JP4711599B2 - 官能基化された短いカーボンナノチューブの製造方法および該方法により得られる官能基化された短いカーボンナノチューブ - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明はカーボンナノチューブの分野に関する。より詳細には、本発明は、短いカーボンナノチューブと呼ばれる材料に関する。
【0002】
技術水準
カーボンナノチューブは、最初、フラーレン合成の副生成物として1991年にイイジマによって観察された(S.Iijima、Nature、354、56〜58(1991))。典型的には、ナノチューブは、両端がキャップされている同心円状カーボンチューブの多層(通常、2〜50)からなる。チューブは、チューブ端部などの半径曲率が小さい領域に五角形が集中している、六角形および五角形に配置された炭素原子のシートから組み立てられている。チューブは、50nmまでの断面で、典型的には長さが100μm〜200μmである中空のコアを含む。従って、単層チューブもまた見出されている。
【0003】
カーボンナノチューブが、例えば、アーク放電によって、または炭化水素の陰極分解によって、またはレーザー剥離によって大規模に製造できることと一緒になって、それらの顕著な機械的性質および電気的性質により、カーボンナノチューブが現在広範囲に研究されている理由が説明される。
【0004】
ナノチューブは、潜在的には、様々な用途分野で、例えば、電界放射(Q.H.Wang他、Appl.Phys.Lett.72、2912〜2913(1998))、電気伝導性および熱伝導性(R.Andrews他、Appl.Phys.Lett.75、1329〜1331(1999))、水素貯蔵および分子ふるいなどにおいて使用することができる。
【0005】
水素貯蔵および分子ふるいなどの用途の場合、拡散が制限されることの様々な問題が、ナノチューブを使用したときに生じたことが明らかにされている(C.Liu他、Science、286、1127〜1129(1999);M.S.Dresselhaus他、MRS Bulletin、24(第11号)、45〜50(1999))。これらの問題を克服するために、開いた端部を有する短いナノチューブ(理想的には1μm未満)の使用が提案されている。1つの解決法は、そのような短いナノチューブを長いカーボンナノチューブから製造することであると考えられる。しかし、そのような短いナノチューブの製造は大きい課題を表している。これは、最近の議論は、応力が加えられたとき、ナノチューブは柔軟かつ抵抗性であることを示しているからである(H.Dai他、Nature、384、147〜150(1996);M.M.J.Treacy他、Nature、381、678〜680(1996);S.S.Wong他、J.Am.Chem.Soc.120、8557〜8558(1998);T.Kuzumaki他、J.Mater.Res.13、2445〜2449(1998))。
【0006】
ナノチューブの切断を、超音波を使用して行う方法(K.L.Lu他、Carbon、34、814〜816(1996);K.B.Shelimov他、Chem.Phys.Lett.282、429〜434(1998);J.Liu他、Science、280、1253〜1256(1998))、またはSTM電圧を使用して行う方法(L.C.Venema他、Appl.Phys.Lett.71、2629〜2631(1999))が提案されている。それにもかかわらず、これらの技術はミリグラム規模の製造に限られる。そのうえ、超音波処理後に得られるカーボンナノチューブのサンプルは、長さが比較的不均一であり、ほんの少量の短いカーボンナノチューブを含有するだけであり、一方、STM電圧法では、短いカーボンナノチューブが得られるが、先端が閉じている。さらに、ボールミル粉砕を使用してカーボンナノチューブを切断する方法もまた提案されているが、ナノ粒子(Y.B.Li他、Carbon、37、493〜497(1999))、ナノポーラスカーボン(Y.Chen他、Appl.Phys.Lett.74、2782〜2784(1999))または湾曲したナノ構造体(J.Y.Huang他、Chem.Phys.Lett.303、130〜134(1999))を製造するために提案されているにすぎない。具体的には、Y.B.Li他Carbon、37、493〜497(1999)によって記載されるボールミル粉砕法では、直径が約1μmの球および鉄粒子が使用されている。
【0007】
さらに、様々な用途のためには、官能基化されたカーボンナノチューブ、特に、短い官能基化されたカーボンナノチューブを提供することが特に注目されている。例えば、この官能基化により、カーボンナノチューブを特定のポリマーに連結することによる複合材料の工業的製造が可能になり得る。カーボンナノチューブの物理的性質および機械的性質の増強もまた、そのような官能基化によって達成され得る。一例として、ナノチューブのガス貯蔵性を、ファンデルワールス相互作用により引き起こされるナノチューブの自然の凝集を制限することによって増強することができ、その結果、ナノチューブの内側表面だけでなく、その外側表面においてもまた、水素またはメタンなどのガスをより効率的に吸着させることができる。
【0008】
しかし、現在では、化学的な官能基化方法のほんの少数の例が記載されているだけである(J.Chen他、Science、282、95〜98(1998);Y.Chen他、J.Mater.Res.13、2423〜2431(1998);M.A.Hamon他、Adv.Mater.11、834〜840(1990);A.Hiroki他、J.Phys.Chem.B103、8116〜8121(1999))。従って、官能基化された短いカーボンナノチューブを大規模に製造するための方法が依然として求められている。
【0009】
発明の目的
本発明は、官能基化された(functionalised)短いカーボンナノチューブを製造するための方法を提供することを目的とする。
【0010】
具体的には、本発明は、開いた先端を有する短い官能基化されたカーボンナノチューブをグラム規模またはそれよりも大きい規模で製造するための方法を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の別の目的は、長いナノチューブの構造と比較して、その構造が全体的に保存されている短い官能基化されたカーボンナノチューブを製造するための方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、今日までに得られている収率と比較して、増大した収率で、開いた先端を有する短い官能基化されたカーボンナノチューブを製造するための方法を提供することである。
【0013】
本発明はまた、容易かつ迅速に行うことができる、短い官能基化されたカーボンナノチューブを製造するための方法を提供することを目的とする。
【0014】
発明の要約
