルトに沿った方向に離間する距離に応じて紙幣の挟持力が減少してしまう。これに対し本発明の構成によれば、搬送路に沿った掛架ローラの数が挟持ローラの数より多いので、挟持ローラが移動した場合にも、挟持ローラと最も近い掛架ローラとの離間距離を小さくすることができるため、紙幣の挟持力の減少を抑制することができる。
【0015】
また本発明では、前記可動受入部には、受け入れた紙幣の前記搬送路への導入を案内する可動案内部材が設けられるのが好適である。このような構成によれば、受入口の位置の変化に応じて紙幣の導入案内経路を変化させることができ、紙幣の搬送をより確実に行うことができる。
【0016】
また本発明では、前記可動案内部材には、前記主搬送路を搬送される紙幣を案内する可動搬送案内部が設けられるのが好適である。このような構成によれば、可動受入部の位置によらず、搬送路への紙幣の導入をより確実に行うとともに、搬送路における紙幣の搬送をより確実に行うことができる。またこの際、主搬送部には、前記搬送路における紙幣の搬送を案内する固定案内部材が設けられ、前記可動案内部材の可動搬送案内部および前記固定案内部材は少なくともその一部が互いにオーバーラップするのが好適である。このような構成によれば、可動案内部材の位置を変更した際にも、固定案内部材および可動案内部材の継ぎ目における紙幣の係止を防止し紙幣の搬送をより確実に行うことができる。
【0017】
また本発明では、前記可動受入部の移動を案内する案内レールを備え、前記案内レールは、当該案内方向に伸びる金属部材を含むするのが好適である。このような構成によれば、案内レールにより紙幣搬送装置の剛性を高めることができる。
【0018】
また本発明では、前記金属部材と摺動可能に前記可動受入部に設けられ、該可動受入部の紙幣受入元との接続時に該紙幣受入元に当接される導電性部材を備え、前記金属部材の接地により前記導電性部材が接地されるのが好適である。また、さらに隣接する紙幣搬送装置との間で架橋されるアース導線を接続可能に設けられ、前記金属部材に導通されるアース端子を備えるのが好適である。このような構成によれば、紙幣受入元および紙幣搬送装置のアースを確保し、これら各装置の誤作動を抑制することができる。
【0019】
また本発明では、前記可動受入部の移動を案内する案内レールを備え、前記案内レールには、前記可動受入部の移動量を示すスケールが設けられるのが好適である。このような構成によれば、その移動量を容易に知ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第一の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、紙幣搬送装置の概観図(図1(a):平面図、図1(b):正面図)である。
【0021】
島の中央部、すなわち前側遊技機列と後側遊技機列との中間部において、該遊技機列に沿って列状に配置された複数の紙幣搬送装置10には、それぞれ該遊技機列方向に伸びる搬送路L(図2)が形成される。これら紙幣搬送装置10はそれぞれ該遊技機列方向に隣接する紙幣搬送装置10に接続され、これにより遊技機列に沿った方向に紙幣回収装置(図示せず)に向かって紙幣を搬送する搬送路Lが形成される。紙幣搬送装置10は、この搬送路Lに沿って、上流側に隣接する紙幣搬送装置10より受け取った紙幣を下流側に隣接する紙幣搬送装置10へ搬送路Lに沿って搬送するとともに、前側および後側の台間玉貸機より受け入れた紙幣を導入路S1,S2(図2)に沿って搬送路Lに導入し、これらを下流側に搬送する。なお、本実施形態にかかる紙幣搬送装置10は、各図の紙面の左側を上流側とし、また右側を下流側とするが、これには限定されない。
【0022】
本実施形態にかかる紙幣搬送装置10は、受け入れた紙幣の搬送機構およびその駆動機構を備える駆動ケース12と、隣接する紙幣搬送装置10の駆動ケース12間で紙幣を搬送する搬送腕14と、搬送路に沿う紙幣搬送装置10の取り付け位置の誤差を吸収するため、この方向(すなわち遊技機列に沿った方向)への移動を自在に搬送腕14に支持されるジョイント16と、を備える。これらはそれぞれ、例えば上下に分割された部品を組み合わせて構成されており(例えば、駆動ケース12では、上側駆動ケース12cおよび下側駆動ケース12d)、各部品の組み立て性およびメンテナンス性の向上が図られている。
