JP4661208B2 - ノズルプレート製造方法及びそれを用いたインクジェットヘッド - Google Patents

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Description

従来、インクジェットヘッドに用いられるオリフィスプレートは、電鋳法により、プレートの外形及びインク滴吐出用の開口穴を設けて製作していた。しかし、電鋳品はニッケルで製作されているため、インク液に浸されると腐食するという問題があった。これを解決するため、ノズル形状をしたパンチでプレートを打ち抜いてノズルを形成する方法が開示されている。
例えば、ノズル径がノズル先端側に向かって小さくなるテーパ部と、このテーパ部のノズル先端側に設けられたストレート部からなるプレートの製造方法が記載されている(例えば、特許文献1参照)。インクジェット等に用いられるノズルの先端部は、その開口部にバリ等が生じていたりキズが存在していたのでは、インク滴が安定して吐出しなくなるため、高い加工精度が要求される。
特許文献1は、テーパ状をしたパンチにて反対側に山なりに張り出した突起を作製し、突起部全体を研磨してフラット面にした後に、ストレート部のノズル開口を打ち抜く方法である。この方法では、最初の研磨仕上げ加工時に、脱粒した微粒子研磨材等を巻き込み、研磨加工面にスクラッチを発生させてしまう。そして、この状態で第2の開口穴を打ち抜いても、その円周稜線部にはスクラッチによるキズが残存したままとなってしまう。
特許文献1の上記課題を解決するために、ノズル形状をしたパンチでプレートを押し出した後にノズル開口の先端部が突出した状態で残るように研磨し、微粒子研磨材などの巻き込みを防止し、ノズルを形成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、撥水膜を完全な状態で形成した後に穴あけを行うとバリが残るとして、中途半端な状態で形成し、穴あけ後に再度の熱処理によって完全な正規の撥水処理膜を形成する方法もある(例えば、特許文献3参照)。
さらに、ノズル加工時等のノズル近傍の撥インク膜の保護として、保護シートをつけた製造方法も開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2002−113529公報
特開2003−165226公報
特開平7−108683号公報
特開平7−156410号公報
特許文献2に記載の製造方法は、ノズル周りの精度向上には非常に有効な手段である。しかし、この後の工程となる撥水処理において、次のような課題がある。
ノズル開口は、直径が20〜40μmと非常に小さい穴である。且つ、インク滴を長時間安定して吐出させるために、ノズルプレート表面(大気に晒される面)に撥水処理が施される。ノズルプレートへの撥水処理方法は、ノズルプレートの裏面であるテーパ穴を有する面より感光性樹脂フィルムを圧接させて、温度により粘度を制御しながらノズルのテーパ内に入り込ませ、硬化させた後にプレート表面より撥水処理を実施する方法や、開口穴をあけたプレート全体に撥水処理を施した後に、プレート表面を上記同様な方法でマスキングを実施し、酸素プラズマ等により裏面の撥水膜を剥離する方法がある。
しかしながら、上記いずれの方法においてもマスキング部材を綺麗に除去しなければならない。僅かにでも除去しきれないものが残存すると、インク滴の直進性が損なわれるという課題があった。
また、特許文献2のように、突起したノズルプレートの場合、突起のすその付近において、マスキング部材とに僅かな隙間が発生し易い。そのため、撥水膜の剥離時のプラズマ作業は真空内で行うために前記隙間が膨張し、ノズル近傍のマスキング材が離脱し、ノズル周りの撥水処理膜に不均一になるという課題を抱えていた。
また、特許文献3または4のように、保護シートを使用したり、撥水膜を再溶融させるといったことは、作業工程数の増加となり、製造時間およびコストがかかるという課題がある。
本発明の目的は、ノズルプレートに開けられたノズル内の異物残存やノズル開口近傍の撥水膜の不均一性を改善し、安定した吐出を実現するノズルプレートと該ノズルプレートを備えたインクジェットヘッドを、従来より安価に製造するという点にある。
上記課題を解決するため、本発明は、一方の面から他方の面に向かって径が縮小する
テーパ状で、他方の面側に形成される最小径の先端部が前記他方の面よりも突出して形成
