JP4642545B2 - 糸切り装置 - Google Patents

糸切り装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4642545B2
JP4642545B2 JP2005139644A JP2005139644A JP4642545B2 JP 4642545 B2 JP4642545 B2 JP 4642545B2 JP 2005139644 A JP2005139644 A JP 2005139644A JP 2005139644 A JP2005139644 A JP 2005139644A JP 4642545 B2 JP4642545 B2 JP 4642545B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
knife
movable knife
thread
fixed
movable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005139644A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006314514A (ja
Inventor
伸介 三須
隆 日塔
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Juki Corp
Original Assignee
Juki Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Juki Corp filed Critical Juki Corp
Priority to JP2005139644A priority Critical patent/JP4642545B2/ja
Publication of JP2006314514A publication Critical patent/JP2006314514A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4642545B2 publication Critical patent/JP4642545B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Sewing Machines And Sewing (AREA)

Description

本発明は、ミシンに固定された固定メスと、固定メスに対して接離移動可能に設けられた可動メスとによって上糸及び下糸を切断する糸切り装置に関する。
従来のミシンは、主軸モータの動力を針及び釜に伝動することによって、針と釜の協働によって縫い目を形成するものである。ミシンには、釜から縫い目に至る下糸と針から縫い目に至る上糸とを切断する糸切り装置が設けられている。
例えば、特許文献1に記載されているように、糸切り装置は、ミシンに固定された固定メスと、固定メスに対して接離移動可能に設けられた可動メスと、可動メスを移動させるための糸切り用モータ等とから構成されている。糸切り用モータと主軸モータが別個であるため、糸切り用モータと主軸モータを別々に駆動することができ、主軸モータの動作中に縫いが行われている時に糸切り用モータを停止しておき、針が縫いの最後に下降する際に糸切り用モータを作動させることで、最後の縫いが施された直後に可動メスと固定メスがかみ合って上糸と下糸が切断される。また、可動メスが固定メスとかみ合う直前に糸切り用モータを停止させ、その後主軸モータが停止するのを待って再び糸切り用モータを作動させて可動メスと固定メスをかみ合わせることも行われている。このように主軸モータが停止するのを待って糸切り用モータを作動させることによって、針の糸通し孔から切断端までの上糸の長さを安定することができ、停止後に可動メスによって釜から引き出される下糸の長さも安定することができる。
特開2003−236280号公報
ところで、上糸には様々な太さのものがあるので、上糸の太さに合わせてミシンを調整することができる。糸切り装置にあっては、上糸の太さに合わせて、固定メスの固定位置を可動メスの軌跡に沿って調整することができ、上糸の太さに関わらず、針の糸通し孔から切断端までの上糸の長さを一様にすることができる。しかし、固定メスの固定位置が変更されると、可動メスが停止してから固定メスまでにかみ合うまでの距離が変更されてしまい、停止後に可動メスによって釜から引き出される下糸の長さが変わってしまう。特に、下糸の引出長さが長くなると釜の中のボビンが空転してしまい、次の縫いに悪影響を与えることもある。このような問題を解決するため、糸切り用モータの動力を可動メスに伝動する機構を上糸の太さに合わせて複数種類準備しなければならないが、コスト高となってしまうとともに、交換の手間を要する。
