JP2002347338A - インクジェット記録方法、並びに、それに用いるインクジェト記録用インクセット - Google Patents

インクジェット記録方法、並びに、それに用いるインクジェト記録用インクセット

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JP2002347338A
JP2002347338A JP2001278838A JP2001278838A JP2002347338A JP 2002347338 A JP2002347338 A JP 2002347338A JP 2001278838 A JP2001278838 A JP 2001278838A JP 2001278838 A JP2001278838 A JP 2001278838A JP 2002347338 A JP2002347338 A JP 2002347338A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、分散安定性、吐出安定性に優れ、
普通紙や再生紙に対しても滲みがなく、高い印刷濃度を
有する発色性に優れた高品位の画像を得ることのでき
る、インクジェット記録用インクセットならびにインク
ジェット記録方法の提供をその目的としている。 【解決手段】 アニオン性基を有する重合体で色材を包
含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも
含んでなるインク組成物と、カチオン性基を有する重合
体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水と
を少なくとも含んでなるインク組成物とを記録媒体上で
接触させて凝集体を形成する工程を含んでなるインクジ
ェット記録方法によって、普通紙や再生紙等の記録媒体
に対して、滲みやカラーブリード等がなく、高い印刷濃
度を有する発色性に優れた高品位の画像を得ることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方法、並びに、それに用いるインクジェト記録用イン
クセットに関する。詳しくは普通紙、再生紙、コート紙
等のインクジェット記録用専用紙等の記録媒体に対して
高品質の印刷画像が得られ、且つ保存安定性に優れるイ
ンクジェット記録方法、並びに、それに用いるインクジ
ェト記録用インクセットに関する。特に、本発明は、普
通紙、再生紙、印刷用紙、和紙、画用紙、ケント紙等の
多孔質記録媒体のみならず、コート紙等のインクジェッ
ト記録用専用紙等の記録媒体に対しても優れた定着性を
有する高品質の印刷画像が得られるインクジェット記録
方法、並びに、それに用いるインクジェト記録用インク
セットに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、微細なノズルか
らインクの小液滴を吐出し飛翔させて、紙等の記録媒体
表面に付着させて、文字や図形を形成する印刷方法であ
る。このようなインクジェット記録方式としては、電歪
素子を用いて電気信号を機械信号に変換し、ノズルヘッ
ド部分に貯えたインクを断続的に吐出して被記録体表面
に文字や記号を記録する方法、ノズルヘッド部分に貯え
たインクを吐出部分に極近い一部を急速に加熱して泡を
発生させ、その泡による体積膨張で断続的に吐出して、
被記録体表面に文字や記号を記録する方法などが実用化
されている。
【0003】このようなインクジェット記録に用いられ
るインクには種々の特性が要求される。例えば、被記録
体である紙への印字において、にじみがないこと、乾燥
性がよいこと、様々な被記録体表面に均一に印字できる
こと、カラー印字等の多色系の印字において隣り合った
色が混じり合わないことなどが要求される。
【0004】インクジェット用記録インクとしては、一
般には各種の水溶性染料を水性媒体に溶解させたものが
使用されている。また、顔料を水性媒体に分散させたイ
ンクが提供されている。顔料を水性媒体に分散させたイ
ンクは、水溶性染料を用いたインクに比べて耐水性や耐
光性に優れるという特徴を有する。
【0005】その一方で、顔料は、水性インク組成物に
用いる場合、分散性安定性が問題となる。この場合、顔
料を水性媒体に安定に分散させるために一般的に高分子
分散剤や界面活性剤等が分散剤として用いられる。さら
に、吐出安定性、分散安定性、印刷濃度、発色性等を高
めることを目的に、表面に何らかの処理を施した顔料を
用いたインクの提案もなされている。例えば特開平8−
319444号公報では顔料粒子の表面を酸化処理した
ものが、特公平7−94634号公報、特開平8−59
715号公報では顔料微粒子をカプセル化したものが、
特開平5−339516号公報、特開平8−30222
7号公報、特開平8−302228号公報、特開平8−
81647号公報では、顔料粒子の表面に、ポリマーを
グラフト重合したものがそれぞれ提案されている。
【0006】また、上記の提案のほかに、記録媒体にお
ける顔料の定着性向上のために、例えば、特開平8−2
18015号公報では転相乳化法によって室温で皮膜形
成性を有する樹脂を被覆した顔料を用いたインクが、特
開平9−31360号公報では酸析法によってアニオン
性基含有有機高分子化合物で被覆した顔料を用いたイン
クが、特開平9−286939号公報では転相乳化法に
よってポリマー微粒子に色材を含浸させてなるポリマー
エマルジョンを用いたインクが、それぞれ提案されてい
る。
【0007】また、従来の顔料を用いたインクの多くは
主に浸透性を抑えることで、紙表面近くに色材である顔
料を留めて印字品質を確保することが行われてきた。し
かしながら、この種のインクは、紙種の違いによるにじ
みの差が大きく、あらゆる紙種に対しての適応性が低い
という課題があった。また、印刷した箇所の乾燥に時間
がかかり、特にカラー印刷等の多色系の印刷においては
隣り合った色が混色してしまうという問題もあった。
【0008】このような課題を解決する手段として、イ
ンクの紙への浸透性を向上させるために、浸透剤の添加
が提案されている。例えば、特開昭56−147861
にはトリエチレングリコールモノメチルエーテルを用い
た例が、特開平9−111165にはエチレングリコー
ル、ジエチレングリコールあるいはトリエチレングリコ
ールのエーテル類を用いた例が提案されている。また、
米国特第5156675号にはジエチレングリコールモ
ノブチルエーテルの添加が、米国特許第5183502
号にはアセチレングリコール系の界面活性剤であるサー
フィノール465(日信化学製)の添加が、米国特許第5
196056号にはジエチレングリコールモノブチルエ
ーテルとサーフィノール465の併用が提案されてい
る。さらに、米国特許第2083372号にはジエチレ
ングリコールのエーテル類をインクに用いることが提案
されている。
【0009】従来から、顔料を用いたインクは、界面活
性剤や高分子分散剤等の分散剤を用いて顔料を水性媒体
中に分散させることで製造されているが、この場合に
は、顔料の分散安定性を確保しながら上記のような浸透
剤を用いてインクの浸透性を向上させることは容易では
なかった。
【0010】また、界面活性剤や高分子分散剤等の分散
剤を用いて顔料を分散した場合は、顔料表面に分散剤が
単に吸着しているだけであるため、前記の浸透剤などを
用いて浸透性を向上しようとした場合においては、イン
クが細いノズルを通って吐出される際の強い剪断力によ
って顔料に吸着していた分散剤が離脱してしまい、その
ため、分散性が劣化して吐出が不安定となることがあ
る。また、このようなインクを長期間保存した場合には
顔料の分散性が不安定となる傾向も見受けられることも
ある。この対策として、分散剤の添加量を増加する方法
が考えられるが、この場合には、分散剤は顔料表面に吸
着されずにインク中に溶解する確率が高まり、普通紙や
再生紙に印字した際の滲みの発生やノズルの周囲へのイ
ンクの濡れによって吐出の不安定要因となりやすい。さ
らに、界面活性剤や高分子分散剤等の分散剤を用いて分
散した顔料を用いたインクでは、普通紙や再生紙等に印
字した際に、着色成分である顔料が記録媒体表面の紙繊
維表面上に残りにくい傾向があるため、印刷濃度が得ら
れず、発色も良くない傾向にある。また、一般に、初期
から顔料表面に吸着されないで液中に溶解している分散
剤やその後の環境下で顔料から脱離した分散剤は、イン
クの粘度を高める傾向にあるため、インクの粘度をイン
クジェット用に適する範囲(1〜10mPa・sの範
囲)に調整するためには顔料の含有量を制限せざるを得
ない。そのため、普通紙や再生紙において十分な印刷濃
度が得られず、良好な発色も得ることができないため
に、高品位の印刷画質を実現することが難しい。また、
インクをヘッドに充填した状態で長期保存した場合に、
分散安定性が劣化して、インクがプリンタのノズルから
吐出し難くなる場合も見受けられる場合もある。
【0011】一方、インクジェット記録方法として、例
えば、特開平5−202328号公報等には、多価金属
塩溶液を記録媒体に適用した後に、少なくともひとつの
カルボキシル基を有する染料を含むインク組成物を適用
する方法が提案されている。例えば、特開平6−106
735号公報等には、この方法においては、多価金属イ
オンと染料から不溶性複合体が形成される。この複合体
の存在により、耐水性があり、かつ、カラーブリードの
ない高品位の画像を得ることができるとされている。ま
た、1分子あたり2個以上のカチオン性基を有する有機
化合物を含有する液体組成物を記録媒体上に付着させた
後、アニオン性染料を含有したインクで記録する方法が
特開昭63−299971号公報に開示されている。
【0012】また、特開平7−145336号公報に
は、顔料をカチオン性のABブロックポリマーで分散し
た顔料インクと顔料をアニオン性のABブロックポリマ
ーで分散した顔料インクとを接触させてブリードを低減
する提案がされている。特開平8−80665号公報、
特開平9−20070号公報、特開平9−25442号
公報には、黒色インクとカラーインクに用いられている
高分子分散剤に互いに異なる極性のものを用いて黒色イ
ンクとカラーインクを接触させる方法が開示され、フェ
ザリングの発生の抑制や隣接する異色間の境界滲みの低
減と良好な発色性が得られるとある。特開平10−18
3046号公報には、カチオン性基をカーボンブラック
表面に有する自己分散型の表面処理顔料を用いたブラッ
クインクと、アニオン性染料のようなアニオン性物質を
含むカラーインクとを組み合わせる方法が提案され、色
間にじみがない良好なカラー画像が実現できるとある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、普通紙や再
生紙のみならず、コート紙等の記録媒体に対して、滲み
やカラーブリード等がなく高い印刷濃度を有する発色性
に優れた、さらには、定着性にも優れた、高品位の画像
を得ることができ、しかも分散安定性、吐出安定性、保
存安定性に優れるインクジェット記録方法、並びに、そ
れに用いるインクジェット記録用インクセットの提供を
その目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、アニオン性
基を有する重合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有
機溶媒と、水とを少なくとも含んでなる第1のインク組
成物と、カチオン性基を有する重合体で色材を包含した
着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含んで
なる第2のインク組成物とを、記録媒体上で接触させて
凝集体を形成する工程を含んでなるインクジェット記録
方法によって、普通紙や再生紙等の記録媒体に対して、
滲みやカラーブリード等がなく、高い印刷濃度を有する
発色性に優れた高品位の画像を得ることができる、との
知見を得た。また、前記第1のインク組成物の着色剤で
用いる“アニオン性基を有する重合体”が“さらに架橋
構造を有する重合体”であり、および/または、前記第
2のインク組成物の着色剤で用いる“カチオン性基を有
する重合体”が“さらに架橋構造を有する重合体”であ
るインクジェット記録方法によっても、普通紙や再生紙
等の記録媒体に対して、滲みやカラーブリード等がな
く、高い印刷濃度を有する発色性に優れた高品位の画像
を得ることができる、との知見を得た。
【0015】また、本発明者は、前記第1のインク組成
物に“アニオン性ポリマー微粒子”を、および/また
は、前記第2のインク組成物に“カチオン性ポリマー微
粒子”を、さらに添加することにより、普通紙や再生紙
のみならず、コート紙等の全ての記録媒体に対して、滲
みやカラーブリード等がなく、高い印刷濃度を有する発
色性に優れた高品位で、定着性および耐擦過性にも優れ
た画像を得ることができる、との知見を得た。
【0016】本発明は、これらの知見に基づいてなされ
たものである。
【0017】
【発明の実施の形態】<本発明のインクジェット記録方
法に係る実施態様>本発明の第1の実施態様による記録
方法は、アニオン性基を有する重合体で色材を包含した
着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含んで
なる第1のインク組成物と、カチオン性基を有する重合
体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水と
を少なくとも含んでなる第2のインク組成物とを、記録
媒体上で接触させて凝集体を形成する工程を含んでなる
ものである。この第1の実施態様による記録方法によれ
ば、普通紙や再生紙等の記録媒体に対して、滲みやカラ
ーブリード等がなく、高い印刷濃度を有する発色性に優
れた高品位の画像を得ることができる。
【0018】本発明の第2の実施態様による記録方法
は、前記第1のインク組成物にさらにアニオン性ポリマ
ー微粒子を含んでなるものである。即ち、アニオン性基
を有する重合体で色材を包含した着色剤と、アニオン性
ポリマー微粒子と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくと
も含んでなる第1のインク組成物と、カチオン性基を有
する重合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒
と、水とを少なくとも含んでなる第2のインク組成物と
を記録媒体上で接触させて凝集体を形成する工程を含ん
でなるものである。この第2の実施態様による記録方法
によれば、普通紙や再生紙のみならず、コート紙等の全
ての記録媒体に対して、滲みやカラーブリード等がな
く、高い印刷濃度を有する発色性に優れた高品位で、定
着性および耐擦過性にも優れた画像を得ることができ
る。上記本発明の第2の実施態様による記録方法では、
第1のインク組成物に“アニオン性ポリマー微粒子”を
添加しているが、これにかえて、第2のインク組成物に
“カチオン性ポリマー微粒子”を添加することによって
も、また、上記第1,第2のインク組成物の両者に“ア
ニオン性ポリマー微粒子,カチオン性ポリマー微粒子”
を添加することによっても、同様の効果が得られる。
(但し、後者の場合、着色剤と同一のイオン性を有する
ポリマー微粒子を添加する。)
【0019】本発明の第3の実施態様による記録方法
は、前記第1のインク組成物の着色剤で用いる“アニオ
ン性基を有する重合体”が“さらに架橋構造を有する重
合体(アニオン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重
合体)”であり、前記第2のインク組成物の着色剤で用
いる“カチオン性基を有する重合体”が“さらに架橋構
造を有する重合体(カチオン性基を有し、且つ、架橋構
造を有する重合体)”であるインクジェット記録方法で
ある。即ち、アニオン性基を有し、且つ、架橋構造を有
する重合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒
と、水とを少なくとも含んでなる第1のインク組成物
と、カチオン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合
体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水と
を少なくとも含んでなる第2のインク組成物とを記録媒
体上で接触させて凝集体を形成する工程を含んでなるも
のである。この第3の実施態様による記録方法によれ
ば、普通紙や再生紙等の記録媒体に対して、滲みやカラ
ーブリード等がなく、高い印刷濃度を有する発色性に優
れた高品位の画像を得ることができる。また、着色剤の
界面活性剤、グリコールエーテル類等の浸透剤に対する
耐性が向上することによって、保存安定性に優れたイン
ク組成物を得ることができるとともに、良好な速乾性を
得ることができる。
【0020】上記本発明の第3の実施形態による記録方
法では、両インク組成物とも“架橋構造を有する重合体
で色材を包含した着色剤”を含むものであるが、別の態
様として、一方のインク組成物に“アニオン性基ないし
カチオン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合体で
色材を包含した着色剤”を含み、他方のインク組成物に
“アニオン性基ないしカチオン性基を有する重合体で色
材を包含した着色剤”を含むとすることもでき、これに
よっても、上記と同様の効果を有する。
【0021】本発明の第4の実施態様による記録方法
は、前記第3の実施態様による記録方法において、第1
のインク組成物にさらにアニオン性ポリマー微粒子を含
んでなるものである。即ち、アニオン性基を有し、且
つ、架橋構造を有する重合体で色材を包含した着色剤
と、アニオン性ポリマー微粒子と、水溶性有機溶媒と、
水とを少なくとも含んでなるインク組成物と、カチオン
性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材を包
含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも
含んでなるインク組成物とを、記録媒体上で接触させて
凝集体を形成する工程を含んでなるものである。この第
4の実施態様による記録方法によれば、普通紙や再生紙
のみならず、コート紙等の全ての記録媒体に対して、滲
みやカラーブリード等がなく、高い印刷濃度を有する発
色性に優れた高品位で、定着性および耐擦過性にも優れ
た画像を得ることができる。また、着色剤の界面活性
剤、グリコールエーテル類等の浸透剤に対する耐性が向
上することによって、保存安定性に優れたインク組成物
を得ることができるとともに、良好な速乾性をも得るこ
とができる。上記本発明の第4の実施態様による記録方
法では、第1のインク組成物に“アニオン性ポリマー微
粒子”を添加しているが、これにかえて、第2のインク
組成物に“カチオン性ポリマー微粒子”を添加すること
によっても、また、上記第1,第2のインク組成物の両
者に“アニオン性ポリマー微粒子,カチオン性ポリマー
微粒子”を添加することによっても、同様の効果が得ら
れる。(但し、後者の場合、着色剤と同一のイオン性を
有するポリマー微粒子を添加する。)
【0022】上記本発明の第4の実施態様による記録方
法では、両インク組成物とも“架橋構造を有する重合体
で色材を包含した着色剤”を含むものであるが、別の態
様として、一方のインク組成物に“アニオン性基ないし
カチオン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合体で
色材を包含した着色剤”を含み、他方のインク組成物に
“アニオン性基ないしカチオン性基を有する重合体で色
材を包含した着色剤”を含むとすることもでき、これに
よっても、上記と同様の効果を有する。
【0023】<本発明のインクジェット記録用インクセ
ットに係る実施態様>一方、本発明の第1の実施態様に
よるインクセットは、アニオン性基を有する重合体で色
材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少な
くとも含んでなるカラーインク組成物と、カチオン性基
を有する重合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機
溶媒と、水とを少なくとも含んでなるブラックインク組
成物とからなる。
【0024】本発明の第2の実施態様によるインクセッ
トは、前記カラーインク組成物にさらにアニオン性ポリ
マー微粒子を含んでなるものである。即ち、アニオン性
基を有する重合体で色材を包含した着色剤と、アニオン
性ポリマー微粒子と、水溶性有機溶媒と、水とを少なく
とも含んでなるカラーインク組成物と、カチオン性基を
有する重合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶
媒と、水とを少なくとも含んでなるブラックインク組成
物とからなる。上記第2の実施態様によるインクセット
では、カラーインク組成物に“アニオン性ポリマー微粒
子”を添加しているが、これにかえて、ブラックインク
組成物に“カチオン性ポリマー微粒子”を添加すること
ができ、また、上記カラーインク組成物,ブラックイン
ク組成物の両者に“アニオン性ポリマー微粒子,カチオ
ン性ポリマー微粒子”を添加することができる。(但
し、後者の場合、着色剤と同一のイオン性を有するポリ
マー微粒子を添加する。)
【0025】本発明の第3の実施態様によるインクセッ
トは、前記カラーインク組成物の着色剤で用いる“アニ
オン性基を有する重合体”が“さらに架橋構造を有する
重合体(アニオン性基を有し、且つ、架橋構造を有する
重合体)”であり、前記ブラックインク組成物の着色剤
で用いる“カチオン性基を有する重合体”が“さらに架
橋構造を有する重合体(カチオン性基を有し、且つ、架
橋構造を有する重合体)”であるインクセットである。
即ち、アニオン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重
合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水
とを少なくとも含んでなるカラーインク組成物と、カチ
オン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材
を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なく
とも含んでなるブラックインク組成物とからなるもので
ある。
【0026】本発明の第4の実施態様によるインクセッ
トは、前記第3の実施態様によるインクセットにおい
て、カラーインク組成物にさらにアニオン性ポリマー微
粒子を含んでなるものである。即ち、アニオン性基を有
し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材を包含した着
色剤と、アニオン性ポリマー微粒子と、水溶性有機溶媒
と、水とを少なくとも含んでなるカラーインク組成物
と、カチオン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合
体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水と
を少なくとも含んでなるブラックインク組成物とからな
る。このインクセットでは、カラーインク組成物に“ア
ニオン性ポリマー微粒子”を添加しているが、これにか
えて、ブラックインク組成物に“カチオン性ポリマー微
粒子”を添加することができ、また、上記カラーインク
組成物,ブラックインク組成物の両者に“アニオン性ポ
リマー微粒子,カチオン性ポリマー微粒子”を添加する
ことができる。(但し、後者の場合、着色剤と同一のイ
オン性を有するポリマー微粒子を添加する。)
【0027】本発明の第5の実施態様によるインクセッ
トは、アニオン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重
合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水
とを少なくとも含んでなるカラーインク組成物と、カチ
オン性基を有する重合体で色材を包含した着色剤と、水
溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含んでなるブラック
インク組成物とからなる。
【0028】本発明の第6の実施態様によるインクセッ
トは、上記第5の実施態様によるインクセットにおい
て、カラーインク組成物にさらにアニオン性ポリマー微
粒子を含んでなるものである。即ち、アニオン性基を有
し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材を包含した着
色剤と、アニオン性ポリマー微粒子と、水溶性有機溶媒
