JP4722793B2 - 水系インク用記録媒体のインク吸収特性判定方法 - Google Patents

水系インク用記録媒体のインク吸収特性判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、紙支持体とインク受容層とを有する水系インク用記録媒体及びそのインク吸収特性の判定方法に関し、特に、インクジェット記録されるのに適している光沢性が比較的低いマットタイプの水系インク用記録媒体に関するものである。
近年、高速にハードコピーを作成する水系インクプリントは、オフセット印刷や凸版印刷でも行われており、水系インクの記録にとって、記録媒体の特性が重要視されつつある。特に、水系インクプリントの代表的であるインクジェットプリンタの技術進歩により、鮮明な画像と優れた印字品位を得ることが可能となってきた。これに伴って、印字品位を更に向上させるために、より高度な特性を持つ記録媒体が要求されるようになり、各種記録媒体が開発されている。
他方、水系インクジェットプリンタの用途が広がり、ポスター等の広告用にも使われている。そのような用途の場合、高画質、高記録濃度といった記録特性だけでなく、長期掲示、長期保存においても鮮明な画像を保つことが必要である。従来、インクジェットプリンタ用のインクとして発色性に優れている水系染料インクを用いているが、一般に、水系染料インクは光などによって退色しやすいため、経時的に鮮明性が失われ、長期の掲示、保存には適していなかった。このような問題を解決するために、耐光性に優れる水系顔料インクを用いたプリンタ、プロッタが増えてきている。
しかし、水系顔料インクの場合、水系顔料インクの顔料が粒子状であることなどに起因して水系染料インクとはインクの特性が異なる。このため、それぞれのインクに専用の水系インク用記録媒体が提供されており、両者を両立できる記録媒体は、殆んど無いのが現状である。この発明は、以下の通りである。
一般的に、顔料インク用の記録媒体はインク吸収性を高くする設計がされており、染料インク用の場合は顔料インク用よりもインク吸収性を低くする代わりにインク定着剤の選択により対応する設計になっている。このように、水系染料インクと水系顔料インクは相反する特性があるため、インクと記録媒体を誤った組み合わせで用いてしまうと、結果として、画像濃度、にじみなどの品質が損なわれた記録物しか得られていない。例えば、従来の染料インク用の水系インク用記録媒体に、顔料インクを用いて印字した場合、顔料インクが吸収されず、印字部にムラやワレが生じたりする現象がみられ、実用上問題が生じている。
一方、水系インク用記録媒体は、光沢度の高いグロスタイプと、光沢度の低いマットタイプ、及び殆ど上質紙に近い風合いの普通紙タイプに大別される。グロスタイプの記録媒体は、銀塩写真印画紙の支持体として使用されている樹脂被覆紙を用いたタイプのものと、紙を用いたものがある。何れも、微細粒径分布が狭く、透明性を確保できる顔料により、塗工層を形成することができ、吸収性と光沢性を両立させたものである。これらの記録媒体のうち、グロスタイプの記録媒体に記録を行う場合、記録媒体には微細な顔料を用いてインク受容層を形成しているのでインクの吸収性が遅いため、プリンタ記録速度に減速することでインク滲みなどの発生を抑制している。このことは、結果的に、プリントスピードが遅くなるため、プリンターの能力を十分発揮出来ていないことを意味する。
特に、マットタイプの記録媒体は、インクの吸収性を主眼に設計されているため、インク受容層を形成するための塗工液に、グロスタイプに比べてはるかに、粒子径の大きな顔料を用いており、結果として光沢性を抑えたものとなっている。この優れたインク吸収性をさらに向上させたものとして、紙支持体の表面に溶剤通過特性を高める表面処理を施してインク受容層と紙支持体との境界域で急激な液体の流れを促進するものもある。いずれにしても、マットタイプの記録媒体は、顔料粒子径が大きいので、グロスタイプよりインクの吸収性が速く、プリンタでの記録速度は速く設定できるとされているが、近年、デジタルカメラなどの普及に伴い、グロスタイプだけでなく、マットタイプの記録媒体にフルカラー画像の記録が行われるようになると、単位面積あたりのインク量は単色画像に比べて増大するため、更なるインク吸収特性が望まれるようになりが、この要求に応えようとすると各色の色味やにじみをもたらしてしまう問題がでてくる。
上記のように、吸収特性の異なる水系染料インクと水系顔料インクの両方に適した記録媒体が提供されていない現状に対して、特許文献1、特許文献2にあるようなインク受容層を複数層形成して記録適性を高めた記録媒体を採用することも考えられるが、染料インク、顔料インクの両方の吸収特性に十分に適応できる水系インク用記録媒体を提供するものとはなっていない。
特開昭62−152779号公報 特開昭63−39373号公報
本発明は、従来の水系インク用記録媒体を検証して、適性画像が得られない理由を解明し、解明が困難とされている紙支持体とインク受容層との関係を定量的あるいは定性的な技術として確立することで、数多くのサンプル生産をすることなく目的の画像形成が出来る水系インク用記録媒体を提供することを目的とするものである。また、本発明は、従来技術で成し得なかった、水系染料インク及び水系顔料インクのどちらに対しても、最適な印字適性を備えた水系インク用記録媒体及びその水系インクによる印字適性を、印字を行うことなく判定する方法を提供することを目的とするものである。
具体的には、本発明の第1課題は、水系染料インクでも水系顔料インクでも、「ベタ画像」の発色性や濃度の均一性を確保できる新規な水系インク用記録媒体を提供することである。本発明の第2課題は、従来にはない新規な水系インク用記録媒体が備えるべきインク吸収特性を判定できるわかりやすい判定基準を提供することにある。
本発明の第3課題は、所望の画像形成に必要となる特異な液体吸収特性を持つ水系インク用記録媒体を提供することにある。
本発明の第4課題は、紙支持体の坪量を上げても鮮明な画像を形成することができる水系インク用記録媒体を提供すことにある。
本発明の第5課題は、従来では得られなかった奥行き感(深み)のある画像を形成できるマットタイプの水系インク用記録媒体を提供することである。
本発明は、これらの課題の少なくとも1つを解決することを目的とするが、以下の説明によって明らかにされるように、本発明は、さらに別の課題の解決にも寄与するものである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、従来の紙支持体、インク受容層、紙支持体とインク受容層の境界領域について、光学電子顕微鏡を駆使する等によりインク吸収特性との関係の有無を検討したが、定性的あるいは定量的にその関係を認定することは困難であった。そこで、本発明者等は、従来の記録媒体特性を明確に表す方法として、水系インクのインク主成分主が純水であることに着目し、純水単体が記録媒体に対していかなる挙動をしつつ吸収されていくかを検討することにした。実際のインクジェット記録では、インク滴は2ピコリットルから8ピコリットルの範囲のものが使用されている現状から、1マイクロリットルの純水の吸収を測定したが、吸収が早すぎて解明できなかった。そこから多くの実験を重ね研究を行ったところ、従来の記録媒体の特性を判別できる4マイクロリットルの吸収特性に帰着した。
従来の水系インク用記録媒体の記録面の吸収特性を測定した結果を表1にJ,K,L,Mとして示し、図1(J,K,L,Mは、従来の水系インク用記録媒体の吸収特性を示し、縦軸が吸収量を、横軸が滴下後の時間を示す)にも示している。この図1からわかるように、符号J,Kで示されている従来の記録媒体は、液体吸収性がほとんどない期間を長時間持つため、実質的にあふれたインクが画像を乱す結果を表しており、相関が取れている。このような現象のメカニズムとしては、本発明の水系インク用記録媒体は、紙支持体とインク受容層との境界域に、新たにフィルター機能を持たせた高密度な境界域を有する3層構成で形成されているが、符号J,Kで示されている従来の記録媒体は、紙支持体とインク受容層とを単に接合させただけの2層構成であり、インク受容層の界面によるフィルター機能が強すぎるため、このような吸収特性を示すと推測される。
また、符号Mの記録媒体は、吸収特性が極めて短時間で行われるため、印字濃度が大幅に低下してしまうという結果との相関が取れている。メカニズムとしては、インク受容層中のバインダー成分が少ないため、界面によるフィルター機能を有する境界域が殆ど存在せず、実際は、紙支持体とインク受容層との2層構成であるが、1層構成が支配的であるため、このような吸収特性を示すと推測される。
符号Lの記録媒体は、これらの間にあって符号K,Jの記録媒体よりは特性が向上しているものの、ドットの広がりが少なく、濃度も十分ではない結果と相関が取れている。メカニズムとしては、バインダー成分の少ないインク受容層を低温、長時間で乾燥させることで、バインダー成分が紙支持体全体に浸透し、インク受容層と紙支持体との界面によるフィルター機能を有する境界域が低密度に形成されるため、実際は2層構成であるが、1層構成が支配的であるため、このような吸収特性を示すと推測される。
このように、本発明の判定条件は、従来の記録媒体の特性に対して十分な定量的及び/又は定性的に意義のあるものである。この知見から、本発明は、さらに、本発明の課題を解決し、本発明の目的を達成できる記録媒体の条件を追求し、本発明の完成に至ったものである。
本発明の判定方法は、紙支持体と、該紙支持体表面に設けられ無定形シリカと、接着剤と、インク色材との反応性物質とを含有するインク受容層と、を有する水系インク用記録媒体に対して、前記インク受容層表面に4μlの蒸留水を滴下した液滴を、滴下直後1秒以内に第1吸収速度V1(μl/sec)で吸収する第1吸収段階と、前記第1吸収段階の後に第2吸収速度V2(μl/sec)で吸収する第2吸収段階と、前記第2吸収段階の後であって、第3吸収速度V3(μl/sec)で吸収を行う第3吸収段階とにより吸収するものであって、第1吸収段階V1から第2吸収段階V2へ移行する変曲点をaとし、第2吸収段階V2から第3吸収段階V3へ移行する変曲点をbとし、第3吸収段階V3の最終点をcとし、 各点の吸収量をqa、qb、qc、各点の時間をta、tb、tcとしたときの水系インク用記録媒体の吸収特性を判定する方法である。
