以下、本発明の実施例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明の第1の参考例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法を示すタイムチャートである。
第1の参考例により駆動されるプラズマディスプレイパネルも、装置の基本的な構成は従来のプラズマディスプレイパネルと同様であり、1本の走査電極2及び1本の維持電極3とこれらに直交する1本のデータ電極5との交点に1個の放電セル12が設けられる。また、図1において、面電極間電位差とは、外部電圧の印加により形成される走査電極2と維持電極3との間の電位差であり、対向電極間電位差とは、外部電圧の印加により形成される走査電極2とデータ電極5との間の電位差である。図2は第1の参考例における放電セル内部の放電の様子及び壁電荷の状態を示す模式図である。図2(a)乃至(d)は、夫々図1中の時刻t1乃至t4における状態に対応している。なお、図2においてはトレース電極、保護層及び蛍光体層等は省略している。また、電極上部以外に拡散によって吸着する電荷についても省略している。
図1において、期間Aは後に続く選択操作期間での放電を起こしやすくするための予備放電期間であり、期間Bは各放電セルの表示のオン/オフを選択する選択操作期間であり、期間Cは選択された全ての放電セルで表示放電を行う維持期間であり、期間Dは表示放電を停止させる維持消去期間である。なお、この第1の参考例においては、走査電極2及び維持電極3からなる面電極の基準電位を維持期間Cにおいて放電を維持するための維持電圧Vsとする。従って、走査電極2及び維持電極3の電位については、維持電圧Vsより高い電位を正極性、低い電位を負極性と表現する。維持電圧Vsは、例えば170V程度である。また、データ電極5の電位は0Vを基準とする。
続いて、プラズマディスプレイパネルの駆動方法について説明する。先ず、予備放電期間Aにおいて、走査電極2に到達電位がVpsの正極性で鋸歯状の予備放電パルスPpsを印加すると同時に、維持電極3に電位がVpcの負極性で矩形の予備放電パルスPpcを印加する。このとき、データ電極5の電位は0Vに固定されている。各予備放電パルスの印加による面電極間の到達電位差は、面電極間、即ち走査電極2と維持電極3との間の放電開始閾電圧を超える値に設定しておき、対向電極間の到達電位差は、放電空間内にイオン又は電子等の活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間、即ち走査電極2とデータ電極5との間の放電開始電圧を超える値に設定しておく。例えば、面電極間の放電開始閾電圧が250V、放電空間に活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間の放電開始電圧が350Vとなる放電セル12であれば、予備放電パルスPpsの到達電位Vpsを400Vと設定し、予備放電パルスPpcの電位Vpcを0Vと設定しておく。
従って、予備放電パルスPps及びPpcを各電極に印加することにより、鋸歯状の予備放電パルスPpsの電圧が上昇して面電極間の放電開始閾電圧である250Vを超えた時点から、図2(a)に示すように、走査電極2と維持電極3との間に弱い放電が発生する(時刻t1)。その後、走査電極2の電位は更に上昇するが、この間面電極間には弱い放電が持続して発生する。放電空間内には面電極間の放電によって多量の活性粒子が存在するため、予備放電パルスPpsの電圧が対向電極間の放電開始閾電圧である350Vを超えた時点から、図2(b)に示すように、走査電極2とデータ電極5との間に弱い放電が発生する(時刻t2)。この対向放電は自ら発生させる活性粒子により走査電極2の電位上昇に伴って安定して持続する。その後、予備放電パルスPpsの電位はVpsに到達し、電位変化の停止に伴って、面電極間及び対向電極間の放電は共に停止する。この結果、図2(c)に示すように、走査電極2上に負の壁電荷が形成され、維持電極3及びデータ電極5上には正の壁電荷が形成される(時刻t3)。
走査電極2には、予備放電パルスPpsの印加に続いて鋸歯状で負極性の予備放電消去パルスPpeを印加する。予備放電消去パルスPpeの到達電位Vpeは、例えば0Vに設定しておく。このとき、維持電極3の電位は維持電圧Vsに固定しておく。また、データ電極5の電位は0Vに固定しておく。予備放電消去パルスPpeの印加により、面電極間に予備放電とは逆極性の放電が発生し、図2(d)に示すように、走査電極2及び維持電極3上に形成された壁電荷は消去される(時刻t4)。なお、予備放電期間Aにおける壁電荷の消去には、選択操作及び維持放電等の次の工程における動作が良好に行われるための壁電荷の調整も含まれる。
次に、選択操作期間Bにおいては、走査電極2の電位を一旦走査ベース電圧Vbwに固定した後、走査電極2に順次負極性の走査パルスPwを印加すると共に、データ電極5に表示データに応じたデータパルスPdを印加する。この間、維持電極3には、電位がVswである正極性の補助走査パルスPswを印加する。なお、走査パルスPw及びデータパルスPdの各電位Vw及びVdは、走査電極2及びデータ電極5からなる対向電極について、走査電極2とデータ電極5との間の対向電極電圧が、いずれか単独の印加では放電開始閾電圧を超えないが両パルスが重畳されたときに放電開始閾電圧を超えるように設定しておく。また、補助走査パルスPswの電位は、走査パルスPwと重畳された場合においても、走査電極2と維持電極3との間の面電極電圧が放電開始閾電圧を超えないように設定しておく。例えば、対向放電の放電開始閾電圧が200Vであれば、走査パルスVwを0Vと設定し、データパルスVdを50Vと設定しておく。また、ベース電圧Vbwは80V、補助走査パルスPswの電位はVs+20V程度に設定しておく。なお、走査パルスVwのパルス幅は、例えば3μ秒程度とし、データパルスVdのパルス幅についても同程度に設定する。
次に、予備放電期間Aでの対向放電の放電開始閾電圧350Vに対して、選択操作期間Bでの対向放電の放電開始閾電圧が200Vと低くなる理由について説明する。予備放電期間Aで起こる対向放電ではデータ電極5が陰極となる。一方、選択操作期間Bでの対向放電においては走査電極2が陰極となる。走査電極5上には酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層10が形成されている。酸化マグネシウムは高い2次電子放出係数を持つため、陰極材料として用いると放電開始閾電圧を低くできることが知られている。一方、データ電極5上に形成された蛍光体層8の2次電子放出係数は低いため、陰極となった場合に放電開始閾電圧は高くなる。このため、極性により放電開始閾電圧が大きく変化するのである。
その後、維持期間Cにおいて、全ての走査電極2及び維持電極3に波高値が維持電圧Vsで互いに位相が反転した維持パルスPsを印加する。従って、選択操作期間Bにおいて書き込み放電が発生して壁電荷が形成された放電セル12においてのみ、表示のための維持放電が発生し、表示発光が得られる。
更に、維持消去期間Dにおいては、維持電極3の電圧を維持電圧Vsに固定し、走査電極2に到達電位が0Vの負極性で鋸歯状の維持消去パルスPeを印加する。この工程により、面電極上の壁電荷が消去されて初期状態、即ち、予備放電期間Aにおいて予備放電パルスPps及びPpcが印加される前の状態へと戻る。なお、維持消去期間Dにおける壁電荷の消去には、次の工程における動作が良好に行われるための壁電荷の調整も含まれる。この初期状態では、各放電セル12における電荷の状態がほぼ均一になっている。
以下、従来のプラズマディスプレイパネルの駆動方法において70Vと設定されていたデータ電圧Vdを、本参考例によれば50Vに低減できる理由について説明する。個々の走査電極2の操作期間は3μ秒であり、この期間内に全ての選択セルにおいて放電を発生させるために必要な放電確率が規定される。放電確率は放電空間に形成される電界の強度と比例関係にあるため、外部から印加する電圧、例えばVdを高くすることで放電確率を高くすることができる。一方、本参考例においては、図2(d)に示すように、予備放電期間Aにおいてデータ電極5上に正の壁電荷が形成され、走査電極2上に負の壁電荷が形成されているため、壁電荷による内部電圧が各電極に印加される外部電圧に重畳されて放電空間に形成される。このため、壁電荷による内部電圧の分だけ外部から印加する電圧を低減することが可能となるのである。
図3は予備放電パルスPpsの到達電位Vpsと選択操作期間Bにおいて書き込み放電が99.9%の確率で発生するために必要な走査パルスPwのパルス幅の関係を示すグラフ図である。図3に示すように、到達電位Vpsが上昇して対向放電が発生するようになると、必要な走査パルス幅が急激に減少することがわかる。
これにより、従来と同様の書き込み電圧(Vw及びVd)を適用する場合には、走査パルスPwのパルス幅を短くすることが可能であり、選択操作期間Bが短くなる。この結果、維持期間Cにより多くの時間を割り当てることができ、維持パルスPs数の増加、すなわち高輝度化が可能となる。また、走査パルスPwのパルス幅を従来と同様にする場合には、データ電圧Vdを下げることが可能であり、消費電力の低減が可能となる。
