JP4683763B2 - 高分子材料層の加熱方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に形成された高分子材料層をベーキング又は硬化させるために加熱する方法とそれに使用する装置に関するものである。ベーキングとは溶剤を蒸発・除去すること、硬化は架橋して硬化させることをいう。
対象となる高分子材料層の一例として、3次元構造の表面形状をもつ物品を製造する方法において使用される感光性材料(以下、レジストという)層、及びそのパターン化されたものを挙げることができる。そのレジストパターンは、目的の表面形状に応じて基板上に3次元構造のものとして形成されたものであり、そのレジストパターンをその基板に彫り写すことにより物品に目的とする3次元構造の表面形状を形成するものである。
対象となる高分子材料層として、レジスト層以外に、インク、接着剤、塗料、表面処理被膜等を挙げることができる。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置を製造するプロセスでは、レジストパターンをマスクにしてその下地の絶縁膜や導電膜をエッチングしてパターン化しているが、そこで使用されているレジスト層の厚さは、0.2〜0.5μm程度である。そのプロセスでは、レジスト層の厚さが薄いため、ベーキング時の蒸発ムラや表面硬化層の発生は問題とならなかった。このため、オーブンベークやホットプレートベークで十分であった。そして、表面硬化層を形成する方法としてUV(紫外線)、DUV(遠紫外線)ハードニング装置が提案されている。
また、レジストは鍍金の分野でも使用されるが、鍍金用のレジストであっても5μm程度が最大厚さである。そこでは、鍍金の際のブロック層として使用されるので、レジスト層に求められる特性としては所望の鍍金厚さが得られる程度の厚さであれば良く、レジスト層内部の均質性や表面硬化層の状態は問題ではなかった。
【0003】
つまり、従来のベーク方法はオーブンやホットプレートによるベークが主流であり、厚膜レジストをベークする必要がなかった。従って、従来技術を持って厚いレジスト層の溶剤成分を均質に蒸発除去するには、ゆっくりした速度でベーキングを行なえばよいが、かなり時間がかかり生産性が悪くなる。また、溶剤成分の蒸発は当然表面から生じるため、表面硬化層の生成が避けられず、一度表面硬化層が生成すると内部溶剤の蒸発を妨げる(壁の)働きをすることになり、プロセスの妨害要因であった。
【0004】
光学素子の屈折面や反射面に、球面や非球面等に代表される特殊な面形状が使用されるようになってきている。また近年は液晶表示素子や液晶プロジェクター等に関連して、マイクロレンズ等にも特殊な面形状が求められている。
【0005】
そこで屈折面や反射面を型成形や研磨によらずに形成する方法として、レジストパターンを形成し、それを基板に転写する方法が提案されている(特開平7−230159号公報、特表平8−504515号公報を参照)。その方法では、光学基板の表面にフォトレジスト(レジストの代表例)の層を形成し、このフォトレジスト層に対して2次元的な透過率分布を有する露光用マスクを介して露光し、フォトレジストの現像によりフォトレジストの表面形状として凸面形状もしくは凹面形状を得、しかる後にフォトレジストと光学基板とに対して異方性エッチングを行ない、フォトレジストの表面形状を光学基板に彫り写して転写することにより光学基板の表面に所望の3次元構造の屈折面や反射面の形状を得る。
【0006】
フォトレジストの表面形状を光学基板に彫り写して転写する際、異方性エッチングによってフォトレジストと光学基板がともにエッチングされていく。フォトレジストの表面形状を光学基板に転写するためには、光学基板のエッチング速度とフォトレジストのエッチング速度に関して適当な選択比が必要になる。通常は、光学基板に対してフォトレジストのエッチング速度が大きいため、フォトレジストの耐エッチング性を高めることが必要になる。
【0007】
また、異方性エッチングとしてRIE(反応性イオンエッチング)やICP(誘導結合型プラズマ)ドライエッチングを使用すると、フォトレジストとプラズマとの表面反応やプラズマ中のイオンの衝突による反応によってフォトレジストが加熱される。そのため、もしフォトレジストの耐熱性が十分でない場合には、フォトレジストがフローし、フォトレジストパターンの形状が損なわれる。そのため、フォトレジストの耐熱性を高めることも必要になる。
【0008】
最近開発された高集積化、微細化に伴なう高分解能ポジ型レジストは、ネガ型よりも耐熱性が低い。また、最近開発されたg線(436nm)用レジストやi線(365nm)用レジストは耐熱温度が低い。
また、3次元表面を形成するプロセスでは、レジスト材料について求められる特性として、耐熱性以外に耐プラズマエッチング性がある。耐熱性と耐プラズマエッチング性を高める方法として、ポストベークにおいて段階的に温度を上げる方法があるが、十分な耐熱性、耐プラズマエッチング性が得られない。特に、レジストの厚さが厚くなる程、溶媒成分の蒸発・除去が難しくなり、十分な耐熱性、耐プラズマエッチング性が得られないし、加熱プロセス中における形状変形が大きくなる。
【0009】
