JP4688466B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波診断装置に関し、特に連続波(CW)ドプラ法における送受信技術に関する。
超音波診断装置において、連続波ドプラモードでは、数MHzの正弦波として構成される送信波が生体内へ連続的に放射され、生体内からの反射波が連続的に受波される。反射波には、生体内における運動体(例えば血流)によるドプラシフト情報が含まれる。そこで、その情報を取り出して周波数解析することによりドプラ波形が得られる。反射波には、生体内の強反射体(主に静止体)からの情報(クラッタ)も含まれる。そのクラッタをできる限り抑圧してドプラ情報だけを抽出することが望まれるが、特に低速の観測域においてはクラッタを十分に除去できないという問題がある。
特開平3−48789号公報
以上のように、ドプラ情報を観測する場合においてはクラッタが妨害となり、それをできる限り抑圧することが望まれている。
特許文献1には、周波数変調された鋸歯状の連続波を生体内へ送波し、反射波を受波して得られた受信信号と変調された送信波とからビート信号を発生させ、それを周波数解析する装置が開示されている。しかし、この文献に記載された装置は、変調波の高調波帯域に着目するものではない。
本発明の目的は、連続波ドプラ法の適用に当たって、クラッタをできる限り抑圧しつつドプラ情報を感度良く観測できるようにすることにある。
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である超音波診断装置は、搬送波信号を変調波信号を用いて変調処理することにより、変調送信信号を生成する送信部と、前記変調送信信号の供給によって生体に対して超音波を送波し、生体からの反射波を受波して受信信号を出力する送受波器と、前記受信信号を前記変調送信信号を用いて復調し、これにより復調信号を得る復調手段と、前記復調信号から、前記変調波信号を基本波とした場合における基本波成分および第n(nは2以上の自然数)高調波成分のうちの少なくとも一つの成分の付近に存在するドプラ情報を抽出するドプラ情報抽出手段と、を有することを特徴とする。
上記構成では、搬送波信号を変調波信号を用いて変調処理することにより変調送信信号を生成し、さらに、この変調送信信号を用いて受信信号を復調する。このため、無変調の搬送波信号の場合に搬送波信号の周波数付近に局在していた本来取り除くべき固定物からのエコー(クラッタ)が、変調波信号を基本波とした場合における基本波成分および高調波成分に分散される。分散された結果、基本波成分および各高調波成分付近でのクラッタは、無変調の場合のクラッタに比べて数十dB小さくなる。上記構成では、基本波成分および各高調波成分のうちの少なくとも一つの成分付近のドプラ情報を抽出するため、無変調の場合に局在していたクラッタの影響が低減(全く影響を受けないような構成がさらに望ましい)される。結果として、上記構成によればクラッタをできる限り抑圧しつつドプラ情報を感度良く観測できる。
望ましくは、前記復調手段は、前記変調送信信号を参照信号として前記受信信号を検波処理する検波回路を含むことを特徴とする。なお、検波回路として、受信信号を直交検波処理する直交検波回路を利用してもよい。また望ましくは、前記ドプラ情報抽出手段は、前記少なくとも一つの成分およびその付近に存在するドプラ信号から成る側帯波を抽出するフィルタ部を含む、ことを特徴とする。さらに望ましくは、前記ドプラ情報抽出手段は、前記側帯波から前記ドプラ信号を抽出するドプラ信号抽出部を含む、ことを特徴とする。さらに望ましくは、前記ドプラ信号抽出部は、前記変調波信号の周波数をN倍(Nは自然数)した信号のうちの少なくとも一つを参照信号として、前記側帯波を検波処理する検波回路を含む、ことを特徴とする。
望ましくは、前記復調手段に与える前記変調波送信信号に対して遅延処理を施す遅延回路を含む、ことを特徴とする。この構成によれば、例えば、遅延時間を調整して各遅延時間ごとにドプラ信号/クラッタ電力の比を算出し、ドプラ電力の割合がなるべく大きくなるように調整することができる。また望ましくは、前記復調手段へ出力される受信信号に対して遅延処理を施す遅延回路を含む、ことを特徴とする。
望ましくは、前記ドプラ信号抽出部に与える参照信号に対して遅延処理を施す遅延回路を含む、ことを特徴とする。また望ましくは、前記ドプラ信号抽出部へ出力される側帯波に対して遅延処理を施す遅延回路を含む、ことを特徴とする。
望ましくは、前記ドプラ情報抽出手段は、前記変調波信号を基本波とした場合における基本波成分および第n(nは2以上の自然数)高調波成分のうちの複数成分の各々からドプラ信号を抽出し、抽出した複数のドプラ信号を加算処理する、ことを特徴とする。望ましくは、前記変調波信号は正弦波、三角波または鋸歯状波である、ことを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明の別の好適な態様である超音波診断装置は、周波数f0の搬送波信号を周波数fmの変調波信号を用いて周波数変調処理することにより、変調送信信号を生成する送信部と、前記変調送信信号の供給によって生体に対して超音波を送波し、生体からの反射波を受波して受信信号を出力する送受波器と、前記受信信号に対して、前記変調送信信号を参照信号として直交検波処理を行い、これにより復調信号を得る検波回路と、前記復調信号から、前記変調波信号を基本波とした場合における基本波成分および第n(nは2以上の自然数)高調波成分のうちの少なくとも一つの成分とその付近に存在するドプラ信号とから成る側帯波を抽出するバンドパスフィルタと、前記側帯波から前記ドプラ信号を抽出するドプラ信号抽出部と、前記ドプラ信号から、運動体に関するドプラ情報を取得するドプラ情報取得部と、を有することを特徴とする。
望ましくは、前記変調波信号として、周波数fm1の変調波信号をさらに周波数fm2の変調波信号を用いて周波数変調処理することにより得られる多重変調波信号を用いる、ことを特徴とする。周波数変調を多段で行うことにより、さらに低速の領域においてクラッタの影響を低減してドプラ信号を抽出することができる。
