JP4735797B2 - エマルション生成用ディスポーザブル膜モジュール - Google Patents

エマルション生成用ディスポーザブル膜モジュール Download PDF

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Description

本発明は、乳化型医療薬液や産業用のエマルション、あるいは各種実験に必要な少量のエマルションを生成する際に用いて好適な使い捨て型の膜モジュールに関し、特に、無菌状態を長時間保持でき、多孔体に有機性気体が付着し難くく、本来の多孔体表面を維持できるエマルション生成用ディスポーザブル膜モジュールに関する。
従来の乳化装置では、乳化用容器の内部が円筒径の多孔体により仕切られ、多孔体は、0.1乃至10ミクロンの平均孔径の孔を均一に有している。多孔体はOリングにネジ止めにて固定されており、この多孔体の内側に分散相の液室が形成され、分散相液室は、気体加圧源に接続する分散相容器に連通接続されている。一方、多孔体の外側には、エマルション形成用の室(連続相液室)が形成されている。そして、エマルション形成室には攪拌用の回転子が設けられると共に、連続相用の液体供給管が連通接続されている。使用の際は、分散相液室の液体を加圧状態で多孔体の細孔に通過させることで、連続相液室の液体中に分散相液室の液体を圧入し分散してエマルションを生成している(例えば、特許文献1参照。)。
特開平06−315617号公報(第3−5頁、第1図)
しかしながら、従来の乳化装置は、滅菌性の保証がなく、かつ生成するエマルションの粒径にバラツキが生じやすい。そのため、例えば、医療現場で使用するには実用可能とは言い難く、厳密に言えば量産面や取扱性などの面からは使用困難になっている。具体的には、膜モジュールが複雑な構造をしているので、分散素子の装脱着が煩雑であり、膜モジュールを使用した後に再び使用するには、分解、洗浄、組立て、滅菌処理などに手間がかかるため連続使用が困難になっている。そこで、エマルションの生成量が少量であっても、粒子径が均一でかつ安定性に優れたエマルションを製造することができ、しかも組み立て及び分解が容易で部品の洗浄や滅菌を簡単に行うことができる乳化装置が要請されている。
他方、衛生的な観点からは、エマルションを薬液として調製する時に、必ずしも安全な無菌状態を確保できる保証はない。大気中の雰囲気下では、多孔体の表面が大気により汚染されやすく、乳化時の粒子径の不均一化を発生させる原因にもなる。また、多孔体をOリングに固定する際、ネジの締め付け具合が緩いと、分散相の液漏れが発生したり、分散相が分散相供給管の連通穴から流出して多孔体の(細孔)内腔に満たされる時、多孔体内腔に気泡が残留したりする。このような場合、分散相が多孔体を透過して連続相の室内に放出される際に気泡が多孔体の膜表面を覆ってしまう。その結果、生成するエマルションの乳化の均一性が失われ、エマルションの乳化粒子径が全体として不均一になるという問題があった。
エマルションの乳化生成がうまくいかずに失敗した時は、このエマルションを薬液として使用することはできなくなる。そこで、エマルションの生成を最初から再度やり直しすることがあるが、やり直すとなると多大な手間がかかり大変面倒になる。しかも、薬液として高価な乳化原料を使用する場合には、かなりのコスト高を招くので、最初からやり直しすることは望ましくない。一方、新薬の開発などにおけるエマルション生成の実験では、エマルション粒子が不揃いのまま製造され、エマルションの乳化状態の異常が認められることが多々あった。その主な原因としては、多孔体と導管との接続不良に起因する液漏れ、あるいは膜表面での分散相の濡れが挙げられる。これを回避するには、乳化不良の状態、例えば、微細な又は粗大なエマルション粒子のバラツキなどを容易に見分けられればよいが、これを見分けるには、かなりの経験と熟練を必要とし困難である。
