JP4606913B2 - 車両の操舵制御装置 - Google Patents
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Description
この操舵制御装置においては、先ず、運転者から入力される操舵トルクの大きさと方向に基づき、運転者の操舵意志に反するようなアシストトルクが出力されることを防止するために、例えば、操舵トルクの検出値とモータの通電電流に対する目標電流値とによって定められる2次元座標上において、モータの運転を禁止する駆動禁止領域が設定されている。さらに、運転者の操舵意志に反するアシストトルクであっても、認識した走行路に沿って車両を走行させるために必要とされるアシストトルクの出力を可能とするために、駆動禁止領域内であっても所定の許可時間内だけ一時的にモータの運転を許可する一時許可領域が設定されている。
しかしながら、単に目標電流値を擬似目標電流値へと変更するだけでは、実際のモータの通電電流が不適切な値となるように制御され、例えば通電電流の増減の切換が頻繁に繰り返されるハンチングが生じて車両の乗員が走行挙動に対して違和感を感じてしまう虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、操舵機構を駆動するモータの通電電流を適切に制御することが可能な車両の操舵制御装置を提供することを目的としている。
さらに、請求項2に記載の本発明の車両の操舵制御装置によれば、走行路に沿って車両が走行するように指示する制御信号が第2駆動制御手段から第1駆動制御手段へ出力されている状態で、通電電流の出力がゼロとなってモータの駆動が停止してしまうことを防止することができ、モータに対して設定された所望の目標トルクを連続的かつ高精度に出力させることができる。
この実施形態に係る車両の操舵制御装置10において、例えば図1に示すように、ステアリングホイール11に一体に設けられたステアリング軸12は、ユニバーサルジョイント13a,13bを有する連結軸13を介して、ステアリングギアボックス14内に設けられたラック・ピニオン機構15のピニオン15aに連結されて手動操舵力発生機構16を構成している。
ピニオン15aはラック軸17のラック歯17aに噛合っており、ステアリングホイール11から入力された回転運動は、ピニオン15aを介してラック軸17の往復運動に変換され、ラック軸17の両端にタイロッド18,18を介して連結された2つの操舵輪19,19を転舵させる。
ステアリングギアボックス14内には、ピニオン15aに作用する操舵トルクTd、すなわち運転者の手動操作により入力された操舵トルクTdを検出するためのトルクセンサ22が設けられており、このトルクセンサ22により検出された操舵トルクTdの検出信号は、LKAS制御装置23およびEPS制御装置24に入力されている。
このため、LKAS制御装置23には、トルクセンサ22から出力される操舵トルクTdの検出信号に加えて、後述する画像認識処理部26から出力される走行区分線の情報と、車両重心の鉛直(重力)軸回りのヨーレート(回転角速度)を検出するヨーレートセンサ27から出力される検出信号と、例えばステアリング軸12に設けられたロータリエンコーダ等をなし、運転者が入力した操舵角度の方向と大きさを検出する舵角センサ28から出力される検出信号と、車輪の回転速度を検出する車輪速センサ29から出力される検出信号とが入力されている。
すなわち、LKAS制御装置23は、例えばターンシグナルSW30からターンシグナルのONを通知する信号が入力されている場合、あるいは、ブレーキSW31からブレーキのONを通知する信号が入力されている場合、あるいは、ワイパーSW32からワイパーのONを通知する信号が入力されている場合、あるいは、メインSW33からLKAS制御装置23の停止を通知する信号が入力されている場合、あるいは、LKAS制御装置23における走行区分線の抽出処理が困難な場合等には、EPS制御装置24への操舵アシストトルクTsの出力を停止するように設定されている。
このため、EPS制御装置24には、LKAS制御装置23から出力される出力操舵アシストトルクTsおよびトルクセンサ22から出力される操舵トルクTdの検出信号に加えて、モータ20に通電される電流を検出するモータ電流センサ35から出力される検出信号(モータ電流)IMと、モータ20の通電電圧を検出するモータ電圧センサ36から出力される検出信号(モータ電圧)VMとが入力されている。