【0023】
次に図2を参照して紙幣搬送装置10の内部構成について説明する。本実施形態にかかる紙幣搬送装置10は、遊技機列に沿って形成される搬送路Lに沿って設けられる。また紙幣搬送装置10は、前側より紙幣を受け入れる前側受入口18を有する前側受入部20と、後側より紙幣を受け入れる後側受入口22を有する後側受入部24と、搬送路Lにおいて紙幣を搬送する主搬送部を備える。この主搬送部は、搬送路Lの上流側より紙幣を受け入れる上流側受入口28と、搬送路Lの下流側へ紙幣を送出する下流側送出口32と、を備え、前側受入口18、後側受入口22、または上流側受入口28より受け入れた紙幣を下流側送出口32に向けて搬送する。そして、前側受入部20および後側受入部24のうち少なくともいずれか一方は、前記主搬送部に対する相対位置(例えば、搬送路に沿った方向[すなわち遊技機列に沿った方向]の相対位置)の変更自在な可動受入部として設けられる。本実施形態では、前側受入部20を可動受入部として備えるが、これには限定されない。
【0024】
主搬送部は、上流側受入口28の近傍に設けられ該上流側受入口28から紙幣を引き込む搬入機構30と、例えば駆動ケース12の下流側の端部から搬送腕14にかけて設けられ下流側送出口32へ紙幣を搬出する搬出機構34と、を備える。また主搬送部は、搬入機構30および搬出機構34の間に設けられ、搬入機構30から搬出機構34に向けて紙幣を搬送する中間搬送機構26と、この搬送路Lにおける紙幣の搬送をガイドする固定案内部材52と、を備える。
【0025】
また固定受入部(本実施形態では後側受入部24)は、その受入口(本実施形態では後側受入口22)の近傍に設けられ、当該固定受入口22で受け入れた紙幣を導入路S1に沿って搬送して搬送路Lへ導入する固定導入機構(本実施形態では後側搬送機構40)と、当該紙幣の導入搬送をガイドする固定導入案内部材54と、を含む。
【0026】
また可動受入部(本実施形態では前側受入部20)は、その受入口(本実施形態では前側受入口18)の近傍に設けられ、当該可動受入口18で受け入れた紙幣を導入路S2に沿って搬送して搬送路Lへ導入する可動導入機構(本実施形態では前側搬送機構44)と、当該紙幣の導入搬送をガイドする可動案内部材56と、を含む。
【0027】
ここで、上記各搬送機構の構成について説明する。搬入機構30は、駆動シャフト30aにより回動され、その外周に紙幣挟持用の当接部材(例えばゴムなどの弾性部材からなる当接リング30b)を備えた主動ローラ30cと、押圧機構(例えばねじりばね30e等)により当接部材に押圧されて主動ローラ30cに従動し、主動ローラ30cとの間で紙幣を挟持して搬送する挟持ローラ30dと、を備える。
【0028】
搬出機構34は、駆動シャフト34aにより回動される主動ローラ34bと、搬送路Lに沿って一つ以上設けられる従動ローラ34cと、主動ローラ34bおよび従動ローラ34cに掛け渡されて回旋するコンベヤベルト34dと、押圧機構(例えばねじりばね34e等)によりコンベヤベルト34dに押圧されてこれに従動し、該コンベヤベルト34dとの間で紙幣を挟持して搬送する挟持ローラ34fと、を備える。この挟持ローラ34fは、コンベヤベルト34dを掛架する掛架ローラ(すなわち主動ローラ34bおよび従動ローラ34c)当該コンベヤベルト34dを挟んで対向する位置に設けるのが好適である。なお、搬出機構34の主動ローラ34bは、駆動ケース12の搬送腕14側端部に設けられており、このため、駆動ケース12の搬送腕14との接続部の開口から主動ローラ34bに対するコンベヤベルト34dの架け渡しを行うことができる。なお、主動ローラ34bおよび従動ローラ34cは例えばプーリである。
【0029】
中間搬送機構26は、駆動シャフト26aにより回動される主動ローラ26bと、搬送路Lに沿って複数設けられる従動ローラ26cと、主動ローラ26bおよび従動ローラ26cに掛け渡されて回旋するコンベヤベルト26dと、押圧機構(例えばねじりばね26e等)によりコンベヤベルト26dに押圧されてこれに従動し、該コンベヤベルト26dとの間で紙幣を挟持して搬送する挟持ローラ26fと、を備える。なお、主動ローラ26bおよび従動ローラ26cは例えばプーリであり、またコンベヤベルト26dは例えば円形断面を有する。
