JP4634831B2 - 光走査装置・画像形成装置・走査線傾きの検出方法 - Google Patents
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Description
上記光走査手段の各々は、読み出される各色の画像情報信号に応じて駆動制御される半導体からレーザビームを出射する。レーザビームは、ポリゴンミラー、レンズ等の光学部品を介して一様に帯電された感光体面に集光されるとともに主走査方向に走査される。
回転する感光体面には、所定間隔からなる複数の走査ビームに対応した画像信号が書き込まれ、静電潜像が形成される。
また、感光体に形成する静電潜像の書出しタイミングを各色毎に正確に合わせなければ、副走査レジスト位置ずれによる色ずれの要因となる。
さらに、感光体へと向かうレーザビームは各々異なる経路を通るよう構成部品が配置されるため、カラー画像形成装置が設置される環境温度や装置内の温度上昇の影響により走査結像レンズが熱変形し、走査ビームの位置は変動しやすい。特に樹脂製レンズの場合は顕著である。
装置の立上げ時やジョブ間等で転写体にトナーパターンを形成して位置ずれを検出し、走査線の傾きを検出する従来の方式では、上記の1ジョブ中の走査線の変動には対応することができなかった。
また、転写体にトナーパターンを形成して位置ずれを検出する方式では、線幅が異なったり、湿度によりトナー像(パターン像)品質がばらつき易いため、検出精度が低いという問題があった。さらに、特許文献1の構成では、光学素子の一端を固定して走査線の傾きを調整するため、他端での光軸高さの変化量が大きく、光学特性、特にレーザビーム径(ピーク光量の1/e2)が劣化するという問題があった。
また、レーザビームの光量が変化しても検出精度に影響を与えない高精度な走査線の傾き検出が可能となる。
また、複数(色)の走査線が合致し高精度な光走査が可能となる。
また、走査線の傾きを演算する演算手段の処理が簡単且つ高速処理が可能となる。
また、レーザビームの検出精度を劣化させず、且つ画像の劣化も生じさせない。
まず、図1に基づいて、本実施形態に係る光走査装置32を説明する。同図において符号10はレーザビームを出射する光源、11は後述する光学ハウジング内に配置されたレーザ透過部材(窓)、12は偏向走査手段(光偏向器)としてのポリゴンミラー、14は走査結像レンズのfθレンズ群を構成する第1のレンズ(以下、「走査レンズ」ともいう)、15は走査線を補正する手段である液晶偏向素子、16はミラー、17はfθレンズ群を構成する第2のレンズ(以下、「走査結像レンズ」ともいう)、19はハーフミラー(半透鏡)、20は感光体、21は中間転写ベルト、22ないし24は色ずれ検出手段としての検出部、P1はレーザビーム検出手段としての走査上流側のレーザビーム検出器、P2はレーザビーム検出手段としての走査下流側のレーザビーム検出器をそれぞれ示す。
第1のレンズ14、液晶偏向素子15、ミラー16、第2のレンズ17等により走査結像光学系が構成されている。
カラー機用としてイエロー、マゼンダ、シアン、ブラック(以下Y、M、C、Kと略す)の4色分の走査結像光学系(走査結像レンズ)をもち、各色に相当するレーザビームが感光体に集光する状態を示している。
各半導体レーザから放射される光束は、カップリングレンズにより以後の光学系に適合する光束形態(平行光束あるいは弱い発散性もしくは収束性の光束)に変換され、シリンドリカルレンズにより副走査方向に収束されて偏向走査手段であるポリゴンミラー12の偏向反射面近傍に主走査方向に長い線像として結像される。
光源における4つの半導体レーザは、それぞれ、Y、M、C、Kの各色成分画像を書込むための光束を放射する。光源の一要素又は光源自体となり得る半導体レーザとしては、面発光レーザを用いてもよい。
他方の反射光束はレーザビームを検知するレーザビーム検出器P1K(走査上流側)、P2K(走査下流側)へ結像され、これらの受光部を走査する。なお、レーザビーム検出器P1K、P2Kは各々固定用基板B1、B2に実装固定されている。
Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色成分画像を書込む光束もそれぞれ上記と同様に、ミラーで反射され、レンズを透過し、ハーフミラーを透過、反射してドラム状の光導電性の感光体上に光スポットとして結像し、各色とも同一の矢印方向に走査される。この光走査により各感光体に対応する色成分画像の静電潜像が形成される。図1において、K以外の各色に相当する光学素子等には符号は付記していないが、ブラックの略意である「K」が符号後に付されている部品はY、M、Cとも光学的な同位置に配置されている。
このカラー画像はシート状記録媒体上ヘ転写され、定着される。カラー画像転写後の中間転写ベルト21は図示しないクリーニング装置でクリーニングされる。
以上説明したように図1に示す光走査装置は、カラー画像を構成する2以上の色成分画像に対応する複数の光源装置から放射された各光束を、偏向走査手段のポリゴンミラー12により同一方向に偏向走査し、各偏向光束を走査結像レンズのうち各色共通に透過する第1のレンズ14と、各々の走査結像手段(各色毎の光走査装置という意味である。)に設けられた第2のレンズ17により、各色成分画像に対応する被走査面(感光体)20に向かって個別的に集光させて光走査を行う。したがって、各色成分に相当する4つの走査結像手段(光走査装置)を有する光走査装置である。
符号22、23、24は中間転写ベルト21上における「色ずれ検出手段」を構成する検出部を示す。検出部22、23、24は、別の光源からの光束を集光レンズで集光して中間転写ベルト21の定位置を照射し、反射光をレンズにより受光素子上に結像するようになっている。色ずれ検出を行うときは、各光束により1走査の中で両端、中央の3箇所部分に検知用のパターン21aが書込まれ、現像可視化されて中間転写ベルト21に転写される。
このとき、各色の検知用のパターン21aは、中間転写ベルト21上において互いに副走査方向に等間隔となるように形成される。これら検知用のトナーパターンは、色ずれ検出手段の各検出部で副走査レジスト位置のずれを検出される。
一方、カラー画像形成装置のように複数(色)の走査線を重ねて最終的な画像を得るものについては必ずしも副走査方向に対して直交である必要はなく、ある任意の色の走査線が傾いていても、他の走査線が同じように(傾きの方向および傾き量が同じことを表す)傾いていれば画像上では色ずれは認識されない。
但し、その場合でも走査線の傾き量は500μm以下(主走査300mm当り)であることが好適である。500μm以上になると倍率誤差が大きくなり、不具合となるためである。
第1系統の受光素子PD1、第2系統の受光素子PD2を主走査方向に隣接して配置し、ともにレーザビームが通過する領域において互いに非平行に形成された2つの受光領域に分かれている。それぞれの領域は、受光素子PD1とPD2で隣接して配置され、隣接している端縁部は互いに平行に直線的に形成されている。
各々の受光素子の2つの受光領域の間の角度は角度θ(0<θ<90°)をもたせて配置する。角度θは30°〜60°が好適である。同図及び次図(第4図)では45°の例を示しており、最も好適な例である。
副走査方向の高さHと受光面の全幅Dは各々H=1〜3mm、D=5mm以下に設定することが、上記問題を発生させず好適である。なお、45°は上記の問題をバランスよく配分して許容でき、最も好適である。
図3の符号219(図13の220)は、図1のレーザビーム検出器P1K(又はP2K)の受光面形状及び回路ブロック図で示した検出器を示す。本実施形態では、符号219で示す検出器とレーザビーム検出器P1K(又はP2K)を同一に扱っている。本機能を有するレーザビーム検出器が固定用基板B1又はB2に実装され固定される。
受光素子PD1、PD2の出力信号をそれぞれ増幅器AMP1、AMP2により電流電圧変換と電圧増幅を行った後、比較器CMPにて電圧比較を行いAMP2の出力信号レベルがAMP1の出力信号レベルより低くなったときに信号を出力する。
このように、AMP1とAMP2のクロスポイントを検知しているので、レーザビームの光量が変化しても検出精度に影響を与えない、高精度検出が可能となる。そのために、2系統の受光素子の隣接部の間隔は通過するビームのスポットサイズより小さく設定している。