次に、対向放電に先行して面放電を発生させることにより得られる効果について説明する。予備放電期間に予備放電パルスPpsによって走査電極2とデータ電極5との間に発生する放電は、データ電極5を陰極とする放電である。放電開始閾電圧を決定する大きな要因の一つとして陰極表面の2次電子放出係数が挙げられる。2次電子放出係数が高いほど放電開始閾電圧を低くできるため、走査電極2及び維持電極3上に形成される保護層10には耐スパッタ性が高くかつ2次電子放出係数が比較的高い酸化マグネシウム等が用いられる。一方、データ電極5の表面には可視発光を得るための蛍光体層8が形成されている。蛍光体層8に含まれる蛍光体の材料は発光特性を最優先して選定されるため、通常酸化マグネシウム等に比べて2次電子放出係数が極めて低いものが使用される。従って、データ電極5を陰極とした場合の放電開始閾電圧は逆の極性に比べてかなり高い値となってしまう。さらに、2次電子放出係数が低い材料が陰極表面に形成されている場合、単に放電開始閾電圧が高くなるだけではなく、安定した放電が持続しにくいという問題点もある。例えば、電極間の電位差が時間と共に徐々に増加するような電圧パルスを印加した場合、2次電子放出係数が高い物質が陰極表面にある場合には、放電開始閾電圧を超えた時点から弱い放電が発生し外部電位差の増加に伴って安定して持続する。このため、所謂正特性領域の放電を形成することができる。一方、2次電子放出係数が低い物質が陰極表面に存在する場合には、電位差が極めて高くなってから放電が発生するため、強い放電が発生すると共に、電極上に外部電荷と逆の大きな壁電荷が形成されることにより放電が停止してしまう等の現象が現れる。このような強放電により形成される壁電荷の量は個々の放電セル12により大きく相違するため、その後の駆動において特性のばらつきとして現れる。即ち、放電セル12の状態を安定させる初期化放電として効果を持たないものとなる。しかしながら、2次電子放出係数が低い物質が陰極表面上に形成されていても、放電空間に電子、放電ガスイオン又は準安定順位に励起された放電ガス粒子等の放電に関する活性粒子が多量に存在する場合には、放電開始閾電圧はかなり低下する。このように、低い電圧で放電が開始した場合には2次電子放出係数の高い物質が陰極にある場合と同様に弱い放電を持続的に発生させることが可能となる。面電極間での弱い放電が対向放電に対して先行して発生していれば、放電空間内に多量の活性粒子が形成されるため、対向放電の開始閾電圧が低下すると共に安定した弱い放電を持続的に発生させることが可能となる。このように、面放電と対向放電の順序を制御することにより有効な初期化放電を安定して発生させることが可能となるのである。
但し、上述のように面放電を発生させた後に対向放電を発生させるためには、予備放電期間Aにおいて単に到達電位Vpsを高い電位に設定すればよいわけではない。上述のように、予備放電期間において面電極間の放電を対向電極間の放電に先行して発生させることが重要であり、プラズマディスプレイパネルの構造に応じて適切な電圧の設定が必要である。以下、各放電開始閾電圧の関係が変化した場合、特に、面放電の放電開始閾電圧より対向放電の放電開始閾電圧の方が低くなるような場合の駆動方法について第2の参考例として説明する。
図4は本発明の第2の参考例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法を示すタイムチャートである。図4には予備放電期間のみを示しているが、その後には、第1の参考例と同様に、選択操作期間、維持期間及び維持消去期間が設けられている。なお、この第2の参考例においても、走査電極2及び維持電極3からなる面電極の基準電位を維持期間において放電を維持するための維持電圧Vsとする。従って、走査電極2及び維持電極3の電位については、維持電圧Vsより高い電位を正極性、低い電位を負極性と表現する。維持電圧Vsは、例えば200V程度である。また、データ電極5の電位は0Vを基準とする。
第2の参考例によって駆動されるプラズマディスプレイパネルの基本的な構成は第1の参考例により駆動されるものと同様であるが、各部の寸法及び/又は材料の相違により、例えば面電極間の放電開始閾電圧は320Vと高くなり、放電空間に活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間の放電開始電圧は280Vと低くなっているものとする。
本参考例においては、先ず、予備放電期間において、走査電極2に到達電位がVpsの正極性で鋸歯状の予備放電パルスPpsを印加すると同時に、維持電極3に電位がVpcの負極性で矩形の予備放電パルスPpcを印加する。このとき、データ電極5の電位は0Vに固定されている。各予備放電パルスの印加による面電極間の到達電位差は、面電極間、即ち走査電極2と維持電極3との間の放電開始閾電圧を超えるように設定しておき、対向電極間の到達電位差は、放電空間内にイオン及び電子等の活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間、即ち走査電極2とデータ電極5との間の放電開始電圧を超えるように設定しておく。また、いずれの到達電位差も面電極間の放電が対向電極間の放電に先行して起こるように設定しておく。従って、例えばVpcを−60V、Vpsを320Vとする。
このように設定すると、予備放電パルスPpsの電位が260Vになった時点で、走査電極2と維持電極3間の電位差は320Vとなり、面電極間に弱い放電が持続的に発生する(時刻t1)。その後、予備放電パルスPpsの電位が280Vとなると、走査電極2とデータ電極5間の対向電極間電位差も280Vとなる。このとき、放電空間内には面放電によって形成された多量の活性粒子が存在するため、走査電極2とデータ電極5間に弱い対向放電が持続的に安定して発生する(時刻t2)。その後、予備放電パルスPpsはVpsに達し、電位差の変化の停止に伴って放電も停止する(時刻t3)。
走査電極2には、予備放電パルスPpsの印加に続いて鋸歯状で負極性の予備放電消去パルスPpeを印加する。予備放電消去パルスPpeの到達電位Vpeは、例えば0Vに設定しておく。このとき、維持電極3の電位は維持電圧Vsに固定しておく。また、データ電極5の電位は0Vに固定しておく。予備放電消去パルスPpeの印加により、面電極間に予備放電とは逆極性の放電が発生し、走査電極2及び維持電極3上に形成された壁電荷は消去される(時刻t4)。なお、予備放電期間における壁電荷の消去には、選択操作及び維持放電等の次の工程における動作が良好に行われるための壁電荷の調整も含まれる。
その後、第1の参考例と同様に、選択操作期間において放電セルの選択を行い、維持期間に放電による表示発光を得、更に維持消去期間に放電を停止することにより、第1の参考例と同様の表示動作を行うことが可能である。
このように、本参考例によれば放電開始電圧の関係が変化したプラズマディスプレイパネルおいても対向放電を安定して発生させることができ、データ電極5上に正の壁電荷を形成することができる。この結果、データ電圧Vdの低減及び選択操作期間の短縮等が可能となる。
次に、第2の参考例と同様の電圧特性を持つプラズマディスプレイパネルを駆動するための他の参考例について述べる。
図5は本発明の第3の参考例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法を示すタイムチャートである。図5には予備放電期間のみを示しているが、その後には、第1の参考例と同様に、選択操作期間、維持期間及び維持消去期間が設けられている。なお、この第3の参考例においても、走査電極2及び維持電極3からなる面電極の基準電位を維持期間において放電を維持するための維持電圧Vsとする。従って、走査電極2及び維持電極3の電位については、維持電圧Vsより高い電位を正極性、低い電位を負極性と表現する。維持電圧Vsは、例えば200V程度である。また、データ電極5の電位は0Vを基準とする。
第3の参考例により駆動されるプラズマディスプレイパネルの構造は第2の参考例により駆動されるものと同様であり、例えば面電極間の放電開始閾電圧は320Vと、放電空間に活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間の放電開始電圧は280Vとなっている。
本参考例においては、先ず、予備放電期間において、走査電極2に到達電位がVpsの正極性で鋸歯状の予備放電パルスPpsを印加すると同時に、維持電極3に電位がVpcの負極性で矩形の予備放電パルスPpcを印加する。また、データ電極5には電位がVpdの予備放電パルスPpdを印加する。各予備放電パルスの印加による面電極間の到達電位差は、面電極間、即ち走査電極2と維持電極3との間の放電開始閾電圧を超えるように設定しておき、対向電極間の到達電位差は、放電空間内にイオン及び電子等の活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間、即ち走査電極2とデータ電極5との間の放電開始電圧を超えるように設定しておく。また、いずれの到達電位差も面電極間の放電が対向電極間の放電に先行して起こるように設定しておく。従って、例えばVpcを0V、Vpsを400V、Vpdを50Vとする。
このように設定すると、予備放電パルスPpsの電位が320Vになった時点で、走査電極2と維持電極3間の電位差は320Vとなり面電極間に弱い放電が持続的に発生する(時刻t1)。このとき、走査電極2とデータ電極5との間の対向電極間電位差は270Vであるため、対向電極間での放電は発生しない。その後、予備放電パルスPpsの電位が330Vとなると、走査電極2とデータ電極5との間の対向電極間電位差が280Vとなる。このとき、放電空間内には面放電によって形成された多量の活性粒子が存在するため、走査電極2とデータ電極5間に弱い対向放電が持続的に安定して発生する(時刻t2)。その後、予備放電パルスPpsはVpsに達し、電位差の変化の停止に伴って放電も停止する(時刻t3)。
走査電極2には予備放電パルスPpsの印加に続いて鋸歯状で負極性の予備放電消去パルスPpeを印加する。予備放電消去パルスPpeの到達電位Vpeは、例えば0Vに設定しておく。このとき、維持電極3の電位は維持電圧Vsに固定しておく。また、データ電極5の電位は0Vに固定しておく。予備放電消去パルスPpeの印加により、面電極間に予備放電とは逆極性の放電が発生し、走査電極2及び維持電極3上に形成された壁電荷は消去される(時刻t4)。なお、予備放電期間における壁電荷の消去には、選択操作及び維持放電等の次の工程における動作が良好に行われるための壁電荷の調整も含まれる。
