JP4725445B2 - 再生装置、トラッキング制御方法 - Google Patents
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Description
なお、この図12では、図2により示す4分割ディテクタ11のように、ディスク回転方向(トラック長手方向)においてはそれぞれディテクタAとディテクタD、ディテクタBとディテクタCとに分割され、トラッキング制御方向(トラック短手方向)ではディテクタAとディテクタB、ディテクタDとディテクタCとに分割されている場合における(A+C)の波形と(B+D)の波形、及びそれらの波形の位相関係とトラックずれとの関係を示している。
これに対し図12(b)に示すようにそれぞれの波形に位相差が生じた場合には、トラックずれが生じた状態(つまりレーザスポットがトラックセンターからずれた状態)となる。例えば、図示されるように(A+C)の位相の方が進んでいる場合には、レーザスポットは図2に示したディテクタBとディテクタCとが形成される側にずれていることになる。また、図示は省略するが、逆に(B+D)の位相の方が進んでいる場合にはディテクタAとディテクタDとが形成される側にずれていることになる。
先ず、トラッキングエラー信号生成部50に対しては、図2により示した4分割ディテクタ11におけるディテクタAとディテクタCからの検出信号の加算結果(A+C)と、ディテクタBとディテクタDからの検出信号の加算結果(B+D)とが入力されることになる。トラッキングエラー信号50には、これら(A+C)と(B+D)とを入力してトラッキングエラー信号を生成する構成として、イコライザ51a、51b、ゼロクロスタイミング検出部52a、52b、位相差比較部53、ローパスフィルタ54a、54b、差動アンプ55が備えられている。
また、(B+D)としても同様に、イコライザ51bに入力されて高域成分が強調された後、ゼロクロスタイミング検出部52bに供給されてそのゼロクロスタイミングが検出される。
トラッキングエラー信号の精度が悪化すれば、トラッキングサーボの精度も悪化し、再生パフォーマンスの悪化にもつながることになる。
つまり、上記光ディスク記録媒体に対するレーザ光の出力端及び上記光ディスク記録媒体からの反射光の入力端となる対物レンズと、上記対物レンズを介して得られる上記反射光の検出を行うためのディテクタとして少なくとも2以上に分割されたディテクタと、上記対物レンズを少なくともトラッキング方向に移動可能に保持するトラッキング機構とが設けられたヘッド手段を備える。
また、上記ヘッド手段における上記分割された各ディテクタの検出信号に基づき生成される第1信号と第2信号であって、上記レーザ光に基づくレーザスポットが上記光ディスク記録媒体上のトラックのセンター位置からずれたときに位相差が生じるようにして生成された第1信号と第2信号とについて、上記第1信号を目標波形として入力し、上記第2信号を入力波形として入力して、上記入力波形が上記目標波形と一致するようにFIRフィルタを用いた波形等化処理を行うように構成された波形等化手段を備える。
また、上記波形等化手段における上記FIRフィルタの所定のタップ係数に基づく所定演算を行って上記FIRフィルタのタップ係数の非対称成分を算出することで、上記第1信号と上記第2信号との位相差を検出する位相差検出手段を備える。
さらに、上記位相差検出手段により算出された上記非対称成分に基づき、上記トラッキング機構を制御するトラッキング制御手段を備えるようにしたものである。
このような収束後におけるFIRフィルタのタップ係数では、その非対称性により、入力波形と目標波形との位相差が現れるものとなる。従って、上記本発明のようにして、第1信号を入力波形、第2信号を目標波形として入力する上記波形等化手段のFIRフィルタのタップ係数の非対称成分を算出すれば、それら第1信号と第2信号との位相差を検出することができる。
これによれば、例えば本発明の再生装置(及びトラッキング制御方法)のように、上記本発明による位相差検出の手法を光ディスク記録媒体の再生時のトラッキング制御に適用したときには、光ディスク記録媒体の線方向記録密度の向上に伴い再生信号振幅が充分に得られなくなった場合にも、適正に2つの信号の位相差を検出することができることになる。つまり、このことでトラッキングエラー信号の精度向上が図られ、ひいてはトラッキングサーボ制御の精度も向上し、再生パフォーマンスの悪化も抑制することができる。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の実施の形態としての再生装置1の内部構成を示すブロック図である。