ここで、本発明で述べている吸収速度V1、V2、V3とは、変曲点、終点を結ぶものであり、測定値から導かれた各段階の近似直線に相当する。
また、本発明の変曲点とは、吸収速度V1から吸収速度V2に変化する変化点、若しくは、吸収速度V2から吸収速度V3に変化する変化点を示し、V1からV2、V2からV3への変化が、なだらかに変化する変曲領域を有する場合は、例えば、V1とV2の近似直線を延長した交点から、変曲領域の近似曲線に垂直に下ろした交点を示すものである。
一般に、塗料などを塗工する時に発生しやすい紙支持体のボコツキ等を抑えるためは、ステキヒトサイズ度の高い紙支持体を使用するべきものとされているが、本発明者らは、逆にステキヒトサイズ度低い紙支持体を使用することを試み、さらに、紙支持体のpHも変色の少ない中性紙を使用することが一般的であるのに対して、酸性紙を使用することも試みた。
いずれにしても、優れた品質を得るためにはインク受容層各層又は基材単体が重要であると考え、それぞれの単体のみの性質に着目して研究を行っていたが、鋭意研究の結果、それぞれの単体の影響が支配的ではなく、インク受容層と紙支持体との界面の境界域の「フィルター作用」が支配的であることを見出した。
図2、図3は、従来の水系インク用記録媒体と本発明水系インク用記録媒体の吸収特性を示す。
図2のA、B、C、D、E、F、G、H、Iは後記表1に示した測定結果をグラフにしたものであり、図3のN、O、P、Q、R、S、T、U、V、Wは、後記表3の測定結果をグラフにしたものであり、いずれも本発明の水系インク用記録媒体の吸収特性を示す。
表1、表2、表3、表4及び図1、図2、図3からも明らかなように、本発明の水系インク用記録媒体の吸収特性は、従来の水系インク用記録媒体と明らかに異なっており、実際の印字物を比較しても、本発明の記録媒体への印字品が最も印字品質に優れていることを確認し、図1、図2、図3の吸収特性と実画像とに相関があることを見出したのである。
尚、この吸収特性の測定を、液滴量1μlから7μlまでの蒸留水で行った結果、4μlが最も吸収特性の差が明確となることを見出した。
このように、インク受容層と紙支持体の全てを含めた性質を調べるため、更に鋭意研究を行った結果、水系インク用記録媒体の吸収速度が特定の条件を満足する必要があることを見出し、以下に示す水系インク用記録媒体と水系インク用記録媒体のインク吸収特性を判定する方法に関する本発明に至った。
本発明は、以下の各発明から選択される、水系インク用記録媒体のインク吸収特性判定方法の発明に関する
(1)無機顔料及びインク色材との反応性物質を含有する多孔質層を有するインク受容層が紙支持体表面に設けられており、前記インク色材を含む水系インクを用いて記録される水系インク用記録媒体であって、前記インク受容層表面に4μlの蒸留水を滴下した液滴を、滴下直後より1秒以内に第1吸収速度V1(μl/sec)で吸収する第1吸収段階と、前記第1吸収段階の後に第2吸収速度V2(μl/sec)で吸収する少なくとも2秒間以上の第2吸収段階と、前記第2吸収段階の後であって、第3吸収速度V3(μl/sec)で吸収を行う第3吸収段階とにより前記4μlの蒸留水液滴を吸収し、且つ、前記第1吸収段階から前記第3吸収段階による液滴の吸収は、式
0<V2<V1
0<V2<V3
の関係を満たすとともに、前記第2吸収速度V2(μl/sec)が0.01(μl/sec)より大きく、0.32(μl/sec)より小さい速度であって、
前記第1吸収段階から前記第2吸収段階へ移行する変曲点をaとし、前記第2吸収段階から前記第3吸収段階へ移行する変曲点をbとし、前記第3吸収段階の最終点をcとし、各変曲点における吸収量をqa、qb、qcとし、各変曲点又は最終点までの時間をta、tb、tcとしたとき、
前記変曲点aにおける吸収量qaが1.3μl以上で2.0μlより少なく、前記第2変曲点bにおける吸収量qbが2.0μl以上2.5μlより少ないことを特徴とする水系インク用記録媒体。
(2)前記変曲点aは、滴下直後より0.5秒以内に発生することを特徴とする(1)に記載の水系インク用記録媒体。
(3)前記第2吸収段階による吸収量(qb−qa)が0.3μl以上1.4μl以下であることを特徴とする(1)に記載の水系インク用記録媒体。
(4)前記第2吸収段階による吸収量(qb−qa)が0.5μl以上1.0μl以下であることを特徴とする(1)に記載の水系インク用記録媒体。
(5)前記変曲点aにおける吸収量qaが1.5μl以上であることを特徴とする(1)に記載の水系インク用記録媒体。
(6)前記水系インク用記録媒体の坪量が180g/m以上300g/m以下であって、前記変曲点bが滴下直後より8秒以内に発生する(5)に記載の水系インク用記録媒体。
(7)前記紙支持体のステキヒトサイズ度が5秒以上50秒以下であることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の水系インク用記録媒体。
(8)前記インク受容層のpHが、式
5<pH≦7
を満足することを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の水系インク用記録媒体。
(9)前記紙支持体のpHとインク受容層のpHが、式
1<(pH−pH)<4
を満足することを特徴とする(8)に記載の水系インク用記録媒体。
(10)前記第2吸収速度V2(μl/sec)は、0.05(μl/sec)より大きく、0.23(μl/sec)より小さい速度であることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の水系インク用記録媒体。
(11)前記第2吸収速度V2(μl/sec)は、0.12(μl/sec)より大きく、0.23(μl/sec)より小さい速度であることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の水系インク用記録媒体。
(12)ステキヒトサイズ度が5秒以上50秒以下の紙支持体と、前記紙支持体表面に無定形シリカと接着剤とインク色材との反応性物質を含有するインク受容層と、を有し、水系インク用記録媒体であり、
前記インク受容層表面に4μlの蒸留水を滴下した液滴を、滴下直後より1秒以内に第1吸収速度V1(μl/sec)で吸収する第1吸収段階と、前記第1吸収段階の後に第2吸収速度V2(μl/sec )で吸収する少なくとも2秒間以上の第2吸収段階と、前記第2吸収段階の後であって滴下直後より8秒以内に発生し第3吸収速度V3(μl/sec)で吸収を行う第3吸収段階とにより前記4μlの液滴を吸収し、且つ、前記第1吸収段階から前記第3吸収段階による液滴の吸収は、式
0<V2<V3<V1
の関係を満たすとともに、前記第2吸収速度V2(μl/sec)が0.01(μl/sec)より大きく、0.32(μl/sec)より小さい速度であって、
前記第1吸収段階から前記第2吸収段階へ移行する変曲点をaとし、前記第2吸収段階から前記第3吸収段階へ移行する変曲点をbとし、前記第3吸収段階の最終点をcとし、各変曲点又は最終点における吸収量をqa、qb、qc、各変曲点又は最終点までの時間をta、tb、tcとしたとき、
前記変曲点aにおける吸収量qaが1.5μl以上2.0μl以下で、 前記第2吸収段階による吸収量(qb−qa)が0.3μl以上1.0μl以下であることを特徴とする水系インク用記録媒体。
(13)前記インク受容層のpHが、式
5<pH≦7、
前記紙支持体のpHとインク受容層のpHが、式
1<(pH−pH)<4
を満足し、前記インク受容層の厚さが25μm以上35μm以下で、前記紙支持体と前記インク受容層の坪量が180g/m以上300g/m以下の範囲以内にあることを特徴とする(12)に記載の水系インク用記録媒体。
(14)前記第2吸収速度V2(μl/sec)は、0.12(μl/sec)より大きく、0.23(μl/sec)より小さい速度であることを特徴とする(12)又は(13)に記載の水系インク用記録媒体。
(15)無機顔料及びインク色材との反応性物質を含有する多孔質層を有するインク受容層を表面に有しており、アニオン色材を含む水系インクを用いて記録される水系インク用記録媒体であって、
前記インク受容層表面に4μlの蒸留水を滴下した液滴を、滴下直後より1秒以内に第1吸収速度V1(μl/sec)で吸収する第1吸収段階と、前記第1吸収段階の後に第2吸収速度V2(μl/sec)で吸収する2秒間以上の第2吸収段階と、前記第2吸収段階の後であって第3吸収速度V3(μl/sec)で吸収を行う第3吸収段階とにより前記4μlの蒸留水液滴を吸収し、前記第1吸収段階から前記第3吸収段階による液滴の吸収は、式
0<V2<V1
0<V2<V3
の関係を満たすとともに、前記第2吸収速度V2(μl/sec)が0.01(μl/sec)より大きく、0.32(μl/sec)より小さい速度であって、
前記第1吸収段階から前記第2吸収段階へ移行する変曲点をaとし、前記第2吸収段階から前記第3吸収段階へ移行する変曲点をbとし、第3吸収段階V3の最終点をcとし、各変曲点における吸収量をqa、qb、qcとし、各変曲点又は最終点までの時間をta、tb、tcとしたとき、
前記変曲点aにおける吸収量qaが1.3μl以上2.0μl以下であり、前記第2吸収段階による吸収量(qb−qa)が0.3μl以上1.0μl以下であることを特徴とする水系インク用記録媒体。
(16)前記第2吸収速度V2(μl/sec)は、0.05(μl/sec)より大きく、0.23(μl/sec)より小さい速度であることを特徴とする(15)に記載の水系インク用記録媒体。
(17)前記紙支持体のステキヒトサイズ度が5秒以上50秒以下であることを特徴とする(16)に記載の水系インク用記録媒体。
