JP4622406B2 - 水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法 - Google Patents
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Description
(2)その触媒量が少量で所望の効果が得られること、
(3)当該触媒を賦活処理せずに核水素化反応に繰り返し供しても高い転化率と選択率を維持できること、
を見出し、係る知見に基づいて本発明を完成するに至った。
又、本発明の製造方法により得られた水素化芳香族ポリカルボン酸は、原料の芳香族ポリカルボン酸が極微量であるか或いは実質的に含有していないので、透明性や溶剤可溶性等を有する機能性ポリイミドやポリエステルのモノマー原料、透明性を有する機能性エポキシ樹脂の硬化剤原料などに有用である。
担体にγ結晶形のアルミナを選択し、且つその比表面積を上記範囲とすることにより、反応毎に当該触媒の賦活処理を施す必要がなくなり、触媒活性の有意な向上が認められる。
例えば、バッチ式で核水素化反応を行った場合、その反応条件にもよるが、反応毎に賦活処理を施す必要がなく、連続的に当該核水素化反応に供しても、その触媒活性の低下が非常に小さいか或いは実質的な低下が認められない。このような利点は、生産コストの低減に大きく寄与する。
また該反応溶媒は、当該水素化芳香族ポリカルボン酸に対して適当な溶解度を有する必要がある。
また、本発明に係る水素化芳香族ポリカルボン酸を電気・電子分野に利用する場合には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄等の金属成分の含有量が極力少ない水を用いることが好ましい。
(i)芳香族ポリカルボン酸が水に溶解し易いので核水素化反応が進行し易い、
(ii)得られた水素化芳香族ポリカルボン酸が水へ溶解し易いので、当該触媒との分離が容易である、
(iii)当該触媒を分離した後、その濾液を濃縮若しくは冷却することにより、水素化芳香族ポリカルボン酸を晶析させ、これを濾過や遠心分離などで固液分離することにより、より高純度の水素化芳香族ポリカルボン酸が得られ易い、
などの利点が得られる。
当該基質濃度は、目的物の水素化芳香族ポリカルボン酸が核水素化反応の反応温度でその大部分が溶解する程度であることが好ましい。
尚、上述の原料の芳香族ポリカルボン酸の含有量が極微量であるか或いは実質的に含有していないとは、ガスクロマトグラフィー法において原料の芳香族ポリカルボン酸の検出下限以下であることを意味する。
ガスクロマトグラフィー法(以下、GLC法という。)による組成分析を行った。
<前処理>
サンプルをジエチレングリコールジメチルエーテルに固形物濃度として6重量%となるように溶解させた。次に、その溶液をジアゾメタンでメチルエステル化してGLC用サンプルを調製した。尚、注入量は0.8μLである。
<GLC分析条件>
GLC分析装置;GC−17A(島津製作所(株)製)
キャピラリーカラム;CBP−10−25M−0.25(島津製作所(株)製)
インジェクション温度;250℃
検出器温度;250℃
カラム温度;140〜240℃,昇温速度;4℃/分
キャリアーガス;ヘリウム
キャリアガス圧力;130KPa
検出器;FID
上記GLC組成分析から得られる原料の芳香族ポリカルボン酸に相当するピーク面積比A(%)から、式(1)を用いて転化率を算出した。
転化率(%)=(100−A) (1)
上記転化率C(%)及び目的物の水素化芳香族ポリカルボン酸に相当するピーク面積比B(%)から、式(2)を用いて選択率を算出した。
選択率(%)=(B/C)×100 (2)
目的物の水素化芳香族ポリカルボン酸に相当するピーク面積比B(%)を、反応中間物の場合に反応収率(%)とし、乾燥物の場合に純度(面積%)とした。
原料の芳香族ポリカルボン酸の仕込み重量D(g)を基準として、水素化、晶析、乾燥して得られた乾燥物の重量E(g)から、式(3)を用いて収率を算出した。
収率(重量%)=(E/D)×100 (3)
攪拌機、温度計、圧力計及び導入管を具備した500mLのSUS316−L製オ−トクレ−ブに、ピロメリット酸20g、イオン交換水80g及び担体の比表面積150m2/gの5重量%ロジウム−γ−アルミナ担持触媒(エヌ・イ−ケムキャット社製)1.6g(ロジウム金属として0.4重量部)を仕込み、撹拌しながら系内を窒素ガスで2回、次いで水素ガスで5回置換した。置換後、水素分圧5MPaを保持しながら昇温し、反応温度60℃で1.5時間核水素化反応を行った。
反応液をオ−トクレ−ブから抜き出し、触媒を吸引濾過(濾紙;No.5C)して、無色透明の濾液を得た。この濾液(反応粗物)をGLC法で分析した。その分析結果(ピロメリット酸の転化率、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の選択率及び反応収率)を表2に示した。
次に、上記の濾液から反応溶媒を減圧留去(オイルバス温度;105℃)して50重量%まで濃縮した。次に、室温まで冷却した後、析出した固体を吸引濾過し、少量の冷水で濾過物を洗浄した。得られた固体を90℃、0.7KPaで10時間減圧乾燥して、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸14.3g(収量71.5重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
尚、表1には、実施例1並びに後述の実施例2〜17及び比較例1〜4の核水素化反応の反応条件を示した。
ロジウム−γ−アルミナ担持触媒1.6gを1.2gに代え、反応時間1.5時間を2時間に変えた他は、実施例1と同様に行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。
又、実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸14.2g(収量71重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
実施例2で濾別したロジウム−γ−アルミナ担持触媒を、直ちに当該オ−トクレ−ブにピロメリット酸20g及びイオン交換水80gと共に仕込み、実施例2と同様に核水素化反応を行った。その後、同様の操作を4回繰り返して、触媒のリサイクル実験を行った。
実施例1と同様に5回目の触媒リサイクルで得た反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。分析結果から、触媒の活性低下は殆ど認められなかった。
