JP4675581B2 - 六方晶フェライト磁性粉末の製造方法 - Google Patents

六方晶フェライト磁性粉末の製造方法 Download PDF

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本発明は、六方晶フェライト磁性粉末の製造方法に係り、特に塗布型の超高密度磁気記録媒体の磁性粉末としての使用に適した六方晶フェライト磁性粉末の製造方法に関する。
塗布型の磁気記録媒体は、量産性に優れるとともに、高い信頼性が得られることから、これまで磁気記録システムに広く用いられてきた。最近のブロードバンド時代を迎えての情報量の飛躍的な増大に対処応するために、磁気記録システムのより一層の大容量化と高転送レート化、そして磁気記録媒体のより一層の高密度化が求められている。これまでに0.1Gb/inレベルの面記録密度を持つ塗布型の磁気記録媒体がすでに開発されており、1〜数Gb/in以上の超高密度磁気記録の可能な媒体の開発が次目標となっている。
磁気記録媒体の記録密度を高めるためには、磁化反転の遷移領域がシャープであって孤立反転波形の半値幅(PW50)が狭く、また低域から高域まで出力変化が少なく平坦であることが求められてきた。このため高密度記録の可能な磁気記録媒体には、磁性層が薄いことが必要とされ、最近では磁性層厚を従来の数100nmから数十nmにまで薄くした磁気記録媒体がすでに開発されている。
高密度に記録された信号を高感度で読み出すためには、MR(磁気抵抗効果)を利用した高感度の再生ヘッドが用いられるようになり、磁気記録における記録密度は著しく向上した。高感度のMRヘッドに対しては、ヘッドが飽和するのを防ぎ、また波形歪みやパルス波形の非対称性が発生するのを防ぐために、磁気記録媒体の磁性層は均一性の良好な薄層であって、低域から高域まで出力変化が少なく平坦であることが要求される。
高感度のMRヘッドを使用した磁気記録機器では、媒体ノイズを低減することによって機器の信号対ノイズ比を高めることができる。媒体ノイズの低減には、磁気記録媒体の磁性粒子の微細化が求められる。
粒子サイズの微細化に適し、高密度記録に適した磁性粉末として六方晶フェライト磁性粉末がある。六方晶フェライト磁性粉末を用いた磁気記録媒体は、その磁化が比較的小さいため記録された磁化が比較的小さいことが指摘されていたが、信号の再生に高感度のMRヘッドを用いることにより、十分な信号出力が得られるようになったため、超高密度磁気記録媒体として期待されている。
六方晶フェライト磁性粉末のフェライト粒子は粒子形状がほぼ六角板状であるため、その粒子サイズや形状は、平均板径と平均板厚、あるいは平均板径と平均の板状比(平均板径を平均板厚で除したもの)で表現される。上述した既存の磁気記録媒体の記録密度を上回る超高密度磁気記録媒体であり、磁性層の厚さが例えば100nm以下と薄く、媒体ノイズが低く信号対ノイズ比の高い媒体を得るには、これに用いる六方晶フェライト磁性粉末は平均板径が30nm以下であり、その平均板厚はその約1/3程度あるいはそれ以下に微細化されたものが求められている。
しかしながら、六方晶フェライト磁性粉末の平均粒子径を30nm以下にまで微細化したものを従来の製造方法に従って製造すると、例えば特許文献1(特開平10−92618号公報)に記載されているように、スイッチング磁界分布SFD(逆方向の磁界を印加した場合の磁化反転磁界分布の半値幅ΔHをHcで除した値、ΔH/Hc)が著しく増大したものとなり、超高密度磁気記録媒体に適した六方晶フェライト磁性粉末が得られないという、微細化された磁性粒子の作製に伴う新しい技術的な問題点が見出されている。
結晶性および磁気特性が良好な六方晶フェライト磁性粉末は、ガラス結晶化法によって製造されている。ガラス結晶化法による六方晶フェライト磁性粉末の製造においては、溶融ガラスの均質性、急冷速度、および母相から六方晶フェライトの結晶を析出させる熱処理条件などを制御することにより、得られる六方晶フェライト磁性粉末の板径を制御することができる。しかし、このようにして粒子の平均板径を小さくしたものは、超常磁性粒子を示す粒子の比率が相対的に高くなり、またSFDが増大するために、磁気記録媒体に適した磁性粒子を得ることはできなかった。なお超常磁性粒子は、粒子体積が小さいために熱擾乱で磁気モーメントが磁化の本来の安定方向から絶えず外れて揺動し、保磁力を消失した状態の磁性粒子である。
特許文献1には、ガラス結晶化法により、母相から六方晶フェライトの結晶粒子を析出させる熱処理工程を、結晶核析出段階と結晶成長段階の2段階で行ない、結晶核析出段階での核体積と存在密度を規定することにより、平均板径10nm以下の粒子の存在確率を下げることが記載されている。この方法はこれまでの六方晶フェライト粒子の微細化に有効であったが、平均板径が30nm以下と、極めて微細な六方晶フェライト磁性粉末粒子を作製する場合には、結晶核析出段階と結晶成長段階とが近接し、熱処理工程を2段階に分けて制御することが困難となった。
