JP4674149B2 - 自動車用樹脂シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用樹脂シートに関する。さらに詳しくは、本発明は、高級感と深み感のある艶消し性を有し、真空成形、インサート成形などの後加工によってもその艶消し性が失われない自動車用樹脂シートに関する。
自動車の軽量化と製造工程合理化を目指して、自動車部材へのプラスチックの採用が進められ、その使用部位は、内装材、外装材、エンジン周り、足周り、電気電子部品、燃料タンクなど多岐にわたっている。これらの中で、内装材に関しては、機能的特性に加えて、美観、深み感などの高級感が求められる。このために、自動車内装材用として各種のプラスチック材料の開発が進められている。
例えば、印刷模様に深み感を与えることにより意匠感と美観を向上した印刷化粧積層材として、基材上に、印刷層と、表面から印刷層を視認し得る透明樹脂層とが積層された印刷化粧積層材において、印刷層と透明樹脂層との間に、着色層が介在している印刷化粧積層材が提案されている(特許文献1)。このような積層材は、真空成形により賦形され、トリミングされたのち、金型にセットされ、射出成形により裏打ちされて、自動車内装材に仕上げられる。
現在、自動車内装シートには、高級感、深み感を付与するために、艶消し性が求められており、この用途として、透明アクリル樹脂を上地として、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂を下地として積層し、透明アクリル樹脂の表面にエンボス加工を施した艶消し自動車用樹脂シートが知られている。しかし、透明アクリル樹脂と熱可塑性樹脂の積層品のエンボス加工において、吸湿性のあるアクリル樹脂シートが高温加工される際に、発泡により表面状態が悪くなるという問題がある。さらに、後加工の真空成形とインサート成形において、光沢度が上昇するという問題がある。
外観特性が良好な塗装代替用積層シートとして、熱可塑性樹脂シートの上に加飾層を形成し、その上に60°表面光沢度が50%以下である艶消しアクリル樹脂フィルムを積層した積層シートが提案されている(特許文献2)。また、エンボス加工が施されても表面の光沢度が上昇する艶変化が殆ど発生せず、高級な艶消し感を維持する化粧シートとして、透明な熱可塑性アクリル系樹脂に、該樹脂よりも熱変形温度が8℃以上高い有機架橋粒子からなる艶消し剤が添加された樹脂組成物からなる透明艶消しシート層を具備する化粧シートが提案されている(特許文献3)。しかし、上記のような艶消しアクリル樹脂と熱可塑性樹脂の積層品のエンボス加工において、吸湿性のある艶消しアクリル樹脂シートが高温加工された際に、艶有りアクリル樹脂と同様に、発泡により表面状態が悪くなるという問題がある。さらに、艶消しアクリル樹脂の場合、コートタイプでは、表面が艶ムラになるという問題と耐擦傷性に劣るという問題があり、練り込みタイプでは、印刷適性に劣るなどの問題がある。
特開平8−52759号公報 特開2003−340986号公報 特開2004−249526号公報
本発明は、高級感と深み感のある艶消し性を有し、真空成形、インサート成形などの後加工によってもその艶消し性が失われない自動車用樹脂シートを提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、マット転写箔と透明アクリル樹脂シートと不透明熱可塑性樹脂シートが積層されてなる自動車用樹脂シートは、積層による製造工程において、アクリル樹脂の表面に発泡を生ずることがなく、真空成形とインサート成形における光沢度の上昇が少なく、優れた艶消し性を保ち、耐擦傷性も良好であることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)厚さ0.05〜1mmの(A)透明アクリル樹脂を上地とし、厚さ0.05〜1mmの(B)不透明熱可塑性樹脂を下地として積層してなる真空成形又はインサート成形に用いられる自動車用樹脂シートにおいて、樹脂シートの表面に厚さ6〜100μmのポリエステルマットフィルム上に形成された表面マット転写箔層を有し、該表面マット転写箔層、上地及び下地の積層が熱圧着されてなり、さらにエンボス加工されてなることを特徴とする自動車用樹脂シート、
(2)上地と下地の間に、中間層として、厚さ0.05〜1mmの(C)ポリ塩化ビニル系樹脂層を有する(1)記載の自動車用樹脂シート、
(3)上地と下地の間に、印刷層を有する(1)記載の自動車用樹脂シート、
(4)上地と中間層の間に、印刷層を有する(2)記載の自動車用樹脂シート、
(5)(B)不透明熱可塑性樹脂が、ABS樹脂である(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の自動車用樹脂シート、
(6)JIS K 7105による60度鏡面光沢度が、30%以下である(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の自動車用樹脂シート、
(7)樹脂シートを120℃のグリセリン浴に30秒間浸漬し、室温まで冷却したのちのJIS K 7105による60度鏡面光沢度が、35%以下である(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の自動車用樹脂シート、
