JP3978139B2 - Renillamulleriの緑色蛍光タンパク質をコードするヒト化ポリヌクレオチド配列 - Google Patents

Renillamulleriの緑色蛍光タンパク質をコードするヒト化ポリヌクレオチド配列 Download PDF

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Description

[背景技術]
オワンクラゲ(jellyfish Aequorea victoria)由来の緑色蛍光タンパク質(GFP)は、生化学、分子および細胞生物学、医学診断の分野において生物学的実体の追跡と定量にとって極めて有用な手段となっている(Chalfie et al.,1994,Science 263:802−805;Tsien,1998,Ann,Rev.Biochem.67:509−544)。蛍光は、コファクターまたは基質を必要としないので、このタンパク質は多様な生物体および細胞種に利用できる。GFPは、試験プロモータの下流に挿入することにより、in vivo遺伝子発現を研究するためにリポーター遺伝子として利用されてきた。このタンパク質は、試験タンパク質をGFPに直接融合することにより、多くのタンパク質の細胞内局在化の研究にも利用されており、またGFPは細胞培養と動物の両者において、ウイルスベクターの感染効率をモニタリングするための最良のリポーターとなっている。更に、多くの遺伝子改変がGFPに対して行われ、そのスペクトルシフトが、pH、イオンフラックス、細胞のリン酸化状態のような細胞環境の変化に対応した変異型が生成されている。恐らく、細胞指標としてのGFPの最も有望な役割は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)技術への応用である。FRETは、一方の発光スペクトルがもう一方の励起スペクトルとオーバーラップする蛍光体により発生する。蛍光体が近接すると、「ドナー」蛍光体の励起により、「アクセプタ」からの発光を引き起こす。従って、このような蛍光体対は、分子相互作用のモニタリングに有用である。タンパク質の蛍光発光スペクトルと励起スペクトルがオーバーラップし、FRETを可能にするのであれば、GFPのような蛍光タンパク質は、in vivoとin vitroにおけるタンパク質の相互作用の分析に有用である。ドナー蛍光タンパク質とアクセプタ蛍光タンパク質は、相互作用の分析を希望するタンパク質を用いて、融合物質として生産できる。このようなGFPの利用方法は、読み出しが直接的で、細胞内局在化と無関係であるため、処理量の多い分析にとって有望である。
精製されたオワンクラゲGFPは、励起波長最大395nm、小さい方のピーク470nmで青色光を吸収し、発光波長約510nmと小さい方のピーク540nm付近で緑色蛍光を発光する約25kDaのモノマータンパク質である(Ward et al.,1979,Photochem.Photobiol.Rev.4:1−57)。オワンクラゲの励起最大波長は、標準フルオレセイン検出機器の波長範囲内ではない。更に、オワンクラゲGFPの励起スペクトルと発光スペクトルの幅は、FRETを伴う応用例への利用に十分適してはいない。FRET応用例に有用とするために、蛍光体の励起スペクトルと発光スペクトルは、低くて広いより、高くて狭いのが好ましい。標準フルオレセイン励起および検出機器を利用できるGFPタンパク質が本技術において必要である。また、本技術において、狭く、好ましくはオーバーラップしないスペクトルピークを持つGFPタンパク質も必要とされている。
遺伝子発現研究のリポーターとしてのオワンクラゲGFPの利用は、非常に一般的でありながら、量子収量が比較的低いことが妨げとなっている(蛍光体の輝度は、蛍光体の吸光係数と蛍光量子収量の積として決定される)。一般に、オワンクラゲGFPコード配列は、容易に検出できるシグナルを発生するために、CMVプロモータのような強力なプロモータか、あるいはテトラサイクリントランス活性化因子のような強力な外因性制御因子に結合されなくてはならない。このため、内因性制御因子に反応する天然プロモータの活性を検討するためのリポーターとして、GFPの使用が困難となっている。強度が高いほど、GFP技術のその他の応用例の感度も高くなるであろう。より高い量子収量を有するGFPタンパク質に関する技術が必要とされている。
オワンクラゲGFPのもうひとつの欠点は、pHの変化に伴い、そのスペクトル特性が変動することである。高いpH(pH11〜12)で、野生型オワンクラゲGFPは、395nmで吸光度と励起振幅を喪失し、470nmで振幅を獲得する(Ward et al.,1982,Photochem.Photobiol.35:803−808)。オワンクラゲの蛍光も酸性のpH値、pKaが約4.5で消光される。pH変動に対し、感受性が低い傾向を示すGFPに関する技術が必要である。
更に、広範囲の利用において有用性を高めるには、生物学的研究にしばしば使用される有機溶媒、界面活性剤、プロテアーゼに関して、オワンクラゲGFPよりも、蛍光特性の安定性を高める必要がある。また、オワンクラゲよりも、広範囲の細胞種に溶解しやすく、内因性タンパク質と非特異的に干渉しにくいGFPタンパク質に関する技術も必要である。
タンパク質の有用性を増強する目的で、オワンクラゲGFPに多くの改変が行われてきた。例えば、蛍光発光輝度の増強、あるいは励起スペクトルまたは発光スペクトル、またはその両者のスペクトル特性の増強を目的とした改変が行われてきた。これらの改変方法のいくつかについて述べられた目的は、オワンクラゲを、その励起および発光スペクトルと蛍光強度において、R.reniformis GFPにより類似するようにさせることであると報告されている。
蛍光特性が変更されたオワンクラゲ突然変異体に関する参考文献には、例えば、以下が含まれる。Heim et al.(1995,Nature 373:663−664)は、ポリペプチドの蛍光強度を増強するオワンクラゲのS65における突然変異に関係づけている。オワンクラゲGFPへのS65T突然変異は、「その主な問題点を改善し、そのスペクトルをRenillaのスペクトルとかなり近似させる」と言われている。
Chalfie(1995,Photochem.Photobiol.62:651−656)による概説は、その時点で最も強力な蛍光突然変異体として知られたオワンクラゲのS65T突然変異体は、R.reniformis GFPほど強力ではないと報告している。
オワンクラゲ突然変異体に関する更なる参考文献には、例えば、Ehrig et al.,1995,FEBS Lett.367:163−166);Surpin et al.,1987,Photochem.Photobiol.45(補遺):958S;Delagrave et al.,1995,BioTechnology 13:151−154;Yang et al.,1996,Gene 173;19−23がある。
オワンクラゲGFPおよびその突然変異体に関する特許および特許出願の参考文献として以下が挙げられる。米国特許番号5,874,304は、ポリペプチドのスペクトル特性と蛍光強度を変えたとされるオワンクラゲGFP突然変異体を開示している。米国特許番号5,968,738は、スペクトル特性を変えたとされるオワンクラゲGFP突然変異体を開示している。ある突然変異、V163Aは、蛍光強度を増大させたと言われている。米国特許番号5,804,386は、特に488nmレーザー光による励起に反応して、蛍光強度が増大されるオワンクラゲ突然変異体を開示している。米国特許番号5,625,048は、蛍光強度が増大されたとされるいくつかの突然変異体と同様にスペクトル特性が変更されたとされるオワンクラゲ突然変異体を開示している。関連する米国特許番号5,777,079は、オワンクラゲGFPポリペプチドの蛍光強度を増大させると言われる突然変異の更なる組み合わせを開示している。国際特許出願(PCT)WO98/21355は、WO/97/42320とWO97/11094と同様に、蛍光強度を増大されたオワンクラゲGFP突然変異体を開示している。PCT出願WO98/06737は、スペクトル特性を変えたとされる突然変異体を開示しており、そのいくつかは蛍光強度の増大である。
オワンクラゲの他に、GFPはその他の種々の腔腸動物と花虫類において識別されているが、3種類のGFPのみがクローン化されており、それらは、オワンクラゲ(Prasher,1992,Gene 111:229−223)、Renilla mulleri(WO99/49019)、Renilla reniformis(Felts et al.(2000)Strategies 13:85)由来のGFPである。この3種類のクローン化GFP全てに共通する1つの欠点は、哺乳動物細胞における発現が比較的不十分な点である。
[発明の概要]
本発明は、R.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチドを提供する。
好ましい実施形態において、ポリヌクレオチドは配列番号1を含む。
一実施形態において、本発明は、R.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチドを含む組み換えベクターを提供する。
更なる実施形態において、組み換えベクターは細胞内に含まれる。
本発明は、更に、R.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチド配列を含む組み換えベクターを細胞内に導入するステップと、該細胞を培養するステップと、該細胞からR.mulleri GFPを分離するするステップとを含むR.mulleri GFPの生産方法を提供する。
一実施形態において、細胞は哺乳動物細胞である。
好ましい実施形態において、細胞はヒト細胞である。
本発明は、更に、細胞内における目的のポリペプチドの位置決定方法を提供し、該方法は、結合されたポリヌクレオチド配列がインフレームで融合される様に、関心あるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、R.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチドに結合するステップと、結合されたポリヌクレオチド配列を細胞に導入するステップと、結合されたポリヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチドの位置を決定するステップとを含む。
本発明は、組み換えベクターが導入された細胞の識別方法も提供し、該方法は、組み換えベクターを細胞集団に導入するステップであって、該組み換えベクターはR.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチドを含み、該細胞は前記ヒト化ポリヌクレオチドを発現させ、R.mulleri GFPの励起スペクトル範囲の光を細胞集団に照射するステップと、該細胞集団においてR.mulleri GFPの発光スペクトルにおける蛍光を検出するステップとこれによって該組み換えベクターが導入された細胞を識別するステップとを含む。
一実施形態において、GFPは融合ポリペプチドとして発現される。
更なる実施形態において、GFPは別個のポリペプチドとして発現される。
一実施形態において、細胞はFACS分析により識別される。
本発明は、更に、転写調節配列活性のモニタリング方法を提供し、該方法は、転写調節配列を含む核酸配列をR.mulleri GFPをコードするヒト化核酸に作動可能に結合するステップと、リポーター構築物を生成させるステップと、該リポーター構築物を細胞に導入するステップと、該細胞において転写調節配列の活性を反映するR.mulleri GFP蛍光を検出するステップとを含む。
本発明は、更に、転写調節配列の活性調節因子の検出方法を提供し、該方法は、活性調節因子の存在に反応する転写調節配列を含む核酸配列をR.mulleri GFPをコードするヒト化核酸に作動可能に結合するステップと、リポーター構築物を形成するステップと、リポーター構築物を細胞に導入するステップと、細胞において活性調節因子の存在を示すR.mulleri GFP蛍光を検出するステップとを含む。
本発明は、更に、転写調節配列の阻害剤のスクリーニング方法を提供し、該方法は、転写調節配列を含む核酸配列をR.mulleri GFPをコードするヒト化核酸に作動可能に結合するステップと、リポーター構築物を形成させるステップと、リポーター構築物を細胞に導入するステップと、細胞を転写調節配列の候補阻害剤と接触させるステップと、細胞においてR.mulleri GFP蛍光を検出するステップとを含む。ここで、候補阻害剤が存在しない場合に検出されるよりも蛍光が減少した場合には、候補阻害剤が転写調節配列の活性を阻害したことを示す。