(18)紙支持体と、該紙支持体表面に設けられ無定形シリカと接着剤とインク色材との反応性物質を含有したインク受容層とを有する水系インク用記録媒体であり、
前記インク受容層表面に4μlの蒸留水を滴下した液滴を、滴下直後より1秒以内に第1吸収速度V1(μl/sec)で吸収する第1吸収段階と、前記第1吸収段階の後に第2吸収速度V2(μl/sec)で吸収する少なくとも2秒間以上の第2吸収段階と、前記第2吸収段階の後であって、第3吸収速度V3(μl/sec)で吸収を行う第3吸収段階とにより吸収し、前記第1吸収段階から前記第3吸収段階による液滴の吸収は、式
0<V2<V1
0<V2<V3
の関係を満たすとともに、前記第2吸収速度V2(μl/sec)が0.01(μl/sec)より大きく、0.32(μl/sec)より小さい速度であって、
前記第1吸収段階から前記第2吸収段階へ移行する変曲点をaとし、前記第2吸収段階から前記第3吸収段階へ移行する変曲点をbとし、前記第3吸収段階の最終点をcとし、各点の吸収量をqa、qb、qcとし、各変曲点又は最終点までの時間をta、tb、tcとしたとき、
前記変曲点aにおける吸収量qaが1.3μl以上で2.0μlより少なく、前記変曲点bにおける吸収量qbが前記第1吸収段階の吸収量qaより多く2.5μlより少なく、そして、前記第2吸収段階による吸収量(qb−qa)が0.3μl以上1.4μl以下であることを特徴とする水系インク用記録媒体。
(19)前記第2吸収段階による吸収量(qb-qa)が0.38μl以上1.0μl以下であることを特徴とする(18)に記載の水系インク用記録媒体。
(20)前記変曲点aにおける吸収量qaが1.5μl以上であることを特徴とする(19)に記載の水系インク用記録媒体。
(21)前記第2吸収段階が前記液滴の滴下直後より2.0秒以上13.5秒以内に発生することを特徴とする(18)に記載の水系インク用記録媒体。
(22)前記第3吸収段階の時間tcが前記液滴の滴下直後より14.1秒以内であることを特徴とする(21)に記載の水系インク用記録媒体。
(23)前記第2吸収段階が前記液滴の滴下直後より6.1秒以内に発生し、且つ、第3吸収段階の最終点の時間tcが8秒以内に発生することを特徴とする(20)に記載の水系インク用記録媒体。
(24)前記第2吸収段階が前記液滴の滴下直後より9.5秒以降に発生し、且つ、第3吸収段階の最終点の時間tcが14.5秒以内に発生することを特徴とする(19)に記載の水系インク用記録媒体。
(25)前記第2吸収速度V2(μl/sec)は、0.05(μl/sec)より大きく、0.23(μl/sec)より小さい速度であることを特徴とする(17)乃至(24)のいずれかに記載の水系インク用記録媒体。
(26)前記第2吸収速度V2(μl/sec)は、0.12(μl/sec)より大きく、0.23(μl/sec)より小さい速度であることを特徴とする(23)に記載の水系インク用記録媒体。
(27)前記第2吸収速度V2(μl/sec)は、0.05(μl/sec)より大きく、0.09(μl/sec)より小さい速度であることを特徴とする(24)に記載の水系インク用記録媒体。
(28)紙支持体と、該紙支持体表面に無定形シリカと接着剤とインク色材との反応性物質を含有したインク受容層とを有する水系インク用記録媒体のインク吸収特性を判定する方法であって、
前記水系インク用記録媒体のインク受容層表面に4μlの蒸留水を滴下した液滴を、滴下直後1秒以内に第1吸収速度V1(μl/sec)で吸収する第1吸収段階と、前記第1吸収段階の後に第2吸収速度V2(μl/sec)で吸収する少なくとも2秒間以上の第2吸収段階と、前記第2吸収段階の後であって、第3吸収速度V3(μl/sec)で吸収を行う第3吸収段階とにより吸収されること、
前記第2吸収速度V2(μl/sec)が0.01(μl/sec)より大きく、0.32(μl/sec)より小さい速度であること、
前記第1吸収段階から前記第2吸収段階へ移行する変曲点a、前記第2吸収段階から前記第3吸収段階へ移行する変曲点b及び前記第3吸収段階の最終点cをそれぞれ測定し、 各点の吸収量をqa、qb、qc、各変曲点又は最終点までの時間をta、tb、tcとしたとき、
前記第1吸収段階の吸収量qaが1μl以上で2.0μlより少ないこと、
前記第2吸収段階の吸収量qbが前記第1吸収段階の吸収量qaより多く2.5μlより少ないこと、
前記第2吸収段階による吸収量(qb-qa)が0.3μl以上1.4μl以下であること、のそれぞれを判定することを含むことを特徴とする水系インク用記録媒体のインク吸収特性判定方法。
(29)前記第2吸収速度V2(μl/sec)は、0.05(μl/sec)より大きく、0.23(μl/sec)より小さい速度であることを特徴とする(28)に記載の水系インク用記録媒体のインク吸収特性判定方法。
(30)前記紙支持体と前記インク受容層の坪量が180g/m以上300g/m以下の範囲以内にあって、前記第2吸収速度V2(μl/sec)は、0.12(μl/sec)より大きく、0.23(μl/sec)より小さい速度であることを特徴とする(28)に記載の水系インク用記録媒体のインク吸収特性判定方法。
尚、本発明の記録媒体は、各請求項に記載の条件が、全体的に得られることが好ましいが、ゴミ等の予想外の要因によって、本発明の条件をわずかに外れているような一点が散在していても、実質的に、本発明を実施した場合の効果が全体的に得られる限り、本発明に含まれるものである。カット紙、又は、ロール紙のような長尺タイプでも全ての部位において、本発明の範囲内に入ることが好ましいが、主要域に実質的に本発明が適用されているものであれば、本発明に含まれるものである。
本発明、従来には無いインク受容層と紙支持体との境界領域に実質的な液体浸透状態を適正化できるフィルター機能を主として第2吸収段階を持つことによって達成するものである。即ち、インク受容層に浸透した所定量(画像濃度を左右するひとつの要因で本発明に於いては上記4μlの蒸留水の内の1.3μl以上2μl以下、好ましくは1.5μl以上)の液体を、本発明の各請求項に規定されている要件(例えば、第2吸収段階の速度V2等)を満たす範囲でほどよく移動させながら、色材同士の会合や凝集と言う作用をもたらすことに対応する上記第2吸収段階の存在に最大の特徴がある。この第2吸収段階は画像濃度の向上とにじみの抑制作用に優れた効果を発揮する。この段階の最終領域の変曲点に於いては、インク受容層内に最適な色材の定着状態を形成することに相当する作用がもたらされていると思われる。そして、この変曲点に於いて紙支持体への急激な吸収が行われる第3吸収段階が始まることで不要となった溶剤や水分の拡散を行うことができ、実質的な固液分離機能が発揮されているものと思われる。したがって、本発明は、従来のような紙支持体とインク受容層の2層を単に接合したかのような境界面ではなく、インク受容層と紙支持体との境界域に新たなフィルター機能を持った優れた発明であることが明らかである。
いずれにしても、本発明によれば、水系インクをほどよく吸収できる第2吸収段階を備えたことで、水系インク用記録媒体の坪量が130g/m以上300g/m以下の広範囲にわたって、水性染料インク、水性顔料インクのどちらで印字しても、それぞれに対し、にじみを最小化して鮮明な画像が、高濃度でべた均一性に優れたものにできた。また、本発明をマットタイプに適用すれば、更に、深みのある画像を印字することが可能となった。本発明の他の効果は以下の説明から理解できる。
「第1発明について」
前記(1)記載の本発明の第1発明において、第1吸収段階から第3吸収段階における吸収速度は、23℃、50%RHの環境下に24時間置いた水系インク用記録媒体に、Fibro社製ダイナミックアブソープションテスター(DAT)を用いて、23℃、50%RHの環境下で、マイクロシリンジでインク受容層表面に約1cmの高さから4μl(マイクロリットル)の蒸留水(23℃)1滴を滴下し、滴下した液滴の輪郭をビデオカメラで撮影し、撮影した画像を解析することで液滴の体積を求め、体積の経時変化より吸収量及び吸収時間を求めた値である。
体積の計算は、H=高さ、B=液滴の直径として、式、
V(体積)=πH(0.75B+H)÷6
で求めた値である。
また、滴下直後は、液滴の体積変化が大きいので、0.02秒間隔というように測定間隔を短くするとよい。
なお、各社のプリンタ、あるいは同一の会社でもプリンタ毎で、インクの組成がそれぞれ異なるので、本発明の評価においては、標準液として蒸留水(23℃)を採用した。また、最近のプリンタで多く適用されている数pl(ピコリットル)の滴下では、吸収が瞬時であるために十分な評価ができず、またマットタイプの水系インク用記録媒体への写真画像などの印字は、複数色(例えば6色)のインクで、しかもグロスタイプの印字よりも早いスピードで印字されるため、インク量は多くなっている。本発明では、インク受容層表面、インク受容層内部、インク受容層と紙支持体の界面の境界部、紙支持体部での吸収性の評価に4μlの滴下での吸収速度の変化と一致していることを見出し、評価を行った。
吸収速度V1、V2及びV3は、例えば、図2に示すように、時間毎の吸収量をプロットする。その際、傾きが吸収速度となる。吸収速度は、プロットする間隔毎に変化することもあるが、本発明では、吸収速度の大きな変化をそれぞれV1、V2、V3とする。すなわち、V1、V2、V3において、吸収速度は微少の増減することもあってもよい。本発明は、吸収速度の大きな変化を求めることにより、記録時のインク中の色材と溶媒の分離機能性を判断するものである。
図2及び図3に基づいて更に説明すると、従来の水系インク用記録媒体は、J、K、L、Mのような値を示す。何れも0<V2<V1、0<V2<V3の吸収を示すものである。一般にマットタイプの水系インク用記録媒体として市販されている記録媒体Kは、V2の期間が16.6秒と長く、なかなか吸収が進まない動きを示す。また、一般にマットタイプの水系インク用記録媒体として市販されている記録媒体Lは、第1吸収段階での吸収量qaが1.07μlであり、続く第2吸収段階において、1.44μlの吸収量を5秒たらずで行うものである。更に、顔料インク用として市販されている記録媒体Mは、V2の期間が0.6秒と短く、瞬時に吸収が終わるものである。