(8)厚さ6〜100μmのポリエステルマットフィルム上に形成されたマット転写箔を有する厚さ0.05〜1mmの(A)透明アクリル樹脂を上地とし、厚さ0.05〜1mmの(B)不透明熱可塑性樹脂を下地として積層してなる真空成形又はインサート成形に用いられる自動車用樹脂シートの製造方法において、マットフィルム上に形成されたマット転写箔、透明アクリル樹脂シート及び不透明熱可塑性樹脂シートの層を、順次、140〜200℃の表面温度の加熱ドラム上で圧着して連続的に熱圧着するに際して、第一原材料ロール1からマットフィルム上に形成されたマット転写箔を巻き出して、予熱ロール2により予熱したのち、プレスロール3により、加熱ドラムに圧着し、第二原材料ロール5から透明アクリル樹脂シートが巻き出して、予熱ロール6で予熱したのち、プレスロール7により、加熱ドラム上のマット転写箔に重ねて圧着し、第三原材料ロール8から不透明熱可塑性樹脂シートを巻き出して、予熱ロール9で予熱したのち、プレスロール10により、加熱ドラム上でマット転写箔に積層された透明アクリル樹脂シートに重ねて圧着し、さらに、熱圧着された積層シートをエンボスロールによって連続的にエンボス加工することを特徴とする自動車用樹脂シートの製造方法、及び、
(9)厚さ6〜100μmのポリエステルマットフィルム上に形成されたマット転写箔を有する厚さ0.05〜1mmの(A)透明アクリル樹脂を上地とし、厚さ0.05〜1mmの(B)不透明熱可塑性樹脂を下地として、さらに、厚さ0.05〜1mmの(C)ポリ塩化ビニル系樹脂層を中間層として積層してなる真空成形又はインサート成形に用いられる自動車用樹脂シートの製造方法において、マットフィルム上に形成されたマット転写箔、透明アクリル樹脂シート及びポリ塩化ビニル系樹脂層を、順次、140〜200℃の表面温度の加熱ドラム上で圧着して連続的に熱圧着するに際して、第一原材料ロールからマットフィルム上に形成されたマット転写箔を巻き出して、予熱ロール2により予熱したのち、プレスロール3により、加熱ドラムに圧着し、第二原材料ロールから透明アクリル樹脂シートが巻き出して、予熱ロール6で予熱したのち、プレスロール7により、加熱ドラム上のマット転写箔に重ねて圧着し、第三原材料ロールからポリ塩化ビニル樹脂シートを巻き出して、予熱ロール9で予熱したのち、プレスロール10により、加熱ドラム上でマット転写箔に積層された透明アクリル樹脂シートに重ねて圧着し、3層積層体として巻き取り、次いで、第二原料ロールに、該3層積層体を、マット転写箔が加熱ドラム側になるように取り付け、第三原料ロールに不透明熱可塑性樹脂シートを取り付けそれぞれのロールから巻き出して、予熱ロールで予熱したのち、加熱ロール上で、プレスロールによって圧着して積層したのち、熱圧着された積層シートをエンボスロールによって連続的にエンボス加工することを特徴とする自動車用樹脂シートの製造方法、
を提供するものである。
本発明の自動車用樹脂シートは、マット転写箔と透明アクリル樹脂シートと不透明熱可塑性樹脂シートを積層して製造するので、製造工程においてアクリル樹脂が加熱ドラムに直接触れず、アクリル樹脂の表面に発泡が生ずることがない。本発明の自動車用樹脂シートは、真空成形によっても、さらに真空成形品を用いたインサート成形によっても光沢度の上昇が少なく優れた艶消し性を保ったインサート成形品とすることができる。本発明の自動車用樹脂シートは、印刷適性が良好であり、成形品の耐擦傷性も良好であって、自動車の内装材として好適に用いることができる。
本発明の自動車用樹脂シートは、厚さ0.05〜1mmの(A)透明アクリル樹脂を上地とし、厚さ0.05〜1mmの(B)不透明熱可塑性樹脂を下地として積層してなる自動車用樹脂シートにおいて、樹脂シートの表面にマット転写箔層を有し、さらにエンボス加工されてなる自動車用樹脂シートである。
図1は、本発明の自動車用樹脂シートの製造方法の一態様の工程系統図である。第一原材料ロ−ル1からマットフィルム上に形成されたマット転写箔が巻き出され、予熱ロール2により予熱されたのち、プレスロール3により、加熱ドラム4に圧着される。第二原材料ロール5から透明アクリル樹脂シートが巻き出され、予熱ロール6で予熱されたのち、プレスロール7により、加熱ドラム上のマット転写箔に重ねて圧着される。第三原材料ロール8から不透明熱可塑性樹脂シートが巻き出され、予熱ロール9で予熱されたのち、プレスロール10により、加熱ドラム上でマット転写箔に積層された透明アクリル樹脂シートに重ねて圧着される。加熱ドラムの表面温度は、140〜200℃であることが好ましく、160〜180℃であることがより好ましい。
加熱ドラム上で積層されたマット転写箔、透明アクリル樹脂及び不透明熱可塑性樹脂からなる積層体は、次いでエンボスロール11とゴム圧ロール12の対からなるロールに掛けられ、エンボス加工される。エンボスロールの模様に特に制限はなく、例えば、手彫りや写真彫刻などにより形成したシボ、木目、梨地、抽象柄などを挙げることができる。エンボスロールの表面温度は、120〜140℃であることが好ましく、125〜135℃であることがより好ましい。エンボス加工された積層シートは、ガイドロール13を経由して冷却ロール14で冷却されたのち、製品の自動車用樹脂シートとして巻き取りロール(図示しない。)に巻き取られる。マット転写箔が積層されてるマットフィルムは、製品の自動車用樹脂シートとともに巻き取ることができ、あるいは、製品の自動車樹脂シートを巻き取る前に除去することもできる。