された複数のノズル貫通孔を有するノズルプレートの製造方法であって、第1に、前記ノズルプレートの前記他方の面の全面に撥水膜を形成する工程を行い、第2に、前記他方の面にプレス加工により突起部を形成する工程を行い、第3に、前記突起部先端前記撥水膜を除去すると共に、前記突起部の一部が残るように研磨仕上げ加工を施して前記ノズル貫通孔を形成する工程を行うことを特徴とする。
また、一方の面から他方の面に向かって径が縮小するテーパ状で、他方の面側に形成される最小径の先端部が前記他方の面よりも突出して形成された複数のノズル貫通孔を有するノズルプレートの製造方法であって、第1に、前記ノズルプレートの前記一方の面からプレス加工により突起部を形成する工程を行い、第2に、前記突起が形成された面の全面に撥水膜を形成する工程を行い、第3に、前記突起部先端の前記撥水膜を除去すると共に、前記突起の一部が残るように研磨仕上げ加工を施して前記ノズル貫通孔を形成する工程を行うことを特徴とする。
また、前記研磨仕上げ加工後の前記突起部の先端面の表面粗さは平均高低差が0.01μm以下であることを特徴とする。
さらに、ノズルプレートが前記記載の製造方法により製造されることおよびインクジェットヘッドが該ノズルプレートを備えることを特徴とする。
本発明におけるノズルプレート製造方法によれば、ノズルプレートの表面に撥水処理を施した後にノズル穴を開けるようにしたので、ノズル内部への異物の付着を防止することができ、製造歩留まりの向上及び品質保証の向上が図れる。
また、本発明におけるノズルプレート製造方法によれば、ノズル穴を形成する形状を貫通穴とならない程度にパンチによって形成した後に、その凸面のノズルプレートの表面側のみに撥水処理を施し、その後にノズル穴を開けるようにしたので、撥インク膜を形成する際にノズル内部への異物の付着を防止することができ、製造歩留まりの向上及び品質保証の向上が図れる。
また、前記開口穴の先端面が僅かに突出するように加工するので、微***周辺のスクラッチ等による微小キズを無くすことが可能である。
また、突起部先端面の表面粗さの平均高低差を0.01μm以下とすることで、より均一なインク濡れ面を確保でき、安定したインク滴の吐出が確保できる。
また、撥水処理膜には、密着性の良い非晶質弗素重合体を用いることで、撥水膜を形成した後にプレス加工をしても突起部周りのすその面の撥水性が十分保持され、突起先端面からのインクの溢れ出しを防ぐこととが可能となる。
上記した効果によれば、長期に安定した吐出が得られ、信頼性の高いインクジェットヘッドを提供することが可能となる。
また、最初から撥水膜を完全な状態とした後に穴あけ加工を行うため、製造工程を大幅に削減可能とする。
また、穴あけ作業において、ノズル周辺は逃げ構造をしていることで、従来技術に記載された様な保護シートを不要とし、材料費、加工工数を低減させる。
さらに、上記の製造方法により製造したノズルプレートを使用したインクジェットヘッドは、ノズルから吐出されるインク滴が直進性に優れ、長期間、安定した吐出信頼性を可能とする。
オリフィスプレートに開けられたノズル内の異物残存やノズル開口穴近傍の撥水膜の不均一性を改善し、安定した吐出を実現するという目的を、第1にオリフィスプレートへの撥水処理を行い、第2にプレスによる押し出し成形を実施し、第3に突起部が残るように先端を研磨するという工程でオリフィスプレートを加工するか、または、第1にプレスによる押し出し成形を実施し、第2にオリフィスプレートへの撥水処理を行い、第3に突起部が残るように先端を研磨するという工程でオリフィスプレートを加工することで実現した。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明によるインクジェット式記録ヘッドの流路構成を示す断面図である。インク流路を分かりやすくするため、破断部のみを示す図としてある。
インク流路基板10は、オリフィスプレート1と、チャンバープレート2と、ダイアフラムプレート3からなる。ノズルプレート1は複数のノズル開口11を有する。また、チャンバープレート2は、ノズル開口11に連通する連通穴12、圧力室13、共通のインク室15からのインクを供給する細長い流路のリストリクタ14を有する。また、ダイアフラムプレート3は、共通インク室15内となる位置に異物除去用のフィルター17と、圧力室13とリストリクタ14の一部を封止する振動板16とを備える。
図2に、リストリクタ14のA−A(図1)断面図を示す。