と、水とを少なくとも含んでなるカラーインク組成物
と、カチオン性基を有する重合体で色材を包含した着色
剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含んでなる
ブラックインク組成物とからなる。このインクセットで
は、カラーインク組成物に“アニオン性ポリマー微粒
子”を添加しているが、これにかえて、ブラックインク
組成物に“カチオン性ポリマー微粒子”を添加すること
ができ、また、上記カラーインク組成物,ブラックイン
ク組成物の両者に“アニオン性ポリマー微粒子,カチオ
ン性ポリマー微粒子”を添加することができる。(但
し、後者の場合、着色剤と同一のイオン性を有するポリ
マー微粒子を添加する。)上記本発明の第6の実施態様
によるインクセットでは、カラーインク組成物は“アニ
オン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材
を包含した着色剤”を含み、ブラックインク組成物は
“カチオン性基を有する重合体で色材を包含した着色
剤”を含むものであるが、別の態様として、カラーイン
ク組成物に“アニオン性基を有する重合体で色材を包含
した着色剤”を含み、ブラックインク組成物に“カチオ
ン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材を
包含した着色剤”を含むインクセットとすることもでき
る。また、このインクセットにおいて、上記したよう
に、“カラーインク組成物および/またはブラックイン
ク組成物”に、“アニオン性ポリマー微粒子および/ま
たはカチオン性ポリマー微粒子”を添加することもでき
る。
【0029】本発明の第7の実施態様によるインクセッ
トは、カチオン性基を有する重合体で色材を包含した着
色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを、少なくとも含んで
なるカラーインク組成物と、アニオン性基を有する重合
体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水と
を、少なくとも含んでなるブラックインク組成物とから
なる。
【0030】本発明の第8の実施態様によるインクセッ
トは、上記第7の実施態様によるインクセットにおい
て、カラーインク組成物にさらにカチオン性ポリマー微
粒子を含んでなるものである。即ち、カチオン性基を有
する重合体で色材を包含した着色剤と、カチオン性ポリ
マー微粒子と、水溶性有機溶媒と、水とを、少なくとも
含んでなるカラーインク組成物と、アニオン性基を有す
る重合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒
と、水とを、少なくとも含んでなるブラックインク組成
物とからなる。このインクセットでは、このインクセッ
トでは、カラーインク組成物に“カチオン性ポリマー微
粒子”を添加しているが、これにかえて、ブラックイン
ク組成物に“アニオン性ポリマー微粒子”を添加するこ
とができ、また、上記カラーインク組成物,ブラックイ
ンク組成物の両者に“カチオン性ポリマー微粒子,アニ
オン性ポリマー微粒子”を添加することができる。(但
し、後者の場合、着色剤と同一のイオン性を有するポリ
マー微粒子を添加する。)
【0031】本発明の第9の実施態様によるインクセッ
トは、カチオン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重
合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水
とを少なくとも含んでなるカラーインク組成物と、アニ
オン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材
を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なく
とも含んでなるブラックインク組成物とからなるもので
ある。
【0032】本発明の第10の実施態様によるインクセ
ットは、上記第9の実施態様によるインクセットにおい
て、カラーインク組成物にさらにカチオン性ポリマー微
粒子を含んでなるものである。即ち、カチオン性基を有
し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材を包含した着
色剤と、カチオン性ポリマー微粒子と、水溶性有機溶媒
と、水とを少なくとも含んでなるカラーインク組成物
と、アニオン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合
体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水と
を少なくとも含んでなるブラックインク組成物とからな
る。上記本発明の第10の実施態様によるインクセット
では、カラーインク組成物に“カチオン性ポリマー微粒
子”を添加しているが、これにかえて、ブラックインク
組成物に“アニオン性ポリマー微粒子”を添加すること
ができ、また、上記カラーインク組成物,ブラックイン
ク組成物の両者に“カチオン性ポリマー微粒子,アニオ
ン性ポリマー微粒子”を添加することができる。(但
し、後者の場合、着色剤と同一のイオン性を有するポリ
マー微粒子を添加する。)
【0033】本発明の第11の実施態様によるインクセ
ットは、カチオン性基を有し、且つ、架橋構造を有する
重合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、
水とを少なくとも含んでなるカラーインク組成物と、ア
ニオン性基を有する重合体で色材を包含した着色剤と、
水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含んでなるブラッ
クインク組成物とからなる。
【0034】本発明の第12の実施態様によるインクセ
ットは、上記第11の実施態様によるインクセットにお
いて、カラーインク組成物にさらにカチオン性ポリマー
微粒子を含んでなるものである。即ち、カチオン性基を
有し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材を包含した
着色剤と、カチオン性ポリマー微粒子と、水溶性有機溶
媒と、水とを少なくとも含んでなるカラーインク組成物
と、アニオン性基を有する重合体で色材を包含した着色
剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含んでなる
ブラックインク組成物とからなるものである。上記本発
明の第12の実施態様によるインクセットでは、カラー
インク組成物に“カチオン性ポリマー微粒子”を添加し
ているが、これにかえて、ブラックインク組成物に“ア
ニオン性ポリマー微粒子”を添加することができ、ま
た、上記カラーインク組成物,ブラックインク組成物の
両者に“カチオン性ポリマー微粒子,アニオン性ポリマ
ー微粒子”を添加することができる。(但し、後者の場
合、着色剤と同一のイオン性を有するポリマー微粒子を
添加する。) 上記本発明の第12の実施態様によるインクセットで
は、カラーインク組成物は“カチオン性基を有し、且
つ、架橋構造を有する重合体で色材を包含した着色剤”
を含み、ブラックインク組成物は“アニオン性基を有す
る重合体で色材を包含した着色剤”を含むものである
が、別の態様として、カラーインク組成物に“カチオン
性基を有する重合体で色材を包含した着色剤”を含み、
ブラックインク組成物に“アニオン性基を有し、且つ、
架橋構造を有する重合体で色材を包含した着色剤”を含
むインクセットとすることもできる。また、このインク
セットにおいて、上記したように、カラーインク組成物
および/またはブラックインク組成物に、“カチオン性
ポリマー微粒子および/またはアニオン性ポリマー微粒
子”を添加することもできる。
【0035】以下に、本発明についてさらに詳細に説明
する。
【0036】本発明における“包含”とは、色材を重合
体(ポリマー)で完全に包み込んだ状態をいう。
【0037】各態様の着色剤において、色材を包含する
重合体のアニオン性基は、スルホン基、スルホン酸基、
ホスホ基,カルボキシル基、カルボニル基、およびこれ
らの塩からなる群から選択されるものである。また、各
態様の着色剤において、色材を包含する重合体のカチオ
ン性基は、第一脂肪アミン塩、第二脂肪アミン塩、第三
脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩からなる群から選
択されるものである。
【0038】前記重合体は、ビニル系重合体、ポリ(メ
タ)アクリル酸エステル、スチレン−(メタ)アクリル酸
共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポ
リウレタン、アミノ系重合体、含珪素ポリマー、含硫黄
ポリマー、含フッ素ポリマー、エポキシ系樹脂、あるい
はこれらの混合物などが挙げられる。
【0039】アニオン性基を有する重合体で色材を包含
した着色剤は、アニオン性基および重合性基を有する分
散剤で色材を水に分散させた後に、水中で、少なくとも
共重合性モノマーと重合開始剤の存在下で乳化重合を行
うことによって得ることができる。乳化重合により上記
着色剤を製造することによって、得られた着色剤は、粒
子径の揃った球状となるため、インクの粘度を低粘度と
することができ、しかも、ニュートン粘性もしくはそれ
に近い挙動を比較的簡単に得ることが可能である。
【0040】アニオン性基および重合性基を有する分散
剤は、以下の合成高分子にアニオン性基と重合性基を導
入したものが使用できる。合成高分子の具体例として
は、ポリビニルアルコール類;ポリビニルビロリドン
類;ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共
重合体、アクリル駿カリウム−アクリルニトリル共重合
体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリ
ル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹
脂;スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタク
リル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸
エステル共重合体、スチレン−(α−メチルスチレン)−
アクリル酸共重合体、スチレン−(α−メチルスチレン)
−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチ
レン−アクリル樹脂;スチレン−マレイン酸共重合体、
スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン
−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸
共重合体;酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル
−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイ
ン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合
体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル
系共重合体;とそれらの塩等が挙げられる。これらの中
で、特に疎水性基を持つモノマーと親水性基を持つモノ
マーとの共重合体、および疎水性基と親水性基を分子構
造中に併せ持ったモノマーからなる重合体が好ましい。
アニオン性基は、スルホン基、スルホン酸基、ホスホ
基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボキシル
基等、およびこれらの塩が挙げられる。また、重合性基
としては、ラジカル重合、重付加、重縮合等の重合反応
を起こす官能基であれば良い。ラジカル重合性基として
は、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロ
イル基、ビニリデン基、ビニレン基等の不飽和炭化水素
基が挙げられる。重付加反応性基としては、イソシアネ
ート基またはイソチオシアネート基とこれらの基と反応
するものとして水酸基、アミノ基、メルカプト基、カル
ボキシル基等を挙げることができる。重縮合反応性基と
しては、縮合反応が可能な官能基であって、カルボキシ
ル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシ基を挙げ
ることができる。本発明の好ましい態様においては、重
合性基はラジカル重合性基である不飽和炭化水素基が好
ましく、かかる不飽和炭化水素基は、ビニル基、アリル
基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル
基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択する
のが好ましい。
【0041】本発明の好ましい態様によれば、重合性基
を有する分散剤は、重合性界面活性剤であることが好ま
しい。重合性界面活性剤は、分子中に疎水性基と親水性
基と重合性基を有するものであって、親水性基は、スル
ホン基、スルホン酸基、ホスホ基、カルボキシル基、カ
ルボニル基、チオカルボキシル基、およびこれらの塩か
らなる群から選択されるアニオン性基を少なくとも有す
る。また、重合性基は不飽和炭化水素基であって、さら
に詳しくは、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メ
タクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレ
ン基からなる群から選択されるものであることが好まし
い。かかる重合性界面活性剤の具体的な例としては、特
公昭49−46291号公報、特公平1−24142号
公報、特開昭62−104802号公報に記載されてい
るようなアニオン性のアリル誘導体;特開昭62−22
1431号公報に記載されているようなアニオン性のプ
ロペニル誘導体;特開昭62−34947号公報、特開
昭55−11525号公報に記載されているようなアニ
オン性のアクリル酸誘導体;特公昭46−34898号
公報、特開昭51−30284号公報に記載されている
ようなアニオン性のイタコン酸誘導体;特公昭51−4
157号公報、特開昭51−30284号公報に記載さ
れているようなアニオン性のマレイン酸誘導体;特開昭
62−104802号公報に記載されているようなノニ
オン性のアリル誘導体;特開昭62−100502号公
報に記載されているようなノニオン性のプロペニル誘導
体;特開昭56−28208号公報に記載されているよ
うなノニオン性のアクリル酸誘導体;特公昭59−12
681号公報に記載されているようなノニオン性のイタ
コン酸誘導体;特開昭59−74102号公報に記載さ
れているようなノニオン性のマレイン酸誘導体;等が挙
げられる。
【0042】重合性界面活性剤は、色材粒子の表面に吸
着し、その後の重合条件下でも分散安定性(即ち、粒子
同士の凝集を防止することができる)に優れているた
め、カプセル化粒子を形成することが容易である点で有
利である。
【0043】本発明において、重合性界面活性剤として
は、下記の式(I)または式(II)で表される化合物が好
ましい。式(I)で表される重合性界面活性剤は、特開平
5−320276号公報、特開平10−316909号
公報において開示されたものである。
【0044】
【化1】
【0045】上記式(I)におけるRとnとの値を適宜調
整することによって、色材表面の親水性または疎水性の
度合いに対応させることが可能である。式(I)で表され
る好ましい重合性界面活性剤は、具体的には、下記の式
(III)〜(VI)によって表される化合物が挙げられ
る。これらは、単独または二種以上の混合物として使用
されてもよい。
【0046】
【化2】
【0047】式(I)の重合性界面活性剤は、市販品を用
いることもできる。例えば、旭電化株式会社のアデカリ
アソープSEシリーズのSE−10Nは、RがC
919,nが10,MがNH4であって、式(III)に該
当する。SE−20Nは、SE−10Nのnが20のも
のである。
【0048】
【化3】
【0049】本発明の好ましい態様においては、色材を
式(I)または式(II)で表される重合性界面活性剤と、
これらの重合性界面活性剤と共重合し得るモノマーとの
重合体で包含した、微小かつ安定なカプセル化粒子が用
いられる。また、本発明の別の好ましい態様において
は、色材を式(I)または式(II)で表される重合性界面
活性剤と、これらの重合性界面活性剤と共重合し得るモ
ノマーと、架橋性モノマーとの重合体で包含した、微小
かつ安定なカプセル化粒子が用いられる。かかる色材の
微小かつ安定なカプセル化粒子は、水性媒体中において
特に安定に分散する。式(I)または式(II)で表される
重合性界面活性剤は、色材粒子の表面への吸着性、なら
びに、その後の重合条件下での分散安定性(すなわち、
粒子同士の凝集を防止することができる)に特に優れて
いることから、カプセル化粒子を形成することが容易で
ある点で有利である。
【0050】重合性界面活性剤は、上記の市販品以外に
も使用することができる。例えば、第一工業薬品株式会
社のアクアロンHSシリーズ(アクアロンHS−05、
HS−10、HS−20、HS−1025)、アクアロ
ンRNシリーズ(RN−10、RN−20、RN−3
0、RN−50、RN−2025)、ニューフロンティ
アシリーズ(ニューフロンティアN−177E、S−5
10)、旭電化株式会社のアデカリアソープNEシリー
ズ(NE−10、NE−20、NE−30、NE−4
0、NE−50)などが挙げられる。
【0051】重合性界面活性剤の添加量は、色材に対し
て、10〜150重量%程度の範囲が好ましく、より好
ましくは20〜100重量%程度の範囲である。10%
以上の添加量とすることにより、インク組成物の分散安
定性を向上することが可能となる。また、150%以下
の添加量とすることにより、色材との未吸着な重合性界
面活性剤の発生を抑制し、そしてカプセル粒子以外にポ
リマーが発生することを防止できるので、その結果、イ
ンク組成物の吐出安定性を良好とすることができる。
【0052】本発明において用いられる架橋性モノマー
としては、重合牲界面活性剤と共重合性の高いものであ
れば何れのものも用いることができる。
【0053】共重合性モノマーとしては、一般的に用い
られるラジカル重合性モノマーが使用できる。例えば、
スチレンおよびメチルスチレン、ジメチルスチレン、ク
ロルスチレン、ジクロルスチレン、プロムスチレン、P
−クロルメチルスチレン、ジヒニルベンゼン等のスチレ
ン誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸n−ブチル、ブトキシエチルアクリレート、アク
リル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、フエノキシエチ
ルアクリレート、アクリル酸シクロヘキシル、ジシクロ
ペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレ
ート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、
アクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシプロピルアクリレート、カプロラクトンアクリ
レート、グリシジルアクリレート等の単官能アクリル酸
エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−ブチル、2−エチルヘキシルメタ
クリレート、ブトキシメチルメタクリレート、メタクリ
ル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、フェノキシエチ
ルメタクリレート、メタクリル酸シクロヘキシル、ジシ
クロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメ
タクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタク
リレート、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソ
ボルニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2
−ヒドロキシブチルメタクリレート、グリセロールメタ
クリレート、カプロラクトンメタクリレート、グリシジ
ルメタクリレート等の単官能メタクリル酸エステル類;
アリルベンゼン、アリル−3−シクロヘキサンプロピオ
ネート、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン、ア
リルフェノキシアセテート、アリルフェニルアセテー
ト、アリルシクロヘキサン、多価カルボン酸アリル等の
アリル化合物;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸のエ
ステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N
−置換マレイミド、環状オレフィンなどのラジカル重合
性基を有するモノマーが挙げられる。
【0054】式(I)で表される重合性界面活性剤は、電
子供与性の高いモノマーであることから、用いるモノマ
ーとしては電子受容性の高いモノマーが好ましい。電子
受容性の高いモノマーの具体例としては、アクリロニト
リル、フマロニトリル、フマル酸ジブチルエステルのよ
うなフマル酸ジエステル;マレイン酸ジブチルエステル
のようなマレイン酸ジエステル;N−フェニルマレイミ
ドのようなマレイミド類;ならびにシアン化ビニリデン
など;が挙げられる。これらは単独または二種以上の混
合物として使用されても良い。
【0055】モノマーの添加量は、重合性界面活性剤に
対して、2〜15モル比程度の範囲が好ましく、より好
ましくは3〜12モル比程度の範囲が好ましい。2モル
比以上の添加量とすることにより、形成されるカブセル
色材粒子は水性媒体中において分散安定性に優れたもの
となる。また、15モル比以下の添加量とすることによ
り、モノマーは重合性界面括性剤によって形成された吸
着層に十分溶解することができ、水に不溶性のポリマー
の発生や、相対的にイオン性反発基の量が減少するのを
抑制することができるので、インク組成物の分散安定性
を高めることができる。
【0056】前記重合体にアニオン性基を導入するため
に、アニオン性基を有する共重合性モノマーを用いるこ
とが好ましい。例えば、カルボキシル基を有するアクリ
ルモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル
酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等
が挙げられる。これらの中でもアクリル酸およびメタク
リル酸が好ましい。スルホン酸基を有する(メタ)アクリ
ルモノマーとしては、例えば、スルホエチルメタクリレ
ート、ブチルアクリルアミドスルホン酸、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸、等が挙げられ
る。ホスホ基を有する(メタ)アクリルモノマーとして
は、例えば、ホスホエチルメタクリレート等が挙げられ
る。
【0057】重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過
硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過リン酸カリウ
ム、過ホウ酸ナトリウムなどの無機過酸塩の水溶性重合
開始剤が用いられる。
【0058】さらに、重合体の重合度を調節する目的
で、メルカプタン、ジスルフィド、ジアゾチオエーテル
等の重合調整剤を使用することもできる。
【0059】また、本発明の別の態様において、アニオ
ン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材を
包含した着色剤は、色材をアニオン性基および重合性基
を有する分散剤で水に分散させた後に、水中で、少なく
ともこれらの重合性界面活性剤と共重合し得るモノマー
と架橋性モノマーとともに重合開始剤の存在下で乳化重
合を行うことによって得ることができる。
【0060】アニオン性基および重合性基を導入した分
散剤は、前述のものと同様のものを用いることができ
る。この態様においても、重合性基を有する分散剤とし