図1に示す態様の製造方法によれば、加熱ドラムの表面にはマットフィルムが接触し、透明アクリル樹脂はマット転写箔を介して加熱ドラムにより加熱されるので、透明アクリル樹脂の表面に発泡を生ずることがなく、美麗な表面の自動車樹脂シートを得ることができる。
本発明に用いるマット転写箔としては、例えば、ポリエステルマットフィルム上に形成された剥離コート層、樹脂コート層及びホットメルト層からなるマット転写箔などを挙げることができる。ポリエステルマットフィルムとしては、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを基材とするサンドマットフィルム、ケミカルマットフィルム、艶消し充填剤練り込みフィルムなどを挙げることができる。ポリエステルマットフィルムの厚さは、6〜100μmであることが好ましく、12〜25μmであることがより好ましい。剥離コート層としては、例えば、ワックスコート層、シリコーンコート層などを挙げることができる。樹脂コート層としては、例えば、アクリル樹脂コート層、ウレタン樹脂コート層などを挙げることができる。樹脂コート層を形成する樹脂には、シリカ、タルク、クレーなどを配合することができる。ホットメルト層としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体層、ポリアミド層、ポリウレタン層などを挙げることができる。マット転写箔の厚さは、0.3〜10μmであることが好ましく、0.6〜2μmであることがより好ましい。
本発明において、上地として用いる厚さ0.05〜1mmの(A)透明アクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂のシートを挙げることができる。中でもポリメタクリル酸メチルは、耐候性や透明性、加工性、機械的物性や表面物性等の各種物性面で最も望ましく用いられる。透明アクリル樹脂の厚さが0.05mm未満であると、自動車用樹脂シートに十分な深み感が発現しないおそれがある。透明アクリル樹脂の厚さは1mm以下で十分な性能が得られ、厚さが1mmを超えると経済性が損なわれるおそれがある。特に透明性が要求される場合には、透明アクリル樹脂の厚さは、0.05〜0.3mmがより深み感が発現され好ましい。透明アクリル樹脂は、JIS K 7105 5.5.2による全光線透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
本発明において、下地として用いる厚さ0.05〜1mmの(B)不透明熱可塑性樹脂としては、着色剤の配合、充填剤の配合、印刷などにより不透明化したABS樹脂、非晶性ポリエステル、ランダム共重合ポリプロピレン、アクリル樹脂、セルロースエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレンなどを挙げることができる。又、樹脂自体が不透明の場合は、そのまま原色で使用することもできる。これらの中で、ABS樹脂は、成形性と強度が良好なので特に好適に用いることができる。不透明熱可塑性樹脂の厚さが0.05mm未満であると、真空成形時又は射出成形時に自動車用樹脂シートの破れがおこるおそれがある。不透明熱可塑性樹脂の厚さは1mm以下で十分な性能が得られ、厚さが1mmを超えると経済性が損なわれるおそれがある。特に強度及び下地層の隠蔽性が要求される場合は、不透明熱可塑性樹脂の厚さは、0.1〜0.8mmであることが好ましい。
本発明においては、上地と下地の間に、中間層として、厚さ0.05〜1mmの(C)ポリ塩化ビニル系樹脂層を設けることが好ましい。中間層としてポリ塩化ビニル系樹脂層を設け、ポリ塩化ビニル系樹脂層の表面に印刷を施すことにより、自動車用樹脂シートの美観を高め、深み感を向上することができる。ポリ塩化ビニル系樹脂層の厚さが0.05mm未満であると、印刷時の加工適性が低下するおそれがある。ポリ塩化ビニル系樹脂層の厚さは1mm以下で十分な効果が得られ、厚さが1mmを超えると経済性が損なわれるおそれがある。特に2層間の接着強度を要求される場合は、ポリ塩化ビニル系樹脂層の厚さは、0.05〜0.3mmであることが、より接着加工性に優れ好ましい。
3層の強度のバランス等を考えると、3層の好ましい範囲が特に良い。
本発明の自動車用樹脂シートにおいては、上地と下地の間又は上地と中間層の間に印刷層を設けることが好ましい。上地と下地の間又は上地と中間層の間に印刷層を設けることにより、自動車用樹脂シートの美観と質感を高めることができる。また、上地と下地の間又は上地と中間層の間に印刷層を設けることにより、樹脂シートの表面に印刷した場合に比べて、印刷面の摩耗による損傷を防ぎ、耐久性を高めることができる。
印刷を施す面に特に制限はないが、接する二つの面の中で、印刷適性のより良好な面に印刷することが好ましい。例えば、上地が透明アクリル樹脂で、中間層がなく、下地がABS樹脂の場合は、透明アクリル樹脂の裏面に印刷を施すことが好ましい。また、上地がアクリル樹脂で、中間層がポリ塩化ビニル系樹脂の場合は、ポリ塩化ビニル系樹脂の表面に印刷を施すことが好ましい。印刷方法に特に制限はなく、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などを挙げることができる。これらの中で、グラビア印刷を好適に用いることができる。印刷層の模様に特に制限はなく、例えば、木目調、皮革調、織物調などの模様や、幾何学的模様などを挙げることができる。
