JP2019017879A - 輸液用具およびそれを用いた輸液装置、ならびに輸液剤の溶存水素濃度を上昇させる方法 - Google Patents

輸液用具およびそれを用いた輸液装置、ならびに輸液剤の溶存水素濃度を上昇させる方法 Download PDF

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Abstract

【課題】輸液剤に水素ガスを溶解させて輸液するための用具および装置を提供する。【解決手段】開示される輸液用具10は、輸液剤に水素ガスを溶解させて輸液するために用いられる。輸液用具10は、輸液剤が流れる輸液チューブ(輸液流路)であって水素分子が透過可能な輸液チューブ11の少なくとも一部を囲むように配置することが可能な水素ガス保持部材12を含む。水素ガス保持部材12には、輸液チューブ11と水素ガス保持部材12との間の空間10sに水素ガスを流すための流入口(流入部)12aおよび流出口(流出部)12bが形成されている。【選択図】図1A

Description

本発明は、輸液用具およびそれを用いた輸液装置、ならびに輸液剤の溶存水素濃度を上昇させる方法に関する。
溶存水素濃度が高い液体について、生体に対する様々な効能が調査されている。溶存水素濃度が高い液体を体内に取り込む方法としては、溶存水素濃度が高い水を飲む方法が一般的である。溶存水素濃度が高い水を製造する装置は、従来から提案されている(たとえば特許文献1)。
一方、溶存水素濃度が高い輸液剤を輸液することによっても、溶存水素濃度が高い液体を体内に取り込むことが可能である。
特開2005−105289号公報
このような状況において、本発明は、溶存水素濃度が高い輸液剤を輸液するために用いられる器具、装置、および方法を提供することを目的の1つとする。
本発明の一実施形態による輸液用具は、輸液剤に水素ガスを溶解させて輸液するために用いられる輸液用具である。この輸液用具は、前記輸液剤が流れる輸液流路であって水素分子が透過可能な輸液流路の少なくとも一部を囲むように配置することが可能な水素ガス保持部材を含む。前記水素ガス保持部材には、前記輸液流路と前記水素ガス保持部材との間の空間に水素ガスを流すための流入部および流出部が形成されている。
本発明の一実施形態による輸液装置は、輸液剤に水素ガスを溶解させて輸液するために用いられる輸液装置である。この輸液装置は、本発明の輸液用具と、前記輸液剤が配置された輸液容器を支持する輸液スタンドと、前記輸液スタンドに配置された水素ガス生成装置とを含む。前記水素ガス生成装置は、水を電気分解して水素ガスを生成するための電極ユニットを含む。
本発明の一実施形態による方法は、水素分子が透過可能な輸液容器中の輸液剤の溶存水素濃度を上昇させる方法である。この方法は、前記輸液剤が封入されている前記輸液容器を、前記輸液容器内の空間、および、前記輸液容器の周囲の空間から選ばれる少なくとも1つの空間に水素ガスを配置した状態で加圧容器中に配置する第1工程と、前記輸液容器が配置された前記加圧容器内を1気圧よりも高圧にする第2工程と、を含む。
本発明の輸液用具および輸液装置によれば、輸液剤に水素ガスを簡単に溶解できる。また、本発明の方法によれば、輸液剤の溶存水素濃度を容易に高めることができる。
図1Aは、本発明の輸液用具の一例を模式的に示す図である。 図1Bは、図1Aに示した輸液用具の断面を模式的に示す図である。 図2は、本発明の輸液用具の使用状態の一例を模式的に示す図である。 図3Aは、本発明の輸液用具の一部の一例を模式的に示す断面図である。 図3Bは、本発明の輸液用具の一部の他の一例を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明の輸液装置の一例を模式的に示す図である。 図5は、水素ガス生成装置の一例を模式的に示す図である。 図6は、吸入器具の一例を模式的に示す図である。 図7は、本発明の方法の一工程の一例を模式的に示す図である。 図8は、本発明の方法の一工程の他の一例を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。
(輸液用具)
本発明の輸液用具は、輸液剤に水素ガスを溶解させて輸液するために用いられる用具である。本発明の輸液用具は、輸液セットの一部として用いることができる。
本発明の輸液用具は、水素ガス保持部材を含む。水素ガス保持部材は、輸液剤が流れる輸液流路であって水素分子が透過可能な輸液流路の少なくとも一部を囲むように配置することが可能な部材である。当該輸液流路を以下では、「輸液流路(P)」と称する場合がある。また、本発明の輸液用具を以下では、「輸液用具(T)」または「用具(T)」と称する場合がある。水素ガス保持部材には、輸液流路と水素ガス保持部材との間の空間に水素ガスを流すための流入部および流出部が形成されている。以下では、この空間を「空間(S)」と称する場合がある。輸液流路(P)のうちの上記少なくとも一部、すなわち、水素ガス保持部材で囲まれる部分は、水素分子(水素ガス)を透過させる。この部分を、以下では「水素透過部」と称する場合がある。
