JP4675006B2 - 周期状分極反転構造の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、周期状分極反転構造の形成方法に関し、詳しくは、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムなどの強誘電体単結晶基板を用いるSHG(Second Harmonic Generation)デバイス製造時において好適に用いることのできる、周期状分極反転構造の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷、光情報処理、及び光応用計測制御分野などにおいては、小型の短波長光源の実現が強く望まれており、この短波長光源を実現足らしめるものとしてSHGデバイスが注目を浴びている。このSHGデバイスは、半導体レーザから出射された光を通過させることによって、非線型光学効果を利用して2次高調波を生成する。この2次高調波は前記半導体レーザから出射された光に対して周波数が2倍であり、したがって波長は1/2となっている。すなわち、前記SHGデバイスを利用することによって、前記半導体レーザからの出射光に対して1/2の波長を有する短波長の光を得ることができる。
【0003】
前記SHGデバイスは、ニオブ酸リチウム(以下、「LN」と略す場合がある)やタンタル酸リチウム(以下、「LT」と略す場合がある)などの強誘電体単結晶基板を具え、この基板内において光の進行方向と略垂直に、分極状態が周期状に反転してなる分極構造を有している。このような周期状分極反転構造は、一般に以下のようにして形成する。
【0004】
図1は、周期状分極反転構造の形成方法を説明するための図である。なお、特徴を明確にすべく、図1に示す各部分の大きさ及び形状などについては実際のものと異なるように描いている。LNやLTなどの、例えばオフカット基板からなる強誘電体単結晶基板1の主面1A上に、周期状に配置された複数の電極片2−1〜2−5を有する櫛形状の第1の電極2と、この第1の電極2と対向するようにして主面1A及び裏面1B上に一様な平板状の第2の電極3A及び3Bとを配置する。
【0005】
そして、第1の電極2と第2の電極3A及び3Bとの間に所定の電圧V1及びV2を印加すると、強誘電体単結晶基板1の分極方向Bと逆の分極方向Aを有する分極反転域が、第1の電極2の各電極片から基板の結晶方位に向けて徐々に伸長し、分極方向が反転した、分極方向Aを有する分極領域4Aと、元の分極方向Bを有する分極領域4Bとからなる周期状分極反転構造4が形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
周期状分極反転構造4をSHGデバイスなどに用いた場合に実効あらしめるためには、周期状分極反転構造4が強誘電体単結晶基板1の主面1Aから十分な深さを有するように形成する必要がある。このため、通常は、第1の電極2と第2の電極3A及び3Bとの間に印加する電圧V1及びV2の絶対値は、大きいほど好ましい。
【0007】
しかしながら、第1の電極2及び第2の電極3間に高電圧を印加すると、強誘電体単結晶基板1が破壊してしまう場合があった。そこで、特開平2001−66652号公報には、第1の電極2及び第2の電極3間に、パルス状の電圧を複数回印加することにより、強誘電体単結晶基板1の破壊を防止するとともに、十分な深さを有する周期状分極反転構造4を形成することが記載されている。また、特開平8−220578号公報には、パルス電圧が重畳された直流電圧を印加することが記載されている。
【0008】
しかしながら、上記いずれの方法においても、十分な深さの周期状分極反転構造4を得ることはできなかった。具体的には、MgOドープのLN単結晶の5度オフカット基板を用いた場合においては、最大でも約2.2μm程度の深さの周期状分極反転構造しか得ることができなかった。したがって、実用的な高出力のSHGデバイスを得ることは困難であった。
【0009】
本発明は、強誘電体単結晶基板を破壊することなく、十分な深さの周期状分極反転構造を形成することを可能にする新規な方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は、強誘電体単結晶基板の一表面上において、周期状に配列された複数の電極片を有する第1の電極と、この第1の電極と離隔し、対向して位置するように、前記強誘電体単結晶基板の任意の表面上に第2の電極とを配置し、前記第1の電極と前記第2の電極との間にパルス状の電圧を繰り返し印加するとともに、このパルス状の電圧と同期させてバイアス電圧を印加し、前記強誘電体単結晶内の所定領域において周期状の分極反転構造を形成する際に前記バイアス電圧を、印加開始時から最大となる時までの時間が0.1秒〜5秒までとするとともに、前記最大となる時から印加停止時までの時間が0.1秒〜5秒までとなるように印加し、更に、該バイアス電圧は前記パルス電圧の印加時において最大となるように印加する、ことを特徴とする、周期状分極反転構造の形成方法に関する。
