JP4662072B2 - 圧電音響素子、音響装置及び携帯端末装置 - Google Patents

圧電音響素子、音響装置及び携帯端末装置 Download PDF

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Description

本発明は、圧電素子を振動源とする圧電音響素子と、圧電素子を振動源とする圧電音響素子を備えた音響装置及び携帯端末装置とに関するものである。
圧電素子を振動源とする圧電音響素子は、小型軽量で消費電力が少なく、漏洩磁束も無いといった様々な利点を有することから携帯端末機器の音響部品として期待されている。特に、従来の電磁式音響素子に比べて実装容積を大幅に削減できるので、携帯電話をさらに小型化するための重要な技術の一つと考えられている。
しかし、圧電音響素子の音源は、圧電素子の変形に伴って屈曲する振動板である。従って、音楽再生に必要とされる一般的な音圧レベルを確保するためには、振動板をある程度以上に屈曲させる必要があり、大型の振動板が必要となる。例えば、従来の圧電音響素子では、圧電素子に1[V]の電圧を印加した際に90[dB]の音圧を得るために、直径20[mm]の振動板が必要であり、小型軽量といった圧電音響素子の利点が損なわれる結果となっていた。
次に、従来の圧電音響素子の周波数特性について述べる。圧電音響素子は、次のような問題を有する。
(1)可聴域に基本共振周波数が現れる。
(2)共振周波数近傍において突出した音圧を発生させる周波数特性を有する。
(3)圧電素子の圧電材料として用いられているセラミックは剛性が高いので、基本共振周波数が高くなり、低周波数域で十分な音圧が得られない。
原音を忠実に再生するためには、基本共振周波数を500[Hz]以下に調整する必要がある。そこで、特開平2−127448号公報には、振動板に炭素板(膨張黒鉛板)を使用することによって、上記周波数特性を改善する技術が開示されている。また、振動板を楕円形にすることによって周波数特性がある程度改善されることも知られている。
次に、従来の圧電音響素子の周波数音圧特性について述べる。従来の圧電音響素子が圧電素子を振動源として利用していることは前述の通りである。圧電素子の圧電材料には、弾性振動における機械的エネルギーの損失が小さいセラミック材料等が一般的に用いられている。このため、共振点近傍では非常に高い音圧が得られるが、共振点以外の周波数域では振幅変化の大きな凸凹した周波数音圧特性となってしまう。周波数音圧特性の振幅変化の大きいと、特定周波数の音のみが強調されてしまい音質が悪化する。そこで、実開昭63−81495号公報には、軟質発泡体内に圧電振動子を埋設することによって、周波数音圧特性を平坦化させる技術が開示されている。また、特開昭60−208399号公報には、表面に接着剤層が形成された発泡体によって薄型音響素子の外縁を支持することによって、周波数音圧特性を平坦化させる技術が開示されている。
特開平2−127448号公報 実開昭63−81495号公報 特開昭60−208399号公報
特開平2−127448号公報に開示されている技術や楕円形の振動板を用いることによって、上記(1)(2)の問題を改善することはできるが、音圧特性が大きく劣化してしまう。また、実開昭63−81495号公報や特開昭60−208399号公報に開示されている技術を用いることによって、圧電音響素子の周波数音圧特性をある程度平坦化することはできる。しかし、原音を忠実に再生するために十分な程度にまで周波数音圧特性を改善することはできない。また、全体的な音圧特性の劣化を招いてしまう。以上のように、小型で低消費電力でありながら良好な周波数特性及び周波数音圧特性を有する圧電音響素子の実現は困難であった。
本発明の目的は、小型軽量、かつ、低消費電力で、優れた音響特性を有する圧電音響素子を実現することにある。
上記目的を達成する本発明の圧電音響素子は、少なくとも1つの開口部を有する中空の筐体と、筐体の内部に設けられ、電圧が印加されると屈曲する圧電素子と、筐体の開口部に設けられた振動膜とを有し、圧電素子と振動膜とが弾性を有する振動伝達部材を介して接合され、圧電素子が屈曲すると振動膜が振動して音が発生する。圧電素子の長手方向一端又は両端は、直接又は支持部材を介して筐体の内面に固定することができる。支持部材は、弾性を有するものであっても、弾性を有さないものであってもよい。
振動膜及び振動伝達部材をそれぞれ2以上設け、2以上の振動膜同士及び/又は振動伝達部材同士の厚み、素材、寸法の少なくとも1つを互いに異ならせることができる。圧電素子を挟んで2枚の振動膜を対向するように配置し、それら2つの振動膜を別々の振動伝達部材を介して圧電素子に接合させることができる。圧電素子に弾性板を接合し、圧電素子に接合された弾性板を振動伝達部材を介して振動膜に接合させることもできる。
導体層と圧電材料層とが交互に重ねられた積層構造を有する圧電素子を本発明の圧電音響素子の振動源として用いることができる。また、振動伝達部材にはバネを用いることができる。振動膜には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムのいずれかを用いることができる。
本発明の音響装置又は携帯端末装置には、上記本発明の圧電音響素子が搭載される。
