JP4626290B2 - 車両偏向抑止装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発進時の駆動力左右差に伴う車両偏向を抑止する車両偏向抑止装置の技術分野に属する。
この種の技術としては、車両の発進時に操向輪の駆動力左右差が発生した場合、電動パワーステアリング装置のモータを駆動させ、駆動力左右差に伴い発生する操向輪の舵角変化を解消する電動操舵車両の操向輪制御構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−129927号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、操向輪の舵角変化を解消して操向輪が直進方向に向いたとしても、駆動力左右差自体は解消されていないため、この駆動力左右差に伴い車両が偏向するという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、駆動力左右差に伴う車両偏向を解消することができる車両偏向抑止装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明の車両偏向抑止装置では、
車両の発進時、車輪の駆動力左右差に伴う車両偏向の発生を検出する車両偏向発生検出手段と前記車両偏向の発生を予測する車両偏向発生予測手段の少なくとも一方の手段と、
ドライバから操舵入力を受けるハンドルから該ハンドルと機械的に連結された前輪までで構成される操舵系に対しドライバの操舵力を補助するアシスト力を出力するアシストアクチュエータと、
前記車両偏向の発生が検出または予測されたとき、前記アシストアクチュエータを駆動制御し、前記車両偏向を打ち消す方向に前記前輪を転舵させる車両偏向抑止制御手段と、
を備え
前記車両偏向抑止制御手段は、前記前輪を転舵させても前記ハンドルが回転しない前記ハンドルの遊び量に対応する範囲内で前記前輪を転舵させることを特徴とする。
よって、本発明にあっては、検出または予測された車両偏向を打ち消すように車両の旋回挙動を変更するため、駆動力左右差に伴う車両偏向を抑制することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜4に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、横置きエンジンを搭載した前輪駆動車(FF車)に適用された実施例1の車両偏向抑止装置を示す全体図であり、このFF車は、駆動源(エンジンおよび自動変速機)に接続される差動装置が車幅方向中心からオフセットして配置されている。
ドライバの舵取り操作用のハンドル1と、舵取り動作を行う舵取り機構2とを連結するコラムシャフト3に、ハンドル1に加わる操舵トルクを検出するトルクセンサ4と、ハンドル1の操舵角を検出する操舵角センサ5と、ドライバの操舵力を補助するアシストモータ(アシストアクチュエータ)6とが配置されている。
ハンドル1は、図示しない車室内部のドライバと対向する位置に、軸周りに回動可能に設けられている。舵取り機構2は、コラムシャフト3の下端に一体形成された図外のピニオンと、これに噛合するラック軸7とを備えるラック&ピニオン式のステアリングギア8により構成されている。ラック軸7は、図示しない車両前部に、左右方向摺動可能に固定されており、その両端は、左右のタイロッド9a,9bを介して前輪10a,10bに連結されている。
アシストモータ6は、例えば、DCブラシレスモータを用い、モータの発生トルクをコラムシャフト3の回転トルクに変換する減速機6aを介して、コラムシャフト3に結合されている。このアシストモータ6に供給されるモータ電流は、パワーステアリングコントロールユニット(以下、PSコントロールユニットと略記する。)11により制御されている。
PSコントロールユニット11には、トルクセンサ4により検出された操舵トルクと、操舵角センサ5により検出された操舵角と、トランスミッションコントロールユニット15から自動変速機(不図示)の変速段数と、が入力される。同時に、エンジンコントロールユニット12を介して、各車輪速センサ13により検出された車輪速と、アクセル開度センサ14により検出されたアクセル開度とが入力される。