2つのレーザビームの時間間隔がT1のとき、レーザビームの副走査位置Pは以下の式(1)から求められる。
P=(v×T1)/tanθ 式(1)
ここで、vは走査されるレーザビームの速度を表す。
なお、各色毎のレーザビームが複数同時に走査されるような場合、レーザビーム検出器を走査するときのみ任意の1つのレーザビームが走査するように他のレーザビームはその時のみ検知しない程度に減光又は消光する。
複数のレーザビームがレーザビーム検出器の受光部を走査してしまうと検出値が誤った結果を出力するからである。
そこで、ポリゴンミラー12による走査の回数を下記の式(2)を満足する走査回数Cで平均化する回路を備えることにより、ポリゴンミラー12のジターの影響が低減可能となる。
レーザビームの走査回数をC[回]、ポリゴンミラー12の回転数をN[rpm]、ポリゴンミラー12の面数をM[面]、画像形成終了後次の画像形成開始までの非画像形成時間をT[s]としたとき、式(2)を満足するように設定している。
C<(N×M×T)/60 式(2)
ポリゴンミラー12の任意の特定面を走査するときのT1情報を得ることにより、上記式の右辺を
(N×T)/60
としてもよい。
ポリゴンミラー12のジターの影響を低減するために、少なくともCは2以上の複数回とし、平均化処理する必要がある。電気ノイズの影響を考慮すると、走査回数が多いほど精度が向上する。
但し、走査回数の増加は画像形成装置における画像形成(光走査装置の光源を画像信号に基づいて発光制御している時間)と次(ページ)の画像形成の間となる非画像形成時間(プリントページ間)内で走査される回数以下とすることが好適である。理由は、画像形成が完了した直後のレーザビームを検知することにより、その結果に基づいて直後の画像形成時に走査線の傾きを補正することが可能となるからである。
したがって、より望ましくは、式(2)の左辺(レーザビームの走査回数)は、Fを走査線の傾き補正が完了するまでの時間に対応する走査回数とするとき、「C+F」とするのが好適である。レーザビームの検知を非画像形成時間としているので、画像領域内のレーザビーム検知に支障をきたすことがない。
温度変動があると、レーザビーム検出器の移動、および相対位置関係の移動により正確な検出ができなくなるので、固定用基板B1、B2には熱膨張率1.0×10−5/°C以下の材質を用い、温度変動による影響を実質的になくしている。さらに複数のレーザビーム検出器間に発生する電気ノイズの影響をなくすために、固定用基板B1、B2は非導電性であることが好適である。
具体的には、ガラス(熱膨張率0.5×10−5/°C)、セラミック材質(アルミナ:熱膨張率0.7×10−5/°C、炭化珪素:熱膨張率0.4×10−5/°C)が好適である。なお、アルミ合金(熱膨張率2.4×10−5/°C)では温度変動によりレーザビーム検出精度が劣化する。
図4(a)は、レーザビーム検出器が光走査装置にてレイアウトされた要部を示す。受光部41及び42は、図1に示したレーザビーム検出器P1K及びP2Kの受光部を示す。
画像領域外の両端2点に配置されている例であり、レーザビームが主走査方向上流側の受光部41を走査すると、図4(b)の受光部41の出力に示す信号が出力され、レーザビームの副走査位置に相当する走査時間T41を図示しないカウンタ計測手段により計測する。
次に、レーザビームが受光部42を走査すると、図4(b)の受光部42の出力に示す信号が出力され、レーザビームの副走査位置に相当する走査時間T42を図示しない別のカウンタ計測手段により計測する。
なお、式(1)のv及びθは、画像形成中及びレーザビーム検出時は実質的に定数であるため、実際の演算では時間間隔であるT41とT42のみを用いることが、演算手段の回路を低減できるので、演算時間短縮のために好適である。
走査線傾き量は走査時間T41とT42の時間の差分であり、「T41−T42」の演算を行う。
例えば、温度変動等の影響により光学素子の配置や姿勢が変化し、走査線が平行移動した場合でも、差分を演算しているので平行移動か傾きの変化なのかを検出(判別)可能である。