特許文献2(特開平6−290924号公報)には、高密度磁気記録用の磁性粉末は粒子サイズかよく揃い、板径分布の幾何標準偏差が1.5以下であることが好ましいことが記載されており、その実施例には、磁性粉末粒子の幾何標準偏差が、1.42および1.4の磁性粉が記載されている。しかしながら、特許文献2に記載された製造方法では、この標準偏差値がそのほぼ限界であり、これ以上に磁性粉末粒子のサイズを揃えることは、特許文献2に記載された製造方法では困難であった。また粉末の粒度分布の改善には、一般には分級が用いられるが、こうして得られる磁性粉末は粒子サイズが非常に微細であるため、これまで有用な分級手段が見出されていなかった。
従来、微細で粒径サイズがよく揃い、結晶性と磁気特性が良好な六方晶フェライト磁性粉末を製造するには、特許文献1や特許文献2に記載されているガラス結晶化法が適していることが知られている。ガラス結晶化法による六方晶フェライト磁性粉末の作製では、ガラス成分中に析出した六方晶フェライト磁性粉末の粒子を抽出するために、例えば特許文献3(特開昭56−169128号公報)に示されているように、酢酸を用い、ガラス成分だけを溶解し除去する工程を有している。この工程では、ガラス成分の溶解に六方晶フェライトを溶解しない酢酸が使用されている。
他方、特許文献4(特開昭64−66821号公報)には、六方晶フェライト磁性粉末の製造において硝酸を使用することが記載されている。特許文献4では、ガラス結晶化法による六方晶フェライト磁性粉末の製造において、溶融物を急冷して得た非晶質体の薄片を熱処理し、ガラス成分相に六方晶フェライトの微粒子を析出させると、この薄片の表面にだけ粗大粒子が発生するという現象がみられ、抽出する六方晶フェライト磁性粉末にこの粗大粒子を混入させないよう、予め除去しておく必要があることから、薄片を酢酸や硝酸などの酸に浸し、表面の粗大粒子を除去するものである。このように特許文献4では、薄片の表面にのみ酸を作用させて薄片表面の粗大粒子を除き、他方、抽出しようとする薄片内部の六方晶フェライト磁性粉末に対しては、この酸が作用して侵すことのないように配慮したものである。
特開平10−92618号公報 特開平6−290924号公報 特開昭56−169128号公報 特開昭64−66821号公報
上述したように、超高密度磁気記録媒体に用いることができる六方晶フェライト磁性粉末は得られておらず、これまでに知られている製造方法では製造が困難であることから、その製造が可能な新しい製造方法を開発することが、超高密度磁気記録媒体を実現するための重要な課題であった。本発明はこの課題を解決し、超高密度磁気記録媒体に適した六方晶フェライト磁性粉末の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記の六方晶フェライト磁性粉末の製造における酸処理のプロセスに着目し、研究を重ねた結果、超高密度磁気記録媒体に適した六方晶フェライト磁性粉末の製造方法を発明することができた。
本発明の製造方法により得られる六方晶フェライト磁性粉末は、例えば、平均板径が18〜30nm、板径の幾何標準偏差が1.25以下であるとともに、平均板厚が5〜10nm、板厚の幾何標準偏差が1.25以下であって、板径が10nm以下の粒子比率が3%以下であり、さらに比表面積が40〜80m/gの六方晶フェライト粒子で構成され、SFDが0.7以下である。
このような六方晶フェライト磁性粉末は、例えばガラス結晶化法を用いて六方晶フェライト磁性粉末を製造し、製造された六方晶フェライト磁性粉末の粒度分布のうち微小な粒子の成分を溶解して除き、粒度分布を改善することによって得ることができる。
六方晶フェライト磁性粉末の微小な粒子成分を溶解する方法としては、磁性粉末を一部溶解する酸性の比較的強い水溶液、例えば強酸の水溶液に所定の時間浸漬する方法を用いることができる。この際の溶解量を適切に選ぶことにより、微小な粒子を溶解により消滅させる一方で、粒度分布の主要な部分を占める粒子に対しては、溶解の影響が相対的に小さく、その結果として磁性粉末の粒度分布を狭めることができる。
本発明において、六方晶フェライト磁性粉末の平均板径は、この磁性粉末の透過型電子顕微鏡像により、500個の粉末粒子の板径を無作為に選択して測定し、これらの測定値を算術平均して得たものである。また六方晶フェライト磁性粉末の平均板厚についても同様に、この磁性粉末の透過型電子顕微鏡像により、500個の粉末粒子の板厚を無作為に選択して測定し、これらの測定値を算術平均して得たものである。
