JP4615503B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は内燃機関の制御装置に関し、特に使用中の燃料の燃料性状を推定する機能を有するものに関する。
特許文献1には、筒内圧センサを用いて燃焼室内に噴射された燃料の実際の着火時期を検出し、燃料噴射時期からの遅れを着火遅れとして検出し、検出した着火遅れに基づいて使用中の燃料のセタン価を推定するようにした内燃機関の制御装置が示されている。
特開2006−16994号公報
燃料の着火遅れは、機関の温度に依存して変化するため、上記従来の装置では、機関冷却水温や吸気温を比較的狭い温度範囲に限定して、セタン価の推定を実行するようにしている。しかしながら、燃料性状の推定は給油後できるだけ速やかに行うことが望ましく、より広い温度範囲で燃料性状の推定を行うことが望まれている。
また内燃機関を搭載した車両が高地にあるときにも迅速に燃料性状の推定を行うことが望ましいが、大気圧によって燃料の着火性が変化する。上記従来の装置ではこの点は考慮されていない。
本発明は上述した点に着目してなされたものであり、燃料性状の推定を実行するための条件を緩やかにして、燃料性状の推定を迅速かつ正確に行うことができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、内燃機関(1)の燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射手段(6)を備える内燃機関の制御装置において、前記機関の所定運転状態において、前記燃焼室内に噴射された燃料の着火遅れ(DCA)を検出する着火遅れ検出手段と、検出した着火遅れ(DCA)に応じて前記燃料の性状(CET)を推定する燃料性状推定手段と、前記燃料性状の推定を行うときに、前記機関の吸気状態を示す吸気状態パラメータ(PB,GA)及び前記機関の温度を示す温度パラメータ(TW,TA)の少なくとも一方に応じて、前記燃料噴射手段(6)による燃料噴射態様を制御する燃料噴射制御手段とを備え、前記燃料噴射制御手段は、前記燃料性状の推定を行うときにパイロット噴射を実行している場合には、前記パイロット噴射を停止して主噴射のみを実行するシングル噴射とすることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記燃料噴射態様は、燃料噴射量(QIEST)及び/または燃料噴射時期(TIEST)であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記燃料噴射制御手段は、前記吸気状態パラメータとして前記機関の吸気圧(PB,PI)を用いることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記燃料噴射制御手段は、前記温度パラメータとして、前記機関の冷却水温(TW)及び/または吸気温(TI)を用いることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、前記燃料噴射制御手段は、前記吸気状態パラメータ(PB,GA)が減少するほど、前記燃料噴射量(QIEST)を増量することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、前記燃料噴射制御手段は、前記温度パラメータ(TW,TA)が減少するほど、前記燃料噴射時期(TIEST)を遅角させることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置において、前記所定運転状態は、前記機関のアイドル状態であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、機関の所定運転状態において、燃焼室内に噴射された燃料の着火遅れが検出され、検出された着火遅れに応じて燃料性状が推定される。その際、機関の吸気状態を示す吸気状態パラメータ及び/または機関温度を示す温度パラメータに応じて、燃料噴射手段による燃料噴射態様が設定される。したがって、例えば大気圧が低下して吸入空気流量が減少したり、あるいは始動直後などにおいて、機関温度が比較的低い状態でも、燃料噴射態様を吸気状態パラメータ及び/または温度パラメータに応じて適切に設定することにより、燃料性状の推定を迅速かつ正確に行うことができる。また、燃料性状の推定を行うときにパイロット噴射を実行している場合には、パイロット噴射を停止して主噴射のみを実行するシングル噴射とされるので、燃料性状の違いによる着火時期の差を検出し易くすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、燃料噴射量及び/または燃料噴射時期が、吸気状態パラメータ及び/または温度パラメータに応じて設定されるので、燃料噴射量及び/または燃料噴射時期を、燃料性状の推定に適した設定として、燃料性状の推定を迅速かつ正確に行うことが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、吸気状態パラメータとして吸気圧が用られるので、例えば過給機を備えた機関においても吸気状態を正確に反映した設定を行うことができる。