その後、第1及び第2の参考例と同様に、選択操作期間において放電セルの選択を行い、維持期間に放電による表示発光を得、更に維持消去期間に放電を停止することにより、第1及び第2の参考例と同様の表示動作を行うことが可能である。
本参考例においても、予備放電期間内に対向放電を安定して発生させることによりデータ電極5上に正の壁電荷を形成することが可能である。この結果、データ電圧Vdの低減及び選択操作期間の短縮等が可能となる。
また、第2参考例においては新たにVpcという電位を形成する必要があるが、本参考例によれば、データ電極5に印加する予備放電パルスPpdの電位Vpdを例えば選択操作期間に印加するデータパルスPdの電位Vdと同一にすることにより、電位の種類の増加に伴うコストアップを抑えることも可能である。
続いて本発明の第4の参考例について説明する。第4の参考例により駆動されるプラズマディスプレイパネルの基本的な構成は第1の参考例に示したプラズマディスプレイパネルと同様であり、1本の走査電極2及び1本の維持電極3とこれらに直交する1本のデータ電極5との交点に1個の放電セル12が設けられる。ただし、カラー表示を行うために、複数の蛍光体、例えば赤、緑及び青の3種類の蛍光体が隔壁7に区切られて塗り分けられている。蛍光体層8は隔壁7によって1本のデータ電極5上には同一色の蛍光体層8が形成されていることになる。
図6は本発明の第4の参考例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法を示すタイムチャートである。図6には予備放電期間のみを示しているが、その後には、第1の参考例と同様に、選択操作期間、維持期間及び維持消去期間が設けられている。なお、この第4の参考例においても、走査電極2及び維持電極3からなる面電極の基準電位を維持期間において放電を維持するための維持電圧Vsとする。従って、走査電極2及び維持電極3の電位については、維持電圧Vsより高い電位を正極性、低い電位を負極性と表現する。維持電圧Vsは、例えば170V程度である。また、データ電極5の電位は0Vを基準とする。
本参考例においては、先ず、予備放電期間において、走査電極2に到達電位がVpsの正極性で鋸歯状の予備放電パルスPpsを印加すると同時に、維持電極3に電位がVpcの負極性で矩形の予備放電パルスPpcを印加する。このとき、データ電極5には予備放電パルスPpdが印加される。各予備放電パルスの印加による面電極間の到達電位差は、面電極間、即ち走査電極2と維持電極3との間の放電開始閾電圧を超えるように設定しておき、対向電極間の到達電位差は、放電空間内にイオン及び電子等の活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間、即ち走査電極2とデータ電極5との間の放電開始電圧を超えるように設定しておく。しかし、通常、各蛍光体の材料は各種の発光特性を主体に選定されるため、放電特性に関しては統一できない場合が多い。特に、データ電極5を陰極とする放電についてはデータ電極5上の蛍光体の2次電子放出係数が極めて大きく影響する。このため、放電空間に活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間の放電開始電圧は発光色毎に異なり、例えば赤及び青では330V、緑では390Vとなる。一方、面電極間の放電開始閾電圧は発光色に関係なくほぼ一定であり、例えば250Vとなる。このようなプラズマディスプレイパネルであれば、予備放電パルスPpsの到達電位Vpsを360V、予備放電パルスPpcの電位Vpcを0Vと設定しておく。更に、緑の蛍光体層8が形成された放電セル12に対応するデータ電極5に印加する予備放電パルスPpdgの電位Vpdgは−60Vとし、赤及び青の蛍光体層8が形成された放電セル12に対応するデータ電極5に印加する予備放電パルスPpdr及びPpdbの各電位Vpdr、Vpdbは共に0V、即ちパルスを印加しない状態とする。
このように設定すると、予備放電パルスPpsの電位が250Vになった時点で、走査電極2と維持電極3との間の電位差は放電開始閾電圧を超えて面電極間に弱い放電が持続的に発生する(時刻t1)。その後、予備放電パルスPpsの電位が330Vとなると、赤及び青の放電セル12では走査電極2とデータ電極5との間の対向電極間電位差が330V、緑の放電セル12では対向電極間電位差が390Vとなる。このとき、放電空間内には面放電によって形成された多量の活性粒子が存在するため、全ての放電セル12において走査電極2とデータ電極5間に弱い対向放電が持続的に安定して発生する(時刻t2)。この対向放電は自ら発生させる活性粒子により走査電極2の電位上昇に伴って安定して持続する。その後、予備放電パルスPpsはVpsに到達し、電位変化の停止に伴って、面電極間及び対向電極間の放電は共に停止する(時刻t3)。この結果、走査電極2上に負の壁電荷が形成され、維持電極3上に正の壁電荷が形成され、更に全てのデータ電極5上にほぼ同量の正の壁電荷が形成される。
その後、前述の参考例と同様に、予備放電消去パルスPpeを印加した後、選択操作期間において放電セルの選択を行い、維持期間に放電による表示発光を得、更に維持消去期間に放電を停止することにより表示動作を行うことが可能である。
本参考例においても、予備放電期間内に対向放電を発生させることによりデータ電極5上に正の壁電荷を形成することが可能である。この結果、データ電圧Vdの低減及び選択操作期間の短縮等が可能である。
また、本参考例によれば、データ電極5に蛍光体層8の各色に応じた電圧Vpdを印加しているので、蛍光体の材料による放電開始閾電圧の差に影響されず、対向放電の開始タイミングを一致させることが可能である。これにより、蛍光体層8各色にほぼ同量の壁電圧を形成することが可能となり、続く選択操作期間での放電特性をもより一層均一化することが可能となる。
以下、黒輝度の低減、即ちコントラストの向上を図った参考例について説明する。
図7は本発明の第5の参考例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法を示すタイムチャートである。図7には予備放電期間のみを示しているが、その後には、第1の参考例と同様に、選択操作期間、維持期間及び維持消去期間が設けられている。なお、この第5の参考例においても、走査電極2及び維持電極3からなる面電極の基準電位を維持期間において放電を維持するための維持電圧Vsとする。従って、走査電極2及び維持電極3の電位については、維持電圧Vsより高い電位を正極性、低い電位を負極性と表現する。維持電圧Vsは、例えば170V程度である。また、データ電極5の電位は0Vを基準とする。
第5の参考例により駆動されるプラズマディスプレイパネルの構造も第1の参考例により駆動されるものと同様であり、面電極間の放電開始閾電圧は250V、放電空間に活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間の放電開始電圧は350Vとなっている。
本参考例においては、先ず、予備放電期間において、走査電極2に到達電位がVpsの正極性で鋸歯状の予備放電パルスPpsを印加すると同時に、維持電極3に電位がVpcの負極性で矩形の予備放電パルスPpcを印加する。このとき、データ電極5の電位は0Vに固定されている。各予備放電パルスの印加による面電極間の到達電位差は、面電極間、即ち走査電極2と維持電極3との間の放電開始閾電圧を超えるように設定しておき、対向電極間の到達電位差は、放電空間内にイオン及び電子等の活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間、即ち走査電極2とデータ電極5との間の放電開始電圧を超えるように設定しておく。また、いずれの到達電位差も面電極間の放電が対向電極間の放電の直近に先行して起こるように設定しておく。従って、例えばVpcを80V、Vpsを400Vとする。
このように設定すると、予備放電パルスPpsの電位が330Vになった時点で、走査電極2と維持電極3間の電位差は250Vとなり面電極間に弱い放電が持続的に発生する(時刻t1)。その後、予備放電パルスPpsの電位が350Vとなると、走査電極2とデータ電極5間の対向電極間電位差も350Vとなる。このとき、放電空間内には面放電によって形成された多量の活性粒子が存在するため、走査電極2とデータ電極5間に弱い対向放電が持続的に安定して発生する(時刻t2)。その後、予備放電パルスPpsはVpsに達し、電位差の変化の停止に伴って放電も停止する(時刻t3)。
走査電極2には予備放電パルスPpsの印加に続いて鋸歯状で負極性の予備放電消去パルスPpeを印加する。予備放電消去パルスPpeの到達電位Vpeは、例えば0Vに設定しておく。このとき、維持電極3の電位は維持電圧Vsに固定しておく。また、データ電極5の電位は0Vに固定しておく。予備放電消去パルスPpeの印加により、面電極間に予備放電とは逆極性の放電が発生し、走査電極2及び維持電極3上に形成された壁電荷は消去される(時刻t4)。なお、予備放電期間における壁電荷の消去には、選択操作及び維持放電等の次の工程における動作が良好に行われるための壁電荷の調整も含まれる。
本参考例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、維持電極3に印加する予備放電パルスPpcの電位を80Vとしたこと以外の事項については、第1の参考例と同じである。以下、本参考例及び第1の参考例の各予備放電パルスにおける放電の様子について比較して説明する。図8(a)及び(b)は夫々第5の参考例並びに第1の参考例における走査電極2と維持電極3又はデータ電極5との間の各電位差及び放電の様子を模式的に示すタイムチャートである。
