以下、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
先ず、本実施形態に係る蒸発燃料処理制御装置を備えたハイブリッド車両の構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態に係る蒸発燃料処理制御装置を備えたハイブリッド車両の模式図である。
図1において、本実施形態に係る蒸発燃料処理制御装置を備えたハイブリッド車両10は、エンジン100、モータジェネレータ110及びECU200を備えている。
ハイブリッド車両10は、エンジン100と電動機及び発動機として機能するモータジェネレータ110とを走行用の駆動源として搭載した、いわゆるパラレル型のハイブリッド車両として構成されている。エンジン100とモータジェネレータ110とは、図示しない伝達機構を介して互いに接続されている。
エンジン100は、本発明に係る「内燃機関」の一例であり、不図示の4つの気筒を有している。即ち、エンジン100は、いわゆる4気筒エンジンとして構成されている。エンジン100は、各気筒内部のシリンダで混合気を燃焼させると共に、爆発力に応じて生じる内部のピストン運動を回転運動に変換することで車両を駆動可能に構成されている。本実施形態では、エンジン100の燃料として、ガソリン及びエタノールが混合された混合燃料(即ち、エタノール混合ガソリン)が使用され、ガソリン100%であっても燃焼可能であり、エタノールが任意の割合で混合されていても燃焼可能である。
ECU200は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、エンジン100及びモータジェネレータ110の動作を制御すると共に、本発明に係る「蒸発燃料処理制御装置」の一例として機能するように構成された電子制御ユニットである。
図1に示すように、エンジン100の周辺の各種センサからの出力信号はECU200に供給され、ECU200からは各構成要素に対して制御信号が入力される。
具体的には、エンジン100の吸気管130には、スロットル弁131が設けられ、スロットル弁131のスロットル開度がスロットル開度センサ57により検出されてECU200へ供給される。吸気管130には、スロットル弁131の下流側に吸気管内圧力センサ51が設けられており、その出力である吸気管内圧力はECU200に供給される。吸気管内圧力センサ51の下流には吸気温センサ52が設けられており、吸気温センサ52は吸気管130内の吸気温度を検出して対応する電気信号をECU200へ供給する。
エンジン100とスロットル弁131の間で、エンジン100の図示しない吸気弁より少し上流には、各気筒毎にインジェクタ120が設けられている。インジェクタ120は、燃料ポンプ410を介して燃料タンク400に接続されており、各気筒毎に吸気通路内に燃料を噴射する。インジェクタ120からの燃料噴射量はECU200により制御される。
燃料タンク400は、エンジン100の燃焼に供される燃料を貯蔵している。燃料タンク400に貯蔵された燃料は、燃料ポンプ410によってインジェクタ120へ供給される。即ち、燃料ポンプ410は、燃料タンク400から燃料供給経路411を介して燃料を吸い出し、燃料供給経路412を介して、燃料をインジェクタ120へと送り込むことが可能に構成されている。燃料供給経路412の途中には、アルコールセンサ56が設けられている。
アルコールセンサ56は、本発明に係る「アルコール濃度検出手段」の一例であり、燃料供給経路412における燃料のエタノール濃度を検出することが可能である。尚、アルコールセンサ56は、燃料タンク400に設けてもよい。
燃料タンク400は、制御弁323を介してキャニスタ300に接続されており、キャニスタ300はパージ通路312を介して吸気管130のスロットル弁131より下流の位置に接続されている。キャニスタ300は、内部に活性炭からなる吸着剤を備えており、燃料タンク400内で発生する蒸発燃料(即ち、エバポガス)を吸着する。キャニスタ300は、外気を吸入するための外気吸入ポート311を備えている。パージ通路312上には電磁弁であるパージ制御弁322が設けられ、パージ制御弁322の開閉はECU200からの信号により制御される。キャニスタ300には、バッテリ340から電源が供給されるヒータ330が設けられており、キャニスタ300を加熱可能に構成されている。即ち、キャニスタ300、ヒータ330及びバッテリ340は、加熱型キャニスタを構成している。ヒータ330によるキャニスタ300の加熱は、ECU200からの信号により制御される。