本発明の圧電音響素子は、振動源である圧電素子と振動膜とが弾性を有する振動伝達部材を介して接合されているので、圧電素子の屈曲作用と振動伝達部材の弾性復元作用とが相乗して振動膜が大きく振動する。従って、圧電素子の屈曲自体が小さくても振動膜を大きく振動させて十分な音圧を得ることができる。また、面積の小さな振動膜を用いても十分な音圧が得られる。この結果、薄型小型、低消費電力、低コストでありながら、音圧特性や周波数特性に優れた圧電音響素子が実現される。また、かかる効果を有する圧電音響素子を音響装置や携帯端末装置の音響部品として採用すれば、これら装置の小型薄型化、低消費電力化、高音質化等が実現される。
上記及びそれ以外の本発明の目的、特徴及び利点は、下記の記載及び本発明の一例を示す添付図面の参照によって明らかになる。
実施形態1の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 振動膜の振動変位状態を示す縦断面図である。 振動膜の振動変位状態を示す縦断面図である。 実施形態2の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 実施形態3の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 実施形態4の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 実施形態5の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 実施形態6の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 実施形態7の圧電音響素子が備える圧電素子の構造を示す分解斜視図である。 実施形態8の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 実施例1の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 実施例1の圧電音響素子の構造を示す横断面図である。 図9に示されている圧電素子の構造を示す分解斜視図である。 図9に示されている振動伝達部材の側面図である。 実施例2の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 実施例2の圧電音響素子の構造を示す横断面図である。 実施例3の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 実施例3の圧電音響素子の構造を示す横断面図である。 実施例4の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 実施例5の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 図15に示されている圧電素子の構造を示す分解斜視図である。 実施例6の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 図17に示されている圧電素子及び弾性板の拡大斜視図である。 実施例7の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 図19に示されている圧電素子及び弾性板の拡大斜視図である。 実施例8の圧電音響素子の構造を示す縦断面図である。 図21に示されているバネの拡大斜視図である。 比較例1の音響素子の構造を示す縦断面図である。 比較例2の音響素子の構造を示す縦断面図である。 比較例3の音響素子の構造を示す縦断面図である。 比較例4の音響素子の構造を示す縦断面図である。
符号の説明
1 圧電音響素子
2 底面
3 開口部
5 筐体
6 支持部材
7 圧電素子
8 振動膜
9 振動伝達部材
10 上面
11 天井面
12 空間
13 下面
15 弾性板
16 下部絶縁層
17 上部絶縁層
18 導体層
19 圧電材料層
20 電極パッド
21 発泡ゴム
22 上部材
23 下部材
25 脚部材
30 音響素子
31 筐体
32 圧電素子
33 支持部材
34 底
35 孔
36 連結部材
37 振動板
38 永久磁石
39 ボイスコイル
40 振動板
41 電極端子
(実施形態1)
以下、本発明の圧電音響素子の実施形態の一例について説明する。図1A〜図1Cは、本例の圧電音響素子の概略構造を示す縦断面図である。図1Aに示すように、本例の圧電音響素子1は、底面2に開口部3が形成された中空の筐体5と、支持部材6を介して一端(固定端)が筐体5の内面に固定された圧電素子7と、筐体5の開口部3に張られた振動膜8とを有する。圧電素子7の他端(自由端)側は、振動伝達部材9を介して振動膜8に接合されている。支持部材6及び振動伝達部材9は、共に弾性材料によって形成されている。また、圧電素子7の上面10と筐体5の天井面11との間には、高さ(h)の空間12が設けられている。
