JP4646320B2 - フライ用油脂 - Google Patents

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Description

本発明は天ぷらなどの惣菜や直接手に持って食するドーナツなどを調理する際、調理目的で使い分ける必要がない優れたフライ用油脂に関する。
従来、揚げ物を調理する際に使う油は大豆油、菜種油、コーン油、サフラワー油、ヒマワリ油、米油、ごま油、綿実油、オリーブ油等の液状油脂、パーム油、ラード、水素添加油(硬化油)等の固形、可塑性油脂が使用されている。
液状油脂は取扱いが容易で、また揚げ物の風味が良好であるため、天ぷら、コロッケなどを調理する際、一般的に広く使用されている。
液状油脂でフライ調理した場合、時間の経過と共に調理品より油脂が染み出し、べたつきや、包材に油脂が付着するなどの問題を生じやすく、このため特に直接手に持って食するドーナツ、フレンチフライなどには適さないとされている。
液状油脂ではフライ調理機能を向上させる改良方法が数多く検討されている。例えば油脂組成物の水との80℃における界面張力が界面形成時より3秒後に7mN/m以下となるように乳化剤が選ばれている揚げ物用油脂組成物(特許文献1)、水との80℃における界面張力が界面形成時より5秒後に10〜30mN/mとなるように、調製された食用油からなる、あるいは、食用油に有機酸モノグリセリン脂肪酸エステルを添加してなる油脂組成物であることを特徴とする揚げ物用油脂組成物(特許文献2)、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル以外の乳化剤の1種又は2種以上とを含有することを特徴とする油脂組成物(特許文献3)が開示されている。
これらは揚げ物の食感、特に天ぷらへの衣の花咲き、サクミの付与はされているが、液状油脂を用いたフライ調理品の欠点である油脂の染み出しに対しての改良はなされていない。
液状油脂の欠点である油脂の染み出しと、揚げ物の食感を改良した油脂として、融点50℃以上の高融点油脂0.5〜8重量%と乳化剤0.05〜5重量%を含有する流動状油脂(特許文献4)が開示されている。しかし油脂の固化速度時間が調節されてないため、調理品からの油の染み出しを防止する効果は十分でない。
固形状の油脂は酸化安定性が良好で、フライ後の調理品のべたつき、油の染み出しを防止するため、ドーナツ、フレンチフライなど直接手に持って食するものを調理するのに適しているが、天ぷらなど通常液状油脂が用いられる惣菜に使用した場合、油脂の口溶けの悪さがあり、液状油脂にてフライしたよりも風味が劣る問題がある。
固形状の油脂ではフライ後の調理品のべたつき、油脂の染み出しを防止する機能を向上させるため、高エルカ酸ナタネ油の極度硬化油を融点が25℃以上の油脂に添加する方法(特許文献5)や極度硬化油及びポリグリセリン脂肪酸エステルをパーム油と液状油脂に添加する方法(特許文献6)、極度硬化油を室温で固体又は半固体の油脂と室温で液体の油脂に添加する方法(特許文献7)などが開示されているが、油脂の口溶けに対しては効果はないため、天ぷらなど惣菜を調理した際は、液状油脂で調理したものより風味が劣る。
油脂の口溶けを改善した固形状のフライ用油脂に関しては、油脂固化剤として炭素数20以上の脂肪酸エステルを添加することを特徴とする揚げ油(特許文献8)が開示されている。しかし使用される添加物、例えばモノグリセリンモノベヘネートは融点が74℃と高すぎるため固化する速度が速過ぎ、フライ調理品の油切れが悪く、更にはフライ調理品の表面で油脂のかたまりができるため見た目が白くなり、商品価値が下がってしまう。
ところで近年、各種脂肪酸に関して、栄養生理学的な知見が報告されている。飽和脂肪酸に関しては血清コレステロールの増加作用があり、その過剰摂取は生活習慣病を増加させるおそれがあることが分かってきている(非特許文献1)。
さらに不飽和脂肪酸を多く含む液状油脂に水素を添加することによって得られる水素添加油は飽和脂肪酸を抑えながら可塑性等の性状を付与できるが、水素添加によってトランス脂肪酸が多量に生成される。トランス脂肪酸は摂取量が増えると血清コレステロール濃度の上昇、HDL−コレステロール濃度の低下など、動脈硬化症の危険性が増加すると報告され(非特許文献2)、また胎児や未熟児では発育を抑制する可能性も指摘されている(非特許文献3)。