本発明者等は、顔料インク、染料インクともに優れた記録適性を有する吸収特性について追及したところ、記録媒体の符号A乃至I、記録媒体の符号N乃至Wの吸収特性を示すものが、優れることを見出したのである。特に、0<V2<V1、0<V2<V3を満たす吸収特性を示す記録媒体は好ましい。
第1吸収段階は、滴下直後1秒以内に第1吸収速度(V1)の吸収で、主にインク受容層表面での吸収によるものであり、三段階の中で最も吸収速度が大きいものである。この速度を大きくすることで、インク受容層表面あるいはインク受容層中でのインクの色材と溶媒を分離できる。特に顔料インクの場合、色材と溶媒を早い段階で分離することにより、色材の凝集が促され、高濃度の記録が得られることができる。また、染料インクにしても、染料から溶媒が速やかに分離されるので、にじみを防止できるので好ましい。この段階での吸収速度が他の段階より遅いと、インク受容層表面で、インクのにじみが発生してしまう。
なお、第1吸収段階でのインクの吸収量が多すぎると、第2吸収段階、第3吸収段階での効果に寄与するインクの量が不足し、インク吸収量が少なすぎると、第2吸収段階、第3吸収段階での効果に寄与するインクの量が過剰となるので、第1吸収段階の吸収量qaは1.3μlより多く2.0μlより少ないことが最適である。少ないと、べた画像均一性が低下し、多いと、画像濃度が低下する。
第2吸収段階は、第1吸収段階の後の第2吸収速度(V2)である。インク受容層内部に浸透した液の一部が、紙支持体表面から紙支持体内部に浸透を開始するまでの吸収によるものである。この段階は、2秒間以上有することが最適である。2秒に満たないような場合、インク受容層内あるいは表面でのインクの広がりがないため、広がりが不十分なドットとなり、濃度ムラが発生し、べた画像均一性が低下する。特に、優れたドットの広がりにするためには、この段階でのインク吸収量(qb−qa)が0.3μl以上、第1段階の吸収量以下にすることが好ましい。0.3μl未満であれば、ドットの広がりが不十分であり、第1吸収段階の吸収量を超えると、ドットの広がりよりも、紙支持体への吸収が大きくなるため、濃度ムラが発生しやすくなる傾向にある。
特に、第2吸収速度V2でのインク吸収量(qb−qa)が0.5μl以上であると、良好な効果を得る。第3吸収段階は、紙支持体内部への吸収によるものである。
第1発明は、水系インク用記録媒体の吸収特性を規定するものであり、該水系インク用記録媒体の製造方法は特に限定されるものではない。
図2では、同じインク受容層を形成する塗液を異なる基材に用いて水系インク用記録媒体を製造し、ステキヒトサイズ度が15秒の紙支持体を用いた符号Aを、50秒の紙支持体を用いた符号Bと比較すると、符号A(15秒の紙支持体)の方が第2吸収段階の時間が短くなる。同じ紙支持体に異なるインク受容層用塗液を用いた場合、無定形シリカの平均粒子径は殆ど同じでも、微細な成分の少ないシリカを用いた符号Cと比較すると、微細な成分が含まれているシリカを用いた符号Aを用いた方が、第2吸収段階は短くなる。
通常、インク受容層の吸収速度が速く、紙支持体の吸収速度が遅いことは知られている。更に、ステキヒトサイズ度の値が小さい方が吸収速度が速いことも知られている。おそらく、第1発明の吸収特性は、従来の技術でもあるように無定形シリカを使用することで発生する現象である。本発明は、境界部分は、紙支持体上にインク受容層を形成した際に、紙支持体の表面近傍に有するパルプ−パルプ或いはパルプ−填料により形成される空隙に、接着剤成分の浸透、及び無定形シリカ成分の充填などの作用によって、紙支持体とインク受容層の境界部分に、吸収特性をコントロールする機能が付与されているものと考えられる。接着剤成分の浸透により、第2吸収段階の時間を長くすることができ、無定形シリカを充填することで紙支持体内部への吸収のきっかけとなり、第3吸収段階に移行するものと考えられる。
微細な成分の少ないシリカを用いた符号Cが、微細な成分が含まれているシリカを用いた符号Aより第2吸収段階の時間が長いのは、紙支持体内部への吸収のきっかけが不十分であるためと考えられる。
なお、第1吸収段階の吸収速度は、従来の技術でもあるように無定形シリカを使用することで可能となるが、無定形シリカの含有量をコントロールすることで調整することができる。
第2吸収段階の吸収速度はインク受容層と紙支持体との界面の境界域のバインダー含有量を変えることで調整することができる。具体的には、インク受容層成分(バインダー)を比較的多く含むようにする必要があり、インク受容層中のバインダー比率を多くすることで可能となる。また、乾燥条件を変えることで調整することができる。
第3吸収段階の吸収速度は、紙支持体のステキヒトサイズ度を低くすることで速くなるように調整することができる。
また、紙支持体のステキヒトサイズ度は5以上50秒以下であることが好ましい。
さらに、色材が染料の場合と顔料の場合とで、記録媒体上での発色メカニズムが異なるため、インク受容層のpHを示すpHを、
5<pH≦7
とすることが、染料インクと顔料インク双方で発色性が優れるので好ましい。
特に、紙支持体のpHを示すpHとインク受容層のpHの関係が
1<(pH−pH)<4
を満足すると発色性が優れる傾向にある。
上記条件を満たすことは、紙支持体の製造条件、インク受容層の塗液調製などにより可能である。
インク受容層の厚みは特に限定されないが、25μm以上35μm以下であることが特に好ましい。因みに、インク受容層の厚みが25μm以上の場合、6色以上のインクでカラーバランスを描画するプリンターでのインク吸収量を確保できるので好ましいが、35μmより厚いと染料インクでの記録濃度が低下し、別な観点から見て、塗膜強度が低下する。
なお、マットタイプの水系インク用記録媒体とは、光沢性の低いものであり、市場ではおおよそ75度光沢度値で15%以下のものが主流であるが、本発明はこの光沢度値に限定されるものではない。
「各種材料について」
以上のようなインク吸収特性を有する水系インク用記録媒体は、紙支持体の選択、インク受容層の構成成分の選択、インク受容層の形成方法の選択などを組み合わせることにより製造することができる。
(紙支持体について)
紙支持体の主成分として用いられるパルプとしては、LBKPやNBKP等の化学パルプ、GP、TMPなどの機械パルプ、及び古紙再生パルプが挙げられる。これらを2種以上混合しても良い。この中で、LBKPをパルプ分の主成分として配合することが好ましい。また、ECFパルプ、TCFパルプ等の塩素フリーパルプを用いることが好ましい。叩解度は特に限定されないが、フリーネスが300ml以上500ml以下(CSF:JIS−P−8121)となるように叩解することが好ましい。叩解度を進めると印字した際のコックリングが悪化する傾向にあるが、染色ムラも生じ易い傾向にあり、叩解度が少ないと平滑性が得られない傾向にある。
紙支持体中には、上記パルプのほかに、填料を配合しても良い。填料は紙支持体の透気性を調節し、不透明性を付与したり、インク吸収性を調整する目的で配合する。填料としては、例えばクレー、カオリン、焼成カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、シリカ、酸化チタン等が適宜使用できる。中でも炭酸カルシウムは、白色度が高い紙支持体となるので、好ましい。
填料は、上記全パルプ100質量部に対し1質量部以上35質量部以下有することが好ましい。填料が少ないと白色度が低下するばかりか、インクの吸収性が低下する傾向にあり、多すぎると紙腰(剛度)の低下、紙力が低下する傾向にある。
本発明の水系インク用記録媒体に使用する紙支持体は、ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー、石油樹脂系サイズ剤などの内添サイズ剤、ロジン系、石油樹脂系、酸化澱粉、アセチル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉等の澱粉及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、スチレン、アルキド、ポリアミド、アクリル、オレフィン、マレイン酸、酢酸ビニル等の二つ以上の共重合体からなる合成樹脂系及びこれらの合成樹脂エマルジョン系、ワックス系等の表面サイズ剤などを使用することによってステキヒトサイズ度を調整する。
紙支持体のステキヒトサイズ度はJIS P 8122に準じて測定したものであり、5秒以上50秒以下の範囲が好ましい。このステキヒトサイズ度が5秒未満であると、インク受容層の塗料中の成分が紙支持体中に浸透するか、或いは塗料中のバインダー成分が基材中に浸透することにより塗膜の表面強度が弱くなるためか、本発明のインク受容層を形成しても、染料インク、顔料インクともに発色性が向上するという効果を得ることができない。ステキヒトサイズ度が、50秒を超えると印字部の耐水性が低下する。
抄紙方法としては、特に限定するものではなく、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー型抄紙機など公知の抄紙機を用いて製造することができる。抄紙原料のpHにより酸性紙と中性紙に分けられ、いずれも使用できる。なお、特定のpHを示すことが好ましく、酸性紙を使用することが好ましい。
また、サイズプレス等により、デンプン、ポリビニルアルコールあるいはカチオン樹脂等を表面に塗工・含浸させ、表面の平滑度の調節、強度の改善、印刷、筆記適性を向上させることも可能である。更に、紙支持体の平滑性を高める為に、カレンダーなどで平滑化処理することも可能である。pH調製物質を塗工することにより、pHを調節することもできる。好ましくは、紙支持体の坪量は、130g/m以上300g/m以下である。
(インク受容層)
インク受容層は、無機顔料、接着剤、及びインク色材との反応性物質、例えば、カチオン性インク定着剤等、を少なくとも含有する。