電圧が印加された圧電素子7は伸縮運動を繰り返し、圧電素子7の伸縮運動は振動伝達部材9を介して振動膜8に伝搬され、振動膜8は上下に振動する。より具体的には、図1Bに示すように、順方向又は逆方向の電圧が印加された圧電素子7は固定端を支点として上方に屈曲し、振動膜8を同方向に撓ませる。このとき、空間12は、圧電素子7が上方へ変位するためのクリアランスとしての役割を果たす。一方、図1Cに示すように、逆方向又は順方向の電圧が印加された圧電素子7は固定端を支点として下方に屈曲し、振動膜8を同方向に撓ませる。このように、圧電素子7に交流電圧が印加されると、振動膜8が上下に連続して撓んで(振動して)、音が発生する。ここで、本例の圧電音響素子1では、圧電素子7と振動膜8とが弾性を有する振動伝達部材9を介して接合されている。従って、圧電素子7の伸縮運動に伴って振動伝達部材9が弾性変形し、反発作用が発生する。この結果、圧電素子7の伸縮運動が助長され、振動膜8の振動変位量が増大し、音圧が向上する。さらに、振動伝達部材9が接合された圧電素子7は、重量が増加しているので、圧電素子7が伸縮運動する際により大きな慣性が働き、発生する音の基本共振周波数が低減される。加えて、圧電素子7の固体端が弾性を有する支持部材6を介して筐体5に固定され、自由端が弾性を有する振動伝達部材9を介して振動膜8に接合されているので、落下等によって筐体8が衝撃を受けても、その衝撃の多くは支持部材6及び/又は振動伝達部材9によって吸収され、圧電素子7の破損が回避される。
図1に示す圧電素子7は、下部絶縁層、下部電極層(導体層)、圧電材料層、上部電極層(導体層)、上部絶縁層が順次積層された層構造を有する。圧電材料層の材料に、ジルコン酸やジルコン酸チタン酸鉛を使用した場合、セラミック焼結後の反りを低減することができ、圧電素子としての信頼性が向上する。また、セラミック焼結後の研磨等の平坦化工程を省略することもでき、製造コストの低減に寄与する。また、電極層の材料に、銀や銀/パラジウム合金を使用した場合、電極層と圧電材料層との一体焼結時の焼結歪みが低減されるので、一体焼結によって圧電素子を製造し易くなる。もっとも、圧電材料層や電極層の材料には、上記材料以外の既存の材料を適宜選択して使用することができる。
従来の圧電音響素子は、特定周波数において強調された音を発生する。これは、圧電音響素子を電気回路素子と等価と見た際のQが高いためである。そこで図1に示す振動膜8をQの低い材料によって形成すれば、圧電音響素子のQを抑制し、周波数の等音化を図ることができる。また、変位動作に対する耐久性が高い材料によって振動膜8を形成すれば、高い音圧を得ることができる。さらに、加工が容易な材料によって振動膜8を形成すれば、膜厚のバラツキが少なくなり、品質が安定する。以上の事項を総合的に勘案すると、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、ポリエーテルサルフォンフィルム(PESフィルム)、ポリエステルフィルム(PEフィルム)、又はポリプロピレンフィルム(PPフィルム)が振動膜8の材料として適している。
(実施形態2)
次に、本発明の圧電音響素子の実施形態の他例について説明する。図2は、本例の圧電音響素子の概略構造を示す縦断面図である。図2に示すように、本例の圧電音響素子1の基本構造は、実施形態1の圧電音響素子と同一である。異なるのは、次の2点である。一つは、圧電素子7の固定端が弾性を有さない支持部材6を介して筐体5の内面に固定されている点である。他の一つは、電圧素子7の自由端が振動膜8に接合されている点である。尚、図1に示す圧電音響素子1では、圧電素子7の長手方向略中央と自由端との間における任意の位置が振動膜8に接合されている。固定端が筐体5に固定された圧電素子7においては、自由端の変位量が最も大きい。従って、自由端を振動膜8に接合することによって振動膜8をより効果的に振動させることができる。すなわち、本例の圧電音響素子1は、振動膜8の面積が小さくても十分な音圧を確保できるといった利点を有する。
以上の説明より、圧電素子7を長尺化すれば、自由端の変動量がさらに増大し、振動膜8をより大きく振動させることが可能であることが理解できる。また、圧電素子7の長さと、振動膜8の面積とを好適な組み合わせとすることによって、必要な音圧を確保しながら圧電音響素子を小型化することが可能であることも理解できる。
(実施形態3)
次に、本発明の圧電音響素子の実施形態のさらに他例について説明する。図3は、本例の圧電音響素子の概略構造を示す縦断面図である。図3に示すように、本例の圧電音響素子1の基本構造は、実施形態1の圧電音響素子1と同一である。異なるのは、圧電素子7の長手方向両端が支持部材6a、6bを介して筐体5の内面に固定されている点である。本例の圧電音響素子1は、実施形態1の圧電音響素子と同一の基本構造を有し、同一の作用効果を有する。さらに、圧電素子7の長手方向両端が筐体5の内面に固定されていることを特徴とする本例の圧電音響素子は、圧電素子7と筐体5との接合強度がより向上するといった利点を有する。
また、2つの支持部材6a、6bの弾性率、厚み、面積等を互いに異ならせることによって、発生する音の基本共振周波数を調整することができるといった利点も有する。尚、本例の圧電音響素子1では、圧電素子7の長手方向両端を筐体5に固定する構成を採用したことに伴って、圧電素子7の長手方向略中央が振動膜8に接合されている。しかし、圧電素子7と振動膜8との接合位置は図示された位置に限定されない。
(実施形態4)
次に、本発明の圧電音響素子の実施形態のさらに他例について説明する。図4は、本例の圧電音響素子の概略構造を示す縦断面図である。図4に示すように、本例の圧電音響素子1の基本構造は、実施形態1の圧電音響素子と同一である。異なるのは次の2点である。一つは、筐体5の底面2に独立した2つの開口部3a、3bが形成され、それら開口部3a、3bに振動膜8a、8bがそれぞれ張られている点である。他の一つは、単一の圧電素子7が独立した2つの振動伝達部材9a、9bを介して2つの振動膜8a、8bにそれぞれ接合されている点である。
