JP4653964B2 - Dlc膜の成膜方法およびdlc成膜物 - Google Patents

Dlc膜の成膜方法およびdlc成膜物 Download PDF

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本発明は、試作用金型、工具、ハードディスク、半導体製造部品および自動車部品等の産業用部品を基材として、その表面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を成膜する方法およびダイヤモンドライクカーボンの成膜物に関し、より詳細にはパルスプラズマイオン注入・成膜法(Plasma−Based Ion Implantation and Deposition; PBIID)に基づくものである。
DLCは、低摩擦性、耐磨耗性および耐食性等の特性を有することから、試作用金型、工具、ハードディスクおよび自動車における各種摺動部品等の保護皮膜として広く使用されるようになってきている。
そして、従来、DLCを成膜する方法としては、一般にプラズマCVD法が用いられ、該方法は、真空チャンバー内に原料ガスを導入した後、高周波放電(容量結合型プラズマ励起方式と誘導結合型プラズマ励起方式等)やマイクロ波放電により活性なラジカルやイオンを生じさせて、基材にDLC膜を成膜するものである。
より具体的には、例えば高周波放電を用いたプラズマCVD法では、図10に示すように、チャンバー51の両側壁51aに互いに対向する凹所52を設け、該凹所52内に電極53・54を配置し、その一側の電極54にプラズマ発生用高周波電源55を接続する一方、チャンバー51の上壁51b中央に取り付けたフィードスルー56から導体57を垂下させて、その先端に基材58を取り付けることにより、前記両電極53・54間に基材58を配し、次に、前記フィードスルー56に高電圧パルス発生用電源59を接続した上、真空装置61によりバルブ62を介してチャンバー51内を真空状態とした後、ガス供給装置63からバルブ64を介して原料ガスをチャンバー51内に導入し、プラズマ発生用高周波電源55より電極54に高周波電力を印加してチャンバー51内にプラズマを発生させる一方、高電圧パルス発生用電源59より導体57を介して基材58に負の高電圧パルスを印加することにより、最終的に基材58表面にDLC膜を成膜していた。
しかしながら、前述したDLC成膜の場合、プラズマはチャンバー51一側の電極54付近に発生し、基材58から離れた位置でプラズマが発生することとなる。そのため、プラズマを基材58の位置まで輸送する手段が別途必要になる上、輸送途中でプラズマが発散してプラズマ密度が低下する結果、プラズマによるイオン注入効率が低いという問題があった。
更に、基材58が凹所58aを有するホロー形状である場合には、プラズマが電極(アンテナ)53・54から拡散到達するので、該プラズマは基材58の形状に沿って均一に分布せず、また基材58の内側にはプラズマが拡散侵入し難い。そして、プラズマを基材58の内側へ強引に侵入させようとすると、プラズマ生成が連続であるので、ガス圧やパルス電圧値・パルス幅の条件によって、所謂ホローカソード現象に移行し、前記凹所58a内におけるプラズマ密度が基材58外側周辺のプラズマ密度よりも非常に高くなることから、図11に示すように、特に凹所58aの底部においてDLC膜60が厚く成膜される一方、凹所58aの側壁部分ではDLC膜60が薄く成膜され、内側内周・外側形状ともに均一なDLC成膜が行えないという問題があった。
この他、プラズマCVDによるDLC膜の密着性を高めるために、基材とDLC膜との間に、単一または複数成分よりなる中間層を設けたり、或いは基材に別途熱処理やスパッタリングによる微細な凹凸表面加工等を施すことも行われているが、これらの方法では、成膜工程が複雑になると共に成膜に長時間を要する他、DLC膜自体を厚くするのが難く、また厚く成膜した場合には膜中の残留応力によってDLC膜が剥離し易いという欠点があった。
更にまた、基材が亜鉛合金やアルミニウム合金等の低融点合金である場合には、補助加熱やプラズマ発生に伴う温度上昇によって、基材自体が変質・変形(歪み)するおそれもあった。
そして、従来のDLC成膜では、基材表面にDLC膜を均一に成膜するために、成膜中に基材を適当に回転させる必要があり、また基材へのイオン注入とDLC成膜をそれぞれ別々の装置で行うため、イオン注入後に基材をDLC成膜用の装置に移す必要があることから、DLC成膜に多くの手間と時間がかかるという問題があった。
この他、炭化水素を含有するガス雰囲気中におけるプラズマ重合処理によりDLC膜を被覆した金属部材において、クロムまたはチタンを主体とする下層と、シリコンまたはゲルマニウムを主体とする上層とからなる中間層を前記金属部材と前記DLC膜との間に介在させた金属部材が知られている。
しかしながら、前記金属部材における中間層を介したDLC膜の場合、バイアス電圧が低く、イオンエネルギーを有効に利用していないため、基材となる金属部材と中間層とDLC膜とが明確な積層構造となり、そのため基材である金属部材に対するDLC膜の被覆強度が低く、従って、金属部材をピストン等の摺動部品に使用した場合にはDLC膜が破損して金属部材から剥離するおそれがあった。
本願の出願人は、先に、共通のフィードスルーを介してプラズマ発生用電源と高電圧パルス発生用電源とにより、基材に高周波パルスと負の高電圧パルスとを重畳的に印加する表面改質装置および改質方法を開発している。