例えば、六方晶フェライト磁性粉末の平均板径は、18〜30nmである。六方晶フェライト磁性粉末の平均板径が18nm未満では、粒子の磁化値が小さくなるとともに分散が難しくなり、超高密度磁気記録媒体に用いた場合の信号対雑音比が著しく低下する。また六方晶フェライト磁性粉末の平均板径が30nmを超えると、超高密度磁気記録媒体に用いた場合に媒体ノイズが著しく増大する。その平均板径は、28nm以下であることがより好ましく、26nm以下であることがさらに好ましい。
このような六方晶フェライト磁性粉末の平均板厚は、5〜10nmである。六方晶フェライト磁性粉末の平均板厚が5nm未満では、粒子の磁化値が小さくなるとともに分散が難しくなり、超高密度磁気記録媒体に用いた場合の信号対雑音比が著しく低下する。また平均板厚が10nmを超えると、超高密度磁気記録媒体に用いた場合の媒体ノイズが著しく増大する。このような理由から、本発明の六方晶フェライト磁性粉末の平均板厚は、9nm以下であることがより好ましく、8nm以下であることがさらに好ましい。
また、六方晶フェライト磁性粉末粒子の板径の幾何標準偏差は、この磁性粉末の透過型電子顕微鏡像から無作為に選択した500個の粉末粒子について板径を測定し、対数正規確率紙の横軸を板径、縦軸に個数の積算値を%表示にとり、これらの測定値をプロットし、プロットされた点に対し、最もフィットする直線を定め、この直線上で積算ふるい下値84.1%における板径を求め、これを積算ふるい下50%における板径で除すことによって得られるものである。この際のプロットした点に対し最もフィットする直線の決定には、最小二乗法を用いることができる。板径が10nmの粒子比率は、このプロットから直ちに読み取ることができる。
磁性粒子の板厚の幾何標準偏差についても同様に、この磁性粉末の透過型電子顕微鏡像から無作為に選択した500個の粉末粒子について板厚を測定し、対数正規確率紙の横軸を板厚、縦軸に個数の積算値を%表示にとり、これらの測定値をプロットし、プロットされた点に対し、最もフィットする直線を定め、この直線上で積算値84.1%に対応する板厚を求め、これを積算値50%における板厚で除すことによって得られるものである。この際にもプロットした点に対し最もフィットする直線の決定には、最小二乗法を用いることができる。
磁気記録媒体に用いられる六方晶フェライト磁性粉末の粒子は、板状の粒子形状を有し板面に垂直な方向に磁化容易軸を有しており、この磁性粉末を塗布した超高密度磁気記録媒体は、粒子の板面が塗布面に平行になるように薄層の塗布がなされる。この際、六方晶フェライト磁性粉末粒子は、板径がよく揃っているとともに、板厚もよく揃っていることが必要であることがわかった。
さらに、六方晶フェライト磁性粉末の板径の幾何標準偏差は1.25以下であるとともに、板厚の幾何標準偏差が1.25以下である。実際、板径の幾何標準偏差が1.25を超えると、これを用いた磁気記録媒体のノイズの急激な増加がみられ、また板厚の幾何標準偏差が1.25を超えた場合にも、これを用いた磁気記録媒体のノイズの急激な増加がみられた。板径や板厚の不揃いは塗膜の平滑性を妨げ、その影響は塗膜が薄層であるほど顕著であり、媒体ノイズの増加をもたらすことがわかった。
上記六方晶フェライト磁性粉末の比表面積は、BET法に基づいて測定して得られた値であって、その値は40〜80m/gである。比表面積が40m/g未満では、超高密度磁気記録媒体を作製する際の磁性塗料の分散安定性の確保が困難となって超高密度磁気記録媒体の製造に適さなくなり、また比表面積が80m/gを超えると、磁性粉末粒子の配向性が低下するとともに充填性が低下し、いずれの場合も超高密度磁気記録に適さなくなることがわかった。六方晶フェライト磁性粉末の比表面積は、45m/g以上であることがより好ましく、また60m/g以下であることがより好ましい。
また上記六方晶フェライト磁性粉末は、含有する水分量が0.5〜4.0質量%であることが、磁気記録媒体を作製する際に、磁性粉末粒子をバインダ中によく分散させる上で好ましいことがわかった。含有する水分量が0.5質量%未満では、六方晶フェライト磁性粉末の粒子間の凝集力が現われ、凝集体を形成し易くなることがわかった。また含有する水分量が4.0質量%を超えると、磁気記録媒体を作製する際に、過剰な水分により磁性粉末粒子表面に物質が吸着するのを妨げ、磁性粉末粒子がバインダ中に分散するのを妨げる傾向がみられることがわかった。
本発明において、六方晶フェライト磁性粉末のSFDの値は、0.7以下である。SFDの値が0.7を超えると、超高密度磁気記録媒体において記録された信号の自己減磁が増加し、出力が低下することがわかった。また本発明においては磁性粉末のSFDの値が0.6以下であることがさらに好ましいことがわかった。本発明において、SFDの値として約0.3までの低減が得られている。