本発明は、更に、蛍光分子量マーカーの生産方法も提供し、該方法は、結合された分子が融合ポリペプチドをコードするように、R.mulleri GFPをコードするヒト化核酸配列を、相対的分子量が既知のポリペプチドをコードする核酸配列にインフレームで結合するステップと、結合核酸配列を細胞に導入するステップと、相対的分子量マーカーである融合ポリペプチドを細胞から分離するステップとを含む。
一実施形態において、細胞は哺乳動物細胞である。
更なる実施形態において、細胞はヒト細胞である。
更なる実施形態において、R.mulleri GFPをコードするヒト化核酸配列は配列番号1の配列である。
「ヒト化R.mulleri GFPポリヌクレオチド」または「ヒト化R.mulleri GFP配列」という言葉は、非ヒトポリペプチド(ヒトにおいて自然に発現されることはないポリペプチド)のポリヌクレオチドコード配列の少なくとも179個のコドンが、哺乳動物細胞における発現にとってより好ましいコドン配列(すなわち、配列番号1)に変更されたポリヌクレオチドコード配列を意味する。「配列番号1のヒト化R.mulleri GFPヌクレオチド配列」において、残基93番は、TでもCでもよい。更に、配列番号1に記載されている「ヒト化R.mulleriポリヌクレオチド」の等価物の哺乳動物細胞における発現が、(同じ種類の細胞において配列番号1のヒト化配列の発現と比較して)5%以上、最大でも10%は低減しないのであれば、配列番号1においてヒト化コドンに変更された179個のコドンのうち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個は、それらがヒト化コドンとなる様に変更されない(すなわち、哺乳動物、特にヒト細胞において優先されない)本発明のヒト化配列の同等物が企図されている。
ヒト化GFPポリヌクレオチド配列からヒト細胞において発現される蛍光ポリペプチドの量は、細胞あたりの質量または蛍光強度スケールで、同量または等しいコピー数の野生型R.mulleri GFPポリヌクレオチドから発現される量の少なくとも2倍である。
本明細書に使用されている「ヒト化コドン」という言葉は、非ヒトポリペプチドが得られたヒト以外の生物体によりコードされたコドンと比較して、ヒト細胞における発現にとってより好ましいコドンに変更された、非ヒトポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列内のコドンを意味する。種特異的なコドン優先性は、適切なアンチコドンによるtRNA分子の発現の違いに一部由来する。すなわち、種特異的コドン優先性における一因子は、コドンと、対応する発現されるアンチコドンtRNAの量の間の関係である。
本発明の組み換えベクターまたはそのようなベクターを含む細胞のいずれもが、R.mulleri GFPを含むヒト化ポリヌクレオチドを含むことは明らかである。
野生型「R.mulleri緑色蛍光タンパク質」または「R.mulleri GFP」は、配列番号2の核酸配列によりコードされる(引用することにより本明細書の一部をなすものとするWO99/49019)。
R.mulleri GFPに関して使用される場合、「その変種」という言葉は、アミノ酸配列が野生型R.mulleri GFPと比較して残基が1つ以上異なり、野生型ポリペプチドと同一の生物活性(蛍光強度)を有することを意味する。
本明細書に使用されている「蛍光強度増加」または「輝度増加」とは、特定の条件の組み合わせで、野生型R.mulleri GFPにより示されるよりも高い蛍光強度または輝度を意味する。一般に、蛍光強度または輝度の増加は、特定の条件の組み合わせで、野生型R.mulleri GFPよりも、変種の蛍光が少なくとも5%以上、好ましくは10%、20%、50%、75%,100%以上、更に5倍、10倍、20倍、50倍または100倍以上高い強度または輝度を意味する。
本明細書に使用されている「融合異種ポリペプチド領域」とは、R.mulleri GFPにインフレームで融合された2以上のアミノ酸のアミノ酸配列を意味する。融合異種領域は、R.mulleri GFPポリペプチドのN末端またはC末端に結合できる。
本明細書に使用されている「アミノ末端に融合された」という言葉は、ポリペプチド配列の別のポリペプチドのアミノ末端への結合を意味する。結合は、直接でもよく、短い(例えば、約2〜20個のアミノ酸)リンカーペプチドを介してもよい。
本明細書に使用されている「カルボキシ末端に融合された」という言葉は、ポリペプチド配列の別のポリペプチドのカルボキシ末端への結合を意味する。結合は、直接でも、短い(例えば、約2〜20個のアミノ酸)リンカーペプチドを介してもよい。
本明細書に使用されている「リンカー配列」という言葉は、結合される2つのポリペプチドのどちらの配列の一部でもないアミノ酸の短い(例えば、約1〜20個のアミノ酸)配列を意味する。リンカー配列は、そのアミノ末端で一方のポリペプチドまたはポリペプチド領域に結合され、そのカルボキシ末端でもう一方のポリペプチドまたはポリペプチド領域に結合される。
本明細書に使用されている「励起スペクトル」という言葉は、本発明の蛍光ポリペプチド分子により吸収さると、その分子による蛍光発光を引き起こす光の波長を意味する。
本明細書に使用されている「発光スペクトル」という言葉は、蛍光ポリペプチドにより発光される波長を意味する。
本明細書に使用されている「識別可能な」または「検出可能に識別できる」という言葉は、標準フィルターセットが、別の特定のポリペプチドを励起させることなく、ある形態のポリペプチドを励起できるか、あるいは標準フィルターセットが別の発光スペクトルから、あるポリペプチドの形態からの発光を識別できることを意味する。一般に識別可能な、または検出可能に識別できる励起または発光スペクトルは、1nm以上、好ましくは2、3、4、5、10nm以上異なるピークを持つ。
本明細書に使用されている「融合ポリペプチド」という言葉は、天然では結合されていることが見いだされていない2つ以上のタンパク質由来の2つ以上のアミノ酸配列から成り、ペプチド結合により物理的に結合されたポリペプチドを意味する。本明細書に使用されている様に、本発明の「融合ポリペプチド」を含むタンパク質だけが、蛍光タンパク質である。
本明細書に使用されている「発光スペクトルが励起スペクトルとオーバーラップする」という言葉は、ある蛍光ポリペプチドにより発光される光が、別の蛍光ポリペプチドによる励起と発光とを引き起こす波長であることを意味する。
本明細書に使用されている「細胞集団」という言葉は、同じ種類または系であることが好ましいが、必ずしもそうでなくてもよい複数の細胞を意味する。
本明細書に使用されている「別個のポリペプチド」とは、融合ポリペプチドとして発現されないポリペプチドを意味する。
本明細書に使用されている「FACS分析」という言葉は、細胞選別方法、蛍光標示式細胞選別方法を意味し、この場合細胞は蛍光マーカーにより染色されるか、1種類以上の蛍光マーカーを発現する。この方法において、細胞は、マーカーから蛍光を励起し、検出する装置を通過する。細胞によるスペクトルの特定部分における蛍光を検出した時、FACS装置は、蛍光スペクトルを発現していない細胞から、その細胞を分離することができる。
本明細書に使用されている「脂溶性の転写活性調節因子」という言葉は、細胞膜(核または細胞質)を通過することができ、1つ以上の遺伝子または構築物の転写にポジティブまたはネガティブな効果を発揮する組成物を意味する。
本明細書に使用されている「作動可能に結合された」という言葉は、コード配列の転写が起こり、それが制御配列により制御される様に、特定のコード配列が特定の転写調節配列に結合されていることを意味する。
本明細書に使用されている「リポーター構築物」という言葉は、検出可能な分子をコードするポリヌクレオチドの転写を制御する転写調節配列に結合された、検出可能な分子をコードするポリヌクレオチド構築物を意味する。検出可能な分子は、好ましくはR.mulleri GFPである。
本明細書に使用されている「活性調節因子の存在に反応する」という言葉は、特定の化合物の存在により、特定の転写調節配列が作動するか、解除されることを意味する。本明細書に使用されている様に、遺伝子配列によりコードされるポリペプチド(例えば、GFPポリペプチド)が、バックグラウンドより多く検出可能であるか、あるいはポリペプチドが、特定の活性調節因子化合物が存在しない場合に検出されるよりも多く検出される場合、遺伝子発現は「作動している」。この意味で、「より多く」とは、少なくとも10%、好ましくは20%、50%、75%、100%以上、更に5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍以上、バックグラウンド検出量よりも高い値を意味し、バックグラウンド検出量は、活性調節因子化合物が存在しない場合に観察されるシグナルの量である。
本明細書に使用されている「転写調節配列の活性調節因子」という言葉は、転写調節配列からの発現レベルに変化を引き起こす化合物または化学的部分を意味する。好ましくは、変化は、リポーター分子またはリポーター分子活性の検出量の増加または減少として検出可能であり、特定の活性調節因子が存在しない場合と比較して、少なくとも10%、20%、50%、75%、100%、更に5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍以上リポーターシグナルが増加または減少する。
本明細書に使用されている「転写調節配列の阻害剤」という言葉は、特定の転写調節配列から発現されるリポーター分子またはリポーター分子活性の量の減少を引き起こす化合物または化学的部分を意味する。本明細書に使用されている「減少」という言葉は、リポーター分子またはリポーター分子活性の検出に関して使用される場合には、検出可能な活性が、特定の化合物または化学的部分が存在しない場合に検出される量と比較して、少なくとも10%、20%、50%、75%、100%(すなわち発現なし)減少することを意味する。本明細書に使用されている「候補阻害剤」という言葉は、分析において阻害活性を試験される化合物または化学的部分を意味する。
本発明の利点は、哺乳動物、特にヒト細胞におけるGFPの発現をin vivoとin vitroとの両者において改善する方法を提供する点である。本発明の更なる利点は、発現が増強されることにより、それが発現される細胞においてより強い蛍光シグナルを生じるヒト化R.mulleri GFPの供給方法を提供する点である。
本発明の更なる特徴と利点は、以下の実施形態の説明と図面、および請求の範囲により更に十分に明らかにされる。
[説明]
本発明は、R.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチド配列の発見に基づいている。
R.mulleri GFPポリペプチドを生産するためのヒト化R.mulleri GFP遺伝子の利用方法も開示されており、方法はR.mulleri GFPのヒト化コード配列を含む発現ベクターを細胞内に導入するステップと、細胞を培養するステップと、GFPポリペプチドを分離するするステップとを含む。
[I. 本発明のヒト化R.mulleri GFPポリヌクレオチドの作製方法と、R.mulleri GFPポリペプチドの生産方法]
本明細書に開示されている本発明を提供するために、分子、細胞および生化学的方法を含む多くの方法が併用された。ヒト化配列が望まれるR.mulleri GFPまたは種々のGFP配列をコードするポリヌクレオチドが、直接的な化学合成、ライブラリスクリーニング、PCR増幅を含む技術に精通する者にとって既知の種々の方法のいずれかにより入手される。
[A. 野生型R.mulleri GFPをコードするポリヌクレオチド配列]
R.mulleriの野生型ポリヌクレオチド配列は、以前にWO99/49019に開示されており、本明細書に配列番号2として提供されている。従って、本技術に精通する者は、本技術において既知の方法を用いて(Alvarado−Urbina et al.,(1981)Science 214:270)、配列番号2の配列を合成することにより、野生型R.mulleri GFPをコードするポリヌクレオチドを生産することができる。野生型R.mulleri GFPをコードするポリヌクレオチド配列は、以下に説明されている方法によっても生産できる。
[1. R.mulleri cDNAライブラリの作製方法]
真核細胞を感染させることが可能なバクテリオファージ、プラスミド、ウイルスのような種々のベクターにおけるライブラリの製造方法は、本技術において既知である。発現される遺伝子の大規模な全長クローンを生じる任意の既知のライブラリ生産方法を用いて、R.mulleriから野生型のGFPをコードするポリヌクレオチドを分離するための鋳型を提供することができる。