そして、前記特許出願は、基材の外形に沿ってプラズマを発生させる一方、該基材に負の高電圧パルスを印加することにより、前記プラズマ中のイオンを誘引させて基材に注入する誘引注入および基材に薄膜を形成する誘引堆積並びに基材をスパッタクリーニングする誘引衝突を行うものであるが、本発明は前記特許出願における装置を用いて、基材表面にDLC膜を高密着で厚く成膜すると共に膜内の残留応力を低減させることができるDLC膜の成膜方法およびDLC成膜物を提供することを目的とするものである。
特開2001−26887号公報 特許19408883号公報
請求項1記載のDLC膜の成膜方法は、少なくとも一以上の炭化水素系ガスを用いて、パルスプラズマによる、イオン注入プロセスと成膜プロセスとを組み合わせた複合プロセスによって、基材表面にDLC膜を成膜することを技術的特徴とするものである。
本明細書において、「DLC」とはダイヤモンドライクカーボンを意味する。
前記基材には、DLC成膜が必要なあらゆる完成品や部品等が含まれ、具体的には試作用金型、工具、ハードディスク、半導体製造用部品、ゴルフクラブヘッドおよび自動車部品等が挙げられる。
また、基材は、金属等の導電性材料の他、プラスチック、ゴムおよびセラミックス等の絶縁性材料であっても良い。
請求項2記載のDLC膜の成膜方法は、前記請求項1記載の成膜方法について、その複合プロセスの前にパルスプラズマによる表面調整プロセスを設けるものである。
請求項3記載のDLC膜の成膜方法は、プラズマ発生用高周波電源と高電圧パルス発生用電源とを、共通のフィードスルーを介してチャンバー内の基材に接続しておき、前記プラズマ発生用高周波電源から基材に高周波パルスを印加して基材の外形に沿って周囲にプラズマを発生させ、そのプラズマ中またはアフターグロープラズマ中に高電圧パルス発生用電源から基材に負の高電圧パルスを少なくとも1回印加し、且つこれら高周波パルスの印加と高電圧パルスの印加とを繰り返し行うことにより、前記請求項1記載のパルスプラズマによるイオン注入プロセスおよび成膜プロセス、或いは更に請求項2記載の表面調整プロセスを実行することを特徴とするものである。
なお、前記高周波パルスの印加と高電圧パルスの印加との繰り返し数は、例えば100回/秒〜5000回/秒程度である。
請求項4記載のDLC膜の成膜方法は、前記請求項3記載の成膜方法について、高周波パルス幅を2〜200μsの短パルスとし、高電圧パルス幅を0.2〜50μsの短パルスとし、且つ前記高周波パルスの印加中または印加直後から300μsまでの間に高電圧パルスを印加するものであるが、更に請求項5記載の通り、高周波パルス幅を5〜20μsの短パルスとし、高電圧パルス幅を1〜5μsの短パルスとし、且つ前記高周波パルスの印加直後から100μsまでの間に高電圧パルスを印加するのがより好適である。
請求項6記載のDLC膜の成膜方法は、前記請求項3〜請求項5のうちのいずれか一項記載の成膜方法について、パルスプラズマによるイオン注入プロセスおよび初期成膜段階での高電圧パルスの電圧を初期成膜段階以後の成膜段階における高電圧パルスの電圧よりも高く設定し、且つ前記高周波パルスと高電圧パルスの印加の繰り返し数を、前記初期成膜段階後の成膜段階でより多くすることを技術的特徴とするものである。
請求項7記載の成膜方法は、前記請求項6記載の成膜方法について、パルスプラズマイオン注入プロセスおよび初期成膜段階における高電圧パルスの電圧を20kVに設定し、それ以後の成膜段階における前記電圧を10kVに設定することを特徴とするものである。
請求項8記載のDLC膜の成膜方法は、前記請求項6または請求項7記載の成膜方法について、少なくともパルスプラズマイオン注入プロセスの後期から初期成膜段階の前期にかけて、不純物としてシランカップリング用剤を加えることを特徴とするものである。シランカップリング用剤としては、例えばアルコキシド系のものが挙げられ、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルシラン(TMS)、テトラエトオキシシリコン(TEOS)等が挙げられるが、特に前記ヘキサメチルジシロキサンが最も好適であり、またこの場合、成膜プロセスにおける初期成膜段階でのチャンバー内のガス圧を0.3〜0.5Paとし、その後の成膜段階でのガス圧を0.8〜3Paとするのが好ましい。
請求項10記載のDLC膜の成膜方法は、前記請求項2〜請求項9のうちのいずれか一項記載の成膜方法について、その表面調整用ガスとしてアルゴンとメタン或いは更に水素を含む混合ガスを用い、パルスプラズマイオン注入用ガスとしてメタンガスを用い、成膜用ガスとしてアセチレン、プロパン、ブタン、ヘキサン、ベンゼン、クロルベンゼン、トルエンからなる群より選ばれた一以上のガスを用いることを特徴とするものである。
すなわち、前記表面調整用ガスのうち、分子量の大きいアルゴンガスにおける分子衝突により基材表面をクリーニングすると共に、メタンガスにおける炭素原子および水素原子の基材表面への付着により、表面調整を行う。
そして、パルスプラズマイオン注入用ガスとしてメタンガスを用いて、炭素単原子を基材に注入した後、成膜用ガスとしてアセチレン、プロパン等の炭素2原子分子以上を基材に衝突させて成膜するのである。
請求項11記載のDLC膜の成膜方法は、請求項2〜請求項10のうちのいずれか一項記載の成膜方法について、パルスプラズマイオン注入用ガスとしてメタンガスを用いる前に窒素ガスを用いることを特徴とするものである。この場合、基材に注入された窒素原子は、その後に注入される炭素原子が基材中に拡散するのを防止する機能を有する。