て、重合性界面活性剤を用いることが好ましい。この重
合性界面活性剤は、前記のものと同様のものを用いるこ
とができる。共重合性モノマーも、前記のものと同様の
ものが使用できる。
【0061】架橋性モノマーとしては、架橋反応性基を
有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましく、
その例としては、ブロックイソシアネート基を有する重
合性モノマー、エポキシ基を有するモノマー、1,3−
ジオキソラン−2−オン−4−イル基を有するモノマー
等が挙げられる。ブロックイソシアネート基を有する重
合性モノマーとしては、例えば、2−メタクリロイルオ
キシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基を有
する重合性モノマーに公知のブロック剤を付加反応させ
ることによって容易に得ることができる。また、水酸基
およびカルボキシル基を有するビニル系共重合体に、イ
ソシアネート基とブロックイソシアネート基とを有する
化合物を付加反応することによっても製造することが可
能である。エポキシ基を有するモノマーとしては、例え
ば、グリシジル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ基
を有する(メタ)アクリレートモノマーなどが挙げられ
る。1,3−ジオキソラン−2−オン−4−イル基を有
するモノマーとしては、例えば、1,3−ジオキソラン
−2−オン−4−イルメチル(メタ)アクリレート、1,
3−ジオキソラン−2−オン−4−イルメチルビニルエ
ーテルなどが挙げられる。
【0062】前記重合体の架橋反応性基がグリシジル基
である場合は、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、N
−メチロール基、N−メチロールエーテル基から選ばれ
る1種以上の官能基を2個以上有する化合物を用いるの
が好ましく、例えば、エチレンアミン族、N−アミノエ
チルピペラジン、メタキシレンジアミン、1,3−ビス
(アミノメチル)シクロヘキサン、ポリアミド等の脂肪族
アミン類;パラメンタンジアミン、メソホロンジアミ
ン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタ
ン、2−エチル−4−メチルイミダゾール等の環状脂肪
族アミン類;メタフェニレンジアミン、4,4’−ジア
ミノジフェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル
スルホン、ジシアンジアミド等の芳香族アミン類;無水
フタル酸、無水ピロメリット酸、ナジック酸無水物等の
酸無水物類等が挙げられる。
【0063】前記重合体の架橋反応性基がイソシアネー
ト基である場合は、カルボキシル基、水酸基、アミノ
基、メルカプト基から選ばれる1種以上の官能基を2個
以上有する化合物を用いるのが好ましく、例えば、ポリ
エーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリ
コール、アルキレンオキサイド共重合ポリオール、エポ
キシ樹脂変成ポリオール、ラクトン系ポリエステルポリ
オール、縮合系ポリエステルポリオール、ポリカーボネ
ートジオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポ
リオール、含リンポリオール、ハロゲン含有ポリオール
等のポリオール類;ポリエーテルポリアミン、ポリテト
ラメチレンエーテルジアミン、アルキレンオキサイド共
重合ポリアミン、エポキシ変成ポリアミン、縮合系ポリ
エステルポリアミン、ポリカーボネートポリアミン、ア
クリルポリアミン等のポリアミン類;ポリエーテルポリ
チオール、ポリテトラメチレンエーテルジチオール、ア
ルキレンオキサイド共重合ポリチオール、エポキシ樹脂
変成ポリチオール、ラクトン系ポリエステルポリチオー
ル、縮合系ポリエステルポリチオール、ポリカーボネー
トジチオール、アクリルポリチオール、ポリブタジエン
ポリチオール、含リンポリチオール、ハロゲン含有ポリ
チオール等のポリチオール類等が挙げられる。
【0064】前記重合体の架橋反応性基が水酸基である
場合は、グリシジル基、イソシアネート基から選ばれる
1種以上の官能基を2個以上有する化合物を用いるのが
好ましい。
【0065】前記重合体の架橋反応性基が不飽和炭化水
素基である場合は、ビニル基、アリル基、アクリロイル
基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、
ビニレン基から選ばれる1種以上の不飽和炭化水素基を
2個以上有する化合物を用いるのが好ましく、例えば、
エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコ
ールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリ
レート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポ
リエチレングリコールジアクリレート、アリルアクリレ
ート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソ
シアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコ
ール)アジペート、1,3−ブチレングリコールジアク
リレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロビレング
リコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジ
アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキ
シプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシ)フェニ
ル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエト
キシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリ
ロキシエトキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ポリエト
キシ)フェニル〕プロパン、ヒドロキシビバリン酸ネオ
ペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジ
オールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレ
ート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジ
ペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレー
ト、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリアクリレート、テトラブロモビ
スフェノールAジアクリレート、トリグリセロールジア
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エ
チレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコ
ールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタ
クリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレー
ト、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロピ
レングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリ
コールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコール
ジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、
ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロ
キシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビ
ス〔4−(メタクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2
−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロ
パン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシジ
エトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メ
タクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパ
ン、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、
ジシクロペンタニルジメタクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサメタクリレート、グリセロールジメタク
リレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコー
ルジメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒド
ロキシペンタメタクリレート、ジトリメチロールプロパ
ンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメ
タクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレ
ート、トリグリセーロールジメタクリレート、トリメチ
ロールプロパントリメタクリレート、トリス(メタクリ
ロキシエチル)イソシアヌレート、アリルメタクリレー
ト、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリル
テレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジエチレン
グリコールビスアリルカーボネート等が挙げられる。
【0066】前記架橋性モノマーの添加量は、包含ポリ
マーの構成比として0.1〜50重量%の範囲が好まし
く、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。
0.1重量%未満の場合は、グリコールエーテル等の浸
透剤と併用した際に、長期での粘度の上昇、ノズルの目
詰まり、吐出安定性不良等が起こる場合があるので好ま
しくない。また、50重量%を超すと、目的の着色剤が
得られにくいため好ましくない。
【0067】カチオン性基を有する重合体で色材を包含
した着色剤は、カチオン性基および重合性基を有する分
散剤で色材を水に分散させた後に、水中で、少なくとも
これらの重合性界面活性剤と共重合し得るモノマー(共
重合性モノマー)と重合開始剤の存在下で、乳化重合を
行うことによって得ることができる。
【0068】カチオン性基および重合性基を有する分散
剤は、以下の合成高分子にカチオン性基と重合性基を導
入したものが使用できる。合成高分子の具体例として
は、前述のアニオン性基と重合性基を有する合性高分子
と同様のものが挙げられる。前述のアニオン性基と重合
性基を有する分散剤と同様に、カチオン性基および重合
性基を有する分散剤も、疎水性基を持つモノマーと親水
性基を持つモノマーとの共重合体、もしくは疎水性基と
親水性基を分子構造中に併せ持ったモノマーからなる重
合体が好ましい。カチオン性基は、第一脂肪アミン塩、
第二脂肪アミン塩、第三脂肪アミン塩、第4級アンモニ
ウム塩等が挙げられる。また、重合性基としては、ラジ
カル重合、重付加、重縮合等の重合反応を起こす官能基
であれば良い。その具体例は、前述のアニオン性および
重合性基を有する分散剤の場合と同様のものが挙げられ
る。
【0069】好ましい態様によれば、重合性基を有する
分散剤は、重合性界面活性剤が好ましい。用いられる重
合性界面活性剤は、分子中に疎水性基と親水性基と重合
性基を有するものであって、親水性基に、第一脂肪アミ
ン塩、第二脂肪アミン塩、第三脂肪アミン塩、第4級ア
ンモニウム塩からなる群から選択されるカチオン性基を
少なくとも有し、且つ、ビニル基、アリル基、アクリロ
イル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン
基、ビニレン基からなる群から選択される不飽和炭化水
素基を有するものであることが好ましい。このような重
合性界面活性剤の具体的な例としては、特公平4−65
824公報に記載されているようなカチオン性のアリル
酸誘導体の他、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプ
ロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリル
酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリ
ル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩、等が
挙げられる。
【0070】前述したように重合性界面活性剤は、色材
粒子の表面に吸着し、その後の重合条件下でも分散安定
性(即ち、粒子同士の凝集を防止することができる)に
優れているため、カプセル化粒子を形成することが容易
である点で有利である。
【0071】重合性界面活性剤の添加量は、色材に対し
て、10〜150重量%程度の範囲が好ましく、より好
ましくは20〜100重量%程度の範囲である。10%
以上の添加量とすることにより、インク組成物の分散安
定性を向上することが可能となる。また、150%以下
の添加量とすることにより、色材との未吸着な重合性界
面活性剤の発生を抑制し、そして、カプセル粒子以外に
ポリマーが発生することを防止できるので、その結果、
インク組成物の吐出安定性を良好にすることができる。
【0072】共重合性モノマーとしては、前述のアニオ
ン性基を有する重合体で色材を包含した着色剤の製造に
おいて用いたものと同様に、一般的に用いられるラジカ
ル重合性モノマーが使用できる。
【0073】前記重合体にカチオン性基を導入するため
に、第一脂肪アミン塩、第二脂肪アミン塩、第三脂肪ア
ミン塩、第4級アンモニウムからなる群から選択される
カチオン性基を有する共重合性モノマーを用いることが
好ましい。例えば、N,N’−ジメチルアクリルアミ
ド、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレート、
N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,
N’−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N’
−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、メタクリル
酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリ
ル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩等が挙
げられる。
【0074】モノマーの添加量は、重合性界面活性剤に
対して、2〜15モル比程度の範囲が好ましく、より好
ましくは3〜12モル比程度の範囲が好ましい。2モル
比以上の添加量とすることにより、形成されるカブセル
色材粒子は水性媒体中において分散安定性に優れたもの
となる。また、15モル比以下の添加量とすることによ
り、モノマーは重合性界面括性剤吸着層に十分溶解する
ことができ、水に不溶性のポリマーの発生や、相対的に
イオン性反発基の量が減少するのを抑制することができ
るので、インク組成物の分散安定性を高めることができ
る。
【0075】重合開始剤としては、2,2’−アゾビス
(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−
アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライ
ド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダ
ゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イ
ル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビ
ス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチ
ル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]、2,
2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエ
チル)プロピオンアミド]、または、4,4’−アゾビ
ス(4−シアノ吉草酸)の水溶性のラジカル重合開始剤の
何れも使用することができる。なお、触媒の添加量は、
適宜決定される。
【0076】さらに、重合体の重合度を調節する目的
で、メルカプタン、ジスルフィド、ジアゾチオエーテル
等の重合調整剤を使用することもできる。
【0077】また、本発明の別の態様において、カチオ
ン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材を
包含した着色剤は、カチオン性基および重合性基を有す
る分散剤で色材を水に分散させた後に、水中で、少なく
ともこれらの重合性界面活性剤と共重合し得るモノマー
と架橋性モノマーとともに、重合開始剤の存在下で乳化
重合を行うことによって得ることができる。
【0078】カチオン性基及び重合性基を導入した分散
剤は、前記のものと同様のものを用いることができる。
この態様においても、重合性基を有する分散剤として、
重合性界面活性剤を用いることが好ましい。この重合性
界面活性剤は、前記のものと同様に分子中に疎水性基と
親水性基と重合性基を有するものであって、親水性基
に、第一脂肪アミン塩、第二脂肪アミン塩、第三脂肪ア
ミン塩、第4級アンモニウム塩からなる群から選択され
るカチオン性基を少なくとも有し、且つ、ビニル基、ア
リル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニ
ル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から選択さ
れる不飽和炭化水素基を有するものを用いることができ
る。共重合性モノマーも前記のものと同様のものが使用
できる。
【0079】架橋性モノマーとしては、架橋反応性基を
有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましく、
架橋反応性基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマ
ーとしては、前述のものと同様のものが使用できる。
【0080】前記架橋性モノマーの添加量は、包含ポリ
マーの構成比として0.1〜50重量%の範囲が好まし
く、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。
0.1重量%未満の場合は、グリコールエーテル等の浸
透剤と併用した際に長期での粘度の上昇、ノズルの目詰
まり、吐出安定性不良等が起こるなど好ましくない。ま
た、50重量%を超すと、目的の着色剤が得られにくい
ため好ましくない。
【0081】本発明において用いられる色材は、油溶性
染料、あるいは、顔料である。
【0082】本発明においては、油溶性染料として、分
散染料、建染染料、有機溶剤溶解染料等が用いられる。
【0083】本発明において用いられる顔料は、特に限
定されず、無機顔料および有機顔料のいずれも使用する
ことができる。無機顔料としては、酸化チタン、酸化
鉄、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレン
ブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック等
が使用できる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(ア
ゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートア
ゾ顔料などを含む。)、多環式顔料(フタロシアニン顔
料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔
料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ
顔料、イソインドリノン顔料、キノフラノン顔料な
ど)、染料キレート(塩基性染料型キレート、酸性染料
型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリ
ンブラックなどが使用できる。
【0084】更に詳しくは、黒インクとして使用される
顔料として、以下のカーボンブラックが例示される。三
菱化学製のNo.2300,No.900,MCF 88,No.33,No.40,N
o.45,No.52,MA 7,MA 8,MA 100,No.2200B等が、コ
ロンビア社製のRaven 5750,Raven 5250,Raven 5000,
Raven 3500,Raven 1255,Raven 700等が、キャボット
社製のRegal 400R,Regal 330R,Rega l660R,Mogul
L,Monarch 700,Monarch800,Monarch 880,Monarch 9
00,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Mona
rch 1400等が、デグッサ社製のColor Black FW1,Color
Black FW2,Color Black FW2V,Color Black FW18,Co
lor Black FW200,Color Black S150,Color Black S16
0,Color Black S170,Printex 35,Printex U,Printe
x V,Printex 140U,Special Black 6,Special Black
5,Special Black 4A,Special Black 4等が使用でき
る。イエローインクに使用される顔料としては、C.I.Pi
gment Yellow 1,C.I.Pigment Yellow 2,C.I.Pigment
Yellow 3,C.I.Pigment Yellow 12,C.I.Pigment Yello
w 13,C.I.Pigment Yellow 14C,C.I.Pigment Yellow 1
6,C.I.Pigment Yellow 17,C.I.Pigment Yellow 73,
C.I.Pigment Yellow 74,C.I.Pigment Yellow75,C.I.P
igment Yellow 83,C.I.Pigment Yellow 93,C.I.Pigme
nt Yellow 95,C.I.Pigment Yellow 97,C.I.Pigment Y
ellow 98,C.I.Pigment Yellow 109,C.I.Pigment Yell
ow 110,C.I.Pigment Yellow 114,C.I.Pigment Yellow
128,C.I.Pigment Yellow 129,C.I.Pigment Yellow 13
8,C.I.Pigment Yellow 151,C.I.Pigment Yellow 15
4,C.I.Pigment Yellow 155,C.I.Pigment Yellow 18
0,C.I.Pigment Yellow 185等が挙げられる。マゼンタ
インクに使用される顔料としては、C.I.Pigment Red
5,C.I.PigmentRed 7,C.I.Pigment Red 12,C.I.Pigme
nt Red 48(Ca),C.I.Pigment Red 48(Mn),C.I.Pigment
Red 57(Ca),C.I.Pigment Red 57:1,C.I.Pigment Red
112,C.I.Pigment Red 123,C.I.Pigment Red 168,C.