本明細書に開示されているGFPをコードするポリヌクレオチドの分離に使用するためのライブラリに関して、以下の方法が利用できる。Chomezynski,P.and Sacchi,N.(1987,Anal.Biochem.162:156−159)により説明されている方法により、ポリアデニルRNAを、R.mulleri 生物体から調製できる。cDNAは、製造者の推奨プロトコルに従って、ZAP−cDNA合成キット(Stratagene製カタログ番号200400)を用いて調製され、ベクターLambda ZAP IIのEcoRI部位とXhoI部位の間に挿入される。得られたライブラリは、5x106個の個々の一次クローンを含んでおり、挿入サイズの範囲は0.5〜3.0kb、平均挿入サイズは1.2kbであった。ライブラリは、PCR反応の鋳型として使用する前に一度増幅される。
[2. PCRによるR.mulleri GFPポリヌクレオチドコード配列の分離]
R.mulleri GFPコード配列は、本明細書に説明されているcDNAライブラリ内部の配列のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅により分離できる。多数のPCR法が本技術に精通する者にとって既知である。熱サイクルPCR(Mullis and Faloona,1987,Methods Enzymol.,155:335−350;PCR法の概説に関しては、PCR Protcols,1990,Academic Press,サンディエゴ、カリフォルニア州、米国も参照。)は、目的の標的配列を増幅するために、熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼにより触媒される複数回のDNA複製を用いている。要約すると、増幅される配列の片方の鎖と反対の鎖でアニールするように、プライマーが選択される。プライマーは、鋳型依存性熱安定性DNAポリメラーゼを用いて、アニールされ、伸長され、続いて熱変性と、元の鋳型配列と新たに伸長された鋳型配列の両方へのプライマーのアニーリングが起こり、その後プライマー伸長が行われる。このようなサイクルの繰り返しにより、2つのプライマーの間で指数関数的増幅が起こる。
サーマルサイクルPCRの他に、R.mulleri cDNAライブラリから本発明のGFPをコードするポリペプチドを増幅し、分離するために利用できる多くの核酸配列増幅方法がある。これらには、例えば、等温性3SR(Gingeras et al.,1990,Annales de Biologie Clinique,48(7);489−501;Guatelli et al.,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,87:1874)、およびDNAリガーゼ増幅反応(LAR)が含まれ、後者はいくつかの細菌DNAリガーゼのいずれか1つの活性により、特異的な短い配列を指数関数的に増加させることができる(Wu and Wallace,1989,Genomics,4:560)。これらの両参考文献の内容は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
R.mulleri cDNAライブラリから、R.mulleri GFPをコードする配列を増幅するために、以下の方法を採ることができる。R.mulleri GFPコード配列は、コード領域に隣接して5’プライマーと3’プライマーを使用して増幅することができる。オリゴヌクレオチドは、多くの業者(例えば、Life Technologies,Inc.,Operon Technologies等)から購入できる。あるいは、オリゴヌクレオチドプライマーは、例えば、ホスホトリエステル(Narang,S.A.,et al.,1979,Meth.Enzymol.,68:90;および米国特許番号4,356,270)、ホスホジエステル(Brown,et al.,1979,Meth.Enzymol.,68:109)、およびホスホラミダイト(Beaucage, 1993,Meth.Mol.Biol.,20:33)法を含む本技術において既知の方法を用いて合成できる。これらの参考文献はそれぞれ、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
PCRは、1xTaqPlus Precision緩衝液(Stratagene製)、250μMの各デオキシリボヌクレオチド三リン酸、200nMの各PCRプライマー、2.5UのTaqPlus Precision酵素(Stratagene製)、上記の増幅されたcDNAライブラリの約3×107個のラムダファージ粒子を含む50μlの容量において実施される。反応は、Robocycler Gradient 40において以下の様に実施できる:90℃で1分間(1サイクル)、95℃で1分間、53℃で1分間、72℃で1分間(40サイクル)、72℃で1分間(1サイクル)。反応産物は、1%のアガロースゲルで分解され、次にStrataPrep DNA Gel Extraction Kit(Stratagene製)を用いて、約700bpのバンドが切り出され、精製される。その他の増幅核酸断片の分離精製方法も本技術に精通する者にとって既知である。次に、PCR断片を、EcoRIとXhoIにより消化し、レトロウイルス発現ベクターpFB(Stratagene製)に挿入し、ベクターpFB−rGFBを作製することによりサブクローニングする。コーディングポリヌクレオチド配列とアミノ酸配列とを、図2と3にそれぞれ示す。R.mulleriとR.reniformisのGFPコード配列は83%相同で、タンパク質はアミノ酸配列が88%同一である。
[3. ライブラリスクリーニングによるR.mulleri GFPをコードするポリヌクレオチドの分離]
本発明のGFPをコードするポリヌクレオチドのもう1つの分離方法は、GFPの励起スペクトル範囲の光を照射されると、GFPの発光スペクトル範囲の蛍光を示すクローンに関する、ラムダファージ発現ライブラリのような、発現ライブラリのスクリーニングを含む。この方法において、クローンは、大きなプール内から直接識別することができる。ラムダファージ発現ライブラリを培養皿に蒔き、挿入物によりコードされたポリペプチドの発現を誘導する標準的な方法は、本技術において十分確立されている。蛍光励起および発光によるスクリーニングは、下記の明細書に説明されている様に、分光蛍光計測計を用いて、または蛍光プラークの視認によっても行われる。いずれの方法でも、蛍光プラークを採集し、使用して、新鮮な培養物を1回以上、再感染させ、純粋な培養物を提供する。これにより、GFP挿入配列が測定され、サブクローニングされる。
別の代替法として、入手したいポリヌクレオチドについて、ある配列が利用できるのであれば、本技術に精通する者によりポリヌクレオチドを化学的に合成することができる。オリゴヌクレオチドプライマーの調製に利用される同じ合成方法(上記記載)を、本発明のGFPの遺伝子コード配列の合成に利用できる。一般に、これは、いくつかのより短い配列(約100ヌクレオチド長以下)の合成により実施され、続いて全長コード配列を生成するために、アニーリングとライゲーションとが行われる。
[B. R.mulleri をコードするヒト化ポリヌクレオチドの生産]
本発明は、ヒト細胞においてコードされたGFPポリペプチドの発現を増強するR.mulleriのヒト化型を示す改変された核酸配列を提供する。本発明において有用なR.mulleri GFPをコードするヒト化ポリペプチドを作製するために、ポリペプチドをコードする核酸配列を、哺乳動物またはヒト細胞においてその発現を増強するために改変することができる。R.mulleriのコドンの利用は、R.mulleriにおける発現に関しては最適であるが、哺乳動物またはヒト系における発現に関しては最適でない。従って、高等真核生物において発現するためにウミシイタケ(sea pansy)から分離された配列の適応には、哺乳動物またはヒト系において望ましくない特異的なコドンを、これらの系においてより一般的に使用されるコドンに改変することを含む。このいわゆる「ヒト化」は、本技術において既知の下記明細書に説明されている様に、より望ましくないコドンの部位特異的突然変異により達成される。ヒト遺伝子発現に好ましいコドンは、表1に一覧されている。表のコドンは、ヒト遺伝子における相対的利用が低下する順に左から右に配列されている。
R.mulleriをコードするヒト化核酸配列は、部位特異的突然変異により作製できる。もちろん、配列番号1のヒト化ヌクレオチド配列は、いくつかのヒト化コドンを哺乳動物またはヒト細胞における非優先的コドンに変更することにより軽度に変えることができ、このような軽度の変更は、哺乳動物細胞におけるヒト化遺伝子の発現レベルを、配列番号1の配列の発現と比較して5%または10%以上減少させない限り、同等とみなされる。
3つのコドン群における4つのDNAヌクレオチドの可能な組み合わせは64通りあり、遺伝子コードは20個のアミノ酸の多くに関して重複している。特定のアミノ酸に関する異なるコドンのそれぞれが、そのアミノ酸のポリペプチドへの組み入れをコードしている。しかし、特定の種の範囲内で、いくつかの重複コドンに特定のアミノ酸をコードする優先度を有する傾向がある。R.mulleriの「コドン優先度」は、ヒトの優先度と異なる(このコドン優先度は通常対応するアンチコドン配列を含むtRNAの発現レベルの差に基づく)。表1は、ヒト遺伝子発現に関する優先コドンを示す。あるコドン配列が、表の特定のコドン配列の左にある場合、そのコドンはヒト発現に関して優先される。最適には、必然的ではないが、非ヒトポリヌクレオチドコード配列における優先度の低いコドンは、それらをヒト遺伝子発現におけるアミノ酸に関して最も優先されるコドンに変更することによりヒト化される。
Figure 0003978139
左側に位置するコドンは、ヒト遺伝子の利用に最優先されるコドンを表し、右に向かってヒトでの利用は減少する。下線を引いたコドンは、ヒト遺伝子において、ほぼ全く利用されない。
[C. R.mulleri GFPポリペプチドの生産]
本発明のヒト化GFPをコードするポリヌクレオチドを含む組み換えベクター由来のR.mulleri GFPポリペプチド(例えば、配列番号2のアミノ酸配列を持つポリペプチド)の生産は、本技術に精通する者にとって既知の多くの方法で達成される。例えば、本技術に精通する者にとって既知の多くの方法のいずれかにより、プラスミド、バクテリオファージまたはウイルスを原核細胞または真核細胞に導入することができる。R.mulleri GFPをコードするポリヌクレオチドを原核細胞または真核細胞に導入した後、発現されたGFPポリペプチドを本技術において既知の、あるいは本明細書に説明されている方法を用いて分離することができる。有用なベクター、細胞、細胞にベクターを導入する方法およびGFPポリペプチドの検出分離方法も下記本明細書に説明されている。
[1. 本発明に有用なベクター]
本発明のGFPポリペプチドの発現に有用な、本技術において既知であり、かつ入手可能な多くのベクターが存在する。特定のベクターの選択は、明らかにGFPポリペプチドの使用目的によって左右される。例えば、選択されたベクターは、細胞種が原核細胞であろうと、真核細胞であろうと、所望の細胞種においてポリペプチドを発現させなくてはならない。多くのベクターが、作動可能に結合された遺伝子配列の原核細胞のベクター複製と真核細胞の発現との両者を可能にする配列を含む。
本発明に有用なベクターは、自律複製でき、すなわち、ベクター、例えば、プラスミドは、染色体外に存在し、その複製は必ずしも、宿主細胞のゲノムの複製と直接結合していない。あるいは、ベクターの複製は、宿主の染色体での複製とされ、例えば、ベクターは、レトロウイルスベクターにより達成されるように、宿主細胞の染色体の中に組み込まれる。
本発明に有用なベクターは、好ましくは、GFP配列の翻訳と転写を可能にするGFPコード配列に作動可能に結合された配列を含む。結合されたGFP配列の翻訳を可能にする配列には、プロモータと、結合された配列の強力な発現を可能にするエンハンサーも任意選択的に含む。「翻訳制御配列」という言葉は、プロモータと、所望の発現特性(例えば、高レベル発現、誘発性発現、組織または細胞種特異的発現)を、作動可能に結合された核酸配列に付与する更なる任意の配列の組み合わせを意味する。