本発明は、少なくとも1つの開いた先端を有する官能基化された短いカーボンナノチューブを長いカーボンナノチューブの機械的処理によって製造するための方法に関する。この場合、長いナノチューブは、少なくとも1つの特定の化学基を含む短いカーボンナノチューブが得られるようにナノチューブと化学的に反応し得る反応剤の存在下での機械的粉砕力を受ける。
【0015】
用語「機械的粉砕力」は、化学的処理および電気的処理(STM電圧など)とは対照的に、長いカーボンナノチューブを、少なくとも1つの開いた先端を有する短いカーボンナノチューブに粉砕することができるすべての機械的力を示すことを理解しなければならない。そのような機械的粉砕力の例には、衝撃力、摩擦力、剪断力、圧力による力、または切断力がある。
【0016】
好ましくは、本発明は、少なくとも1つの開いた先端を有する官能基化された短いカーボンナノチューブを長いカーボンナノチューブの機械的処理によって製造するための方法であって、官能基化された短いカーボンナノチューブが得られるように反応剤の存在下で衝撃力に前記の長いナノチューブを供する工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【0017】
好ましくは、反応剤は、処理時の温度および圧力に依存して、液体物、固体物および気体物からなる群から選択される。
【0018】
好ましくは、前記の方法は下記の工程を含む:
−1%から100%までその純度が変化する長いカーボンナノチューブを含有する粉末を作製する工程;
−長さが1mmを越える(好ましくは、長さが2cmを越える)1つまたは数個の固体粒子を含有するボールミル粉砕装置に前記粉末を導入する工程;
−水を除去する工程;
−特定の長さを有する短いナノチューブの特定の割合を含有する混合物が得られるように、十分な反応剤を導入しながら、前記ボールミル粉砕装置で前記粉末を十分な時間にわたって粉砕する工程;
−潜在的に過剰な反応剤を除去する工程。
【0019】
好ましくは、反応剤は、空気、H2、H2O、NH3、R−NH2、F2、Cl2、Br2、I2、S8、アルコール、チオール、酸、塩基、エステル、過酸、過酸化物、CO、COCl2およびSOCl2からなる群から選択される。
【0020】
好ましくは、製造される短いカーボンナノチューブに導入される化学基または官能基は、SH、NH2、NHCO、OH、COOH、F、Br、Cl、I、H、R−NH、R−O、R−S、CO、COClおよびSOClからなる群から選択される。
【0021】
好ましくは、潜在的に過剰な反応剤ガスは、窒素雰囲気のもとで加熱することによって除去されるか、または真空にさらすことによって除去される。
【0022】
好ましくは、ミル粉砕装置に含まれる固体粒子は球である。
【0023】
好ましくは、粉砕速度および粉砕の垂直振動強度は、それぞれ、3000振動/分〜6000振動/分および0mm〜3mmの範囲内に含まれる。
【0024】
好ましくは、粉砕時間は10−3h〜103hの間に含まれる。
【0025】
粉砕プロセスは連続的または断続的であってもよい。
【0026】
好ましくは、長いカーボンナノチューブは、少なくとも1つの金属を含有する担体上において合成され、前記長いカーボンナノチューブは、粉砕に供される前に前記担体を溶解することによって精製される。
【0027】
好ましくは、前記溶解は、0℃〜100℃の間に含まれる温度での高濃度酸性溶液における第1の溶解、および100℃〜250℃の間に含まれる温度での高濃度塩基性溶液(好ましくは、NaOHの高濃度溶液)における第2の溶解からなる。第1の溶解は、第2の溶解の前または第2の溶解の後のいずれでも行うことができる。
【0028】
好ましくは、粉砕は、液体状態または凍結状態であり得る溶媒(H2O、液体窒素または有機溶媒など)の存在下で行われる。
【0029】
好ましくは、長いカーボンナノチューブは、酸溶液または塩基溶液による少なくとも1回の前処理に供され、その後、最後には乾燥される。
【0030】
好ましくは、長いカーボンナノチューブはまた、溶液中、または100℃を越える温度での気相中における酸化剤による少なくとも1回の酸化的前処理に供される。
【0031】
長いカーボンナノチューブはまた、400℃を越える温度での水素含有ガス混合物による少なくとも1回の還元的前処理に供することができる。
【0032】
好ましくは、本発明による方法はさらに、最終的に得られる官能基化された短いカーボンナノチューブを、従来的な精製方法によって、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィーによって、それらの長さに従って精製することを含む。
【0033】
本発明の方法に従って最終的に得られる混合物に含有される官能基化された短いナノチューブの割合は1%〜100%の間に含まれる。
【0034】
さらに、本発明の方法に従って最終的に得られる混合物に含有される官能基化された短いナノチューブの長さは50μm未満であり、好ましくは2μm未満である。
【0035】
好ましくは、本発明による方法によって処理される長いカーボンナノチューブの長さは1μm〜500μmの間に含まれる。
【0036】
長いカーボンナノチューブは単層の長いカーボンナノチューブまたは多層の長いカーボンナノチューブまたはそれらの混合物であり得る。
【0037】
さらに、本発明はまた、粉砕時に得られる短いカーボンナノチューブに少なくとも1つの特定の化学基が導入され得るように反応剤の存在下での機械的粉砕力に長いナノチューブが供される方法によって得ることができる官能基化された短いカーボンナノチューブに関する。
【0038】
本発明はまた、上記に記載された方法のいずれかによって得ることができる官能基化された短いカーボンナノチューブに関する。
【0039】
最後に、本発明はまた、長いナノチューブと、少なくとも10%の官能基化された短いカーボンナノチューブとを含む混合物に関する。この場合、官能基化された短いカーボンナノチューブは、少なくとも1つの開いた先端を有しており、平均長さが50μm未満であり、好ましくは2μm未満である。
【0040】
発明の好ましい実施形態の説明
表現「開いた先端」は、ナノチューブの中空コアがナノチューブの先端で開いていること(従って、小さい分子が進入できること)を意味することに留意しなければならない。
【0041】
用語「SWNT」は単層カーボンナノチューブの略号であり、一方、用語「MWNT」は多層カーボンナノチューブの略号である。
【0042】
SEMおよびTEMは、それぞれ、走査電子顕微鏡および透過電子顕微鏡を示す。
【0043】
下記において使用される表現「薄いMWNT」は、平均内径/外径が4/15nmであるMWNTを示す。
【0044】
下記において使用される表現「厚いMWNT」は、平均内径/外径が6/25nmであるMWNTを示す。
【0045】
下記に記載される図および実験では、ボールミル粉砕時に使用される反応剤は、特に指定されない場合、湿った空気に由来するH2Oであることに留意しなければならない。
【0046】
図1aは、本発明によるボールミル粉砕を行う前の薄いMWNTの低倍率のTEM像を表す。
【0047】