そして、EPS制御装置24は、EPS制御モードに係るパワーステアリングトルクTeとLKAS制御モードに係る操舵アシストトルクTsとを加算して、アシストトルクTaを算出し、モータ20の駆動回路(図示略)を介して、このアシストトルクTaを発生させるためのモータ駆動電流を出力する。
先ず、例えば車両のフロントウィンドウの内側にルームミラー(図示略)等と一体に設けられたカメラ25によって、車両前方や後方の所定領域における走行区分線を撮像する。そして、画像認識処理部26にて、カメラ25から出力される画像データに基づき走行路区分線(白線)を認識する。
LKAS制御装置23のFF制御部23aは、フィードフォワード制御によって走行路の曲率1/Rから所定の特性に基づいて基本操舵アシストトルクTfを算出し、加算部23cへ出力する。
なお、基本操舵アシストトルクTfは、車両のコーナリング力に対する均衡を保つためのアシストトルクであり、補正操舵アシストトルクTbは、車両を走行路の中心線Ycに沿って走行させるため、あるいは、車両の安定性確保のためのアシストトルクである。
第1制御ゲイン演算部42は、操舵アシストトルクTsに所定の第1制御ゲインKfを演算して得た値を、新たな操舵アシストトルクTsとしてLKAS制御比率算出部43へと出力する。
例えば、操舵トルクTdが所定の第1トルク#T1以下の場合には、制御比率Ds=100%とされ、操舵トルクTdが所定の第1トルク#T1以上かつ所定の第2トルク#2以下の場合には、制御比率Dsは減少傾向に変化し、操舵トルクTdが所定の第2トルク#T2以上の場合には、制御比率Ds=0%とされている。
例えば、操舵トルクTdが所定の第1トルク#T1以下の場合には、制御比率Ds=0%とされ、操舵トルクTdが所定の第1トルク#T1以上かつ所定の第2トルク#T2以下の場合には、制御比率Dsは増加傾向に変化し、操舵トルクTdが所定の第2トルク#T2以上の場合には、制御比率Ds=100%とされている。
第2制御ゲイン演算部46は、アシストトルクTaに所定の第2制御ゲインKeを演算して、モータ20にアシストトルクTaを発生させるための通電電流値(後述する実目標電流ITR)を算出し、この通電電流値に基づくモータ駆動電流をモータ20へと出力する。
なお、本実施の形態において、LKAS制御装置23は、操舵アシストトルクTsを算出してEPS制御装置24へ出力したが、LKAS制御装置23において操舵アシストトルクTsをモータ駆動電流に変換して、EPS制御装置24へ出力するように構成してもよい。
例えば図4に示すように、操舵トルクTdおよびモータ駆動電流の目標電流ITにより設定される2次元座標系において、モータ駆動電流の出力を許可する許可領域Aと、モータ駆動電流の出力を許可する最長時間を所定の許可時間ZZとする一時許可領域Bと、モータ駆動電流の出力を禁止する禁止領域Cとが設定されている。ここで、所定のトルク値T1、T2(例えば、T1≦T2)および所定の目標電流値A1、A2、A3(例えば、A1≦A2≦A3)に対して、一時許可領域Bは、(−T1≦Td≦T2)かつ(−A3≦IT≦−A2)、および、(−T2≦Td≦T1)かつ(A2≦IT≦A3)にて定められる領域とされている。
なお、図4においては、例えば操舵トルクTdの正方向および目標電流ITの正方向を右方向のトルクを発生させる方向とし、操舵トルクTdの負方向および目標電流ITの負方向を左方向のトルクを発生させる方向とした。また、目標電流値A2はヒステリシス(ハイ側目標電流値A2Hおよびロー側目標電流値A2L)を有する。
そして、目標電流ITに応じてモータ電流IMが増大傾向に変化し、所定の目標電流値A2(例えば、ハイ側目標電流値A2H)以上に到達したか否かを判定する(ステップS03)。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS03の処理を繰り返す。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS04に進む。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS04の処理を繰り返す。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS05に進む。
そして、例えば時刻t1から所定の第1出力時間Yが経過した時刻t2において、出力完了を示す制御信号をEPS制御装置24からLKAS制御装置23へと出力する(ステップS05)。
