JP4618262B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents
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弁ボディと弁部材とから構成される燃料通路を燃料が通過し、噴孔プレートに形成されている噴孔を経由して噴射される燃料噴射装置で、噴孔プレートが、第一面部と段差部を介して第一面部より弁ボディ側に位置する第二面部とを有し、第一面部に噴孔の燃料入口が開口されているものがある。この燃料噴射装置においては、第一面部に流入した燃料は、段差部に衝突し噴孔を回り込みながら、噴孔へ流入して旋回流が形成され、噴孔から噴射される燃料の微粒化が促進される(例えば、特許文献1参照)。
図1は、本発明の実施の形態1の燃料噴射弁1の全体構成を示す縦断面図である。
以下、図1の紙面における縦方向を燃料噴射弁1における軸方向とし、燃料が燃料噴射弁1内を紙面において上方向から下方向へ流れて噴射され、上側を上流側、下側を下流側として説明する。
燃料噴射弁1は、樹脂製ハウジング2の内部に、電磁コイル3と固定鉄心4と磁気通路を構成する金属板5とが配置され一体成形されている。電磁コイル3は、樹脂製のボビン3aとボビン3aの外周に巻線されているコイル3bと外部との接続のために設けられたターミナル6とにより構成される。
固定鉄心4の一端部をボビン3aが囲繞し、また、固定鉄心4と同軸に、その一端部に磁気通路を構成する磁性パイプ9が非磁性パイプ11を介装させて配設され、非磁性パイプ11は固定鉄心4と磁性パイプ9とに固定されている。固定鉄心4の他端部の内部にはフィルタ16が配設され、また、アジャスタ8が固定されており、圧縮バネ7の荷重を調整する。
また、磁気通路を構成する金属板5は、その一端が固定鉄心4に溶接で固定され、他端が磁性パイプ9に溶接され、固定鉄心4と磁性パイプ9とを磁気的に連結している。
また、可動鉄心10が、非磁性パイプ11を介装した磁性パイプ9内に、軸方向に移動可能に配設されている。可動鉄心10内にニードルパイプ12の一端部が挿入されて溶接固定され、ニードルパイプ12の他端に、弁部材としてのボール13が溶接固定され、アジャスタ8により調整された圧縮バネ7の付勢力により押圧するように作用し、ボ−ル13の外周には、平坦面13aが軸方向に等角ピッチで5つ設けられている。また、磁性パイプ9の下流側端部内には、バルブシート14が配設されている。
図3は、本実施の形態の燃料噴射弁における噴孔プレート17の斜視図である。円板状の噴孔プレート17は、上流側面に噴孔プレート17と同心円状の凹部17aを有し、噴孔18が、凹部17aの側壁17bに沿って、噴孔プレート17の底面17cを貫通して設けられ、噴孔プレート17の上流側面とバルブシート14とが密接して、バルブシート14と噴孔プレート17との間に凹部17aに相当する燃料キャビティ19が形成されている。
まず、外部よりターミナル6を介して電磁コイル3に通電すると、固定鉄心4、金属板5、磁性パイプ9および可動鉄心10で構成される磁気通路に磁束が発生し、可動鉄心10が固定鉄心4に磁気吸引力により引きつけられる。これにより、可動鉄心10と一体となっているニードルパイプ12が、圧縮ばね7の付勢力に抗して図1中上側に移動し、このニードルパイプ12に溶接固定されているボール13がバルブシート14の弁座部14aから離れ開弁位置をとる。
そこで、燃料は、デリバティブパイプ(図示せず)を介して燃料噴射弁1の本体に流れ込み、フィルタ16を通過し、固定鉄心4内に配置されているアジャスタ8および圧縮ばね7、可動鉄心10およびニードルパイプ12の内部を通り、ついでバルブシート14のガイド部14bとボール13の平坦面13aとの隙間および弁座部14aとボール13の外周面との隙間を通り、さらに燃料通路14cを通って燃料キャビティ19へ供給される。燃料キャビティ19へ供給された燃料24は、噴孔18へ流入し噴射される
一方、電磁コイル3への通電を停止すると、可動鉄心10を固定鉄心4に吸引する磁気吸引力が消失する。これにより、可動鉄心10と一体となっているニードルパイプ12が、圧縮ばね7の付勢力により図1中、下側に移動し、ボール13がバルブシート14の弁座部14aに当接し閉弁位置をとる。そこで、燃料24の噴孔18からの噴射が停止される。
