JP4119508B2 - 光波長変換素子とその製造方法、この素子を用いた光発生装置および光ピックアップ、ならびに分極反転部の製造方法 - Google Patents

光波長変換素子とその製造方法、この素子を用いた光発生装置および光ピックアップ、ならびに分極反転部の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コヒーレント光源を応用した、光情報処理、光応用計測の分野に使用される光波長変換素子に関するものであり、このような光波長変換素子に含まれる分極反転部の製造方法に関するものである。また本発明は、光波長変換素子を用いた光発生装置および光ピックアップに関するものである。さらに本発明は上記技術分野において使用され、分極反転部を利用する回折素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
単一分極の強誘電体結晶の分極を部分的に反転させる分極反転は、非線形光学効果、電気光学効果、音響光学効果等の光波制御を可能にし、通信、光情報処理、計測等広い分野で応用されている。中でも非線形光学効果を利用した光波長変換素子への分極反転の適用は、半導体レーザの光波長変換による小型の短波長光源を実現できるため、盛んに研究が行われている。
【0003】
従来の分極反転部(分極反転領域)の製造方法は、基板表面が分極方向と平行なX板またはY板の強誘電体結晶の基板表面に櫛形電極と棒状電極(ストライプ状電極)を形成し、電極間に電圧を印加することで分極反転部を形成している(特開平4-335620号公報)。従来の分極反転部の製造方法の例を図46を用いて説明する。この方法によれば、強誘電体結晶(例えばLiNbO3)であるX板の基板201の分極方向であるC方向(Z方向)に第1の電極202と第2の電極203とを形成し、電極間に電源205により電圧を印加することにより、電極間の結晶の分極が反転し、周期状の分極反転部204が形成される。
【0004】
さらに、図47に示すように、一方の電極203を基板の側面に形成し、基板表面に形成した他方の電極202との間に電圧を印加することで分極反転部204を形成する方法も開示されている。
【0005】
また、他の従来の分極反転部の製造方法として、結晶の分極方向を基板表面から傾けた基板(以下「斜め基板」ということがある)を用いる方法が提案されている。この方法が図46に示した構成と異なるのは、基板の自発分極の方向が結晶表面に対して傾いている点である。この場合、電極間に電圧を印加すると、分極反転部は、結晶の自発分極と平行に、即ち傾いた結晶軸に沿って基板内に潜るように形成されていく。このため、分極反転部は、基板内部により深く潜り込んで形成される。
【0006】
従来の分極反転部の製造方法のさらに別の例を図48に示す。基板の対向する表面に形成した一対の電極を用いる図48に示したような方法によれば、分極反転部は、櫛形の電極202から他方の電極203へと基板の厚さ方向に形成される。
【0007】
分極反転部の形成に必要な電荷量は、一般に、(自発分極Ps)×(電極範囲面積)×2で与えられる。一方、分極反転部の広がりは、電極の周期Λと電極幅Wの比W/Λの値で決まり、基板の厚みに依存しない値だけ広がると考えられている。例えば、図48に示したような方法により、形成される分極反転部は周期3μm程度、分極反転部が形成された領域の面積は1mm2程度であった。
【0008】
従来の光波長変換素子の構造の例を図49および図50に示す。これらの光波長変換素子によれば、LiTaO3等強誘電体結晶の基板206に周期的に形成された分極反転部207により位相整合を図ることにより、素子内に集光された基本波208を第二高調波(以下「SHG」ということがある)209に変換している。また、図50に示した態様では、基本波208が基板206の表面に形成された光導波路210内でSHG209に変換される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の分極反転部の製造方法には、以下のような問題があった。例えば、特に図48に示したような態様において顕著に観察されるのであるが、分極反転核が生じる+C面近傍では、電極形状にほぼ等しい均一な分極反転構造が形成されるにしても、−C面に近づくに従って分極反転部の形状に乱れが生じ、−C面近傍では分極反転部の均一性が十分ではなくなっていた。このため、基板から深い部分の分極反転部は利用し難く、例えば−C面に光導波路を形成した光波長変換素子を作製することが困難であるという問題があった。
【0010】
また、従来のX板またはY板の基板を用いた分極反転部の製造方法では、深い分極反転部の形成が難しいという問題があった。このため、自発分極の方向が基板表面と平行な基板における分極反転部の深さは1μm程度以下に限られていた。さらに、形成される分極反転部の均一性が良くないため、分極反転部を広い面積に形成することが難しく、相互作用長が10mm程度に限られるという問題もあった。
【0011】
一方、基板表面と分極方向とが傾いた基板を用いた従来の分極反転部の製造方法では、ある程度深い分極反転部が形成されるが、
1)光波長変換素子に使用できる有効面積が小さい、
2)分極反転深さは2μm程度に限られ、より深い分極反転部の形成が難しい、という問題があった。
【0012】
このような斜め基板に形成される分極反転部は、基板表面から基板内部に潜り込む形で形成される。このため、光導波路と重なる深い分極反転部が基板表面近傍に存在するのは、形成された分極反転部の一部に限られる。このため、光導波路型の光波長変換素子に利用できる分極反転部が小さい面積に限られるという問題もあった。例えば、図50に示したような従来の光波長変換素子は、斜め基板を用いているため深い分極反転部が形成されて光導波路とのオーバラップが向上しているが、分極反転部を利用できる有効面積は狭く、分極反転部と重なる光導波路は基板内に1本程度に限られている。
【0013】
このように、従来製造されてきた分極反転部は、光波長変換素子への適用を考慮すると、その深さ、均一性、有効面積等の点で必ずしも十分とは言い難いものであった。
【0014】
本発明は、かかる事情を鑑み、上記従来の問題を解決すべく完成されたものであって、その目的は、分極反転部を改善した、特に短波長光の発生に適した光波長変換素子およびその製造方法を提供すること、ならびにこのような光波長変換素子を提供するに必要となる、分極反転部の製造方法を提供することにある。併せて、本発明は、上記光波長変換素子を含む光発生装置および光ピックアップ、ならびに上記分極反転部を利用した回折素子を提供することも目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するべく、本発明の分極反転部の製造方法は、強誘電体結晶の基板の分極方向に電圧を印加して分極反転部を形成する工程と、前記電圧の印加により生じた前記基板の内部電界を低減する処理を行う工程と、前記分極方向に前記電圧と逆方向の電圧を印加して前記分極反転部の少なくとも一部の分極を再反転させる工程とを備え、
前記内部電界を低減する処理は、前記内部電界と逆方向の電界による前記基板の電界印加処理であり、
前記各工程を順に繰り返し行うことを特徴とする。
【0016】
第2の分極反転部の製造方法は、強誘電体結晶の基板の分極方向に電圧を印加して分極反転部を形成する工程と、前記分極反転部の前記基板の表面近傍に分極反転安定化部を形成する工程とを含むことを特徴とする。このような製造方法によれば、分極反転部が安定化され、光波長変換素子等に好適な分極反転部を提供することができる。
【0017】
第3の分極反転部の製造方法は、互いに対向する第1の面と第2の面とを有する強誘電体結晶基板の前記第1の面に縞状パターン部を有する第1の電極を形成する工程と、
前記第1の電極を第1の絶縁膜で覆う工程と、
前記第2の面に第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の電極を分極方向に投影して定められる前記第2の面上の領域を前記第2の絶縁膜を介して覆うように、前記第2の絶縁膜上に第2の電極を形成する工程と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加して前記第1の電極の縞状パターン部から前記第2の電極へと分極反転部を成長させる工程とを含むことを特徴とする。このような製造方法によれば、均一性において優れ、また短周期で大面積の分極反転部を提供することができる。
【0018】
第4の分極反転部の製造方法は、分極方向と基板表面とが実質的に平行である強誘電体結晶基板の分極方向に、第1、第2および第3の電極をこの順に形成する工程と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加して前記第1の電極と前記第2の電極との間に前記分極方向に沿った縞状の分極反転部を形成する工程と、前記第1の電極と前記第3の電極との間に電圧を印加して前記縞状の分極反転部を前記第2の電極から前記第3の電極の側に成長させる工程とを含むことを特徴とする。このような製造方法によれば、有効面積が拡大するばかりではなく、より深く形成された分極反転部を提供することができる。
【0019】
第5の分極反転部の製造方法は、強誘電体結晶の基板に、前記強誘電体結晶の分極方向に平行な第1の電界成分と前記分極方向に垂直な第2の電界成分とを有する電界を印加することにより、分極反転部を前記分極方向に成長させる工程を含むことを特徴とする。このような製造方法によれば、均一性に優れた深い分極反転部を提供することができる。
【0020】
第6の分極反転部の製造方法は、強誘電体結晶の基板の表面に形成した第1の電極と第2の電極との間の前記表面に前記強誘電体結晶よりも抵抗値の低い低抵抗部分を形成する工程と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより、前記強誘電体結晶の分極方向に分極反転部を成長させる工程とを含むことを特徴とする。このような製造方法によれば、均一性に優れ、深く、大面積の分極反転部を提供することができる。
【0021】
第7の分極反転部の製造方法によれば、強誘電体結晶の基板の表面に凹部を形成する工程と、前記凹部内に第1の電極を形成する工程と、前記第1の電極と前記表面に形成された第2の電極との間に電圧を印加することにより、前記第1の電極から前記強誘電体結晶の分極方向に分極反転部を成長させる工程とを含むことを特徴とする。このような製造方法によれば、深い分極反転部を提供することが可能となる。この凹部は、例えば形成した分極反転部を光波長変換素子として利用するために形成される光導波路と光源との位置合わせにも利用することができる。
【0022】
第8の分極反転部の製造方法によれば、強誘電体結晶の基板の前記表面に絶縁膜を形成する工程と、前記表面に前記絶縁膜を貫通する凹部を形成する工程と、前記表面の少なくとも前記凹部を含む領域に導電膜を形成する工程と、前記凹部内の前記導電膜を第1の電極としてこの第1の電極と前記表面に形成した第2の電極との間に電圧を印加することにより前記第1の電極から前記強誘電体結晶の分極方向に分極反転部を成長させる工程とを含むことを特徴とする。このような製造方法によれば、均一性に優れた深い分極反転部を提供することができる。
【0023】
第9の分極反転部の製造方法は、強誘電体結晶の基板の表面に第1の電極を形成する工程と、前記第1の電極を含む前記表面に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜の表面上であって前記第1の電極を形成した位置とは異なる位置に第2の電極を形成する工程と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより前記第1の電極から前記強誘電体結晶の分極方向に分極反転部を成長させる工程とを含むことを特徴とする。このような製造方法によれば、均一性に優れた深い分極反転部を提供することができる。
【0024】
第10の分極反転部の製造方法は、強誘電体結晶の基板の表面に、櫛形の第1の電極と前記櫛形が伸長する方向に配置された第2の電極とからなる電極対を前記櫛形が同一の方向を向くように2以上形成する工程と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより、前記第1の電極の櫛形から前記第2の電極側へと分極反転部を成長させる工程とを含むことを特徴とする。このような製造方法によれば、均一性に優れ、深く、大面積の分極反転部を提供することができる。
【0025】
上記いずれかの製造方法により、強誘電体結晶の基板に2以上の分極反転部を互いに実質的に平行な層となるように形成することにより、本発明の光波長変換素子が提供される。加えて、本発明によれば、従来の素子とは相違する、以下の特徴を有する光波長変換素子が提供される。
【0026】
第1の光波長変換素子は、強誘電体結晶の基板と、互いに実質的に平行な層をなすように前記基板内に形成された分極反転部と、前記基板の表面近傍の前記分極反転部内に形成された分極反転安定化部とを含むことを特徴とする。
【0027】
第2の光波長変換素子は、分極方向と基板表面とが実質的に平行である強誘電体結晶の基板と、前記表面に沿って前記基板内に形成された光導波路と、前記光導波路を周期的に横断するように前記基板内に形成された深さが2μm以上である2以上の分極反転部とを含むことを特徴とする。
【0028】
第3の光波長変換素子は、分極方向と基板表面とが1°〜5°の傾きを有する強誘電体結晶の基板と、前記基板表面に垂直であって前記分極方向に沿った断面において層状構造を形成するように前記表面から前記分極方向へと伸長する2以上の分極反転部とを含むことを特徴とする。
