JP4640856B2 - 通信システム及び通信端末 - Google Patents
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Description
技術分野
[0001]
本発明は、複数の無線通信手段を有する通信端末によるモバイルネットワークシステムに使用され、複数のネットワークを介して通信を行う通信プログラム、会話型やストリーミング型のアプリケーションサービスをユーザに提供する通信システム及び通信端末に関する。
背景技術
[0002]
近年の無線技術の進歩に伴い、様々な無線通信方式でのインターネットへの接続が普及し、無線の利点を生かして移動環境でのモバイル通信環境が提供されるようになりつつある。また、携帯端末についても高機能化が進み、1つの端末装置で複数のネットワーク(例えば、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System等)に接続することができるようになってきている。これにより、1つの端末装置で複数の種類のネットワークに接続することが可能となり、使用の都度、最適な通信環境を選択して通信を行うことが可能になってきている。
[0003]
さらに、異なるネットワーク間で継続して無線通信を行うことを可能とする技術(Mobile IPv6、Lin6等)の登場により、使用の都度、最適な通信環境を選択して通信の切替え時に、途切れなくサービスを受けることが可能となりつつある。また、無線通信を行うネットワークの切替えに伴う通信状態の変動に応じて、受信するデータの品質を変更する技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
[0004]
一方、無線で移動しながらのデータ通信は、移動にともなって電波強度が変化したり、通信が途切れたり、異なる無線ネットワークに移動すると伝送帯域幅が大幅に変化したりして不安定である。そこで、こういった下位層の情報を上位層に通知する手段を提供することで、ネットワークの切替えの制御やデータの品質の制御を行う方法が提案されている(特許文献2参照)
[特許文献1]特開2004−272563号公報
[特許文献2]特開2004−266330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、ネットワークの切替えの制御を行う際の通信状態(通信端末間の伝送路状態)を、全ての通信可能なネットワークインタフェースに対して動的に取得することは考慮されていない。このため、実際の通信状態によっては、再びネットワークの切替えが必要となるケースが考えられる。また、使用するアプリケーションによって、優先基準となるパラメータが異なる場合がある。例えば、映像ストリーミングの場合では使用出来る帯域幅は広ければ広いほど良く、VoIP(Voice over Internet Protocol)についてはRTT(Round Trip Time)に対する優先度が高く、帯域についてはある程度確保できれば良いというように、アプリケーションによって優先順位を決めるためのパラメータに対する要求が異なることが想定される。
【0006】
また、上記特許文献2に開示されている技術では、無線ネットワークでの通信状況に関する情報(電波強度、変調方式、無線の混雑状況、ネットワークプレフィックス、受信バッファサイズ等)を取得することは可能である。しかし、ラスト1ホップ以外の部分がボトルネックとなるようなネットワーク環境が混在することが想定されるネットワークでは、通信端末間のEnd−to−Endの伝送路情報を取得する必要がある。上記のような伝送路の例としては、近年各家庭に普及しつつあるADSLサービスでの無線LANの使用に代表されるものが挙げられる。
【0007】
このような伝送路では、経路の途中にあるADSL部分が伝送路帯域のボトルネックとなる可能性がある。さらに、ADSL、高速無線通信(FOMA、CDMA2000等)等の上り/下りの帯域が非対称である伝送路を使用する場合がある。この場合は、上り/下りで伝送路状態が異なることがあり、双方向通信を考慮に入れた場合には、上りと下りで使用する伝送路に異なるものを選択することも必要となっている。
本発明は、上述した種々の課題を効率的に解決するための通信システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の通信システムは、複数の伝送路に接続可能なネットワークインタフェースを備えた通信端末が、複数の伝送路を利用する通信システムで、通信端末間が互いに複数のネットワークインタフェースのうち通信可能なネットワークインタフェースを検知し、複数のネットワークインタフェースの所定の属性に関するネットワークインタフェース情報を取得し、通信可能なネットワークインタフェースと通信相手の通信可能なネットワークインタフェースとの間に存在する伝送路リストを作成し、伝送路リストに対応する伝送路の状態に関する情報を取得し、伝送路の優先度を前記ネットワークインタフェース情報及び伝送路情報のいずれかに基づいて判断し、伝送路を決定し、決定された伝送路を介してデータ通信を行うことを特徴とする。また、伝送路リストにより伝送路の組合わせを選択した際に、送信側の通信端末からの情報を相手通信端末のネットワークインタフェースのいずれか1つを宛先に指定し、送信側の通信端末のネットワークインタフェースのいずれか1つを送信元として伝送路に送信することで、選択した伝送路を用いたデータ通信を行なう。なお、伝送路の状態は、通信端末間でプローブパケットを用いた送受信で取得される。
[0009]
前記のネットワークインタフェース情報には、トランスポート層より下位の層において検出される通信状況を含み、例えば、上り/下りで異なるネットワークインタフェース伝送速度、無線通信の電波強度やネットワークインタフェースのリンク状態等が用いられる。また、伝送路情報には、複数のネットワークインタフェースが接続されたネットワークと通信相手との間のボトルネック物理帯域幅、可用帯域幅、RTT、通信コストが含まれる。ネットワークインタフェースの優先度の決定は、データ通信を行うアプリケーションプログラム毎に設定された優先基準に基づいて判断され、上り/下りの伝送路特性が異なる非対称通信ネットワークが含まれる場合には、優先基準によって上り/下りで異なる伝送路を選択できる。要求帯域幅が優先基準に使用される場合は、要求帯域幅はアプリケーションプログラム毎に複数設定される。
[0010]
データ通信のデータ種別は、アプリケーションプログラム毎に設定された品質情報と、決定された伝送路に関する伝送路情報を参照して、それらの情報からコンテンツ品質を決定する。また、データ通信後、データ通信中でないネットワークインタフェースの状態や使用している伝送路の伝送路状態、無線変調方式などが変化したとき、伝送路の優先度を再度判断して最も優先度の高い伝送路に切替える。
発明の効果
[0011]
本発明によれば、ユーザの移動につれて刻々と変化する通信環境での複数のネットワークインタフェースを備えた移動端末を含む通信端末間における通信システムにおいて、映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーションによりデータ通信を行う際に、アプリケーション毎に設定された優先基準もしくはユーザの嗜好にあわせてより適切な伝送路を選択することが可能となる。併せて、ネットワーク情報に合せた品質のコンテンツを選択することで、通信端末の存在する場所に応じた品質のサービスを提供することが可能となる。また、データ通信中の場合についても、伝送路の通信状況の変化により、伝送路の状態を再度取得し、アプリケーション毎に設定された優先基準もしくはユーザの嗜好に合せて再度伝送路を選択することで、時々刻々と変化する通信環境においても、通信端末の存在する場所の通信環境に最適な品質でサービスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態を適用できるネットワークの全体構成例を示す図である。
【図2】本実施形態を適用できる無線ネットワークの基地局と対応するアクセス可能エリアの概念図である。
【図3】本発明による通信端末の内部構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】通信端末10の通信開始時の各部の動作を示す動作シーケンス図である。
【図5】通信端末10のネットワークインタフェースカードの通信状態が変化した場合の各部の動作を示すシーケンス図である。
【図6】本実施例におけるネットワークインタフェース情報テーブルの一例を示す図である。
【図7】本実施例における、通信情報通知フォーマットの一例(A)、品質情報テーブルの一例(B)、アプリケーション優先基準テーブルの項目の一例(C)を示す図である。
【図8】本実施例におけるネットワークインタフェースリストの一例(A)、伝送路リストの一例(B)を示す図である。
【図9】本実施例における伝送路情報テーブルの一例(A)、ボトルネック物理帯域幅の概要(B)、ボトルネック物理帯域幅の測定方法の一例(C)を示す図である。
【図10】本実施例におけるRTT遅延差の測定方法の一例を示す図である。
【図11】本実施例における可用帯域幅の概要を示す図である。
【図12】本実施例における伝送路選択の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】図12に引続く本実施例における伝送路選択の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】本実施例における、上り/下りで異なる伝送路が選択される場合の一例(A)、ネットワークインタフェース情報テーブルの別の一例(B)、伝送路情報テーブルの別の一例(C)を示す図である。
【図15】本実施例におけるアプリケーション優先基準テーブルの別の一例を示す図である。
【図16】本実施例における通知されるネットワークインタフェース情報の別の一例(A)、追加された伝送路のリストの一例(B)、通知されるネットワークインタフェース情報の別の一例(C)を示す図である。
【符号の説明】
【0013】
10…通信端末、11…アプリケーション部、12…ユーザ設定部、13…通信制御部、14…コンテンツ制御部、15…アプリケーション優先基準テーブル、16…品質情報テーブル、17…伝送路制御部、18…伝送路管理部、19…伝送路選択部、20…IP制御部、21…伝送路情報テーブル、22…ネットワークインタフェース情報テーブル、23…伝送路状態管理部、24…ネットワークインタフェース管理部、25…ネットワークインタフェースカード(NIC)、26…自端末、27…通信相手端末、28…ネットワーク。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
先ず、本発明による通信システムが適用される無線ネットワ−クの全体構成と、そのアクセス可能エリアについて、図1,図2により説明する。
図1において、ネットワーク1〜nは、LANやWANなどのネットワークセグメント単位のネットワークであり、例えば、ネットワーク1は複数の無線基地局を、ネットワーク2は複数の無線アクセスポイント(AP)を含むことが出来る。つまり、ネットワーク1〜nのそれぞれは、例えば、公衆の携帯電話網、自営の構内無線LAN、ホットスポット、もしくは家庭内の無線ネットワーク等であり、ここでは、IPベースのネットワークであるとする。これらネットワークセグメント毎のネットワークは、インターネットに代表されるコアネットワークに接続されている。
【0015】
通信端末1〜nは、1対1、あるいは複数端末間で、映像・音声によるコミュニケーション等の通信を行う。例えば、通信端末1が移動して、無線基地局1の電波を受信している状態から無線基地局2の電波を受信する状態に変わっても、無線基地局1と2の間でハンドオーバが行われ、通信端末1は移動前の通信を移動後もそのまま継続して行うことが出来る。無線アクセスポイントAP1の接続範囲から無線アクセスポイントAP2の接続範囲へ移動した場合も同様である。無線アクセスポイント間のハンドオーバでは、認証情報のハンドオーバと併用しても構わない。
【0016】
さらに、通信端末がネットワークセグメント間を移動しても、ネットワーク層でのハンドオーバが行われ、通信を継続して行うことが出来る。例えば、通信端末2が移動して、無線基地局2に接続された状態から無線アクセスポイントAP1に接続された状態に変わったとする。この場合であっても、通信端末2が無線基地局2及び無線アクセスポイントAP1のそれぞれに接続可能なネットワークインタフェースカード(NIC:Network Interface Card)を備えており、後述するIP制御部が、例えば、モバイルIP(IETF:Internet Engineering Task Force)RFC3775に対応したものであれば、アプリケーション部では、異なるネットワークに移動したことに関わらずに、通信処理を継続することができる。
【0017】
ネットワークセグメント間のハンドオーバについては、IP制御部がLin6(IETF Draft−Teraoka−ipng−Lin6−01)に対応したもの、通信制御部がセッションを維持しながらのハンドオーバに対応したものや同様の機能を実現する技術であっても構わない。また、ネットワークセグメント間の移動については、無線アクセスポイントAP1と無線アクセスポイントAP2が異なるネットワークセグメントで構成されている場合でも、前述したようなハンドオーバ技術を用いることで、上記無線アクセスポイント間のハンドオーバ時にも継続して通信を行うことが可能となる。
【0018】
図2は、無線基地局、無線アクセスポイントと対応するアクセス可能エリアの概念図である。図2において、ネットワーク1〜3はLANやWANなどのネットワークセグメント単位のネットワークであり、携帯基地局1はネットワーク1に、無線AP2はネットワーク2に、PHS基地局3はネットワーク3に接続されている。これらネットワークセグメント毎のネットワークは、IPベースのネットワークであり、図1と同様に各々コアネットワークに接続されている。
【0019】
それぞれのアクセス可能エリアについては、携帯基地局1は携帯エリア1に、無線AP2は無線LANエリア2に、PHS基地局3はPHSエリア3に対応しており、各々のエリア内にいる場合に、通信端末1は各々の無線通信方式で通信可能となる。通信端末1は、携帯基地局1及び無線AP2及びPHS基地局3に接続可能なNICを備えており、無線LANエリア2では携帯基地局1、無線AP2、PHS基地局3を経由してそれぞれネットワーク1〜3に接続可能である。
【0020】
同様に携帯・PHSエリア4では、携帯基地局1及びPHS基地局3を経由してそれぞれネットワーク1及び3に接続可能で、前述したとおり携帯エリア1から携帯・PHSエリア4を除いたエリアでは、携帯基地局1を経由してネットワーク1にのみ接続可能である。PHSエリア3から携帯・PHSエリア4を除いたエリアでは、PHS基地局3を経由してネットワーク3にのみ接続可能となる。例えば、通信端末1が移動して無線LANエリア2で無線AP2経由でネットワーク2に接続している状態から携帯・PHSエリア4に移動してPHS基地局3経由でネットワーク3に接続する場合には、ネットワークセグメント間の移動になるので、前述のモバイルIP等の技術を適用することで通信を継続することが可能となる。
【0021】
通信端末1で使用しているアプリケーションによってネットワーク1の方が適していると選択された場合は、携帯基地局1経由でネットワーク1に接続することも可能である。同様にして携帯・PHSエリア4でPHS基地局3経由でネットワーク3に接続している状態から携帯基地局1にのみ接続可能な携帯エリア1に移動した場合や、携帯・PHSエリア4で携帯基地局1経由でネットワーク1に接続している状態からPHS基地局3にのみ接続可能なPHSエリア3に移動した場合も、前述のモバイルIP等の技術を適用することで通信を継続することが可能である。
【0022】
また、無線LANエリア2では、携帯基地局1、無線AP2、PHS基地局3経由でネットワーク1〜3に接続可能なので、使用しているアプリケーションによって適したネットワークが選択される。ここでは、無線通信方式として携帯、PHS無線LANについて挙げているが、近距離通信であるブルートゥース(Bluetooth)や広帯域の携帯通信方式であるIMT(International Mobile Telecommunication)−2000等のIPベースのネットワークを提供できるものであれば、無線通信方式については、いずれの方式を使用しても構わない。
【0023】