最近望まれている実質的にトランス酸を含まず、また飽和脂肪酸を低減した固形状の油脂の製造については、構成脂肪酸としてC20以上の飽和脂肪酸が5%以上である高融点油脂を3〜50%配合し、且つ全油脂中の飽和脂肪酸含量が35%以下であり、実質的にトランス酸を含まない油脂組成物(特許文献9)が開示されているが、可塑性は製菓・製パン用途に適しているものの、固化速度は調節されてないため、フライ用途には適さない。
これまでは液状油脂の長所である風味、口溶け、固形状の油脂の長所である調理品の油脂の染み出し抑制がなされており、すべての揚げ物を調理するのに適した高品質な油脂は見られなかった。
特許文献1:特開平7−16052号公報 特開平9−163929号公報 特開2006−20549号公報 特開2002−3883号公報 特開平4−173053号公報 特開平9−322708号公報 特開2001−69913号公報 特開2000−116325号公報 特開2001−139983号公報 J. Lipid Research.,26.194-202 TheNew England Journal of Medicine.,24.1994-1998 Current Opinion in Lipidoiogy.,7.38-42
本発明の目的は、液状油脂の欠点である油染みが抑制できるよう適度な固化速度を有しており、かつ、固形状の油脂の欠点である口溶けが良好である、すべての揚げ物を調理するのに適したフライ用油脂を提供することにある。
本発明は、下記(1)ないし()の固形フライ用油脂を要旨としている。
(1)固体脂含量が10℃においても2重量%以下の油である、菜種油、大豆油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、オリーブ油、米ぬか油、または綿実油からなる液状油脂に、油脂の不飽和脂肪酸によう素価を2〜3以下にまで水素添加したものであって、菜種油、大豆油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、オリーブ油、米ぬか油、綿実油、パーム油、からし油、ラードまたは牛脂を原料とした極度硬化油及び融点が50〜70℃、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸量90重量%以上、HLB5以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルが合計量で5〜10重量%配合され、固体脂含量が10〜25℃の範囲において5〜11重量%であり、且つ下記測定方法で測定した油脂の固化速度が30℃において10〜30分である固形フライ用油脂。

[固化速度時間の測定方法]
油脂8gを試験管(φ13mm)にとり、80℃の湯浴にて完全に溶解し、30℃の湯浴に移した時点を0分とし、状態を観察する。油の流動性がなくなり、試験管を逆さまにしても油が垂れてこなくなった時間(分)を固化速度時間とした。
(2)ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が0.05〜4.90重量%である上記(1)記載の固形フライ用油脂。
(3)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ヘキサグリセリンオクタステアレート、ヘキサグリセリンペンタステアレート、およびデカグリセリンヘプタベヘネートからなる群から選ばれる上記(1)又は(2)記載の固形フライ用油脂。
(4)固形フライ用油脂がドーナツフライ用固形油脂、フレンチフライ用固形油脂又は惣菜フライ用固形油脂である上記(1)、(2)又は(3)記載固形フライ用油脂。
本発明のフライ用油脂は口溶け、風味が良好な液状油脂の特徴を持ちつつ、油のベタツキが抑えられる。そのため直接手に持って食するドーナツ、フレンチフライ、などは手に持ったときにはべとつきがなく、包材に油が付着する、油が染み込むこともない。特に砂糖泣きのない高品質のドーナツを製造するのに適している。