また、上記目的を達成するために、本発明の別の好適な態様である超音波診断装置は、周波数f0の搬送波信号を周波数fmの変調波信号を用いて周波数変調処理することにより、変調送信信号を生成する送信部と、前記変調送信信号の供給によって生体に対して超音波を送波し、生体からの反射波を受波して受信信号を出力する送受波器と、前記受信信号に対して、前記変調送信信号を参照信号として直交検波処理を行い、これにより同相成分復調信号および直交成分復調信号を得る検波回路と、前記同相成分復調信号および直交成分復調信号の各々から、前記変調波信号を基本波とした場合における基本波成分および第n(nは2以上の自然数)高調波成分のうちの少なくとも一つの成分とその付近に存在するドプラ信号とから成る側帯波を抽出するバンドパスフィルタと、前記同相成分復調信号の側帯波および前記直交成分復調信号の側帯波から、前記ドプラ信号を抽出するドプラ信号抽出部と、前記ドプラ信号から、運動体に関するドプラ情報を取得するドプラ情報取得部と、を有し、前記ドプラ信号抽出部は、前記変調波信号の周波数をN倍(Nは自然数)した信号のうちの少なくとも一つを参照信号として、前記同相成分復調信号から抽出された側帯波を直交検波処理する同相成分検波回路および前記直交成分復調信号から抽出された側帯波を直交検波処理する直交成分検波回路を含む、ことを特徴とする。
望ましくは、前記ドプラ信号抽出部は、前記同相成分検波回路から出力される二つの信号に対する二乗和の平方根として得られるドプラ信号同相成分、および、前記直交成分検波回路から出力される二つの信号に対する二乗和の平方根として得られるドプラ信号直交成分、の二つのドプラ信号成分を抽出する、ことを特徴とする。
本発明により、連続波ドプラ法の適用に当たって、クラッタをできる限り抑圧しつつドプラ情報を感度良く観測できる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。送信用振動子10は生体内へ送信波を連続的に送波し、また、受信用振動子12は生体内からの反射波を連続的に受波する。このように、送信および受信がそれぞれ異なる振動子で行われて、いわゆる連続波ドプラ法による送受信が実行される。
送信制御部14は、送信用振動子10を制御して超音波の送信制御を行う。送信制御部14には、FM変調処理が施されたFM連続波(FMCW波)が入力され、このFM連続波に対応する送信波が送信用振動子10から送波される。FM変調器20は、FM連続波を送信制御部14に出力する。FM変調器20は、RF波発振器22から供給されるRF波、および、FM変調波発振器24から供給される変調波に基づいてFM連続波を発生する。このFM連続波の波形については後の原理説明で詳述する。
受信制御部16は、受信用振動子12から供給される受波信号に対して増幅処理等の受信処理を施し、受信RF信号を形成して受信ミキサ30へ出力する。受信ミキサ30は、受信RF信号に対して直交検波を施して複素信号を生成する回路であり、2つのミキサ32及び34で構成される。各ミキサは受信RF信号を所定の参照信号と混合する回路である。受信ミキサ30の各ミキサに供給される参照信号は、FM変調器20から出力される。つまり、ミキサ32にはFM変調器20が出力するFM連続波が直接供給され、一方、ミキサ34にはFM連続波がπ/2シフト回路26を経由して供給される。π/2シフト回路26はFM連続波の位相をπ/2だけずらす回路である。
後の原理説明で詳述するが、各ミキサで実行される受信RF信号と参照信号との混合処理の結果である受信ミキサ出力信号には、FM変調波発振器24から供給される変調波の変調波周波数fmに関する基本波成分および各高調波成分が含まれている。そして、受信ミキサ30の後段に設けられるBPF(バンドパスフィルタ)36,38によって、これら基本波成分および各高調波成分の中から所望の周波数成分が抽出されて2つのミキサ28,29の入力となる。ミキサ28,29では、N倍回路25で基本波fmをN倍(Nは自然数)して得られる変調波fmの基本波成分あるいは高調波成分を参照信号として、BPF36,38からの各入力を直交検波してベースバンド信号に変換する。ベースバンド信号に変換された2つの信号はLPF37,39を介してドプラ演算処理部40に出力される。この結果、通常の連続波CWに比べて本実施形態のFM連続波(FMCW)ではクラッタの影響が低減される。
ドプラ演算処理部40は、LPF37,39で抽出された信号に基づいてドプラ演算を実行する。つまり、LPF37,39の出力信号から、ドプラ信号を抽出して例えば血流速度を演算する。もちろん、血流以外の計測対象についての速度演算も可能である。表示処理部42は、速度演算の結果に基づいて例えばドプラ波形を形成し、形成したドプラ波形を表示部44に表示する。
以上、概説したように、本実施形態では、連続波(CW)を正弦波でFM変調した超音波(FMCW波)を送受波し、変調波の基本波あるいは高調波の近傍に発生するドプラ信号の周波数を計測することによりクラッタの影響を低減することができる。そこで、次にその原理について詳述する。
周波数f0のCWに変調周波数fmのFM変調を施したFMCW送信波は次式のように表現できる。
Figure 0004688466
数1において、Δfは周波数変動幅の0−P値(ゼロピーク値)である。また、ドプラシ
フトを伴わない場合のFMCW受信波は生体による減衰を無視すると次式で表現できる。
Figure 0004688466
FMCW送信波の周波数スペクトラムは、数1を展開することで得られる。数1に示すFMCW送信波は次式のように展開できる。
Figure 0004688466
数3において、J0(β),J2n(β),J2n+1(β)は、第1種ベッセル関数である。各項の振幅は、変調指数βおよびそれに対応するベッセル関数によって決定される。ちなみに、数3に示されるFMCW送信波の周波数スペクトルを図示すると図2のようになる。
また、ドプラシフトを伴わない場合の受信波vR(t)の周波数スペクトラムは、数2を展開することで得られる。数2に示すFMCW受信波は次式のように展開できる。
Figure 0004688466
数4に示されるように、受信波の周波数スペクトラムは送信波と同じ周波数成分を持っている。しかし受信波の各周波数成分の振幅は、位相差φ0とφmに応じて変化している。
さらに、ドプラシフトを伴う場合、数2のvR(t)は以下のように書き換えられる。
Figure 0004688466
なお、数5においてfmに対するドプラシフトは、f0のシフト分fdに比較して小さいので無視している。ちなみに、数5に示されるFMCW受信波の周波数スペクトルを図示すると図3のようになる。図3において、数5に示されるFMCW受信波の周波数スペクトルは破線で示されている。実線で示されるスペクトルはドプラシフトを伴わない場合のFMCW受信波の周波数スペクトルを示している。
上述の数2や数5で表される受信波形は、超音波振動子が受信する信号波形(受信RF信号)である。超音波診断装置は受信RF信号に対して復調処理を実行する。FMCWの受信RF信号を復調する場合、復調系では参照信号としてFMCW波を用いて受信波と乗算を行う。復調系における受信ミキサ出力は、vT(t)とvR(t)を乗算した結果として次式のように算出される。