走査電極2とデータ電極5との間での対向放電は、どちらの参考例においても走査電極2の電位が350Vになった時点から最高電位である400Vになるまで持続的に発生する。また、走査電極2と維持電極3との間の面放電については、第1の参考例では走査電極2の電位が250Vに達した時点から最高電位である400Vになるまで面電極間の放電が持続して発生する。一方、第5の参考例では、面電極間の放電は走査電極2の電位が330Vになるまで発生しない。従って、第1の参考例に比べて第5の参考例では予備放電における放電量が低減される。プラズマディスプレイパネルでは放電により発生した紫外光が可視光に変換されて発光として認知されるため、放電量の減少は輝度の減少につながる。図9は予備放電パルスPpcの電位Vpcを0V(第1の参考例の状態)から変化させた場合の予備放電による発光輝度の変化を示すグラフ図である。電位Vpcの増加と共に輝度が減少し、電位Vpcが80Vでは約40%低減できていることがわかる。予備放電による発光は全ての表示がオフの状態、即ち黒表示での輝度に対応するため、結果として黒輝度の低減、コントラストの向上が得られることとなる。
予備放電期間に続いては、第1の参考例と同様に、選択操作期間において放電セルの選択を行い、維持期間に放電による表示発光を得、更に維持消去期間に放電を停止することにより、第1の参考例と同様の表示動作を行うことが可能である。
本参考例においても、予備放電期間内に対向放電を発生させることによりデータ電極5上に正の壁電荷を形成することが可能である。この結果、データ電圧Vdの低減及び選択操作期間の短縮等が可能である。
次に、本発明の第6の参考例について説明する。図10は本発明の第6の参考例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法を示すタイムチャートである。図10には予備放電期間のみを示しているが、その後には、第1の参考例と同様に、選択操作期間、維持期間及び維持消去期間が設けられている。なお、この第6の参考例においても、走査電極2及び維持電極3からなる面電極の基準電位を維持期間において放電を維持するための維持電圧Vsとする。従って、走査電極2及び維持電極3の電位については、維持電圧Vsより高い電位を正極性、低い電位を負極性と表現する。維持電圧Vsは、例えば170V程度である。また、データ電極5の電位は0Vを基準とする。
第6の参考例により駆動されるプラズマディスプレイパネルの構造も第1の参考例により駆動されるものと同様であり、面電極間の放電開始閾電圧は250V、放電空間に活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間の放電開始電圧は350Vとなっている。
本参考例においては、先ず、予備放電期間において、走査電極2に到達電位がVpsの正極性で鋸歯状の予備放電パルスPpsを印加すると同時に、維持電極3に電位がVpcの負極性で矩形の予備放電パルスPpcを印加する。更に、データ電極には電位がVpdの矩形の予備放電パルスPpdを印加する。各予備放電パルスの印加による面電極間の到達電位差は、面電極間、即ち走査電極2と維持電極3との間の放電開始閾電圧を超えるように設定しておき、対向電極間の到達電位差は、放電空間内にイオン及び電子等の活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間、即ち走査電極2とデータ電極5との間の放電開始電圧を超えるように設定しておく。また、いずれの到達電位差も面電極間の放電が対向電極間の放電の直近に先行して起こるように設定しておく。従って、例えばVpsを320V、Vpcを0V、Vpdを−80Vとする。
このように設定すると、予備放電パルスPpsの電位が250Vになった時点で、走査電極2と維持電極3間の電位差は250Vとなり面電極間に弱い放電が持続的に発生する(時刻t1)。その後、予備放電パルスPpsの電位が270Vとなると、走査電極2とデータ電極5との間の対向電極間電位差が350Vとなる。このとき、放電空間内には面放電によって形成された多量の活性粒子が存在するため、走査電極2とデータ電極5との間に弱い対向放電が持続的に安定して発生する(時刻t2)。その後、予備放電パルスPpsの電位はVpsに達し、電位差の変化の停止に伴って放電も停止する(時刻t3)。
走査電極2には予備放電パルスPpsの印加に続いて鋸歯状で負極性の予備放電消去パルスPpeを印加する。予備放電消去パルスPpeの到達電位Vpeは、例えば0Vに設定しておく。このとき、維持電極3の電位は維持電圧Vsに固定しておく。また、データ電極5の電位は0Vに固定しておく。予備放電消去パルスPpeの印加により、面電極間に予備放電とは逆極性の放電が発生し、走査電極2及び維持電極3上に形成された壁電荷は消去される(時刻t4)。なお、予備放電期間における壁電荷の消去には、選択操作及び維持放電等の次の工程における動作が良好に行われるための壁電荷の調整も含まれる。
その後、第1の参考例と同様に、選択操作期間において放電セルの選択を行い、維持期間に放電による表示発光を得、更に維持消去期間に放電を停止することにより、第1の参考例と同様の表示動作を行うことが可能である。
本参考例においても、予備放電期間内に対向放電を発生させることによりデータ電極5上に正の壁電荷を形成することが可能である。この結果、データ電圧Vdの低減及び選択操作期間の短縮等が可能である。
以下、本参考例及び第1の参考例の各予備放電パルスにおける放電の様子について比較して説明する。図11(a)及び(b)は夫々第6の参考例並びに第1の参考例における走査電極2と維持電極3又はデータ電極5との間の各電位差及び放電の様子を模式的に示すタイムチャートである。
走査電極2と維持電極3との間での面放電は、どちらの参考例においても走査電極2の電位が250Vになった時点から発生する。しかし、第1の参考例では走査電極2の電位が400Vになるまで持続するのに対して、第6の参考例では320Vに到達した時点で終了する。また、走査電極2とデータ電極5との間の対向放電は、第1の参考例では走査電極2の電位が350Vに達した時点から最高電位である400Vになるまで持続するのに対して、本参考例においては走査電極の電位が270Vに達した時点から最高電位である320Vになるまで持続する。これらを走査電極2とデータ電極5との間の電位差で表せば、どちらの参考例においても電位差が350Vになった時点から400Vになるまで持続的に発生することがわかる。即ち、対向放電の発生量はほぼ同等であり、本参考例によれば面放電の持続期間のみが短くなっている。これにより、第5の参考例と同様に予備放電における発光量が低減され、コントラストの向上が得られることとなる。
また、本参考例によれば、データ電極5に予備放電パルスPpdを印加するため、蛍光体層8に塗布された各色の蛍光体の放電特性に合わせて予備放電パルスPpdの電位Vpdを選択することにより、蛍光体による放電特性の差を吸収することが可能である。
更に、本参考例によれば、予備放電パルスPpsの到達電位Vpsを低く抑えることができるため、駆動回路に耐電圧の低い比較的安価な部品を使用することが可能となり、コストを下げることが可能となる。また、電圧が低い分予備放電パルスPpsの印加時間も短くできるため、全体に対する予備放電期間の割合を減らし、維持期間に割り当てる時間を長くすることができる。この結果、より一層輝度を高くすることも可能となる。
次に、本発明の第7の参考例について説明する。図12は本発明の第7の参考例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法を示すタイムチャートである。図12には予備放電期間のみを示しているが、その後には、第1の参考例と同様に、選択操作期間、維持期間及び維持消去期間が設けられている。なお、この第7の参考例においても、走査電極2及び維持電極3からなる面電極の基準電位を維持期間において放電を維持するための維持電圧Vsとする。従って、走査電極2及び維持電極3の電位については、維持電圧Vsより高い電位を正極性、低い電位を負極性と表現する。維持電圧Vsは、例えば170V程度である。また、データ電極5の電位は0Vを基準とする。
第7の参考例により駆動されるプラズマディスプレイパネルの構造も第1の参考例により駆動されるものと同様であり、面電極間の放電開始閾電圧は250V、放電空間に活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間の放電開始電圧は350Vとなっている。
本参考例においては、先ず、予備放電期間において、走査電極2に到達電位がVpsの正極性で鋸歯状の予備放電パルスPpsを印加する。一方、維持電極3には電位がVpcfの矩形の第1の予備放電パルスPpcf及び電位がVpcsの矩形の第2の予備放電パルスPpcsを連続して印加する。このとき、データ電極5の電位は0Vとしておく。各予備放電パルスの印加による面電極間の到達電位差は、面電極間、即ち走査電極2と維持電極3との間の放電開始閾電圧を超えるように設定しておき、対向電極間の到達電位差は、放電空間内にイオン及び電子等の活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間、即ち走査電極2とデータ電極5との間の放電開始電圧を超えるように設定しておく。また、いずれの到達電位差も面電極間の放電が対向電極間の放電に先行して起こるように設定しておく。従って、例えばVpsを400V、Vpcfを0V、Vpcsを40Vとする。更に、第2の予備放電パルスPpcsの印加のタイミングが走査電極2の電位が360Vになったときとなるように第1の予備放電パルスPpcfのパルス幅を調節しておく。
