JP4645054B2 - 車両シート位置調整装置 - Google Patents

Description

本発明は、シートバックがシートクッションに対して所定角度以上で前方向に回動した時に車両シートの車両フロアに対する前方向の摺動を許容するウォークイン機構を備えた車両シート位置調整装置に関する。

従来、この種の車両シート位置調整装置としては、特許文献１に示されるものが知られている。これは、車両シートを車両フロアに対して摺動自在に支持すると共に車両シートの車両フロアに対する摺動を規制して車両シートを車両フロアに対して所定位置で保持するスライドロック機構を備えるスライドアジャスタと、車両シートのシートバックを車両シートのシートクッションに対して回動軸線周りで回動自在に支持するリクライニングアジャスタと、スライドアジャスタとリクライニングアジャスタとの間に配設されリクライニングアジャスタを作動させてシートバックがシートクッションに対して所定角度以上で回動した時にスライドアジャスタのスライドロック機構を作動させて車両シートの車両フロアに対する摺動を許容するウォークイン機構とを有するものである。

ウォークイン機構は、シートバックのシートクッションに対する所定角度以上の回動を検知する検知プレートを備えている。この検知プレートは、シートバックのシートクッションに対する回動軸線を形成する回転シャフトの先端に支持されている。そして、検知プレートは、シートバックのシートクッションに対して所定角度以上で回動すると、シートバックと係合してシートバックと共に回転シャフト周りで回動し、これにより、シートバックのシートクッションに対する所定角度以上の回動を検知している。
特開平１０−４４８３８号公報

上記した従来装置では、検知プレートを回転シャフトの先端で支持しているので、検知プレートがリクライニングアジャスタの側方に突出して配されることになる。このため、シート幅方向に検知プレートの配置スペースが必要となり、スペースが制約される車両室内空間においては、その分だけ車両シートのシート幅方向寸法が狭められることとなる。

故に、本発明は、シート幅方向のスペースを犠牲にすることなく、検知プレートを配することを、その技術的課題とする。

上記課題を解決するために本発明にて講じた技術的手段は、ウォークイン機構は、シートバックのシートクッションに対する所定角度以上の回動を検知する検知プレートを有し、前記リクライニングアジャスタは、前記シートクッションを支持するロアプレートと、該ロアプレートに回動自在に支持され前記シートバックを支持するアッパプレートと、前記ロアプレートと前記アッパプレートとの間に配設され前記アッパプレートの前記ロアプレートに対する回動を規制するリクライニングロック機構と、前記ロアプレート及び前記アッパプレートを貫通するシャフトと、前記アッパプレートまたは前記ロアプレートにおいて前記シャフトを囲う外形に、前記検知プレートを回動自在に支持するべく前記シートバックの前記シートクッションに対する回動軸線方向に沿うよう設けられた支持面とを有した、ことである。

より好ましくは、前記リクライニングアジャスタは、前記アッパプレート及び前記ロアプレートのいずれか一方に形成され前記アッパプレート及び前記ロアプレートのいずれか他方と対向する内面に前記リクライニングロック機構を収容すべく収容凹部を形成すると共に前記アッパプレート及び前記ロアプレートのいずれか他方と対面する面とは反対側の外面に前記検知プレートを支持すべく前記支持面を形成する凸部を有する、と良い。

本発明によれば、ウォークイン機構の検知プレートをリクライニングアジャスタとシート幅方向において同一平面上に配置することができる。これにより、シート幅方向のスペースを犠牲にすることなく検知プレートを配することができ、車両室内空間を有効利用することができる。

図１に示されるように、車両シート１は、シートスライドアジャスタ２により車両フロアに対して車両前後方向（図１示左右方向）にスライド自在に且つ所定の前後調整位置で保持可能に載置されており、座面を形成するシートクッション３及び背もたれ面を形成するシートバック４よりなるものである。シートバック４は、リクライニングアジャスタ５によりシートクッション３に対して車両前後方向に回動自在に且つ所定の調整角度位置で保持可能にシートクッション３の後部に立設されている。