そこで、本発明は、固定メスの固定位置を調整した場合でも下糸の引き出し長さが変わらないようにすることができる糸切り装置を安価に提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、ミシンに固定された固定メスと、前記固定メスに対して接離移動可能に設けられた可動メスと、前記可動メスを前記固定メスに対して接離移動させる駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が前記駆動手段を作動させることにより上糸及び下糸を捕捉し、前記可動メスが前記固定メスにかみ合う前に前記制御手段が前記駆動手段を停止させ、所定のタイミングで再び前記制御手段が前記駆動手段を作動させることで前記可動メスが前記固定メスにかみ合って前記可動メスと前記固定メスにより上糸及び下糸を切断する糸切り装置において、前記固定メスの固定位置が前記可動メスの軌道に沿って調整可能とされ、前記可動メスが前記固定メスにかみ合う前に停止する停止位置が前記駆動手段に対する前記制御手段の制御によって変更可能とされていることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、可動メスが固定メスにかみ合う前に停止する停止位置が駆動手段に対する制御手段の制御によって変更可能とされているので、固定メスの固定位置を調整した場合でも、固定メスの固定位置に関わらず、停止位置から固定メスと可動メスがかみ合う切断位置までの距離を一様にすることができる。そのため、固定メスの固定位置に関わらず、下糸の引き出し長さを一様にすることができ、ボビンの空転を抑えることができる。また、可動メスの停止位置は駆動手段に対する制御手段の制御によって変更されるので、駆動手段の動力を可動メスに伝動する機構を固定メスの固定位置に応じて複数種類準備する必要がなく、コスト高を抑えることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の糸切り装置において、前記駆動手段がパルスモータであり、前記可動メスが前記固定メスを離れだしてから前記固定メスにかみ合う前で停止するまでの間に前記駆動手段に出力するパルス数が前記制御手段により変更可能とされていることを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、可動メスが固定メスから離れだしてから固定メスにかみ合う前で停止するまでの間に駆動手段に出力するパルス数が変更されることで、可動メスが固定メスにかみ合う前に停止する停止位置が変更される。このように制御手段はパルス数によって可動メスの停止位置を変更可能としている。従って、固定メスの固定位置に関わらず、停止位置から固定メスと可動メスがかみ合う切断位置までの距離を一様にすることができる。
請求項1に係る発明によれば、固定メスの固定位置に関わらず、つまり、上糸の太さに関わらず、下糸の引き出し長さを一様にすることができ、ボビンの空転を抑えることができる。また、可動メスの停止位置を変更するために、伝動機構を固定メスの固定位置に応じて複数種類準備する必要がなく、コスト高を抑えることができる。
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明と同様に、下糸の引き出し長さを一様にすることができるのでボビンの空転を抑えることができ、可動メスの停止位置を変更することを安価に実現することができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
図1から図6では、針6が上下動を行う方向をY軸方向と定義し、これと直交する前後方向をX軸方向と定義し、Y軸方向とX軸方向の両方に直交する左右方向をZ軸方向と定義する。
図1に示されるミシン1は、被縫製物に本縫いを施すミシンとしての基本構成を具備したものであり、ミシン1には、図2に示された糸切り装置20が内蔵されている。図1に示すように、ミシン1は、略水平なベッド面2aを有するベッド部2と、ベッド部2の後端部に立設された縦胴部3と、縦胴部3の上部からベッド部2と略平行になるように前方に延出するアーム部4とを具備する。
アーム部4の基端部には、サーボモータである主軸モータ7が設けられている。アーム部4の前端部の側面側には天秤14が設けられ、アーム部4の前端部の下側には、針棒5が上下に延出するよう設けられ、針棒5の下端に針6が取り付けられている。針棒5及び天秤14はともに上下動可能に設けられ、アーム部4の内部に設けられた主軸及び変換機構によって主軸モータ7の回転運動が針棒5及び天秤14の上下の往復運動に変換される。
ベッド部2のベッド面2aには針板18(図2等に図示)が固定されており、針板18であって針6の真下には通し孔が形成され、この通し孔に針穴ガイド19(図2等に図示)が嵌められている。針穴ガイド19は針穴19a(図3等に図示)が形成されるようリング状に設けられ、針穴19aが針板18の通し孔内に位置している。針穴ガイド19は交換可能となっており、上糸の太さに応じて複数種準備され、上糸が太くなると、針穴19aの径がより大きな針穴ガイド19が針板18に取り付けられて用いられる。
ベッド部2の内部であって針棒5の下方には半回転釜が設けられ、半回転釜内にはボビンが収納され、ボビンには下糸が巻回されている。半回転釜は半回転可能に設けられ、縦胴部3の内部には伝動機構が設けられ、ベッド部2の内部には下軸が設けられ、主軸モータ7の回転運動が伝動機構及び下軸によって半回転釜の半回転往復運動として伝動される。
針6に上糸が通された状態で、針6が上下に一回往復運動する間に半回転釜が往復運動を一回行う。ここで、針6が下降した際に半回転釜の剣先により上糸が捕捉されることによって縫い目から針穴19aを通って針6に至る上糸ループが形成され、半回転釜が往動することによって上糸ループが広がり、半回転釜が復動し始めたときに剣先から上糸が開放されて、上糸が下糸に絡む。このような針6と半回転釜との協働によって上糸に下糸が絡み、ベッド面2aに載置された被縫製物に本縫いの縫い目が形成される。