本発明における磁性粉末のSFD値は、振動試料型磁力計(VSM)を用い、最大磁界10kOeとしてこの磁性粉末磁気ヒステリシス曲線を描き、このときの第2象限におけるσ−H曲線の微分曲線(dσ/dH)の半値幅を求め、これを磁性粉末の保磁力Hcの値で除した値である。
SFDは磁性粉末の保磁力の広がりを示すパラメータであり、SFDが小さいほど高密度特性の向上が得られる。磁性粉末中の10nm以下の粒子比率を3%以下にすることにより、磁性粉末のSFDが著しく改善され、またこの磁性粉末を用いた超高密度磁気記録媒体の高密度記録特性を向上させることができることがわかった。
また、六方晶フェライト磁性粉末の保磁力は、2,000〜5,000Oeであることが好ましい。本発明の30nm以下の微小な六方晶フェライト磁性粉末を磁気記録媒体に用いる場合には、磁性粒子の保磁力か大きいことが特に有利である。保磁力が2,000Oe未満では、記録磁化の揺動に対する安定性や記録減磁が低下する。しかしながら、磁性粉末の保磁力が5,000Oeを超えると、この磁性粉末を用いた磁気記録媒体は、現有の記録ヘッドで磁化記録することが困難となる。
本発明者らは、強酸の水溶液を用い、磁性粉末中の微小粒子を除去することにより、こうした超高密度磁気記録媒体に適した六方晶フェライト磁性粉末を得ることができることを見出した。
方晶フェライト磁性粉末の製造方法は、幾何平均板径が18〜30nmの六方晶フェライト磁性粒子を、強酸の水溶液で処理することにより、板径が10nm以下の粒子の存在量を3%以下にすることが望ましい。
ここに六方晶フェライト磁性粒子の処理に用いる強酸の水溶液は、水溶液中でほとんど完全に電離し、その濃度によってpHの値を大きく変えることができ、六方晶フェライト磁性粒子の表面を溶解することのできる酸の水溶液である。強酸の水溶液の濃度としてはは、0.2〜2mol/Lが好ましい。この濃度の強酸の水溶液を用いて六方晶フェライト磁性粒子表面の溶解をすることにより、微小サイズの粒子を溶解して消滅させ、粒度分布の改善された六方晶フェライト磁性粉末を得ることができる。
本発明において、上記の強酸の濃度が0.2mol/L未満では、六方晶フェライト粒子に対する反応が十分でなく、また強酸の濃度が2mol/Lを超えると、フェライト磁性粒子の溶解量が増大し、処理後の磁性粉末の収量が急激に減少するので好ましくない。この理由により、強酸の濃度は0.5mol/L以上であることがより好ましく、他方で強酸の濃度は1.5mol/L以下であることがより好ましい。
本発明の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法は、ガラス結晶化法を用いた六方晶フェライト磁性粉末の製造プロセスに取りこむことができる。
本発明の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法は、六方晶フェライト磁性粉末の構成成分およびガラス形成成分を混合し、加熱溶融して溶融物を得る工程と、前記溶融物を急冷し急冷固化物を得る工程と、前記急冷固化物に加熱処理を施し、六方晶フェライト粒子の析出した結晶化物を得る工程と、前記結晶化物を強酸の水溶液で処理し、前記結晶化物のガラス成分を溶解するとともに、前記結晶化物中に析出した六方晶フェライト粒子の表面を一部溶解することにより、微小サイズの粒子を溶解除去して六方晶フェライト磁性粉末を得る工程と、を実施することにより、平均板径が18〜30nm、板径の幾何標準偏差が1.25以下であるとともに、幾何平均板厚が5〜10nm、板厚の幾何標準偏差が1.25以下の六方晶フェライト磁性粉末を得る、ことを特徴とする。
この製造方法によれば、従来のガラス結晶化法による六方晶フェライト磁性粉末の製造方法において、六方晶フェライト粒子をガラス成分中に析出させた結晶化物から、酢酸を用いてガラス成分を溶解して除去し、六方晶フェライト粒子を取出す工程で、酢酸の代わりに、強酸の水溶液を用いることにより、ガラス成分を溶解し除去するとともに、微小サイズの粒子を溶解して除き、粒度分布の改善された六方晶フェライト磁性粉末を得ることができる。ここに強酸の濃度は、0.2〜2mol/Lが好ましい。強酸の濃度が0.2mol/L未満では、六方晶フェライト粒子に対する反応が十分でなく、また強酸の濃度が2mol/Lを超えると、フェライト磁性粒子の溶解量が増大し、処理後の磁性粉末の収量が急激に減少するので好ましくない。この理由により、強酸の濃度は0.5mol/L以上であることがより好ましく、他方で強酸の濃度は1.5mol/L以下であることがより好ましい。