請求項4に記載の発明によれば、温度パラメータとして、機関冷却水温及び/または吸気温が用られるので、機関冷却水温及び/または吸気温の広い範囲で、正確な判定が可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、吸気状態パラメータが減少するほど、すなわち吸気が促進されない状態であるほど、燃料噴射量が増量される。これにより、噴射した燃料を確実に着火させることが可能となる。
請求項6に記載の発明によれば、温度パラメータが減少するほど、燃料噴射時期が遅角される。着火遅れにより燃料性状を推定するときは、燃料噴射時期を通常より進角させるが、温度パラメータが減少しているときは、着火性が低下するので、燃料噴射時期を遅角させることにより、噴射した燃料を確実に着火させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、機関のアイドル状態において、燃料性状の推定が行われる。アイドル状態では機関回転数がほぼ一定値となるように制御されるので、安定した状態で正確な燃料性状推定を行うことができる。
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2は本発明の一実施形態にかかる内燃機関と、その制御装置の構成を示す図である。以下両図を合わせて参照して説明する。内燃機関(以下「エンジン」という)1は、シリンダ内に燃料を直接噴射するディーゼルエンジンであり、各気筒に燃料噴射弁6が設けられている。燃料噴射弁6は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)4に電気的に接続されており、燃料噴射弁6の開弁時期及び開弁時間は、ECU4により制御される。
エンジン1は、吸気管7,排気管8、及びターボチャージャ9を備えている。ターボチャージャ9は、排気の運動エネルギにより回転駆動されるタービンと、タービンとシャフトを介して連結されたコンプレッサとを備えている。ターボチャージャ9は、エンジン1に吸入される空気の加圧(圧縮)を行う。
吸気管7のコンプレッサ下流側にはインタークーラ21が設けられ、さらにインタークーラ21の下流側には、スロットル弁22が設けられている。スロットル弁22は、アクチュエータ23により開閉駆動可能に構成されており、アクチュエータ23はECU4に接続されている。ECU4は、アクチュエータ23を介して、スロットル弁22の開度制御を行う。
排気管8と吸気管7との間には、排気を吸気管7に還流する排気還流通路25が設けられている。排気還流通路25には、還流させる排気を冷却する還流排気クーラ30と、還流排気クーラ30をバイパスするバイパス通路29と、還流排気クーラ30側とバイパス通路29側との切り換えを行う切換弁28と、排気還流量を制御するための排気還流制御弁(以下「EGR弁」という)26とが設けられている。EGR弁26は、ソレノイドを有する電磁弁であり、その弁開度はECU4により制御される。排気還流通路25、還流排気クーラ30、バイパス通路29、切換弁28、及びEGR弁26より、排気還流機構が構成される。EGR弁26には、その弁開度(弁リフト量)LACTを検出するリフトセンサ27が設けられており、その検出信号はECU4に供給される。
吸気管7には、吸入空気流量GAを検出する吸入空気流量センサ33、コンプレッサの下流側の吸気圧(過給圧)PBを検出する過給圧センサ34、吸気圧PIを検出する吸気圧センサ35、及び吸気温TIを検出する吸気温センサ36が設けられている。これらのセンサ33〜36は、ECU4と接続されており、センサ33〜36の検出信号は、ECU4に供給される。
排気管8の、タービンの下流側には、排気ガス中に含まれる炭化水素などの酸化を促進する触媒コンバータ31と、粒子状物質(主としてすすからなる)を捕集する粒子状物質フィルタ32とが設けられている。
エンジン1の各気筒には、筒内圧(燃焼圧力)を検出する筒内圧センサ2が設けられている。本実施形態では、筒内圧センサ2は、各気筒に設けられるグロープラグと一体に構成されている。筒内圧センサ2の検出信号は、ECU4に供給される。なお、筒内圧センサ2の検出信号は、実際には、筒内圧PCYLのクランク角度(時間)に対する微分信号(圧力変動)に相当するものであり、筒内圧PCYLは、筒内圧センサ出力を積分することにより得られる。