【0030】
上記主動ローラ26b、従動ローラ26cおよびコンベヤベルト26dを含む搬送コンベヤが、主搬送部に固定される(例えば駆動ケース12に設けられる)のに対し、挟持ローラ26fは、主搬送部に対する相対位置が変更自在となるように設けられ、当該可動範囲においてコンベヤベルト26dに当接され、これにより紙幣の挟持位置を変更自在としている。より具体的には、挟持ローラ26fは可動受入部(本実施形態では前側受入部)20に設けられており、主搬送部に対する相対位置の変更自在な可動受入部20とともに例えば遊技機列に沿った方向に移動することができる。このように挟持位置を変更自在とすることにより、この中間搬送機構26は、可動受入部20の主搬送部に対する設置位置の変更に伴う搬送路に対する紙幣の導入位置の変化に対応した位置で紙幣を挟持することができる。
【0031】
なお、本実施形態では、挟持ローラ26fは可動(すなわち主搬送部に対する相対位置が可変)であるが、その位置によっては、挟持ローラ26fのコンベヤベルト26dとの当接位置が、掛架ローラ(すなわち主動ローラ26bまたは従動ローラ26c)によるコンベヤベルト26dの掛架位置から離れる場合がある。この当接位置と掛架位置との間の距離が大きいほどコンベヤベルト26dの撓みは増大し、紙幣を挟持するための挟持ローラ26fおよびコンベヤベルト26dの間の垂力が低下する。このため本実施形態では、搬送路に沿って設ける掛架ローラ(すなわち挟持ローラ26fの可動により当接位置となり得る範囲およびその周辺を掛架位置とする掛架ローラ)を、挟持ローラ26fより多く備え、掛架位置間の距離を低減することにより、当該垂力の低下を抑制している。また、同様の理由により、搬出機構34のコンベヤベルト34dと、当該中間搬送機構26のコンベヤベルト26dとをそれぞれ別個に構成するとともに、コンベヤベルト34dの張力を、コンベヤベルト26dの張力より高く設定する。
【0032】
また、挟持ローラ26fは、搬送路Lに沿って複数設けるのが好適である。これにより、可動導入部20の設置位置が変更された場合にも、この位置に応じたより適切な位置で紙幣を挟持することができる。本実施形態では、可動導入部20から搬送路Lへの紙幣の合流部を挟んだ両側(すなわち合流部の上流側および下流側)に挟持ローラ26fを備える。
【0033】
固定導入機構40は、前記中間搬送機構26の従動ローラ26cの一つ(例えば最も上流側に位置するもの)を主動ローラ40cとして兼用する。この固定導入機構40は、押圧機構(例えば板ばね40e等)により当接部材としてのコンベヤベルト26dに押圧されて主動ローラ40cに従動し、主動ローラ40cとの間で紙幣を挟持して搬送する挟持ローラ40dと、を備える。
【0034】
可動導入機構44は、駆動シャフト44aにより回動され、その外周に紙幣挟持用の当接部材(例えばゴムなどの弾性部材からなる当接リング44b)を備えた主動ローラ44cと、押圧機構(例えば板ばね44e等)により当接部材に押圧されて主動ローラ44cに従動し、主動ローラ44cとの間で紙幣を挟持して搬送する挟持ローラ44dと、を備える。
【0035】
次に、これら各搬送機構を駆動する駆動機構について図3を参照して説明する。図3は、この底部カバー12aを外した状態で第一の伝動機構48を底面側から見た図である。本実施形態では、駆動機構は、駆動モータ46(図1(b))と、駆動モータ46の回動を搬送機構に伝達する伝動機構とを含み、搬送路Lの上方または下方から各搬送機構を駆動する。より具体的には、例えば、駆動ケース12の底部の底部カバー12aにより覆われた領域に第一の伝動機構48を備え、また駆動ケース12の上部の上部カバー12bに覆われた領域に第二の伝動機構(図示せず)を備える。なお図3は、この底部カバー12aを外した状態で第一の伝動機構48を底面側から見た図である。
【0036】
駆動ケース12の例えば下側には、駆動モータ46例えば電動モータが設けられる。駆動モータ46の回動は、例えばギヤあるいはベルトなどを含む伝動機構48により各搬送機構の駆動シャフトに伝達される。本実施形態では、駆動モータ46のシャフト46aには、第一の伝動機構48の主動ギヤ48aが固定される。また主動ギヤ48aの回動は、これに従動する従動ギヤ48b,48cにそれぞれ伝達される。このうち、従動ギヤ48bは中間搬送機構26の駆動シャフト26aに、また従動ギヤ48cは搬出機構34の駆動シャフト34aに、それぞれ固定され、これにより、各駆動シャフト26a,34aに駆動モータ46の回動が伝達される。