なお、通信の形態として、1)送信側が移動する通信端末で、受信側が固定に接続される通信端末である場合、2)送信側が固定に接続された通信端末で、受信側が移動する通信端末である場合、3)通信の送信側と受信側の双方が、移動する通信端末(通信端末1や2)である場合、がある。これらの場合において、送信側及び受信側の通信端末に本発明を適用することで、伝送路の切替えに応じたアプリケーションの制御を行うことができる。
【0024】
次に本発明による実施の形態を説明する。図3は本発明における通信端末の内部構成例を示す機能ブロック図、図4は通信開始時の動作シーケンスを示す図、図5はネットワークインタフェースカードの通信状態が変化したときの動作シーケンスを示す図である。
図中、10は通信端末、11はアプリケーション部、12はユーザ設定部、13は通信制御部、14はコンテンツ制御部、15はアプリケーション優先基準テーブル、16は品質情報テーブル、17は伝送路制御部、18は伝送路管理部、19は伝送路選択部、20はIP制御部、21は伝送路情報テーブル、22はネットワークインタフェース情報テーブル、23は伝送路状態管理部、24はネットワークインタフェース管理部、25はネットワークインタフェースカード(NIC)、26は自端末、27は通信相手端末、28はネットワークを示す。
【0025】
本発明の通信システムで使用される通信端末10は、実際の通信データの送受信及び処理を行うアプリケーション部11と、ネットワークインタフェースカード25及び伝送路の状態管理及び制御を行う伝送路制御部17とで構成される。なお、この通信端末10は、携帯型電話端末でも、無線ネットワークに接続可能なPDA(Personal Digital Assistance)やパソコンでも、複数の無線通信手段を備えた端末であれば良い。
【0026】
アプリケーション部11は、アプリケーションプログラムに含まれ、ユーザからのサービス開始要求を受け、そのサービス定義情報及びアプリケーション優先基準テーブル15を基に伝送路制御部17に対してアプリケーション要求情報を送信する。伝送路制御部17は、アプリケーションプログラムに含まれるか、もしくは、アプリケーションプログラムにより利用されるものである。この伝送路制御部17は、アプリケーション部11からのアプリケーション要求情報を受けて、アプリケーション部11からのアプリケーション要求情報とネットワークインタフェース管理部24により得られたネットワークインタフェース情報及び伝送路状態管理部23により得られた伝送路情報を基に伝送路選択部19により伝送路を決定する。
【0027】
さらに、伝送路選択部19は、選択された伝送路に関する情報をアプリケーション部11に回答する。その情報を受けてコンテンツ制御部14では品質情報テーブル16を参照してコンテンツを決定し、通信制御部13によりデータの送受信を行うことでサービスの提供を行う。なお、通信端末の各部は、ハードウエア、ソフトウエア、これらの組合せのいずれにより実現しても構わない。
【0028】
次に上述した通信端末の各部についてより詳細に説明する。ネットワークインタフェース管理部24は、通信端末10に備えられたネットワークインタフェースカード(以下、NICという)25の管理、及び状態の監視を行う。ネットワークインタフェース管理部24は、NIC25に関して取得した情報(例えば、伝送速度(規格値)、料金、IPアドレス、通信カード規格、MTU(Max Transfer Unit)等)をネットワークインタフェース情報テーブル22に登録する。
【0029】
通信端末10に新たにNICが追加された場合や、取り外された場合及び使用可能/使用不可能になった場合の状態を監視し、常時ネットワークインタフェース情報テーブル22を更新する。ネットワークインタフェース情報テーブル22の例を、図6に示す。ネットワークインタフェース管理部24では、前記NICの状態が変化する度に図6に記載されている項目をNICのデバイス情報から取得する。
【0030】
伝送路状態管理部23は、ネットワークインタフェース管理部24で取得されたNIC情報を基に通信相手との間で利用可能となる伝送路(パス)を検出する。さらに検出された伝送路各々に対して伝送路状態(例えば、ボトルネック物理帯域幅、可用帯域幅、RTT遅延差、パケットロス率等)を取得し、伝送路情報テーブル21に登録する。また、NIC情報が更新された場合には、その度にパスの検出を行い伝送路情報を取得する。ただし前記処理の場合は更新されたパスのみ新たに伝送路情報を取得しても構わない。
【0031】
伝送路管理部18は、上記伝送路状態管理部23で取得された伝送路情報とアプリケーション部11から受け取ったアプリケーション要求情報(例えば、要求帯域、要求遅延、料金、優先伝送路等)から、アプリケーションに最適な伝送路を選択する。選択結果としては、アプリケーションに最適な伝送路を一つ選択しても伝送路の優先順位を求めて通信相手に選択してもらうのでも構わない。伝送路選択後、選択された伝送路の伝送路状態(帯域幅、遅延、パケットロス率、料金等)をアプリケーション部11に回答する。
【0032】
コンテンツ制御部14は、伝送路管理部18より回答された伝送路状態を基に品質情報テーブル16を参照して、送受信可能なコンテンツ種別を選択する。ここでのコンテンツ種別とは、例えば、映像ストリーミングでは映像・音声のビットレート、コーデックの種類、画角、フレーム等を、VoIP(Voice over Internet Protocol)ではコーデックの種類を指す。
【0033】
通信制御部13は、上記で選択されたコンテンツ種別のデータを送受信するように通信相手とネゴシエーションした後に、サービスの提供を開始する。また、通信相手とのアプリケーション情報(待ち受けポート番号、使用可能コーデック種別等)の送受信も行う。前記情報を送受信することでアプリケーションで提供可能なサービス品質を共通化することが可能となる。
【0034】
ユーザ設定部12は、ユーザが通信端末の設定やアプリケーション優先基準テーブル15の設定及び操作を行う入出力部である。このユーザ設定部12は、画面やボタン、マウス等で構成され、アプリケーション部11の機能は、ユーザから指定されるコマンドの実行からも制御される。
【0035】
IP制御部20は、IPネットワーク(図1,2)にデータを伝送するために必要なアドレス情報などを設定し、作成されたデータを、NIC25を介して実際のネットワークへ送受信する。通信端末10は、ネットワークに接続され、ネットワークの接続を維持したまま移動することが可能である。
【0036】
上述した通信端末10において、通信端末の起動時には、ネットワークインタフェース管理部24により、複数のネットワークインタフェースの属性に関する情報(例えば、通信カード名、伝送速度、電波強度、リンクの状態、変調方式等)を取得する。同時に通信可能なネットワークインタフェースを検出し、ネットワークインタフェース情報テーブル22に登録する。前記ネットワークインタフェースの検出方法としては、電波強度と閾値との比較による判断、リンクの状態の変化等が挙げられる。
【0037】
通信端末10の起動後は、ネットワークインタフェース管理部24がネットワークインタフェースの追加/削除及び通信可・不可を監視することで状態が変化したことを検知し、逐一ネットワークインタフェース情報テーブル22を更新する。アプリケーションの通信開始時には、通信端末10は通信相手と利用可能なコンテンツ情報を通知し合うことで利用可能なコンテンツの情報を取得し、前記情報を品質情報テーブル16に登録し、予め設定されたアプリケーションの優先基準(要求帯域幅、最低要求帯域幅、許容遅延等)の情報と共にアプリケーション優先基準テーブル15に登録する。
【0038】
次に、ネットワークインタフェース情報テーブル22を参照して、通信可能なNICの情報を通信相手に送信する。受信した通信端末では、送信されたNICの情報と自端末のネットワークインタフェース情報テーブル22を参照して、通信端末間に存在する伝送路(パス)を抽出する。抽出されたパスに対して各々の伝送路状態(ボトルネック帯域幅やRTT遅延差等)を取得し、各々の伝送路情報テーブル21に登録する。
【0039】
伝送路選択部19では、伝送路情報テーブル21のデータをアプリケーション優先基準テーブル15でフィルタリングすることで、アプリケーションの要求に最適な伝送路が選択される。例えば、アプリケーションとして映像ストリーミングが起動された場合は、帯域が優先基準として設定されるので、最も帯域の広い伝送路が選択される。この時、優先基準によって上り/下りの伝送路が異なるNICを選択することも可能である。また、伝送路選択部19では、1つの伝送路を選択するのではなく、伝送路に対して相対的な優先順位をもたせて通信相手に優先順位を通知して、通信相手に伝送路を決定させることも可能である。
【0040】
伝送路が選択されると、伝送路選択部19は、選択された伝送路の伝送路情報を伝送路情報テーブル21を参照してコンテンツ制御部14に送信する。コンテンツ制御部14では、受け取った伝送路情報をもとに品質情報テーブル16からコンテンツ品質を決定する。通信制御部13では、決定されたコンテンツの送受信を開始し、同時にIP制御部20は、伝送路選択部19により選択された伝送路に切り替えを行う。
以上の処理が実行されることで、決定された伝送路を介して選択されたコンテンツのデータ通信が行われ、伝送路の切替とアプリケーションの連動が実現される。
【0041】
ネットワークインタフェース管理部24において、NIC25の状態が変化したことを検知した場合は、新しく取得されたNIC25の情報をネットワークインタフェース情報テーブル22に登録もしくは登録されている情報を削除し、更新されたNIC25の情報を通信相手に送信する。受信した通信端末では、更新されたNIC25の情報と自端末のネットワークインタフェース情報テーブル22を参照して、通信端末間に存在する伝送路(パス)を検出する。
【0042】
伝送路が追加された場合は、新しく抽出された伝送路に対して各々の伝送路状態(ボトルネック帯域幅やRTT遅延差等)を取得し、各々の伝送路情報テーブル21に登録し、通信開始時と同様に再度伝送路の選択を行う。また、双方向通信で使用される場合には、上り/下り各々に対して伝送路の優先度が判断され、各々に対して最も優先度の高い伝送路を決定し、決定された伝送路を介してデータ通信を行う。既に他の伝送路を介した通信セッションが確立されている場合は、その通信セッションを維持したまま各々の伝送路の切換えが行われる。
【0043】
図4は、上述した図3の通信端末10の通信開始時の各部の動作を示す動作シーケンス図であり、図5は、NIC25の通信状態が変化した場合の動作シーケンスを示した図である。先ず、通信開始時の動作シーケンスを説明する。図4において、自端末26は、通信を開始する送信側の通信端末であり、通信相手端末27は、送信側の通信端末に対して受信側の通信端末を示しており、各々の通信端末は、IPネットワーク28に接続可能な複数のネットワークインタフェースを備えているものとする。また、図1,2で説明した無線アクセスポイントや、無線基地局を介して、映像、音声などのコミュニュケーションのためのデータ通信を行っているものとする。
【0044】
接続の形態は1対1でも、複数人数での多地点会議のような通信形態でも構わない。データ通信についても、サーバ・クライアント型の片方向通信もしくは、電話の様な双方向通信であっても構わない。また、図5においては、自端末26は、NICの通信状態の変化を検知した通信端末であり、通信相手端末27は自端末26が通信中の通信端末となる。この場合は、自端末26及び通信相手端末27が送信側の端末もしくは受信側の端末のどちらであっても構わない。通信の形態についても、図4の通信端末と同様のことが言える。また、各々の通信端末は、一方もしくは双方がNICを一つしか備えない通信端末であっても構わない。
【0045】
先ず、図4(図3を参照)により、通信端末が映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーション等によるデータ通信を行う場合での、通信開始時の自端末26と通信相手端末27の各部の動作を説明する。例えば、伝送路管理部18が、アプリケーションプログラムに利用されるミドルウエアとして搭載されている場合は、プログラム起動時に、ネットワークインタフェース管理部24が、自端末26に備えられているNICの属性に関する情報(例えば、通信カード名、伝送速度、電波強度、リンクの状態、変調方式、MTU等)を取得する。
【0046】
この情報の取得と同時に、通信可能なNICを検出し、ネットワークインタフェース情報テーブル22に登録する(S401)。この登録の後、ネットワークインタフェース管理部24は、NICの通信状態を常時監視し、状態が変化した場合には、ネットワークインタフェース情報テーブル22の項目の更新があった分について、その都度書き込みを行い、変化した項目についてのみ伝送路管理部18に通知する。なお、図6に、上述した、ネットワークインタフェース情報テーブル22に登録される項目と、その値の一例を挙げる。
【0047】
NICの検出方法としては、電波強度と閾値との比較による判断、リンクの状態等が挙げられる。電波強度による検出の例としては、閾値をLevel3としたときに、電波強度がLevel3以上だった場合は、フラグとして「1」(フラグとしてネットワークインタフェースが使用可能な場合を1、使用不可能の場合を0とする)をネットワークインタフェース情報テーブル22のリンク状態フラグの位置に書き込む。
【0048】
他方、電波強度がLevel3未満だった場合は、リンク状態フラグ「0」を前記と同じ位置に書き込む。閾値については、アプリケーションにより定められてもよいし、通信端末が予め内蔵していてもよいし、ユーザがユーザ設定部12を介して設定してもよい。この例の閾値に従えば、ネットワークインタフェース管理部24は、無線の電波強度がLevel1からLevel2に変化したことを検知しても、リンク状態フラグを変更しないことになる。
【0049】
また、リンク状態による検出の例としては、携帯やPHS等のNICは、ダイヤルアップ接続をしなければIPネットワークへの接続が確立されないものがある。そこで、ダイヤルアップ接続が確立されている場合には、ネットワークインタフェース情報テーブル22のリンク状態の位置に「ON」のフラグを、ダイヤルアップ接続が確立されていない場合には「OFF」のフラグを書き込む。伝送路管理部18の起動タイミングについては、通信端末10の起動時でもアプリケーション起動時でもアプリケーションが通信を開始するまでに起動していれば構わない。伝送路管理部18がアプリケーションに含まれている場合も、伝送路管理部18の起動タイミングは上記と同様で構わない。
【0050】
アプリケーション部11は、ユーザ設定部12からユーザからの通信開始要求を受けて、アプリケーションでのデータ通信を行うために必要な情報を自端末26と通信相手端末27との間で通知し合う(S414)。この時に、通知し合う情報の項目の一例を、図7(A)に示す。ここでは、データの送受信に必要な接続情報として、「接続先IPアドレス」、待ち受け「ポート番号」と通信のセッション制御に必要な「セッションID」等と、アプリケーションで利用可能なコンテンツ情報を判断するための「映像・音声符号化パラメータ(使用可能なコーデックの種類等)」や使用する「送受信プロトコル(RTP:Real−time Transport Protocol、UDP:User Datagram Protocol等)」が含まれる。
【0051】
上記ネゴシエーション機能を、SIP(Session Initiation Protocol)やRTSP(Real Time Streaming Protocol)等のセッションを開始、管理、そして終了させるためのシグナリング・プロトコルを用いても構わない。またIPアドレスについても、IPv4(Internet Protocol Version 4)アドレスであってもIPv6(Internet Protocol Version 6)アドレスであっても構わない。
【0052】
アプリケーション部11は、上記ネゴシエーション機能により取得した情報のうちコンテンツ情報をもとに、アプリケーションで提供可能なコンテンツの情報のリストである品質情報テーブル16を作成する。品質情報テーブル16の項目とその一例を図7(B)に示す。なお、品質情報テーブル16については、ユーザ設定部12からユーザにより設定されたものを使用しても構わない。
【0053】