また、「T41−T42」の符合により、走査線の傾き方向を判別する。非平行に形成された2つの受光領域部が副走査方向の上流側に向かって広がっている配置されている場合(図示している例)、
(1)「T41−T42」がプラス(+)符合では水平に対して、右上がり方向の走査線傾き(図示している例)
(2)「T41−T42」がマイナス(−)符合では水平に対して、左上がり方向の走査線傾き
があると判定される。
なお、レーザビーム検出器の2つの受光領域部が副走査方向の下流側に向かって広がって配置されている場合は、走査線傾き方向は各々逆向きとなる。
上記走査線傾きの検出を各色の走査線毎に個別に実施するが、レーザビーム検出器の配置場所は各色毎に全て同じ位置としている。したがって、演算式も全て同一であることが可能となり、各色の走査線の検出タイミングを各色毎に順次検出するように演算手段内でタイミングシェアすることにより、演算手段を色毎に設けるのではなく、一つの演算手段を共有することが可能となる。
これにより、カウンタ、演算回路の低減(コストダウン)の効果がある。
その結果に応じて基準となる時間間隔となるように、レーザビームの点灯開始のタイミングを調整することにより、走査線の平行移動による副走査のレジスト位置変動も補正することが可能となる。
図1で示した光学系は、ポリゴンミラー12に対して各色とも主走査方向が同一となるいわゆる片側走査系であるが、ポリゴンミラー12に対向して両サイドに主走査を行う対向走査系の場合、主走査方向がポリゴンミラー12を挟んで逆向きとなる。
その場合、副走査方向の受光領域中央に対して取り付け位置が等分配置(L)となるように設けられている。さらに、主走査方向に対して略直交する第1と第2の受光部中間を取り付け位置に対して等分配置(W)したことにより、対向走査系では一方を図6(a)に示す配置形態、他方(対向側)を図6(b)に示す配置形態というように、単に固定用基板Bを上下反転するのみで光学的に等価な位置に簡単に設置することが可能となる。図6において、符号Baはネジ止め用の穴を示す。
なお、受光部41の出力と受光部42の出力から図示しない別の計測手段(制御手段50のCPU52でもよい)により走査時間T43の変動を計測することにより、主走査倍率誤差の変動を検出できる。
また、走査時間T43(または走査時間T41の最初の立下り)の立下りを主走査の同期信号として使用可能である。具体的には走査時間T43の立下り信号を検知してから所定時間後に画像の書込みを開始することによって達成できる。
ここでは波形の立下りについて記載したが、特に立下りに限定されたものではなく、波形全体が反転した立ちあがり波形でも同等の効果が得られることは勿論である。
その検出結果に基づき、各色に対応する画像信号を調整する調整手段(制御手段50)にフィードバックして補正することで、色ずれの少ない高画質カラー画像を形成することが可能となる。
フィードバック補正は予め設定しておいた基準色の走査結像レンズに対して、他の走査結像レンズを回動するように制御を実施する。
図1で説明した走査結像レンズ17Kは、プラスチック材質を用いて成形して形成されるが、プラスチック材質の走査結像レンズは、温度や湿度の変化の影響を受けて光学特性が変化しやすく、また取付姿勢が変化することにより走査線の傾きも変化させる。
このため、例えば、数十枚のカラー画像を連続してプリントする場合に、画像形成装置の連続運転により機内温度が上昇し、各色毎の光走査装置の走査線の傾きが次第に変化し、色ずれが顕在化する問題がある。
特に、光学ハウジングがプラスチック材質からなる成形材料の場合、成形時の樹脂流動性が各部でばらつくことにより、温度上昇時の熱膨張歪みの影響が異なってしまう。その結果、温度膨張又は収縮が相似形で拡大縮小せずに、光学ハウジング全体が湾曲したり、走査結像レンズが載置される部分に傾きが発生し、走査線の傾きが大きく変動するといった特有の問題がある。
走査線の傾き量は、光走査装置自体で発生する量と、光走査装置以外の要因で発生するもの、例えば感光体の回転軸の副走査方向の傾斜に起因する走査線の傾きがある。各々の要因の積み上げが画像の色ずれとなって顕在化するため、本実施形態では光走査装置以外の要因に対しても光走査装置で補正することを可能としている。