Figure 0004688466
ここで、ベッセル関数に関する次の公式を利用する。
Figure 0004688466
数7の公式を用いると、数6はさらに次式のように計算される。なお、数8では数6における係数1/2を省略する。
Figure 0004688466
数8で表現される受信ミキサ出力の周波数スペクトルを図示すると図4のようになる。図4において線スペクトルで示されるドプラエコー46がドプラ信号に相当する。つまり、ドプラシフトを伴う場合、受信ミキサ出力の基本波および各高調波成分は、FM変調周波数が抑圧されたDSB−SC(Double Sideband−Suppressed Carrier)のスペクトルの形をしている。つまり、ドプラエコーには、FM変調周波数(fm)およびその高調波成分(2fm,3fm,・・・)のスペクトラムは存在しない。なお、図4においてFM変調周波数およびその高調波成分に存在する固定物エコー48のスペクトルについては次のように表現できる。
ドプラシフトを伴わない場合の受信ミキサ出力は、数8に示されるvD(t)についてfd=0と置いて、以下のように求めることができる。この場合の目標は、移動体と同じ位置にあり、同じ反射率を持った固定目標を想定している。
Figure 0004688466
数9に示すように、固定目標からのエコー(クラッタ)は変調周波数fmの整数倍のところにスペクトラムを生じる。つまり、図4に示した周波数スペクトルにおいて、FM変調周波数およびその高調波成分に固定物エコー48のスペクトラムが発生する。
上述した原理を利用して、以下にクラッタ電力とドプラ信号電力について説明する。
まず受信RF信号について、通常のCWとFMCWに関するクラッタ電力を考察する。図5は、受信RF信号における通常のCWでのクラッタの電力スペクトルを示す図であり、生体内深さに応じた各クラッタ電力50とその総和52が示されている。クラッタは固定目標からのエコーの集合体と見なせるので、クラッタ全体の電力スペクトラムの総和52は、各深さにおける固定目標からのエコーを固定目標の数だけ加えた形となる。クラッタ電力は生体内深さに応じて、深いものほど減衰の結果小さくなる。クラッタの電力スペクトラムは、統計的には固定目標からのエコーと相似形となるから、クラッタの電力スペクトラムの総和は、各固定目標からのクラッタと似たような形となる。
一方、図6は、受信RF信号におけるFMCWでのクラッタの電力スペクトルを示す図であり、各周波数ごとに、生体内深さに応じた各クラッタ電力60とその総和62が示されている。FMCWのクラッタは、総電力、つまり、各周波数ごとのFMCWのクラッタ総和を全ての周波数に亘って加算した総和は通常のCWと同じであるが、スペクトラムの形は、送信波形が側帯波を伴っている分、通常のCWとは異なっている。つまり、FMCWでは、FMの変調度が大きくなるにしたがって、f0に集中していた電力が、fmの基本波(f0+fm)および高調波(f0+2fm,f0+3fm,f0+4fm,・・・)に分散していく。FMCWでもクラッタ電力は、深いものほど減衰するが、通常のCWでもFMCWでもこの影響は同様である。
FMCWにおいて、fmの基本波および高調波成分の電圧(一般的には、側帯波の基本波および高調波成分と表現する場合もある)は第1次ベッセル関数により表現できる。第1次ベッセル関数の概略をグラフに示すと図7のようになる。図7には、横軸にβの値が示され縦軸にベッセル関数の値が示されている。この第1次ベッセル関数の曲線を用いて、つまり、FMCWにおける周波数f0に対応するJ0(β)、fmの基本波に対応するJ1(β)、第2高調波に対応するJ2(β)、第3高調波に対応するJ3(β)の値をクラッタの電圧として、通常のCWとFMCW間のクラッタ電力比を推定する。変調度としてはβ=1を仮定すると、図7から、以下の値を得る。
Figure 0004688466
例えば、fmの基本波近傍に注目すると、FMCWでは、通常のCWに比べ、クラッタ電力が7.0dB低減されている。但し、受信RF信号は復調処理が実行される前の何らの信号処理も施していない信号である。つまり、受信RF信号としては、ドプラ情報を必要とする目標からのエコーも、変調度βに応じてクラッタと同様の割合で電力が低減する。ゆえに、受信RF信号における目標からのエコーのクラッタに対する電力比は、FMCWにおいても通常のCWと同じである。
次に、受信ミキサ出力について、通常のCWとFMCWに関するクラッタ電力を考察する。通常のCWでは、受信ミキサによりIQチャンネルに分離し、ベースバンド帯域で信号処理している。この場合、ミキサの機能は単純な周波数シフトであるから、RF帯におけるドプラ信号とクラッタのレベル関係は、そのままベースバンド帯域でも維持される。FMCW波を送信した場合でも、受信ミキサのレファレンスにCW信号を用いれば、ドプラ信号とクラッタのレベル関係は、そのままベースバンド帯域でも維持される。したがって、ドプラ信号とクラッタのレベル関係は改善されない。ところが、本実施形態で用いるFMCWでは、受信ミキサ(図1の符号30)の参照信号(レファレンス)として、送信波であるFMCW波を用いる。このため、ドプラ信号とクラッタのレベル比改善ができる。この場合、ドプラ信号レベルは、数8で表現されるように、変調度βと距離に依存するパラメータkの影響を受ける。すなわち、距離に依存してエコー電力が増減する。クラッタも同様の効果を受ける。ただし、ドプラ信号の場合と異なるのは、クラッタは深さ方向に渡って分布しているので、各場所におけるクラッタの距離依存性を全て考慮しなければならない点である。この様子を定量的に解析する。
解析に先立ち、数8における各成分の振幅に比例する係数であるベッセル関数の距離依存性を求める。代表例として、以下の条件を仮定する。
Figure 0004688466
ここで、dは振動子から目標までの距離である。数10に示される各パラメータを用いて、J0(kβ), J1(kβ),J2(kβ),J3(kβ)をd=30cmまで計算し、横軸を診断の深さ(生体内の深さ)d、縦軸をベッセル関数値としてプロットすると図8のようになる。図8に示される物理的意味は以下のとおりである。