図1bおよび図1cは、湿った空気に由来するH2Oの存在下で本発明に従って12時間のボールミル粉砕を行った後の薄いMWNTの低倍率のTEM像を表す。
【0048】
図1dは、本発明によるボールミル粉砕を行う前の厚いMWNTの低倍率のTEM像を表す。
【0049】
図1eおよび図1fは、本発明に従って120時間のボールミル粉砕を行った後の厚いMWNTの低倍率のTEM像を表す。
【0050】
図2a〜図2fは、図2a、図2b、図2c、図2d、図2eおよび図2fについて、それぞれ、12時間、10時間、8時間、6時間、4時間および2時間の本発明に従ったボールミル粉砕時間について薄いMWNTの長さ分布を表す。
【0051】
図3a〜図3eは、図3a、図3b、図3c、図3dおよび図3eについて、それぞれ、120時間、36時間、16時間、4時間および1時間の本発明に従ったボールミル粉砕時間について厚いMWNTの長さ分布を表す。
【0052】
図4aおよび図4bは、それぞれ、薄いMWNTおよび厚いMWNTについて、本発明により得られるカーボンナノチューブの平均長さの時間的変化を表す。
【0053】
図5a〜図5cは、本発明の方法に従って異なるボールミル粉砕時間の前(曲線A)およびその後(曲線B)における異なるタイプのカーボンナノチューブのX線回折パターンを表す。
【0054】
図5aは、8時間のボールミル粉砕の前(曲線A)およびその後(曲線B)におけるSWNTの回折パターンを表す。
【0055】
図5bは、12時間のボールミル粉砕の前(曲線A)およびその後(曲線B)における薄いMWNTの回折パターンを表す。
【0056】
図5cは、120時間のボールミル粉砕の前(曲線A)およびその後(曲線B)における厚いMWNTの回折パターンを表す。
【0057】
図6は、本発明に従った120時間のボールミル粉砕の後の短い厚いMWNTの高分解能のTEM像を表す。
【0058】
図7は、本発明に従った12時間のボールミル粉砕の後の10mgの薄いMWNTに対して行われたサイズ排除クロマトグラフィーによって得られた溶出プロフィルを表す。
【0059】
図8a〜図8dは、本発明に従った12時間のボールミル粉砕の後の薄いMWNTのTEM像を表す。
【0060】
図8aは、本発明の方法に従ってサイズ排除クロマトグラフィーにより分離される前の薄いMWNTのTEM像を表す。
【0061】
図8b〜図8dは、本発明の方法に従ってサイズ排除クロマトグラフィーにより分離された薄いMWNTのTEM像を表しており、溶出容量は、図8b、図8cおよび図8dについて、それぞれ、7.5ml(溶出プロフィルの画分2)、39ml(溶出プロフィルの画分9)および48ml(溶出プロフィルの画分11)である。
【0062】
図9aは、ボールミル粉砕を行う前の精製された薄いMWNTのC1sXPSスペクトルのデコンボリューションを表す。
【0063】
図9bは、NH3存在下でのボールミル粉砕に供された精製後の薄いMWNTのC1sXPSスペクトルのデコンボリューションを表す。
【0064】
図10aは、H2S存在下でのボールミル粉砕に供された薄いMWNTのS2pXPSスペクトルのデコンボリューションを表す。
【0065】
図10bは、NH3存在下でのボールミル粉砕に供された薄いMWNTのN1 sXPSスペクトルのデコンボリューションを表す。
【0066】
発明の好ましい実施態様の説明
長いカーボンナノチューブの製造
知られている方法に従って、単層カーボンナノチューブ(SWNT)および多層カーボンナノチューブ(MWNT)が、担持された触媒を使用する炭化水素の接触分解によって最初に調製された。担持された触媒は、担体に「担持された」少なくとも1つの金属から構成される。担体は、例えば、ゼオライト(NaY、NaXまたはZSM−5など)、酸化物(MgO、Al2O3またはSiO2など)、酸化物の混合物、またはクレーであり得る。
【0067】
担持された触媒を調製するために、含浸法が、Co、Fe、Ni、VおよびMoの単独については5%wt%の好ましい濃度を用いて、そしてCo/Fe、Co/Ni、Co/VおよびCo/Moについては2.5/2.5wt%の好ましい濃度を用いて行われた。しかし、少なくとも1つの金属から構成される5wt%未満の総金属濃度または5wt%を越える総金属濃度もまた、SWNTおよびMWNTを製造するために使用することができる。
【0068】
MWNTを製造するための担持された触媒は、P.Piedigrosso他、Phys.Chem.Chem.Phys.2、163〜170(2000);I.Willems他、Chem.Phys.Lett.317、71〜76(2000);K.Hernadi他、Zeolites、17、416〜423(1996)によって以前に記載された知られているプロセスに従って調製されたことには留意しなければならない。
【0069】
SWNTを製造するための担持された触媒は、J.−F.Colomer他、Chem.Commun.1343〜1344(1999)およびJ.−F.Colomer他、Chem.Phys.Lett.317、83〜89(2000)によって以前に記載された知られているプロセスに従って調製された。
【0070】
長いMWNTの製造は、30ml/分のアセチレン流またはエチレン流およびキャリアガスとしての300ml/分のN2を使用して700℃で1時間にわたって行われた。
【0071】
長いSWNTの製造は、80ml/分のメタン流またはエチレン流およびキャリアガスとしての300ml/分のH2を使用して1000℃または1080℃で10分間にわたって行われた。
【0072】
Co/NaYゼオライト(5/95wt%)で最終的に合成された長いMWNTは、平均内径/外径が6/25nmで、長さが50μmであるナノチューブであった。これは、以降、「長い厚いMWNT」と呼ばれる。
【0073】
Co/Fe/NaYゼオライト(2.5/2.5/95wt%)で最終的に合成された長いMWNTは、平均内径/外径が4/15nmで、長さが50μmであるナノチューブであった。これは、以降、「長い薄いMWNT」と呼ばれる。
【0074】
Co/Fe/Al2O3ゼオライト(1.6/1.6/95.8wt%)で最終的に合成された長いMWNTは、平均内径/外径が5/10nmで、長さが10μmであるナノチューブであった。これは、以降、「長い非常に薄いMWNT」と呼ばれる。
【0075】
Co/MgO(2.5/97.5wt%)でメタンを接触分解することにより最終的に合成された長いSWNTは、平均直径が2nmで、長さが10μmであるナノチューブであった。これは、以降、「長いSWNT」と呼ばれる。
【0076】