I.Pigment Red 184,C.I.Pigment Red 202等が挙げられ
る。シアンインクに使用される顔料としては、C.I.Pigm
ent Blue 1,C.I.PigmentBlue 2,C.I.Pigment Blue
3,C.I.Pigment Blue 15:3,C.I.Pigment Blue 15:34,
C.I.Pigment Blue 16,C.I.Pigment Blue 22,C.I.Pigm
ent Blue 60,C.I.Vat Blue 4,C.I.Vat Blue 60等が挙
げられる。
【0085】ただし、これらに限定されるものではない
が、ブラックインクはカーボンブラックを、シアンイン
クはC.I.Pigment Blue 15:3を、マゼンタインクはC.I.P
igment Red 122を、イェローインクはC.I.Pigment Yell
ow 73,C.I.Pigment Yellow109,C.I.Pigment Yellow 1
10,C.I.Pigment Yellow 128,C.I.Pigment Yellow12
9,C.I.Pigment Yellow 138,C.I.Pigment Yellow 15
0,C.I.Pigment Yellow151,C.I.Pigment Yellow 154,
C.I.Pigment Yellow 155,C.I.Pigment Yellow180,C.
I.Pigment Yellow 185から選択される一種以上が好まし
く用いることができる。
【0086】本発明の重合性界面活性剤とこれらの重合
性界面活性剤と共重合し得るモノマーから得られる重合
体で顔料を包含した着色剤の製造は、下記のようにして
製造することができる。
【0087】顔料に重合性界面活性剤を固定化するこ
と、即ち顔料のカプセル化は、顔料および重合性界面活
性剤を水性有機溶媒および/または水に加えて、超音
波、ボールミル、あるいはサンドグラインダー等の分散
機により湿式粉砕した後に、必要に応じて粉砕処理を続
けながら、その他の共重合性モノマーおよび重合開始剤
を加えて、40〜100℃で10〜60時間重合反応さ
せることにより行う。これによって重合体で顔料を包含
したカプセル化顔料粒子を得ることができる。重合開始
剤の添加量は、モノマーに対して0.1〜10重量%が
好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。より好
ましくは、特開平10−316909号公報に記載され
ている製造法に準じて製造することができる。油溶性染
料についても上記と同様の方法によって、重合体で油溶
性染料を包含したカプセル化色材粒子を得ることができ
る。
【0088】本発明の別の態様である重合性界面活性剤
と、重合性界面活性剤と共重合し得るモノマー(共重合
モノマー)と、架橋性モノマーとから得られる架橋構造
を有する重合体で顔料を包含した着色剤の製造は、下記
のようにして製造することができる。
【0089】顔料に重合性界面活性剤を固定化するこ
と、すなわち顔料のカプセル化は、顔料および重合性界面
活性剤を水性有機溶媒および/または水に加えて、超音
波、ボールミル、あるいはサンドグラインダー等の分散
機により湿式粉砕したのちに、必要に応じて粉砕処理を
続けながら架橋性モノマーとその他の共重合性モノマー
と重合開始剤を加えて、40〜100℃で10〜60時
間重合反応させることにより行う。これによって架橋構
造を有する重合体で顔料を包含したカプセル化顔料粒子
を得ることができる。重合開始剤の添加量は、モノマー
に対して0.1〜10重量%が好ましく、より好ましく
は1〜5重量%である。より好ましくは、特開平10−
316909号公報に記載されている製造法に準じて製
造することができる。油溶性染料についても、上記と同
様の方法によって、架橋構造を有する重合体で油溶性染
料を包含したカプセル化色材粒子を得ることができる。
【0090】また、顔料に重合性基を有する高分子分散
剤を固定化すること、すなわち顔料のカプセル化の製造
法も上記の製法に準じて行うことができる。
【0091】本発明の着色剤の添加量は、0.5〜30
重量%が好ましく、より好ましくは1.0〜12重量%
である。0.5重量%以下の添加量では、印字濃度が確
保できなくなり、30重量%以上の添加量では、インク
の粘度増加や吐出安定性が悪くなる傾向にあるので適当
でない。なお、着色剤の粒子径は400nm以下が好ま
しく、さらに好ましくは200nm以下が好ましい。
【0092】本発明に用いられるポリマー微粒子とは、
ポリマー成分の微粒子である。ポリマー微粒子は、連続
相を水とし、ポリマー微粒子を分散粒子とする水性分散
液の形態で用いることが好ましい。このような水性分散
液を「ポリマーエマルジョン」,「水系エマルジョ
ン」,「水性エマルジョン」,「ラテックス」,「樹脂
エマルジョン」,「マイクロエマルジョン」とも呼ばれ
ることがある。
【0093】本発明においては、アニオン性基を有する
重合体で色材を包含した着色剤とともに使用するポリマ
ー微粒子は、単粒子構造およびコアシェル構造のような
複層構造の何れでも良く、その表面にスルホン基、スル
ホン酸基、カルボキシル基、カルボニル基、およびこれ
らの塩、水酸基等のアニオン性基を有するものである。
また、カチオン性基を有する重合体で色材を包含した着
色剤とともに使用するポリマー微粒子もまた、単粒子構
造およびコアシェル構造のような複層構造の何れでも良
く、その表面に第一脂肪アミン塩、第二脂肪アミン塩、
第三脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩当のカチオン
性基を有するものである。コアシェル構造の場合は、シ
ェル層にこれらの官能基が存在するのが好ましい。これ
らの基は後記する製造方法において、モノマーの構造中
に存在させてもよく、またポリマー微粒子を得た後にそ
の表面にグラフト重合等によって付加させても良い。
【0094】本発明において、コアシェル構造とは、組
成の異なる2種以上のポリマーが粒子中に相分離して存
在する形態を意味する。したがって、シェル部がコア部
を完全に被覆している形態のみならず、コア部の一部を
被覆しているものであってもよい。また、シェル部ポリ
マーの一部がコア粒子内にドメインなどを形成している
ものであってもよい。さらに、コア部とシェル部の中間
に、さらにもう一層以上、組成の異なる層を含む3層以
上の多層構造を持つものであってもよい。
【0095】着色剤とポリマー微粒子のイオン性が異な
ると、着色剤とポリマー微粒子は凝集してしまうために
同一系内では使用できない。カラーインクとブラックイ
ンクともに、その同一系内(同一のインク)において、
着色剤とイオン性が同じであるポリマー微粒子をさらに
含むことは可能である。ポリマー微粒子をさらに含んだ
イオン性の異なるカラーインクとブラックインクは、記
録媒体上で接触した場合に、着色剤のみの場合と比べて
凝集体を形成する速度が速まり、滲みやカラーブリード
をより生じにくくさせるものと考えられる。
【0096】本発明において用いられるポリマー微粒子
は、造膜性を有するものが好ましく用いられる。「造膜
性」とは、ポリマー微粒子を水に分散させてポリマーエ
マルジョンの形態としたとき、このポリマーエマルジョ
ンの連続相である水成分を蒸発させていくと、ポリマー
の皮膜が形成されることを意味する。このポリマー微粒
子が添加されたインク組成物は、水または水性有機溶媒
がそのポリマー微粒子の周囲より除去された状態となる
と、ポリマーの皮膜が上記と同様にして形成される性質
を有することとなる。このポリマー皮膜は、インク組成
物中の着色剤を記録媒体表面に強固に定着させる役割を
担う。これによって、定着性、耐擦過性に優れた画像が
実現できると考えられる。
【0097】本発明のポリマー微粒子を構成するポリマ
ーのガラス転移点は30℃以下、好ましくは25℃以
下、より好ましくは20℃以下、であることが好まし
い。ポリマー微粒子を構成するポリマーのガラス転移点
が上記の範囲であるときに室温において造膜が可能であ
る。ポリマー微粒子を構成するポリマーのガラス転移点
は、ポリマーエマルジョンの水性媒体を蒸発させてポリ
マーのみとし、これを試料容器に入れ、示差走査熱量測
定装置(DSC)にセットして、−20℃〜40℃を5
℃/minの昇温速度で加熱し、示差熱曲線から求め
る。また、本発明のポリマー微粒子を含んでなるポリマ
ーエマルジョンの最低成膜温度は、30℃以下、好まし
くは室温(約25℃以下)、より好ましくは20℃以下で
ある。ポリマーエマルジョンの成膜形成が30℃以下で
行うことができれば、印刷された記録媒体を加熱および
乾燥することなく、室温以下において印刷面の成膜化が
自動的に進行し、着色剤を強固に記録媒体に定着するの
で好ましい。最低成膜温度とは、ポリマーエマルジョン
をアルミニウム等の金属板の上に薄く流延し、温度を上
げていったときに透明な連続フィルムが形成される最低
の温度をいう。最低成膜温度以下の温度領域では白色粉
末状となる。
【0098】本発明のポリマー微粒子は、親水性部分と
疎水性部分を併せ持つポリマー成分からなるものが好ま
しい。また、ポリマー微粒子の重量平均分子量は、50
00以上であり、好ましくは10000以上である。ポ
リマー微粒子の重量平均分子量は、ポリマーエマルジョ
ンの水成分を除去した後に得られたポリマーをテトラヒ
ドロフラン等の有機溶媒に溶解し、ゲルパーミエイショ
ンクロマトグラフィ(GPC)で測定する。分子量の校正
は単分散ポリスチレンを使用して行う。ポリマーエマル
ジョンの平均粒子径は400nm以下が好ましく、より
好ましくは100〜200nm、さらに好ましくは10
〜100nmである。ポリマー微粒子の平均粒子径は一
般的な方法で測定されて良い。特に、レーザー散乱法に
よって測定された値を好ましく用いる。
【0099】本発明のポリマー微粒子の主成分として
は、アクリル系共重合体、スチレン−アクリル共重合
体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、
ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体、クロロプレン共重合体、ポリオレフィン、ポリスチ
レン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポ
リウレタン、含ケイ素重合体、などが挙げられる。
【0100】本発明の好ましい態様によれば、ポリマー
微粒子を濃度10重量%で水に分散させたポリマーエマ
ルジョンのテフロン(登録商標)板上での接触角が70
゜程度以上、より好ましくは80゜程度以上であること
が好ましい。さらに、ポリマー微粒子を濃度が35重量
%となるように水に分散させたポリマーエマルジョンの
表面張力が35重量%となるように水に分散させたポリ
マーエマルジョンの表面張力が、40×10-3N/m
(20℃)程度、好ましくは50×10-3N/m(20℃)
程度以上であることが好ましい。このようなポリマー微
粒子を利用することによって、インクジェト記録方法に
おいて、より飛行曲がりを防止でき、良好な印刷が可能
となる。
【0101】本発明の好ましい態様によれば、ポリマー
微粒子は、カルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマ
ーに由来する構造を1〜10重量%含んでなり、かつ、
重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性モノマーに
よって架橋された構造を有し、架橋性モノマーに由来す
る構造を0.2〜4重量%含有してなるものであること
が好ましい。このポリマー微粒子は、成膜性を保持しな
がら、インクに使用する有機溶媒、特にジエチレングリ
コールモノブチルエーテルやトリエチレングリコールモ
ノブチルエーテル等のグリコールエーテル類によるポリ
マー成分の溶解やポリマーの膨潤等が起こらないことか
ら、優れた耐溶媒性を示し、インク組成物がノズルプレ
ート表面を濡らすという現象が起こり難くなり、飛行曲
がりをより防止でき、吐出安定性をより向上させること
ができる。ポリマー微粒子の重合の際に重合可能な二重
結合を二個以上さらに好ましくは三個以上有する架橋性
モノマー類を共重合させて三次元架橋させた架橋性ポリ
マーの利用により、ノズルプレート表面がインク組成物
によりさらに濡れ難くなり、飛行曲がりをより防止で
き、吐出安定性をより向上させることができる。
【0102】本発明のポリマーエマルジョンは、水と、
モノマーと、乳化剤と、重合開始剤とを混合して乳化重
合を行い、その後にpH調整剤を添加して所望のpHを
調整することによって得ることができる。本発明におい
ては、ポリマーエマルジョンの分散相を形成するポリマ
ー微粒子は、上記の方法によって製造される。
【0103】モノマーとしては、一般的に用いられるラ
ジカル重合性モノマーが使用できる。例えば、スチレン
およびメチルスチレン、ジメチルスチレン、クロルスチ
レン、ジクロルスチレン、プロムスチレン、P−クロル
メチルスチレン、ジヒニルベンゼン等のスチレン誘導
体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
n−ブチル、ブトキシエチルアクリレート、アクリル酸
ベンジル、アクリル酸フェニル、フエノキシエチルアク
リレート、アクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタ
ニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、
ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アクリ
ル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シプロピルアクリレート、カプロラクトンアクリレー
ト、グリシジルアクリレート等の単官能アクリル酸エス
テル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸n−ブチル、2−エチルヘキシルメタクリレ
ート、ブトキシメチルメタクリレート、メタクリル酸ベ
ンジル、メタクリル酸フェニル、フェノキシエチルメタ
クリレート、メタクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペ
ンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリ
レート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレー
ト、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニ
ルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒド
ロキシブチルメタクリレート、グリセロールメタクリレ
ート、カプロラクトンメタクリレート、グリシジルメタ
クリレート等の単官能メタクリル酸エステル類;アリル
ベンゼン、アリル−3−シクロヘキサンプロピオネー
ト、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン、アリル
フェノキシアセテート、アリルフェニルアセテート、ア
リルシクロヘキサン、多価カルボン酸アリル等のアリル
化合物;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸のエステル
類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N−置換
マレイミド、環状オレフィンなどのラジカル重合性基を
有するモノマーが挙げられる。
【0104】ポリマー微粒子にアニオン性を付与するモ
ノマーとしては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホス
ホ基等を有するモノマー、例えば、カルボキシル基を有
するアクリルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリ
ル酸、クロトン酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリ
ル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸
等が挙げられ、スルホン酸基を有する(メタ)アクリルモ
ノマーとしては、スルホエチルメタクリレート、ブチル
アクリルアミドスルホン酸、2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸、等が挙げられ、ホスホ基を
有する(メタ)アクリルモノマーとしては、ホスホエチル
メタクリレート等が挙げられる。
【0105】ポリマー微粒子にカチオン性基を付与する
モノマーとしては、第一脂肪アミン塩、第二脂肪アミン
塩、第三脂肪アミン塩、第4級アンモニウムからなる群
から選択されるカチオン性基を有するモノマーが挙げら
れ、具体的には、N,N’−ジメチルアクリルアミド、
N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,
N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N’
−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N’−ジ
メチルアミノプロピルアクリルアミド、メタクリル酸ジ
メチルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸
ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩等が挙げら
れる。
【0106】架橋性モノマーとしては、エチレングリコ
ールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレ
ート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラ
エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリ
コールジアクリレート、アリルアクリレート、ビス(ア
クリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレー
ト、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペ
ート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジアクリレート、プロビレングリコールジ
アクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレー
ト、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパ
ン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシ)フェニル〕プロ
パン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)フェ
ニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエ
トキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビ
ス〔4−(アクリロキシエトキシ・ポリエトキシ)フェニ
ル〕プロパン、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリ
コールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアク
リレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ジペン
タエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリス
リトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメ
チロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、テトラブロモビスフェノール
Aジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(ア
クリロキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコ
ールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタク
リレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、
テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチ
レングリコールジメタクリレート、プロピレングリコー
ルジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタ
クリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレ
ート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,
6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチル
グリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3
−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(メ
タクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4
−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,
2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシジエトキシ)フ
ェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキ
シエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラ
ブロモビスフェノールAジメタクリレート、ジシクロペ
ンタニルジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘ
キサメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、
ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジメタク
リレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペン
タメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメ
タクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリ
グリセーロールジメタクリレート、トリメチロールプロ
パントリメタクリレート、トリス(メタクリロキシエチ
ル)イソシアヌレート、アリルメタクリレート、ジビニ
ルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレ
ート、ジアリルイソフタレート、ジエチレングリコール
ビスアリルカーボネート等が挙げられる。
【0107】重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過
硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過リン酸カリウ
ム、過ホウ酸ナトリウムなどの無機過酸塩、2,2’−
アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、
2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロ
クロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2
−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロラ
イド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2
−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−ア
ゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメ
チル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]、
2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキ
シエチル)プロピオンアミド]または4,4’−アゾビ
ス(4−シアノ吉草酸)の水溶性のラジカル重合開始剤の
何れも使用することができる。なお、触媒の添加量は、
適宜決定される。
【0108】本発明の好ましい態様によれば、本発明に
よるインクは水溶性有機溶媒を含むことができる。その
具体例としては、エタノール、メタノール、ブタノー
ル、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1か
ら4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレン
グリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレン
グリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール
モノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−
プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−
プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso
−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチル
エーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエ
ーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、
1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリ
コールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ
エチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピル
エーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピ
ルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、
プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグ
リコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジ
メチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチ
ン、ジアセチン、トリアセチン、スルホランなどが挙げ
られる。
【0109】また、本発明の好ましい態様によれば、前
記した水溶性有機溶媒の中でも沸点が180℃以上の水
溶性有機溶媒の利用が好ましい。沸点が180℃以上の
水溶性有機溶媒の使用は、インクの保水と湿潤性をもた
らす。その結果、開放状態(室温で空気に触れている状
態)で放置しても、流動性と再分散性を長時間維持する
インクが実現できる。さらに、印字中もしくは印字中断
後の再起動時にノズルの目詰まりが生じることもなく、
高い吐出安定性が得られる。沸点が180℃以上の水溶
性有機溶媒の具体例としては、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタメ
チレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテ
ン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサン
ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1
−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン、2−ピロリドン、グリセリン、トリプ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレン
グリコールモノエチルグリコール、ジプロピレングリコ
ールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
メチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリプロピレングリコール、分子量2000以下の
ポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコー
ル、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリス
リトールが挙げられる。沸点が200℃以上であるもの
が好ましい。これらは単独または2種以上の混合物とし
て使用されてよい。
【0110】これら水溶性有機溶媒の含有量は、好まし
くは10〜50重量%程度であり、より好ましくは10
〜30重量%である。
【0111】本発明のインク組成物においては糖を含有
することもできる。糖類の具体例としては、単糖類、二
糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および
多糖類が挙げられ、好ましくはグルコース、マンノー
ス、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノー
ス、ガラクトース、アルドン酸、グリシトール、ソルビ
ット、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロ
ース、トレハロース、マルトトリオース、などが挙げら
れる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、アルギン
酸、α−シクロデキストリン、セルロースなどの自然界
に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。ま
た、これらの糖類の誘導体としては、例えば、糖アルコ
ール[一般式HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここ
で、n=2〜5の整数を表す。)]のような糖類の還元
糖、アルドン酸やウロン酸などの酸化糖、アミノ酸、チ
オ糖などが挙げられる。特に糖アルコールが好ましく、
具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げら
れる。
【0112】本発明の好ましい態様によれば、ブラック
インクは、(A)カチオン性基を有する重合体で色材を
包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくと
も含んでなるもの、もしくは、(B)カチオン性基を有
し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材を包含した着
色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含んでな
るもので、(A),(B)いずれにおいても、表面張力が4
5〜60mN/mの範囲にあるのが好ましい。また、カ
ラーインクは、(C)アニオン性基を有する重合体で色
材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少な
くとも含んでなるもの、もしくは、(D)アニオン性基
を有し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材を包含し
た着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含ん
でなるもので、表面張力が25〜45mN/mの範囲に
あるのが好ましい。カラーインクの(C),(D)は、上記
の表面張力の範囲内に調整するために、アニオン性およ
び/またはノニオン性界面活性剤やグリコールエーテル
類等をさらに添加する。具体的には、カラーインク(C)
においては、アニオン性および/またはノニオン性界面
活性剤を添加して上記の表面張力の範囲内に調整する。
一方、カラーインク(D)においては、アニオン性および
/またはノニオン性界面活性剤、もしくは、これらの界
面活性剤およびグリコールエーテル類を添加して上記の
表面張力の範囲内に調整する。
【0113】本発明の別の好ましい態様によれば、ブラ
ックインクは、(E)アニオン性基を有する重合体で色
材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少な
くとも含んでなるもの、もしくは、(F)アニオン性基
を有し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材を包含し
た着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも含ん
でなるもので、(E),(F)いずれにおいても、表面張力
が45〜60mN/mの範囲にあるのが好ましい。ま
た、カラーインクは、(G)カチオン性基を有する重合
体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水と
を少なくとも含んでなるもの、もしくは、(H)カチオ
ン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材を
包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくと
も含んでなるもので、表面張力が25〜45mN/mの
範囲にあるのが好ましい。カラーインクの(G),(H)
は、上記の表面張力の範囲内に調整するために、カチオ
ン性および/またはノニオン性界面活性剤やグリコール
エーテル類等をさらに添加する。具体的には、カラーイ
ンク(G)においては、カチオン性および/またはノニオ
ン性界面活性剤を添加して上記の表面張力の範囲内に調
整し、カラーインク(H)においては、カチオン性および
/またはノニオン性界面活性剤、もしくは、これらの界
面活性剤およびグリコールエーテル類を添加して上記の
表面張力の範囲内に調整する。
【0114】本発明の更に別の好ましい態様によれば、
前記(A)〜(H)のインク(ブラックインク又はカラーイ
ンク)に、アニオン性ポリマー微粒子又はカチオン性ポ
リマー微粒子を添加する。但し、着色剤とイオン性が同
じであるポリマー微粒子を添加する。すなわち、前記
(A)〜(H)のインクにおいて、アニオン性ポリマー微粒
子は、“アニオン性基を有する重合体で色材を包含した
着色剤、又は、アニオン性基を有し、且つ、架橋構造を
有する重合体で色材を包含した着色剤”と併用し、一
方、カチオン性ポリマー微粒子は、“カチオン性基を有
する重合体で色材を包含した着色剤、又は、カチオン性
基を有し、且つ、架橋構造を有する重合体で色材を包含
した着色剤”と併用するものである。この場合において
も、前記と同様、ブラックインクの表面張力が45〜6
0mN/mの範囲にあるのが好ましく、また、カラーイ
ンクの表面張力が25〜45mN/mの範囲にあるのが
好ましい。
【0115】ブラックインクの表面張力が上記の範囲よ
りも低いと、顔料インクの記録媒体内部への浸透が速す
ぎるために、滲みやフェザリング、色濃度の低下が起こ
りやすい。また、カラーインクの表面張力が上記の範囲
より高いと、インクの浸透速度が遅いため、カラーブリ
ードの発生の原因となりやすい。
【0116】本発明においては、上記のブラックインク
とカラーインクのインクセットが好ましく用いられる。
【0117】また、本発明におけるカラーインクは、イ
ェローインク、マゼンタインク、シアンインクのセット
が好ましく用いられる。さらに好ましくは、イェローイ
ンク、マゼンタインク、シアンインク、ライトシアンイ
ンク、ライトマゼンタインクのセットが用いられる。
【0118】本発明のインクジェト記録用インク組成物
に使用する界面活性剤は、インク組成物との相溶性のよ
いものが好ましく、かつ浸透性が高く安定なものがよ
い。界面活性剤の具体例としては、アニオン性界面活性
剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラ
ウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエー
テルサルフェートのアンモニウム塩など;ノニオン性界
面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエー
テル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキ
シエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウ
リルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエ
チレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキル
アミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステ
ル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソル
ビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソル
ビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポ
リオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレン
ステアレートおよびアセチレングリコール等が挙げられ
る。これらは単独または二種以上を併用することができ
る。また、カチオン性界面活性剤としては、第一脂肪ア
ミン塩、第二脂肪アミン塩、第三脂肪アミン塩、第4級
アンモニウム塩が挙げられる。第4級アンモニウム塩と
しては、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキル
ベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2
−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミ
ダゾリニウム塩、N,N’−ジアルキルモルホリニウム
塩等が挙げられる。
【0119】界面活性剤の添加によってインク組成物の
表面張力を制御することで、記録媒体への浸透性の調整
を行い、本発明のインクセットを用いた場合に画質向上
と種々の記録媒体へ印刷した際の速乾性を向上すること
ができる。界面活性剤の添加量は、インク組成物に対し
て0.01〜10重量%の範囲が好ましく、より好まし
くは0.1〜5重量%である。
【0120】本発明の好ましい態様によれば、上記した
界面活性剤の内で、アセチレングリコール系界面活性剤
を含んでなるのが好ましい。アセチレングリコール系界
面活性剤は、添加によるインクの泡立ちが少なく、比較
的少量で表面張力を下げる効果を有することから好まし
い。また、アセチレングリコール系界面活性剤の添加
は、インク組成物の表面張力を制御し、インク溶媒成分
の浸透性を向上するため、本発明においては、着色剤と
インク溶媒との分離を促進する効果を奏し、あらゆる種
類の普通紙や再生紙へ印刷した際の画質向上と速乾性を
向上することができる。
【0121】本発明において用いられるアセチレングリ
コール系界面活性剤の好ましい具体例としては、下記の
式(VII)で表される化合物が挙げられる。
【0122】
【化4】
【0123】上記の式(VII)で表される化合物の中で
特に好ましくは、2,4,7,9−テトラメチル−5−
デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オ
クチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−ヘキシ
ン−3−オールなどが挙げられる。上記の式(VII)で
表されるアセチレングリコール系界面活性剤として市販
品を利用することも可能であり、その具体例としてはサ
ーフィノール104、82、465またはTG(以上、A
ir Products and Chemicals INC.製)、オルフィンST
G、オルフィンE1010(以上、日信化学製)が挙げら
れる。アセチレングリコール系界面活性剤の添加量は、
上記の表面張力の範囲となるように適宜決定されるが、
好ましくは、インク組成物に対して0.01〜5重量%
の範囲であり、より好ましくは0.1〜5重量%の範囲
である。
【0124】本発明のインクジェト記録用インク組成物
に使用するグリコールエーテル類は、ジエチレングリコ
ールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ
ブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエー
テル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等が
挙げられる。グリコールエーテル類と上記のアセチレン
グリコール系界面活性剤との併用は、インク溶媒成分の
浸透性をさらに向上するため、本発明においては、着色
剤とインク溶媒との分離を促進する極だった効果を奏
し、あらゆる種類の普通紙や再生紙へ印刷した際の画質
向上と速乾性を向上することができる。グリコールエー
テルの添加量は、前記した表面張力の範囲となるように
適宜決定されるが、好ましくは、インク組成物に対して
0.1〜10重量%の範囲であって、より好ましくは
0.1〜5重量%の範囲である。
【0125】本発明においては、浸透性を制御する目的
で、さらに炭素数が4〜10の1,2−アルキレングリ
コールを15重量%以下の範囲内で含んでも良い。炭素
数が3以下のものは、浸透性が得られず、炭素数が10
を超えると、水に溶解しにくくなるので好ましくない。
添加量が15重量%を超えると、粘度増加の傾向が現れ
るので適当ではない。1,2−アルキレングリコール
は、具体的には、1,2−ペンタンジオール、1,2−
ヘキサンジオールであって、何れか一方を用いても良い
し、併用しても良い。1,2−ペンタンジオールは、3
〜15重量%の範囲で添加するのが好ましい。3重量%
未満では良好な浸透性が得られない。1,2−ヘキサン
ジオールは、0.5〜10重量%の範囲で添加するのが
好ましい。0.5重量%未満では良好な浸透性が得られ
ない。
【0126】その他、保存安定性を向上させるために、
必要に応じて、インクにpH調整剤、溶解助剤、酸化防
止剤、防黴剤、防腐剤、腐食防止剤、金属塩トラップ剤
等の添加剤を添加することも可能である。
【0127】本発明によるインク組成物は、前記成分を
適当な方法で分散,混合することによって製造すること
ができる。特に、本発明のインク組成物は、本発明の着
色剤と、水と、水溶性有機溶媒と、必要に応じてその他
の添加剤とを攪拌混合することで容易に得ることができ
る。
【0128】本発明のインク組成物は、分散安定性、吐
出安定性に優れ、また、長期にわたってノズルの目詰ま
りが発生せず、安定した印字が可能である。その理由を
以下に示す。
【0129】顔料を分散する場合には、一般に界面活性
剤や高分子分散剤等の分散剤が用いられるが、これらの
分散剤は、色材に吸着しているのみであることから、通
常は何らかの環境要因によって分散剤が色材表面から脱
離しやすい傾向にある。これに対して、本発明において
は、色材を取り巻いているポリマーがより強固に色材に
固着するために、色材から脱離しにくくなっているもの
と考えられる。さらに詳しくは、界面活性剤や高分子分
散剤等の分散剤を用いて顔料を分散した顔料分散液と、
界面活性剤やジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレング
リコールモノブチルエーテル、1,2−アルキレングリ
コール等の浸透剤とを組み合わせて浸透性を向上したイ
ンクでは、細いノズルを通ってインクが吐出される際に
強い剪断力がかかると、顔料表面に吸着している分散剤
が容易に脱離して分散性の劣化をもたらし、吐出が不安
定となる場合がある。これに対して、本発明による着色
剤を用いたインク組成物では、これらの現象は全く認め
られず、安定に吐出される。特に、架橋構造を有する重
合体(ポリマー)で色材を包含した態様においては、色材
を取り巻いているポリマーがより強固に色材に固着して
いることと、ポリマーが架橋構造を有することに起因し
て優れた耐溶剤性を持っていることから、上記の浸透剤
等を用いても、色材を取り巻いている重合体(ポリマー)
が色材から脱離することもなく、また、重合体(ポリマ
ー)自体の膨潤も起こりにくい。したがって、この態様
では、長期にわたって、より優れた分散安定性が確保で
きる。また、界面活性剤や高分子分散剤等の分散剤を用
いて顔料を分散した顔料インクで界面活性剤や浸透剤で
浸透性を向上した場合には、一般に、初期から顔料表面
に吸着されないで液中に溶解している分散剤やその後の
環境下で顔料から脱離した分散剤がインクの粘度を高め
る傾向にあるため、インクの粘度をインクジェット用に
適する範囲(1〜10mPa・sの範囲)に調整するた
めには、顔料の含有量を制限せざるを得ない。そのた
め、普通紙や再生紙において十分な印刷濃度が得られ
ず、良好な発色も得ることができないために、高品位の
印刷画質を実現することが難しい。これに対して、本発
明による着色剤においては、色材を取り巻いているポリ
マーの色材からの脱離が無いため、着色剤の含有量によ
るインクの粘度変化が非常に少ない。したがって、イン
クの低粘度化が容易で、着色剤をより多く含有すること
ができるとの利点を有する。これによって、普通紙や再
生紙上で十分な印刷濃度を得ることが可能である。な
お、上記の理由はあくまでも本発明の内容を説明するた
めに用いたものであって、当該理由のみによって本発明
の範囲が限定されるものではない。
【0130】本発明によるインクセットは、ブラックイ
ンクと複数のカラーインクとからなり、インク液滴を吐
出して、記録媒体に付着させて印刷を行うインクジェッ
ト記録方法に好ましく用いられる。さらに詳しくは、本
発明によるインクセットは、微細なノズルからインクを
小滴として吐出し、文字や図形を被記録体表面に記録す
る方法に好ましく用いられる。インクジェット記録方式
としては、電歪素子を用いて電気信号を機械信号に変換
し、ノズルヘッド部分に貯えたインクを断続的に吐出し
て被記録体表面に文字や記号を記録する方式、ノズルヘ
ッド部分に貯えたインクを吐出部分に極めて近い一部を
急速に加熱して泡を発生させ、その泡による体積膨張で
断続的に吐出して、被記録体表面に文字や記号を記録す
る方式等があるが、本発明は、これらの方式に限定され
るものではない。
【0131】本発明のインクジェト記録用インクセット
は、(a)アニオン性基を有する重合体で色材を包含し
た着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを、少なくとも含
んでなるカラーインク組成物と、カチオン性基を有する
重合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、
水とを、少なくとも含んでなるブラックインク組成物と
からなるものである。上記インクセットの別の態様とし
て、上記カラーインク組成物にアニオン性ポリマー微粒
子をさらに添加し、および/または、上記ブラックイン
ク組成物にカチオン性ポリマー微粒子をさらに添加する
ものである。
【0132】また、本発明の別の態様によるインクジェ
ト記録用インクセットは、(b)アニオン性基を有し、
且つ、架橋構造を有する重合体で色材を包含した着色剤
と、水溶性有機溶媒と、水とを、少なくとも含んでなる
カラーインク組成物と、カチオン性基を有し、且つ、架
橋構造を有する重合体で色材を包含した着色剤と、水溶
性有機溶媒と、水とを、少なくとも含んでなるブラック
インク組成物とからなるものである。上記インクセット
の別の態様として、上記カラーインク組成物にアニオン
性ポリマー微粒子をさらに添加し、および/または、上
記ブラックインク組成物にカチオン性ポリマー微粒子を
さらに添加するものである。
【0133】また、本発明の別の態様によるインクジェ
ト記録用インクセットは、(c)アニオン性基を有し、
且つ、架橋構造を有する重合体で色材を包含した着色剤
と、水溶性有機溶媒と、水とを、少なくとも含んでなる
カラーインク組成物と、カチオン性基を有する重合体で
色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを、
少なくとも含んでなるブラックインク組成物とからなる
ものである。上記インクセットの別の態様として、上記
カラーインク組成物にアニオン性ポリマー微粒子をさら
に添加し、および/または、上記ブラックインク組成物
にカチオン性ポリマー微粒子をさらに添加するものであ
る。
【0134】また、本発明の別の態様によるインクジェ
ト記録用インクセットは、(d)カチオン性基を有する
重合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、
水とを、少なくとも含んでなるカラーインク組成物と、
アニオン性基を有する重合体で色材を包含した着色剤
と、水溶性有機溶媒と、水とを、少なくとも含んでなる
ブラックインク組成物とからなるものである。上記イン
クセットの別の態様として、上記カラーインク組成物に
カチオン性ポリマー微粒子をさらに添加し、および/ま
たは、上記ブラックインク組成物にアニオン性ポリマー
微粒子をさらに添加するものである。
【0135】また、本発明の別の態様によるインクジェ
ト記録用インクセットは、(e)カチオン性基を有し、
且つ、架橋構造を有する重合体で色材を包含した着色剤
と、水溶性有機溶媒と、水とを、少なくとも含んでなる
カラーインク組成物と、アニオン性基を有し、且つ、架
橋構造を有する重合体で色材を包含した着色剤と、水溶
性有機溶媒と、水とを、少なくとも含んでなるブラック
インク組成物とからなるものである。上記インクセット
の別の態様として、上記カラーインク組成物にカチオン
性ポリマー微粒子をさらに添加し、および/または、上
記ブラックインク組成物にアニオン性ポリマー微粒子を
さらに添加するものである。
【0136】また、本発明の別の態様によるインクジェ
ト記録用インクセットは、(f)カチオン性基を有し、
且つ、架橋構造を有する重合体で色材を包含した着色剤
と、水溶性有機溶媒と、水とを、少なくとも含んでなる
カラーインク組成物と、アニオン性基を有する重合体で
色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを、
少なくとも含んでなるブラックインク組成物とからなる
ものである。上記インクセットの別の態様として、上記
カラーインク組成物にカチオン性ポリマー微粒子をさら
に添加し、および/または、上記ブラックインク組成物
にアニオン性ポリマー微粒子をさらに添加するものであ
る。
【0137】本発明のインクセットは、記録媒体上で本
発明のインクセットのブラックインクとカラーインクが
接触すると、各インクの着色剤の分散状態が瞬時に破壊
されて凝集するため、滲みやフェザリングやカラーブリ
ードがなく、OD値の高い、高品位の画像が得られる。
【0138】上記の記録方法における好ましい画像形成
の方法は、表面張力が25〜45mN/mの範囲のカラ
ーインクで画像を形成した直後に、表面張力が45〜6
0mN/mの範囲のブラックインクを使用することが好
ましい。また、普通紙上へのブッラクインクによる文字
等の印刷においては、まず、カラーインクの何れかで文
字等を印字し、同一場所にブッラクインクを印字するの
が好ましい。これによって、両インクが記録媒体上で接
触すると、各インクの分散状態が瞬時に破壊されて凝集
するため、フェザリング、ブリード、滲み等のない、O
D値の高い、高品位の印字が得られる。
【0139】また、別の方法は、ライトシアンやライト
マゼンタ等の淡色系インクに本発明のカチオン性着色剤
を用い、最初に淡色系インクで画像を形成した直後に、
同一場所にシアンインク、マゼンタインク、イェローイ
ンク、ブラックインク等の濃色系インクを印字する態様
がある。この場合は、濃色系インクよりも淡色系インク
の表面張力が低いことが好ましい。これによって、記録
媒体上で濃色系インクと淡色系インクとが接触すると、
各インクの着色剤の分散状態が瞬時に破壊されて凝集す
るため、フェザリング、ブリード、滲み等のない、OD
値の高い、高品位の印字が得られる。
【0140】本発明のインクジェット記録装置は、イン
ク収納容器と記録ヘッドとを、連結管を介して連通する
構造を有し、該記録ヘッドが、キャリッジに沿って、モ
ーターで駆動されるタイミングベルトによって移動する
機構と、プラテンとガイドが設けられてなる紙送り機構
と、さらにクリーニング操作を行うための機構とからな
る。本発明のインクジェット記録装置は、各インクをイ
ンク収納容器に収納し、各インク組成物が連結管を介し
て記録ヘッドに供給される構造で、すなわち、インク収
納容器と記録ヘッドとは連結管によって連通される。こ
こで、収納容器は、インク組成物毎に独立した形態であ
れば、使用するインクの数だけ収納容器を使用してもよ
いし、収納容器の内部を区切って複数のインクをその区
切られた部屋に収納しても構わない。記録ヘッドは、キ
ャリッジに沿って、モーターで駆動されるタイミングベ
ルトによって移動する。一方、記録媒体である紙等の記
録媒体は、プラテンとガイドによって記録ヘッドと対面
する位置に置かれる。なお、クリーニング機構として、
吸引ポンプと連結された吸引キャップが設けられ、いわ
ゆるクリーニング操作を行う。吸引されたインク組成物
を溜めおかれる廃インクタンクが具備される。また、イ
ンク毎に異なる記録ヘッドを用いても良いし、ひとつの
記録ヘッドでノズル列毎にインク組成物を割り当てても
よい。
【0141】本発明において、好ましくは、ブラックイ
ンクとカラーインクとで記録ヘッドを独立で使用するの
がよい。これは、同一記録ヘッド上で、アニオン性着色
剤とカチオン性着色剤が接触して凝集することで、生成
された凝集物が目詰まりの原因となるのを防ぐ目的があ
る。
【0142】
【実施例】本発明を以下の実施例によって詳細に説明す
るが、本発明は、本実施例の内容に限定されるものでは
ない。
【0143】<着色剤の製造> (着色剤1)カーボンブラック(ラーベンC:コロンビ
アンカーボン株式会社製)10gと重合性界面活性剤2
−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチル
アンモニウムクロライド6gとを水100g中に加えて
超音波を照射し、さらにサンドミル(安川製作所製)で
約2時間分散させる。この分散液を、超音波発生器、攪
拌機、温度調整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応
容器に投入する。次いで、予め、ベンジルメタクリレー
ト1g、ブチルメタリレート2g、N,N’−ジメチル
アミノエチルメタクリレート1gと上記重合性界面活性
剤0.1gと2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオ
ンアミジン)二塩酸塩0.05gと水10gを混合して
乳化物を調製し、これを滴下漏斗で上記の反応容器中に
徐々に滴下する。滴下終了後に60℃で48時間重合反
応を行う。得られた着色剤の分散液をクエン酸二ナトリ
ウムでpH6前後に調整し、0.4μmのフィルターで
濾過して粗大粒子を除去して着色剤1の分散液を得る。
レーザードップラー方式の粒度分布測定器マイクロトラ
ックUPA 150(リーズ&ノースロップ社製)で測
定した平均粒子径は120nmであった。
【0144】(着色剤2)超音波発生器、攪拌機、温度
調整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応容器に、カ
ーボンブラック(ラーベンC:コロンビアンカーボン株
式会社製)50gと重合性界面活性剤メタクリル酸ジメ
チルアミノエチルメチルクロライド塩30gとを水80
0g中に加えて超音波を4時間照射して分散を行う。次
いで、N,N’−ジメチルアミノプロピルアクリルアミ
ド16gとジビニルベンゼン2.4gと2,2’−アゾ
ビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩1gとを
さらに添加して60℃で48時間重合反応を行う。その
後、クエン酸二ナトリウムでpH6前後に調整し、0.