なお、図1では、再生装置1の主に光ディスクDに記録された信号についての再生系とサーボ系(トラッキングサーボ、フォーカスサーボ)のみについて示し、他の部分については省略して示している。
先ず、光ディスク1は、当該再生装置1に設けられたターンテーブル(図示せず)に搭載された状態で、図示するスピンドルモータ(SPM)2によって所定の回転駆動方式に従って回転駆動される。このスピンドルモータ2の回転制御は、図示されないスピンドルサーボ回路によって行われる。
この光ピックアップOPには、レーザ光源となるレーザダイオード(図示せず)、このレーザダイオードからのレーザ光を光ディスクDの記録面に集光・照射するための対物レンズOL、光ディスクDからの上記レーザ光照射に基づく反射光を検出する4分割ディテクタ11が備えられている。
さらに、上記対物レンズOLをトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持する二軸機構DCが設けられている。この二軸機構DCにはトラッキングコイル・フォーカスコイルが備えられ、後述するサーボ回路4からのトラッキングドライブ信号TD、フォーカスドライブ信号FDがこれらトラッキングコイル、フォーカスコイルに供給されることで、対物レンズOLを上記トラッキング方向及びフォーカス方向に駆動するようにされる。
確認のために述べておくと、上記トラッキング方向(後述するトラッキング制御方向)とは、光ディスクDに形成されるトラックの短手方向である。すなわち、光ディスクDの回転方向とは直交する方向である。
また、上記フォーカス方向は光ディスクDに接離する方向である。
図示するようにして、この場合の4分割ディテクタ11としては、図中の片矢印で示すディスク回転方向(トラック長手方向)においてはそれぞれディテクタAとディテクタD、ディテクタBとディテクタCとに分割されており、また、ディスク回転方向とは直交する図中両矢印により示すトラッキング制御方向(トラック短手方向)では、ディテクタAとディテクタB、ディテクタDとディテクタCとに分割されている。
なお、このマトリクス回路3内における、特にトラッキングエラー信号TEの生成系の構成については後述する。
また、サーボ回路4は、このようなトラックジャンプ後などにおいて、再びトラッキングサーボループをオンとしてトラッキングサーボ制御を行うための引き込み制御も行うようにされる。
またサーボ回路4は、上記したトラッキングエラー信号TEの低域成分として得られるスレッドエラー信号SEを生成し、このスレッドエラー信号SEに基づいて上記スレッドドライブ信号SDとしてドライブパルスを出力することで、いわゆるスレッドサーボ制御も行うようにされている。
これらイコライザ6及びビタビ復号器7によっては、いわゆるPRML(Pertial Response Maximum Likelihood)によるビット検出法を利用した2値化処理が行われる。すなわち 上記イコライザ6は、上記ビタビ復号器7のPRクラスに適合した再生信号RFが得られるように波形整形処理を行う。そしてビタビ復号器7は、このように波形整形された再生信号RFに基づきビタビ検出法によるビット検出を行うことで、2値化信号DDを得るようにされる。
そして、このようにRLL(1,7)PP復調されたデータは、ECCブロック9に供給されてエラー訂正処理やデインターリーブ処理等が施される。これによって、光ディスクDに記録されたアプリケーションデータについての再生データが得られる。
例えば、このような各部に対する制御の一例として、システムコントローラ5は、先に述べたようなトラックジャンプ指令を行って、サーボ回路4にトラックジャンプ動作の実現のための動作を実行させる。また、例えば光ディスクDの所定アドレスに記録されるデータについての読み出しを行うとしたときは、そのアドレスを目的としてサーボ回路4に対するシーク動作制御を行う。即ちサーボ回路4に指令を出し、上記指定されたアドレスをターゲットとする光ピックアップOPのアクセス動作を実行させる。
先ず、この図においても、図1に示した光ピックアップOP内の4分割ディテクタ11としての4つのディテクタA,B,C,Dが示されている。そして、これらディテクタA,B,C,Dから4つの検出信号が、マトリクス回路3に対して供給される。
上記ようにして供給される4分割ディテクタ11からの検出信号のうち、ディテクタAとディテクタCからの検出信号が加算器12aに入力される。また、ディテクタBとディテクタDからの検出信号が加算器12bに入力される。これにより、上記加算器12aではディテクタA、ディテクタCからの検出信号の和信号(A+C)が得られ、また上記加算器12bではディテクタB、ディテクタDからの検出信号の和信号(B+D)が得られるようになっている。