また従来の固形状油脂では得られなかった、咀嚼時に口腔内で良好な口溶けが得られることから、天ぷら、コロッケなど、通常液状油脂が用いられる一般的な惣菜にも使用でき、油の染み出しもないため、調理品の保形性が良好である。特にスーパーマーケットなどで長時間店頭に並んだ際にも外観、食感が保たれる。
更に配合する油脂が液状油脂及び極度硬化油であることから実質的にトランス酸を含まないため栄養学的にも優れている。
本発明で用いられる液状油脂とは、固体脂含量が10℃においても2重量%以下の油であり、例えば菜種油、大豆油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、オリーブ油、米ぬか油、綿実油等が挙げられる。これらの油は、それぞれ単独で用いてもよく、あるいは適宜混合してもよく、さらにはエステル交換により構造的な変換処理を施してもよい。またトコフェロールなどの抗酸化剤を添加しても良い。
本発明で用いられる、極度硬化油とポリグリセリン脂肪酸エステルの合計量は5〜10重量%であるのが好ましい。添加量が少ない場合は固化せずに流動状、あるいは液状部と固形部が分離しやすい状態となり、フライ調理品にべとつきや油脂が染み出しやすくなる。また添加量が多い場合は固体脂含量が高くなり、良好な口溶けが得られない。
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルは結晶化促進用の乳化剤であり、融点が50〜70℃のものが好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸中の飽和脂肪酸量90重量%以上、HLB5以下のものが例示される。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量は0.05〜4.90重量%が好ましい。0.05重量%より少ないと固化速度が遅くなり、油染みの改善効果が得られない。4.90重量%より多い場合は風味、食味に悪影響を及ぼす。またポリグリセリン脂肪酸エステルの融点が50℃以下では固化速度が遅くなり、油染みの改善効果が得られない。70℃以上であると固化が速いため、フライ調理品の油切れが悪く、更にはフライ調理品の表面で油脂のかたまりができるため見た目が白くなり、商品価値が下がってしまう。本発明における融点とは、日本油化学会編「基準油脂分析試験法」2.2.4.2−1996融点(上昇融点)により求めた値である。
本発明における極度硬化油とは、油脂の不飽和脂肪酸によう素価を2〜3以下にまで水素添加したものである。本発明で用いられる極度硬化油は、一般に使用される食用油脂の極度硬化油であれば特に限定はされず、具体的には菜種油、大豆油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、オリーブ油、米ぬか油、綿実油、パーム油、からし油、ラード、牛脂等を原料とした極度硬化油が挙げられる。特にパーム油の極度硬化油が固化したときの油脂の硬さが望ましい。極度硬化油の配合量は、ポリグリセリン脂肪酸エステルとの合計量で5〜10重量%となる量に設定されるが、極度硬化油の配合量は1〜9重量%の範囲内となる組合せが望ましい。極度硬化油の配合量が多くなると、特有の硬化臭が強くなり嗜好性に影響を与える。
極度硬化油とポリグリセリン脂肪酸エステルの液状油脂への混合方法は、液状油脂に添加、加熱溶解し製造される。好ましくはコンビネーター等によって、20℃付近まで急冷し、油脂の結晶を微細化させる。より好ましくはその後、融点よりも5℃程度低い温度で2〜3日熟成させて結晶の安定化を行う方法などが挙げられる。また必要に応じて窒素などのガスを入れて混練することもできる。
本発明のフライ用油脂の固体脂含量(SFC)は10〜25℃において5〜11重量%、好ましくは5〜9重量%の範囲にあることを特徴としている。即ち10℃において5〜11重量%、好ましくは5〜9重量%であり、25℃においても5〜11重量%(好ましくは5〜9重量%)と固体脂含量の変化が少ないのが特徴である。これにより咀嚼時に口腔内で液状油と同様な感覚が得られる。
本発明における固体脂含量とは、日本油化学会編「基準油脂分析試験法」2.2.9−2003固体脂含量(NMR法)により求めた値である。