(1)d=0では、送信FMCW波を参照波としているために、FMCWの高調波成分はすべて直流付近(RF帯ではf0相当)に集まってくる。つまり、fmの基本波および高調波成分は出現しない。(2)dの値がだんだん大きくなるにつれ、kβも大きくなり、fmの基本波および高調波成分が出現してくる。(3)したがって、深部からのエコーのミキサ出力ほどfmの基本波および高調波成分の電力が増大する。この例では、0〜15cmの範囲で増大し、逆に15〜30cmにおけるエコーでは減少している。(4)kβは30cmの周期で、0と±2の間の値をとる。(5)したがって、ベッセル関数のkβ値は、0と±2の間の値を周期的に往復する。(6)図8のグラフを参照すると、0と2の間で支配的なベッセル関数の次数は0次、1次、2次および3次のみである。しかし、この効果は、βが大きくなるにつれて支配的な次数も増加する傾向にある。(7)したがって、FMCWにおけるクラッタの高調波成分は、β=1の場合、3次まで考慮すれば充分であるが、βをより大きい値に設定すると3次以上でも改善効果がある。
図8は、FMCW方式の受信ミキサ出力におけるfmの基本波および高調波信号成分の電圧が深さによってどのように変化するかに相当する。すなわち、生体内に分布する組織からの各クラッタは、その位置に応じて、基本波および高調波信号成分ごとに振幅が変動する。その様子を各周波数成分ごとに表現しなおしたのが図9である。
図9は、基本波および高調波クラッタ電圧の深さ依存性を説明するための図であり、図9には、各周波数ごとに、生体内深さに応じた各クラッタ電力90とその総和92が示されている。なお、図9は、生体内の減衰が存在しないと仮定した場合、各組織からのクラッタ電力を示したものである。ミキサ出力は、各周波数において、各深さからのクラッタの総和であるから、総和の電力スペクトラムは通常のCWの場合とは異なった形となる。
図8および図9から、β=1の場合、クラッタが支配的な周波数帯は、DC、基本波(fm)、その2倍(2fm)および3倍(3fm)の高調波帯域であることがわかる。しかし、βが大きくなるにつれて次数も高次となる。また、図9は、クラッタの電力が、見かけ上深さに対して、周期的に変動していることを示している。これら周期的な変動は図8に示したベッセル関数の挙動に対応している。実際のエコーは深さ方向のすべてのエコーからの総和である。各組織からのエコーは、その位置に応じて、基本波および高調波信号成分の振幅変動を受けると同時に、生体における減衰を受ける。生体内の減衰特性を定性的に表現したのが図9に示す生体内の減衰特性である。生体内の減衰特性は、組織の深さをd(cm)とすると次式で与えられる。
Figure 0004688466
数11において、0.6に掛けられた2は、生体内での超音波の往復を意味している。
図9には数11の減衰特性も表現されている。図9における減衰特性(Attenuation)は、数11において、f0=3MHzとした場合の計算結果をプロットしたものである。クラッタの総和は、図9において、減衰特性と各周波数成分ごとの深さ方向の成分を、各深さごとに求めてそれを積算すればよい。つまり、実際のミキサ出力は、図9において、各深さにおけるベッセル関数値と減衰量を掛け合せた値(電圧)に比例する。クラッタ電力を算出するには、各周波数について、深さ方向からのすべてのエコーを加算すればよい。つまり、各ベッセル関数と減衰曲線と掛け合わせた曲線について、その曲線の面積を求めることによって、クラッタ電力を求めることができる。ただし、組織内には、反射係数の等しい固定目標が均一に分布しているとする。こうして算出された電力の結果を表2に示す。
Figure 0004688466
なお、表2では、各成分の相対電圧積分値をそれぞれ求め、相対電圧の合計が“1”となるように規格化した。
ここで、受信RF信号に関する表1と受信ミキサ出力に関する表2のそれぞれに示される結果をまとめると表3のようになる。
Figure 0004688466
表3では、いずれの方式でも、送信CW電力が一定であれば、クラッタ電力の総和は不変であるということを前提としている。この表のなかで、相対電力とは、通常のCWクラッタ電力の総和を0dBとした場合の相対値である。例えば、FMCWのfo 成分が−1.9dBということは、受信RF信号で、無変調の場合にくらべ、FM変調により、fo の成分の電力が1.9dBだけ高調波に移動し、その分だけfo の電力が減少しているということを意味している。
表3から、次のことがわかる。(1)foの成分、あるいはDC成分は、受信RF信号でも、受信ミキサ出力でも、電力に大差は無い。これは、受信ミキサ出力では、受信RF信号とほとんど時間差の無い参照信号を乗算することにより発生するクラッタDC成分が支配的となっているからである。深部からのクラッタ電力は見かけ上、変調度が大きくなるように見え、DC成分の寄与が少なくなるばかりか、減衰が大きいので、DC成分に比べれば、その電力は非常に小さい。(2)受信ミキサ出力のクラッタfm基本波成分は、通常のCWにくらべ、25.7dB(約1/370)低い。これは、受信ミキサ出力では、参照信号との乗算により、fmの基本波成分および高調波成分が極端に抑圧されるからである。この抑圧効果は、クラッタが体表面に近いほど効果が大きい。深部になるにしたがい、この抑圧効果は少なくなる。すなわち、参照信号とクラッタの時間差のために、fmの基本波成分および高調波成分が増大する。しかし、これら深部領域からのクラッタは、数11の減衰項が支配的になるので、ほとんど無視できる。(3)fmの基本波成分および高調波のクラッタ成分がfoのクラッタ成分に比較して数十dBも抑圧されるので、fmの基本波成分あるいは高調波近傍のドプラ信号を抽出すれば、クラッタの除去が非常に容易となる。
次に、受信ミキサ出力について、通常のCWとFMCWに関するドプラ信号を考察する。例として、信号レベルとしては、深さ15cmからのエコーを想定する。通常のCWクラッタを基準とし、信号レベルとして、基本波fmの近傍のドプラ信号抽出を仮定する。数8によれば、基本波信号は次式で表現される。
Figure 0004688466
深さによるkβの影響は、図8における15cmでのJ1(kβ)の値として、0.58と求めることができる。0.58の意味は、FMCW方式において、受信ミキサのレファレンスとして送信FMCW波を用いると、通常のCWにくらべ、往復で信号が0.58(電力比で、0.34倍、−4.7dB)となるということである。信号レベルとして、第2高調波2fmの近傍のドプラ信号抽出を行う場合は、図8における15cmでのJ2(kβ)の値として、0.37(電力比で、0.137倍、−8.6dB)を得ることができる。
一方、通常のCWにおけるドプラ信号は、FMCWのようなFM変調に伴う距離依存性が無い。したがって、生体による減衰を両者共通とすると、FMCWのドプラ信号は、通常のCWにくらべ、基本波の場合4.7dB、第2高調波の場合、8.6dB低いことになる。これらの結果を、直流および第3高調波3fmの近傍のドプラ信号電力とともにまとめると表4のようになる。
