JP4607454B2 - 細胞周期位置を決定する方法 - Google Patents

細胞周期位置を決定する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4607454B2
JP4607454B2 JP2003534582A JP2003534582A JP4607454B2 JP 4607454 B2 JP4607454 B2 JP 4607454B2 JP 2003534582 A JP2003534582 A JP 2003534582A JP 2003534582 A JP2003534582 A JP 2003534582A JP 4607454 B2 JP4607454 B2 JP 4607454B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell
cell cycle
reporter
construct
cyclin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003534582A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005504550A5 (ja
JP2005504550A (ja
Inventor
ジョナソン・ノー・パインズ
ニコラス・トーマス
アン・エリザベス・ジョーンズ
イアン・デイビッド・グッドヤー
マイケル・ジョン・フランシス
ラーマン・アジズ・イズメイル
ジョナサン・マーク・ケンドール
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cancer Research Technology Ltd
Original Assignee
Cancer Research Technology Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Cancer Research Technology Ltd filed Critical Cancer Research Technology Ltd
Publication of JP2005504550A publication Critical patent/JP2005504550A/ja
Publication of JP2005504550A5 publication Critical patent/JP2005504550A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4607454B2 publication Critical patent/JP4607454B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • C07K14/4701Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals not used
    • C07K14/4738Cell cycle regulated proteins, e.g. cyclin, CDC, INK-CCR
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、生細胞の細胞周期位置(cell cycle position)を決定するための新規、非破壊的及び動力学的方法に関する。
【0002】
背景技術
真核細胞の細胞***は、G1、S、G2及びMと呼ばれる連続的な相を含む、高度に調節された細胞周期を通して進行する。細胞周期又は細胞周期調節の崩壊は、増殖の正常調節に非応答性である非常に侵襲性の細胞中に増殖制限した細胞を形質転換する複数の遺伝学的変化から生ずる癌のような、細胞異常又は疾患を生じ得る。正常細胞の癌細胞への移行は、DNA複製及びDNA修復機構における校正機能の喪失により生じ得る。***細胞はすべて、細胞周期チェックポイントとして知られる、異常型細胞を停止又は破壊を誘発することにより遺伝学的完全性を維持する、多くの調節機構下に置かれている。細胞周期の進行及び調節の調査は、従って抗癌剤の設計に重要である(Flatt, P. M and Pietenpol, J.A. Drug Metab. Rev. (2000), 32(3-4), 283-305; Buolamwini, J.K. Current Pharmaceutical Design, (2000), 6, 379-392)。
【0003】
細胞周期の状態の正確な決定は、細胞周期に影響するか、又は細胞周期位置に依存する細胞のプロセスの調査の鍵となる要件である。その測定は、薬剤スクリーニングの適用に特に重要であり、ここで:
i)細胞周期の進行を直接又は間接的に修飾する物質は、例えば、抗癌処置の可能性についての研究に望ましい;
ii)薬剤候補の、細胞周期の進行に望ましくない影響はチェックされるべきである;及び又は
iii)物質(agent)は、細胞周期の特定の相において細胞に対し活性又は不活性であると推測される。
【0004】
従来、細胞群の細胞周期の状態は、細胞核のDNA含有物を染色する蛍光色素を用いるフローサイトメトリーにより測定された(Barlogie, B. et al, Cancer Res., (1983), 43 (9), 3982-97)。フローサイトメトリーは、細胞のDNA含有物の定量的な情報を生じ、ここでは、細胞周期のG1、S及びG2+M相における相対的な細胞数を決定し得る。しかし、この分析は、破壊的な非動力学的方法であり、時間とともに細胞周期の状態を決定するためには一群の連続的サンプリングを必要とする。更に、標準的なフローサイトメトリー技術は、サンプル中のすべての細胞群を調査し、個々の細胞については制限的なデータしか得られないものであり、従って分析中の試料内に存在し得る種々の細胞型の細胞周期の状態の研究は不可能である。
【0005】
EP798386は、異種性細胞サンプル中に存在する部分−細胞集団(cell sub-population)の細胞周期の分析の方法を記載する。この方法は、特定の細胞型を同定するため蛍光的に標識したモノクローナル抗体及び核酸に特異的に結合する蛍光色素を伴うサンプルの連続的インキュベーションを用いる。これにより、サンプル中に存在する細胞の部分集団の細胞周期分布が決定され得る。しかし、この方法がフローサイトメトリーを使用するため、非動力学的データのみを得、細胞周期の進行に対する効果の調査しようとする物質にさらした後に時間にともなう細胞群の細胞周期の状態の変化を決定するためには、細胞の別々のサンプルにおいて行われる連続的な測定を必要とする。
【0006】
フローサイトメトリー技術の更なる不利な点は、DNA含有量に基づいて細胞の細胞周期位置を間接的、及び推測的に割り当てること(assignment)に関連する。細胞核のDNA含有量は、細胞周期を通して合理的に予測可能な型で変わるため、すなわち、G2又はMの細胞はG1の細胞の2倍のDNA含有量を有し、S相でDNA合成を行う細胞は中間的な量のDNAを有するため、細胞周期の種々の相間の細胞の相対的分布をモニターすることができる。しかし、当該技術は、任意の個々の細胞の細胞周期位置の決定において正確とはなり得ない。それは、G2又はM相への細胞の割り当てが曖昧であるためであり、更に細胞周期で隣接する相間の境界に近い細胞間の正確な識別がそもそも困難であるなどの群内の個々の細胞の固有のDNA含有量が相違することからから生ずるさらなる不正確性のためである。更に、種々の組織又は器官由来の種々の細胞型間のDNA含有量及びDNA染色性の相違は、当該技術が各細胞型について最適化されることを必要し、そして細胞型間又は実験間のデータの直接の比較を複雑にし得る(Herman, Cancer (1992),69 (6), 1553-1556)。そのため、フローサイトメトリーは、群内での細胞の全体的な細胞周期分布の調査に適当であるが、時間にわたる各細胞の正確な細胞周期の状態のモニターに使用することはできない。
【0007】
細胞周期の進行は、細胞周期間で高い動力学的挙動を示す多くの細胞周期レギュレーターの明確に定められた時間的及び空間的発現、位置及び分解によりしっかりと調節される(Pines, J., Nature Cell Biology, (1999), 1, E73-E79)。例えば、特定の細胞周期段階では、幾つかのタンパク質は、核から細胞質にトランスロケートするか、又はその逆となり、その幾つかは迅速に崩壊する。既知の細胞周期調節成分及び相互作用の詳細については、Kohn, Molecular Biology of the Cell (1999), 10,2703-2734参照。
【0008】
最も詳しく解明されている、ヒト細胞中の細胞周期レギュレーターの1つは、サイクリンB1であり、その時間的及び空間的な発現及び分解は、G2からMへの細胞変化及びMから抜け出すのを調節する。サイクリンB1の発現は、細胞周期相特異的プロモーターにより行われ、S相の最後で発現を開始しG2間でピークとなる。一旦発現すると、このタンパク質は、G2相で核及び細胞質間で頻繁に往復するが、それは、核外移行の割合が核内移行よりも大きいため本来は細胞質にある。有糸***の開始において、サイクリンB1は、リン酸化依存の形式で、核内移行の割合が実質的に増加し核外移行が減少すると、核中に迅速にトランスロケートする(図1)。そのため、細胞中のサイクリンB1の局在性を用い、G2相から有糸***への変化をマークし得る。一旦、細胞が中期に到達すると、又はより正確にはスピンドルアセンブリチェックポイントが満たされると、サイクリンB1は非常に迅速に分解される。サイクリンB1崩壊は、次のG1相を通して続くが、細胞がDNA複製を始めると止まる。これらのイベントは、蛍光的に標識したサイクリンB1を生細胞中にマイクロインジェクションすることによりリアルタイムで視覚化された(Clute and Pines, Nature Cell Biology, (1999), 1, 82-87)。
【0009】
時間的発現及び分解を調節する調節領域は多くの研究で解明された。サイクリンB1の生合成は、細胞周期の後期S及びG2相に発現を制限するプロモーター配列により転写レベルで調節されることが判った(Piaggio et al, Exp. Cell. Research, (1995), 216,396-402 ; Cogswell et al, Mol. Cell. Biology, (1995), 15,2782-2790)。M相での適当なときでのサイクリンB1の分解は、ユビキチン化によるタンパク質分解のためにタンパク質を標的とする分解ボックス(D−box)と称する、9アミノ酸配列により調節されることが判った。構造性ポリユビキチンプロモーター(Huang and Raff, EMBO Journal, (1999), 18 (8), 2184-2195)により作動するショウジョウバエ サイクリンB1−GFP融合タンパク質の発現は、蛍光性タグ化サイクリンBは中期の最後で崩壊する内在性サイクリンBの挙動を模倣することを示した。ヒトサイクリンB1−GFPに用いる研究(Hagting et al, Current Biology, (1999), 9,680-689)は、細胞周期の進行を伴うサイクリンB1の細胞質及び核局在性の時間的変化は、核外移行シグナル (NES)、そのリン酸化により核内移行を生ずる、に依存することを示した。
【0010】
他の細胞周期チェックポイントは、時間的及び空間的な調節機構により同様に調節され、多くの成分及び相互関係が解明された(Pines, J., Nature Cell Biology, (1999), 1, E73-E79)。
【0011】
細胞周期の調節機構の特定の成分を使用し、細胞増殖状態を分析又は探索する手順を提供する、多くの方法が記載されている。
【0012】
国際公開第00/29602は、蛍光活性化細胞のソーティングにより非***細胞のバックグラウンドから***細胞を単離し得る***トランスジェニック幹細胞の選択マーカーとしてGFPの発現を生ずるためのサイクリンAプロモーターの使用を記載する。この方法は、細胞周期中の特定ステージを進行した細胞の同定及び選択をし得る一方、任意の所定の細胞が、過去に同じ時期に細胞周期のG2相を通過するか又は通過しないかという過去の情報(historical information)以外の、該細胞の細胞周期の状態についての情報は得られない。