【0029】
第4の光波長変換素子は、強誘電体結晶基板の表面に形成された凹部と、前記凹部を一方の端部として前記強誘電体結晶の分極方向へと伸長する分極反転部とを含むことを特徴とする。
【0030】
第5の光波長変換素子は、強誘電体結晶の基板と、前記基板の表面に形成された第1の電極と、前記第1の電極を含む前記表面に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上であって前記第1の電極を形成した位置とは異なる位置に形成された第2の電極と、前記第1の電極を一方の端部として前記強誘電体結晶の分極方向に沿って前記第2の電極側へと伸長する分極反転部とを含むことを特徴とする。
【0031】
第6の光波長変換素子は、強誘電体結晶の基板と、各々が櫛形の第1の電極と前記櫛形が伸長する方向に配置された第2の電極とからなり前記櫛形が同一の方向を向くように前記基板の表面に形成された2以上の電極対と、前記第1の電極の前記櫛形部分を一方の端部として前記強誘電体結晶の分極方向に沿って前記第2の電極側へと伸長する分極反転部とを含むことを特徴とする。
【0032】
上記方法により製造されうる分極反転部を含む光波長変換素子、または上記第1〜第6の光波長変換素子は、特に光発生装置に好ましく適用され、このような短波長光の発生に適した光発生装置は光ピックアップに好ましく用いられる。
【0033】
さらに、本発明によれば、分極方向と基板表面とが1°〜5°の傾きをなす強誘電体結晶の基板と、前記基板表面に垂直であって前記分極方向に沿った断面において層状構造を形成するように前記表面から前記分極方向へと伸長する2以上の分極反転部とを含むことを特徴とする回折素子が提供される。この回折素子は、上記方法により製造されうる分極反転部を利用した、高速応答が可能な素子である。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
本発明によれば、分極反転核(Domain Core)が生じない面において、所望の分極反転形状を形成するための方法が提供される。具体的な分極反転部の形成方法としては、単一分極の強誘電体結晶(例えばLiTaO3板)の基板に電極を形成し、電極間に高圧の電圧を印加することで電極下に分極反転部を形成するいわゆる電界印加法が適用されうる。分極反転部は、例えば周期的な層状構造をなすように形成され、光波長変換素子等に用いられる。
【0035】
基板表面と分極方向とがほぼ垂直であるいわゆるC板の強誘電体結晶基板に分極反転部を形成する方法としては、分極反転核の発生する+C面に櫛形電極を、−C面に平板電極を形成し、両電極間にパルス電圧(電界として例えば21kV/mm程度)を印加し、櫛形電極の櫛形部分から平板電極へと、周期状の分極反転部を成長させる方法が挙げられる。
【0036】
一方、−C面に櫛形電極を、+C面に平面電極を形成し、両電極間に電圧を印加すると、分極反転部は平板状となって周期状とはならない。これは、分極反転部が分極反転核から−C面方向に成長するためである。そこで、−C面に縞状パターン形状の分極反転部を形成するためには、+C面の櫛形電極から分極反転部を成長させる必要がある。しかし、分極反転核から成長するに従って乱れてくる。このため、上記のように、−C面に微細に制御された形状の分極反転部を形成することは困難とされている。
【0037】
(実施の形態1)
以下に、このような問題を解決する分極反転部の製造方法の例を説明する。
【0038】
この方法は、図1に示したように、まず、強誘電体結晶(例えばLiTaO3)の基板1の−C面に櫛形電極2を、+C面に平板電極3を形成し(図1(a))、次に、+C面に平板電極3に+電圧を印加してこの電極から分極反転部を成長させ(図1(b);この状態で結晶としては分極方向が逆転し、櫛形電極を形成した面が+C面に、平板電極を形成した面が−C面になる。)、さらに櫛形電極2に+電圧を印加してこの電極から分極を反転させることにより、分極再反転部5を形成する(図1(c))というものである。分極再反転部5は、櫛形電極2に対応する周期的な縞模様を描くパターンを形成する。
【0039】
形成された分極反転部を観測すると、−C面に形成した櫛形電極2と同一形状の分極反転部が形成されており、−C面においても均一な分極反転層が形成されていることがわかった。このように、分極の再反転を利用することにより、−C面に微細に制御され均一性に優れた分極反転部を形成することができる。
【0040】
しかし、上記方法により分極反転部を形成したところ、図1(c)の工程において、反転電圧が安定しない場合や分極反転が全く生じないといった現象が観測されることがあった。そこで、その原因について実験検討を行ったところ、図1(b)の工程における電界印加により、結晶内部に内部電界が形成され、これが分極の再反転を妨害していることが判明した。
【0041】
そこで、内部電界を低減し、好ましくは除去する方法を検討したところ、図1(b)と(c)の工程の間に、アニール処理を行うことにより内部電界が低減できることが見出された。さらにアニール温度についても検討した。結果を以下に示す。
【0042】
・アニール温度<50℃ :アニールの効果はほとんどない
・アニール温度=100℃:再反転は容易となるが再反転部は不安定。
・アニール温度≧150℃:再反転容易で、均一かつ安定した分極反転が可能。
・アニール温度>500℃:形成した分極が低減ないし消滅する。
【0043】
以上より、アニール温度は150〜500℃が好ましく、この範囲の温度でアニール処理することにより、−C面に所望の分極反転形状が形成容易となることがわかった。なお、上記アニール温度はすべて基板温度に基づく。
【0044】
ここで、好ましいアニール温度の上限は、用いる結晶のキュリー温度と関連していると考えられる。なお、アニール時間は数分間で十分であった。
【0045】
次に、以上に説明した方法を応用して、強誘電体結晶の表面から裏面にかけて周期的な分極反転部を均一に形成する方法について説明する。この方法は、電界印加による分極反転を、内部電界を除去しながら必要に応じて繰り返し行うものである。以下、図2を用いて説明する。
【0046】
この方法は、まず、C軸にほぼ垂直な平面を有するLiTaO3のような強誘電体基板1の+C面に櫛形電極2aを形成し、−C面には、+C面の電極に対し反転パターンの櫛形電極2b、即ち+C面の電極2aを分極方向に沿って−C面に投影したときに電極がない部分に電極を形成し(図2(a))、次に電極2a、2b間に電圧を印加して+C面の電極下に分極反転部を形成し(図2(b);このとき、形成される分極反転部は、+C面から発生するため−C面近傍では分極反転形状の不均一性が増加している。)、基板をアニール処理して内部電界を除去し(図2(c))、さらに電極間に電圧((b)工程とは正負が逆)を印加して分極を再反転させる(図1(d))ものである。
【0047】
図1(d)の工程で、分極が再反転されるのは、+C面の電極に対応しない分極反転部、即ち乱れに対応する部分である。この工程により、分極反転部の不均一部分が除去され、電極パターンに対応した周期的な分極反転部を基板の表面から裏面にかけて精度よく形成される。
【0048】
また、以上の工程を、内部電界除去工程をはさんで繰り返し行えば均一性はさらに好ましいものとなる。
【0049】
なお、上記の例では、C板のLiTaO3を用いたが、他にLiNbO3およびその混合物LiNbxTa(1-x)O3でも同様の効果が得られる。LiNbO3およびその混合物は非線形光学定数が大きいため、高効率の光波長変換が可能である。
【0050】
さらに、MgOをドープしたLiTaO3、MgOをドープしたLiNbO3およびその混合物MgO:LiNbxTa(1-x)O3でも同様の効果が得られる。MgOをドープすると耐光損傷性が向上し、高出力のSHG出力に対しても安定な特性が得られる。
【0051】
なお、本実施形態では非線形光学結晶を有する基板としてC板を用いたが、他にC軸に平行な表面を有するX板またはY板でも同様の特性が得られる。これらの基板を用いる場合には、分極反転用の電極を基板表面にC軸方向に離間して形成し、基板表面で分極反転を行う。この場合の電極は、例えば互いに嵌合する櫛形を有する一対の櫛形電極が好ましい。また、このような基板を用いると、TEモードの基本波励起によりSHG光の発生が可能となるため、基板表面に形成した光導波路と半導体レーザとの結合効率の向上が可能となり、小型で高出力の短波長光発生装置とすることができる。
【0052】
なお、内部電界の低減は、アニール処理に限られることなく、例えば内部電界と反対方向に電界を印加することによっても実施することができる。この場合に印加される電圧は、10〜20kW/mmが好ましい。分極反転を生じさせることなく短時間で内部電界を消滅させることができるからである。
【0053】
次に、分極反転部に安定性について検討する。
以上に説明したような電界印加法によると、短周期で深い分極反転部の形成が可能である。しかし、耐熱性実験を行うと、熱処理における分極反転部の劣化、分極反転部の消滅等が発生し、分極反転部自体の安定性に問題があることが見出された。また、光波長変換素子を形成する際の導波路形成プロセスにおいても分極反転層が消滅する場合があることがわかった。
【0054】
その結果をまとめると、
1)+C面から形成した電界印加分極反転層について
・耐熱性:500℃以上の熱処理で消滅する。
・導波路形成:(プロトン交換+アニール処理)によって導波路内の分極反転部が消滅する。
2)−C面から形成した再反転(実施の形態1)を含む分極反転層について
・耐熱性:350℃の熱処理で、−C表面近傍の分極反転部が消滅する。
・導波路形成:(プロトン交換+アニール処理)によって導波路内の分極反
転部が消滅する。
そこで、電界印加により形成した分極反転部の安定性の向上について検討した。その結果を以下に説明する。
【0055】
(実施の形態2)
上記実施の形態の方法により形成した分極再反転部を含む分極反転層は、比較的低い温度の熱処理(例えば350℃)においても、−C表面から分極反転部が消滅し、5〜6μmの反転部の後退が観測された。分極反転部の消滅が−C面より発生し+C面に向かって広がることは、従来知られておらず、ここで初めて明らかにされた現象である。
【0056】
そこで、反転の消滅を防止する方法を種々検討した結果、表面にイオン交換、好ましくはプロトン交換を施す方法が有効であることが見出された。プロトン交換を施すことにより分極反転安定化部を形成すると、例えば500℃の熱処理を行っても分極反転形状に変化がなく、耐熱性は大幅に向上した。
【0057】
分極反転部の安定化に好ましいプロトン交換深さは0.01〜0.2μm、例えば0.1μm程度であった。−C面での分極反転部の消滅は、この面での分極反転核の発生を抑制することにより防止することができる。プロトン交換を行うと、結晶の非対称性が小さくなり強誘電性が劣化するため、分極が反転し難くなり、分極反転核の発生が抑えられる。このようにして、分極反転部の安定性、特に−C面に形成された分極反転構造の安定性を飛躍的に向上させることができた。
【0058】
プロトン交換は、ピロ燐酸のような酸を用いて行うことができる。プロトン交換層の深さは、処理温度(酸の温度)と時間によって決定され、例えば0.2μmの深さのプロトン交換層を形成するためには260℃で約160秒間、0.1μmのプロトン交換層を形成するためには260℃で約40秒間処理すればよい。さらに薄いプロトン交換層を形成する場合には処理温度を下げて深さの制御性を向上させることが好ましい。例えば温度200℃、3秒程度の処理により深さ0.01μmのプロトン交換層が形成される。この深さの交換層を260℃の温度で形成しようとすると1秒以下の処理時間とする必要が生じる。処理温度はさらに低温とすることも可能であるが、プロトン交換層の形成には、一般に温度は160〜280℃とすることが好ましい。また、酸としては、安息香酸、オルト燐酸、硫酸、塩酸等も使用することができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、基板にLiTaO3基板を用いたが、上記で述べたような他の基板を用いることも可能である。このような、分極反転構造の安定性の向上は、他の結晶にも有効である。例えば、KNbO3、TiPbO3等分極が不安定で、外部の圧力や温度変化により容易に分極反転が生じる材料において、結晶表面をイオン交換処理し、表面の結晶構造を変化させることで、分極反転の安定性を大幅に向上させることができる。また、ここではC板を用いたが、その他X板やY板を用いる場合にも分極反転安定化部を形成することにより、上記と同様の効果が得られる。この場合には、基板表面の少なくとも+C側に分極反転安定化部を形成することが好ましい。斜め基板を用いた場合にも分極反転安定化部の形成は同様に有効である。
【0060】
このように、用いうる基板の種類が、特に言及されている場合を除き限定されない点は、本明細書の各実施の形態に共通する。
【0061】
(実施の形態3)
ここでは、光導波路形成時に光導波路内の分極反転部が消滅することを防止する方法について説明する。
【0062】
最初に、LiTaO3のような基板を用いた光波長変換素子の製造方法について説明する。光波長変換素子の製造方法は、図3に示すように、一般には、結晶基板1に周期的な縞状分極反転部4を形成し(図3(a))、光導波路形成用のマスクパターン6(例えばTaによる)を形成し(図3(b))、酸を含む溶液、例えばピロ燐酸中で熱処理し、非マスク部分にプロトン交換部分7(厚さは0.5〜2μm程度)を形成し(図3(c))、マスクを除去した後、アニール処理(温度は例えば400℃程度)して光導波路8を形成する(図3(d))ものである。