Figure 0004688466
表4において、相対電圧は図8における15cmでの各ベッセル関数の値であり、相対電圧の2乗として相対電力が示されている。
受信ミキサ出力のクラッタ電力についての結果を示す表2と、受信ミキサ出力のドプラ信号電力についての結果を示す表4とを、さらにまとめたものが表5である。
Figure 0004688466
表5では、通常のCWドプラ信号電力のクラッタ電力に対する比をαdBとした。また、クラッタは生体内のすべてのエコーからの総電力和、ドプラ信号は深さ15cmにおける移動目標からの信号を想定した。さらに、表5に示されるドプラ信号電力とクラッタ電力との電力比関係を図10に示す。図10は、通常のCWとFMCWのそれぞれについて、横軸を周波数、縦軸を電力値としてドプラ信号電力100とクラッタ電力102のそれぞれの波形が示されている。
表5および図10から、FMCWは通常のCWに比較して、深さ15cm、β=1の場合、クラッタを以下のとおり抑圧できることがわかる。(1)基本波近傍のドプラを抽出する場合:21.0dB(約1/126)、(2)第2高調波近傍のドプラを抽出する場合:30.8dB(約1/1200)、(3)第3高調波近傍のドプラを抽出する場合:45.6dB(約1/36000)。このように、FMCW波を利用することにより、つまり、図1に示す超音波診断装置により、通常のCWに比べてクラッタの影響を低減することができる。
図11は、図1に示す超音波診断装置を改良して、クラッタの影響をさらに低減した超音波診断装置を示している。図1と異なる点は、図11に示す超音波診断装置では、可変遅延回路110が、参照波として用いている送信FMCW変調波の遅延時間調整を行ってドプラ信号電力/クラッタ電力の最適化を行うことである。
生体内の深さに応じて、受信ミキサ出力における積算されたクラッタ電力とドプラ信号電力と相対的な大きさの関係は異なってくる。表5においては生体内の深さを15cmとして計算した結果を示したが、深さに応じて、ドプラ信号対クラッタ電力の比が変化する。診断深さはターゲットの位置に応じて決定されるため容易に変更することはできない。しかし、受信ミキサに供給される参照波に遅延時間を設けて調整することにより、擬似的にターゲットの位置、つまり診断深さを変更させることが可能になる。そこで、図11に示す超音波診断装置では、受信ミキサの前段に可変遅延回路110を設けて、参照波の遅延時間調整を行えるようにした。この結果、遅延時間を調整して、各遅延時間ごとにドプラ信号電力/クラッタ電力の比を算出し、ドプラ信号電力の割合がなるべく大きくなるように調整することができる。一方、変調周波数および変調波の振幅を変化させる(βを変化させる)ことにより、生体内の深さに応じて受信ミキサ出力における積算クラッタ電力とドプラ信号電力の相対比を改善することができる。
なお、遅延時間の調整は、受信ミキサ30へ供給される受信RF信号に対して行われてもよい。つまり、受信制御部16の後段に可変遅延回路を設けて、受信ミキサ30に供給される受信RF信号の遅延時間を調整することにより、参照波の遅延時間調整と同様な効果を得ることができる。
図12は、図11に示す超音波診断装置をさらに改良した超音波診断装置を示している。図11と異なる点は、図12に示す超音波診断装置では、可変遅延回路112が、N倍回路25の後段に設けられている点である。
ミキサ28,29は、N倍回路25で基本波fmをN倍(Nは自然数)して得られる変調波fmの基本波成分あるいは高調波成分を参照信号として、BPF36,38から出力される各信号を直交検波してベースバンド信号に変換する。受信ミキサ30から出力される受信ミキサ出力信号には、FM変調波発振器24から供給される変調波の変調波周波数fmに関する基本波成分および各高調波成分が含まれている。受信ミキサ出力信号の一例を数式で表現したのが前述の数8である。BPF36,38は、数8に示されるfmに関する基本波成分および各高調波成分の中から所望の周波数成分を抽出して、2つのミキサ28,29に出力する。例えば、BPF36によって、数8に示されるfmに関する基本波成分が抽出されたとすると、BPF36からミキサ28に供給される信号は次式で表現される。
Figure 0004688466
したがって、ミキサ28の参照信号としては、cos(2πfmt+φm/2)を用いるのがSNR(信号対ノイズ比)の良い乗算結果となる。このため、可変遅延回路112は、N倍回路25から出力される参照信号の位相を調整してミキサ28にcos(2πfmt+φm/2)の参照信号を供給する。この結果、SNRの良い乗算結果を得ることができる。
なお、遅延時間の調整は、BPF36,38の出力に対して行われてもよい。つまり、BPF36,38の各々の後段に可変遅延回路を設けて、ミキサ28,29に供給される信号の遅延時間を調整することにより、参照信号を遅延時間調整する場合と同様な効果を得ることができる。
ここで、ドプラ信号を検出する際の遅延時間の調整について検討する。
図12における受信ミキサ30(以降、必要に応じて「第1ミキサ」と称する)により低周波帯域に復調されたベースバンド信号は、ミキサ28,29(以降、必要に応じて「第2ミキサ」と称する)により通常のドプラ信号と同様、直流付近のドプラ信号に変換される。図13に示すように、FMCWでは、第1ミキサ出力におけるドプラ信号(ドプラエコー46)は、FM変調周波数(fm)およびその高調波成分(2fm,3fm,・・・)の固体物エコー(クラッタ信号)48の近傍にDSB−SC(Double Sideband−Suppressed Carrier)の形で出現するから、この信号を直流付近の帯域に変換するには、AMの同期検波に相当する復調プロセスが必要となる。
例えば、高調波成分2fmの側帯波として出現しているドプラ信号を抽出する場合は、第1ミキサ出力を、第2ミキサにおいて周波数2fmの第2参照波により同期検波する。図12において、N倍回路25の次数Nを2に設定すればこのプロセスを実現できる。第1ミキサ後段のBPF36,38がローパスフィルタとして機能することにより、第2高調波成分を選択したドプラ信号に対する同期検波過程は、以下のように表現できる。
まず、第1ミキサ出力(この場合はIチャンネルのミキサ32の出力を仮定)は前述の数8で表現できる。BPF36により第2高調波成分を選択すると次式の信号が抽出される。
Figure 0004688466
また、周波数2fmの第2参照波を次式のように表現する。
Figure 0004688466
数14および数15から、第1ミキサ後段のBPF36により第2高調波成分を選択したドプラ信号に対する同期検波過程は、次式によって表現される。
