JP4638325B2 - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、良好な光沢、印字濃度、インク吸収性を保持しながら、切断強度や剥離強度にも優れるインクジェット記録媒体に関する。
近年、インクジェットプリンターの技術が急速に進歩し、一般的な銀塩写真法によるものと同等以上の画像品質を有する記録物が得られるようになってきた。これに伴い、インクジェット用の記録媒体にも、銀塩写真法に用いられる印画紙と同等の質感を有するものが求められている。
光沢を有するインクジェット記録媒体として従来、特許文献1で提案されているようなキャスト塗被紙が用いられている。しかし、本技術により製造された記録媒体は、ある程度の光沢は有するものの、表面強度が低く銀塩写真に用いられる印画紙と同等の表面強度を有するとは到底いえないものであった。
なお、本発明において表面強度とはインクジェット記録媒体の塗層表面への傷の付きにくさをいい、切断強度とはインクジェット記録媒体をカッター等鋭利なもので切断した時のこば落ちのしにくさをいい、剥離強度とはインクジェット記録媒体にセロハンテープ等粘着性の高いものが貼り付き、それを剥がすときの塗膜の剥がれにくさをいい、これらは互いに独立した特性であって、例えば切断強度が著しく優れたインクジェット記録媒体でも、剥離強度は著しく低い場合も多い。
特許文献2では、かかる課題を解決するために塗工層を電子線により硬化させることが提案されている。しかし、電子線による硬化装置は一般に大掛かりで、かつその保守や調整が極めて煩雑という問題がある。また、インクジェット記録媒体を実用化するにあたり、切断強度の弱さが問題となっていた。
その新たな手段として、特許文献3にて、下層の結着剤にエチレン・酢酸ビニル共重合体を用いることが提案されている。これにより切断強度が改善するものの、強度向上に伴ってキャスト時の塗層と鏡面との熱圧着による平滑化がなされにくくなり、十分な光沢が得られなくなるという欠点があった。
そこで、特許文献4及び特許文献5では、インク受理層の結着剤の伸び率と引張強度に特徴のある2種類の樹脂の組み合わせにより光沢性と切断強度のバランスを取っているが、剥離強度に弱く、切断強度も十分な強度が得られていないという欠点があった。
また、特許文献6では、インク受理層の結着剤として特にポリウレタン樹脂を使用することで塗層の表面強度を向上することが提案されているが、前述の例と同様に、剥離強度と切断強度が弱いという問題があった。
特公平7−55579号公報 特開2004−330725号公報 特開2004−114475号公報 特開2005−1332号公報 特開2005−1334号公報 特開2004−306450号公報
本発明の目的は、高い光沢性、印字濃度、インク吸収性を保持しつつ、切断強度や剥離強度にも優れるインクジェット記録媒体を提供することにある。
上記課題に対し検討を行った結果、透気性の支持体上に、吸水性無機顔料と、JIS K7311に規定された引張強さが30〜70MPa、JIS K7311に規定された伸びが300〜800%、動的光散乱法により測定される粒子径が10〜60nm、アニオン性であり、ポリエーテル系またはポリウレタン系であるポリウレタン樹脂のディスパージョンを含有する下層塗工組成物と、サブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有する上層塗工組成物を順次塗工し、キャスト処理を行ってなるインクジェット記録媒体によって、高い光沢性、印字濃度、インク吸収性を保持しつつ、切断強度や剥離強度にも優れるインクジェット記録媒体を提供することが可能になった。
さらに、該ポリウレタン樹脂が自己乳化型のディスパージョンであることによって、特に剥離強度に優れるインクジェット記録媒体を提供することが可能になった。
さらに、該ポリウレタン樹脂が脂肪族ポリウレタン樹脂であることによって、特に切断強度に優れるインクジェット記録媒体を提供することが可能になった。
本発明により、高い光沢性、印字濃度、インク吸収性を保持しつつ、切断強度や剥離強度に優れるインクジェット記録媒体を提供することができる。
本発明において、透気性の支持体としては通常紙が用いられるが、必要に応じて不織布等紙以外の支持体を用いることもできる。
本発明において下層とは、記録媒体のより支持体に近い側に形成される塗工層をいい、下層塗工組成物とは、乾燥して下層を形成させるための液状の組成物をいう。また本発明において上層とは、記録媒体のより表面に近い側に形成される塗工層をいい、上層塗工組成物とは、乾燥して上層を形成させるための液状の組成物をいう。これらの塗工組成物は通常、水中に各材料を溶解ないし分散せしめた水性液の形で用いられる。本発明において通常、下層と上層は隣接しているが、下層と上層の相互作用を強く阻害しない範囲で、下層と上層の間に1層または2層以上の中間層を設けても良く、また下層と支持体の間及び上層の表面側にも1層または2層以上の塗工層を設けても良い。
本発明においてキャスト処理とは、湿潤状態にある塗工層を加熱された鏡面に圧着し、鏡面形状を塗工層の表面に転写すると共に塗工層から水分を乾燥除去し記録媒体に光沢を付与する処理をいう。キャスト処理に使用する装置(キャスト装置)は通常、表面がクロムメッキされたシリンダーの表面に、弾性ロールを用いて連続的に塗工紙を圧着する構造の装置であるが、本発明には、同様の作用を有する他の構造の装置を用いても良い。