本発明の自動車用樹脂シートは、JIS K 7105 5.2にしたがって測定した60度鏡面光沢度が30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。60度鏡面光沢度が30%を超えると、テカリ感が現れて、良好な深み感が得られないおそれがある。
本発明の自動車用樹脂シートは、120℃のグリセリン浴に30秒間浸漬し、室温まで冷却したのち、JIS K 7105 5.2にしたがって測定した60度鏡面光沢度が35%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。自動車用樹脂シートは、多くの場合、真空成形されたのち、さらにインサート成形される。真空成形に際して、樹脂シートは成形が可能な温度、例えば、125℃程度に予熱される。さらに、真空成形品はトリミングされたのち金型内にセットされ、熱可塑性樹脂の射出成形により裏打ちされる。このとき、溶融した熱可塑性樹脂からの伝熱により、樹脂シートの真空成形品の表面温度が上昇する。例えば、ABS樹脂の射出成形により裏打ちすると、樹脂シートの真空成形品の表面温度は140℃程度に達する。120℃のグリセリン浴に30秒間浸漬し、室温まで冷却したのちの60度鏡面光沢度が35%を超えると、真空成形及びインサート成形時の熱履歴により樹脂シートの光沢度が上昇し、成形品に艶ムラとテカリ感が現れて、深み感が減少するおそれがある。120℃のグリセリン浴に30秒間浸漬し、室温まで冷却したのちの60度鏡面光沢度が35%以下であると、真空成形及びインサート成形後も、樹脂シートの良好な深み感が保たれる。
図2は、本発明の自動車用樹脂シートの一態様の模式的断面図である。本態様の自動車用樹脂シートは、マットフィルムが除去され、中間層を有しない。したがって、この自動車用樹脂シートは、表面側から順にマット転写箔層15、透明アクリル樹脂の上地16、印刷層17及び不透明熱可塑性樹脂の下地18が積層されている。印刷は、透明アクリル樹脂の上地の裏面に施されている。
図3は、本発明の自動車用樹脂シートの他の態様の模式的断面図である。本態様の自動車用樹脂シートは、マットフィルムがついたままにされ、ポリ塩化ビニル系樹脂からなる中間層が設けられている。したがって、この自動車用樹脂シートは、表面側から順にマットフィルム19、マット転写箔層15、透明アクリル樹脂の上地16、印刷層17、ポリ塩化ビニル系樹脂の中間層20及び不透明熱可塑性樹脂の下地18が積層されている。印刷は、ポリ塩化ビニル系樹脂の中間層の表面に施されている。マットフィルムをつけたまま自動車用樹脂シートを巻き取ることにより、マットフィルムを自動車用樹脂シートの後加工までの保護フィルムとして利用し、巻き取り、輸送、貯蔵、裁断などの成形直前までの取り扱いにおいて、損傷や汚染の発生を防止することができる。
本発明においては、印刷層と接する不透明熱可塑性樹脂からなる下地又はポリ塩化ビニル系樹脂からなる中間層は着色されていることが好ましい。印刷層と接する下地又は中間層を印刷層と同系統の色で着色することにより、深み感を向上することができる。下地又は中間層を着色する方法に特に制限はなく、例えば、無機顔料、有機顔料などを配合することにより着色することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、評価は下記の方法により行った。
(1)印刷適性
各シートの印刷面に微細木目調の模様をグラビア印刷し、その鮮映性を目視により判定した。
(2)シート製造時の発泡
加熱ロールを用いて積層し、エンボスロールでエンボス加工し、巻き取った樹脂シートの表面の発泡の有無を目視により観察した。マット転写箔層を有する樹脂シートは、マットフィルムを除去して観察した。
(3)60度鏡面光沢度
積層とエンボス加工により得られた樹脂シートについて、JIS K 7105 5.2にしたがって60度鏡面光沢度を測定した。また、5cm×10cmの樹脂シートを120℃のグリセリン浴に30秒間浸漬し、水洗、風乾した面について、同様にして、60度鏡面光沢度を測定した。さらに、10cm×10cmの樹脂シートを、縦7cm、横7cm、深さ5cm、抜き角度1.5°の金型を用いてシート温度125℃で真空成形し、得られた成形品の側面の60度鏡面光沢度を測定した。
(4)耐擦傷性
R形状、幅19.5mmの摩擦面で、摩擦材としてカナキン3号綿布を用い、荷重500gで学振磨耗試験を行い、1万回摩耗後の摩耗量を測定した。
(5)表面状態
樹脂シートより、真空成形とインサート成形により自動車インストルメントパネルの部品を作製し、艶ムラに着目してその表面状態を目視により観察した。真空成形は、シート温度125℃で行い、インサート成形は、下地がABS樹脂又は非晶性ポリエステル樹脂の場合は、射出成形機でABS樹脂を裏打ちし、下地がランダム共重合ポリプロピレン樹脂の場合は、射出成形機でポリプロピレン樹脂を裏打ちした。
実施例1
図1に示す装置を用いて、マット転写箔層、透明アクリル樹脂層、ポリ塩化ビニル系樹脂中間層及びABS樹脂層からなる自動車用樹脂シートを製造した。