Figure 0004688466
数16は、第2ミキサ出力をLPF37によりドプラ周波数帯域以上の高域成分を除去した結果に相当する。
数16によれば、ドプラ信号vD2(t)の振幅は、J2(kβ),φmおよびφrに依存する。J2(kβ)とφmはターゲットの深さにより決定されるが、φrは信号処理系(例えば図12における可変遅延回路112)で設定されるパラメータで、vD2(t)はφrにより周期的に変化する。
ドプラターゲットの深さを固定し、第2参照波vr2(t)の位相φrを変化させた場合の第2ミキサ出力vD2(t)の電力を測定した結果を図14に示す。
図14において、(a)は基本波(FM変調周波数fm)成分、(b)は二次高調波成分、(c)は三次高調波成分に関する測定結果であり、各々、横軸は遅延時間(位相φr)を表し縦軸は第2ミキサ出力電力を示している。また、図14において、白丸はIチャンネルの第2ミキサ出力測定値、黒丸はQチャンネルの第2ミキサ出力測定値、点線はIチャンネル測定値の外挿曲線、2点鎖線はQチャンネル測定値の外挿曲線、実線は計算値を示している。
図14から、位相φrの変化に応じてドプラ信号が周期的に変化する様子がわかる。また、数16を考慮すると、位相φrを固定してターゲットの深さを変化させてもドプラ信号が周期的に変化することが理解できる。ドプラ信号がターゲットの深さにより周期的に変化するという現象は、表現を代えれば、ターゲットの深さによりドプラ信号の受信感度が変動するということであり、超音波診断装置にこれを応用する場合、受信感度の変動(ドプラ信号の深さ依存性)への対策が望まれる。
図15は、図12に示す超音波診断装置を改良して、ドプラ信号の深さ依存性を回避した超音波診断装置を示している。図12と異なる点は、図15に示す超音波診断装置では、BPF36の出力に対して直交検波方式による検波処理を施し、さらに、BPF38の出力に対して直交検波方式による検波処理を施すことである。以下、図12と異なる部分を中心に図15の超音波診断装置について説明する。
図15において、BPF36,38は、数8に示されるfmに関する基本波成分および各高調波成分の中から所望の周波数成分を抽出する。つまり、基本波成分および第n(nは2以上の自然数)高調波成分のうちの少なくとも一つの成分とその付近に存在するドプラ信号とから成る側帯波を抽出する。
そして、BPF36から出力される信号(側帯波信号)に対して、二つのミキサ150,152および二つのローパスフィルタ(LPF)160,162によって同期検波および直交検波を行い、さらに、BPF38から出力される信号(側帯波信号)に対して、二つのミキサ154,156および二つのローパスフィルタ(LPF)164,166によって同期検波および直交検波を行う。
ミキサ150,154は、N倍回路25で基本波fmをN倍(Nは自然数)して得られる変調波fmの基本波成分あるいは高調波成分を参照信号とする。一方、ミキサ152,156は、N倍回路25で基本波fmをN倍(Nは自然数)した後、π/2シフト回路180を経由して供給される信号を参照信号とする。π/2シフト回路180は、入力信号の位相をπ/2だけずらす回路である。
この構成により、BPF36の出力に対して直交検波方式による検波処理が実行され、また、BPF38の出力に対して直交検波方式による検波処理が実行される。なお、ミキサ150,152,154,156を利用する検波処理、および、ミキサ32,34を利用する検波処理は、アナログ回路による検波処理の他、デジタル処理(例えば、サンプリング処理などを含む)による検波処理でもよい。
そして、2乗和平方根演算部170においてLPF160の出力(I成分)およびLPF162の出力(Q成分)から、これらの2乗和平方根、つまり(I2+Q21/2が演算される。同様に、2乗和平方根演算部172においてLPF164の出力(I成分)およびLPF166の出力(Q成分)から2乗和平方根が演算される。
そして、2乗和平方根演算部170における演算結果がドプラ信号同相成分として出力され、また、2乗和平方根演算部172における演算結果がドプラ信号直交成分として出力される。ドプラ演算処理部40は、ドプラ信号同相成分およびドプラ信号直交成分に基づいてドプラ演算を実行する。
このように、図15に示す超音波診断装置では、BPF36の出力およびBPF38の出力の各々に対して直交検波方式による検波処理を施すことにより、ドプラ信号の深さ依存性を回避している。その原理は以下のとおりである。
まず、BPF36により第2高調波成分が選択されたとすると数14の信号が抽出される。そして、ミキサ150の参照信号を数17のように表現する。
Figure 0004688466
その結果、LPF160の出力は次のように表現される。
Figure 0004688466
また、ミキサ152の参照信号を数19のように表現する。
Figure 0004688466
その結果、LPF162の出力は次のように表現される。
Figure 0004688466
さらに、2乗和平方根演算部170において、数18および数20によって得られる二つの信号の2乗和の平方根が以下のように演算される。
Figure 0004688466
数21におけるvD3I(t)には、数16のvD2(t)に含まれていたφmおよびφrが存在しない。したがって、vD3I(t)には、深さ依存性が存在しないことになる。
2乗和平方根演算部172の出力も、2乗和平方根演算部170の出力と同様な計算プロセスにより次式のように演算される。
Figure 0004688466
数22におけるvD3Q(t)にもφmおよびφrが含まれず、したがって、深さ依存性が存在しないことになる。
数21および数22はドプラ信号の直交検波出力であり、これら出力に基づいて、ドプラ演算処理部40において、従来から知られている通常の信号処理によりターゲットの速度成分などが演算される。
以上説明したように、図15の超音波診断装置により、ドプラ信号の深さ依存性を回避することができる。すなわち、ドプラターゲットがどのような深さにあろうとも、ドプラ信号はその深さに依存しない信号として抽出でき、後段の処理において、通常のドプラ信号処理と同様に、FFTおよび表示系により画像として観測ができる。
図16は、図11に示す超音波診断装置をさらに改良した超音波診断装置を示している。図16に示す超音波診断装置では、図11のN倍回路25に換えて、1倍回路25a、2倍回路25bおよび3倍回路25cの3つの回路が設けられ、また、これら3つの回路の各々に対応して、受信ミキサ30の後段が3系統に分離されている。