このミシン1は、縫いの最終段階、つまり最後に針6が往復する際に、ボビンから縫い目に至る下糸及び針6から縫い目に至る上糸をベッド部2内で切断する糸切り装置20を具備する。
図2及び図3に示すように、糸切り装置20は、針板18に固定された固定メス27と、固定メス27に対して接離移動可能に設けられた可動メス28と、駆動手段であるパルスモータ21と、パルスモータ21によって回転される糸切りカム部材22と、パルスモータ21から糸切りカム部材22を通じて動力を与えられて可動メス28を固定メス27に対して接離させるリンク機構50と、を有する。
パルスモータ21はベース29に固定され、ベース29が縦胴部3に固定され、パルスモータ21及びベース29はともに縦胴部3内に配置されている。パルスモータ21の駆動取出軸が糸切りカム部材22に直結され、糸切りカム部材22がパルスモータ21によってその駆動取出軸回りに回転されるようになっている。
図4は図2の図示する方向とは反対の方向から図示した図面であるが、糸切りカム部材22のパルスモータ21側の面には、軸穴30が形成され、その軸穴30内にパルスモータ21の駆動取出軸が固定されている。糸切りカム部材22のパルスモータ21側の面であって軸穴30の周囲には、カム溝37が凹設されている。カム溝37は、軸穴30の回りを一周して連なっているが、軸穴30からの距離が一様でない。糸切りカム部材22のパルスモータ21側の反対面には、押え上げカム体31が設けられている。押え上げカム体31は糸切りカム部材22と一体になっており、押え上げカム体31の外周面がカムとされている。押え上げカム体31の外周面には、押え上げ伝動機構32の一端側に設けられた従動子34が当接している。パルスモータ21により押え上げカム体31が回転することによって、押え上げ伝動機構32を介して押え上げ駆動脚35が昇降するとともに、押え上げ伝動機構32及びワイパ伝動機構33を介してワイパ36が左右方向に揺動する。
リンク機構50は、第一リンク23、連結棒24、第二リンク25、第三リンク26等から構成されている。第一リンク23の上端部にはコロ38が取り付けられ、このコロ38がカム溝37に挿入されてカム溝37に沿って摺動可能となっている。第一リンク23の上下中間部が支持ピン39によって縦胴部3に取り付けられ、第一リンク23が支持ピン39を中心にして左右方向の軸回りに回転自在となっている。糸切りカム部材22が一回転する間に、コロ38が前後に一往復するよう第一リンク23が支持ピン39を中心にして回転する。
第一リンク23の下端部には遮蔽部材40が取り付けられ、第一リンク23の下端部の近傍においてフォトインタラプタ41がベッド部2に固定され、遮蔽部材40がフォトインタラプタ41によって検出された場合にフォトインタラプタ41から検出信号が出力される。
第一リンク23の下端部が連結棒24の後端部に連結し、連結棒24と第一リンク23がその連結部を中心にして左右方向の軸回りに回転可能となっている。連結棒24はベッド部2内で前後に延在し、連結棒24の前端部が針板18の下方にまで達している。図3に示すように、連結棒24の前端部がピン42によって第二リンク25の一端部に連結し、連結棒24に対して第二リンク25がピン42を中心にして上下方向の軸回りに回転可能となっている。第二リンク25の中間部が針穴19aの前方において段ネジ43によって針板18に取り付けられ、第二リンク25が針板18に対して段ネジ43を中心にして上下方向の軸回りに回転可能となっている。
第二リンク25の他端部がピン44によって第三リンク26の一端部に連結し、第二リンク25に対して第三リンク26がピン44を中心にして上下方向の軸回りに回転可能となっている。第三リンク26は第二リンク25から後方に延出し、第三リンク26の後ろ側端部がピン45によって可動メス28の先端部分と基端部との間において可動メス28に連結し、第三リンク26に対して可動メス28はピン45を中心にして上下方向の軸回りに回転可能となっている。
可動メス28の基端部が針穴19aの前方左側において段ネジ46によって針板18に取り付けられ、針板18に対して可動メス28が段ネジ46を中心にして上下方向の軸回りに回転可能となっている。可動メス28の先端部分には、段ネジ46を中心にした周方向に向かって尖った突先28a及び突先28bが形成されている。図3のように上から見て、突先28aは周方向時計回りに向かって尖っており、突先28bは周方向反時計回りに向かって尖っている。また、図3のように上から見て、可動メス28の時計回り側の側縁28cは突先28aから凹んで湾曲するよう形成されており、可動メス28の反時計回り側の側縁28dも凹んで湾曲するよう形成されており、可動メス28の半径方向の先端縁28fは円弧状に形成されている。可動メス28の先端部分の上面には、刃状の刃部28eが形成されている。以下、突先28aを糸捕捉部28aと称し、側縁28dの凹んだ部分を糸手繰り部28dと称する。
