JP4627608B2 - 鋼製柱と鋼製梁の高力ボルト接合構造およびその施工方法 - Google Patents

鋼製柱と鋼製梁の高力ボルト接合構造およびその施工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、鋼構造建築物を構成するH形鋼柱や角形鋼管柱などの鋼製柱とH形鋼梁や溝形鋼梁などの鋼製梁の高力ボルト接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、箱形断面柱とH形断面梁の一般的な高力ボルト接合構造としては、図14に示すように、箱形断面柱1に上下一対のスプリットティ2a、2bの垂直板(フランジ)2fを高力ボルト3で接合し、この上下のスプリットティ2a、2bの水平板(ウエブ)2p間にH形断面梁4の端部を位置させ、上スプリットティ2aの水平板2pの下面側にH形断面梁4の上フランジ4aの上面を、また、下スプリットティ2bの水平板2pの上面側にH形断面梁4の下フランジ4bの下面を当接して高力ボルト5で接合する、溶接負担を軽減した箱形断面柱とH形断面梁の高力ボルト接合構造が知られている。
このような高力ボルト接合構造においては、柱材が箱形断面柱1であるため、この箱形断面柱1にスプリットティ2a、2bを高力ボルト3で接合する場合には、一般の高力ボルト(JIS B1186に規定される摩擦接合用六角ボルトや日本鋼構造協会規格の構造用トルクシア形高力ボルトなど)を用いた通常の施工方法では施工は困難である。
そのため、箱形断面柱の外側からだけで施工が可能なワンサイドボルトが開発され実用されるようになった。しかし、ワンサイドボルトは高価であり接合コスト増の問題に加え、強度に限界があるため大きな荷重を受ける大型構造物の柱梁接合には適用できないという問題があった。
【0003】
一方、工場または建て方前に、一般の高力ボルトを、特殊な装置により箱形断面柱の内部側からこの箱形断面柱と当接されたスプリットティの垂直板のボルト孔に挿入し、高力ボルトに外側でナットを螺着して締め付けることによってスプリットティの垂直板を箱形断面柱に接合する方法が提案されている。
この方法では、ワンサイドボルトを使用しない高力ボルト接合が可能であるため、ワンサイドボルトを使用する方法に比較してコスト面、強度面で改善可能であるが、箱形断面柱の1側面側を示す図15(a)、(b)のように、上下のスプリットティ2a、2bは水平板2pが箱形断面柱1の軸方向と直角になるように配置され、このスプリットティ2a、2bがH形断面梁4の取り付け前に箱形断面柱1に固定された場合には、建て方現場で箱形断面柱1にH形断面梁4を取り付ける際に、上下のスプリットティ2a、2bの水平板2p間の距離がH形断面梁4の高さと接近している場合、H形断面梁4の上下フランジ4a、4bをセットするための位置合わせなどに手間とり、施工性が低下するという問題があり、結果的に接合施工コストの上昇につながっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、基本的には、特殊なワンサイドボルト締め付け機構を有しない高力ボルトだけを用い、スプリットティを例えば工場で鋼製柱に固定しても問題がない接合施工ができる、スプリットティを介した鋼製柱と鋼製梁の高力ボルト接合構造および接合施工方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために、以下の(1)〜(4)を要旨とするものである。
(1).鋼製柱と鋼製梁をスプリットティを介して高力ボルト接合する鋼製柱と鋼製梁の高力ボルト接合構造において、スプリットティのウエブ面が柱の材軸方向と平行に配置されて、フランジ部が鋼製柱に高力ボルト接合されており、鋼製梁がスプリットティのウエブに高力ボルト接合されたジョイントアングルにスプリットティのウエブ先端の外側領域で高力ボルト接合されていることを特徴とする鋼製柱と鋼製梁の高力ボルト接合構造。
(2).(1)において、鋼製柱が角形の箱形断面材またはH形断面材であることを特徴とする鋼製柱と鋼製梁の高力ボルト接合構造。
(3).(1)において、鋼製柱が円形の箱形断面材であり、スプリットティのフランジ部が円形の箱形断面材の外周面に略面接触するように曲面形成され、鋼製柱とスプリットティのフランジ部が高力ボルト接合されていることを特徴とする鋼製柱と鋼製梁の高力ボルト接合構造。
(4).工場あるいは施工現場の地組み場で鋼製柱の建て方前に、スプリットティをウエブ面が柱の材軸方向と平行になるように配置してフランジ部を鋼製柱にボルト接合し、鋼製柱の建て方後、スプリットティのウエブ部に鋼製梁をジョイントアングルを介して高力ボルト接合することを特徴とする鋼製柱と鋼製梁の高力ボルト接合施工方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、箱形断面やH形断面の鋼製柱の側部に、鋼製梁をスプリットティを介して高力ボルト接合する鋼製柱と鋼製梁との接合構造において、基本的には、スプリットティのウエブ面を鋼製柱の材軸方向と平行に配置して垂直ウエブ部(以下「垂直ウエブ」という。)とするものであり、このスプリットティのフランジ部(以下「フランジ」という。)を、予め鋼製柱の所定の位置に固定しておき、このスプリットティの垂直ウエブと鋼製梁を、鋼製梁から鋼製柱へ剪断力を良好に伝達するジョイントアングルを介して高力ボルト接合し、鋼製梁をスプリットティの垂直ウエブ先端の外側領域でジョイントアングルに高力ボルト接合してスプリットティの垂直ウエブに直接に接合しない高力ボルト接合構造である。
ここで、スプリットティ、ジョイントアングルは、鋼製柱と鋼製梁間において接合金物として機能するものである。