乳化不良の状態を知らないまま、不均一な乳化粒径のエマルションを患者に投与したときには、患者の身体に悪影響を与える危険性がある。粗大なエマルションを投与したときは、例えば粗大なエマルション粒子が患者の肺の末梢血管に流れ、血管を詰まらせて呼吸困難を招くことがある。また、微細なエマルションを投与したときは、エマルション粒子が患者の脳に蓄積して脳障害を起こすことがある。
医療用新薬の開発や乳化系抗ガン剤の投与の際は、エマルション調製を無菌状態で行う必要があると同時に、このエマルション粒子径は、できるだけ均一な粒子径に制御して製造することが望まれている。医療用薬液のエマルションの製造では、万が一にもエマルション粒子径にバラツキが生じて不均一になる等の失敗は、人体に害をもたらすので到底容認されない。実際の医療現場では、所要の薬液調製に対して即座に対応でき、完全に滅菌済みされたディスポーザブル膜モジュールを常備しておくことが要請されているが、未だこれに十分対応できていないのが実情である。
本発明は上記の課題に鑑みなされたもので、滅菌済みディスポーザブル膜モジュールとして無菌的にエマルションを製造することが困難であった点、特に大気中では多孔体が本来の表面状態を厳密に保たず膜表面に分散相気体が濡れてしまうという点に着目したものである。また、多孔体のネジ止め固定が緩い場合や、接着剤を用いるときは多孔体と導管に接着剤を単に乗せるだけの接着方法では、多孔体の部分に生ずる隙間や剥離部分から分散相が漏れる点、さらに、多孔体の内腔に気泡が残留してしまい、分散相が膜表面上で濡れてしまい、乳化時にエマルション粒子径が不均一になるという点に着目したものである。本発明は、多孔体と導管とを接着剤で接続固定する取扱容易な構造において上記問題を解決して、粒子径が均一なエマルションを無菌的に確実・容易に高精度に製造できるエマルション生成用ディスポーザブル膜モジュールを提供することを目的とするものである。
このため本発明は、分散相供給用導管の下端に、内側の分散相液室と外側の連続相液室とに仕切る筒状の多孔体を接続し、分散相容器から供給される分散相液室の液体を加圧状態で多孔体を通過させることで、分散相液室の液体を連続相液室の液体中に圧入し分散してエマルションを生成するディスポーザブル膜モジュールにおいて、連続相容器内部が外気に曝露されることなく完全無菌室を形成し、エマルションの無菌調製が可能な乳化装置であって、分散相液室が外気に曝露されないように、分散相供給用導管の途中に分散相容器に接続した注射針が挿抜可能なシリコーンゴムを設け、該注射針を該シリコーンゴムに刺すことで分散相容器から分散相供給用導管を通じて分散相液室内に分散相を供給することが可能で、さらに分散相液室内に残留する気泡を該導管から該注射針を通じて吸出できるように、多孔体内径部に配備されている該導管の分散相液室内分散相供給口である横穴を、導管と多孔体との接続部分における上端に設けたことを特徴とする。また、連続相液室と外気と連通する上側通路には、分散相が連続相液室に乳化分散されると同時に、連続相液室空気が圧迫されないように空気逃がし口を設け、かつ雑菌の侵入を防ぐために、100ccの気体透過性で10乃至25秒の透過度を有するフィルターを設けることで、膜モジュールの内部まで滅菌処理を行うことができる。多孔体には、親水性表面処理または疎水性表面処理を施すことができる。
本発明は、粒子径が均一なエマルションを無菌的に容易且つ確実に高精度に製造することができる滅菌可能なディスポーザブルタイプの膜モジュールを提供することができる。特に、分散相液を分散相液室に満たすための導管と分散相液室を連通する横穴を、導管と多孔体との接続部分における上端に形成したので、導管と多孔体の間に残存する気泡を導管を通じて膜モジュールの外部に排出することができ、多孔体の膜表面を新品同様に長く維持して、エマルション粒子径をより均一に形成することができる。
連続相液室と連通する通路に、100ccの気体透過性で10乃至25秒の透過度を有するフィルターを設けたものでは、膜モジュールの内部まで滅菌処理を行うことができる。また、多孔体には、親水性表面処理または疎水性表面処理を施すことで、多孔体の表面に大気中の有機性気体が付着することなく、多孔体の良好な表面状態を長時間保ち、エマルションを無菌的に確実に製造することができる。さらに、非対称膜を利用すれば、調製時間の短縮化を図ることもできるという優れた効果がある。