そして、EPS制御装置24から出力完了を示す制御信号を受信したLKAS制御装置23は、この時点でモータ電流センサ35から出力されるモータ電流IMに対して異極性の所定電流値(例えば、図5に示すようにモータ電流IM>0に対しては所定電流値AP<0、一方、モータ電流IM<0に対しては所定電流値AP>0)が設定された擬似目標電流ITPを目標電流ITとして設定し、この目標電流ITの出力を開始する(ステップS06)。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS07の処理を繰り返す。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS08に進む。
そして、減少傾向に変化するモータ電流IMが所定の目標電流値A2(例えば、ロー側目標電流値A2L)に到達した時刻t3において、擬似目標電流ITPつまり目標電流ITにゼロを設定する(ステップS08)。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS09の処理を繰り返す。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS10に進む。
そして、例えば時刻t3から所定の第2出力時間Xが経過した時刻t4において、第2制御ゲイン演算部46により算出される通電電流値(つまり実目標電流ITR)を目標電流ITとして設定する(ステップS10)。
そして、一時許可領域Bでのモータ駆動制御の実行終了を指示する制御入力が有るか否かを判定し(ステップS11)、この判定結果が「YES」の場合には、一連の処理を終了し、一方、この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS03に戻る。
しかも、一時許可領域Bにおいてモータ駆動電流の出力を継続する場合に、出力を継続する時間が許可時間ZZに到達するより以前に、一時的に擬似目標電流ITPを目標電流ITとして設定し、この後に、再度、目標電流値ITを一時許可領域Bにおける値に復帰させる。これにより、一時許可領域Bにおいて、目標電流値ITが所定の目標電流値A2以上となる継続時間が許可時間ZZに到達することによって、目標電流値ITがゼロに設定されてしまう場合に比べて、モータ駆動電流の出力を継続することによってモータ20が停止してしまうことを防止して、所望のトルクを連続的かつ高精度に発生させることができる。
16 手動操舵力発生機構(操舵機構)
20 モータ
22 トルクセンサ(操舵入力検出手段)
23 LKAS制御装置(第2駆動制御手段)
24 EPS制御装置(第1駆動制御手段、出力指示手段)
25 カメラ(走行路認識手段)
26 画像認識処理部(走行路認識手段)
35 モータ電流センサ(電流検出手段)
ステップS08 擬似目標電流設定手段
Claims (2)
- 車両の操舵輪を操舵可能な操舵機構を駆動するモータと、
運転者からの操舵入力を検出する操舵入力検出手段と、
少なくとも前記操舵入力検出手段により検出された前記操舵入力に応じて、前記モータに通電する電流の目標値である目標電流を設定し、該目標電流に応じて前記モータを駆動制御する第1駆動制御手段と、
車両の走行路を認識する走行路認識手段と、
前記走行路認識手段により認識された前記走行路に沿って車両が走行するように前記第1駆動制御手段に制御信号を出力し、必要に応じて前記目標電流を補正する第2駆動制御手段と、
前記操舵入力検出手段により検出された前記操舵入力に基づき前記モータの駆動許可および駆動禁止を指示する出力指示手段と、
前記モータに通電される電流であるモータ電流を検出する電流検出手段と、
前記第2駆動制御手段から前記第1駆動制御手段に前記制御信号が出力されている状態で、前記出力指示手段により前記モータの駆動禁止が指示されている場合に、前記目標電流として、前記出力指示手段により前記モータの駆動許可が指示されるような擬似目標電流を設定する擬似目標電流設定手段とを備え、
前記擬似目標電流設定手段は、前記擬似目標電流として、前記電流検出手段により検出される前記モータ電流に対して異極性の所定の大きさの電流を設定することを特徴とする車両の操舵制御装置。 - 前記擬似目標電流設定手段は、前記出力指示手段により前記モータの駆動禁止が指示されてからの経過時間が所定時間に到達した場合に、前記目標電流として前記擬似目標電流を設定することを特徴とする請求項1に記載の車両の操舵制御装置。
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