4μmのフィルターで濾過して粗大粒子を除去して着色
剤2の分散液を得る。レーザードップラー方式の粒度分
布測定器マイクロトラックUPA 150(リーズ&ノ
ースロップ社製)で測定した平均粒子径は110nmで
あった。
【0145】(着色剤3)C.I.ピグメントレッド1
22を100gと重合性界面活性剤SE−10N(旭電
化製)60gとを水800g中に加えて超音波を照射
し、さらにサンドミル(安川製作所製)で約2時間分散
させる。この分散液を、超音波発生器、攪拌機、温度調
整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応容器に投入す
る。次いで、予め、ベンジルメタクリレート10g、ブ
チルメタリレート20g、ジシクロペンタニルメタクリ
レート2g、メタクリル酸10gと上記重合性界面活性
剤1gと過硫酸カリウム0.5gと水100gを混合し
て乳化物を調製し、これを滴下漏斗で上記の反応容器中
に徐々に滴下する。滴下終了後に60℃で48時間重合
反応を行う。得られた着色剤の分散液を水酸化カリウム
でpH8前後に調整し、0.4μmのフィルターで濾過
して粗大粒子を除去して着色剤3の分散液を得る。レー
ザードップラー方式の粒度分布測定器マイクロトラック
UPA 150(リーズ&ノースロップ社製)で測定し
た平均粒子径は130nmであった。
【0146】(着色剤4)超音波発生器、攪拌機、温度
調整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応容器に、
C.I.ピグメントブルー15:3を50gと重合性界
面活性剤SE−10N(旭電化製)30gとを水500
g中に加えて超音波を4時間照射して分散を行う。次い
で、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸16gとアクリロニトリル3gと過硫酸カリウム0.
5gとをさらに添加して60℃で48時間重合反応を行
う。得られた着色剤の分散液を水酸化カリウムでpH8
前後に調整し、0.4μmのフィルターで濾過して粗大
粒子を除去する。これによって目的の着色剤を分散液の
形態で得して着色剤4の分散液を得る。レーザードップ
ラー方式の粒度分布測定器マイクロトラックUPA 1
50(リーズ&ノースロップ社製)で測定した平均粒子
径は115nmであった。
【0147】(着色剤5)C.I.ピグメントレッドイ
ェロー185を100gと重合性界面活性剤SE−10
N(旭電化製)60gとを水800g中に加えて超音波
を照射し、さらにサンドミル(安川製作所製)で約2時
間分散させる。この分散液を、超音波発生器、攪拌機、
温度調整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応容器に
投入する。次いで、予め、ベンジルメタクリレート10
g、ブチルメタリレート20g、ジシクロペンタニルジ
メタクリレート2g、メタクリル酸10gと上記重合性
界面活性剤1gと過硫酸カリウム0.5gと水100g
を混合して乳化物を調製し、これを滴下漏斗で上記の反
応容器中に徐々に滴下する。滴下終了後に60℃で48
時間重合反応を行う。得られた着色剤の分散液を水酸化
カリウムでpH8前後に調整し、0.4μmのフィルタ
ーで濾過して粗大粒子を除去して着色剤5の分散液を得
る。レーザードップラー方式の粒度分布測定器マイクロ
トラックUPA150(リーズ&ノースロップ社製)で
測定した平均粒子径は120nmであった。
【0148】(着色剤6)C.I.ピグメントレッド1
22を100gと重合性界面活性剤SE−10N(旭電
化製)60gとを水800g中に加えて超音波を照射
し、さらにサンドミル(安川製作所製)で約2時間分散
させる。この分散液を、超音波発生器、攪拌機、温度調
整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応容器に投入す
る。次いで、予め、ベンジルメタクリレート10g、ブ
チルメタリレート20g、ジシクロペンタニルジメタク
リレート2g、メタクリル酸10gと上記重合性界面活
性剤1gと過硫酸カリウム0.5gと水100gを混合
して乳化物を調製し、これを滴下漏斗で上記の反応容器
中に徐々に滴下する。滴下終了後に60℃で48時間重
合反応を行う。得られた着色剤の分散液を水酸化カリウ
ムでpH8前後に調整し、0.4μmのフィルターで濾
過して粗大粒子を除去して着色剤6の分散液を得る。レ
ーザードップラー方式の粒度分布測定器マイクロトラッ
クUPA 150(リーズ&ノースロップ社製)で測定
した平均粒子径は130nmであった。
【0149】(着色剤7)超音波発生器、攪拌機、温度
調整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応容器に、
C.I.ピグメントブルー15:3を50gと重合性界
面活性剤SE−10N(旭電化製)30gとを水500
g中に加えて超音波を4時間照射して分散を行う。次い
で、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸16gとアクリロニトリル3gとジビニルベンゼン5
gと過硫酸カリウム0.5重量部とをさらに添加して6
0℃で48時間重合反応を行う。得られた着色剤の分散
液を水酸化カリウムでpH8前後に調整し、0.4μm
のフィルターで濾過して粗大粒子を除去して着色剤7の
分散液を得る。レーザードップラー方式の粒度分布測定
器マイクロトラックUPA 150(リーズ&ノースロ
ップ社製)で測定した平均粒子径は140nmであっ
た。
【0150】(着色剤8)C.I.ピグメントレッドイ
ェロー151を100gと重合性界面活性剤SE−10
N(旭電化製)60gとを水800g中に加えて超音波
を照射し、さらにサンドミル(安川製作所製)で約2時
間分散させる。この分散液を、超音波発生器、攪拌機、
温度調整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応容器に
投入する。次いで、予め、ジシクロペンテニルメタクリ
レート10g、ブチルメタリレート20g、1,6−へ
キサンジオールジメタクリレート2g、メタクリル酸1
0gと上記重合性界面活性剤1gと過硫酸カリウム0.
5gと水100gを混合して乳化物を調製し、これを滴
下漏斗で上記の反応容器中に徐々に滴下する。滴下終了
後に60℃で48時間重合反応を行う。得られた着色剤
の分散液を水酸化カリウムでpH8前後に調整し、0.
4μmのフィルターで濾過して粗大粒子を除去して着色
剤8の分散液を得る。レーザードップラー方式の粒度分
布測定器マイクロトラックUPA 150(リーズ&ノ
ースロップ社製)で測定した平均粒子径は110nmで
あった。
【0151】(着色剤9)カーボンブラック(ラーベン
C:コロンビアンカーボン株式会社製)10gと重合性
界面活性剤SE−10N(旭電化製)6gとを水100
g中に加えて超音波を照射し、さらにサンドミル(安川
製作所製)で約2時間分散させる。この分散液を、超音
波発生器、攪拌機、温度調整器、還流冷却器、滴下漏斗
を備えた反応容器に投入する。次いで、予め、ベンジル
メタクリレート1g、ブチルメタリレート2g、メタク
リル酸1gと上記重合性界面活性剤0.1gと過硫酸カ
リウム0.05gと水10gを混合して乳化物を調製
し、これを滴下漏斗で上記の反応容器中に徐々に滴下す
る。滴下終了後に60℃で48時間重合反応を行う。得
られた着色剤の分散液を水酸化カリウムでpH8前後に
調整し、0.4μmのフィルターで濾過して粗大粒子を
除去して着色剤9の分散液を得る。レーザードップラー
方式の粒度分布測定器マイクロトラックUPA 150
(リーズ&ノースロップ社製)で測定した平均粒子径は
125nmであった。
【0152】(着色剤10)超音波発生器、攪拌機、温
度調整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応容器に、
カーボンブラック(ラーベンC:コロンビアンカーボン
株式会社製)50gと重合性界面活性剤SE−10N
(旭電化製)30gとを水800g中に加えて超音波を
4時間照射して分散を行う。次いで、アクリロニトリル
16gとジビニルベンゼン2.4gと過硫酸カリウム1
gとをさらに添加して60℃で48時間重合反応を行
う。その後、水酸化カリウムでpH8前後に調整し、
0.4μmのフィルターで濾過して粗大粒子を除去して
着色剤10の分散液を得る。レーザードップラー方式の
粒度分布測定器マイクロトラックUPA 150(リー
ズ&ノースロップ社製)で測定した平均粒子径は130
nmであった。
【0153】(着色剤11)C.I.ピグメントレッド
122を100gと重合性界面活性剤2−ヒドロキシ−
3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムク
ロライド60gとを水800g中に加えて超音波を照射
し、さらにサンドミル(安川製作所製)で約2時間分散
させる。この分散液を、超音波発生器、攪拌機、温度調
整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応容器に投入す
る。次いで、予め、ベンジルメタクリレート10g、ブ
チルメタリレート20g、ジシクロペンタニルメタクリ
レート2g、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリ
レート10gと上記重合性界面活性剤1gと2,2’−
アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩
0.5gと水100gを混合して乳化物を調製し、これ
を滴下漏斗で上記の反応容器中に徐々に滴下する。滴下
終了後に60℃で48時間重合反応を行う。得られた着
色剤の分散液をクエン酸二ナトリウムでpH6前後に調
整し、0.4μmのフィルターで濾過して粗大粒子を除
去して、濃度が18%である着色剤11の分散液を得
る。レーザードップラー方式の粒度分布測定器マイクロ
トラックUPA150(リーズ&ノースロップ社製)で
測定した平均粒子径は140nmであった。
【0154】(着色剤12)超音波発生器、攪拌機、温
度調整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応容器に、
C.I.ピグメントブルー15:3を50gと重合性界
面活性剤メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルク
ロライド塩30gとを水500g中に加えて超音波を4
時間照射して分散を行う。次いで、N,N’−ジメチル
アミノプロピルアクリルアミド16gとスチレン3gと
2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二
塩酸塩0.5gとをさらに添加して60℃で48時間重
合反応を行う。得られた着色剤の分散液をクエン酸二ナ
トリウムでpH6前後に調整し、0.4μmのフィルタ
ーで濾過して粗大粒子を除去する。これによって目的の
着色剤を分散液の形態で得して着色剤12の分散液を得
る。レーザードップラー方式の粒度分布測定器マイクロ
トラックUPA 150(リーズ&ノースロップ社製)
で測定した平均粒子径は110nmであった。
【0155】(着色剤13)C.I.ピグメントレッド
イェロー185を100gと重合性界面活性剤2−ヒド
ロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモ
ニウムクロライド60gとを水800g中に加えて超音
波を照射し、さらにサンドミル(安川製作所製)で約2
時間分散させる。この分散液を、超音波発生器、攪拌
機、温度調整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応容
器に投入する。次いで、予め、ベンジルメタクリレート
10g、ブチルメタリレート20g、ジシクロペンタニ
ルジメタクリレート2g、メタクリル酸ジメチルアミノ
エチルメチルクロライド塩10gと上記重合性界面活性
剤1gと2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンア
ミジン)二塩酸塩0.5gと水100gを混合して乳化
物を調製し、これを滴下漏斗で上記の反応容器中に徐々
に滴下する。滴下終了後に60℃で48時間重合反応を
行う。得られた着色剤の分散液をクエン酸二ナトリウム
でpH6前後に調整し、0.4μmのフィルターで濾過
して粗大粒子を除去して着色剤13の分散液を得る。レ
ーザードップラー方式の粒度分布測定器マイクロトラッ
クUPA 150(リーズ&ノースロップ社製)で測定
した平均粒子径は135nmであった。
【0156】(着色剤14)C.I.ピグメントレッド
122を100gと重合性界面活性剤メタクリル酸ジメ
チルアミノエチルメチルクロライド塩60gとを水80
0g中に加えて超音波を照射し、さらにサンドミル(安
川製作所製)で約2時間分散させる。この分散液を、超
音波発生器、攪拌機、温度調整器、還流冷却器、滴下漏
斗を備えた反応容器に投入する。次いで、予め、ベンジ
ルメタクリレート10g、ブチルメタリレート20g、
ジシクロペンタニルジメタクリレート2g、N,N’−
ジメチルアミノエチルメタクリレート10gと上記重合
性界面活性剤1gと2,2’−アゾビス(2−メチルプ
ロピオンアミジン)二塩酸塩0.5gと水100gを混
合して乳化物を調製し、これを滴下漏斗で上記の反応容
器中に徐々に滴下する。滴下終了後に60℃で48時間
重合反応を行う。得られた着色剤の分散液をクエン酸二
ナトリウムでpH6前後に調整し、0.4μmのフィル
ターで濾過して粗大粒子を除去して着色剤14の分散液
を得る。レーザードップラー方式の粒度分布測定器マイ
クロトラックUPA 150(リーズ&ノースロップ社
製)で測定した平均粒子径は130nmであった。
【0157】(着色剤15)超音波発生器、攪拌機、温
度調整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応容器に、
C.I.ピグメントブルー15:3を50gと重合性界
面活性剤2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピル
トリメチルアンモニウムクロライド30gとを水500
g中に加えて超音波を4時間照射して分散を行う。次い
で、N,N’−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
16gと2−ヒドロキシエチルメタクリレート3gとジ
ビニルベンゼン5gと2,2’−アゾビス(2−メチル
プロピオンアミジン)二塩酸塩0.5重量部とをさらに
添加して60℃で48時間重合反応を行う。得られた着
色剤の分散液をクエン酸二ナトリウムでpH6前後に調
整し、0.4μmのフィルターで濾過して粗大粒子を除
去して着色剤15の分散液を得る。レーザードップラー
方式の粒度分布測定器マイクロトラックUPA150
(リーズ&ノースロップ社製)で測定した平均粒子径は
120nmであった。
【0158】(着色剤16)C.I.ピグメントレッド
イェロー151を100gと重合性界面活性剤2−ヒド
ロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモ
ニウムクロライド60gとを水800g中に加えて超音
波を照射し、さらにサンドミル(安川製作所製)で約2
時間分散させる。この分散液を、超音波発生器、攪拌
機、温度調整器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた反応容
器に投入する。次いで、予め、ジシクロペンテニルメタ
クリレート10g、ブチルメタリレート20g、1,6
−へキサンジオールジメタクリレート2g、メタクリル
酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩10gと