このように設定すると、予備放電パルスPpsの電位が250Vになった時点で、走査電極2と維持電極3との間の電位差は250Vとなり面電極間に弱い放電が持続的に発生する(時刻t1)。その後、予備放電パルスPpsの電位が350Vとなると、走査電極2とデータ電極5との間の対向電極間電位差が350Vとなる。このとき、放電空間内には面放電によって形成された多量の活性粒子が存在するため、走査電極2とデータ電極5間に弱い対向放電が持続的に安定して発生する(時刻t2)。更に、予備放電パルスPpsの電位が360Vになると、維持電極3には第2の予備放電パルスPpcsが印加され、走査電極2と維持電極3との間の面電位差が低下するため面放電は停止する(時刻t3)。一方、一旦発生した対向放電は、それ自身が形成する活性粒子により面放電が停止した後も安定して持続する。その後、予備放電パルスPpsの電位はVpsに達し、電位差の変化の停止に伴って放電も停止する(時刻t4)。
走査電極2には予備放電パルスPpsの印加に続いて鋸歯状で負極性の予備放電消去パルスPpeを印加する。予備放電消去パルスPpeの到達電位Vpeは、例えば0Vに設定しておく。このとき、維持電極3の電位は維持電圧Vsに固定しておく。また、データ電極5の電位は0Vに固定しておく。予備放電消去パルスPpeの印加により、面電極間に予備放電とは逆極性の放電が発生し、走査電極2及び維持電極3上に形成された壁電荷は消去される(時刻t5)。なお、予備放電期間における壁電荷の消去には、選択操作及び維持放電等の次の工程における動作が良好に行われるための壁電荷の調整も含まれる。
その後、第1の参考例と同様に、選択操作期間において放電セルの選択を行い、維持期間に放電による表示発光を得、更に維持消去期間に放電を停止することにより、第1の参考例と同様の表示動作を行うことが可能である。
本参考例においても、予備放電期間内に対向放電を発生させることによりデータ電極5上に正の壁電荷を形成することが可能である。この結果、データ電圧Vdの低減及び選択操作期間の短縮等が可能である。
本参考例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、維持電極3に第2の予備放電パルスPpcsを印加すること以外の事項については、第1の参考例と同じである。以下、本参考例及び第1の参考例の各予備放電パルスにおける放電の様子について比較して説明する。図13(a)及び(b)は夫々第7の参考例並びに第1の参考例における走査電極2と維持電極3又はデータ電極5との間の各電位差及び放電の様子を模式的に示すタイムチャートである。
走査電極2と維持電極3との間での面放電は、どちらの参考例においても走査電極2の電位が250Vになった時点から発生する。しかし、第1の参考例では走査電極2の電位が400Vになるまで持続するのに対して、第7の参考例では360Vに到達した時点で終了する。また、走査電極2とデータ電極5との間の対向放電は、どちらの参考例においても走査電極2の電位が350Vに達した時点から最高電位である400Vになるまで持続的に発生する。即ち、対向放電の発生量はほぼ同等であり、面放電の持続期間のみが短くなることがわかる。これにより、予備放電における発光量が低減でき、コントラストの向上が得られることとなる。
本参考例においては、一例として対向放電が発生した後に面放電を停止するように第2の予備放電パルスPpcsの電位Vpcs及び印加タイミングを設定している。面放電の終了後、電子等の活性粒子は指数関数的に減少する。しかしながら、20μ秒程度の間は安定した対向放電を発生させるのに十分な量の活性粒子は残存している。このため、実際には対向放電が発生する前に面放電が停止した場合でも、停止後略20μ秒以内に対向電極間電位差が対向放電開始閾電圧に達すれば、安定した対向放電を得ることができる。従って、面放電を停止させるタイミングは、本参考例に示すように対向放電を発生させた後に限定されるものではなく、対向放電を発生させる前でもよく、対向放電を発生させるのと同時でもよい。
次に、本発明の第1の実施例について説明する。図14は本発明の第1の実施例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法を示すタイムチャートである。図14には予備放電期間のみを示しているが、その後には、第1の参考例と同様に、選択操作期間、維持期間及び維持消去期間が設けられている。なお、この第1の実施例においても、走査電極2及び維持電極3からなる面電極の基準電位を維持期間において放電を維持するための維持電圧Vsとする。従って、走査電極2及び維持電極3の電位については、維持電圧Vsより高い電位を正極性、低い電位を負極性と表現する。維持電圧Vsは、例えば170V程度である。また、データ電極5の電位は0Vを基準とする。
第1の実施例により駆動されるプラズマディスプレイパネルの構造も第1の参考例により駆動されるものと同様であり、面電極間の放電開始閾電圧は250V、放電空間に活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間の放電開始電圧は350Vとなっている。
本実施例においては、先ず、予備放電期間において、走査電極2に到達電位がVpsの正極性で鋸歯状の予備放電パルスPpsを印加する。一方、維持電極3には電位がVpcfの矩形の第1の予備放電パルスPpcfと鋸歯状の第2の予備放電パルスPpcsを連続して印加する。このとき、予備放電パルスPps及び第2の予備放電パルスPpcsの傾きは互いにほぼ同等にしておく。また、データ電極5の電位は0Vとしておく。各予備放電パルスの印加による面電極間の到達電位差は、面電極間、即ち走査電極2と維持電極3との間の放電開始閾電圧を超えるように設定しておき、対向電極間の到達電位差は、放電空間内にイオン及び電子等の活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間、即ち走査電極2とデータ電極5との間の放電開始電圧を超えるように設定しておく。また、いずれの到達電位差も面電極間の放電が対向電極間の放電に先行して起こるように設定しておく。従って、例えばVpsを400V、Vpcfを0V、Vpcsを40Vとする。更に、第2の予備放電パルスPpcsの印加のタイミングが走査電極2の電位が360Vになったときとなるように、第1の予備放電パルスPpcfのパルス幅を調節しておく。
このように設定すると、予備放電パルスPpsの電位が250Vになった時点で、走査電極2と維持電極3との間の電位差は250Vとなり面電極間に弱い放電が持続的に発生する(時刻t1)。その後、予備放電パルスPpsの電位が350Vとなると、走査電極2とデータ電極5との間の対向電極間電位差が350Vとなる。このとき、放電空間内には面放電によって形成された多量の活性粒子が存在するため、走査電極2とデータ電極5との間に弱い対向放電が持続的に安定して発生する(時刻t2)。更に、予備放電パルスPpsの電位が360Vになると、維持電極3には第2の予備放電パルスPpcsが印加される。このとき、第2の予備放電パルスPpcsの傾きは予備放電パルスPpsのそれとほぼ同等であるため、これ以降、走査電極2と維持電極3との間の面電位差は変化せずに一定となるため、面放電は停止する(時刻t3)。一方、一旦発生した対向放電はそれ自身が形成する活性粒子により面放電が停止した後も安定して持続する。その後、予備放電パルスPpsの電位はVpsに達し、電位差の変化の停止に伴って放電も停止する(時刻t4)。
走査電極2には予備放電パルスPpsの印加に続いて鋸歯状で負極性の予備放電消去パルスPpeを印加する。予備放電消去パルスPpeの到達電位Vpeは、例えば0Vに設定しておく。このとき、維持電極3の電位は維持電圧Vsに固定しておく。また、データ電極5の電位は0Vに固定しておく。予備放電消去パルスPpeの印加により、面電極間に予備放電とは逆極性の放電が発生し、走査電極2及び維持電極3上に形成された壁電荷は消去される(時刻t5)。なお、予備放電期間における壁電荷の消去には、選択操作及び維持放電等の次の工程における動作が良好に行われるための壁電荷の調整も含まれる。
その後、第1の参考例と同様に、選択操作期間において放電セルの選択を行い、維持期間に放電による表示発光を得、更に維持消去期間に放電を停止することにより、第1の参考例と同様の表示動作を行うことが可能である。
本実施例においても、予備放電期間内に対向放電を発生させることによりデータ電極5上に正の壁電荷を形成することが可能である。この結果、データ電圧Vdの低減及び選択操作期間の短縮等が可能である。
本実施例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、維持電極3に第2の予備放電パルスPpcsを鋸歯状波としたこと以外の事項については、第7の参考例と同じである。従って、面放電の発生量を減少しつつ安定な対向放電を発生させることが可能であり、駆動特性を損ねることなくコントラストの改善が可能である。
図15は第1の実施例に係る駆動方法において第2の予備放電パルスPpcsの到達電位Vpcsを変化させた場合の黒表示における輝度の変化を示すグラフ図である。到達電位Vpcsの増加と共に黒表示の輝度は減少し、到達電位Vpcsを50Vにした場合には、約40%程度減少されていることがわかる。
図16は第1の実施例に係る駆動方法において第2の予備放電パルスPpcsの到達電位Vpcsと選択操作期間における書き込み放電が99.9%の確率で発生するために必要な走査パルスPwのパルス幅との関係を示すグラフ図である。図16に示すように、第2の予備放電パルスPpcsを印加することによって面電極間の放電を減少させても、必要なパルス幅はほとんど変化しないことがわかる。以上の結果から、駆動特性を悪化させることなくコントラストを改善できていることがわかる。
また、第1の実施例においては、第2の予備放電パルスPpcsの傾きを予備放電パルスPpsのそれとほぼ同等にしているが、予備放電パルスPpsの傾きより大きい場合にも、面電極間の電位差が増えることはないため、同様の効果が得られることはいうまでもない。