水素ガス保持部材に形成された流入部から水素ガスが注入され、流出部から水素ガスが排出される。空間(S)を流れる水素ガスの一部は、輸液流路(P)を透過して輸液剤に溶解する。その結果、溶存水素濃度が高い輸液剤が輸液される。通常、流入部および流出部を除いて空間(S)は閉じられている。その場合、空間(S)を水素ガスで満たすことができる。なお、空間(S)の水素ガス濃度を高めることができれば発明の効果が得られるので、流入部および流出部以外の部分から水素ガスが多少は流れ出てもよい。
本発明の輸液用具(T)は、輸液流路(P)を含んでもよいし含まなくてもよい。いずれの場合においても、以下の(1)および/または(2)の条件が満たされてもよい。それらの条件を満たす場合において、水素透過部(輸液流路(P))は、後述する材料で形成されてもよい。空間(S)に面する輸液流路(P)の面積が大きいほど、水素ガスが輸液剤に溶解しやすくなる。また、水素透過部(輸液流路(P))が薄いほど、水素ガスが輸液剤に溶解しやすくなる。
(1)輸液流路(P)が空間(S)に面する面積が、50〜400cm2の範囲(たとえば100〜200cm2の範囲)にある。
(2)輸液流路(P)の肉厚が、0.5〜2.0mmの範囲(たとえば0.7〜1.7mmの範囲)にある。
水素透過部(輸液流路(P))は、水素分子を透過させる材料で形成される。水素分子は小さいため、一般的な樹脂やゴムを透過する。そのため、それらの材料で輸液流路(P)が形成されてもよい。たとえば、一般的な輸液チューブと同様の材料で、輸液流路(P)が形成されてもよい。輸液流路(P)は、ポリ塩化ビニル、シリコーン(シリコーン樹脂、シリコーンゴム)、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選ばれる少なくとも1つからなるチューブであってもよい。水素透過性が高い材料で水素透過部を形成することによって、輸液剤に溶解する水素分子の量を多くすることができる。
輸液流路(P)は、典型的にはチューブ(輸液チューブ)である。一般的な輸液チューブを構成する樹脂やゴムは、水素分子(水素ガス)を透過させる。そのため、輸液流路(P)およびそれに含まれる水素透過部は、一般的な輸液チューブであってもよい。
水素透過部の部分は、それ以外の輸液流路(P)の部分と同じ構成を有してもよい。あるいは、水素透過部の部分は、それ以外の輸液流路(P)の部分とは異なる構成を有してもよい。たとえば、水素透過部の部分の肉厚は、それ以外の部分の肉厚よりも薄くてもよい。また、水素透過部の部分の外径は、それ以外の部分の外径よりも大きくてもよい。
水素ガス保持部材の材料に特に限定はなく、一般的な樹脂やゴムで形成してもよい。水素ガス保持部材を水素ガスが過剰に透過することを防止するため、水素ガス保持部材の水素透過性が水素透過部(輸液流路(P))の水素透過性よりも低くなるように、水素ガス保持部材を構成してもよい。ここで、部材の水素透過性は、部材を挟む2つの雰囲気の水素分圧差が所定値である場合に、単位面積の当該部材を単位時間当たりに透過する水素ガスの量で表すことが可能である。
水素ガス保持部材は、輸液流路(P)の上記少なくとも一部(水素透過部)を内部に通すことが可能な管状部材と、管状部材の開口部を封止する封止部材とを含んでもよい。
なお、封止部材は、水素ガスが過剰に流出しない限り、ある程度の通気性を有してもよい。たとえば、ある程度の通気性を有する多孔質体(たとえばスポンジ等)を封止部材として用いてもよい。その場合、その多孔質体を、水素ガスが流出する流出部として用いることも可能である。
輸液流路(P)の内部を流れる輸液剤の状態を確認するため、輸液流路(P)および水素ガス保持部材の少なくとも一部(たとえば全部)は、透明または半透明であることが好ましい。
輸液剤に特に限定はない。輸液剤の例には、生理食塩水や、栄養補給用の輸液などが含まれる。
空間(S)には、1気圧(ほぼ大気圧)よりも高い圧力で水素ガスが保持されてもよい。この構成によれば、輸液剤に溶解する水素分子の量を多くすることができる。
輸液流路(P)は、輸液ラインの一部を構成するチューブであってもよい。この場合、水素ガス保持部材は、輸液ラインのチューブの一部(水素透過部)を囲むように輸液ラインに取り付けられる。輸液流路(P)と水素ガス保持部材とは一体であってもよいし、分離可能であってもよい。
空間(S)には水素ガスが供給される。水素ガスの供給源に特に限定はなく、水素ガスのボンベを水素ガス供給源として用いてもよい。あるいは、水を電気分解して水素ガスを生成する装置を水素ガス供給源として用いてもよい。