上記強酸の水溶液による処理は、水溶液の温度を70〜100℃の範囲に制御して行なうことが好ましい。強酸の水溶液を70℃以上にすることにより、強酸の水溶液で溶解するガラス組成成分の溶解度を高めることができ、強酸の水溶液がガラス組成成分の溶解について飽和に近づいたり飽和に達して溶解が進まなくなることや、過飽和溶液となって再析出したりするのを防ぐことができる。この理由から強酸の水溶液の温度は、80℃以上にすることがより好ましい。また強酸の水溶液は100℃に近づくと強酸の蒸発量が増大することから、その温度は90℃以下に保つことがより好ましい。
上記強酸の水溶液による処理時間は、処理によって得られる板径および板厚分布の改善、あるいはSFDの改善の状況から判断して選ぶことができ、例えば板径が約10nm、板厚が約3nmの粒子を溶解し消失させる溶解厚さを目安とし、その処理時間を選定することができる。
さらに本発明の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法は、ガラス結晶化法を用いた六方晶フェライト磁性粉末の製造工程に、強酸処理の工程を加えた構成とすることができる。
また、六方晶フェライト磁性粉末の製造方法は、六方晶フェライト磁性粉末の基本成分および保磁力調整のための置換成分、並びにガラス形成成分を混合し、加熱溶融して溶融物を得る工程と、前記溶融物を急冷し急冷固化物を得る工程と、前記急冷固化物を熱処理してガラス成分の相に六方晶フェライト粒子が析出した結晶化物を得る工程と、前記結晶化物が有するガラス成分を溶解除去し、六方晶フェライト磁性粉末を得る工程と、前記六方晶フェライト磁性粉末を強酸の水溶液で処理し、六方晶フェライト磁性粉末中の微小サイズの粒子を溶解除去し、微小サイズ粒子が除去された六方晶フェライト磁性粉末を得る工程とを有するものであってもよい。
ここに強酸の濃度は、0.2〜2mol/Lが好ましい。強酸の濃度が0.2mol/L未満では、六方晶フェライト粒子に対する反応が十分でなく、また強酸の濃度が2mol/Lを超えると、フェライト磁性粒子の溶解量が増大し、処理後の磁性粉末の収量が急激に減少するので好ましくない。この理由により、強酸の濃度は0.5mol/L以上であることがより好ましく、他方で強酸の濃度は1.5mol/L以下であることがより好ましい。
この製造方法によれば、従来のガラス結晶化法によって製造された六方晶フェライト粒子に対し、強酸の水溶液による溶解処理を行うことにより、微小サイズの粒子を除去し、粒度分布の改善された六方晶フェライト磁性粉末を得ることができる。
本発明の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法においては、強酸として塩酸、硝酸およびフッ酸から選ばれる少なくともいずれか1種、または塩酸、硝酸およびフッ酸から選ばれる少なくともいずれか1種と酢酸とを混合してなる混合酸の水溶液を用いることができる。
これらの強酸の水溶液を用いることにより、酸処理によってフェライト磁性粉末粒子の表面の適正量を溶解し、磁性粉末粒子の板径分布および板厚分布をシャープにすることができる。硝酸の水溶液は、溶解量の制御が容易であることから、特に好ましく用いることができる。
六方晶フェライト磁性粉末の平均粒子径が30nm以下の場合は、従来の方法では板径の幾何標準偏差として1.4以下にすることができなかったが、本発明の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法により、磁性粉末粒子の板径の幾何標準偏差と板厚の幾何標準偏差を共に1.25以下にすることができ、さらにこれらの幾何標準偏差として1.05まで実現できるようになった。
このような製造方法によって得られる六方晶フェライト磁性粉末は、超高密度磁気記録用途に特に適した磁性粉末となる。
本発明により、塗布型で超高密度記録の可能な磁気記録媒体の磁性粉末として用いることができる六方晶フェライト磁性粉末の製造が可能となった。
次に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1はガラス結晶化法を利用した本発明の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法に係る一実施形態を示す工程の流れを示した図である。図1において、六方晶フェライトの成分とガラス成分110は、混合工程120にて混合し混合物130を得る。この混合物を加熱溶融工程140にて加熱溶融して溶融物150を得る。次にこの加熱溶融物150を急冷固化工程160にて急冷固化して急冷固化物170を得る。続いて急冷固化物170を加熱結晶化工程180にて加熱結晶化し、ガラス成分中に六方晶フェライト粒子の析出した結晶化物190を得る。この結晶化物190を強酸処理工程201にて強酸水溶液により強酸処理することにより、結晶化物190のガラス成分を溶解するとともに、微細な六方晶フェライト粒子を溶解して除去し、洗浄工程230にて水洗浄することにより、粒度分布の良好な六方晶フェライト磁性粉末240を得ることができる。