本例の圧電音響素子1は、実施形態1の圧電音響素子1と同一の基本構造を有し、同一の作用効果を有する。さらに、圧電素子7が独立した2つの振動伝達部材9a、9bを介して2つの振動膜8a、8bにそれぞれ接合されていることを特徴とする本例の圧電音響素子1は、2枚の振動板8a、8bから音が発生するので、より高い音圧が得られるといった利点を有する。また、2つの振動伝達部材9a、9bの厚み、高さ、材質等を互いに異ならせたり、2つの振動膜8a、8bの厚みや材質等を互いに異ならせたりすることによって、発生する音に異なる共振周波数を与えることができるといった利点も有する。これら利点は、再生可能な音の周波数帯域を拡大可能であることを意味する。また、筐体5が落下等によって衝撃を受けた場合、その衝撃の多くが振動伝達部材や支持部材によって吸収され、圧電素子に伝わらないという利点は、これまで説明した圧電音響素子と共通である。しかし、独立した2つの振動伝達部材9a、9bを有する本例の圧電音響素子1では、衝撃が2つの振動伝達部材9a、9bに分散されて吸収されるので、安全性がより高まる。
(実施形態5)
次に、本発明の圧電音響素子の実施形態のさらに他例について説明する。図5は、本例の圧電音響素子の概略構造を示す縦断面図である。図5に示すように、本例の圧電音響素子1は、筐体5に形成された2つの開口部3a、3bに振動膜8a、8bが張られている点において実施形態4の圧電音響素子と共通する。異なるのは、2つの開口部3a、3bが筐体5の異なる2つの面に形成されている点である。尚、単一の圧電素子7が独立した2つの振動伝達部材9a、9bを介して2つの振動膜8a、8bに接合されている点については、実施形態4の圧電音響素子と共通である。よって、この構造によって得られる作用効果も実施形態4の圧電音響素子と共通である。但し、本例の圧電音響素子1では、圧電素子7の上下(両側)に振動膜8a、8bが配置されているので、実施形態4の圧電音響素子に比べて圧電素子7を短尺化することが可能である。また、各振動膜8a、8bが同一面積である場合、2枚の振動膜8a、8bを配置するために必要なスペースが実施形態4の圧電音響素子に比べて少なくて済む。
図4及び図5に示す圧電音響素子1が備える振動膜8a、8bの面積は、図1等に示す圧電音響素子1(振動膜8が1枚の圧電音響素子1)に比べて小さい。しかし、図4及び図5に示す圧電音響素子1では、2枚の振動膜8a、8bが同時に振動するので、得られる音圧は図1等に示す圧電音響素子1と同レベルである。
(実施形態6)
次に、本発明の圧電音響素子の実施形態のさらに他例について説明する。図6は、本例の圧電音響素子の概略構造を示す縦断面図である。図6に示すように、本例の圧電音響素子1の基本構造は、実施形態1の圧電音響素子1と同一である。異なるのは、圧電素子7の下面に弾性板15が貼られている点である。本例の圧電音響素子1は、実施形態1の圧電音響素子1と同一の基本構造を有し、同一の作用効果を有する。
但し、弾性板15が一体化された圧電素子7は、弾性板15を具備していない同種の圧電素子に比べて見かけ上の剛性が低下するので、屈曲に伴う変位量が増大する。換言すれば、図6に示す圧電素子7は、弾性板15を具備していない同種の圧電素子に比べて、振動膜8をより大きく振動させることができる。かかる観点からは、圧電素子7の厚みと弾性板15の厚みの合計の1/8以上を弾性体15の厚みが占めることが望ましい。また、弾性板15が一体化された圧電素子7は、弾性板15を具備しない同種の圧電素子に比べて重量が増加するので、圧電素子7が屈曲した際により大きな慣性が働き、発生する音の基本周波数がより低減する。
また、弾性板15を金属等の質量の大きな材料によって形成すれば、圧電素子7が屈曲した際により一層大きな慣性が働き、基本周波数がより一層低減する。このことは、圧電素子7に安価な弾性板15を付加することによって、高価な圧電セラミックの寸法や形状を変更することなく、圧電素子7の変位量や発生する音の共振周波数を調整可能であることを意味する。加えて、弾性板15が一体化された圧電素子7は、耐久性が向上し、割れ等が発生し難くなる。金属製の弾性板15の材料としては、例えば、真ちゅうが適している。
弾性板15に弾性係数が高い板バネを使用すれば、圧電素子7の見かけ上の弾性が高くなり、電圧印加時の圧電素子7の変位量が増加する。また、板バネにスリットを設ければ、圧電素子7の見かけ上の弾性がさらに高くなると共に、板バネと圧電素子7との接合面積が減少するので、製造が容易になる。
(実施形態7)
次に、本発明の圧電音響素子の実施形態のさらに他例について説明する。本例の圧電音響素子の基本構造は、実施形態1の圧電音響素子と同一である。異なるは、振動源としての圧電素子7の構造である。図7に、本例の圧電音響素子が備える圧電素子の構造を模式的に示す。圧電素子7は、下部絶縁層16と上部絶縁層17との間に、導体層18と圧電材料層19とが交互に積層された多層構造(積層構造)を有する。図7に示すような多層構造の圧電素子7は、実施形態1の圧電素子7に比べて消費電力が少なく、振動変位量が大きいことが知られている。従って、本例の圧電音響素子は、より少ない電力で十分な音圧を得ることができるといった利点を有する。また、図7に示す構造の圧電素子7は、製造時における導電層材料の焼結促進効果によって、焼結時の反りや変形が防止される。このため、別途平坦化処理を施さなくても高い平坦度を有し、図6に示す弾性板15等を隙間なく接合させることが可能となる。