選択されたプロモータは、選択された宿主細胞において転写活性を示す任意のDNA配列が可能で、宿主細胞において通常発現される遺伝子由来でも、その他の細胞または生物体において発現される遺伝子由来でもよい。プロモータの例として、以下が含まれるが、これらに限定されない。A)原核生物プロモータ大腸菌lac、tacまたはtrp、ラムダファージPRまたはPLプロモータ、バクテリオファージT7、T3、Sp6プロモータ、枯草菌アルカリプロテアーゼ、バシラスステアロサーモフィラスマルトース生産性アミラーゼプロモータ等;B)真核生物プロモータ−酵母プロモータ、例えば、GAL1、GAL4およびその他の解糖遺伝子プロモータ(例えば、Hitzeman et al.,1980,J.Biol.Chem.255:12073−12080;Alber & Kawasaki,1982,J.Mol.Appl.Gen.1:419−434)、LEU2プロモータ(Martinez−Garcia et al.,1989,Mol Gen Gent.217:464−470)、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子プロモータ(Young et al.,1982,Genetic Engineering of Microorganisms for Cemicals,Hollaender et al.編、Plenum Press,ニューヨーク)、またはTPIIプロモータ(米国特許番号4,599,311);昆虫プロモータ、例えば、ポリヘドリンプロモータ(米国特許番号4,745,051;Vasuvedan et al.,1992,FEBS Lett.311:7−11)、P10プロモータ(Vlak et al.,1988,J.Gen.Virol.69:765−776)、カイコ核多角体病ウイルス塩基性タンパク質プロモータ(EP 397485)、バキュロウイルス前初期遺伝子プロモータ遺伝子1プロモータ(米国特許番号5,155,037および5,162,222)、バキュロウイルス39K遅延性初期遺伝子プロモータ(同じく米国特許番号5,155,037および5,162,222)およびOpMNPV 前初期プロモータ2;哺乳動物プロモータ−SV40プロモータ(Subramani et al.,1981,Mol.Cell.Biol.1:854−864)、メタロチオネインプロモータ(MT−1;Palmiter et al.,1983,Science 222:809−814)、アデノウイルス2主要後期プロモータ(Yu et al.,1984,Nucl.Acids Res.12:9309−21)、サイトメガロウイルス(CMV)またはその他のウイルスプロモータ(Tong et al.,1998,Anticancer Res.18:719−725)、または更に特定の細胞種の目的の遺伝子の内因性プロモータ。
選択されたプロモータは、プロモータに誘発性または組織特異性を付与する配列に結合することもできる。例えば、選択されたプロモータの上流に組織特異的エンハンサー成分を付加することにより、特定の組織または細胞種においてプロモータの活性を高めることができる。それに替えて、またはそれに加えて、誘発性発現は、例えば、温度変化(温度感受性)、化学処理(例えば、金属イオンまたはイソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシド誘発性)または抗生物質誘導物質(例えば、テトラサイクリン)により、誘導できる多くの配列成分のいずれかに結合することにより達成できる。
制御性発現は、例えば、薬物誘発性(例えば、テトラサイクリン、ラパマイシン、またはホルモン誘発性)の発現系を用いることにより達成される。哺乳動物細胞における使用に特に適した薬物制御性プロモータには、テトラサイクリン制御性プロモータ、およびグルココルチコイドステロイド、性ホルモンステロイド、エクジソン、リポ多糖類(LPS)、イソプロピルチオガラクトシド(IPTG)制御性プロモータが含まれる。哺乳動物細胞において使用するための制御性発現系は、制御物質に反応する非哺乳動物DNAモチーフと結合する(あるいは結合できない)転写調節因子を含み、制御配列はこの転写調節因子にのみ反応するのが理想的であるが、必然的ではない。
本発明のGFPポリペプチドの制御発現に十分に適したある誘発性発現系は、テトラサイクリン誘発性発現系であり、これは大腸菌のテトラサイクリン耐性オペロンの有効性に基づく。テトラサイクリンとテトラサイクリンリプレッサー間の結合定数は高いが、哺乳動物細胞に対するテトラサイクリンの毒性は低いことから、細胞増殖速度または形態に影響を及ぼさない真核細胞培養内または哺乳動物内部のテトラサイクリン濃度により、その系の制御が可能となる。テトラサイクリンリプレッサーのオペレーターへの結合は、極めて特異的である。
テトラサイクリンにより遺伝子発現をポジティブまたはネガティブに制御できるテトラサイクリン制御可能な系の改変版が存在する。テトラサイクリンまたはテトラサイクリン類似体が存在しないと、野生型細菌テトラサイクリンリプレッサータンパク質が、テトラサイクリンオペレーター配列のリプレッサー結合成分を含むプロモータにより起動される遺伝子のネガティブ制御を引き起こす。Grossen & Bujard(1995,Science 268:1766−1769;また国際特許出願No.WO 96/01313)は、テトラサイクリンによるこのポジティブ制御を利用するテトラサイクリン制御可能な発現系を説明している。この系において、テトラサイクリンはテトラサイクリンリプレッサー融合タンパク質、rtTAに結合し、テトラサイクリンオペレーターDNA配列への結合を阻害するため、結合された遺伝子の転写と発現は薬物が存在した場合に限り可能となる。
このポジティブテトラサイクリン制御可能な系は、本発明のGFPポリペプチドの一時的なストリンジェントコントロールの一つの手段を提供する(Gossen & Bujard,1995,上記)。テトラサイクリンオペレーター(tetO)配列は、現在本技術に精通する者にとって十分既知である。概説は、Hillen & Wissmann(1989)in Protein−Nucleic Acid Interaction,「Topics in Molecular and Structural Biology」Saenger & Heinemann編、(マクミラン、ロンドン)、Vol.10,pp143−162を参照。典型的には、GFPポリペプチドをコードする核酸配列は、複数のtetOの下流に配置され、一般に5個から10個のそのようなtetO配列が重複配列で使用される。
テトラサイクリン制御可能な系の他に、本発明のGFPポリペプチドの制御性または誘発性発現のために多くのオプションが存在する。例えば、大腸菌lacプロモータは、lacオペレーター配列において結合するlacリプレッサー(lacI)DNAに反応する。オペレーター系の成分は、異種状況で機能し、イソプロピルチオガラクトシドによるlacオペレーターへのlacI結合の阻害は、原核細胞、更に最近は、原核細胞系における誘発性発現を提供するために広く利用されている。更に、Rivera et al.(1996,Nature Med.2:1028−1032)により報告されたラパマイシン制御性転写アクチベーター系は、ラパマイシン依存性転写活性化を提供する。その系は、ベースライン発現が低く、誘導率が高い。
GFPポリペプチドの制御性または誘発性発現の別のオプションには、熱反応性プロモータの利用が含まれる。活性化は、温度感受性トランス活性化因子により制御されるGFP構築物によりトランスフェクションされた細胞を、投与前に許容温度でインキュベーションすることにより誘導される。例えば、もしも細胞が、まず例えば、32℃で増殖され、それから37℃に切り替えて発現を誘導するならば、コトランスフェクションされた37℃においてのみ活性な温度感受性転写因子により制御される転写を利用できる。
組織特異的プロモータも、本発明のGFPをコードする構築物において役立つ様に利用できる。多種多様の組織特異的プロモータが既知である。本明細書に説明されている「組織特異的」という言葉は、特定のプロモータが、生物体の全ての細胞または組織において転写活性がある(すなわち、そのプロモータのポリペプチド産物を検出できるほど十分に、結合された配列の発現を命令する)わけではないことを意味する。組織特異的プロモータは好ましくは、1つの細胞種においてのみ活性であるが、例えば、特定のクラスまたは系列の細胞種(例えば、造血細胞)において活性であってもよい。本発明に有用な組織特異的プロモータは、自然界においてそのプロモータに結合された遺伝子が発現されるために必要かつ十分な配列を含む。以下は、それぞれの組織におけるプロモータの特徴的発現を達成するために必要な配列を含む組織特異的プロモータと引用文献の非限定的リストである。これらの引用文献の全内容は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。本発明のR.mulleri GFPと共に有用な組織特異的プロモータの具体例を以下に示す。Browman et al.,1995 Proc.Natl.Acadl Sci.USA 92,12115−12119は、脳特異的トランスフェリンプロモータを報告している;シナプシンIプロモータはニューロン特異的である(Schoch et al.,1996 J.Biol.Chem.271,3317−3323);ネスチンプロモータは、***終了ニューロン特異的である(Uetsuki et al.,1996 J.Biol.Chem.271,918−924);ニューロフィラメント軽鎖プロモータはニューロン特異的である(Charron et al.,1995 J.Biol.Chem.270,30604−30610);アセチルコリンレセプタープロモータはニューロン特異的である(Wood et al., 1995 J.Biol.Chem.270,30933−30940);カリウムチャネルプロモータは、高周波ファイアリングニューロン特異的である(Gan et al.,1996 J.Biol.Chem.271,5859−5865);クロモグラニンAプロモータは、神経内分泌細胞特異的である(Wu et al.,1995 A.J.Clin.Invest.96,568−578);フォンウィルバランド因子プロモータは脳内皮特異的である(Aird et al.,1995 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,4567−4571);flt−1プロモータは内皮特異的である(1995 J.Biol.Chem.270,27948−27953);プロプレエンドセリン−1は内皮、上皮、筋肉特異的である(Harats et al.,1995 J.Clin.Invest.95,1335−1344);GLUT4プロモータは骨格筋特異的である(Olson and Pessin,1995 J.Biol.Chem.270,23491−23495);スロー/ファストトロポニンプロモータは遅/速筋線維特異的である(Corin et al.,1995 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,6185−6189);β−アクチンプロモータは平滑筋特異的である(Shimizu et al.,1995 J.Biol.Chem.270,7631−7643);ミオシン重鎖プロモータは、平滑筋特異的である(Kallmeier et al.,1995 J.Biol.Chem.270,30949−30957);E−カドヘリンプロモータは上皮特異的である(Henning et al.,1996 J.Biol.Chem.271,595−602);サイトケラチンプロモータは、ケラチノサイト特異的である(Alexander et al.,1995 B.Hum.Mol.Cenet.4,993−999);トランスグルタミナーゼ3プロモータはケラチノサイト特異的である(J.Lee et al.,1996 J.Biol.Chem.271,4561−4568);類天疱瘡抗原プロモータは、基底ケラチノサイト特異的である(Tamai et al.,1995 J.Biol.Chem.270,7609−7614);ケラチン6プロモータは増殖性上皮特異的である(Ramirez et al.,1995 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,4783−4787);コラーゲン1プロモータは、肝星状細胞および皮膚/腱線維芽細胞特異的である(Houghlum et al.,1995 J.Clin.Invest.96,2269−2276);コラーゲンX型プロモータは、肥厚性軟骨細胞特異的である(Long & Linsenmayer,1995 Hum.Gene Ther.6,419−428);第VII因子プロモータは肝臓特異的である(Greenberg et al.,1995 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,12347−1235);脂肪酸シンターゼプロモータは、肝臓および脂肪組織特異的である(Soncine et al.,1995 J.Biol.Chem.270,30339−3034);カルバミルリン酸シンターゼIプロモータは、門脈肝細胞と小腸特異的である(Christoffels et al.,1995 J.Biol.Chem.270,24932−24940);Na−K−Cl輸送体プロモータは腎臓(ヘンレのループ)特異的である(Igarashi et al.,1996 J.Biol.Chem.271,9666−9674);スカベンジャーレセプターAプロモータは、マクロファージおよび泡沫細胞特異的である(Horvai et al.,1995 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92,5391−5395);糖タンパク質IIbプロモータは、巨核および血小板特異的である(Block & Poncz,1995 Stem Cells 13,135−145);yc鎖プロモータは造血細胞特異的である(Markiewicz et al.,1996 J.Biol.Chem.271,14849−14855);CD11bプロモータは、成熟骨髄細胞特異的である(Dziennis et al.,1995 Blood 85,319−329)。