燃料タンク400内で発生したエバポガスは所定の圧力に達すると制御弁323を通じてキャニスタ300内に流入し、キャニスタ300内の吸着剤により吸収及び貯蔵される。ECUC200の制御によりパージ制御弁322が開弁されると、吸気管130内の負圧により外気吸入ポート311から外気がキャニスタ300内に導入される。キャニスタ300内の吸着剤に貯蔵されていたエバポガスは、この外気とともにパージ通路312を経由して吸気管130へ導入され、エンジン100の各気筒へ送られる。
エンジン100の本体にはサーミスタなどを利用した水温センサ53が設けられており、水温センサ53はエンジン100内の冷却水温を検出して対応する電気信号をECU200へ供給する。エンジン100にはエンジン回転数センサ54(以下、「NEセンサ」ともいう。)が設けられている。NEセンサ54は、エンジン100の図示しないカムクランク軸近傍に設けられ、クランク軸の所定回転角(本実施形態では、180度)毎に信号パルス(即ち、TDCパルス)を生成してECU200へ供給する。ECU200はNEセンサ54からの信号パルスに基づいてエンジン回転数を算出することができる。
一方、エンジン100の下流の排気管140には、酸素(O2)センサ55が設けられている。酸素センサ55は排気管140内の排気ガス中の酸素濃度を検出し、対応する電気信号をECU200へ供給する。ECU200は、この酸素濃度に基づいて空燃比フィードバック制御を行う。尚、酸素センサ55の代わりに、A/Fセンサを設けてもよい。本明細書では、酸素濃度センサは酸素センサとA/Fセンサを含む概念とする。酸素センサ55の下流において、排気管140には図示しない触媒コンバータが設けられている。
更に、ハイブリッド車両10には、本発明に係る「外気温取得手段」の一例としての外気温センサ59が設けられている。外気温センサ59は、外気温度を検出することが可能である。
モータジェネレータ110は、図示しないインバータを介して図示しないバッテリに接続されており、モータジェネレータ110とバッテリとの間で適宜に電力が授受される。モータジェネレータ110は、バッテリから供給される電気エネルギを機械エネルギに変換することによって、電動機として動作する機能と、機械エネルギを電気エネルギに変換することによって、バッテリに電力を供給する発電機として動作する機能とを有している。
図1において、ECU200は、制御部210、滞留時間特定部220、吸着量推定部230及び第1加熱パージ判定部240を備えている。
制御部210は、後述する第1加熱パージ判定部240によって、加熱パージ処理が必要と判定された場合に、キャニスタ300を加熱するように、ヒータ330を制御可能に構成されている。
滞留時間特定部220は、タイマーを含んで構成されており、燃料が使用されずに燃料タンク400内に滞留した時間(即ち、滞留時間)を特定可能に構成されている。即ち、エンジン100の動作が停止してからの時間(つまり、エバポガスがキャニスタ300内に充満していた時間)を特定可能に構成されている。
吸着量推定部230は、アルコールセンサ56によって検出されたエタノール濃度と外気温センサ59によって検出された外気温度と滞留時間特定部220によって特定された滞留時間とに基づいてキャニスタ300に吸着されたエタノールの吸着量(即ち、エタノール吸着量)を推定可能に構成されている。
第1加熱パージ判定部240は、吸着量推定部230によって推定されたエタノール吸着量に基づいて、ヒータ330によってキャニスタ300を加熱する加熱パージ処理が必要か否か判定することが可能に構成されている。
次に、本実施形態に係る蒸発燃料処理制御装置について、図1に加えて、図2及び図3を参照して説明する。ここに図2は、本実施形態に係る蒸発燃料処理制御装置の動作処理を示すフローチャートである。図3(a)は、エタノール濃度とエタノール吸着量との関係を示すグラフであり、図3(b)は、外気温度とエタノール吸着量との関係を示すグラフであり、図3(c)は、滞留時間とエタノール吸着量との関係を示すグラフである。
図2に示すように、本実施形態では特に、燃料(即ち、エタノール混合ガソリン)のエタノール濃度に応じて、活性炭が吸着剤として収納されたキャニスタ300をヒータ330によって加熱して、キャニスタ300に吸着されたエタノールを強制的に脱離させる加熱パージ処理が行われる。即ち、パージ制御弁322の開閉制御による通常のパージ処理に加えて、燃料のエタノール濃度に応じて、キャニスタ300の温度を上昇させることで、キャニスタ300の吸着剤からのエバポガスの脱離が効率的に促進される。