半導体プロセスでは、フォトレジストのUV硬化プロセスが使用されている。UV硬化プロセスとしては、表面側にフォトレジストが塗布された半導体ウエハを、減圧下で、ヒーター内蔵のウエハ処理台に載せてウエハの裏面側から加熱しながら、ウエハの表面側からフォトレジストに紫外線を照射することが行なわれている(特許第2798792号公報参照)。
【0010】
UV硬化で使用される紫外線の波長は、300nmよりも短い光照射が主流である。これは、ノボラック樹脂と感光材が複合し架橋反応を起こすことでレジストの耐熱性が向上すると考えられているからである。
【0011】
UV硬化方法を膜厚が3μm以上というような厚いレジストの硬化に適用すると、その表面に(条件にもよるが、厚さが1μm強の)硬化層が生成される。レジスト層が薄い場合にはこの方法は有効であるが、3μm以上の場合には表面硬化層は内部溶剤成分の蒸発・除去を妨げるブロッカーとして働き、厚レジスト層を均質にベーキングしようとする工程の阻害要因となる。
【0012】
また一般に、厚いレジスト層を均質にベーキングする方法は提案されていない。別の見方をすれば、レジスト層を利用しこれを厚膜状態で三次元構造に製作しようとする試みは少ない。強いていえば、マイクロマシニング工法において溶剤成分を含まない紫外線硬化材料(つまりUV接着剤)を厚膜に塗付し、特殊なレーザー光で硬化させる3次元構造製作方法が報告されているが、この場合は本件のような溶剤成分除去の必要がないためベーキング工程は問題とならない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ホットプレートやオーブンによるベーク方法を厚膜レジストのベークに使用すると、膜厚方向において均質な溶剤成分除去ができない。
また、ベーキングに長時間を要し、生産性が悪い。
表面に硬化層が生成し、溶剤成分の蒸発を妨げる働きをする。
溶剤成分の蒸発・除去が不均質であると、▲1▼加熱による熱変形、▲2▼発泡の発生、▲3▼耐プラズマ性の低下や不均質化、▲4▼表面クラックの発生、▲5▼レジストの割れ、▲6▼基板からの剥離(密着不良)など多くの問題が発生する。
【0014】
基板を加熱する機構において基板が大気中にある場合は、空気の対流、伝熱(基板と加熱治具との接触)、放射の3つの伝達方法がある。加熱治具を真空中に配置した場合は、加熱板と基板との隙間も真空になるため、空気の対流による熱の伝達がなくなってしまい、加熱板から基板への熱の伝わり方は、伝導と放射のみになってしまう。つまり加熱板から基板へ熱が伝わりにくくなり、加熱板表面と基板の温度差が大きくなる。このため、加熱板設定温度を高めに設定する必要がある。
【0015】
また、上記の従来工法のUV硬化法では、レジストは基板裏面(フォトレジストのない面)から加熱される。つまり、レジスト内の溶剤の蒸発に寄与する熱エネルギーは「レジスト下部から供給される」のに対して、溶剤の揮発を助ける真空の環境は「レジスト表面」から作用する。また、紫外線も同様に「レジスト表面」から照射される。上記のUV硬化プロセスは半導体プロセスで行なわれるものであり、本発明が対象にしているような、厚みのある3次元構造のレジストパターンを硬化させるプロセスにそのまま適用しようとすれば、次のような種々の問題が生じる。
【0016】
▲1▼レジスト内の気泡の発生と残留
ポジ型レジストは、紫外線照射時にN2ガスを放出する。これを完全に放出しきらない内にレジスト表面に硬化層が形成されると、N2ガスが気泡のまま残ってしまい、レジスト破裂の原因となる。これは、紫外線照射がレジスト表面から行なわれて表面硬化層が形成され、N2ガスが蒸発する経路が塞がれるためである。特に、レジスト膜厚が厚くなるほどこの問題が顕著に現われる。
【0017】
▲2▼本発明が対象とする方法ではレジストが厚くなるため、光が減衰し、基板表面(レジスト下部)まで到達しにくい。特に、紫外線照射がレジスト表面から行なわれると、表面層のみが硬化し、この硬化層が300nm以下の波長の光を強く吸収してレジスト内部への光の浸透を妨げる。この表面硬化層の形成は、有機溶媒成分の蒸発が表面で部分的に行なわれる場合、つまり加熱のみによっても起こる。その結果、レジスト内部の溶剤が十分に蒸発しなかったり、耐熱性が向上しなかったり、処理時間が長くなったりするという問題が生じる。
また、レジスト内部の耐熱性が所定の温度まで達しない状態で、十分に加熱するために加熱板の設定温度を高くすると、レジストパターンが変形したり、皺が発生したりする。
【0018】
▲3▼従来の方法では、基板裏面を加熱部材に接触させて加熱するため、基板の裏面に傷が付くおそれがある。従来のように半導体ウエハの場合は問題がなくても、光学素子を形成する基板の場合には、透過特性に影響がでてくる。それを避けるために、基板裏面と加熱部材との間に隙間を設けると、今度は基板裏面と加熱部材との温度差が大きくなるという問題が生じてくる。
本発明は、これらの問題を解決して基板上に形成された厚みのある高分子材料層をベーキング又は硬化のために加熱する方法と装置を提供することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明では、基板表面に形成された高分子材料層をベーキング又は硬化のために、前記基板及び高分子材料層に遠赤外線を照射する。
厚膜高分子材料層の加熱を遠赤外線で行なうことにより、高分子材料への均等な熱伝導で短時間でのベーキング又は硬化を可能にするものである。