【0037】
可動導入機構44には、駆動モータ46により回旋駆動される伝動ベルト48dと、この伝動ベルト48dに当接して回動する受動ローラ48eとにより、駆動モータ46の回動が伝達される。より具体的には、伝動ベルト48dは、駆動ケース12に設けられた主動ローラ48fおよび従動ローラ48gと、可動導入機構44の駆動シャフト44aに固定された受動ローラ48eと、に掛架される。主動ローラ48fは、従動ギヤ48bに噛合する二次従動ギヤ48hに固定され、これらのギヤを介して駆動モータ46に回動され、この主動ローラ48fの回動により伝動ベルト48dが回旋する。
【0038】
この伝動ベルト48dは、受動ローラ48eが可動導入機構44(すなわち可動受入部20)の移動に伴って移動した場合にも、この受動ローラ48eに掛架されるように構成される。すなわち、受動ローラ48eの可動範囲において、伝動ベルト48dが受動ローラ48eに掛架されるように構成するとともに、掛架ローラ(受動ローラ48e,主動ローラ48f,従動ローラ48g)に掛架された状態での伝動ベルト48dの長さ(または長さに応じた張力)が、所定の範囲内(例えば、下限:伝動ベルト48dが外れることなく伝動が確保される長さまたは張力、上限:伝動ベルト48dあるいはこれを回旋させる機構が破損あるいは故障しない長さ若しくは張力)となるように構成すればよい。
【0039】
この場合、さらに、受動ローラ48eの位置(すなわち可動導入機構44の位置)によらず伝動ベルト48dの掛け渡し長さが不変となるように構成するのが好適である。例えば、本実施形態では、主動ローラ48fと受動ローラ48eとの間、および従動ローラ48gと受動ローラ48eとの間に、それぞれ受動ローラ48eとともに移動するガイドローラ48i、48jを設け、主動ローラ48fとガイドローラ48iとの間における伝動ベルト48d、および従動ローラ48gとガイドローラ48jとの間における伝動ベルト48dが、受動ローラ48eの移動方向X(すなわち可動導入機構44の移動方向)と平行な一直線上に位置するようにしている。
【0040】
搬入機構30の駆動シャフト30aには、第二の伝動機構により中間搬送機構26の従動ローラ26cの回動が伝達される。より具体的には、固定導入機構40の主動ローラ40cとして兼用した中間搬送機構26の従動ローラ26cを、駆動ケース12に回動自在に保持されて該駆動ケース12を上下に貫通する伝動シャフト50aに固定し、この伝動シャフト50aにより、駆動ケース12の下側の第一の伝動機構48から上側の第二の伝動機構に回動を伝達する。第二の伝動機構はギヤまたはベルトなどを備え(いずれも図示せず)、伝動シャフト50aの回動を駆動シャフト30aに伝達する。
【0041】
次に、紙幣の搬送を案内する案内部材について図4を参照して説明する。図4は、図2において搬送機構の記載を省略して示した図である。本実施形態にかかる紙幣搬送装置10は、搬送路Lに沿って固定設置される固定案内部材52、固定受入部24に固定設置される固定導入案内部材54、および、主搬送部に対する相対位置を変更自在に設けられ、可動受入部20より導入された紙幣の導入を案内するとともに、搬送路Lに沿って紙幣の搬送を案内する可動案内部材56と、を備える。
【0042】
これら各案内部材は、それぞれ各搬送機構に干渉しないように設けられる。本実施形態では、各ローラ、搬送ベルトおよび当接部材を、搬送路Lまたは導入路S1,S2において高さ方向のほぼ中央となる位置に備え、その上方および/または下方に、搬送路Lまたは導入路S1,S2の側壁としてこれら案内部材を備える。
【0043】
可動案内部材56は、例えば可動受入部44に設けられ、主搬送部に対して遊技機列に沿った方向に移動自在に設けられる。可動案内部材56は、搬送路Lに面し、搬送路Lを搬送される紙幣を案内する可動搬送案内部56aを備える。この可動搬送案内部56aの上流側の端部では固定案内部材52に対して搬送路Lの外方(本実施形態では前側)に、また下流側の端部では固定案内部材52に対して搬送路Lの内方(本実施形態では後側)に、それぞれオーバーラップする。また、各案内部材は、オーバーラップする部分の下流側端部に尖部を備える。これにより、紙幣がこれらの継ぎ目において係止されるのを抑制する。なお、導入案内部材(54,56)は、それぞれ、下流側に曲げて設置される。