具体的には、図2において、先ず、燃料供給経路412の途中に設けられたアルコールセンサ56によって、燃料にエタノールが含まれているか否かが判定される(ステップS11)。この際、アルコールセンサ56によって、燃料のエタノール濃度が検出される。燃料にエタノールが含まれていないと判定された場合には(ステップS11:NO)、ECU200は、処理を終了する。一方、燃料にエタノールが含まれていると判定された場合には(ステップS11:YES)、吸着量推定部230によって、アルコールセンサ56によって検出されたエタノール濃度と外気温センサ59によって検出された外気温度と滞留時間特定部220によって特定された滞留時間とに基づいて、キャニスタ300に吸着されたエタノール吸着量が推定される(ステップS12)。この際、推定されたエタノール吸着量は、第1加熱パージ判定部240に出力される。
ここで、図3(a)の曲線C1に示すように、本実施形態において燃料として使用されるエタノール混合ガソリンから蒸発したエバポガスに含まれるエタノールがキャニスタ300に吸着されるエタノール吸着量は、エタノール濃度の増加に従って増加し、エタノール濃度が10〜20%付近で最も多くなると推定される。即ち、エタノール混合ガソリンでは、ガソリンとエタノールとの混合による共沸現象が発生するために、エバポガスの量はエタノール濃度の増加に従って増加し、エタノール濃度が10〜20%付近で最も多くなるという特性を有するので、キャニスタ300に吸着されるエタノール吸着量もエタノール濃度の増加に従って増加し、エタノール濃度が10〜20%付近で最も多くなると推定される。
図3(b)の曲線C2に示すように、エタノール吸着量は、外気温度が高いほど増加すると推定される。即ち、外気温度が高いほど燃料が蒸発しやすいために(即ち、蒸気圧が高いために)、エバポガスの量は外気温度の上昇に従って増加するという特性を有するので、エタノール吸着量も外気温度の上昇に従って増加すると推定される。尚、本実施形態では、外気温センサ59によって検出される外気温度に基づいてエタノール吸着量を推定するように構成したが、燃料タンク400内に貯蔵された燃料の温度を検出可能な温度センサによって検出される燃料温度に基づいてエタノール吸着量を推定するように構成してもよい。この場合にも、エタノール吸着量は、燃料温度の上昇に従って増加すると推定される。
図3(c)の曲線C3に示すように、エタノール吸着量は、滞留時間が長いほど増加すると推定される。即ち、滞留時間が長いほど、エバポガスが発生する時間が長くなるために、エバポガスの量は滞留時間の増加に従って増加するという特性を有するので、エタノール吸着量も滞留時間の増加に従って増加すると推定される。尚、エンジン100が停止中にはパージ処理を行うことができないために、エタノール吸着量が増加する。また、滞留時間の増加に従って、キャニスタ300が破過状態に近づくために、エタノール吸着量も一定量(即ち、キャニスタ300が吸着可能なエバポガスの最大量)に漸近するように増加すると推定される。
図3(a)から図3(c)を参照して上述したような特性に基づいて、推定されるエタノール吸着量は、エタノール濃度、外気温度及び滞留時間に対応づけて、吸着量推定部230の有するメモリ等に予め記憶されている。
図2において、エタノール吸着量の推定に係る処理(ステップS12)に続いて、第1加熱パージ判定部240によって、吸着量推定部230によって推定されたエタノール吸着量に基づいて、加熱パージ処理が必要か否かが判定される(ステップS13)。即ち、第1加熱パージ判定部240は、推定されたエタノール吸着量と、加熱パージ処理が必要であると予想される最低エタノール吸着量(言い換えれば、キャニスタの吸着能力が低下すると予想される最低エタノール吸着量)である基準吸着量とを比較し、推定されたエタノール吸着量が基準吸着量以上である場合には、加熱パージ処理が必要であると判定し、推定されたエタノール吸着量が基準吸着量未満である場合には、加熱パージ処理が必要でないと判定する。ここで、基準吸着量は、キャニスタ容量(即ち、キャニスタ300がエタノールを吸着可能な最大吸着量)に応じた量として設定されている。即ち、キャニスタ容量が大きいほど、基準吸着量は大きく設定され、キャニスタ容量が小さいほど、基準吸着量は小さく設定される。このような基準吸着量は、第1加熱パージ判定部240の有するメモリ等に予め記憶されている。