ポリ塩化ビニル樹脂シート[リケンテクノス(株)、S12027、FC24671、80μm厚]の片面に、グラビア印刷により微細木目調模様を印刷した。印刷適性は、優秀であった。
図1の第一原材料ロール1に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートマットフィルム、ワックスコート層、シリカ入りアクリル樹脂一液型コート層及びホットメルト接着剤層からなるマット転写箔[尾池工業(株)、CL−E130]を取り付け、第二原材料ロール5に、アクリル樹脂シート[住友化学(株)、テクノロイ(登録商標)S001、ポリメタクリル酸メチル、艶あり、125μm厚]を取り付け、第三原材料ロール8に、上記の微細木目調模様を印刷したポリ塩化ビニル樹脂シートを取り付けた。
各ロールからマットフィルム付きマット転写箔、アクリル樹脂シート及びポリ塩化ビニル樹脂シートをそれぞれ4m/分の速度で巻き出し、予熱ロールで予熱したのち、プレスロールにより表面温度175℃の加熱ドラム4に圧着して積層した。積層体は、表面温度130℃のエンボスロール11により微細木目調模様のエンボス加工を施し、ガイドロール13を経由して冷却ロール14で冷却し、3層積層体として巻き取った。
次いで、第二原材料ロールにこの3層積層体をマット転写箔が加熱ドラム側になるように取り付け、第三原材料ロールにABS樹脂シート[リケンテクノス(株)、SST087、FZ91834、150μm厚]を取り付け、それぞれ4m/分の速度で巻き出し、予熱ロールで予熱したのち、プレスロールにより表面温度175℃の加熱ドラムに圧着して積層した。積層体は、表面温度130℃のエンボスロールにより微細木目調模様のエンボス加工を施し、ガイドロールを経由して冷却ロールで冷却し、自動車用樹脂シートとして巻き取った。
得られた自動車用樹脂シートの表面に、発泡は認められなかった。樹脂シートの60度鏡面光沢度は19%であり、120℃グリセリン浴浸漬後の60度鏡面光沢度は24%であり、真空成形後の60度鏡面光沢度は25%であった。耐擦傷性試験において、1万回摩耗後の摩耗量は0.04mLであった。
自動車用樹脂シートから、真空成形とインサート成形により、自動車インストルメントパネルの部品を作製した。樹脂シートを125℃に加熱して真空成形し、真空成形品をトリミングしたのち金型にセットし、ABS樹脂を射出成形して裏打ちした。サーモラベルを用いてインサート成形における樹脂シートの表面温度を測定したところ、140℃であった。得られた成形品の表面状態は、艶ムラがなく良好であった。
実施例2
マット転写箔層、透明アクリル樹脂層及びABS樹脂層からなる自動車用樹脂シートを製造した。
アクリル樹脂シート[住友化学(株)、テクノロイ(登録商標)S001、ポリメタクリル酸メチル、艶あり、125μm厚]の片面に、グラビア印刷により微細木目調模様を印刷した。印刷適性は、良好であった。
図1に示す装置の第一原材料ロールに、マットフィルム付きマット転写箔[尾池工業(株)、CL−E130]を取り付け、第二原材料ロールに、上記の微細木目調模様を印刷したアクリル樹脂シートを取り付け、第三原材料ロールに、ABS樹脂シート[リケンテクノス(株)、SST087、FZ91834、150μm厚]を取り付け、それぞれ4m/分の速度で巻き出し、予熱ロールで予熱したのち、プレスロールにより表面温度175℃の加熱ドラムに圧着して積層した。積層体は、表面温度130℃のエンボスロールにより微細木目調模様のエンボス加工を施し、ガイドロールを経由して冷却ロールで冷却し、マットフィルムを除去し、自動車用樹脂シートとして巻き取った。
得られた自動車用樹脂シートの表面に、発泡は認められなかった。樹脂シートの60度鏡面光沢度は21%であり、120℃グリセリン浴浸漬後の60度鏡面光沢度は25%であり、真空成形後の60度鏡面光沢度は26%であった。耐擦傷性試験において、1万回摩耗後の摩耗量は0.04mLであった。真空成形とインサート成形により得られた自動車インストルメントパネルの部品の表面状態は、艶ムラがなく良好であった。
実施例3
マット転写箔層、透明アクリル樹脂層及び非晶性ポリエステル樹脂層からなる自動車用樹脂シートを製造した。
非晶性ポリエステル樹脂シート[リケンテクノス(株)、RIVESTAR TPT027 XT90146、120μm厚]の片面に、グラビア印刷により微細木目調模様を印刷した。印刷適性は、良好であった。
図1に示す装置の第一原材料ロールに、マットフィルム付きマット転写箔[尾池工業(株)、CL−E130]を取り付け、第二原材料ロールに、アクリル樹脂シート[住友化学(株)、テクノロイ(登録商標)S001、ポリメタクリル酸メチル、艶あり、125μm厚]を取り付け、第三原材料ロールに、上記の微細木目調模様を印刷した非晶性ポリエステル樹脂シートを取り付け、それぞれ4m/分の速度で巻き出し、予熱ロールで予熱したのち、プレスロールにより表面温度175℃の加熱ドラムに圧着して積層した。積層体は、表面温度130℃のエンボスロールにより微細木目調模様のエンボス加工を施し、ガイドロールを経由して冷却ロールで冷却し、自動車用樹脂シートとして巻き取った。
得られた自動車用樹脂シートの表面に、発泡は認められなかった。樹脂シートの60度鏡面光沢度は22%であり、120℃グリセリン浴浸漬後の60度鏡面光沢度は25%であり、真空成形後の60度鏡面光沢度は28%であった。耐擦傷性試験において、1万回摩耗後の摩耗量は0.04mLであった。真空成形とインサート成形により得られた自動車インストルメントパネルの部品の表面状態は、艶ムラがなく良好であった。