本技術において既知の任意の組織特異的転写調節配列を、R.mulleri GFPをコードするベクターと共に利用するために使用できる。
プロモータ/エンハンサー成分に加えて、本発明に有用なベクターは更に適切なターミネータを含むことができる。このようなターミネータは、例えば、ヒト成長ホルモンターミネータ(Palmiter et al., 1983上記)、または酵母または真菌宿主に関しては、TPII(Alber & Kawasaki,1982上記)またはADH3ターミネータ(McKnight et al.,EMBO J.4:2093−2099)が含まれる。
本発明に有用なベクターは、ポリアデニル化配列(例えば、SV40またはAc5E1bポリアデニル化配列)、および翻訳エンハンサー配列(例えば、アデノウイルスVA RNA由来)も含むことができる。更に、本発明に有用なベクターは、組み換えポリペプチドを特定の細胞コンパートメントに割り当てるシグナル配列をコードすることができ、あるいは組み換えポリペプチドの分泌を命令するシグナルをコードすることができる。
組み換えベクターの同じプロモータからの異なる遺伝子の協調発現は、pSBC−1由来のポリオウイルス1型の配列内リボソーム進入部位のような、IRES(配列内リボソーム進入部位)を使用することにより達成できる(Dirks et al.,1993 Gene 128:247−9)。配列内リボソーム導入部位(IRES)成分は、多重遺伝子または多シストロン性メッセージを作製するために利用される。IRES成分は、5’メチル化キャップ依存性翻訳のリボソーム走査機序を迂回でき、内部部位で翻訳を開始できる(Pelletier and Sonenberg,1988,Nature 334:320−325)。ピキャノウイルス族(ポリオおよび脳心筋炎)の2つのメンバー由来のIRES成分が報告されており(Pelletier and Sonenberg,1988上記)、また哺乳動物メッセ由来のIRESも報告されている(Macejak and Sarnow,1991 Nature 353:90−94)。前記のいずれでも、本発明のR.mulleri GFPベクターにおいて利用できる。
IRES成分は、異種オープンリーディングフレームに結合することができる。それぞれがIRESによって分離された複数のオープンリーディングフレームを同時に翻訳し、多シストロン性メッセージを作製することができる。IRES成分により、それぞれのオープンリーディングフレームが効率的な翻訳のためにリボソームに接近できる。この方法で、複数の遺伝子が、その内1つはR.mulleri GFP遺伝子であるが、1つのメッセージを転写するための1つのプロモータ/エンハンサーを使用して効率的に発現できる。任意の異種オープンリーディングフレームを、IRES成分に結合できる。この場合、これは、発現させたい選択された全てのタンパク質および全ての第二のリポーター遺伝子(すなわち選択マーカー遺伝子)を意味する。この方法で、例えば、GFP生成により同時にモニタリングしながら、複数のタンパク質の発現が達成されできる。
本発明に有用なベクターは、選択マーカーも含み、GFPをコードする遺伝子構築物の機能性コピーを受け取った細胞を識別することができる。この最も簡単な形態において、選択されたプロモータに結合されたGFP配列そのものは、適正な波長による細胞類または細胞溶解物類の照射と予想波長において発光された蛍光の測定により、GFP構築物を発現する細胞を検出できる点で、選択マーカーと見なされる。他の形態において、選択マーカーは、ネオマイシン、ブレオマイシン、ゼオシンまたはフレオマイオシン耐性遺伝子のような抗生物質耐性遺伝子を含むことができ、あるいはジヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ(DHFR)のような、あるいは酵母におけるLeu2遺伝子のような、その遺伝子産物が宿主細胞の欠損を補足する遺伝子を含むことができる。あるいは、選択マーカーは、場合によっては、ルシフェラーゼ遺伝子またはβ−ガラクトシダーゼのようなクロモジェニック基質転換酵素遺伝子である。
本発明のGFPをコードする配列は、独立したポリペプチドとして、あるいはしばしば他のポリペプチドとの融合体として発現される。本技術の1つにより、本明細書に開示されているポリヌクレオチド配列であれば(例えば、配列番号1)、R.mulleri GFPをコードする配列と目的の1つ以上のポリペプチドまたはポリペプチド領域を含む配列を含む遺伝子を容易に作成できると考えられる。GFPコード配列と目的のポリペプチドをコードする配列の融合体は、含まれる全てのポリペプチドのリーディングフレームを維持していることは明らかである。本明細書に使用されている「目的のポリペプチド」または「目的の領域」という言葉は、本発明のGFP分子に融合させたい任意のポリペプチドまたはポリペプチド領域を意味する。本発明のGFPポリペプチドと目的のポリペプチドの融合は、GFP配列と融合相手のN−末端またはC−末端との結合によるか、あるいは所望により、GFP配列は、目的のポリペプチドのN−末端とC−末端の間に挿入することもできる。本発明のGFPポリペプチドを含む融合体は、GFPの他に含むポリペプチドまたはポリペプチド領域を1つに限る必要はない。むしろ、少なくとも1組の条件において、GFPコード領域がそのリーディングフレームを保持し、コードされたポリペプチドが蛍光活性を保持する限り、どのような方法でも目的の領域をいくつでも結合することができる。限定的ではないこのような条件の一例として、生理食塩水濃度(すなわち約90mM)、pHほぼ中性、37℃が挙げられる。
[a. プラスミドベクター]
選択された宿主細胞種における本発明のヒト化GFPコード配列を発現できる任意のプラスミドベクターが、本発明に利用できる。本発明において有用なプラスミドベクターは、本発明に有用なベクターの上記の特性のいずれか、または全てを有することができる。本発明に有用なプラスミドベクターには、以下の例が含まれるが、これらに限定されない。細菌pQE70、pQE60、pQE−9(Quiagen)pBs、pTrc99A、pKK223−3、pKK233−3、pDR540およびpRIT5(Pharmacia);真核生物−pWLneo、pSV2cat、pOG44、pXXT1、pSG(Stratagene製)pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL(Pharmacia)。しかし、その他のプラスミドまたはベクターも、宿主において複製可能で、生存可能である限り、使用することができる。
[b. バクテリオファージベクター]
本発明に有用な既知のバクテリオファージ由来ベクターが多数存在する。これらの中で最も重要なのは、挿入物によりコードされたポリペプチドを誘発性発現できるLambda Zap IIまたはLambda−Zap Express ベクター(Stratagen製)のようなλに基づくベクターである。
[c. ウイルスベクター]
多くの種々のウイルスベクターが、本発明に有用であり、細胞においてそれからR.mulleri GFPをコードするヒト化配列の導入と発現を可能にする任意のウイルスベクターが、本発明の方法における利用に許容可能である。外来核酸を細胞に導入するために使用できるウイルスベクターには、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、セムリキ森林熱ウイルス(アルファウイルス)ベクターが含まれるが、これらに限定されない。欠陥レトロウイルスは、遺伝子導入における利用に関して十分特徴が明らかにされている(概説は、Miller,A.D.(1990)Blood 76:271)参照。組み換えレトロウイルスの生産プロトコルとこのようなウイルスによるin vitroまたはin vivoでの細胞感染プロトコルは、Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel,F.M.et al.(編)Greene Publishing Associates,(1989)、Sections 9.10−9.14およびその他の標準実験マニュアルに記載されている。
レトロウイルスベクターの他に、アデノウイルスを、目的の遺伝子産物をコードし、発現するが、正常の溶菌ウイルスライフサイクルにおける複製能の見地から不活化される様に操作することができる(例えば、Berkner et al.,1988,BioTechniques 6:616;Rosenfeld et al,1991,Science 252:431−434;およびRosenfeld et al.,1992,Cell 68:143−155参照)。アデノウイルス株Ad5型dl324またはその他のアデノウイルス株(例えば、Ad2、Ad3、Ad7等)由来の適切なアデノウイルスベクターが本技術に精通する者にとって既知である。アデノ関連ウイルス(AAV)は、十分な複製と増殖性ライフサイクルのためにアデノウイルスまたはヘルペスウイルスのような別のウイルスを必要とする天然の欠陥ウイルスである(概説は、Muzyczka et al.,1992,Curr.Topics in Micro.and Immunol.158:97−129)。Traschin et al.,(1985,Mol.Cell.Biol.5:3251−3260)において説明されている様に、AAVベクターは、核酸を細胞内に導入するために利用できる。AAVベクターを用いて、種々の核酸が種々の細胞種に導入されている(例えば、Hermonat et al.,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6466−6470;およびTraschin et al.,1985,Mol.Cell.Biol.4:2072−2081)。
最後に、外来遺伝子の導入と発現は、しばしば昆虫細胞において望ましい。高レベルの発現が得られ、培養条件が哺乳動物細胞培養よりも単純で、昆虫細胞による翻訳後修飾が、哺乳動物細胞によるものと似ているからである。ショウジョウバエS2細胞のような昆虫細胞への外来DNA導入に関しては、バキュロウイルスベクターによる感染が広く利用される。その他の昆虫ベクター系には、例えば、その他の標識および選択マーカーをコードする発現プラスミドpIZ/V5−His(In Vitrogen)およびpIZ/V5ベクターのその他の変異株が含まれる。昆虫細胞は、リポフェクチン試薬を用いて容易にトランスフェクションでき、昆虫細胞のトランスフェクションに関して特異的に最適化された脂質に基づくトランスフェクション製品がある(例えば、Pan Vera 社より)。
[2. 本発明に有用な宿主細胞]
R.mulleri GFPまたはヒト化R.mulleri GFPをコードする遺伝子を持つ組み換えベクターを導入でき、その中でベクターがGFPの発現を駆動できる任意の細胞が本発明に有用である。すなわち、本発明のGFP分子の利用が広範囲にわたることから、本発明のGFP分子が発現され、好ましくは検出される任意の細胞が適切な宿主であり、この場合宿主細胞は好ましくは哺乳動物細胞であり、より好ましくはヒト細胞である。原核生物と真核生物の両者の多種多様な生物体から、GFPをコードする配列を宿主細胞に導入するために適したベクターは、本明細書に説明されており、あるいは本技術に精通する者にとって既知である。