次に、アプリケーション部11は、伝送路管理部18に伝送路選択に必要なアプリケーション優先基準テーブル15の情報を通知する(S415、S416)。アプリケーション優先基準テーブル15の項目とその一例を図7(C)に示す。アプリケーション優先基準テーブル15の各項目については、前述したネゴシエーション機能により取得した情報から書き込まれたものとユーザ設定部12からユーザにより設定された項目から作成されている。なお、アプリケーション優先基準テーブル15についても、全ての項目についてユーザ設定部12からユーザにより設定されたものを使用しても構わない。
【0054】
伝送路管理部18は、ネットワークインタフェース情報テーブル22のリンク状態フラグを参照して通信可能なNICのリストを通信相手端末27に通知する(S417)。ネットワークインタフェースリストの項目とその一例を図8(A)に示す。通信相手端末27では、受信したネットワークインタフェースリストと自分の端末内のネットワークインタフェース情報テーブル22を基に、自端末〜通信相手端末間に存在する伝送路リストを作成する。
【0055】
例えば、自端末26の使用可能なNICが3つ(NIC1〜3)、通信相手端末27の使用可能なNICが2つ(NIC4〜5)の場合の伝送路の数は、3(自端末のNIC数)×2(通信相手端末のNIC数)×2(上り伝送路・下り伝送路)で12となる。この例での伝送路リストの一例を図8(B)に示す。作成された伝送路リストは、通信相手端末27から自端末26に通知され、各々の伝送路情報テーブル21に登録され(S404、S405)、そして、各々の伝送路状態管理部23に通知される(S418、S419)。伝送路状態管理部23は、通知された情報をもとに各々の伝送路の伝送路状態の測定を行う(S420)。
【0056】
ここで伝送路情報テーブル21の項目を図9(A)に示す。以下に、各々の項目の説明と測定方法の例を挙げる。図9(B)にボトルネック物理帯域幅の概要を示す。図9(B)は、自端末26と通信相手端末27間の伝送路の一つであり、線の幅が帯域幅の広さを表わしており、線の幅が広いほど帯域幅が広く、線の幅が狭いほど帯域幅は狭いことを示している。IPネットワークでは、経路の途中で様々な伝送路が存在するため伝送路全体を通じて一様な帯域幅を提供することは出来ない。そこで、伝送路のボトルネックの帯域幅を測定し、その結果をもとにコンテンツ品質を決定することで、該当する伝送路でデータ送受信可能な最大のビットレートで高品質なサービスを提供することが可能となる。
【0057】
図9(C)により、ボトルネックリンクの物理帯域幅を測定する方法の一例として、パケットペア転送方式及びパケットトレイン転送方式によるプローブパケットを用いた測定方法を説明する。自端末26から2つの同サイズSのパケットを密接させて送信し、これがボトルネックリンクで同時にキューイングされるとΔT<S/B2となる。パケットは、その間隔を保って通信相手端末27に到着するためΔT’=S/B2となる。この式から求められるB2が、伝送路におけるボトルネック物理帯域幅となる。
【0058】
次に、図10にRTT遅延差を測定する方法の一例を示す。図10において、自端末26はNIC1〜3の3つのNICを備え、通信相手端末27はNIC4を備えており、それぞれIPネットワークに接続されているとする。自端末26から通信相手端末27、さらに自端末26へパケットを送信することでRTTを測定することが出来るので、NIC1〜NIC4〜NIC1のRTTをRTT1、NIC1〜NIC4〜NIC2のRTTをRTT2、NIC1〜NIC4〜NIC3のRTTをRTT3、NIC1→NIC4の片方向の遅延時間をΔT、NIC4→NIC1の片方向の遅延時間をΔT1、NIC4→NIC2の片方向の遅延時間をΔT2、NIC4→NIC3の片方向の遅延時間をΔT3とすると、
ΔT1=RTT1−ΔT
ΔT2=RTT2−ΔT
ΔT3=RTT3−ΔT
となる。
【0059】
上記の式より、ΔT1、ΔT2、ΔT3はそれぞれRTT1、RTT2、RTT3からΔTを減算することで求められるので、RTT1、RTT2、RTT3を比較することは、すなわち、通信相手端末27から自端末26への片方向の相対的な遅延差を比較することと同義として捉えることができる。以上のことから、RTT1、RTT2、RTT3をそれぞれNIC4→NIC1、NIC4→NIC2、NIC4→NIC3の片方向の遅延差として使用することが可能となる。
【0060】
図11は、可用帯域幅について説明する図で、図9(B)と同様に自端末26と通信相手端末27間の伝送路の一つであり、線の幅が帯域幅の広さを表わしており、線の幅が広いほど帯域幅が広く、線の幅が狭いほど帯域幅は狭いことを示している。また、ハッチング部分は、その伝送路に既に送受信されているパケットが各リンクの帯域を占有している(リンク毎にクロストラフィックが存在する)ことを示している。
【0061】
この場合にも、上述したボトルネック物理帯域幅の測定と同じように、プローブパケットの転送にパケットトレイン方式を用いることで送受信端末間の伝送路上のリンクの可用帯域幅を測定することができる。ここでは、各プローブパケット間の片道転送遅延の増加傾向を利用して、前記片道転送遅延の増加傾向は、プローブパケットの送信レートが可用帯域幅を上回るときに観測されるため、この性質を利用し、プローブパケットの送信レートを変更しながら繰り返し計測を行うことによって、可用帯域幅を求めることが可能となる。パケットロス率については、上記測定に用いたプローブパケットを用いることで、「パケットロス率=パケットロス数/送信したパケット数」から求められる。
【0062】
上記の測定は、伝送路情報テーブル21に登録されている伝送路リスト(自端末26と通信相手端末27の間に存在する全ての伝送路)に対して実施される。測定完了後、伝送路状態管理部23は、上に述べられた測定方法で取得された伝送路情報を伝送路情報テーブル21に書き込む(S406、S407)。伝送路選択部19は、前記の取得された伝送路情報テーブル21とアプリケーション優先基準テーブル15から伝送路を選択する(S408、S409)。
【0063】
図12,図13は、伝送路情報テーブル21とアプリケーション優先基準テーブル15からアプリケーションの要求に適した伝送路を選択する処理手順の例を示すフローチャートである。先ず、図12示すように、アプリケーション優先基準テーブル15に、優先NICの項目が指定されているかどうか確認する(S01)。優先NICが指定されている場合には(S01Yes)、伝送路情報テーブル21の伝送路情報を参照して、指定された優先NICがテーブル上に存在し使用可能かを確認し(S02)、使用可能である場合は前記の優先NICを選択する(S02Yes)。
【0064】
アプリケーション優先基準テーブル15に、優先NICの項目が指定されていなかった場合(S01No)か、もしくは優先NICが使用可能でなかった場合(S02No)は、アプリケーション優先基準テーブル15に、料金優先の項目が指定されているかどうか確認する(S03)。本実施例では、料金設定の項目として無料もしくは定額制、従量課金制のどちらかが設定されるものとする。料金優先として無料/定額制が指定されている場合は(S03Yes)、ネットワークインタフェース情報テーブル22と伝送路情報テーブル21の両方を参照して、無料/定額制の伝送路を抽出する(S04)。
【0065】
さらに、アプリケーション優先基準テーブル15に帯域優先が設定されている場合は(S05Yes)、前記の抽出された伝送路の中から最も帯域幅の大きい伝送路を選択する(S06)。そして、帯域優先の項目が設定されていなかった場合は(S05No)、遅延優先の項目が設定されているか確認し、設定されている場合には(S07Yes)、前記抽出された伝送路の中から最も遅延量の小さい伝送路を選択する(S08)。さらに、遅延優先の項目も設定されていない場合には(S07No)、前記抽出された伝送路が要求帯域を満たすか、要求遅延を満たすかを確認する。どちらの条件も満たす伝送路が存在する場合には(S09Yes、S10Yes)、その中から料金が安く最も帯域幅の大きい伝送路を選択する(S11)。
【0066】
前記抽出された伝送路が要求帯域と要求遅延のいずれかを満たせない場合は(S09No、S10No)、図13のフローに移って、従量課金制の伝送路に対して、上述した処理手順と同様な処理を行い伝送路を選択する(S12〜S22)。またアプリケーション優先基準テーブル15に料金優先が設定されていない場合にも(S03No)、同様な処理手順を行い伝送路を選択する(S12〜S22)。
【0067】
ただし、アプリケーション優先基準テーブル15に帯域優先、および遅延優先のどちらも設定されておらず(S14No、S16No)、さらに要求帯域も満たす伝送路が存在しない場合には(S19No)、ユーザ設定部12に要求帯域幅を満たす伝送路が存在しないことを通知し(S21)、ユーザに対してサービスを提供できないことを通知することになる。また、要求帯域を満たせても(S19Yes)、要求遅延を満たせなかった場合には(S20No)、ユーザ設定部12に要求遅延を満たす伝送路が存在しないことを通知し(S22)、ユーザに対してサービスを提供できないことを通知することとなる。なお、要求遅延を満たせる場合には(S20Yes)、図12のフローに戻って、料金が安く最も帯域幅の大きい伝送路を選択する(S11)。
【0068】
なお、伝送路については上り/下りが存在するため、本実施例では各々(自端末及び通信相手端末)が下りの伝送路に対して選択を行うものとする。映像ストリーミングや音声ストリーミング等のサーバ・クライアント型の片方向通信の場合については、クライアント側で伝送路を選択することとする。本実施例に限らず、各々が下りではなく上りの伝送路を選択しても、一方の端末が上り/下りのどちらの伝送路も選択するように処理を行っても構わない。
【0069】
ここで、図14(A)を用いて、上り/下りで異なる伝送路が選択される場合の一例を説明する。自端末26は、FOMAとPHSの2つのNICを備え、通信相手端末27は無線LAN(IEEE802.11b)のNICのみを備えており、各々のNICを経由してIPネットワークに接続可能であるとする。本実施例ではFOMAは従量課金制の下り384kbps、上り64kbpsとし、PHSは定額制の上り/下り64kbps、無線LANについては定額制で上り/下り11Mbpsとする。この場合、各々のNICのネットワークインタフェース情報テーブル22及び伝送路情報テーブル21としては、それぞれ図14(B)、図14(C)のようになる。
【0070】
また、アプリケーション優先基準として優先NICなし、帯域優先あり、料金に関しては従量課金制が設定されているとすると、アプリケーション優先基準テーブル15は、図15のようになる。図14(C)で示されるように、本実施例では自端末26と通信相手端末27の間に存在する伝送路は4つとなる。上述した伝送路を選択するフローチャート(図12)にしたがって伝送路を選択すると、自端末26から通信相手端末27への伝送路については、優先NICが指定されていない(S01No)、コスト無料/定額制が指定されていない(S03No)、そして、図13のフローに移る。
【0071】
図13のフローにおいて、帯域優先が指定されており(S14Yes)、伝送路1と伝送路2の帯域幅は同じであり、同じ帯域の伝送路が存在するため(S13Yes)、最も料金が安い伝送路として「伝送路2」が選択される(S17)。同様にして、通信相手端末27から自端末26への伝送路は伝送路についても、図12から図13のフローで、優先NICが指定されていない(S01No)、コスト:無料/定額制が指定されていない(S03No)、帯域優先が指定されており(S14Yes)、伝送路4に比べて伝送路3の帯域幅の方が大きいので(S13No)、最も帯域幅の大きい伝送路として「伝送路3」が選択される(S12)。
【0072】
なお、帯域優先が指定されておらず(S14No)、遅延優先が設定されていると(S16Yes)、同じ遅延の伝送路が存在する場合には(S15Yes)、最も料金の安い伝送路が選択される(S17)。同じ遅延の伝送路が存在しない場合には(S15No)、最も遅延量の小さい伝送路を選択する(S18)。
【0073】
上述したように、アプリケーションの優先基準と伝送路状態に応じて上り/下りの伝送路が異なるNICを選択することで、アプリケーション及びユーザの嗜好に合せて伝送路を使い分けることが可能となる。また、伝送路選択部19では1つの伝送路を選択するのではなく、伝送路に対して相対的な優先順位(各項目に対して重み付けを行い、その重み付けをもとに各伝送路に対してポイントを計算し、ポイントの高いものから優先順位を付けていく等)をもたせて通信相手に前記優先順位を通知して、通信相手に伝送路を決定させても構わない。
【0074】
図3,4に戻って、伝送路が選択されると、伝送路選択部19は伝送路情報テーブル21を参照して、選択された伝送路の伝送路情報をアプリケーション部11に通知する(S421、S422)。本実施例では、伝送路状態としてアプリケーションに割当て可能な帯域幅(ボトルネック物理帯域幅)をアプリケーション部11に通知する。帯域幅は、アプリケーションのコンテンツの品質を決定する上で大きな要因を占めるが、対象となるコンテンツによって、伝送路の遅延や、可用帯域幅、パケットロス率等の情報を必要とする可能性も考えられるので、必要に応じてそれらのいずれかの情報を併せて通知しても構わない。
【0075】
コンテンツ制御部14は、通知された伝送路情報をもとに品質情報テーブル16を参照して通信でのコンテンツ品質を決定する(S412、S413)。通信制御部13は、上述したようにコンテンツ制御部14により決定されたコンテンツ品質に従った映像・音声の種類や利用パラメータを決める情報を通信相手と交換した後に、データの送受信を開始し(S423)、同時にIP制御部20は伝送路選択部19により選択された伝送路に切替を行う(S410、S411)。
【0076】
以上のように、通信端末10が無線環境を通して映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーションによりデータ通信を行う際に、通信端末間の伝送路情報をもとにアプリケーションの優先基準やユーザの嗜好に合わせて伝送路を選択することで、通信端末の存在する場所の無線環境やネットワーク情報に合わせた品質のサービスを提供することが可能となる。なお、伝送路としては無線だけでなくイーサネット(登録商標)に代表される有線LANでの接続など、IPネットワークに接続可能な媒体であれば構わない。
【0077】
次に、通信端末10が映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーション等によるデータ通信を行っている際に、通信端末を取り囲む伝送路の通信状態が変化した場合の自端末26と通信相手端末27の各部の動作の例を、図5により説明する。
【0078】
ユーザは、無線の利点を生かして自由に移動が可能である。ここで、移動中などにおいて、ネットワークインタフェース管理部24が、例えば、今まで使用不可能だったNIC(リンク状態フラグが「0」)の無線の電波強度が強まり、Level2からLevel4に変化したことを検知し、閾値がLevel3に設定されていたとすると、使用不可能だったネットワークインタフェースが使用可能となる。NICの状態が変化したことを伝送路管理部18に通知し(S517)、ネットワークインタフェース情報テーブル22の該当箇所に通知された値を書き込む(リンク状態フラグを「0」から「1」に書き換える)(S501)。
【0079】
伝送路管理部18は、該当する新規に使用可能となったネットワークインタフェースの情報を通信相手端末27に通知する(S518)。ここで通知されるネットワークインタフェースの情報の一例を図16(A)に示す。ここでは、通信開始時の実施例の場合で(自端末の使用可能なNICが3つ(NIC1〜3)、通信相手端末の使用可能なNICが2つ(NIC4〜5))、自端末26のNIC6が使用可能となった場合において、追加されたNIC名であるNIC6と対応するIPアドレスを送信している。
【0080】
追加されたネットワークインタフェースが複数存在する場合には、NIC名と対応するIPアドレスのリストが送信される。ここで、IPアドレスについてはIPv4アドレスであってもIPv6アドレスであっても構わない。また、追加されたネットワークインタフェースだけでなく、通信可能なネットワークインタフェースの全てにリストを送信しても構わない。通信相手端末27では受信したネットワークインタフェースの情報と自分の端末内のネットワークインタフェース情報テーブル22をもとに自端末26〜通信相手端末27間に追加された伝送路リストを作成する。
【0081】