またエンジン1には、クランク軸(図示せず)の回転角度を検出するクランク角度位置センサ3が設けられている。クランク角度位置センサ3は、クランク角1度毎にパルスを発生し、そのパルス信号はECU4に供給される。クランク角度位置センサ3は、さらに特定気筒の所定クランク角度位置で気筒識別パルスを生成して、ECU4に供給する。
ECU4には、エンジン1により駆動される車両のアクセルペダルの操作量APを検出するアクセルセンサ37、エンジン1の冷却水温TWを検出する冷却水温センサ38、エンジン1の潤滑油の温度TOILを検出する油温センサ39、排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ(図示せず)、及びエンジン1の吸気温TAを検出する吸気温センサ(図示せず)などが接続されており、これらのセンサの検出信号がECU4に供給される。
ECU4は、エンジン1の各気筒の燃焼室に設けられた燃料噴射弁6の制御信号を駆動回路5に供給する。駆動回路5は、燃料噴射弁6に接続されており、ECU4から供給される制御信号に応じた駆動信号を、燃料噴射弁6に供給する。これにより、ECU4から出力される制御信号に応じた燃料噴射時期において、前記制御信号に応じた燃料噴射量だけ燃料が、各気筒の燃焼室内に噴射される。ECU4は、通常は1つの気筒についてパイロット噴射及び主噴射を実行する。
ECU4は、増幅器10と、A/D変換部11と、パルス生成部13と、CPU(Central Processing Unit)14と、CPU14で実行されるプログラムを格納するROM(Read Only Memory)15と、CPU14が演算結果などを格納するRAM(Random Access Memory)16と、入力回路17と、出力回路18とを備えている。筒内圧センサ2の検出信号は、増幅器10に入力される。増幅器10は、入力される信号を増幅する。増幅器10により増幅された信号は、A/D変換部11に入力される。また、クランク角度位置センサ3から出力されるパルス信号は、パルス生成部13に入力される。
A/D変換部11は、バッファ12を備えており、増幅器10から入力される筒内圧センサ出力をディジタル値(以下「圧力変化率」という)dp/dθに変換し、バッファ12に格納する。より具体的には、A/D変換部11には、パルス生成部13から、クランク角1度周期のパルス信号(以下「1度パルス」という)PLS1が供給されており、この1度パルスPLS1の周期で筒内圧センサ出力をサンプリングし、ディジタル値に変換してバッファ12に格納する。筒内圧PCYLは、圧力変化率dp/dθを積算することにより算出される。
一方、CPU14には、パルス生成部13から、クランク角6度周期のパルス信号PLS6が供給されており、CPU14はこの6度パルスPLS6の周期でバッファ12に格納されたディジタル値を読み出す処理を行う。すなわち、本実施形態では、A/D変換部11からCPU14に対して割り込み要求を行うのではなく、CPU14が6度パルスPLS6の周期で読出処理を行う。
入力回路17は、各種センサの検出信号をディジタル値に変換し、CPU14に供給する。なお、エンジン回転数NEは、6度パルスPLSの周期から算出される。またエンジン1の要求トルクTRQは、アクセルペダル操作量APに応じて算出される。
CPU14は、エンジン運転状態に応じて目標排気還流量GEGRを算出し、目標排気還流量GEGRに応じてEGR弁26の開度を制御するデューティ制御信号を、出力回路18を介してEGR弁26に供給する。さらにCPU14は、以下に説明するように使用中の燃料のセタン価を推定する処理を実行し、推定したセタン価に応じた燃料噴射制御を行う。
図3は、セタン価推定処理の手順を示すフローチャートである。ステップS11では、エンジン1がアイドル状態にあるか否かを判別し、その答が肯定(YES)であるときは、エンジン冷却水温TWが所定水温TW0(例えば60℃)以上であるか否かを判別する(ステップS12)。ステップS11またはS12の答が否定(NO)であるときは、直ちに本処理を終了する。
エンジン1がアイドル状態にあり、かつTW≧TW0であるときは、ステップS13に進み、エンジン冷却水温TW及び過給圧PBに応じてエンジン運転領域を判定する。具体的には、図4に示すように、エンジン冷却水温TW及び過給圧PBに応じて運転領域R1〜R8が設定されており、エンジン冷却水温TW及び過給圧PBで決まるエンジン運転状態が、運転領域R1〜R8のいずれにあるかが判定される。図4において、過給圧PB1及びPB2は、それぞれ例えばエンジン1を搭載した車両が標高2000m及び4000m程度の高地にある場合に対応する過給圧に設定される。すなわち、図4の縦軸は過給圧PBが減少する方向に定義されており、PB2<PB1なる関係が成立する。