又、該反応粗物を実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸14.1g(収量70.5重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
ピロメリット酸20gを30gに、イオン交換水80gを90gに、5重量%ロジウム−γ−アルミナ担持触媒1.2gを1.8gに、反応時間2時間を2.5時間に変えた他は、実施例2と同様に行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。
又、実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸21.3g(収量71重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
実施例4で濾別したロジウム−γ−アルミナ担持触媒を、直ちに当該オ−トクレ−ブにピロメリット酸30g及びイオン交換水90gと共に仕込み、実施例4と同様に核水素化反応を行った。その後、同様の操作を4回繰り返して、触媒のリサイクル実験を行った。
実施例1と同様に5回目の触媒リサイクルで得た反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。分析結果から、触媒の活性低下は殆ど認められなかった。
又、該反応粗物を実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸21.3g(収量71重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
反応溶媒をイオン交換水を蒸留水に代え、反応温度60℃を50℃に、反応時間2時間を2.5時間に変えた他は、実施例2と同様に行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。又、実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸14.2g(収量71重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
ロジウム−γ−アルミナ担持触媒の担体の比表面積150m2/gを100m2/gに代えた他は、実施例2と同様に行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。又、実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸14.0g(収量70重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
ロジウム−γ−アルミナ担持触媒の担体の比表面積150m2/gを300m2/gに代えた他は、実施例2と同様に行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。又、実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸13.9g(収量69.5重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
先に、当該オートクレーブにロジウム−γ−アルミナ担持触媒1.2g及び水80gを入れ、系内を窒素ガスで2回、次いで水素ガスで5回置換した。置換後、水素分圧5MPa、処理温度60℃、処理時間1時間還元して活性化した。次に、ピロメリット酸20gを入れて、水素分圧5MPa、反応温度60℃で1.5時間核水素化反応を行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。その結果、反応時間が短縮された。
又、実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸14.1g(収量70.5重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
ピロメリット酸20gをトリメリット酸20gに代え、反応時間2時間を2.5時間に変えた他は、実施例2と同様に行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その分析結果(トリメリット酸の転化率、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸の選択率及び反応収率)を表2に示した。
又、実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸14.0g(収量70重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
実施例10で濾別したロジウム−γ−アルミナ担持触媒を、直ちに当該オ−トクレ−ブにピロメリット酸20g及びイオン交換水80gと共に仕込み、実施例10と同様に核水素化反応を行った。その後、同様の操作を4回繰り返して、触媒のリサイクル実験を行った。
実施例1と同様に5回目の触媒リサイクルで得た反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。分析結果から、触媒の活性低下は殆ど認められなかった。
又、該反応粗物を実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸14.1g(収量70.5重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
ロジウム−γ−アルミナ担持触媒の担体の比表面積150m2/gを100m2/gに代えた他は、実施例10と同様に行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。
又、実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸13.9g(収量69.5重量%)得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
ロジウム−γ−アルミナ担持触媒の担体の比表面積150m2/gを300m2/gに代えた他は、実施例10と同様に行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。
又、実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸13.8g(収量69重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
[実施例14]