実施例4
マット転写箔層、透明アクリル樹脂層及びランダム共重合ポリプロピレン樹脂層からなる自動車用樹脂シートを製造した。
ランダム共重合ポリプロピレン樹脂シート[リケンテクノス(株)、TPP061、LP9091、120μm厚]の片面に、グラビア印刷により微細木目調模様を印刷した。印刷適性は、良好であった。アクリル樹脂シート[住友化学(株)、テクノロイ(登録商標)S001、ポリメタクリル酸メチル、艶あり、125μm厚]と、この微細木目調模様を印刷したランダム共重合ポリプロピレン樹脂シートを、ドライラミネーションにより積層した。
図1に示す装置の第一原材料ロールに、マット転写箔[尾池工業(株)、CL−E130]を取り付け、第二原材料ロールに、ドライラミネーションによる積層体をアクリル樹脂シートが加熱ドラム側になるように取り付け、それぞれ4m/分の速度で巻き出し、予熱ロールで予熱したのち、プレスロールにより表面温度175℃の加熱ドラムに圧着して積層した。積層体は、表面温度130℃のエンボスロールにより微細木目調模様のエンボス加工を施し、ガイドロールを経由して冷却ロールで冷却し、自動車用樹脂シートとして巻き取った。
得られた自動車用樹脂シートの表面に、発泡は認められなかった。樹脂シートの60度鏡面光沢度は19%であり、120℃グリセリン浴浸漬後の60度鏡面光沢度は23%であり、真空成形後の60度鏡面光沢度は24%であった。耐擦傷性試験において、1万回摩耗後の摩耗量は0.05mLであった。真空成形とインサート成形により得られた自動車インストルメントパネルの部品の表面状態は、艶ムラがなく良好であった。
比較例1
透明アクリル樹脂層、ポリ塩化ビニル樹脂層及びABS樹脂層からなる自動車用樹脂シートを製造した。
図1に示す装置の第一原材料ロールに、アクリル樹脂シート[住友化学(株)、テクノロイ(登録商標)S001、ポリメタクリル酸メチル、艶あり、125μm厚]を取り付け、第二原材料ロールに、実施例1で微細木目調模様を印刷したポリ塩化ビニル樹脂シート[リケンテクノス(株)、S12027、FC24671、80μm厚]を取り付け、第三原材料ロールに、ABS樹脂シート[リケンテクノス(株)、SST087、FZ91834、150μm厚]を取り付け、それぞれ4m/分の速度で巻き出し、予熱ロールで予熱したのち、プレスロールにより表面温度175℃の加熱ドラムに圧着して積層した。積層体は、表面温度130℃のエンボスロールにより微細木目調模様のエンボス加工を施し、ガイドロールを経由して冷却ロールで冷却し、自動車用樹脂シートとして巻き取った。
得られた自動車用樹脂シートの表面に、発泡が認められた。樹脂シートの60度鏡面光沢度は36%であり、120℃グリセリン浴浸漬後の60度鏡面光沢度は76%であり、真空成形後の60度鏡面光沢度は78%であった。耐擦傷性試験において、1万回摩耗後の摩耗量は0.12mLであった。真空成形とインサート成形により得られた自動車インストルメントパネルの部品の表面状態は、艶ムラがなく良好であった。
比較例2
透明アクリル樹脂層及びABS樹脂層からなる自動車用樹脂シートを製造した。
図1に示す装置の第一原材料ロールに、実施例2で微細木目調模様を印刷したアクリル樹脂シート[住友化学(株)、テクノロイ(登録商標)S001、ポリメタクリル酸メチル、艶あり、125μm厚]を取り付け、第二原材料ロールに、ABS樹脂シート[リケンテクノス(株)、SST087、FZ91834、150μm厚]を取り付け、それぞれ4m/分の速度で巻き出し、予熱ロールで予熱したのち、プレスロールにより表面温度175℃の加熱ドラムに圧着して積層した。積層体は、表面温度130℃のエンボスロールにより微細木目調模様のエンボス加工を施し、ガイドロールを経由して冷却ロールで冷却し、自動車用樹脂シートとして巻き取った。
得られた自動車用樹脂シートの表面に、発泡が認められた。樹脂シートの60度鏡面光沢度は35%であり、120℃グリセリン浴浸漬後の60度鏡面光沢度は75%であり、真空成形後の60度鏡面光沢度は80%であった。耐擦傷性試験において、1万回摩耗後の摩耗量は0.10mLであった。真空成形とインサート成形により得られた自動車インストルメントパネルの部品の表面状態は、艶ムラがなく良好であった。
比較例3
透明アクリル樹脂層及び非晶性ポリエステル樹脂層からなる自動車用樹脂シートを製造した。
図1に示す装置の第一原材料ロールに、アクリル樹脂シート[住友化学(株)、テクノロイ(登録商標)S001、ポリメタクリル酸メチル、艶あり、125μm厚]を取り付け、第二原材料ロールに、実施例3で微細木目調模様を印刷した非晶性ポリエステル樹脂シート[リケンテクノス(株)、RIVESTAR TPT027 XT90146、120μm厚]を取り付け、それぞれ4m/分の速度で巻き出し、予熱ロールで予熱したのち、プレスロールにより表面温度175℃の加熱ドラムに圧着して積層した。積層体は、表面温度130℃のエンボスロールにより微細木目調模様のエンボス加工を施し、ガイドロールを経由して冷却ロールで冷却し、自動車用樹脂シートとして巻き取った。