金属(1つまたは複数)/担体(担体は、Al2O3、SiO2またはゼオライトである)で合成された長いMWNTは、その後、2工程のプロセスに従って精製された。最初の工程において、熱分解炭素が混入しているMWNTを得るために、金属が高濃度の酸溶液(濃HCl)に溶解され、その後、担体が高温(100℃〜250℃)で高濃度のNaOH溶液(40wt%)に溶解された。担体がゼオライトであるとき、代わりの最初の工程は、熱分解炭素が混入しているMWNTを得るために、ゼオライトおよび金属を高濃度のHF(38wt%)に溶解することである。第2の工程において、熱分解炭素が、K.Hernadi他、Zeolites、17、416〜423(1996)により開示されるようなKMnO4/H2SO4水性酸化法に従って除去された。この場合、KMnO4の量は、長い薄いMWNTおよび長い厚いMWNTに対して、それぞれ、0.2当量および0.3当量である。
【0077】
金属(1つまたは複数)/MgOで合成された長いSWNTは、その後、包み込まれた金属ナノ粒子が混入しているSWNTを得るために、金属(1つまたは複数)/MgOを濃HCl(37wt%)溶液に溶解することによって精製された。
【0078】
パートI.反応剤として湿った空気に由来するH2Oを使用する官能基化された短いカーボンナノチューブの製造
本発明の好ましい実施形態によれば、出発物質は、長い厚いMWNT、長い薄いMWNT、長い非常に薄いMWNTまたは長いSWNTを含有する繊維状製造物または粒状製造物または凝集した製造物である。SWNTは単離されるか、または塊状である。
【0079】
粉末が、めのう皿(直径5cm)を含み、商品名「Pulverisette0」(FRITSCH社、ドイツ)で市販されているボールミル粉砕装置に導入された。ボールミル粉砕は、3mmの振幅(垂直振動強度)および3000振動/分の速度で行われた。圧力は湿った空気の1barであった。
【0080】
この実施形態での粉砕は連続的であるが、断続的な粉砕もまた可能であることに留意しなければならない。
【0081】
この実施形態において、ナノチューブを破砕するためにサンプルに加えられる機械的処理には衝撃力が使用される。他のタイプの機械的処理を使用することができ、例えば、摩擦力、剪断力、圧力による力、または切断力などを使用することができる。
【0082】
しかし、1個の球、または究極的には異なる大きさの数個の球によってもたらされる衝撃力の作用は好ましい機械的処理である。さらに、前記球は、例えば、ステンレス鋼のような、めのう以外の物質から作製することができる。
【0083】
ナノチューブに対するボールミル粉砕の効果
上記に記載される方法によるナノチューブに対するボールミル粉砕の効果は、CuRα放射線(1.5418Å)を使用するPW3710BASED回折計(Philips)で行われたX線回折測定から、そしてTecnai10(Philips)顕微鏡を用いて得られる透過電子顕微鏡像から分析された。TEM用グリッドを調製するために、1mgのサンプルを20mlのトルエンに分散させ、続いて2分間の超音波処理を行った。その後、1滴を、フォームバル(formvar)と呼ばれるビニルポリマーで覆われたCu/Rhグリッドに落とし、グリッドを真空下で一晩乾燥させた。
【0084】
1.直接的な観察
異なるボールミル粉砕時間について撮影されたTEM像が薄いMWNTおよび厚いMWNTの両方について図1a〜図1fに示されている。これらの像は、ボールミル粉砕時間が増大したとき、ナノチューブの長さが低下していることを示している。
【0085】
さらに、厚いMWNTの場合には特に、ナノチューブが接着して塊を形成していることが、図1eおよび図1fに例示されるように120時間のボールミル粉砕の後に認められる。この現象は、母材の長いナノチューブの場合に限定されており、短い薄いMWNTについては認められなかった。これらの違いは、異なるタイプのナノチューブの間における形状の違いによって説明することができる。実際、短い厚いMWNTの断面は直線的であり、一方、母材の長いナノチューブ(図1a〜1bを参照のこと)および短い薄いMWNT(図1cを参照のこと)は湾曲した形状を有しており、このため、それらの接着能が制限されている。
【0086】
図1a〜図1fに示されるような短い薄いMWNTおよび厚いMWNTを比較したとき、短い厚いMWNTは、連続した形状を伴ってそれぞれ異なっており、一方、短い厚いMWNTはほとんどが、約50nm〜100nmのいくつかの断面から構成されていることに留意することもまた重要である:このような後者の断面は母材の長いナノチューブの一部であり、これらは、ボールミル粉砕によって部分的に切断されているが、分離されていない(特に図1a〜図1cを参照のこと)。
【0087】
2.カーボンナノチューブの分布
異なるボールミル粉砕時間について薄いMWNTを用いて得られ、そしてTEM像から得られたナノチューブ長さ分布が図2a〜図2fに示され、一方、異なるボールミル粉砕時間について厚いMWNTを用いて得られたナノチューブ長さ分布が図3a〜図3eに示される。
【0088】
これらの結果は、MWNTの分布が狭くなったこと、そして薄いMWNTについては10時間の処理の後で、そして厚いMWNTについては16時間の処理の後で短いMWNTのみが存在したことを示している。これらの期間の後ではすべてのMWNTが破砕されていたと述べることができる。図1eおよび図1fで認めることができるように、さらなる処理は全体的な平均長さに影響を及ぼしておらず、不定型炭素は120時間の粉砕の後でさえ現れなかった。
【0089】
3.カーボンナノチューブの平均長さの時間的変化
粉砕時間による短いMWNTの平均長さの変化が、薄いMWNTおよび厚いMWNTについて、それぞれ、図4aおよび図4bに表される。これらの図において、「実験値」と題された値は図2a〜2fおよび図3a〜3eの分布に由来する。ボールミル粉砕時間を関数とする「実験値」の値の変化が、「短い」と題された曲線によって表される。後者の曲線では、長いMWNTの長さ分布は考慮されていない。これは、長いMWNTの長さが1枚のTEM写真では測定することができないからである。従って、「長い」と題された曲線は計算値に対応することを理解しなければならない。「全体的」と題された曲線は、薄いMWNTについては最初の2時間(最初の期間)のとき、そして厚いMWNTについて最初の3時間のときの「長い」曲線の主要な寄与を考慮して、「短い」および「長い」と題された前記曲線の加重平均に対応する。
【0090】
これらの図から理解され得るように、MWNT平均長さの時間的変化は減少指数関数によって近似することができ、この場合、薄いMWNTについては0.7μmの収束長さを有し、そして厚いMWNTについては0.9μmの収束長さ、すなわち、0.8μmの平均収束長さを有する。薄いMWNTについては10時間後に、そして厚いMWNTについては15時間後に、最終的なMWNTの全体的な平均長さはその最終的な値(薄いMWNTについては0.7μm、そして厚いMWNTについては0.9μm)に達する。この最終的な値は、最初に使用された母材の長いナノチューブの厚さに依存している。ナノチューブの120時間までのさらなる粉砕(図4b)はナノチューブの最終的な平均長さを変化させていない。
【0091】
4.ナノチューブの構造