宿主細胞は、多くの細菌株のいずれかのような原核細胞でも、酵母またはその他の真菌細胞、昆虫または両生類細胞、または齧歯類、サルまたはヒト細胞を含む哺乳動物細胞のような真核細胞でもよい。本発明のGFPを発現する細胞は、例えば、初代培養ヒト線維芽細胞またはケラチノサイトのような初代培養細胞でも、あるいはNIH3T3、293Tまたはチャイニーズハムスター卵巣細胞のような確立された細胞系でもよい。更に、本発明のGFPの発現に有用な哺乳動物細胞は、表現型が正常のものでもよく、発癌性に形質転換されていてもよい。本技術に精通する者は、選択された宿主細胞種を培養で容易に確立し、維持することができると考えられる。
本発明のヒト化GFPの発現は、ヒト細胞において特に増強されるため、本発明の宿主細胞は、ヒト細胞であることが好ましい。ヒト化R.mulleri GFPを導入できるヒト細胞には、人体の任意の細胞が含まれる。本明細書に説明されている任意の方法または本技術において既知の任意の方法によるヒト化GFPは、培養で維持されたヒト細胞、ヒト細胞系(すなわちHEK293細胞)内に、あるいはヒトのin vivoで維持された細胞内に導入できる。
[3. GFPをコードするベクターの宿主細胞への導入]
GFPをコードするベクターは、本技術に精通する者にとって既知の多くの適切な方法のいずれによっても、選択された宿主細胞に導入できる。例えば、GFP構築物は、λまたはM13のような大腸菌バクテリオファージベクター粒子の場合には、感染により適切な細菌細胞に導入でき、あるいはプラスミドベクターの場合またはバクテリオファージでの場合には、多くの形質転換方法のいずれかにより導入できる。例えば、標準塩化カルシウムを介する細菌の形質転換は、裸のDNAを細菌に導入するために今でも一般的に利用されている(Sambrook et al.,1989、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,ニューヨーク)が、エレクトロポレーションも利用できる(Ausubel et al.,1988,Current Protocols in Molecular Biology,(John Wiley & Sons,Inc.ニューヨーク、ニューヨーク州)。
酵母または真菌細胞へのGFPをコードする構築物の導入には、化学的形質転換法が一般に使用される(例えば、Rose et al.,1990,Methods in Yeast Genetics,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,ニューヨーク)。パン酵母の形質転換に関して、例えば、細胞は酢酸リチウムにより処理され、約104コロニー形成単位(形質転換細胞)/μgDNAの形質転換効率が達成される。次に、使用される選択マーカーに適切な選択培地で形質転換された細胞が分離される。あるいは、更に、形質転換されたクローンを識別するために、培養皿または培養皿から拾い上げたフィルターに関して、GFP蛍光を走査することができる。
R.mulleri GFPをコードするベクターの哺乳動物細胞への導入の場合、使用される方法はベクターの形態に依存する。プラスミドベクターの場合、R.mulleri GFPをコードするヒト化DNAは、例えば、脂質を介するトランスフェクション(「リポフェクチン」)、ジエチルアミノエチル−デキストランを介するトランスフェクション、エレクトロポレーションまたはリン酸カルシウム沈殿を含む多くのトランスフェクション法のいずれかにより導入できる。これらの方法は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausbel et al.,1988,John Wiley & Sons,Inc.,ニューヨーク、ニューヨーク州)がある。
多種多様の形質転換細胞および非形質転換細胞または一次細胞の一過性トランスフェクションに適切なリポフェクチン試薬とリポフェクチンによる方法が広く入手可能であることから、リポフェクチンは、培養における真核細胞、特に哺乳動物細胞に構築物を導入する有望な方法となっている。例えば、LipofectAMINE(商標)(Life Technologies社製)またはLipo Taxi(商標)(Stratagene製)キットが入手できる。リポフェクチン試薬および方法を提供するその他の会社として、Bio−Rad Laboratories、CLONTECH、Glen Research、InVitrogen、JBL Scientific、MBI Fermentas、Pan Vera、Promega、Quantum Biotechonologeis、Sigma−Aldrich、Wako Chemicals USAが挙げられる。
R.mulleri GFPをコードするベクターをDrosophila Schneider 2(S2)細胞、Sf9またはSf21細胞のような昆虫細胞に導入する場合、リポフェクチンによるトランスフェクションも実施される。本発明のR.mulleri GFPをコードするベクターによるトランスフェクション後、構築物の(染色体内または染色体外)取り込みに成功した真核(例えば、ヒト)細胞は、上記の様に、その耐性遺伝子がベクターによりコードされている抗生物質のような選択試薬を用いるトランスフェクション集団の処理、または細胞集団のFACSまたは接着培養の蛍光スキャニングのような直接スクリーニングにより選択できる。しばしば、両タイプのスクリーニングが利用でき、この場合、構築物を取り込んだ細胞濃度を高めるためにネガティブ選択が利用され、更にGFPを発現する細胞濃度を高めるために、あるいは細胞の特異的クローンを識別するために蛍光スキャニングがそれぞれ利用される。例えば、ネオマイシン類似体G418(Life Technologies,Inc.)を用いるネガティブ選択は、ベクターを取り込んだ細胞を識別するために利用でき、ヒト化R.mulleri GFPを大いに発現する細胞または細胞のクローンを識別するために蛍光スキャニングが利用できる。
[4. R.mulleri GFPと反応する抗体の作製]
本発明のポリヌクレオチドによりコードされたGFPポリペプチドに結合する抗体は、例えば、タンパク質生成において、またタンパク質会合分析(protein association assay)において有用である。本発明において有用な抗体は、全抗体(whole antibody)、抗体断片、多機能抗体凝集体または一般に、抗体由来の1つ以上の特異的結合部位を含む物質が含まれる。抗体断片は、一本鎖Fv断片のような、Fv、FaまたはF(ab’)2断片またはそれらの誘導体が可能である。抗体または抗体断片は、非組み換え、組み換え、ヒト化のいずれでもよい。抗体は免疫グロブリンイソタイプ、例えば、IgG、IgM等である。更に、適切であれば、免疫グロブリンまたはその断片の凝集体、ポリマー、誘導体および複合体が利用できる。
特異的抗体を誘導するために使用されるGFP由来ペプチドは、好ましくは少なくとも5個のアミノ酸からなる、より好都合には少なくとも10個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有する。このようなペプチドにとって、天然のR.mulleri GFPタンパク質と同じであることは有利であり、更にR.mulleri GFPのアミノ酸配列全体(例えば、配列番号2)を含むことも可能である。
抗体産生に関して、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス等の種々の宿主を、本発明のGFPポリペプチド由来の配列を持つペプチドまたはポリペプチド注射することにより免疫化することができる。宿主の種に応じて、免疫反応を高めるために種々のアジュバントを利用できる。このようなアジュバントには、フロイントアジュバント、水酸化アルミニウムのような無機ゲル、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノールといった界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。
ポリクローナル抗体を産生するには、その免疫原性を高めるために抗原(すなわちR.mulleri GFPポリペプチド、またはそれから得られるペプチド断片)を従来の担体と複合体を形成させ、ペプチド−担体複合体に対する抗血清を作製することができる。本発明のGFPポリペプチドに対応するアミノ酸の短い区間を、キーホールリンペットヘモシアニンまたはGSTのような別のタンパク質のアミノ酸と、融合産物として発現により融合させるか、あるいは化学結合により融合させ、次にキメラ分子に対する抗体を作製することができる。ペプチドと担体タンパク質の結合および免疫化は、Dymecki et al.,1992,J.Biol.Chem.,267:4815に説明されている方法で実施できる。血清は、ELISAにより、あるいはドットブロッティグまたはスポットブロッティングによりポリペプチド抗原に対して力価測定できる(Boersma & Van Leeuwen,1994,J.Neurosci.Methods,51:317)。例えば、Green et al.,1982,Cell,28:477の手順に従い、ELISAにより有用な血清は適切なペプチドと強力に反応する。
モノクローナル抗体の調製技術は既知であり、Arnheiter et al.,1981,Nature,294:278に説明されている様に、モノクローナル抗体は、抗原、好ましくは担体に結合された抗原を用いて調製することができる。モノクローナル抗体は、典型的には、ハイブリドーマ組織培養から、またはハイブリドーマ組織が導入された動物から得られる腹水から得られる。モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ(またはポリクローナル血清)は、本技術において既知の方法に従って、標的担体への抗体結合に関してスクリーニングすることができる。
[5. R.mulleri GFPの精製]
その内容を引用することにより本明細書の一部をなすものとする、Ward and Cormier(1979,J.Biol.Chem.254:781−788)およびMatthews et al.(1977,Biochemistry 16:85−91)により説明されている方法により、必要により、R.mulleri GFPはR.mulleriから精製される。本技術に精通する者は、凍結溶解および14,000xgの遠心分離による透明溶解液の調製後に、同様の手順を、細菌により発現されるR.mulleri GFPに適用できる。要約すると、Matthews et al.およびWard and Cormierにより用いられた方法は、DEAE−セルロース、セファデックス G−100、およびDTNB(5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)−セファデックスカラムによる連続クロマトグラフィー、および1mMのトリス(pH8.0)、0.1mMのEDTAに対する透析を含む。次に、GFPを含む透析された分画(蛍光により識別)を、酸処理により不純物を沈殿させ、続いて上清を中和し、これを凍結乾燥する。低塩(最初10mMから1mM)とpHを7.5から8.5の範囲にすることが、凍結乾燥で活性を維持するために重要である。凍結乾燥試料を水に再懸濁し、直ちに遠心分離し、溶けにくい不純物を除去し、セファデックスG−75カラムにかける。GFPを、1.0mMのトリス(pH8.0)、0.1mMのEDTAに溶出する。試料を不完全凍結乾燥により濃縮し、5mMの酢酸ナトリウム、5mMのイミダゾール、1mMのEDTA、pH7.5、に対して透析し、続いて同じ透析緩衝液において平衡化されたDEAE−BioGel−Aカラムでクロマトグラフィーにかける。GFPを、同じ酢酸/イミダゾール緩衝液においてpH6.9〜4.9の連続酸性グラジエントで溶出する。GFPを含む分画を1.0mMのトリス塩酸、0.1mMのEDTA、pH8.0に対して透析後、試料を部分凍結乾燥により濃縮し、セファデックスG−25(Superfine)カラムを通過させる。次に、GFPを含む分画を、pH8.0のトリス/EDTA緩衝液におけるDEAE−BioGel−Aカラムに加え、続いて20mMのグリシン、5mMのトリス塩酸、5mMのEDTAにより形成されるpH8.5から10.5の連続アルカリ性グラジエントで溶出する。GFPを含む分画は、実質的に均一のR.mulleri GFPを含む。