図2はガラス結晶化法を利用した本発明の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法に係る他の一実施形態を示す工程の流れを示した図である。図2において、六方晶フェライトの成分とガラス成分110の混合工程120から、加熱結晶化工程180にて加熱結晶化し、ガラス成分中に六方晶フェライト粒子の析出した結晶化物190を得るまでは、図1と同じである。
即ち、六方晶フェライトの成分とガラス成分110は、混合工程120にて混合し混合物130を得る。この混合物を加熱溶融工程140にて加熱溶融して溶融物150を得る。この加熱溶融物150を急冷固化工程160にて急冷固化して急冷固化物170を得る。続いて急冷固化物170を加熱結晶化工程180にて加熱結晶化し、ガラス成分中に六方晶フェライト粒子の析出した結晶化物190を得る。次にこの結晶化物190を、酢酸処理工程202にて酢酸水溶液を用いて処理することにより、結晶化物190中のガラス成分を溶解し、六方晶フェライト磁性粒子210を得る。続いてこの六方晶フェライト磁性粒子210に対し、強酸処理工程220にて六方晶フェライト磁性粒子210中の微細な六方晶フェライト粒子を溶解して除き、洗浄工程230にて水洗浄することにより、粒度分布の良好な六方晶フェライト磁性粉末240を得ることができる。
上記洗浄工程230においては、分離された洗浄液の電気伝導率をmS/mの単位で表したとき、その数値が沈降スラリー濃度(磁性粉末量)の質量%の1/4以下の値になるまで水洗浄をすることが好ましいことがわかった。こうすることにより、洗浄後の磁性粉末からの不純物の塩の析出が抑制でき、超高密度記録媒体用磁性粉末として好ましいことがわかった。また、洗浄処理された磁性粉末は、この磁性粉末を浸漬し煮沸した浸漬液の電気伝導率が、0.02〜6.0mS/mとなるように調整されていることが好ましいことを見出した。ここに磁性粉末を浸漬し煮沸した浸漬液の電気伝導率浸漬し煮沸した液の電気伝導率とは、磁性粉末5gを200mLのビーカーに入れ、100mLの純水にし浸漬し、210℃に加熱されたホットプレートにて40分間煮沸し、この液をPET容器に密閉して空気との接触を断った状態で15分間水冷した後に測定した電気伝導率である。
組成式BaO・n(Fe11.3Co0.1Zn0.4Nb0.218)、(ただしnは約1)で表される六方晶のBaフェライト磁性粉末を、次のガラス結晶化法の工程に従って作製した。
ガラス成分(BaO、B)とBaフェライト成分(BaO、Fe、CoO、ZnO、NbO)を所定量秤量し混合して混合物を得た。白金ルツボにこの混合物を入れ、1300℃〜1400℃にて溶解して溶融物とした後、この溶融物を双ローラ上に落下させて圧延急冷した。
こうして得た急冷物を結晶化炉に入れ、室温より650℃まで昇温し、この温度を5時間保つパターンにて熱処理を施し、ガラス成分の相にBaフェライト粒子が析出した結晶化物を得た。この結晶化物をまず粉砕機を用い200μm程度の大きさにまで粉砕し、さらにボールミルにて10μm程度にまで微粉砕を行なった。
次に30Lのタンクにこの微粉砕した結晶化物を1kg入れ、これに所定濃度の硝酸水溶液を入れ、ヒーターを用いてタンク中の液を昇温し、液の温度を80℃〜90℃に制御し、4時間攪拌を行なうことにより、微粉砕された結晶化物と酸による反応を進めた後、磁性粉末粒子を沈降させ、残りの液を排水した。この磁性粉末粒子に60℃〜80℃の温水を加えて懸濁させた後、磁性粉末粒子を沈降させ、残りの液を排水する水洗浄を繰返し行なった。続いてpH4にてAl表面処理を行ない、再び水洗浄を繰返した。この水洗浄は、残りの液の電気伝導度が20μSに低下するまで行なった。
こうして水洗浄を行なったスラリーを乾燥させ、磁性粉末を得た。磁性粉末は水分量が0.1〜0.2質量%となるように水分を調整した。
(実施例1)
上記の工程において、硝酸水溶液の濃度を0.8mol/Lとし、この酸の水溶液と微粉砕された結晶化物との反応を4時間行なわせた後、水洗浄し乾燥して磁性粉末を得た。 この実施例の条件を表1にまとめ、また得られた磁性粉末について、各項目の評価を行なった結果を表2にまとめて示した。
なお、保磁力Hc、SFD、および飽和磁化σsの測定にはVSMを用い、比表面積測定にはBET方式による測定装置を用い、また磁性粉末粒子の板径、板厚の分布の測定には透過型電子顕微鏡像を用い、いずれの場合ももすでに述べた基準に従って測定評価を行なった。また収率は、水洗、乾燥後の六方晶フェライト磁性粉末の重量を計量し、理論量に対する比率を算出したものである。
(実施例2)
上記の工程において、硝酸水溶液の濃度を1.1mol/Lとし、この酸の水溶液と微粉砕された結晶化物との反応を4時間行なわせた後、水洗浄し乾燥して磁性粉末を得た。 この実施例の条件を表1にまとめ、また得られた磁性粉末について各項目の評価を行なった結果を表2にまとめて示した。