ステップS14では、判定した運転領域に応じて、セタン価推定用の燃料噴射量QIEST及び燃料噴射時期TIESTを設定する。基本的には、運転領域を示す番号1〜8が大きくなるほど、すなわち、エンジン冷却水温TWが低下するほど、また過給圧PBが低下するほど、燃料噴射量QIESTを増加させ、燃料噴射時期TIESTを遅角させる。例えば、運転領域R1では、燃料噴射量QIESTを6mg/サイクルとし、燃料噴射時期TIESTを圧縮上死点前25度とし、運転領域R7では、燃料噴射量QIESTを10mg/サイクルとし、燃料噴射時期TIESTを圧縮上死点前12度とする。
ステップS15では、セタン価推定を行う所定気筒(例えば#1気筒)の燃料噴射態様を変更する。具体的には、パイロット噴射を停止して、主噴射のみを実行するシングル噴射とするとともに、主噴射時期を上記燃料噴射時期TIESTに設定し、通常より進角方向に変更する。このように燃料噴射をシングル噴射として、燃料噴射時期を通常より進角させることにより、セタン価の違いによる着火時期の差を検出し易くすることができる。ここで主噴射燃料量は、上記燃料噴射量QIESTに設定される。
ステップS16では、エンジン回転数NE及び要求トルクTRQに応じてCAFMMマップ(図示せず)を検索し、基準着火時期CAFMMを算出する。CAFMMマップは、例えば平均的なセタン価(例えば47)の燃料を基準として設定されている。ステップS17では、基準着火時期CAFMMから実着火時期CAFMを減算することにより、着火遅れ角DCAを算出する。
図5は、実着火時期CAFMを算出(検出)する着火時期算出モジュールの構成を示すブロック図である。着火時期算出モジュールの機能は、CPU14による演算処理により実現される。着火時期算出モジュールは、バンドパスフィルタ部71と、位相遅れ補正部72と、着火時期判定部73とからなる。バンドパスフィルタ部71には、筒内圧センサ2から出力される圧力変化率dp/dθが入力される。バンドパスフィルタ部71では、ノイズ成分が除去され、その出力信号が位相遅れ補正部72に供給される。バンドパスフィルタ部71では、位相遅れが発生するため、位相遅れ補正部72では、この遅れを補正する。
着火時期判定部73は、燃料噴射に対応して、圧力変化率dp/dθがピーク値を示すクランク角度位置を実着火時期CAFMと判定する。具体的には、図6(b)に示すように、位相遅れ補正部72から出力される圧力変化率dp/dθが検出閾値DPPを超えたクランク角を、実着火時期CAFMと判定する。
図6(a)には、クランク角CAIMから開始される主噴射パルスINJMが示されており、同図(b)には実着火時期CAFMを検出する角度範囲RDET(例えば10度)が示されている。このように、検出角度範囲RDETを比較的狭い範囲に限定することにより、CPU14の演算負荷を増大させることなく、着火時期を正確に判定することができる。
図3に戻り、ステップS18では、着火遅れ角DCAをエンジン回転数NEを用いて、着火遅れ時間TDFMに変換し、着火遅れ時間TDFMに応じて図7に示すCETテーブルを検索し、セタン価CETを算出する。
図3の処理によれば、エンジンがアイドル運転状態にあり、エンジン冷却水温TWが所定水温TW0以上であるとき、噴射した燃料の実着火時期CAFMに基づくセタン価の推定が行われる。その際、エンジン冷却水温TW及び過給圧PBに応じて、燃料噴射量QIEST及び燃料噴射時期TIESTが設定されるので、エンジン1の暖機が不十分な状態、あるいは当該車両が高地にある場合であっても、噴射した燃料を確実に着火させて使用中の燃料のセタン価を迅速に推定することができる。
本実施形態では、燃料噴射弁6が燃料噴射手段に相当し、ECU4が、着火遅れ検出手段の一部、燃料性状推定手段、及び燃料噴射制御手段を構成し、筒内圧センサ2及びクランク角度位置センサ3が、着火遅れ検出手段の一部を構成する。
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば上述した実施形態では、吸気状態を示すパラメータとして過給圧PBを用いたが、大気圧PAあるいは吸入空気流量GAを吸気状態パラメータとして用いてもよい。すなわち、エンジン1による空気の吸入が促進される度合を示すパラメータを用いることができる。
また、温度パラメータとして、エンジン冷却水温TWを用いたが、エンジン冷却水温TWに代えてまたはエンジン冷却水温TWとともに、吸気温(新気と還流排気の混合ガスの温度)TIを温度パラメータとして用いてもよい。エンジン冷却水温TW及び吸気温TIをともに用いる場合には、エンジン冷却水温TW、吸気温TI、及び過給圧PBをパラメータとする3次元マップを用いて、燃料噴射量QIEST及び燃料噴射時期TIESTを設定することが望ましい。その場合、エンジン冷却水温TW及び/または吸気温TIが低下するほど、燃料噴射量QIESTを増加させ、燃料噴射時期TIESTを遅角させるように設定する。また温度パラメータとして、潤滑油温TOILを用いてもよい。