本発明は、耐性薬品性のある安価な部材を使って、粒子径が均一なエマルションを無菌的に確実に精度良く製造できる滅菌可能なディスポーザブルタイプの膜モジュールを提供するものであって、水中油型、油中水型又は油中水中油型などの多種類のカプセル型エマルションを生成することができる。分散相液体供給用の導管の下端には多孔体を接続し、この多孔体の表面には、医療用具としても使用可能な親水化溶液で親水化処理を施すか、あるいは疎水化溶液で疎水化処理を施す。
エマルション形成用の連続相の液室と分散相の液室とは、多孔体により外側と内側に画成し、連続相の液室が外気に曝露されることなく完全無菌室を形成し、エマルションの無菌調製を可能とするために、分散相の液室が外気に曝露されないように、分散相供給用導管の途中にシリコーンゴムを設ける。多孔体と導管の固定では、多孔体の細孔の絡み合い構造をうまく利用して接着剤で固定接続する。具体的には、接着剤を多孔体の表面の所定領域に湿潤させた上で、強力に硬化させることのできるUV硬化型接着剤による接続固定方法を採用する。そして、導管と多孔体との接続部分における上端には横穴を設け、分散相容器に接続した注射針を該シリコーンゴムに刺すことにより、導管を通じて横穴から分散相を分散相液室に満たすことが可能で、さらに分散相液室に気泡が残存した場合は、気泡を膜モジュールの外に導管から注射針を通じて容易に吸い出すことができるようにする。この多孔体と導管を接着する際、導管下端側の横穴を接着剤で塞いでしまわないようにする。
また、分散相が連続相のエマルション形成室(連続相液室)に移動して、連続相液室内を無菌状態に保ちながら、連続相液室内の気体(気圧)を室外へ抜くことができるように、直径2mm乃至10mmのフィルターを設ける。フィルターは連続相液室の上部と連通する部分に取り付け、100ccの気体透過性で10秒乃至25秒の透過性能を有するものを使用する。これは、10秒未満の透過性能だと液漏れ遮断性が著しく低下する反面、25秒を越える透過性能だと気体透過性が著しく低下するからである。
従来技術では、分散相が多孔体内腔に満たされる時、多孔体内腔に気泡が残留した場合、分散相が多孔体を透過して連続相液室内に放出される際に、気泡が多孔体の膜表面を覆ってしまい、その結果、生成したエマルションの粒子径が不均一になる欠点があったが、本発明ではこの欠点を除去することができる。すなわち、導管と多孔体との接続範囲の上側に横穴を設けたので、多孔体内腔に残った気泡は、横穴を通して導管の上側開口部から膜モジュール外に排出できる。したがって、多孔体の膜表面が気泡で覆われることがなく、本来の膜表面状態を長期間良好に維持して、エマルションの粒子径を可及的に均一に精密制御して形成することができる。
連続相液室と連通する通路には、100ccの気体透過性で10乃至25秒の透過度を有するフィルターを設けている。このフィルターにより、滅菌用のエチレンオキサイドガス等を膜モジュール内部に充満させ、滅菌後にガスのエアーレーションが可能になる。したがって、漏れ遮断性及び気体透過性を損なうことなく、膜モジュールの内部まで確実に完全滅菌処理を行うことができる。また、多孔体には、親水性表面処理または疎水性表面処理を施すことで、多孔体の表面に大気中の有機性気体が付着することを防止できる。この結果、多孔体の表面を本来の状態に長時間維持でき、エマルションを無菌的に確実に製造することができる。さらに、本発明では非対称膜を利用することにより調製時間の短縮を図ることもできる。