得られた自動車用樹脂シートの表面に、発泡が認められた。樹脂シートの60度鏡面光沢度は38%であり、120℃グリセリン浴浸漬後の60度鏡面光沢度は78%であり、真空成形後の60度鏡面光沢度は81%であった。耐擦傷性試験において、1万回摩耗後の摩耗量は0.10mLであった。真空成形とインサート成形により得られた自動車インストルメントパネルの部品の表面状態は、艶ムラがなく良好であった。
比較例4
艶消しアクリル樹脂層及びABS樹脂層からなる自動車用樹脂シートを製造した。
艶消しアクリル樹脂シート[住友化学(株)、テクノロイ(登録商標)S001 M20、ポリメタクリル酸メチルの艶消しコート品、125μm厚]の艶有り面に、グラビア印刷により微細木目調模様を印刷した。印刷適性は良好であった。
図1に示す装置の第一原材料ロールに、この微細木目調模様を印刷した艶消しアクリル樹脂シートを取り付け、第二原材料ロールに、ABS樹脂シート[リケンテクノス(株)、SST087、FZ91834、150μm厚]を取り付け、それぞれ4m/分の速度で巻き出し、予熱ロールで予熱したのち、プレスロールにより表面温度175℃の加熱ドラムに圧着して積層した。積層体は、表面温度130℃のエンボスロールにより微細木目調模様のエンボス加工を施し、ガイドロールを経由して冷却ロールで冷却し、自動車用樹脂シートとして巻き取った。
得られた自動車用樹脂シートの表面に、発泡が認められた。樹脂シートの60度鏡面光沢度は19%であり、120℃グリセリン浴浸漬後の60度鏡面光沢度は23%であり、真空成形後の60度鏡面光沢度は25%であった。耐擦傷性試験において、1万回摩耗後の摩耗量は0.24mLであった。真空成形とインサート成形により得られた自動車インストルメントパネルの部品の表面状態は、艶ムラが目立ち不良であった。
比較例5
艶消しアクリル樹脂層及びABS樹脂層からなる自動車用樹脂シートを製造した。
艶消しアクリル樹脂シート[(株)カネカ、サンデュレン(登録商標)フィルム SD009 NCLCGT、ポリメタクリル酸メチルのシリカ練り込み品、125μm厚]の片面に、グラビア印刷により微細木目調模様を印刷した。印刷適性は不良であり、鮮映性に劣っていた。
図1に示す装置の第一原材料ロールに、この微細木目調模様を印刷した艶消しアクリル樹脂シートを取り付け、第二原材料ロールに、ABS樹脂シート[リケンテクノス(株)、SST087、FZ91834、150μm厚]を取り付け、それぞれ4m/分の速度で巻き出し、予熱ロールで予熱したのち、プレスロールにより表面温度175℃の加熱ドラムに圧着して積層した。積層体は、表面温度130℃のエンボスロールにより微細木目調模様のエンボス加工を施し、ガイドロールを経由して冷却ロールで冷却し、自動車用樹脂シートとして巻き取った。
得られた自動車用樹脂シートの表面に、発泡が認められた。樹脂シートの60度鏡面光沢度は22%であり、120℃グリセリン浴浸漬後の60度鏡面光沢度は26%であり、真空成形後の60度鏡面光沢度は27%であった。耐擦傷性試験において、1万回摩耗後の摩耗量は0.15mLであった。真空成形とインサート成形により得られた自動車インストルメントパネルの部品の表面状態は、艶ムラがありやや不良であった。
実施例1〜4及び比較例1〜5の自動車用樹脂シートの構成と評価結果を、第1表に示す。
Figure 0004674149
Figure 0004674149
第1表に見られるように、マット転写箔を積層した実施例1〜4の自動車用樹脂シートには、表面に発泡が生じていないのに対して、マット転写箔を積層しない比較例1〜5の自動車用樹脂シートには、アクリル樹脂が加熱ドラムに直接接触するために、すべて表面に発泡が生じている。実施例1〜4の自動車用樹脂シートは、60度鏡面光沢度の値が小さく、優れた深み感を有しており、60度鏡面光沢度の値は、120℃のグリセリン浴に30秒間浸漬しても、真空成形後も僅かしか上昇しない。実施例1〜4の自動車用樹脂シートから作製した自動車インストルメントパネルの部品は、艶ムラがなく、良好な表面状態を有している。比較例1〜3の自動車用樹脂シートは、60度鏡面光沢度の値が大きく、深み感が乏しく、120℃のグリセリン浴に30秒間浸漬しても、真空成形しても、60度鏡面光沢度の値が大きく上昇してテカリ感が強くなる。比較例1〜3の自動車用樹脂シートは、耐擦傷性試験において摩耗量がやや多く耐擦傷性に劣る。コートタイプの艶消しアクリル樹脂を用いた比較例4の自動車用樹脂シートは、60度鏡面光沢度の値が小さく、120℃のグリセリン浴に30秒間浸漬しても、真空成形後も僅かしか上昇しないが、耐擦傷性試験において摩耗量が多く、成形品には艶ムラが発生して表面状態が不良である。練り込みタイプの艶消しアクリル樹脂を用いた比較例5の自動車用樹脂シートは、60度鏡面光沢度の値が小さく、120℃のグリセリン浴に30秒間浸漬しても、真空成形後も僅かしか上昇しないが、印刷適性が不良であり、耐擦傷性試験において摩耗量がやや多く耐擦傷性にも劣る。
本発明の自動車用樹脂シートは、マット転写箔と透明アクリル樹脂シートと不透明熱可塑性樹脂シートを積層して製造するので、製造工程においてアクリル樹脂が加熱ドラムに直接触れず、アクリル樹脂の表面に発泡が生ずることがない。本発明の自動車用樹脂シートは、真空成形によっても、さらに真空成形品を用いたインサート成形によっても光沢度の上昇が少なく優れた艶消し性を保ったインサート成形品とすることができる。本発明の自動車用樹脂シートは、印刷適性が良好であり、成形品の耐擦傷性も良好であって、自動車の内装材として好適に用いることができる。