ベーキングは、プリベーキング、ハードニング前ベーキング、ハードニング後ベーキング及びポストベーキングを含む加工工程内のあらゆるベーキングのうちの少なくとも1つを含んでいる。
基板表面に形成された高分子材料層は、パターン化されていないものもパターン化されたものも含まれる。高分子材料層の一例はレジスト層であり、基板の表面側に塗布されたそのものや、所望の形状に応じてパターニングされたものである。
【0020】
レジスト層の場合、所望の表面形状を形成すべき基板材料表面上に所定の厚さにレジストを塗布してレジスト層を形成し、目的の表面形状に対応して予め別途の方法で設計されたマスクを使用しレジスト層にマスクパターンを露光する。基板としては各種基板、例えば透明ガラス基板、Si基板、またはGa−As基板等を被加工基板とすることができる。代表的な例を述べると、これらの基板上にレジスト層を厚膜(20〜25μm)で塗布し、プリベークする。所望の形状に応じてマスクを通してレジスト層を露光する。所望の形状とは、半導体のようにライン/スペ−スでもよいし、三次元構造でもよい。またマイクロマシニング用の構造部品でもよい。次いで、現像、リンスを実施する(必要に応じて、露光と現像の間にPEB(ポスト・エクスポジャー・ベーク)する)。その後、必要に応じてレジストをUVハードニング法により前ベーキングを行なう(前ベーキングは除くこともある)。すなわち、表面層を硬化させて耐エッチング性と耐熱性を向上させるために紫外線照射する。更に遠赤外線による本発明のポストベークを行なう。このポストベークでは、好ましくは先ず大気中又は減圧下で基板を加熱し、次いで、減圧下でその対象とするレジスト層をベーキング及び硬化させうる波長域の遠赤外線(好ましくは10〜1000μmの波長域)を照射する。この遠赤外線の照射を基板の表面側から、又は表面と裏面の両面側から行なう。
【0021】
好ましい形態では、同時に基板裏面側からヒーター加熱も行なう。ヒーター加熱によって基板のプレ加熱を行ない、遠赤外線照射によって高分子材料層の加熱をそれぞれ実現している。
遠赤外線による加熱は、時間の経過に伴ってその照射強度及び波長を変更するのが好ましい。
ヒーター加熱と遠赤外線照射を基板裏面から行なうことによって、高分子材料層のベーキングと硬化を高分子材料層加熱部位側(高分子材料層と基板面との界面)から行ない、表面硬化層の形成を防ぎ、遠赤外線照射によって均一な加熱と高精度な温度制御を実現することができる。
【0022】
基板温度を上げて遠赤外線照射すると基板加熱速度が速くなる。遠赤外線加熱すると遠赤外線は吸収されずに多くの基板材料を透過し、直接高分子材料層を加熱することができる。これによって、熱伝導率の低いガラス材料や基板厚さの厚い場合の高分子材料層加熱も良好に行なうことができる。また、基板上面(高分子材料層表面側)からの加熱を同時に行なうことによって,上下方向から加熱することが可能となり均質な溶剤成分加熱が可能となる。
【0023】
減圧下でベーキング及び硬化処理すると、短時間で処理できる。これは、減圧下では蒸気圧が下がるため水分や溶剤が蒸発され易くなり、ベーク及び硬化速度が速くなるためである。さらに減圧状態は、全ての界面に均一に作用するため、ベーク及び硬化処理が均質にできる。
【0024】
基板加熱方法として遠赤外線加熱を行なうことによって、真空中での熱伝導の不均一性や熱の伝わり難さ、再現性向上等を実現している。
ベーク及び硬化プロセスは、遠赤外線を照射しながら、基板温度を求められる耐熱温度まで上昇させることが重要である。また、基板温度を上昇させる際の上昇勾配、遠赤外線の照射強度、照射量、時間的タイミング、及び積算の遠赤外線照射光量が重要となる。このように多くの要素があるが、レジストのような高分子材料の種類、厚さ、処理法などにより手法が異なってくる。すなわち、レジストを構成する高分子材料の分子設計、官能基構造や分子量などに依存する。何故なら、高分子材料の耐熱性向上は、加熱により架橋反応が進み、高分子材料が高分子化するためである。高分子材料が部分的に高分子化することを防ぎながら,内部に含まれる溶剤成分を均一に蒸発除去することが重要である。
【0025】
この硬化方法を実現する本発明の硬化装置は、表面側に高分子材料層が形成された基板をその高分子材料層が上向きになるようにその基板の周辺部で保持する基板保持機構と、その基板の上下方に配置され、高分子材料層を加熱させうる波長域の遠赤外線を基板を通してその高分子材料層に照射する遠赤外線照射機構と、基板の下方に配置され基板を加熱するためのヒーターと、前記基板及び前記基板保持機構を収容し、前記遠赤外線照射機構からの遠赤外線及び前記基板加熱機構側からの遠赤外線を入射させる入射窓を有し排気機構を備えて内部を減圧状態にする減圧容器とを備えている。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明で高分子材料層をベーキング及び硬化させる遠赤外線は10μmから1000μmの波長をもつものが好ましい。そのような波長をもつ光源としては、遠赤外線ヒーター、遠赤外線レーザー、セラミック板付きヒーター、半導体レーザー、光パラメトリック発振器やラマンレーザーなどを使用することができる。
【0027】
遠赤外線光源の一般的で好ましい一例は、遠赤外線ヒーターである。この遠赤外線を使用することにより、基板と接する高分子材料部分から加熱を行ない高分子材料層の厚さに関わらず均質な溶剤成分加熱が可能となる。これは、ベーク・硬化速度、高分子材料硬化層の厚み、溶剤成分(蒸発温度、分子量、蒸発速度、蒸気圧、蒸発速度など)や耐熱性は高分子材料の種類によって異なるためである。