PSコントロールユニット11は、各入力情報に基づいて、アシストモータ6の目標電流値を算出し、アシストモータ6の実電流値が、算出された目標電流値と一致するように、アシストモータ6を駆動する通常アシスト制御を行う。
また、PSコントロールユニット11は、車両の発進時、各入力情報に基づいて駆動力左右差に伴う車両偏向の発生を予測し、車両偏向を打ち消すようにアシストモータ6を駆動して前輪10a,10bを転舵させる車両偏向抑止アシスト制御(旋回挙動変更制御)を行う。
次に、作用を説明する。
[アシスト制御処理]
図2は、実施例1のPSコントロールユニット11で実行されるアシスト制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、この制御処理は、所定の制御周期毎に実行される。
ステップS1では、各車輪速センサ12により検出された各車輪速の平均値である車速(車体速)と、操舵角センサ5により検出された操舵角と、操舵角の時間微分値である操舵角速度と、アクセル開度センサ14により検出されたアクセル開度と、自動変速機の変速段数とを読み込み、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、ステップS1で読み込んだ各パラメータに基づいて、車両偏向が発生するかどうかを判断する(車両偏向発生予測手段に相当)。YESの場合にはステップS3へ移行し、NOの場合にはステップS4へ移行する。ここでは、下記に示した3つの条件のいずれか1つが成立しないとき、車両偏向が発生しないと判断し、通常アシストに復帰する。
以下の3つの条件が全て成立したとき、車両偏向の発生条件とする。
条件1:車両発進条件:車速が20km/h以下(車両発進条件)
条件2:中立維持条件:操舵角が操舵中立位置から左右に±5deg以下、かつ、操舵角速度が30deg/sec以下
条件3:駆動力条件:アクセル開度が70%以上、かつ、変速段数が1または2段
ステップS3では、車両偏向を抑止する方向にアシストモータ6を駆動する車両偏向抑止アシスト制御を実行し(車両偏向抑止制御手段に相当)、ステップS4へ移行する。具体的には、予測された車両偏向を打ち消す方向にアシスト力を発生させて前輪10a,10bを転舵させる。このとき、前輪10a,10bの転舵量が、前輪10a,10bを転舵させてもハンドル1が回転しないハンドル1のステアリング遊び量に対応する範囲内に収まるようにアシストモータ6を駆動する。実施例1では、ステアリング遊び量に対応する前輪転舵角を、前輪転舵角の±3°に設定している
ステップS4では、通常アシスト制御を実施し、リターンへ移行する。
[車両偏向抑止作用]
発進時に車両偏向の発生が予測された場合には、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2やステップS3へと進み、ステップS2で車両偏向抑止アシスト制御が不要と判断がなされるまで、ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進む流れが繰り返され、ステップS3において、予測された車両偏向を打ち消す方向に前輪10a,10bを転舵させる車両偏向抑止アシスト制御が実行される。
このとき、前輪10a,10bの転舵角をステアリング遊び量の範囲内とし、ステアリング遊び量の範囲内となるように前輪舵角を3°変化させるため、実際に前輪10a,10bに駆動力差が発生したとき、ステアリング遊び量だけラック軸7が移動し、車両偏向が発生するのを未然に防ぐことができる。
このとき、前輪10a,10bの転舵角をステアリング遊び量の範囲内に設定しているため、車両偏向を打ち消すためにアシストモータ6を駆動して前輪10a,10bを転舵させた場合でも、ハンドル1は回転しない(図3)。よって、前輪10a,10bの駆動力差によるトルクステア(ハンドル1が回転してしまう現象)を防止すると共に、車両偏向抑止アシスト制御によりハンドル1が回転し、ドライバに違和感を与えるのを防止できる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両偏向抑止装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 駆動源(エンジンおよび自動変速機)に接続される差動装置が車幅方向中心からオフセットして配置されたFF車において、車両の発進時、前輪の駆動力左右差に伴う車両偏向の発生を予測する車両偏向発生予測手段(ステップS2)と、車両の旋回挙動を変更する旋回挙動変更手段(アシストモータ6)と、車両偏向の発生が予測されたとき、車両偏向を打ち消すように旋回挙動変更手段を駆動制御する車両偏向抑止制御手段(ステップS3)と、を備えるため、駆動力左右差に伴う車両偏向を解消することができる。