水素ガス保持部材に形成された流出部からは、空間(S)を通過した水素ガスが流出する。流出する水素ガスを利用するための器具が、流出部に接続されていてもよい。たとえば、流出部には、ガス流路と、ガス流路に接続された吸入器具とが接続されていてもよい。吸入器具の例には、鼻カニューラやガス吸入用の鼻マスクが含まれる。あるいは、吸入器具は、水素ガス濃度が大気よりも高い空間を形成するための囲いであってもよい。そのような囲いは、密閉されておらず大気が流入可能な構造を有する。あるいは、流出部にはガス流路と、ガス流路が内部に挿入された容器とが接続されてもよい。容器に液体を配置し、ガス流路を容器の液体内に挿入することによって、液体中に水素ガスを放出することができる。その結果、液体に水素分子を溶解させることができ、溶存水素濃度が高い液体が得られる。液体は、飲用の液体(たとえば水)であってもよい。
(輸液装置)
本発明の輸液装置は、輸液剤に水素ガスを溶解させて輸液するために用いられる装置である。この装置は、本発明の輸液用具(T)と、輸液剤が配置された輸液容器を支持する輸液スタンドと、輸液スタンドに配置された水素ガス生成装置とを含む。水素ガス生成装置は、水を電気分解して水素ガスを生成するための電極ユニットを含む。
電極ユニットは膜電極接合体であってもよい。膜電極接合体は、燃料電池(たとえば固体高分子形燃料電池)で用いられている膜電極接合体である。膜電極接合体には、公知の膜電極接合体を用いることができる。
電極ユニットは、セパレータと、セパレータを挟んで対向している一対の電極であってもよい。セパレータは、電極同士が短絡することを防止するために電極間に配置される。セパレータは、絶縁性の材料で形成され、液体は透過させるがガスの透過を抑制する。セパレータは、イオン交換能を有さず、イオンを透過させる。セパレータの一例は、絶縁性の樹脂や綿で形成された不織布である。電極は、水の電気分解が可能な電極である。たとえば、電極は、表面が白金でコートされた金属電極であってもよい。
水素ガス生成装置は、通常、電極ユニットの電極に直流電流を供給するための直流電源(たとえばAC−DCコンバータ)を含む。さらに、水素ガス生成装置は、電気分解される水性液体が配置される槽を含む。水性液体は水を含む液体である。電極ユニットが膜電極接合体である場合、槽には、金属イオン濃度が低い水(たとえば脱イオン水)が配置される。電極ユニットがセパレータと一対の電極とからなる場合、槽には、電解液(たとえば塩の水溶液)が配置される。
電極ユニットで水が電気分解されることによって、水素ガスが生成される。生成された水素ガスは、水素ガス保持部材の流入部から空間(S)に送られる。
輸液容器は、水素分子が透過可能な容器であってもよい。さらに、輸液剤は、溶存水素濃度が高められた輸液剤であってもよい。たとえば、輸液剤は、溶存水素濃度が1.6ppm以上(質量比)である輸液剤であってもよい。輸液剤の溶存水素は、以下で説明する方法で高めてもよい。
(輸液剤の溶存水素濃度を上昇させる方法)
水素分子が透過可能な輸液容器中の輸液剤の溶存水素濃度を上昇させる本発明の方法について説明する。以下では、この方法を水素化方法と称する場合がある。別の観点では、この方法は、輸液容器に封入されている輸液剤であって且つ溶存水素濃度が高い輸液剤の製造方法である。
輸液容器に特に限定はなく、水素分子が透過可能な材料で構成されている輸液容器(たとえば輸液バッグ)を用いることができる。輸液バッグなどの樹脂製の輸液容器に一般的に用いられている樹脂は水素分子を透過させる。そのため、一般的な輸液バッグを輸液容器として用いることができる。輸液剤に特に限定はなく、上述した輸液剤であってもよい。本発明の水素化方法によれば、一般的に用いられている輸液剤(輸液バッグ入りの輸液剤)の溶存水素濃度を上昇させることができる。
本発明の水素化方法として、2つの方法(第1の水素化方法および第2の水素化方法)を以下に説明する。
(第1の水素化方法)
本発明の第1の水素化方法は、第1工程と第2工程とを含む。第1工程は、輸液剤が封入されている輸液容器を、輸液容器内の空間、および、輸液容器の周囲の空間から選ばれる少なくとも1つの空間に水素ガスを配置した状態で加圧容器中に配置する工程である。
水素ガスは、輸液容器内の空間のみに配置されてもよいし、輸液容器の周囲の空間のみに配置されてもよいし、両方の空間に配置されてもよい。両方の空間に水素ガスを配置することによって、輸液剤の溶存水素濃度をより高めることが可能になりやすい。輸液容器内の空間に配置された水素ガスは、輸液剤に直接溶解する。一方、輸液容器の周囲に配置された水素ガスは、輸液容器を透過して輸液剤に溶解する。それらの空間に水素ガスを配置する方法の例については後述する。
加圧容器は、輸液容器を内包した状態で1気圧よりも高い圧力に加圧できる容器であればよい。加圧容器は、柔軟な樹脂製のバッグ状の容器であってもよいし、樹脂や金属からなる固いケース状の容器であってもよい。加圧容器は、水素分子の透過性が低いことが好ましい。
第2工程は、輸液容器が配置された加圧容器内を1気圧よりも高圧にする工程(加圧工程)である。第2工程における加圧の方法に特に限定はなく、公知の加圧方法で加圧してもよい。たとえば、加圧容器を備える公知の加圧機器を用いてもよい。25℃で1気圧(約0.1MPa)の場合、水の飽和溶存水素濃度は約1.6ppmである。この飽和溶存水素濃度は、圧力の上昇に伴って上昇する。そのため、第2工程によって、溶存水素濃度が1.6ppm以上の輸液剤(たとえば溶存水素濃度が1.6ppmよりも高い輸液剤)を得ることが可能になる。