適応型イコライザ16は、図示するようにFIR(Finite Impulse Response)フィルタ20を備え、入力信号波形が目標信号波形と一致するように波形等化処理を行うFIR型の適応型イコライザ(波形等化器)である。この場合、波形等化のアルゴリズムとしては、一般的なLMS(Least Mean Square)アルゴリズムが採用される。
この適応型イコライザ16には、上記信号A+Cが目標信号波形として入力され、上記信号B+Dが入力信号波形として入力される。
図4に示されるように、適応型イコライザ16には、上記FIRフィルタ20と共に、タップ係数更新回路27と誤差計算部28とが備えられている。
FIRフィルタ20には、図示するようにして信号B+Dに対して遅延回路21、22が設けられている。すなわち、この場合の入力波形とされる信号B+Dについては、計3つのタップが形成されている。図示するようにして信号B+Dについての1番目のタップはタップT1、遅延回路21による遅延後に得られる2番目のタップはタップT2、遅延回路22の遅延後となる3番目のタップはタップT3とする。
また、FIRフィルタ20は、上記タップT1、T2、T3に対してそれぞれ対応するタップ係数を与えるための乗算回路23、24、25が設けられる。さらにこれら乗算回路23、24、25の乗算結果を加算して、FIRフィルタ20の出力信号yを得る加算器26が備えられる。図示するようにして加算器26にて得られた出力信号yは、誤差計算部28に供給される。
図示するようにして、タップ係数更新回路27からのタップ係数C(m−1)は乗算回路23に、タップ係数C(m)は乗算回路24に、またタップ係数C(m+1)は乗算回路25にそれぞれ供給される。乗算回路23、24、25は、このようにしてタップ係数更新回路27によって逐次更新されるタップ係数Cを対応するタップTの値に乗算するようにされている。
具体的に言うと、このような入力波形と目標波形との位相ずれの成分は、タップ係数Cの非対称性として現れることになる。つまり、例えばこの場合において中心のタップ係数C(m)に対しては、タップ係数C(m−1)とタップ係数C(m+1)とがそれぞれ対称の位置関係となるが、これらタップ係数C(m−1)、C(m+1)のうち、例えばタップ係数C(m+1)の値の方が大きければ、現在の値よりも1つ前の値側への重み付けが大きいということになり、入力波形の位相を遅らせる方向に重み付けが行われていることになる。このことから、非対称性としてこのようにタップ係数C(m+1)側への偏りが検出されれば、入力波形の位相の方が進んでいるということがわかることになる。
同様に、タップ係数C(m−1)の値の方が大きければ、現在の値よりも1つ後の値側への重み付けが大きく、入力波形の位相を進ませる方向に重み付けが行われることになるので、非対称性としてこのようにタップ係数C(m−1)側の値の方に偏りが検出されたときには、入力波形の位相の方が遅れていることがわかるものとなる。
このために、図4に示す適応型イコライザ16としては、図示するようにしてタップ係数更新回路27から乗算回路23、25に設定されるべきタップ係数C(m−1)、C(m+1)を分岐させ、それらを先の図3に示した非対称成分計算部17に対して供給するようにしている。
図3において、この非対称成分計算部17は、例えば図示する「C(m−1)−C(m+1)」による演算を行って、FIRフィルタ20のタップ係数Cの非対称成分(D)を算出する。そして、この結果をトラッキングエラー信号TEとして出力する。
このように非対称成分計算部17より出力された上記非対称成分としてのトラッキングエラー信号TEは、先の図1にて示したようにサーボ回路4に対して供給されることになる。
先ず、上記説明によると、この場合の適応型イコライザ16においては信号A+Cを目標波形、信号B+Dを入力波形として入力するものとしているが、これら信号A+Cと信号B+Dとは、先の図12を参照してわかるように、理想的にはその波形の位相のみが異なる信号となるべきものである。
そして、このようにC(k)=sinc{(k−m)π+δ}が成り立つとすると、図3に示した非対称成分計算部17により算出される非対称成分は、これをDとした場合に、
D=C(m−1)−C(m+1)=sinc(−π+δ)−sinc(π+δ)・・・(式1)
により表すことができる。