続いて、第1加熱パージ判定部240によって加熱パージ処理は必要ないと判定された場合には(ステップS13:NO)、制御部210による制御下で、ヒータ330はキャニスタ300を加熱しないように制御された後、ステップS12に係る処理が再び行われる。この際、制御部210によってヒータ330は動作しないように制御されるので、キャニスタ300における不要な温度上昇やヒータ330における無駄な電力消費を招くことを回避できる。一方、第1加熱パージ判定部240によって加熱パージ処理が必要と判定された場合には(ステップS13:YES)、制御部210による制御下で、ヒータ330はキャニスタ300を加熱するように制御される、即ち、加熱パージ処理が実施される(ステップS14)。この際、ヒータ330には、予め定められた所定電流が、予め定められた加熱時間(例えば数分)だけ供給される。尚、加熱パージ処理を、間欠的な加熱パージ処理とし、推定されたエタノール濃度に応じて、間欠的な加熱パージ処理に係る加熱頻度、間欠的な加熱パージ処理に係る加熱時間、間欠的な加熱パージ処理に係る非加熱時間に対する加熱時間或いはその割合、加熱パージに用いられる電力値や電圧値或いは電流値などを変化させてもよい。
よって、キャニスタ300の吸着能力が低下する前に、キャニスタ300の加熱パージ処理を行うことができる。従って、キャニスタ300の吸着能力が低下してしまうことを抑制或いは防止できる。言い換えれば、キャニスタ300に吸着されたエバポガスを、加熱パージ処理によって強制的に脱離させることで、キャニスタ300の性能(或いは、吸着能力)を回復させることができる。これにより、エンジン100の停止中におけるエバポガスを確実にキャニスタ300に吸着させることができる。この結果、エバポガスの大気放出を確実に低減或いは防止できる。
ここで本実施形態では特に、ハイブリッド車両10の走行中に、駆動源がモータジェネレータ110に切り替えられエンジン100が間欠的に停止するために、パージ処理が十分に行えなくなることを低減或いは防止できる。即ち、ハイブリッド車両10においては、エンジン100が間欠的に動作するため、エンジン100の停止している期間(即ち、パージ処理が行えない期間)が長くなるので、仮に何らの対策も施さねば、キャニスタ300のパージ処理を十分に行えないおそれがある。しかるに本実施形態によれば、エタノール濃度に応じた加熱パージ処理が行われるので、エバポガスのキャニスタ300からの脱離を確実に促進できる。よって、ハイブリッド車両10における、エバポガスの大気中への放出を、効果的に低減或いは防止できる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る蒸発燃料処理制御装置について、図4及び図5を参照して説明する。
先ず、本実施形態に係る蒸発燃料処理制御装置を備えたハイブリッド車両の構成について説明する。ここに図4は、第2実施形態における図1と同趣旨の模式図である。尚、図4において、図1に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
図4において、本実施形態に係る蒸発燃料処理制御装置を備えたハイブリッド車両20は、上述したECU200に替えてECU202を備えている点で、上述したハイブリッド車両10と異なる。その他の構成については、ハイブリッド車両10と概ね同様である。
ECU202は、上述したECU200と同様に、図示しないCPU、ROM、RAM等を備え、エンジン100及びモータジェネレータ110の動作を制御すると共に、本発明に係る「蒸発燃料処理制御装置」の一例として機能するように構成された電子制御ユニットである。
ECU202は、上述した制御部210に替えて制御部212を備え、更に第2加熱パージ判定部252を備えている点で、上述したECU200と異なる。その他の構成については、ECU200と概ね同様である。
制御部212は、後述する第2加熱パージ判定部252によって加熱パージ処理が可能と判定された場合に、キャニスタ300を加熱するように、ヒータ330を制御可能に構成されている。
第2加熱パージ判定部252は、エンジン100の運転状態に基づいて、加熱パージ処理が可能か否かを判定することが可能に構成されている。即ち、スロットル開度センサ57によって検出されるスロットル開度、水温センサ53によって検出される冷却水温、NEセンサ54によって検出されるエンジン回転数、吸気温センサ52によって検出される吸気温度、
酸素センサ55によって検出される酸素濃度等のエンジン100の運転状態に基づいて、加熱パージ処理が可能か否かを判定することが可能に構成されている。
次に、本実施形態に係る蒸発燃料処理制御装置について、図4に加えて、図5を参照して説明する。ここに図5は、第2実施形態における図2と同趣旨のフローチャートである。尚、図5において、図2に示した第1実施形態に係る動作処理と同様の動作処理に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
図5において、本実施形態に係る蒸発燃料処理制御装置の動作処理では、ステップS21に係る動作処理が行われる点で、図2を参照して上述した第1実施形態に係る蒸発燃料処理制御装置の動作処理と異なる。その他の動作処理については、第1実施形態に係る蒸発燃料処理制御装置の動作処理と概ね同様である。