ピロメリット酸20gをトリメシン酸20gに代え、反応時間2時間を1時間に変えた他は、実施例2と同様に行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その分析結果(トリメシン酸の転化率、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸の選択率及び反応収率)を表2に示した。
又、実施例1と同様に後処理を行って、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸14.2g(収量71重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
実施例14で濾別したロジウム−γ−アルミナ担持触媒を、直ちに当該オ−トクレ−ブにピロメリット酸20g及びイオン交換水80gと共に仕込み、実施例14と同様に核水素化反応を行った。その後、同様の操作を4回繰り返して、触媒のリサイクル実験を行った。
実施例1と同様に5回目の触媒リサイクルで得た反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。分析結果から、触媒の活性低下は殆ど認められなかった。
又、該反応粗物を実施例1と同様に後処理を行って、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸14.1g(収量70.5重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
ロジウム−γ−アルミナ担持触媒の担体の比表面積150m2/gを100m2/gに代えた他は、実施例14と同様に行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。
又、実施例1と同様に後処理を行って、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸14.0g(収量70重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
ロジウム−γ−アルミナ担持触媒の担体の比表面積150m2/gを300m2/gに代えた他は、実施例14と同様に行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。
又、実施例1と同様に後処理を行って、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸14.0g(収量70重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
比表面積150m2/gのロジウム−γ−アルミナ担持触媒を、比表面積794m2/gのカーボン担体にロジウム金属を担持した触媒(以下、ロジウム−カーボン担持触媒という。エヌ・イ−ケムキャット社製)に代えた他は、実施例1と同様に行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。
又、実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸13.4g(収量67重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
ロジウム−カーボン担持触媒1.6gを2.0gに、反応時間1.5時間を2時間に変えた他は、比較例1と同様に行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。
又、実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸13.6g(収量68重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
比較例2で濾別したロジウム−カーボン担持触媒を、直ちに当該オ−トクレ−ブにピロメリット酸20g及びイオン交換水80gと共に仕込み、比較例2と同様に核水素化反応を行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。分析結果から、再使用1回にもかかわらず触媒の活性低下が認められた。
又、実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸13.5g(収量67.5重量%)を得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
比表面積150m2/gのロジウム−γ−アルミナ担持触媒を、比表面積101m2/gのチタニア担体にロジウム金属を担持した触媒(エヌ・イ−ケムキャット社製)に代えた他は、実施例2と同様に行った。
実施例1と同様に反応粗物をGLC法で分析し、その結果を表2に示した。
又、実施例1と同様に後処理を行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸12.9g(収量64.5重量%)得た。その乾燥物のGLC分析結果を表2に示した。
又、本発明の製造方法により得られた水素化芳香族ポリカルボン酸は、原料の芳香族ポリカルボン酸が極微量であるか或いは実質的に含有していないので、非常に高い透明性を必要とする高機能性ポリイミドや高機能性エポキシ樹脂の原材料として有用である。
Claims (5)
- 触媒及び反応溶媒の存在下、芳香族ポリカルボン酸を核水素化反応して水素化芳香族ポリカルボン酸を製造する方法において、該触媒がγ−アルミナ担体にロジウム金属を担持して得られるロジウム−γ−アルミナ担持触媒であって、該担体の比表面積が80〜350m2/gであり、且つ該触媒中のロジウム金属の量が芳香族ポリカルボン酸100重量部に対して0.25重量部以上0.5重量部未満の割合であり、且つ核水素化反応の水素分圧が2〜20MPaであることを特徴とし、上記芳香族ポリカルボン酸がピロメリット酸、トリメリット酸及びトリメシン酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上である水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法。
- 上記触媒が水素で活性化された触媒である請求項1に記載の水素化芳香族ポリカルボン
酸の製造方法。 - 上記反応溶媒が水である請求項1又は請求項2に記載の水素化芳香族ポリカルボン酸の
製造方法。 - 核水素化反応の反応温度が40〜90℃である請求項1〜3の何れかに記載の水素化芳
香族ポリカルボン酸の製造方法。 - 芳香族ポリカルボン酸の基質濃度が、芳香族ポリカルボン酸と反応溶媒との合計重量に
対して、5〜40重量%である請求項1〜4の何れかに記載の水素化芳香族ポリカルボン
酸の製造方法。
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