本発明のインクジェット記録媒体を製造するにあたり用いるキャスト処理の方式としては、塗工組成物を塗工後一旦乾燥させてから再度水分を付与し、その後キャスト装置の鏡面に圧着するいわゆるリウエット法、上層塗工組成物、または上下両層の塗工組成物を塗工後、乾燥させずそのままキャスト装置の鏡面に圧着するいわゆる直接法等の方式を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明において吸水性無機顔料とは、アマニ油の代わりに水を用い、JIS K 5101に定められた吸油量の試験方法に準じた試験を行ったとき、終点までにその100gにつき100ml以上の水が使用される無機顔料をいい、その例としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、湿式合成シリカ、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、ハロイサイト、活性白土、酸性白土、ハイドロタルサイト、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、ベントナイトクレー、ゼオライト、カオリン、焼成カオリン、セッコウ、酸化チタン、硫酸バリウム等を挙げることができる。これらの顔料は、その1種を単独で用いてもよく、またはそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
かかる吸水性無機顔料の中でも湿式合成シリカは、少ない塗工量でも良好なインク吸収性を有するインクジェット記録媒体が得られることから特に好ましく使用される。本発明において湿式合成シリカとは、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩と、硫酸等の酸を混和し、洗浄、熟成、粉砕等の工程を経て得られる多孔質の二酸化ケイ素をいい、その主要な製法としては沈降法及びゲル法が知られているが、本発明の下層塗工組成物には、そのいずれをも好ましく用いることができる。
本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの吸油量は、インク吸収性の観点からは高いほうが好ましいが、一方吸油量が高すぎると塗工層の強度が低下することがあるので好ましくない。具体的には、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの吸油量は、1〜5ml/gであることが好ましく、2〜4ml/gであることがより好ましい。また、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの粒径は、小さすぎると塗工組成物の粘度が高くなり塗工操作が困難になることがあるので好ましくなく、一方大きすぎるとキャスト処理後の記録媒体の光沢が発現しにくくなることがあるので好ましくない。具体的には、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカのマルヴァン法により測定される粒径は、2〜20μmであることが好ましく、3〜15μmであることがより好ましい。
本発明においてポリウレタン樹脂とは、2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、2個以上の活性水素基を有する化合物を反応させて得られる重合体をいい、イソシアネートと多価活性水素化合物の反応によって得られた結合が、ウレア結合等のウレタン結合以外のものである場合も含まれる。
本発明に用いるポリウレタン樹脂としては、ウレタン重合体を界面活性剤の存在下で水と混合し、強いせん断力を加えて水中分散する方法、或いは、ポリウレタン樹脂のアセトン溶液を水と混合・乳化し、減圧下でアセトンを揮発除去するいわゆるアセトン法等によって、ポリウレタン樹脂を水性媒体中に微粒子状に分散したディスパージョンを用いることができる。
2個以上のイソシアネート基を有する化合物は、特に制限されないが、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の鎖状の脂肪族イソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の環状構造を有する脂肪族イソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジクロロ−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネートが挙げられる。これらはその1種を単独で用いてもよく、またはそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。これらイソシアネートの中でも、柔軟性のある塗膜を形成することができるため、切断強度の点で特に脂肪族イソシアネートが好ましく、本発明では脂肪族イソシアネートを用いた脂肪族ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
2個以上の活性水素基を有する化合物には、多価アルコール類や多価アミン類が存在する。多価アルコールとしてはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリブタジエン系等のポリオレフィンポリオール等が挙げられ、インク吸収性の点からポリエーテルポリオールまたはポリカーボネートポリオールが特に好ましく、本発明では、ポリエーテルポリオールを用いたポリエーテル系ポリウレタン樹脂、または、ポリカーボネートポリオールを用いたポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては多価カルボン酸と多価アルコールを脱水縮合反応することにより得られるポリエステル、または、環状エステルの開環重合反応により得られるポリエステル、ヒドロキシカルボン酸の縮合重合により得られるポリエステル、或いは、これらの共重合ポリエステル等が挙げられる。