加熱パージ処理が必要でないと判定された場合には(ステップS13:NO)、第2加熱パージ判定部252によって、エンジン100の運転状態に基づいて、加熱パージ処理が可能であるか否かが判定される(ステップS21)。即ち、先ず、スロットル開度センサ57によってスロットル開度が検出される。これと前後して或いは同時に、水温センサ53によって冷却水温が検出される。加えて、エンジン回転数、吸気温度及び酸素濃度が、NEセンサ54、吸気温センサ52及び酸素センサ55によってそれぞれ検出される。次に、検出されたスロットル開度、冷却水温、エンジン回転数、吸気温度及び酸素濃度(即ち、エンジン100の運転状態)に基づいて、加熱パージ処理を行った際にキャニスタ300からパージ通路312及び吸気管130を介してエンジン100へ流入することになるエボパガスを、エンジン100によって燃焼可能か否かが判定される。第2加熱パージ判定部252によって加熱パージ処理が可能でないと判定された場合には(ステップS21:NO)、制御部212による制御下で、ヒータ330はキャニスタ300を加熱しないように制御された後、ステップS12に係る処理が再び行われる。この際、制御部212によってヒータ330は動作しないように制御されるので、キャニスタ300における不要な温度上昇やヒータ330における無駄な電力消費を招くことを回避できる。一方、第2加熱パージ判定部252によって加熱パージ処理が可能と判定された場合には(ステップS21:YES)、制御部212による制御下で、ヒータ330はキャニスタ300を加熱するように制御される、即ち、加熱パージ処理が実施される(ステップS14)。よって、本実施形態では、仮に推定されたエタノール吸着量が基準吸着量未満である場合にも、エンジン100によって燃焼可能なエタノールの量が基準吸着量以上であるとき(言い換えれば、燃焼可能なエタノールの量が推定されたエタノール吸着量よりも大きいとき)には、キャニスタ300の加熱パージ処理が行われる。尚、本実施形態では、加熱パージ処理が必要と判定された場合(ステップS13:YES)における加熱パージ処理は、エンジン100の運転状態が推定されたエタノール吸着量分のエタノールを燃焼可能か否かにかかわらず行われる(ステップS14)のに対して、加熱パージ処理が可能と判定された場合(ステップS21:YES)における加熱パージ処理は、エンジン100の運転状態が推定されたエタノール吸着量分のエタノールを燃焼可能なときのみに行われることになる(ステップS14)。
従って、キャニスタ300に吸着したエバポガスを、効率的に脱離させることができる。これにより、キャニスタの吸着能力が低下してしまうことを、より一層確実に抑制或いは防止できる。
本実施形態に係る変形例として、第2加熱パージ判定部252によって加熱パージ処理が可能であると判定された場合(ステップS21:YES)における加熱パージ処理(ステップS14)では、エンジン100の運転状態に応じた頻度で、キャニスタ300が間欠的に加熱されるようにしてもよい。例えば、エバポガスを比較的燃焼しやすいエンジン100の運転状態(例えば、高温且つ高エンジン回転数)に対応して、加熱頻度を高く設定し、エバポガスを比較的燃焼しにくいエンジン100の運転状態(例えば、低温或いは低エンジン回転数)に対応して、加熱頻度は低く設定してもよい。この場合には、エンジン100の運転状態に応じて、キャニスタ300から脱離させるエバポガスの量を調整できるので、より一層効率的にエバポガスの脱離を促進できる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る蒸発燃料処理制御装置について、図6から図8を参照して説明する。
先ず、本実施形態に係るハイブリッド車両の構成について説明する。ここに図6は、第3実施形態における図1と同趣旨の模式図である。尚、図6において、図1に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
図6において、本実施形態に係るハイブリッド車両30は、上述したECU200に替えてECU203を備えている点で、上述したハイブリッド車両10と異なる。その他の構成については、ハイブリッド車両10と概ね同様である。
ECU203は、上述したECU200と同様に、図示しないCPU、ROM、RAM等を備え、エンジン100及びモータジェネレータ110の動作を制御すると共に、本発明に係る「蒸発燃料処理制御装置」の一例として機能するように構成された電子制御ユニットである。