パルスモータ21の動力が第一リンク23、連結棒24、第二リンク25及び第三リンク26によって可動メス28に伝動するようになっている。即ち、パルスモータ21及び糸切りカム部材22によって第一リンク23の上端部が前後に一往復すると、可動メス28が段ネジ46を中心にして前後に一往復の揺動をするようになっている。図3のように上から見て、可動メス28の先端部分の軌道上に針穴19aが配されており、可動メス28の先端部分が針穴19aを跨って移動するようになっている。糸切り装置20の原点位置とは、可動メス28が前後の軌道の最前端に位置している(つまり、軌道で最も反時計回り側に位置している)箇所をいい、可動メス28が原点位置に位置している場合には糸捕捉部28aは針穴19aより前方に位置している。なお、図3において、二点鎖線の円弧は突先28bの軌道を示す。
固定メス27は針穴19aの前方に配置されており、可動メス28が原点位置に位置している場合には可動メス28が固定メス27に下に重なっている。固定メス27には刃状の刃部27aが形成されており、刃部27aは針穴19aのすぐ前で後方に向いている。図3のように上から見て、刃部27aは可動メス28の刃部28eの軌道上に配されている。なお、連結棒24、第二リンク25、第三リンク26、固定メス27及び可動メス28は針板18の下方に配されているので、図3では針板18及びベッド部2の外径を二点鎖線で示す。
固定メス27には、前後に長尺な調整穴27bが前後に並ぶよう形成されている。調整穴27bに挿入された螺子27cを針板18に螺合すると、螺子27cによって固定メス27を針板18に固定することができる。一方、螺子27cを緩めると、固定メス27を可動メス28の軌道に沿って前後に移動させて針板18に対する固定メス27の位置を調整することができる。
図5、図6の下面図に示すように、上糸を太くするにつれてより大きな針穴19aの径の針ガイド19を用いる。また、固定メス27の固定位置については、上糸を太くするにつれてより前方になるようにする。これによって、針ガイド19の針穴19aの径の大きさに関わらず、針穴19aから固定メス27の刃部27aの距離を一定にする。なお、図6の場合に用いられる上糸の太さは、図5の場合に用いられる上糸の太さよりも太い。
次に、図7を用いてミシン1の制御装置8について説明する。この制御装置8は、糸切り装置20の制御装置も兼ねている。この制御装置8は、CPU51と、RAM52と、ROM53と、インターフェース54と、駆動回路55とを具備する。
ROM53には主軸モータ7及びパルスモータ21等を制御して縫製動作及び縫製に付随する動作を行うための制御プログラムが格納されている。RAM52は、ワークエリアをCPU51に提供するメモリである。CPU51は、RAM52を作業領域としてROM53に格納された制御プログラムに従った処理を行うものである。駆動回路55は、CPU51の処理に従って主軸モータ7やパルスモータ21を駆動するものである。インターフェース54は、フォトインタラプタ41から検知信号を入力するとともに、操作パネル48から信号を入力するものである。
操作パネル48は、作業者の操作内容に応じた信号をするものである。これにより、作業者が種々のデータを入力することができる。なお、詳細には後述するが、縫いの最後に針6が往復する際に、パルスモータ21が作動して可動メス28によって上糸及び下糸が捕捉されてから上糸及び下糸が切断されるまでの間に、パルスモータ21が一旦停止するが、パルスモータ21が作動してからパルスモータ21が停止するまでのパルス数を設定するために、操作パネル48が用いられる。
制御装置8がCPU51の処理により駆動回路55を通じて主軸モータ7及びパルスモータ21を制御することによって、ミシン1が本縫いを行うとともに本縫いに付随する動作も行う。ここで、制御装置8が主軸モータ7やパルスモータ21にパルス信号を出力することで、主軸モータ7やパルスモータ21が1パルス当たり所定の回転角で回転する。
次に、制御装置8の処理の流れ、その処理によるミシン1の動作を、図8〜図10を用いて説明する。なお、図8は、主に針棒5の動きに対する可動メス28及び半回転釜の動きのタイミングを示すタイミングチャートであり、図9〜図10は、(a)〜(h)の順に可動メス28の動作の過程を示した斜視図である。図8において、横軸は主軸の回転角度を示しており、針棒5が上死点に位置した際の主軸の回転角度を0°としている。また、縦軸は、針棒5の上下位置(針棒運動曲線A)、可動メス28の軌道上での位置(糸取り曲線B)、天秤の上下位置(天秤運動曲線C)、半回転釜の糸引き量(釜糸取り曲線D)を示す。
まず、制御装置8はパルスモータ21を作動させ、フォトインタラプタ41から検出信号を入力したらパルスモータ21を停止させる。これにより、可動メス28が軌道の最前端である原点位置まで移動したら停止する。そして、可動メス28が原点位置にある場合に、制御装置8が主軸モータ7を駆動すると、針棒5及び天秤14が上下の往復運動を繰り返すとともに、半回転釜が半回転の往復運動を繰り返す。このような針6と天秤14と半回転釜の協働により、被縫製物に本縫いの縫い目が形成される。
最終の針落ち、つまり、本縫いの最後の縫い目が形成される際のミシン1の動作について詳細に説明する。主軸の角度がゼロ°であって針棒5が上死点に位置した時点では、天秤14は上死点に位置しておらず、針棒5が下降し始めた直後は天秤14が上昇している。その後、主軸の角度が約71°の時に天秤14が下降し、主軸の角度が180°の時に針棒5が下死点に至って上昇し始める。主軸の角度が約205°の時に、半回転釜が剣先で針6から上糸を捕捉する(図9(a))。その後も、天秤14が下降している最中であり、半回転釜が上糸を引っ張っているため、上糸のループ101が広がる。