図17は第2の予備放電パルスPpcsの傾きが予備放電パルスPpsの傾きより小さい場合、例えば予備放電パルスPpsの傾きの2分の1に設定されている場合の面電位差及び対向電位差並びに放電の様子を模式的に示すタイムチャートである。図17に示すように、第2の予備放電パルスPpcsの印加により、それ以降の面電位差の上昇率が小さくなるため、第2の予備放電パルスPpcsが印加される前の面電極間の放電に比べて、第2の予備放電パルスPpcsが印加された後の放電は弱くなる。従って、第2の予備放電パルスPpcsを全く印加しない場合に比べて、全体としての放電量を低下させることができ、結果として黒表示における輝度の低下、コントラストの向上が得られる。
ところで、第7の参考例と第1の実施例とでは動作の結果は同じであるが、夫々の駆動波形を実現するための回路構成が異なっている。以下、図面を参照しながらこれらの実施例及び参考例における回路構成及びその動作について説明する。図18(a)及び(b)は夫々第1の参考例及び第1の実施例並びに第7の参考例の予備放電パルスに対する回路動作を説明する模式図である。
プラズマディスプレイパネルでは、誘電体層9を介して走査電極2と維持電極3とが併設されているため、放電で流れる電流を無視すれば、回路構成としては、走査電極2及び維持電極3を電極とするコンデンサが構成されているものと捉えることができる。従って、図18においては、プラズマディスプレイパネルをパネル容量成分Cとして表記している。また、データ電極5は図示していない。
先ず、第1の参考例における回路の動作について説明する。図18(a)において、予備放電パルスPps及びPpcが印加される前にはスイッチSss及びSscのみが閉じられ、走査電極2及び維持電極3の電位はともにVsとなっている。次に、スイッチSss及びSscが開かれ、スイッチCSps及びSpcが閉じられる。これにより、維持電極3の電位は直ちにVpc(=0V)に変化する。一方、スイッチCSpsは鋸歯状波のパルスを印加するための制御されたスイッチであるため、走査電極2には鋸歯状の予備放電パルスPpsが印加される。走査電極2の電位がVpsに到達した後、スイッチCSps及びSpcは開かれ、スイッチSss及びSscが閉じられることにより、走査電極2及び維持電極3の電位は共に一旦Vsとなる。その後、予備放電消去へと移行する。
次に、第7の参考例における回路の動作について説明する。図18(b)において、第1の参考例と同様に、初期状態においてはスイッチSss及びSscが閉じられ、走査電極2及び維持電極3の電位は共にVsとなっている。次に、スイッチSss及びSscが開かれ、スイッチCSps及びSpcfが閉じられる。これにより、維持電極3の電位は直ちにVpc(=0V)に変化する。一方、スイッチCSpsは鋸歯状波を印加するための制御されたスイッチであるため、走査電極2には鋸歯状の予備放電パルスPpsが印加される。この後、予備放電パルスの途中においてスイッチSpcfが開かれ、スイッチSpcsが閉じられることにより、維持電極3の電位はVpcsへと変化する。そして走査電極2の電位がVpsに到達した後、スイッチCSps及びSpcsが開かれ、スイッチSss及びSscが閉じられることにより走査電極2及び維持電極3の電位は共に一旦Vsとなる。その後、予備放電消去へと移行する。
このように、第7の参考例の駆動波形を得るためには、第1の参考例に対してVpcsの電位を得るための電源及びスイッチSpcsの追加が必要である。
次に、第1の実施例における回路の動作について説明する。第1の実施例では、第1の参考例と同様の回路を使用することが可能である。図18(a)において、先ず、第1の参考例と同様に、初期状態において、スイッチSss及びSscが閉じられ、走査電極2及び維持電極3の電位は共にVsとなっている。次に、スイッチSss及びSscが開かれ、スイッチCSps及びSpcfが閉じられる。これにより、維持電極3の電位は直ちにVpc(=0V)に変化する。一方、スイッチCSpsは鋸歯状波を印加するための制御されたスイッチであるため、走査電極2には鋸歯状の予備放電パルスPpsが印加される。この後、予備放電パルスの途中においてスイッチSpcfが開かれる。これにより、維持電極3に接続された全てのスイッチが開かれたこととなり、維持電極3は浮遊電位となる。一方、走査電極2には引き続き鋸歯状の予備放電パルスPpsが印加され、徐々にその電位が上昇する。この結果、走査電極2及び維持電極3はパネルの容量成分を介して互いに容量結合されているため、浮遊電位である維持電極3の電位は走査電極2の電位上昇に伴って上昇する。これにより、維持電極3には見かけ上、鋸歯状の第2の予備放電パルスPpcsが印加されることとなる。そして、走査電極2の電位がVpsに到達した後、スイッチCSpsが開かれ、スイッチSss及びSscが閉じられることにより走査電極2及び維持電極3の電位は共に一旦Vsとなる。その後、予備放電消去へと移行する。
このように、第1の実施例に係る駆動方法では、第1の参考例に対して何ら回路の追加をすることなく第7の参考例と同様の黒表示における輝度の減少を得ることができ、コストの面において第7の参考例よりもさらに有利である。
第1の実施例においては、一例として対向放電が発生した後に面放電を停止するように第2の予備放電パルスPpcsの電位Vpcs及び印加タイミングを設定しているが、第7の参考例と同様に、対向放電が発生する前に面放電が停止した場合でも、安定した対向放電を得ることができる。
次に、本発明の第8の参考例について説明する。図19は本発明の第8の参考例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法を示すタイムチャートである。図19には予備放電期間のみを示しているが、その後には、第1の参考例と同様に、選択操作期間、維持期間及び維持消去期間が設けられている。なお、この第8の参考例においても、走査電極2及び維持電極3からなる面電極の基準電位を維持期間において放電を維持するための維持電圧Vsとする。従って、走査電極2及び維持電極3の電位については、維持電圧Vsより高い電位を正極性、低い電位を負極性と表現する。維持電圧Vsは、例えば170V程度である。また、データ電極5の電位は0Vを基準とする。
第8の参考例により駆動されるプラズマディスプレイパネルの構造も第1の参考例により駆動されるものと同様であり、面電極間の放電開始閾電圧は250V、放電空間に活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間の放電開始電圧は350Vとなっている。
本参考例においては、先ず、予備放電期間において、走査電極2に到達電位がVpsの正極性で鋸歯状の予備放電パルスPpsを印加する。一方、維持電極3には電位がVpcの矩形の予備放電パルスPpcを印加する。更に、データ電極5には到達電位がVpdの負極性で鋸歯状の予備放電パルスPpdを予備放電パルスPps及びPpcから遅れて印加する。各予備放電パルスの印加による面電極間の到達電位差は、面電極間、即ち走査電極2と維持電極3との間の放電開始閾電圧を超えるように設定しておき、対向電極間の到達電位差は、放電空間内にイオン及び電子等の活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間、即ち走査電極2とデータ電極5との間の放電開始電圧を超えるように設定しておく。また、いずれの到達電位差も面電極間の放電が対向電極間の放電の直近に先行して起こるように設定しておく。従って、例えばVpsを360V、Vpcを0V、Vpdを−40Vとする。更に、予備放電パルスPpdについては、その印加のタイミングが走査電極2の電位が360Vになったときとなるようにそのパルス幅等を調節しておく。
このように設定すると、予備放電パルスPpsの電位が250Vになった時点で、走査電極2と維持電極3との間の電位差は250Vとなり面電極間に弱い放電が持続的に発生する(時刻t1)。その後、予備放電パルスPpsの電位が350Vとなると、走査電極2とデータ電極5間の対向電極間電位差が350Vとなる。このとき、放電空間内には面放電によって形成された多量の活性粒子が存在するため、走査電極2とデータ電極5間に弱い対向放電が持続的に安定して発生する(時刻t2)。更に、予備放電パルスPpsの電位が360Vになると、それ以降走査電極2の電位は保持されるため走査電極2と維持電極3との間の面電位差も一定となり面放電は停止する(時刻t3)。一方、走査電極2の電位が360Vとなった時点からデータ電極5には負極性の予備放電パルスPpdが印加されるため、走査電極2とデータ電極5との間の対向電位差は上昇し続け、それに伴って対向放電も持続して発生する。その後、データ電極5の電位が−40Vとなり、対向電位差が400Vとなった時点で放電は停止する(時刻t4)。
走査電極2には予備放電パルスPpsの印加に続いて鋸歯状で負極性の予備放電消去パルスPpeを印加する。予備放電消去パルスPpeの到達電位Vpeは、例えば0Vに設定しておく。このとき、維持電極3の電位は維持電圧Vsに固定しておく。また、データ電極5の電位は0Vに固定しておく。予備放電消去パルスPpeの印加により、面電極間に予備放電とは逆極性の放電が発生し、走査電極2及び維持電極3上に形成された壁電荷は消去される(時刻t5)。なお、予備放電期間における壁電荷の消去には、選択操作及び維持放電等の次の工程における動作が良好に行われるための壁電荷の調整も含まれる。
その後、第1の参考例と同様に、選択操作期間において放電セルの選択を行い、維持期間に放電による表示発光を得、更に維持消去期間に放電を停止することにより、第1の参考例と同様の表示動作を行うことが可能である。
本参考例においても、予備放電期間内に対向放電を発生させることによりデータ電極5上に正の壁電荷を形成することが可能である。この結果、データ電圧Vdの低減及び選択操作期間の短縮等が可能である。