(2) 旋回挙動変更手段は、前輪10a,10bを転舵させる転舵アクチュエータ(アシストモータ5)であり、車両偏向抑止制御手段は、車両偏向を打ち消す方向に前輪10a,10bを転舵させるため、車両偏向を確実に抑止することができる。
(3) 前輪10a,10bは、ドライバから操舵入力を受けるハンドル1と機械的に連結され、転舵アクチュエータは、操舵系に対しドライバの操舵力を補助するアシスト力を出力するアシストモータ6であり、車両偏向抑止制御手段は、ステアリングギアバックラッシュ等によるステアリング遊び量に対応する範囲内で前輪10a,10bを転舵させるため、車両偏向を解消しつつ、ドライバに与える違和感を防止できる。
(4) 車両偏向発生予測手段は、車両の発進時のとき成立する車両発進条件、ハンドル1が中立位置に維持されているとき成立する中立維持条件、エンジンの駆動力が所定駆動力以上のとき成立する駆動力条件、の3つの条件が全て成立したとき、車両偏向が発生すると予測するため、車両偏向の発生を確実に予測できる。
(5) 車両発進条件は、車速が所定速度(20km/h)以下のとき成立し、中立維持条件は、ハンドル1の操舵角が所定角度(操舵中立位置から左右に±5deg)以下、かつ操舵角速度が所定速度(30deg/sec)以下のとき成立し、駆動力条件は、アクセル開度が所定開度(70%)以上、かつ、自動変速機の変速段数が所定段数以下(1段または2段)のとき成立するため、通常の車両制御に用いられるパラメータを用いて、車両偏向の発生を予測できる。
(6) PSコントロールユニット11は、車両発進条件、中立維持条件または駆動力条件のいずれか1つが成立しないとき、車両偏向抑止アシスト制御を終了し、通常アシスト制御に復帰する(ステップS4)ため、車両偏向が解消されたにもかかわらず、車両偏向抑止アシスト制御が継続されることで、操舵トルク変動や前輪10a,10bの転舵角変動が発生するのを防止できる。
実施例2は、車両偏向量を打ち消す前輪転舵量を算出すると共に、算出された前輪転舵量がステアリング遊び量に対応する転舵角範囲を超えないように、ステアリング遊び量を調整する例である。
まず、構成を説明する。
図4は、実施例2の車両偏向抑止装置を示す全体図であり、実施例2は、アシストモータ6が減速機6aを介してラック軸7に連結されている点で実施例1の構成と異なる。また、実施例2では、舵取り機構2に遊び量調整手段17が設けられている。
図5は、実施例2の車両偏向抑止装置のステアリングラックを示す図である。ラックハウジング16には、コラムシャフト3のピニオン3aとラック軸7のラック7aとの隙間を調整する遊び量調整手段17が設けられている。
この遊び量調整手段17は、モータ18と、ホルダ19と、コイルスプリング20と、リテーナ21とを備えている。ホルダ19は、モータ回転軸18aの先端部に設けられ、モータ回転軸18aに対し軸方向のみ相対移動可能に支持されている。このホルダ19の外周には、雄ねじ部19aが形成されている。この雄ねじ部19aは、ラックハウジング16に形成された雌ねじ部16aにねじ込まれている。また、コイルスプリング20は、ホルダ19とリテーナ21との間に設けられ、リテーナ21をラック軸7側に付勢している。
すなわち、遊び量調整手段17は、モータ18の回転によりホルダ19の締め込み量を変化させ、ピニオン3aとラック7aとの接触圧力を変化させることで、ステアリング遊び量を調整する。なお、ホルダ19、コイルスプリング20およびリテーナ21は、一般的なステアリングラックにおいてステアリング遊び量の初期調整のために既に設けられているため、これにモータ18のみを加えることで、実施例2の遊び量調整手段17を構成することが可能である。
PSコントロールユニット11は、車両の発進時に車両偏向の発生を予測したとき、車輪速センサ13からの各車輪速と、アクセル開度センサ14からのアクセル開度と、トランスミッションコントロールユニット15からの自動変速機の変速段数とに基づいて、車両偏向量を推定し、この偏向量を打ち消す前輪転舵量を算出する。