【0013】
米国特許第6048693は、細胞周期調節タンパク質に影響する化合物のスクリーニング法を記載し、ここでレポーター遺伝子の発現は、サイクリン又は他の細胞周期調節タンパク質により作用する調節領域と連結している。この方法では、レポーター遺伝子産物の時間的発現は、細胞周期に特有の形式で生じ、1つ以上の細胞周期調節成分において作用する化合物は発現レベルを増加又は減少し得る。このアッセイシステムは、レポーター遺伝子産物の分解を生じる領域も、レポーター遺伝子から生ずる任意のシグナルの分解を生じる領域も含まないため、当該方法は、当該アッセイにおける任意の細胞の細胞周期位置の情報を得ることができず、細胞周期機構の一般的な変化レポートするのみである。
【0014】
米国特許第5849508号及び同第6103887は、サイクリンAに結合する抗体の使用による細胞の増殖状態を決定する方法を記載する。これらの方法は、対照群に対する試験群中の増殖細胞の割合を測定する手段を提供する。
【0015】
米国特許第6159691は、細胞周期の進行の推定レギュレーターについてアッセイする方法に関する。この方法では、細胞周期相に特異的な転写因子DP−3及びE2F−1から得られる核局在性シグナル(NLS)を用い、検出可能マーカーに融合したNLSの核局在性を増大又は減少するためにアゴニスト又はアンタゴニストとして作用する化合物の活性をアッセイする。
【0016】
多くの研究者が、当該細胞を固定化又は溶解する必要がある従来のレポーター分子を用い細胞周期を研究している。例えば、植物***組織における細胞***を研究するためにβ−ガラクトシダーゼを使用するHauser and Bauer(Plant and Soil, 2000,226,p1-10)及びサイクリンレベルでの変化を研究するためにクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)融合タンパク質を使用したBrandeis and Hunt(EMBO J., 1996, vol 15, pp5280-5289)。これらの方法は、特定細胞の細胞周期位置(GUSを用いる)又は細胞の群の平均細胞周期の状態(CATを用いる)を研究する手段を提供するが、それらは何れも破壊的である。何れの方法も、経時的な特定細胞の繰り返し分析ができず、そのため、それらは、細胞周期を通じた細胞の進行の追跡には適当ではない。
【0017】
細胞周期の調節機構の成分を使用する、先の方法は、各細胞又は細胞群の細胞周期の状態を決定する手段を提供しない。結果として、単一の生細胞の細胞周期位置を非破壊的に決定し得、当該同一細胞を経時的に繰り返し調査(interrogate)し得、そして細胞周期における望ましい又は望ましくない効果を有する可能性のある物質の効果の研究を可能とする方法が必要とされる。更に、細胞周期の調節成分により直接調節されるプローブから細胞周期位置を決定することは、むしろDNA含有量又は上記のような細胞周期位置の他の間接的なマーカーを通じて間接的に調節されるプローブから決定されることよりも望ましい。本発明は、動力学的な読み取りを提供する非破壊的なプロセスにおけるそれぞれ生きている哺乳類細胞について細胞周期の状態を決定する新規手段を提供する確定した組み合わせの細胞周期の調節機構の鍵となる成分を利用する方法を記載する。
【0018】
本発明は、細胞周期成分の時間的及び空間的発現及び分解をスイッチするレポーターシグナルの直接の連結により、細胞相特異的に検出可能なレポーター分子の活性化及び分解を示すDNA構築物及びその構築物を含む細胞系統を提供する。これは、細胞周期相の状態の決定の精度を非常に改善し、各細胞の細胞周期の進行を継続的にモニターし得る。更に、鍵となる調節領域は、細胞周期の調節機構の機能性領域から単離及び取り出すことができ、内在性細胞周期調節成分と合わせて、しかしそれとは独立して動力学的に調節及び操作される細胞周期相レポーターを設計し得る。こうして、細胞周期の天然での進行に影響又は阻害することなく細胞周期位置をモニターするための方法を提供し得ることが判った。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
従って、本発明の第一の態様では、
i)少なくとも1つの細胞周期相特異的発現調節領域及び
ii)分解調節領域
機能的に連結しそらの調節下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構築物を提供し、
ここで、当該レポーター構築物は、哺乳類細胞中において細胞周期の事前決定した位置にて発現する。遺伝子からのタンパク質の生合成を含む、すべてのプロセスであるとして発現は定義される。用語生細胞は、レポーター分子と関連する場合には、生細胞中で検出可能なシグナルを生じ、そのため生細胞イメージングシステムでの使用に適当であるレポーター分子を決定すると理解されるであろう。
【0020】
本発明の第二の態様では、哺乳類細胞の細胞周期での位置を決定する方法であって、
a)i)少なくとも1つの細胞周期相特異的発現調節領域及び
ii)分解調節領域
機能的に連結しそらの調節下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構築物を細胞中において発現させること、
ここで、当該レポーター構築物は、細胞中において細胞周期の所定の位置で発現する、及び
b)当該レポーター分子の発するシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を決定すること、
を含む当該方法を提供する。
【0021】
第一及び第二の態様の好ましい実施態様では、核酸レポーター構築物はまた、細胞周期相特異的空間局在性調節領域に連結され及びその調節の下にある。
【0022】
好適には、核酸レポーター構築物はDNA構築物である。
【0023】
細胞周期相特異的発現調節領域は、典型的には、1つ以上の核酸配列の転写及び又は翻訳を調節し、発現の細胞周期相特異的調節を許容するDNA配列である。細胞周期の1以上の相で特異的に活性である任意の発現調節領域は、好適には、周期位置レポーター構築物構築に使用され得る。
【0024】
好適には、当該細胞周期相特異的発現調節領域は、細胞周期相特異的プロモーター及び細胞周期相特異的な転写又は翻訳の調節に影響する他の領域から選択され得る。発現調節領域がプロモーターである場合、当該プロモーターの選択は、研究用に選択された細胞周期の相に依存するであろう。
【0025】
適当なプロモーターには、サイクリンB1プロモーター(Cogswell et al, Mol. Cell Biol., (1995), 15 (5), 2782-90, Hwang et al, J. Biol. Chem., (1995), 270 (47), 28419-24, Piaggio et al, Exp. Cell Res., (1995), 216 (2), 396-402);Cdc25Bプロモーター(Korner et al, J. Biol. Chem., (2001), 276 (13), 9662-9);サイクリンA2プロモーター(Henglein et al, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, (1994), 91 (12), 5490-4, Zwicker et al, Embo J., (1995), 14 (18), 4514-22);Cdc2プロモーター(Tommasi and Pfeifer, Mol. Cell Biol., (1995), 15 (12), 6901-13, Zwicker et al, Embo J (1995), 14 (18), 4514-22),Cdc25Cプロモーター(Korner and Muller, J. Biol. Chem., (2000), 275 (25), 18676-81, Korner et al, Nucl. Acids Res., (1997), 25 (24), 4933-9);サイクリンEプロモーター(Botz et al, Mol. Cell Biol., (1996), 16 (7), 3401-9, Korner and Muller, J. Biol. Chem., (2000), 275 (25), 18676-81);Cdc6プロモーター(Hateboer et al, Mol. Cell Biol., (1998), 18(11), 6679-97, Yan et al, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, (1998), 95(7), 3603-8);DHFRプロモーター(Shimada et al, J. Biol. Chem., (1986), 261(3), 1445-52, Shimada and Nienhuis, J. Biol. Chem., (1985), 260(4), 2468-74)及びヒストンプロモーター(van Wijnen et al, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, (1994), 91, 12882-12886)が含まれる。
【0026】
好適には、細胞周期相特異的発現調節領域は、細胞周期相特異的IRES領域及び細胞周期相特異的な翻訳の調節に影響する他の領域から選択し得る。IRES領域は、リボゾームの結合及び5’−キャップ領域ではないmRNAの領域で生ずる翻訳の開始を許容する配列内リボソーム進入部位(internal ribosomal entry site)である。細胞周期相特異的IRES領域は、翻訳のcap−独立開始を細胞周期の特定段階に制限する(Sachs, A. B., Cell, (2000), 101,243-5)。発現調節領域は、IRESであるように選択される場合、好適には、その選択は、研究対象の細胞周期相に依存するであろう。この場合、構造的に発現する(例えば、CMV又はSV40)又は誘導性(例えば、pTet−on pTet−off system, Clontech)プロモーターを用い、ビシストロン性mRNAの転写を調節し得る(Sachs, A. B., Cell, (2000), 101, 243-5)。他に、細胞周期相非依存性IRES領域(pIRESベクターで見られるEMCV IRES、BD Clontech)は、細胞周期相特異的プロモーター領域と共に使用され得る。他に、レポーターの発現のより正確な調節は、細胞周期相特異的IRES領域と共に細胞周期相特異的プロモーターを用いることにより得られ得る。
【0027】
本発明での使用に適当なIRES領域には、G2−IRES(Cornelis et al, Mol. Cell, (2000),5 (4), 597-605);HCV IRES(Honda et al, Gastroenterology, (2000),118, 152-162);ODC IRES(Pyronet et al, Mol. Cell, (2000), 5,607-616);c−myc IRES(Pyronnet et al, Mol. Cell, (2000),5 (4), 607-16)及びp58 PITSLRE IRES(Cornelis et al, Mol.Cell, (2000), 5 (4), 597-605)が含まれる。
【0028】
表1は、本発明により使用し得る幾つかの好ましい発現調節領域を列挙し、各領域が活性化される細胞周期相を示す。
【0029】
表1:細胞周期相特異的発現調節領域
【表1】
Figure 0004607454
【0030】