本発明は、特に箱形断面柱とH形断面梁の高力ボルト接合構造に適用して著効を奏するものである。以下は、鋼製柱を箱形断面柱とし、鋼製梁をH形断面梁として説明する。
【0007】
本発明では、スプリットティの垂直ウエブを箱形断面柱の材軸方向と平行に配置して箱形断面柱に固定し、このスプリットティにH形断面梁をジョイントアングルを介して高力ボルト接合するものであるから、
(1)箱形断面柱にH形断面梁を取り付ける際、ジョイントアングルの位置調整が容易にできることからH形断面梁の位置調整作業時の制約が緩和され施工性が改善される。
(2)工場あるいは施工現場の地組場で箱形断面柱の建て方前に、箱形断面柱にスプリットティを固定することから、箱形断面の箱形断面柱の場合では、例えば特開2000−213070号公報記載の装置を用いて内部側から高力ボルトを挿入して高力ボルト接合することができ、高価で締め付けが複雑なワンサイド締め付け機構を有しない高強度の高力ボルトのみによる高力ボルト接合構造が可能になる。その結果、コストを大幅に低減するとともに、大型構造物を対象としても力学的品質の安定化が図れ、より安全性の高い接合構造の実現が可能になる。
【0008】
ジョイントアングルとスプリットティの接触面、ジョイントアングルとH形断面梁の接触面に0.6以上のすべり係数が得られる高摩擦化処理を施して接合摩擦を高めることが有効である。このジョイントアングルは、基本形としては断面が山形であり、ボルト孔を有する一方のフランジ部(以下「垂直板」という。)を箱形断面柱に固定された上下のスプリットティの垂直ウエブの側面に高力ボルト接合し、ボルト孔を有する他方のフランジ部(以下「水平板」という。)のスプリットティの外部側に位置する部分をH形断面梁の上下フランジに高力ボルト接合するものである(以下「ジョイントアングル」という)。
【0009】
スプリットティの垂直ウエブに高力ボルト接合される、ジョイントアングルの垂直板は、矩形または矩形の外部側(H形断面梁の取付側)の角部を斜めに切り欠いた形状を基本形状とする。ここで、角部を斜めに切り欠いた形状とするのは、軽量化してコスト節減を図るとともに、H形断面梁を取り付ける際に、H形断面梁との干渉を避けてH形断面梁の移動・取り付けを円滑に行えるようにするためである。
H形断面梁を上下のスプリットティ間に取り付ける場合には、基本的には、上下のスプリットティに対して、それぞれ、その垂直ウエブの両側面において、ジョイントアングルを、それぞれ向きを反対にして上下一対配置し、上下一対のジョイントアングルの水平板間にH形断面梁のフランジを挟持して高力ボルト接合し、上下のジョイントアングルの水平板とH形断面梁のフランジを高力ボルト接合する。このとき、H形断面梁のウエブは、スプリットティのフランジ部領域で垂直ウエブ両面に接合されたジョイントアングルの垂直板間の空間部に位置している。
【0010】
また、H形断面梁を1個の長寸のスプリットティに取り付ける場合には、スプリットティの垂直ウエブの上部と下部側において、それぞれ両側にジョイントアングルの垂直板を高力ボルト接合し、水平板にH形断面梁のフランジを高力ボルト接合する。このとき、H形断面梁のウエブ部は、スプリットティのフランジ部領域で垂直ウエブ両面に接合されたジョイントアングルの垂直板間の空間部に位置している。
H形断面梁を上下スプリットティに取り付ける場合も、1個の長寸のスプリットティに取り付ける場合のいずれの場合も、ジョイントアングルの垂直板とH形断面梁のウエブ間には隙間がない方が接合構造として安定するので、当接またはフィラープレートを介在させて隙間をなくすることが有効である。
【0011】
なお、長寸のスプリットティを用いる場合には、接合強度をより安定的に確保するために、長寸のスプリットティの垂直ウエブの中間部でH形断面梁のウエブをスプラスプレートを介して高力ボルト接合することも有効である。
この場合、長寸のスプリットティの垂直ウエブとH形断面梁のウエブの厚みが異なるときは、フィラープレートを介在させて隙間をなくすることが有効である。また、接合面、特にジョイントアングルにおけるH形断面梁のフランジおよびスプリットティの垂直板との接合面には、滑り現象を抑制するために、0.6以上のすべり係数が得られる高摩擦化処理を施して接合摩擦を高めればより有効である。
なお、箱形断面柱とスプリットティの接合は、すべて高力ボルト接合で行うことは絶対条件ではなく、溶接接合で行うことも考慮することができる。また、ワンサイドボルトの部分使用も考慮することができる。
【0012】
【実施例】
(実施例1)
以下に本発明の実施例1について、図1(a)、(b)図に基づいて説明する。この実施例1では、スプリットティを用いた箱形断面柱とH形断面梁の接合構造において適用したものであり、図1(a)、(b)は、箱形断面柱1にH形断面梁を、側面の上下に所定の間隔をおいて配置され高力ボルト3aで接合された上下一対のスプリットティ2a、2bと、このスプリットティに高力ボルト5aで接合された複数のジョイントアングル6a〜6hを介して高力ボルト5により接合した箱形断面柱1とH形断面梁4の接合構造例を示したものである。
H形断面梁4は、通常の場合、箱形断面柱1の1〜4側面に取り付けられることが多いが、ここでは、箱形断面柱の1側面に1本のH形断面梁4を取り付けの場合について代表説明する。
【0013】
図1(a)、(b)おいて、1は箱形断面柱で、その側面に上下一対のスプリットティ2aと2bが所定の間隔をおいて高力ボルト3aにより接合されており、H形断面梁4の上フランジ4aはジョイントアングル6a、6b、6c、6dを介して上側スプリットティ2aに高力ボルト接合され、H形断面梁4の下フランジ4bはジョイントアングル6e、6f、6g、6hを介して下側スプリットティ2bに高力ボルト接合されている。