請求項12記載のDLC膜の成膜方法は、前記請求項1〜請求項11のうちのいずれか一項記載の成膜方法について、基材を低融点合金とするものである。本発明の成膜方法では、基本的にパルスプラズマによって、イオン注入およびDLC成膜の各プロセスを行うため、成膜中における基材の温度を低く抑えることが可能となり、低融点合金へのDLC成膜が実現し得る。
請求項13記載のDLC膜の成膜方法は、前記請求項1〜請求項12のうちのいずれか一項記載の成膜方法について、基材が絶縁性材料である場合に、該基材を導電性材料からなるホルダーに保持した状態で各処理を行うことを特徴とするものである。
請求項14記載のDLC成膜物は、基材の表面にDLC膜が直接成膜されたDLC成膜物であって、基材の表面から所定深さまでに炭素原子が注入され、基材とDLC膜との界面には注入原子と炭素原子との傾斜層が形成され、前記基材中の注入原子とDLC膜の炭素原子とが共有結合されており、DLC膜中の炭素原子が整列されているものである。
請求項15記載のDLC成膜物は、前記請求項14記載の成膜物について、基材を、亜鉛合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金または鉄としたものである。
請求項16記載の本発明は、前記請求項3記載のDLC膜の成膜方法について、パルスプラズマによるイオン注入プロセスと成膜プロセスとを用いて、基材の表面に、チタンセラミック膜を介してDLC膜を成膜する方法であって、チタンセラミック膜形成用ガスとして有機チタンアルコシドを用い、基材にチタンを注入した後、基材表面にチタンセラミック膜を成膜し、次にDLC膜形成用ガスとして炭化水素系ガスを用い、前記チタンセラミック膜中に炭素を注入した後、前記チタンセラミック膜上にDLC膜を成膜することを特徴とするものである。
前記炭化水素系ガスとしては、メタン、エチレン、アセチレン、プロパン、ブタン、ヘキサン、ベンゼン、クロルベンゼン、トルエン等からなる群より選ばれた一以上のガスが挙げられる。
請求項17記載の本発明は、前記請求項3記載のDLC膜の成膜方法について、パルスプラズマによるイオン注入プロセスと成膜プロセスとを用いて、基材の表面にチタンセラミック膜およびシリコンセラミック膜を介してDLC膜を成膜する方法であって、チタンセラミック膜形成用ガスとして有機チタンアルコシドを用い、基材にチタンを注入した後、基材表面にチタンセラミック膜を成膜し、次に、シリコンセラミック膜形成用ガスとしてシランカップリング用剤を用い、前記チタンセラミック膜中にシリコンを注入した後、前記チタンセラミック膜上にシリコンセラミック膜を成膜し、その後、DLC膜形成用ガスとして炭化水素系ガスを用い、前記シリコンセラミック膜に炭素を注入した後、前記シリコンセラミック膜上にDLC膜を成膜することを特徴とするものである。
請求項18記載の本発明は、請求項16または請求項17記載のDLC膜の成膜方法について、パルスプラズマによるイオン注入プロセスおよび初期成膜段階での高電圧パルスの電圧を初期成膜段階以後の成膜段階における高電圧パルスの電圧よりも高く設定し、且つ前記高周波パルスと高電圧パルスの印加の繰り返し数を、前記初期成膜段階後の成膜段階でより多くすることを特徴とするものである。
請求項19記載の本発明は、前記請求項16〜請求項18のうちのいずれか一項記載のDLC膜の成膜方法について、基材へのチタン注入前に窒素注入を行うことを特徴とするものである。
請求項20記載の本発明は、前記請求項16〜請求項19のうちのいずれか一項記載のDLC膜の成膜方法について、有機チタンアルコシドが、テトライソプロポキシチタンであることを特徴とするものである。
また、有機チタンアルコシドとして、前述したテトライソプロポキシチタンの他、テトラ−n−ブトキシチタン等も好適である。
請求項21記載の本発明は、前記請求項16〜請求項20のうちのいずれか一項記載のDLC膜の成膜方法について、シランカップリング用剤がテトラメチルシランまたはヘキサメチルジシロキサンであることを特徴とするものである。
請求項22記載の本発明は、基材の表面に、チタンセラミック膜を介してDLC膜が成膜されたDLC成膜物であって、基材中から基材表面にかけてチタンセラミック膜が傾斜状に成膜され、該チタンセラミック膜中からその表面にかけてDLC膜が傾斜状に成膜され、且つ前記基材から前記DLC膜にかけて炭素原子が傾斜状に存在するものである。
請求項23記載の本発明は、前記請求項22記載のDLC成膜物について、チタンセラミック膜がTiOCXであることを特徴とするものである。
請求項24記載の本発明は、基材の表面に、チタンセラミック膜およびシリコンセラミック膜を介してDLC膜が成膜されたDLC成膜物であって、基材中から基材表面にかけてチタンセラミック膜が傾斜状に成膜され、該チタンセラミック膜中からその表面にかけてシリコンセラミック膜が傾斜状に成膜され、該シリコンセラミック膜中からその表面にかけてDLC膜が傾斜状に成膜され、且つ前記基材から前記DLC膜にかけて炭素原子が傾斜状に存在するものである。
請求項25記載の本発明は、前記請求項24記載のDLC成膜物について、チタンセラミック膜がTiOCXであり、シリコンセラミック膜がSiOCXであることを特徴とするものである。
請求項26記載の本発明は、前記請求項22〜請求項25のうちのいずれか一項記載のDLC成膜物について、基材が銅、真鍮、高炭素鋼、浸炭鋼、マグネシウム合金またはアルミニウム合金であることを特徴とするものである。
本発明に係るDLC膜の成膜方法は、基材の外形に沿って周囲に高密度の高周波パルスプラズマを発生させ、そのプラズマ中またはアフターグロープラズマ中に負の高電圧パルスを少なくとも1回印加し、且つこれら高周波パルスの印加と高電圧パルスの印加とを繰り返し行うことにより、基材に連続的にイオン注入およびDLC成膜を行うようにしたものであるため、従来のDLC成膜方法に比べて、効率的にDLC成膜が行え、また前記パルスプラズマを用いることにより、アルミニウム合金、亜鉛合金等の低融点合金へのDLC成膜も容易に行える。