分解調節領域は、タンパク質モチーフをコードするDNA配列であり、それは、その配列を含むタンパク質の分解調節する。好適には、分解調節領域は、細胞周期に仲介されるものである、例えば:サイクリンB1 D−ボックス(Glotzer et al, Nature, (1991),349, 132-138, Yamano et al, EMBO J., (1998), 17 (19), 5670-8, Clute and Pines, Nature Cell Biology,(1999), 1, 82-87);サイクリンA N末端(den Elzen and Pines, J. Cell Biol.,(2001),153 (1), 121-36, Geley et al, J. Cell Biol., (2001), 153, 137-48);KENボックス(Pfleger and Kirschner, Genes Dev, (2000), 14 (6), 655-65),サイクリンE(Yeh et al, Biochem Biophys Res Commun., (2001) 281, 884-90),サッカロマイセス・セレヴィシエ(S. cerevisiae)由来のCln2サイクリン(Berset et al, Mol. Cell Biol., (2002), pp4463-4476)及びp27Kip1(Montagnoli et al, Genes Dev., (1999), 13(9), 1181-1189, Nakayama et al, EMBO J., (2000), 19(9), 2069-81, Tomoda et al, Nature, (1999), 398(6723), 160-5)。
【0031】
表2は、本発明により使用され得る分解調節領域を列挙し、各領域が活性化される細胞周期相を示す。
【0032】
他に、分解調節領域は、Rogers et al, Science, (1986), 234, 364-8に記載されているPEST配列のような、細胞周期非仲介性のものである。細胞周期非仲介性分解調節領域の例は、カゼイン、オルニチンデカルボキシラーゼ及びタンパク質半減期を減少するタンパク質を誘導する配列を含む。本発明の方法における細胞周期非仲介性分解調節配列の使用は、細胞周期相特異的プロモーターによる発現の誘導後の細胞周期レポーターの持続時間を決定するための手段を提供する。
【0033】
表2:分解調節領域
【表2】
Figure 0004607454
【0034】
好適には、核酸配列によりコードされる生細胞レポーター分子は、蛍光性タンパク質及び酵素からなる群から選択され得る。好ましい蛍光性タンパク質には、オワンクラゲ(Aequorea victoria)由来の緑色蛍光タンパク質及び野生型GFPのアミノ酸配列がアミノ酸欠失、付加又は置換により変化されている機能的GFP類似体のようなGFPの類似体を含む。本発明の使用に適当なGFP類似体には、EGFP(Cormack, B. P. et al, Gene, (1996), 173, 33-38);EYFP及びECFP(米国特許第6066476,Tsien, R. et al);F64L−GFP(米国特許第6172188,Thastrup,O. et al);BFP(米国特許第6077707,Tsien, R. et al)が含まれる。他の蛍光タンパク質には、DsRedHcRed及び他の新規蛍光性タンパク質(BD Clontech and Labas, Y.A. et al, Proc Natl Acad Sci USA (2002), 99,4256-61)及びRenilla GFP(Stratagene)が含まれる。適当な酵素レポーターは、その酵素の基質中で検出可能な(例えば、蛍光性又は発光性)シグナルを生じ得るものである。特に適当な酵素/基質には、ニトロレダクターゼ/Cy−Q(国際公開第01/57237に開示のように)及びβ−ラクタマーゼ/CCF4が含まれる。
【0035】
本発明の好ましい実態態様では、核酸レポーター構築物は、所望により、細胞周期相特異的にタンパク質の細胞内(subcellular)局在性を調節し得るタンパク質モチーフをコードするDNA配列を含む細胞周期相特異的空間的局在性調節領域を含み得る。その局在性調節領域は、本発明により、:ここで
i)レポーターの特異的細胞内局在性が望ましい、及び又は
ii)細胞周期位置のより正確な決定が必要とされる場合に有利に使用され得る。
有効な操作及び又は分解の何れかを確実とするためにレポーターの細胞内局在性を決定することが必要であり得る。細胞周期位置のより正確な決定は、局在性調節領域を用い可能となり得るが、それは、これが、レポーターシグナルの強度及び局在性の両方の測定を許容するためである。
【0036】
適当な空間的局在性調節領域には、細胞周期調節タンパク質、例えば、サイクリンB1 CRSの局在性を調節するものが含まれる。
【0037】
機能的に連結との用語は、領域が、目的に合わせて機能するように、例えば、転写はプロモーターで開始し、本発明の蛍光タンパク質をコードするDNA配列を通じて進行するように配置されることを示す。図2(2A/2B/2C)は、本発明によるDNA構築物の一般的構造を解説する。
【0038】
本発明の好ましい態様では、当該構築物は、サイクリンB1プロモーター、サイクリンB1分解ボックス(D−ボックス)、サイクリンB1細胞質保持配列(CRS)及び緑色蛍光タンパク質(GFP)を含む。
【0039】
本発明による特定の例では、核酸レポーター構築物は、以下の領域を含む発現ベクターを含有する:
a)i)細菌由来の複製開始点とii)細菌由来の薬剤耐性遺伝子を含むベクターバックボーン、
b)細胞周期相特異的発現調節領域
c)分解調節領域及び
d)レポーター分子をコードする核酸配列。
【0040】
所望により、核酸レポーター構築物は、更に、細胞周期相特異的空間的局在性調節領域及び又は真核細胞性薬剤耐性遺伝子、好ましくは哺乳類薬剤耐性遺伝子を含む。
【0041】
発現ベクターはまた、他の核酸配列を含み、例えば、ポリアデニル化シグナル、スプライスドナー/スプライスアクセプターシグナル、介在配列、転写エンハンサー配列、翻訳エンハンサー配列などである。所望により、当該薬剤耐性遺伝子及びレポーター遺伝子は、2つの遺伝子が別々のプロモーターから作動するというよりも、細胞周期相特異的であるか(Sachs, et al, Cell, (2000), 101, 243-245)又は細胞周期独立性である(Jang et al, J. Virology, (1988),62, 2636-2643及びPelletier and Sonenberg, Nature, (1988), 334, 320-325)、配列内リボソーム進入部位(IRES)により機能的に連結され得る。細胞周期非特異的IRES領域を用いるとき、Clontechから商業的に入手可能なpIRES−neo及びpIRES−puroベクターを用い得る。
【0042】
第一の態様の特定の実施態様では、核酸レポーター構築物は、サイクリンB1のアミノ末端の171アミノ酸をコードするDNA配列に機能的に連結したサイクリンB1プロモーターをコードするDNA配列及び緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするDNA配列よりアセンブルされる(図3)。サイクリンB1の局在性及び分解調節するモチーフは、当該分子のアミノ末端の〜150アミノ酸にすべて位置した。結果として、人工細胞周期マーカーは、パートナーキナーゼに結合し活性化する必要があるサイクリンボックスと称せられる特定配列(Nugent et al, J. Cell. Sci., (1991), 99,669-674)を欠くため、細胞周期の進行を阻害しない、サイクリンB1のアミノ末端由来の配列のみを用い構築され得る。サイクリンB1のアミノ末端配列より必要とされる鍵となる調節モチーフは、i)分解ボックス(D−ボックス)と称せされる9アミノ酸モチーフ。これは、サイクリンB1をユビキチン化機構の標的とする際に必要であり、そして少なくとも1つのC末端リシン残基と共に、これはまた、その細胞周期相特異的崩壊に必要である;ii)おおよそ10アミノ酸の核外移行シグナル (NES)。このモチーフは、エクスポーチン1(exportin 1)により、直接又は間接的の何れかで認識され、間期を通して細胞質中のサイクリンB1のバルクを維持するのに十分である;iii)NES中に位置しNESに隣接し、そして有糸***において迅速な核内移行及び減少した核外移行を供与する、おおよそ4つの有糸***特異的リン酸化部位である。真核細胞中で発現するとき、当該構築物は、内在性サイクリンB1の発現及び崩壊に匹敵するGFPレポーターの細胞周期相特異的発現及び分解を示す。従って、GFP蛍光強度の測定は、細胞周期のG2/M相で細胞の同定を可能とする(図4)。更に、当該構築物の蛍光産物は、内在性サイクリンB1の空間的局在性を模倣するため、蛍光の細胞内分布の分析は、細胞周期位置の割り当てにおいて更に正確となり得る。前期で、サイクリンB1は、迅速に核中へトランケートし、その結果、細胞中のGFP蛍光の正確な局在性を用い、間期から有糸***に変化する細胞を識別し得る。一旦、細胞が中期に到達し、そしてスピンドルアセンブリチェックポイントが満たされると、サイクリンB1は非常に迅速に崩壊し、その結果、GFP蛍光の消失を用い、mid−M相で細胞を同定し得る。
【0043】
非同期化細胞の群に構築物を発現させることは、当該構築物からの蛍光性産物の周期的な発現及び分解が各細胞で生じ、当該群中のすべての細胞からの蛍光の連続的明滅パターンを生ずる。時間を伴う各細胞の蛍光性強度の分析は、結果として、図4に示すような各細胞の細胞周期状態における動力学的情報を生ずる。
【0044】
第一の態様による核酸レポーター構築物の更なる実施態様は、細胞周期の望ましいセクションをレポートする細胞周期相レポーターを設計するための、適当な他の細胞周期調節領域、例えば、表1及び2に示されるもの、を選択することにより構築され得る。
【0045】
発現ベクター及びプラスミドの構築及び使用は、当業者に既知である。実際には、任意の哺乳類細胞発現ベクターを、ここで開示の細胞周期マーカーと共に使用し得る。細菌及び哺乳類由来の薬剤耐性遺伝子及び細菌由来の複製開始点を含む適当なベクターバックボーンの例は、以下に限らないが、pCI−neo(Promega), pcDNA(Invitrogen)及びpTriEx1(Novagen)を含む。適当な細菌由来の薬剤耐性遺伝子は、以下に限らないが、アンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン及びクロラムフェニコールを含む抗生物質に対し耐性を供与するタンパク質をコードする遺伝子を含む。真核細胞性薬剤選択マーカーは、ネオマイシン、ヒグロマイシン、ピューロマイシン、ゼオシン、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ヒスチジノール、ゲンタマイシン及びメトトレキサートのような薬剤を含む。
【0046】
DNA構築物は、当業者に既知であり、Sambrook, J. et al (1989), Molecular Cloning-A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている方法による、制限消化、ライゲーション、形質転換及びプラスミド精製の標準的組み換え分子生物学的技術により調製され得る。他に、当該構築物は、確立された方法、例えばBeaucage and Caruthers, (Tetrahedron Letters, (1981),22, 1859-1869)に記載のホスホロアミダイト法又はMatthes et al(EMBO J., (1984), 3, 801-805)に記載の方法により合成的に調製され得る。ホスホロアミダイト法により、オリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNAシンセサイザーで合成し、精製し、アニールし、ライゲーションし、そして適当なベクター中にクローニングする。DNA構築物はまた、例えば、米国特許第4683202に記載されるような、又はSaiki et al(Science,(1988), 239, 487-491)による特異的プライマーを用いポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により調製され得る。PCR法のレビューは、PCR protocols, (1990), Academic Press, San Diego, California, U. S. A.に見られ得る。