(実施例3)
上記の工程において、硝酸水溶液の濃度を1.4mol/Lとし、この酸の水溶液と微粉砕された結晶化物との反応を4時間行なわせた後、水洗浄し乾燥して磁性粉末を得た。この実施例の条件を表1にまとめ、また得られた磁性粉末について各項目の評価を行なった結果を表2にまとめて示した。
(実施例4)
上記の工程において、硝酸水溶液の濃度を1.7mol/Lとし、この酸の水溶液と微粉砕された結晶化物との反応を4時間行なわせた後、水洗浄し乾燥して磁性粉末を得た。この実施例の条件を表1にまとめ、また得られた磁性粉末について各項目の評価を行なった結果を表2にまとめて示した。
図3には、実施例3で得られた磁性粉末の板径分布を黒丸と実線にて示した。図3にはこの実施例3の磁性粉末との比較のために、強酸水溶液による処理を行なわない場合(後述の比較例3)の磁性粉末の板径分布を併せて示した。
これら実施例1〜4の結果から、硝酸水溶液の濃度を0.8mol/Lから1.7mol/Lまで変えて4時間の硝酸水溶液処理を行なうと、いずれの場合も磁性粉末の板径分布および板厚分布の改善、並びにSFDの改善が得られ、本発明の効果が得られることがわかった。また磁性粉末の収量は硝酸の濃度を高めるとともに減少することが示された。
(実施例5)
上記の工程において、結晶化物を粉砕機を用い200μm程度の大きさにまで粉砕し、その後のボールミルによる微粉砕を省略し、これを1.1mol/Lの濃度の硝酸水溶液と6時間反応させた後、水洗浄し乾燥して磁性粉末を得た。この実施例の条件を表1にまとめ、また得られた磁性粉末について各項目の評価を行なった結果を表2にまとめて示した。
得られた磁性粉末中のアルミナ含有量は0.1%以下であり、用いた原料が不純物として含有するアルミナ量のレベルであった。ボールミルによる結晶化物の微粉砕を行なった場合には、ボールミルを構成しているアルミナが磁性粉末に混入することにより、磁性粉末中に約0.3%のアルミナの混入がみられるが、ボールミルによる結晶化物の微粉砕を省略することにより、磁性粉末へのボールミルからのアルミナ混入を回避することができた。
(実施例6)
上記の工程において、粉砕後の結晶化物を10%の酢酸で4時間酸処理した後、硝酸を濃度が1.18mol/Lになるまで加え、さらに4時間酸処理した。その後、水洗浄し乾燥して磁性粉末を得た。この実施例の条件を表1にまとめ、また得られた磁性粉末について各項目の評価を行なった結果を表2にまとめて示した。
結晶化物を粉砕したものを先に酢酸で処理し、磁性粉末を分散させた状態にし、これを硝酸水溶液処理することにより、SFDに改善がみられた。10nm以下の粒子比率について、数値の上では他の実施例との差異がみられなかった。硝酸水溶液処理による磁性粉末の分布が改善されることによりSFDの改善が得られたものと考えられる。
(実施例7)
上記の工程において、硝酸水溶液の濃度を0.5mol/Lにし、この酸の水溶液と微粉砕された結晶化物との反応を6時間行なわせた後、水洗浄し乾燥して磁性粉末を得た。この実施例の条件を表1にまとめ、また得られた磁性粉末について各項目の評価を行なった結果を表2にまとめて示した。この結果から、硝酸水溶液の濃度を0.5mol/Lにしても、本発明の効果が得られることがわかった。
Figure 0004675581
Figure 0004675581
なお、上記実施例に加えて、硝酸水溶液の濃度を0.2mol/Lまで下げた場合にも、本発明の効果が得られることを確かめた。
(比較例1)
上記の工程において、硝酸水溶液の濃度を0.1mol/Lにし、この酸の水溶液と微粉砕された結晶化物との反応を4時間行なわせた後、水洗浄し乾燥して磁性粉末を得た。 この比較例の条件を表3に示し、また得られた磁性粉末について各項目の評価を行ない、その結果を表4に示した。
この結果から、硝酸水溶液の濃度を0.1mol/Lにまで下げると、得られる磁性粉末の板径および板厚の分布は改善されず、本発明の効果が得られないことがわかった。
(比較例2)
上記の工程において、硝酸水溶液の濃度を3.1mol/Lにし、この酸の水溶液と微粉砕された結晶化物との反応を4時間行なわせた後、水洗浄し乾燥して磁性粉末を得た。この比較例の条件を表3に示し、また得られた磁性粉末について各項目の評価を行ない、その結果を表4に示した。
この結果から、硝酸水溶液の濃度を3.1mol/Lにまで上げると、板径および板厚の分布は改善されるが、得られる磁性粉末の収率が10%まで減少するので、実用的でないことがわかった。
(比較例3)
上記の工程において、硝酸水溶液を用いず、代わりに10%酢酸を用いる従来の方法により、10%酢酸と微粉砕された結晶化物との反応を4時間行なわせた後、水洗浄し乾燥して磁性粉末を得た。この比較例の条件を表3に示し、また得られた磁性粉末について各項目の評価を行ない、その結果を表4に示した。