更に、本発明のDLC成膜方法によれば、基本的に基材を回転させることなく、しかも一つの装置で連続的にイオン注入および成膜が行えるため、従来のDLC成膜方法に比べて、作業能率を大幅に向上させることが可能となる。
この他、本発明のDLC成膜方法は、短パルスによるイオン注入および成膜であるため、凹所を有する基材であっても、ホローカソード現象が生じ難く、均一なDLC膜形成が行える。
また、少なくともパルスプラズマ注入プロセスの後期から初期成膜段階の前期にかけて、不純物としてヘキサメチルジシロキサンを加える本発明のDLC成膜方法によれば、−C−Si−O−結合によって、DLC膜の基材への密着性を更に向上させることができる。
この他、前記イオン注入用ガスとして、メタンガスを用いる前に窒素ガスを用いる本発明によれば、基材中への窒素原子の注入により、その後に注入される炭素原子の基材内方への拡散が有効に防止され得る。
また、請求項1〜請求項13記載のDLC成膜方法によれば、基材とDLC膜との間に中間層を形成することなく、基材表面に直接、DLC膜を強固に形成することができ、しかも該DLC膜の残留応力も従来方法に比べて非常に低くすることが可能となるため、DLC膜が剥離し難い。
請求項14および請求項15記載のDLC成膜物は、基材の表面から所定深さまでに炭素原子が注入され、基材とDLC膜との界面には注入原子と炭素原子(DLC膜成分)との傾斜層が形成され、前記基材中の注入原子とDLC膜の炭素原子とが共有結合されており、且つDLC膜中の炭素原子が整列された構造であるため、前記共有結合によって、DLC膜の高密着性が得られ、且つ前記炭素原子の整列によって、DLC膜の残留応力が低下されることから、試作用金型や各種摺動部品等としての幅広い利用が期待できる。
請求項16〜請求項21記載のDLC成膜方法によれば、特に鉄系金属へのDLC成膜を強固に行うことができ、また従来非常に困難とされた高炭素鋼、浸炭鋼、或いは銅、真鍮、マグネシウム合金等へのDLC成膜も容易且つ強固に行えるという格別の利点がある。
請求項22〜請求項26記載のDLC成膜物によれば、基材に対して、チタンセラミック膜、或いは更にシリコンセラミック膜、そしてDLC膜が順次傾斜状に成膜されているため、基材に対するDLC膜の接着強度が非常に高い。
また、請求項23および請求項25記載のDLC成膜物では、TiOCXやSiOCXという酸素の結合力を利用した強固なDLC膜の性能が期待できる。
次に、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
先ず、DLC膜の成膜を行う装置の構成について説明する。
図1に示すように、DLC膜の成膜を行う装置は、基材1を収容するチャンバー2と、チャンバー2の下壁2aに接続されたガス供給用パイプ3と、ガス供給用パイプ3の先端寄り部分に取り付けられたガス導入用バルブ4と、チャンバー2の一側壁2bに接続された排気用パイプ5と、排気用パイプ5の先端寄り部分に取り付けられた排気用バルブ6と、チャンバー2の上壁10に取り付けられ、導体7を介して基材1に接続されたフィードスルー8と、フィードスルー8の上部に接続された後述する重畳装置9と、重畳装置9に接続されたプラズマ発生用電源11および高電圧パルス発生用電源12と、プラズマ発生用電源(高周波電源)11および高電圧パルス発生用電源12を制御するCPU13とを有する。
前記排気用パイプ5の基端側にはチャンバー2内を真空にするための真空装置14が接続されている。
前記ガス供給用パイプ3の基端側にはガス供給槽15が接続されており、ガス供給槽15内には後述するDLC成膜に必要な種々のガスが個別に貯蔵されている。また、ガス供給槽15からのガス供給はマスフローコントロール(図示せず)を用いて行う。
図2に示すように、重畳装置9は、フィードスルー8と高電圧パルス発生用電源12との間を結合すると共に、プラズマ発生用電源11と高電圧パルス発生用電源12との相互干渉を阻止する結合・相互干渉阻止回路16と、プラズマ発生用電源11と基材1とのインピーダンスを整合する整合回路部17とから構成されている。
結合・相互干渉阻止回路部16は、高電圧パルスによりアーク放電を生じさせ、回路を導通するためのギャップG1、プラズマ発生用電源11からの高周波電力が高電圧パルス発生用電源12に影響するのを阻止するためのダイオードDおよびコイルL1、更に高電圧パルス発生用電源12の高電圧パルスが、プラズマ発生用電源11に影響しないようにするための抵抗Rおよび保護ギャップG2を有する。なお、前記ギャップG1は、パルス印加電圧が低い場合には、短絡して使用することがある。この重畳装置9における結合・相互干渉阻止回路部16は、ダイオードDのカソード側が高電圧パルス発生用電源12に接続されている。また、抵抗Rの非接地側端が同軸ケーブル18により、プラズマ発生用電源11に接続されている。また、前記ダイオードDは省略しても良い。
整合回路部17は、共振用可変コンデンサC1と、インピーダンス変換用コンデンサC2と、高耐圧コンデンサC3と、コイルL2とから構成されている。前記コンデンサC2は前記抵抗Rに並列に接続されているので、非接地側端がやはり同軸ケーブル18により、プラズマ発生用電源11に接続されている。
高耐圧コンデンサC3のギャップG1側における端子は、フィードスルー8および基材1側のギャップG1導体に接続されている。