【0063】
しかし、作製した光波長変換素子を光導波路断面で切断し、分極反転部分を観測したところ、図4に示すように光導波路8の内部で分極反転部4が消滅する現象が観察される。
【0064】
この現象は、
1)±C面のどちらの面に形成した分極反転層にも発生する。
2)イオン交換処理により耐熱性を向上させた分極反転層にも発生する。
3)光導波路のアニール処理温度を300℃程度に低下させても発生する。
という特徴を有していた。
【0065】
このような分極反転部の消滅は、実施の形態2に記載したような方法をもっても十分には解決できない問題であった。これはプロトンが結晶内へ熱拡散する際に分極反転構造が消滅するためと考えられる。
【0066】
これを防止するには、プロトンの熱拡散に耐える分極反転部を形成する必要がある。そこで、分極反転部の安定化について種々検討を行った。分極反転部の製造方法として、LiTaO3の−C面に選択的にプロトン交換を施し、これを基板のキュリー温度近傍(530℃程度)で熱処理して周期状の分極反転部を形成する方法(プロトン交換熱処理法)が知られている。しかしながら、このようなプロトン交換熱処理による方法は、深い分極反転部を形成するのが難しく、2μm程度の深さの分極反転部しか形成できなかった。
【0067】
そこで、電界印加により形成した分極反転構造にプロトン交換熱処理を施すことによる、分極反転構造の特性改善を試みたところ、以下に示す2つの新しい現象が観測された。
【0068】
1)電界印加により形成された分極反転部にプロトン交換熱処理法を施すと電界印加分極反転を核としてプロトン交換熱処理法による分極反転部が形成される。このためプロトン交換熱処理法では不可能な深い分極反転構造の形成が可能となる。
2)電界印加分極反転の表面近傍にプロトン交換熱処理による分極反転構造を形成することにより、光導波路形成プロセスにより消滅しない分極反転構造が形成できる。
【0069】
以下に、プロトン交換熱処理法を電界印加法に施すことにより耐性に優れた安定な分極反転構造を形成する方法の例について説明する。
【0070】
この方法は、図5に示したように、実施の形態1で説明したような分極再反転法により−C面に周期状の分極反転部4を形成し(図5(a))、基板表面をピロ燐酸のような酸中で熱処理して表面にプロトン交換部7を形成し(図5(b))、熱処理して電界印加により形成した分極反転部の表面近傍にプロトン交換熱処理法を適用する(図5(c))。
【0071】
以上の方法で分極反転部を形成したところ、分極反転形状は、電界印加によって形成した形状とほぼ等しく、短周期で深い分極反転部が均一に形成できることが確認された。
【0072】
次に、上記の方法で作製した分極反転部に光導波路を形成して、導波路内での分極反転部の消滅について観測した。その結果、図5(c)の工程における熱処理温度が、分極反転部の消滅特性に大きな影響を与えることが判明した。そこで、分極反転が−C面から消滅する距離と熱処理温度との関係を求めた。その結果を図6に示す。
【0073】
熱処理温度が400℃以下の場合は、プロトン交換熱処理による分極反転部が形成されず表面から1μm以上の深さにわたり分極反転部が消滅した。500℃近傍に近づくに従い分極反転層が消滅する深さは減少し、480℃以上では後退深さが0.35μm以下になった。分極反転部が実質的に消滅しない好ましい温度範囲は、500〜520℃であった。光波長変換素子の変換効率に影響を与えない程度の反転の消滅深さとしては0.5μm以下の値が必要である。このような観点からは、480〜530℃の熱処理を行うことが適当である。熱処理温度を540℃以上にすると周期状の分極反転部が消滅し、スラブ状の分極反転部が形成され、光波長変換素子は製造できなくなった。
【0074】
以上の結果より、電界印加により形成した分極反転部を含む構造は、結晶構造として不安定であることがわかる。これは、本来の結晶構造では低温の熱処理や、イオン交換処理等で結晶の分極方向が変化することはないからである。一方、電界印加により分極反転部を形成し、その表面をプロトン交換等によりイオン交換した後基板のキュリー温度未満の温度で熱処理することにより、分極反転安定化部が形成できる理由は、イオン交換されて結晶構造が変化した層をキュリー温度近傍で熱処理することによりイオンが基板内部に拡散し、イオン交換部が元の結晶構造に近づく時に分極が安定した状態で固定されるためと考えられる。即ち、電界印加で形成された不安定な結晶構造が、イオン交換と熱処理を介して安定した結晶構造に変化するのである。
【0075】
ただし、このときの熱処理温度は、基板のキュリー温度未満かつキュリー温度近傍が好ましい。例えば、キュリー温度が約600℃であるLiTaO3の場合の熱処理温度は480〜530℃、さらには500℃近傍が好ましい。その理由は、キュリー温度近傍で分極が変化(反転)するポテンシャルが低下し、反転が容易になるからである。また、キュリー温度を越えると、分極がバラバラになり、単一分極の結晶でなくなるからである。このような観点から、一般には、熱処理温度は、(キュリー温度−150℃)〜(キュリー温度)の間の温度とすることが好ましい。
【0076】
次に、熱処理(温度510℃)した分極反転構造上に光導波路を形成し、光波長変換素子を作製し、その特性を評価した。作製したSHG素子の構成を図7に示す。図7に示すように、LiTaO3基板1上に、周期的に形成された層状の分極反転部4を周期的に横切るように光導波路8が形成されている。また、プロトン交換層をアニール処理した層9は、LiTaO3に比べて分極反転が生じ難くなっている。なお、イオン交換と熱処理を施すことで電気抵抗が低下していることも確認された。また例えば、分極反転周期は3.5μmで、光導波路8は幅5μm、深さ2μm程度とされる。
【0077】
このような光導波路8に、基本波として、半導体レーザからの光(波長850nm、70mW)を入力すると、第2高調波の出力10mWが得られた。従来の分極反転部の製造方法を利用した場合には、光導波路内の分極反転部が消滅する傾向にあるため、変換効率は極端に低下し、同様の実験においても1mW程度の出力しか得られなかい。
【0078】
さらに、上記方法で得られた光波長変換素子は、光損傷への耐性が大幅に向上していた。従来の方法では、表面近傍の分極反転部が消滅するため、この部分で光損傷が発生し、SHGの出力変動を発生させ、安定な出力が数mWしか得られなかった。しかし、上記方法によれば、深い分極反転部を基板表面まで形成できるので光損傷の発生を抑制することが可能となる。その結果、20mWのSHG出力に対して安定な出力特性が得られ、光損傷による不安定性をほぼ完全に防止することができた。
【0079】
上記方法で作製した分極反転部は、短周期で深い理想的な構造を有している。しかも、熱処理または光導波路形成時の化学処理時の特性の変化が少ない優れた耐性を実現できた。その結果、従来は困難であった光導波路内に光導波路表面から基板の深い部分まで周期状の分極反転構造を形成することが可能になり、高効率で安定性(耐光損傷強度)に優れたSHG素子の作製ができるようになった。
【0080】
なお、上記実施の形態では光導波路型のSHG素子を示したが、他にバルク型のSHG素子においても、分極反転安定化部を有する分極反転構造は有効である。バルク型素子においては、分極反転層の安定性が素子の安定性となるので、上記分極反転構造を用いることで、耐熱性、信頼性に優れた素子が構成できる。
【0081】
また、上記実施の形態では、分極反転安定化部を形成するイオン交換として、酸を使用したプロトン交換を用いたが、他にNd、K、Ag、Rb、Cu、Zn、Cd、Tl等によるイオン交換としても構わない。酸中にイオンを混ぜて熱処理することでプロトン交換と同時にイオン交換が行い、基板中にイオンを注入することも可能である。この場合も、基板をキュリー温度未満かつ同温度近傍で熱処理することにより結晶構造が変化し分極反転の不安定性が生じ難い構造を実現することができる。
【0082】
(実施の形態4)
本発明によれば、深く、均一に、かつ好ましくは大面積にわたって分極反転部を形成する別の方法が提供される。
【0083】
ここでは、電界印加により分極反転部を形成する別の方法について説明する。
X板、Y板に分極反転部を形成することにより、半導体レーザとの高効率の結合が可能な導波路型SHG素子の作製が可能となる。これは、導波モードの偏光方向が導波路を伝搬する光と半導体レーザ間で一致するからである。従来から提案されているX板、Y板に分極反転部を形成する方法は、基板表面のC軸方向に櫛形電極と平板電極とを離して形成し、電極間に電圧を印加することで、分極を反転させる方法である。しかしながら、従来の方法には、具体的には次の問題があった。
【0084】
1)電極間隔がせいぜい数100μmに制限され、SHG素子を形成する面積が限定され、量産化の効率が悪い。
2)形成された分極反転部が浅く、導波路とのオーバラップが十分ではない。
【0085】
そこで、本実施の形態の分極反転部の製造方法は、図8に示したように、強誘電体結晶基板1(例えばY板のLiTaO3)のC軸方向に櫛形電極11と2以上の平板電極12a、12b、12c・・・を形成し(図8(a);櫛形電極11が+C側に配置される)、櫛形電極11と第1の平板電極12a間にパルス状の電圧を印加して分極反転部を両電極間に形成し(図8(b))、さらに櫛形電極11と第2の平板電極12b間に電圧を印加し、分極反転部をこの電極12bにまで伸長させる(図8(c))ものである。印加電圧は例えば20〜30kV/mm、印加時間は例えば20ms程度とする。印加電圧波形としては、矩形状の印加電圧でも反転は可能であるが、初期にパルス状の上記電圧のような高電圧を印加し、その後例えば5kV/mm程度のCW電圧を印加し続ければ均一な分極反転部を形成することが可能となる。
【0086】
この方法により、200μmにわたり周期状の分極反転構造が形成可能となった。さらに櫛形電極と電極12c・・・との間に電圧を印加することにより、さらに広い面積に周期状の分極反転部を形成することができるようになる。この方法における隣接する電極間の距離は、特に制限されなるものではないが、例えば50μm〜1mm、好ましくは200〜400μmとする。
【0087】
さらに、注目すべきことに、上記分極反転部の製造方法により、分極反転部の深さも向上することが確認された。最初の分極反転(櫛形電極11と電極12a間の分極反転)においては、反転深さはせいぜい1μm程度であったが、電極12b、電極12cと電圧を印加して分極反転部を成長させていくと、約1.5μm以上の分極反転部が形成され、分極反転部の深さが増加した。
【0088】
なお、本実施の形態に用いた電極構造に加え、分極反転構造の均一性を向上させる電極構造が見出された。電極および電極間を絶縁体膜で覆う電極構造である。例えば、レジストおよびSiO2を1μm程度の厚さに堆積して電界印加を行ったところ、電極間の電圧分布の均一性が向上し、均一な分極反転部の形成が可能となった。絶縁体膜は0.1μm以上の厚さのときに特に有効であった。
【0089】
また、本実施の形態では多数の平板電極を形成したが、他の方法でも同様に実現できる。例えば、平板電極を徐々にエッチングして、櫛形電極と平面電極の間隔を広げながら分極反転を行うことで同様の分極反転部を形成することとしてもよい。
【0090】
(実施の形態5)
さらに本発明によれば、C軸に対してほぼ垂直な表面を有する強誘電体結晶の基板に均一な分極反転部を形成する他の方法が提供される。
【0091】
ここでは、絶縁膜を利用した分極反転部の製造方法を説明する。図9に示したように、まずC板の強誘電体結晶(例えばLiNbO3)の基板の+C面に櫛形電極13を形成し、−C面に絶縁膜(例えばSiO2膜)14を堆積した後、この絶縁膜上に平板電極15を形成し(図9(b))、+C面の櫛形電極13上には絶縁膜(例えばSiO2膜)16を堆積し(図9(c))、さらに電極間に電圧を印加して分極を反転させる(図9(d))ものである。
【0092】
このような方法によれば、−C面に絶縁膜14を堆積することで印加電界の均一化が図れ、均一な周期状分極反転の形成が可能となった。また+C面上に絶縁膜膜16を堆積することで短周期の分極反転構造の形成が可能となった。従って、短周期の分極反転部を従来よりも大面積にわたって形成することが可能となった。
【0093】
次に、SiO2膜厚の最適化を図った。SiO2膜はスパッタリング法により堆積し、膜厚に対する分極反転特性を調査した。まず最初に−C面のSiO2膜の厚さについて検討した。膜厚が0.5μm未満では分極反転の均一化への寄与は少なかったが、0.7μm以上にすると反転の均一性が向上し、分極反転を10×10mm以上の面積にわたり均一に形成することが可能となった。ところが、膜厚が2.3μmよりも大きくなると分極反転が生じ難くなり、反転の再現性が低下した。従って、均一な分極反転部の形成のために好ましいSiO2膜14の厚さは0.7〜2.3μm程度であることが明らかになった。
【0094】
さらに+C面の櫛形電極上に堆積するSiO2膜の厚さについて検討した。膜厚が0.5μm未満では分極反転周期3μm以上の反転周期しか形成されず、反転構造の不均一性が増加してSHG素子として用いたときにはその特性が劣化した。SiO2膜厚を1μm以上にすると均一性は向上し、例えば周期2μm以下の分極反転部の形成が可能となった。従ってSiO2膜の膜厚は1μm以上が好ましい。このように、±C面にそれぞれSiO2膜14,16を適切な厚さで堆積することで、周期2μm以下の分極反転を10×10mm以上にまで形成することが可能となった。
【0095】
(実施の形態6)