前記多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、多官能成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸等の多価カルボン酸及びそれらの無水物或いはエステル形成性誘導体、またテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p′−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びそれらの酸無水物もしくはエステル形成性誘導体を使用することができる。これら多価カルボン酸は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、環状エステルとしては、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等を使用することができる。また、ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸や乳酸等を使用することができる。
一方、前記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂肪族ジオール、ビスフェノールA、ハイドロキノン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン及びそれらのアルキレンオキシド付加体のポリオール、また多官能成分としてグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール等が挙げられる。これらは単独で使用でもよく2種以上を併用してもよい。
前記ポリエーテルポリオールは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、或いは、エピクロロヒドリン等の環状エーテル化合物を、活性水素原子を有する化合物を触媒とする等して、単独または2種以上を混合して開環重合する等して得られる重合体が挙げられる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、或いは、ポリテトラメチレングリコール等のようなジオール類と、ホスゲン、ジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、或いは、エチレンカーボネート等の環式カーボネートとの反応生成物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ポリウレタン樹脂の構成成分として前述した多価アミン類としては、1,2−ジアミノエタン、1,2−または1,3−ジアミノプロパン、1,2−または1,3−ないしは1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、N,N′−ビス−(2−アミノエチル)ピペラジン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(イソホロンジアミン)、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−ブチルシクロヘキシル)メタン、1,2−、1,3−もしくは1,4−ジアミノシクロヘキサンまたは1,3−ジアミノプロパン等のジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン、更にはヒドラジン、またはアジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジン誘導体、N−(2−スルホエチル)エチレンジアミンの金属塩や2−(β−アミノアルキル−アミノプロピオンアミド)−アルカンスルホン酸塩等のジアミノスルホネート等を使用することができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられるポリウレタン樹脂は、JIS K7311に規定された引張強さが30〜70MPa、JIS K7311に規定された伸びが300〜800%、ディスパージョンの動的光散乱法により測定される粒子径が10〜100nmであることが必須であり、その範囲内において初めて、強い切断強度と剥離強度を発現する。そして、これら3つの物性はどの一つが欠けても、切断強度と剥離強度は大きく低下する。さらに、粒子径が10〜60nmであるポリウレタン樹脂のディスパージョンを用いると、更なる剥離強度の向上がみられ、より好ましい。
なお、試験に使用する試験片は、樹脂を23℃、65%RHの条件下で1日乾燥後、150℃で5分間乾燥した150μm厚のフィルムを用いた。引張強さ及び伸びの測定は、島津製作所社製オートグラフAG−ISを用いて、引張速さ300mm/minの条件下でJIS K7311に規定された方法に準拠して行った。
ポリウレタン樹脂には、界面活性剤の存在下で高い機械的せん断力をかけることで強制乳化した強制乳化型と、分子鎖中に極性基を導入して親水性を付与し、界面活性剤の助力なしに水中に安定に分散させた自己乳化型とに分類される。その中でも、自己乳化型は、剥離強度がより上がるので好ましい。この機構は明らかではないが、自己乳化型の方が強制乳化型より分子鎖中に極性基が多く含まれ、それが隣接する他層との接着性を向上しているものと考えている。
また、自己乳化型ポリウレタン樹脂は導入する極性基の種類により、カチオン型(アミノ基等を導入)、アニオン型(カルボキシル基やスルフォン基等を導入)、ノニオン型(ポリエチレングリコール基等を導入)に分類される。その中でも、アニオン型のポリウレタン樹脂を用いると、特に高い印字濃度が得られるため好ましい。この原理は明確にはされていないが、一般に水性インクはアニオン性であり、上層をカチオン性、下層をアニオン性とすることで、インクの色素成分の下層への染み込みを防ぎ、効率よく色素成分を上層に留めることが可能となるためと考えている。
本発明において、下層塗工組成物へのポリウレタン樹脂の添加量は、少なすぎると切断強度および剥離強度が十分に得られないことがあり、多すぎるとインク溶媒の吸収性が不十分になったり、キャスト処理後の光沢が十分に得られないことがあるため、ポリウレタン樹脂/吸水性無機顔料の質量比が20/100〜60/100であることが好ましく、25/100〜40/100であることがより好ましい。