送信されたネットワークインタフェースの情報が通信可能な全てのネットワークインタフェースリストの場合には、自端末26〜通信相手端末27間に存在する伝送路リストが作成される。追加された伝送路のリストの一例を図16(B)に示す。作成された伝送路のリストは通信相手端末27から自端末26に通知され各々の伝送路情報テーブル21に登録され(S503、S504)、そして各々の伝送路状態管理部23に通知される(S519、S520)。
【0082】
伝送路状態管理部23は、通知された情報をもとに追加された伝送路について伝送路状態の測定を行う(S521)。各々の項目の説明と測定方法については、通信開始時の実施例で述べた方法と同じ方法を用いることとする。こうして得られた伝送路情報とアプリケーション優先基準から、図12,図13のフローチャートにより伝送路が決定される(S507、S508)。決定された伝送路が現在使用している伝送路と異なる場合には(S509Yes、S510Yes)、伝送路選択部19は伝送路情報テーブル21を参照して、選択された伝送路の伝送路情報をアプリケーション部11に通知する(S522、S523)。
【0083】
本実施例では、通信開始時の実施例と同様に伝送路状態としてアプリケーションに割当て可能な帯域幅をアプリケーション部11に通知する。コンテンツ制御部14は、通知された伝送路情報をもとに品質情報テーブル16を参照して通信でのコンテンツ品質を決定する。コンテンツの切替えが必要だと判断した場合には(S513Yes、S514Yes)、通信制御部13は、前記決定されたコンテンツ品質に従った映像・音声の種類や利用パラメータを決める情報を通信相手と交換した後に(S524)、切替え後のコンテンツ品質にてデータの送受信を開始し(S515、S516)、同時にIP制御部20は伝送路選択部19により選択された伝送路に切替を行う(S511、S512)。
【0084】
なお、選択された伝送路が現在使用している伝送路と一致する場合には何も行わない。また、選択された伝送路が現在使用している伝送路と異なり、コンテンツ制御部14によりコンテンツを切替える必要がないと判断された場合には(S513No、S514No)、伝送路の切替のみを行う(S511、S512)。
【0085】
上記実施例では、無線の電波強度の変化の例を挙げたが、携帯やPHS等のダイヤルアップ接続が確立されていない状態から確立されている状態に変化した場合(リンク状態が「OFF」から「ON」に変化)や、新しくネットワークインタフェースが追加され、そのネットワークインタフェースがリンク状態「ON」もしくは、リンク状態フラグが「1」である場合でも構わない。
【0086】
以上のように、通信端末10が無線環境を通して映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーションによりデータ通信を行っている最中に、無線環境の変化をきっかけに、新しくネットワークインタフェースが使用可能となった場合において、通信端末間の伝送路情報とアプリケーションの優先基準やユーザの嗜好に合せて伝送路を再度選択し、上記伝送路に基づいた情報をアプリケーションに通知することで、通信端末10の存在する場所の無線環境やネットワーク状況に合わせた品質のサービスを提供することが可能となる。なお、伝送路としては無線だけでなくイーサネット(登録商標)に代表される有線LANでの接続など、IPネットワークに接続可能な媒体であれば構わない。
【0087】
次に、通信端末10が映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーション等によるデータ通信を行っている際に、通信端末を取り囲む伝送路の通信状態が変化した場合の自端末26と通信相手端末27の各部の動作の別の例を、同じく図5を用いて説明する。
【0088】
ユーザは、無線の利点を生かして自由に移動が可能である。ここで、移動中などにおいて、ネットワークインタフェース管理部24が、例えば、現在通信中のネットワークインタフェース(リンク状態フラグ「1」)の無線の電波強度が弱まり、Level4からLevel2に変化し、閾値がLevel3に設定されていたとすると、使用可能だったネットワークインタフェースが使用不可能となる。ネットワークインタフェースの状態が変化したことを伝送路管理部18に通知し(S517)、ネットワークインタフェース情報テーブル22の該当箇所に通知された値を書き込む(リンク状態フラグを「1」から「0」に書き換える)(S501)。
【0089】
伝送路管理部18は、該当する使用不可能となったネットワークインタフェースの情報(例えば、ネットワークインタフェース名)を通信相手に通知し(S518)、同時に伝送路情報テーブル21から該当する伝送路の情報を削除する(S503)。通信相手端末27でも同様に、通知されたネットワークインタフェースの情報をもとに通信相手端末27で保持している伝送路情報テーブル21から該当する伝送路の情報を削除する(S504)。
【0090】
伝送路状態管理部23は、更新された伝送路情報とアプリケーション優先基準から、図12,図13のフローチャートに従って伝送路を決定する(S507、S508)。ここで、伝送路状態管理部23は、更新された伝送路情報テーブル21をもとに(上記状態が変化したネットワークインタフェースに対応する伝送路を削除した後の伝送路に対して)再度伝送路状態の測定を実施しても構わない(S519〜S521、S505、S506)。新しく使用する伝送路が決定されると、伝送路選択部19は伝送路情報テーブル21を参照して、選択された伝送路の伝送路情報をアプリケーション部11に通知する(S522、S523)。
【0091】
本実施例では、通信開始時の実施例と同様に伝送路状態としてアプリケーションに割当て可能な帯域幅をアプリケーション部11に通知する。コンテンツ制御部14は、通知された伝送路情報から品質情報テーブル16を参照して通信でのコンテンツ品質を決定し、コンテンツの切替えが必要だと判断した場合には(S513Yes、S514Yes)、前記コンテンツ制御部14にて決定されたコンテンツ品質にしたがって、映像・音声の種類や利用パラメータを決める情報を通信相手と交換後(S524)、データの送受信を開始し、同時にIP制御部20にて伝送路選択部19により選択された伝送路に切替を行う(S511、S512)。また、コンテンツ制御部14によりコンテンツを切替える必要がないと判断された場合には(S513No、S514No)、伝送路の切替のみを行う(S511、S512)。
【0092】
本実施例では、現在使用中のネットワークインタフェースの無線の電波強度が弱まった場合の制御について述べたが、現在使用しておらず、且つ現在使用可能なネットワークインタフェースの無線の電波強度が弱まった場合についても、該当する使用不可能となったネットワークインタフェースの情報を通信相手端末27に通知するようにしてもよい。対応する伝送路情報テーブル21の情報を自端末26と通信相手端末27で各々削除するという制御手順については同じ処理を行い、この場合では、伝送路の選択を行わないという点のみ異なる。
【0093】
上記実施例では、無線の電波強度の変化の例を挙げたが、携帯やPHS等のダイヤルアップ接続が確立されている状態から確立されてない状態に変化した場合(リンク状態が「ON」から「OFF」に変化)や、ネットワークインタフェースが削除(通信端末から取り外され)された場合でも、あるネットワークインタフェースのリンク状態フラグが「1」から「0」に変化した場合でも構わない。
【0094】
以上のように、通信端末10が無線環境を通して映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーションによりデータ通信を行っている最中に、無線環境の状態の変化をきっかけに、現在使用中の伝送路の状態が変化した場合でも、通信端末間の伝送路情報とアプリケーションの優先基準やユーザの嗜好にあわせて伝送路を再選択することができる。上記伝送路に基づいた情報をアプリケーションに通知することで、通信端末10の存在する場所の無線環境やネットワーク状況に合せた品質のサービスを提供することが可能となる。なお、伝送路としては無線だけでなくイーサネット(登録商標)に代表される有線LANでの接続など、IPネットワークに接続可能な媒体であれば構わない。
【0095】
次に、通信端末10が映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーション等によるデータ通信を行っている際に、通信端末を取り囲む伝送路の通信状態が変化した場合の自端末26と通信相手端末27の各部の動作のその他の例を、同じ図5を用いて説明する。
【0096】
ユーザは、無線の利点を生かして自由に移動が可能である。ここで、移動中などにおいて、ネットワークインタフェース管理部24が、例えば、現在通信中のネットワークインタフェースの無線通信の物理リンク速度の変化(IEEE802.11bにおける物理伝送速度の変化11Mbpsから5.5Mbpsや、FOMAにおけるベアラの伝送速度の変化384kbpsから64kbps等)を検知したとする。NICの状態が変化したことを伝送路管理部18に通知し(S517)、ネットワークインタフェース情報テーブル22の該当箇所に通知された値(伝送速度11Mbpsから5.5Mbpsあるいは、384kbpsから64kbps等)を書き込む(S501)。
【0097】
伝送路管理部18は、該当する通信状態の変化したネットワークインタフェースの情報を通信相手端末27に通知する(S518)。ここで、通知されるネットワークインタフェース情報の一例を図16(C)に示す。ここでは、通信開始時の実施例の場合でNIC1がIEEE802.11bのネットワークインタフェースであり、自端末26のNIC1の伝送速度が11Mbpsから5.5Mbpsに変化したというネットワークインタフェース情報テーブル22の更新部分の情報のみを送信している(S518)。通信状態の変化したネットワークインタフェースが複数存在する場合には、NIC名と対応するネットワークインタフェース情報テーブル22の更新部分の情報のリストが送信される。また、更新された部分だけでなく、通信可能なネットワークインタフェースの全てのリストを送信しても構わない。
【0098】
通信相手端末27では、受信したネットワークインタフェースの情報をもとに自分の端末内のネットワークインタフェース情報テーブル22を更新し、伝送路状態管理部23は、該当する伝送路の伝送路状態を測定する(S521)。ここでは、更新されたネットワークインタフェースに対応する伝送路の伝送路状態のみを再度測定することとしたが、全ての伝送路に対して再度伝送路状態を測定しなおしても構わない。各々の項目の説明と測定方法については、通信開始時の実施例で述べた方法と同じ方法を用いることとする。こうして得られた伝送路情報とアプリケーション優先基準から、図12,図13のフローチャートにより伝送路が決定される(S507、S508)。
【0099】
決定された伝送路が現在使用している伝送路と異なる場合には(S509Yes、S510Yes)、伝送路選択部19は伝送路情報テーブル21を参照して、選択された伝送路の伝送路情報をアプリケーション部11に通知する(S522、S523)。本実施例では、通信開始時の実施例と同様に伝送路状態としてアプリケーションに割当て可能な帯域幅をアプリケーション部11に通知する。
【0100】
コンテンツ制御部14は、通知された伝送路情報をもとに品質情報テーブル16を参照して通信でのコンテンツ品質を決定する。コンテンツの切替えが必要だと判断した場合には(S513Yes、S514Yes)、通信制御部13は、前記の決定されたコンテンツ品質に従った映像・音声の種類や利用パラメータを決める情報を通信相手と交換した後に(S524)、切替え後のコンテンツ品質にてデータの送受信を開始する(S515、S516)。同時にIP制御部20は、伝送路選択部19により選択された伝送路に切替を行う(S511、S512)。なお、選択された伝送路が現在使用している伝送路と一致する場合には何も行わない。また、選択された伝送路が現在使用している伝送路と異なり、コンテンツ制御部14によりコンテンツを切替える必要がないと判断された場合には(S513No、S514No)、伝送路の切替のみを行う(S511、S512)。
【0101】
なお、本実施例では、ネットワークインタフェースの無線通信の物理リンク速度が変化した場合について述べたが、無線の変調方式が変更されたことを検知した場合(IEEE802.11bにおける変調方式がQPSKからBPSKに変化)についても、本実施例で述べた処理手順に従って制御を行うことで通信環境に応じた品質のサービスを提供することが可能である。
【0102】
なお、本実施例では自端末において通信状態が変化した場合の例について説明をしたが、通信相手端末において通信状態の変化が生じた場合についても同様の制御を行うことで、伝送路の選択とアプリケーションの連動といったユーザの通信状況に応じた品質のサービスを提供することが可能となる。
[0001]
本発明は、複数の無線通信手段を有する通信端末によるモバイルネットワークシステムに使用され、複数のネットワークを介して通信を行う通信プログラム、会話型やストリーミング型のアプリケーションサービスをユーザに提供する通信システム及び通信端末に関する。
背景技術
[0002]
近年の無線技術の進歩に伴い、様々な無線通信方式でのインターネットへの接続が普及し、無線の利点を生かして移動環境でのモバイル通信環境が提供されるようになりつつある。また、携帯端末についても高機能化が進み、1つの端末装置で複数のネットワーク(例えば、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System等)に接続することができるようになってきている。これにより、1つの端末装置で複数の種類のネットワークに接続することが可能となり、使用の都度、最適な通信環境を選択して通信を行うことが可能になってきている。
[0003]
さらに、異なるネットワーク間で継続して無線通信を行うことを可能とする技術(Mobile IPv6、Lin6等)の登場により、使用の都度、最適な通信環境を選択して通信の切替え時に、途切れなくサービスを受けることが可能となりつつある。また、無線通信を行うネットワークの切替えに伴う通信状態の変動に応じて、受信するデータの品質を変更する技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
[0004]
一方、無線で移動しながらのデータ通信は、移動にともなって電波強度が変化したり、通信が途切れたり、異なる無線ネットワークに移動すると伝送帯域幅が大幅に変化したりして不安定である。そこで、こういった下位層の情報を上位層に通知する手段を提供することで、ネットワークの切替えの制御やデータの品質の制御を行う方法が提案されている(特許文献2参照)
[特許文献1]特開2004−272563号公報
[特許文献2]特開2004−266330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、ネットワークの切替えの制御を行う際の通信状態(通信端末間の伝送路状態)を、全ての通信可能なネットワークインタフェースに対して動的に取得することは考慮されていない。このため、実際の通信状態によっては、再びネットワークの切替えが必要となるケースが考えられる。また、使用するアプリケーションによって、優先基準となるパラメータが異なる場合がある。例えば、映像ストリーミングの場合では使用出来る帯域幅は広ければ広いほど良く、VoIP(Voice over Internet Protocol)についてはRTT(Round Trip Time)に対する優先度が高く、帯域についてはある程度確保できれば良いというように、アプリケーションによって優先順位を決めるためのパラメータに対する要求が異なることが想定される。
【0006】
また、上記特許文献2に開示されている技術では、無線ネットワークでの通信状況に関する情報(電波強度、変調方式、無線の混雑状況、ネットワークプレフィックス、受信バッファサイズ等)を取得することは可能である。しかし、ラスト1ホップ以外の部分がボトルネックとなるようなネットワーク環境が混在することが想定されるネットワークでは、通信端末間のEnd−to−Endの伝送路情報を取得する必要がある。上記のような伝送路の例としては、近年各家庭に普及しつつあるADSLサービスでの無線LANの使用に代表されるものが挙げられる。
【0007】
このような伝送路では、経路の途中にあるADSL部分が伝送路帯域のボトルネックとなる可能性がある。さらに、ADSL、高速無線通信(FOMA、CDMA2000等)等の上り/下りの帯域が非対称である伝送路を使用する場合がある。この場合は、上り/下りで伝送路状態が異なることがあり、双方向通信を考慮に入れた場合には、上りと下りで使用する伝送路に異なるものを選択することも必要となっている。