上記実施の形態により製造された分極反転部は光波長変換素子として用いるに好ましい特性を有し、このような光波長変換素子は、例えば短波長光を発生しうる光発生装置として用いられる。ここでは、本発明の光発生装置の例について説明する。
【0096】
この短波長光発生装置は、図10に示すように、光波長変換素子22と半導体レーザ21とを含み、半導体レーザ21からでた基本波が光波長変換素子22により波長変換され、SHG23として出射される。このような短波長光発生装置によれば、例えば波長800nm帯の半導体レーザを用いると波長400nm帯の青色のSHG光が得られる。この短波長光発生装置は、上記で説明したような好ましい分極反転部を利用しているため、安定した青色光源として利用できる。このような小型短波長光発生装置は、高密度光記録、カラーレーザプリンターや、例えば蛍光顕微鏡として、医学用、バイオテクノロジー用などの幅広い分野での応用が可能となる。
【0097】
さらに、波長680nm帯の赤色半導体レーザ基本波として用いることで、波長340nmの紫外光発生が可能となり、小型の紫外光源が実現できる。このような小型の紫外光源は、特にバイオ、蛍光寿命測定、特殊計測等への応用が可能である。また、レーザをパルス駆動すると高いピークパワーの基本波が得られるため、高効率の波長変換が可能になる。例えば、CW駆動では最大出力40mW程度の半導体レーザでも、パルス駆動することで数100mWの高いピークパワーの発生が可能となり、SHG出力としても数10mWのものが得られる。高いピークパワーを持ったSHG光は、蛍光寿命測定等に応用することで、不純物検出等のために用いることができる。また、半導体レーザを高周波のRF駆動することで、高いピークパワーをもったパルス列発振が可能となり、平均パワーでCW駆動の半導体レーザに比べ5倍以上の変換効率向上が可能となった。
【0098】
高出力のSHG光を発生した場合、光損傷による出力の不安定性が問題となる。本実施の形態で示した素子においては、深い分極反転構造が形成されているため、耐光損傷強度に優れ、10mWを越えるSHG出力を発生した場合でも安定な特性が得られた。
【0099】
(実施の形態7)
ここでは、上記短波長光発生装置を光ディスクのピックアップ用光源として用いた光ピックアップについて説明する。
【0100】
光ディスクには高密度記録が望まれており、そのためには小型の短波長光源の実現が必要不可欠となっている。光ディスクを読み取るための光ピックアップは、光源と集光光学系と受光部分よりなる。光源に上記のような光波長変換素子を用いると、波長400nm帯の青色光を光ディスクの読み取り光源として利用できるため、記録密度を2倍に向上させることが可能となった。さらに、高出力の青色光の発生が可能となるため、読み取りだけでなく、光ディスクへ情報を書き込むことも可能となった。
【0101】
図11に本実施形態の光ピックアップを示す。図11に示したように、短波長光発生装置25から出射された、例えば出力10mW程度のビームは、ビームスプリッタ26を透過してレンズ27により情報記録媒体である光ディスク28に照射される。光ディスク28からの反射光は、逆にレンズ27によりコリメートした後ビームスプリッタ26で反射され、ディテクタ29で信号が読みとられる。さらに、短波長光発生装置の出力を強度変調することで、光ディスク28に情報を書き込むことができる。これによって、短波長光による集光特性の向上が得られ、記録密度を従来の2倍に向上させることができた。
【0102】
このように半導体レーザを基本波光源として用いることで、光ピックアップを小型化できるため、民生用の小型の光ディスク読み取り、記録装置にも利用できる。さらに、光波長変換素子については、光導波路幅を最適化することで、出力ビームのアスペクト比の最適化を行うこともできる。このようにすれば、光ピックアップの集光特性を向上させるためのビーム成形プリズム等が不要になり、高い伝達効率、優れた集光特性、低価格化が実現できる。さらに、ビーム成形時に発生する散乱光のノイズが低減でき、ピックアップの簡素化が実現できる。
【0103】
(実施の形態8)
さらに本発明によれば、分極方向と基板表面とが実質的に平行な、または一定の傾きを有する強誘電体基板に、深い分極反転部を形成する方法が提供される。
【0104】
ここでは、電界の印加方向に特徴を有する分極反転部の製造方法を説明する。
最初に、従来の分極反転方法と同様に、図12における、X板の強誘電体基板(例えばMgO:LiNbO3基板)31の一方の表面に形成した櫛形電極32と棒状電極33との間のみに電圧源35から電圧を印加して分極反転部の形成を試みた。櫛形電極32は、棒状電極33よりも基板の+C方向に、その櫛形が棒状電極33と向かい合うように配置されている。電極間隔は100μmで電極長は10mmとした。また、電圧印加の際には放電を防止するために、基板全体を絶縁液中に浸すこととした。電圧を約0.4kV印加すると(即ち電界を約4kV/mmとすると)、分極反転部が形成された。分極反転部を断面より観測すると、約1μmの深さとなっていた。また表面から形成された分極反転部を観測すると、電極長10mmにわたって均一には形成されておらず、所々分極反部転が形成されない部分が見受けられた。このように、基板と平行な方向の電界を印加して形成する分極反転部は、深さが1μm程度と浅く、面内均一性も十分ではない。
【0105】
そこで、深い分極反転を形成するため、形成される分極反転部の特性について検討を行った結果、以下のことが明らかになった。
【0106】
1)分極反転部の深さは櫛形電極の櫛形部(縞状パターン部)の先端部(電極指先端部)に発生する電界方向に大きく依存する。即ち、基板表面に形成した電極間に発生する電界は基板の表面近傍に局在しているため、基板の深さ方向に電界が分布せず、分極反転部が深くならない。
2)分極反転部の深さは、+C側の電極指の先端に形成される分極反転部の深さに大きく依存する。一般に分極反転核が発生する+C側の電極指先端部での分極反転深さが最も深く、+C側に進むに従って分極反転部の深さは減少していく。
【0107】
以上の結果より、深い分極反転部を形成するためには、櫛形電極の電極指先端部において深い分極反転部を形成する必要があることが明らかになった。これを実現するためには、電極指先端における電界の方向を基板の深さ方向に強く傾けることが必要となる。
【0108】
そこで、分極反転部を形成する際に、基板表面と平行方向の電界に加えて基板表面と垂直方向にも電界を印加することで、電極指の先端における電界方向を基板の深さ方向に向けるべく、基板31の他方の表面に平板電極34を形成し、櫛形電32と平板電極34との間に電圧源36から電圧を印加しながら、櫛形電極32と棒状電極33との間に上記と同様にして電圧を印加することとした。ただし、電極32、34間には直流電圧を印加し、電極32、33間にはパルス幅100msのパルス電圧を、電極32、33間の電界が4kV/mmとなるように印加した。
【0109】
このときの電極32、34間の電圧と分極反転深さの関係を図13に示す。電極32、34間の電界は、基板厚さ(0.5mm)から計算した。図13に示したように、電極32、34間の電圧が2kV/mm(電極32、33間の電圧の50%程度)以下のときには、分極反転部の深さは、電極32、34間に電圧を印加しない場合とほぼ同じ1μm程度で、分極反転深さの増大は観測されなかった。ところが、4kV/mm(電極2、3間の電圧と同程度)以上となると分極反転深さは印加電圧にほぼ比例して増大した。
【0110】
さらに、3kV(電界:6kV/mm、電極32、33間の電界の約1.2倍)以上になると分極反転部の均一性が向上する効果が観測され、電極長10mmにわたり均一性にも優れた分極反転部が形成されることが確認された。即ち、印加電界としては、電極32、33間の反転電圧に対し、電極32、34間の基板間電圧がそれ以上になることが好ましく、さらに1.2倍以上になると均一性の向上も実現される。
【0111】
以上の方法で、電極32、34間に4kVの電圧を印加しながら分極反転部を形成した結果、深さ1.5μmの分極反転(周期:3.2μm)を作用長40mm以上にわたり、均一に形成することができた。
【0112】
次に、電圧の印加方法について検討した。
基板の表裏面に電圧を印加する方法として、電極33、34間に電圧を印加することも可能である。しかしこの方法では分極反転深さの増大には限界があった。これは、分極反転深さの増大が分極反転核の発生深さに大きく依存するためと考えられる。分極反転部は+C側の電極における分極反転核の発生に始まり、この分極反転核から−C側に向かって分極反転部が成長する。このため、分極反転部の深さは+C側電極近傍の深さによってほぼ決まってしまう。そこで、上記のように、分極反転核が発生する電極である櫛形電極32と基板裏面の電極34間に電圧を印加する方法が有効となる。
【0113】
次に、印加電圧の波形について検討した。
上記のように、基板の表裏面の電極32、34間に印加する電圧を直流電圧で印加しながら、電極32、33間にパルス状の電圧を印加することで深い分極反転の形成が可能になったが、さらに分極反転部の深さを増大させるために、電極32、34間の電圧を高くするために電圧を6kV(電界:12kV/mm)程度以上とすると、電極32、34間で絶縁破壊が生じる場合があり、高電圧の印加が難しいことが判明した。
【0114】
そこで電圧波形について検討した結果、電圧印加時間を短くすることで絶縁破壊が防止できることが見出された。印加時間については、1秒を超える印加では5kV程度しか印加できないが、電圧印加波形を1秒以下のパルス波形とすることにより、電極32、34間の印加電圧を6kV程度に増大させることが可能となり、1.8μmの深さの分極反転部の形成が可能となった。さらにパルス幅を100ms以下にすると8kV程度の電圧を印加することが可能となり、2μm以上の深さの分極反転部の形成が可能となった。
【0115】
基板の厚さ方向のパルス電圧を上げていくと、電圧が9kVを超えると絶縁破壊により基板にクラックが入る場合があった。このように、基板の厚さ方向の電界としては、4kV/mm以上であって基板の絶縁破壊に至る電圧未満とすることが好ましい。また、この電界はパルス電圧により印加することが好ましく、この場合の電界は、8kV/mm以上、特に12kV/mm以上、例えば8〜18kV/mmとすることが有効であった。
【0116】
なお、基板の絶縁破壊に至る電圧は、LiNbO3、LiTaO3等の基板の場合、CW電圧で5〜6kV/mmであったが、msオーダーのパルス電圧では10kV/mmの電圧でも破壊しなかった。
【0117】
また、基板の分極方向への電圧印加をパルス電圧により行う場合には、基板の厚さ方向へのパルス電圧のパルス幅を、基板の分極方向へのパルス電圧のパルス幅よりも大きくすることが有効であることが確認された。これは、上記のように、分極反転部の深さが、電極指の先端に発生する分極反転核の深さに依存することに起因するものと考えられる。
【0118】
また、基板の厚み方向のパルス電圧の印加は、基板分極方向の電圧印加が始まる時点とほぼ同時、またはそれより先に印加することが有効であった。一方、基板の分極方向のパルス電圧の印加は、基板の厚み方向に電圧を印加する直前でも効果があった。これは、電極32、34に電圧を印加すると、櫛形電極32の電極指の先端に分極反転核が基板厚み方向に形成され、これを起点として分極反転部が電極32、33間に形成されるためであると考えられる。このように、本実施の形態においては、2方向の電界成分が同時に印加される必要は必ずしもない。
【0119】
このように本実施の形態においては、分極方向(例えば基板表面方向)の電界成分とこの方向に直角方向(例えば基板厚み方向)の電界成分とを含む電界により、分極方向に伸長していく分極反転部が分極方向と直角方向にも拡大して形成される。
【0120】
上記では、厚み0.5mmの基板を用い、電極2、4間に高電圧を印加することにより、深い分極反転部が形成できることを確認してきた。しかし、パルス幅の減少による印加電圧の増大にも一定の限界がある。そこで印加電界を増大させることを種々検討したところ、基板厚みを薄くしても絶縁破壊が生じる電圧は基本的には変わらないことが確認された。即ち、同じ電圧を印加しても基板厚みを薄くすることで印加電界を大幅に増大できることが判明した。
【0121】
例えば、基板を0.5mmの半分の0.25mmにすると印加可能な電圧は実質的には同じであるが、印加電界は2倍となる。そこで、基板厚みと形成される分極反転深さとの関係を検討した。その結果を図14に示す。図14に示したように、基板厚みが0.4mm近傍で分極反転の深さが2.0μm、厚みが0.3mmで分極反転深さは2.5μm以上になる。従って、通常の光導波路の厚み程度以上の分極反転部の形成も可能であることが見出された。
【0122】
導波路型の光波長変換素子は、上記のように、分極反転部を有する基板の表面に光導波路を形成することにより構成される。この光導波路を導波する基本波は、導波路内を伝搬する際、導波路内を周期的に横切るように形成された分極反転部により波長変換される。このときの変換効率は、光導波路を伝搬する光と分極反転部とのオーバラップの程度により影響される。このオーバーラップは、分極反転部の深さを2.0μm以上とすることにより最大にすることが可能となる。従って、基板厚みを0.4mm以下にすることにより、光導波路を有する光波長変換素子の変換効率を大幅に向上させることができる。
【0123】
また、本実施の形態では、強誘電体結晶からなる基板を用いたが、その他、気相または液層成長により製造した強誘電体結晶膜を用いても同様の分極反転部が形成できる。結晶成長により製造した膜は、低い不純物濃度、高い結晶性を有するため、高効率の光波長変換素子が形成できる。このような結晶膜は、他の実施形態においても使用しうるものである。