走査線の傾きは、走査結像レンズ17Kの光軸を中心とした回動(図7中、符合γで示す)により走査線の傾きを変化させることが可能であり、回動制御することで走査線の傾きを任意に可変可能とし、その状態を保持する。
一方、走査線の曲がり(副走査方向の湾曲)は、走査結像レンズ17Kの光軸と直交する方向での回動(図7中、符合βで示す)で補正することも可能である。
形状保持手段102は、走査結像レンズ17Kが局部的な温度変化による反りなどの変形をきたす際にその形状を矯正する手段として機能するようになっており、このための構成として、走査結像レンズ17Kが載置されて位置決め可能な下側板金部材102Aと、走査結像レンズ17Kの上面を押さえることができる上側板金部材102Bと、走査結像レンズ17Kの長手方向両端に配置されて上下各側の板金部材102A、102Bが取り付けられる間隔保持部材102Cとを備えている。
さらに、間隔保持部材102Cは走査結像レンズ17Kの副走査方向の高さ(厚み)と同等若しくは低く(薄く)設定されている。これにより、走査結像レンズ17Kは、下側及び上側板金部材102A及び102Bにより副走査方向両端を挟み込まれることになり、反りが発生した場合の変形を抑えられて保持されるようになっている。
これにより、走査結像レンズ17Kの光軸と直交する方向での傾きを調整して走査線の曲がりが補正できるようになっている。
上側板金部材102Bには、図8に示すように、光学ハウジング1の一部に設けられている支持台部106との間に掛け渡されたU字状の板バネ107の一端が締結されて取り付けられている。板バネ107は、上側板金部材102Bを支持しており、下側板金部材102A、上側板金部材102B及び間隔保持部材102Cからなる形状保持手段102を基準ピン108の球面状の先端部を支点として回動可能に副走査方向に押圧支持している。
形状保持手段102は、光学ハウジングの支持台部106側に設けられている基準ピン108に走査結像レンズ17Kの長手方向中央部が載置されて光軸Gから副走査方向に所定量Y離れた位置を支点としてγ方向に傾くことができるようになっている。
走査線傾き補正手段103によりγ方向に回動されると、走査線の傾きを補正することが可能となる。
上記の問題から具体的には所定量Yは3〜10mmの範囲が好適である。走査線傾き補正手段103は、形状保持手段102の長手方向一方側に配置され、ステッピングモータを用いた駆動源109を備えている。
駆動源109の出力軸は、図9に示すように、リードスクリュー109Aが形成されており、このリードスクリュー109Aにはナット110が装着されている。ナット110には、支持台部106に設置されている駆動源支持ブラケット111に揺動支点軸を支持されている調整レバー112が取り付けられている。
これにより、図9において矢印で示すように、ナット110がリードスクリュー109Aの回転方向によりリードスクリュー109Aの軸方向に移動する方向に応じて調整レバー112が揺動する。調整レバー112の揺動端は、間隔保持部材102Cに設けられている支持ピン102C1に上方から圧接して連動させることができる。その結果、調整レバー112の揺動状態に応じて光軸Gから副走査方向に所定量Y離れた位置を支点としてγ方向に傾くことが可能となり、走査線の傾きを補正することができる。
走査線の傾き補正は、図11に示すように、制御手段50により駆動源109を調整量に対応したステップ数回転駆動することによりなされる。
したがって、厳密には、走査線傾き補正手段は、符号103で示す回動機構と制御手段50により構成される。
回動角度により走査線の傾きが一定に変化するのではなく、走査結像レンズの光学特性、副走査方向の有効範囲により、一定に変化する範囲が限定される。
そこで、本実施形態では、演算手段の処理が簡単な略比例関係となる範囲(θ1からθ2間)において走査線の傾きを変化させるようにしている。
このときの走査線の傾き変化量は最大で500μmに相当する回動角度範囲を確保している。「略比例関係」とは、回動角度θ1からθ2の範囲の任意の角度における変化量が最小二乗法における直線近似で相関係数rが0.8以上となる関係のことをいう。