【0044】
次に、本実施形態の紙幣搬送装置10の可動受入部20の構成について図5を参照して説明する。図5は、図1(b)のA−A断面図である。案内レール42により例えば搬送路Lに沿った方向(遊技機列に沿った方向)に移動案内される可動受入部20は、可動案内部材56に接続される入口部材58(58a,58b)を備える。この入口部材58には、案内レール42(42a,42b)に移動案内される被案内部60(60a,60b)が設けられ、可動受入部20はこの被案内部60を介して案内レール42に移動案内される。この被案内部60には、ロック機構(61a,61b)例えば固定ボルトが設けられ、所定の位置で可動受入部20を例えば案内レール42に固定してロックする。より具体的には、被案内部60に締め付け可能な固定ボルトは、被案内部60の外側の案内レール42に設けられた長孔(42c,42d)を貫通し、該固定ボルトの締め付けにより、案内レール42と被案内部60とが固定される。なお、本実施形態では入口部材58を上下に分割され締結された部材(58a,58b)を含むが、これには限定されない。
【0045】
本実施形態では、案内レール42を駆動ケース12の補強部材として用いる。
例えば駆動ケース12に設けられる並行した二つの案内レール42a,42bは、それぞれ金属部材(例えばステンレススチールまたはアルミニウム合金など)により構成され、またさらに、案内レール42の断面形状を例えばL字型あるいはコの字型などとすることにより案内レール42の断面二次モーメントを向上し、案内レール42ひいては駆動ケース12の曲げ剛性をより向上することができる。
【0046】
また可動受入部20は、該可動受入部20の紙幣受入元(例えば台間玉貸機[例えばそのフレーム];図示せず)との締結部64(例えば雌ねじ)を有する接続部材62を含む。この接続部材62は、紙幣受入元との接続時にこの紙幣受入元に当接され、導電性部材例えばステンレススチールなどにより構成されている。この当接により、紙幣受入元と接続部材62とは導通状態となる。また、接続部材62は、案内レール42bの金属部材と摺動部66bにおける摺動を自在に設けられる。また、案内レール42(本実施形態では例えば案内レール42b)には端子取付部74が設けられており、該端子取付部74にはアース配線68の端子70が接続されている。以上により、紙幣受入元が、案内レール42b(金属部材)のアース配線68を介しての接地により、接続部材62(導電性部材)が接地される。この接続部材62は、可動受入部20を紙幣受入元に接続する際に紙幣受入元に当接するから、これにより紙幣受入元のアースラインが形成される。この結果、紙幣受入元側で発生する静電気およびノイズがアースされ、これに起因する誤作動が抑制される。このアースラインは紙幣搬送装置10のアースラインとしても機能する。
【0047】
駆動モータ46の電源は、電源コネクタ76(76a,76b)に着脱自在に接続される電源コード(図示せず)より供給される。電源コネクタ76は、上流側(76a)、および下流側(76b)にそれぞれ設けられ、これらは互いに内部コード(図示せず)により接続されている。また、電源コードは、隣接する紙幣搬送装置10の電源コネクタ間で架橋され、これらを接続している。このような構成において、駆動モータ46の電源ラインは、電源コード(下流側)、電源コネクタ76b(下流側)、内部コード、電源コネクタ76a(上流側)、そして電源コード(上流側)という順に紙幣搬送装置10の列に沿って順次接続され、こうして、紙幣搬送装置10の列に沿った電源ラインが形成される。
【0048】