図２及び図３に示されるように、シートスライドアジャスタ２は、ロアレール２１、アッパレール２２及びロックプレート２３を備えている。

ロアレール２１は、シート前後方向（前述した車両前後方向と同方向）に延びる長尺状のもので、その前後端で車両フロアに固定されている。このロアレール２１は、断面略Ｕ字状を呈しており、その断面両端に左右一対の係合フランジ２１ａが形成されている。アッパレール２２は、シート前後方向に延びる長尺状のもので、シートクッション３のフレーム３１（図１及び図６示）に取付けられている。このアッパレール２２は、断面略逆Ｔ字状を呈しており、その断面両端に左右一対の係合フランジ２２ａが形成されている。そして、アッパレール２２は、その係合フランジ部２１ａをボール２７を介してロアレール２１の係合フランジ２１ａに係合させつつ、ローラ２８を介してロアレール２１にその長手方向において摺動自在に支持されている。これにより、車両シート１は、車両フロアに対して車両前後方向にスライド自在に支持されることになる。

ロックプレート２３は、アッパレール２２に固定されたブラケット２４に支持シャフト２４ａによりレール幅方向（図２示左右方向）に回転自在に支持されている。ロアレール２１には、その長手方向において複数個のロック孔２１ｂが形成されている。ロックプレート２３には、ロック孔２１ｂと係合可能な係合爪２３ａが形成されており、ロック孔２１ｂと係合爪２３ａとの係合によりアッパレール２２のロアレール２１に対する摺動が規制されている。これにより、車両シート１は、車両フロアに対して所定の前後調整位置で保持されることになる。又、ロックプレート２３には、支持シャフト２４ａを挟んで係合爪２３ａと対向する作動フランジ２３ｂが形成されており、アッパレール２２に回動自在に支持されレール長手方向に沿って延びる第１解除レバー２５がこの作動フランジ２３ｂを介して連係されている。第１解除レバー２５は、その一端で操作ロッド２６に連結されており、他端には、ロックプレート２３の作動フランジ２３ｂを押圧する押圧フランジ２５ａが形成されている。そして、操作レバー２５が回動操作されると、押圧フランジ２５ａがロックプレート２３の作動フランジ２３ｂを押してロックプレート２３が支持シャフト２４ａ回りで図２示反時計方向に回転する。これにより、図２に二点鎖線で示されるように、ロックプレート２３の係合爪２３ａとロアレール２１のロック孔２１ｂとの係合が解除される。結果、アッパレール２２がロアレール２１に対して摺動できるようになる。そして、係合爪２３ａとロック孔２１ｂとの係合が解除された状態でアッパレール２２をロアレール２１に対して摺動させることで、車両シート１を車両フロアに対して車両前後方向にスライドする。尚、ロックプレート２３は、支持シャフト２４ａ周りに配設されたスプリング（図示せず）の付勢力を受けて係合爪２３ａがロック孔２１ｂと係合する図２示時計方向に常時付勢されている。又、アッパレール２２は、ロアレール２１との間に配設されたスプリング（図示せず）によりロアレール２１に対して車両前方に向かって摺動するよう常時付勢されている。

図４及び図５に示されるように、リクライニングアジャスタ５は、ロアプレート６、アッパプレート７及び３つのポール５１を備えている。

ロアプレート６は、円形板材よりなるもので、シートクッション３のフレーム３１に溶接などで固定されている。又、アッパプレート７は、円形板材よりなるもので、シートバック４のフレーム４１（図１及び図６示）に溶接などで固定されている。

ロアプレート６には、その板厚方向（図４示左右方向）における外側（図４示右方向）にプレス成形によって凸部６１が形成されている。この凸部６１は、ロアプレート６に、その板厚方向の内側（図４示左側）に向く収容凹部６２を形成している。又、アッパプレート７には、その板厚方向（図４示左右方向）における内側（図４示左側）にプレス成形にて凸部７１を形成している。この凸部７１は、アッパプレート７に、その板厚方向の外側（図４示右側）に収容凹部７２を形成している。そして、ロアプレート６とアッパプレート７とは、それぞれの収容凹部６２、７２同士が互いに対面するように配され、その最も外周でリング８により互いに相対回転自在に連結されている。これにより、シートバック４は、シートクッション３に対してシート前後方向に回動自在に支持されることになる。

このようにして組み立てられたロアプレート６とアッパプレート７とは、収容凹部６２、７２により内部空間Ｃを形成している。又、ロアプレート６には、内部空間Ｄを横切ってアッパプレート７を貫通する回転シャフト５２が回転自在に支持されている。この回転シャフト５２には、内部空間Ｄに配設されたカム５３が一体回転するように支持されている。