スプリットティ2a、2bは、箱形断面柱1に高力ボルト3aにより接合されるフランジ2fと、箱形断面柱1の軸方向に平行でフランジ2f面と直角な面を有する垂直ウエブ2uからなり断面がT形に形成されたものである。
【0014】
H形断面梁4は、先端面がスプリットティ2a、2bの垂直ウエブ2uの先端面に突き当たるように(ただし、間隙があり突き当たらない)位置しており、その状態で、上フランジ4aが、上側スプリットティ2aの垂直ウエブ2uの側面に共通の高力ボルト5aにより向きを反対にして当接接合されたジョイントアングル6aと6bおよび6cと6dを介して、それぞれ共通の高力ボルト5により接合され、下フランジ4bが、下側スプリットティ2bの垂直ウエブ2uの側面に共通の高力ボルト5aにより向きを反対にして当接接合されたジョイントアングル6eと6fおよび6gと6hを介して、それぞれ共通の高力ボルト5により接合されている。
【0015】
ジョイントアングル6a〜6hは、図2、図3に示すように、ボルト孔7を有する垂直板aとボルト孔8を有する水平板bからなる断面が山形のものであり、垂直板aがスプリットティ2a、2bの垂直ウエブ2uの側面に高力ボルト5aにより接合され、水平板bがH形断面梁4の上下フランジ4a、4bに高力ボルト5により接合される。
ここで、摩擦面増設座金9とH形断面梁4の上下フランジ4a、4bのボルト孔(図示省略)と高力ボルト5との間のクリアランスは±0に設定されている。
また、各ジョイントアングル6a〜6hと上下スプリットティ2a、2bの垂直ウエブ2uの接合部および各ジョイントアングルとH形断面梁4の上下フランジ4a、4bとの接合部では、接合摩擦を強化するために高力ボルト5aの頭部側とナット側の両方に摩擦面増設座金9を介在させており、各ジョイントアングル6a〜6hとH形断面梁4の上下フランジ4a、4bとの接合部では、各ジョイントアングルは、H形断面梁4のフランジ面と摩擦面増設座金9の座面との間ですべりを生じるようにしている。
【0016】
この箱形断面柱とH形断面梁の高力ボルト接合接合構造の施工手順について1例を以下に説明する。
(1).工場において、箱形断面柱1に上下一対のスプリットティ2a、2bを高力ボルト3aにより接合して取り付ける。この際、高力ボルト3aを箱形断面柱1の内部側からボルト孔に挿入して外部側で締め付けを行うが、この挿入、締付作業には、例えば特開2000−213070号公報記載の装置を用いることができる。
(2).上下一対のスプリットティ2a、2bを取り付けた箱形断面柱1を建て方現場に運ぶ。
【0017】
(3).建て方現場において、箱形断面柱1を建てた状態で、下側のスプリットティ2bの垂直ウエブ2uの下側の左右一対のジョイントアングル6g、6hを向きを反対にして、それぞれの垂直板aを下側のスプリットティ2bの垂直ウエブ2uの側面に1本の共通の高力ボルト5aにより接合し、このジョイントアングル6g、6hの水平板bの上面にH形断面梁4の下フランジ4bを支持した状態で、上側の左右一対のジョイントアングル6e、6fを下側スプリットティ2bの垂直ウエブ2uの側面に向きを反対にして、それぞれの水平板bをH形断面梁4の下フランジ4bの上面に当接した状態で、それぞれの垂直板aを、下側のスプリットティ2bの垂直ウエブ2uの側面に1本の共通の高力ボルト5aにより接合する。
このとき、H形断面梁4のウエブ4uは下側のスプリットティ2b側の上側の左右一対のジョイントアングル6e、6fの垂直板a間にあり、H形断面梁4は概ね所定の位置に位置決めされる。
【0018】
(4).上側のスプリットティ2aの下側の左右一対のジョイントアングル6c、6dを向きを反対にして、それぞれの水平板bをH形断面梁4の上フランジ4aの下面に当接した状態で、それぞれの垂直板aを上側のスプリットティ2aの垂直ウエブ2uの側面に当接して1本の共通の高力ボルト5aにより接合する。
また、上側のスプリットティ2aの上側の左右一対のジョイントアングル6a6bを向きを反対にして、それぞれの水平板bをH形断面梁4の上フランジ4aの上面に当接した状態で、それぞれの垂直板aを上側のスプリットティ2aの垂直ウエブ2uの側面に当接して1本の共通の高力ボルト5aにより接合する。
(5).上側のジョイントアングル6aの水平板bとH形断面梁4の上フランジ4aの一方の側と下側のジョイントアングル6cを、1本の共通の高力ボルト5により接合し、上側のジョイントアングル6bの水平板bとH形断面梁4の上フランジ4aの他方の側と下側のジョイントアングル6dの水平板bを、1本の共通の高力ボルト5により接合し、H形断面梁4を所定の位置に位置決めする。
(6).下側のスプリットティ2bの上側のジョイントアングル6eの水平板bとH形断面梁4の下フランジ4bの一方の側と下側のジョイントアングル6gの水平板bとを、1本の共通の高力ボルト5により接合し、上側のジョイントアングル6fの水平板bとH形断面梁4の下フランジ4bの一方の側と下側のジョイントアングル6hの水平板bとを、1本の共通の高力ボルト5により接合する。
このようにして、図1(a)、(b)に示すような箱形断面柱とH形断面梁の接合部構造が得られる。
【0019】
このような箱形断面柱とH形断面梁の接合部構造の施工に際しては、例えば、工場で箱形断面柱に上下スプリットティの高力ボルト接合を完了させて建て方現場に搬送し、箱形断面柱の建て方の際に、H形断面梁をジョイントアングルを介して高力ボルト接合する際に、ジョイントアングルの位置調整が容易にできることから、H形断面梁の位置調整作業を安定的に行うことができ施工性を改善することができる。