更に本発明のフライ用油脂は固化速度時間が30℃において10〜30分であることが特徴である。固化の速度はある程度速いほうがよいが、速過ぎるとフライ調理品の油切れが悪く、更にはフライ調理品の表面で油脂のかたまりができるため見た目が白くなり、商品価値が下がってしまう。また遅すぎると油が染み出し、見栄えが悪くなり、またフライ調理品にベタツキが生じ、食感が低下する。
なお本発明の固化速度時間は以下の方法にて測定した。
[固化速度時間の測定方法]
油脂8gを試験管(φ13mm)にとり、80℃の湯浴にて完全に溶解し、30℃の湯浴に移した時点を0分とし、状態を観察する。油の流動性がなくなり、試験管を逆さまにしても油が垂れてこなくなった時間(分)を固化速度時間とした。
本発明の油脂は、液状油脂の利点と固形状油脂の利点を併せ持つことにより、液状油脂の欠点と固形状油脂の欠点を効果的に抑制しているという、これまでの油脂には無い特徴を有している。即ち、風味が良好な液状油脂の特徴を持ちつつ、液状油脂の欠点である油のベタツキが抑えられているほか、従来の固形状油脂では得られなかった、咀嚼時に口腔内で良好な口溶けが得られるという特徴を有する油脂である。そのため、広範囲のフライ用途に適したフライ用油脂として利用できる。本発明の油脂を使用して調理される対象としては、ドーナツ、フレンチフライのほか、天ぷら、コロッケ、とんかつ、メンチカツ、エビフライ、鳥の唐揚げなどの惣菜が挙げられる。本発明の油脂を従来は固形状油脂で調理されているドーナツ、フレンチフライなどの直接手に持って食するフライ食品用のフライ用油脂として利用した場合には、固形状油脂では得られなかった咀嚼時の口腔内での良好な口溶けが得られるほか、固形状油脂の利点であるべとつき抑制や油の染み出し抑制についてもより効果が発揮される。そのため、本発明の油脂はドーナツフライ用油脂やフレンチフライ用油脂としての利用に適している。また本発明の油脂を従来は液状油脂で調理されている一般的な惣菜を調理するフライ用油脂として利用した場合には、液状油脂の利点(良好な風味や口溶け)を生かしつつ、欠点であった包材への油の付着や油の染み出しが抑えられ、更には調理品の保形性が良好となる効果も得られる。そのため、本発明の油脂は惣菜フライ用油脂としての利用に適している。ここで、本発明が対象とする惣菜とは、日常のおかず、副食材として食されるもののうち、フライ調理されるものをいい、天ぷら、コロッケ、とんかつ、メンチカツ、エビフライ、唐揚げ、素揚げなどが例示される。
本発明の詳細を実施例で説明する。本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1〜15、比較例1〜22]
(油脂の製造)
表1,2に示すように油脂及び極度硬化油、乳化剤等を配合し、極度硬化油及び/又は乳化剤の融点以上に加熱溶解し、油脂組成物を作製した。また得られた油脂の10℃、25℃における固体脂含量及び固化速度時間を測定した。なお比較例8〜11の油脂については特許文献4記載の方法にて作製した。
Figure 0004646320
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(ドーナツ試験)
実施例1〜15、比較例1〜22の油脂にて、ドーナツフライ試験を以下のように実施した。結果は表3、4に示す。
ケーキドーナツ:ケーキドーナツミックス粉(S10:昭和産業製)100部に水42部を加えて、生地を調製し、1個あたり約45gをフライ温度180℃で、2分30秒フライし、以下の項目にて評価を行った。
イーストドーナツ:冷凍イーストドーナツ生地(ベルリーナドーナツ:昭和冷凍食品製)を解凍、ホイロ後、フライ温度180℃で、3分フライし、以下の項目にて評価を行った。
(評価法)
外観(フライ30分後のイーストドーナツの表面状態)
○:油っぽくなく、白くなってない
△:やや油っぽい、又はやや白くなっている
×:油っぽい、又は白くなっている
食感(イーストドーナツのサクミ、フライ3時間後に評価)
○:良好
△:やや軟らかい、又はやや硬い
×:軟らかい、又は硬い
風味(ケーキドーナツを食べた際の油の口溶け、フライ3時間後に評価)
○:良好
●:やや良好
△:やや口溶け悪い
×:口溶け悪い
油染み試験:フライしたケーキドーナツを15分後に濾紙の上に乗せ、30℃の恒温槽に保存し、24時間後の濾紙の重量増加分から、ドーナツ1個あたりの油脂の染み出し量を計算した。