ボールミル粉砕の前後におけるナノチューブのX線回折パターンが図5a〜図5cの曲線Aおよび曲線Bにそれぞれ示される。MWNTに対するこれらの値の類似性は、黒鉛化が両方のサンプルについてほぼ同じに留まっていることを明らかにしている。従って、このことは、破壊が非常に局在化されており、グラフェン層の組織化に影響を及ぼしていないことを示唆している。変化は、8時間のボールミル粉砕の後のSWNTのX線回折パターンにおいてもまたほとんど認められない(図5aを参照のこと)。
【0092】
本発明による開いた先端を有する短いSWNTもまた、120時間の粉砕を行った後の厚いMWNTの高分解能TEM像に対応する図6で認めることができる。この同じ写真において、短い厚いMWNTに特徴的である典型的なナノチューブ接着もまた認めることができる。
【0093】
薄いMWNTについては10時間後に、そして厚いMWNTについては15時間後に、サンプルは均質になっている。すべてのナノチューブが破砕され、長いナノチューブは全く残っていない。さらに、他の形態の炭素も、このボールミル粉砕法のときには形成されておらず、ナノチューブのターボストラティック(turbostratic)構造が維持されている。図6に示される高分解能TEM像は、ナノチューブの構造が損傷を受けていないこと、そしてチューブは開いた先端を有することを明瞭に示している。この後者の特徴は、ナノチューブの空洞における閉じ込め効果を利用する潜在的な用途、例えば、ガス吸着およびガス分離または閉じ込めにより制限される反応などのためには興味深い。
【0094】
5.補充的分析
粉砕に先立ってナノチューブを酸化的前処理に供する必要性はないことに留意しなければならない。実際、薄いMWNTサンプルは、本明細書中上記に記載されるようなHFおよびKMnO4による二重の前処理の代わりに、HFのみによる前処理に供された。このような状態では、ボールミル粉砕法は、平均長さが1μmの短いMWNTをもたらす。従って、この場合のボールミル粉砕により得られる切断速度は、本明細書中上記に記載されるようなHFおよびKMnO4の両方で前処理された薄いMWNTに対してボールミル粉砕が行われるときに得られる切断速度と比較して小さくなっている。
【0095】
他のナノチューブサンプル、例えば、長いSWNT(これはCo/MgOで製造される)、長い非常に薄いMWNT(これはCo/Fe/Al2O3またはCo/V/NaYまたはCo/Mo/NaYで製造される)、CVDによって製造される長い薄いMWNTおよび長い厚いMWNTの各サンプルが、本発明によるボールミル粉砕法を適用することによって短いナノチューブにうまく切断されたことにもまた留意しなければならない。これらのナノチューブサンプルは純粋であるか、または触媒および担体を含有していた。
【0096】
長いカーボンナノチューブと比較される製造後の官能基化された短いカーボンナノチューブのHe吸着特性およびH2吸着特性:
製造後の官能基化された短いカーボンナノチューブのHe吸着能またはH2吸着能を、長いカーボンナノチューブの吸着能と比較して、MWNTおよびSWNTの両方について研究した。
1.実験プロトコル
カーボンナノチューブのHe吸着能またはH2吸着能を、校正された容量および精密な圧力計を使用して圧力スィング吸着によって測定した。調べられたそれぞれの圧力について、平衡を2分以内に到達させた。吸着曲線および脱離曲線を重ねたが、ヒステリシスは認められなかった。
【0097】
2.事例1:MWNT
長い非常に薄いMWNTを、Al2O3に担持されたFe/Co(1.6%/1.6%)の混合物を触媒として使用して700℃でアセチレンを接触分解することによって、「長いカーボンナノチューブの製造」と題された部分に記載される方法に従って最初に合成した。アセチレンの流れは30ml/分であり、N2がキャリアガスとして300ml/分の速度で使用された。このようにして得られた純粋でない非常に薄いMWNTは80.2wt%の炭素を含有していた。得られたMWNTは先端が閉じており、長さが約10μmであり、平均内径/外径が5/10nmであり、平均層数が8であった。
【0098】
これらの純粋でない長いMWNTから得られた3つのサンプルを試験した:
−サンプル1(そのような長いMWNTを含有するサンプル);
−サンプル2およびサンプル3(長いMWNTの4g部分が本発明の方法によるボールミル粉砕に24時間供されたサンプル)。
【0099】
これらの3サンプル(サンプル1、サンプル2およびサンプル3)を、9barの作業圧力で、77Kおよび295KにおけるそれらのHe吸着能およびH2吸着能について調べた。そのような長いMWNTを含有するサンプル1(40g)を室温で真空(10−5Torr)に20時間さらした(ステップ1)。サンプル2(12g)は、最初に室温で真空に20時間さらされ(ステップ1)、次いで4g部分に分割され、これらはそれぞれ24時間のボールミル粉砕に供され(ステップ2)、次いで再び室温で真空に20時間さらされた(ステップ3)。サンプル3はサンプル2と同じ処理に供されたが、その後、真空中において1400℃で5時間加熱することによって高温の真空にさらされた(ステップ4)。この粗MWNTは、ステップ3で3wt%を失い、ステップ4で7wt%を失った。
【0100】
表1には、9barの平衡圧における得られた結果(295Kでは±0.001wt%、77Kでは±0.01wt%)がまとめられている。
【表1】
【0101】
表1において認められるように、77Kで測定されたHe吸着能およびH2吸着能は、295Kで測定された対応する値よりも1桁大きい。
【0102】
長いMWNTおよび短いMWNTのHe吸着能は295Kおよび77Kでは非常に低い。これらの値は実験誤差(295Kでは±0.001wt%、77Kでは±0.01wt%)に近く、そして長いMWNTから、官能基化された短いMWNTに通したとき、He吸着能の増大は全く認められなかった。
【0103】
粗MWNTの295K(77K)におけるH2吸着能に関して、0.046wt%(0.61wt%)および0.051wt%(0.68wt%)の値が、長いチューブおよび官能基化された短いチューブについてそれぞれ測定された。このことは、短いMWNTを製造するために長いMWNTを破砕することにより、粗MWNTの吸着能の11%(11%)の増大が生じていることを意味している。後者の吸着能の増大は、MWNTの中心溝における水素吸着に特徴的であった。短い粗MWNTを真空下で1400℃で加熱した後では、この物質のH2吸着能は0.056wt%(0.68wt%)に増大した。このことは、熱処理により、そのH2吸着能の10%(0%)の増大が生じたことを意味している。後者の吸着能の増大は、熱処理の前では利用することができない短いMWNTの中心溝における水素吸着に特徴的であった。粗MWNTに対するこの2つの処理(ボールミル粉砕および真空下での加熱)の全体的な効果は、295K(77K)における水素吸着能の22%(11%)の増大であった。
【0104】
3.事例2:SWNT
SWNTを、MgOに担持されたCo(2.5%w/w)を触媒として使用して、H2の存在下、1000℃でメタンを接触分解することによって合成した。H2およびメタンの流速はそれぞれ300ml/分および80ml/分であった。
【0105】