【0028】
基板の上方と下方の両方から遠赤外線を照射する場合、その上下の遠赤外線は同時に照射してもよく、フィルターにより選択して波長を変更させて順次照射させても良い。順次照射する場合は、初めに長波長側の遠赤外線を照射し、その後、短波長側の遠赤外線を照射するようにするのが好ましい。これにより、ベーキングの硬化速度をより速めることと均質性を高めることができる。
【0029】
対象となる高分子材料に応じて照射する遠赤外線の波長を使い分けるとともに、照射のタイミングを使い分けることが好ましい。これは、基板温度よりも遠赤外線照射強度と照射時間、あるいはこれらの積(照射強度×照射時間)である照射エネルギーが支配的で、温度を上昇させながらプログラムに従って,時分割しながら分割して遠赤外線を照射した方が、安定して、均質な溶剤成分の除去が行なわれ、かつ硬化速度が大きくなるためである。
【0030】
遠赤外線の照射は、初めに照射強度を弱くしておき、その後照射強度を強くすることが好ましい。高分子材料層が厚い場合、最初から強い遠赤外線を照射すると発泡し、泡がそのまま高分子材料層中に残存したり破裂を生じたりし、高分子材料パターンを損なうことになる。これを防ぐためには、最初に弱い遠赤外線強度で数秒から30秒程度照射し、発泡の原因となるガス放出を行なうのがよい。
【0031】
また、基板材料の熱容量が大きい場合には基板を予め加熱するために別に用意したヒーターで加熱する事も有効である。こうすることで、基板温度と高分子材料との温度差を無くし,密着不良や発泡を防ぐことができる。
【0032】
本発明の加熱装置の特徴は、基板保持機構は基板周辺部で基板を保持し、基板裏面側には遠赤外線照射装置と基板加熱用のヒーターをともに配置している点にあるが、遠赤外線照射装置とヒーターは平行に設置し、かつ互いに干渉しないように配置するのが好ましい。又は図4に示すような2つのチャンバーを有する加熱装置で行なうのが好ましい。更には、照度が均一となるように補助反射板を設置するとともに、基板を回転させる機構があることが好ましい。
【0033】
遠赤外線照射とヒーターの使用時期及び真空減圧条件の設定は,実施例及び図5に示すようにヒーターを初めに作動させ基板を加熱した後、遠赤外線を照射し高分子材料層が所定の温度に達した後に、真空減圧することが好ましい。また遠赤外線照射は,溶剤成分の蒸発状況をモニタリングしながら時分割し、数回に分けて照射し高分子材料層の内部温度を維持して徐々に温度を上昇させながら溶剤成分を蒸発させる。最終的な到達温度は、高分子材料によって異なる。更に、真空減圧は、実施例に示すように溶剤成分の蒸発を管理しながら適切な真空度を維持することが望ましい。
【0034】
【実施例】
図1に本発明の硬化装置の一実施例を示す。
2は減圧容器の真空チャンバーであり、その内部に基板保持機構の基板ホルダー4が設けられている。基板ホルダー4は、表面側に高分子材料層パターンが形成された透明ガラス基板6を、その高分子材料層パターンが上向きになるように、基板6の周辺部で保持する。
【0035】
真空チャンバー2はその上下面が合成石英板の入射窓になっている。下側の入射窓を介して高分子材料層をベーキング・硬化させる加熱用ヒーターとしての遠赤外線と、高分子材料層を加熱するための遠赤外線とが真空チャンバー2内に入射し、透明ガラス基板6を経てその表面に形成された高分子材料層パターンに照射される。上側の入射窓を介して高分子材料層をベーキング・硬化させるための遠赤外線が真空チャンバー2内に入射し、高分子材料層パターンに照射される。真空チャンバー2には、その内部を減圧状態にするために、排気速度を制御するための圧力制御機構(バルブ)8を介して真空ポンプ10が設けられている。
【0036】
真空チャンバー2にはさらに、真空チャンバー2をリーク(真空解除)する際に導入する窒素を供給する窒素供給機構12と、真空チャンバー2からその窒素を排出するベント14とが設けられている。
【0037】
真空チャンバー2の側面には、基板6を基板ホルダー4に載置したり基板ホルダー4から取り出したりする際に真空チャンバー2内の真空を破壊することなく作業を継続できるようにするために、ロードロック室16が設けられている。18はベーク・硬化処理前後の基板6を収容する基板キャリアであり、搬送ロボット20により基板キャリア18とロードロック室16との間で基板の授受がなされる。
【0038】
真空チャンバー2の上部と下部には照明装置が配置されており、その照明装置は入射窓を介して遠赤外線を照射する上下の遠赤外線照射ヒーター22と、下側から基板加熱する赤外線ランプ24とを備えている。26は遠赤外線ヒーター22の電源である。ヒーター22と遠赤外線ランプ24には、図示していないが、シャッター、フィルター、照射強度均一化のための補助反射板が設置されている。
【0039】
30は各部に必要な電源を供給する電源装置である。破線で囲まれた外枠はこの硬化装置全体を意味しており、32はその硬化装置全体のクリーン度を制御するための空調制御装置である。
遠赤外線照射ヒーター22としては、工業用(1000W)のものを上下に合計2灯用いた。照射強度は、照射距離を変更することによって照度を可変にできる。