第1の水素化方法は、第1工程の前に、輸液容器中のガスを抜く工程(脱気工程)を含んでもよい。この場合の第1工程では、輸液容器の周囲の空間に水素ガスを配置した状態で輸液容器が加圧容器中に配置される。第2工程の加圧時に、輸液容器内に水素ガス以外のガスが存在すると、当該ガスが輸液剤に溶解した分だけ溶存水素濃度の上昇が抑制される。輸液容器中のガスを抜いてから加圧することによって、輸液剤の溶存水素濃度をより高くすることが可能になる。輸液容器の周囲の空間に水素ガスを配置する方法の例には、加圧容器内に水素ガスを配置する方法や、後述する外袋を用いる方法が含まれる。
第1の水素化方法は、第1工程の前に、輸液容器中のガスを水素ガスに置換する工程(置換工程)を含んでもよい。この場合の第1工程では、少なくとも輸液容器内の空間に水素ガスを配置した状態で輸液容器が加圧容器中に配置される。置換工程によって、輸液容器内の空間に水素ガスが配置される。置換工程を行った後に、輸液容器を動かして輸液容器中の輸液剤と水素ガスとを攪拌することによって、輸液容器中の水素ガスを輸液剤に溶解させてもよい。これらの工程は、以下に説明する第2の水素化方法に相当するため、第2の水素化方法の説明において詳述する。
第1の水素化方法は、第1工程の前に、輸液剤が封入されている輸液容器を、水素ガスが充填された袋の中に配置して袋を密閉する工程を含んでもよい。当該袋を、以下では「外袋」と称する場合がある。この場合、第1工程において、外袋の中に配置されたままの状態で輸液容器を加圧容器中に配置する。すなわち、この場合の第1工程では、少なくとも輸液容器の周囲の空間に水素ガスを配置した状態で輸液容器が加圧容器中に配置される。
外袋は、加圧容器内の圧力が輸液容器に伝わるように、柔軟性がある樹脂等で形成される。外袋は、水素透過性が低いことが好ましい。そのため、アルミニウム層でコーティングされた樹脂フィルムを用いて外袋を形成してもよい。上述した脱気工程または置換工程を行う場合、それらの工程を行ってから、輸液容器と水素ガスとを外袋の中に封入する。
外袋を用いることによって、加圧容器を加圧する方法の制約が小さくなる。たとえば、加圧容器を水道につなぎ、水道の圧力で加圧容器内を加圧することが可能になる。外袋を使わないで輸液容器の周囲に水素ガスを配置する場合、加圧容器内に水素ガスを充填した状態で第2工程を行えばよい。
外袋を用いる場合、第2工程ののちに、水素ガスが充填された外袋から輸液容器を取り出すことなく、水素ガスが充填された外袋内に輸液容器が配置されたままの状態で輸液容器を保管してもよい。そうすることによって、使用時までの溶存水素濃度の低下を抑制できる。
(第2の水素化方法)
第2の水素化方法は、工程(i)と工程(ii)とを含む。工程(i)は、輸液容器中のガスを水素ガスに置換する工程である。工程(i)は、たとえば以下の方法で実施できる。まず、注射器等を利用して、輸液容器内のガスをゴム栓部分などから抜く。次に、注射器等を利用して、輸液容器内にゴム栓部分などから水素ガスを充填する。このようにして、工程(i)を実施できる。
工程(ii)は、工程(i)を経た輸液容器を動かして輸液容器中の輸液剤と水素ガスとを攪拌することによって、輸液容器中の水素ガスを輸液剤に溶解させる工程である。工程(ii)によって、輸液剤の溶存水素濃度が上昇する。なお、第1の水素化方法で説明した外袋に、水素ガスと工程(i)を経た輸液容器とを封入して、工程(ii)を行ってもよい。
輸液剤と水素ガスとを攪拌することができる限り、輸液容器の動かし方に特に限定はなく、機械で動かしてもよいし人が動かしてもよい。たとえば、輸液容器を振ることによって、攪拌を行ってもよい。工程(ii)において輸液容器を動かす時間(攪拌時間)は、5秒以上であってもよい。攪拌時間に上限はないが、数十秒で効果がほぼ飽和する場合が多い。そのため、攪拌時間を5秒〜数十秒の範囲(たとえば5〜60秒の範囲)としてもよい。
(輸液剤の溶存水素濃度を上昇させる装置)
輸液剤の溶存水素濃度を上昇させる装置について以下に説明する。具体的には、上述した本発明の第1の水素化方法を実施するための装置と、上述した本発明の第2の水素化方法を実施するための装置とについて説明する。以下では、前者の装置を「第1の水素化装置」と称する場合があり、後者の装置を「第2の水素化装置」と称する場合がある。なお、上述した事項については重複する説明を省略する場合がある。また、以下で説明した事項は、本発明の水素化方法に適用できる。
(第1の水素化装置)
第1の水素化装置は、上述した第1の水素化方法の実施に使用できる。第1の水素化装置は、上述した加圧容器と、加圧容器内を加圧するための器具とを含む。加圧するための器具に限定はなく、公知の加圧機器を用いてもよい。あるいは、加圧するための器具は、加圧容器を水道栓に接続するための接続具であってもよいし、水素ガスなどのガスのボンベであってもよい。