その後、担体および触媒を除去するために、濃HCl溶液をサンプルに加えた。サンプルに最終的に含有されるSWNTは、長さが約10μmであり、平均直径が2nmである。SWNTはサンプルの60wt%であり、残りは包み込まれたCoナノ粒子である。
【0106】
SWNTの切断および官能基化に対するボールミル粉砕法の効率を、TEM、X線回折およびラマン分光法で調べた。TEMの結果が表2にまとめられている。
表2:ボールミル粉砕時間を関数とする粗単層カーボンナノチューブのTEMにより観測される平均長さ(0.6gの粗SWNTが使用された)。
【表2】
【0107】
TEM観察からは、ボールミル粉砕法により、SWNTの長さが、2時間の処理の後には2μmに低下することが結論された。短いSWNTをさらにボールミル粉砕することにより、4時間の処理の後にはその長さが1μmに低下する。それにもかかわらず、4時間以上にわたってボールミル粉砕されたSWNTサンプルについては、他の形態の炭素もまた認められる。これらの他の形態の炭素は、その形成が非常に短いSWNTの破壊に付随しており、プレグラファイト、多結晶グラファイトおよび無定型炭素である(表2)。
【0108】
X線回折分析からは、カーボンナノチューブおよびグラファイトにおける炭素−炭素の距離に特徴的な(2θ=42.8oにおける)d100ピークがボールミル粉砕時間の増大とともに低下していることが認められた。逆に、グラファイトにおける面間距離に特徴的な(2θ=25oにおける)d002ピークがボールミル粉砕時間の増大とともに増大している。
【0109】
ラマンスペクトルでは、無秩序なグラファイト構造に特徴的な(1270cm−1における)Dバンドが、ボールミル粉砕時間を3時間まで増大させるこによって増大していることが認められた。その後では、Dバンドは、ボールミル粉砕時間の増大とともに低下し、50時間を超えるボールミル粉砕時間については消失している。グラファイト構造に特徴的な(1597cm−1における)Gバンドおよび主にSWNTに特徴的な(1555cm−1における)その肩に関して、それらは、ボールミル粉砕時間の増大とともに低下し、そしてまた50時間を超えるボールミル粉砕時間については消失している。SWNTのゆらぎモード(80cm−1〜250cm−1における低振動数バンド)からは、大きいSWNTがボールミル粉砕法のときに最初に破壊されていることが認められた。3時間のボールミル粉砕の後、大きいSWNTの含有量は減少し、そして8時間後には非常に小さい低振動数バンドが認められる。51.5時間にわたってボールミル粉砕されたサンプルについては、SWNTのラマン特性バンドは何も認めることができなかった。
【0110】
3つのSWNTサンプル(サンプル4、サンプル5およびサンプル6;表3)を、9barの作業圧力で、77Kおよび295KにおけるそれらのHe吸着能およびH2吸着能について調べた。2.8gのそのような長いSWNTを含有するサンプル4は室温で真空に20時間の間さらされた。1.4gの長いSWNTを含有するサンプル5およびサンプル6は、最初に、サンプル5およびサンプル6についてはそれぞれ1時間および12時間の間、本発明の方法に従ってボールミル粉砕に供され、その後、室温で真空に20時間さらされた。真空にさらされた後、1時間および12時間にわたってボールミル粉砕されたSWNTは、それぞれ、4wt%および6wt%を失っていた。
【0111】
表3には、9barの平衡圧力におけるこれらのサンプルついて得られた結果がまとめられている。
【表3】
【0112】
表3において認められるように、77Kで測定されたHe吸着能およびH2吸着能は、295Kで測定された対応する値よりも大きい。
【0113】
長いSWNT、短いSWNTおよび非常に短いSWNTのHe吸着能は295Kおよび77Kでは非常に低い。これらの値は実験誤差(±0.01wt%)に近く、そして長いSWNTから短いSWNTまたは非常に短いSWNTに通したとき、He吸着能の増大は全く認められなかった。
【0114】
粗SWNTの295K(77K)におけるH2吸着能に関して、0.37wt%(2.52wt%)および0.50wt%(3.11wt%)の値が、長いチューブおよび短いチューブについてそれぞれ測定された。このことは、短いSWNTを製造するために1時間にわたって長いSWNTをボールミル粉砕することにより、SWNTのH2吸着能の35%(23%)の増大が生じていることを意味している。後者の吸着能の増大は、SWNTの中心溝における水素吸着に特徴的であった。短いSWNTを12時間にわたってボールミル粉砕した後では、この物質のH2吸着能は0.56wt%(3.26wt%)に増大した。このことは、最後の11時間のボールミル粉砕により、そのH2吸着能の12%(5%)の増大が生じたことを意味している。後者の吸着能の増大は、1時間のボールミル粉砕の後ではまだ利用することができない非常に短いSWNTの中心溝における水素吸着に特徴的であった。SWNTに対する12時間にわたるボールミル粉砕/官能基化の効果は、295K(77K)における水素吸着能の51%(29%)の増大であった。
【0115】
サイズ排除クロマトグラフィーによるナノチューブの精製
官能基化された短いカーボンナノチューブをより狭い長さ分布の画分で分離するために、12時間にわたってボールミル粉砕された薄いMWNTの10mgをサイズ排除クロマトグラフィーによって分画した(J.−M.Bonard他、Adv.Mater.9、827〜831(1997);G.S.Duesberg他、Appl.Phys.A67、117〜119(1998);G.S.Duesberg他、Chem.Commun.435〜436(1998);G.S.Duesberg他、Synthetic Metals、103、2484〜2485(1999))。定常相はCPG1400Å(自由に接近することができる制御された細孔の大きい内部表面を有するカラム充填用の制御された細孔のガラス物質)であった。これは、直径が2cmのカラムにおいて、15cmの長さを占めた。移動相は、0.25wt%のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含む水であった。
【0116】
10mgの短いカーボンナノチューブを最初に2mlの1wt%SDS/水に超音波処理により分散させ、次いで、移動相で調整したカラムの上部に導入した。その後、移動相を27ml/hの流速で2時間の間カラムに通した。死容積の後、1.5mlの36画分を集め、TEMによって分析した。
【0117】
TEM分析のために、1滴の懸濁液を炭素蒸着Cu/Rhグリッドに落とし、グリッドを真空下で乾燥した。それぞれのサンプルの典型的なTEM写真を記録して、ナノチューブの長さを写真上で手作業により測定した。
【0118】
その後、ナノチューブの長さを使用して、それぞれの画分の長さ分布ヒストグラムを作製した。その後、画分を3つずつ漸次まとめて、12個のサンプルを作製した。
【0119】