遠赤外線照射ヒーターを用いることによって基板裏面キズが生じなくなった。そして、接触型ヒーターを用いる場合のように基板とヒーターとの間のギャップの設け方によって基板温度に差が生じるということもない。
【0040】
(実施例1)
実施例として、図2に示される大口径マイクロレンズを製作した。このレンズは、LD発光光をコリメートするためのマイクロレンズであり、中心波長:1480nm、WD(ワーキングディスタンス、すなわちLD(レーザーダイオード)とマイクロレンズとの距離):0.4mm、マイクロレンズと第2レンズとの距離:9.5mm、基板材料:S−NPH2、基板厚さ:1.1mm、レンズ有効径は第1面側(非球面シリンダー形状):370μm、第2面側(非球面トロイダル形状):496μm、焦点距離(第1面):f(Y方向)=0.489(mm)、f(X方向)=0.994(mm)、開口数(第1面):NA(Y方向)=0.390、NA(X方向)=0.251のマイクロレンズを製作した。
【0041】
本実施例のマイクロレンズの場合には単位セル形状を2μm×2μmの正方形、ドット形状を円形状(同心円状に面積を増加させる方法)、ドット配置を中心配置として濃度分布マスクを製作した。最後に記載するが、レジスト最終厚さ:21.5μm、エッチング加工時選択比:1.68の条件で加工するに必要な形状(目的の形状を1/αに縮小した形状、αはエッチング時の選択比)を濃度分布マスク工法で実現するように、感度曲線から濃度分布マスクを設計した。
【0042】
次に、上記マスクを使用して製作するマイクロレンズの例を述べる。
S−NPH2ガラス基板を用意し、この基板上にTGMR−950レジスト(東京応化社の製品)を約25.0μmの厚さに塗布した。塗付条件は、300rpm(膜厚を均一にするための最終回転数は、1500rpm)である。
次に、本発明の真空遠赤外線照射装置を用いてプリベークを行なった。プリベークは、基板を本装置に設置し、1気圧、25℃から始めた。スタートと同時に遠赤外線照射を開始した。また、同時に真空引きを開始した。スタート後、7分で真空度0.1Torr、基板温度80℃に達した。その後、0.1Torrの真空度を維持したまま、遠赤外線を照射した。スタート後13分で基板温度90℃、真空度0.1Torrに設定した。この状態を更に7分間継続した。スタート後のトータル時間は20分である。この時点で、遠赤外線照射を終了した。
このようにトータル20分処理した後、窒素を導入して真空を解除した。同時に基板温度は低下した。基板が十分に冷却された状態で装置から取り出した。
この基板を1/5ステッパーで露光した。露光条件は、デフォーカス:0μm、照射量:390mW×6.4秒(照度:2500mJ)である。
【0043】
この条件で露光後、PEBは実施しなかった。その後、現像とリンスを施してレジストパターンを形成した。この時のレジスト高さは、21.5μmであった(現像、リンスによって3.5μm減少(目減り)した)。更に、レジスト表面硬化前処理として、図1のベーキング装置を用いて大気圧下で、90℃で30分間ベーキングを行なった。
【0044】
この操作によって、レジストの耐プラズマエッチング性と耐熱性が向上し、次工程での加工に耐えられるようになる。
更に、図1に示した減圧・遠赤外線照射装置にてヒーターと遠赤外線照射機を使用してポストベークを行なった。このポストベークでは、25℃から160℃に徐々に温度を上昇させた。この間90℃に到達した時点で、減圧を開始した。基板温度が160℃に到達した時点で減圧を終了させ、徐々に窒素を導入しながら大気圧まで加圧し、大気圧に戻った時点から、積算して維持時間が120分間になるまで保持した。
本実施例の遠赤外線照射のベーキング・硬化条件は、自動搬送装置で基板6を搬入した後に、遠赤外線照射または真空引き用のバルブ8を開け真空引きを始める。
【0045】
以下に一般的な装置の稼動状態を示す。真空装置自体では、60秒で1Torrまで粗引きする。(但し、通常、基板上にレジスト(溶剤成分を多量に含んでいる)が目的の厚さだけ塗付されているので真空引きをはじめても到達圧力と時間はそれぞれ異なっている。)その後、ドライポンプにて0.95Torrに維持する。通常、基板加熱は、真空引きが開始されると同時に赤外線ランプ24から赤外線を照射し、基板加熱を開始する。60秒以内に55℃まで上昇させこれを維持する。その後、遠赤外線照射ヒーター22から遠赤外線を照射し、ゆっくりとレジストを加熱しながらベーキングを行なう。次いで、温度を維持したままで、遠赤外線を照射しつづけ、レジストを硬化させる。勿論、ベーキング・硬化時間や真空引きのタイミングはレジストの種類、厚さ、基板の熱伝導率、ベーキング・硬化の目的によって大きく異なることはいうまでもない。
【0046】
ベーキング・硬化は、その条件を予め実験で求めてコンピュータに入力しておき、外部からコンピュータ制御する。硬化処理後、レジストの形状を測定すると硬化処理前と全く変化はなかった。
ポストベーキング(硬化)工程を経た基板6をICPドライエッチング装置にセットし、真空度1.5×10-3Torrで、反応ガスをCHF3:5.0〜10.0sccm、BCL3:1.0sccm、Ar:0.5sccmで流し、基板バイアス電力:1KW、上部電極電力:1.25KW、基板冷却温度:−20℃の条件下でドライエッチングを行なった。またこの時、基板バイアス電力と上部電極電力を経時的に変化させ、時間変化とともに選択比が大きくなるように変更しながらエッチングを行なった。基板の平均エッチング速度は0.55μm/分、平均の選択比は1.68であった。エッチング後のレンズ高さは36.01μmであった。実際のエッチンング時間は65.5分を要した。