また、箱形断面柱1にスプリットティを高力ボルト接合する際に、例えば特開2000−213070号公報記載の装置を用いて、高力ボルトを箱形断面柱内部側から挿入して外部側に突出させ締付作業を外部側で行なうことが容易にでき、スプリットティの取り付け作業を工場や施工現場の地組み場で完了させておくことができることから、高価なワンサイドボルトを必要としない接合が可能であり、接合施工コストを大幅に低減することができる。また、ワンサイドボルトより数段上の強度を有する高力ボルトを用いることができ、接合部強度を強化することができる。
【0020】
(実施例2)
以下に本発明の実施例2について、図4(a)、(b)図に基づいて説明する。この実施例2では、実施例1と同様、スプリットティを用いた箱形断面柱とH形断面梁の接合構造において適用したものであり、図4(a)、(b)に示すように、箱形断面柱1の側面に高力ボルト接合された長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uに、H形断面梁4の上下フランジ4a、4bをジョイントアングル6a〜6hを介して高力ボルト5aで接合し、さらに、長寸のスプリットティ2eの垂直板(ウエブ)の中間に、一対のスプライスプレートspを介してH形断面梁4のウエブ4uを高力ボルト5で接合した箱形断面柱1とH形断面梁4の接合部構造例を示したものである。
この実施例2では、スプリットティとして長寸のスプリットティ2eを用いた点、この長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの中間に、一対のスプライスプレートspを介してH形断面梁4のウエブ4uを高力ボルト5で接合した点で、実施例1と異なるが、ジョイントアングル6a〜6hと取り付け構造については、実施例1の場合と同様のにつき、この部分については詳細説明を省略する。
【0021】
この実施例2では、長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uにジョイントアングル6a〜6hを介してH形断面梁4のフランジ4a、4bを接合する高力ボルト5aの本数が少なく、接合部強度の確保が十分でない場合があるため、長寸のスプリットティ2eの垂直板(ウエブ)の中間に、一対のスプライスプレートspを介してH形断面梁4のウエブ4uを高力ボルト5で接合することにより接合部強度を強化するものである。
図4(a)、(b)において、長寸のスプリットティ2eは、箱形断面柱1に高力ボルト接合されるフランジ2fと、箱形断面柱1の軸方向に平行でフランジ2f面と直角な面を有する垂直ウエブ2uからなり断面がT形に形成されたもので、実施例1で用いたような上下のスプリットティ2a、2bの垂直ウエブ2uとフランジ2fを伸長して一体化したような形状を有するものである。
【0022】
H形断面梁4は、先端面が長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの先端面に突き当たるように(ただし、間隙があり突き当たらない)位置しており、その状態で、上フランジ4aが、長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの上部側両側面に共通の高力ボルト5aにより向きを反対にして当接接合されたジョイントアングル6aと6bおよび6cと6dを介して、それぞれ共通の高力ボルト5により接合され、下フランジ4bが、長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの下部側の両側面に共通の高力ボルト5aにより向きを反対にして当接接合されたジョイントアングル6eと6fおよび6gと6hを介して、それぞれ共通の高力ボルト5により接合され、さらに、ウエブ4uが長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの中間部と左右一対のスプライスプレートspを介して共通の高力ボルト5で接合されている。
なお、ここでは、長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの厚みとH形断面梁4のウエブ4uの厚みには段差(2u>4u)があるため、この厚み段差による隙間を埋めるためのフィラープレートFpを介在させている。
【0023】
この実施例2における箱形断面柱とH形断面柱の高力ボルト接合構造の施工手順ついて1例を以下に説明する。
(1).工場において、箱形断面柱1に長寸のスプリットティ2eを上下においてそれぞれ4本の高力ボルト3aにより接合して取り付ける。
(2).長寸のスプリットティ2eを取り付けた箱形断面柱1を建て方現場に運ぶ。
(3).建て方現場において、箱形断面柱1を建てた状態で、長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの下部側両側面に、下側の左右一対のジョイントアングル6g、6hを向きを反対にして、それぞれの垂直板aを長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの側面に1本の通の高力ボルト5aにより接合し、このジョイントアングル6g、6hの水平板bの上面にH形断面梁4の下フランジ4bを支持した状態で、上側の左右一対のジョイントアングル6e、6fを長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの側面に向きを反対にして、それぞれの水平板bをH形断面梁4の下フランジ4bの上面に当接した状態で、それぞれの垂直板aを、長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの側面に1本の共通の高力ボルト5aにより接合する。