本参考例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法では、走査電極2と維持電極3との間の面電極間電位差、及び走査電極2とデータ電極5との間の対向電極間電位差の変化は第1の実施例におけるそれらと同様であり、結果として黒表示での輝度を減少させることができる。また、本参考例によれば、各電極に印加する電位の内の最高電位であるVpsを第7の参考例及び第1の実施例のそれに比べて低く設定することが可能である。このため、耐電圧の低い部品を使うことにより全体としての回路コストを低く抑えることも可能となる。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。図20は本発明の第2の実施例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法を示すタイムチャートである。図20には予備放電期間のみを示しているが、その後には、第1の参考例と同様に、選択操作期間、維持期間及び維持消去期間が設けられている。なお、この第2の実施例においても、走査電極2及び維持電極3からなる面電極の基準電位を維持期間において放電を維持するための維持電圧Vsとする。従って、走査電極2及び維持電極3の電位については、維持電圧Vsより高い電位を正極性、低い電位を負極性と表現する。維持電圧Vsは、例えば170V程度である。また、データ電極5の電位は0Vを基準とする。
第2の実施例により駆動されるプラズマディスプレイパネルの構造も第1の参考例により駆動されるものと同じであり、面電極間の放電開始閾電圧は250V、放電空間に活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間の放電開始電圧は350Vとなっている。
本実施例においては、先ず、予備放電期間において、走査電極2に到達電位がVpsの正極性で鋸歯状の予備放電パルスPpsを印加する。一方、維持電極3には電位がVpcfの矩形の第1の予備放電パルスPpcfと鋸歯状の第2の予備放電パルスPpcsを連続して印加する。このとき、予備放電パルスPps及び第2の予備放電パルスPpcsの傾きは互いにほぼ同等にしておく。また、データ電極5の電位は0Vとしておく。各予備放電パルスの印加による面電極間の到達電位差は、面電極間、即ち走査電極2と維持電極3との間の放電開始閾電圧を超えるように設定しておき、対向電極間の到達電位差は、放電空間内にイオン及び電子等の活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間、即ち走査電極2とデータ電極5との間の放電開始電圧を超えるように設定しておく。また、いずれの到達電位差も面電極間の放電が対向電極間の放電の直近に先行して起こるように設定しておく。従って、例えばVpsを400V、Vpcfを80V、Vpcsを120Vとする。更に、第2の予備放電パルスPpcsの印加のタイミングが走査電極2の電位が360Vになったときとなるように、第1の予備放電パルスPpcfのパルス幅を調節しておく。
このように設定すると、予備放電パルスPpsの電位が330Vになった時点で、走査電極2と維持電極3間の電位差は250Vとなり面電極間に弱い放電が持続的に発生する(時刻t1)。その後、予備放電パルスPpsの電位が350Vとなると、走査電極2とデータ電極5との間の対向電極間電位差が350Vとなる。このとき、放電空間内には面放電によって形成された多量の活性粒子が存在するため、走査電極2とデータ電極5との間に弱い対向放電が持続的に安定して発生する(時刻t2)。更に、予備放電パルスPpsの電位が360Vになると、維持電極3には第2の予備放電パルスPpcsが印加される。このとき、第2の予備放電パルスPpcsの傾きは予備放電パルスPpsのそれとほぼ同等であるため、これ以降走査電極2と維持電極3との間の面電位差は変化せず一定となるため、面放電は停止する(時刻t3)。一方、一旦発生した対向放電はそれ自身の形成する活性粒子により面放電が停止した後も安定して持続し、予備放電パルスPpsの電位がVpsに達した時点で、電位差の変化の停止に伴って停止する(時刻t4)。
走査電極2には予備放電パルスPpsの印加に続いて鋸歯状で負極性の予備放電消去パルスPpeを印加する。予備放電消去パルスPpeの到達電位Vpeは、例えば0Vに設定しておく。このとき、維持電極3の電位は維持電圧Vsに固定しておく。また、データ電極5の電位は0Vに固定しておく。予備放電消去パルスPpeの印加により、面電極間に予備放電とは逆極性の放電が発生し、走査電極2及び維持電極3上に形成された壁電荷は消去される(時刻t5)。なお、予備放電期間における壁電荷の消去には、選択操作及び維持放電等の次の工程における動作が良好に行われるための壁電荷の調整も含まれる。
その後、第1の参考例と同様に、選択操作期間において放電セルの選択を行い、維持期間に放電による表示発光を得、更に維持消去期間に放電を停止することにより、第1の参考例と同様の表示動作を行うことが可能である。
本実施例においても、予備放電期間内に対向放電を発生させることによりデータ電極5上に正の壁電荷を形成することが可能である。この結果、データ電圧Vdの低減及び選択操作期間の短縮等が可能である。
本実施例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、第1の予備放電パルスPpcfの電位Vpcfが80Vとなっていること以外の事項については、第1の実施例とほぼ同様である。しかしながら、第1の実施例では予備放電パルスPpsによる走査電極2の電位が250Vから360Vに変化する期間で面電極間での放電が発生しているのに対し、本実施例では電位が330Vから360Vに変化する期間のみで面電極間での放電が発生する。この結果、より一層黒表示における輝度を減少させることが可能となる。
また、本実施例に関しても、第1の実施例と同様に、第2の予備放電パルスPpcsを印加するために新たな回路を付加する必要はない。更に、電圧上昇時の第2の予備放電パルスPpcsの傾きは予備放電パルスPpsの傾きと同等である必要はなく、予備放電パルスPpsの傾きよりも小さい場合であっても、黒輝度を減少させる効果があることはいうまでもない。
次に、本発明の第3の実施例について説明する。図21は本発明の第3の実施例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法を示すタイムチャートである。図21には予備放電期間のみを示しているが、その後には、第1の参考例と同様に、選択操作期間、維持期間及び維持消去期間が設けられている。また、図22は第3の実施例における走査電極2と維持電極3又はデータ電極5との間の各電位差及び放電の様子を模式的に示すタイムチャートである。なお、本実施例においても、走査電極2及び維持電極3からなる面電極の基準電位を維持期間において放電を維持するための維持電圧Vsとする。従って、走査電極2及び維持電極3の電位については、維持電圧Vsより高い電位を正極性、低い電位を負極性と表現する。維持電圧Vsは、例えば170V程度である。また、データ電極5の電位は0Vを基準とする。
本実施例により駆動されるプラズマディスプレイパネルの構造は第4の参考例により駆動されるものと同様であり、カラー表示を行うために、複数の蛍光体、実際には赤、緑及び青の3種類の蛍光体が塗り分けられている。このため、面電極間の放電開始閾電圧は全ての放電セルで250Vと一定であるが、放電空間に活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間の放電開始電圧は赤及び青の放電セルでは330V、緑の放電セルでは390Vとなっている。
本実施例においては、先ず、予備放電期間において、走査電極2に到達電位がVpsの正極性で鋸歯状の予備放電パルスPpsを印加する。一方、維持電極3には電位がVpcfの矩形の第1の予備放電パルスPpcf、鋸歯状の第2の予備放電パルスPpcs、及び電位がVpctの矩形の第3の予備放電パルスPpctを連続して印加する。このとき、予備放電パルスPps及び第2の予備放電パルスPpcsの各傾きは互いにほぼ同等になっている。また、データ電極5には電位がVpdで矩形の予備放電パルスPpdを印加する。各予備放電パルスの印加による面電極間の到達電位差は、面電極間、即ち走査電極2と維持電極3との間の放電開始閾電圧を超えるように設定しておき、対向電極間の到達電位差は、放電空間内にイオン及び電子等の活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間、即ち走査電極2とデータ電極5との間の放電開始電圧を超えるように設定しておく。また、いずれの到達電位差も面電極間の放電が対向電極間の放電の直近に先行して起こるように設定しておく。従って、例えばVpsを350V、Vpcfを0V、Vpctを40V、Vpdを−70Vとする。さらに、第2の予備放電パルスPpcsの印加のタイミングが予備放電パルスPpsにより走査電極2の電位が270Vになったときとなるように、第1の予備放電パルスPpcfのパルス幅を調節しておく。また、第3の予備放電パルスPpctの印加タイミングが予備放電パルスPpsにより走査電極2の電位が310Vになったときとなるように、第2の予備放電パルスPpcsのパルス幅を調整しておく。