本実施形態では、前記電源ラインと並行して、アースラインが設けられている。すなわち、電源コードおよび内部コードはそれぞれアース用導線を含み、電源コネクタ76には、該アース用導線を着脱自在に接続するアース用端子(図示せず)が設けられる。そして、案内レール42に接続されるアース配線68が、このアース用端子に接続されている。このような構成により、紙幣搬送装置10の列に沿った紙幣受入元側および紙幣搬送装置10のアースラインが形成される。紙幣受入元側に遊技機のアースを接続すれば、当該アースラインを島全体のアースラインとして構成することができる。なお、前記アース用端子は、本実施形態では電源コネクタ76内に設けられたが、これには限られず、紙幣搬送装置10(例えば駆動ケース12など)の表面に露出した状態あるいは露出可能な状態に設けられていればよい。
【0049】
また本実施形態にかかる紙幣搬送装置10は、可動受入部20の移動量を示すスケール72を、例えば案内レール42(本実施形態では42a)の表面(例えば前側または後側の表面など)に備える。これにより、可動受入部20の移動量を容易に把握することができる。なお、案内レール42にこのスケール72を設けた場合、そのスケール72の設定される面は接続部材62に接触しないよう所定の間隙δを有して構成するのが好適である。本実施形態では、上下二本の案内レール(42a,42b)のうちいずれか一方(例えば上側の案内レール42b)を接続部材62に接触させてアース配線用に用い、また他方(例えば下側の42a)を接続部材62に接触させないスケール用として用いている。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態には限定されない。上記実施形態では、前側受入部を可動受入部とし、後側受入部を固定受入部としたが、これには限られず、後側受入部を可動受入部としてもよいし、前側および後側の双方を可動受入部としてもよい。また、右から左に紙幣を搬送する紙幣搬送装置に本発明を適用することも可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、紙幣搬送装置の紙幣の受入口の位置を変更自在とすることにより、紙幣搬送装置側で紙幣玉貸機の設置位置の誤差を吸収することができるとともに、紙幣搬送装置を遊技機あるいは台間玉貸機のレイアウトにより柔軟に対応させることができる。また、幅広の台間玉貸機の設置にも容易に対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態にかかる紙幣搬送装置の概観図である。
【図2】 本発明の実施形態にかかる紙幣搬送装置の内部構成を示す図である。
【図3】 本発明の実施形態にかかる紙幣搬送装置の駆動機構を示す図である。
【図4】 本発明の実施形態にかかる紙幣搬送装置の案内通路を示す図である。
【図5】 本発明の実施形態にかかる紙幣搬送装置の可動受入部の断面図(図1のA−A断面)である。
【図6】 遊技機、台間玉貸機、および紙幣搬送装置を含む島の概略構成図である。
【符号の説明】
10 紙幣搬送装置、12 駆動ケース、14 搬送腕、16 ジョイント、18 前側受入口、20 可動導入部(前側受入部)、22 後側受入口、24固定導入部(後側受入部)、26 中間搬送機構、26d 搬送コンベヤベルト、26f 挟持ローラ、26b 主動ローラ(掛架ローラ)、26c 従動ローラ(掛架ローラ)、30 搬入機構、34 搬出機構、40 固定導入機構、42 案内レール、44 可動導入機構、46 駆動モータ、52 固定案内部材、54 固定導入案内部材、56 可動案内部材、56a 可動搬送案内部、72 スケール、L 搬送路、S1,S2 導入路。
Claims (17)
- 遊技機列に沿って形成される搬送路に沿って紙幣を搬送する紙幣搬送装置であって、
前記搬送路の上流側より紙幣を受け入れる上流側受入口と、前記搬送路の下流側へ紙幣を送出する下流側送出口とを有する主搬送部と、
前記主搬送部の前側に位置し、前側受入口から受け入れた紙幣を前記主搬送部に導入させる前側受入部と、
前記主搬送部の後側に位置し、後側受入口から受け入れた紙幣を前記主搬送部に導入させる後側受入部と、
を備え、
前記主搬送部は、前記前側受入口、後側受入口または上流側受入口から受け入れた紙幣を、前記下流側送出口に向けて搬送し、
前記前側受入部および後側受入部のうち少なくともいずれか一方は、前記主搬送部に対してスライドして相対位置を連続的に変更可能な可動受入部として設けられることを特徴とする紙幣搬送装置。 - 前記前側受入部および後側受入部のうちいずれか一方は、前記主搬送部に対する相対位置の固定された固定受入部として設けられることを特徴とする請求項1に記載の紙幣搬送装置。