本発明の自動車用樹脂シートの製造方法の一態様の工程系統図である。 本発明の自動車用樹脂シートの一態様の模式的断面図である。 本発明の自動車用樹脂シートの他の態様の模式的断面図である。
符号の説明
1 第一原材料ロ−ル
2 予熱ロール
3 プレスロール
4 加熱ドラム
5 第二原材料ロール
6 予熱ロール
7 プレスロール
8 第三原材料ロール
9 予熱ロール
10 プレスロール
11 エンボスロール
12 ゴム圧ロール
13 ガイドロール
14 冷却ロール
15 マット転写箔層
16 上地
17 印刷層
18 下地
19 マットフィルム
20 中間層

Claims (9)

  1. 厚さ0.05〜1mmの(A)透明アクリル樹脂を上地とし、厚さ0.05〜1mmの(B)不透明熱可塑性樹脂を下地として積層してなる真空成形又はインサート成形に用いられる自動車用樹脂シートにおいて、樹脂シートの表面に厚さ6〜100μmのポリエステルマットフィルム上に形成された表面マット転写箔層を有し、該表面マット転写箔層、上地及び下地の積層が熱圧着されてなり、さらにエンボス加工されてなることを特徴とする自動車用樹脂シート。
  2. 上地と下地の間に、中間層として、厚さ0.05〜1mmの(C)ポリ塩化ビニル系樹脂層を有する請求項1記載の自動車用樹脂シート。
  3. 上地と下地の間に、印刷層を有する請求項1記載の自動車用樹脂シート。
  4. 上地と中間層の間に、印刷層を有する請求項2記載の自動車用樹脂シート。
  5. (B)不透明熱可塑性樹脂が、ABS樹脂である請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の自動車用樹脂シート。
  6. JIS K 7105による60度鏡面光沢度が、30%以下である請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の自動車用樹脂シート。
  7. 樹脂シートを120℃のグリセリン浴に30秒間浸漬し、室温まで冷却したのちのJIS K 7105による60度鏡面光沢度が、35%以下である請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の自動車用樹脂シート。
  8. 厚さ6〜100μmのポリエステルマットフィルム上に形成されたマット転写箔を有する厚さ0.05〜1mmの(A)透明アクリル樹脂を上地とし、厚さ0.05〜1mmの(B)不透明熱可塑性樹脂を下地として積層してなる真空成形又はインサート成形に用いられる自動車用樹脂シートの製造方法において、マットフィルム上に形成されたマット転写箔、透明アクリル樹脂シート及び不透明熱可塑性樹脂シートの層を、順次、140〜200℃の表面温度の加熱ドラム上で圧着して連続的に熱圧着するに際して、第一原材料ロール1からマットフィルム上に形成されたマット転写箔を巻き出して、予熱ロール2により予熱したのち、プレスロール3により、加熱ドラムに圧着し、第二原材料ロール5から透明アクリル樹脂シートが巻き出して、予熱ロール6で予熱したのち、プレスロール7により、加熱ドラム上のマット転写箔に重ねて圧着し、第三原材料ロール8から不透明熱可塑性樹脂シートを巻き出して、予熱ロール9で予熱したのち、プレスロール10により、加熱ドラム上でマット転写箔に積層された透明アクリル樹脂シートに重ねて圧着し、さらに、熱圧着された積層シートをエンボスロールによって連続的にエンボス加工することを特徴とする自動車用樹脂シートの製造方法。
  9. 厚さ6〜100μmのポリエステルマットフィルム上に形成されたマット転写箔を有する厚さ0.05〜1mmの(A)透明アクリル樹脂を上地とし、厚さ0.05〜1mmの(B)不透明熱可塑性樹脂を下地として、さらに、厚さ0.05〜1mmの(C)ポリ塩化ビニル系樹脂層を中間層として積層してなる真空成形又はインサート成形に用いられる自動車用樹脂シートの製造方法において、マットフィルム上に形成されたマット転写箔、透明アクリル樹脂シート及びポリ塩化ビニル系樹脂層を、順次、140〜200℃の表面温度の加熱ドラム上で圧着して連続的に熱圧着するに際して、第一原材料ロールからマットフィルム上に形成されたマット転写箔を巻き出して、予熱ロール2により予熱したのち、プレスロール3により、加熱ドラムに圧着し、第二原材料ロールから透明アクリル樹脂シートが巻き出して、予熱ロール6で予熱したのち、プレスロール7により、加熱ドラム上のマット転写箔に重ねて圧着し、第三原材料ロールからポリ塩化ビニル樹脂シートを巻き出して、予熱ロール9で予熱したのち、プレスロール10により、加熱ドラム上でマット転写箔に積層された透明アクリル樹脂シートに重ねて圧着し、3層積層体として巻き取り、次いで、第二原料ロールに、該3層積層体を、マット転写箔が加熱ドラム側になるように取り付け、第三原料ロールに不透明熱可塑性樹脂シートを取り付けそれぞれのロールから巻き出して、予熱ロールで予熱したのち、加熱ロール上で、プレスロールによって圧着して積層したのち、熱圧着された積層シートをエンボスロールによって連続的にエンボス加工することを特徴とする自動車用樹脂シートの製造方法。
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