無機顔料としては、例えば、クレー、カオリン、焼成カオリン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、無定形シリカ、酸化チタン等が適宜使用できる。
その中でも、無定形シリカは、他の顔料に比べ、発色性、インク吸収性に優れているので無機顔料として好ましい。無定形シリカの製法は特に限定されるものではなく、電弧法、乾式法、湿式法(沈殿法、ゲル法)のいずれの方法で製造されたものでもよいが、湿式法シリカが、顔料インク用の水系インク用記録媒体、染料インク用の水系インク用記録媒体のいずれにも適しているので好ましい。
無定形シリカの二次粒子の平均粒子径は、本発明の吸収特性を満たす水系インク用記録媒体のインク受容層を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、10μm以下のものが好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。無定形シリカの二次粒子の平均粒子径が10μmを超えると、染料インク用のインクジェット用記録媒体及び顔料インク用の水系インク用記録媒体のいずれの場合も画像の鮮明性の低下や、表面の粗さが目立ち、印字ムラが生じやすいといった問題を生じる傾向にある。平均粒子径が4μm未満であると、これを染料インク用の水系インク用記録媒体に用いた場合、染料インクの吸収性が低下する傾向にある。また、更に細かくなると、インク受容層の光透過性がより高くなるので、染料インクによる記録の耐光性が低下したり、塗膜強度が低下する傾向にある。また、顔料インク用の水系インク用記録媒体に用いた場合でも、顔料インクの定着性が低下する傾向にある。
なお、本発明において、シリカの平均粒子径とは、コールターカウンタ法によるもので、シリカを蒸留水中にて30秒間超音波分散したものを試料として測定される体積平均粒子径を表すものである。
上記のような二次平均粒子径の無定形シリカとしては、ブロード(目安としては、1μm以上9μm以下の範囲)な粒度分布をもち、紙支持体表面のパルプ繊維間に入り込むことが可能な微細粒子径を含んでいることが特に好ましい。通常、形成された水系インク用記録媒体のインク受容層と紙支持体境界部の紙支持体表面は、インク受容層中のバインダーやカチオン樹脂成分が浸透しており、紙支持体表面を部分的にコートしており、また、紙支持体のみの吸収速度はインク受容層に比べて非常に大きい。このような紙支持体では、吸収速度が非常に遅くなり、インク溶媒を紙支持体になかなか吸収することができず、本発明のような吸収速度を示さない場合が多い。形成された水系インク用記録媒体のインク受容層と紙支持体境界部で、紙支持体表面のパルプ繊維間により形成される隙間に微細なシリカが入り込むことで、紙支持体の吸収速度を速くし、紙支持体のインク溶媒の吸収を助ける作用が生じると考えられる。この作用により、着弾されたインク滴の過剰な広がりを抑える効果がある。紙支持体への吸収速度が遅くなると、インク滴が過剰に広がり、記録濃度の低下やにじみが発生しやすい傾向にある。
インク受容層に用いられる接着剤としては、特に限定されるものではなく、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類;ポリビニルアルコール及びその誘導体;カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体;スチレン−ブタジエン樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系樹脂;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の重合体又は共重合体であるアクリル系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂等、一般に記録媒体用として用いられている従来公知の親水性接着剤が挙げられる。これらは1種のみを使用してもよく、2種以上の接着剤を併用してもよい。
これら接着剤の中でも、ポリビニルアルコールは、顔料との接着性が良好であるので好ましい。シラノール変性ポリビニルアルコールやカチオン化ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体も適宜使用できる。
シリカと接着剤の配合割合は、シリカ100質量部に対し、接着剤30質量部以上70質量部以下、好ましくは40質量部以上60質量部以下である。接着剤の量が多いと、浸透速度が低下し、少ないと紙支持体とインク受容層の境界領域の接着剤の量が不足し、吸収特性を調節できなくなり、極端に少ないとインク受容層の層強度が弱くなる傾向にある。
一方、インク受容層に用いられるインク色材との反応性物質としては、特に限定されるものではなく、カチオン性インク定着剤が特に好ましい。カチオン性インク定着剤としては、(1)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、(2)第2級アミノ基、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、(3)ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環アミジン類、(4)ジシアンジアミド−ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン樹脂、(5)ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、(6)ジメチルアミン−エピクロルヒドリン共重合物、(7)ジアリルジメチルアンモニウム−SO共重合物、(8)ジアリルアミン塩−SO共重合物、(9)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、(10)アリルアミン塩の重合物、(11)ビニルベンジルトリアリルアンモニウム塩の単独重合体又は共重合体、(12)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合物、(13)アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物、(14)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウムなどのアルミニウム塩等の一般市販されているものが挙げられ、これらは単独で使用されるか、あるいは複数種類併用される。
これらのカチオン性インク定着剤でも、アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物と、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物を併用することが好ましい。アクリルアミド−ジアリルアミン共重合物と、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物を併用すると、顔料インクで記録した際の発色性、染料インクで記録した際の発色性及び保存性が優れるので好ましい。発色性の向上は、インク中の色材を凝集させることなくインク受容層中に定着させることが出来るためと考えられる。
カチオン性インク定着剤の配合量は、顔料100質量部に対して5質量部以上60質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以上50質量部以下の範囲で調節される。インク定着剤が5質量部未満であると、画像の鮮明性が低下しやすく、60質量部を超えると、塗工後の外観が低下しやすい。
インク受容層には、さらに一般の塗被紙製造において使用される増粘剤、消泡剤、湿潤剤、界面活性剤、着色剤、帯電防止剤、耐光性助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。多孔質層とは、水溶性接着剤を含有していても、無機顔料の粒子表面の細孔、又は、粒子間の隙間や空隙が存在する層である。
インク受容層の塗工量は特に限定されるものではないが、10g/m以上20g/m以下とするのが好ましい。塗工量が上記下限より少ないと、画像の鮮明性が低下しやすく、塗工量が上記上限より多いと、別な観点から見て、塗膜強度や画像の鮮明性が低下しやすい。なお、インク受容層は複数層積層してもよく、その場合、層間でインク受容層組成が異なっていてもよい。
このインク受容層は、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコーター等の各種公知の塗工装置で形成することができる。
インク受容層の乾燥条件は、インク受容層塗工液の濃度などによって調節されるが、乾燥条件によっても、吸収速度の挙動が変動する。できるだけ強い乾燥条件で処理することが好ましいが、過剰の乾燥は発色性が低下する傾向である。
塗工後に、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げ処理を行ってもよいが、このような処理もインク受容層表面の空隙を潰すことになるので、吸収速度が規定する範囲を外れないように調整することが最適である。
「第2発明及至第4発明について」
前記(12)に記載された本発明の第2発明における吸収速度の測定方法は、第1発明と同じである。第2発明では、V1、V2、V3の関係が、0<V2<V3<V1を満足ことが好ましい。
前記第1吸収段階V1での吸収量qaを1.5μl以上で2.0μl以下とする。また、前期第2吸収段階V2の吸収量(qb―qa)を0.3μl以上1.0μl以下と規定する。このような吸収特性を示すことにより、固液分離を促進するとともに、インクの広がりを十分に保つことができるのである。
第2発明における第2段階の吸収は、第2段階で液体の吸収が程よく行われることが重要で、このことは、インクの色材が定着すべき部分への確実な対応を進行及び実行することを意味する。