(実施形態8)
次に、本例の圧電音響素子の実施形態のさらに他例について説明する。図8は、本例の圧電音響素子の概略構造を示す縦断面図である。図8に示すように、本例の圧電音響素子1の基本構成は、実施形態1の圧電音響素子1と同一である。異なるは、振動伝達部材9が略円錐形のコイルバネである点である。本例の圧電音響素子1は、実施形態1の圧電音響素子1と同一の基本構造を有し、同一の作用効果を有する。さらに、コイルバネ9が、圧電素子7の伸縮運動に伴ってエネルギーの蓄積と開放を繰り返すことによって、圧電素子7の伸縮運動が助長される。この結果、本例の圧電音響素子1は、振動膜8の振動変位量が大きく、音圧が高いといった利点を有する。また、筐体の5落下等に起因する衝撃がコイルバネ9によって吸収され、圧電素子7の破損が防止される。コイルバネ9は、板バネや渦巻きバネに替えることもできる。いずれにしても、適当なバネ係数を有するバネを選択することによって、振動膜8の振動を最大限に大きくして高い音圧を得ることができる。
(実施例1)
本発明の圧電音響素子について、実施例を挙げてさらに詳細に説明する。図9Aは、本例の圧電音響素子1の概略構造を示す縦断面図であり、図9Bは横断面図である。
本例の圧電音響素子1では、厚み0.3[mm]のポリプロピレン樹脂からなる筐体5の内部に、図10に示す構造を有する圧電素子7が振動源として実装されている。圧電素子7の下部絶縁層16及び上部絶縁層17は、長さ15[mm]、幅4[mm]、厚み50[μm]である。圧電材料層19は、長さ15[mm]、幅4[mm]、厚み300[μm]である。上下の電極層(導体層)18の厚みは、3[μm]である。従って、圧電素子7の外形寸法は、長さ15[mm]、幅4[mm]、厚み約0.4[mm]である。また、下部絶縁層16、上部絶縁層17及び圧電材料層19には、ジルコン酸チタン酸鉛系セラミックが使用され、電極層18には、銀/パラジウム合金(重量比7:3)が使用されている。さらに、圧電素子7はグリーンシート法によって製造されており、大気中1100℃で2時間焼成されている。さらに、電極層18を電気的に接続するための外部電極として厚み8[μm]の銀電極が形成されている。また、圧電材料層19は、分極処理によって膜厚方向に分極されている。上部絶縁層17の表面に形成された電極パッド20は、8[μm]の銅箔によって電気的に接続されている。さらに、電気的に接続された電極パッド20から、直径1[mm]、高さ0.5[mm]の半田部を介して、直径0.2[mm]の2本の電極端子リード線が引き出されている。
本例の圧電音響素子では、圧電素子7を振動膜8に接合させる振動伝達部材9として、図11に示す円錐コイルバネが使用されている。円錐コイルバネは、高さ(h)が0.4[mm]、最小コイル半径(R1)が2[mm]、最大コイル半径(R2)が4[mm]であり、ステンレス鋼線によって形成されている。また、図9Aに示すように、コイルバネの最小コイル半径面が圧電素子7の下面13に、最大コイル半径面が振動膜8にそれぞれエポキシ系接着剤によって接合されている。さらに、図9A、図9Bに示す振動膜8は、直径15[mm]、厚み0.1[mm]の円形のポリエチレンテレフタレートフィルムである。
以上の構造を有する本例の圧電音響素子1は、図9Bに示すように、全体として略楕円形の平面形状を呈し、全長(L)が23[mm]、全幅(W)が16[mm]である。また、全高(H)は、1.5[mm](振動膜8の厚み(0.1mm)+円錐コイルバネ9の高さ(0.4mm)+圧電素子7の厚み(0.4mm)+空間12の高さ(0.3mm)+筐体5の厚み(0.3mm))である。
(実施例2)
以下、本発明の圧電音響素子の他の実施例について説明する。図12Aは、本例の圧電音響素子1の概略構造を示す縦断面図であり、図12Bは模式的横断面図である。本例の圧電音響素子1では、実施例1の圧電素子と同一の圧電素子7が筐体5の上下に形成された2つの開口部3a、3bに張られた振動膜8a、8bに接合されている。開口部3aに張られている振動膜8aは、厚さ0.1[mm]のポリエチレンテレフタレートフィルムであり、振動伝達部材9aとしての円錐コイルバネ(高さ0.4mm)を介して圧電素子7の上面10に接合されている。一方、開口部3bに張られた振動膜8bは、厚さ0.05[mm]のポリエチレンテレフタレートフィルムであり、振動伝達部材9bとしての円錐コイルバネ(高さ0.2mm)を介して圧電素子7の下面13に接合されている。但し、2枚の振動膜8a、8bの直径(10[mm])は、共通である。
図12Bに示すように、本例の圧電音響素子1は、実施例1の圧電音響素子と実質的に同一の形状を有する。但し、本例の圧電音響素子1が備える振動膜8a、8bの直径は、実施例1の圧電音響素子が備える振動膜に比べて小さい(振動膜の面積が小さい)従って、本例の圧電音響素子1の全長(L)は20[mm]、全幅(W)は11[mm]である。すなわち、本例の圧電音響素子1は、実施例1の圧電音響素子よりも小型である。また、全高(H)は、1.15[mm](振動膜8bの厚み(0.05mm)+円錐コイルバネ9bの高さ(0.2mm)+圧電素子7の厚み(0.4mm)+円錐コイルバネ9aの高さ(0.4mm)+振動膜8aの厚み(0.1mm))である。