本発明は、上述した種々の課題を効率的に解決するための通信システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の通信システムは、複数の伝送路に接続可能なネットワークインタフェースを備えた通信端末が、複数の伝送路を利用する通信システムで、通信端末間が互いに複数のネットワークインタフェースのうち通信可能なネットワークインタフェースを検知し、複数のネットワークインタフェースの所定の属性に関するネットワークインタフェース情報を取得し、通信可能なネットワークインタフェースと通信相手の通信可能なネットワークインタフェースとの間に存在する伝送路リストを作成し、伝送路リストに対応する伝送路の状態に関する情報を取得し、伝送路の優先度を前記ネットワークインタフェース情報及び伝送路情報のいずれかに基づいて判断し、伝送路を決定し、決定された伝送路を介してデータ通信を行うことを特徴とする。また、伝送路リストにより伝送路の組合わせを選択した際に、送信側の通信端末からの情報を相手通信端末のネットワークインタフェースのいずれか1つを宛先に指定し、送信側の通信端末のネットワークインタフェースのいずれか1つを送信元として伝送路に送信することで、選択した伝送路を用いたデータ通信を行なう。なお、伝送路の状態は、通信端末間でプローブパケットを用いた送受信で取得される。
[0009]
前記のネットワークインタフェース情報には、トランスポート層より下位の層において検出される通信状況を含み、例えば、上り/下りで異なるネットワークインタフェース伝送速度、無線通信の電波強度やネットワークインタフェースのリンク状態等が用いられる。また、伝送路情報には、複数のネットワークインタフェースが接続されたネットワークと通信相手との間のボトルネック物理帯域幅、可用帯域幅、RTT、通信コストが含まれる。ネットワークインタフェースの優先度の決定は、データ通信を行うアプリケーションプログラム毎に設定された優先基準に基づいて判断され、上り/下りの伝送路特性が異なる非対称通信ネットワークが含まれる場合には、優先基準によって上り/下りで異なる伝送路を選択できる。要求帯域幅が優先基準に使用される場合は、要求帯域幅はアプリケーションプログラム毎に複数設定される。
[0010]
データ通信のデータ種別は、アプリケーションプログラム毎に設定された品質情報と、決定された伝送路に関する伝送路情報を参照して、それらの情報からコンテンツ品質を決定する。また、データ通信後、データ通信中でないネットワークインタフェースの状態や使用している伝送路の伝送路状態、無線変調方式などが変化したとき、伝送路の優先度を再度判断して最も優先度の高い伝送路に切替える。
発明の効果
[0011]
本発明によれば、ユーザの移動につれて刻々と変化する通信環境での複数のネットワークインタフェースを備えた移動端末を含む通信端末間における通信システムにおいて、映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーションによりデータ通信を行う際に、アプリケーション毎に設定された優先基準もしくはユーザの嗜好にあわせてより適切な伝送路を選択することが可能となる。併せて、ネットワーク情報に合せた品質のコンテンツを選択することで、通信端末の存在する場所に応じた品質のサービスを提供することが可能となる。また、データ通信中の場合についても、伝送路の通信状況の変化により、伝送路の状態を再度取得し、アプリケーション毎に設定された優先基準もしくはユーザの嗜好に合せて再度伝送路を選択することで、時々刻々と変化する通信環境においても、通信端末の存在する場所の通信環境に最適な品質でサービスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態を適用できるネットワークの全体構成例を示す図である。
【図2】本実施形態を適用できる無線ネットワークの基地局と対応するアクセス可能エリアの概念図である。
【図3】本発明による通信端末の内部構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】通信端末10の通信開始時の各部の動作を示す動作シーケンス図である。
【図5】通信端末10のネットワークインタフェースカードの通信状態が変化した場合の各部の動作を示すシーケンス図である。
【図6】本実施例におけるネットワークインタフェース情報テーブルの一例を示す図である。
【図7】本実施例における、通信情報通知フォーマットの一例(A)、品質情報テーブルの一例(B)、アプリケーション優先基準テーブルの項目の一例(C)を示す図である。
【図8】本実施例におけるネットワークインタフェースリストの一例(A)、伝送路リストの一例(B)を示す図である。
【図9】本実施例における伝送路情報テーブルの一例(A)、ボトルネック物理帯域幅の概要(B)、ボトルネック物理帯域幅の測定方法の一例(C)を示す図である。
【図10】本実施例におけるRTT遅延差の測定方法の一例を示す図である。
【図11】本実施例における可用帯域幅の概要を示す図である。
【図12】本実施例における伝送路選択の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】図12に引続く本実施例における伝送路選択の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】本実施例における、上り/下りで異なる伝送路が選択される場合の一例(A)、ネットワークインタフェース情報テーブルの別の一例(B)、伝送路情報テーブルの別の一例(C)を示す図である。
【図15】本実施例におけるアプリケーション優先基準テーブルの別の一例を示す図である。
【図16】本実施例における通知されるネットワークインタフェース情報の別の一例(A)、追加された伝送路のリストの一例(B)、通知されるネットワークインタフェース情報の別の一例(C)を示す図である。
【符号の説明】
【0013】
10…通信端末、11…アプリケーション部、12…ユーザ設定部、13…通信制御部、14…コンテンツ制御部、15…アプリケーション優先基準テーブル、16…品質情報テーブル、17…伝送路制御部、18…伝送路管理部、19…伝送路選択部、20…IP制御部、21…伝送路情報テーブル、22…ネットワークインタフェース情報テーブル、23…伝送路状態管理部、24…ネットワークインタフェース管理部、25…ネットワークインタフェースカード(NIC)、26…自端末、27…通信相手端末、28…ネットワーク。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
先ず、本発明による通信システムが適用される無線ネットワ−クの全体構成と、そのアクセス可能エリアについて、図1,図2により説明する。
図1において、ネットワーク1〜nは、LANやWANなどのネットワークセグメント単位のネットワークであり、例えば、ネットワーク1は複数の無線基地局を、ネットワーク2は複数の無線アクセスポイント(AP)を含むことが出来る。つまり、ネットワーク1〜nのそれぞれは、例えば、公衆の携帯電話網、自営の構内無線LAN、ホットスポット、もしくは家庭内の無線ネットワーク等であり、ここでは、IPベースのネットワークであるとする。これらネットワークセグメント毎のネットワークは、インターネットに代表されるコアネットワークに接続されている。
【0015】
通信端末1〜nは、1対1、あるいは複数端末間で、映像・音声によるコミュニケーション等の通信を行う。例えば、通信端末1が移動して、無線基地局1の電波を受信している状態から無線基地局2の電波を受信する状態に変わっても、無線基地局1と2の間でハンドオーバが行われ、通信端末1は移動前の通信を移動後もそのまま継続して行うことが出来る。無線アクセスポイントAP1の接続範囲から無線アクセスポイントAP2の接続範囲へ移動した場合も同様である。無線アクセスポイント間のハンドオーバでは、認証情報のハンドオーバと併用しても構わない。
【0016】
さらに、通信端末がネットワークセグメント間を移動しても、ネットワーク層でのハンドオーバが行われ、通信を継続して行うことが出来る。例えば、通信端末2が移動して、無線基地局2に接続された状態から無線アクセスポイントAP1に接続された状態に変わったとする。この場合であっても、通信端末2が無線基地局2及び無線アクセスポイントAP1のそれぞれに接続可能なネットワークインタフェースカード(NIC:Network Interface Card)を備えており、後述するIP制御部が、例えば、モバイルIP(IETF:Internet Engineering Task Force)RFC3775に対応したものであれば、アプリケーション部では、異なるネットワークに移動したことに関わらずに、通信処理を継続することができる。
【0017】
ネットワークセグメント間のハンドオーバについては、IP制御部がLin6(IETF Draft−Teraoka−ipng−Lin6−01)に対応したもの、通信制御部がセッションを維持しながらのハンドオーバに対応したものや同様の機能を実現する技術であっても構わない。また、ネットワークセグメント間の移動については、無線アクセスポイントAP1と無線アクセスポイントAP2が異なるネットワークセグメントで構成されている場合でも、前述したようなハンドオーバ技術を用いることで、上記無線アクセスポイント間のハンドオーバ時にも継続して通信を行うことが可能となる。
【0018】
図2は、無線基地局、無線アクセスポイントと対応するアクセス可能エリアの概念図である。図2において、ネットワーク1〜3はLANやWANなどのネットワークセグメント単位のネットワークであり、携帯基地局1はネットワーク1に、無線AP2はネットワーク2に、PHS基地局3はネットワーク3に接続されている。これらネットワークセグメント毎のネットワークは、IPベースのネットワークであり、図1と同様に各々コアネットワークに接続されている。
【0019】
それぞれのアクセス可能エリアについては、携帯基地局1は携帯エリア1に、無線AP2は無線LANエリア2に、PHS基地局3はPHSエリア3に対応しており、各々のエリア内にいる場合に、通信端末1は各々の無線通信方式で通信可能となる。通信端末1は、携帯基地局1及び無線AP2及びPHS基地局3に接続可能なNICを備えており、無線LANエリア2では携帯基地局1、無線AP2、PHS基地局3を経由してそれぞれネットワーク1〜3に接続可能である。
【0020】
同様に携帯・PHSエリア4では、携帯基地局1及びPHS基地局3を経由してそれぞれネットワーク1及び3に接続可能で、前述したとおり携帯エリア1から携帯・PHSエリア4を除いたエリアでは、携帯基地局1を経由してネットワーク1にのみ接続可能である。PHSエリア3から携帯・PHSエリア4を除いたエリアでは、PHS基地局3を経由してネットワーク3にのみ接続可能となる。例えば、通信端末1が移動して無線LANエリア2で無線AP2経由でネットワーク2に接続している状態から携帯・PHSエリア4に移動してPHS基地局3経由でネットワーク3に接続する場合には、ネットワークセグメント間の移動になるので、前述のモバイルIP等の技術を適用することで通信を継続することが可能となる。
【0021】
通信端末1で使用しているアプリケーションによってネットワーク1の方が適していると選択された場合は、携帯基地局1経由でネットワーク1に接続することも可能である。同様にして携帯・PHSエリア4でPHS基地局3経由でネットワーク3に接続している状態から携帯基地局1にのみ接続可能な携帯エリア1に移動した場合や、携帯・PHSエリア4で携帯基地局1経由でネットワーク1に接続している状態からPHS基地局3にのみ接続可能なPHSエリア3に移動した場合も、前述のモバイルIP等の技術を適用することで通信を継続することが可能である。
【0022】
また、無線LANエリア2では、携帯基地局1、無線AP2、PHS基地局3経由でネットワーク1〜3に接続可能なので、使用しているアプリケーションによって適したネットワークが選択される。ここでは、無線通信方式として携帯、PHS無線LANについて挙げているが、近距離通信であるブルートゥース(Bluetooth)や広帯域の携帯通信方式であるIMT(International Mobile Telecommunication)−2000等のIPベースのネットワークを提供できるものであれば、無線通信方式については、いずれの方式を使用しても構わない。
【0023】
なお、通信の形態として、1)送信側が移動する通信端末で、受信側が固定に接続される通信端末である場合、2)送信側が固定に接続された通信端末で、受信側が移動する通信端末である場合、3)通信の送信側と受信側の双方が、移動する通信端末(通信端末1や2)である場合、がある。これらの場合において、送信側及び受信側の通信端末に本発明を適用することで、伝送路の切替えに応じたアプリケーションの制御を行うことができる。
【0024】
次に本発明による実施の形態を説明する。図3は本発明における通信端末の内部構成例を示す機能ブロック図、図4は通信開始時の動作シーケンスを示す図、図5はネットワークインタフェースカードの通信状態が変化したときの動作シーケンスを示す図である。
図中、10は通信端末、11はアプリケーション部、12はユーザ設定部、13は通信制御部、14はコンテンツ制御部、15はアプリケーション優先基準テーブル、16は品質情報テーブル、17は伝送路制御部、18は伝送路管理部、19は伝送路選択部、20はIP制御部、21は伝送路情報テーブル、22はネットワークインタフェース情報テーブル、23は伝送路状態管理部、24はネットワークインタフェース管理部、25はネットワークインタフェースカード(NIC)、26は自端末、27は通信相手端末、28はネットワークを示す。
【0025】
本発明の通信システムで使用される通信端末10は、実際の通信データの送受信及び処理を行うアプリケーション部11と、ネットワークインタフェースカード25及び伝送路の状態管理及び制御を行う伝送路制御部17とで構成される。なお、この通信端末10は、携帯型電話端末でも、無線ネットワークに接続可能なPDA(Personal Digital Assistance)やパソコンでも、複数の無線通信手段を備えた端末であれば良い。
【0026】
アプリケーション部11は、アプリケーションプログラムに含まれ、ユーザからのサービス開始要求を受け、そのサービス定義情報及びアプリケーション優先基準テーブル15を基に伝送路制御部17に対してアプリケーション要求情報を送信する。伝送路制御部17は、アプリケーションプログラムに含まれるか、もしくは、アプリケーションプログラムにより利用されるものである。この伝送路制御部17は、アプリケーション部11からのアプリケーション要求情報を受けて、アプリケーション部11からのアプリケーション要求情報とネットワークインタフェース管理部24により得られたネットワークインタフェース情報及び伝送路状態管理部23により得られた伝送路情報を基に伝送路選択部19により伝送路を決定する。
【0027】
さらに、伝送路選択部19は、選択された伝送路に関する情報をアプリケーション部11に回答する。その情報を受けてコンテンツ制御部14では品質情報テーブル16を参照してコンテンツを決定し、通信制御部13によりデータの送受信を行うことでサービスの提供を行う。なお、通信端末の各部は、ハードウエア、ソフトウエア、これらの組合せのいずれにより実現しても構わない。
【0028】
次に上述した通信端末の各部についてより詳細に説明する。ネットワークインタフェース管理部24は、通信端末10に備えられたネットワークインタフェースカード(以下、NICという)25の管理、及び状態の監視を行う。ネットワークインタフェース管理部24は、NIC25に関して取得した情報(例えば、伝送速度(規格値)、料金、IPアドレス、通信カード規格、MTU(Max Transfer Unit)等)をネットワークインタフェース情報テーブル22に登録する。
【0029】
通信端末10に新たにNICが追加された場合や、取り外された場合及び使用可能/使用不可能になった場合の状態を監視し、常時ネットワークインタフェース情報テーブル22を更新する。ネットワークインタフェース情報テーブル22の例を、図6に示す。ネットワークインタフェース管理部24では、前記NICの状態が変化する度に図6に記載されている項目をNICのデバイス情報から取得する。
【0030】