そして、PSコントロールユニット11は、算出された前輪転舵量がステアリング遊び量に対応する転舵角範囲を超える場合には、遊び量調整手段17のモータ18を駆動してステアリング遊び量を増加させ、偏向量を打ち消す前輪転舵量にステアリング遊び量を一致させた後、車両偏向抑止アシスト制御を実施する。
次に、作用を説明する。
[アシスト制御処理]
図6は、実施例2のPSコントロールユニット11で実行されるアシスト制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図6において、ステップS11、ステップS16は、図2のステップS1、ステップS3と同一の処理を行うため、説明を省略する。
ステップS12では、ステップS2と同様の判断をした後、YESであればステップS13へ移行し、NOであればステップS17へ移行する。
ステップS13では、ステップS11で読み込んだ各パラメータと、車両の諸元に基づいて、発生する車両偏向量を推定するとともに、この偏向量を打ち消す前輪転舵量を算出し(転舵量算出手段に相当)、ステップS14へ移行する。
ステップS14では、ステップS13で予測した舵角変化量が、現在のステアリング遊び量よりも大きいかどうかを判断する。YESの場合にはステップS15へ移行し、NOの場合にはステップS16へ移行する。
ステップS15では、ステップS13で算出した前輪転舵量がステアリング遊び量に対応した転舵角範囲内に収まるように、モータ18を駆動してステアリング遊び量を増加させ(遊び量制御手段)、ステップS16へ移行する。
また、ステップS12でNOと判断され、ステップS17へ移行した場合、ステップS17では、あらかじめ設定されたステアリング遊び量よりも現在のステアリング遊び量が大きいかどうかを判断する。YESの場合にはステップS18へ移行し、NOの場合にはステップS19へ移行する。
ステップS18では、遊び量調整手段17のモータ18を駆動させ、ステップS15で増加させたステアリング遊び量を、通常の値へ戻す。
ステップS19では、通常アシスト制御を実施し、リターンへ移行する。
[ステアリング遊び量調整作用]
発進時に車両偏向の発生が予測された場合には、図6のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14へと進む。そして、車両偏向を打ち消す前輪転舵量がステアリング遊び量に対応する転舵角範囲よりも大きい場合には、ステップS14→ステップS15→ステップS16へと進む。一方、車両偏向により発生する舵角変化量がステアリング遊び量以下である場合には、ステップS14→ステップS16へと進む。
すなわち、車両偏向を打ち消す前輪転舵量がステアリング遊び量に対応する転舵角範囲を超える場合には、ステップS15において、遊び量調整手段17を駆動し、ステアリング遊び量に対応する転舵角範囲を前輪転舵角と一致させた後、ステップS16において、車両偏向抑止アシスト制御が実行される。
ここで、図7に示すように、ステアリング遊び量を調整しない場合には、その超過量に対応する量だけハンドル1が回転してしまい、ドライバに違和感を与えることになる。
これに対し、実施例2では、車両偏向を打ち消す前輪転舵量に応じてステアリング遊び量を調整することにより、前輪転舵量にかかわらずラック軸7の横移動をステアリング遊び量で吸収でき、コラムシャフト3に伝達しないようにすることができる。よって、車両偏向アシスト制御に伴うハンドル1の回転を防止できるため、ドライバに違和感を与えることがない。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両偏向抑止装置にあっては、実施例1の効果(1)〜(6)に加え、下記に列挙する効果が得られる。
(7) 駆動源(エンジンおよび自動変速機)の駆動力に基づいて車両偏向により発生する舵角変化量を予測する舵角変化量予測手段(ステップS13)と、ステアリング遊び量を調整する遊び量調整手段17と、を備え、PSコントロールユニット11は、ステアリング遊び量を予測された舵角変化量に調整した後、舵角変化量を打ち消すアシスト力を発生させるため、ドライバに違和感を与えることなく、車両偏向の発生を未然に防ぐことができる。