【0047】
DNA構築物の調製の間、レポーターをコードする遺伝子配列は、細胞周期相特異的分解調節領域及び所望により空間的局在性調節領域とフレームを合わせて結合しなければならない。次いで、得られたDNA構築物を、1以上の適当な細胞周期相特異的発現調節領域調節の下に置くべきである。
【0048】
第三の態様では、本発明の核酸レポーター構築物でトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。その構築物を含む構築又は発現ベクターを導入する宿主細胞は、当該構築物を発現できる任意の哺乳類細胞であり得、そして真核細胞、例えば、哺乳類細胞、真菌細胞、線虫細胞、魚細胞、両生類細胞、植物細胞及び昆虫細胞からなる群から選択され得る。
【0049】
調製したDNAレポーター構築物は、当業者に既知の技術を用い宿主細胞中にトランスフェクトされ得る。1つのアプローチは、化学的又は物理的方法の何れかを用い細胞を一時的に浸透することである。これらの技術には、エレクトロポレーション(Tur-Kaspa et al, Mol. Cell Biol. (1986),6, 716-718; Potter et al, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, (1984), 81,7161-7165)、リン酸カルシウムに基づく方法(例えば、Graham and Van der Eb, Virology, (1973),52, 456-467及びRippe et al, Mol. Cell Biol., (1990), 10,689-695)又は直接のマイクロインジェクションが含まれ得る。
【0050】
他に、カチオン脂質に基づく方法(例えば、Superfect(Qiagen)又はFugene6(Roche)の使用)を用い、DNAを細胞中に導入し得る(Stewart et al, Human Gene Therapy,(1992), 3, 267;Torchilin et al, FASEB J, (1992),6, 2716; Zhu et al, Science, (1993), 261, 209-211 ; Ledley et al,J. Pediatrics, (1987), 110,1 ; Nicolau et al, Proc. Nat. Acad. Sci., USA, (1983), 80,1068 ; Nicolau and Sene, Biochem. Biophys. Acta,(1982), 721,185-190)。Jiao et al, Biotechnology, (1993), 11,497-502は、DNAを宿主細胞中に移すのにも使用し得る脳組織における転移及び発現遺伝子の電子銃(bombardment)仲介遺伝子転移プロトコールの使用を記載する。
【0051】
DNA構築物を細胞中にトランスフェクトするための更に他の方法は、細胞に入るウイルスの天然の能力を使用する。その方法は、例えば、ヘルペス単純ウイルス(米国特許第5288641)、サイトメガロウイルス(Miller, Curr. Top. Microbiol. Immunol.,(1992), 158,1)、ワクシニアウイルス(Baichwal and Sugden, 1986, in Gene Transfer, ed. R. Kucherlapati, New York, Plenum Press,p117-148)、及びアデノウイルス及びアデノ関連ウイルス(Muzyczka, Curr. Top. Microbiol. Immunol., (1992), 158,97-129)に基づくベクター及びトランスフェンクションプロトコールを含む。
【0052】
適当な組み換え宿主細胞の例は、HeLa細胞、Vero細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)U20SCOSBHKHepG2NIH 3T3MDCKRINHEK293及びインビトロで増殖する他の哺乳類細胞系統を含む。その細胞系統は、American Tissue Culture Collection(ATCC,米国メリーランド州ベッサダ)から入手できる。哺乳類から細胞を取り除きその後限定された時間当該細胞を培養した後に確立した最初の細胞系統由来の細胞もまた、本発明に含めることを意図する。
【0053】
細胞周期位置レポーターの安定発現を示す細胞系統はまた、標準的方法(Krasagakis, K. J et al, Cell Physiol., (2001), 187 (3), 386-91; Paris, S. et al, Clin. Exp. Metastasis, (1999), 17(10), 817-22)を用いて宿主動物への、操作された細胞の異種移植片の確立に使用され得る。細胞周期位置レポーターを発現するように工作された腫瘍細胞系統の異種移植片は、モデルシステムの確立を可能とし、このモデルシステムによって腫瘍細胞***、転移(stasis and metastasis)を研究し、新規抗癌薬物をスクリーニングする。
【0054】
宿主動物において同種移植片として細胞周期位置レポーターを発現するように作成された細胞系統又はトランスジェニック組織の使用により、組織移植の許容又は拒絶に影響する機構の研究をすることができる(Pye D and Watt, D. J., J. Anat., (2001), 198 (Pt 2), 163-73; Brod, S. A. et al, Transplantation (2000), 69 (10), 2162-6)。
【0055】
第二の態様により細胞の細胞周期位置を決定する方法を行うため、DNAレポーター構築物でトランスフェクトした細胞を、細胞周期の特定の段階でレポーター分子の発現を可能とするのに十分な条件及び時間、培養し得る。典型的に、レポーター分子の発現はトランスフェクション後16から72時間の間で生ずるが、培養条件に依存して変化し得る。レポーター分子が緑色蛍光タンパク質配列に基づいているならば、当該レポーターは、蛍光性のあるコンホメーションにフォールドするには一定の時間がかかり得る。この時間は、使用する緑色蛍光タンパク質誘導体の一次配列に依存する。蛍光レポータータンパク質はまた、時間と共に色が変化し得(例えば、Terskikh, Science, (2000), 290, 1585-8)、その場合、トランスフェクション後、特定時間のインターバルでイメージングが必要とされる。
【0056】
当該細胞の細胞周期位置は、レポーター分子の発現をモニターすることにより、及び適当な検出装置を用いレポーターによって放出されるシグナルを検出することにより決定され得る。次いで、レポーター分子が蛍光シグナルを生ずるならば、通常の蛍光顕微鏡又は共焦点に基づく蛍光顕微鏡の何れかを用い得る。次いで、レポーター分子がルミネセンス光を生ずるならば、ルミノメーターのような適当な装置を用い得る。これらの技術を用い、当該レポーター分子を発現する細胞の特性が決定され得る。DNA構築物が、転位調節領域を含み、当該細胞が顕微鏡を用い調査されるならば、レポーターの位置がまた決定され得る。本発明の方法では、当該DNA構築物で形質転換された又はトランスフェクトされた細胞の蛍光は、好適には、光学的手段により測定され、それは、例えば、スペクトロフォトメーター、フルオリメーター、蛍光顕微鏡、冷却電荷結合素子(CCD)イメージャー(スキャンニングイメージャー又はエリアイメージャー)、蛍光活性化セルソーター、共焦点顕微鏡又はスキャンニング共焦点装置であり、ここで、培養細胞のスペクトル特性は、光励起及び放出のスキャンで決定され得る。
【0057】
核酸レポーター構築物が薬剤耐性遺伝子を含む本発明の態様では、薬剤耐性遺伝子のトランスフェクション及び発現後(通常、1−2日)、修飾レポーター遺伝子を発現する細胞は、選択マーカー遺伝子の存在によりトランスフェクト細胞が耐性となる抗生物質の存在下で当該細胞を増殖させることにより選択し得る。抗生物質を添加する目的は、レポーター遺伝子を発現する細胞、そして、ある場合には、関連するプロモーター、IRES領域、エンハンサー及び終止配列を伴うレポーター遺伝子を当該細胞系統のゲノム中に組み込んだ細胞について選択することである。選択後、当該構築物を発現するクローン化細胞系統は、標準的技術を用い単離し得る。次いで、クローン化細胞系統は、標準的な条件下で増殖し得、そしてレポーター分子を発現し、細胞周期の特定の位置で検出可能なシグナルを生ずる。
【0058】
本発明の核酸レポーター構築物でトランスフェクトされた細胞は、研究対象の試験物質及び細胞の細胞周期における効果を決定すべきである試験物質の非存在下及び存在下で増殖され得る。レポーター分子を発現する細胞の割合及び所望により当該細胞内でのシグナルの局在性を決定することにより、当該細胞の細胞周期における試験物質の効果、例えば、当該試験物質が細胞周期の特定段階で当該細胞を停止させるかどうか、又は当該効果は細胞***をスピードアップするのかスローダウンするのかを決定することが可能である。
【0059】
そのため、第四の態様では、哺乳類細胞の細胞周期位置における試験物質の効果を決定する方法を提供し、当該方法は、
a)i)少なくとも1つの細胞周期相特異的発現調節領域及び
ii)分解調節領域
機能的に連結しそらの調節下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構築物を、細胞中において当該試験物質の非存在下及び存在下で発現させること、
ここで、当該レポーター構築物は、細胞中において細胞周期の所定の位置で発現する、
b)当該レポーター分子の発するシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を測定すること、
ここで、当該試験物質の非存在下及び存在下で測定する放出シグナル間の相違は、当該細胞の細胞周期位置における当該試験物質の効果を示す、
を含む。
【0060】
第五の態様では、哺乳類細胞の細胞周期位置における試験物質の効果を測定する方法を提供し、当該方法は、
a)i)少なくとも1つの細胞周期相特異的発現調節領域及び
ii)分解調節領域
機能的に連結しそらの調節下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構築物を、細胞中において当該試験物質の存在下で発現させること、
ここで、当該レポーター構築物は、細胞中において細胞周期の所定の位置で発現する、
b)当該レポーター分子の発するシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を測定すること、
c)当該試験物質の存在下での放出シグナルを、当該試験物質の非存在下での放出シグナルの既知の値と比較すること、
ここで、試験物質の存在下で測定した放出シグナルと当該試験物質の非存在下での既知の値との相違は、細胞の細胞周期位置での試験物質の効果を示す、
を含む。
【0061】
第六の態様では、哺乳類細胞の細胞周期位置における試験物質の効果を測定する方法を提供し、当該方法は、
a)i)少なくとも1つの細胞周期相特異的発現調節領域及び
ii)分解調節領域
機能的に連結しそらの調節下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構築物を含む細胞を提供すること、
ここで、当該レポーター構築物は、細胞中において細胞周期の所定の位置で発現する、
b)試験物質の存在下及び非存在下で、及び核酸レポーター構築物の発現を許容する条件下で、第一及び第二の群の細胞をそれぞれ培養すること、及び
c)第一及び第二の細胞群におけるレポーター分子の発するシグナルを測定すること、
ここで、第一及び第二の細胞群中で測定された放出シグナル間の相違は、細胞の細胞周期位置における試験物質の効果を示す、
を含む。
【0062】