また上述した実施形態では、エンジン冷却水温TW及び過給圧PBに応じて、燃料噴射量QIEST及び燃料噴射時期TIESTをともに変更するようにしたが、例えばエンジン冷却水温TWが比較的高い運転領域R2,R4では、何れか一方のみを変更するようにしてもよい。また、エンジン冷却水温TWまたは過給圧PBのいずれか一方のみに応じて、燃料噴射量QIEST及び/または燃料噴射時期TIESTを変更するようにしてもよい。
また過給圧PBに代えて、吸気圧PIを吸気状態パラメータとして用いてもよい。
また上述した実施形態では、エンジン1の全ての気筒に筒内圧センサ2を設け、1つの所定気筒において、セタン価推定のための処理(燃料噴射態様の変更及び実着火時期の検出)を行っているが、いずれか1つの特定気筒のみに筒内圧センサを設け、その特定気筒においてセタン価推定のための処理を行うようにしてもよい。また、セタン価推定処理を実行する気筒は、1つに限るものではなく、例えば2つの気筒以上においてセタン価推定処理を実行するようにしてもよい。
また上述した実施形態では、エンジン1のアイドル状態でセタン価推定処理を実行するようにしたが、図8に示す予混合燃焼を行う予混合燃焼領域において行うようにしてもよい。
また本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進機用エンジンなどの制御装置にも適用が可能である。
本発明の一実施形態にかかる内燃機関及びその制御装置の構成を示す図である。 図1に示す制御装置の一部の構成をより具体的に示す図である。 使用中の燃料のセタン価を推定する処理の手順を示すフローチャートである。 機関冷却水温(TW)及び過給圧(PB)によって定義される運転領域を示す図である。 着火時期算出モジュールの構成を示すブロック図である。 着火時期の検出手法を説明するためのタイムチャートである。 着火遅れ時間(TDFM)からセタン価(CET)を算出するためのテーブルを示す図である。 予混合燃焼領域を示す図である。
符号の説明
1 内燃機関
2 筒内圧センサ(着火遅れ検出手段)
3 クランク角度位置センサ(着火遅れ検出手段)
4 電子制御ユニット(燃料性状推定手段、着火遅れ検出手段、燃料噴射制御手段)
6 燃料噴射弁(燃料噴射手段)

Claims (7)

  1. 内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射手段を備える内燃機関の制御装置において、
    前記機関の所定運転状態において、前記燃焼室内に噴射された燃料の着火遅れを検出する着火遅れ検出手段と、
    検出した着火遅れに応じて前記燃料の性状を推定する燃料性状推定手段と、
    前記燃料性状の推定を行うときに、前記機関の吸気状態を示す吸気状態パラメータ及び前記機関の温度を示す温度パラメータの少なくとも一方に応じて、前記燃料噴射手段による燃料噴射態様を設定する燃料噴射制御手段とを備え
    前記燃料噴射制御手段は、前記燃料性状の推定を行うときにパイロット噴射を実行している場合には、前記パイロット噴射を停止して主噴射のみを実行するシングル噴射とすることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記燃料噴射態様は、燃料噴射量及び/または燃料噴射時期であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記燃料噴射制御手段は、前記吸気状態パラメータとして前記機関の吸気圧を用いることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記燃料噴射制御手段は、前記温度パラメータとして、前記機関の冷却水温及び/または吸気温を用いることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記燃料噴射制御手段は、前記吸気状態パラメータが減少するほど、前記燃料噴射量を増量することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記燃料噴射制御手段は、前記温度パラメータが減少するほど、前記燃料噴射時期を遅角させることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記所定運転状態は、前記機関のアイドル状態であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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