伝送路状態管理部23は、ネットワークインタフェース管理部24で取得されたNIC情報を基に通信相手との間で利用可能となる伝送路(パス)を検出する。さらに検出された伝送路各々に対して伝送路状態(例えば、ボトルネック物理帯域幅、可用帯域幅、RTT遅延差、パケットロス率等)を取得し、伝送路情報テーブル21に登録する。また、NIC情報が更新された場合には、その度にパスの検出を行い伝送路情報を取得する。ただし前記処理の場合は更新されたパスのみ新たに伝送路情報を取得しても構わない。
【0031】
伝送路管理部18は、上記伝送路状態管理部23で取得された伝送路情報とアプリケーション部11から受け取ったアプリケーション要求情報(例えば、要求帯域、要求遅延、料金、優先伝送路等)から、アプリケーションに最適な伝送路を選択する。選択結果としては、アプリケーションに最適な伝送路を一つ選択しても伝送路の優先順位を求めて通信相手に選択してもらうのでも構わない。伝送路選択後、選択された伝送路の伝送路状態(帯域幅、遅延、パケットロス率、料金等)をアプリケーション部11に回答する。
【0032】
コンテンツ制御部14は、伝送路管理部18より回答された伝送路状態を基に品質情報テーブル16を参照して、送受信可能なコンテンツ種別を選択する。ここでのコンテンツ種別とは、例えば、映像ストリーミングでは映像・音声のビットレート、コーデックの種類、画角、フレーム等を、VoIP(Voice over Internet Protocol)ではコーデックの種類を指す。
【0033】
通信制御部13は、上記で選択されたコンテンツ種別のデータを送受信するように通信相手とネゴシエーションした後に、サービスの提供を開始する。また、通信相手とのアプリケーション情報(待ち受けポート番号、使用可能コーデック種別等)の送受信も行う。前記情報を送受信することでアプリケーションで提供可能なサービス品質を共通化することが可能となる。
【0034】
ユーザ設定部12は、ユーザが通信端末の設定やアプリケーション優先基準テーブル15の設定及び操作を行う入出力部である。このユーザ設定部12は、画面やボタン、マウス等で構成され、アプリケーション部11の機能は、ユーザから指定されるコマンドの実行からも制御される。
【0035】
IP制御部20は、IPネットワーク(図1,2)にデータを伝送するために必要なアドレス情報などを設定し、作成されたデータを、NIC25を介して実際のネットワークへ送受信する。通信端末10は、ネットワークに接続され、ネットワークの接続を維持したまま移動することが可能である。
【0036】
上述した通信端末10において、通信端末の起動時には、ネットワークインタフェース管理部24により、複数のネットワークインタフェースの属性に関する情報(例えば、通信カード名、伝送速度、電波強度、リンクの状態、変調方式等)を取得する。同時に通信可能なネットワークインタフェースを検出し、ネットワークインタフェース情報テーブル22に登録する。前記ネットワークインタフェースの検出方法としては、電波強度と閾値との比較による判断、リンクの状態の変化等が挙げられる。
【0037】
通信端末10の起動後は、ネットワークインタフェース管理部24がネットワークインタフェースの追加/削除及び通信可・不可を監視することで状態が変化したことを検知し、逐一ネットワークインタフェース情報テーブル22を更新する。アプリケーションの通信開始時には、通信端末10は通信相手と利用可能なコンテンツ情報を通知し合うことで利用可能なコンテンツの情報を取得し、前記情報を品質情報テーブル16に登録し、予め設定されたアプリケーションの優先基準(要求帯域幅、最低要求帯域幅、許容遅延等)の情報と共にアプリケーション優先基準テーブル15に登録する。
【0038】
次に、ネットワークインタフェース情報テーブル22を参照して、通信可能なNICの情報を通信相手に送信する。受信した通信端末では、送信されたNICの情報と自端末のネットワークインタフェース情報テーブル22を参照して、通信端末間に存在する伝送路(パス)を抽出する。抽出されたパスに対して各々の伝送路状態(ボトルネック帯域幅やRTT遅延差等)を取得し、各々の伝送路情報テーブル21に登録する。
【0039】
伝送路選択部19では、伝送路情報テーブル21のデータをアプリケーション優先基準テーブル15でフィルタリングすることで、アプリケーションの要求に最適な伝送路が選択される。例えば、アプリケーションとして映像ストリーミングが起動された場合は、帯域が優先基準として設定されるので、最も帯域の広い伝送路が選択される。この時、優先基準によって上り/下りの伝送路が異なるNICを選択することも可能である。また、伝送路選択部19では、1つの伝送路を選択するのではなく、伝送路に対して相対的な優先順位をもたせて通信相手に優先順位を通知して、通信相手に伝送路を決定させることも可能である。
【0040】
伝送路が選択されると、伝送路選択部19は、選択された伝送路の伝送路情報を伝送路情報テーブル21を参照してコンテンツ制御部14に送信する。コンテンツ制御部14では、受け取った伝送路情報をもとに品質情報テーブル16からコンテンツ品質を決定する。通信制御部13では、決定されたコンテンツの送受信を開始し、同時にIP制御部20は、伝送路選択部19により選択された伝送路に切り替えを行う。
以上の処理が実行されることで、決定された伝送路を介して選択されたコンテンツのデータ通信が行われ、伝送路の切替とアプリケーションの連動が実現される。
【0041】
ネットワークインタフェース管理部24において、NIC25の状態が変化したことを検知した場合は、新しく取得されたNIC25の情報をネットワークインタフェース情報テーブル22に登録もしくは登録されている情報を削除し、更新されたNIC25の情報を通信相手に送信する。受信した通信端末では、更新されたNIC25の情報と自端末のネットワークインタフェース情報テーブル22を参照して、通信端末間に存在する伝送路(パス)を検出する。
【0042】
伝送路が追加された場合は、新しく抽出された伝送路に対して各々の伝送路状態(ボトルネック帯域幅やRTT遅延差等)を取得し、各々の伝送路情報テーブル21に登録し、通信開始時と同様に再度伝送路の選択を行う。また、双方向通信で使用される場合には、上り/下り各々に対して伝送路の優先度が判断され、各々に対して最も優先度の高い伝送路を決定し、決定された伝送路を介してデータ通信を行う。既に他の伝送路を介した通信セッションが確立されている場合は、その通信セッションを維持したまま各々の伝送路の切換えが行われる。
【0043】
図4は、上述した図3の通信端末10の通信開始時の各部の動作を示す動作シーケンス図であり、図5は、NIC25の通信状態が変化した場合の動作シーケンスを示した図である。先ず、通信開始時の動作シーケンスを説明する。図4において、自端末26は、通信を開始する送信側の通信端末であり、通信相手端末27は、送信側の通信端末に対して受信側の通信端末を示しており、各々の通信端末は、IPネットワーク28に接続可能な複数のネットワークインタフェースを備えているものとする。また、図1,2で説明した無線アクセスポイントや、無線基地局を介して、映像、音声などのコミュニュケーションのためのデータ通信を行っているものとする。
【0044】
接続の形態は1対1でも、複数人数での多地点会議のような通信形態でも構わない。データ通信についても、サーバ・クライアント型の片方向通信もしくは、電話の様な双方向通信であっても構わない。また、図5においては、自端末26は、NICの通信状態の変化を検知した通信端末であり、通信相手端末27は自端末26が通信中の通信端末となる。この場合は、自端末26及び通信相手端末27が送信側の端末もしくは受信側の端末のどちらであっても構わない。通信の形態についても、図4の通信端末と同様のことが言える。また、各々の通信端末は、一方もしくは双方がNICを一つしか備えない通信端末であっても構わない。
【0045】
先ず、図4(図3を参照)により、通信端末が映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーション等によるデータ通信を行う場合での、通信開始時の自端末26と通信相手端末27の各部の動作を説明する。例えば、伝送路管理部18が、アプリケーションプログラムに利用されるミドルウエアとして搭載されている場合は、プログラム起動時に、ネットワークインタフェース管理部24が、自端末26に備えられているNICの属性に関する情報(例えば、通信カード名、伝送速度、電波強度、リンクの状態、変調方式、MTU等)を取得する。
【0046】
この情報の取得と同時に、通信可能なNICを検出し、ネットワークインタフェース情報テーブル22に登録する(S401)。この登録の後、ネットワークインタフェース管理部24は、NICの通信状態を常時監視し、状態が変化した場合には、ネットワークインタフェース情報テーブル22の項目の更新があった分について、その都度書き込みを行い、変化した項目についてのみ伝送路管理部18に通知する。なお、図6に、上述した、ネットワークインタフェース情報テーブル22に登録される項目と、その値の一例を挙げる。
【0047】
NICの検出方法としては、電波強度と閾値との比較による判断、リンクの状態等が挙げられる。電波強度による検出の例としては、閾値をLevel3としたときに、電波強度がLevel3以上だった場合は、フラグとして「1」(フラグとしてネットワークインタフェースが使用可能な場合を1、使用不可能の場合を0とする)をネットワークインタフェース情報テーブル22のリンク状態フラグの位置に書き込む。
【0048】
他方、電波強度がLevel3未満だった場合は、リンク状態フラグ「0」を前記と同じ位置に書き込む。閾値については、アプリケーションにより定められてもよいし、通信端末が予め内蔵していてもよいし、ユーザがユーザ設定部12を介して設定してもよい。この例の閾値に従えば、ネットワークインタフェース管理部24は、無線の電波強度がLevel1からLevel2に変化したことを検知しても、リンク状態フラグを変更しないことになる。
【0049】
また、リンク状態による検出の例としては、携帯やPHS等のNICは、ダイヤルアップ接続をしなければIPネットワークへの接続が確立されないものがある。そこで、ダイヤルアップ接続が確立されている場合には、ネットワークインタフェース情報テーブル22のリンク状態の位置に「ON」のフラグを、ダイヤルアップ接続が確立されていない場合には「OFF」のフラグを書き込む。伝送路管理部18の起動タイミングについては、通信端末10の起動時でもアプリケーション起動時でもアプリケーションが通信を開始するまでに起動していれば構わない。伝送路管理部18がアプリケーションに含まれている場合も、伝送路管理部18の起動タイミングは上記と同様で構わない。
【0050】
アプリケーション部11は、ユーザ設定部12からユーザからの通信開始要求を受けて、アプリケーションでのデータ通信を行うために必要な情報を自端末26と通信相手端末27との間で通知し合う(S414)。この時に、通知し合う情報の項目の一例を、図7(A)に示す。ここでは、データの送受信に必要な接続情報として、「接続先IPアドレス」、待ち受け「ポート番号」と通信のセッション制御に必要な「セッションID」等と、アプリケーションで利用可能なコンテンツ情報を判断するための「映像・音声符号化パラメータ(使用可能なコーデックの種類等)」や使用する「送受信プロトコル(RTP:Real−time Transport Protocol、UDP:User Datagram Protocol等)」が含まれる。
【0051】
上記ネゴシエーション機能を、SIP(Session Initiation Protocol)やRTSP(Real Time Streaming Protocol)等のセッションを開始、管理、そして終了させるためのシグナリング・プロトコルを用いても構わない。またIPアドレスについても、IPv4(Internet Protocol Version 4)アドレスであってもIPv6(Internet Protocol Version 6)アドレスであっても構わない。
【0052】
アプリケーション部11は、上記ネゴシエーション機能により取得した情報のうちコンテンツ情報をもとに、アプリケーションで提供可能なコンテンツの情報のリストである品質情報テーブル16を作成する。品質情報テーブル16の項目とその一例を図7(B)に示す。なお、品質情報テーブル16については、ユーザ設定部12からユーザにより設定されたものを使用しても構わない。
【0053】
次に、アプリケーション部11は、伝送路管理部18に伝送路選択に必要なアプリケーション優先基準テーブル15の情報を通知する(S415、S416)。アプリケーション優先基準テーブル15の項目とその一例を図7(C)に示す。アプリケーション優先基準テーブル15の各項目については、前述したネゴシエーション機能により取得した情報から書き込まれたものとユーザ設定部12からユーザにより設定された項目から作成されている。なお、アプリケーション優先基準テーブル15についても、全ての項目についてユーザ設定部12からユーザにより設定されたものを使用しても構わない。
【0054】
伝送路管理部18は、ネットワークインタフェース情報テーブル22のリンク状態フラグを参照して通信可能なNICのリストを通信相手端末27に通知する(S417)。ネットワークインタフェースリストの項目とその一例を図8(A)に示す。通信相手端末27では、受信したネットワークインタフェースリストと自分の端末内のネットワークインタフェース情報テーブル22を基に、自端末〜通信相手端末間に存在する伝送路リストを作成する。
【0055】
例えば、自端末26の使用可能なNICが3つ(NIC1〜3)、通信相手端末27の使用可能なNICが2つ(NIC4〜5)の場合の伝送路の数は、3(自端末のNIC数)×2(通信相手端末のNIC数)×2(上り伝送路・下り伝送路)で12となる。この例での伝送路リストの一例を図8(B)に示す。作成された伝送路リストは、通信相手端末27から自端末26に通知され、各々の伝送路情報テーブル21に登録され(S404、S405)、そして、各々の伝送路状態管理部23に通知される(S418、S419)。伝送路状態管理部23は、通知された情報をもとに各々の伝送路の伝送路状態の測定を行う(S420)。
【0056】
ここで伝送路情報テーブル21の項目を図9(A)に示す。以下に、各々の項目の説明と測定方法の例を挙げる。図9(B)にボトルネック物理帯域幅の概要を示す。図9(B)は、自端末26と通信相手端末27間の伝送路の一つであり、線の幅が帯域幅の広さを表わしており、線の幅が広いほど帯域幅が広く、線の幅が狭いほど帯域幅は狭いことを示している。IPネットワークでは、経路の途中で様々な伝送路が存在するため伝送路全体を通じて一様な帯域幅を提供することは出来ない。そこで、伝送路のボトルネックの帯域幅を測定し、その結果をもとにコンテンツ品質を決定することで、該当する伝送路でデータ送受信可能な最大のビットレートで高品質なサービスを提供することが可能となる。
【0057】
図9(C)により、ボトルネックリンクの物理帯域幅を測定する方法の一例として、パケットペア転送方式及びパケットトレイン転送方式によるプローブパケットを用いた測定方法を説明する。自端末26から2つの同サイズSのパケットを密接させて送信し、これがボトルネックリンクで同時にキューイングされるとΔT<S/B2となる。パケットは、その間隔を保って通信相手端末27に到着するためΔT’=S/B2となる。この式から求められるB2が、伝送路におけるボトルネック物理帯域幅となる。
【0058】
次に、図10にRTT遅延差を測定する方法の一例を示す。図10において、自端末26はNIC1〜3の3つのNICを備え、通信相手端末27はNIC4を備えており、それぞれIPネットワークに接続されているとする。自端末26から通信相手端末27、さらに自端末26へパケットを送信することでRTTを測定することが出来るので、NIC1〜NIC4〜NIC1のRTTをRTT1、NIC1〜NIC4〜NIC2のRTTをRTT2、NIC1〜NIC4〜NIC3のRTTをRTT3、NIC1→NIC4の片方向の遅延時間をΔT、NIC4→NIC1の片方向の遅延時間をΔT1、NIC4→NIC2の片方向の遅延時間をΔT2、NIC4→NIC3の片方向の遅延時間をΔT3とすると、
ΔT1=RTT1−ΔT
ΔT2=RTT2−ΔT
ΔT3=RTT3−ΔT
となる。
【0059】
上記の式より、ΔT1、ΔT2、ΔT3はそれぞれRTT1、RTT2、RTT3からΔTを減算することで求められるので、RTT1、RTT2、RTT3を比較することは、すなわち、通信相手端末27から自端末26への片方向の相対的な遅延差を比較することと同義として捉えることができる。以上のことから、RTT1、RTT2、RTT3をそれぞれNIC4→NIC1、NIC4→NIC2、NIC4→NIC3の片方向の遅延差として使用することが可能となる。