試験物質という用語は、細胞がさらされる薬物、ホルモン、タンパク質、ペプチド、核酸などのような物質(agent)を意味することが意図される。他に、試験物質は、対象となる細胞で発現させる核酸、ペプチド又はタンパク質のような物質であり得る。例えば、本発明による核酸レポーター構築物でトランスフェクトした細胞を用い、対象となるタンパク質をコードする構築物を含むcDNAの発現は、細胞の細胞周期位置に効果を有するかどうかを測定し得る。哺乳類発現ベクター中へ挿入した一連のcDNAは、細胞周期位置レポーターを安定に発現する細胞中に一時的にトランスフェクトし得る。これらのトランスフェクト細胞中の核酸レポーター構築物の発現性及び局在性をモニターすることにより、細胞周期におけるcDNAによりコードされるタンパク質の効果を測定し得る。
【0063】
本発明の細胞周期位置核酸レポーター構築物はまた、細胞性プロセスにおける細胞周期位置の効果を測定するか、又は細胞性プロセスにおける試験物質の作用における細胞周期位置の効果を測定する方法に使用し得る。外部からの刺激に対し応答するものを含む、多くの細胞性プロセスが、細胞周期の種々の段階で種々に作用又は応答するために細胞周期により影響されることが知られる。例えば、エンドセリンレセプターは、細胞周期の種々の相の間に種々のレベルで発現されること(Okazawa et al. J. Biol. Chem., (1998), 273, 12584-12592)が示され、その結果、エンドセリン誘導性アポトーシスに対する細胞の感度は、細胞周期位置で変わる。同様に、バソプレシンに対する細胞性Ca2+起動応答は、細胞周期位置により相違し(Abel et al. J. Biol. Chem., (2000), 275, 32543-32551)、それは、種々の細胞周期相で種々のG−タンパク質を用いるシグナルトランスダクション経路の変化によるものである。細胞周期位置レセプター構築物の使用により、細胞は生物学的アッセイにおいて細胞変化し得(適当なアッセイレポーターを用い測定する)、それは、アッセイシグナル中の任意の変化が細胞周期位置レポーターシグナルと相関するかどうか決定し、それゆえアッセイシグナルの任意の細胞周期依存性を決定するため、細胞周期位置レポーターからのシグナルと相関する。例えば、アッセイは、細胞表面レセプターに結合する赤色蛍光標識リガンドの量が、GFP細胞周期位置レポーターを用い決定された細胞周期状態と相関すると考えられ得る。細胞性プロセスにより、生細胞は、生体合成、取り込み、輸送、レセプター結合、代謝、融合、生化学的応答、増殖及び死滅が行われ(undergo)そしてそれらを含む、通常のプロセスを意味する。
【0064】
2以上の細胞周期位置核酸レポーター構築物は、同一細胞内の2以上の細胞周期相の変化のレポートを含む適用における組み合わせに使用し得る。二重又は複数のレポーティングを行うため、2種以上の構築物が同一細胞中で作成され発現され、ここで、各レポーター構築物は、種々の識別可能なレポーターに連結した調節領域の種々の組み合わせを含む。例えば、GFPに機能的に連結したサイクリンB1プロモーター及びサイクリンB1 D−ボックスを含む構築物の細胞での発現を青色蛍光タンパク質(BFP)に機能的に連結したサイクリンA2プロモーター及びサイクリンB1 D−ボックスを含む第二の構築物の同一細胞中での発現と組み合わせた場合、S相(青色蛍光)の細胞をG2/M相の細胞(青色及び緑色蛍光)から識別し得る。
【0065】
本発明による細胞周期位置核酸レポーター構築物及びアッセイ法は、種々の更なる適用に使用し得、例えば:
i)本発明の細胞周期位置レポーター構築物でトランスフェクトされた細胞を用い、複合化アッセイにおける第二のマーカーの発現、転位又は細胞内分布における細胞周期の効果を測定し得る。例えば、原形質膜に対する蛍光レポーターの細胞内転位を研究し、試験化合物が細胞の割合で転位を生ずることが判るならば、次いで、本発明の構築物でトランスフェクションした細胞を用い、転位は細胞周期依存性であるかどうか決定することが可能である。
【0066】
そのため、本発明の第七の態様では、試験物質に応答して変化することが知られる第一の検出可能レポーターの発現、転位又は細胞内分布における哺乳類細胞周期の効果を測定する方法を提供し、当該方法は、
a)i)細胞周期相特異的発現調節領域及び
ii)分解調節領域
機能的に連結しそらの調節下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む第二の核酸レポーター構築物を細胞中において試験物質の存在下で発現させること、
ここで、当該レポーター構築物は、細胞中において細胞周期の所定の位置で発現する、
b)当該第二のレポーター分子の発するシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を測定すること、
c)当該第一の検出可能レポーターの発するシグナルをモニターすること、
ここで、ステップb)により測定した細胞周期位置と当該第一の検出可能レポーターの発するシグナルとの関連は、第一の検出可能レポーターの発現、転位又は細胞内分布が細胞周期依存性であるかどうかを示す、
を含む。用語「試験物質」は、本発明の第四、第五及び第六の態様との関連で前記したように理解すべきである。
【0067】
ii)本発明の細胞周期位置レポーターは、個々の細胞又は細胞群の細胞周期状態における更なる情報を得るため、細胞周期関連の内在性細胞性マーカー又は現象の分析と組み合わせて使用され得る。例えば、ゴルジ複合体は、哺乳類細胞中で、核に隣接するリボンのような構造を含む特徴的な形態を有することが知られ、そして、リボン構造体は、有糸***細胞全体に分散する小胞及び細管のクラスターに変換されるため、細胞が有糸***するとき特徴的な変化がゴルジ構造体で生ずることが知られる(Lowe et al., Trends Cell Biol., (1998), 8(1) 40-44)。ゴルジ体(例えば、特定の蛍光染色の使用により細胞周期の既知の進行が変化する)のような細胞成分の形態の分析を、細胞周期の進行のより詳細な分析を可能とする細胞周期位置レポーターと組み合わせて用い得る。
【0068】
iii)本発明の細胞周期位置レポーターはまた、インビボ適用で細胞周期状態及び進行をモニターするために使用し得る。各細胞又は複数の細胞のトランスフェクションによる、例えば、アフリカツメガエル(Xenopus oocyte)のような生体試料、及び線虫(C. elegans)及びショウジョウバエ(Drosophila)のような生体中への細胞周期レポーターをコードするDNA構築物の導入はマイクロインジェクション(Krone P. H., and Heikkila J. J., Development, (1989), 106 (2), 271-81)、ハ゛リスティックインシ゛ェクション(Horard B. et al., Insect Mol. Biol., (1994), 3 (4), 61-5)及び当業者に既知の他の方法により行い得る。その試料中への細胞周期レポーター構築物の導入は、トランスフェクトした細胞の子孫での細胞周期の進行及び調節の調査を可能とする。レポーターからの情報は、モデル生体での増殖及び発生の研究に有意な価値となるようである。
【0069】
iv)本発明のレポーターは、トランスジェニック生物の作成に使用され得、すなわち、細胞周期位置レポーターをコードするDNAは、生体又は動物のすべての細胞中で安定して発現する。そのトランスジェニック生物は、DNAを初期胚に、一般的には新たに受精した卵の前核の1つにマイクロインジェクトすることにより作成され得る(Bishop J.O., Reprod. Nutr. Dev.,(1996), 36 (6),607-18)。トランスジェニック技術は、線虫のような単純な生体(Daniells, C. et al, Mutat. Res. , (1998), 399(1), 55-64)からマウス及びラットのようなより複雑な生体(Sills, R. C. , et al., Toxicol. Lett., (2001), 20 (1-3), 187-98)までの宿主種の範囲中に細胞周期位置レポーターを作成するのに使用し得る。トランスジェニック生物の全細胞中での細胞周期位置レポーターの安定なトランスジェニック発現の確立により、細胞周期状態は、生体から得られる培養細胞系統を含む生体内で何れかの細胞型の決定がされ得るか、又は当該生体から単離され得る。従って、本発明の第八の態様では、上記のような細胞を含むトランスジェニック生物を提供する。
【0070】
v)細胞周期位置レポーターの安定発現を示す細胞系統はまた、標準的方法(Krasagakis, K. J et al, Cell Physio., (2001), 187 (3), 386-91; Paris, S. et al, Clin. Exp. Metastasis, (1999), 17 (10), 817-22)を用い宿主動物中に、作成した細胞の異種移植片の確立に使用され得る。そのため、本発明の第九の態様では、宿主生物中で異種移植片の確立に使用するための上記のような細胞を含む細胞系統を提供する。細胞周期位置マーカーを発現するように作成した腫瘍細胞系統の異種移植片は、腫瘍細胞***、停止及び転移を研究し新規抗癌薬剤のスクリーニングするためのモデルシステムの確立を可能とする。
【0071】
vi)宿主動物中の同種移植片のような細胞周期位置レポーターを発現するように作成した細胞系統又はトランスジェニック組織の使用は、組織移植の許容又は拒絶に影響する機構の研究をすることができる(Pye, D. and Watt, D. J., J. Anat., (2001), 198(Pt 2), 163-73; Brod, S. A. et al, Transplantation (2000), 69 (10), 2162-6)。そのため、本発明の第十の態様では、宿主生物で同種移植片の確立に使用するための上記のような細胞を含む細胞系統を提供する。
【0072】
本発明の第十一の態様では、上記のような細胞を含むトランスジェニック生物を提供する。
【0073】
本発明の簡単な説明
本発明は、以下の実施例及び図面を参照することにより解説される。
【0074】
図1は、細胞周期の進行におけるサイクリンB1調節を説明する模式図である。細胞周期は矢印の方向に進み、S相の終わりで発現が始まり、G2の間にピークとなる細胞周期相特異的プロモーターによりサイクリンB1発現は作動する(A)。有糸***の開始において(B)、サイクリンB1は細胞質から核へトランスロケートし、中期より先(C)タンパク質は特異的に崩壊する。
【0075】
図2は、本発明の細胞周期位置核酸レポーター構築物を説明する模式図であり、2Aは、細胞周期相特異的プロモーターを用いるが、IRES領域は用いず、2Bは、IRES領域を用い哺乳類選択を促進し、そして2Cは、構造性及び誘導性哺乳類プロモーター及び発現調節領域として細胞周期相特異的IRESを含む。それぞれにおいて、Aは細胞周期相特異的発現調節(プロモーター)を示し、Bは細胞周期相特異的分解調節領域を示し、Cは細胞周期相特異的局在性調節領域を示し、Dはレセプター遺伝子を示し、Eは細胞周期非特異的IRES領域を示し、Fは哺乳類選択マーカーを示し、Gは哺乳類構造性プロモーターを示し、そしてHは細胞周期相特異的IRES領域を示す。
【0076】
図3は、細胞周期のG2/M相を測定するためのDNA構造物を示し、当該構造物は、サイクリンB1プロモーター(A)、サイクリンB1分解ボックス(D−ボックス)(B)、サイクリンB1 CRS(C)及びGFPレポーター(D)を含む。
【0077】
図4は、非同調化細胞群中でG2/M細胞周期相マーカーを発現する核酸構築物の発現を示す。各細胞は、当該構築物由来の蛍光産物の周期的な発現及び分解を示し、これにより、群中のすべての細胞で連続的に「明滅する」パターンの蛍光が生じている。時間1、2、3及び4での各細胞の蛍光強度の分析により、各細胞の細胞位置の状態における動力学的情報が得られる。
【0078】