【0011】
本発明者らは、強誘電体単結晶基板の破壊を防止しながら、前記強誘電体単結晶基板内深くに周期状分極反転構造を形成すべく、鋭意検討を行なった。その結果、従来のようにパルス電圧を印加する際に、このパルス電圧を印加する時のみに、前記パルス電圧と同期させて所定のバイアス電圧を印加することにより、前記強誘電体単結晶基板を破壊することなく、十分な深さの周期状分極反転構造を形成できることを見出し、本発明をするに至ったものである。
【0012】
したがって、本発明によれば、強誘電体単結晶基板内に、周期状分極反転構造を十分な深さで形成することができ、高出力で実用に足るSHGデバイスなどを提供することができるようになる。
【0013】
なお、本発明の好ましい態様においては、前記バイアス電圧は、その大きさが時間とともに増減し、前記パルス電圧印加時において最大となるように印加する。また、本発明の他の好ましい態様においては、前記バイアス電圧は、前記パルス電圧印加時を含む、前記パルス電圧印加前、及び前記パルス電圧印加後の所定時間において、最大となるように印加する。
【0014】
これらの好ましい態様によれば、バイアス電圧を、分極反転を生ぜしめるべくパルス電圧印加時に最大となるように印加しているため、バイアス電圧の利用効率が増大し、より低いバイアス電圧でより深い周期状分極反転構造を効率良く形成することができる。
【0015】
また、バイアス電圧が印加された一定の時間間隔中でパルス電圧を印加するようにしているため、前記パルス電圧と前記バイアス電圧の最大値との合計である最大電圧が、電極を介して強誘電体単結晶基板に瞬時に印加されるのを防止することができる。このため、前記強誘電体単結晶基板の破壊を防止して、周期状分極反転構造をより深く形成することができる。
【0016】
また、本発明のその他の好ましい態様においては、前記バイアス電圧の印加前後の少なくとも一方において、前記パルス電圧の極性と異なる極性の逆バイアス電圧を前記バイアス電圧と連続させて印加する。この場合においては、前記バイアス電圧の実効値が増大し、前記パルス電圧と同期させて実際に印加したバイアス電圧値よりも実質的に大きな電圧が印加された場合と等価になる。したがって、周期状分極反転構造をより深く形成することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0018】
本発明の周期状分極反転構造の形成方法においては、例えば、図1に示すように、LNやLTのオフカット基板からなる強誘電体単結晶基板1の主面1A上に、電極片2−1〜2−5を有する櫛形状の第1の電極2を形成し、この第1の電極2と対向するようにして平板状の第2の電極3Aを形成する。その後、裏面1B上に第1の電極2と対向するようにして同じく平板状の第2の電極3Bを形成する。次いで、第1の電極2と第2の電極3A及び3B間に、以下の印加電圧プロファイルに従って、分極反転のためのパルス電圧及びバイアス電圧を印加する。
【0019】
なお、第1の電極2と主面1A上に形成された第2の電極3Aとの間には電圧を印加せず、第1の電極2と裏面1B上に形成された第2の電極3Bとの間にのみ電圧を印加しても、周期状分極反転構造4を得ることができたため、以下の説明においては、電極2及び電極3B間における電圧プロファイルについて述べる。この場合においては、1対の電極間にのみ電圧を印加すれば良いため、システム構成が簡略化でき、安価な設備で分極反転構造を得ることができる。
【0020】
図2は、本発明の周期状分極反転構造の形成方法の好ましい態様における、印加電圧の時間プロファイルを示すグラフである。図2において、バイアス電圧VBは、パルス電圧VPが印加される時点において最大値VBMAXとなるように印加されている。これによって、分極反転を生ぜしめるべく、パルス電圧VP印加時tpにおいて、バイアス電圧VBを最大限に利用することができる。したがって、バイアス電圧VBの利用効率が増大し、より低い電圧値でより深い周期状分極反転構造を効率よく形成することができる。
【0021】