一方、走査結像レンズを回動することにより、感光体面上でのビームスポット径(ピーク光量の1/e2)が劣化するといった副作用が発生するが、回動前後においてビーム径の劣化量(変化量)は±10%以内としている。±10%以上となると、レーザビーム検出器の検出精度が悪化して不具合が生ずることと、画像形成装置として使用する際の画像(特に階調性、解像度)の劣化を招くためである。
また、先に述べたように、プラスチック製の走査結像レンズや光学ハウジングの場合、走査線の傾きが温度変化(経過時間による光走査装置内の温度上昇や画像形成装置内における気流や発熱源による温度変化)により大きく変動するため、走査線の傾きを光走査装置が稼動している間常時検出監視し、走査線の傾きを補正する必要があるか否かを判断している。
また、走査線の傾きの状態を光走査装置におけるレーザビーム検出器でのみ検出することができるので、従来のように中間転写ベルト上でトナーにより検知パターンを顕像化する必要が無く、トナー消費を極力低減して省資源化に寄与することができる。
光走査装置32は、画像形成装置内の4つの感光体20Y、20M、20C、20K(以下、符号に対する添字Y、M、C、Kを適宜付け、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラックの色に対応する部分として区別するものとする。)が並設された作像部の上方に配置されている。
カラー画像形成装置33は、複数の感光体20Y、20M、20C、20Kを並列に配置したタンデム型のカラー画像形成装置である。装置上部から順に光走査装置32、現像装置25、感光体20、中間転写ベルト21、定着装置31、給紙カセット30がレイアウトされている。
中間転写ベルト21には各色に対応した感光体20Y、20M、20C、20Kが並列順に等間隔で配設されている。感光体20Y、20M、20C、20Kは同一径に形成されたもので、その周囲には電子写真プロセスに従い部材が順に配設されている。
帯電チャージャにより一様に帯電された感光体20Yは、矢印A方向に回転することによってレーザビームLYを副走査し、感光体20Y上に静電潜像が形成される。また、光走査装置32によるレーザビームLYの照射位置よりも感光体の回転方向下流側には、感光体20Yにトナーを供給する現像装置25Yが配設され、イエローのトナーが供給される。現像装置25Yから供給されたトナーは、静電潜像が形成された部分に付着し、トナー像が形成される。同様に感光体20M、20C、20Kには、それぞれM、C、Kの単色トナー像が形成される。
この搬送により、中間転写ベルト21は順に感光体20Y、20M、20C、20Kに移動されるようになっている。中間転写ベルト21は感光体20Y、20M、20C、20Kで現像された各々単色画像を順次重ね合わせて転写され、カラー画像を形成される。
その後、給紙トレイ30から転写紙が矢印C方向に搬送され、転写ローラ29によりカラー画像が転写される。カラー画像が形成された転写紙は、定着装置31により定着処理された後、フルカラー画像として排紙される。
同図(a)は検出器の構成、同図(b)は出力波形をそれぞれ示す図である。同図において符号220は検出器を示す。
本実施形態では、第1系統の受光素子PD1は、図3の構成と同様、1個の受光素子でありながらレーザビーム通過領域においては2つの受光領域に分かれている。一方、第2系統の受光素子PD2は、レーザビーム通過領域において1個の受光領域のみを有している。
この場合でも受光素子PD1とPD2の隣接端縁は互いに平行に形成されている。したがって、PD2は実質3角形状を呈している。
同図の構成の場合、比較器からの検出信号出力は1つのレーザビームの走査に対して1つのパルスが出力され、パルス幅(T1またはT1’)が副走査の走査位置に依存する。演算式は式(1)と同じなので省略する。
同図(a)に示すように、第1系統の受光素子PD1、第2系統の受光素子PD2とも2個の素子に分割され、2個の受光領域を形成している。それぞれの受光領域は電気的に接続されおり、それぞれがあたかも1つの受光素子であるかのように扱われる。