引き続き天秤14が下降するとともに針棒5が上昇し、半回転釜が上糸ループ101を引き、そして、主軸の角度が約260°の時に、制御装置8がパルスモータ21の作動を開始する。これにより、可動メス28が原点位置から後ろへ(図3においては時計回りに、図5、図6においては反時計回りに)移動し始める(図9(b))。更に、可動メス28が固定メス27から後ろへ離れるよう移動すると、糸捕捉部28aが上糸ループ101の中に進入して、上糸ループ101の針側の切断すべきでない部分が側縁28cへ進入するとともに、下糸が可動メス28の先端縁28fによって払われる(図9(c))。更に、可動メス28が後ろへ移動すると、上糸ループ101の縫い目側の切断すべき部分が先端縁28fによって払われる(図9(d))。
その後、パルスモータ21が引き続き同じ方向に回転しているが、糸切りカム部材22のカム溝37の形状によって、可動メス28が角度約320°から330°の間で軌道の最後位置に位置してから最後位置から前へ(図3においては反時計回りに、図5、図6においては時計回りに)移動し始める。このように、可動メス28が原点位置から最後位置へ移動した後に固定メス27へ戻り始めることによって、上糸ループ101の縫い目側部分が突先28bを越えて、糸手繰り部28dへ進入して捕捉され、上糸ループ101が針側部分と縫い目側部分に分けられる(図9(e))。なお、可動メス28が復動し始める時点では天秤14及び針棒5は上昇しており、主軸の角度が約310°の時に天秤14が下死点に至って上昇し始めている。
引き続き可動メス28が前へ移動すると、糸手繰り部28dに下糸が進入して、下糸が可動メス28によって捕捉され、主軸の角度が約345°の時に半回転釜の剣先から上糸が開放される(図10(f))。引き続き可動メス28が前へ移動すると、上糸ループ101の縫い目側部分及び下糸が糸手繰り部28dによって固定メス27の刃部27aへ誘導されるように引っ張られ、更に、天秤14が上昇することによって上糸ループ101が引っ張られる。これにより、上糸ループ101が小さくなり、可動メス28に上糸が絡みつきだし、可動メス28が固定メス27の下に進入しているために、上糸ループ101の縫い目側部分が可動メス28の刃部28eへと誘導され始める(図10(g))。なお、天秤14の復動の際に、下糸の引きだし速度が速すぎてボビンが空転しないように、制御装置8が往動の時よりも復動の時のパルスモータ21の回転速度を遅くして、可動メス28の動きが遅くなっている。
更に、可動メス28が前へ移動し、可動メス28の刃部28eが固定メス27の刃部27aにかみ合う直前で、制御装置8がパルスモータ21を停止させる。これにより、可動メス28の復動も停止する(図10(h))。この時点で、可動メス28に上糸ループ101が絡みついており、針棒5が下降中であり、天秤14が上昇中である。可動メス28が停止する位置については後に詳細に説明する。
可動メス28が停止した後に、天秤14が上昇することで上糸が引き上げられる。そして、主軸の角度が45°である時に、天秤14が上死点に至る直前となり、その時に制御装置8が主軸モータ7を停止させる。主軸モータ7が停止してから所定時間だけ経過したら、制御装置8が再びパルスモータ21を作動させることで、可動メス28が原点位置へと移動し出す。そして、可動メス28が原点位置へ戻るまでの間に、可動メス28の刃部28eが固定メス27の刃部27aに出会って、刃部27aと刃部28eとによって上糸が縫い目側部分で鋏み切られるとともに下糸も鋏み切られる。引き続き、パルスモータ21が回転しているが、糸切りカム部材22のカム溝37の形状によって可動メス28が原点位置で停止し、押え上げカム体31のカム形状によって押え上げ伝動機構32及び押え上げ駆動脚35を通じて押えが上昇するとともに、押え上げ伝動機構32及びワイパ伝動機構33を通じてワイパ36が揺動する。押えの上昇によって被縫製物が解放され、ワイパ36の揺動により上糸が引き出され、その後制御装置8がパルスモータ21を停止する。なお、図8において、主軸モータ7の停止後においては、横軸は、主軸モータ7が停止してからの時間を示す。
以上のように、制御装置8によって主軸モータ7及びパルスモータ21が制御されることによって、針棒5、天秤14及び可動メス28は図8〜図10を参照してきて説明したようなタイミングで動作する。つまり、最後の縫い目の針6の上下動の際には、天秤14が上昇して上糸ループ101が引っ張られている時に、可動メス28によって上糸ループ101が針側部分と縫い目側部分に分けて、縫い目側部分と下糸が可動メス28によって固定メス27へと手繰られる。その後、可動メス28が固定メス27にかみ合う直前で、可動メス28が停止するが、可動メス28の停止位置が変更可能とされている。
具体的には、可動メス28が原点位置を動き出してから固定メス27にかみ合う直前で停止するまでの間にパルスモータ21に出力するパルス数が制御装置8によって変更可能とされている。これにより、可動メス28の停止位置が変更可能とされている。