この結果は、10%酢酸を用いる従来の方法では、得られる磁性粉末の板径および板厚の分布が大きく、超高密度磁気記録媒体に適した磁性粉末が得られていないことを示している。
(比較例4)
上記の工程において、急冷物の結晶化炉における熱処理温度を高めることにより、平均板径が約42nmの磁性粒子を結晶化させ、この結晶化物を粉砕機とボールミルにて微粉砕した後、濃度1.1mol/Lの硝酸水溶液と4時間反応させてた後、水洗浄し乾燥して磁性粉末を得た。この比較例の条件を表3に示し、また得られた磁性粉末について各項目の評価を行ない、その結果を表4に示した。
酸処理する磁性粒子の板径および板厚が本発明で規定する範囲を超えて大きいと、酸処理で磁性粒子の板径および板厚を超高密度磁気記録媒体に適する大きさにすることができず、また磁性粉末の板径および板厚の分布の改善も十分に得ることができないことを、この結果は示している。
(比較例5)
上記の工程において、急冷物の結晶化炉における熱処理温度を低くすることにより、平均板径が約14nmの磁性粒子を結晶化させ、この結晶化物を粉砕機とボールミルにて微粉砕した後、濃度1.1mol/Lの硝酸水溶液と4時間反応させてた後、水洗浄し乾燥して磁性粉末を得た。この比較例の条件を表3に示し、また得られた磁性粉末について各項目の評価を行ない、その結果を表4に示した。
この結果は、酸処理する磁性粒子の板径および板厚が本発明で規定する範囲よりも小さいと、磁性粉末について板径および板厚の分布の改善を得ることができないことを示している。
本発明で規定する範囲より小さい平均粒径または本発明で規定する範囲より小さい平均板厚の磁性粒子粉末に本発明の酸処理を適用すると、微細粒子は除去されるものの、もともと小サイズであった粒子の表面が溶かされて、かえって板径が10nm未満の粒子を増やしてしまうので好ましくない。
(比較例6)
上記の工程において、ボールミルによる微粉砕を省略し、結晶化物粉砕20μmにて酢酸処理した。その結果、ガラス成分が除去できず、粉末の評価には至らなかった。この結果についても表4に示した。
Figure 0004675581
Figure 0004675581
本発明により、従来は製造することか困難であった塗布型の超高密度磁気記録媒体に適した磁性粉末を作製することができるようになった。また本発明に係る磁性粉末を用いることにより、塗布型の超高密度磁気記録媒体が実現可能となった。従って本発明の産業上の利用可能性は大である。
本発明の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法に係る一実施形態を示す工程の流れを示した図である。 本発明の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法に係る他の一実施形態を示す工程の流れを示した図である。 本発明の一実施例の六方晶フェライト磁性粉末の板径分布と一比較例の六方晶フェライト磁性粉末の板径分布とを示した図である。
符号の説明
110…六方晶フェライトの成分とガラス成分、120…混合工程、130…混合物、140…加熱溶融工程、150…溶融物、160…急冷固化工程、170…急冷固化物、180…加熱結晶化工程、190…結晶化物、201…強酸処理工程、202…酢酸処理工程、210…六方晶フェライト磁性粒子、220…強酸処理工程、230…洗浄工程、240…六方晶フェライト磁性粉末。

Claims (2)

  1. 六方晶フェライト磁性粉末の構成成分およびガラス形成成分を混合し、加熱溶融して溶融物を得る工程と、
    前記溶融物を急冷し急冷固化物を得る工程と、
    前記急冷固化物に加熱処理を施し、六方晶フェライト粒子の析出した結晶化物を得る工程と、
    前記結晶化物を強酸の水溶液で処理し、前記結晶化物のガラス成分を溶解するとともに、前記結晶化物中に析出した六方晶フェライト粒子の表面を一部溶解することにより、微小サイズの粒子を溶解除去して六方晶フェライト磁性粉末を得る工程と、を実施することにより、
    平均板径が18〜30nm、板径の幾何標準偏差が1.25以下であるとともに、幾何平均板厚が5〜10nm、板厚の幾何標準偏差が1.25以下の六方晶フェライト磁性粉末を得る、
    とを特徴とする六方晶フェライト磁性粉末の製造方法。
  2. 前記強酸が、塩酸、硝酸およびフッ酸から選ばれる少なくともいずれか1種、または塩酸、硝酸およびフッ酸から選ばれる少なくともいずれか1種と酢酸とを混合してなるものであることを特徴とする請求項1記載の六方晶フェライト磁性粉末の製造方法。
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