この図に示されるように、非対称成分Dは、−π<δ<πの範囲において、位相差(δ/π)の極性が負のときは負の値を、正のときは正の値となっており、2つ入力信号の位相差の極性を正しく表すものとなっている。また、−0.8π<δ<0.8πの範囲においては、位相差(δ/π)の絶対値の上昇に応じて非対称成分Dの絶対値も上昇する傾向となっている。特に、図中の2本の縦破線により示す−0.3π<δ<0.3の範囲においては、非対称成分Dと位相差(δ/π)とはほぼ線形の関係を有するものとなっていることがわかる。
これらのことより、非対称成分Dは、適応型イコライザ16への2つ入力信号の位相差の極性とその値とをほぼ正確に表すものとなることがわかる。そして、このことによれば、非対称成分DをDPD(Differential Phase Ditection)法における2つの信号の位相差を表す信号、すなわちトラッキングエラー信号として充分に実用可能であることが理解できる。
すなわち、このことによれば、このようなA/Dコンバータ15a、15bのサンプリング周期の設定により、実際にD=C(m−1)−C(m+1)として得られる値の範囲を例えば上述した−0.3π<δ<0.3の範囲のような線形の関係となる範囲内に収めるといったことも可能となるものである。
但し、実際のトラッキングサーボ制御時にて生じうる信号A+Cと信号B+Dとの位相差の値としては、図5における−0.8π>δやδ<0.8πなどといった大きな値にはならないことが予想されるので、上記のような線形の関係となる範囲内への調整は特に行わずとも、非対称成分Dに基づく適正なトラッキングサーボ制御動作を行うことができると言える。実際、後の図7に示すようにして、本実施の形態のトラッキングエラー信号TEによれば適正にトラッキンサーボ制御を行うことができるという実験結果が得られている。
このシミュレーション結果によっても本実施の形態の有効性が示されている。
なお、これら図7(a)(b)において、破線はトラッキングサーボ制御オフ時に得られる波形(いわゆるトラバース信号)を示し、実線はトラッキングサーボ制御オン時に得られる波形を示している。
また、図7(b)の実験結果は、図7(a)の実験結果を得るにあたって用いた従来のDPD法を採用する再生装置にて得られるディテクタ検出信号を利用したシミュレーション結果を示すものである。つまり、このような従来の再生装置が備える4分割ディテクタからの検出信号を先の図3に示した本実施の形態としてのマトリクス回路3に入力して、これによって最終的に非対称成分計算部17にて得られるトラッキングエラー信号TEの波形を示しているものである。
また、この図7に示す実験結果を得るにあたっては、現状のBDよりも高記録密度とされる、単層35GB程度の記録容量を有する光ディスクDを用いるものとした。
このことから本実施の形態のトラッキングエラー信号TEとしては、従来方式によるものと同等かそれ以上の精度が得られていることが理解できる。
また、本実施の形態の再生装置1では、このような2つの信号の位相差を表す非対称成分Dとしてのトラッキングエラー信号TEに基づき、サーボ回路4が二軸機構DC(トラッキングコイル)の駆動制御を行うようにされている。すなわち、このような駆動制御によりトラッキングサーボ制御、及びトラッキングサーボの引き込みなどのトラッキング制御を行うものである。
これによれば、光ディスクDの線方向記録密度の向上に伴い再生信号振幅(4分割ディテクタ11からの検出信号振幅)が充分に得られなくなった場合にも、適正に上記2つの信号の位相差を検出することができる。すなわち、このことでトラッキングエラー信号TEの精度向上が図られ、トラッキング制御(特にトラッキングサーボ制御)の精度も向上させることができる。また、このようにトラッキングサーボ制御が向上すれば、その分再生パフォーマンスの悪化も抑制することができる。
図8は、第2の実施の形態としてのトラッキングエラー信号TEの生成系の構成について示している。
なお、この図8としても、先の図2の場合と同様に図1に示したマトリクス回路3内のトラッキングエラー信号の生成系の構成のみを抽出して示すもので、他の構成については省略している。また、この第2の実施の形態を始めとして、以下の各実施の形態(図9〜図11)においては、既に第1の実施の形態で説明した部分については同一符号を付して説明を省略する。また、確認のために述べておくと、以下の各実施の形態においても、再生装置1の全体構成としては先の図1に示したものと同様となる。
図8に示すようにして、この場合のマトリクス回路3においても、図中の一点鎖線により囲うように、図3に示したトラッキングエラー信号TEの生成系としての構成が設けられる(加算器12a、12b、ローパスフィルタ13a、13b、自動振幅調整器14a、14b、A/Dコンバータ15a、15b、適応型イコライザ16、非対称成分計算部17)。