図2に示すように、リストリクタ14は、複数本(本例では2本)の流路を持ち、圧力室13の流路幅に比べて1/3〜1/4程度と狭く形成されている。なお、これはリストリクタ数が、1〜2本の時の寸法幅で、それ以上の本数(例えば、N本)を有する場合は、1/(N+1)〜1/(N+2)以下であれば良い。また、これはあくまで一例であって、これに限定する必要はない。そして、ダイアフラムプレート3の振動板16には、振動板16に垂直な方向(長軸方向)に伸縮する圧電素子4が配置される。この圧電素子4の伸縮によって圧力室13の容積が変化し、発生する圧力波によってインクが連通穴12を経由してノズル開口11からインク滴として吐出される。
なお、上記インク流路基板10を構成する各プレートに用いられる材料の例を挙げると、オリフィスプレート1には、ステンレスやFe−42Niなど、プレス加工が可能な材料が使われる。また、チャンバープレート2には、ステンレス、シリコン、セラミックなど、インクに含まれる溶剤に侵され難い材料が用いられる。そして、ダイアフラムプレートに3は、振動板16となる薄板部が必要とされるので、10μm前後のステンレスプレートやポリイミドにステンレスプレートを積層密着したものなどを使用する。
図3は、インク滴の吐出を示した説明図である。まず、ヘッド内のインク流路へのインクの充填は、インクタンク(図示せず)から流路基板固定部材25に配設された供給路(図示せず)及び共通インク室15を通り、更にチャンバープレート2に形成された共通インク室15にインクが充填され、各ノズル開口11に連通するリストリクタ14を経由し、圧力室13にインクが充填される。その充填方法は、インクタンクから圧力を加える加圧充填方法や、インクジェットヘッドのノズル開口11から吸引する負圧吸引法などがある。
図4は、ノズル開口11より液滴を吐出するために用いられる駆動パルスの一例を示す図である。図4に示したような所定の電位差を持った電圧パルスが圧電素子4に印加される。圧電素子4が収縮する方向に電圧を印加する(図4(1))と圧力室13内の容積が膨張し、リストリクタ14を介して共通インク室15よりインクが流れ込むと同時にノズル開口11部に位置する空気とインクの界面であるメニスカスも圧力室13側に引き込まれる(図3(b))。
そのまま電圧をホールドする(図4(2))と、メニスカスの引き込みが終了し、再度ノズル開口11側へ戻ろうとする。その時点で次に、圧電素子4が伸長する方向(図4(3))に前記収縮時より短時間で電圧を印加する。
そうすると、前記膨張によって圧力室内13に溜まったインクが圧縮され、圧力室13内は高圧となる(図3(c))。その際に、圧電素子4周りのダイアフラムプレート3である振動板16は、図3(c)に示されるように一旦膨れるような形状を示し、時間の経過と共に徐々にインクに圧力が加えられ、そのエネルギーを利用してノズル開口11より液滴となってインク滴50が吐出される(図3(d))。
図5は、ノズル先端面が平坦な場合のノズル開口11よりインク滴が飛翔していく様子をフロー3D(フローサイエンス社製)なる解析ソフトを用いてシミュレーションをした一例を示す。
圧力室13の容積が膨張するように電圧が印加されると、ノズル先端部のインク表面であるメニスカス5がノズル内部へと引き込まれていく。そして、膨張した圧力室13の容積を、急激に小さくする方向に電圧が印加されると、メニスカス5は、再びノズル開口11へと向かい、ノズル先端よりインクが飛び出して行く。飛翔するインク滴7は、粘性の影響によって尻尾は細長くなり、外気とインクに働く表面張力によって、尻尾が切れ飛翔して行く。インク滴7となって分離した後もノズル内部のインク6は、ノズル開口11内部へと引き込まれることなく、ノズル先端部に溢れるような状態を示す(図5のA部)。
ヘッド内のインク6の動きには、大きく大別して二つの振動モードがある。
一つは、リストリクタ14入口からノズル開口11出口迄のインク流路の形状によって支配される振動モードで、ヘルムホルツ振動モードとも言われている。このヘルムホルツ振動モードは、インク滴7を安定して吐出させるために重要な振動であり、一般的に50kHz以上の値をとることが多い。