【0124】
(実施の形態9)
ここでは、実施の形態8に関連する別の分極反転部の製造方法について説明する。上記のように、XまたはY板の強誘電体結晶、例えばMgO:LiNbO3の表面に分極反転部を形成する方法として、表面に形成した電極間に電圧を印加することで、分極方向の電界を発生させ、分極を反転する方法が従来から知られている。
【0125】
しかし、新たに、基板の表面と裏面に形成した一対の電極間に電圧を印加することにより、同様の分極反転部が基板表面で発生することが見い出された。この製造方法の例を図15を用いて説明する。図15に示したように、X板のMgO:LiNbO3基板36の対向する基板表面に、それぞれ櫛形電極37と平板電極38とを形成した。そして、櫛形電極37と平板電極38との間に電圧源39から電圧を印加したところ、櫛形電極37の電極指の先端部に分極反転部が形成されることが確認された。基板は0.5mm、印加電圧は8kV程度とした。
【0126】
このときに形成される分極反転部の長さは、電極形状に依存することが確認された。具体的には、表面の櫛形電極37の分極方向の幅に対する裏面の平板電極38の分極方向の幅の比を大きくすることで、分極反転の長さを増大できることが見出された。例えば、電極幅の比が2倍以下の時は分極反転部の長さは10μm以下であったが、比を4倍以上にすると100μm程度にわたり分極反転部が形成されることが確認された。さらに、10倍以上にすることで、分極反転部の均一性も増大した。
【0127】
この理由は、明らかではないが、電極指の先端における電界が基板裏面電極のエッジ部分との間でかかることにより、分極方向の電界が発生するためと考えられる。
【0128】
そこで裏面電極の位置について検討した。表面電極と裏面電極との間で発生する電界成分を基板の分極方向に形成することで分極反転部が形成される。従って、図16に示すように、表面の櫛形電極37に対し、裏面の平板電極の位置を分極方向にずらすことにより、分極反転が生じるのではないかと考えられる。そこで、表面の櫛形電極に対し、裏面の棒状電極を−C面方向にずらして形成した。ずらす距離は、5、10、20、100μmとした。各々の電極間に電圧を印加したところ、10μm以下では分極反転部は形成されなかったが、20μm以上(電極間を結ぶ線分と基板表面とのなす角度が約88°)では、いずれも分極反転部が形成された。形成された分極反転部は、2μm程度の深い形状を有し、均一性に優れていた。また、この場合、電極間を結ぶ線分と基板表面とが為す角度が2〜80°が好ましいことも確認された。2°以上とすることにより、実用上必要な基板強度を確保しうる基板厚さが確保されるからであり、80°以下とすることにより、分極反転部を安定して形成することができるからである。なお、前記角度は、正確には、相対する表面にずらして形成された一対の電極の互いに近いほうの端部37a、37bを結んだ線分と基板表面とがなす角度として定義される。
【0129】
また、このような電界の印加方法は、図17に示すように、分極方向が基板表面と所定の角度θだけずれている場合にも有効であった。この場合の角度θは、1〜5°が好ましい。1°以上とすることにより、分極反転部の深さを増大させることができるからであり、5°以下とすることより、分極反転部の均一性を確保することができるからである。
【0130】
(実施の形態10)
ここでは、上記実施の形態により形成した分極反転部を用いた光波長変換素子の例について説明する。図18に示したように、光波長変換素子は、X板の強誘電体結晶(例えばMgO:LiNbO3)の基板41の表面に、周期3.2μmの分極反転部43が形成され、分極反転部と直交するように、プロトン交換により形成された光導波路42が形成されている。光導波路42は、分極反転部43の形成の後に、基板表面にストライプ状のマスクパターンを形成し、これを酸中で熱処理し、非マスク部分で基板中のLiと酸中のプロトンが交換されることより形成される。
【0131】
次に、作製した光波長変換素子にTi:Al2O3レーザの光を入射し、変換効率を測定した。基板厚みと変換効率との関係を調べた結果を図19に示す。基板厚みが0.3mm以下で変換効率は最大になり、約400%/Wの値を示した。
【0132】
また、基板厚み44を0.3mm以下にすることで、光波長変換素子の温度制御が容易になった。周期状の分極反転構造を利用した光波長変換素子は、高効率変換が可能であるが、位相整合条件が厳しく、変換可能な基本波の波長許容度が0.1nm程度と狭い範囲に限定されるという問題がある。このため、基本波の波長が変動すると基板の温度制御により、位相整合の波長を基本波の波長に合わせる必要がある。ところが、基板が厚いと基板の熱容量が高いために温度制御に多くの電力が必要となる。また高速な制御をかけるため急激な温度変化を行おうとすると、基板の表面と裏面の間で温度差が生じ、基板に歪みが発生し、特性が劣化する原因となっていた。温度差による基板歪みは、基板の厚みに依存して増大するため、例えば0.5mm厚の基板では、特性の劣化を防止しながら温度による出力の安定化を図るのに、0.1秒程度の時間を必要とした。しかし、基板厚みを0.3mm以下にすると、温度変化による特性の劣化はほぼ解消され、0.01秒以下の速度で温度安定化を図っても特性の劣化は観測されなくなり、温度制御による出力安定化を十分に速く行うことができた。
【0133】
(実施の形態11)
ここでは、上記実施の形態10の光波長変換素子を用いた光発生装置について説明する。この光発生装置も実施の形態6で説明したものと同様、短波長光の発生に適したものであり、実施の形態7で説明したような光ピックアップに用いることができる。
【0134】
図20に本実施の形態の短波長光発生装置を示す。半導体レーザ46からでた基本波は、光波長変換素子47により波長変換され、SHG45となって出射される。例えば波長800nm帯の半導体レーザを用いると波長400nm帯の青色のSHG光が得られ、小型の青色光源が実現できる。本実施例の光波長変換素子はMgO:LiNbO3のような非線形光学効果を有する結晶のX板が用いられているため、光導波路がTE偏光となる。従って、半導体レーザを構成する光導波路と同じ偏光方向となっており、導波路間の電界分布および偏光方向をほぼ等しい形状に保って、高効率の結合が可能となった。このため、直接結合により半導体レーザからの出射光を70%以上の結合効率で光波長変換素子内に結合できるため、高出力の小型短波長光源が実現できた。
【0135】
このような光発生装置は、実施の形態6で説明した装置と同様、幅広い分野での応用が可能となり、レーザをパルス駆動すると高いピークパワーの基本波が得られ、耐光損傷強度の観点からも優れたものであった。
【0136】
(実施の形態12)
以上に説明してきた方法に加えて、本発明によれば、分極方向と基板表面とが実質的に平行な、または一定の傾きを有する強誘電体基板に均一で深い分極反転部を形成するための方法として、強誘電体結晶の基板表面に配置した電極の間に形成した低抵抗部分を利用して分極反転部を形成する方法が提供される。
【0137】
最初に従来の分極反転方法による分極反転特性を調べた。図21のように、X板の強誘電体結晶(MgO:LiNbO3)基板111の表面に、櫛形電極112と棒状電極113とを形成し、電源115から両電極間に高電圧を印加し、電極間の分極を反転させる。なお、櫛形電極112は基板の+C方向に、棒状電極113は−C方向に形成されている。電圧を印加する際には、基板全体を絶縁液中に浸して、放電を防止した。
【0138】
電極112、113間の距離と分極反転深さの関係調べたところ、図22に示すような結果が得られた。電極間隔が狭くなるに従って分極反転深さは深くなり、電極間隔が約100μmで分極反転深さは1μm程度になった。これは図23に示すように、電極間隔が広い場合の電界分布(図23(a))に比べ、電極間隔が狭い場合の電界分布(図23(b))では、電極の先端部での深さ方向の電界成分が増加するため、深い分極反転が形成されるからである。しかしより深い分極反転を形成するため、電極間隔を100μm以下とすると、電極間で絶縁破壊が生じ分極反転部が形成されない場合がある。そこで、電極間隔を狭めることなく結晶に印加される電界方向を制御するべく、本実施形態では電極間に低抵抗部分を配置することとした。
【0139】
即ち、図24に示したように、X板の強誘電体結晶基板(MgO:LiNbO3)116の表面に櫛形電極117と棒状電極118とを形成し、さらに、電極117、118間に低抵抗部分120を形成した。低抵抗部分120は、図示したように、櫛形電極117の櫛形部分に対応するように形成し、電極117、118と低抵抗部分120との距離をそれぞれ30μmにした。また、低抵抗部分120は、ここでは金属膜とした。この方法により、電圧源119から電極間に電圧を印加すると、深さ方向に1.5μm以上の分極反転部が形成され、従来の1.5倍の深さの分極反転部が形成可能となることが確認された。
【0140】
このように深い分極反転部が形成可能となったのは、低抵抗部分120を配置することにより、電極117、118間に電圧を印加したときの電界分布が、図25に示したように、従来(図23)よりも深さ方向に大きな成分を有するようになったためである。
【0141】
次に、低抵抗部分120の形状について検討した。電極の先端部の電界成分は低抵抗部分120の形状に依存する。例えば低抵抗部分の分極方向の長さを5μm未満にすると低抵抗部分がない場合とほとんど同じ深さの分極反転しか形成されなかった。低抵抗部分を10μm以上とすると低抵抗部分による分極反転深さの増大効果が現れた。しかし、低抵抗部分の長さが30μm程度で分極変転深さは最大となり、それ以上長くしても深さは変わらなかった。従って、低抵抗部分は10〜30μm程度とすることが好ましい。
【0142】
また、低抵抗部分が1つのときには、分極反転部は、電極間に2カ所(櫛形電極の先端端と低抵抗部分の一端)しか形成されないため、大面積に分極反転部を形成することができない。そこで、結晶を有効に利用する方法として電極間に複数の低抵抗部分を形成する方法を検討した。
【0143】
具体的には、図26に示したように、低抵抗部分121a、121bを電極117、118間にほぼ均等に配置した。電極117、118間に電圧を印加すると各低抵抗部分121a、121b間に均等に電圧が印加される。印加電界の形状は各低抵抗部分の間で同じになり、深い分極反転部が均一に形成された。さらに、この方法を用いると電極間隔を大幅に増大できるため、広い面積に分極反転部を形成できることが確認された。
【0144】
即ち、従来の方法では、電極間隔は100μm程度が最適で、より広い面積に分極反転部を形成しようとすると、図23(a)に示したように分極反転部が浅くなってしまうという問題があった。ところが、電極間に低抵抗部分を複数設けるとこのような問題を回避しながら電極間隔を拡大することができる。例えば、電極117、118の間隔を500μmとし、低抵抗部分を電極間に均等に配置することにより、従来の100μm程度に比べ5倍の面積に、均一な分極反転部を形成することができた。
【0145】
また、低抵抗部分として他の低抵抗体について検討した結果、低抵抗部分としては基板より低い電気抵抗を有する材料であれば効果があることが確認された。さらに、分極反転部の均一化に有効なのは、基板の電気抵抗より一桁以上抵抗値が低い材料が好ましいことも確認された。
【0146】
次に、低抵抗部分としてイオン交換部分を利用することを試みた。ここでは、イオン交換としてプロトン交換を利用した。プロトン交換によれば、基板の電気抵抗を1桁以上低減することが可能となる。図26に示した方法とほぼ同様の方法により低抵抗部分121a、121bをプロトン交換により形成し、電極間に電圧を印加したところ、金属膜を低抵抗部分に用いたときに比べ、1.2倍の深さの分極反転が形成された。これは、金属膜が基板表面に形成されるのに対して、プロトン交換部分は基板内部に形成されるため、印加電界の分布がより深くなったためと考えられる。
【0147】
なお、低抵抗部分としてプロトン交換を用いたが、上記のように他のイオンによるイオン交換、または金属拡散による方法も基板の抵抗を低下させる方法として有効である。
【0148】
(実施の形態13)
次に、分極方向が基板表面に対して0°以上の角度を有している単一分極の強誘電体結晶基板(MgO:LiNbO3斜め基板)に、この方法の適用を試みた。
【0149】
まず、最初に従来から報告されている方法により、図27に示したように、結晶のX軸が基板法線に対して3°傾いた斜め基板126上に櫛形電極127と棒状電極128を、電極間隔を400μmとして形成し、絶縁液中で電圧源129から電圧を印加した。
【0150】
その結果、図27(b)および(c)に示すように、分極方向に沿って基板内部に潜り込んだ棒状の分極反転部が形成された。分極反転周期3.2μmのとき、分極反転部の深さ方向の大きさは約2μm程度であった。
【0151】
このように、従来の方法によると、斜め基板を用いることにより深い分極反転部を形成することが可能ではあるものの、分極反転部が基板表面に対し角度をもって成長するため、電極指先端から離れるに従い、分極反転部が基板中に潜り込んでしまい、基板表面に形成する光導波路との重なりが減少するという問題が発生していた。例えば、結晶軸が基板表面に対し3°傾いている場合、電極指先端近傍では深さ2μmの分極反転部が表面から形成されるが、20μm離れたところでは分極反転部は1μm内部に潜っているため、光導波路とは半分程度しか重なり合わない。20μm離れると2μm潜り込み、光導波路とはほとんど重ならなくなってしまう。このため、光導波路を形成する部分は実質的に基板表面の一部に限られ、基板には1本または2本程度しか光導波路が形成できなかった。