そして、この場合のマトリクス回路3には、非対称成分計算部17から出力されるトラッキングエラー信号TEをアナログ信号に変換する、D/Aコンバータ29が設けられる。
このトラッキングエラー信号生成部50は、従来のDPD法(各和信号のゼロクロスタイミングの検出結果に基づき位相差を検出する手法)によるトラッキングエラー信号を生成するように構成される。その具体的な内部構成としては、例えば先の図13に示したトラッキングエラー信号生成部50と同様の構成となる。
スイッチSWは、図示する端子t1に対して上記端子t2または上記端子t3を択一的に選択することのできる2接点スイッチとされる。この場合、上記端子t1の出力が、マトリクス回路3から出力されるトラッキングエラー信号となり、図示するようにしてサーボ回路4に対して供給される。
ここで、周知のようにサーボ回路4内には、トラッキングサーボ制御のON/OFFに応じてトラッキングサーボループをON/OFFするためのスイッチが設けられており、サーボ回路4内では当該スイッチのON/OFF制御を行うことでトラッキングサーボループをON/OFFすることができる。
第2の実施の形態では、このようなサーボ回路4内においてトラッキングサーボループをON/OFFするための制御信号を分岐させて、上記トラッキングサーボループON/OFF信号として上記スイッチSWにも供給するようにしている。スイッチSWでは、このようなトラッキングサーボループON/OFF信号がOFFを示すものである場合は上記端子t2を選択し、ONを示すものである場合には上記端子t3を選択する。
また、トラッキングサーボの引き込み後、トラッキングサーボ制御への移行のために上記トラッキングサーボループON/OFF信号としてトラッキングサーボループをONとする信号が得られた場合には、上記スイッチSWにて端子t3が選択され、これによってトラッキングサーボ制御時に対応しては、サーボ回路4に対して非対称成分計算部17にて算出された非対称成分Dに基づくトラッキングエラー信号TEが供給されるものとなる。
これによれば、トラッキングサーボの引き込み精度としては従来の精度を確保しつつ、トラッキングサーボ制御についてはトラッキングエラー信号TEに基づき従来よりも精度よく行うことができる。
図9は、第3の実施の形態としてのトラッキングエラー信号TEの生成系の構成について示している。
なお、この図9では、図2に示したマトリクス回路3内に設けられる適応型イコライザ16及び第3の実施の形態としての追加構成のみを抽出して示しており、他の部分については省略している。
第3の実施の形態は、入力波形、目標波形として入力される2つの信号の誤差に応じて適応型イコライザ16におけるタップ係数Cの更新動作を制御することで、適応型イコライザ16の発散を防止するようにしたものである。
このMSE計算部30は、例えば「信号(A+C)−信号(B+D)」による演算を行って、これら信号(A+C)と信号(B+D)との誤差2乗平均値を計算する。そして、その結果を比較部31に出力するようにされる。
比較部31は、これら2つの閾値th1、th2と、上記MSE計算部30により計算された誤差2乗平均値との大小関係を比較し、その結果を更新動作制御部32に出力する。
具体的に、比較部31の比較結果より、MSE計算部30からの誤差2乗平均値が上記閾値th1を上回ったとされた場合には、タップ係数Cの更新動作を停止し、且つタップ係数Cをリセットする(C(m)=1、他は全て0とする)ようにタップ係数更新回路27を制御する。
また、比較部31の比較結果より、MSE計算部30からの誤差2乗平均値が上記閾値th2を下回ったとされた場合には、タップ係数Cの更新動作を再開するようにタップ係数更新回路27を制御する。
適応型イコライザ16のタップ係数Cが発散してしまうと、次のトラックに光ピックアップOPが到達した場合にも適応型イコライザ16が収束せずに、正しい位相差の情報が得られなくなってしまうが、第3の実施の形態によればこのような事態を未然に防ぐことができる。
図10は、第4の実施の形態のトラッキングエラー信号の生成系の構成について示している。
この図10としても、図2に示したマトリクス回路3内に設けられる適応型イコライザ16と第4の実施の形態としての追加構成のみを抽出して示しており、他の部分については省略している。
第4の実施の形態は、適応型イコライザ16の更新係数μを可変とすることで、トラッキングサーボ制御の精度向上と、トラッキングサーボの引き込み性能向上との両立が図られるようにしたものである。
一方、トラッキングサーボ制御時に対応して上記トラッキングサーボループON/OFF信号としてトラッキングサーボループONを示す信号が供給された場合は、更新係数μ2を選択してこれをタップ係数更新回路27に設定されるべき更新係数μとして出力する。