(第2の水素化装置)
第2の水素化装置は、上述した第2の水素化方法の工程(ii)に使用できる。第2の水素化装置は、工程(i)を経た輸液容器が配置される部材(たとえば固定具や容器)と、当該部材を揺動させるための揺動機器を含む。揺動機器に特に限定はなく、公知の揺動機器を用いてもよい。揺動機器の一例は、モータなどの駆動機器と、駆動機器の駆動力を揺動運動に変換するための変換機構(たとえばカムやギアなどを用いた変換機構)とを組み合わせた揺動機器である。
本発明の実施形態の例について、図面を参照しながら以下に説明する。なお、以下で説明する実施形態は本発明の一例であり、本発明の効果が得られる限り、実施形態の各構成は、上述した他の構成に置き換えることができる。以下の説明において、同様の部分については同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
(実施形態1)
実施形態1では、輸液剤に水素分子を溶解させるための用具(T)の一例について説明する。実施形態1の輸液用具10を図1Aおよび図1Bに示す。図1Bは、図1Aの線IB−IBにおける断面図である。
用具10は、輸液流路(P)である輸液チューブ11の一部を囲むように配置された水素ガス保持部材12を含む。用具10は、輸液チューブ11を含んでもよい。あるいは、用具10は、輸液チューブ11を含まなくてもよい。後者の場合、用具10は、一般に使用されている輸液ラインに取り付けられるものであってもよい。
水素ガス保持部材12は、水素透過部11t(輸液チューブ11)を内部に通すことが可能な管状部材12tを含む。管状部材12tの開口部(両端)は封止されている。輸液チューブ11と部材12との間は、水素ガスが流れる空間10sとなっている。輸液チューブ11のうち、空間10sに面する部分は、水素分子を透過させるための水素透過部11tである。
部材12には、水素ガスを流すための流入口(流入部)12aと流出口(流出部)12bとが形成されている。水素ガスは軽いため、流入口12aは、流出口12bよりも上方(輸液の流れの上流側)に設けられてもよい。あるいは、流入口12aは、流出口12bよりも下方(輸液の流れの下流側)に設けられてもよい。
輸液チューブ11は、輸液される際に輸液剤が流れるチューブであり、輸液ラインの一部を構成するチューブである。輸液ラインの一端は、輸液剤が保持される容器に接続される。輸液ラインの他端は、静脈針などの注射針に接続される。輸液ラインの途中には、用途に応じて、クランプ、ローラークランプ、点滴筒、混注口などが設けられるが、それらに限定はない。
輸液チューブ11に輸液剤が存在している状態で空間10sに水素ガスを流すと、水素ガス(水素分子)は、水素透過部11tを透過して輸液剤に溶解する。その結果、輸液剤の溶存水素濃度が上昇する。
水素ガスは、水素化処理の間、常時流してもよい。また、一定時間水素ガスを流し、空間10sが充分に水素ガスで満たされた時点で、流入口12aおよび流出口12bを閉じ、そのまま保持してもよい。なお、空間10s内の水素ガスの圧力を1気圧よりも高い圧力に維持してもよい。そうすることによって、輸液剤への水素分子の溶解量を増やすことができる。その場合、空間10s内の圧力が1気圧よりも高い所定の圧力となったときに開放される弁を水素ガス保持部材12に設けてもよい。
輸液用具10が輸液チューブ11を含む場合、一般的に用いられている輸液ラインの一部を輸液用具10に置き換えることが可能である。輸液用具10が輸液チューブ11を含まない場合、一般的に用いられている輸液ラインの少なくとも一部を囲むように水素ガス保持部材12を配置してもよい。
(実施形態2)
実施形態2では、輸液用具10の一例、および、その輸液用具10と輸液容器および輸液ラインとの接続方法の一例について説明する。それらの構成を図2に示す。
図2に示す輸液用具10は、輸液チューブ11と水素ガス保持部材12とを含む。輸液チューブ11および水素ガス保持部材12については実施形態1で説明したため、重複する説明を省略する。輸液容器21には、輸液ラインが接続される接続部21aが形成されている。輸液容器21の内部には、輸液剤20が配置されている。図2に示すように、輸液容器21の内部には、輸液剤20とともにガス21gが封入されている場合がある。
輸液ライン22には、輸液容器21に接続可能な接続部22aが設けられ、接続部21aや接続部11bに刺すことが可能な針23が配置されている。輸液用具10を使用しないで輸液する場合には、輸液容器21と輸液ライン22とが直接接続される。
輸液用具10の輸液チューブ11の一端には、輸液容器21に接続される接続部11aが設けられ、接続部21aに刺すことが可能な針13が配置される。輸液チューブ11の他端には、下流側の輸液ラインに接続される接続部11bが設けられている。接続部11bおよび21aは、針を刺すためのゴム栓を含む。本発明の輸液用具10を使用する場合、接続部11aを輸液容器21に接続し、接続部22aを接続部11bに接続する。この構成によれば、輸液用具10を使用して輸液するか、輸液用具10を使用しないで輸液するかをその場で選択できる。