【0152】
図28に示したように、実施の形態12と同様、低抵抗部分を利用することとした。分極方向が基板表面と3°傾いたMgO:LiNbO3斜め基板126(結晶のX軸が同図に示すように基板法線に対し3°傾きY軸は基板表面に平行)上に、櫛形電極127と棒状電極128とを形成し、両電極127,128間に低抵抗部分(金属膜)122a、122bを形成した。櫛形電極127と棒状電極128との間隔は400μmとし、低抵抗部分122a、122bは櫛形電極127の櫛形部分に対応するように形成し、電極間方向の長さは20μmとし、電極127,128間に均等に配置した。
【0153】
このようにして電極127、128間に電圧を印加して分極を反転させたところ、断面図である図28(b)に示すように、分極反転部131は、櫛形電極127のみならず低抵抗部分122からも成長していた。櫛形電極127から成長した分極反転深さは約2.2μm、低抵抗部分122a、122bから成長した分極反転深さは約1.8μmで、ともに深い分極反転部となっていた。このように、本実施の形態によれば、低抵抗部分が印加される電界によりいわば中間電極として作用することにより、電極間隔400μmにわたり光導波路と十分重なる分極反転部分が複数形成され、基板の有効面積が数倍に向上した。
【0154】
この方法で形成した分極反転部131は、従来の方法では形成できない深い周期的な構造であって、図28(c)に示すように、基板深さ方向にも周期的に形成されていた。
【0155】
さらに中間電極122a、122bの間隔を狭めることにより、深さ方向に分極反転部を接触させることが可能となった。このような方法を用いれば、表面から深さ10μm以上にわたり周期状の分極反転部を形成できることが確認された。従来はせいぜい2μm程度であった分極反転深さを10μm以上に拡大することが可能となり、光波長変換素子の効率を飛躍的に向上させることが可能となった。
【0156】
次に基板結晶の結晶軸と基板平面との傾きについて検討した。結晶軸の傾きは、分極反転深さに影響する。分極反転部を製造する場合、図29に示すように、角度0°で0.8μm、角度3°で2μmとなったが、角度が10°以上になると分極反転部の形成が難しくなった。結晶角度を小さくすると形成される分極反転部が浅くなる傾向にあるため、斜め基板に櫛形電極と棒状電極のみで分極反転部を形成する場合には、光導波路と同程度の分極反転深さを得るには、1〜5°、特に2〜5°が好ましい。
【0157】
しかし、上記のように深さ方向に分極反転部を接触させて分極反転部を形成する場合には、結晶軸の傾き角度の小さい基板でも深い分極反転の形成が可能である。例えば、傾きが2°以下の基板においても10μm以上の深い分極反転部が形成できる。結晶軸の傾きが2°以下になると、分極反転部の傾きが小さくなり、面内の分極反転部の均一性が向上するという利点がある。
【0158】
また、中間電極122の長さは、この部分から成長する分極反転部の深さに影響し、さらに櫛形電極や他の中間電極から成長する分極反転部にも影響を与えることが判明した。
【0159】
図28(b)に示したように、中間電極122下に形成される分極反転部は、ほぼ低抵抗部分長にわたり分極反転し、電極指の先端より基板内に潜り込むため、電極の長さは分極反転深さに影響を与える。図30に中間電極122の電極長とその下に形成される分極反転部の深さとの関係を示す。電極長が5μm以下のときは深さ方向の分極反転は実質的に形成され難い。一方、10μm程度から分極反転部は深さ方向に形成され、電極長に比例して増大するが、30μm程度で飽和し、それ以上電極長を長くしても分極反転深さは増大しない。従って、電極長は10〜30μmに設定することが好ましい。
【0160】
一方、中間電極が長くなると、他の電極により形成された分極反転に影響を与える。櫛形電極127から棒状電極128に向かい分極反転部が成長していくが、電極間に存在する中間電極122が長くなると、成長する分極反転部の長さが制限されることが見出された。即ち、電極長が30μm以下のとき、分極反転は櫛形電極127の電極指先端から棒状電極128の端部まで形成されるが、電極長が30μmを超えると分極反転部は中間電極の途中までしか形成されず、分極反転部の成長が半分以下になってしまう。これは、電極間の電界分布が電極構造により異なるためである。従って、この点からも中間電極の長さは10〜30μmが好ましいことが明らかになった。さらに深い分極反転を形成するには20〜30μmが好ましい。
【0161】
電極形状は分極反転の均一性に影響を与える。電極下に形成される分極反転部131を上面から観測すると、図31に示すように、最初は細く電極指の先端に進むに従って太くなりつつ基板内に潜っていく。分極反転部の均一性を向上させるには、電極構造を分極反転形状に類似させることが有効であった。例えば中間電極122の形状を略三角形にした場合について分極反転形状の均一性の検討を行ったところ、矩形の電極を用いた場合よりも均一性は約1.5倍に向上していることが確認された。これは、分極反転形状に電極構造を近づけたためと考えられる。
【0162】
さらに、上記のように、結晶成長により形成した結晶薄膜を用いることもできる。結晶成長した薄膜層は、結晶性に優れ、高い非線形性を有するため高効率の光波長変換素子が形成できる。さらに、結晶層を光導波路として使用できるため、導波路形成による非線形性の劣化が防止できる。
【0163】
(実施の形態14)
上記実施の形態に加えて、本発明によれば、分極方向と基板表面とがほぼ平行な、または一定の傾きを有する強誘電体基板に均一で深い分極反転部を形成するための別の方法として、強誘電体結晶の基板表面に凹部を形成し、この凹部内に形成した電極を利用して分極反転部を形成する方法が提供される。
【0164】
深い分極反転構造を形成する他の方法について説明する。図32に示すように、X板基板の一方(+C側)に周期状に凹部140を形成し、この凹部を含む領域に第1の電極142を形成する。さらに基板表面の−C側に棒状電極143を形成し、両電極間に電圧を印加して周期状の分極反転部を形成する。なお、図32に示すように、凹部140間の結晶表面を絶縁膜(例えばSiO2)141で被覆した。
【0165】
基板に彫り込んだ凹部140内に電極を形成することで、分極反転核を基板の深い部分で発生させ、この分極反転核から深い分極反転部145を成長させることが可能となる。例えば、凹部の深さを1μm程度とすると分極反転部の深さは2μmとなり、従来の2倍の深さの分極反転が形成できた。
【0166】
凹部140間の絶縁膜141の効果は、均一な周期構造の形成にある。絶縁膜141で被覆しない場合、凹部140の間で発生した隣接する分極反転部が互いに接触し短周期の分極反転の形成が困難になる場合があった。特に、分極反転周期が5μm以下の反転構造は、その形成が難しかった。ところが絶縁膜で覆うことにより電極間の絶縁性が増し、短周期の分極反転部が形成できることが見出された。これにより周期3μm以下の分極反転構造の形成が可能になった。
【0167】
分極反転部の深さは、電極142の深さに依存する。分極反転部は凹部の底面から1μm程度上下に広がりながら成長するため、深さとしては0.5μm以上の深さの凹部を形成し、分極反転深さを1.5μm以上にすることで高効率の光波長変換素子が形成できた。ところが、凹部の深さを3μm以上にすると分極反転部が基板内部に形成されるため、深さは3μm以下に設定することが好ましい。
【0168】
このような彫り込み電極を容易に形成する方法も新たに見出された。図32に示したような電極構造を形成するには、彫り込んだ部分に選択的に金属膜を形成する必要があり、マスクの位置合わせ等煩雑な作製プロセスを必要とする。そこでセルフアライメントが可能な方法を図33により説明する。
【0169】
図33に示したように、この方法は、X板基板(例えばMgO:LiNbO3)146の表面に、絶縁膜(例えばSiO2膜)147を例えば0.2μmの厚さに堆積し(図33(a))、フォトリソグラフィーとエッチングにより絶縁膜147と基板146とを同時にエッチングし、深さが例えば2μm程度の凹部148を周期的に形成し(図33(b))、凹部148上に金属を蒸着して第1の電極149を形成し(図33(c))、さらに基板表面に棒状電極150を形成し(図33(d))、電極148、150間に電圧を印加することにより、凹部148側面より分極反転核を発生させ、棒状電極150側に成長させるものである。この方法を用いると、彫り込んだ部分に電極を選択的に形成する必要がなく、凹部にセルフアライメントにより選択的に電極構造を形成できた。
【0170】
この場合、約2μmの深さの分極反転部が形成できた。凹部の断面は、図44(b)に示したと同様、凹部底面は基板が露出しているが凸部はSiO2膜で絶縁されている。このため凹部の底面の基板表面に金属が直接接触している。分極反転の発生は金属接触部分で顕著となるため、凹部の底面でのみ分極反転が発生し、棒状電極に向かって成長する。一方凸部分は絶縁膜141で覆われているため、分極の発生が抑えられる。
【0171】
凹部の底面は基板表面から2μm程度深い部分にあるため、深さ3μmの分極反転構造も形成できる。これは従来の約3倍の深さであり、高効率の光波長変換素子の作製が可能になった。
【0172】
上記実施の形態による分極反転部の製造方法により形成した周期状の分極反転部を用いた光波長変換素子を作製した。この光波長変換素子は、図26に示すように、MgO:LiNbO3等強誘電体結晶基板151の表面に、光導波路154と光導波路を周期的に横断するように形成された分極反転部153とが形成されているが、最も顕著な特徴は分極反転部153の一方の端部に凹部152が存在していることである。
【0173】
基板に凹部を形成し分極反転部を形成すると、斜め基板を用いた従来の方法よりも深い分極反転部が形成できた。例えば、MgOをドープ゜したLiNbO3基板の分極反転部は、電極周辺部に拡大するが、幅方向の拡大に比べ深さ方向の拡大が大きい。このため、斜め基板に形成した分極反転部はほぼ半円状の分極反転部となる。一方、上記電極構造を用いると分極反転部はほぼ円形の反転となり、斜め基板を用いた場合の1.5倍の3μm以上の厚みの分極反転が形成できることが明らかになった。このため、光波長変換素子は、斜め基板を用いた場合の2倍の効率が得られた。
【0174】
また、分極反転部が基板表面に略平行に形成されるため、形成された全ての分極反転部が光導波路と十分な重なりを有する利点を持つ。斜め基板を用いた従来の方法では使用可能な分極反転部の有効面積が小さかったが、彫り込み電極を用いると分極反転部の有効面積を大幅に増大できるという利点もある。
【0175】
さらに、分極反転の一端に形成した凹部は、光波長変換素子および光波長変換素子を用いた短波長光発生装置の形成に有効に利用できる。光波長変換素子を形成するには、作製した分極反転構造に位置合わせして光導波路を形成する必要があるがら、分極反転構造は目視では観測できないため位置合わせ用のマーカ等の形成が必要であり作製プロセスが複雑となる。ところが、分極反転部の一端に凹部が形成されていると、光導波路との位置合わせをこの凹部に合わせることで容易に実施しうる。同様に、短波長光発生装置は、光波長変換素子と半導体レーザを直接結合させて固定する。このため、光波長変換素子の光導波路と半導体レーザの光導波路とをサブミクロンの精度で位置合わせする必要がある。そのためには、それぞれの光導波路に位置合わせのためのマークを形成し、それぞれのマークを画像検出し位置合わせが為される。分極反転部の一端に凹部が形成されていると、これを画像検出することは非常に容易である。さらにこの凹部に合わせて光導波路が形成されているため、凹部の位置から光導波路の位置をサブミクロン精度で検出できという利点を有する。しかも、基板に彫り込んだ凹部は容易に削除できないため、他の作製プロセス等で損なわれることが無く、確実に検出できる。
【0176】
なお、本実施の形態では、絶縁膜としてSiO2を用いたが他にレジストも利用できる。レジストを用いるとエッチングに用いたレジストをそのまま利用して、レジスト上に電極を形成することで同様の分極反転構造が形成できるため作製プロセスの単純化が図れる。絶縁膜としてレジストを用いうる点は他の実施形態においても同様である。また、本実施の形態ではX板を用いたが言うまでもなくY板等も使用できる。さらに上記のように斜め基板等を用いても本実施形態による効果は得ることができる。
【0177】
(実施の形態15)
本発明の光波長変換素子のさらに別の実施形態について説明する。この光波長変換素子は、上記実施の形態13により製造しうる分極反転構造を利用したものであり、図35(a)に示すように、結晶軸が基板表面より傾けて切り出してある強誘電体結晶(MgO:LiNbO3)基板板161の表面には、分極反転部162と光導波路163とが形成されている。この分極反転部162は、図35(b)に示すように、基板表面に垂直であって基板の分極方向に沿った断面において層状構造を形成しており、また、光導波路が伸長している方向にも周期的に形成されている。このように分極反転部162は、光導波路の伸長(進行)方向および基板深さ方向に周期構造を有している。分極反転部の厚みは例えば2μm、分極反転部間の間隔は例えば0.3μmとされる。光導波路の厚みは例えば4μmである。
【0178】
このような光波長変換素子において、光導波路のパワー密度を低減し、高出力の高調波の発生が可能となるように導波路形状を大きくした。このようにしても、分極反転部162を深さ方向に周期的に形成することで、従来難しかった深い分極反転構造の形成が可能となり、深い導波路とも十分なオーバラップが確保された。
【0179】