本発明において、サブミクロン顔料とは、その分散液を基板上に散布し、走査型電子顕微鏡で観察したときに、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺1μm以下の粒子が占める無機顔料を指す。本発明の上層塗工組成物に用いるサブミクロン顔料の種類は特に制限されないが、ゲル法シリカ、沈降法シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、気相法アルミナ、擬ベーマイト等を例示することができる。特に、該観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺400nm以下の粒子が占める無機顔料を用いることで、特に高い表面光沢が得られることから好ましい。また、該観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100nm以上の粒子が占める無機顔料を用いると、上層塗工組成物を塗工後高速に乾燥しても塗工層の裂け等の欠陥が生じにくいことから好ましい。
本発明の上層塗工組成物に用いるサブミクロン顔料としては、比表面積がある程度以上あるものを用いると高い印刷濃度が得られることから好ましい。一方比表面積が大きすぎるものを用いるとインクの吸収性が低下することがあるため好ましくない。具体的には、BET法による比表面積が60〜600m/gのものを用いることが好ましく、150〜400m/gのものを用いることがより好ましい。なお、このような比表面積を有する顔料は通常、直径数十nm以下の一次粒子が結合しその内部に空隙を有する高次構造を形成してなる顔料である。
本発明において、キャスト処理の方式としてリウエット法を用いる場合には、上層塗工組成物のサブミクロン顔料として擬ベーマイトを用いることで、特に光沢の高いインクジェット記録媒体が得られることから好ましい。
本発明の上層塗工組成物に用いるポリビニルアルコールとしては、70mol%から100mol%までの種々のけん化度のポリビニルアルコールが使用できるが、本発明に用いるキャスト工程の方式としてリウエット法を用いる場合には、けん化度95mol%以下のものを用いると光沢が発現しやすくなることから好ましい。またシリル基、カルボキシル基、アミノ基、アセトアセチル基等種々の官能基を導入したり、エチレン等他の単量体をランダム的、グラフト的、またはブロック的に導入した変性ポリビニルアルコールも使用することができる。本発明におけるポリビニルアルコールの添加量は、少なすぎると乾燥時に亀裂が生じたり、形成されるインクジェット記録媒体の表面強度が不足することがあるので好ましくなく、一方でポリビニルアルコールの添加量が多すぎるとインク吸収性が低下することがあるので好ましくない。具体的には、ポリビニルアルコールの添加量はサブミクロン顔料の2〜40質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。
本発明の上層塗工組成物のポリビニルアルコールは、その水溶液の粘度が高いものの方が、添加量が比較的少量であっても塗工された塗工組成物の乾燥時に亀裂が生じにくいので、その添加量を少なくすることができ、結果としてインク吸収性を向上させられるので好ましい。しかし反面、その水溶液の粘度が高すぎると、本発明により得られる塗工組成物の粘度が高くなりすぎて塗工操作が困難になることがあるから好ましくない。具体的には、JIS Z8803に基づき25℃においてウベローデ粘度計を使用して測定される固形分濃度4質量%の水溶液の粘度が15〜400mPa・秒であることが好ましく、30〜200mPa・秒であることがより好ましい。これらのポリビニルアルコールは、その1種を単独で用いても良いし、けん化度、粘度、変性等が異なる2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明の上層塗工組成物には、印字濃度或いは耐水性の向上を目的として、カチオン性の水溶性高分子を含有させることができる。カチオン性の水溶性高分子は、例えば、ポリエチレンイミン第4級アンモニウム塩誘導体、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、カチオン性ポリビニルアルコール、カチオン性澱粉等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用しても良い。
また、下層塗工組成物にホウ酸またはその塩を添加すると、光沢を低下させることなく上層の塗工量を減らすことができ、その結果切断強度が向上し良好である。ホウ酸またはその塩の添加量は、吸水性無機顔料に対して、ホウ素原子を基準にHBOに換算して0.2〜10質量%とすることが好ましく、0.4〜5質量%とすることがより好ましい。
本発明の各塗工層には、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、色味調整剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等各種の添加剤を添加することもできる。
本発明において、各塗工層の塗工組成物を塗工する方法に特に制限はなく、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、リバースロールコーター、コンマコーター、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等各種の塗工方式を用いることができる。これらのうち、カーテンコーターは、得られる塗工層の均一性が高く、さらに上層の塗工に際しては塗工組成物の下層への浸透が生じにくく非常に良好な面質を与えるので、各塗工層、特に上層塗工組成物の塗工に好ましく使用される。本発明の塗工組成物を支持体上に塗工する量に特に制限はないが、インク吸収性と経済性を両立させるためには通常、固形分として各層がそれぞれ5〜20g/mまた両層の合計では10〜40g/mを塗工することが好ましい。ただし、特に多量のインクを吸収することを求められる場合には、両層の合計で最大50g/m程度を塗工することが好ましいこともある。