図7には、このようにして得られた溶出プロフィルが示される。この図で理解されるように、ナノチューブの平均長さは、溶出容量が増大したときに低下している。それぞれのサンプルの中央50%および中央75%の領域により、それぞれのサンプルの長さ分布ヒストグラムが示されている。サイズ排除クロマトグラフィーによって短いナノチューブを分離することにより、長さ分布が狭い官能基化された短いカーボンナノチューブを得ることが可能になる(図7を参照のこと)。さらに、非常に狭い長さ分布(図7における画分9付近)を有する非常に短いカーボンナノチューブ(0.1μm未満の平均長さ;図7におけるおよそ画分7〜12)もまた、大きい溶出容量について得ることができる。図7に表される12個の画分のすべてについて、ナノチューブ長さの少なくとも50%がこの範囲(平均長さ±50%)内であることに留意すること。
【0120】
図8aは、サイズ排除クロマトグラフィーによって分離される前の官能基化された短い薄いMWNTの典型的なTEM写真であり、一方、図8b〜図8dは、それぞれ、7.5ml、39mlおよび48mlの溶出容量について、サイズ排除クロマトグラフィーによって分離された官能基化された短いカーボンナノチューブの狭い長さ分布を例示するTEM写真に対応する。サンプル9(すなわち、最も小さい官能基化された短いナノチューブを含有するサンプル;参考として図7を参照のこと)に対応する図8cにおいて、長さ/直径の比が、短いナノチューブの一部については1にまで低下していることに留意しなければならない。このことは、短いナノチューブの一部が20nmよりも小さいことを意味している。
【0121】
パートII−湿った空気に由来するH2Oとは異なる反応剤を使用する官能基化された短いカーボンナノチューブの製造
長い薄いMWNTを、アルミナ担持のCo/Fe触媒でアセチレンを接触分解することによって合成した。長い薄いMWNTは2段階で精製される。最初に、アルミナ担体が、水酸化ナトリウム溶液中で2日間還流することによって溶解される。次に、金属が、濃塩酸中で5時間撹拌することによって溶解される。触媒の痕跡をすべて除くために、この2つの段階を2回行った。最後に、長い短いMWNTは、中性のpHが達成されるまで水で洗浄される。
【0122】
特定の雰囲気中におけるボールミル粉砕が、チオール、アミンおよびアミド、塩素、カルボニル、チオメトキシ、塩化アシル、ヒドロキシルおよびC−H機能などのような化学基または官能基をカーボンナノチューブ表面に容易に導入するために使用された。
【0123】
カーボンナノチューブの官能基化は下記のように行われた。最初に、カーボンナノチューブをボールミルに入れ、そして水分を除くために、系を窒素雰囲気中で加熱するか、または真空にさらすかのいずれかが行われた。その後、反応剤ガスが導入され、ボールミル粉砕プロセスの間維持された。最後に、過剰な反応剤ガスが、窒素流を使用するか、または真空下で1時間にわたって系を排気することのいずれかによって除かれた。
【0124】
ボールミル粉砕プロセスの後、官能基化されたカーボンナノチューブの見かけ密度が、最初の長いカーボンナノチューブと比較して、約1桁増大していることは注目される。これは、処理する前のクモの巣様のナノチューブサンプルに存在する「気泡」が消失したことに由来する。この特徴により、均質化がより容易になるので、ナノチューブのポリマーフィラーとしての適用が非常に期待されることは注目すべきことである。
【0125】
より多くの情報を破砕プロセスから得るために、2つの異なるミルを使用した。第1のミルは、1個の大きいめのう球を伴うめのう鉢であり、一方、第2のミルは、数個の小さい金属球を伴う特別な金属鉢である。MWNTサンプルを、官能基化の前後で、X線光電子分光法(XPS)、赤外分光法(IR)、吸着容積測定技術および透過電子電子顕微鏡(TEM)によって特徴付けした。
【0126】
容積測定法による吸着測定の結果により、物理的変化が確認される。純粋なMWNTの比表面積は約250m2/gであるが、処理(破砕および官能基化)の後、この値は著しく増大する。計算された細孔半径は、反応剤雰囲気にかかわらず、破砕後では約20Åである。容積測定法による吸着測定から得られた結果は、カーボンナノチューブは開いた末端を有すること、そして処理時に生成した化学基または官能基により、内部細孔が利用できる状態になっていることを明らかにしている。表4には、ボールミル粉砕されたカーボンナノチューブの比表面積、細孔半径、処理のときに形成される化学基または官能基、ならびに特徴的なIRバンドが示される。
【表4】
BET表面積、細孔半径、およびボールミル粉砕により生成する化学基または官能基
a:最も多く存在する官能基のみが表される。
b:−OH官能基および−COOH官能基(これらは滴定により測定される)はナノチューブの精製時に導入された。
【0127】
精製後のMWNTのC1sXPSスペクトル(図9a)およびNH3で官能基化された精製後のMWNTのC1sXPSスペクトル(図9b)をデコンボリューションすると、5つのピークが得られる。最初のピークが284.5(±0.1)eVに認められ、これはsp2混成炭素原子および水素原子に結合するsp2混成炭素原子による。sp3混成炭素原子に対するピークは285.1(±0.1)eVに中心を有する。286.1(±0.2)eV、287.4(±0.2)eVおよび289.0(±0.1)eVのピークは、それぞれ、単結合により1個の酸素原子に結合する炭素原子(例えば、アルコール、エーテル)、二重結合により1個の酸素原子に結合する炭素原子(例えば、ケトン、アルデヒド、アミド)、そして2個の酸素原子に結合する炭素原子(例えば、エステル、カルボン酸)を表している。291.0(±0.1)eVのピークは、sp2混成炭素原子のシェイクアップに特徴的である。
【0128】
H2Sで処理されたMWNTのS2pXPSスペクトルは163.6(±0.2)eVに1つの成分を示す(図10a)。この値は、自由なメルカプタンに対応する。
【0129】
アンモニアで処理されたMWNTのN1sXPSスペクトルのデコンボリューションは2つの化学種を示す:399.0eVにおける第1の化学種および400.5eVにおける第2の化学種(図10b)。第1のピークはアミン官能基に帰属され、第2のピークはアミドの存在のためである。
【0130】
これらの実験結果から、官能基化の1つの簡単な機械−化学的な様式を推定することができる。2つの異なるボールミル粉砕システムを比較した場合、破砕効率がミルの幾何学的形状および処理の継続時間に依存することが考えられる。切断が欠陥の場所から始まるだけでなく、機械的な応力が欠陥の形成を誘導し、そして最後にはチューブの切断をも誘導することが考えられる。驚くべきことに、C−C結合の切断が、NH3、Cl2、H2S、H2Oの存在下で生じ、その結果、カーボンナノチューブと反応剤との間での新しい結合が形成される。確かに、本発明者の場合には、処理後に得られた固体物質は官能基をかなり多量に含有したが、この反応の効率は反応剤に強く依存している。
【0131】