(8) アシストモータ6は、ステアリングギアよりも前輪10a,10b側の操舵系に連結され、駆動源(エンジンおよび自動変速機)の駆動力に基づいて車両偏向を打ち消す前輪転舵量を算出する転舵量算出手段(ステップS13)と、ステアリング遊び量を調整する遊び量調整手段17と、車両偏向を打ち消す前輪転舵量がステアリング遊び量に対応する転舵角範囲を超えるとき、その超過量に応じてステアリング遊び量が増加するように遊び量調整手段17を駆動制御する遊び量制御手段(ステップS15)と、を備える。よって、予測された車両偏向量が大きい場合でも、ドライバに違和感を与えることなく車両偏向を解消できる。
実施例3は、旋回挙動変更手段として、前輪舵角に対するハンドルの操舵角の比であるステアリングギア比を可変する可変ギア比アクチュエータを設けた例である。
まず、構成を説明する。
図8は、実施例3の車両偏向抑止装置の構成を示す全体図である。
図8(a)に示すように、可変ギア比アクチュエータ20は、ハンドル1に連結したコラムアッパ3aと、前輪10a,10bに連結したステアリングギア8を駆動するコラムロア3bの経路の途中に設けられている。コラムロア3bは、図外のステアリングギアを介して図1に示した舵取り機構2と連結されている。
この可変ギア比アクチュエータ20は、モータ21を備え、このモータ21の回転数および回転方向を制御することにより、コラムアッパ3aへの入力を変速してコラムロア3bに出力する。モータ21に供給される電流は、可変ギア比コントロールユニット22により制御されている。
可変ギア比コントロールユニット22は、ハンドル1の操舵角と車輪速とから目標前輪舵角を演算し、実転舵角が目標転舵角となるようにモータ21をフィードバック制御する。
また、可変ギア比コントロールユニット22は、車両の発進時に車両偏向の発生を予測したとき、実施例2と同様に、操舵角、操舵トルク、車輪速、アクセル開度および自動変速機の変速段数に基づいて、車両偏向を打ち消す前輪転舵量を算出する(転舵量算出手段に相当)。そして、可変ギア比コントロールユニット20は、算出された車両偏向を打ち消す前輪転舵量に応じて、モータ21を駆動する車両偏向抑止ギア比可変制御を行う(車両偏向抑止制御手段に相当)。
可変ギア比アクチュエータ20は、図8(b)に示すように、太陽ギア20aと、遊星ギア20bを支持するキャリア20dと、リングギア20cとを有する遊星機構であり、遊星ギア20bは、太陽ギア20aとリングギア20cとに噛み合いながら接している。
太陽ギア20aは、コラムアッパ3aと連結されている。遊星ギア20bは、キャリア20dに支持されている。キャリア20dは、コラムロア3bと連結されている。リングギア20cは、図外のケースにニードルベアリングを介して支持されている。リングギア20cの外周には、ウォームホイール20eが噛み合い、このウォームホイール20eは、モータ21の出力軸に設けられたウォームギア20fと噛み合っている。
次に、作用を説明する。
実施例3では、実施例2と同様に、発進時に車両偏向の発生が予測された場合には、車両偏向を打ち消す前輪転舵量を算出し、可変ギア比アクチュエータ20を駆動して前輪10a,10bを転舵させることにより、車両偏向の発生を防止することができる。
また、可変ギア比アクチュエータ20は、コラムアッパ3aを停止させた状態で、コラムロア3bのみを回転させることが可能であるため、車両偏向を打ち消す前輪転舵量がステアリング遊び量を超えている場合でも、ハンドル1を回ることなく前輪10a,10bを転舵させることができる。すなわち、ステアリング遊び量にかかわらず、ドライバに与える違和感を防止しつつ、車両偏向抑止ギア比可変制御を実施することができる。
図9は、可変ギア比アクチュエータ20の共線図であり、入力であるサンギア20aの回転が停止した状態でも、リングギア20cに連結されたモータ21を駆動することにより、出力であるキャリア20dの回転量を調整可能であることがわかる。
次に、効果を説明する。
実施例3の車両偏向抑止装置にあっては、実施例1の効果(1),(4)〜(6)に加え、下記の効果が得られる。
(9) 前輪10a,10bはドライバから操舵入力を受けるハンドル1と機械的に連結され、駆動源(エンジンおよび自動変速機)の駆動力に基づいて車両偏向を打ち消す前輪転舵量を算出する転舵量算出手段を備え、旋回挙動変更手段は、前輪転舵角に対するハンドル1の操舵角の比であるステアリングギア比を可変する可変ギア比アクチュエータ20であり、車両偏向抑止制御手段は、前輪転舵量に応じて可変ギア比アクチュエータ20を駆動制御するため、ドライバに違和感を与えることなく、車両偏向の発生を防止することができる。