図11のグラフでは、横軸は、可動メス28が原点位置から動き出してからのパルス数を表し、縦軸は、パルスレートを表す。図11の実線に示すように、可動メス28が原点位置から動き出してから上糸を捕捉するまでの間の区間Aでは、制御装置8がパルスレートを上昇させ、上糸捕捉後の区間Bでは、制御装置8がパルスレートを一定にし、その後に可動メス28が停止するまでの区間Cでは、制御装置8がパルレートを下げている。実線の場合よりも制御装置8が点線のように区間Bのパルス数を増加させたら(但し、区間Aのパルス数及び区間Cのパルス数を一定としている)、可動メス28の停止位置が実線の場合よりも前方において停止することになる。このように、区間Bのパルス数の増減により、区間A〜区間Cでパルスモータ21に出力するパルス数が変更される。
ここで、ミシン1によって本縫いが行われる前に、作業者が操作パネル48を操作することによって、区間Bのパルス数が操作パネル48から制御装置8に入力され、制御装置8は入力されたパルス数を設定パルス数としてRAM52に記憶する。なお、区間Aのパルス数及び区間Cのパルス数は、ROM53に予め格納されている。
その後、ミシン1によって本縫いが行われ、上述したように主軸の角度が約260°の時に制御装置8がパルスモータ21を作動させる。そして、制御装置8は、ROM53に格納された区間Aのパルス数だけのパルスをパルスモータ21に出力し、その間はパルスレートを上昇させる。その後、制御装置8は、RAM52に格納された設定パルス数だけのパルスをパルスモータ21に出力し、その間はパルスレートを一定にさせる。その後、制御装置8は、ROM53に格納された区間Cのパルス数だけのパルスをパルスモータ21に出力し、その間はパルスレートを減少させる。そして、制御装置8がパルスモータ21を停止することによって、可動メス28が固定メス27にかみ合う直前で停止する。このように、作業者が操作パネル48によって設定したパルス数に応じた位置で可動メス28が停止する。
使用する上糸の太さと可動メス28の停止位置との関係について説明する。
上述したように、上糸を太くするにつれてより大きな針穴19aの径の針ガイド19を用い、上糸を太くするにつれてより前方に固定メス27の固定位置を調整する。従って、固定メス27と可動メス28が出会って上糸が切断される位置は、上糸が太くなるにつれてより前方になる。上糸を太くするにつれて操作パネル48で設定するパルス数をより多くすると、可動メス28の停止位置がより前方になる。これにより、上糸の太さに関わらず、可動メス28が停止位置から可動メス28が固定メス27と出会って上糸が切断される位置までの距離を一様にすることができる。
なお、作業者が操作パネル48にパルス数を入力することによって、可動メス28の停止位置を変更できるようにしたが、他の手段を用いても良い。例えば、区間Bのパルス数と上糸の太さとの関係を表したデータテーブルが予めROM53に格納されていて、ミシン1によって本縫いが行われる前に作業者が使用する上糸の太さを操作パネル48で入力すると、制御装置8がその太さに対応したパルス数をデータテーブルから読み出し、区間Bにおいてはその読み出したパルス数だけのパルスをパルスモータ21に出力する。ここで、データテーブルにおいては、可動メス28の停止位置から可動メス28が固定メス27と出会って上糸が切断される位置までの距離が上糸の太さに関わらず一様になるように、パルス数が設定されている。
以上のように、本実施形態によれば、固定メス27の固定位置が機械的に可動メス28の軌跡に沿って調整可能とされ、可動メス28が固定メス27にかみ合う直前の停止位置がパルスモータ21に対する制御装置8の制御によって変更可能とされているので、針ガイド19の針穴19aの径の大きさや上糸の太さに関わらず、停止位置から切断位置までの距離を一定に保つことができる。そのため、上糸の太さを変えて固定メス27の固定位置を変更させた場合でも、可動メス28によって下糸が引き出される量を一様にすることができ、固定メス27の固定位置の変更による下糸の引き出し長さの変化を防止することができ、半回転釜内のボビンの空転を防止することができる。
また、可動メス28の停止位置を変更するのに、糸切りカム部材22のカム溝37の形状や、リンク機構50の各リンクの長さ若しくは連結位置を変更するのではなく、制御装置8の処理が変更される。そのため、使用し得る上糸の太さに合わせて、様々な形状の糸切りカム部材22や様々な構造のリンク機構50を用意しなくて済む。ゆえに、可動メス28の停止位置から上糸や下糸の切断位置までの距離を一定に保つことを安価に実現することができ、上糸の太さに応じて糸切りカム部材22やリンク機構50を交換しなくても済む。
ミシン1の側面図である。 糸切り装置20の斜視図である。 糸切り装置20の一部の上面図である。 糸切りカム部材22の斜視図である。 上糸が細い場合において糸切り装置20の一部の下面図である。 上糸が太い場合において糸切り装置20の一部の下面図である。 ミシン1、糸切り装置20のブロック図である。 ミシン1の針棒5の動きに対する可動メス28及び半回転釜の動きのタイミングを示すタイミングチャートである。 (a)〜(d)の各図は被縫製物の下方に配される可動メス28を主に示す斜視図であり、(a)〜(d)の順に可動メス28、上糸及び下糸の状態の過程が示されている。 (e)〜(h)の各図は被縫製物の下方に配される可動メス28を主に示す斜視図であり、(e)〜(h)の順に可動メス、上糸及び下糸の状態の過程が示されている。 パルス数とパルスレートの関係を示したグラフである。
符号の説明
1 ミシン
8 制御装置(制御手段)
20 糸切り装置
21 パルスモータ(駆動手段)
27 固定メス
28 可動メス

