JP4736961B2 - 光源装置 - Google Patents
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LCDパネルを使う方式は、1枚式と3枚式があるがいずれの方式であっても、光源からの放射光を3色(RGB)に分離して、LCDパネルにおいて画像情報に対応させた光を透過調整して、その後、パネルを透過した3色を合成させてスクリーン上に投射させる方式である。
一方、DLP(登録商標)を使う方式は、光源からの放射光をRGBの領域が分割形成された回転フィルターを介して空間変調素子(光変調デバイスともいい、具体的にはDMD素子などをいう)などを時分割で照射し、このDMD素子で特定の光を反射させてスクリーンに照射するものである。DMD素子とは、1画素ごとに小さな鏡を数百万個敷き詰めたものであって、一つ一つの小さな鏡の向きを制御することで光の投射が制御される。
DLP方式は、LCD方式に比較して、光学系が簡易であるとともに3枚ものLCDパネルを使う必要がないことから装置全体が小型簡易化するメリットがある。
また、この放電ランプ(以下、単に「ランプ」ともいう)は、スクリーンに投射される画像を明るくするために、回転楕円面形状の凹面反射鏡(略お椀型)の中に組み込まれる。凹面反射鏡を使うことで、ランプからの放射光を、限られた面積のスクリーンに効率よく収束できる。
そして、プロジェクター装置に対して小型化が要求されると、当然に、プロジェクター装置の中に組み込まれる光源装置(放電ランプや凹面反射鏡)も小型化が要求される。
そして、当然のことながら、このような寸法上、形状上の制約を受けたとしても、ランプの放射光の利用効率は高めなければならない。
ランプ10は一対の電極間にアーク輝点が形成される。反射鏡20は第一焦点F1に、ランプ10のアーク輝点が配置される回転楕円面反射鏡である。反射鏡20の第二焦点F2にはロッドレンズ30などの光学素子が配置される。このような構成において、ランプ10のアーク輝点(第一焦点F1)から発生する放射光は、原理的には、すべて第二焦点F2に集光される。
その原因は、第一に、放電アークが有限の大きさを有するからである。現在、プロジェクター装置に使われるランプの電極間距離は、およそ2.0mm程度であるが、この電極間距離に相当して放電アークが形成されるからである。(b)図において、放電アークのうち、第一焦点F1とその近傍から発生する放射光は、第二焦点F2の入射面で捕捉できるが、第一焦点F1から離れたF1aやF1bから発生する放射光は、位置F2aや位置F2bに集光するためロッドレンズ30の入射面31では捕捉できない。もちろん、入射面31の大きいロッドレンズを使うことも解決手段として考えられるが、装置小型化の要請やコスト面の問題から、単純に大きいロッドレンズを使うというわけにはいかない。
一般には、反射鏡の前方に、照度分布を均一化させるための光学素子を配置する技術も存在するが、前記したようにプロジェクター装置の小型化を考えた場合は、適した解決手段とはいえない。
この構成は、ひとつの楕円面だけで反射鏡を構成する場合に比較すると、確かに、反射鏡の寸法を小型にしつつ、さらに、光取り出し効率を高めることができる。
しかし、反射鏡の前方に配置された光学素子の入射面において、照度分布を十分に均一化できるものではなく、結局は、照度分布を均一化させるための光学システムを必要とする。
そして、前記凹面反射鏡は、前方楕円面反射鏡部分と後方楕円面反射鏡部分よりなる2つ回転楕円面反射鏡部分が、少なくとも第一焦点を同じ位置にして、かつ、光放射方向に対して前後する位置関係で構成されるとともに、前記前方楕円面反射鏡部分で反射された光と、後方楕円面反射鏡部分により反射された光は、ともに、当該凹面反射鏡の前方に最初に配置された光学素子の入射面に照射されるとき、前方楕円面反射鏡部分により前記入射面に形成される照度分布と、後方楕円面反射鏡部分により前記入射面に形成される照度分布は、それぞれドーナツ状であって、互いに隣接して形成されることを特徴とする。
具体的には、一方の反射鏡部分により形成されるドーナツ形状の照度分布と、他方の反射鏡部分により形成されるドーナツ形状の照度分布が、ドーナツの中心に相当する照度分布が低い部分に照射されるように隣接することとなる。
光源装置は、放電ランプ(以下、単に「ランプ」ともいう)10と凹面反射鏡(以下、単に「反射鏡」ともいう)20より構成される。ランプ10は一対の電極が発光部の中に対向配置して構成される。反射鏡20が、ランプ10を取り囲むよう配設され、ランプ10のアーク方向、すなわち、電極の先端同士をつなぐ方向と、反射鏡20の光軸Zが一致する。