前記プラズマ発生用電源11は、CPU13による制御に基づいて基材1に高周波パルスを印加するものである。また高電圧パルス発生用電源12は、CPU13による制御に基づいて基材1に負の高電圧パルスを印加するものである。
(実施形態1)
前述した成膜装置を用いて、亜鉛合金からなる基材1の表面にDLC成膜を行う場合の一実施形態を説明する。
ステップ1: 先ず、真空装置14によりチャンバー2内を高真空状態とした後、該チャンバー2内にガス供給槽15よりアルゴンとメタンが50%ずつ混合されたガスを導入する。
次に、パルス幅25μsの高周波パルスを基材1に印加した後、その印加直後から65μsまでの間に、パルス幅5μsの高電圧パルスを10kVの電圧で基材1に一回印加する(図3参照)ことを約2000回/秒繰り返し、そして、この操作を約15分間行うことにより、基材1表面を調整する。
ステップ2: 次に、ガス供給槽15よりチャンバー2内(真空度0.3Pa)に窒素ガスを導入する。
その後、パルス幅25μsの高周波パルスを基材1に印加した後、その印加直後から65μsまでの間に、パルス幅5μsの高電圧パルスを20kVの電圧で基材1に一回印加することを約1000回/秒繰り返し、そして、この操作を約20分間行うことにより、基材1中の所定深さに窒素原子を注入する。
ステップ3: 次に、ガス供給槽15よりチャンバー2内(真空度0.4Pa)にメタンガスを導入する。
その後、パルス幅25μsの高周波パルスを基材1に印加した後、その印加直後から65μsまでの間に、パルス幅5μsの高電圧パルスを20kVの電圧で基材1に一回印加することを約1000回/秒繰り返し、そして、この操作を約30分間行うことにより、基材1中に先に注入された窒素原子の後に炭素原子を注入する。
また、前記操作の終了10分前ごろからチャンバー2内にガス状とされたヘキサメチルジシロキサンを導入する。
ステップ4の1: 次に、ガス供給槽15よりチャンバー2内(真空度0.4Pa)にアセチレンガスを導入する。
その後、パルス幅25μsの高周波パルスを基材1に印加した後、その印加直後から65μsまでの間に、パルス幅5μsの高電圧パルスを20kVの電圧で基材1に一回印加することを約1000回/秒繰り返し、そして、この操作を約30分間行うことにより、基材1表面に直鎖状炭素原子を衝突させて、そのイオン衝撃に伴う熱スパイク効果により、前記直鎖状炭素原子と前記ステップ3で基材1内に注入された炭素原子とを共有結合させる。
また、本ステップの開始から約10分間ヘキサメチルジシロキサンを導入する。すなわち、ヘキサメチルジシロキサンは、前記ステップ3の終了10分前から本ステップの開始後10分間導入される。
そして、このヘキサメチルジシロキサンの導入により、−C−Si−O−結合による基材と炭素原子との強固な結合が行われる。
ステップ4の2: その後、前記ステップ4の1と同様、ガス供給槽15よりチャンバー2内(真空度0.7Pa)にアセチレンガスを導入した上、パルス幅25μsの高周波パルスを印加すると共に、その印加直後から65μsまでの間に、パルス幅5μsの高電圧パルスを10kVの電圧で基材1に一回印加することを約2000回/秒繰り返し、そして、この操作を20分間行うことにより、基材1の表面にDLC成膜を行う。
ステップ5: 次に、ガス供給槽15よりチャンバー2内(真空度0.9Pa)にアセチレンとトルエンとが50%ずつ混合されたガスを導入し、パルス幅25μsの高周波パルスを基材1に印加した後、その印加直後から65μsまでの間に、パルス幅5μsの高電圧パルスを10kVの電圧で基材1に一回印加することを約4000回/秒繰り返し、そして、この操作を3時間行うことにより、DLC膜を構成する炭素原子に適度のイオン衝撃を与えて炭素原子を整列させつつ、DLC膜の厚さを急速に増加させることにより、最終的に基材1表面に残留応力が少なく且つ厚い(10〜100μm)DLC膜を強固に成膜する。
本実施形態における前記各ステップでは、高周波パルスの印加直後から所定のタイミングで高電圧パルスを一回だけ印加したが、図4に示すように、高電圧パルスを複数回印加する場合もある。また、前記高電圧パルスの印加も高周波パルスの印加直後でなく、印加中に行うこともある。
〔評価試験〕
スクラッチ試験: 亜鉛合金からなる板状の基材表面に、前記実施形態と同様のDLC成膜を行った試料について、スクラッチ速度10mm/min、負荷100N/min、ダイヤモンド針の先端半径0.2mmで実施したところ、図5に示すように、アコースティックエミッションの信号が増大する臨界荷重Lcは、10Nであった。この数値自体は高いものとは言えないが、当該スクラッチ試験後の試料表面をCCDカメラで観察したところ、試料表面のDLC膜は試料の基材表面から剥離せずに削り取られた状態となっており、DLC膜が強固に基材表面に密着していることが認められた。したがって、前記測定した臨界荷重の数値が高くなかったのは、試料の基材が柔らかい亜鉛合金であったため、当該スクラッチ試験の際、基材自体が変形した結果であると考えられる。
膜厚試験: 亜鉛合金からなる板状の基材表面の一部に、ポリイミドフィルムテープ(商品名:カプトン)を貼着し、前記実施形態と同様にDLC成膜を行った試料について、前記テープが貼着されてDLC成膜がなされなかった部分とそれ以外のDLC成膜がなされた部分との段差を段差計により測定したところ、図6に示すように、数μmの厚いDLC膜が測定された。