また、下層塗工組成物または上層塗工組成物を塗工・乾燥させた後またはその双方で、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー等のカレンダー装置により平滑度を高めてからキャスト処理を行うことも可能である。
また、キャスト装置における鏡面からの剥離性を改善することを目的に油性物質または油性物質の水性分散物等の離型剤を、本発明の塗工組成物に添加したり、キャスト処理に先立ち塗工したり、キャスト方式としてリウエット法を用いる場合にはリウエットに用いる水に添加したりすることで、長時間にわたり安定した製造が可能になることから好ましい。本発明において離型剤として用いることができる物質の例としては、ジメチルオクチルアミン、ジメチルオクタデシルアミン等の高級アルキルアミンまたはそれらの塩、トリメチルオクチルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド等の高級アルキル四級アンモニウム塩、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸等の高級カルボン酸またはそれらの塩、オクチルアルコール、オクタデシルアルコール等の高級アルコール、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、シリコーン油等が挙げられる。
以下本発明の実施例を示す。なお、本実施例中で、特に明示しない限り部は質量部、%は質量%を示すものとする。
参考例1]
[下層塗工組成物1の調製]
水350部に水酸化ナトリウム2部を溶解し、ここに湿式合成シリカ(トクヤマ社製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。次いで引張強さ46MPa、伸び610%、粒子径10nm、アニオン性、自己乳化型のポリエステル系脂肪族ポリウレタン樹脂を固形分として30部、添加・混合して下層塗工組成物1を得た。なお、ここで用いた湿式合成シリカについて、アマニ油の代わりに水を用い、JIS K 5101に定められた吸油量の試験に準じた試験を行ったところ、終点までにその100gあたり300mlの水が使用された。
[アルミナ水和物ゾルの調製]
水299部に酢酸1部を混合し、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP14)100部を添加し、そのまま2時間攪拌して解膠し、固形分濃度25%のアルミナ水和物ゾルを得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査型電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100〜400nmの粒子が占めていた。
[上層塗工組成物1の調製]
固形分として25部相当の上記アルミナ水和物ゾルに、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液を固形分として2部添加し、上層塗工組成物1を調製した。
[インクジェット記録媒体の作製]
坪量157g/mの原紙(三菱製紙社製ダイヤフォーム)上に、下層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が20g/mとなるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。次いで得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した後、上層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が20g/mとなるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。さらに得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した。この塗工紙の塗工面を、水に5秒間接触させて湿潤した後、温度95℃に加熱したキャスト装置の鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度15m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離することで参考例1のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例3、参考例2および3
樹脂として、引張強さ46MPa、伸び610%、粒子径10nm、アニオン性、自己乳化型のポリエステル系脂肪族ポリウレタン樹脂の代わりに、固形分が同量となるように表1に示すポリウレタン樹脂に変更した以外には、参考例1と同様にして実施例3、参考例2および3のインクジェット記録媒体を作製した。
Figure 0004638325
[実施例
[気相法シリカ分散液の調製]
水392部を攪拌しながら、400mPa・秒の粘度を有するジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体の50%水溶液8部(固形分4部)、気相法シリカ(BET法による比表面積90m/g)100部を添加し、ブレード型分散機を使用して予備分散した。得られた予備分散液をコロイドミルで処理して、固形分濃度20.8%の気相法シリカ分散液を得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺が100〜400nmの粒子が占めていた。
[上層塗工組成物2の調製]