図4は、本実施の形態において、噴孔18から弁外部に噴射される燃料流の状態を模式的に示す要部断面図である。
バルブシート14の燃料通路14cから燃料キャビティ19中央部へ流れ込んだ軸方向の燃料24aは、その方向を変えて、燃料キャビティ19の径方向に放射状に流れる。燃料キャビティ19の径方向の流れ方向を主流方向とすると、主流方向の燃料24bは、燃料噴射弁1の中心軸と同心円状の凹部17aの側壁17bに正面から衝突する。側壁17bにおいて、燃料キャビティ19に露出している、噴孔壁18aの延長面18bに衝突した主流方向の燃料24bは、噴孔壁18aに強く押しつけられ、噴孔壁18aに沿って流れる。その結果、燃料の薄膜化が促進されて噴孔出口18cから噴射され、噴射される燃料粒子の微粒化が促進される。また、噴孔18の左右から一部回り込む燃料の流れ同士がぶつかることにより、噴出する燃料流の乱れが促進されて拡散し、噴射される粒子が良好に噴霧される。
上記のように、本実施の形態においては、噴孔18を噴孔プレート17の凹部17aの側壁17bに沿って任意に設けることができるので、噴孔18を微粒化に最適な形状に設計できると共に、噴孔18の径を大きくするのではなく噴孔18の数を増やすことにより燃料の流量を増加することができる。
本発明の実施の形態2の燃料噴射弁1は、実施の形態1の燃料噴射弁において、噴孔プレート17が図5に示すものである他は実施の形態1の燃料噴射弁と同様である。
図5は、本実施の形態の燃料噴射弁における、噴孔プレート17の形状を示す模式図であり、噴孔プレート17の上流側面に凹部17aが形成されている。凹部17aの底面17cの形状が、燃料噴射弁の中心軸と同軸の円形状で、その円周の一部が燃料噴射弁の半径方向から離れるに従がって広がる形状であり、凹部17aの側壁17bの一部は燃料噴射弁1の中心軸と同軸の円から外れ、その外れた側壁17bに沿って噴孔18が設けられている。
図6は、本実施の形態の燃料噴射弁に係る燃料キャビティ19内での燃料の流れを説明する模式図、図7は噴孔18から弁外部に噴射される燃料流の状態を模式的に示す要部断面図である。本実施の形態においては、噴孔18が、燃料噴射弁1の中心軸と同軸の円から外れた側壁17bに沿って設けられているので、凹部17aの底面17cにおいて、主流方向の燃料24bが回り込むように噴孔18に流れ込み、噴孔18内で旋回しつつ噴孔壁18aに強く押しつけられて噴孔壁18aに沿って流れ、噴孔出口18cから噴射される燃料の薄膜化が促進され、また、旋回流により拡散されて噴射される燃料粒子の微粒化が促進される。
図8は、本発明の実施の形態3の燃料噴射弁1の先端部分の一部拡大断面図であり、噴孔プレート17の噴孔18を横切る断面図であり、実施の形態1の燃料噴射弁において、噴孔18の噴孔壁18aの延長面18bに連なり、噴孔プレート17の、バルブシート14との密接側の面17dの一部が、燃料キャビティ19に露出している他は実施の形態1の燃料噴射弁と同様である。
図に示すように、燃料キャビティ19へ供給された燃料が噴孔18へ流入する際に、噴孔壁18aの延長面18bに連なる、噴孔プレート17の、バルブシート14との密接側の面17dの一部が露出しているので、燃料はこの露出面17d上にも流れ、露出面17d上の燃料流24dと、凹部の底面17cを流れる燃料流24cとが共に噴孔18に流れ込む。この際、凹部の底面17cを流れる燃料流24cが噴孔壁18aに強く押しつけられ、噴孔壁18aに沿って流れ、燃料の薄膜化が促進されて噴孔出口18cから噴射され、噴射される燃料粒子の微粒化が促進される。さらに、露出面17d上の燃料流24dにより噴孔18に流入する燃料流に流速差が生じ、噴孔18から噴射される流体の乱れが大きくなってより拡散されるので、噴射される粒子の微粒化がより促進される。
本発明の実施の形態4の燃料噴射弁1は、実施の形態3の燃料噴射弁において、噴孔プレート17が図9に示すものである他は実施の形態3の燃料噴射弁と同様である。
図9は、本実施の形態の燃料噴射弁に係る噴孔プレートの形状を模式的に示す斜視図、図10は、図9のC部における、噴孔18へ流れ込む燃料の流れ込む状態を示す斜視図である。