一方、トラッキングサーボ制御時に対応しては、タップ係数更新回路27の更新係数μとしてより小さな値が設定されることになるので、その分適応型イコライザ16の収束値の精度向上、ひいては非対称成分計算部17で得られる非対称成分Dの精度を向上させることができる。これによれば、トラッキングエラー信号TEの不要な高域ノイズ成分を抑制し、トラッキングエラー信号のS/N比を向上させることができるので、その分トラッキングサーボ制御の精度も向上させることができる。
このようにして第4の実施の形態によれば、トラッキングサーボ制御の精度向上と、トラッキングサーボの引き込み性能向上との両立を図ることができる。
図11は、第5の実施の形態としてのトラッキングエラー信号の生成系の構成について示している。
なおこの図では、マトリクス回路3内に設けられる適応型イコライザ16と非対称成分計算部17、及び第5の実施の形態としての追加構成についてのみ抽出して示しており、他の構成については省略している。
第5の実施の形態は、例えばビームスポットの歪みやスキュー等によって、4分割ディテクタ11からの検出信号に固定の位相差成分が生じてしまった場合に対応して、その位相差成分を除去するための構成を設けるようにしたものである。
これによって平均値算出部34では、トラッキングサーボ制御がオフであるときの、自走状態でのトラッキングエラー信号TE(つまりトラバース信号)についてのサンプル平均値を算出するようにされている。つまり、このようなトラバース信号のサンプル平均値を、信号A+Cと信号B+Dとの間に生じる固定の位相差オフセット成分の値として得ているものである。
この位相差補償回路35は、先の図3に示したA/Dコンバータ15bから供給される信号B+Dの位相を、平均値算出部34から供給される値に応じた分変化させるように構成される。具体的には、平均値算出部34から+(プラス)の極性による平均値が供給された場合には、信号B+Dの位相を上記平均値の絶対値に応じた分だけ遅らせるようにし、また−(マイナス)の極性による平均値が供給された場合は、信号B+Dの位相を上記平均値の絶対値に応じた分だけ進ませるように構成される。そして、位相差補償回路35は、このようにして位相変換処理を施した信号B+Dを、適応型イコライザ16に対して供給する。
これにより、信号A+Cと信号B+Dとの間に生じる固定の位相差オフセット成分を除去することができる。
先の図4における説明によれば、このように係数C(m+1)の方が大きいということは、入力波形である信号B+Dの位相を遅らせる方向に波形等化が行われたことになるから、信号B+Dの方が位相が進んでいるということになる。このことから平均値算出部34により+の値による平均値が得られたときには、固定の位相差オフセット成分としては、信号B+Dの方の位相を進ませる方向(極性)に生じているということになる。
逆に、平均値算出部34にて−の値が算出されるときは、非対称成分計算部17に入力される係数C(m−1)の方が値が大きいということになる。そして、これによると、逆に入力波形である信号B+Dの位相を進ませる方向に波形等化が行われたものとなるので、信号B+Dの方が位相が遅れているということになる。このことから平均値算出部34により−の値による平均値が得られたときには、固定の位相差オフセット成分は信号B+Dの方の位相を遅らせる極性で生じているということになる。
また、逆に信号B+D側を遅らせる方向に固定の位相差成分が生じていて、上記平均値として−の値が得られる場合には、信号B+Dの位相を上記平均値(絶対値)の分だけ進ませることができ、従ってこの場合にも固定の位相差成分を除去することができる。
この位相差補償回路36としては、先の位相差補償回路35の場合とは逆に、平均値算出部34から+(プラス)の極性による平均値が供給された場合には、信号A+Cの位相を上記平均値(絶対値)に応じた分だけ遅らせるようにし、また−(マイナス)の極性による平均値が供給された場合は、信号A+Cの位相を上記平均値(絶対値)に応じた分だけ進ませるように構成される。
つまり、同じ平均値算出部34からの平均値に基づき、もう一方の信号A+C側の位相を調整するのであれば、このようにして先の位相差補償回路35とは逆の関係で位相を調整することで、信号A+Cと信号B+Dとの位相差の調整は結果的に先の図11(a)の場合と同様に行うことができる。この結果、この図11(b)の構成によっても、信号A+Cと信号B+Dとの間に生じる固定の位相差成分を除去することができる。