また、パルス電圧VP印加時tpの前後において、バイアス電圧VBが最大値VBMAXに向けて増減するための所定の時間間隔t1(バイアス電圧VB印加開始時tsからパルス電圧印加時tpまでの時間)及びt2(パルス電圧印加時tpからバイアス電圧VB印加終了時teまでの時間)を設けている。
【0022】
すなわち、分極反転を生ぜしめる際において、強誘電単結晶基板1に対してパルス電圧VP及びバイアス電圧VBの合計最大値であるVMAXが瞬時に印加されないようにしている。したがって、高電圧を瞬時に印加することによって生じる強誘電体単結晶基板の破壊を効果的に防止することができる。この場合における分極反転構造形成は、上記図1で説明した場合と同様の機構に従って形成される。
【0023】
すなわち、図2に示すような電圧印加プロファイルを採ることにより、強誘電体単結晶基板1を破壊することなく、高電圧をより効率的に印加することができ、周期状分極反転構造4をより深く形成することができる。
【0024】
図2に示す印加電圧プロファイルをより実効あらしめるためには、時間間隔t1は0.1秒〜5秒であることが好ましく、さらには0.5秒〜2秒であることが好ましい。また、時間間隔t2は0.1秒〜5秒であることが好ましく、さらには0.5秒〜2秒であることが好ましい。
【0025】
また、パルス電圧VPとバイアス電圧VBとの合計最大値VMAXは、強誘電体単結晶基板1の単位厚さ(mm)当たり、0.2kV〜20kVであることが好ましく、さらには4kV〜10kVであることが好ましい。これによって、周期状分極反転構造4をより深く形成することができる。また、前記範囲を超えるVMAXを印加する場合は、強誘電体単結晶基板1を破壊してしまう場合がある。
【0026】
なお、バイアス電圧の最大値VBMAXは、上記VMAXの0.4〜0.6の割合で印加することが好ましい。
【0027】
図3は、本発明の周期状分極反転構造の形成方法の他の好ましい態様における、印加電圧の時間プロファイルを示すグラフである。図3に示すプロファイルにおいては、バイアス電圧VB印加開始時tsから時間t3の間に最大値VBMAXに至り、パルス電圧VP印加時tp前後の所定時間間隔t4(バイアス電圧VBが最大値VBMAXに到達した時間tm1からパルス電圧VP印加時tpまでの時間)及びt5(パルス電圧VP印加時tpからバイアス電圧VBが最大値VBMAXより減少を開始する時間tm2までの時間)において、最大値VBMAXを示す。そして、時間tm2から時間t6の間にバイアス電圧VBは0となる。すなわち、この場合において、パルス電圧VPは、バイアス電圧VBの最大値VBMAXが印加された所定の時間間隔内で印加されている。
【0028】
したがって、パルス電圧VPを印加して分極反転を生ぜしめる際においては、常にバイアス電圧VBの最大値VBMAXが印加されるため、パルス電圧VP印加時tpにおいて、バイアス電圧VBを最大限に利用することができる。したがって、バイアス電圧VBの利用効率が増大し、より低い電圧値でより深い周期状分極反転構造を効率よく形成することができる。
【0029】
また、パルス電圧VP印加時tpにおいて、バイアス電圧VBの最大値VBMAXが瞬時に印加され、その結果、強誘電体単結晶基板1に対して、合計電圧の最大値VMAXが瞬時に印加されないようにしている。したがって、強誘電体単結晶基板1に対して、高電圧が瞬時に印加されるのを抑制してその破壊を効果的に防止することができる。なお、この場合においても、分極反転構造形成は、上記図1で説明した場合と同様の機構に従って形成される。
【0030】
したがって、図2に示すような電圧印加プロファイルを採ることにより、強誘電体単結晶基板1を破壊することなく、高電圧をより効率的に印加することができ、周期状分極反転構造4をより深く形成することができる。
【0031】
図3に示す印加電圧プロファイルをより実効あらしめるためには、時間間隔t4は0.1秒〜3秒であることが好ましく、さらには0.2秒〜0.5秒であることが好ましい。また、時間間隔t5は0.1秒〜5秒であることが好ましく、さらには0.2秒〜0.5秒であることが好ましい。
【0032】
また、パルス電圧VPとバイアス電圧VBとの合計最大値VMAXは、上記同様、強誘電体単結晶基板1の単位厚さ(mm)当たり、0.2kV〜20kVであることが好ましく、さらには4kV〜10kVであることが好ましい。これによって、周期状分極反転構造4をより深く形成することができる。また、前記範囲を超えるVMAXを印加する場合は、強誘電体単結晶基板1を破壊してしまう場合がある。
【0033】
なお、バイアス電圧の最大値VBMAXについても、上記VMAXの0.4〜0.6の割合で印加することが好ましい。
【0034】