もう一つは、リストリクタ14からノズル開口11へのインク流れとなって現れる振動モードで、ここではインク供給振動モードと呼ぶ。このインク供給振動モードによるインク6の流れが、前記したノズル開口11先端部でのインク溢れ出しのような現象として考えてよい。従って、振動現象である以上、ノズル外部へと溢れ出したインク6は、いずれ元の静止状態の位置に落ち着くため、ノズル開口11内部へと引き込まれることになる。しかし、この周期は、一般的に3〜8kHz程度であるため、それ以上の繰返し周波数でインク滴を吐出させようとすると、溢れ出たインクはノズル内部へと戻る時間がなく、ノズル開口11先端部に溜まった状態でインク滴が吐出されることになる。このため、ノズル開口11先端部は、インクに対して非常に均一な濡れ性、或いは撥インク性が保たれなければならないこととなる。
図6は、本発明となるオリフィスプレートの製造方法を示す図である。
まず初めに、外形抜きされたオリフィスプレート1の表面(インク滴7が飛翔していく側の面)に撥水処理30を施す(図6(a))。その方法は、処理不要な面をマスクした後に必要な面の全面に撥水処理膜をコーティングするか、或いは両面に全面コーティングした後に不要の面の剥離を行うかは、工程上に大きな差が無いのでどちらを採用しても問題はない。また、本撥水処理に用いられる材料は、非晶質含弗素重合体からなる材料(例えば、サイトップ(旭硝子(株)の登録商標)やDSX(ダイキン工業(株)製)等)を用いるのが好ましい。これらの非晶質含弗素重合体は、選択的に弗素系有機溶剤に溶解することから、溶媒に任意の濃度で溶解してコーティングすることにより、紛体状または分散媒の形態でしか塗布できないポリテトラフルオロエチレンやポリクロロトリフルオロエチレンなどに比べ、形成されたコーティング層のプレートとの密着性が高く、かつ均一なコーティングが可能となり、プレス加工による塑性変形部に対しても剥がれにくいためである。
次に、予めノズル開口部の形状をしたパンチ50を用いてのプレスによる加工である(図6(b))。プレス加工では、プレス機内にある高剛性を有する受台40があり、オリフィスプレート位置決め用ピン(図示せず)が設置してある。位置決めされたオリフィスプレート1は図示しない手段より固定され、インク吐出用微***成形を連続で加工する。
パンチ50によって押し出されたオリフィスプレート1は、パンチ50のプレス方向に山なりに張り出した突起ができる(図6(c))。ここで用いられるプレス加工用パンチ径は数十μm と微小であるため、受台40には予め突起用逃げ穴42が加工されている。パンチ押し込み量は、プレート上面を基準とすると、次工程での研磨作業にて突起部を残すためには、プレート厚みプラス数十μmの押し込み量となる。
連続加工したプレートは、受台40から外され、図7で示されるように、研磨仕上げ加工される。研磨仕上げ加工機内には受台45があり、プレート位置決め用ピン(図示せず)が設置してある。位置決めされたプレートは図示していない手段により固定され、前工程のプレス加工により山なりに張り出した突起部に、ラッピングフィルムシート55を押し当てながらラッピングフィルムシート55を巻き取り揺動させ(図7(a))、インク滴吐出用のインク開口11が開くまで削り、微***を設ける(図7(b))。
このとき、プレス加工でパンチ50押し込み量をプレート厚みプラス数十μmと深く押し込み、研磨仕上げ加工では、加工時間またはストッパで加工量を制御することで、張り出した突起部を全て削りとらずに、僅かに突起部を残した状態とすることができる。この残量は、目的に応じて如何様でも変化させることが可能となる。これにより、オリフィスプレート1の突起先端のみが研磨されることになるので、研磨面積及び研磨量が少量で済み、ラッピングフィルムシート55からの微粒子研磨材の脱粒を抑制可能となる。また、プレート表面とラッピングフィルムシート55との間に隙間ができ、その隙間から脱粒した微粒子研磨材やゴミが排出されるので、突起先端面のノズル開口11穴近傍へのスクラッチの発生を防止できる。
ラッピングフィルムシート55は加工面を超精密仕上げするため、超微粒子研磨材が定着されていて、それによる仕上げ精度は、平均高低差で0.01μm以下とほぼ鏡面に近い仕上げとすることが可能となる。これにより、突起先端面のインクの濡れ性の均一化が図れる。筆者らは、前記仕上げ精度は平均高低差で0.015μm以下であれば、ある程度高い表面張力を持つインクの場合は濡れ性の均一化が図れるが、一方で、インクが低表面張力を有する、例えば25mN/m(ミリニュートン/メータ)以下のようなインクを使用する場合、より安定した均一性を確保するためには、0.01μm以下とすることが良いことを実験的に確認した。