BPF36a,38aは、それぞれ、受信ミキサ30の出力信号から変調波周波数fmに関する基本波成分を抽出して、ミキサ28a,29aへ出力する。ミキサ28a,29aは、それぞれ、1倍回路25aから得られる変調波fmの基本波成分を参照信号として、BPF36a,38aから出力される信号を検波してベースバンド信号に変換する。また、BPF36b,38bは、それぞれ、受信ミキサ30の出力信号から変調波周波数fmに関する2次高調波成分を抽出して、ミキサ28b,29bへ出力する。ミキサ28b,29bは、それぞれ、2倍回路25bから得られる変調波fmの2次高調波成分を参照信号として、BPF36b,38bから出力される信号を検波してベースバンド信号に変換する。さらに、BPF36c,38cは、それぞれ、受信ミキサ30の出力信号から変調波周波数fmに関する3次高調波成分を抽出して、ミキサ28c,29cへ出力する。ミキサ28c,29cは、それぞれ、3倍回路25cから得られる変調波fmの3次高調波成分を参照信号として、BPF36c,38cから出力される信号を検波してベースバンド信号に変換する。
そして、ミキサ28a,28b,28cから出力される信号は、加算器120において加算処理されてドプラ演算処理部40に出力され、また、ミキサ29a,29b,29cから出力される信号は、加算器122において加算処理されてドプラ演算処理部40に出力される。加算器120,122は、各ミキサから出力される信号に対して、重み付けなどを行って加算処理する。
こうして、図16に示す超音波診断装置では、変調波周波数fmの基本波、2倍の高調波および3倍の高調波からそれぞれ抽出した信号(ドプラ信号)を加算処理してドプラ情報を抽出する。このため、図11に示す超音波診断装置のように、変調波fmの基本波成分および高調波成分のいずれか一つに対応するドプラ信号を利用する場合に比べてSNRを改善することができる。
なお、必要に応じて、図16の1倍回路25a、2倍回路25bおよび3倍回路25cのそれぞれの後段に、位相や電圧調整を行う回路を追加して1倍回路25a、2倍回路25bおよび3倍回路25cのそれぞれから出力される参照信号に対して、位相や電圧の調整を行ってもよい。参照信号の位相や電圧を調整して、最適な検波(例えばSNRの良い検波)が実行されるように設定することができる。
また、1倍回路25a、2倍回路25bおよび3倍回路25cに加えて、4倍回路、5倍回路を設けるなど、さらに高次の参照信号を利用してもよい。さらに高次の参照信号を利用する場合、各次元の参照信号に対応して、受信ミキサ30の後段も4系統あるいは5系統などに拡張される。
図17は、図1に示す超音波診断装置を簡略化した超音波診断装置を示している。図17に示す超音波診断装置では、図1のミキサ32,34に換えて一つのミキサ33が設けられ、また、ミキサ28,29に換えて一つのミキサ27が設けられている。つまり、図1の超音波診断装置において、ミキサ32,34およびミキサ28,29で実行されていた直交検波が、図17では単純な検波に簡略化されている。単純な検波に簡略化したことに伴い、図17では、図1で必要とされていたπ/2シフト回路26、BPF38およびLPF39が省略されている。
図17に示す超音波診断装置では、直交検波に換えて単純な検波としたことにより、血流の方向に関する情報が失われるものの、血流の速度計測は直交検波の場合と同程度の計測が可能である。しかも、図1の超音波診断装置に比べて装置の構成を簡略化することができる。なお、図17では、LPF37の後段にウォールモーションフィルタ(WMF)130が設けられ、このWMF130においてクラッタが除去される。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。例えば、上述の実施形態では周波数fmの正弦波によるFM変調の例を示したが、周波数fm1の変調波にさらに周波数fm2の変調波でFM変調を施したFMCW送信波を形成してもよい。FM変調を多段で行うことにより、さらに低速の領域においてクラッタの影響を低減してドプラ信号を抽出することができる。
また、上述の実施形態では周波数fmの正弦波によるFM変調の例を示したが、正弦波に換えて、例えば図18に示す周期fmの三角波140を利用してもよい。もちろん、三角波として鋸歯状の波を利用してもよい。
本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示すブロック図である。 FMCW送信波の周波数スペクトルを示す図である。 FMCW受信波の周波数スペクトルを示す図である。 受信ミキサ出力の周波数スペクトルを示す図である。 受信RF信号における通常のCWでのクラッタの電力スペクトルを示す図である。 受信RF信号におけるFMCWでのクラッタの電力スペクトルを示す図である。 第1次ベッセル関数を示す図である。 横軸を診断の深さ、縦軸をベッセル関数値としてプロットした図である。 基本波および高調波クラッタ電圧の深さ依存性を説明するための図である。 ドプラ信号電力とクラッタ電力との電力比関係を説明するための図である。 本発明に係る別の超音波診断装置の全体構成を示す図である。 本発明に係るさらに別の超音波診断装置の全体構成を示す図である。 第1ミキサ出力におけるドプラ信号を説明するための図である。 第2ミキサ出力電力の参照波遅延時間依存性を説明するための図である。 ドプラ信号の深さ依存性を回避した超音波診断装置を説明するための図である。 本発明に係るさらに別の超音波診断装置の全体構成を示す図である。 本発明に係るさらに別の超音波診断装置の全体構成を示す図である。 三角波を説明するための図である。
符号の説明
20 FM変調器、22 RF波発振器、24 FM変調波発振器、26 π/2シフト回路、30 受信ミキサ、40 ドプラ演算処理部。

Claims (17)

  1. 搬送波信号を変調波信号を用いて変調処理することにより、周波数を周期的に変化させた連続波の変調送信信号を生成する送信部と、
    前記変調送信信号の供給によって生体に対して超音波を送波し、生体からの超音波を受波して受信信号を出力する送受波器と、
    前記受信信号を前記変調送信信号を用いて復調し、これにより復調信号を得る復調手段と、
    前記復調信号から、前記変調波信号を基本波とした場合における基本波成分および第n(nは2以上の自然数)高調波成分のうちの少なくとも一つの成分の付近に存在するドプラ情報を抽出するドプラ情報抽出手段と、