ロアプレート６の凸部６１には、その軸方向（板厚方向と同一の方向であって且つ回転シャフト５２の延在方向）において内部空間Ｄに突出し且つ所定の間隔をもって互いに対向する対のガイド面６３が３組、収容凹部６２内に配されるように、プレス成形にて形成されている。このガイド面６３は、ロアプレート６の径方向に延在している。又、アッパプレート７の凸部７２には、その径方向において内部空間Ｃに突出する円周ラチェット７３が収容凹部６２内に配されるようにプレス成形にて形成されている。

３つのポール５１は、内部空間Ｄに収容されており、ロアプレート６のガイド面６３に対して摺動自在に案内され、アッパプレート７の円周ラチェット７３と噛合可能に且つカム５３と対向するように配されている。このポール５１は、カム５３によりその背面から押圧されてラチェット７３と噛合し、ポール５１に形成されたカム長孔５１ａとカム５３に形成された突起５３ａとのカム作用によりカム５３の回転でガイド面６３に沿って摺動する。そして、ポール５１とラチェット７３との噛合によりアッパプレート７のロアプレート６に対する回転が規制され、これにより、シートバック４は、シートクッション３に対して所定の傾斜角調整位置で保持されることになる。

回転シャフト５２には、操作レバー５４が一体回転するように支持されている。そして、操作レバー５４が回動操作されると、回転シャフト５２と共にカム５３が図５示時計方向に回転してカム５３によるポール５１に押圧が解除され且つポール５１がガイド面６３に沿って径方向内側に向かって摺動する。これにより、ポール５１と円周ラチェット７３との噛合が解除される。結果、アッパプレート７がロアプレート６に対して回転できるようになる。そして、ポール５１と円周ラチェット７３との噛合が解除された状態でアッパプレート７をロアプレート６に対して回転させることで、シートバック４がシートクッション３に対してシート前後方向に回動する。尚、カム５３は、回転シャフト５２周りに配設されたスプリング５５の付勢力を受けてポール５１が円周ラチェット７３と噛合させるべくポール５１を押圧する図５示反時計方向に常時付勢されている。又、アッパプレート７は、ロアプレート６との間に配設されたスプリング５６によりロアプレート６に対してシート前方に向かって回転するよう常時付勢されている。シートバック４のフレーム４１には、このスプリング５６を係止するためのブラケット４２が固定されている。

アッパプレート７の凸部７１には、円周ラチエット７３より軸方向において内側に位置し、周方向においてポール５１と当接可能な円周ストッパ７４が収容凹部６２内に配されるようにプレス成形にて形成されている。この円周ストッパ７４とポール５１との当接によりアッパププレート７のロアプレート６に対するシート前方の最大回転角及びシート後方の最大回転角を規定している。

上記したように、アッパプレート７の凸部７１は、収納凹部６２を形成しつつ円周ラチェット７３及び円周ストッパ７４をプレス成形にて形成しているので、その外形は、図４に示されるように、円周ラチェット７３に対応し軸方向に沿う第１水平面７１ａ及び円周ストッパ７４に対応し軸方向に沿う第２水平面７１ｂを備えた円周段差７１ｃとなっている。

次に、リクライニングアジャスタ５とスライドアジャスタ２とを連動させるウォークイン機構９について説明する。

図２及び図３に示されるように、スライドアジャスタ２のアッパレール２２には、第２解除レバー９１がピン９１ｂにより回動自在に支持されている。この第２解除レバー９１には、第１解除レバー２５の押圧フランジ２５ａを押圧する押圧ピン９１ａがロックプレート２３の作動フランジ２３ｂと押圧フランジ２５ａを挟んで対向するように立設されている。又、図５及び図６に示されるように、リクライニングアジャスタ５のアッパプレート７には、検知プレート９２が凸部７１の第２水平面７１ｂにて相対回転自在に支持されている。この検知プレート９２には、係合爪９２ａが径方向に突出形成されている。この係合爪９２ａは、シートバック４のフレーム４１のブラケット４２と対向して配されており、アッパプレート７がロアプレート６に対してシート前方へ所定角度回転するとブラケット４２と係合し、これにより、アッパプレート７と検知プレート９２とが共に同方向に回転するようになっている。又、第２解除レバー９１と検知プレート９２とは、ロッド９３にて連結されており、検知プレート９２の回転がロッド９３を介して第２解除レバー９１に伝達されるようになっている。