以下に、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。この実施例は、分散相供給用導管の下端に、分散相液室と連続相液室とに仕切る円筒状のSPG多孔質ガラス膜製多孔体を接続した使い捨て型の膜モジュールに適用したもので、連続相の液室が外気に曝露されることなく完全無菌室を形成し、エマルションの無菌調製を可能とするために、分散相の液室が外気に曝露されないように、分散相供給用導管の途中にシリコーンゴムを設け、分散相容器に接続した注射針を該シリコーンゴムに刺すことにより分散相容器から導管を通じて導管と分散相液室が連通し、導管と多孔体との接続部分における上端に、分散相液室に分散相液を満たすための横穴があり、この分散相液室に気泡が残存した場合は、この横穴から導管を通じ、また該シリコーンゴムに刺した注射針を通じて容易に気泡を吸い出すことができる。また、分散相が連続相液室に乳化分散されると同時に、連続相液室空気が圧迫されないように空気逃がし口となる連続相液室と外気と連通する通路には、雑菌の侵入を防ぎ100ccの気体透過性で10乃至25秒の透過度を有するフィルターを設け、膜モジュールの内部までエチレンオキサイドガスで滅菌処理を行うことができるようにしたものである。さらに多孔体には、親水性表面処理または疎水性表面処理を施し、非対称膜を利用することで、調製時間の短縮化を図れるものである。
図1は本発明の一実施例に係るディスポーザブル膜モジュールの構造を示す縦断面図、図2は一実施例のディスポーザブル膜モジュールの非対称膜を拡大して示す縦断面図、図3は図1のディスポーザブル膜モジュールの導管と多孔体との接着固定部分を拡大して示す縦断面図、図4は従来のディスポーザブル膜モジュールの導管と多孔体との接着固定部分を拡大して示す縦断面図である。
本実施例では、一般医療用具としての量産を前提として、優れた成形性と溶剤接着性を有し、耐薬品性のある安価な塩化ビニル樹脂の成形パーツを使用して図1に示すようなディスポーザブル膜モジュールを製作した。ここで、連続相タンク13内に収容された多孔体7には外径10mm、内径8.5mm、筒長20mmのSPG多孔質ガラス膜を使用した。O/W系のエマルション調製用ディスポーザブル膜モジュールに使用する多孔体7では、連続相の水中に濡れやすい親水化溶液で親水化表面処理を施し、また、W/O系のエマルション調製用ディスポーザブル膜モジュールに使用する多孔体7では、連続相の油中に濡れやすい疎水化溶液で疎水化表面処理を施した。
図1に示すように、多孔体7の内側に分散相液室11が形成され、多孔体7の外側に連続相液室12が形成されている。エマルション形成室である連続相液室12には、攪拌用の回転子8が設けられていると共に、連続相用の液体供給管が連通接続されている。多孔体7の上端部には、分散相液室11に液体を供給するための導管4が接着剤6により接続固定され、この導管4の上側の通路の途中には、分散相液室が外気に曝露されないように、シリコーンゴム3が設置されている。また本発明がディスポーザブル膜モジュールに関するもので、本発明の膜モジュールを構成する材質については特別限定されるものではなく、使用する分散相と連続相などに対する耐薬品性や構成コストにより適宜決定されるもので、たとえば連続相タンク13には汎用のガラス瓶、導管4など成形パーツには前述のような安価な硬質塩化ビニル樹脂、及びシリコーンゴム3の素材としては、医療用具の透析用装置やカテーテル等に使用されており、一般に耐性薬品性の高いものが使用できる。
多孔体7内腔に分散相が満たされるとき、多孔体7内腔に気泡が残存することがあるが、この気泡を吸い上げるための横穴5が導管4の下端側に設けられている。この横穴5は、導管4と多孔体7との接続範囲において最上部側、つまり分散相液室11の上端に形成されている。ここで、多孔体7と導管4との固定手段としては、硬化性に優れた医療用具グレードのUV硬化型接着剤6が使用されている。図3に示すように、多孔体7内腔に分散相を満たす時に多孔体7内腔に溜まる気泡10を容易に横穴5から吸い上げることができるように、接着剤6を硬化させる下側の位置範囲は、横穴5直上の端面5Aまで充填できるように設定されている。
多孔体7と接着剤4の剥離箇所や隙間から分散相が液漏れしないように、多孔体7の上端部における接着剤4の湿潤範囲は、多孔体7の端面7A上側付近から横穴5の直上端面5Aに渡って設定され、湿潤後にUV硬化して両者7、4が固定されている。同じく、多孔体7の下端における接着構造についても、多孔体7の端面下側付近に接着剤6を湿潤させた後に、UV硬化して両者7、4が固定されている。このときの湿潤状況を目視で容易に確認できるように、接着剤6に医療用グレードの着色剤を添加し、多孔体7表面上の接着剤6の染み込み具合を確認可能にする。