前記スクラッチ試験および膜圧試験の結果から、前記実施形態におけるパルスプラズマイオン注入プロセスおよび初期成膜段階では、高いイオンエネルギーによって、基材中にイオンを注入すると共に基材とDLC膜との界面に、イオン衝突に伴う加熱により注入原子とDLC膜を構成する炭素原子との傾斜層が形成され、成膜プロセスの初期成膜段階以後においては、それ以前よりも低下したイオンエネルギーの衝撃に伴う熱スパイクにより残留応力を抑制した高速成膜が行なわれ、最終的に図7のような構造のDLC成膜が行われたものと考えられる。
残留応力試験: 石英ガラスからなる短冊状の基材をホルダーで支持し、前記実施形態と同様の成膜装置を用いて、アセチレンガスとトルエンガスによるパルスプラズマを用いてDLC成膜を行った試料について、片持ち梁法により残留応力を計測した。
具体的には、図8に示すように、試料21を湾曲させて残留応力を計測したが、この場合、試料21の表面におけるDLC膜22が凸弧状に変形されるため、圧縮応力を計測することとなる。
そして、前記残力応力試験の結果は図9に示した通りであり、トルエンガスを用いたDLC膜の残留応力は、高電圧パルスの設定電圧の変化に影響され難く、残留応力値は大体0.35GPa程度であり、また、アセチレンガスを用いたDLC成膜の残留応力は、高電圧パルスの設定電圧を高くするほど減少することが認められ、設定電圧を15kVにした場合には、大体0.2GPa程度まで低下した。これは、従来の化学蒸着法(CVD)や物理的蒸着法(PVD)によって得られたDLC膜の残量応力が10GPa以上であることから、前記試験結果による残留応力は、10分の1以下と言える。
(実施形態2)
本実施形態は、高炭素鋼、浸炭鋼等の鉄系金属、或いは銅、真鍮、マグネシウム合金等からなる基材の表面にDLC膜を成膜するものである。
ステップ1: 先ず、真空装置14によりチャンバー2内を真空状態とした後、該チャンバー2内にガス供給槽15よりアルゴンと水素との混合ガスを導入する。
その後、パルス幅100μsの高周波パルスを基材1に印加した後、その印加直後から50μsまでの間に、パルス幅10μsの高電圧パルスを10kvの電圧で基材1に一回印加する(図3参照)ことを約2000回/秒繰り返し、そして、この操作を約30分間行うことにより、基材1表面の調整を行った。
ステップ2の1: 次に、ガス供給槽15よりチャンバー2内にメタンガスをキャリアガスとしてテトライソプロポキシチタンを導入した。
その後、パルス幅30μsの高周波パルスを基材1に印加した後、その印加直後から40μsまでの間に、パルス幅10μsの高電圧パルスを15kvの電圧で基材1に一回印加する(図3参照)ことを約1000回/秒繰り返し、そして、この操作を約30分間行った。
ステップ2の2: 次に、前記ステップ2の1と同様に、ガス供給槽15よりチャンバー2内にメタンガスをキャリアガスとしてテトライソプロポキシチタンを導入した。
その後、パルス幅30μsの高周波パルスを基材1に印加した後、その印加直後から100μsまでの間に、パルス幅10μsの高電圧パルスを10kvの電圧で基材1に一回印加する(図3参照)ことを約2000回/秒繰り返し、そして、この操作を約50分間行った。
ステップ3の1: 次に、ガス供給槽15よりチャンバー2内に、ヘキサメチルジシロキサンと水素との混合ガスを導入した。
その後、パルス幅30μsの高周波パルスを基材1に印加した後、その印加直後から40μsまでの間に、パルス幅3μsの高電圧パルスを20kvの電圧で基材1に一回印加する(図3参照)ことを約1000回/秒繰り返し、そして、この操作を約30分間行った。
ステップ3の2: 次に、ガス供給槽15よりチャンバー2内に、ヘキサメチルジシロキサンとメタンおよびアセチレンの混合ガスを導入した。
その後、パルス幅30μsの高周波パルスを基材1に印加した後、その印加直後から40μsまでの間に、パルス幅10μsの高電圧パルスを5kvの電圧で基材1に一回印加する(図3参照)ことを約2000回/秒繰り返し、そして、この操作を約50分間行った。
ステップ4の1: 前記ステップ3の2と並行して、ガス供給槽15よりチャンバー2内に、トルエンとメタンおよびアセチレンの混合ガスを導入した。
その後、パルス幅30μsの高周波パルスを基材1に印加した後、その印加直後から100μsまでの間に、パルス幅10μsの高電圧パルスを15kvの電圧で基材1に一回印加する(図3参照)ことを約4000回/秒繰り返し、そして、この操作を約30分間行った。
ステップ4の2: その後、高電圧パルスの印加電圧を10kvに下げて、前記ステップ4の1と同様の操作を約60分間行った。
本実施形態における前記各ステップでは、高周波パルスの印加直後から所定のタイミングで高電圧パルスを一回だけ印加したが、図4に示すように、高電圧パルスを複数回印加する場合もある。また、前記高電圧パルスの印加も高周波パルスの印加直後でなく、印加中に行うこともある。
また、本実施形態において、各ステップの時間は、任意に変更されるものであり、各ステップは、チャンバー2内で単独で行われる場合もあるし、前後のステップが並行して行われることもある。これらは、最終的に得られるDLC成膜物の所望の傾斜構造に対応するものである。
本実施形態によれば、図12に示すように、基材の表面調整の後、先ず基材にチタンが注入されると共に、基材表面にチタンセラミック膜が傾斜状に成膜され、次にシリコンが注入されると共にシリコンセラミック膜が傾斜状に成膜され、最終的に炭素が注入されると共にDLC膜が傾斜状に成膜され、また基材から前記DLC膜にかけて炭素が傾斜状に存在している。従って、DLC成膜物全体としては、前述したアナログ的な傾斜構造となっているため、最終的に基材に対して密着強度の高いDLC成膜が行われる。
本実施形態では、ステップ4によるDLC成膜の前に、ステップ3において、ヘキサメチルジシロキサンを用いたシリコンの注入およびシリコンセラミック膜の成膜を行ったが、該ステップ3を省略し、ステップ2の後にステップ4を行うこともある。