砂糖泣き試験:フライしたイーストドーナツにグラニュー糖をかけ、30℃の恒温槽に保存し、24時間後の砂糖の泣き状態を観察した。砂糖が吸湿して溶け、砂糖がまったく見えなくなったものを100%とした。
Figure 0004646320
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表3、4の結果から、実施例1〜15の油脂でフライしたドーナツは外観、食感、風味が良好である。また油脂の染み出しもなく、砂糖も泣かなかった。固化速度時間が遅い、又は油脂が固まらない比較例1、2、3、5、7、8、9、10、11、14、16、17、18、20、21でフライしたドーナツは、油脂の染み出しが多かった。固化速度時間の速い比較例4、6、12、13、15でフライしたドーナツは固化速度時間が速いため油切れが悪く、ドーナツの表面が固まった油脂により白くなった。固体脂含量の多い比較例14、18、19、22でフライしたものは油脂の口溶けが悪かった。
(フレンチフライ試験)
実施例1〜15、比較例1〜22の油脂にて、フレンチフライ試験を実施した。市販冷凍フレンチフライ(シューストリングポテト(日本水産製))をフライ温度180度で、3分フライし、以下の項目にて評価を行った。結果は表5、6に示す。
(評価法)
油っぽさ(フレンチフライを手に持ったときの油のベタツキ、フライ1時間後に評価)
○:良好
△:やや油っぽい
×:油っぽい
食感(フレンチフライの歯ごたえ、フライ1時間後に評価)
○:歯ごたえがあり良好
△:やや歯ごたえがある
×:軟らかい
風味(フレンチフライを食べた際の油の口溶け、フライ3時間後に評価)
○:良好
●:やや良好
△:やや口溶け悪い
×:口溶け悪い
Figure 0004646320
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表5、6の結果から、実施例1〜15の油脂でフライしたフレンチフライは食感、風味が良好である。また手に持ったときもべたつかない。固化速度時間が遅いまたは油脂が固まらない比較例1、2、3、5、7、8、9、10、11、14、16、17、18、20、21でフライしたフレンチフライは、手に持ったとき油のベタツキを感じ、また歯ごたえが悪かった。固体脂含量の多い又は固化速度の速い比較例4、6、12、13、14、15、18、19、22でフライしたものは油脂の口溶けが悪かった。
(天ぷら試験)
実施例1〜15、比較例1〜22の油脂にて天ぷら試験を実施した。天ぷらは尾付むきえび(サイズ21/25)に、打粉(黄金天ぷら粉(昭和産業製))を均一にまぶし、天ぷらバッター(黄金天ぷら粉(昭和産業製)+加水160%)を付けた後、フライ温度180℃で、2分フライし、以下の項目にて評価を行った。結果は表7、8に示す。
(評価法)
油っぽさ(天ぷらを手に持ったときのベタツキ、フライ1時間後に評価)
○:良好
△:やや油っぽい
×:油っぽい
保形性(天ぷらを手に持ったときのしなり具合、フライ3時間後に評価)
○:しならずにそのままの形を保っている
△:ややしなる
×:軟らかく、しなる
食感(天ぷらのサクミ、フライ1時間後に評価)
○:サクミがあり良好
△:ややサクミがある
×:軟らかい
風味(天ぷらを食した際の油の口溶け、フライ3時間後に評価)
○:良好
●:やや良好
△:やや口溶け悪い
×:口溶け悪い
油染み試験:フライした天ぷらを15分放冷後、濾紙の上に乗せ、6時間後の濾紙の重量増加分から、天ぷら1個あたりの油脂の染み出し量を計算した。
Figure 0004646320
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表7,8の結果から実施例1〜15でフライした天ぷらは時間が経過しても油染みもなく、保形性が良好で、べたつかずに食感が良好であった。比較例1、2、3、5、7、8、9、10、11、14、16、17、18、20、21の油脂でフライした天ぷらは、時間が経過すると油脂の染み出しが多かった。また比較例17、20、21の油脂でフライした天ぷらは、食感は改善されるものの、手に持ったとき油のベタツキを感じた。固体脂含量の多い又は固化速度の速い比較例4、6、12、13、14、15、18、19、22でフライしたものは油脂の口溶けが悪かった。