また、バイアス電圧VB印加開始時tsから最大値VBMAXに至るまでの時間t3及び最大値VBMAXからバイアス電圧印加終了時teまでの時間t6は、特には限定されず、強誘電単結晶基板1を破壊しないような時間範囲内において任意に決定することができる。一般には、それぞれ0.01秒〜5秒である。
【0035】
図4は、図3に示す印加電圧プロファイルの変形例である。図4に示す印加電圧プロファイルにおいては、図3に示すような立ち上がり時間t3及び立ち下がり時間t6を設けることなく、瞬時に最大値VMAXに到達するようにバイアス電圧VBを印加している。強誘電体単結晶基板1が破壊されない限り、図4に示すような瞬時のバイアス電圧VB印加も可能である。なお、その他の条件は、図3に示す場合と同様である。
【0036】
図5は、本発明の周期状分極反転構造の形成方法のその他の好ましい態様における、印加電圧の時間プロファイルを示すグラフである。図5に示す印加時間プロファイルは、図3に示す印加時間プロファイルの、バイアス電圧VBと連続させて、パルス電圧VP及びバイアス電圧VBと極性が逆である負の逆バイアス電圧VGを印加している。
【0037】
この場合、強誘電体単結晶基板1に対してバイアス電圧VBが印加されていない時点においては、定常的に逆バイアス電圧VGが印加されている。したがって、パルス電圧VPを印加して分極反転を生ぜしめるべく、バイアス電圧VBを印加する際には、強誘電体単結晶基板1は、逆バイアス電圧VGの最大値VGMAXとバイアス電圧VBの最大値VBMAXとの合計(VGMAX+VBMAX)のバイアス電圧を感じるようになる。
【0038】
すなわち、強誘電体単結晶基板1には、目的とするバイアス電圧VBの最大値VBMAXに加えて、逆バイアス電圧VGの最大値VGMAXが実質的に印加された場合と等価になる。この結果、バイアス電圧VBの実効値が増大するため、より少なくバイアス電圧VBでより深い分極反転構造を形成することができる。
【0039】
なお、図5ではバイアス電圧VBの印加開始前及び印加終了後において逆バイアス電圧VGを印加しているが、いずれか一方において印加すればよい。しかしながら、分極反転構造形成時においては、図5に示すようにパルス電圧VPを複数回印加することになる。したがって、パルス電圧VPと同期させて複数回バイアス電圧VBを印加し、各バイアス電圧VB印加に対して逆バイアス電圧VGを連続的に簡易に印加することが必要になる。
【0040】
このため、バイアス電圧VBの印加開始前、又は印加終了後の一方ではなく、図5に示すように、双方の場合に逆バイアス電圧を印加することによって、バイアス電圧VBと逆バイアス電圧VGとの連続性を容易に保持することができる。
【0041】
図2〜5に示すような印加電圧プロファイルを用いて、例えば図1に示すような構成で周期状分極反転構造4を形成した場合、1μm以上の深さのものを得ることができる。なお、現状においては、強誘電単結晶基板1として、厚さ0.5mmのLN単結晶5度オフYカット基板を用いた場合、約2.5μm深さまでの周期状分極反転構造を得ることができる。
【0042】
図1に示すような強誘電体単結晶基板1内に周期状分極反転構造4を作製した後は、櫛形形状の第1の電極2及び平板状の第2の電極3は、それぞれ取り除かれる。
【0043】
図6は、周期状分極反転構造が形成された強誘電体単結晶基板に、光導波路を形成した状態を示す図である。なお、簡略化のため、図6においては、強誘電体単結晶基板の、周期状分極反転構造が形成された部分のみを示している。
【0044】
図1〜5に示す工程に従って、周期状分極反転構造が形成された強誘電体単結晶基板を得た後、これを実際のSHGデバイスなどとして用いるためには、図6に示すように、プロトン交換法などによって周期状分極反転構造4内に光導波路5を形成して、所定の光導波路素子10を作製する。その後、光導波路素子10を実装し、光ファイバなどを接続することによって、目的とするSHGデバイスなどを得る。
【0045】
図7〜図9は、周期状分極反転構造が形成された強誘電体単結晶基板を用いて、リッジ構造型の光導波路素子を形成するための工程を説明するための図である。
【0046】
最初に、図7に示すように、周期状分極反転構造4の形成された強誘電体単結晶基板1を、主面1Aが下側になるようにして、支持基板11と接着層12を介して貼り合わせる。次いで、強誘電体単結晶基板1に裏面1Bから研削加工及び研摩加工を施すことにより、図8に示すように、周期状分極反転構造4が露出するまで薄板化する。その後、ダイシング加工、あるいは所定のマスクを介してレーザ加工処理を行ない、強誘電体単結晶基板1の両側部分を所定の厚さを残して除去し、図9に示すようなリッジ型の光導波路15を有する、リッジ構造型の光導波路素子20を得る。