さらに、突起先端の平坦部外周縁でのインク表面張力によるインク漏れの保持及び突起裾野にコーティングされた撥水膜が、さらにインクの保持力を高めることになる。また、本確認実験で用いたヘッドの凸部先端の平坦部外径Dとノズル開口穴径dとの比率(D/d)は、2と5であったので、その径比率は2〜5の範囲内であれば良いといえる。従って、溢れたインクがノズル内に戻る前に繰返し吐出が実行されても十分インクを保持することが可能となり、長期間にわたり安定した吐出性能を維持できる。
なお、ここでいう平均高低差とは、ノズル開口11先端の平坦部の表面粗さである。
ここで、撥水膜(撥インク膜)の厚みは、特に制限されるものではないが、数10nm〜数μm程度が良い。また、ノズル11の、オリフィスプレート1の平面からの突起高さは、筆者らの実験から、5〜20μmがインク吐出に関して好適な範囲であることが分かった。
また、インク滴吐出用の微***の加工前に撥水処理を実施しているので、処理液で微小
穴を塞いでしまうようなこともなく、さらには、処理膜を剥離する場合や非コーティング
面用の微***まで入り込んだマスク材を除去する時の残存に対する心配もなくなり、オリフィスプレート1の歩留まり向上や品質保証面での向上が図れる。
次に、他の実施例として、オリフィスプレートの製造方法を示す。
図8は、オリフィスプレート1の製造方法を示す図であり、図8(a)はオリフィスプレート1である。まず、はじめに、予めノズル開口部の形状をしたパンチ50を用いてのプレスによる加工を行う(図8(b))。プレス加工では、プレス機内にある高剛性を有する受台40があり、オリフィスプレート位置決め用ピン(図示せず)が設置してある。位置決めされたオリフィスプレート1は図示しない手段より固定され、インク吐出用微***成形を連続で加工する。パンチ50によって押し出されたオリフィスプレート1は、パンチ50のプレス方向に山なりに張り出した突起ができる(図8(c))。ここで用いられるプレス加工用パンチ径は数十μmと微小であるため、受台40には予め突起用逃げ穴42が加工されている。パンチ押し込み量は、プレート上面を基準にすると、次工程での研磨作業にて突起部を残すためには、プレート厚みプラス数十μmの押し込み量となる。
次に、図9に示すように、外形抜きされたプレートの表面(インク滴7が飛翔していく側の面)に撥水処理30を施す。その方法は、処理不要な面をマスキング剤31などにてマスクした後に、必要な面の全面に撥水処理膜をコーティングする。また、本撥水処理に用いられる材料は、サイトップ(旭硝子(株)の登録商標)やDSX(ダイキン工業(株)製)などの非晶質含弗素重合体からなる材料を用いた方が良い。これらの非晶質含弗素重合体は選択的に弗素系有機溶剤に溶解することから、溶媒に任意の濃度で溶解してコーティングすることにより、紛体状または分散媒の形態でしか塗布できないポリテトラフルオロエチレンやポリクロロトリフルオロエチレンなどに比べて、形成されたコーティング層のプレートとの密着性が高く、且つ均一なコーティングが形成される。
撥水処理されたプレートは、実施例1と同様、図7で示されるように研磨仕上げ加工される。研磨仕上げ加工機内には受台45があり、プレート位置決め用ピンが設置してある。位置決めされたプレートは図示していない手段により固定され、プレス加工により山なりに張り出した突起部にラッピングフィルムシート55を押し当てながらラッピングフィルムシート55を巻き取り揺動させ(図7(a))、インク滴吐出用の開口穴11が開くまで削り、微***を設ける(図7(b))。このとき、プレス加工でパンチ50押し込み量をプレート厚みプラス数十μmと深く押し込み、研磨仕上げ加工では、加工時間またはストッパで加工量を制御することで、張り出した突起部を全て削りとらずに、僅かに突起部を残した状態とすることができる。この残量は、目的に応じて如何様でも変化させることが可能となる。これにより、オリフィスプレート1の突起先端のみが研磨されることになるので、研磨面積及び研磨量が少量で済み、ラッピングフィルムシート55からの微粒子研磨材の脱粒を抑制可能となる。また、プレート表面とラッピングフィルムシート55との間に隙間ができ、その隙間から脱粒した微粒子研磨材やゴミが排出されるので、突起先端面のノズル開口11穴近傍へのスクラッチの発生を防止できる。
ラッピングフィルムシート55は加工面を超精密仕上げするため、超微粒子研磨材が定着されていて、それによる仕上げ精度は、平均高低差で0.01μm以下とほぼ鏡面に近い仕上げとすることができる。これにより、突起先端面のインクの濡れ性の均一化が図れる。さらに突起先端の平坦部外周縁でのインク表面張力によるインク漏れの保持及び突起すそのにコーティングされた撥水膜がさらにインクの保持力を高めることになる。従って、溢れたインクがノズル内に戻る前に繰返し吐出が実行されても十分インクを保持することが可能となり、長期間にわたり安定した吐出性能を維持できる。