図5は、本発明の細胞周期相マーカーからのGFP蛍光における細胞周期ブロッキング剤の効果を示す棒グラフである。Aはデメコルチシン(demecolchicine)により有糸***中で阻害された細胞を示し、Bは対照細胞を示し、そしてCはミモシン(mimosine)によりG1/S相で阻害される細胞を示す。
【0079】
図6は、実施例3の、実施例1で記載された構築物をマイクロインジェクションされ、有糸***している細胞の一連の低速度撮影写真である。
【0080】
図7は、有糸***している実施例1に記載の構築物を発現するU2−0S細胞を示す、実施例4による連続低速度撮影写真である。パネルAでは、左の細胞は細胞周期のG2−相にあり、パネルBでは、細胞は前期に入っており、パネルCでは、細胞は中期にあり、パネルDでは、細胞は終期にあり、そしてパネルEでは、2つの娘細胞は非蛍光性であり、G1相にある。
【0081】
図8は、実施例1に記載の構築物を安定して発現するU2−0S細胞及びその子孫の相対的蛍光性を実施例4により示すグラフである。当該細胞は、4時間後有糸***し(A)、2つの娘細胞に***する(1、2)。次いで、娘1は34時間で有糸***し2つの孫娘(1.1及び1.2)に***し(B)、娘2は42時間で有糸***し孫娘(2.1及び2.2)に***する。太い矢印は、G2−相であって有糸***前の娘細胞の蛍光性の増加を示す。
【0082】
図9は、構築物を含むeGFPを安定して発現するU2−0S細胞系統の実施例5によるFACS分析である。上のグラフは、FL3A(赤色蛍光)で染色するヨウ化プロピジウムのヒストグラムを示し、X軸は蛍光強度、Y軸はその蛍光強度の細胞数をプロットした。このグラフは、G1、S及びG2/Mの細胞の割合は予測通りであることを示す。下のグラフは、X軸がFL3A(赤色)でありY軸がFL1H(緑色蛍光)である同一細胞のドットプロットである。斜め方向のパターン(囲った部分)は、G2/M中の細胞がS相細胞よりも緑色蛍光性があり、次いでS相はG1相細胞よりも蛍光性があることを示す。
【0083】
図10は、実施例5に記載の安定細胞系統の相対的緑色蛍光強度における細胞周期インヒビターの効果を示す実施例6によるFACS分析である。図9に示すように、ヒストグラム(左側)はFL3Aに対して細胞数(Y軸)を示し、ドットプロット(右側)は同一細胞について示しておりFL3A(X軸)に対してFL1H(Y軸)をプロットした。上の2つのグラフは、細胞周期インヒビターで処理していない対照細胞を示す。判るように、これらの細胞は、典型的な細胞周期プロファイル(A)を示し、よりGFPを有する細胞は細胞周期のG2/Mパターンにあることを示す模式パターンを有する。真ん中の2つのグラフは、コルチシンによりG2/Mでブロックされた細胞を示す(C)。これらの細胞の殆どは、比較的高い緑色蛍光を有する(D)。下の2つのグラフは、ミモシンによりG1/Sで部分的にブロックされた細胞を示す(E)。これらの細胞の殆どは、比較的低い緑色蛍光を有する(F)。
【実施例】
【0084】
1.DNA構築物の調製
i)サイクリンB1分解ボックス及びNESをコードする、N末端の三分の一のサイクリンB1 mRNA(アミノ酸1−171)を、標準的PCR技術及び以下のプライマー:
【化1】
Figure 0004607454
を用いHindIII及びBamHI端で増幅した。
【0085】
ii)wtGFPの遺伝子は、融合タンパク質の構築を促進する制限部位を導入するように設計したプライマーで増幅した。PCR産物は、製造者指示書によりpTARGET(Promega)中にクローニングし、変異(F64L/S175G/E222G)はQuikChange部位特異的変異導入キット(Stratagene)を用い導入した。構築物は、自動DNAシーケンシングにより確認した。次いで、変異GFPをコードするDNAを、BamHI及びSalI制限酵素部位を用いサイクリンB1 N末端領域の下流にクローニングした。
【0086】
iii)サイクリンB1プロモーター(−150−>+182)の細胞周期依存性領域は、SacI及びHindIII部位で増幅し、サイクリンB1 N末端領域及びGFP融合タンパク質の上流にクローニングした。
【0087】
iv)DNAをコードするプロモーター及び組み換えタンパク質を切除し、BglII/NheI切断pCl−Neo誘導ベクター中のCMVプロモーターに代えてクローニングした。
【0088】
2.一時的にトランスフェクトした細胞を用いる、細胞周期相マーカーからのGFP蛍光における細胞周期ブロッキング剤の効果
U20S細胞(ATCC HTB−96)を、96ウェルマイクロタイタープレートのウェル中で培養した。細胞は、実施例1で調製した細胞周期レポーター構築物でトランスフェクトし、当該構築物は、トランスフェクト剤としてFugene6(Roche)を用いpCORON4004ベクター(Amersham Biosciences)中に、サイクリンB1 D−ボックス、サイクリンB1 CRS、及びGFPをコードする配列に機能的に連結したサイクリンB1プロモーターを含んだ。
【0089】
24時間の培養後、細胞を、特異的細胞周期ブロッカーミモシン(G1/S相境界でブロックする)又はデメコルシン(demecolcine)(M相でブロックする)にさらした。対照細胞は培養培地のみにさらした。
【0090】
細胞を更に24時間インキュベーションし、次いで自動イメージ分析を伴う共焦点スキャンニングイメージャー(IN Cell Analysis System, Amersham Biosciences)を用い核GFP発現について分析した。
【0091】
図5に示すように、デメコルシンにさらした細胞は、対照細胞と比較すると蛍光が増大し、その一方、ミモシンにさらした細胞は、対照細胞と比較すると蛍光は減少した。これらの結果は、本発明の細胞周期相レポーターで提唱される使用と一致する。サイクリンB1プロモーターの活性化時期の前に、G1/S相でブロックされた(ミモシン処理した)細胞は蛍光が減少し、その一方、サイクリンB1 D−ボックスの作用時期の前に、M相でブロックされた(デメコルシン処理した)細胞は蛍光が増大した。
【0092】
これらの結果は、本発明の細胞周期相レポーターが、一時的なシステムにおいて細胞周期の進行をモジュレートする物質の検出に適当であり、更にそのレポーターにより、細胞がブロックされる細胞周期相の同定が可能となる。
【0093】
3.当該構築物のマイクロインジェクション及び低速度撮影写真
HeLa細胞は、実施例1により調製された構築物と共にマイクロインジェクトされ、図6に示すように、低速度撮影顕微鏡により調査した。微分干渉コントラスト(Differential interference contrast)(DIC)イメージを左側に示しており、それは右側の蛍光イメージに相当する。フレームAは、核中で明るい蛍光を示す中期の細胞(矢印)を示す。フレームB及びCは、***後期(B)及び後期の***後期(late anaphase)(C)のより遅い時期の同一細胞を示す。B及びCのDICイメージは、2つの娘細胞への細胞***(2つの矢印で示す)を示し、相当する蛍光イメージは、細胞周期が進行するにつれて蛍光構築物分解を伴い蛍光が喪失する。
【0094】
4.安定した細胞系統産生及び低速度撮影写真
U20S細胞(ATCC HTB−96)を実施例1に記載の構築物でトランスフェクトし、当該構築物を安定して発現する細胞を選択するため1mg/ml ジェネチシン(geneticin)を含む培養培地中で数ヶ月増殖させた。多くのクローンを標準的方法によりピックし(例えば、Freshney, Chapter 11 in Culture of Animal Cells, (1994) Wiley-Liss Incに記載されている)、蛍光細胞を含むクローンを単離した。この細胞系統は、25mM HEPESを含む培養培地中で37℃で保持し、細胞の蛍光及び放出イメージを488nmの標準的キセノンランプを用い24時間、経時的に15分毎に得た。図7は、一部のイメージからの5フレームを示し、細胞系統は予測されるような挙動することが示される。G2の細胞は、細胞質中で緑色蛍光を示し、初期有糸***中の細胞は核中で有意に蛍光性を有し、有糸***後、レポーター遺伝子は崩壊し、当該細胞は蛍光性を喪失する。
【0095】
図8は、48時間かけてモニターし、2つに細胞***し4つの孫娘細胞を生ずる、同一クローンからの細胞の結末を示す。各位置では、各細胞子孫の平均強度を測定し、時間に対してプロットする。判るように4時間以内で元の細胞は有糸***し、一方の娘は、実験中、32時間で***し、他方は42時間で***する。細胞がS−相を出てG2相へ入り、有糸***までは平均強度は一定の増加を示し、有糸***時に細胞は球状化し、平均強度は急激に増加する。
【0096】
5.より明るい安定細胞系統の調製及びその後のFACS分析
実施例1に記載のベクター中の緑色蛍光タンパク質レポーター配列は、標準的方法により促進されたGFP(EGFP;Cormack, B. P. et al, Gene, (1996), 173,33-38 ; BD Clontech)で置換された。EGFP遺伝子は、変異F64L及びS65Tを含むGFPのより明るい型である。加えて、EGFPは、哺乳類細胞中での発現を最適化するように変化させたコドンを含む。この新しい構築物は、U2−0S細胞にトランスフェクトされ、多くのコロニーがジェネチシンで選択され、その後、蛍光活性化セルソーターを用い単一細胞をソーティングすることにより単離された。これらのクローンは、実施例4で生ずる蛍光よりもより明るい蛍光を示し、予測されるように蛍光強度及び局在性は、細胞の細胞周期相により変化することが明らかとなった。
【0097】
当該細胞は、標準的方法によりFACS分析のために調製された。端的には、細胞は、製造者手順によりCytoFix/CytoPerm(Becton Dickinson)を用い固定化及び浸透させた。次いで、当該細胞は、50μg/ml RNAse 及び 0.4% TritonX−100で処理され、100μg/mlヨウ化プロピジウムで対比染色した。ヨウ化プロピジウム染色の程度は、細胞中のDNA量に、及びそのため細胞の細胞周期相の測定に比例する。図9に示され得るように、予測されるように、赤色ヨウ化プロピジウム染色の程度及び緑色GFP蛍光の量は、細胞中で比例するように思われる。
【0098】
6.GFP発現レベルにおける細胞周期阻害薬剤の効果
実施例5で調製した細胞は、24時間、25cm2フラスコ中で増殖させ、100ng/mlデメコルシン(Sigma)又は1mMミモシン(Sigma)の何れかで処理した。次いで、当該細胞を固定化し、浸透させ、そして実施例5に記載のようなヨウ化プロピジウムで染色した。FACS分析は、予測されるように、コルチシン類似体で処理した細胞はG2/Mで停止し、ミモシンで処理した細胞はG1/S境界で停止することを示した。また予測されるように、G2/Mで停止した細胞は、G1/Sで停止した細胞よりも明るかった(図10)。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】細胞周期の進行の間のサイクリンB1調節を説明する模式図である。
【図2】本発明の細胞周期位置核酸レポーター構築物を説明する模式図である。
【図3】細胞周期のG2/M相を測定するためのDNA構造物を示す。
【図4】非同調化細胞の群中のG2/M細胞周期相マーカーを発現する核酸構築物の発現を示す。
【図5】本発明による細胞周期相マーカーからのGFP蛍光における細胞周期ブロッキング剤の効果を示す棒グラフである。
【図6】実施例1で記載された構築物をマイクロインジェクションした細胞を示し、実施例3により有糸***している、一連の低速度撮影写真である。
【図7】実施例4による有糸***している実施例1に記載の構築物を発現するU2−0S細胞を示す、一連の低速度撮影写真である。
【図8】実施例4による実施例1に記載の構築物を安定して発現するU2−0S細胞及びその子孫の相対的蛍光性を示すグラフである。
【図9】実施例5による構築物を含むeGFPを安定して発現するU2−0S細胞系統のFACS分析である。
【図10】実施例6による実施例5に記載の安定細胞系統の相対的緑色蛍光強度における細胞周期インヒビターの効果を示すFACS分析である。