Claims (2)

  1. ミシンに固定された固定メスと、
    前記固定メスに対して接離移動可能に設けられた可動メスと、
    前記可動メスを前記固定メスに対して接離移動させる駆動手段と、
    前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が前記駆動手段を作動させることにより上糸及び下糸を捕捉し、前記可動メスが前記固定メスにかみ合う前に前記制御手段が前記駆動手段を停止させ、所定のタイミングで再び前記制御手段が前記駆動手段を作動させることで前記可動メスが前記固定メスにかみ合って前記可動メスと前記固定メスにより上糸及び下糸を切断する糸切り装置において、
    前記固定メスの固定位置が前記可動メスの軌道に沿って調整可能とされ、
    前記可動メスが前記固定メスにかみ合う前に停止する停止位置が前記駆動手段に対する前記制御手段の制御によって変更可能とされていることを特徴とする糸切り装置。
  2. 前記駆動手段がパルスモータであり、
    前記可動メスが前記固定メスを離れだしてから前記固定メスにかみ合う前で停止するまでの間に前記駆動手段に出力するパルス数が前記制御手段により変更可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の糸切り装置。
JP2005139644A 2005-05-12 2005-05-12 糸切り装置 Active JP4642545B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005139644A JP4642545B2 (ja) 2005-05-12 2005-05-12 糸切り装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005139644A JP4642545B2 (ja) 2005-05-12 2005-05-12 糸切り装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006314514A JP2006314514A (ja) 2006-11-24
JP4642545B2 true JP4642545B2 (ja) 2011-03-02