導管4の横穴5上端から多孔体7の上端までの長さは約3mmであるため、多孔体7に接着剤6を湿潤させる長さ範囲は3mmに設定されている。一方、多孔体7の下側における接着剤6の湿潤部の幅は約1mmに設定されている。ここで、多孔体7上端の接着固定部において湿潤部の幅を4mmに設定したときは、導管4の横穴5を接着剤6で塞いでしまう。横穴5が塞がれると、横穴5から分散相液体が流出しなくなる。接着剤6で横穴5が塞がれなかった場合でも、多孔体7に接着剤6を湿潤させた面積が多くなるため、多孔体7の細孔14の有効面積が少なくなり、分散相の流速が極度に低下する欠点が生ずる。
次に、多孔体7と導管4との固定部分に対するシール性に関して、固定不良によるエアー漏れ試験を行った。その試験結果を表1に示す。本実施例では、検体数50本の各ロットA、B、Cについて、バブリングテストで全くシール漏れがないことを確認した。従来の接着方法では、表2に示すように、膜モジュールの接着不良として75件中5件が発生していた。このことから、本実施例の膜モジュールは、優れたガス漏れ防止効果を有することが判った。
Figure 0004735797
Figure 0004735797
他方、導管4の横穴5上側又は下側と多孔体7との間における脱気試験を行った。その試験結果を表3に示す。この表3から明らかなように、分散相供給用導管4の横穴5を多孔体7との接続範囲で上端側に設けたので、多孔体7の内腔に閉じ込められた気泡10については、これを殆ど完全に脱気することができた。図4に示す従来構造のように、導管4の孔が多孔体7の下側にある場合は、多孔体7内腔に閉じ込められた気泡10を脱気することができなかった。
Figure 0004735797
連続相液室12の上部と連通する上側通路15には、直径2mm乃至10mmのフィルター1が設けられ、このフィルター1の気体透過性能は、100ccの気体を10乃至25秒で通すことのできるものである。ここでは、体積割合で約30%のポリエチレンを含有し、残りの約70%がパルプとされた直径5mmのフィルター1が熱溶着にて該気体通路16に固定装着されている。したがって、滅菌用のエチレンオキサイガスを連続相液室12の内部に充満させた後、気体透過性のフィルター1により、滅菌後のガスを完全にエアレーションすることが可能になった。因みに、気体透過性能が異なる3種類のフィルターを上記同様に装着したものについて、それぞれ気体透過性と液漏れ遮断性に関してフィルター試験を行った。その結果を表4に示す。
Figure 0004735797
表4の結果から明らかなように、100ccの気体を10乃至25秒で通す本実施例のフィルター1では、気体透過性と液漏れ遮断性が共に良好であった。つまり、膜モジュール内の液体が外に漏れることがなく、しかも、膜モジュール内の気体が外部に透過した。一方、100ccの気体を10秒未満で通すフィルターでは、所要の液漏れ遮断性が確保されず、膜モジュール内の液体が漏れた。また、25秒を越えて通すフィルターでは、所要の気体透過性が確保されず、膜モジュール内の気体が外部に透過しなかった。
(実験例1)
多孔体7の表面に親水化処理を施した膜モジュールを使用してエマルションを夫々生成した。また、多孔体7の表面に親水化処理を施さない膜モジュールを使用してエマルションを生成した。この場合、双方のエマルションを生成工程において、油性の分散相を水溶性の連続相に乳化する時に、乳化状態をエマルションの乳化粒子径で確認した。その結果を表5に示す。
Figure 0004735797