このように設定すると、予備放電パルスPpsの電位が250Vになった時点で、走査電極2と維持電極3間の電位差は250Vとなり面電極間に弱い放電が持続的に発生する(時刻t1)。その後、予備放電パルスPpsの電位が260Vになると、走査電極2とデータ電極5との間の対向電極間電位差が330Vとなる。このとき、放電空間内には面放電によって形成された多量の活性粒子が存在するため、赤及び青の放電セルにおいては走査電極2とデータ電極5との間に弱い対向放電が持続的に安定して発生する(時刻t2)。更に、予備放電パルスPpsの電位が270Vになると、維持電極3には第2の予備放電パルスPpcsが印加される。このとき、第2の予備放電パルスPpcsの傾きは予備放電パルスPpsのそれとほぼ同等であるため、これ以降、走査電極2と維持電極3との間の面電位差は変化せず一定となるため、面放電は停止する(時刻t3)。一方、赤及び青の放電セルで一旦発生した対向放電は、それ自身が形成する活性粒子により面放電が停止した後も安定して持続する。更に、予備放電パルスPpsが310Vになると第3の予備放電パルスPpctが維持電極3に印加され、再び走査電極2と維持電極3との間の面電位差が増加する。このため、面電極間に弱い放電が持続的に発生する(時刻t4)。その後、予備放電パルスPpsの電位が320Vとなると、走査電極2とデータ電極5との間の対向電極間電位差が390Vとなる。このとき、放電空間内には面放電によって形成された多量の活性粒子が存在するため、緑の放電セルにおいても走査電極2とデータ電極5との間に弱い対向放電が持続的に安定して発生する(時刻t5)。最後に予備放電パルスPpsの電位が350Vに達した時点で全ての放電が停止する(時刻t6)。
走査電極2には予備放電パルスPpsの印加に続いて鋸歯状で負極性の予備放電消去パルスPpeを印加する。予備放電消去パルスPpeの到達電位Vpeは、例えば0Vに設定しておく。このとき、維持電極3の電位は維持電圧Vsに固定しておく。また、データ電極5の電位は0Vに固定しておく。予備放電消去パルスPpeの印加により、面電極間に予備放電とは逆極性の放電が発生し、走査電極2及び維持電極3上に形成された壁電荷は消去される(時刻t7)。なお、予備放電期間における壁電荷の消去には、選択操作及び維持放電等の次の工程における動作が良好に行われるための壁電荷の調整も含まれる。
その後、第1の参考例と同様に、選択操作期間において放電セルの選択を行い、維持期間に放電による表示発光を得、更に維持消去期間に放電を停止することにより、第1の参考例と同様の表示動作を行うことが可能である。
本実施例においても、予備放電期間内に対向放電を発生させることによりデータ電極5上に正の壁電荷を形成することが可能である。この結果、データ電圧Vdの低減及び選択操作期間の短縮等が可能である。
本実施例によれば、第2の予備放電パルスPpcsを印加している間は面放電が停止しているため、第2の予備放電パルスPpcs及び第3の予備放電パルスPpctを印加しない場合に比べて全体の放電量は減少しており、黒表示の輝度を低下させることができる。また、対向放電の開始電圧が異なる放電セルの夫々について、先行して面放電による活性粒子の供給が行われるため、全ての放電セルにおいて安定して弱い対向放電を発生させることが可能である。なお、本実施例では全てのデータ電極5に同一の予備放電パルスPpdを印加しているため、第4の参考例における構造のパネルだけでなく、1本のデータ電極5上に複数の種類の蛍光体が塗布されたパネルにも適用可能である。
次に、本発明の第9の参考例について説明する。図27は本発明の第9の参考例に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法を示すタイムチャートである。図27には予備放電期間のみを示しているが、その後には、第1の参考例と同様に、選択操作期間、維持期間及び維持消去期間が設けられている。また、図28は第9の参考例における走査電極2と維持電極3又はデータ電極5との間の各電位差及び放電の様子を模式的に示すタイムチャートである。なお、本参考例においても、走査電極2及び維持電極3からなる面電極の基準電位を維持期間において放電を維持するための維持電圧Vsとする。従って、走査電極2及び維持電極3の電位については、維持電圧Vsより高い電位を正極性、低い電位を負極性と表現する。維持電圧Vsは、例えば170V程度である。また、データ電極5の電位は0Vを基準とする。
本参考例により駆動されるプラズマディスプレイパネルの構造は第4の参考例により駆動されるものと同様であり、カラー表示を行うために、複数の蛍光体、具体的には、例えば赤、緑及び青の3種類の蛍光体が塗り分けられている。このため、面電極間の放電開始閾電圧は全ての放電セルで250Vと一定であるが、放電空間に活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間の放電開始電圧は赤及び青の放電セルでは330V、緑の放電セルでは390Vとなっている。
本参考例においては、先ず、予備放電期間において、走査電極2に到達電位がVpsの正極性で鋸歯状の予備放電パルスPpsを印加する。一方、維持電極3には電位がVpcの矩形の予備放電パルスPpcfを印加する。また、データ電極5には電位がVpdで矩形の予備放電パルスPpdを印加する。各予備放電パルスの印加による面電極間の到達電位差は、面電極間、即ち走査電極2と維持電極3との間の放電開始閾電圧を超えるように設定しておき、対向電極間の到達電位差は、放電空間内にイオン及び電子等の活性な粒子が多量に存在する場合の対向電極間、即ち走査電極2とデータ電極5との間の放電開始電圧を超えるように設定しておく。また、いずれの到達電位差も面電極間の放電が対向電極間の放電の直近に先行して起こるように設定しておく。従って、例えばVpsを420V、Vpcを0Vとする。また赤及び青の蛍光体層8が形成された放電セル12に対応するデータ電極5に印加する予備放電パルスPpdr及びPpdbの各電位Vpdr、Vpdbは共に60Vとし、緑の蛍光体層8が形成された放電セル12に対応するデータ電極5に印加する予備放電パルスPpdgの電位Vpdgは0V、即ちパルスを印加しない状態とする。更に、予備放電パルスPpdr及びPpdbの印加のタイミングは予備放電パルスPpsにより走査電極2の電位が360Vになったときとなるように調節しておく。
このように設定すると、予備放電パルスPpsの電位が250Vになった時点で、走査電極2と維持電極3間の電位差は250Vとなり面電極間に弱い放電が持続的に発生する(時刻t1)。その後、予備放電パルスPpsの電位が330Vになると、走査電極2とデータ電極5との間の対向電極間電位差が330Vとなる。このとき、放電空間内には面放電によって形成された多量の活性粒子が存在するため、赤及び青の放電セルにおいては走査電極2とデータ電極5との間に弱い対向放電が持続的に安定して発生する(時刻t2)。更に、予備放電パルスPpsの電位が360Vになると、データ電極5には予備放電パルスPpdr及びPpdbが印加される。これにより赤及び青の放電セルにおける走査電極2とデータ電極5との間の対向電位差は減少し、これ以降当該放電セル12における対向放電は停止する(時刻t3)。その後、予備放電パルスPpsが390Vになると緑の放電セルにおいては走査電極2とデータ電極5との間の対向電極間電位差が390Vとなる。このとき、放電空間内には面放電によって形成された多量の活性粒子が存在するため、緑の放電セルにおいては走査電極2とデータ電極5との間に弱い対向放電が持続的に安定して発生する(時刻t4)。最後に予備放電パルスPpsの電位が420Vに達した時点で全ての面放電及び緑のセルにおける対向放電が停止する(時刻t5)。
走査電極2には予備放電パルスPpsの印加に続いて鋸歯状で負極性の予備放電消去パルスPpeを印加する。予備放電消去パルスPpeの到達電位Vpeは、例えば0Vに設定しておく。このとき、維持電極3の電位は維持電圧Vsに固定しておく。また、データ電極5の電位は0Vに固定しておく。予備放電消去パルスPpeの印加により、面電極間に予備放電とは逆極性の放電が発生し、走査電極2及び維持電極3上に形成された壁電荷は消去される。なお、予備放電期間における壁電荷の消去には、選択操作及び維持放電等の次の工程における動作が良好に行われるための壁電荷の調整も含まれる。
その後、第1の参考例と同様に、選択操作期間において放電セルの選択を行い、維持期間に放電による表示発光を得、更に維持消去期間に放電を停止することにより、第1の参考例と同様の表示動作を行うことが可能である。
本参考例においても、予備放電期間内に対向放電を発生させることによりデータ電極5上に正の壁電荷を形成することが可能である。この結果、データ電圧Vdの低減及び選択操作期間の短縮等が可能である。
本参考例によれば、予備放電パルスPpdr及びPpdbの印加により赤、青の放電セルにおける対向放電が停止するため、予備放電パルスPpdを印加しない場合に比べて全体の放電量は減少しており、黒表示の輝度を低下させることができる。また、赤及び青の放電セルでは予備放電パルスPpsの電位が330V乃至360V、緑の放電セルでは390V乃至420Vの期間において対向放電が発生するため、全ての放電セルでほぼ同量の放電量に制御することが可能である。これにより対向放電の開始閾電圧が異なる放電セルにおいて、ほぼ同量の壁電荷を形成することが可能であり、以降の選択操作期間における選択放電の安定性がより高くなる。更に、各色の放電セルでの全放電量がほぼ同量となるため、黒画面における放電量の差を起因とする着色が発生しないという利点もある。
なお、これらの参考例においては、表示を行う放電セルで選択操作期間において放電を発せさせて壁電荷を形成する書き込み選択型の駆動方法を採用している。一方、他の駆動方法として、予備放電期間において壁電荷を形成し、表示を行わない放電セルについて選択操作期間において放電を発生させて壁電荷を消去する方法、所謂消去選択型の駆動方法がある。消去選択型の駆動方法についても、選択操作期間において安定した確実な放電を発生させるためには、予備放電期間において安定した壁電荷を形成することが重要であり、本発明の適用により駆動特性の改善やデータ電圧の低減及びコントラストの改善を得ることができる。
更に、本発明は上記実施例に直接に示した方法に限定されるものではなく、各々を適宜組み合わせることにより適用することが可能であることはいうまでもない。