この光波長変換素子の特性を評価したところ、200mWの入射光164で100mWの青色の出力光165が得られ、従来の5倍以上の高出力が実現した。出力は安定しており、光損傷による出力変動等も実質的に観測されなかった。深い導波路構造により高効率化が図れ、導波路断面積を大きくすることでパワー密度の増大による光損傷の発生を低減することが可能となったため、高出力の光波長変換素子作製が可能となった。
【0180】
従来、短周期で深い分極反転部の形成が難しかったのは、分極反転部が深さ方向と同時に幅方向に拡大するのが一因であった。青色〜紫外にかけての短波長光に波長変換するには、分極反転周期として3.5μm以下の短周期構造が必要となる。このため、分極反転部の幅は2μm以下に低減しなければならない。一方、分極反転部の深さが光導波路と十分重なるためには2μm以上の深い構造が必要となる。従来は、分極反転部の幅方向の広がり速度だけを制限して、深い分極反転構造を形成するのは困難であった。しかし、上記のように、分極反転構造を深さ方向に周期的に重ねることにより、実質的に深い分極反転構造が形成可能となった。
【0181】
さらに、このような分極反転構造が存在することで、耐光損傷強度を大幅に向上させることができた。光損傷が生じると、光により不純物が励起され分極方向に分布を持つことで電界が発生し、電気光学効果を介して屈折率変動が生じる。分極が反転していると励起される不純物の移動が分極反転部で逆転するため、発生する電界が相殺され光損傷の発生が抑えられる。分極反転部を深さ方向に周期状に形成することで電界相殺の効果がより一層強くなった。これによって、従来の2倍程度の耐光損傷強度が得られた。
【0182】
分極反転構造を深い反転として利用するには、反転部の厚みを深さ方向の周期に対して小さくする必要がある。これは、分極反転部同士が離れていると、光導波路と重なる部分が減少するからである。光導波路と適当な重なりを得るには、分極反転部の厚みDを深さ方向の分極反転周期Λの1/2以下にすることが好ましい。さらに、高効率化するためには、Λ/4程度にすることが望ましい。
【0183】
(実施の形態16)
上記実施の形態で示したように、分極反転部が自発分極の方向に沿って形成される性質を利用すれば、斜め基板を用いてバルク状の分極反転構造を形成することができる。この分極反転構造は、バルク型の素子として利用できる。本実施の形態は、このような分極反転構造の製造方法と素子の例を提供するものである。図36に示したように、X軸が基板166の法線より3°傾いた強誘電体結晶(MgO:LiNbO3)基板166上に、電極167,168が形成されており、両電極167、168間には棒状の中間電極169が形成されている。中間電極は複数の電極を等間隔で配置してもよい。電極167、168間に電圧を印加すると、電極167と中間電極169の下に分極反転部が形成され、基板166の結晶の分極方向に分極反転部が成長する。このような方法を利用すれば、図36(b)に示したような、複数の分極反転部170が互いに平行な層状となった構造を形成することができる。
【0184】
図36(b)に示したような分極反転構造は、ほぼ垂直に光を入射すさせるバルク型の光波長変換素子として利用される。この光波長変換素子の特徴は、短周期の分極反転部170の形成が容易な点である。図36(b)から明らかなように、電極の周期よりも基板表面に垂直な方向(深さ方向)の分極反転部の周期を短くすることができる。例えば3°結晶軸が傾いている基板を用いた場合、電極の周期に対して分極反転部の深さ方向の周期は1/20程度になる。即ち、棒状電極を周期20μmごとに形成すると、分極反転部の周期は約1/20の1μmとなる。このように、非常に短周期の分極反転部を容易に形成することができる。短周期の分極反転構造が形成できれば、変換する波長の短周期化が可能になる。
【0185】
なお、本実施の形態では電極167として棒状電極を用いたが、これに代えて櫛形電極を用いることがさらに好ましい。櫛形電極を用いると、電界印加時に圧電効果により結晶が歪むことにより電極周辺部で発生するクラックを抑制することができる。ただし、櫛形電極を用いると、分極反転部が面内で周期状になる。これを避けるため、櫛形電極の櫛の幅をその周期の1/2以上とすることにより、分極反転部を隣同士接続させて棒状電極を用いた場合と同様の分極反転部を形成することができる。
【0186】
(実施の形態17)
本発明は、上記実施の形態16により製造しうるバルク状の分極反転構造を用いた光回折素子を提供するものでもある。この回折素子は、図37に示したように、MgO:LiNbO3等の斜め基板171に周期的に分極反転部172が形成されており、さらに、電極173、174が基板の表面と裏面に形成されている。基板に光175が入射した時に電極間に電圧を印加すると、電気光学効果により分極反転部と非反転部がそれぞれ屈折率変化を生じ、分極反転構造のグレーティングが形成される。これによって基板を透過する光を変更することが可能となる。本実施の形態の光回折素子は、分極反転部が面内方向および深さ方向の両方向についての2次元的周期構造を有しうるため、2次元の回折素子を形成できる。さらに電圧を印加することで、回折強度を変調することも可能である。
【0187】
なお、本実施の形態では、分極反転部による回折を利用したが、さらに、基板表面にエッチングによる回折素子を集積化することができる。基板表面に回折素子を形成すると、複合する機能を1つの素子に集積化できるため、より複雑な回折機能が実現できる。
【0188】
なお、本実施の形態では屈折率変調用の電極として一対の電極を表面と裏面とに形成したが、表面または裏面に複数の電極を設けてもよい。複数の電極で印加電界を制御すると回折素子の効率を面内に2次元的に分布させることが可能となるため好ましい。この際には、透明電極を用いると電極による回折光への影響が避けられるため電極を形成する場所の規制がなくなりさらに好ましい。
【0189】
さらに、本実施形態の回折素子を用いた光情報処理装置の例について図38により説明する。図38において、半導体レーザ180から出射されたビームはビームスプリッタ181を透過し、回折素子185およびレンズ182により情報記録媒体である光ディスク183に照射される。反射光は逆にレンズ182によりコリメートされビームスプリッタ181で反射され、ディテクタ184で信号が読みとられる。回折素子185は、光ディスク183上に集光する集光スポットを制御している。光ディスク183の信号を安定に読むとるには、焦点スポットを決められた位置に集光する必要がある。そこで、集光スポットを回折素子185を用いて制御することとした。上記回折素子185は高速応答が可能なため、500MHz以上の速度での回折制御が可能となった。これによって、高速で安定な光情報処理装置が構成できる。
【0190】
(実施の形態18)
さらに本発明によれば、結晶の分極方向が表面に対して傾いている基板を用いて、この結晶の表面に離間して配置した2つの電極間に絶縁膜を配置して電圧を印加することにより、分極反転部を製造する方法が提供される。
【0191】
基板は、強誘電体結晶(MgOをドープしたLiNbO3)であって分極方向が基板表面に対して3°傾いているものを用いた。まず最初に図39に示すように、基板表面に直接電極を形成して電極間に電圧を印加した。第1の電極192は櫛形電極であり、第2の電極193は棒状電極とした。電圧印加は、放電を避けるために絶縁液中で行った。ところが分極反転形成時に電極間で絶縁破壊が生じて高い電圧が印加できない場合が多く、均一な分極反転部が形成される割合が低いことが判明した。
【0192】
また、分極反転部の厚さも1.2μm程度と薄いものしか形成されなかった。この原因は、分極反転部の発生により電極間に電圧降下が生じ、印加電圧が一時的に低下したためであると考えられる。また電極間隔は400μmで印加電圧は3kVであった。さらに高い電圧を印加すると絶縁破壊が生じるため、電圧を印加できなかった。
【0193】
さらに分極反転を10mmにわたって形成したところ、図45に示すような不均一な分極反転部が多く存在するようになった。これは、分極反転のため、高圧を印加した場合、結晶の不均一により櫛形電極の一部で通電が生じたり、分極反転部が部分的に大きく成長したためである。
【0194】
次に、図40に示したような電極全体を絶縁膜195で覆って電圧を印加したところ、電極間の絶縁性が増し、分極反転部の均一性は向上した。しかし、不均一な部分は依然として存在し、10mm全体にわたり分極反転部を形成することは困難であった。これは両電極が結晶表面に接触しているため、結晶の不均一な部分で抵抗値の値が変わり、印加電圧に不均一性が生じたためであると考えられる。絶縁膜としてはSiO2を用いたが、SiO2の膜厚は50nm以上ではいくら堆積しても反転特性に変化はなかった。
【0195】
以上にように分極反転部が不均一に形成されてしまうという問題について検討を行った。その結果、この不均一性の原因としては、結晶の不均一性も問題にはなるが、電圧降下として確認される電極間の漏れ電流が大きな問題となることが確認された。さらにこの漏れ電流について詳細に検討した結果、具体的には以下の2カ所における漏れ電流が問題となることが確認された。
【0196】
1)電極間隔が部分的に狭くなっている部分、または電極間にゴミ、汚れ等が付着している部分。
2)一方の電極から斜め下方に潜り込むように成長する分極反転部の先端部近傍と、その上に存在する他方の電極との間。
【0197】
上記1)に関しては、電極間隔の確保、およびプロセス中のダスト低減を図ることにより解決が可能である。しかし、2)の問題は電極設計により回避することができなかった。分極反転部は一方の電極から成長し、他方の電極の直下近傍にまで伸長する。その後、分極反転部は厚み方向に成長を続ける。しかし、上記2)の漏れ電流が存在すれば厚い分極反転部の形成が困難となる。
【0198】
このような分極反転部と電極との間の漏れ電流は、分極反転部が基板と比較しても低い電気抵抗を有し、分極反転部の先端部と電極との間隔がかなり狭いためと考えられる。例えば、3°カットのX板を用いて電極間隔を200μmとすると、この間隔は約10μm程度となってしまう。電極間隔を400μmとしても上記間隔は約10μmである。このため、電極間隔を200μmとして、図39および図40に示したような方法により分極反転部を形成しようとすると、漏れ電流が発生し易くなって印加できる電圧は2kV以下となり、形成される分極反転部の深さにも改善は見られなかった。
【0199】
そこで、このような電極間の漏れ電流を完全に防止する方法として、図41に示したような方法を検討した。この方法によれば、電極193と基板191とが絶縁膜195により絶縁され、図42に示したような均一で深い分極反転部を形成することが可能となった。この場合、絶縁破壊することなく印加可能な電圧は、図39および図40に示したような形態の場合が3kVであったのに対し、4kV以上にまで増大した。このような印加可能電圧の上昇により、形成しうる分極反転部の厚みも2μm以上にまで増加した。
【0200】
図41に示したような方法を用いることにより、分極反転部の均一性が大幅に向上することも見い出された。絶縁膜を介して電極を形成することにより、結晶の不均一性による印加電圧の不均一性を効果的に抑制することができたためである。このため、30mm以上にわたり均一な分極反転部を形成することが可能となった。
【0201】
なお、上記におけるSiO2絶縁膜は、スパッタリング法により形成した。また、この膜厚は100nm未満では効果がほとんどなく、200nm以上とすると均一で深い分極反転部の形成が可能となった。1μm以上堆積しても反転特性に変化はなかったが堆積に時間がかかるため、これほどまでに厚くするのは生産効率上好ましくはない。
【0202】
図41に示したような方法により、分極反転部を形成する場合には、電極間に流れる電荷量を正確に制御することが好ましい。漏れ電流が実質的に存在しないため、電極間に流れる電流が分極反転電流となるからである。従って、電荷量制御が不十分となり、例えば電荷量が大きくなりすぎると隣接する分極反転部同士が接触して周期状の分極反転構造が形成困難となるおそれがある。好ましい電荷量は、電極192、193間の電気容量(C)と分極反転電荷(Ps×S)の和である。ここで、Psは基板結晶の自発分極であり、Sは分極反転部の断面積の総和である。なお、C板の場合の電荷量(2Ps×S)と相違するのは、電極間の電気容量Cと分極反転電荷の値が等しくならないことに基づく。
【0203】
次に、図43に示したような絶縁膜を電極下に堆積する方法を検討した。この方法によれば、結晶表面から電極を隔離することが可能となり、結晶の不均一性による印加電圧の不均一性を回避することが可能となり、形成される分極反転部も均一性に優れたものとなった。しかし、絶縁膜の厚みを増していくと、櫛形電極194の電極指間の電界成分が重なってくるため、分極反転部が周期状にはならず、隣接する分極反転部が互いに接続する現象が観察された。周期状の分極反転部が均一に形成される絶縁膜の厚みは、絶縁膜としてSiO2を用いた場合で、20〜100nmであった。20nm未満では分極反転が不均一になり、100nmを越えると周期状の分極反転部が形成されなかった。放電を防止するためには、10nm以上のSiO2膜厚が必要であるが、この膜厚が100nmを越えると周期状の分極反転部が得られなくなる。放電を防止しながら、周期状の分極反転部を得るためには、この膜厚を10〜100nmとすることが必要であった。また、膜厚を20〜60nmとすると、良好な特性を得ることができた。
【0204】
(実施の形態19)
さらに、分極反転部を基板表面の大きな面積に形成する方法を検討した。