尚、本例の圧電音響素子1が備える筐体8及び圧電素子7は、実施例1の圧電音響素子が備えるそれらと同一である。また、本例の圧電音響素子1が備える円錐コイルバネは、寸法の点を除いて実施例1の圧電音響素子が備える円錐コイルバネと同一である。
(実施例3)
以下、本発明の圧電音響素子のさらに他の実施例について説明する。図13Aは、本例の圧電音響素子1の概略構造を示す縦断面図であり、図13Bは横断面図である。本例の圧電音響素子1では、圧電素子7の長手方向両端が発泡ゴム21に接合され、その発泡ゴム21が支持部材6に接合され、支持部材6が筐体5の内面に接合されている。すなわち、圧電素子7の長手方向両端が発泡ゴム21及び支持部材6を介してそれぞれ筐体5に固定されている。また、圧電素子7の長手方向略中央の下面13が振動伝達部材9としての円錐コイルバネを介して振動膜8に接合されている。圧電素子7の上面10と筐体5の天井面11との間には、高さ0.3[mm]の空間12が形成されている。圧電素子7は、実施例1の圧電素子と同一の材料及び製法で製造されている。また、圧電素子7の外形寸法は、長さ20[mm]、幅4[mm]、厚み0.4[mm]である。円錐コイルバネ9には、実施例1の円錐コイルバネと同一のものが使用されている。さらに、振動膜8には、厚み0.1[mm]、直径18[mm]の円形のポリエチレンテレフタレートフィルムが使用されている。また、筐体5の厚みは0.3[mm]である。
図13Bから分るように、本例の圧電音響素子1は、略円形の平面形状を有し、直径(L)は22[mm]である。また、全高(H)は1.5[mm]である。
(実施例4)
以下、本発明の圧電音響素子のさらに他の実施例について説明する。図14は、本例の圧電音響素子1の概略構造を示す縦断面図である。本例の圧電音響素子1では、実施例1の圧電素子と同種の圧電素子7が筐体5の上下に形成された開口部3a、3bに張られた振動膜8a、8bに接合されている。2つの開口部3a、3bに張られている振動膜8a、8bは、直径10[mm]、厚み0.05[mm]の真円形状のポリエチレンテレフタレートフィルムである。また、圧電素子7の上面10と振動膜8aとの間に介在している振動伝達部材9aは、高さ0.2[mm]の円錐コイルバネである。圧電素子7の下面13と振動膜8bとの間に介在している振動伝達部材9bは、高さ0.4[mm]の円錐コイルバネである。本例の圧電素子7は、実施例1の圧電素子と同一の材料及び製法で製造されたものである。また、圧電素子7の外形寸法は、長さ12[mm]、幅4[mm]、厚み0.4[mm]である。振動伝達部材9a、9bとしての円錐コイルバネは、実施例2の円錐コイルバネと同一である。圧電素子7の両端は、実施例3と同様に、発泡ゴム21及び支持部材6を介して筐体5の内面に固定されている。本例の圧電音響素子1は、実施例3の圧電音響素子と同様に、全体として略円形の平面形状を有するが、直径(L)は14[mm]、全高(H)は1.1[mm]であり、実施例3の圧電音響素子よりも小型で薄型である。
(実施例5)
以下、本発明の圧電音響素子のさらに他の実施例について説明する。図15は、本例の圧電音響素子1の概略構造を示す縦断面図である。本例の圧電音響素子1は、図16に示す構造の圧電素子7を使用したことを特徴とする。図16に示す圧電素子7は、下部絶縁層16と上部絶縁層17との間に、導電層18と圧電材料層19とが交互に積層された多層構造(積層構造)を有する。上下の絶縁層16、17及び圧電材料層19は、長さ16[mm]、幅4[mm]、厚み40[μm]である。導体層18は、長さ16[mm]、幅4[mm]、厚み3[μm]である。また、圧電材料層19は8層、導体層18は9層である(便宜上、図16では一部の層が省略されている)。従って、圧電素子7の外形寸法は、長さ16[mm]、幅4[mm]、厚み約0.4[mm]である。下部絶縁層16、上部絶縁層17及び圧電材料層19には、ジルコン酸チタン酸鉛系セラミックが使用され、導体層18には銀/パラジウム合金(重量比7:3)が使用されている。さらに、圧電素子7はグリーンシート法によって製造されており、大気中1100℃で2時間焼成されている。加えて、各導体層18を電気的に接続する銀電極を形成した後、圧電材料層19に分極処理を施し、上部絶縁層17の表面に形成した電極パッド20同士を銅箔によって電気的に接続した。
本例の圧電音響素子1の外形及び寸法は、実施例1の圧電音響素子と同一である。すなわち、全体として略楕円形の平面形状を有し、全長(L)は23[mm]、全高(H)は1.5[mm]、全幅は16[mm]である。
(実施例6)
以下、本発明の圧電音響素子のさらに他の実施例について説明する。図17は、本例の圧電音響素子1の概略構造を示す縦断面図である。本例の圧電音響素子1では、圧電素子7の下面13に金属製の弾性板15がエポキシ系接着剤によって接合され、その弾性板15の一端が筐体5の内面に支持部材6を介して固定されている。また、弾性板15の他端下面が振動伝達部材9としての円錐コイルバネを介して振動膜8に接合されている。図18に、本例の圧電音響素子1が備える圧電素子7及び弾性板15の拡大図を示す。圧電素子7は、実施例5の圧電素子と同一の積層構造を有し、長さ(l1)は12[mm]、幅(w1)は4[mm]、厚み(t1)は0.4[mm]である。また、弾性板15の長さ(l2)は15[mm]、幅(w2)は4[mm]、厚み(t2)は0.2[mm]である。弾性板15の材質はSUS304である。