また、このように2つ信号の固定の位相差オフセット成分を除去することができれば、トラッキングエラー信号TEとしては、先の図5に示した位相差感度曲線の好ましい特性の範囲(例えば図5中−0.3π<δ<0.3π)内でより検出されやすくすることができ、この点でも高精度なトラッキングサーボ制御を実現できることがわかる。
或いは、予め固定の位相差オフセット成分がわかっている場合等には、その固定値を位相差補償回路に対して供給するように構成することもできる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した各実施の形態に限定されるべきものではない。
例えば実施の形態では、FIR型の適応型波形等化器のタップ数が3つとされる場合を例示し、非対称成分Dは、中央のタップ係数をC(m)とした場合に、タップ係数C(m−1)とタップ係数C(m+1)との差分を計算することで算出するものとしたが、それ以上の奇数個のタップ数とされる場合にも、同様に中央のタップ係数C(m)を基準として、その前後のタップ係数C(m−1)とC(m+1)の差分を計算することで、同様に2つの入力信号の位相差を検出することができる。
或いは、このようにタップ数が3以上の奇数個とされる場合には、例えば中央のタップ係数C(m)よりも前側の全てのタップ係数Cの総和と後側の全てのタップ係数Cの総和との差分を計算する、またはタップ係数C(m)よりも前側の所定番目のタップ係数Cと後側の所定番目のタップ係数Cとの差分を計算することなどによっても、非対称成分Dを算出することができる。
何れにせよ、非対称成分Dとしては、いわゆるタップ係数の非対称性として、中央のタップ係数C(m)を基準としたときのその前側/後側のタップ係数の何れに重み付けの偏りがあるかを表すことができるように計算されたものであればよく、その計算方法について特に限定はされないものである。
すなわち、少なくとも2以上に分割された各ディテクタからの検出信号に基づき生成される第1信号と第2信号であって、レーザスポットが光ディスク記録媒体上のトラックのセンター位置からずれたときに位相差が生じるようにして生成された上記第1信号と上記第2信号とを得るようにされる場合に、本発明は好適に適用することができる。
同様に、第3の実施の形態における誤差計算部30、比較部31、更新動作制御部32、及び第4の実施の形態における選択回路33、及び第5の実施の形態における平均値算出部34、位相差補償回路35、36についても、それらの動作はソフトウエア処理によっても実現可能である。
或いは、光ディスク記録媒体に対する記録も可能とされる再生装置(記録再生装置)に対しても本発明は好適に適用することができる。但し、周知のようにDPD法としては、光ディスク記録媒体に信号(マーク)が記録される状態にて実現可能な方式であることから、このように記録再生装置とされる場合であっても、光ディスク記録媒体に記録された信号の再生時においてのみ本発明によるトラッキングエラー信号の生成手法を適用することになる。
例えば、通信など他の分野においても、従来手法として2つの信号のゼロクロスタイミングを検出した結果に基づきそれらの位相差を検出する手法では、充分な位相差検出精度を得られないという場合も考えられる。例えばそのような場合に対応して本発明の位相検出の手法を適用すれば、同様に2つの信号の位相差の検出精度の向上を図ることができる。
Claims (10)
- 光ディスク記録媒体について少なくとも再生を行う再生装置であって、
上記光ディスク記録媒体に対するレーザ光の出力端及び上記光ディスク記録媒体からの反射光の入力端となる対物レンズと、上記対物レンズを介して得られる上記反射光の検出を行うためのディテクタとして少なくとも2以上に分割されたディテクタと、上記対物レンズを少なくともトラッキング方向に移動可能に保持するトラッキング機構とが設けられたヘッド手段と、
上記ヘッド手段における上記分割された各ディテクタの検出信号に基づき生成される第1信号と第2信号であって、上記レーザ光に基づくレーザスポットが上記光ディスク記録媒体上のトラックのセンター位置からずれたときに位相差が生じるようにして生成された第1信号と第2信号とについて、上記第1信号を目標波形として入力し、上記第2信号を入力波形として入力して、上記入力波形が上記目標波形と一致するようにFIRフィルタを用いた波形等化処理を行うように構成された波形等化手段と、
上記波形等化手段における上記FIRフィルタの所定のタップ係数に基づく所定演算を行って上記FIRフィルタのタップ係数の非対称成分を算出することで、上記第1信号と上記第2信号との位相差を検出する位相差検出手段と、
上記位相差検出手段により算出された上記非対称成分に基づき、上記トラッキング機構を制御するトラッキング制御手段と、