本発明の輸液用具で用いられる水素ガス保持部材の例について、図3Aおよび図3Bを参照して説明する。これらの構成は、実施形態1および2の水素ガス保持部材12に適用できる。
図3Aの水素ガス保持部材12は、輸液チューブ11(水素透過部)を内部に通すことが可能なチューブ(管状部材)12tと、チューブ12tの両端(2つの開口部)を封止する2つの封止部材12cとを含む。なお、図3Aは、チューブ12tの一端のみを示す。
封止部材12cは、中央部に貫通孔が形成されたゴム栓12caと、ゴム栓12caの貫通孔に挿入可能な円筒状の弾性体12cbとを含む。弾性体12cbはたとえばスポンジからなる。弾性体12cbを、輸液チューブ11および水素ガス流路(チューブ)140が通っている。弾性体12cbには、側面から中央部までつながる切り込みが形成されている。
水素ガス保持部材12によって輸液チューブ11を囲む場合、まず、輸液チューブ11を、一方のゴム栓12caの貫通孔、チューブ12t、および他方のゴム栓12caの貫通孔に通す。次に、封止部材12cによって封止を行う。具体的には、一方の弾性体12cbの切り込みに輸液チューブ11と水素ガス流路140とを挟み込んだ状態で、弾性体12cbを1つのゴム栓12caの貫通孔にセットするとともに、ゴム栓12caをチューブ12tの一端にセットする。また、他方の弾性体12cbの切り込みに輸液チューブ11と水素ガス流路140とを挟み込んだ状態で、弾性体12cbを他のゴム栓12caの貫通孔にセットするとともに、ゴム栓12caをチューブ12tの他端にセットする。なお、弾性体12cbがある程度の通気性を有するスポンジなどである場合、水素ガスが流出する側の水素ガス流路140を省略し、弾性体12cbから水素ガスを流出させてもよい。
なお、切り込みの代わりに、弾性体12cbには、輸液チューブ11および水素ガス流路140を挿入可能な貫通孔が形成されていてもよい。また、弾性体12cbには、切り込みと貫通孔の両方が形成されていてもよい。
図3Aでは、流入部(図3Aの流入口12a)および流出部が封止部材12cの部分に設けられる一例について示した。しかし、流入部および流出部は、チューブ12tの部分に設けられてもよい。そのような一例の水素ガス保持部材を図3Bに示す。
図3Bの水素ガス保持部材12は、チューブ12tに流入口12aが形成されている点が、図3Aに示した水素ガス保持部材12とは異なる。この場合、封止部材12cを通るのは、輸液チューブ11のみである。なお、流入部および流出部のいずれか一方のみがチューブ12tに形成されてもよいし、それらの両方がチューブ12tに形成されてもよい。
(実施形態3)
実施形態3では、輸液用具10の一例、および、その輸液用具10を用いた輸液装置の一例について説明する。実施形態3の輸液装置100の構成を図4に模式的に示す。
装置100は、輸液ラインの輸液チューブ11に取り付けられる輸液用具10と、輸液スタンド120と、水素ガス生成装置130とを含む。輸液スタンド120には、輸液剤が入った輸液容器21が吊り下げられる。図4に示す輸液スタンド120は、移動用のキャスターを備え、移動可能である。輸液容器21には、輸液ラインの輸液チューブ11が接続される。水素ガス生成装置130には、水素ガス生成装置130で生成された水素ガスが流れる水素ガス流路140が接続されている。水素ガス流路140は、輸液用具10の流入口に接続されている。
実施形態3の構成によれば、溶存水素濃度が高い輸液剤を簡単に利用できる。この構成によれば、輸液スタンド120を移動している状態でも、輸液剤に水素分子を溶解させながら輸液することが可能である。
なお、本発明の方法によって溶存水素濃度が高められた輸液剤を用いることによって、溶存水素濃度がより高い輸液剤を輸液することが可能となる。輸液剤中の溶存水素の一部は、輸液中に輸液容器や輸液ラインから大気中に放出される。しかし、溶存水素の放出速度は、輸液容器や輸液ラインの水素透過速度に依存するため、溶存水素濃度を高めてから短時間のうちに輸液することによって、溶存水素濃度が高い状態の輸液剤を輸液することが可能となる。さらに、輸液用具10を用いて輸液チューブ11の周囲を水素ガス雰囲気とすることによって、溶存水素が輸液チューブ11を通して放出されることを抑制できる。そのため、常温常圧での飽和溶存水素濃度(約1.6ppm)よりも溶存水素濃度が高い輸液剤を本発明の水素化方法によって準備し、その輸液剤を本発明の輸液用具(T)や輸液装置を用いて輸液することによって、溶存水素濃度が高い状態で輸液剤を輸液することが容易になる。
水素ガス生成装置130の構成の一例を図5に模式的に示す。水素ガス生成装置130は、電気分解される水を含む水性液体Wが配置される槽131と、槽131内に配置された電極ユニット132と、直流電源(図示せず)とを含む。