この表から明らかなように、多孔体7の表面に親水化処理を施さない膜モジュールで乳化した場合、エマルション乳化粒子径の平均値が100μm以上の粗大な乳化粒子が生成されたものがあった。これは、膜モジュール内で多孔体の表面が連続相の室内の雰囲気により、多孔体の表面の親水性が損なわれ、乳化時に分散相が多孔体の表面で濡れたものと考えられる。これに対して、表5のように、多孔体7の表面に親水化処理を施した膜モジュールで乳化した場合は、エマルション乳化粒子径の平均値が約70〜78μm範囲に揃っていた。これは、膜モジュールの多孔体7の表面を強制的に親水化処理することにより、乳化時に分散相の液体が多孔体7の表面で濡れることなく、初期の目的どうり粒子径が均一なエマルションを生成することができた。
(実験例2)
多孔体7の表面に疎水化処理を施したW/O系のディスポーザブル膜モジュールを使用し、エマルションを乳化した。この場合、水溶性の分散相を油性の連続相に乳化させるときのエマルション乳化の粒子径を確認した。同様に、従来の開放的なホモジナイザーで乳化攪拌した場合、無菌調製を意図したボルテックスミキサーで乳化した場合、多孔体7の表面に疎水化処理を施さないW/O系のディスポーザブル膜モジュールで乳化した。それぞれについて、水溶性の分散相を油性の連続相に乳化させるときのエマルション乳化の粒子径を確認した。各乳化粒子径の比較を表6に示す。
Figure 0004735797
この乳化操作は、抗ガン剤の油中水滴W/O型エマルションを調製するときに必要な工程であり、無菌的に薬剤調製されることが必須であるが、従来のホモジナイザーでの薬剤調製では開放的なビーカー内で調製するため、ドラフトチャンバーの設備が必要であった。ドラフトチャンバーの設備がないときは調製時の雰囲気が無菌でないので、有害菌の混入が見られた。これに対し、比較的無菌的に薬剤調製ができる手段として、ボルテックスミキサーの使用を試みた。しかし、この場合も人為的な操作によりエマルション乳化を行うものであるから、製剤の調製に個性差が出てくる可能性がある。表6から判るように、ボルテックスミキサーの使用では、従来のホモジナイザーの使用に匹敵する所要の乳化粒子径を得ることができなかった。そこで、本実施例に係る多孔体7表面に疎水化処理を施した滅菌可能なW/O系のディスポーザブル膜モジュールをを使用した場合では、連続相のエマルション形成室を常に無菌状態に保ちながら、良好に薬剤調製を行うことが可能になり、従来のホモジナイザーを使用した場合と同等に優れた乳化粒子径を生成することができた。一方、多孔体7表面に疎水化処理を施さないディスポーザブル膜モジュールを使用した場合は、従来のホモジナイザー匹敵する所要の乳化粒子径を十分得ることができなかった。
(実験例3)
図2に示すように、ディスポーザブルタイプの膜モジュールのSPG多孔質ガラス膜製多孔体9として、分散相が流出する膜厚方向(分散相の流出方向)Tに対して細孔14の径が狭角になる非対称構造を有するものを使用した。この多孔体9の膜表面に疎水化処理を施してエマルション乳化を行い、乳化に要した時間(乳化時間)を測定した。その試験結果を表7に示す。
Figure 0004735797
上述のように、前記細孔14を、図2における分散相液室11側の内膜面から連続相液室12側の外膜面にいくほど、孔径が次第に小さくなるように形成した。このため、従来の対称構造の膜を多孔体として用いたディスポーザブル膜モジュールでは、乳化時間62分を要したが、本実施例の非対称構造の膜9を用いたディスポーザブル膜モジュールでは、乳化時間28分で済んだ。これから、従来の対称構造の膜に比べて、本実施例の非対称構造の膜9では、エマルション調製の時間を約半分に短縮することができた。
このように、本実施例は、分散相の液体を加圧体の加圧下に、多孔体7の微細な孔を通して、連続相の液体中に圧入して、分散相の液体を連続相の液体中に分散させるものである。分散相の液体が、連続相の液体中に分散されるとき、多孔体7と分散相供給用導管4との接続不良などに起因して、多孔体7の微細な孔以外から液体が漏れることを防止し、不均一な多分散エマルションが製造される危険を回避することができる。多孔体7の細孔14の絡み合い構造を巧みに利用して接着剤6を多孔体7上部の所定範囲に湿潤させ、多孔体7と接着剤6の剥離をなくすことができる。たとえば、乳化系の抗ガン剤は、乳化時に失敗があっては廃棄せざるを得なくなるが、一般に薬液用乳化原料となる抗ガン剤等が非常に高価であることを考慮すると、この点は経済的に容認できるものではない。