また、インク滴吐出用の微***の加工前に撥水処理を実施しているので、撥水処理液等
でノズルの微***を塞いでしまうようなこともなく、さらには、処理膜を剥離する場合や
非コーティング面用の微***まで入り込んだマスク材を除去する時の残存に対する心配も
なくなり、オリフィスプレート1 の歩留まり向上や品質保証面での向上が図れる。
上記実施例1、2の製造方法は、ステンレス材に限らずFe−42Niなどの合金や他の金属の材質のプレートに適用可能である。
また、本例でのノズル開口穴断面形状は、テーパ部とストレート部を有する形状をしているが、ストレートのみ或いはテーパのみの断面形状であっても適用可能である。
さらに、テーパ部を押し出し、先端部を平坦研磨した後にストレート部を打ち抜き加工しても同様な効果は得られる。
なお、本発明におけるインク滴の吐出のための手段として圧電素子の歪を利用したピエゾ方式について説明したが、その構成は薄膜素子であっても圧電材料と電極を複数層積層したのピエゾ素子であっても良い。また、静電方式を用いた駆動方式、或いはヒータ気化熱を利用したバブルジェット(登録商標)方式であっても本発明にとっては全く同様の効果が得られることは当然のことである。
本発明のインクジェットヘッドの実施方法を示した説明図である。 図1に示す断面A−A図である。 インクジェットヘッドのインク滴吐出の状態図を示す図である。 インクジェットヘッドの駆動波形の一実施例である。 インクジェットヘッドの吐出シミュレーション図である。 本発明のオリフィスプレートのプレス加工工程を示した説明図である。(実施例1) 本発明のオリフィスプレートの研磨仕上げ工程を示した説明図である。 本発明のオリフィスプレートのプレス加工工程を示した説明図である。(実施例2) 本発明のオリフィスプレートの撥水処理後の図である。(実施例2)
符号の説明
1はオリフィスプレート(ノズルプレート)、2はチャンバープレート、3はダイアフラムプレート、4は圧電素子、6はインク、7はインク滴、10は流路プレート、11はノズル、12は連通穴、13は圧力室、14はリストリクタ、15は共通インク室、16は振動板、17はフィルター、30は撥水処理膜、40,45は受台、42は逃げ穴、50はパンチ、55はラッピングフィルムシートである。

Claims (5)

  1. 一方の面から他方の面に向かって径が縮小するテーパ状で、他方の面側に形成される最小径の先端部が前記他方の面よりも突出して形成された複数のノズル貫通孔を有するノズルプレートの製造方法であって、
    第1に、前記ノズルプレートの前記他方の面の全面に撥水膜を形成する工程を行い、
    第2に、前記他方の面にプレス加工により突起部を形成する工程を行い、
    第3に、前記突起部先端前記撥水膜を除去すると共に、前記突起部の一部が残るように研磨仕上げ加工を施して前記ノズル貫通孔を形成する工程を行うことを特徴とするノズルプレートの製造方法。
  2. 一方の面から他方の面に向かって径が縮小するテーパ状で、他方の面側に形成される最
    小径の先端部が前記他方の面よりも突出して形成された複数のノズル貫通孔を有するノズルプレートの製造方法であって、
    第1に、前記ノズルプレートの前記一方の面からプレス加工により突起部を形成する工程を行い
    第2に、前記突起が形成された面の全面に撥水膜を形成する工程を行い
    第3に、前記突起部先端の前記撥水膜を除去すると共に、前記突起の一部が残るように研磨仕上げ加工を施して前記ノズル貫通孔を形成する工程を行うことを特徴とするノズルプレートの製造方法。
  3. 前記研磨仕上げ加工後の前記突起部の先端面の表面粗さは平均高低差が0.01μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のノズルプレートの製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のノズルプレートの製造方法で製造されたことを特徴とするノズルプレート
  5. 請求項4に記載のノズルプレートを備えることを特徴とするインクジェットヘッド。
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