(コロッケ試験)
実施例1〜15、比較例1〜22の油脂にて、コロッケ試験を実施した。市販冷凍コロッケ(ランチ野菜コロッケ(味の素製))をフライ温度180度で、4分フライし、以下の項目にて評価を行った。結果は表7、8に示す。
油っぽさ(コロッケを手に持ったときの油のベタツキ、フライ1時間後に評価)
○:良好
△:やや油っぽい
×:油っぽい
食感(コロッケのサクミ、フライ1時間後に評価)
○:歯ごたえがあり良好
△:やや歯ごたえがある
×:軟らかい
風味(コロッケを食べた際の油の口溶け、フライ3時間後に評価)
○:良好
●:やや良好
△:やや口溶け悪い
×:口溶け悪い
Figure 0004646320
Figure 0004646320
表9、10の結果から、実施例1〜15の油脂でフライしたコロッケは食感、風味が良好である。また手に持ったときもべたつかなかった。固化速度時間が遅いまたは油脂が固まらない比較例1、2、3、5、7、8、9、10、11、14、16、17、18、20、21でフライしたコロッケは、手に持ったとき油のベタツキを感じ、サクミが弱かった。固体脂含量の多い又は固化速度の速い比較例4、6、12、13、14、15、18、19、22でフライしたものは油脂の口溶けが悪かった。
本発明のフライ用油脂は液状油脂の欠点である油染みが抑制できるよう適度な固化速度を有しており、固形状の油脂の欠点である口溶けが良好で、すべての揚げ物を調理するのに適したフライ用油脂を提供することができる。そのため直接手に持って食するドーナツ、フレンチフライ、ナゲットなどは手に持ったときにはベトツキがなく、包材に油脂が付着することや、油脂が染み込むこともない。特に砂糖泣きのない高品質のドーナツを製造するのに適している。また油の口溶けが良好であり、咀嚼時に口腔内で液状油と同様な感覚が得られることから、天ぷら、コロッケなど、通常液状油脂が用いられる一般的な惣菜にも使用でき、油の染み出しもなく、食感が保たれ、調理品の保形性が良好となる。


Claims (4)

  1. 固体脂含量が10℃においても2重量%以下の油である、菜種油、大豆油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、オリーブ油、米ぬか油、または綿実油からなる液状油脂に、油脂の不飽和脂肪酸によう素価を2〜3以下にまで水素添加したものであって、菜種油、大豆油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、オリーブ油、米ぬか油、綿実油、パーム油、からし油、ラードまたは牛脂を原料とした極度硬化油及び融点が50〜70℃、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸量90重量%以上、HLB5以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルが合計量で5〜10重量%配合され、固体脂含量が10〜25℃の範囲において5〜11重量%であり、且つ下記測定方法で測定した油脂の固化速度が30℃において10〜30分である固形フライ用油脂。

    [固化速度時間の測定方法]
    油脂8gを試験管(φ13mm)にとり、80℃の湯浴にて完全に溶解し、30℃の湯浴に移した時点を0分とし、状態を観察する。油の流動性がなくなり、試験管を逆さまにしても油が垂れてこなくなった時間(分)を固化速度時間とした。
  2. ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が0.05〜4.90重量%である請求項1記載の固形フライ用油脂。
  3. ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ヘキサグリセリンオクタステアレート、ヘキサグリセリンペンタステアレート、およびデカグリセリンヘプタベヘネートからなる群から選ばれる請求項1又は2記載の固形フライ用油脂。
  4. 固形フライ用油脂がドーナツフライ用固形油脂、フレンチフライ用固形油脂又は惣菜フライ用固形油脂である請求項1、2又は3記載の固形フライ用油脂。
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