図44は、本実施の形態の構成を示す平面図である。図44に示すように、強誘電体結晶の基板196上に2以上の電極対により分極反転部を形成することにより、製造効率が大幅に向上した。図示したように、個々の電極対199は、櫛形電極197と、この櫛形電極の櫛形部分を伸長させた方向に形成された棒状電極198とによって構成される。また、個々の電極対は、櫛形電極の櫛形が同一方向となるように配置される。
【0205】
また、櫛形電極197の前方と後方に棒状電極198が存在することにより、分極反転部の均一性と深さが向上することが確認された。一対の電極199間の電圧印加のみにより分極反転部を形成する場合には、櫛形電極197の先端部に印加される電界は、その電極と対をなす棒状電極198からのみ影響を受ける。しかし、電極対199を複数個配置することにより、櫛形電極の先端部に印加される電界は、その背後の棒状電極200からも影響を受けるようになる。この背後の棒状電極により、櫛形電極の先端部における基板の厚み方向の電界成分は強くなる。従って、本実施形態によれば、より深い分極反転部を形成することができる。
【0206】
さらに、上記電極対における電極間距離L1と、隣接する電極対における電極間距離L2との影響について調査した。このときの基板196としては、分極方向が基板表面と3°傾いているMgO:LiNbO3を用いた。
【0207】
1は、100〜1000μmが適当であった。100μm未満では電極間で放電が生じて分極反転部の形成に至らない場合があり、1000μmを越えると印加電圧が高くなりすぎて(例えば10kV)絶縁破壊が生じる場合があった。また、200〜800μmとすると分極反転の均一性が向上し、さらに好ましい結果が得られた。L2は、100〜200μmが適当であった。100μm未満では上記と同様放電が生じる場合があり、また形成される分極反転部の厚さも1μm程度に止まった。一方、200μmを越えると周期的な分極反転部の形成が困難となった。
【0208】
しかし、櫛形電極197を絶縁膜で覆い、この絶縁膜上に棒状電極198を形成して電圧を印加したところ、L2が200μmを越えても周期的な分極反転部に支障は見受けられなかった。これは、櫛形電極197を絶縁膜で覆うことにより、櫛形電極における電極指間の電気的な分離が確保されるようになったためであると考えられる。また、背後の棒状電極200と櫛形電極197との間の漏れ電流が抑制されたためであると考えられる。また、この構成においては、L2を100〜1000μmとすると、分極反転部の均一性が向上することが見出された。さらに、形成される分極反転部の深さも2μm程度となり従来の2倍程度とすることができた。
【0209】
また、形成される分極反転部の均一性は、櫛形電極の総長さ(図26におけるL3の合計)に依存することも確認された。この総長さが増加するにつれて分極反転部の均一性が劣化する傾向にある。これは、総長にほぼ比例して電流値が増大するためであると考えられる。実験の結果、総長さを10〜200mm、特に10〜100mmとすることが好ましいことが、分極反転部の均一性を向上させる観点から好ましいことが確認された。
【0210】
なお、上記各実施形態で用いた基板には、液相成長を利用したものを用いることが好ましい。均一な光学結晶を安価に製造することができるからである。特に光導波路を形成する場合には、光導波路が結晶表面から数μmの範囲のみを利用するものであるため、液相からエピタキシャル成長させた部分を利用すれば十分である。また、液相成長を利用することにより、例えばLiNbO3 にMgOをドープすることが容易となる。MgOをドープすれば基板の耐光損傷度を改善することができる。また(基板に)Ndをドープすれば、レーザ媒質として使用できる。
【0211】
【発明の効果】
以上、詳細に説明してきたように、本発明によれば、従来よりも、深さ、均一性、有効面積等の点において改善され、光波長変換素子等に好適な分極反転部が提供される。また、本発明によれば、例えば従来よりも安定して短波長を発生しうる、特性が改善された光波長変換素子が提供され、このような素子を用いた光発生装置および光ピックアップが提供される。さらに、本発明によれば、高速応答可能な回折素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の分極反転部の製造方法の例を基板の断面方向から示す図である。
【図2】 本発明の分極反転部の製造方法の別の例を基板の断面方向から示す図である。
【図3】 光波長変換素子の製造方法の例を示す図である。
【図4】 図3の方法で製造した光波長変換素子の断面図である。
【図5】 本発明の分極反転部を安定化させる方法を基板の断面方向から示す図である。
【図6】 プロトン交換後の熱処理と、分極反転が消滅する深さとの関係を示す図である。
【図7】 本発明の光波長変換素子の例を示す斜視図である。
【図8】 本発明の分極反転部の製造方法の例を基板の平面方向から示す図である。
【図9】 本発明の分極反転部の製造方法の別の例を基板の断面方向から示す図である。
【図10】 本発明の短波長光発生装置の例の斜視図である。
【図11】 本発明の光ピックアップの構成の例を示す図である。
【図12】 本発明の分極反転部の製造方法の別の例を示す図である。
【図13】 図12に示した方法における基板厚さ方向の電界と分極反転深さとの関係を示す図である。
【図14】 図12に示した方法における基板厚さと分極反転深さとの関係を示す図である。
【図15】 本発明の分極反転部の製造方法の別の例を示す図である。
【図16】 本発明の分極反転部の製造方法の別の例を基板の断面方向から示す図である。
【図17】 本発明の分極反転部の製造方法の別の例を基板の断面方向から示す図である。
【図18】 本発明の光波長変換素子の別の例を示す斜視図である。
【図19】 図18に示した光波長変換素子における基板厚さと光波長変換効率との関係を示す図である。
【図20】 本発明の短波長光発生装置の別の例の斜視図である。
【図21】 従来の分極反転部の製造方法を示す斜視図である。
【図22】 図21に示した方法における電極間隔と分極反転の深さとの関係を示す図である。
【図23】 図21に示した方法における電極間の電界分布を示す断面図である。
【図24】 本発明の分極反転部の製造方法の別の例を示す斜視図である。
【図25】 図24に示した方法における電極間の電界分布を示す断面図である。
【図26】 本発明の分極反転部の製造方法の別の例を示す斜視図である。
【図27】 本発明の分極反転部の製造方法の別の例を示す斜視図(a)と断面図(b),(c)である。
【図28】 本発明の分極反転部の製造方法の別の例を示す斜視図(a)と断面図(b),(c)である。
【図29】 基板の結晶軸の基板表面に対する傾きと分極反転部の深さとの関係を示す図である。
【図30】 中間電極の電極間方向の長さと分極反転部の深さとの関係を示す図である。
【図31】 中間電極を利用して形成される分極反転部の形状を示す平面図である。
【図32】 本発明の分極反転部の製造方法の別の例を示す斜視図(a)と断面図(b)である。
【図33】 本発明の分極反転部の製造方法の別の例を示す図である。
【図34】 本発明の光波長変換素子の別の例を示す斜視図である。
【図35】 本発明の光波長変換素子の別の例を示す斜視図(a)と断面図(b)である。
【図36】 本発明の分極反転部の製造方法の別の例を示す斜視図(a)と、この方法を利用して製造された光波長変換素子の例の断面図(b)である。
【図37】 本発明の回折素子の例を示す断面図である。
【図38】 本発明の回折素子を用いた光情報処理装置の構成の例を示す図である。
【図39】 分極反転部を形成するための一対の電極と絶縁膜との位置関係を示す断面図である。
【図40】 分極反転部を形成するための一対の電極と絶縁膜との位置関係を示す断面図である。
【図41】 本発明による分極反転部を製造方法の別の例における一対の電極と絶縁膜との位置関係を示す断面図である。
【図42】 図41に示した方法により製造した分極反転部を示す断面図である。
【図43】 分極反転部を形成するための一対の電極と絶縁膜との位置関係を示す断面図である。
【図44】 本発明の分極反転部の製造方法の別の例を示す平面図である。
【図45】 図39に示した方法により形成した分極反転部を示す平面図である。
【図46】 従来の分極反転部の製造方法を示す斜視図である。
【図47】 従来の分極反転部の製造方法を示す斜視図である。
【図48】 従来の分極反転部の製造方法を示す斜視図である。
【図49】 従来の光波長変換素子を示す斜視図である。
【図50】 従来の光波長変換素子を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 強誘電体結晶基板
2 櫛形電極
3 平板電極
4 分極反転部
5 分極再反転部
7 プロトン交換部分
8 光導波路
11 櫛形電極
12a、12b、12c 平板電極
14、16 絶縁膜
21 半導体レーザ
23 光導波路
25 短波長光発生装置
26 ビームスプリッタ
28 光ディスク
29 ディテクタ
31 強誘電体結晶基板
32 櫛形電極
33 棒状電極
34 平板電極
41 強誘電体結晶基板
42 光導波路
43 分極反転部
116 強誘電体結晶基板
117 櫛形電極
118 棒状電極
120 低抵抗部分
121a、121b 中間電極
131 分極反転部
140 凹部
141 絶縁膜
145 分極反転部
153 分極反転部
154 光導波路
155 基本波
156 第2高調波
162 分極反転部
163 光導波路
167、168 電極
169 中間電極
170 分極反転部
172 分極反転部
173、174 電極
180 半導体レーザ
181 ビームスプリッタ
183 光ディスク
184 ディテクタ
185 回折素子
191 強誘電体結晶基板
192 櫛形電極
193 棒状電極
195 絶縁膜

Claims (11)

  1. 強誘電体結晶の基板の分極方向に電圧を印加して分極反転部を形成する工程と、
    前記電圧の印加により生じた前記基板の内部電界を低減する処理を行う工程と、
    前記分極方向に前記電圧と逆方向の電圧を印加して前記分極反転部の少なくとも一部の分極を再反転させる工程と
    を備え、
    前記内部電界を低減する処理は、前記内部電界と逆方向の電界による前記基板の電界印加処理であり、
    前記各工程を順に繰り返し行うことを特徴とする分極反転部の製造方法。
  2. 前記分極を再反転させる工程の後に、前記基板の表面近傍の少なくとも一回分極を反転させた領域に、分極反転安定化部を形成する工程をさらに含む請求項1に記載の分極反転部の製造方法。
  3. 前記分極反転安定化部が、前記領域におけるイオン交換を含む工程により形成される請求項に記載の分極反転部の製造方法。
  4. 前記分極反転安定化部が、前記イオン交換と、前記イオン交換の後に実施される、前記基板のキュリー温度未満であって前記キュリー温度から150℃低い温度以上の温度での熱処理とを含む工程により形成される請求項に記載の分極反転部の製造方法。
  5. 前記基板の表面に、縞状パターン部を有する第1の電極および第2の電極を、一方の電極の前記縞状パターン部の前記基板の分極方向への投影が他方の電極の前記縞状パターン部と嵌まり合うように形成し、前記第1の電極の側から前記分極反転部を成長させ、前記第2の電極の側から前記分極反転部を再反転させる請求項1に記載の分極反転部の製造方法。
  6. 前記基板の表面に、第1の電極および縞状パターン部を有する第2の電極を、前記第2の電極の縞状パターン部の前記基板の分極方向への投影が前記第1の電極に含まれるように形成し、前記第1の電極の側から前記分極反転部を成長させ、前記第2の電極の側から前記分極反転部を再反転させる請求項1に記載の分極反転部の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の方法により、強誘電体結晶の基板に、実質的に平行な層をなすように2以上の分極反転部を形成することを特徴とする光波長変換素子の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の方法により形成される実質的に平行な層をなす2以上の分極反転部を、強誘電体結晶の基板に含むことを特徴とする光波長変換素子。
  9. 請求項記載の光波長変換素子と半導体レーザとを含み、前記半導体レーザから出射された光を前記光波長変換素子により波長変換することを特徴とする光発生装置。
  10. 請求項に記載の光発生装置と集光光学系と記録メディアとを含む光ピックアップであって、前記光発生装置から出射された光を前記集光光学系により前記記録メディア上に集光することを特徴とする光ピックアップ。
  11. 請求項1記載の分極反転部の製造方法であって、
    互いに対向する第1の面と第2の面とを有する強誘電体結晶基板の前記第1の面に縞状パターン部を有する第1の電極を形成する工程と、
    前記第1の電極を第1の絶縁膜で覆う工程と、
    前記第2の面に第2の絶縁膜を形成する工程と、
    前記第1の電極を分極方向に投影して定められる前記第2の面上の領域を前記第2の絶縁膜を介して覆うように、前記第2の絶縁膜上に第2の電極を形成する工程と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加して前記第1の電極の縞状パターン部から
    前記第2の電極へと分極反転部を成長させる工程とをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の分極反転部の製造方法。
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