実施例4は、車両偏向の発生が予測されたとき、ステアリング遊び量を小さくする例である。
まず、構成を説明する。
図10は、実施例4の車両偏向抑止装置を示す全体図であり、実施例4の車両偏向抑止装置は、図1に示した実施例1の構成に対し、実施例2の遊び量調整手段17を加えた点のみが異なり、他の構成は同一であるため、説明を省略する。
PSコントロールユニット11は、車両の発進時、駆動力左右差に伴う車両偏向の発生が予測されたとき、遊び量調整手段17のモータ18を駆動してステアリングギア8のバックラッシュによる遊び量をあらかじめ設定された遊び量しきい値となるまで減少させる(遊び量制御手段に相当)。続いて、予測された車両偏向を打ち消すようにアシストモータ6を駆動し、前輪10a,10bを転舵させる車両偏向抑止アシスト制御を行う(車両偏向抑止制御手段に相当)。
次に、作用を説明する。
実施例4のように、アシストモータ6がコラムシャフト3、すなわちステアリングギア8よりもハンドル側の操舵系に設けられている場合、コラムシャフト3に出力されたモータトルクは、ステアリングギア8を介してラック軸7に伝達されることとなる。このとき、ステアリングギア8にはバックラッシュによる遊び量が設定されているため、モータトルクがラック軸7に伝達される前に、バックラッシュによる遊び量の分だけ駆動力左右差に伴いラック軸7が動き、前輪10a,10bが転舵されてしまうことがある。
これに対し、実施例4では、車両偏向の発生が予測されたとき、アシストモータ6を駆動する前に遊び量調整手段17を用いてステアリングギア8のバックラッシュによる遊び量を少なくしておくことにより、上述した遊び量の分だけラック軸7が動くのを防止できると共に、アシストモータ6の回転を素早くラック軸7に伝達することができる。
次に、効果を説明する。
実施例4の車両偏向抑止装置にあっては、実施例1の効果(1),(4)〜(6)に加え、下記の効果が得られる。
(10) 前輪10a,10bは、ドライバから操舵入力を受けるハンドル1と機械的に連結され、転舵アクチュエータは、コラムシャフト3に対しドライバの操舵力を補助するアシスト力を出力するアシストモータ6であり、ステアリングギア8のバックラッシュによる遊び量を調整する遊び量調整手段17と、車両偏向の発生が予測されたとき、ステアリングギア8のバックラッシュによる遊び量が小さくなるように遊び量調整手段17を駆動制御する遊び量制御手段と、を備え、車両偏向抑止制御手段は、ステアリングギア8のバックラッシュによる遊び量があらかじめ設定された遊び量しきい値以下となった後、前輪10a,10bを転舵させるため、ステアリングギア8のバックラッシュによる遊び量を減らした分だけ転舵アクチュエータの操作量を減らして効率的に車両の偏向を防止できる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜4に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1〜4に示した構成に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、本発明の車両偏向抑止装置が適用される車両は、エンジンとトランスミッションを駆動源とするエンジン駆動車に限らず、モータとトランスミッションを駆動源とする電気自動車や、エンジンとモータとを駆動源とするハイブリッド車にも適用できる。また、横置きエンジンを搭載した前輪駆動車に限らず、左右の駆動輪の駆動力の差により車両の偏向が生じる車両にも適用できる。
また、実施例1〜4では、車両偏向発生予測手段により、車両の偏向を予測しているが、本発明は、これに限らず、車両の偏向を検出する、例えば、ヨーレートセンサ等の車両偏向発生検出手段を適用できる。さらに、車両偏向予測手段と車両偏向発生検出手段の両方を用いても良い。