前記(15)に記載された本発明の第3発明において、 吸収速度の測定方法は、第1発明と同じである。第3発明は、V1、V2、V3の関係が、0<V2<V1、0<V2<V3を満足ことが好ましい。前記第1吸収段階V1での吸収量qaを1.0μl以上2.0μl以下とする。また、第2吸収段階V2の吸収量(qb−qa)を0.3μl以上1.0μl以下と規定する。
このような吸収特性を示すことにより、固液分離を促進するとともに、インクの広がりを十分に保つことができるのである。
第3発明においても第2段階の吸収は、第2段階で液体の吸収が程よく行われることが重要で、このことは、インクの色材が定着すべき部分への確実な対応を進行及び実行することを意味し、数値としては、その期間の吸収量(qb−qa)が0.3μl以上で1.0μl以下の範囲が望まれ、好ましくは、0.5μl以上で1.4μl以下の範囲内である。実用的には、0.3μl(或いは0.5μl)以上で1.0μl以下の範囲が良い。
前記(18)に記載された本発明の第4発明において、吸収速度の測定方法は、第1発明と同じである。第4発明は、第1吸収段階V1での吸収量qaを1.3μl以上2.0μlより少ない吸収量とする。また、第2吸収段階V2の吸収量qbが第1吸収段階の吸収量qaより多く2.5μlより少ない吸収量とする。そして、第2吸収段階の吸収量(qb−qa)を0.3μl以上1.4μl以下と規定する。このような吸収特性を示すことにより、固液分離を促進するとともに、インクの広がりを十分に保つことができるのである。
第4発明においても第2段階の吸収は、第2段階で液体の吸収が程よく行われることが重要で、このことは、インクの色材が定着すべき部分への確実な対応を進行及び実行することを意味し、数値としては、その期間の吸収量(qb−qa)が0.3μl以上で1.4μl以下の範囲であることが望まれ、好ましくは、0.5μl以上で1.4μl以下の範囲内であることが良い。実用的には、0.3μl(或いは0.5μl)以上で1.0μl以下の範囲が良い。
第2発明乃至第4発明では、インクの吸収挙動に着目する発明であり、アニオン色材を含む水系インクを用いることと、無機顔料とインク色材との反応性物質を含有する多孔質層を有する水系インク用記録媒体である以外は特に限定はしない。公知の支持体、無機顔料、カチオン性化合物、バインダーなどが適宜使用できる。多孔質層は、主としてインク受容層としての役割を有する。
また、前記多孔質層のpHは、5より大きく7以下であり、前記多孔質層は、その下層にインク吸収層としてのパルプ層を備え、このパルプ層のpHは前記多孔質層のpHより小さいことが好ましく、紙支持体のステキヒトサイズ度は5秒以上50秒以下が好ましい。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部及び%は特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部及び質量%を示す。
各実施例、比較例で得られた紙支持体のステキヒトサイズ度と水系インク用記録媒体の印字濃度及び印字耐水性を、以下に示す方法で評価した。
なお、評価にあたって、水系インク用記録媒体への印字は、市販の顔料インクのインクジェットプリンタ(CANON社製、商標:ImagePROGRAF W6200、印字モード:厚口コート紙/きれい)、及び市販の染料インクのインクジェットプリンタ(CANON社製、商標:PIXUS ip8600、印字モード:マットフォトペーパー/きれい)で行った。
[ステキヒトサイズ度]
紙支持体のステキヒトサイズ度はJIS P 8122に準じて測定したものである。
[印字濃度]
財団法人日本規格協会発行の画像(「高精細カラーディジタル標準画像XYZ/JIS−SCID」、識別記号:S6、画像名称:カラーチャート)を、ImagePROGRAF W6200(顔料インク使用)及びPIXUS ip8600(染料インク)の2機種で印字し、ブラック及びマゼンタの最高色調部を、GuretagMacbeth社製RD−914にて、印字濃度を測定した。
[にじみ]
ImagePROGRAF W6200、PIXUS ip8600の2機種の印字のブラックとレッドの境界部分の印字のにじみを目視で評価した。
評価基準:
◎:印字のにじみは全く認められず、優れたレベル。
○:印字のにじみはややあるが、実用上問題とならないレベル。
△:印字のにじみがややあり、実用上やや問題となるレベル。
×:印字のにじみが著しく、実用上重大な問題となるレベル。
[画像均一性]
ImagePROGRAF W6200、PIXUS ip8600の2機種のブラックの印字部を目視で観察し、以下の評価基準で評価した。
評価基準:
◎:ベタ均一性優、奥行き感がある画像、品位が高い。
○:ベタ均一性良、品位良好。
△:ベタ均一性やや悪い。
×:悪い。
<実施例1>
[紙支持体I]
焼成カオリン10部を、広葉樹晒クラフトパルプ(フリーネス400ml、CSF:JIS−P−8121)100部に添加し、カチオン澱粉1.0部、ロジン系サイズ剤0.7部、硫酸バンド2.0部添加し、十分に混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて抄紙し、水分を10%まで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉の7%水溶液を両面あたり4g/m塗布、乾燥し、水分5.0%まで乾燥させて坪量190g/m、ステキヒトサイズ度15秒の紙支持体Iを製造した。
[インク受容層用塗工液の作製]
顔料として湿式法シリカ(東ソー・シリカ社製、商品名:ニップジェルAY603)を用いサンドミルで、重量二次粒子径6.6μm、重量平均二次粒子径2μm以下の個数がシリカ全体量の47%となるように処理したシリカ100部と、接着剤としてシリル変性PVA(クラレ社製、商品名:R−1130)35部、PVA(クラレ社製、商品名:PVA135)5部、スチレン−アクリル共重合体樹脂10部と、インク定着剤としてアクリルアミド−ジアリルアミン共重合物(住友化学社製、商品名:SR1001)20部及びジアリルジメチルアンモニウムクロライド(センカ社製、商品名:CP101)10部、及び水を混合分散して塗工液を調製した。
[水系インク用記録媒体の作製]
紙支持体Iの片面にインク受容層塗工液を塗工量が12g/mとなるように塗工、乾燥し、乾燥を開始するまでの時間を5秒として、水系インク用記録媒体を作製し、水系インク用記録媒体の坪量は202g/mであった。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表2に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表1及び図2に符号Aとして示す。
<実施例2>
実施例1の紙支持体Iの外添サイズ剤を、酸化澱粉:PVA:スチレン−アクリル系樹脂=4:0.5:0.5(5%溶液)に変更し、ステキヒトサイズ度を50秒に変更した以外は、実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表2に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表1及び図2に符号Bとして示す。
<実施例3>
実施例1のインク受容層塗工液中の顔料を、湿式法シリカを、重量平均二次粒子径7.0μm、重量平均二次粒子径2μm以下の個数がシリカ全体量の20%となるようにサンドミルを用いて粉砕後、分級して得たシリカに変更した以外は、実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表2に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表1及び図2に符号Cとして示す。
<実施例4>
実施例1の紙支持体Iの坪量を220g/mに変更した以外は、実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。水系インク用記録媒体の坪量は232g/mであった。結果を表1にす。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表2に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表1及び図2に符号Dとして示す。
<実施例5>
実施例1の水系インク用記録媒体作製の乾燥を開始するまでの時間を10秒に変更した以外は実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表2に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表1及び図2に符号Eとして示す。
<実施例6>
実施例1の水系インク用記録媒体作製の乾燥を開始するまでの時間を15秒に変更した以外は実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表2に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表1及び図2に符号Fとして示す。
<実施例7>
実施例1の水系インク用記録媒体作製の乾燥を開始するまでの時間を20秒に変更した以外は実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表2に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表1及び図2に符号Gとして示す。
<実施例8>
実施例1の水系インク用記録媒体作製の乾燥を開始するまでの時間を25秒に変更した以外は実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表2に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表1及び図2に符号Hとして示す。
<実施例9>