図に示すように、燃料キャビティ19へ供給された燃料が噴孔18へ流入する際に、噴孔壁18aの延長面18bに連なる、噴孔プレート17の、バルブシートとの密接側の面17dの一部が露出しているので、燃料はこの露出面17d上にも流れ、露出面17d上の燃料流24dと、凹部の底面17cの流路を回り込むように流れる燃料流24cとが共に噴孔18に流れ込む。
本実施の形態において、噴孔18へ流入する燃料量は、凹部の底面17cからの燃料流24cの方が、噴孔プレート17の、バルブシートとの密接側の面17dから流れ込む燃料流24dより多く、噴孔18内で燃料は旋回しつつ噴孔壁18aに強く押しつけられて噴孔壁18aに沿って流れ、噴孔出口18cから噴射される。その結果、燃料の薄膜化が促進され、噴射される燃料粒子の微粒化が促進される。さらに、噴孔プレート17の、バルブシートとの密接側の面17dからの燃料流24dにより、噴孔18に流入する燃料流に流速差が生じ、噴孔18から噴射される流体の乱れが大きくなり、より拡散されるので、噴射される粒子の微粒化がより促進される。
この場合も、実施の形態3と同様に、燃料の流量や燃料流のバラツキによらず、噴孔18内で燃料は旋回しつつ噴孔壁18aに強く押しつけられて燃料24は噴孔壁18aに沿って流れ、噴孔出口18cから噴射されるので、燃料の薄膜化が促進され、噴射される燃料粒子の微粒化が促進される。
0.05≦h/H≦1.0
であると、燃料が、噴孔壁18aに押し付けられて燃料の微粒化が促進される。また、
0.2≦h/H≦1.0
であると、さらに燃料の微粒化が促進される。
Claims (5)
- 噴孔を有する噴孔プレート、内部に燃料通路と弁座部とを有するバルブシート並びに上記弁座部に着座可能な当接部を有し、上記当接部が上記弁座部から離座又は上記弁座部に着座することにより上記燃料通路を開閉する弁部材を備えた燃料噴射弁において、
上記噴孔プレートが凹部を有し、
上記噴孔プレートと上記バルブシートとを密接させて、上記噴孔プレートと上記バルブシートとの間に上記燃料通路と上記噴孔とに連通する燃料キャビティを構成し、
上記凹部の底面の形状が、上記燃料噴射弁の中心軸と同軸の円形状で、
上記噴孔は、上記凹部の側壁面に対して窪ませて上記凹部の底面を貫通して形成され、上記噴孔の噴孔壁の延長面を上記燃料キャビティに露出させるように設けられ、
燃料流が、上記凹部の上記側壁に正面から衝突し、上記燃料流同士が上記噴孔の左右から回り込んでぶつかり、上記噴孔の出口から噴射されるようにしたことを特徴とする燃料噴射弁。 - 噴孔を有する噴孔プレート、内部に燃料通路と弁座部とを有するバルブシート並びに上記弁座部に着座可能な当接部を有し、上記当接部が上記弁座部から離座又は上記弁座部に着座することにより上記燃料通路を開閉する弁部材を備えた燃料噴射弁において、
上記噴孔プレートが凹部を有し、
上記噴孔プレートと上記バルブシートとを密接させて、上記噴孔プレートと上記バルブシートとの間に上記燃料通路と上記噴孔とに連通する燃料キャビティを構成し、
上記凹部の底面の形状が、上記燃料噴射弁の中心軸と同軸の円形状で、その円周の一部が側壁により分割された形状であり、
上記噴孔は、上記側壁に沿って上記側壁面に対して窪ませ、上記噴孔の噴孔壁の延長面を上記燃料キャビティに露出させるように設けられ、
燃料流が、上記燃料キャビティ中央部から上記燃料キャビティの径方向に放射状に流れ、上記凹部の円状側壁に正面から衝突した後、回り込むように上記噴孔に流れ込み、上記噴孔で旋回しつつ噴孔壁に沿って流れ噴射されるようにしたことを特徴とする燃料噴射弁。 - 噴孔壁の延長面に連なる、噴孔プレートの、バルブシートとの密接側の面の一部が、燃料キャビティに露出していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料噴射弁。
- 燃料キャビティに露出する噴孔壁の延長面の高さをh、燃料キャビティの高さをHとすると、
0.05≦h/H≦1.0
であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の燃料噴射弁。 - 噴孔が複数設けられ、上記噴孔の噴孔壁の延長面の高さが異なることを特徴とする請求項3に記載の燃料噴射弁。
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