【0060】
図11は、可用帯域幅について説明する図で、図9(B)と同様に自端末26と通信相手端末27間の伝送路の一つであり、線の幅が帯域幅の広さを表わしており、線の幅が広いほど帯域幅が広く、線の幅が狭いほど帯域幅は狭いことを示している。また、ハッチング部分は、その伝送路に既に送受信されているパケットが各リンクの帯域を占有している(リンク毎にクロストラフィックが存在する)ことを示している。
【0061】
この場合にも、上述したボトルネック物理帯域幅の測定と同じように、プローブパケットの転送にパケットトレイン方式を用いることで送受信端末間の伝送路上のリンクの可用帯域幅を測定することができる。ここでは、各プローブパケット間の片道転送遅延の増加傾向を利用して、前記片道転送遅延の増加傾向は、プローブパケットの送信レートが可用帯域幅を上回るときに観測されるため、この性質を利用し、プローブパケットの送信レートを変更しながら繰り返し計測を行うことによって、可用帯域幅を求めることが可能となる。パケットロス率については、上記測定に用いたプローブパケットを用いることで、「パケットロス率=パケットロス数/送信したパケット数」から求められる。
【0062】
上記の測定は、伝送路情報テーブル21に登録されている伝送路リスト(自端末26と通信相手端末27の間に存在する全ての伝送路)に対して実施される。測定完了後、伝送路状態管理部23は、上に述べられた測定方法で取得された伝送路情報を伝送路情報テーブル21に書き込む(S406、S407)。伝送路選択部19は、前記の取得された伝送路情報テーブル21とアプリケーション優先基準テーブル15から伝送路を選択する(S408、S409)。
【0063】
図12,図13は、伝送路情報テーブル21とアプリケーション優先基準テーブル15からアプリケーションの要求に適した伝送路を選択する処理手順の例を示すフローチャートである。先ず、図12示すように、アプリケーション優先基準テーブル15に、優先NICの項目が指定されているかどうか確認する(S01)。優先NICが指定されている場合には(S01Yes)、伝送路情報テーブル21の伝送路情報を参照して、指定された優先NICがテーブル上に存在し使用可能かを確認し(S02)、使用可能である場合は前記の優先NICを選択する(S02Yes)。
【0064】
アプリケーション優先基準テーブル15に、優先NICの項目が指定されていなかった場合(S01No)か、もしくは優先NICが使用可能でなかった場合(S02No)は、アプリケーション優先基準テーブル15に、料金優先の項目が指定されているかどうか確認する(S03)。本実施例では、料金設定の項目として無料もしくは定額制、従量課金制のどちらかが設定されるものとする。料金優先として無料/定額制が指定されている場合は(S03Yes)、ネットワークインタフェース情報テーブル22と伝送路情報テーブル21の両方を参照して、無料/定額制の伝送路を抽出する(S04)。
【0065】
さらに、アプリケーション優先基準テーブル15に帯域優先が設定されている場合は(S05Yes)、前記の抽出された伝送路の中から最も帯域幅の大きい伝送路を選択する(S06)。そして、帯域優先の項目が設定されていなかった場合は(S05No)、遅延優先の項目が設定されているか確認し、設定されている場合には(S07Yes)、前記抽出された伝送路の中から最も遅延量の小さい伝送路を選択する(S08)。さらに、遅延優先の項目も設定されていない場合には(S07No)、前記抽出された伝送路が要求帯域を満たすか、要求遅延を満たすかを確認する。どちらの条件も満たす伝送路が存在する場合には(S09Yes、S10Yes)、その中から料金が安く最も帯域幅の大きい伝送路を選択する(S11)。
【0066】
前記抽出された伝送路が要求帯域と要求遅延のいずれかを満たせない場合は(S09No、S10No)、図13のフローに移って、従量課金制の伝送路に対して、上述した処理手順と同様な処理を行い伝送路を選択する(S12〜S22)。またアプリケーション優先基準テーブル15に料金優先が設定されていない場合にも(S03No)、同様な処理手順を行い伝送路を選択する(S12〜S22)。
【0067】
ただし、アプリケーション優先基準テーブル15に帯域優先、および遅延優先のどちらも設定されておらず(S14No、S16No)、さらに要求帯域も満たす伝送路が存在しない場合には(S19No)、ユーザ設定部12に要求帯域幅を満たす伝送路が存在しないことを通知し(S21)、ユーザに対してサービスを提供できないことを通知することになる。また、要求帯域を満たせても(S19Yes)、要求遅延を満たせなかった場合には(S20No)、ユーザ設定部12に要求遅延を満たす伝送路が存在しないことを通知し(S22)、ユーザに対してサービスを提供できないことを通知することとなる。なお、要求遅延を満たせる場合には(S20Yes)、図12のフローに戻って、料金が安く最も帯域幅の大きい伝送路を選択する(S11)。
【0068】
なお、伝送路については上り/下りが存在するため、本実施例では各々(自端末及び通信相手端末)が下りの伝送路に対して選択を行うものとする。映像ストリーミングや音声ストリーミング等のサーバ・クライアント型の片方向通信の場合については、クライアント側で伝送路を選択することとする。本実施例に限らず、各々が下りではなく上りの伝送路を選択しても、一方の端末が上り/下りのどちらの伝送路も選択するように処理を行っても構わない。
【0069】
ここで、図14(A)を用いて、上り/下りで異なる伝送路が選択される場合の一例を説明する。自端末26は、FOMAとPHSの2つのNICを備え、通信相手端末27は無線LAN(IEEE802.11b)のNICのみを備えており、各々のNICを経由してIPネットワークに接続可能であるとする。本実施例ではFOMAは従量課金制の下り384kbps、上り64kbpsとし、PHSは定額制の上り/下り64kbps、無線LANについては定額制で上り/下り11Mbpsとする。この場合、各々のNICのネットワークインタフェース情報テーブル22及び伝送路情報テーブル21としては、それぞれ図14(B)、図14(C)のようになる。
【0070】
また、アプリケーション優先基準として優先NICなし、帯域優先あり、料金に関しては従量課金制が設定されているとすると、アプリケーション優先基準テーブル15は、図15のようになる。図14(C)で示されるように、本実施例では自端末26と通信相手端末27の間に存在する伝送路は4つとなる。上述した伝送路を選択するフローチャート(図12)にしたがって伝送路を選択すると、自端末26から通信相手端末27への伝送路については、優先NICが指定されていない(S01No)、コスト無料/定額制が指定されていない(S03No)、そして、図13のフローに移る。
【0071】
図13のフローにおいて、帯域優先が指定されており(S14Yes)、伝送路1と伝送路2の帯域幅は同じであり、同じ帯域の伝送路が存在するため(S13Yes)、最も料金が安い伝送路として「伝送路2」が選択される(S17)。同様にして、通信相手端末27から自端末26への伝送路は伝送路についても、図12から図13のフローで、優先NICが指定されていない(S01No)、コスト:無料/定額制が指定されていない(S03No)、帯域優先が指定されており(S14Yes)、伝送路4に比べて伝送路3の帯域幅の方が大きいので(S13No)、最も帯域幅の大きい伝送路として「伝送路3」が選択される(S12)。
【0072】
なお、帯域優先が指定されておらず(S14No)、遅延優先が設定されていると(S16Yes)、同じ遅延の伝送路が存在する場合には(S15Yes)、最も料金の安い伝送路が選択される(S17)。同じ遅延の伝送路が存在しない場合には(S15No)、最も遅延量の小さい伝送路を選択する(S18)。
【0073】
上述したように、アプリケーションの優先基準と伝送路状態に応じて上り/下りの伝送路が異なるNICを選択することで、アプリケーション及びユーザの嗜好に合せて伝送路を使い分けることが可能となる。また、伝送路選択部19では1つの伝送路を選択するのではなく、伝送路に対して相対的な優先順位(各項目に対して重み付けを行い、その重み付けをもとに各伝送路に対してポイントを計算し、ポイントの高いものから優先順位を付けていく等)をもたせて通信相手に前記優先順位を通知して、通信相手に伝送路を決定させても構わない。
【0074】
図3,4に戻って、伝送路が選択されると、伝送路選択部19は伝送路情報テーブル21を参照して、選択された伝送路の伝送路情報をアプリケーション部11に通知する(S421、S422)。本実施例では、伝送路状態としてアプリケーションに割当て可能な帯域幅(ボトルネック物理帯域幅)をアプリケーション部11に通知する。帯域幅は、アプリケーションのコンテンツの品質を決定する上で大きな要因を占めるが、対象となるコンテンツによって、伝送路の遅延や、可用帯域幅、パケットロス率等の情報を必要とする可能性も考えられるので、必要に応じてそれらのいずれかの情報を併せて通知しても構わない。
【0075】
コンテンツ制御部14は、通知された伝送路情報をもとに品質情報テーブル16を参照して通信でのコンテンツ品質を決定する(S412、S413)。通信制御部13は、上述したようにコンテンツ制御部14により決定されたコンテンツ品質に従った映像・音声の種類や利用パラメータを決める情報を通信相手と交換した後に、データの送受信を開始し(S423)、同時にIP制御部20は伝送路選択部19により選択された伝送路に切替を行う(S410、S411)。
【0076】
以上のように、通信端末10が無線環境を通して映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーションによりデータ通信を行う際に、通信端末間の伝送路情報をもとにアプリケーションの優先基準やユーザの嗜好に合わせて伝送路を選択することで、通信端末の存在する場所の無線環境やネットワーク情報に合わせた品質のサービスを提供することが可能となる。なお、伝送路としては無線だけでなくイーサネット(登録商標)に代表される有線LANでの接続など、IPネットワークに接続可能な媒体であれば構わない。
【0077】
次に、通信端末10が映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーション等によるデータ通信を行っている際に、通信端末を取り囲む伝送路の通信状態が変化した場合の自端末26と通信相手端末27の各部の動作の例を、図5により説明する。
【0078】
ユーザは、無線の利点を生かして自由に移動が可能である。ここで、移動中などにおいて、ネットワークインタフェース管理部24が、例えば、今まで使用不可能だったNIC(リンク状態フラグが「0」)の無線の電波強度が強まり、Level2からLevel4に変化したことを検知し、閾値がLevel3に設定されていたとすると、使用不可能だったネットワークインタフェースが使用可能となる。NICの状態が変化したことを伝送路管理部18に通知し(S517)、ネットワークインタフェース情報テーブル22の該当箇所に通知された値を書き込む(リンク状態フラグを「0」から「1」に書き換える)(S501)。
【0079】
伝送路管理部18は、該当する新規に使用可能となったネットワークインタフェースの情報を通信相手端末27に通知する(S518)。ここで通知されるネットワークインタフェースの情報の一例を図16(A)に示す。ここでは、通信開始時の実施例の場合で(自端末の使用可能なNICが3つ(NIC1〜3)、通信相手端末の使用可能なNICが2つ(NIC4〜5))、自端末26のNIC6が使用可能となった場合において、追加されたNIC名であるNIC6と対応するIPアドレスを送信している。
【0080】
追加されたネットワークインタフェースが複数存在する場合には、NIC名と対応するIPアドレスのリストが送信される。ここで、IPアドレスについてはIPv4アドレスであってもIPv6アドレスであっても構わない。また、追加されたネットワークインタフェースだけでなく、通信可能なネットワークインタフェースの全てにリストを送信しても構わない。通信相手端末27では受信したネットワークインタフェースの情報と自分の端末内のネットワークインタフェース情報テーブル22をもとに自端末26〜通信相手端末27間に追加された伝送路リストを作成する。
【0081】
送信されたネットワークインタフェースの情報が通信可能な全てのネットワークインタフェースリストの場合には、自端末26〜通信相手端末27間に存在する伝送路リストが作成される。追加された伝送路のリストの一例を図16(B)に示す。作成された伝送路のリストは通信相手端末27から自端末26に通知され各々の伝送路情報テーブル21に登録され(S503、S504)、そして各々の伝送路状態管理部23に通知される(S519、S520)。
【0082】
伝送路状態管理部23は、通知された情報をもとに追加された伝送路について伝送路状態の測定を行う(S521)。各々の項目の説明と測定方法については、通信開始時の実施例で述べた方法と同じ方法を用いることとする。こうして得られた伝送路情報とアプリケーション優先基準から、図12,図13のフローチャートにより伝送路が決定される(S507、S508)。決定された伝送路が現在使用している伝送路と異なる場合には(S509Yes、S510Yes)、伝送路選択部19は伝送路情報テーブル21を参照して、選択された伝送路の伝送路情報をアプリケーション部11に通知する(S522、S523)。
【0083】
本実施例では、通信開始時の実施例と同様に伝送路状態としてアプリケーションに割当て可能な帯域幅をアプリケーション部11に通知する。コンテンツ制御部14は、通知された伝送路情報をもとに品質情報テーブル16を参照して通信でのコンテンツ品質を決定する。コンテンツの切替えが必要だと判断した場合には(S513Yes、S514Yes)、通信制御部13は、前記決定されたコンテンツ品質に従った映像・音声の種類や利用パラメータを決める情報を通信相手と交換した後に(S524)、切替え後のコンテンツ品質にてデータの送受信を開始し(S515、S516)、同時にIP制御部20は伝送路選択部19により選択された伝送路に切替を行う(S511、S512)。
【0084】
なお、選択された伝送路が現在使用している伝送路と一致する場合には何も行わない。また、選択された伝送路が現在使用している伝送路と異なり、コンテンツ制御部14によりコンテンツを切替える必要がないと判断された場合には(S513No、S514No)、伝送路の切替のみを行う(S511、S512)。
【0085】
上記実施例では、無線の電波強度の変化の例を挙げたが、携帯やPHS等のダイヤルアップ接続が確立されていない状態から確立されている状態に変化した場合(リンク状態が「OFF」から「ON」に変化)や、新しくネットワークインタフェースが追加され、そのネットワークインタフェースがリンク状態「ON」もしくは、リンク状態フラグが「1」である場合でも構わない。
【0086】
以上のように、通信端末10が無線環境を通して映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーションによりデータ通信を行っている最中に、無線環境の変化をきっかけに、新しくネットワークインタフェースが使用可能となった場合において、通信端末間の伝送路情報とアプリケーションの優先基準やユーザの嗜好に合せて伝送路を再度選択し、上記伝送路に基づいた情報をアプリケーションに通知することで、通信端末10の存在する場所の無線環境やネットワーク状況に合わせた品質のサービスを提供することが可能となる。なお、伝送路としては無線だけでなくイーサネット(登録商標)に代表される有線LANでの接続など、IPネットワークに接続可能な媒体であれば構わない。
【0087】
次に、通信端末10が映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーション等によるデータ通信を行っている際に、通信端末を取り囲む伝送路の通信状態が変化した場合の自端末26と通信相手端末27の各部の動作の別の例を、同じく図5を用いて説明する。
【0088】
ユーザは、無線の利点を生かして自由に移動が可能である。ここで、移動中などにおいて、ネットワークインタフェース管理部24が、例えば、現在通信中のネットワークインタフェース(リンク状態フラグ「1」)の無線の電波強度が弱まり、Level4からLevel2に変化し、閾値がLevel3に設定されていたとすると、使用可能だったネットワークインタフェースが使用不可能となる。ネットワークインタフェースの状態が変化したことを伝送路管理部18に通知し(S517)、ネットワークインタフェース情報テーブル22の該当箇所に通知された値を書き込む(リンク状態フラグを「1」から「0」に書き換える)(S501)。