本例の圧電音響素子1は、実施例1の圧電音響素子と同様に全体として略楕円形の平面形状を有する。また、全長(L)は23[mm]、全高(H)は1.7[mm]、全幅は16[mm]である。尚、実施例1の圧電音響素子に比べて全高(H)が0.2[mm]増加しているのは、弾性板15の厚みによるものである。
(実施例7)
以下、本発明の圧電音響素子のさらに他の実施例について説明する。図19は、本例の圧電音響素子1の概略構造を示す縦断面図である。本例の圧電音響素子1は、実施例6の圧電音響素子に比べて圧電素子7が短いことを特徴とする。具体的には、図20に示すように、長さ(l1)8[mm]、幅(w1)4[mm]、厚み(t1)0.4[mm]の圧電素子7に、長さ(l2)16[mm]、幅(w2)4[mm]、厚み(t2)0.2[mm]の金属製弾性板15がエポキシ系接着剤によって接合されている。圧電素子7以外の構造は、実施例6の圧電音響素子と同一である。
(実施例8)
以下、本発明の圧電音響素子のさらに他の実施例について説明する。図21は、本例の圧電音響素子1の概略構造を示す縦断面図である。本例の圧電音響素子1は、圧電素子7と振動膜8とを接合させる振動伝達部材としてバネを使用したことを特徴とする。このバネは、図22に示すように、直径2[mm]の円盤状の上部材22の周縁と、直径4[mm]のリング状の下部材23の周縁とが薄板状の脚部材25によって連結され、主に矢印方向の弾性を有する。尚、バネの高さは0.4[mm]である。振動伝達部材9以外の構造については実施例1の圧電音響素子と同一であり、全長(L)は23[mm]、全高(H)は1.5[mm]、全幅は16[mm]である。
(特性評価)
これまでに説明した実施例1〜8の圧電音響素子の特性と、比較例1〜4の音響素子の特性とを測定した結果について説明する。まず、比較例1〜4の構造を図面に基づいて概説し、その後に測定結果について説明する。
(比較例1)
比較例1の音響素子30の概略構造を図23に示す。この音響素子30は、圧電音響素子であって、実施例1の筐体と同一材料によって形成された同一寸法の筐体31内に、実施例1の圧電素子と同一の圧電素子32が実装されている。圧電素子32の一端は、実施例1の支持部材と同一の支持部材33を介して筐体31の内面に固定され、他端は自由端とされている。また、筐体31の底34には孔35が形成され、圧電素子32に電圧が印加されると、孔35から音が放射される。
(比較例2)
比較例2の音響素子30の概略構造を図24に示す。この音響素子30も圧電音響素子であって、基本的に比較例1の音響素子と同一の構造を有する。異なるのは、圧電素子32の両端が筐体31の内面に固定されている点と、孔35が筐体31の底34の中央に形成されている点である。
(比較例3)
比較例3の音響素子30の概略構造を図25に示す。この音響素子30も圧電音響素子であって、基本的に比較例1の音響素子と同一の構造を有する。異なるのは、圧電素子32の自由端に連結部材36を介して金属製の振動板37が装着されている点である。
(比較例4)
比較例4の音響素子30の概略構造を図26に示す。この音響素子30は、永久磁石38、ボイスコイル39、振動板40を有する電磁式音響素子である。電気端子41を介してボイスコイル39に電流が入力されると、磁力が発生し、発生した磁力によって振動板40が振動させられて音が発生する。
(測定結果1)
実施例1〜8の圧電音響素子及び比較例1〜4の音響素子の基本共振周波数を測定したところ次のような結果が得られた。
実施例1:443[Hz]
実施例2:452[Hz]及び316[Hz]
実施例3:496[Hz]
実施例4:491[Hz]及び320[Hz]
実施例5:396[Hz]
実施例6:276[Hz]
実施例7:263[Hz]
実施例8:370[Hz]
比較例1:1087[Hz]以上
比較例2:1067[Hz]
比較例3:1027[Hz]
比較例4:730[Hz]
以上の測定結果より、本発明の圧電音響素子が広い周波数帯域を有することがわかる。特に、実施例2及び実施例4の圧電音響素子は、基本共振周波数を2つ有しており、周波数帯域が拡大されていることがわかる。
(測定結果2)
実施例1〜8の圧電音響素子及び比較例1〜4の音響素子に、1[V]の電圧を印加した際の音圧レベルを測定したところ次のような結果が得られた。
実施例1:96[dB]
実施例2:92[dB]
実施例3:91[dB]
実施例4:99[dB]
実施例5:107[dB]
実施例6:106[dB]
実施例7:118[dB]
実施例8:97[dB]
比較例1:38[dB]
比較例2:57[dB]
比較例3:74[dB]
比較例4:72[dB]
以上の測定結果より、本発明の圧電音響素子が十分に高い音圧を再生可能であることがわかる。特に、実施例5の圧電音響素子に0.5[V]の電圧を印加した際の音圧レベルは91[dB]であった。すなわち、印加電圧が1/2にも関わらず、実施例1〜3の圧電音響素子とほぼ同レベルの音圧が得られた。
(測定結果3)
周波数500[Hz]〜2000[Hz]における実施例1〜8及び比較例1〜4の音響素子の音圧を測定し、最大音圧と最小音圧の乖離率を算出したところ次のような結果が得られた。