実施例1の水系インク用記録媒体作製の乾燥を開始するまでの時間を30秒に変更した以外は実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表2に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表1及び図2に符号Iとして示す。
<比較例1>
[紙支持体II]
軽質炭酸カルシウムとカオリン75:25の比率で混合したものを、広葉樹晒クラフトパルプ(フリーネス400ml、CSF:JIS−P−8121)100部に添加し、カチオン澱粉1.0部、アルケニル無水コハク酸系中性サイズ剤0.04部、硫酸バンド0.5部を添加し、十分に混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて水分を10%まで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉、PVA、スチレン−アクリル系樹脂を5.2:1.3:0.6の比率で混合した7%溶液を両面あたり4g/m塗布、乾燥し、水分5.0%まで乾燥させて坪量190g/mの紙支持体IIを製造した。なお、ステキヒトサイズ度は300秒であった。
[水系インク用記録媒体の作製]
実施例1の紙支持体Iを紙支持体IIに変更した以外は、実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表2に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表1及び図2に符号Jとして示す。
<比較例2>
市販のマットタイプ水系インク用記録媒体(CANON社製、商品名:厚口コート紙)。
この水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表2に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表1及び図2に符号Kとして示す。
<比較例3>
市販のマットタイプ水系インク用記録媒体(EPSON社製、商品名:フォトマット紙/顔料タイプ)。評価結果を表3に示し、図2に符号Lとして示す。
この水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表2に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表1及び図2に符号Lとして示す。
<比較例4>
市販のマットタイプ水系インク用記録媒体(EPSON社製、商品名:PMマット紙)。
この水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表2に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表1及び図2に符号Mとして示す。
Figure 0004722793
Figure 0004722793
実施例、比較例のベタ印字部を観察したところ、顔料インク、染料インクともに、実施例1乃至実施例9及び比較例1は光沢ムラがなく、鮮明であったが、比較例1乃至4は、光沢ムラが発生し、不鮮明な画像であった。また、実施例1乃至9および比較例1乃至4の被記録媒体のインク受容層をカミソリを用いて除去し、紙支持体とインク受容層との境界域のシリカの存在を、SEMを用いて観察したところ、実施例1乃至9は、インク受容層と紙支持体との界面境界域を挟んで、紙支持体側とインク受容層側にシリカ粒子の存在を確認した。
これらの実施例、比較例からわかるように、実施例1乃至9の第2段階の吸収速度V2は、0.12μl/秒以上0.23μl/秒以下であり、第2吸収段階の吸収速度V2が符号J、Kの吸収速度0.01μl/秒よりは早くLの吸収速度0.32μl/秒よりは遅いことが理解できる。また、第1吸収段階の吸収量qaが1.6μl以上の場合は、吸収量が相対的に多いため、第2吸収段階の時間(tb−ta)は、2秒以上あるが、比較的短い時間となっていることがわかる。また、これらの実施例の第2吸収段階の吸収量(qb−qa)は、0.39μl以上0.80μl以下となっており、第1吸収段階の吸収量qaと比べると、半分以下となっている。インク吸収に置き換えて説明すると、比較的大量のインク吸収が第1段階で短時間の間で吸収されるが、その吸収されたインクがにじみを殆ど発生することなく適正な滞留と移動を行い、印字濃度の向上と画像鮮明性を確保できるバランスを確保されていると推定される。このことは、結果の画像を見れば明らかである。更に具体的にこの実施例を見ると、第2吸収段階の時間tbは、滴下直後から2.5秒以上6.1秒以内に収まっており、第2吸収段階の時間(tb−ta)は、2.3秒以上5.8秒以下である。
これまでの実施例は、紙支持体およびインク受容層の総坪量が180g/m以上300g/m以上である、いわゆる厚手紙に対して有効な実施例として開示してある。これに対して、いわゆる、通常の厚みの記録媒体に対して本発明が有効であることを示す実施例を以下に加えて説明する。なお、以下の実施例では、具体的に紙支持体の厚みを薄くした系で実施したが、本発明の技術思想は厚みや坪量に左右されるものではなく、各請求項における構成要件を満足すれば各請求項の効果が得られることは確認済みである。以下代表的な実施例を示す。
[紙支持体III]
紙支持体Iと同様にして、焼成カオリン10部を、広葉樹晒クラフトパルプ(フリーネス400ml、CSF:JIS−P−8121)100部に添加し、カチオン澱粉1.0部、ロジン系サイズ剤0.7部、硫酸バンド2.0部添加し、十分に混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて抄紙し、水分を10%まで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉の7%水溶液を両面あたり4g/m塗布、乾燥し、水分5.0%まで乾燥させて坪量150g/m、ステキヒトサイズ度10秒の紙支持体IIIを製造した。
<実施例10>
実施例1の紙支持体Iを紙支持体IIIに変更した以外は、実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。水系インク用記録媒体の坪量は162g/mであった。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表4に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表3及び図3に符号Nとして示す。
<実施例11>
実施例1の紙支持体Iを紙支持体IIIに変更し、乾燥を開始するまでの時間を10秒に変更した以外は、実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表4に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表3及び図3に符号Oとして示す。
<実施例12>
実施例1の紙支持体Iを紙支持体IIIに変更し、乾燥を開始するまでの時間を3秒に変更した以外は、実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表4に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表3及び図3に符号Pとして示す。
<実施例13>
実施例1の紙支持体Iを紙支持体IIIに変更し、乾燥を開始するまでの時間を3秒に変更し、乾燥を温度を160℃に変更した以外は、実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表4に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表3及び図3に符号Qとして示す。
<実施例14>
実施例1の紙支持体Iを紙支持体IIIに変更し、乾燥を温度を160℃に変更した以外は、実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表4に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表23及び図3に符号Rとして示す。
<実施例15>
[紙支持体IV]
紙支持体Iと同様にして、焼成カオリン10部を、広葉樹晒クラフトパルプ(フリーネス400ml、CSF:JIS−P−8121)100部に添加し、カチオン澱粉1.0部、ロジン系サイズ剤0.7部、硫酸バンド2.0部添加し、十分に混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて抄紙し、水分を10%まで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉の7%水溶液を両面あたり4g/m塗布、乾燥し、水分5.0%まで乾燥させて坪量127g/m、ステキヒトサイズ度9秒の紙支持体IVを製造した。
実施例1の紙支持体Iを紙支持体IVに変更した以外は、実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。水系インク用記録媒体の坪量は139g/mであった。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表4に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表3及び図3に符号Sとして示す。
<実施例16>
実施例1の紙支持体Iを紙支持体IVに変更し、乾燥を開始するまでの時間を10秒に変更した以外は、実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表4に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表3及び図3に符号Tとして示す。
<実施例17>