このような構成において、リクライニングアジャスタ５の操作レバー５３を操作してポール５１とラチェット７３の噛合を解除し、シートバック４がスプリング５６の付勢力を受けてシートクッション３に対してシート前方向（図６示時計方向）に所定角以上回動すると、ブラケット４５が検知プレート９２の係合爪９２ａと係合して検知プレート９２がアッパプレート７と共に図６示時計方向に回転する。これにより、ロッド９３がシート後方向に引かれて第２解除レバー９２が図３示時計方向に回転する。第２解除レバー９２の回転は、第１解除レバー２５の押圧フランジ２５ａを介してロックプレート２３を図２示反時計方向に回転させ、ロックプレート２３の係合爪２３ａとロアレール２１のロック孔２１ｂとの係合を解除する。これにより、車両シート１がスプリングの付勢力を受けて車両フロアに対して車両前方向にスライドする。

上記したように、ウォークイン機構９の検知プレート９２をリクライニングアジャスタ５のアッパプレート７の第２水平面７１ｂで支持してリクライニングアジャスタ５と検知プレート９２とを軸方向において同一平面上に配している。これにより、従来に比べて、軸方向のスペースを犠牲にすることなく検知プレート９２を配することができ、車両室内空間を有効利用することができる。又、検知プレート９２を支持する第２平面７１ｂは、アッパプレート７の収容凹部７２を形成する凸部７１にて形成されるので、検知プレート９２をアッパプレート７に支持するためにアッパプレート７に特別な加工を施す必要がなく、簡単な構造で安価なものとすることができる。

本実施の形態においては、検知プレート９２をアッパプレート７の第２水平面７１ｂで支持しているが、第２水平面７１ａで支持してもよく、又、リング８の外周面やロアプレート６の凸部６１の外周面で支持するようにしても良い。

本発明に係るシート位置調整装置を搭載した車両シートの斜視図である。 図１のＡ−Ａ線断面図である。 本発明に係るシート位置調整装置のウォークイン機構を示す斜視図である。 図１のＢ−Ｂ線断面図である。 図４のＣ方向矢示図である。 本発明に係るシート位置調整装置のウォークイン機構を示す斜視図である。

符号の説明

１ 車両シート
２ スライドアジャスタ
３ シートクッション
４ シートバック
５ リクライニングアジャスタ
６ ロアプレート
７ アッパプレート
９ ウォークイン機構
２３ ロックプレート（スライドロック機構）
５１ ポール（リクライニングロック機構）
７１ 凸部
７１ｂ 第２水平面（支持面）
７２ 収容凹部
９２ 検知プレート

Claims (2)

1. 車両シートを車両フロアに対して摺動自在に支持すると共に前記車両シートの前記車両フロアに対する摺動を規制して前記車両シートを前記車両フロアに対して所定位置で保持するスライドロック機構を備えるスライドアジャスタと、
   前記車両シートのシートバックを前記車両シートのシートクッションに対して回動軸線周りで回動自在に支持するリクライニングアジャスタと、
   前記スライドアジャスタと前記リクライニングアジャスタとの間に配設され前記リクライニングアジャスタを作動させて前記シートバックが前記シートクッションに対して所定角度以上回動した時に前記スライドアジャスタの前記スライドロック機構を作動させて前記車両シートの前記車両フロアに対する摺動を許容するウォークイン機構とを有する車両シート調整装置において、
   前記ウォークイン機構は、前記シートバックの前記シートクッションに対する所定角度以上の回動を検知する検知プレートを有し、
   前記リクライニングアジャスタは、前記シートクッションを支持するロアプレートと、該ロアプレートに回動自在に支持され前記シートバックを支持するアッパプレートと、前記ロアプレートと前記アッパプレートとの間に配設され前記アッパプレートの前記ロアプレートに対する回動を規制するリクライニングロック機構と、前記ロアプレート及び前記アッパプレートを貫通するシャフトと、前記アッパプレートまたは前記ロアプレートにおいて前記シャフトを囲う外形に、前記検知プレートを回動自在に支持するべく前記シートバックの前記シートクッションに対する回動軸線方向に沿うよう設けられた支持面とを有する、車両シート位置調整装置。
2. 前記リクライニングアジャスタは、前記アッパプレート及び前記ロアプレートのいずれか一方に形成され前記アッパプレート及び前記ロアプレートのいずれか他方と対向する内面に前記リクライニングロック機構を収容すべく収容凹部を形成すると共に前記アッパプレート及び前記ロアプレートのいずれか他方と対面する面とは反対側の外面に前記検知プレートを支持すべく前記支持面を形成する凸部を有する、請求項１記載の車両シート位置調整装置。

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