エマルション調製時に不均一な粒子が生成していることに気付かずに患者に使用した場合、患者が非常に危険な状態になることがあり得る。本実施例では、人為的な乳化操作の失敗を未然に防止でき、均一な粒子径を確実に製造することが可能である。医療現場においても、乳化型の薬液の粒子径が均一で、無駄なく無菌的に製造することができる。また、空気中の雰囲気下においては、多孔体7に親水性の表面修飾を施したり、あるいは今までディスポーザブル膜モジュールでW/O系のエマルション調製ができなかったが、多孔体7に疎水性の表面修飾を施すことができる。このことにより、多孔体7の表面に大気中の有機性気体が付着することを防ぎ、多孔体7の表面状態を新品同様に長時間維持でき、乳化時の粒子径を精密に制御して、常に均一なエマルションを無菌的に確実に製造することができる。
多孔体として、非対称膜を有するものを使用した場合は、液体の流れをスムーズにし、エマルション調製の大幅な時間短縮が可能になる。このUV硬化接着型のディスポーザブル膜モジュールは、従来の一般的なディスポーザブル膜モジュールタイプの医療用具と同じように、包装滅菌した状態で医療現場に常備しておくことができる。したがって、緊急を要する医療現場において、乳化型医療用薬液であるエマルションをいつでも確実容易に製造することができる。
尚、本発明は上記実施例に限定されず、種々の変形応用が可能である。例えば、分散相の液体を連続相の液体中に圧入する時は、分散相の液体の加圧体としては、気体又は液体のいずれを使用しても構わない。また、回転子を磁力で回転させる方式に変えて、回転翼を取り付けた回転軸を連続相液室内に液密に挿通して、外部のモータでこれを回転させるようにしてもよい。
本発明の一実施例に係るディスポーザブル膜モジュールの構造を示す縦断面図である。 一実施例のディスポーザブル膜モジュールの非対称膜を拡大して示す縦断面図である。 ディスポーザブル膜モジュールの導管と多孔体との接着部分を拡大して示す縦断面図である。 従来のディスポーザブル膜モジュールの導管と多孔体との接着部分を拡大して示す縦断面図である。
符号の説明
1 フィルター
2 パッキン
3 逆止弁
4 分散相供給用導管
5 横穴
5A 端面
6 接着剤
7 多孔体
7A 端面
8 回転子
9 非対称膜多孔体
10 気泡
11 分散相液室
12 連続相液室
13 連続相タンク
14 細孔
15 上側通路
16 気体通路

Claims (3)

  1. 分散相供給用導管の下端に、内側の分散相液室と外側の連続相液室とに仕切る筒状の多孔体を接続し、分散相液室の液体を加圧状態で多孔体を通過させることで、分散相液室の液体を連続相液室の液体中に圧入し分散してエマルションを生成するディスポーザブル膜モジュールであって、
    (a)多孔体の上側の導管通路の途中に、連続相液室から分散相液室側への液体の逆流を防ぐ逆止弁を設け、
    (b)該導管には分散相液室に分散相液を満たすための横穴があり、
    (c)該横穴は、該導管と多孔体との接続範囲において最上部側、つまり分散相液室の上端に形成されており
    (d)エマルション形成室である連続相液室には、攪拌用の回転子が設けられ、
    (e)連続相液室と連通する通路に、100ccの気体透過性で10秒乃至25秒の透過度を有するフィルターを設けた
    ことを特徴とするエマルション生成用ディスポーザブル膜モジュール。
  2. 多孔体の表面に、親水化又は疎水化処理を施したことを特徴とする請求項1記載のエマルション生成用ディスポーザブル膜モジュール。
  3. 多孔体の細孔を、多孔体の膜厚方向に関して非対称な孔構造に形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載のエマルション生成用ディスポーザブル膜モジュール。
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