実施例1の紙支持体Iを紙支持体IVに変更し、乾燥を開始するまでの時間を3秒に変更した以外は、実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表4に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表3及び図3に符号Uとして示す。
<実施例18>
実施例1の紙支持体Iを紙支持体IVに変更し、乾燥を開始するまでの時間を3秒に変更し、乾燥を温度を160℃に変更した以外は、実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表4に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表3及び図3に符号Vとして示す。
<実施例19>
実施例1の紙支持体Iを紙支持体IVに変更し、乾燥を温度を160℃に変更した以外は、実施例1と同様にして水系インク用記録媒体を作製した。
得られた水系インク用記録媒体につき、前記各評価を行った。評価結果を表4に示す。また、記録媒体の各吸収段階における吸収速度、吸収時間、吸収量の関係を表3及び図3に符号Wとして示す。
Figure 0004722793
Figure 0004722793
実施例から分かるように、本発明における第1吸収段階のqa(1.3μl以上)が1.60μlより少ない場合は、相対的に第1吸収段階の吸収量が少ないことになるので、第2吸収段階で吸収量(qb−qa)を比較的に長い時間で緩やかに吸収することで、画像濃度に相当する色材定着を行うことが理解できる。具体的には第3吸収段階の開始時間であるtbの発生が9.5秒以上であり、第2吸収段階の吸収速度V2が0.01μl/秒以上0.12μl/秒より小さいことが良い。N、O、P、Q、R、S、T、U、V、Wに於いては第2吸収段階のtbが9.6秒以上13.5秒以下であり、吸収速度V2が0.05μl/秒以上0.09μl/秒以下となる。この条件は本発明に対してより有効な条件となる。特にこの範囲は坪量が130g/m以上180g/m未満のいわゆる通常の厚みの記録媒体に対して本発明が有効であることを示している。
これらの表1〜表4から分かるように、本発明の実施例に於いては、第2吸収段階の吸収速度V2がJ、Kの吸収速度0.01μl/秒よりは早くLの吸収速度0.32μl/秒よりは遅いことが理解できる。具体的には、表から本発明の実施例のA、B、C、D、E、F、G、H、IはJ、Kの吸収速度に対して12倍から17倍の速さであり、Lの吸収速度に対しては1/2倍程度の遅さであり、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、Wに於いては第2吸収段階の吸収速度がJ、Kの吸収速度に対して5倍から8倍の速さであり、Lに対しては1/6倍から1/4倍程度の遅さである。つまり、我々が言うところの「ほどよい」速さは速度0.05μl/秒以上0.23μl/秒以下となる。この条件は本発明に対してより有効な条件となる。
以上に示すように、インク受容層表面に4μlの蒸留水を滴下した液滴を、滴下直後より1秒以内に第1吸収速度V1(μl/sec)で吸収する第1吸収段階と、前記第1吸収段階の後に第2吸収速度V2(μl/sec)で吸収する少なくとも2秒間以上の第2吸収段階と、前記第2吸収段階の後であって、第3吸収速度V3(μl/sec)で吸収を行う第3吸収段階とにより吸収し、前記第1吸収段階から前記第3吸収段階による液滴の吸収は、式
0<V2<V1
0<V2<V3
の関係を満たすとともに、
前記第1吸収段階から前記第2吸収段階へ移行する変曲点をaとし、前記第2吸収段階から前記第3吸収段階へ移行する変曲点をbとし、前記第3吸収段階の最終点をcとし、各点の吸収量をqa、qb、qcとし、各変曲点又は最終点までの時間をta、tb、tcとしたとき、
前記変曲点aにおける吸収量qaが1.3μl以上で2.0μlより少なく、前記変曲点bにおける吸収量qbが前記第1吸収段階の吸収量qaより多く2.5μlより少なく、そして、前記第2吸収段階による吸収量(qb−qa)が0.3μl以上1.4μl以下であることにより、厚みや坪量に左右されることなく本発明の効果が得られる。
さらに言えば、第2吸収段階が前記液滴の滴下直後より9.5秒以降に発生し、且つ、第3吸収段階の最終点の時間tcが14.5秒以内に発生することにより紙支持体の厚みを薄くした系であっても本発明の効果十分に得られることがわかった。
従来の記録媒体の特性を本発明の判定方法に基づいて測定した説明図である。 本発明の実施例の記録媒体の吸収特性グラフを説明した説明図である。 本発明の他の実施例の記録媒体の吸収特性グラフを説明した説明図である。
符号の説明
A:実施例1で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
B:実施例2で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
C:実施例3で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
D:実施例4で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
E:実施例5で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
F:実施例6で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
G:実施例7で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
H:実施例8で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
I:実施例9で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
J:比較例1で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
K:比較例2で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
L:比較例3で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
M:比較例4で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
N:実施例10で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
O:実施例11で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
P:実施例12で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
Q:実施例13で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
R:実施例14で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
S:実施例15で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
T:実施例16で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
U:実施例17で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
V:実施例18で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度
W:実施例19で得られた水系インク用記録媒体の吸収速度

Claims (3)

  1. 紙支持体と、該紙支持体表面に無定形シリカと接着剤とインク色材との反応性物質を含有したインク受容層とを有する水系インク用記録媒体のインク吸収特性を判定する方法であって
    前記水系インク用記録媒体のインク受容層表面に4μlの蒸留水を滴下した液滴を、滴下直後1秒以内に第1吸収速度V1(μl/sec)で吸収する第1吸収段階と、前記第1吸収段階の後に第2吸収速度V2(μl/sec)で吸収する少なくとも2秒間以上の第2吸収段階と、前記第2吸収段階の後であって、第3吸収速度V3(μl/sec)で吸収を行う第3吸収段階とにより吸収されること、
    前記第2吸収速度V2(μl/sec)が0.01(μl/sec)より大きく、0.32(μl/sec)より小さい速度であること、
    前記第1吸収段階から前記第2吸収段階へ移行する変曲点a、前記第2吸収段階から前記第3吸収段階へ移行する変曲点b及び前記第3吸収段階の最終点cをそれぞれ測定し、
    各点の吸収量をqa、qb、qc、各変曲点又は最終点までの時間をta、tb、tc
    としたとき、
    前記第1吸収段階の吸収量qaが1μl以上で2.0μlより少ないこと、
    前記第2吸収段階の吸収量qbが前記第1吸収段階の吸収量qaより多く2.5μlより少ないこと、
    前記第2吸収段階による吸収量(qb-qa)が0.3μl以上1.4μl以下である
    こと、のそれぞれを判定することを含むことを特徴とする水系インク用記録媒体のインク吸収特性判定方法。
  2. 前記第2吸収速度V2(μl/sec)は、0.05(μl/sec)より大きく、0.23(μl/sec)より小さい速度であることを特徴とする請求項1記載の水系インク用記録媒体のインク吸収特性判定方法。
  3. 前記紙支持体と前記インク受容層の坪量が180g/m 以上300g/m 以下の範囲以内にあって、前記第2吸収速度V2(μl/sec)は、0.12(μl/sec)より大きく、0.23(μl/sec)より小さい速度であることを特徴とする請求項1記載の水系インク用記録媒体のインク吸収特性判定方法。
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