実施例1〜8:25%以内
比較例1〜3:40%よりも大きい
比較例4 :25%よりも大きく40%以下
以上の測定結果より、本発明の圧電音響素子が平坦な音圧周波数特性を有することがわかる。
(測定結果4)
実施例1〜8の圧電音響素子及び比較例1〜4の音響素子を直上50cmから自然落下させた前後で音圧レベルを測定し、変化率を算出したところ次のような結果が得られた。
実施例1、2:3%以内
実施例3 :3%よりも大きく10%以下
実施例4〜7:3%以内
実施例8 :3%よりも大きく10%以下
比較例1〜4:10%よりも大きい
以上の測定結果より、本発明の圧電音響素子が耐衝撃性に優れていることがわかる。
(測定結果5)
実施例1〜8の圧電音響素子及び比較例1〜4の音響素子を100時間連続して駆動し、その前後で音圧レベルを測定し、変化率を算出したところ次のような結果が得られた。
実施例1、2:3%よりも大きく10%以下
実施例3〜8:3%以内
比較例1〜4:10%以上
以上の測定結果より、本発明の圧電音響素子が十分な耐久性を有し、信頼性が高いことがわかる。
(測定結果6)
実施例1〜8の圧電音響素子及び比較例1〜4の音響素子をそれぞれ50個製造し、それぞれに1[V]の電圧を印加したときの音圧レベルを測定し、最大値と最小値の乖離率を算出したところ次のような結果が得られた。
実施例1、2:5%以内
実施例3 :5%よりも大きく15%以内
実施例4〜7:5%以内
実施例8 :5%よりも大きく15%以内
比較例1〜4:15%よりも大きい
以上の測定結果より、本発明の圧電音響素子は製品間のバラツキが少ないことがわかる。
上記測定結果1〜6をまとめた表1を示す。尚、測定結果1に関しては、基本共振周波数が300[Hz]以下の場合を「◎」、300[Hz]よりも大きく500[Hz]以下の場合を「○」、700[Hz]よりも大きく1000[Hz]以下の場合を「△」、1000[Hz]よりも大きい場合を「×」と表した。
測定結果2に関しては、音圧レベルが90[dB]よりも大きい場合を「◎」、90[dB]以下の場合を「×」と表した。
測定結果3及び6に関しては、乖離率が25%以内の場合を「○」、25%よりも大きいが40%以下である場合を「△」、40%よりも大きい場合を「×」と表した。
測定結果4及び5に関しては、音圧変化が3%以内の場合を「○」、3%よりも大きく10%以内の場合を「△」、10%よりも大きい場合を「×」と表した。
測定結果6に関しては、乖離率が5%以内の場合を「○」、5%よりも大きく15%以下である場合を「△」、15%よりも大きく場合を「×」と表した。
Figure 0004662072
これまでの説明及び測定結果1〜6を総合すると、本発明の圧電音響素子が、薄型小型、低電圧駆動可能、高音圧再生可能、広周波数特性、低コスト、高信頼性といった様々な利点を有することがわかる。
また、本発明の圧電音響素子が音響装置や携帯端末装置を始めとする幅広い分野に応用可能であることがわかる。例えば、音響装置に搭載すれば、小型で高音質の音響装置が実現される。また、従来の携帯電話やPDA(Personal Digital Assistance)に搭載されている電磁式音響素子に代えて、本発明の圧電音響素子を搭載すれば、携帯電話やPDAの小型化や動作時間の延長を図りつつ、より高音質を実現することができる。
本発明の選択された実施形態は特定の用語を用いて記載されているが、この記載は例示のみを目的とするものであり、下記の請求の範囲の要旨及び範囲から逸脱することなく変更及び変形が可能なことが理解される。

Claims (11)

  1. 圧電素子を振動源とする圧電音響素子であって、
    少なくとも1つの開口部を有する中空の筐体と、
    前記筐体の内部に設けられ、電圧が印加されると屈曲する圧電素子と、
    前記筐体の開口部に設けられた振動膜と、を有し、
    前記圧電素子と前記振動膜とが弾性を有する振動伝達部材を介して接合されている圧電音響素子。
  2. 前記圧電素子の長手方向一端又は両端が支持部材を介して前記筐体の内面に固定されている請求項1記載の圧電音響素子。
  3. 前記支持部材が弾性を有する請求項2記載の圧電音響素子。
  4. 厚み、素材、寸法の少なくとも1つが互いに異なる2以上の振動膜及び/又は振動伝達部材を有する請求項1記載の圧電音響素子。
  5. 前記圧電素子を挟んで対向する2つの振動膜を有し、それら2つの振動膜が別々の振動伝達部材を介して前記圧電素子に接合されている請求項1記載の圧電音響素子。
  6. 前記圧電素子に接合された弾性板を有し、前記弾性板が前記振動伝達部材を介して前記振動膜に接合されている請求項1記載の圧電音響素子。
  7. 前記圧電素子が導体層と圧電材料層とが交互に重ねられた積層構造を有する請求項1記載の圧電音響素子。
  8. 前記振動伝達部材がバネである請求項1記載の圧電音響素子。
  9. 前記振動膜がポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムのいずれかである請求項1記載の圧電音響素子。
  10. 請求項1記載の圧電音響素子が搭載された音響装置。
  11. 請求項1記載の圧電音響素子が搭載された携帯端末装置。
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