ECU203は、制御部213を備えている。制御部213は、アルコールセンサ56によって検出されたエタノール濃度に応じて、キャニスタ300が燃料のエタノール濃度に対応して予め定められた加熱頻度となるように、ヒータ330を制御可能に構成されている。
次に、本実施形態に係る蒸発燃料処理制御装置について、図6に加えて、図7及び図8を参照して説明する。ここに図7は、第3実施形態における図2と同趣旨のフローチャートである。図8は、本実施形態に係る加熱パージ処理の頻度を示すグラフである。尚、図7において、図2に示した第1実施形態に係る動作処理と同様の動作処理に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
図7において、先ず、上述した第1実施形態と同様に、アルコールセンサ56によって、燃料にエタノールが含まれているか否かが判定される(ステップS11)。この際、アルコールセンサ56によって、燃料のエタノール濃度が検出される。燃料にエタノールが含まれていないと判定された場合には(ステップS11:NO)、ECU203は、処理を終了する。一方、燃料にエタノールが含まれていると判定された場合には(ステップS11:YES)、制御部213によって、エタノール濃度に応じて、キャニスタ300が燃料のエタノール濃度に対応して予め定められた加熱頻度で加熱されるように、ヒータ330が制御される。
具体的には、図8に示すように、制御部213は、燃料のエタノール濃度に対応した加熱頻度でキャニスタ300を間欠的に加熱するように、ヒータ330のオンオフを切り替える。
図8のラインC4は、燃料のエタノール濃度が0%、即ち、燃料にエタノールが含まれておらずガソリンのみからなる場合に対応した、制御部213によるヒータ330のオンオフの切り替え制御を示している。図8のラインC5は、燃料にエタノールが含まれておりエタノール濃度が20%未満である場合に対応した、制御部213によるヒータ330のオンオフの切り替え制御を示している。図8のラインC6は、燃料にエタノールが含まれておりエタノール濃度が20%以上である場合に対応した、制御部213によるヒータ330のオンオフの切り替え制御を示している。
図8のラインC4に示すように、燃料がガソリンのみからなる場合には、制御部213は、ヒータ330を継続してオフ状態のままとなる(即ち、キャニスタ300を加熱しない)ように制御する。
図8のラインC5及びC6にそれぞれ示すように、燃料にエタノールが含まれている場合には、制御部213は、ヒータ330が所定間隔毎にオン状態となる(即ち、キャニスタ300を間欠的に加熱する)ように制御する。
本実施形態では特に、制御部213は、エタノール濃度が20%未満である場合(ラインC5参照)には、エタノール濃度が20%以上である場合(ラインC6参照)と比較して、所定間隔(即ち、ヒータ330がオフ状態とされている期間)を短くなるように制御する。即ち、制御部213は、エタノール濃度が20%未満である場合には、エタノール濃度が20%以上である場合と比較して、間欠的な加熱パージ処理に係る加熱頻度が大きくなるように、ヒータ330を制御する。言い換えれば、燃料として使用されるエタノール混合ガソリンにおいて共沸現象が発生し得るエタノール濃度の10〜20%付近に対応して、加熱頻度が高く設定され、エタノール濃度の10〜20%付近を除く範囲に対応して、加熱頻度は低く設定されている。よって、エバポガスのキャニスタ300からの脱離を効率的に促進できる。更に、キャニスタ300に吸着剤として収納された活性炭に吸着されやすく脱離しにくいという性質を有するエタノールを確実に脱離させることができる。従って、キャニスタ300の吸着能力が低下してしまうことを抑制或いは防止でき、エンジン100の停止中におけるエバポガスを確実にキャニスタ300に吸着させることができる。これにより、エバポガスの大気中への放出を確実に低減或いは防止できる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う蒸発燃料処理制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…ハイブリッド車両、51…吸気管内圧力センサ、52…吸気温センサ、53…水温センサ、54…エンジン回転数センサ、55…酸素センサ、56…アルコールセンサ、57…スロットル開度センサ、59…外気温センサ、100…エンジン、120…インジェクタ、130…吸気管、131…スロットル弁、140…排気管、200…ECU、210…制御部、220…滞留時間特定部、230…吸着量推定部、240…第1加熱パージ判定部、300…キャニスタ、311…外気吸入ポート、312…パージ通路、322…パージ制御弁、330…ヒータ、340…バッテリ、400…燃料タンク、410…燃料ポンプ、411、412…燃料供給経路