この場合でも、図13に示すように、アルミニウム合金製の基材について、その深さ方向の元素分析を行ったが、炭素、酸素、チタン、酸素等がそれぞれ前述した傾斜構造を裏付けるような形で分布している。
[評価試験]
本実施形態に関し、銅および真鍮を基材としたDLC成膜物について、その密着強度を調べるため、スクラッチ試験を実施した結果、臨界荷重Lcは、銅では10N、真鍮では12Nであった。超硬合金等の硬質基材におけるDLC成膜等に比べると、数値的には高くないが、基材が軟質金属である銅や真鍮であることから、密着強度としては十分な臨界荷重の数値であると言える。
また、真鍮を基材としたDLC成膜物について、膜剥離試験を実施した結果、図14に示すように、チタンセラミック膜を介さずにDLC膜を基材に直接成膜したDLC成膜物の場合、中央の圧痕からその周辺にかけてDLC膜が基材に追従できず、広範囲で剥離が発生した。一方、チタンセラミック膜を介してDLC膜を成膜した本発明のものでは、図15に示すように、中央の圧痕の周縁で細かいひび割れが発生しただけで、前記のようなDLC膜自体の剥離はなく、基材にDLC膜が十分に密着していることが確認された。
DLC成膜装置の一例を示す正面図である。 図1の成膜装置における重畳装置の一例を示す回路図である。 高周波電力と高電圧パルスとの印加タイミングを示すチャートである。 高周波電力と高電圧パルスとの他の印加タイミングを示すチャートである。 スクラッチ試験の結果を示すグラフである。 膜厚試験の結果を示すグラフである。 水素を省略したDLC成膜構造を示す図である。 残留応力試験の一例を示す正面図である。 残留応力試験の結果を示すグラフである。 従来のDLC成膜装置の一例を示す正面図である。 基材におけるホローカソード現象を示す図である。 実施形態2に係るDLC成膜物における傾斜状の成膜構造を示す図である。 DLC成膜物における基材の深さ方向の元素分布を示すグラフである。 チタンセラミック膜を介さないDLC成膜物の膜剥離試験の結果を示す拡大写真である。 チタンセラミック膜を介したDLC成膜物の膜剥離試験の結果を示す拡大写真である。
符号の説明
1: 基材
2: チャンバー
7: 導体
8: フィードスルー
9: 重畳装置
11: プラズマ発生用電源
12: 高電圧パルス発生用電源
13: CPU
14: 真空装置
15: ガス供給槽

Claims (21)

  1. 少なくとも一以上の炭化水素系ガスを用いて、パルスプラズマによる、イオン注入プロセスと成膜プロセスとを組み合わせた複合プロセスによって、基材表面にDLC膜を成膜するDLC膜の成膜方法であって、プラズマ発生用高周波電源と高電圧パルス発生用電源とを、共通のフィードスルーを介してチャンバー内の基材に接続しておき、前記プラズマ発生用高周波電源から基材に高周波パルスを印加して基材の外形に沿って周囲にパルスプラズマを発生させ、そのプラズマ中またはアフターグロープラズマ中に高電圧パルス発生用電源から基材に負の高電圧パルスを少なくとも1回印加し、且つこれら高周波パルスの印加と高電圧パルスの印加とを繰り返し行うことにより、前記各プロセスを実行し、且つ前記パルスプラズマによるイオン注入プロセスおよび初期成膜段階での高電圧パルスの電圧を初期成膜段階以後の成膜段階における高電圧パルスの電圧よりも高く設定し、且つ前記高周波パルスと高電圧パルスの印加の繰り返し数を、前記初期成膜段階後の成膜段階でより多くすることを特徴とする、DLC膜の成膜方法。
  2. 高周波パルス幅が2〜200μsの短パルスであり、高電圧パルス幅が0.2〜50μsの短パルスであり、且つ前記高周波パルスの印加中または印加直後から300μsまでの間に高電圧パルスを印加することを特徴とする、請求項1記載のDLC膜の成膜方法。
  3. 高周波パルス幅が5〜20μsの短パルスであり、高電圧パルス幅が1〜5μsの短パルスであり、且つ前記高周波パルスの印加中または印加直後から100μsまでの間に高電圧パルスを印加することを特徴とする、請求項1記載のDLC膜の成膜方法。
  4. パルスプラズマイオン注入プロセスおよび初期成膜段階における高電圧パルスの電圧を20kVに設定し、それ以後の成膜段階における前記電圧を10kVに設定することを特徴とする、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載のDLC膜の成膜方法。
  5. 少なくともパルスプラズマイオン注入プロセスの後期から初期成膜段階の前期にかけて、シランカップリング用剤を加えることを特徴とする、請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載のDLC膜の成膜方法。
  6. シランカップリング用剤がヘキサメチルジシロキサンであり、成膜プロセスにおける初期成膜段階でのチャンバー内のガス圧を0.3〜0.5Paとし、その後の成膜段階でのガス圧を0.8〜3Paとすることを特徴とする、請求項5記載のDLC膜の成膜方法。
  7. 基材の表面調整用ガスとしてアルゴンとメタン或いは更に水素を含む混合ガスを用い、パルスパラズマイオン注入用ガスとしてメタンガスを用い、成膜用ガスとしてアセチレン、プロパン、ブタン、ヘキサン、ベンゼン、クロルベンゼン、トルエンからなる群より選ばれた一以上のガスを用いることを特徴とする、請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項記載のDLC膜の成膜方法。