    を有することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記復調手段は、前記変調送信信号を参照信号として前記受信信号を検波処理する検波回路を含む、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記復調手段は、前記変調送信信号を参照信号として前記受信信号を直交検波処理する直交検波回路を含む、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記ドプラ情報抽出手段は、前記少なくとも一つの成分およびその付近に存在するドプラ信号から成る側帯波を抽出するフィルタ部を含む、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項4に記載の超音波診断装置において、
    前記ドプラ情報抽出手段は、前記側帯波から前記ドプラ信号を抽出するドプラ信号抽出部を含む、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項5に記載の超音波診断装置において、
    前記ドプラ信号抽出部は、前記変調波信号の周波数をN倍(Nは自然数)した信号のうちの少なくとも一つを参照信号として、前記側帯波を検波処理する検波回路を含む、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  7. 請求項2に記載の超音波診断装置において、
    前記復調手段に与える参照信号に対して遅延処理を施す遅延回路を含む、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  8. 請求項2に記載の超音波診断装置において、
    前記復調手段へ出力される受信信号に対して遅延処理を施す遅延回路を含む、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  9. 請求項6に記載の超音波診断装置において、
    前記ドプラ信号抽出部に与える参照信号に対して遅延処理を施す遅延回路を含む、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  10. 請求項6に記載の超音波診断装置において、
    前記ドプラ信号抽出部へ出力される側帯波に対して遅延処理を施す遅延回路を含む、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  11. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記ドプラ情報抽出手段は、前記変調波信号を基本波とした場合における基本波成分および第n(nは2以上の自然数)高調波成分のうちの複数成分の各々からドプラ信号を抽出し、抽出した複数のドプラ信号を加算処理する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記変調波信号は正弦波である、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  13. 請求項1から11のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記変調波信号は三角波または鋸歯状波である、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  14. 周波数fの搬送波信号を周波数fの変調波信号を用いて周波数変調処理することにより、変調送信信号を生成する送信部と、
    前記変調送信信号の供給によって生体に対して超音波を送波し、生体からの反射波を受波して受信信号を出力する送受波器と、
    前記受信信号に対して、前記変調送信信号を参照信号として直交検波処理を行い、これにより復調信号を得る検波回路と、
    前記復調信号から、前記変調波信号を基本波とした場合における基本波成分および第n(nは2以上の自然数)高調波成分のうちの少なくとも一つの成分とその付近に存在するドプラ信号とから成る側帯波を抽出するバンドパスフィルタと、
    前記側帯波から前記ドプラ信号を抽出するドプラ信号抽出部と、
    前記ドプラ信号から、運動体に関するドプラ情報を取得するドプラ情報取得部と、
    を有することを特徴とする超音波診断装置。
  15. 請求項14に記載の超音波診断装置において、
    前記変調波信号として、周波数fm1の変調波信号をさらに周波数fm2の変調波信号を用いて周波数変調処理することにより得られる多重変調波信号を用いる、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  16. 周波数fの搬送波信号を周波数fの変調波信号を用いて周波数変調処理することにより、変調送信信号を生成する送信部と、
    前記変調送信信号の供給によって生体に対して超音波を送波し、生体からの反射波を受波して受信信号を出力する送受波器と、
    前記受信信号に対して、前記変調送信信号を参照信号として直交検波処理を行い、これにより同相成分復調信号および直交成分復調信号を得る検波回路と、
    前記同相成分復調信号および直交成分復調信号の各々から、前記変調波信号を基本波とした場合における基本波成分および第n(nは2以上の自然数)高調波成分のうちの少なくとも一つの成分とその付近に存在するドプラ信号とから成る側帯波を抽出するバンドパスフィルタと、
    前記同相成分復調信号の側帯波および前記直交成分復調信号の側帯波から、前記ドプラ信号を抽出するドプラ信号抽出部と、
    前記ドプラ信号から、運動体に関するドプラ情報を取得するドプラ情報取得部と、
    を有し、
    前記ドプラ信号抽出部は、前記変調波信号の周波数をN倍(Nは自然数)した信号のうちの少なくとも一つを参照信号として、前記同相成分復調信号から抽出された側帯波を直交検波処理する同相成分検波回路および前記直交成分復調信号から抽出された側帯波を直交検波処理する直交成分検波回路を含む、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  17. 請求項16に記載の超音波診断装置において、
    前記ドプラ信号抽出部は、前記同相成分検波回路から出力される二つの信号に対する二乗和の平方根として得られるドプラ信号同相成分、および、前記直交成分検波回路から出力される二つの信号に対する二乗和の平方根として得られるドプラ信号直交成分、の二つのドプラ信号成分を抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
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