固形分として20.8部相当の上記気相法シリカ分散液に、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液を固形分として3部添加し、上層塗工組成物を調製した。
[インクジェット記録媒体の作製]
原紙上に、実施例にて用いた下層塗工組成物を、乾燥後の塗工量が20g/mとなるように塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。次いで得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した後、上層塗工組成物2を、乾燥後の塗工量が20g/mとなるように塗工し、水分が揮発する前に、キャスト装置の90℃に加熱した鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度5m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離することで実施例のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例
[下層塗工組成物2の調製]
水350部に四ホウ酸ナトリウム十水和物6部(HBO換算で0.97部)を溶解し、ここに湿式合成シリカ(トクヤマ社製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。次いで引張強さ40MPa、伸び750%、粒子径50nm、アニオン性、自己乳化型のポリエーテル系脂肪族ポリウレタン樹脂を固形分として30部、添加・混合して下層塗工組成物2を得た。
[インクジェット記録媒体の作製]
原紙上に、下層塗工組成物2を、乾燥後の塗工量が20g/mとなるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。次いで得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した後、上層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が20g/mとなるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。さらに得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した。この塗工紙の塗工面を、水に5秒間接触させて湿潤した後、温度95℃に加熱したキャスト装置の鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度5m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離することで実施例のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例
上層乾燥後の塗工量を10g/mとなるように変更した以外には、実施例と同様にして実施例のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例
ポリウレタン樹脂の添加量を、固形分として30部から14部に変更した以外には、実施例と同様にして実施例のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例
ポリウレタン樹脂の添加量を、固形分として30部から21部に変更した以外には、実施例と同様にして実施例のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例
ポリウレタン樹脂の添加量を、固形分として30部から56部に変更した以外には、実施例と同様にして実施例のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例10
ポリウレタン樹脂の添加量を、固形分として30部から84部に変更した以外には、実施例と同様にして実施例10のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例1〜6]
樹脂として、引張強さ46MPa、伸び610%、粒子径10nm、アニオン性、自己乳化型のポリエステル系脂肪族ポリウレタン樹脂の代わりに、固形分が同量となるように表2に示すポリウレタン樹脂に変更した以外には、参考例1と同様にして比較例1〜6のインクジェット記録媒体を作製した。
Figure 0004638325
[比較例7]
樹脂として、引張強さ68MPa、伸び6%、粒子径20nm、アニオン性、自己乳化型のポリエーテル系脂肪族ポリウレタン樹脂の代わりに、固形分が同量となるようにポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液に変更した以外には、比較例1と同様にして比較例7のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例8〜12]
樹脂として、引張強さ68MPa、伸び6%、粒子径20nm、アニオン性、自己乳化型のポリエーテル系脂肪族ポリウレタン樹脂の代わりに、固形分が同量になるように表2に示す樹脂に変更した以外には、比較例1と同様にして比較例8〜12のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例13]
引張強さ25MPa、伸び750%、粒子径30nm、アニオン性、自己乳化型のポリカーボネート系脂肪族ポリウレタン樹脂の添加量を、固形分として30部から70部に変更した以外には、比較例4と同様にして比較例13のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例14]
スチレン−ブタジエンラテックスの添加量を、固形分として30部から70部に変更した以外には、比較例9と同様にして比較例14のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例15〜16]