【0047】
本実施例では、第一面と第二面のレンズ形状が異なっている。このためそれぞれに応じた濃度分布マスクを準備したが、レンズ高さはほぼ同一であるため第一面と第二面のレンズ製作のプロセスは、全く同一に行なった。その結果、本実施例で製作した両凸マイクロレンズで結合された光は、第二レンズ表面上では、光の結合効率94.8%が得られた。
【0048】
(実施例2)
第2の実施例として図3に示される大口径マイクロレンズを製作した。本実施例では「LD発光光を集光するためのマイクロレンズ」として、中心波長:850nm、WD(ワーキングディスタンス、すなわちLDとマイクロレンズとの距離):0.15mm、マイクロレンズとファイバーとの距離:0.3mm、基板材料:S−NPH2、基板厚さ:1.0mm、レンズ有効径は第1面側(非球面形状):200μm、レンズ有効径は第2面側(球面):200μm、焦点距離(第1面):f=0.15(mm)、焦点距離(第2面):f=0.30(mm)、開口数(第1面):NA=0.3、開口数(第2面):NA=0.16のマイクロレンズを製作した。
【0049】
本実施例のマイクロレンズの場合には単位セル形状を2μm×2μmの正方形、ドット形状を円形状(同心円状に面積を増加させる方法)、ドット配置を中心配置として濃度分布マスクを製作した。最後に記載するが、レジスト最終厚さ:21.5μm、エッチング加工時選択比:αの条件で加工するに必要な形状(目的の形状を1/αに縮小した形状、αはエッチング時の選択比)を濃度分布マスク工法で実現するように、感度曲線から濃度分布マスクを設計した。
【0050】
濃度分布マスク設計においては、現像後のレジスト高さは第1,2面ではほぼ同じに設計している。目的高さが異なるため当然のことながら、第1,2面で選択比が異なっている。従って濃度分布マスクの設計は異なっている。このため、使用する感度曲線は同じであるが、具体的には斜面の勾配や縮小倍率などが異なっている。
【0051】
次に、上記マスクを使用して製作するマイクロレンズの例を述べる。
S−NPH2ガラス基板を用意し、この基板上に前記のTGMR−950レジスト(東京応化社の製品)を約25.0μmの厚さに塗布した。塗付条件は、300rpm(膜厚を均一にするための最終回転数は、1500rpm)である。
次に、図1に示した減圧・遠赤外線加熱装置を用いて、ヒーター加熱によって60℃で5分間加熱させた後、真空減圧をはじめる。ついで、遠赤外線を照射して90℃まで徐々に温度を上昇させる。その間真空引きを行ない0.1Torrまで徐々に減圧する。(0.1Torrを積算で15分間維持する:合計20分)。減圧開始から、遠赤外線を上下とも500Wで15分間照射する。
【0052】
この基板を1/5ステッパーで露光した。露光条件は、デフォーカス:0μm、照射量:390mW×6.4秒(照度:2500mJ)である。
この条件で露光後、PEBは実施しなかった。その後、現像とリンスを施してレジストパターンを形成した。この時のレジスト高さは、21.5μmであった(現像、リンスによって3.5μm減少した)。更に、レジスト表面硬化前処理として本件ベーキング装置で大気圧下で、85℃×20分間ベーキングを行なった。
【0053】
更に、図1に示した減圧・遠赤外線照射装置にてヒーターと遠赤外線照射機を使用して25℃から160℃に徐々に温度を上昇させた。この間90℃に到達した時点で、減圧を開始する。基板温度が160℃に到達した時点で減圧を終了させ、徐々に窒素を導入しながら大気圧まで加圧する。大気圧に戻った時点から、積算して維持時間が60分間になるまで保持してポストベークする。
実施例1と異なり、プリベーキングを真空減圧条件下で実施してあるので、160℃での積算保持時間は短くてよい。
【0054】
ポストベーキング(硬化)工程を経た基板6をICPドライエッチング装置にセットし、真空度1.5×10-3Torrで、反応ガスをCHF3:5.0〜10.0sccm、BCL3:1.0sccm、Ar:0.5sccmで流し、基板バイアス電力:1KW、上部電極電力:1.25KW、基板冷却温度:−20℃の条件下でドライエッチングを行なった。またこの時、基板バイアス電力と上部電極電力を経時的に変化させ、時間変化とともに選択比が大きくなるように変更しながらエッチングを行なった。基板の平均エッチング速度は0.55μm/分、平均の選択比は第1面では、1.40、第2面では1.24であった。エッチング後のレンズ高さは第1面では、30.0μm、第2面では26.7μmであった。実際のエッチンング時間は第1面では56分、第2面では50分を要した。
【0055】
本実施例では、第一面と第二面のレンズ形状が同じである。しかしレンズ高さが異なっている。このためそれぞれに応じた濃度分布マスクを準備したが、現像リンス後のレンズ高さはほぼ同一であるため第一面と第二面のレンズ製作のプロセスは、全く同一に行なった。その後のエッチングの選択比を変更して目的形状を得ることに成功した。その結果、本実施例で製作した両凸マイクロレンズで結合された光は、光ファイバー端面上では、光の結合効率85%が得られた。