Family

ID=37535723

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005139644A Active JP4642545B2 (ja) 2005-05-12 2005-05-12 糸切り装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4642545B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015073741A (ja) * 2013-10-09 2015-04-20 星鋭縫▲じん▼機股▲ふん▼有限公司 ミシンの糸切り機構

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2649702B2 (ja) * 1988-07-22 1997-09-03 株式会社バルダン ミシンの糸切断装置
JP2000042278A (ja) * 1998-05-28 2000-02-15 Juki Corp ミシンの制御装置
JP2003236280A (ja) * 2002-02-20 2003-08-26 Juki Corp ミシン
JP2003326038A (ja) * 2002-05-13 2003-11-18 Juki Corp ミシン

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01291891A (ja) * 1988-05-20 1989-11-24 Mitsubishi Electric Corp 本縫いミシンの糸切り装置
JP3449589B2 (ja) * 1996-03-11 2003-09-22 ブラザー工業株式会社 ミシン

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2649702B2 (ja) * 1988-07-22 1997-09-03 株式会社バルダン ミシンの糸切断装置
JP2000042278A (ja) * 1998-05-28 2000-02-15 Juki Corp ミシンの制御装置
JP2003236280A (ja) * 2002-02-20 2003-08-26 Juki Corp ミシン
JP2003326038A (ja) * 2002-05-13 2003-11-18 Juki Corp ミシン

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006314514A (ja) 2006-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5042573B2 (ja) ミシン
JP6560913B2 (ja) ミシン
US8015934B2 (en) Thread cutting device of sewing machine
JP2008068001A (ja) ミシン
KR101809269B1 (ko) 미싱
KR20140106431A (ko) 재봉기
JP2006102400A (ja) ミシン
KR100983691B1 (ko) 재봉틀
JP4642545B2 (ja) 糸切り装置
JP6441221B2 (ja) ミシン
JP2009240389A (ja) ミシン
JP2008068005A (ja) ミシン
US10982366B2 (en) Sewing machine
CN214613042U (zh) 一种刺绣机剪线装置
JP2011125387A (ja) ミシン
JP2007089987A (ja) 玉縁縫いミシン
JP2640307B2 (ja) 偏平縫いミシンの返し縫い方法及びその装置
JP6581853B2 (ja) 穴かがりミシン
JP2009050638A (ja) ミシン
JP5318357B2 (ja) 電動式ミシン
JPH11333175A (ja) ミシンの糸切り装置
JP2010063571A (ja) ミシン
CN221142096U (zh) 一种少鸟巢剪线吸风机构及缝纫机
CN221167026U (zh) 一种少鸟巢剪线机构及缝纫机
JPH08332290A (ja) ミシンの中押え機構

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080508

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101018

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101102

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4642545

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131210

Year of fee payment: 3