したがって、信号処理は図3の場合と全く同じになる。図14(b)では第1系統の受光素子PD1のみが上記と同様2個の素子に分割され、電気的に接続されている。第2系統の受光素子PD2は、図13で示したのと同様3角形状でも差し支えないが、走査線が上方に寄ったとき、受光素子PD2からの出力時間が極端に短くなるのを避けるため、同図のように、台形状に形成するのも良い方法である。
また、画像領域内の光量とレーザビーム検出器に必要な光量が異なる場合、レーザビーム検出器に検知する時のみ光源の出力を調整することにより、検知精度の低下を防止することが可能となる。
12 偏向走査手段としてのポリゴンミラー
17 走査結像レンズ(第2のレンズ)
20 像担持体としての感光体
50走査線傾き検出手段としての制御手段
52 演算手段としてのCPU
103 走査線傾き補正手段
PD1、PD2 受光素子
Claims (5)
- 光源から出射されるレーザビームを偏向走査手段と走査結像光学系により像担持体面に走査して潜像を形成する光走査装置において、
レーザビームを検知する2系統の受光素子からなるレーザビーム検出手段が走査光路内における主走査方向の画像領域の外側であって走査方向上流側と下流側の2箇所にそれぞれ配置され、
前記各レーザビーム検出手段における前記2系統の受光素子は、主走査方向に隣接して配置されているとともに、それぞれレーザビームが通過する領域において互いに非平行で副走査方向に延びる2つの受光領域を有し、且つ、隣接する端縁が互いに平行になるように配置され、
前記2系統の受光素子をレーザビームが走査することにより2つのパルス信号が出力され、
非画像形成時間内で常時レーザビーム検出を行い、前記2個のレーザビーム検出手段からの検出情報に基づいて前記像担持体面上の走査線の傾き量及び傾き方向の演算を行う走査線傾き検出手段を有し、
前記演算では、前記2個のレーザビーム検出手段からそれぞれ出力される前記2つのパルス信号の時間間隔を計測し、計測された前記2個のレーザビーム検出手段における各時間間隔の差分量から走査線傾き量を算出するとともに、前記2つの時間間隔の差分の符号から走査線傾き方向を判別してなり、
前記演算結果に基づいて、走査線の傾きを補正する走査線傾き補正手段を有していることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1に記載の光走査装置において、
前記光源を複数有しているとともに、その各々光源に対応する複数の走査結像レンズを有していることを特徴とする光走査装置。 - 請求項2に記載の光走査装置において、
複数の走査結像光学系を有し、任意の走査結像光学系の走査線に対して他の走査結像光学系の走査線に合せるように該走査線の傾きを補正することを特徴とする光走査装置。 - 像担持体面に光走査により潜像を形成し、上記潜像を可視化して所望の記録画像を得る画像形成装置において、
請求項1乃至3のうちの何れかに記載の光走査装置を用いることを特徴とする画像形成装置。 - 複数の光源から出射されたレーザビームを偏向走査手段と複数の走査結像光学系により複数の像担持体面に走査して潜像を形成する光走査装置の走査線傾きの検出方法において、
レーザビームを検知する2系統の受光素子からなるレーザビーム検出手段を走査光路内における主走査方向の画像領域の外側であって走査方向上流側と下流側の2箇所にそれぞれ配置し、
前記各レーザビーム検出手段における前記2系統の受光素子を、主走査方向に隣接して配置するとともに、それぞれレーザビームが通過する領域において互いに非平行で副走査方向に延びる2つの受光領域を有し、且つ、隣接する端縁が互いに平行になるように配置し、
前記2系統の受光素子をレーザビームが走査することにより2つのパルス信号が出力され、
非画像形成時間内で常時レーザビーム検出を行い、前記2個のレーザビーム検出手段からそれぞれ出力される前記2つのパルス信号の時間間隔を計測し、計測された前記2個のレーザビーム検出手段における各時間間隔の差分量から走査線傾き量を算出するとともに、前記2つの時間間隔の差分の符号から走査線傾き方向を判別することを特徴とする走査線傾きの検出方法。
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