【0056】
図1の硬化装置は、真空チャンバーを1つ備えたものであるが、量産用にするために、真空チャンバーを2つ備えたものに改良した硬化装置を図4に示す。41と42は共に減圧容器の真空チャンバーであり、それぞれの内部に基板46を保持し、遠赤外線を照射して高分子材料を硬化させるようになっている。一方の真空チャンバー41は中央部に基板40を保持する基板受け治具47が設けられている。基板受け治具47は基板46の周囲を保持し、上下両方向から遠赤外線照射が可能になっている。中央部に保持された基板46の上方と下方にそれぞれ遠赤外線照射装置44,44が配置され、基板46が配置される空間との間がそれぞれ合成石英板の入射窓41a,41aで隔てられている。遠赤外線はその入射窓41a,41aを透過して基板46の高分子材料に照射される。
【0057】
他方の真空チャンバー42には、中央部に基板46を載置して保持し、かつ基板46を加熱する加熱装置45が配置されている。加熱装置45は赤外線加熱又はヒーター加熱の加熱装置である。加熱装置45上に設置された基板46の上方には、合成石英板の入射窓42aを介して遠赤外線照射装置44が設けられている。この真空チャンバー42においても、遠赤外線が入射窓42を介して基板46上の高分子材料層に照射される。
【0058】
2つの真空チャンバー41,42の間には、それらをつなぐ搬送室40が配置されており、それぞれの真空チャンバー41,42とはゲートバルブ49,49を介して開閉可能に接続されている。搬送室40内には搬送用ロボットである自動搬送機43が設けられており、そのハンド50により基板46を把持して真空チャンバー41,42内に設置したり、取り出したりできるようになっている。
真空チャンバー41,42及び搬送室40はその内部を減圧状態にするためにそれぞれ排気口48を備え、それぞれ排気速度を制御するための圧力制御機構(バルブ)(図示略)を介して真空ポンプに接続されている。
【0059】
真空チャンバー41,42にはさらに、真空チャンバー41,42をリークする際に導入する窒素を供給する窒素供給機構(図示略)と、真空チャンバー41,42からその窒素を排出するベントとがそれぞれ設けられている。
各遠赤外線照射装置44には、図示していないが、シャッター、フィルター、照射強度均一化のための補助反射板が設置されている。
各遠赤外線照射装置44としては、工業用(1000W)のものを用いた。照射強度は、照射距離を変更することによって照度を可変にできる。
【0060】
図4の硬化装置の動作を説明すると、図示していない基板キャリア(基板を25枚収容することができる)から搬送室40内の自動搬送機43に基板46を自動で搬送する。搬送室40に搬送された基板46は、まず真空チャンバー42内の基板加熱装置45上に載置される。
次いで、基板加熱装置45により基板46が加熱される。このとき、ゲートバルブ49は閉じられており、必要に応じて真空チャンバー42内が真空引きされる。この間に搬送室40も真空チャンバー41も共に真空引きされる。
【0061】
真空チャンバー42での加熱終了後、ゲートバルブ49が開けられ、加熱された基板46が自動搬送機43によって真空チャンバー41の基板受け治具47上に移送される。その後、真空チャンバー41のゲートバルブ49が閉じられ、真空チャンバー41内が真空引きされた状態で、基板46の上下から遠赤外線照射装置44により遠赤外線が照射されて高分子材料が硬化する。
所定の処理の終了後、基板46が搬送室40に戻され、真空がリークされて基板46が取り出される。
この硬化装置では、入射窓が汚れることがなくなり、真空容器内が汚れなくなったため、メンテナンス時間が少なくなった。
【0062】
図5は図4のこの硬化装置における処理の一例を示したものである。▲1▼,▲2▼,▲3▼はそれぞれ真空引きの例を示している。これらの条件は、レジストの厚さや、感度、工程(プリベークであるかポストベークであるか)によって異なり、それぞれに適当な条件を設定する。
図5中の符号A〜Fは基板46の温度を表している。▲1▼が代表的な例であるので、この場合について説明する。
【0063】
基板46を真空チャンバー42に搬入し、基板加熱装置45による基板加熱を始める。基板温度が一定温度、例えば80℃に達した時点(B)で真空チャンバー42内を真空排気し、真空チャンバー42内の遠赤外照射装置44により遠赤外の照射を始める。このとき、同時に搬送室40も他方の真空チャンバー41も同じ真空度になるように真空排気が行なわれている。一定時間の加熱と遠赤外線照射を経て(C)に達した時点で、自動搬送機43により基板46を真空チャンバー42から真空チャンバー41へ搬送する。真空チャンバー41では、上下の遠赤外線照射装置44、44により、遠赤外線照射を行なう。真空引きを継続し、基板温度が(D)点まで達した後、遠赤外線照射量を制御し、基板温度を(D)点の一定温度で維持する。この温度で、所定の時間保持した後、遠赤外線照射を終了する。
その後、真空チャンバー41内に窒素を導入して大気圧に戻し、自動搬送機43により基板46を基板キャリアに搬出する。
【0064】
【発明の効果】
本発明の加熱方法では、従来のホットプレート及びオーブンによるベーク方法を遠赤外線によるベークに変更したので、ベーク性に優れている。
また、オーブンやホットプレートに比べ短時間の処理が可能である。そして、短時間のベークでありながら耐エッチング性は更に良好となる。