また、前方楕円面反射鏡部分21の第二焦点F221と、後方楕円面反射鏡部分23の第二焦点F223は、それぞれ、ロッドレンズ30の内部であって、光軸Zの延長線上に形成される。従って、前方楕円面反射鏡部分21と後方楕円面反射鏡部分23の反射光は、ロッドレンズ30の入射面31においては、中心点A2に集光しているわけではない。
なお、前方楕円面反射鏡部分21からの反射光、および、後方楕円面反射鏡部分23からの反射光が、ランプで遮光されることなく、入射面31で捕捉できるのであれば、前方楕円面反射鏡部分21の第二焦点F221、あるいは、後方楕円面反射鏡部分23の第二焦点F223を入射面31上、すなわち、中心点A2に一致させてもよい。これらは、ロッドレンズ30の入射面31の大きさや、反射鏡20の前方開口径、あるいはランプの封止部の寸法などによって決まる。
しかし、放電アークは、現実には有限の大きさを有し、第一焦点F1のみで発光しているわけではなく、第一焦点F1の近傍からも発光しているからである。この点については、図11を使って説明したとおりであるが、このため、前方楕円面反射鏡部分21の第二焦点F221と、後方楕円面反射鏡部分23の第二焦点F223が、光学素子30の入射面31上に形成された場合であっても、入射面31においては、ドーナツ形状の照度分布が形成される。
もちろん、前方楕円面反射鏡部分21の第二焦点F221と、後方楕円面反射鏡部分23の第二焦点F223が、図3に示すように光学素子の内部に形成された場合であっても、アークが有限の大きさを持つことから、当該要因も影響した上で、入射面31ではドーナツ形状の照度分布が形成される。
前方楕円面反射鏡部分21による照度分布はドーナツ状の領域S1が形成されており、その外側に、後方楕円面反射鏡部分23によるドーナツ状の領域S2が形成される。
このように、ランプの放射光を有効に活用できるとともに、別部材の平行化レンズなどを使うことなく、反射鏡のみで平行化した光を形成できる。
反射鏡全体の長さ(光軸方向の長さ)は33.5mm、
前方楕円面反射鏡部分21の長さ(光軸方向の長さ)は25.8mm、
中央球面反射鏡部分22の長さ(光軸方向の長さ)は6.9mm、
後方楕円面反射鏡部分23の長さ(光軸方向の長さ)は0.8mm、
前方楕円面反射鏡部分21の前面開口径は44.2mm、
中央球面反射鏡部分22の前面開口径は19.6mm、
後方楕円面反射鏡部分23の前面開口径は14.4mm、
後方楕円面反射鏡部分23の後方開口径はφ10.0mm、
前方楕円面反射鏡部分21の第一焦点距離は5.2mm、
前方楕円面反射鏡部分21の第二焦点距離は139mm、
ランプの電極間距離は1.0mm、
反射鏡の前方開口と光学素子の入射面との距離は16.4mm、
入射面における領域S1の外径はφ18mm、内径はφ11mm、
入射面における領域S2の外径はφ11mm、内径はφ5mm、
光学素子の入射面の面積は、490.63mm2(φ25)である。
前方楕円面反射鏡部分21による照度分布はドーナツ状の領域S1が形成されており、その内側に、後方楕円面反射鏡部分23によるドーナツ状の領域S2が形成される。
このように、ランプの放射光を有効に活用できるとともに、別部材の平行化レンズなどを使うことなく、反射鏡のみで平行化した光を形成できる。
反射鏡全体の長さ(光軸方向の長さ)は34.7mm、
前方楕円面反射鏡部分21の長さ(光軸方向の長さ)は17.3mm、
中央球面反射鏡部分22の長さ(光軸方向の長さ)は4.8mm、
後方楕円面反射鏡部分23の長さ(光軸方向の長さ)は1.9mm、
前方楕円面反射鏡部分21の前面開口径は36.1mm、
中央球面反射鏡部分22の前面開口径は20.8mm、
後方楕円面反射鏡部分23の前面開口径は18.0mm、
後方楕円面反射鏡部分23の後方開口径は11.0mm、
前方楕円面反射鏡部分21の第一焦点距離は5.8mm、
前方楕円面反射鏡部分21の第二焦点距離は63.4mm、
ランプの電極間距離は1mm、
反射鏡の前方開口と光学素子の入射面との距離は28.9mm、
入射面における領域S1の外径はφ4mm、内径はφ2mm、
入射面における領域S2の外径はφ7mm、内径はφ4mm、
光学素子の入射面の面積は、50.24mm2(φ8)である。