樹脂として、引張強さ40MPa、伸び750%、粒子径50nm、アニオン性、自己乳化型のポリエーテル系脂肪族ポリウレタン樹脂の代わりに、固形分が同量となるように引張強さ25MPa、伸び750%、粒子径30nm、アニオン性、自己乳化型のポリカーボネート系脂肪族ポリウレタン樹脂に変更した以外には、実施例及びと同様にして比較例15及び16のインクジェット記録媒体を作製した。
[写像性の評価]
視覚的な光沢との相関性に優れる写像性を行った。なお、測定はスガ試験機社製写像性測定器を用い、測定角45°、光学くし幅2.0mmにて行った。本方法による測定においては一般に、60以上の写像性を与える記録媒体は高い光沢感を有し、65以上の写像性を与える記録媒体は非常に高い光沢感を有する。
[印字濃度の評価]
セイコーエプソン社製PM−900C形インクジェットプリンターを用いて黒ベタ画像を印字し、マクベスRD−918型により、光学反射濃度を測定した。
[インク吸収性の評価]
A4サイズに切り取った記録媒体にセイコーエプソン社製PM−900C形インクジェットプリンターを用いて所定の評価画像を印刷し、各記録媒体のインク吸収性を、画像の細部の判読性を基準とし次の5段階に分類した。A(非常に良好)、B(良好)、C(普通)、D(許容)、E(許容できない)。
[剥離強度の評価]
A4サイズに切り取った記録媒体を23℃50%RH環境下で24時間調湿した後、試料の塗工面側に、ニチバン株式社製セロハンテープ100mmのうち50mmを接着させた後、接着部を消しゴムでこすってセロハンテープを付着させてから、1〜2分後にセロハンテープの一方を持って、20mm/secの剥離速度で120°剥離を行ったときの、引き剥がした後の破損状態を5段階に分類した。A(目視で塗工層の剥がれが認められない)、B(一見塗工層の剥がれが認められないが、よく観察すると極めて少量の剥がれが観察される)、C(塗工層の50%が剥がれる)、D(塗工層が若干抵抗があるもののほとんど剥がれる)、E(塗工層が全く抵抗なくほとんど剥がれる)。
[切断強度の評価]
A4サイズに切り取った記録媒体を23℃50%RH環境下で24時間調湿した後、試料を、塗工面を表面にして定規に沿ってカッターにて切断し、その時のこば落ちの程度と切断面の破損状態を次の5段階に分類した。A(全くこば落ちがなく、切断面の破損も全くない)、B(若干のこば落ちは見られたが、切断面はほとんど破損が見られない)、C(こば落ちが見られ、切断面の片面は破損していたが、他面には全く破損が見られなかった)、D(こば落ちが見られ、切断面の片面は破損が激しく、他面は若干の破損が見られた)、E(たくさんのこば落ちが見られ、切断面は両面とも激しい破損が見られた)。
各実施例、各参考例、各比較例で得られた記録媒体の写像性、印字濃度、インク吸収性、剥離強度、切断強度を表3、表4に示す。
Figure 0004638325
Figure 0004638325
実施例1〜と比較例4を比較することにより、ポリウレタン樹脂の伸びが300〜800%、ディスパージョンの粒径が10〜60nmであっても、引張強さが30〜70MPaから外れると、切断強度と剥離強度が急激に悪化することが分かる。
実施例1〜と比較例1、3、5を比較することにより、ポリウレタン樹脂の引張強さが30〜70MPa、ディスパージョンの粒径が10〜60nmであっても、伸びが300〜800%から外れると、切断強度と剥離強度が急激に悪化することが分かる。
実施例1〜と比較例2と6を比較することにより、ポリウレタン樹脂の伸びが300〜800%、引張強さが30〜70MPaであっても、ディスパージョンの粒径が10〜60nmから外れると、切断強度と剥離強度が急激に悪化することが分かる。
以上から、下層に含まれるポリウレタン樹脂が、引張り強度30〜70MPa、伸度300〜800%、ディスパージョンの粒径10〜60nmの3つの条件を兼ね備えた場合に初めて、高い光沢性と印字濃度、インク吸収性を保持しながら、切断強度と剥離強度に優れるインクジェット記録媒体が得られることが分かる。なお、従来の技術、例えば比較例13及び比較例14でも切断強度と剥離強度が高いインクジェット記録媒体を得ることは可能であったが、樹脂の増量のために写像性が顕著に低下してしまうことが分かる。
参考例2参考例1、3、実施例を比較することにより、ディパージョンの粒子径が10〜60nmの時、特に剥離強度に優れることが分かる。
参考例3参考例1、2、実施例1〜3を比較することにより、脂肪族ポリウレタン樹脂の場合に、特に切断強度が良好なことが分かる。
実施例と参考例1、2、を比較することにより、ポリエーテル系またはポリカーボネート系のポリウレタン樹脂を用いることで特にインク吸収性の良好なインクジェット記録媒体が得られることが分かる。

Claims (1)

  1. 透気性の支持体上に少なくとも下層と上層を設け、キャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録媒体において、下層が吸水性無機顔料とポリウレタン樹脂のディスパージョンを含有する塗工組成物から形成されてなり、かつ上層がサブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有する塗工組成物から形成されてなるインクジェット記録媒体であって、該ポリウレタン樹脂のJIS K7311に規定された引張強さが30〜70MPa、JIS K7311に規定された伸びが300〜800%、ディスパージョンの動的光散乱法により測定される粒子径が10〜60nmであり、さらに該ポリウレタン樹脂がアニオン性であり、ポリエーテル系またはポリカーボネート系であることを特徴とするインクジェット記録媒体。
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