本発明の加熱方法は、ソフトベーク・ハードベークに関わらず、ベーク全般に使用が可能である。
本発明の遠赤外線照射によるベーキング・硬化方法と紫外線硬化装置を用いると、下記の効果が得られ色々の問題が解決できた。
(1)遠赤外線照射により高分子材料層の裏面側から加熱するため、基板内温度分布の制御が可能となり、レジスト内の気泡の発生と残留を抑えることができた。
(2)基板内の温度分布が小さくなった。レジストのベーキングと硬化が基板側から可能となり、発泡、熱変形、皺発生がなくなり、熱によりレジストが熱変形することがなくなった。
(3)レジスト厚さ20μm以上の場合も完全硬化できた。このように、レジストが厚くても、耐熱性が不十分であることがなくなった
(4)遠赤外線照射及びヒーター加熱を高分子材料のある側反対側から行なうことによって、溶剤及びレジスト自体の蒸発によって、レジストを均一に加熱でき、ベーキング・加熱速度が大幅に向上した。
(5)レジストの種類に応じた硬化条件が設定でき、多くのレジストのベーキング・硬化が可能となり、レジストの種類によらず硬化効果が出せるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の硬化装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の加熱方法を使用して製作される大口径マイクロレンズを示す正面図である。
【図3】本発明の加熱方法を使用して製作される他の大口径マイクロレンズを示す正面図である。
【図4】他の実施例を示す概略構成図である。
【図5】図4の実施例における処理の一例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
2,41,42 真空チャンバー
4 基板ホルダー
6,46 基板
10 真空ポンプ
22 遠赤外線ヒーター
24 ヒーター
40 搬送室
43 自動搬送機
44 遠赤外線照射装置
45 基板加熱装置

Claims (11)

  1. 基板表面に形成された高分子材料層のベーキング又は硬化のための加熱方法において、
    前記高分子材料層は厚さが3μm以上であり、
    前記基板の裏面側から前記基板を通して前記高分子材料層に遠赤外線を照射することにより前記高分子材料層を裏面側から加熱することを特徴とする加熱方法。
  2. 前記遠赤外線照射時における前記被加工基板のまわりの圧力条件、照射時間、遠赤外線照射方向、照射積算エネルギー、照射タイミングを組み合わせる請求項1に記載の加熱方法。
  3. 前記ベーキングは、プリベーキング、ハードニング前ベーキング、ハードニング後ベーキング及びポストベーキングを含む加工工程内のあらゆるベーキングのうちの少なくとも1つを含み、それぞれ必要に応じてベーキング条件を設定する請求項1又は2に記載の加熱方法。
  4. 前記基板は被加工基板で、前記高分子材料層は感光性材料層であり、その感光性材料層は前記基板表面に塗布されてパターン化されていないもの、又はさらに所望の形状にパターニングされたものである請求項1から3のいずれかに記載の加熱方法。
  5. 前記遠赤外線は10μmから1000μmの波長をもつものである請求項1から4のいずれか記載の加熱方法。
  6. 初めに前記基板を遠赤外線照射によらない加熱ヒーター又は赤外線ヒーターにて加熱し、その後遠赤外線を照射する請求項1から5のいずれかに記載の加熱方法。
  7. 前記遠赤外線照射は、初めに照射強度を弱くしておき、その後照射強度を強くする請求項1から6のいずれかに記載の加熱方法。
  8. 前記遠赤外線照射は、高分子材料中に含まれる溶剤成分の除去速度又は除去量に応じて、照射のタイミング、回数及び積算照射量を設定する請求項1から7のいずれかに記載の加熱方法。
  9. 前記遠赤外線照射方向は、先に前記基板の裏面側から前記基板を通して前記高分子材料層に遠赤外線を照射し、その後前記基板の表面側から前記高分子材料層に遠赤外線を照射することにより、前記遠赤外線照射方向が前記基板の表面側と裏面側の両方向を含んでいる請求項1から8のいずれかに記載の加熱方法。
  10. 表面に厚さが3μm以上の高分子材料層が形成された基板を前記高分子材料層が上向きになるようにその基板の周辺部で保持する基板保持機構と、
    前記基板の上方及び下方に配置され、前記高分子材料層を加熱させうる波長域の遠赤外線を前記基板上面側と前記基板を通して下面側の両側から前記高分子材料層に照射する遠赤外線照射機構であって、先に前記基板を通して下面側から遠赤外線を照射することにより前記高分子材料層を裏面側から加熱する遠赤外線照射機構と、
    前記基板の下方に配置され、前記基板を加熱するための遠赤外線照射によらない基板加熱機構と、
    前記基板及び前記基板保持機構を収容し、前記遠赤外線照射機構からの遠赤外線を入射させる入射窓を有し、排気機構を備えて内部を減圧状態にする減圧容器とを備えたことを特徴とする加熱装置。
  11. 遠赤外線照射時における前記被加工基板のまわりの圧力条件、照射時間、遠赤外線照射方向、照射積算エネルギー及びタイミングを含む遠赤外線照射条件を制御するコントローラを備えている請求項10に記載の加熱装置。
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