まとめると、反応性の雰囲気のもとでのMWNTの、ボールミル粉砕によって誘導される官能基化により、種々の化学的官能基を含有する短いカーボンナノチューブの製造が可能になる。この方法は大規模で行うことができ(実際には反応あたり50gまでの規模で行うことができ)、多量の官能基化された短いナノチューブが得られる。アンモニアを使用したアミン官能基およびアミド官能基の導入が、硫化水素を使用したチオールの導入と同様に、XPSの結果によって確認された。他の化学基または官能基もまた、この技術によって容易に導入することができる。さらに、表4にまとめられているこれらの予備的な結果は、この技術が、多層ナノチューブについてだけでなく、単層ナノチューブについても適用できることを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1aは、本発明によるボールミル粉砕を行う前の薄いMWNTの低倍率のTEM像を表す。
図1bおよび図1cは、湿った空気に由来するH2Oの存在下で本発明に従って12時間のボールミル粉砕を行った後の薄いMWNTの低倍率のTEM像を表す。
図1dは、本発明によるボールミル粉砕を行う前の厚いMWNTの低倍率のTEM像を表す。
図1eおよび図1fは、本発明に従って120時間のボールミル粉砕を行った後の厚いMWNTの低倍率のTEM像を表す。
【図2】 図2a〜図2fは、図2a、図2b、図2c、図2d、図2eおよび図2fについて、それぞれ、12時間、10時間、8時間、6時間、4時間および2時間の本発明に従ったボールミル粉砕時間について薄いMWNTの長さ分布を表す。
【図3】 図3a〜図3eは、図3a、図3b、図3c、図3dおよび図3eについて、それぞれ、120時間、36時間、16時間、4時間および1時間の本発明に従ったボールミル粉砕時間について厚いMWNTの長さ分布を表す。
【図4】 図4aおよび図4bは、それぞれ、薄いMWNTおよび厚いMWNTについて、本発明により得られるカーボンナノチューブの平均長さの時間的変化を表す。
【図5】 図5a〜図5cは、本発明の方法に従って異なるボールミル粉砕時間の前(曲線A)およびその後(曲線B)における異なるタイプのカーボンナノチューブのX線回折パターンを表す。
図5aは、8時間のボールミル粉砕の前(曲線A)およびその後(曲線B)におけるSWNTの回折パターンを表す。
図5bは、12時間のボールミル粉砕の前(曲線A)およびその後(曲線B)における薄いMWNTの回折パターンを表す。
図5cは、120時間のボールミル粉砕の前(曲線A)およびその後(曲線B)における厚いMWNTの回折パターンを表す。
【図6】 図6は、本発明に従った120時間のボールミル粉砕の後の短い厚いMWNTの高分解能のTEM像を表す。
【図7】 図7は、本発明に従った12時間のボールミル粉砕の後の10mgの薄いMWNTに対して行われたサイズ排除クロマトグラフィーによって得られた溶出プロフィルを表す。
【図8】 図8a〜図8dは、本発明に従った12時間のボールミル粉砕の後の薄いMWNTのTEM像を表す。
図8aは、本発明の方法に従ってサイズ排除クロマトグラフィーにより分離される前の薄いMWNTのTEM像を表す。
図8b〜図8dは、本発明の方法に従ってサイズ排除クロマトグラフィーにより分離された薄いMWNTのTEM像を表しており、溶出容量は、図8b、図8cおよび図8dについて、それぞれ、7.5ml(溶出プロフィルの画分2)、39ml(溶出プロフィルの画分9)および48ml(溶出プロフィルの画分11)である。
【図9】 図9aは、ボールミル粉砕を行う前の精製された薄いMWNTのC1sXPSスペクトルのデコンボリューションを表す。
図9bは、NH3存在下でのボールミル粉砕に供された精製後の薄いMWNTのC1sXPSスペクトルのデコンボリューションを表す。
【図10】 図10aは、H2S存在下でのボールミル粉砕に供された薄いMWNTのS2pXPSスペクトルのデコンボリューションを表す。
図10bは、NH3存在下でのボールミル粉砕に供された薄いMWNTのN1sXPSスペクトルのデコンボリューションを表す。
Claims (10)
- 少なくとも1つの開いた先端を有する官能基化された50μmより短い長さを有する短いカーボンナノチューブを、1〜500μmの長さを有する長いカーボンナノチューブの機械的処理によって製造するための方法であって、粉末形態で処理される前記長いカーボンナノチューブは、少なくとも1つの特定の化学基を含む短いカーボンナノチューブが得られるようにナノチューブと化学的に反応し得るH2、NH3、R−NH2、F2、Cl2、Br2、I2、S8、チオール、エステル、過酸、過酸化物、CO、COCl2およびSOCl2からなる群から選択される反応剤ガスの存在下で機械的粉砕力を受け、製造される短いカーボンナノチューブで得られる前記化学基は、SH、NH2、NHCO、F、Br、Cl、I、R−NH、R−O、R−S、COClおよびSOClからなる群から選択されることを特徴とする方法。
- 下記の工程:
−処理されるカーボンナノチューブを含有する粉末を作製する工程;
−長さが1mmより大きい1つまたは数個の固体粒子を含有するボールミル粉砕装置に前記粉末を導入する工程;
−ボールミル粉砕装置において水を除去する工程;
−50μmより短い長さを有する短いカーボンナノチューブの特定の割合を含有する混合物が得られるように、反応剤ガスを導入しながら、前記ボールミル粉砕装置で前記粉末を十分な時間にわたって粉砕する工程;
−潜在的に過剰な反応剤ガスを除去する工程
を含む請求項1に記載の方法。 - 水は、窒素雰囲気の中で加熱することによって除去されるか、または真空にさらすことによって除去されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 潜在的に過剰な反応剤ガスは、窒素流を使用するか、または真空へと排気することによって除かれることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 粉砕プロセスは連続的であることを特徴とする請求項2から4のいずれか一つに記載の方法。
- 粉砕プロセスは断続的であることを特徴とする請求項2から4のいずれか一つに記載の方法。
- 最終的に得られる短いカーボンナノチューブを、サイズ排除クロマトグラフィーによって、それらの長さに従って精製することをさらに含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
- 最終的に得られる混合物に含有される短いカーボンナノチューブの割合は1%〜100%の間に含まれることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
- 最終的に得られる短いカーボンナノチューブの長さは2μm未満であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の方法。
- 処理されるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の方法。
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