放電ランプ10は、石英ガラスからなる放電容器によって形成された概略球形の発光部11を有する。この発光部11の中には、先端に塊状部を有する一対の電極20が2mm以下の間隔で対向配置している。また、発光部11の両端部には封止部12が形成される。この封止部12には、モリブデンよりなる導電用金属箔13が、例えばシュリンクシールにより気密に埋設される。金属箔13の一端には電極14の軸部が接合しており、また、金属箔13の他端には外部リード15が接合して外部の給電装置から給電が行なわれる。電極14の先端(他方の電極に対向する端部)には後述する突起が形成される。この突起は、ランプの点灯に伴い自然に形成されるか、あるいは、電極を製作する工程において予め形成される。
また、この種の放電ランプは、小型化するプロジェクター装置に内蔵されるものであり、全体寸法として極めて小型化が要請させる一方で高い発光光量も要求される。このため、発光部内の熱的影響は極めて厳しいものとなる。ランプの管壁負荷値は0.8〜2.0W/mm2、具体的には1.5W/mm2となる。
このような高い水銀蒸気圧や管壁負荷値を有することがプロジェクター装置やオーバーヘッドプロジェクターのようなプレゼンテーション用機器に搭載された場合に、演色性の良い光を提供できる。
なお、放電ランプは、交流点灯に限定されず、直流点灯であってもかまわない。
図10は、反射鏡20が前方楕円面反射鏡部分21と後方楕円面反射鏡部分23から構成されたものを示す。
図1と同一番号は同一の構成を示し、図1に示した反射鏡と基本的に同じ機能を有する。
反射鏡全体の寸法が大きい場合は、反射鏡20を、前方楕円面反射鏡部分21と後方楕円面反射鏡部分23から構成させても、光の取出し効率を高めることができ、製造上簡易であるなどの利点を有する。
また、本発明のような構造を採用することで、別途、集光レンズや平行化レンズを採用しなくてすみという利点があるが、集光レンズや平行化レンズを採用する場合であっても、数を減少させたり、寸法を小さくできるという利点がある。
20 反射鏡
21 前方楕円面反射鏡部分
22 中央球面反射鏡部分
23 後方楕円面反射鏡部分
24 首部
25 前面ガラス
30 光学素子
31 入射面
F1 第一焦点
F121 第一焦点
F122 中心点
F123 第一焦点
F221 第二焦点
F223 第二焦点
L21 光
L211 光
L212 光
L22 光
L23 光
Z 光軸
Claims (5)
- 放電容器内に一対の電極が対向するように配置されたショートアーク型放電ランプと、この放電ランプのアーク方向と光軸が一致する状態で放電ランプを取り囲むよう配置された凹面反射鏡よりなる光源装置において、
前記凹面反射鏡は、前方楕円面反射鏡部分と後方楕円面反射鏡部分よりなる2つの回転楕円面反射鏡部分を有し、
前記前方楕円面反射鏡部分と前記後方楕円面反射鏡部分は、前記前方楕円面反射鏡部分と前記後方楕円面反射鏡部分の第一焦点が同じ位置であって、前記前方楕円面反射鏡部分と前記後方楕円面反射鏡部分のそれぞれの第ニ焦点が光軸の延長線上で異なる位置であって、光放射方向に対して前後する位置関係で構成されるとともに、
前記前方楕円面反射鏡部分で反射された光と、後方楕円面反射鏡部分により反射された光は、ともに、当該凹面反射鏡の前方に最初に配置された光学素子の入射面に照射されるとき、
前方楕円面反射鏡部分により前記入射面に形成される照度分布と、後方楕円面反射鏡部分により前記入射面に形成される照度分布は、それぞれドーナツ状であって、互いに隣接して形成されることを特徴とする光源装置。
- 前記前方楕円面反射鏡部分により形成された照度分布と、前記後方楕円面反射鏡部分により形成される照度分布は、重なることなく隣接していることを特徴とする請求項1の光源装置。
- 前記光源装置は、LCD系プロジェクター装置に使われる装置であって、
前記後方楕円面反射鏡部分により形成される照度分布は、前記前方楕円面反射鏡部分により形成される照度分布の外側に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2光源装置 - 前記光源装置は、DLP系プロジェクター装置に使われる装置であって、
前記後方楕円面反射鏡部分により形成される照度分布は、前記前方楕円面反射鏡部分により形成される照度分布の内側に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2の光源装置 - 前記凹面反射鏡は、前記前方楕円面反射鏡部分と前記後方楕円面反射鏡部分の間に、前記第一焦点を中心位置とする中央球面反射鏡部分が形成されることを特徴とする請求項1の光源装置。
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