純度が低いGFP調製品を必要とするスクリーニング適用において、組み換えR.mulleri GFPを細菌から以下の様に精製することができる。本発明の組み換えGFPを遠心分離するベクターにより形質転換された細菌を、適切な選択抗生物質(例えば、1mMのIPTG(イソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシド9))を含むLuria-Bertani培地で成長させる。細菌を遠心分離により収集し、細胞ペレットの凍結・溶解により溶解させる。デブリを14,000xgで遠心分離により除去し、上清を、10mMのリン酸緩衝食塩水、pH7.0で平衡化されたセファデックスG−75(Pharmacia、ピスキャタウェイ、ニュージャージー州)カラムに添加する。GFPを含む分画は、500nmの光により励起された場合、506nmの蛍光発光により識別される。
[II. 本発明のR.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチドの利用法]
R.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチド配列は、多くの異なる方法で有用である。一般に、R.mulleri GFPをコードするポリヌクレオチド配列は、オワンクラゲGFPを用いて実施できる任意の工程または分析において有用である。更に、哺乳動物細胞において発現と蛍光強度が増強されるため、R.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチド配列は、オワンクラゲGFPを用いて実施されるよりも、工程および分析において有用である。
R.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチド配列は、EDTA移入ベクターによりトランスフェクションされた細胞または感染細胞を識別するための選択マーカーとして利用できる。この状況において、GFPをコードするヒト化構築物によりトランスフェクションされた細胞は、トランスフェクションされていない細胞または非感染細胞のバックグラウンドに対して、励起スペクトル範囲の光による細胞の照射と、GFPの発光スペクトルにおける蛍光発光の検出により識別できる。
ヒト化R.mulleri GFP遺伝子は、(例えば、蛍光標示式細胞選別方法(FACS)または蛍光標示式細胞選別方法顕微鏡による)形質転換された哺乳動物細胞、特にヒト細胞を識別するために、in vitroまたはin vivoで遺伝子発現を測定するために、多細胞生物において特定の細胞を標識するために(例えば、細胞系列を研究するために)、融合担体を標識し、位置決定するために、細胞間タンパク質輸送を研究するために利用できる。
R.mulleri GFPは、標準生物学的提供にも利用できる。例えば、タンパク質ゲルとウェスタンブロット法において分子量マーカーとして、蛍光光度計およびFACS装置におけるキャリブレーションにおいて、細胞および組織内マイクロインジェクションのマーカーとして利用できる。蛍光分子量マーカーを作製する方法において、R.mulleri GFP遺伝子配列は、定義されたアミノ酸配列を持つタンパク質をコードする1つ以上のDNA配列に融合され、融合タンパク質は発現ベクターから発現される。発現により、定義された分子量またはマーカーとして使用できる重量の蛍光タンパク質が得られる。
好ましくは、精製された蛍光タンパク質は、例えば、ゲルを使用することにより、サイズ分画が行われる。次に、未知のタンパク質の分子量測定は、蛍光標準から検量線を編集し、検量線から未知の分子量を読み取ることにより行われる。
[A. トランスフェクションされた細胞の識別におけるR.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチドの利用]
R.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチドは、バックグラウンドのトランスフェクションされていない細胞から、トランスフェクションされた哺乳動物細胞を識別するための選択マーカーとして導入できる。あるいは、ヒト化R.mulleri GFPのトランスフェクションは、異なる細胞種が存在する環境に細胞を曝露する前に、単離された細胞または類似細胞の集団をあらかじめ標識するために利用できる。元の細胞だけにGFPが検出されるため、このような細胞の位置を決定し、全集団と比較することができる。
外来DNAによりトランスフェクションされた哺乳動物細胞は、融合タンパク質を作製せずに、本発明のR.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチド配列を用いて識別することができる。かかる方法は、少なくとも2つの転写ユニットまたは翻訳ユニットを含むプラスミドまたはベクターを取り込んだ細胞の識別に基づく。第一のユニットは、所望のタンパク質をコードし、その発現を指示し、第二のユニットはR.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチド配列の発現を指示する。第二の転写または翻訳ユニットからGFPが同時に発現されることにより、確実に、ベクターを含む細胞が検出され、ベクターを含まない細胞から識別される。
コードされたタンパク質をGFPで直接標識するために、本発明のヒト化R.mulleri GFP配列を、選択されたタンパク質をコードするDNA配列に融合させることもできる。ヒト細胞におけるこのようなR.mulleri GFP融合タンパク質の発現により、検出が容易な蛍光標識タンパク質が生成される。これは、タンパク質が、選択された宿主細胞により生産されていることの確認に有用である。これによって、本来の位置であろうと、タンパク質が別の場所に人工的にターゲティングされた場合であろうと、選択されたタンパク質の位置も決定することができる。
[B. 転写調節配列の分析のためのR.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチドの利用]
本発明のヒト化R.mulleri GFP遺伝子により、一連の転写調節配列が、特定の遺伝子、細胞または器官、好ましくは哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞と共に利用するの適切であるかどうかを検討することができる。これは、組み換え発現および高レベルのタンパク質産生における利用に好適な転写調節配列を識別する様なin vitro利用にも、ヒト対象における前臨床試験または遺伝子治療の様にin vivo利用にも応用できる。
転写調節配列を分析するために、まず対照細胞または対照器官を確立しなくてはならない。対照において、CMVのような、既知の有効なプロモータを使用することにより陽性の結果が確立される。候補転写調節配列を検討するために、別の細胞または器官、または対照として使用された同じ細胞種の第二の集団が確立され、この場合、発現ベクターまたは遺伝子構築物に異なる転写調節配列が存在すること以外は全て同じ条件である。対照と同一期間、同一条件で分析を行った後、GFPをコードするポリヌクレオチド配列の発現レベルが決定される。これにより、標準または対照転写調節配列と、候補転写調節配列の強度または適切性を比較することができる。
この方法で検討できる転写調節配列には、候補組織特異的プロモータと候補誘導性プロモータも含まれる。組織特異的プロモータを検討することにより、特定の細胞と共に利用するための最適な転写調節配列を識別することができる。この場合も、in vitroとin vivoの両方で有用である。組み換え発現とタンパク質産生における特定の転写調節配列と特定の細胞種の組み合わせを最適化することは、可能な最高の発現レベルを達成するのを保証するために必要である。
制御配列を試験する構築物によりコードされるヒト化GFPは、培地に分泌されたGFPが検出されるように、任意選択的にそれに分泌シグナルを融合させることができる。
組織特異的プロモータと誘導性プロモータの利用は、in vivoでの実施例において特に効果的である。ヒトにおいて治療遺伝子を発現する状況で使用される場合、このような転写調節配列の利用により、特定の組織においてのみ、特定の部位および/または定義された条件においてのみ発現が可能となる。組織特異的発現の達成は、癌の治療方法にしばしば利用される細胞毒性物質の発現の様に、特定の遺伝子治療において特に重要である。細胞毒性作用よりも、有益な効果を発揮するその他の治療遺伝子の発現において、組織特異的発現は、治療効果を最適化できるため同様に好ましい。適切な組織特異的および誘発性転写調節配列は、本技術、あるいは、例えば上記に説明されている技術に精通する者にとって既知である。
[C. 転写を調節する化合物の分析におけるR.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチド配列の利用]
R.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチド配列は、転写を調節する化合物を検出するためのスクリーニング分析において有用である。本発明のこの点において、ヒト化R.mulleri GFPコード配列は、検出を希望する物質により誘導されることが判明しているプロモータの下流に配置される。細胞におけるGFPの発現は通常サイレントで、選択された物質を含む組成物に細胞を曝露することにより活性化される。例えば、脂溶性の転写調節物質、トキシン、ホルモン、サイトカイン、成長因子またはその他の定義された分子に反応するプロモータを使用する場合、特定の定義された分子を決定できる。例えば、試料中にエストロゲンが存在するかどうかをテストするために、エストロゲン反応性制御配列をGFPに結合できる。
特定の転写調節配列からの遺伝子発現を阻害、抑制またはダウンレギュレートする物質のスクリーニングにおいて、検出分析のいずれでも利用できることは、本技術に精通する者にとって明らかである。このようなネガティブ作用は、遺伝子発現が阻害物質の存在に反応してダウンレギュレートされると生じるGFP蛍光の減少により検出できる。
[D. FACS分析におけるR.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチド配列の利用]
多くの従来のFACS分析は、精製された抗体に結合された蛍光色素を利用しなくてはならない。蛍光標識された融合タンパク質は、FACS利用において、抗体よりも好ましい。なぜならば、細胞を蛍光標識試薬とインキュベーションする必要がなく、抗体複合体の非特異的結合によるバックグラウンドがないからである。GFPは、蛍光が安定で種に非依存性で、基質もコファクターも不要なため、FACSにおける利用に特に適している。
その他の発現に関する実施形態の場合、細胞において発現させるため、GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチド配列を含む融合タンパク質を調製することにより、所望のタンパク質をGFPで直接標識することができるが、ヒト細胞におけるヒト化GFP融合タンパク質である。上記のように、GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチド配列は、所望のタンパク質を発現する発現ベクター内部の第二の転写または翻訳ユニットから同時発現させることもできる。次に、GFP標識タンパク質を発現する細胞またはGFPを同時発現する細胞が検出され、FACS分析により選別される。
[F. R.mulleri GFP融合タンパク質をコードするヒト化ポリヌクレオチド配列のその他の利用]
ヒト化R.mulleri GFP遺伝子は、融合タンパク質の一部として利用でき、標識されたタンパク質の位置が識別可能となる。GFPと外因性タンパク質の融合体は、GFPの蛍光と生理的機能および/またはターゲティング機能のような宿主タンパク質の機能の両者を保存しなくてはならない。
GFPのアミノ末端とカルボキシ末端はいずれも、事実上、任意の所望のタンパク質と融合でき、識別可能なGFP融合体を作製することができ、融合相手の機能を保存する必要がある場合には、融合はリンカー配列により仲介される。しかし、GFP発現のスクリーニングにおける干渉を防止するために、GFPに融合されるタンパク質は、それ自体(例えば、ルシフェラーゼタンパク質)は蛍光特性を持たないことが好ましい。
R.mulleri GFP融合体は、細胞内局在化の研究に有用である。局在化研究は、以前細胞内分画により、また免疫蛍光により実施されてきた。しかし、これらの技術は細胞サイクルのある瞬間におけるタンパク質の位置の静的標示しか提供できない。更に、免疫蛍光法のために細胞を固定する際、アーティファクトが導入される可能性がある。従って、生きている細胞においてタンパク質を視覚化するためにGFPを使用することは、細胞サイクルを通してタンパク質を追跡でき、重要な技術である。
[実施例]
[実施例1. R.mulleri GFPをコードするヒト化遺伝子と野生型遺伝子の発現の比較]