【0089】
伝送路管理部18は、該当する使用不可能となったネットワークインタフェースの情報(例えば、ネットワークインタフェース名)を通信相手に通知し(S518)、同時に伝送路情報テーブル21から該当する伝送路の情報を削除する(S503)。通信相手端末27でも同様に、通知されたネットワークインタフェースの情報をもとに通信相手端末27で保持している伝送路情報テーブル21から該当する伝送路の情報を削除する(S504)。
【0090】
伝送路状態管理部23は、更新された伝送路情報とアプリケーション優先基準から、図12,図13のフローチャートに従って伝送路を決定する(S507、S508)。ここで、伝送路状態管理部23は、更新された伝送路情報テーブル21をもとに(上記状態が変化したネットワークインタフェースに対応する伝送路を削除した後の伝送路に対して)再度伝送路状態の測定を実施しても構わない(S519〜S521、S505、S506)。新しく使用する伝送路が決定されると、伝送路選択部19は伝送路情報テーブル21を参照して、選択された伝送路の伝送路情報をアプリケーション部11に通知する(S522、S523)。
【0091】
本実施例では、通信開始時の実施例と同様に伝送路状態としてアプリケーションに割当て可能な帯域幅をアプリケーション部11に通知する。コンテンツ制御部14は、通知された伝送路情報から品質情報テーブル16を参照して通信でのコンテンツ品質を決定し、コンテンツの切替えが必要だと判断した場合には(S513Yes、S514Yes)、前記コンテンツ制御部14にて決定されたコンテンツ品質にしたがって、映像・音声の種類や利用パラメータを決める情報を通信相手と交換後(S524)、データの送受信を開始し、同時にIP制御部20にて伝送路選択部19により選択された伝送路に切替を行う(S511、S512)。また、コンテンツ制御部14によりコンテンツを切替える必要がないと判断された場合には(S513No、S514No)、伝送路の切替のみを行う(S511、S512)。
【0092】
本実施例では、現在使用中のネットワークインタフェースの無線の電波強度が弱まった場合の制御について述べたが、現在使用しておらず、且つ現在使用可能なネットワークインタフェースの無線の電波強度が弱まった場合についても、該当する使用不可能となったネットワークインタフェースの情報を通信相手端末27に通知するようにしてもよい。対応する伝送路情報テーブル21の情報を自端末26と通信相手端末27で各々削除するという制御手順については同じ処理を行い、この場合では、伝送路の選択を行わないという点のみ異なる。
【0093】
上記実施例では、無線の電波強度の変化の例を挙げたが、携帯やPHS等のダイヤルアップ接続が確立されている状態から確立されてない状態に変化した場合(リンク状態が「ON」から「OFF」に変化)や、ネットワークインタフェースが削除(通信端末から取り外され)された場合でも、あるネットワークインタフェースのリンク状態フラグが「1」から「0」に変化した場合でも構わない。
【0094】
以上のように、通信端末10が無線環境を通して映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーションによりデータ通信を行っている最中に、無線環境の状態の変化をきっかけに、現在使用中の伝送路の状態が変化した場合でも、通信端末間の伝送路情報とアプリケーションの優先基準やユーザの嗜好にあわせて伝送路を再選択することができる。上記伝送路に基づいた情報をアプリケーションに通知することで、通信端末10の存在する場所の無線環境やネットワーク状況に合せた品質のサービスを提供することが可能となる。なお、伝送路としては無線だけでなくイーサネット(登録商標)に代表される有線LANでの接続など、IPネットワークに接続可能な媒体であれば構わない。
【0095】
次に、通信端末10が映像や音声などのコミュニケーションを利用したアプリケーション等によるデータ通信を行っている際に、通信端末を取り囲む伝送路の通信状態が変化した場合の自端末26と通信相手端末27の各部の動作のその他の例を、同じ図5を用いて説明する。
【0096】
ユーザは、無線の利点を生かして自由に移動が可能である。ここで、移動中などにおいて、ネットワークインタフェース管理部24が、例えば、現在通信中のネットワークインタフェースの無線通信の物理リンク速度の変化(IEEE802.11bにおける物理伝送速度の変化11Mbpsから5.5Mbpsや、FOMAにおけるベアラの伝送速度の変化384kbpsから64kbps等)を検知したとする。NICの状態が変化したことを伝送路管理部18に通知し(S517)、ネットワークインタフェース情報テーブル22の該当箇所に通知された値(伝送速度11Mbpsから5.5Mbpsあるいは、384kbpsから64kbps等)を書き込む(S501)。
【0097】
伝送路管理部18は、該当する通信状態の変化したネットワークインタフェースの情報を通信相手端末27に通知する(S518)。ここで、通知されるネットワークインタフェース情報の一例を図16(C)に示す。ここでは、通信開始時の実施例の場合でNIC1がIEEE802.11bのネットワークインタフェースであり、自端末26のNIC1の伝送速度が11Mbpsから5.5Mbpsに変化したというネットワークインタフェース情報テーブル22の更新部分の情報のみを送信している(S518)。通信状態の変化したネットワークインタフェースが複数存在する場合には、NIC名と対応するネットワークインタフェース情報テーブル22の更新部分の情報のリストが送信される。また、更新された部分だけでなく、通信可能なネットワークインタフェースの全てのリストを送信しても構わない。
【0098】
通信相手端末27では、受信したネットワークインタフェースの情報をもとに自分の端末内のネットワークインタフェース情報テーブル22を更新し、伝送路状態管理部23は、該当する伝送路の伝送路状態を測定する(S521)。ここでは、更新されたネットワークインタフェースに対応する伝送路の伝送路状態のみを再度測定することとしたが、全ての伝送路に対して再度伝送路状態を測定しなおしても構わない。各々の項目の説明と測定方法については、通信開始時の実施例で述べた方法と同じ方法を用いることとする。こうして得られた伝送路情報とアプリケーション優先基準から、図12,図13のフローチャートにより伝送路が決定される(S507、S508)。
【0099】
決定された伝送路が現在使用している伝送路と異なる場合には(S509Yes、S510Yes)、伝送路選択部19は伝送路情報テーブル21を参照して、選択された伝送路の伝送路情報をアプリケーション部11に通知する(S522、S523)。本実施例では、通信開始時の実施例と同様に伝送路状態としてアプリケーションに割当て可能な帯域幅をアプリケーション部11に通知する。
【0100】
コンテンツ制御部14は、通知された伝送路情報をもとに品質情報テーブル16を参照して通信でのコンテンツ品質を決定する。コンテンツの切替えが必要だと判断した場合には(S513Yes、S514Yes)、通信制御部13は、前記の決定されたコンテンツ品質に従った映像・音声の種類や利用パラメータを決める情報を通信相手と交換した後に(S524)、切替え後のコンテンツ品質にてデータの送受信を開始する(S515、S516)。同時にIP制御部20は、伝送路選択部19により選択された伝送路に切替を行う(S511、S512)。なお、選択された伝送路が現在使用している伝送路と一致する場合には何も行わない。また、選択された伝送路が現在使用している伝送路と異なり、コンテンツ制御部14によりコンテンツを切替える必要がないと判断された場合には(S513No、S514No)、伝送路の切替のみを行う(S511、S512)。
【0101】
なお、本実施例では、ネットワークインタフェースの無線通信の物理リンク速度が変化した場合について述べたが、無線の変調方式が変更されたことを検知した場合(IEEE802.11bにおける変調方式がQPSKからBPSKに変化)についても、本実施例で述べた処理手順に従って制御を行うことで通信環境に応じた品質のサービスを提供することが可能である。
【0102】
なお、本実施例では自端末において通信状態が変化した場合の例について説明をしたが、通信相手端末において通信状態の変化が生じた場合についても同様の制御を行うことで、伝送路の選択とアプリケーションの連動といったユーザの通信状況に応じた品質のサービスを提供することが可能となる。
Claims (15)
- 複数の伝送路に接続可能な複数のネットワークインタフェースを備えた第1の通信端末及び第2の通信端末を含み、前記伝送路のいずれかを用いて前記第1の通信端末と前記第2の通信端末との間で通信を行なう通信システムであって、
前記第2の通信端末が備えた前記複数のネットワークインタフェースの情報を送信する手段と、
前記第1の通信端末が備えた前記複数のネットワークインタフェースの情報と、
前記第2の通信端末が備える前記複数のネットワークインタフェースの情報に基づいて、前記第1の通信端末が接続される複数の伝送路と、前記第2の通信端末が接続される複数の伝送路との組合せである伝送路リストを作成する手段と、
前記通信端末間のデータ通信の経路として前記伝送路リストから少なくとも一つの組合せを選択する手段と、
前記第1の通信端末からの情報を、通信相手である前記第2の通信端末が備えたネットワークインタフェースのいずれか一つを宛先に指定して、前記第1の通信端末が有するネットワークインタフェースのいずれか一つを送信元として伝送路へ送信する手段と、
前記送信された前記情報を、前記宛先に指定されたネットワークインタフェースに接続された伝送路を用いて前記第2の通信端末へ送信する手段と、を備えていることを特徴とする通信システム。 - 前記第1の通信端末から前記伝送路の状態を測定するためのプローブパケットを送信する手段と、
前記第1の通信端末が接続される複数の伝送路と、前記第2の通信端末が接続される複数の伝送路から成る複数の組合せのそれぞれに対して前記プローブパケットを送信するよう制御する手段と、
前記プローブパケットにより前記複数の伝送路の組合せのそれぞれに対して伝送路の状態を取得する手段と、をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。 - 前記プローブパケットの送信手段は、同一サイズのプローブパケットを密接させて送信することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
- 前記第2の通信端末は、
前記第1の通信端末から送信された前記プローブパケットを受信する手段と、
受信したプローブパケットに基づいて伝送路の状態を測定する手段と、
前記測定した伝送路の状態を示す情報を前記第1の通信端末へ通知する手段と、を備え、
前記第1の通信端末は、前記第2の通信端末から通知された前記伝送路の状態を示す情報に従って、伝送路の状態を取得することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。 - 前記第2の通信端末は、
前記第1の通信端末から受信した前記プローブパケットの到着間隔を測定する手段と、
前記測定された到着間隔とプローブパケットのパケットサイズからボトルネック物理帯域幅を算出する手段と、
前記ボトルネック帯域幅を前記測定した伝送路の状態を示す情報として通知する手段とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の通信システム。 - 前記伝送路の状態を示す情報に含まれる各パラメータに対する優先度に基づいて前記伝送路の組合せのいずれかを選択する手段と、
通信を行うアプリケーションごとに前記優先度を設定する手段と、を備えていることを特徴とする請求項4に記載の通信システム。 - 前記第1の通信端末から前記第2の通信端末へ情報を送信するために利用する伝送路と、前記第2の通信端末から前記第1の通信端末へ情報を送信するために利用する伝送路とで、異なる伝送路の組合せを利用することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
- 前記第1の通信端末と前記第2の通信端末との通信の開始後に、いずれか一方の通信端末が備えるネットワークインタフェースに接続され、前記通信に利用していないものも含む伝送路のいずれかの状態が変化したことを検知する手段と、
前記検知された状態の変化に従って、前記伝送路リストから選択する伝送路の組合せを変更する手段と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。 - 前記第1の通信端末と前記第2の通信端末との通信の開始後に、いずれか一方の通信端末が備えるネットワークインタフェースに接続され、前記通信に利用していないものも含む伝送路のいずれかの状態が変化したことを検知する手段と、
前記検知された状態の変化に従って、前記第1の通信端末が情報を送信する宛先に指定する前記第2の通信端末が備えるネットワークインタフェース、あるいは、情報を送信する前記第1の通信端末が有するネットワークインタフェースを変更する手段と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。 - 異なる伝送路を介して通信端末間で情報の送受信を行なう通信システムに接続される通信端末であって、
それぞれが異なる伝送路に接続された複数のネットワークインタフェース手段と、
通信相手である相手通信端末が有するそれぞれが異なる伝送路に接続される複数のネットワークインタフェースの情報を受信する手段と、
前記相手通信端末から受信した前記ネットワークインタフェースの情報で示された前記相手通信端末が接続される複数の伝送路と、前記複数のネットワークインタフェース手段が接続される複数の伝送路との組合せである伝送路リストを作成する手段と、
前記伝送路リストから少なくとも一つの組合せを選択する手段と、を備えていることを特徴とする通信端末。 - 前記伝送路リストにより伝送路の組合せを選択し、前記選択結果に従って、通信端末からの情報を、前記相手通信端末が有する前記複数のネットワークインタフェースのいずれか一つを宛先に指定して、通信端末が有する前記複数のネットワークインタフェースのいずれか一つを送信元として伝送路へ送信する手段を備えていることを特徴とする請求項10に記載の通信端末。
- 前記相手通信端末に対して伝送路の状態を測定するためのプローブパケットを送信する手段と、
前記通信端末が接続される複数の伝送路と、前記相手通信端末が接続される複数の伝送路から成る複数の組合せのそれぞれに対して前記プローブパケットを送信するよう制御する手段と、
前記相手通信端末から通知された前記伝送路の状態を示す情報を受信する手段と、
前記受信した伝送路の状態を示す情報に従って、前記複数の伝送路の組合せのそれぞれに対して伝送路の状態を取得する手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項10又は11に記載の通信端末。 - 前記相手通信端末へ情報を送信するために用いる伝送路とは異なる伝送路に接続されたネットワークインタフェースを用いて、前記相手通信端末からの情報を受信する手段を備えていることを特徴とする請求項10又は11に記載の通信端末。
- 前記第2の通信端末との通信の開始後に、通信端末あるいは前記相手通信端末のいずれか一方が備えるネットワークインタフェースに接続され、前記通信に利用していないものも含む伝送路のいずれかの状態が変化したことを検知する手段と、
前記検知された状態の変化に従って、前記伝送路リストから選択する伝送路の組合せを変更する手段と、を備えていることを特徴とする請求項10に記載の通信端末。 - 前記第2の通信端末との通信の開始後に、通信端末あるいは前記相手通信端末のいずれか一方が備えるネットワークインタフェースに接続され、前記通信に利用していないものも含む伝送路のいずれかの状態が変化したことを検知する手段と、
前記検知された状態の変化に従って、前記情報の宛先に指定する前記相手通信端末が備えるネットワークインタフェース、あるいは、情報を送信するネットワークインタフェース、を変更する手段と、を備えていることを特徴とする請求項11に記載の通信端末。
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