上記重合性界面活性剤1gと2,2’−アゾビス(2−
メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.5gと水10
0gを混合して乳化物を調製し、これを滴下漏斗で上記
の反応容器中に徐々に滴下する。滴下終了後に60℃で
48時間重合反応を行う。得られた着色剤の分散液をク
エン酸二ナトリウムでpH6前後に調整し、0.4μm
のフィルターで濾過して粗大粒子を除去して着色剤16
の分散液を得る。レーザードップラー方式の粒度分布測
定器マイクロトラックUPA 150(リーズ&ノース
ロップ社製)で測定した平均粒子径は115nmであっ
た。
【0159】<ポリマー微粒子の製造> (アニオン性ポリマー微粒子の製造)撹拌機、還流冷却
器、滴下装置および温度計と窒素導入管を備えた反応容
器に、蒸留水200ml、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム0.6gを仕込み、窒素雰囲気中で、撹拌し
ながら70℃まで加温し、さらに過硫酸カリウム2gを
添加した。一方、ブチルアクリレート40g、スチレン
50g、アクリル酸5g、t−ドデシルメルカプタン
0.10gとを混合溶解して、これを前記反応容器中に
滴下する。さらに、70℃で6時間反応させた後、常温
まで冷却し、中和剤としてアンモニア水を添加してPH
を調製しフィルターで濾過して、ポリマー微粒子を分散
粒子とするポリマーエマルジョンを得る。レーザードッ
プラー方式の粒度分布測定器マイクロトラックUPA
150(リーズ&ノースロップ社製)で測定した平均粒
子径は80nmであった。
【0160】(カチオン性ポリマー微粒子の製造)撹拌
機、還流冷却器、滴下装置および温度計と窒素導入管を
備えた反応容器に、蒸留水200ml、2−ヒドロキシ
−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウム
クロライド0.6gを仕込み、窒素雰囲気中で、撹拌し
ながら70℃まで加温し、さらに2,2’−アゾビス
(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩2gを添加し
た。一方、ブチルアクリレート20g、ベンジルメタク
リレート10g、N,N’−ジメチルアミノエチルメタ
クリレート5g、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ
プロピルトリメチルアンモニウムクロライド3gとを混
合溶解して、これを前記反応容器中に滴下する。さら
に、70℃で6時間反応させた後、常温まで冷却し、中
和剤としてアンモニア水を添加してPHを調製しフィル
ターで濾過して、ポリマー微粒子を分散粒子とするポリ
マーエマルジョンを得る。レーザードップラー方式の粒
度分布測定器マイクロトラックUPA 150(リーズ
&ノースロップ社製)で測定した平均粒子径は90nm
であった。
【0161】以下の表1〜表20の組成を有するインク
は、次の操作によって調製する。予め、前記の着色剤を
除いた水性媒体を調製し、これを前記の着色剤の分散液
に攪拌下に徐々に滴下し、充分に攪拌し分散させて目的
のインク組成物を得たものである。さらに具体的に、実
施例1のブラックインクを例に説明する。15gのグリ
セリン、4gの2−ピロリドン、0.5gのオルフィン
E1010とイオン交換水26.4gを混合溶解して、
水性媒体を調製する。46.7gの着色剤1の分散液に
この水性媒体を、攪拌下に徐々に滴下して、室温(25
℃近辺)で充分に攪拌し分散した後に、10wt%水酸
化カリウム水溶液でpHを8〜9の範囲に調整して目的
のインクを得る。このときに、超音波発生器を併用する
ことが好ましい。得られたインクは、3μmのメンブラ
ンフィルターを通過させて使用する。
【0162】なお、実施例1〜4及び実施例11〜14
のブラックインクと実施例5〜10及び実施例15〜2
0のカラーインクのpH調整は、10wt%クエン酸二
ナトリウム水溶液でpHが6〜7の範囲に調整した。ま
た、実施例1〜4及び実施例10〜14のカラーインク
と実施例5〜10及び実施例15〜20のブラックイン
クのpH調整は、10wt%水酸化カリウム水溶液でp
Hを8〜9の範囲に調整した。
【0163】本発明に用いるインク組成物とそれらより
構成されたインクセット(実施例)を表1〜20に示し
た。
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】<実施例2-2,実施例2-3>実施例2-2
は、前記実施例2-1の浸透剤「トリエチレングリコール
モノブチルエーテル」に代えて「1,2−ヘキサンジオ
ール」(添加量:マゼンタ,シアン,イェローの各イン
クに3重量%)を用いた例であり、実施例2-3は、実施
例2-1の浸透剤「トリエチレングリコールモノブチルエ
ーテル」に更に「1,2−ヘキサンジオール」(添加
量:マゼンタ,シアン,イェローの各インクに3重量
%)を添加した例である。いずれの例も、浸透剤以外は
前記実施例2-1と同じである。
【0167】
【表3】
【0168】<実施例3-2,実施例3-3>実施例3-2
は、前記実施例3-1の浸透剤「トリエチレングリコール
モノブチルエーテル」に代えて「1,2−ヘキサンジオ
ール」(添加量:マゼンタ,シアン,イェローの各イン
クに3重量%)を用いた例であり、実施例3-3は、実施
例3-1の浸透剤「トリエチレングリコールモノブチルエ
ーテル」に更に「1,2−ヘキサンジオール」(添加
量:マゼンタ,シアン,イェローの各インクに3重量
%)を添加した例である。いずれの例も、浸透剤以外は
前記実施例3-1と同じである。
【0169】
【表4】
【0170】<実施例4-2,実施例4-3>実施例4-2
は、前記実施例4-1の浸透剤「トリエチレングリコール
モノブチルエーテル」に代えて「1,2−ヘキサンジオ
ール」(添加量:マゼンタ,シアン,イェローの各イン
クに3重量%)を用いた例であり、実施例4-3は、実施
例4-1の浸透剤「トリエチレングリコールモノブチルエ
ーテル」に更に「1,2−ヘキサンジオール」(添加
量:マゼンタ,シアン,イェローの各インクに3重量
%)を添加した例である。いずれの例も、浸透剤以外は
前記実施例4-1と同じである。
【0171】
【表5】
【0172】
【表6】
【0173】
【表7】
【0174】<実施例7-2,実施例7-3>実施例7-2
は、前記実施例7-1の浸透剤「トリエチレングリコール
モノブチルエーテル」に代えて「1,2−ヘキサンジオ
ール」(添加量:マゼンタ,シアン,イェローの各イン
クに3重量%)を用いた例であり、実施例7-3は、実施
例7-1の浸透剤「トリエチレングリコールモノブチルエ
ーテル」に更に「1,2−ヘキサンジオール」(添加
量:マゼンタ,シアン,イェローの各インクに3重量
%)を添加した例である。いずれの例も、浸透剤以外は
前記実施例7-1と同じである。
【0175】
【表8】
【0176】<実施例8-2,実施例8-3>実施例8-2
は、前記実施例8-1の浸透剤「トリエチレングリコール
モノブチルエーテル」に代えて「1,2−ヘキサンジオ
ール」(添加量:マゼンタ,シアン,イェローの各イン
クに3重量%)を用いた例であり、実施例8-3は、実施
例8-1の浸透剤「トリエチレングリコールモノブチルエ
ーテル」に更に「1,2−ヘキサンジオール」(添加
量:マゼンタ,シアン,イェローの各インクに3重量
%)を添加した例である。いずれの例も、浸透剤以外は
前記実施例8-1と同じである。
【0177】
【表9】
【0178】<実施例9-2,実施例9-3>実施例9-2
は、前記実施例9-1の浸透剤「トリエチレングリコール
モノブチルエーテル」に代えて「1,2−ヘキサンジオ
ール」(添加量:マゼンタ,シアン,イェローの各イン
クに3重量%)を用いた例であり、実施例9-3は、実施
例9-1の浸透剤「トリエチレングリコールモノブチルエ
ーテル」に更に「1,2−ヘキサンジオール」(添加
量:マゼンタ,シアン,イェローの各インクに3重量
%)を添加した例である。いずれの例も、浸透剤以外は
前記実施例9-1と同じである。
【0179】
【表10】
【0180】<実施例10-2,実施例10-3>実施例1
0-2は、前記実施例10-1の浸透剤「トリエチレングリ
コールモノブチルエーテル」に代えて「1,2−ヘキサ
ンジオール」(添加量:マゼンタ,シアン,イェローの
各インクに3重量%)を用いた例であり、実施例10-3
は、実施例10-1の浸透剤「トリエチレングリコールモ
ノブチルエーテル」に更に「1,2−ヘキサンジオー
ル」(添加量:マゼンタ,シアン,イェローの各インク
に3重量%)を添加した例である。いずれの例も、浸透
剤以外は前記実施例10-1と同じである。
【0181】
【表11】
【0182】<実施例11-2>実施例11-2は、前記実
施例11-1に、更に、糖として「マルチトール」を添加
した例である(添加量:マゼンタ,シアン,イェローの
各インクに3重量%)。
【0183】
【表12】
【0184】<実施例12-2,実施例12-3,実施例1
2-4>実施例12-2は、前記実施例12-1の浸透剤「ト
リエチレングリコールモノブチルエーテル」に代えて
「1,2−ヘキサンジオール」(添加量:マゼンタ,シ
アン,イェローの各インクに3重量%)を用いた例であ
り、実施例12-3は、実施例12-1の浸透剤「トリエチ
レングリコールモノブチルエーテル」に更に「1,2−
ヘキサンジオール」(添加量:マゼンタ,シアン,イェ
ローの各インクに3重量%)を添加した例である。いず
れの例も、浸透剤以外は前記実施例12-1と同じであ
る。また、実施例12-4は、前記実施例12-1に更に、
糖として「マルチトール」を添加した例である。(添加
量:マゼンタ,シアン,イェローの各インクに3重量
%)
【0185】
【表13】
【0186】<実施例13-2,実施例13-3,実施例1
3-4>実施例13-2は、前記実施例13-1の浸透剤「ト
リエチレングリコールモノブチルエーテル」に代えて
「1,2−ヘキサンジオール」(添加量:マゼンタ,シ
アン,イェローの各インクに3重量%)を用いた例であ
り、実施例13-3は、実施例13-1の浸透剤「トリエチ
レングリコールモノブチルエーテル」に更に「1,2−
ヘキサンジオール」(添加量:マゼンタ,シアン,イェ
ローの各インクに3重量%)を添加した例である。いず
れの例も、浸透剤以外は前記実施例13-1と同じであ
る。また、実施例13-4は、前記実施例13-1に更に、
糖として「マルチトール」を添加した例である。(添加
量:マゼンタ,シアン,イェローの各インクに3重量
%)
【0187】
【表14】
【0188】<実施例14-2,実施例14-3,実施例1
4-4>実施例14-2は、前記実施例14-1の浸透剤「ト
リエチレングリコールモノブチルエーテル」に代えて
「1,2−ヘキサンジオール」(添加量:マゼンタ,シ
アン,イェローの各インクに3重量%)を用いた例であ
り、実施例14-3は、実施例14-1の浸透剤「トリエチ
レングリコールモノブチルエーテル」に更に「1,2−
ヘキサンジオール」(添加量:マゼンタ,シアン,イェ
ローの各インクに3重量%)を添加した例である。いず
れの例も、浸透剤以外は前記実施例14-1と同じであ
る。また、実施例14-4は、前記実施例14-1に更に、
糖として「マルチトール」を添加した例である。(添加
量:マゼンタ,シアン,イェローの各インクに3重量
%)
【0189】
【表15】
【0190】<実施例15-2>実施例15-2は、前記実
施例15-1に、更に、糖として「マルチトール」を添加
した例である(添加量:マゼンタ,シアン,イェローの
各インクに3重量%)。
【0191】
【表16】
【0192】<実施例16-2>実施例16-2は、前記実
施例16-1に、更に、糖として「マルチトール」を添加
した例である(添加量:マゼンタ,シアン,イェローの
各インクに3重量%)。
【0193】
【表17】
【0194】<実施例17-2,実施例17-3,実施例1
7-4>実施例17-2は、前記実施例17-1の浸透剤「ト
リエチレングリコールモノブチルエーテル」に代えて
「1,2−ヘキサンジオール」(添加量:マゼンタ,シ
アン,イェローの各インクに3重量%)を用いた例であ
り、実施例17-3は、実施例17-1の浸透剤「トリエチ
レングリコールモノブチルエーテル」に更に「1,2−
ヘキサンジオール」(添加量:マゼンタ,シアン,イェ
ローの各インクに3重量%)を添加した例である。いず
れの例も、浸透剤以外は前記実施例17-1と同じであ
る。また、実施例17-4は、前記実施例17-1に更に、
糖として「マルチトール」を添加した例である。(添加
量:マゼンタ,シアン,イェローの各インクに3重量
%)
【0195】
【表18】
【0196】<実施例18-2,実施例18-3,実施例1
8-4>実施例18-2は、前記実施例18-1の浸透剤「ト
リエチレングリコールモノブチルエーテル」に代えて
「1,2−ヘキサンジオール」(添加量:マゼンタ,シ
アン,イェローの各インクに3重量%)を用いた例であ
り、実施例18-3は、実施例18-1の浸透剤「トリエチ
レングリコールモノブチルエーテル」に更に「1,2−
ヘキサンジオール」(添加量:マゼンタ,シアン,イェ
ローの各インクに3重量%)を添加した例である。いず
れの例も、浸透剤以外は前記実施例18-1と同じであ
る。また、実施例18-4は、前記実施例18-1に更に、
糖として「マルチトール」を添加した例である。(添加
量:マゼンタ,シアン,イェローの各インクに3重量
%)
【0197】
【表19】
【0198】<実施例19-2,実施例19-3,実施例1
9-4>実施例19-2は、前記実施例19-1の浸透剤「ト
リエチレングリコールモノブチルエーテル」に代えて
「1,2−ヘキサンジオール」(添加量:マゼンタ,シ
アン,イェローの各インクに3重量%)を用いた例であ
り、実施例19-3は、実施例19-1の浸透剤「トリエチ
レングリコールモノブチルエーテル」に更に「1,2−
ヘキサンジオール」(添加量:マゼンタ,シアン,イェ
ローの各インクに3重量%)を添加した例である。いず
れの例も、浸透剤以外は前記実施例19-1と同じであ
る。また、実施例19-4は、前記実施例19-1に更に、
糖として「マルチトール」を添加した例である。(添加
量:マゼンタ,シアン,イェローの各インクに3重量
%)
【0199】
【表20】
【0200】<実施例20-2,実施例20-3,実施例2
0-4>実施例20-2は、前記実施例20-1の浸透剤「ト
リエチレングリコールモノブチルエーテル」に代えて
「1,2−ヘキサンジオール」(添加量:マゼンタ,シ
アン,イェローの各インクに3重量%)を用いた例であ
り、実施例20-3は、実施例20-1の浸透剤「トリエチ
レングリコールモノブチルエーテル」に更に「1,2−
ヘキサンジオール」(添加量:マゼンタ,シアン,イェ
ローの各インクに3重量%)を添加した例である。いず
れの例も、浸透剤以外は前記実施例20-1と同じであ
る。また、実施例20-4は、前記実施例20-1に更に、
糖として「マルチトール」を添加した例である。(添加
量:マゼンタ,シアン,イェローの各インクに3重量
%)
【0201】なお、表1〜20中の数値は、いずれも
“重量%”を示す。また、各インクの表面張力は、自動
表面張力計CBVP−Z型(協和界面科学株式会社製)
で測定し、表1〜20中に表示した。
【0202】<比較例1>以下のブラックインク、マゼ
ンタインク、シアンインク、イェローインクからなるイ
ンクセットを比較例1とする。
【0203】(ブラックインク)カーボンブラック(ラ
ーベンC:コロンビアンカーボン株式会社製)7重量%
とスチレン−アクリル酸共重合体のアンモニウム塩(分
子量7000、ポリマー成分38%)1.4重量%と、
イオン交換水15重量%とを、サンドミル中で混合し、
2時間分散処理する。予め、グリセリン10重量%とエ
チレングリコール8重量%とトリエタノールアミン0.