ヒト化R.mulleri GFPコード配列は、種々のヒト、齧歯類、サル細胞系において発現を検討することができる。蛍光レベルは、rGFPよりもヒト化rGFP(hrGFP)の方が十分高いと予想される。hrGFPまたはヒト化レッドシフトエクオリンGFP(EGFP)をコードする単一のコピープロウイルス発現カセットを持つ細胞集団間の直接比較において、相対的蛍光強度は、2つの遺伝子間で同等であると予想される。
[ウイルスの形質導入] 形質導入前日、6ウェル組織培養皿において1x105細胞/ウェルで、10%のFBS(ウシ胎児血清)補足DMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)において、293細胞(ヒト)またはCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞(ハムスター)を培養する。翌日、ウイルス上清をDMEM+10%のFBSに最終容量1.0ml/試料となる様に連続希釈し、DEAE−デキストラン(Sigma社製、セントルイス、ミズーリ州、カタログ番号D−9885)を最終濃度が10μg/mlとなる様に補足する。次に、培地を標的細胞から取り出し、1mlのウイルス希釈液と交換する。各希釈ウイルス試料を、標的細胞を含むウェルに添加し、3時間インキュベーションし、その後1mlのあらかじめ温めておいたDMEM+10%のFBSを各ウェルに加えることができ、次に培養皿を2日間インキュベーションする。2日後、培養皿をPBSで2回洗浄し、トリプシン処理し、遠心分離によりペレットを形成し、1.0mlのPBSに再懸濁する。細胞懸濁液は、氷ウェルで保存し、蛍光標示式細胞選別方法(FACS)により1時間以内に分析できる。FACS分析は、任意選択的に、Cytometry Research Services,(ソレントバレー、カリフォルニア州)により実施することもできる。
[rGFPとhmGFPのin vivo発現の比較] R.mulleri GFPに導入された配列変更により、発現が増強されるかどうかを決定するために、hmGFPコード配列をベクターpFBに挿入し、次に、得られたベクターpFB−rGFPを親ベクターpFB−rGFP遺伝子と並行してチャイニーズハムスター卵巣細胞の中にトランスフェクションする。蛍光顕微鏡(励起450〜490nm;発光520nm)によるトランスフェクションされた細胞の目視検査を実施できる。次に、チャイニーズハムスター卵巣細胞を等しい感染多重度(MOI)で2つのベクター由来のウイルスにより感染させることができ、感染2日後、形質導入細胞を蛍光標示式細胞選別方法(FACS;励起488nm、発光515〜545nm)により分析することができる。
rGFP、hrGFPまたはEGFPをコードする単一コピープロウイルス構成要素を持つ細胞からの相対的蛍光を比較することができる。293細胞を低MOIで感染させ、感染2日後に蛍光レベルをFACSにより分析する。形質導入集団において、集団の総蛍光強度は、hrGFPおよびEGFP発現ベクターに匹敵すると予想される。rGFPの蛍光は、後者の2つの遺伝子よりも顕著に低いものと予想される。同様の結果が、HeLa、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、COS7、NIH3T3細胞の形質導入実験に関して予想される。
[実施例2. ヒト細胞におけるヒト化R.mulleri GFPの発現]
[発現の増強] ヒト細胞におけるヒト化R.mulleri GFP核酸配列の発現の増強を確認するために、ヒト細胞の形質導入のためにヒト化配列をコードするウイルス粒子の生産を、293細胞を、3μgのレトロウイルスパッケージングベクターpVPack−GP、pVPack−VSV−G(Stratagene製)、pCFB−hmGFP(ヒト化R.mulleri GFP;図6)のそれぞれを用いて同時感染することにより実施した。トランスフェクションは、Pear et al.(1997,Methods in Molecular Medicine:Gene Therapy Protocols,Robbind(編)Humana Press,トタワ、ニュージャージー州)の方法に従い、但しMBSトランスフェクションキット(Stratagene製)を用いる点を改変して実施した。その後、2x105個のHeLa細胞を、ウイルスを含まないか(図7、灰色曲線)、あるいはpCFB−hmGFPを用いて調製されたウイルスを含む(図7、黒い曲線)組織培養上清により感染させた。72時間後、細胞をトリプシン処理し、標準FITCHフィルターを用いてFACS(Cytometry Research Services、ソレントバレー、カリフォルニア州)により分析した(図7)。
[蛍光スペクトル] R.mulleri GFPをコードするクローン化ヒト化遺伝子の蛍光スペクトルが、以前に報告された天然タンパク質のものと同一であることを確認するために、ヒト化GFPを発現するヒト細胞の蛍光スペクトルを検討した。上記に説明されているhmGFPを発現するレトロウイルスにより形質導入されたHeLa細胞を、液体窒素と37℃の水浴を用いて、凍結溶解を3回繰り返し、PBSにおいて溶解させた。溶解物を、高速遠心分離によりクリアにし、次に上清をスペクトル分析に使用した。励起および発光スペクトル分析を、Shimadzu RF−1501蛍光分光光度計を用いて決定した。トランスフェクションされた、またはトランスフェクションされていないHeLa細胞から調製された同量の総タンパク質に関して、励起および発光スキャンを実施した。トランスフェクションされていない抽出物のスキャンに標準化することにより、バックグラウンド蛍光を、GFPを含む(トランスフェクションされた)抽出物のスキャンから減じた。図8は、hmGFPを含む細胞抽出物の蛍光スペクトルが、天然R.mulleri GFPと同じであり、500nmで主要励起ピーク、506nmで主要発光ピークが認められた。
[その他の実施例]
その他の実施例は、本技術に精通する者にとって明らかである。前記の詳細な説明は、本発明を明瞭にすることのみを目的として提供され、単に例示的なものであることは明らかである。本発明の精神と範囲は、上記実施例に限定されず、請求の範囲により包含されるものである。
ヒト化R.mulleri GFP、配列番号1のコード配列を示す。93番目の残基はTでもCでもよい。 野生型R.mulleri GFP、配列番号2のコード配列を示す。 野生型R.mulleri GFP、配列番号3のアミノ酸配列を示す。 R.mulleri GFPをコードする非ヒト化およびヒト化ポリヌクレオチド配列の配列比較を示す。縦線は、ヒト化遺伝子と非ヒト化遺伝子の相同性を表す。ギャップは、ヒト化GFP遺伝子を生じるために変更されたヌクレオチドを表す(すなわち、配列番号1と配列番号2の違い)。ヒト化GFP配列の第2位のバリンは、最適なコザック翻訳開始配列を受け容れるために挿入された。 レトロウイルス発現ベクターpFB−hmGFPのマップを示す。 レトロウイルス発現ベクターpCFB−hmGFPのマップを示す。 ヒト化GFP発現レトロウイルスにより形質導入されたHeLa細胞のFACS選別の結果を示す。 ヒト化GFPを含むHeLa細胞抽出物の蛍光スペクトルを示す。

Claims (17)

  1. R.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドは配列番号1の配列を含むヒト化ポリヌクレオチド。
  2. 請求項1に記載のポリヌクレオチドを含む組み換えベクター。
  3. 請求項に記載の組み換えベクターを含む細胞。
  4. (a)R.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチド配列であって、該ヒト化ポリヌクレオチドは配列番号1の配列を含むヒト化ポリヌクレオチド配列を含む組み換えベクターを細胞に導入するステップと、
    (b)工程(a)の細胞を培養するステップと、
    (c)該細胞からR.mulleri GFPを分離するステップと
    を含むR.mulleri GFPの生産方法。
  5. 前記細胞が哺乳動物細胞である請求項に記載の方法。
  6. 前記細胞がヒト細胞である請求項に記載の方法。
  7. (a)関心あるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を、R.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチドであって、該ヒト化ポリヌクレオチドは配列番号1の配列を含むヒト化ポリヌクレオチドに、結合されたポリヌクレオチド配列がインフレームで融合される様に結合するステップと、
    (b)該結合されたポリヌクレオチド配列を細胞に導入するステップと、
    (c)該結合されたポリヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチドの位置を決定するステップと
    を含む、細胞における関心あるポリペプチドの位置決定方法。
  8. (a)組み換えベクターを細胞集団に導入するステップであって、該組み換えベクターは、R.mulleri GFPをコードするヒト化ポリヌクレオチドであって、該ヒト化ポリヌクレオチドは配列番号1の配列を含むヒト化ポリヌクレオチドを含み、該細胞は該ヒト化ポリヌクレオチドを発現することができ、
    (b)該集団に、R.mulleri GFPの励起スペクトルの範囲の光を照射するステップと、
    (c)該集団において、R.mulleri GFPの発光スペクトルにおける蛍光を検出するステップと、それにより該組み換えベクターが導入された細胞を識別するステップと
    を含む、組み換えベクターが導入された細胞の識別方法。
  9. 前記GFPが融合ポリペプチドとして発現される請求項に記載の方法。
  10. 前記GFPが別個のポリペプチドとして発現される請求項に記載の方法。
  11. 前記細胞がFACS分析により識別される請求項に記載の方法。
  12. (a)転写調節配列を含む核酸配列を、R.mulleri GFPをコードするヒト化核酸配列であって、該ヒト化核酸は配列番号1の配列を含むヒト化核酸配列に作動可能に結合させるステップと、これによりリポーター構築物を生成させるステップと、
    (b)該リポーター構築物を細胞に導入するステップと、
    (c)該細胞において、該転写調節配列の活性を反映するR.mulleri GFP蛍光を検出するステップと
    を含む、転写調節配列活性のモニタリング方法。
  13. (a)活性調節因子の存在に反応する転写調節配列を含む核酸配列を、R.mulleri GFPをコードするヒト化核酸配列であって、該ヒト化核酸配列は配列番号1の配列を含むヒト化核酸配列に作動可能に結合させるステップと、これによりリポーター構築物を生成させるステップと、
    (b)該リポーター構築物を細胞に導入するステップと、
    (c)該細胞において、該活性調節因子の存在を示すR.mulleri GFP蛍光を検出するステップと
    を含む、転写調節配列の活性調節因子の検出方法。
  14. (a)転写調節配列を含む核酸配列を、R.mulleri GFPをコードするヒト化核酸配列であって、該ヒト化核酸は配列番号1の配列を含むヒト化核酸配列に作動可能に結合させるステップと、これによりリポーター構築物を生成させるステップと、
    (b)該リポーター構築物を細胞に導入するステップと、
    (c)該細胞を該転写調節配列の候補阻害剤に接触させるステップと、
    (d)該候補阻害剤が存在しない場合と比較した蛍光の減少は、該候補阻害剤が、該転写調節配列の活性を阻害することを示す、該細胞におけるR.mulleri GFP蛍光を検出するステップと
    を含む、転写調節配列の阻害剤のスクリーニング方法。
  15. (a)R.mulleri GFPをコードするヒト化核酸配列であって、該ヒト化核酸は配列番号1の配列を含むヒト化核酸配列を、相対分子量が既知のポリペプチドをコードする核酸配列に、結合された分子が融合ポリペプチドをコードするようにインフレームで結合するステップと、
    (b)(a)の結合された核酸配列を細胞に導入するステップと、
    (c)相対分子量マーカーである該融合ポリペプチドを該細胞から分離するステップと
    を含む、蛍光分子量マーカーの製造方法。
  16. 前記細胞が哺乳動物細胞である請求項7、8、12、13、14または15に記載の方法。
  17. 前記細胞がヒト細胞である請求項7、8、12、13、14または15に記載の方法。
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