  8. パルスプラズマによるイオン注入用ガスとしてメタンガスを用いる前に窒素ガスを用いることを特徴とする、請求項1〜請求項7のうちのいずれか一項記載のDLC膜の成膜方法。
  9. 基材の表面にDLC膜が成膜されたDLC成膜物であって、基材の表面から所定深さまでに炭素原子が注入されると共に、Si、Ti、Nのうちの一以上の注入原子が注入され、基材とDLC膜との界面には前記注入原子と前記炭素原子との傾斜層が形成されており、前記基材中の注入原子とDLC膜を構成する炭素原子とが共有結合されており、且つDLC膜中の炭素原子が整列されている、DLC成膜物。
  10. 基材が、亜鉛合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金または鉄よりなる、請求項9記載のDLC成膜物。
  11. 少なくとも一以上の炭化水素系ガスを用いて、パルスプラズマによる、イオン注入プロセスと成膜プロセスとを組み合わせた複合プロセスによって、基材表面にチタンセラミック膜を介してDLC膜を成膜するDLC膜の成膜方法であって、プラズマ発生用高周波電源と高電圧パルス発生用電源とを、共通のフィードスルーを介してチャンバー内の基材に接続しておき、前記プラズマ発生用高周波電源から基材に高周波パルスを印加して基材の外形に沿って周囲にパルスプラズマを発生させ、そのプラズマ中またはアフターグロープラズマ中に高電圧パルス発生用電源から基材に負の高電圧パルスを少なくとも1回印加し、且つこれら高周波パルスの印加と高電圧パルスの印加とを繰り返し行うことにより、前記各プロセスを実行し、且つ前記チタンセラミック膜の形成用ガスとして有機チタンアルコシドを用いて、基材にチタンを注入した後、基材表面にチタンセラミック膜を成膜し、次にDLC膜形成用ガスとして炭化水素系ガスを用い、前記チタンセラミック膜中に炭素を注入した後、前記チタンセラミック膜上にDLC膜を成膜することを特徴とする、DLC膜の成膜方法。
  12. 少なくとも一以上の炭化水素系ガスを用いて、パルスプラズマによる、イオン注入プロセスと成膜プロセスとを組み合わせた複合プロセスによって、基材表面にチタンセラミック膜およびシリコンセラミック膜を介してDLC膜を成膜するDLC膜の成膜方法であって、プラズマ発生用高周波電源と高電圧パルス発生用電源とを、共通のフィードスルーを介してチャンバー内の基材に接続しておき、前記プラズマ発生用高周波電源から基材に高周波パルスを印加して基材の外形に沿って周囲にパルスプラズマを発生させ、そのプラズマ中またはアフターグロープラズマ中に高電圧パルス発生用電源から基材に負の高電圧パルスを少なくとも1回印加し、且つこれら高周波パルスの印加と高電圧パルスの印加とを繰り返し行うことにより、前記各プロセスを実行し、且つ前記チタンセラミック膜形成用ガスとして有機チタンアルコシドを用い、基材にチタンを注入した後、基材表面にチタンセラミック膜を成膜し、次に、前記シリコンセラミック膜形成用ガスとしてシランカップリング用剤を用い、前記チタンセラミック膜中にシリコンを注入した後、前記チタンセラミック膜上にシリコンセラミック膜を成膜し、その後、DLC膜形成用ガスとして炭化水素系ガスを用い、前記シリコンセラミック膜に炭素を注入した後、前記シリコンセラミック膜上にDLC膜を成膜することを特徴とする、DLC膜の成膜方法。
  13. パルスプラズマによるイオン注入プロセスおよび初期成膜段階での高電圧パルスの電圧を初期成膜段階以後の成膜段階における高電圧パルスの電圧よりも高く設定し、且つ前記高周波パルスと高電圧パルスの印加の繰り返し数を、前記初期成膜段階後の成膜段階でより多くすることを特徴とする、請求項11または請求項12記載のDLC膜の成膜方法。
  14. 基材へのチタン注入前に窒素注入を行うことを特徴とする、請求項11〜請求項13のうちのいずれか一項記載のDLC膜の成膜方法。
  15. 有機チタンアルコシドが、テトライソプロポキシチタンであることを特徴とする、請求項11〜請求項14のうちのいずれか一項記載のDLC膜の成膜方法。
  16. シランカップリング用剤がテトラメチルシランまたはヘキサメチルジシロキサンであることを特徴とする、請求項12〜請求項15のうちのいずれか一項記載のDLC膜の成膜方法。
  17. 基材の表面に、チタンセラミック膜を介してDLC膜が成膜されたDLC成膜物であって、基材中から基材表面にかけてチタンセラミック膜が傾斜状に成膜され、該チタンセラミック膜中からその表面にかけてDLC膜が傾斜状に成膜され、且つ前記基材から前記DLC膜にかけて炭素原子が傾斜状に存在する、DLC成膜物。
  18. チタンセラミック膜がTiOCXであることを特徴とする、請求項17記載のDLC成膜物。
  19. 基材の表面に、チタンセラミック膜およびシリコンセラミック膜を介してDLC膜が成膜されたDLC成膜物であって、基材中から基材表面にかけてチタンセラミック膜が傾斜状に成膜され、該チタンセラミック膜中からその表面にかけてシリコンセラミック膜が傾斜状に成膜され、該シリコンセラミック膜中からその表面にかけてDLC膜が傾斜状に成膜され、且つ前記基材から前記DLC膜にかけて炭素原子が傾斜状に存在する、DLC成膜物。
  20. チタンセラミック膜がTiOCXであり、シリコンセラミック膜がSiOCXであることを特徴とする、請求項19記載のDLC成膜物。
  21. 基材が銅、真鍮、高炭素鋼、浸炭鋼、マグネシウム合金またはアルミニウム合金であることを特徴とする、請求項17〜請求項20のうちのいずれか一項記載のDLC成膜物。
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