【0047】
その後、光導波路素子20を実装し、光ファイバなどを接続することによって、目的とするSHGデバイスなどを得る。
【0048】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
(実施例)
最初に、厚さ0.5mmのMgOドープLN単結晶のXカット板を強誘電体単結晶基板1として用い、この基板の主面1A上に、Taからなる幅dが0.4μm、ピッチPが2.8μmの電極片を有する櫛形形状の第1の電極2と、同じくTaからなる平板状の第2の電極3Aとを互いに対向するようにして形成した。その後、裏面1B上に、同じくTaからなる平板状の第2の電極3Bを、第1の電極2と対向するように形成した。次いで、第1の電極21と第2の電極3A及び3B間に、図3に示すような印加電圧プロファイルを用いてパルス電圧VP及びバイアス電圧VBを印加し、周期状分極反転構造4を形成した。
【0049】
なお、このときt4及びt5はそれぞれ0.2秒とし、t3及びt6はそれぞれ2秒とした。また、VBMAXは2kVとし、VMAXは4kVとした。また、パルス電圧VPのパルス幅は50mm秒とした。
【0050】
(比較例)
実施例と同様に、厚さ0.5mmのMgOドープLN単結晶の5度オフYカット基板を強誘電体単結晶基板1として用い、この基板1の主面1A及び裏面1B上に、実施例と同形状及び同じ大きさの第1の電極2並びに第2の電極3A及び3Bを形成した。その後、第1の電極2及び第2の電極3間に、大きさ2kV、パルス幅50m秒のパルス電圧が頂上された、大きさ2kVの直流電圧を定常的に印加して、周期状分極反転構造4を形成した。
【0051】
図10は、上記実施例で形成された周期状分極反転構造4が形成された強誘電体単結晶基板1の断面を示す光学顕微鏡写真であり、図11は、上記比較例で形成された周期状分極反転構造4が形成された強誘電体単結晶基板1の断面を示す光学顕微鏡写真である。
【0052】
図10及び11から明らかなように、いずれの場合も強誘電体単結晶基板1内に周期状に配列してなる分極反転構造が形成されていることが分かる。そして、本発明に従って形成した図10に示す周期状分極反転構造は、従来の方法に従って形成した図11に示す周期状分極反転構造と比較して、強誘電体単結晶基板1内部において、十分深く形成されていることが確認された。
【0053】
具体的な実測値は、図11に示す周期状分極反転構造の深さが2.2μmであり、図10に示す周期状分極反転構造の深さが3.9μmである。したがって、実測値からも、本発明に従って形成した周期状分極反転構造は、強誘電体単結晶基板内において、十分な深さを有していることが分かる。
【0054】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない範囲において、あらゆる変更や変形が可能である。例えば、上記においては、強誘電体単結晶基板1を、例えばMgOドープのLN単結晶の5度オフカット板から構成する場合について示しているが、本発明は、例えばLN単結晶の任意のオフカット基板、並びにXカット基板、Yカット基板、Zカット基板から構成する場合についても用いることができる。
【0055】
また、図1においては、主面1A及び裏面1B上において、櫛形状の第1の電極12と対向するように第2の電極3A及び3Bを形成しているが、LN単結晶のXカット基板又はYカット基板を用いる場合は、裏面1B上に第2の電極3Bを形成することなく、主面1A上において第2の電極3Aのみを形成することによって、目的とする周期状分極反転構造を作製することができる。
【0056】
さらに、LN単結晶のZカット基板又は上述したオフカット基板を用いる場合は、主面1A上に第2の電極3Aを形成することなく、裏面1B上に第2の電極3Bのみを形成することによって、目的とする周期状分極反転構造を作製することができる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、強誘電体単結晶基板を破壊することなく、十分な深さの周期状分極反転構造を形成することが可能になり、実用的な高出力のSHGデバイスなどを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】周期状分極反転構造の形成方法を説明するための図である。
【図2】本発明の周期状分極反転構造の形成方法の好ましい態様における、印加電圧の時間プロファイルを示すグラフである。