Claims (22)

  1. i)少なくとも1つの細胞周期相特異的発現調節領域、
    ii)分解調節領域、及び
    iii)サイクリンB1細胞質保持配列(CRS)(そのNESを含む)からなる細胞周期相特異的空間的局在性調節領域
    に機能的に連結しそれらの調節下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構築物。
  2. 当該発現調節領域が、細胞周期相特異的に転写を調節する、請求項1記載の構築物。
  3. 当該発現調節領域が、細胞周期相特異的に翻訳を調節する、請求項1又は請求項2記載の構築物。
  4. 当該発現調節領域は、細胞周期相特異的プロモーター及び細胞周期相特異的な配列内リボソーム進入部位(IRES)から選択される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の構築物。
  5. 当該プロモーターが、サイクリンB1プロモーター、Cdc25Bプロモーター、サイクリンA2プロモーター、Cdc2プロモーター、Cdc25Cプロモーター、サイクリンEプロモーター、Cdc6プロモーター、DHFRプロモーター及びヒストンプロモーターからなる群から選択される、請求項4記載の構築物。
  6. 当該IRESは、G2−IRES、HCV IRES、ODC IRES、c−myc IRES及びp58 PITSLRE IRESからなる群から選択される、請求項4又は請求項5記載の構築物。
  7. 当該分解調節領域が、サイクリンB1 D−ボックス、サイクリンA N末端、KENボックス、サイクリンE及びp27Kip1からなる群から選択される、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の構築物。
  8. 当該生細胞レポーター分子は、蛍光タンパク質及び酵素からなる群から選択される、請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の構築物。
  9. 当該蛍光タンパク質が、緑色蛍光タンパク質(GFP)ら選択される、請求項記載の構築物。
  10. 当該酵素レポーターが、β−ラクタマーゼ及びニトロレダクターゼからなる群から選択される、請求項記載の構築物。
  11. サイクリンB1プロモーター、サイクリンB1分解ボックス(D−ボックス)、サイクリンB1細胞質保持配列(CRS)(そのNESを含む)及び緑色蛍光タンパク質(GFP)を含む請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の構築物。
  12. a)i)細菌由来の複製開始点とii)細菌由来の薬剤耐性遺伝子とを含むベクターバックボーン、
    b)細胞周期相特異的発現調節領域、
    c)分解調節領域、
    d)サイクリンB1細胞質保持配列(CRS)(そのNESを含む)からなる細胞周期相特異的空間的局在性調節領域、及び
    e)上記b)〜d)に機能的に連結しそれらの調節下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列
    を含む、発現ベクターを含有する核酸レポーター構築物。
  13. 更に、真核細胞性薬剤耐性遺伝子を含む、請求項12記載の構築物。
  14. 請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の構築物でトランスフェクトされた宿主細胞。
  15. 哺乳類細胞の細胞周期位置を決定するインビトロ方法であって、
    a)請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の核酸レポーター構築物を細胞中で発現させること、
    b)レポーター分子の発するシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を決定すること
    を含む当該方法。
  16. 薬物、ホルモン、タンパク質、ペプチド又は核酸から選択される試験物質の哺乳類細胞の細胞周期位置における効果を決定するインビトロ方法であって、当該方法が、
    a)i)細胞周期相特異的発現調節領域、ii)分解調節領域及びiii)サイクリンB1細胞質保持配列(CRS)(そのNESを含む)からなる細胞周期相特異的空間的局在性調節領域に機能的に連結しそれらの調節の下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構築物を、細胞中において当該試験物質の非存在下及び存在下で発現させること、及び
    b)当該レポーター分子の発するシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を測定すること
    を含み、当該レポーター構築物が細胞中において細胞周期の所定の位置で発現し、当該試験物質の非存在下及び存在下で測定する放出シグナル間の相違が当該細胞の当該細胞周期位置における当該試験物質の効果を示す、方法。
  17. 薬物、ホルモン、タンパク質、ペプチド又は核酸から選択される試験物質の哺乳類細胞の細胞周期位置における効果を測定するインビトロ方法であって、当該方法が、
    a)i)細胞周期相特異的発現調節領域、ii)分解調節領域及びiii)サイクリンB1細胞質保持配列(CRS)(そのNESを含む)からなる細胞周期相特異的空間的局在性調節領域に機能的に連結しそれらの調節下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構築物を、当該細胞中において当該試験物質の存在下で発現させること、及び
    b)当該レポーター分子の発するシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を測定すること、
    c)当該試験物質の存在下での放出シグナルを、当該試験物質の非存在下での放出シグナルの既知の値と比較すること
    を含み、当該レポーター構築物が細胞中において細胞周期の所定の位置で発現し、試験物質の存在下で測定した放出シグナルと当該試験物質の非存在下で既知の値との相違が細胞の細胞周期位置での試験物質の効果を示す、当該方法。
  18. 薬物、ホルモン、タンパク質、ペプチド又は核酸から選択される試験物質の哺乳類細胞の細胞周期位置における効果を測定するインビトロ方法であって、当該方法が、
    a)i)細胞周期相特異的発現調節領域、ii)分解調節領域及びiii)サイクリンB1細胞質保持配列(CRS)(そのNESを含む)からなる細胞周期相特異的空間的局在性調節領域に機能的に連結しそれらの調節下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む核酸レポーター構築物を含む細胞を提供すること、
    b)試験物質の存在下及び非存在下で、及び核酸レポーター構築物の発現を許容する条件下で、第一及び第二の群の細胞をそれぞれ培養すること、及び
    c)第一及び第二の細胞群におけるレポーター分子の発するシグナルを測定すること
    を含み、当該レポーター構築物が細胞中において細胞周期の所定の位置で発現し、第一及び第二の細胞群中で測定された放出シグナル間の相違が細胞の細胞周期位置における試験物質の効果を示す、方法。
  19. 薬物、ホルモン、タンパク質、ペプチド又は核酸から選択される試験物質に応答して変化することが知られる第一の検出可能レポーターの発現、転位又は細胞内分布における哺乳類細胞の細胞周期の効果を測定するインビトロ方法であって、当該方法が、
    a)i)細胞周期相特異的発現調節領域、ii)分解調節領域、及びiii)サイクリンB1細胞質保持配列(CRS)(そのNESを含む)からなる細胞周期相特異的空間的局在性調節領域に機能的に連結しそれらの調節下にある検出可能な生細胞レポーター分子をコードする核酸配列を含む第二の核酸レポーター構築物を、当該細胞中において当該試験物質の存在下で発現させること、
    b)当該第二のレポーター分子の発するシグナルをモニターすることにより細胞周期位置を測定すること、及び
    c)当該第一の検出可能レポーターの発するシグナルをモニターすること
    を含み、当該レポーター構築物が細胞中において細胞周期の所定の位置で発現し、ステップb)により測定した細胞周期位置と当該第一の検出可能レポーターの発するシグナルとの関連が当該第一の検出可能レポーターの発現、転位又は細胞内分布が細胞周期依存性であるかどうかを示す、方法。
  20. 当該核酸レポーター構築物は請求項11記載の構築物を含む、請求項15乃至請求項19のいずれか1項記載の方法。
  21. 当該試験物質が、対象となる細胞で発現させるペプチド又はタンパク質から選択される物質である、請求項16乃至請求項20のいずれか1項記載の方法。
  22. 請求項14記載の細胞を含む、ヒト以外のトランスジェニック生物。
JP2003534582A 2001-10-05 2002-09-12 細胞周期位置を決定する方法 Expired - Fee Related JP4607454B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GBGB0123856.7A GB0123856D0 (en) 2001-10-05 2001-10-05 Method for determining cell cycle position
PCT/GB2002/004258 WO2003031612A2 (en) 2001-10-05 2002-09-12 Method for determining cell cycle position