このとき、H形断面梁4のウエブ4uは長寸のスプリットティ2eの下部側の上側の左右一対のジョイントアングル6e、6fの垂直板a間にあり、H形断面梁4は概ね所定の位置に位置決めされる。
【0024】
(4).長寸のスプリットティ2eの上部側の下側の左右一対のジョイントアングル6c、6dを向きを反対にして、それぞれの水平板bをH形断面梁4の上フランジ4aの下面に当接した状態で、それぞれの垂直板aを長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの側面に当接して1本の共通の高力ボルト5aにより接合する。
また、長寸のスプリットティ2eの上部側の上側の左右一対のジョイントアングル6a、6bを向きを反対にして、それぞれの水平板bをH形断面梁4の上フランジ4aの上面に当接した状態で、それぞれの垂直板aを長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの側面に当接して1本の共通の高力ボルト5aにより接合する。
(5).上側のジョイントアングル6aの水平板bとH形断面梁4の上フランジ4aの一方の側と下側のジョイントアングル6cを、一本の共通の高力ボルト5により接合し、上側のジョイントアングル6bの水平板bとH形断面梁4の上フランジ4aの他方の側と下側のジョイントアングル6dの水平板bを、一本の共通の高力ボルト5により接合し、H形断面梁4を所定の位置に位置決めする。
【0025】
(6).長寸のスプリットティ2eの下部側の上側のジョイントアングル6eの水平板bとH形断面梁4の下フランジ4bの一方の側と下側のジョイントアングル6gの水平板bとを、一本の共通の高力ボルト5により接合し、上側のジョイントアングル6fの水平板bとH形断面梁4の下フランジ4bの他方の側と下側のジョイントアングル6gの水平板bとを、一本の共通の高力ボルト5により接合る。
(7).長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの中間部の両側面と、H形断面梁4のウエブ4uの両側面にスプライスプレートspを当接して高力ボルト5により接合する。この際、長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uと、H形断面梁4のウエブ4uの厚みが異なるため、厚みの薄いH形断面梁4のウエブ4uの両側面に厚み差による隙間を埋めるためのフィラープレートFpを挿入している。このようにして、図4(a)、(b)に示すような箱形断面柱とH形断面梁の接合部構造が得られる。
このような箱形断面柱とH形断面梁の接合部構造の施工に際しては、実施例1と同様の効果が得られる他、スプリットティを長寸のスプリットティにして、その上部、中間部、下部でH形断面梁4と高力ボルト接合しているので、接合部強度をさらに強化することができる。
【0026】
(実施例3)
以下に実施例3を図5(a)、(b)に基づいて説明する。この実施例3は、実施例1と同様、スプリットティを用いた箱形断面柱とH形断面梁の高力ボルト接合構造において、本発明を適用した場合のものであり、基本的には、実施例1と同様のものである。
実施例1では、上下一対のスプリットティ2a、2bの垂直ウエブ2uに対するジョイントアングルの垂直板aの接合は、それぞれ1本の高力ボルトによって行い、ジョイントアングルの水平板bとH形断面梁4の上下フランジ4a、4bの接合は、それぞれ1本の高力ボルト5によって行っているが、この実施例3は、図5(a)、(b)に示すように、スプリットティ2c、2dの垂直ウエブ2uの水平方向長さとジョイントアングル6i〜6pの水平方向長さを大きくし、スプリットティ2c、2dの垂直ウエブ2uに対するジョイントアングル6i〜6pの垂直板aの接合を、それぞれ水平方向で2本の高力ボルト5aにより行い、ジョイントアングル6i〜6pの水平板bとH形断面梁4のフランジ4a、4bの接合を、それぞれ水平方向で2本の高力ボルト5によって行っている点で実施例1とは異なるものである。
【0027】
図5(a)、(b)おいて、1は箱形断面柱で、側面に上下一対のスプリットティ2cと2dが所定の間隔をおいて接合されており、H形断面梁4の上フランジ4aは上スプリットティ2c側に接合され、H形断面梁4の下フランジ4bは下スプリットティ2d側に接合されている。
このスプリットティ2c、2dは、箱形断面柱1に高力ボルト3aにより接合されたフランジ2fと、箱形断面柱1の軸方向に平行でフランジ2f面と直角な面を有する垂直ウエブ2uからなり断面がT形に形成されたものであり、垂直ウエブ2uは垂直方向で2つのボルト孔7を有するものである。
ジョイントアングル6i〜6pは、図6、図7に示すように、水平方向に2つのボルト孔7を有する垂直板aと水平方向に2つのボルト孔8を有する水平板bからなる断面が山形のものである。
【0028】
H形断面梁4は、先端面がスプリットティ2c、2dの垂直ウエブ2uの先端面に突き当たるように(ただし、間隙があり突き当たらない)位置しており、その状態で、上フランジ4aが、上側スプリットティ2cの垂直ウエブ2uの側面に向きが反対で水平方向で共通の2本の高力ボルト5aにより垂直板aを当接接合したジョイントアングル6iと6j、6kと6lの水平板bに、それぞれ水平方向で2本の共通の高力ボルト5により接合され、下フランジ4bが、下側スプリットティ2dの垂直ウエブ2uの側面に向きが反対で水平方向で共通の2本の高力ボルト5aにより垂直板aを当接接合したジョイントアングル6mと6n、6oと6pの水平板bに、それぞれ水平方向で2本の共通の高力ボルト5により接合されている。
この箱形断面柱1とH形断面柱4の高力ボルト接合接合構造は、基本的には、実施例1の場合と概ね共通の手順で得られるので、この手順の説明は省略する。
この実施例3では、実施例1の作用効果に加え、スプリットティ2a、2bとジョイントアングル6i〜6pの水平方向長さを大きくし水平方向で高力ボルト5aおよび5の本数を多くしているので接合部強度をより安定的に確保できる作用効果がある。
【0029】
(実施例4)
以下に本発明の実施例4について、図8(a)、(b)図に基づいて説明する。この実施例4は、実施例1と同様、スプリットティを用いた箱形断面柱とH形断面梁の高力ボルト接合構造において、本発明を適用した場合のものであり、基本的には、実施例1と同様のものである。
この実施例4は、箱形断面柱1の側面に高力ボルト3aにより取り付けられた上下一対のスプリットティ2a、2bの垂直ウエブ2uの側面に、外側角部の一部を切欠いた形状を有するジョイントアングル6q〜6xを介してH形断面梁4を取り付ける点、ジョイントアングル6q〜6xの幅(高さ)を大きくして、スプリットティ2a、2bの垂直ウエブ2uに対するジョイントアングル6q〜6xの垂直板aの接合を、それぞれ垂直方向で2本の高力ボルト5aにより行い、ジョイントアングル6q〜6xとH形断面梁4のフランジ4a、4bの水平板bの接合を、水平方向で2本の高力ボルト5によって行っている点で実施例1と異なっている。
【0030】
図8(a)、(b)において、1は箱形断面柱で、側面に上下一対のスプリットティ2aと2bが所定の間隔をおいて接合されており、H形断面梁4の上フランジ4aは上スプリットティ2a側に接合され、H形断面梁4の下フランジ4bは下スプリットティ2b側で接合されている。
このスプリットティ2a、2bは、箱形断面柱1に高力ボルト3aにより接合されたフランジ2fと、箱形断面柱1の軸方向に平行でフランジ2f面と直角な面を有する垂直ウエブ2uからなり断面がT形に形成されたもので、垂直ウエブ2uの上部側と下部側に、垂直方向で2つのボルト孔7を有するものである。
ジョイントアングル6q〜6xは、図9、図10に示すように、垂直方向に2つのボルト孔7を有する垂直板aと水平方向に2つのボルト孔8を有する水平板bからなる断面が山形で、外側角部の一部を切欠いた形状を有するものである。
【0031】
H形断面梁4は、先端面がスプリットティ2a、2bの垂直ウエブ2uの先端面に突き当たるように(ただし、間隙があり突き当たらない)位置しており、その状態で、上フランジ4aは、上側スプリットティ2aの垂直ウエブ2uの側面に向きが反対で垂直板aを垂直方向で2本の共通の高力ボルト5aにより接合したジョイントアングル6qと6r、6sと6tの水平板bに、それぞれ水平方向で2本の共通の高力ボルト5により接合されており、下フランジ4bは、下側スプリットティ2bの垂直ウエブ2uの側面に向きが反対で垂直板aを垂直方向で2本の共通の高力ボルト5aにより接合したジョイントアングル6uと6v、6wと6xの水平板bに、それぞれ水平方向で2本の共通の高力ボルト5により接合されている。
この実施例4の箱形断面柱1とH形断面柱4の高力ボルト接合構造は、基本的には、実施例1の場合と概ね共通の手順で得られるので、この手順の説明は省略する。
この実施例4では、実施例1と同様の作用効果が得られる他、スプリットティ2a、2bとジョイントアングル6i〜6pの幅と長さを大きくし、垂直板a側では垂直方向で、また、水平板b側では水平方向で、それぞれ接合する高力ボルトを2本にしているので、接合部強度をより安定的に確保できる作用効果がある。
【0032】
(実施例5)
以下に本発明の実施例5について、図11(a)、(b)図に基づいて説明する。この実施例5は、実施例1と同様、箱形断面柱とH形断面梁の接合部構造において、本発明を適用した場合のものである。
この実施例5は、箱形断面柱1の側面に、高力ボルト接合された長寸のスプリットティ2eを介してH形断面梁4を接合した箱形断面柱とH形断面梁の接合部構造例を示したものであり、一個の長寸のスプリットティ2eを用い、その長さをH形断面梁4の高さより短くして、ジョイントアングル6yと6z、6yoと6zoの垂直板aをH形断面梁4の上下フランジ4a、4bの内側で長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uに高力ボルト5aにより接合し、また、ジョイントアングル6yと6z、6yoと6zoの水平板bをH形断面梁4の上下フランジ4a、4bの内側面に高力ボルト5により接合した箱形断面柱とH形断面梁の接合部構造であり、実施例1〜4とは異なるものである。
【0033】
図11(a)、(b)おいて、1は箱形断面柱で、側面に長寸のスプリットティ2eが高力ボルト3aにより接合されている。この長寸のスプリットティ2eは、箱形断面柱1に高力ボルト接合されるフランジ2fと、箱形断面柱1の軸方向に平行でフランジ2f面と直角な面を有する垂直ウエブ2uからなり断面がT形に形成され、長さがH形断面梁4の高さよりその下フランジ4aの厚み分短くしたものであり、垂直ウエブ2uの上部側と下部側に、それぞれ垂直方向で2つのボルト孔を形成したものである。
ジョイントアングルは、図12、図13に示すように、垂直方向に2つのボルト孔7を有する垂直板aと水平方向に2つのボルト孔8を有する水平板bからなる断面が山形のもので、垂直板aの外側角部の一部を切り欠いた形状を有するものである。
H形断面梁4は、先端面が長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの先端面に突き当たるように(ただし、間隙があり突き当たらない)位置しており、その状態で、長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの側面に高力ボルト5aにより接合されたジョイントアングル6y、6z、6yo、6zoを介して高力ボルト5により接合されている。
【0034】
H形断面梁4の上フランジ4aを接合する長寸のスプリットティ2eの上部側においては、この長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの両側に向きが反対で、垂直板aを垂直方向で2本の高力ボルト5aにより接合した左右一対のジョイントアングル6y、6zの水平板bの上面にH形断面梁4の上フランジ4aの下面が支持された状態で、H形断面梁4の上フランジ4aとジョイントアングル6y、6zの水平板bが、それぞれ水平方向で2本の高力ボルト5により接合されている。
また、H形断面梁4の下フランジ4bを接合する長寸のスプリットティ2eの下部側においては、この長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの両側に向きが反対で垂直板aを垂直方向で2本の共通の高力ボルト5aにより接合した左右一対のジョイントアングル6yo、6zoの水平板bの下面にH形断面梁4の下フランジ4bの上面が当接された状態で、H形断面梁4の下フランジ4bとジョイントアングル6yo、6zoの水平板bが、それぞれ水平方向で2本の高力ボルト5により接合されている。
【0035】
この実施例5における箱形断面柱とH形断面柱の高力ボルト接合接合構造の施工手順について1例を以下に説明する。
(1).工場において、箱形断面柱1に長寸のスプリットティ2eを高力ボルト3aにより接合して取り付ける。
(2).長寸のスプリットティ2eを取り付けた箱形断面柱1を建て方現場に運ぶ。
(3).建て方現場において、箱形断面柱1を建てた状態で、長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの上部側の側面に、予め上部側の一方(手前側)ジョイントアングル6yの水平板bをH形断面梁4の上フランジ4aの下面に水平方向で2本の高力ボルト5により接合し、このジョイントアングル6yの垂直板aと他方(奥側)のジョイントアングル6zの垂直板aを長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの側面に向きを反対にして両側から当接し、ジョイントアングル6yの垂直板aと他方(奥側)のジョイントアングル6zの垂直板aと長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uとを、垂直方向で2本の共通の高力ボルト5aにより接合する。
このとき、H形断面梁4の上フランジ4aの上面と長寸のスプリットティ2eの上端面が同じレベルになるように、ジョイントアングル6y、6zの接合位置を設定しており、また、H形断面梁のウエブ4uは下側の長寸のスプリットティ2b側の上部側の左右一対のジョイントアングル6y、6zの垂直板a間にあり、H形断面梁4は概ね所定の位置に位置決めされる。
【0036】
(4).ジョイントアングル6y、6zの水平板bの上面にH形断面梁4の上フランジ4aの下面を支持した状態で、長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの下部側側面に、左右一対のジョイントアングル6yo、6zoの垂直板aを当接するとともに水平板bを、H形断面梁4の下フランジ4bの上面に当接して、長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uにジョイントアングル6yo、6zoの垂直板aを垂直方向で2本の共通の高力ボルト5aにより接合し、ジョイントアングル6yo、6zoの水平板bとH形断面梁4の下フランジ4bを、それぞれ水平方向で2本の共通の高力ボルト5により接合する。このようにして、図11(a)、(b)に示すような箱形断面柱とH形断面梁の接合部構造が得られる。
なお、この実施例5の場合で接合部強度をより安定させる場合には、実施例2の場合のように、長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uとH形断面梁4のウエブ4uの中間部を片側または両側に当接したスプライスプレートsp(フィラープレートFp)を介して接合することも考慮する。
【0037】
この実施例5の高力ボルト接合構造においては、長寸のスプリットティの個数が半分であるので、箱形断面柱への長寸のスプリットティの取り付けが簡易である。また、ジョイントアングルの個数も半分であるので、施工コストの節減および施工工期の短縮が可能である。
なお、上記各実施例共通のことであるが、通常、長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uの厚みがH形断面梁4の厚みより厚く、長寸のスプリットティ2eの垂直ウエブ2uにH形断面梁4ジョイントアングルを介して高力ボルト接合した場合に、ジョイントアングルの垂直板aとH形断面梁4のウエブ4u間に隙間を生じる。この隙間を埋めることは不可欠ではないが、隙間を埋める必要がある場合には、この隙間にフィラープレートを挿入することを考慮する。
【0038】
本発明は、上記の実施例の内容に限定されるものではない。例えば、上記の実施例は、鋼製柱が角形の箱形断面柱で、鋼製梁がH形断面梁の場合に適用したものであるが、鋼製柱が円形の箱形断面柱やH形断面柱の場にも本発明の適用が可能である。
また、スプリットティの形状、サイズ、配置、接合などの条件、ジョイントアングルの形状サイズ、配置、ボルト孔径、配置などの条件、高力ボルトおよびナット・座金の設定条件、フィラープレートの使用の有無、各接合面に対する高摩擦処理、接合手順などについては、接合対象物、接合部位、材料強度、設計強度などに応じて、上記請求項を満足する範囲内で変更のあるものである。
【0039】
【発明の効果】
本発明では、スプリットティの垂直ウエブを鋼製柱の材軸方向と平行に配置して鋼製柱に固定し、このスプリットティに鋼製梁をジョイントアングルを介して高力ボルト接合するものであるから、
(1)鋼製断面柱に鋼製梁を取り付ける際、ジョイントアングルの位置調整が容易にできることから鋼製梁の位置調整作業時の制約が緩和され施工性が改善される。
(2)特に鋼製柱が箱形断面柱の場合においては、工場あるいは施工現場の地組場で箱形断面柱の建て方前に、その内部側から複雑なワンサイド締め付け機構を有しない高強度の高力ボルトのみによる高力ボルト接合構造が可能になる。その結果、コストを大幅に低減するとともに、大型構造物を対象としても力学的品質の安定化が図れより安全性の高い接合構造の実現が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)図は、本発明の実施例1における箱形断面柱とH形断面梁の高力ボルト接合構造を示す一部断面側面説明図、(b)図は、(a)図のAa−Ab矢視説明図。
【図2】(a)図は、図1で用いるジョイントアングルの形状例を示す正面説明図、(b)図は、(a)図の側面説明図。
【図3】(a)図は、図1で用いるジョイントアングルの形状例を示す正面説明図、(b)図は、(a)図の側面説明図。
【図4】(a)図は、本発明の実施例2における箱形断面柱とH形断面梁の高力ボルト接合構造を示す一部断面側面説明図、(b)図は、(a)図のBa−Bb矢視説明図。
【図5】(a)図は、本発明の実施例3における箱形断面柱とH形断面梁の高力ボルト接合構造を示す一部断面側面説明図、(b)図は、(a)図のCa−Cb矢視説明図。
【図6】(a)図は、図5で用いるジョイントアングルの形状例を示す正面説明図、(b)図は、(a)図の側面説明図。
【図7】(a)図は、図5で用いるジョイントアングルの形状例を示す正面説明図、(b)図は、(a)図の側面説明図。
【図8】(a)図は、本発明の実施例4における箱形断面柱とH形断面梁の高力ボルト接合構造を示す一部断面側面説明図、(b)図は、(a)図のDa−Db矢視説明図。
【図9】(a)図は、図8で用いるジョイントアングルの形状例を示す正面説明図、(b)図は、(a)図の側面説明図。
【図10】(a)図は、図8で用いるジョイントアングルの形状例を示す正面説明図、(b)図は、(a)図の側面説明図。
【図11】(a)図は、本発明の実施例5における箱形断面柱とH形断面梁の高力ボルト接合構造を示す一部断面側面説明図、(b)図は、(a)図のEa−Eb矢視説明図。
【図12】(a)図は、図11で用いるジョイントアングルの形状例を示す正面説明図、(b)図は、(a)図の側面説明図。
【図13】(a)図は、図11で用いるジョイントアングルの形状例を示す正面説明図、(b)図は、(a)図の側面説明図。
【図14】従来の箱形断面柱とH形断面梁によるの一般的な高力ボルト接合構造の全体を示す立体説明図。
【図15】(a)図は、図14に示すような従来の箱形断面柱とH形断面梁の高力ボルト接合構造例における箱形断面柱とスプリットティとH形断面梁の接合構造例を示す一部断面説明図、(b)図は、(a)図のFa−Fb矢視説明図。
【符号の説明】
1 箱形断面柱
2 スプリットティ
2a〜d スプリットティ
2e 長寸のスプリットティ
2f フランジ(スプリットティ)
2u 垂直ウエブ(スプリットティ)
3 高力ボルト(ワンサイドボルト)
3a 高力ボルト
4 H形断面梁
4a 上フランジ(H形断面梁)
4b 下フランジ(H形断面梁)
4u ウエブ(H形断面梁)
5、5a 高力ボルト
sp スプライスプレート
Fp フィラープレート
6a〜6z ジョイントアングル
6y、6yo ジョイントアングル
6z、6zo ジョイントアングル
7 ボルト孔(垂直板)
8 ボルト孔(水平板)
9 摩擦面増設座金

Claims (4)

  1. 鋼製柱と鋼製梁をスプリットティを介して高力ボルト接合する鋼製柱と鋼製梁の高力ボルト接合構造において、スプリットティのウエブ面が柱の材軸方向と平行に配置されて、フランジ部が鋼製柱に高力ボルト接合されており、鋼製梁がスプリットティのウエブに高力ボルト接合されたジョイントアングルにスプリットティのウエブ先端の外側領域で高力ボルト接合されていることを特徴とする鋼製柱と鋼製梁の高力ボルト接合構造。
  2. 鋼製柱が角形の箱形断面材またはH形断面材であることを特徴とする請求項1に記載の鋼製柱と鋼製梁の高力ボルト接合構造。
  3. 鋼製柱が円形の箱形断面材であり、スプリットティのフランジ部が円形の箱形断面材の外周面に略面接触するように曲面形成され、鋼製柱とスプリットティのフランジ部が高力ボルト接合されていることを特徴とする請求項1に記載の鋼製柱と鋼製梁の高力ボルト接合構造。
  4. 工場あるいは施工現場の地組み場で鋼製柱の建て方前に、スプリットティをウエブ面が柱の材軸方向と平行になるように配置してフランジ部を鋼製柱にボルト接合し、鋼製柱の建て方後、スプリットティのウエブ部に鋼製梁をジョイントアングルを介して高力ボルト接合することを特徴とする鋼製柱と鋼製梁の高力ボルト接合施工方法。
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