横置きエンジンを搭載した前輪駆動車(FF車)に適用された実施例1の車両偏向抑止装置を示す全体図である。 実施例1のPSコントロールユニット11で実行されるアシスト制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の車両偏向抑止アシスト制御における操舵角および前輪舵角変化を示す図である。 実施例2の車両偏向抑止装置を示す全体図である。 実施例2の車両偏向抑止装置のステアリングラックを示す図である。 実施例2のPSコントロールユニット11で実行されるアシスト制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2の車両偏向抑止アシスト制御における操舵角および前輪転舵角変化を示す図である。 実施例3の車両偏向抑止装置の構成を示す全体図である。 可変ギア比アクチュエータ20の共線図である。 実施例4の車両偏向抑止装置の構成を示す全体図である。
符号の説明
1 ハンドル
2 舵取り機構
3 コラムシャフト
4 トルクセンサ
5 操舵角センサ
6 アシストモータ
7 ラック軸
8 ステアリングギア
9a,9b タイロッド
10a,10b 前輪
11 パワーステアリングコントロールユニット
12 エンジンコントロールユニット
13 車輪速センサ
14 アクセル開度センサ
15 トランスミッションコントロールユニット

Claims (5)

  1. 車両の発進時、車輪の駆動力左右差に伴う車両偏向の発生を検出する車両偏向発生検出手段と前記車両偏向の発生を予測する車両偏向発生予測手段の少なくとも一方の手段と、
    ドライバから操舵入力を受けるハンドルから該ハンドルと機械的に連結された前輪までで構成される操舵系に対しドライバの操舵力を補助するアシスト力を出力するアシストアクチュエータと、
    前記車両偏向の発生が検出または予測されたとき、前記アシストアクチュエータを駆動制御し、前記車両偏向を打ち消す方向に前記前輪を転舵させる車両偏向抑止制御手段と、
    を備え
    前記車両偏向抑止制御手段は、前記前輪を転舵させても前記ハンドルが回転しない前記ハンドルの遊び量に対応する範囲内で前記前輪を転舵させることを特徴とする車両偏向抑止装置。
  2. 請求項1に記載の車両偏向抑止装置において、
    前記アシストアクチュエータは、前記ハンドルの回転を前記前輪に伝達して転舵させるステアリングギアよりも前記前輪側の操舵系に連結され、
    前記車輪を駆動させる駆動源の駆動力に基づいて前記車両偏向を打ち消す前輪転舵量を算出する転舵量算出手段と、
    前記遊び量を調整する遊び量調整手段と、
    前記転舵量算出手段が算出した前記前輪転舵量が前記遊び量に対応する転舵角範囲を超えるとき、前記ステアリングギアのバックラッシュによる前記遊び量が増加するように前記遊び量調整手段を駆動制御し、前記遊び量に対応する転舵角範囲を前記前輪転舵量と一致させる遊び量制御手段と、
    を備え、
    前記車両偏向抑止制御手段は、前記遊び量に対応する転舵角範囲が前記前輪転舵量と一致した後、前記前輪を転舵させることを特徴とする車両偏向抑止装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両偏向抑止装置において、
    前記車両偏向発生予測手段は、
    車両の発進時のとき成立する車両発進条件、
    ドライバから操舵入力を受けるハンドルが中立位置に維持されているとき成立する中立維持条件、
    前記車輪を駆動させる駆動源の駆動力が所定駆動力以上のとき成立する駆動力条件、
    の3つの条件が全て成立したとき、前記車両偏向が発生すると予測することを特徴とする車両偏向抑止装置。
  4. 請求項に記載の車両偏向抑止装置において、
    前記車両発進条件は、車速が所定速度以下のとき成立し、
    前記中立維持条件は、前記ハンドルの操舵角が所定角度以下、かつ操舵角速度が所定速度以下のとき成立し、
    前記駆動力条件は、アクセル開度が所定開度以上、かつ、前記駆動源の変速段数が所定段数以下のとき成立することを特徴とする車両偏向抑止装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の車両偏向抑止装置において、
    前記車両偏向抑止制御手段は、前記車両発進条件、中立維持条件または駆動力条件のいずれか1つが成立しないとき、前記車両偏向を打ち消す旋回挙動変更制御を停止することを特徴とする車両偏向抑止装置。
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