を備えることを特徴とする再生装置。 - 上記トラッキング制御手段は、
上記トラッキング制御として、トラッキングサーボ制御を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。 - 上記トラッキング制御手段は、
上記トラッキング制御として、トラッキングサーボ制御と共にトラッキングサーボの引き込み制御も実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。 - 上記第1信号と上記第2信号のそれぞれのゼロクロスタイミングを検出した結果に基づき上記第1信号と上記第2信号との位相差を検出して第2のトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成手段をさらに備えると共に、
上記トラッキング制御手段は、
上記トラッキングエラー信号生成手段により生成されるトラッキングエラー信号に基づきトラッキングサーボの引き込み制御を実行し、上記非対称成分に基づきトラッキングサーボ制御を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。 - 上記第1信号と上記第2信号との誤差を検出する誤差検出手段と、
上記誤差と所定の閾値とに基づき、上記波形等化手段におけるタップ係数の更新動作を制御する発散防止制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の再生装置。 - 上記発散防止制御手段は、
上記誤差が所定の第1閾値を上回った場合は上記タップ係数の更新動作が停止され且つ上記タップ係数が初期値にリセットされるように上記波形等化手段に対する制御を行い、その後において上記誤差が所定の第2閾値を下回ったことに応じては、上記タップ係数の更新動作が開始されるように上記波形等化手段に対する制御を行う、
ことを特徴とする請求項5に記載の再生装置。 - 上記トラッキング制御手段は、
上記トラッキング制御として、トラッキングサーボ制御と共にトラッキングサーボの引き込み制御も実行すると共に、
上記トラッキングサーボ制御のオン/オフ状態に応じ、上記波形等化手段の更新係数を切り替える更新係数切り替え手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。 - 上記波形等化手段に入力される上記第1信号と上記第2信号との位相差を調整する位相差調整手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。 - 上記トラッキング制御手段は、
上記トラッキング制御として、トラッキングサーボ制御と共にトラッキングサーボの引き込み制御も実行すると共に、
上記位相差調整手段は、
上記トラッキング制御手段による上記トラッキングサーボ制御がオフとされている状態で上記位相差検出手段にて算出される上記非対称成分の平均値を算出する共に、この平均値に基づき上記第1信号と上記第2信号との位相差を調整するように構成される、
ことを特徴とする請求項8に記載の再生装置。 - 光ディスク記録媒体に対するレーザ光の出力端及び上記光ディスク記録媒体からの反射光の入力端となる対物レンズと、上記対物レンズを介して得られる上記反射光の検出を行うためのディテクタとして少なくとも2以上に分割されたディテクタと、上記対物レンズを少なくともトラッキング方向に移動可能に保持するトラッキング機構とが設けられたヘッド手段を備えて、上記光ディスク記録媒体について少なくとも再生を行う再生装置におけるトラッキング制御方法であって、
上記ヘッド手段における上記分割された各ディテクタの検出信号に基づき生成される第1信号と第2信号であって、上記レーザ光に基づくレーザスポットが上記光ディスク記録媒体上のトラックのセンター位置からずれたときに位相差が生じるようにして生成された第1信号と第2信号とについて、上記第1信号を目標波形として入力し、上記第2信号を入力波形として入力して、上記入力波形が上記目標波形と一致するようにFIRフィルタを用いた波形等化処理を行う波形等化手順と、
上記FIRフィルタの所定のタップ係数に基づく所定演算を行って上記FIRフィルタのタップ係数の非対称成分を算出することで、上記第1信号と上記第2信号との位相差を検出する位相差検出手順と、
上記位相差検出手順により算出した上記非対称成分に基づき、上記トラッキング機構を制御するトラッキング制御手順と、
を備えることを特徴とするトラッキング制御方法。
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