電極ユニット132の一例は、槽131を2つに仕切るように配置されたセパレータと、セパレータを挟むように配置された2つの電極とからなる。この場合、槽131には、電解液(たとえば塩の水溶液)が配置される。一方の電極がアノードとなり他方の電極がカソードとなるように両者に直流電圧を印加することによって、電解液中の水が電気分解される。その結果、カソードで水素ガスが生成される。生成された水素ガスは、水素ガス流路140によって輸液用具10に供給される。
電極ユニット132の他の一例は、燃料電池(たとえば固体高分子形燃料電池)で用いられている膜電極接合体である。この場合、槽131には脱イオン水が配置される。膜電極接合体の空気極がアノードとなり燃料極がカソードとなるように両者の間に直流電圧を印加すると、燃料極で水素ガスが生成される。生成された水素ガスは、水素ガス流路140によって輸液用具10に供給される。なお、水素ガス生成装置130として、膜電極接合体を含む燃料電池を用いてもよい。
上記の実施形態において、流出口12bには、空間10sを通過した水素ガスを他の部材で利用するための器具が接続されてもよい。そのような器具の例には、図6に示すような鼻カニューラが含まれる。
(実施形態4)
実施形態4では、本発明の第1の水素化方法および第1の水素化装置の一例について説明する。実施形態4の水素化装置の構成を図7に模式的に示す。図7の水素化装置200は、加圧容器210を含む。図示はしていないが、加圧容器210は、複数の輸液容器21を出し入れできる構成を有する。加圧容器210は、開口部210aを有する。開口部210aから加圧が行われる。水素化装置200は、加圧のための加圧機器を含んでもよい。
加圧容器210内の空間210sが、輸液容器21の周囲の空間となる。輸液容器21の周囲の空間に水素ガスを配置する場合、空間210sに水素ガスを充填する。その場合、開口部210aに、圧力レギュレータを介して水素ガスのボンベをつないでもよい。あるいは、水素ガス生成装置で生成した水素ガスを空間210sに充填してもよい。
輸液容器21内には、輸液剤20が配置されている。輸液容器21内の空間21sには、さらにガス21gが封入されている場合がある。このガス21gを抜いた状態で輸液容器21を加圧容器210内に配置してもよい。あるいは、ガス21gを水素ガスに置換した後に輸液容器21を加圧容器210内に配置してもよい。
第1の水素化方法の第1工程では、輸液容器21内の空間21sおよび輸液容器21の周囲の空間(空間210s)から選ばれる少なくとも1つの空間に水素ガスを配置する。そして、その状態で、第2工程の加圧を実施する。これによって、輸液剤20の溶存水素濃度が上昇する。
上述したように、第1の水素化方法および水素化装置では、外袋を用いてもよい。外袋を用いた場合の一例を、図8に示す。図8は、外袋220を用いる点のみが図7とは異なるため、重複する説明は省略する。
外袋220は、輸液容器21を内部に配置した後に水素ガスを封入して密閉できる袋である。外袋220内の空間220sが、輸液容器21の周囲の空間となる。空間220sだけでなく、空間21sにも水素ガスが封入されてもよい。
輸液容器21の周囲に水素ガスを配置して第2工程を行う場合であって外袋220を用いない場合には、加圧容器210内の空間210sに水素ガスを充填して加圧する必要がある。そのため、加圧方法に制限がある。一方、外袋220を用いる場合には、外袋220の周囲の空間210sに存在する物質は水素ガスである必要はなく、気体および液体のいずれを用いてもよい。そのため、外袋220を用いることによって、第2工程の加圧が容易になる。たとえば、外袋220を用いる場合、開口部210aを水道の蛇口につなぎ、水道の圧力で加圧することも可能である。
実施例によって本発明をより詳細に以下に説明する。この実施例では、第1の水素化方法について実施した。
まず、輸液剤として生理食塩水が入った点滴バッグを準備した。この点滴バッグは、厚さが300μmのポリプロピレン製であった。さらに、点滴バッグを模したものとして、水道水が入った袋(ポリエチレンバッグ:PEバッグ)を準備した。このポリエチレンバッグは、厚さが40μmのポリエチレンからなるものであった。
上記の2種類のバッグについて、上述した第1の水素化方法を実施した。このとき、上述した外袋を用いた実験も行った。外袋には、ポリエチレンテレフタレート層、アルミニウム層、およびポリエチレン層が積層されて形成された、厚さが114μmの袋を用いた。加圧は、図7または図8に示す状態で行った。具体的には、開口部210aから水道水を入れて加圧した。すなわち、空間210sを水道水で満たした状態で加圧を行った。加圧時の圧力は、0.3MPa(約3気圧)とした。そして、加圧後速やかに、バッグ内の生理食塩水または水道水の溶存水素濃度を測定した。なお、溶存水素濃度の測定は、MiZ株式会社製の溶存水素濃度判定試薬を用いて実施した。実験条件および結果を表1に示す。
Figure 2019017879