- 前記主搬送部は、前記上流側受入口から紙幣を引き込む搬入機構と、前記下流側送出口へ紙幣を搬出する搬出機構と、前記搬入機構から前記搬出機構へ紙幣を搬送する中間搬送機構と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の紙幣搬送装置。
- 前記可動受入部は、前記受け入れた紙幣を引き込んで前記搬送路へ導入する可動導入機構を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紙幣搬送装置。
- 前記固定受入部は、前記受け入れた紙幣を引き込んで前記搬送路へ導入する固定導入機構を備えることを特徴とする請求項2に記載の紙幣搬送装置。
- 前記可動受入部は、前記受け入れた紙幣を引き込んで前記搬送路へ導入する可動導入機構を備え、
前記紙幣搬送装置に設けられた、前記搬入機構、前記搬出機構、前記中間搬送機構および前記可動導入機構が、一つの駆動モータにより駆動されることを特徴とする請求項3に記載の紙幣搬送装置。 - 前記可動受入部は、前記受け入れた紙幣を引き込んで前記搬送路へ導入する可動導入機構を備え、
前記固定受入部は、前記受け入れた紙幣を引き込んで前記搬送路へ導入する固定導入機構を備え、
前記紙幣搬送装置に設けられた、前記搬入機構、前記搬出機構、前記中間搬送機構、前記可動導入機構および前記固定導入機構が、一つの駆動モータにより駆動されることを特徴とする請求項2を引用する請求項3に記載の紙幣搬送装置。 - 前記駆動モータにより回旋駆動される伝動ベルトを備え、
前記可動導入機構は、前記可動受入部の相対位置の可変範囲において前記伝動ベルトに当接して該伝動ベルトに回動される受動ローラを備えることを特徴とする請求項6または7に記載の紙幣搬送装置。 - 前記中間搬送機構は、前記主搬送部に対して相対位置が固定され、回旋するコンベヤベルトを備える搬送コンベヤと、前記コンベヤベルトに当接し、該コンベヤベルトとの間で紙幣を挟持して搬送するための挟持ローラと、を備え、
前記挟持ローラは、前記可動受入部に設けられ、前記可動受入部の相対位置の可変範囲において前記コンベヤベルトに当接することを特徴とする請求項3乃至8のいずれかに記載の紙幣搬送装置。 - 前記搬送コンベヤは、前記コンベヤベルトを掛け渡す掛架ローラを備え、
搬送路に沿った前記掛架ローラの数が前記挟持ローラの数より多いことを特徴とする請求項9に記載の紙幣搬送装置。 - 前記可動受入部には、受け入れた紙幣の前記搬送路への導入を案内する可動案内部材が設けられることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の紙幣搬送装置。
- 前記可動案内部材には、前記主搬送路を搬送される紙幣を案内する可動搬送案内部が設けられることを特徴とする請求項11に記載の紙幣搬送装置。
- 主搬送部には、前記搬送路における紙幣の搬送を案内する固定案内部材が設けられ、
前記可動案内部材の可動搬送案内部および前記固定案内部材は少なくともその一部が互いにオーバーラップすることを特徴とする請求項12に記載の紙幣搬送装置。 - 前記可動受入部の移動を案内する案内レールを備え、
前記案内レールは、当該案内方向に伸びる金属部材を含むことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の紙幣搬送装置。 - 前記金属部材と摺動可能に前記可動受入部に設けられ、該可動受入部の紙幣受入元との接続時に該紙幣受入元に当接される導電性部材を備え、
前記金属部材の接地により前記導電性部材が接地されることを特徴とする請求項14に記載の紙幣搬送装置。 - 隣接する紙幣搬送装置との間で架橋されるアース導線を接続可能に設けられ、前記金属部材に導通されたアース端子を備えることを特徴とする請求項15に記載の紙幣搬送装置。
- 前記可動受入部の移動を案内する案内レールを備え、
前記案内レールには、前記可動受入部の移動量を示すスケールが設けられることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の紙幣搬送装置。
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