9重量%とイオン交換水を残量分加えてインク溶媒を調
製しておく。これを、前記の調製した分散液に攪拌下に
徐々に滴下し、常温で充分に攪拌する。これを、1μm
のメンブランフィルターを通過させて、インク組成物を
得る。
【0204】(マゼンタインク)C.I.ピグメントレ
ッド122を8重量%とスチレン−アクリル酸共重合体
のアンモニウム塩(分子量7000、ポリマー成分38
%)1.6重量%と、イオン交換水15重量%とを、サ
ンドミル中で混合し、2時間分散処理する。予め、グリ
セリン10重量%、エチレングリコール8重量%、2−
ピロリドン2重量%、ノニオン性界面活性剤ノイゲンE
A160(第一工業製薬製)1重量%、トリエチレングリ
コールモノブチルエーテル5重量%、水酸化カリウム
0.1重量%とイオン交換水を残量分加えてインク溶媒
を調製しておく。これを、前記の調製した分散液に攪拌
下に徐々に滴下し、常温で充分に攪拌する。これを、1
μmのメンブランフィルターを通過させて、インク組成
物を得る。
【0205】(シアンインク,イェローインク)同様に
して、シアンインク(顔料:C.I.ピグメントブルー
15:3)及びイェローインク(顔料:C.I.ピグメ
ントイェロー151)を調製する。
【0206】[インク評価試験]前記実施例1〜10,
比較例1の各インクについて、次の評価試験(評価1〜
5)を行った。インク組成物の液滴を吐出して、該液滴
を記録媒体に付着させて記録物を得るインクジェット記
録方法によって得られた印刷物の評価を行った。具体的
には、インクジェットプリンタPM−760C(セイコ
ーエプソン株式会社製)に実施例1〜10,比較例1の
インクセットを装填し、720dpi×720dpi
で、以下に示す印刷用紙(普通紙)に印刷を行った。 Xerox P(ゼロックス株式会社) Ricopy 6200(リコー株式会社) Xerox 4024(ゼロックス株式会社) Neenah Bond(キンバリークラーク株式会
社) Xerox R(ゼロックス株式会社:再生紙)
【0207】<評価1:印字品質(滲み)>インクジェ
ットプリンタPM−760Cに実施例1〜10,比較例
1のインクセットを装填し、上記の印刷用紙(普通紙)
にイェローインクを付着させた後、その上にブラックイ
ンクを付着させて、文字(英文字24文字)を印刷し、
文字の滲みの程度を下記の基準で評価した。マゼンタイ
ンクおよびシアンインクについても同様の方法で行っ
た。 A:滲みの発生個数が240個未満である。 B:滲みの発生個数が240以上500個未満である。 C:滲みの発生個数が500個以上である。 その評価結果を表21に示す。
【0208】<評価2:カラーブリード>インクジェッ
トプリンタPM−760Cで、前記の印刷用紙に100
%dutyで、カラーインク(シアンインク、マゼンタ
インク、イェローインク)で印刷するのと同時にブラッ
クインクで文字を印刷し、文字の境界部分での不均一な
色の混じりの有無を下記の基準で評価した。 A:色の混じりがなく境界が鮮明である。 B:ひげ状に色の混じりが発生。 C:文字の輪郭がわからないほど色の混じりが発生。 その評価結果を表21に示す。
【0209】<評価3:OD値>評価1と同様の方法
で、前記の印刷用紙(普通紙)にイェローインクを付着
させた後、その上にブラックインクを付着させてベタ印
字を行い、ベタ部の反射OD値をマクベス濃度計PCM
II(マクベス社製)で測定し、下記の基準で評価し
た。 A:OD値が1.4以上 B:OD値が1.2以上1.4未満 C:OD値が1.2未満 その評価結果を表21に示す。
【0210】
【表21】
【0211】<評価4:吐出安定性>実施例1〜10,
比較例1の各インクについて、インクジェットプリンタ
PM−760C(セイコーエプソン株式会社製)を用い
て、Xerox P紙に連続で英数文字の印刷を行い、
ドット抜けやインク着弾位置ずれ等の印字の状態を目視
で観察し、下記の基準で評価した。 A:1000枚印字後もドット抜けやインク着弾位置ず
れ等がない。 B:100枚印字後にドット抜けやインク着弾位置ずれ
等がない。 C:100枚印字までにドット抜けやインク着弾位置ず
れ等の発生が見られる。その評価結果を表22,表23
に示す。
【0212】<評価5:分散安定性>実施例1〜10,
比較例1の各インクを、円筒型ガラス管(沈降管)に入
れ、密栓をして60℃で2週間放置して、顔料の沈降の
発生状況を調べた。また、同時に各インクをガラス製サ
ンプル瓶に入れ、密栓をして上記と同条件で放置して、
粘度変化を調べた。得られた結果を下記の基準で評価し
た。 A:粘度変化がなく、顔料の沈降も見られない。 B:顔料の沈降は見られないが、粘度が上昇している。 C:顔料が沈降している。 その評価結果を表22,表23に示す。
【0213】
【表22】
【0214】
【表23】
【0215】前記実施例11〜20,比較例1の各イン
クについて、前記と同じ試験法による“評価1:印字品
質(滲み),評価2:カラーブリード,評価3:OD値の
評価試験”を行った。また、次に示す耐擦性試験を行っ
た。それらの評価結果を表24に示す。
【0216】<評価6:耐擦性>前記評価1の方法で印
字した印刷物を24時間自然乾燥させた後、ゼブラ社製
イエロー水性蛍光ペン ZEBRA PEN2(商標)を
用いて、印刷文字を筆圧4.9×105 N/m2で擦
り、イエロー部の汚れの有無を目視で観察し、以下のよ
うに評価した。 A:3回擦っても全く汚れが生じない。 B:2回の擦りまでは汚れの発生ないが、3回目では汚
れの発生する用紙がある。 C:1回の擦りでは汚れの発生がないが、2回目の擦り
で汚れの発生する用紙がある。 D:1回の擦りで汚れの発生する用紙がある。
【0217】
【表24】
【0218】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したとおり、アニオ
ン性基を有する重合体で色材を包含した着色剤(また
は、アニオン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合
体で色材を包含した着色剤)と、水溶性有機溶媒と、水
とを少なくとも含んでなるインク組成物と、カチオン性
基を有する重合体で色材を包含した着色剤(または、カ
チオン性基を有し、且つ、架橋構造を有する重合体で色
材を包含した着色剤)と、水溶性有機溶媒と、水とを少
なくとも含んでなるインク組成物とからなることを特徴
とし、これにより、普通紙や再生紙等の記録媒体に対し
て、滲みやカラーブリード等がなく、高い印刷濃度を有
する発色性に優れた高品位の画像を得ることができる。
【0219】また、本発明は、前記インク組成物にさら
に、ポリマー微粒子(アニオン性ポリマー微粒子,カチ
オン性微粒子)を添加することを特徴とし、これによ
り、普通紙や再生紙のみならず、コート紙等の全ての記
録媒体に対して、滲みやカラーブリード等がなく、高い
印刷濃度を有する発色性に優れた高品位で、定着性およ
び耐擦過性に優れた画像を得ることができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA05 FC01 FC02 2H086 BA02 BA53 BA55 BA56 BA59 BA60 4J039 AD03 AD06 AD10 AD21 AD23 AE03 AE04 AE05 AE06 AE07 AE08 AE09 AE11 AE13 AF03 BA12 BC09 BC13 BE01 BE07 BE12 BE22 BE26 BE28 CA06 EA15 EA16 EA17 EA19 EA43 EA44 EA47 EA48 GA24

Claims (46)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アニオン性基を有する重合体で色材を包
    含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくとも
    含んでなる第1のインク組成物と、カチオン性基を有す
    る重合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒
    と、水とを少なくとも含んでなる第2のインク組成物と
    を、記録媒体上で接触させて凝集体を形成する工程を含
    んでなることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 【請求項2】 前記アニオン性基を有する重合体が、さ
    らに架橋構造を有する重合体であり、および/または、
    前記カチオン性基を有する重合体が、さらに架橋構造を
    有する重合体である、請求項1に記載のインクジェット
    記録方法。
  3. 【請求項3】 前記第1のインク組成物にアニオン性ポ
    リマー微粒子を、および/または、前記第2のインク組
    成物にカチオン性ポリマー微粒子をさらに含んでなる、
    請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録方
    法。
  4. 【請求項4】 前記アニオン性ポリマー微粒子およびカ
    チオン性ポリマー微粒子が、造膜性を有するものであ
    る、請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 【請求項5】 前記アニオン性ポリマー微粒子およびカ
    チオン性ポリマー微粒子のガラス転移点が、30℃以下
    である、請求項3または請求項4に記載のインクジェッ
    ト記録方法。
  6. 【請求項6】 前記アニオン性基が、スルホン基、スル
    ホン酸基、ホスホ基、カルボキシル基、カルボニル基、
    およびこれらの塩からなる群から選択されるものであ
    る、請求項1または請求項2に記載のインクジェット記
    録方法。
  7. 【請求項7】 前記カチオン性基が、第一脂肪アミン
    塩、第二脂肪アミン塩、第三脂肪アミン塩、第4級アン
    モニウム塩からなる群から選択されるものである、請求
    項1または請求項2に記載のインクジェット記録方法。
  8. 【請求項8】 前記重合体が、ビニル系重合体、ポリ
    (メタ)アクリル酸エステル、スチレン−(メタ)アクリル
    酸共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、
    ポリウレタン、アミノ系重合体、含珪素ポリマー、含硫
    黄ポリマー、含フッ素ポリマー、エポキシ系樹脂からな
    る群から選ばれた1種以上を主成分とする、請求項1ま
    たは請求項2に記載のインクジェット記録方法。
  9. 【請求項9】 前記アニオン性基を有する重合体で色材
    を包含した着色剤、または、前記さらに架橋構造を有す
    る重合体で色材を包含した着色剤が、色材をアニオン性
    基および重合性基を有する分散剤で水に分散させた後
    に、重合開始剤の存在下で少なくとも架橋性モノマーと
    ともに乳化重合を行うことによって得られたものであ
    る、請求項1または請求項2に記載のインクジェット記
    録方法。
  10. 【請求項10】 前記カチオン性基を有する重合体で色
    材を包含した着色剤、または、前記さらに架橋構造を有
    する重合体で色材を包含した着色剤が、色材をカチオン
    性基および重合性基を有する分散剤で水に分散させた後
    に、重合開始剤の存在下で少なくとも共重合性モノマー
    とともに乳化重合を行うことによって得られたものであ
    る、請求項1または請求項2に記載のインクジェット記
    録方法。
  11. 【請求項11】 前記重合性基が、不飽和炭化水素基で
    ある、請求項9または請求項10に記載のインクジェッ
    ト記録方法。
  12. 【請求項12】 前記不飽和炭化水素基が、ビニル基、
    アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペ
    ニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から1種
    以上選択される、請求項11に記載のインクジェット記
    録方法。
  13. 【請求項13】 前記重合性基を有する分散剤が、重合
    性界面活性剤である、請求項9または請求項10に記載
    のインクジェット記録方法。
  14. 【請求項14】 前記色材が、顔料又は油溶性染料であ
    る、請求項1または請求項9,10の何れか一項に記載
    のインクジェット記録方法。
  15. 【請求項15】 アニオン性基を有する重合体で色材を
    包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくと
    も含んでなるカラーインク組成物と、カチオン性基を有
    する重合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒
    と、水とを少なくとも含んでなるブラックインク組成物
    とからなることを特徴とするインクジェト記録用インク
    セット。
  16. 【請求項16】 前記アニオン性基を有する重合体が、
    さらに架橋構造を有する重合体であり、および/また
    は、前記カチオン性基を有する重合体が、さらに架橋構
    造を有する重合体である、請求項15に記載のインクジ
    ェット記録用インクセット。
  17. 【請求項17】 前記カラーインク組成物にアニオン性
    ポリマー微粒子を、および/または、前記ブラックイン
    ク組成物にカチオン性ポリマー微粒子をさらに含んでな
    る、請求項15または請求項16に記載のインクジェト
    記録用インクセット。
  18. 【請求項18】 前記カラーインク組成物に、アニオン
    性および/またはノニオン性界面活性剤をさらに含んで
    なる、請求項15〜17の何れか一項に記載のインクジ
    ェト記録用インクセット。
  19. 【請求項19】 前記カラーインク組成物に、アセチレ
    ングリコール系界面活性剤をさらに含んでなる、請求項
    15〜17の何れか一項に記載のインクジェト記録用イ
    ンクセット。
  20. 【請求項20】 前記カラーインク組成物に、グリコー
    ルエーテル類をさらに含んでなる、請求項15〜17の
    何れか一項に記載のインクジェト記録用インクセット。
  21. 【請求項21】 前記カラーインク組成物に、1,2−
    アルキレングリコールをさらに含んでなる、請求項15
    〜17の何れか一項に記載のインクジェト記録用インク
    セット。
  22. 【請求項22】 前記カラーインク組成物に、アニオン
    性および/またはノニオン性界面活性剤と、グリコール
    エーテル類および/または1,2−アルキレングリコー
    ルとをさらに含んでなる、請求項15〜17の何れか一
    項に記載のインクジェト記録用インクセット。
  23. 【請求項23】 前記カラーインク組成物に、アセチレ
    ングリコール系界面活性剤と、グリコールエーテル類お
    よび/または1,2−アルキレングリコールとをさらに
    含んでなる、請求項15〜17の何れか一項に記載のイ
    ンクジェト記録用インクセット。
  24. 【請求項24】 カチオン性基を有する重合体で色材を
    包含した着色剤と、水溶性有機溶媒と、水とを少なくと
    も含んでなるカラーインク組成物と、アニオン性基を有
    する重合体で色材を包含した着色剤と、水溶性有機溶媒
    と、水とを少なくとも含んでなるブラックインク組成物
    とからなることを特徴とするインクジェト記録用インク
    セット。
  25. 【請求項25】 前記カチオン性基を有する重合体が、
    さらに架橋構造を有する重合体であり、および/また
    は、前記アニオン性基を有する重合体が、さらに架橋構
    造を有する重合体である、請求項24に記載のインクジ
    ェット記録用インクセット。
  26. 【請求項26】 前記カラーインク組成物にカチオン性
    ポリマー微粒子を、および/または、前記ブラックイン
    ク組成物にアニオン性ポリマー微粒子をさらに含んでな
    る、請求項24または請求項25に記載のインクジェト
    記録用インクセット。
  27. 【請求項27】 前記カラーインク組成物に、カチオン
    性および/またはノニオン性界面活性剤をさらに含んで
    なる、請求項24〜26の何れか一項に記載のインクジ
    ェト記録用インクセット。
  28. 【請求項28】 前記カラーインク組成物に、アセチレ
    ングリコール系界面活性剤をさらに含んでなる、請求項
    24〜26の何れか一項に記載のインクジェト記録用イ
    ンクセット。
  29. 【請求項29】 前記カラーインク組成物に、グリコー
    ルエーテル類をさらに含んでなる、請求項24〜26の
    何れか一項に記載のインクジェト記録用インクセット。
  30. 【請求項30】 前記カラーインク組成物に、1,2−
    アルキレングリコールをさらに含んでなる、請求項24
    〜26の何れか一項に記載のインクジェト記録用インク
    セット。
  31. 【請求項31】 前記カラーインク組成物に、カチオン
    性および/またはノニオン性界面活性剤と、グリコール
    エーテル類および/または1,2−アルキレングリコー
    ルとをさらに含んでなる、請求項24〜26の何れか一
    項に記載のインクジェト記録用インクセット。
  32. 【請求項32】 前記カラーインク組成物に、アセチレ
    ングリコール系界面活性剤とグリコールエーテル類およ
    び/または1,2−アルキレングリコールとをさらに含
    んでなる、請求項24〜26の何れか一項に記載のイン
    クジェト記録用インクセット。
  33. 【請求項33】 前記カラーインクが、イェローイン
    ク、マゼンタインク、シアンインクである、請求項15
    〜32の何れか一項に記載のインクジェト記録用インク
    セット。
  34. 【請求項34】 前記カラーインクが、イェローイン
    ク、マゼンタインク、ライトマゼンタインク、シアンイ
    ンク、ライトシアンインクである、請求項15〜32の
    何れか一項に記載のインクジェト記録用インクセット。
  35. 【請求項35】 前記ブラックインクの表面張力が、4
    5〜60mN/mの範囲であり、前記カラーインクの表
    面張力が25〜45mN/mの範囲である、請求項15
    または請求項24に記載のインクジェト記録用インクセ
    ット。
  36. 【請求項36】 前記アニオン性基が、スルホン基、ス
    ルホン酸基、ホスホ基、カルボキシル基、カルボニル
    基、およびこれらの塩からなる群から選択されるもので
    ある、請求項15,16または請求項24,25の何れ
    か一項に記載のインクジェト記録用インクセット。
  37. 【請求項37】 前記カチオン性基が、第一脂肪アミン
    塩、第二脂肪アミン塩、第三脂肪アミン塩、第4級アン
    モニウム塩からなる群から選択されるものである、請求
    項15,16または請求項24,25の何れか一項に記
    載のインクジェト記録用インクセット。
  38. 【請求項38】 前記重合体が、ビニル系重合体、ポリ
    (メタ)アクリル酸エステル、スチレン−(メタ)アクリル
    酸共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、
    ポリウレタン、アミノ系重合体、含珪素ポリマー、含硫
    黄ポリマー、含フッ素ポリマー、エポキシ系樹脂からな
    る群から選ばれた1種以上を主成分とする、請求項1
    5,16または請求項24,25の何れか一項に記載の
    インクジェト記録用インクセット。
  39. 【請求項39】 前記アニオン性基を有する重合体で色
    材を包含した着色剤、または、前記さらに架橋構造を有
    する重合体で色材を包含した着色剤が、色材をアニオン
    性基および重合性基を有する分散剤で色材を水に分散さ
    せた後に、重合開始剤の存在下で少なくとも共重合性モ
    ノマーとともに乳化重合を行うことによって得られたも
    のである、請求項15,16または請求項24,25の
    何れか一項に記載のインクジェト記録用インクセット。
  40. 【請求項40】 前記カチオン性基を有する重合体で色
    材を包含した着色剤、または、前記さらに架橋構造を有
    する重合体で色材を包含した着色剤が、色材をカチオン
    性基および重合性基を有する分散剤で色材を水に分散さ
    せた後に、重合開始剤の存在下で少なくとも共重合性モ
    ノマーとともに乳化重合を行うことによって得られたも
    のである、請求項15,16または請求項24,25の
    何れか一項に記載のインクジェト記録用インクセット。
  41. 【請求項41】 前記重合性基が、不飽和炭化水素基で
    ある、請求項39または請求項40に記載のインクジェ
    ト記録用インクセット。
  42. 【請求項42】 前記不飽和炭化水素基が、ビニル基、
    アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペ
    ニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群から1種
    以上選択される、請求項41に記載のインクジェト記録
    用インクセット。
  43. 【請求項43】 前記重合性基を有する分散剤が、重合
    性界面活性剤である、請求項39または請求項40の何
    れか一項に記載のインクジェト記録用インクセット。
  44. 【請求項44】 前記アニオン性ポリマー微粒子および
    カチオン性ポリマー微粒子が、造膜性を有するものであ
    る、請求項17または請求項26に記載のインクジェト
    記録用インクセット。
  45. 【請求項45】 前記アニオン性ポリマー微粒子および
    カチオン性ポリマー微粒子のガラス転移点が、30℃以
    下である、請求項17,請求項26,請求項44の何れ
    か一項に記載のインクジェト記録用インクセット。
  46. 【請求項46】 前記色材が、顔料又は油溶性染料であ
    る、請求項15,請求項24,請求項39,請求項40
    の何れか一項に記載のインクジェト記録用インクセッ
    ト。
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