なお、バッグ内の液体の加圧前の溶存水素濃度は、実質的に0ppmであった。表1の内包ガスとは、バッグ内のガスを意味する。表1の内包ガスとは、バッグ内のガスを意味する。表1の周囲ガスとは、バッグと外袋との間の空間のガスを意味する。サンプル2は、外袋内のガスを脱気した状態で加圧を行った。
表1に示すように、第1の水素化方法によって、バッグ内の液体の溶存水素濃度を高めることができた。表1に示すように、外袋を用いて、輸液容器内の空間および輸液容器の周囲の空間の両方に水素ガスを配置することによって、溶存水素濃度を特に高めることができた。さらに、1気圧よりも高い圧力で加圧することによって、常温常圧での飽和溶存水素濃度(約1.6ppm)よりも高い溶存水素濃度を達成できた。サンプル4の溶存水素濃度は他のサンプルに比べて高くはないが、加圧の圧力をより高くしたり、加圧時間を長くしたりすることによって、より高い溶存水素濃度を実現できると考えられる。なお、測定時に溶存水素濃度が低下するため、加圧直後の溶存水素濃度は表1に示す数値よりも高いことが推測される。
さらに、加圧の圧力および時間を変更して実験した結果、加圧の圧力が高いほど溶存水素濃度が高くなり、加圧時間が長いほど溶存水素濃度が高くなった。
本発明は、輸液剤に水素ガスを溶解させて輸液するための用具および装置に利用できる。本発明は、人に対する輸液だけではなく、人以外の動物に対する輸液にも利用できる。
10 輸液用具
10s 空間
11 輸液チューブ
11t 水素透過部
12 水素ガス保持部材
12a 流入口(流入部)
12b 流出口(流出部)
20 輸液剤
21 輸液容器
100 輸液装置
120 輸液スタンド
130 水素ガス生成装置
132 電極ユニット
140 水素ガス流路
200 水素化装置
210 加圧容器
220 外袋(袋)

Claims (10)

  1. 輸液剤に水素ガスを溶解させて輸液するために用いられる輸液用具であって、
    前記輸液剤が流れる輸液流路であって水素分子が透過可能な輸液流路の少なくとも一部を囲むように配置することが可能な水素ガス保持部材を含み、
    前記水素ガス保持部材には、前記輸液流路と前記水素ガス保持部材との間の空間に水素ガスを流すための流入部および流出部が形成されている、輸液用具。
  2. 前記輸液流路を含み、
    前記輸液流路が前記空間に面する面積が50cm2〜400cm2の範囲にあり、
    前記輸液流路の肉厚が0.1mm〜1.1mmの範囲にある、請求項1に記載の輸液用具。
  3. 前記水素ガス保持部材は、前記輸液流路の前記少なくとも一部を内部に通すことが可能な管状部材と、前記管状部材の開口部を封止する封止部材とを含む、請求項1または2に記載の輸液用具。
  4. 輸液剤に水素ガスを溶解させて輸液するために用いられる輸液装置であって、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の輸液用具と、
    前記輸液剤が配置された輸液容器を支持する輸液スタンドと、
    前記輸液スタンドに配置された水素ガス生成装置とを含み、
    前記水素ガス生成装置は、水を電気分解して水素ガスを生成するための電極ユニットを含む、輸液装置。
  5. 前記電極ユニットが膜電極接合体である、請求項4に記載の輸液装置。
  6. 前記輸液容器は、水素分子が透過可能な容器であり、
    前記輸液剤は、溶存水素濃度が1.6ppm以上である、請求項4または5に記載の輸液装置。
  7. 水素分子が透過可能な輸液容器中の輸液剤の溶存水素濃度を上昇させる方法であって、
    前記輸液剤が封入されている前記輸液容器を、前記輸液容器内の空間、および、前記輸液容器の周囲の空間から選ばれる少なくとも1つの空間に水素ガスを配置した状態で加圧容器中に配置する第1工程と、
    前記輸液容器が配置された前記加圧容器内を1気圧よりも高圧にする第2工程と、を含む、方法。
  8. 前記第1工程の前に前記輸液容器中のガスを抜く工程を含み、
    前記第1工程では、前記輸液容器の周囲の空間に水素ガスを配置した状態で前記輸液容器が加圧容器中に配置される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記第1工程の前に、前記輸液容器中のガスを水素ガスに置換する工程を含み、
    前記第1工程では、少なくとも前記輸液容器内の空間に水素ガスを配置した状態で前記輸液容器が前記加圧容器中に配置される、請求項7に記載の方法。
  10. 前記第1工程の前に、前記輸液剤が封入されている前記輸液容器を、水素ガスが充填された袋の中に配置して前記袋を密閉する工程を含み、
    前記第1工程において、前記袋の中に配置されたままの状態で前記輸液容器を前記加圧容器中に配置する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
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