【図3】本発明の周期状分極反転構造の形成方法の他の好ましい態様における、印加電圧の時間プロファイルを示すグラフである。
【図4】図3に示す印加電圧プロファイルの変形例である。
【図5】本発明の周期状分極反転構造の形成方法のその他の好ましい態様における、印加電圧の時間プロファイルを示すグラフである。
【図6】周期状分極反転構造が形成された強誘電体単結晶基板に、光導波路を形成した状態を示す図である。
【図7】周期状分極反転構造が形成された強誘電体基板を用いて、リッジ構造型の光導波路素子を形成する方法を説明するための一工程図である。
【図8】図7に示す工程の次の工程を示す図である。
【図9】図8に示す工程の次の工程を示す図である。
【図10】本発明の方法に従って形成した周期状分極反転構造を有する強誘電体単結晶基板断面の、光学顕微鏡写真である。
【図11】従来の方法に従って形成した周期状分極反転構造を有する強誘電体単結晶基板断面の、光学顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 強誘電体単結晶基板、2 第1の電極、3 第2の電極、4 周期状分極反転構造、5、15 光導波路、10、20 光導波路素子、11 支持基板、12 接着層
Claims (10)
- 強誘電体単結晶基板の一表面上において、周期状に配列された複数の電極片を有する第1の電極と、この第1の電極と離隔し、対向して位置するように、前記強誘電体単結晶基板の任意の表面上に第2の電極とを配置し、前記第1の電極と前記第2の電極との間にパルス状の電圧を繰り返し印加するとともに、このパルス状の電圧と同期させてバイアス電圧を印加し、前記強誘電体単結晶内の所定領域において周期状の分極反転構造を形成する際に
前記バイアス電圧を、印加開始時から最大となる時までの時間が0.1秒〜5秒までとするとともに、前記最大となる時から印加停止時までの時間が0.1秒〜5秒までとなるように印加し、更に、該バイアス電圧は前記パルス電圧の印加時において最大となるように印加する、ことを特徴とする、周期状分極反転構造の形成方法。 - 前記バイアス電圧は、各繰り返し周期でパルス印加前と印加後の両方で0V以下となる時刻が存在するように、繰り返し印加されるパルス電圧に同期させて繰り返し印加する、請求項1に記載の周期状分極反転構造の形成方法。
- 前記バイアス電圧は、前記パルス電圧印加時を含む、前記パルス電圧印加前、及び前記パルス電圧印加後の所定時間において、最大となるように印加することを特徴とする、請求項1または2に記載の周期状分極反転構造の形成方法。
- 前記パルス電圧印加前の、前記バイアス電圧が最大を示す時間が0.1秒〜3秒であり、前記パルス電圧印加後の、前記バイアス電圧が最大を示す時間が0.1秒〜3秒であることを特徴とする、請求項3に記載の周期状分極反転構造の形成方法。
- 前記パルス電圧及び前記バイアス電圧の合計の最大値が、前記強誘電体単結晶基板の単位厚さ(mm)当たり、0.2kV/mm〜20kV/mmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の周期状分極反転構造の形成方法。
- 前記バイアス電圧の印加前後の少なくとも一方において、前記パルス電圧の極性と異なる極性の逆バイアス電圧を前記バイアス電圧と連続させて印加することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の周期状分極反転構造の形成方法。
- 前記第1の電極と前記第2の電極とは、前記強誘電単結晶基板の同一表面上に配置することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の周期状分極反転構造の形成方法。
- 前記第1の電極と前記第2の電極とは、それぞれ前記強誘電体単結晶基板の相対向する異なる表面上に配置することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の周期状分極反転構造の形成方法。
- 前記第2の電極は、前記第1の電極と同一平面上、及びこの平面と相対向する異なる表面上に配置することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の周期状分極反転構造の形成方法。
- 前記周期状分極反転構造の、前記第1の電極が形成された前記強誘電体単結晶基板表面からの深さが、1μm以上であることを特徴とする、請求項7に記載の周期状分極反転構造の形成方法。
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