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005504550A JP2005504550A (ja) 2005-02-17
JP2005504550A5 JP2005504550A5 (ja) 2008-09-04
JP4607454B2 true JP4607454B2 (ja) 2011-01-05

Family

ID=9923245

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003534582A Expired - Fee Related JP4607454B2 (ja) 2001-10-05 2002-09-12 細胞周期位置を決定する方法

Country Status (11)

Country Link
US (2) US7235401B2 (ja)
EP (1) EP1432819B1 (ja)
JP (1) JP4607454B2 (ja)
AT (1) ATE368753T1 (ja)
AU (1) AU2002326036B2 (ja)
CA (1) CA2461133C (ja)
DE (1) DE60221550T2 (ja)
ES (1) ES2290326T3 (ja)
GB (1) GB0123856D0 (ja)
IL (1) IL160908A0 (ja)
WO (1) WO2003031612A2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1616286A1 (en) * 2003-04-02 2006-01-18 Amersham Biosciences UK Limited Method of, and computer software for, classification of cells into subpopulations
GB0307684D0 (en) * 2003-04-02 2003-05-07 Amersham Biosciences Uk Ltd Determining cell cycle phase data
WO2004103067A2 (en) * 2003-05-08 2004-12-02 Health Research Inc. A transgenic animal model for cancer and stem cells
EP1771465B1 (en) * 2004-07-23 2012-07-11 GE Healthcare UK Limited Cell cycle reporting cell line
US7745123B2 (en) * 2004-07-23 2010-06-29 Ge Healthcare Uk Limited Cell cycle reporting cell line
CN101052646B (zh) * 2004-07-23 2015-10-21 通用电气医疗集团英国有限公司 细胞周期阶段标志物
JP5408839B2 (ja) * 2006-10-20 2014-02-05 オリンパス株式会社 細胞周期解析方法
EP2275567A1 (en) * 2009-07-15 2011-01-19 Rheinische Friedrich-Wilhelms-Universität Bonn Nucleic acid expression construct and its use as a cell proliferation marker
CA2839593A1 (en) 2011-07-15 2013-01-24 Sarepta Therapeutics, Inc. Methods and compositions for manipulating translation of protein isoforms from alternative initiation start sites

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5288641A (en) * 1984-06-04 1994-02-22 Arch Development Corporation Herpes Simplex virus as a vector
US4683202A (en) * 1985-03-28 1987-07-28 Cetus Corporation Process for amplifying nucleic acid sequences
FR2658204A1 (fr) * 1990-02-12 1991-08-16 Inst Nat Sante Rech Med Nouvelles compositions de cycline a humaine, sequence nucleotidique correspondante, et agents de detection ou de diagnostic de mutations hepatocellulaires induites par le virus hbv.
US6159691A (en) * 1996-05-15 2000-12-12 Prolifix Limited Assay for a putative regulator of cell cycle progression
US6124128A (en) * 1996-08-16 2000-09-26 The Regents Of The University Of California Long wavelength engineered fluorescent proteins
US6048693A (en) * 1996-10-16 2000-04-11 Bittech, Inc. Phenotypic assays of cyclin/cyclin-dependent kinase function
US6461813B2 (en) * 1998-09-21 2002-10-08 Rigel Pharmaceuticals, Inc. Multiparameter FACS assays to detect alterations in cell cycle regulation
DE19831420A1 (de) * 1998-07-14 2000-01-20 Hoechst Marion Roussel De Gmbh Expressionssysteme enthaltend chimäre Promotoren mit Bindungsstellen für rekombinante Transkriptionsfaktoren
US6764852B2 (en) * 1999-01-26 2004-07-20 Vlaams Interuniversitair Instituut Voor Biotechnologie Vzw Internal ribosome entry site, vector containing same and uses thereof
GB0002261D0 (en) * 2000-02-02 2000-03-22 Amersham Pharm Biotech Uk Ltd Fluorescent detection method & reagent

Also Published As

Publication number Publication date
DE60221550T2 (de) 2008-04-17
EP1432819A2 (en) 2004-06-30
ATE368753T1 (de) 2007-08-15
US20040248133A1 (en) 2004-12-09
GB0123856D0 (en) 2001-11-28
WO2003031612A3 (en) 2003-10-30
US7235401B2 (en) 2007-06-26
AU2002326036B2 (en) 2007-09-13
CA2461133A1 (en) 2003-04-17
IL160908A0 (en) 2004-08-31
ES2290326T3 (es) 2008-02-16
DE60221550D1 (de) 2007-09-13
US20070238123A1 (en) 2007-10-11
WO2003031612A2 (en) 2003-04-17
CA2461133C (en) 2009-02-10
JP2005504550A (ja) 2005-02-17
EP1432819B1 (en) 2007-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20070238123A1 (en) Method for determining cell cycle position
AU751163B2 (en) Rapidly degrading GFP-fusion proteins and methods of use
JP2011015685A (ja) 新規な発現ベクター
AU2005263993B2 (en) Cell cycle reporting cell line
US6093808A (en) IκBEGFP constructs, cell lines and methods of use
JP2005504550A5 (ja)
JP3978139B2 (ja) Renillamulleriの緑色蛍光タンパク質をコードするヒト化ポリヌクレオチド配列
US20040231007A1 (en) Assay for identifying compounds which affect stability of mRNA
KR102074590B1 (ko) 자가포식체 탐침용 프로브 및 이를 이용한 탐침 방법
US7745123B2 (en) Cell cycle reporting cell line
KR100791859B1 (ko) p53 종양 억제단백질과 형광단백질의 융합단백질을발현하는 형질전환 세포주 및 이를 이용한 p53 종양억제단백질의 활성과 관련된 물질의 검색방법
EP1828236A1 (en) Fusion proteins and methods for determining protein-protein-interactions in living cells and cell lysates, nucleic acids encoding these fusion proteins, as well as vectors and kits containing these
Petrovskaya et al. An analysis of the effect of the internal ribosome entry site of the encephalomyocarditis virus on the expression of the second gene in the bicistronic matrix in neurons of primary hippocampal cultures
US20220348941A1 (en) Genetically modified recombinant cell lines
JP2023121261A (ja) インプラント材料を評価するための改変骨芽細胞様細胞
JP2003199581A (ja) マーカー遺伝子を用いた生体機能分子の評価並びに同定方法
Oakley et al. Fluorescent labels for intracellular structures and organelles

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20041124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20041203

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20041203

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080311

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20080611

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20080630

A524 Written submission of copy of amendment under article 19 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A524

Effective date: 20080711

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100407

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100531

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100907

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101007

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131015

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees